平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 先週、アカデミー賞の発表がございまして、惜しくも逃しました「ラ・ラ・ランド」という映画がありまして、見てきました。これは夢を持った人たちが集まってくる、そして夢をかなえようとするまち、ロサンゼルスのことでございまして、「LA LAND」ということなんですけども、和歌山県も同じように夢を持った人が集まり、夢がかなえられる県にしたい、こういう思いを持ちまして一般質問をさせていただきたいと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。どうかよろしくお願い申し上げます。
 最初は、「和歌山県の偉人を観光に生かす」です。
 一般質問をするに際して、岡公園を訪ねてきました。現在、岡公園は工事中のため、道路からは郷土の偉人であります陸奥宗光公像が隠れた形になっているので、現在、訪れる人は非常に少なくなっております。
 京都市や高知県では、ことし大政奉還150年ということで、この機会を捉えまして幕末に活躍した郷土の偉人たちに脚光を浴びせて歴史教育や観光資源として活用している都市と比較して、和歌山県が見えるような形での動きが感じられないことを寂しく思います。
 高知県立高知城歴史博物館では、坂本龍馬が夢見た「新国家」の記載がある手紙を展示する幕末維新博が開催される予定で、全国から注目されています。この「新国家」の手紙は、龍馬暗殺の5日前に書かれたものであります。
 さて、この坂本龍馬は陸奥宗光を非常にかわいがっておりまして、龍馬が亡くなる2日前にも陸奥宗光宛てに手紙を送っています。龍馬は、陸奥を自分の後継者になる人物だと考えていたのかもしれません。「新国家」の手紙とともにこの2日前の手紙を和歌山県で展覧するなど、陸奥宗光と人気の高い坂本龍馬との関連性を伝えることは、観光面で効果があると思います。
 例えば、昨年、京都国立博物館で開催され、全国をめぐっている坂本龍馬没後150年の展覧会の和歌山県内での開催は、全国に向けて「和歌山県に陸奥宗光あり」を訴えることができます。偉人の功績をたたえるとともに、誘客効果があると思いますから実現可能性を探ってほしいところです。
 また、観光の取り組みの一例ですが、高知県では、大政奉還と明治維新150周年に向けていろいろな取り組みが行われております。高知県の尾﨑知事、坂本龍馬脱藩の道というのがあるんですが、これを観光資源にしようということで、こういうコメントをしております。「単なる山道ですが、龍馬はこの単なる山道を通って脱藩しました。龍馬だけではなく、そこで多くの志士たちも命をかけて脱藩していきました。現地に詳しい人と行けば、ここからこう抜けて、ここではこういう苦労があって、ここではこういう人が助けてという話を聞くことができます。そういった説明を聞きつつ、看板でもしっかり表示すれば、観光客の方に歴史の意義深さが伝わってきますよね。もっと言えば、何げない山道がとてつもない観光資源に変わるわけです」、こう話しております。
 幕末に注目が集まっていることしから来年にかけて、郷土の偉人を発信するために大切で、近年では唯一の機会となります。和歌山県の志は何か、郷土の偉人から何を学ぶか、偉人の功績を観光にどうつなげていくのか、ここで議論を交わしたいと思います。
 和歌山市は、大政奉還150周年記念プロジェクトに参画が決定し、スタンプラリーの冊子が配られ、わかやま歴史館に配置されております。先日、この冊子をもらいに行ったところ、この冊子を求めてわかやま歴史館を訪れている人に出会いました。尋ねてみると、「この後、和歌山城を訪れ、その後、スタンプラリーにある各都市をめぐることにしています」、こんな話をしてくれました。既に、歴史好きの人たちが大政奉還150周年記念プロジェクトに参加している観光地めぐりを始めている、このことを実感させられました。
 スタンプラリーで、和歌山市は「龍馬死す」のページに取り上げられています。時代の主役は、坂本龍馬の暗殺から、その遺志を受け継いだ陸奥宗光へと移っていくことを感じさせる内容です。
 また、京都市は和歌山県の偉人として陸奥宗光、紀州藩第14代藩主徳川茂承、三浦安、この3名を取り上げてくれております。和歌山市の観光地としてわかやま歴史館、和歌山城も取り上げられておりますので、この機会に和歌山県の観光もこのプロジェクトに呼応したものにしなければ、県内に観光客の誘導はできないと思います。
 近くにある岡公園にある陸奥宗光公像ですが、工事の柵の中に閉じ込められ、観光客がこの像を見つけることは困難で、立ち寄らずに和歌山市を後にするように思いますし、和歌山市吹上にあった生誕の地を示す碑もなくなっているように、近代国家の基礎を築いた郷土の偉人を敬う配慮が欠けているような気がします。
 せっかく京都市が3名をピックアップしてくれていても、参加している和歌山市は何らこの3人を生かした催しを実施していないのが現状です。このプロジェクトに参加しているほかの20市と区は、大政奉還に直接かかわった偉人の功績を生かした催しを積極的に実施し、観光振興、収益に貢献されるように工夫されています。現況の無策状態は、和歌山県及び和歌山市の観光振興の収益に生かされないばかりか、余りにももったいないことだと思います。
 参考までに、この3名は陸奥宗光と次の2人、紹介をさしていただきたいと思います。
 徳川茂承、明治6年、皇居として使用されていた旧江戸城が焼失した際に、紀州藩中屋敷──現在の赤坂御用地ですが──を献上して皇室を助け、明治11年には旧紀州藩士族を救済するために徳義社を設立、困窮した士族の援助と育成に尽力した方です。
 三浦安、大蔵省官吏、元老院議官、貴族院議員、第13代東京府知事を務めています。
 そこで、質問です。
 和歌山市がこの大政奉還150周年プロジェクトに参加していますが、例えば幕末維新スタンプラリーで和歌山市観光に来てくれた人に対して、陸奥宗光の功績や生きた足跡をどう見てもらうのか、和歌山市岡公園の陸奥宗光公像を観光に生かすためにやるべきことがあると思います。例えば、平成28年11月10日、外務省に建立されている陸奥宗光公銅像の周りに咲いている桜の枝が、陸奥宗光公銅像が再建されて50周年、これを記念して外務省から和歌山市へ贈呈されております。この式典で岸田外務大臣は、「私の大先輩である元外務大臣陸奥宗光公」と尊重してくださった上で、両所を結ぶ象徴として和歌山市長へ桜の枝が手渡されていますから、植樹式典という形での盛り上げ方もあるのではないかなと思います。
 参考までに、和歌山市内の有志の会が陸奥宗光を顕彰する子供向けの学習会を実施したときの構想が、外務省に接ぎ木を要望したものを「わかやま新報」が記事にしてくれました。外務省が岡公園に植樹するために接ぎ木を用意してくれたのを、銅像管理自治体として和歌山市長が受け取った、こういう経緯がございます。植樹する際、必ずこのとき参加した子供たち、お母さんにも参加してもらって初めて、次の世代に陸奥宗光の精神が受け継がれることになると思います。
 先ほど、高知県が坂本龍馬脱藩の道を新しい観光資源として売り出そうとしていることを御紹介しましたが、単なる山道でも、そこに埋もれている歴史を掘り起こし、情報発信することによって新たな観光資源に展開される好事例だと思います。あるいは、赤坂御用地、先ほど言いましたが、江戸時代に紀州藩の持ち物だったことも観光のネタになるのではないかと思います。
 これらのことは「わかやま歴史物語」で情報発信することができると思いますから、「わかやま歴史物語」の考え方、和歌山県の観光にどう生かすのか、知事の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の観光客の動きにつきましては、これまで高野山や熊野の世界遺産ブランドを中心に和歌山の魅力を発信し続けてきた結果、平成27年は国内外ともに過去最高のお客様にお越しいただいたところであります。
 このような好機にこそ、自然や歴史、文化といった本県の強みを効果的に活用し、地域に埋もれている素材のポテンシャルをわかりやすく整理し、発信していくことが必要であります。
 具体的には、現在展開中の自然を切り口にした「水の国、わかやま。」キャンペーンに加え、新たに取り組む「わかやま歴史物語」において、神話の時代から近代に至る豊富な歴史ストーリーや文化遺産、地域食材を生かした食、温泉などを組み合わせた「100の旅モデル」を作成するものであります。和歌山での新たな楽しみ方をウエブ等で広く紹介いたしまして、周遊の促進、滞在期間の延長につなげるべく取り組んでいきたいと思います。自分なりに旅のコースをアレンジする個人旅行客がふえる中、こういったモデルを参考にして満足度の高い旅を体験していただけることも期待できるのではないかと思います。
 「100の旅モデル」は、陸奥宗光を初め、幕末から明治維新のお話についても当然含むべきであると思います。そうやってお客様が見て、学び、楽しんで周遊いただけるものとするために、隠れた魅力の掘り起こしなどをせないかんと思います。
 また、歴史等の知識と教養もそのためには必要であります。先ほどからお聞きしておりますと片桐議員の見識も相当なものであると思いますので、このモデルの作成に当たり大いに御意見を賜りたい、そんなふうに思っております。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 さて、先ほどから申し上げてまいりましたように、ことしは陸奥宗光没後120年に当たります。和歌山県として陸奥宗光シンポジウムの開催は決定しておりますが、偉人の功績を現代に伝えるための企画内容がとても大切なので、ぜひともその点を考慮して進めてほしいと思います。例えば、和歌山県全体に広めるため、和歌山市外での開催も考えられますし、リレーシンポジウム、こういった形で各市町村をめぐる、こういうことも検討できるのではないかなと思います。
 また、シンポジウム開催とともに、「県民の友」に陸奥宗光特集を継続して紹介することも偉人の功績を伝えるよい方法だと思いますので、特集記事の掲載の検討をお願いしたいと思います。
 県内には、これ以外にも陸奥宗光没後120年に関する動きがあります。昨年、和歌山市内で有志によって開催されたシンポジウムでは、外務省、文部科学省の協力を受け、両省から講師が来てくれました。今回も同団体がシンポジウムの開催を計画していて、「私の大先輩である陸奥宗光公」と話してくれている岸田外務大臣や松野文部科学大臣にもシンポジウムの案内をする予定と聞いております。
 和歌山市立博物館では、没後100周年記念に開催した陸奥宗光特別展を継承する企画として、大政奉還150周年の特別展が検討されているようですから、県も積極的に協力すべきだと思います。
 もう1つ、陸奥宗光の書籍についての動きです。平成27年度和歌山県文化功労賞を受賞された田辺市出身の作家、大路和子さんの「相思空しく─陸奥宗光の妻亮子」は、女性側から激動の明治時代を捉え、陸奥亮子の足跡をみずから全て取材してつくられたすばらしい長編小説だと思います。文化功労賞でもその小説を高く評価されての受賞でした。
 しかし、その小説を出版した会社はなくなり、大手の出版社に引き継がれたようですが、肝心な「相思空しく」は絶版となっております。これは余りにも惜しいことでありますが、この本を復刊させようという動きもあります。和歌山県が文化功労賞を贈った作家ですから、ぜひとも復刊させてほしいと思います。
 そこで、知事にお伺いしたいのですが、このようなさまざまな動きをどのように考えるか、和歌山県の協力も含めてお答えいただきたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 偉人の顕彰は、ふるさとへの愛着や誇りへとつながるものでありまして、継続的に取り組むことが重要であるという信念で、就任以来、偉人顕彰シンポジウムなどさまざまな事業を行ってまいりました。
 陸奥宗光につきましては、実は私が当選した最初の記者会見で、「知事として政治家として模範とする人はいますか」と聞かれましたときに「陸奥宗光かなあ」と答えたことを覚えておりまして、そういう意味では陸奥宗光を売り出す当県における私は先駆者と、密かに心の中で──といっても言ってしまいましたが──自負しております。
 そこで、陸奥宗光について、平成21年度の紀の国先人展や平成24年度の外務大臣就任120年を記念した東京と和歌山でのシンポジウムなど、機会あるごとに顕彰してきたところでございます。
 没後120年となる節目の年に、県においてもシンポジウムを開催するとともに、これにあわせて「県民の友」はもとより、テレビ、ラジオなどの媒体を通じて広報してまいりたい、いろいろ考えていきたいと思います。
 議員が言われるようなさまざまな動きがあることを承知しておりまして、それぞれにいいお話であると思いますけれども、みずから企画したものに後から足らず米を県や国から支援もらおうということであると、それはちょっと違うん違うかというふうに思います。各団体や個人の活動については、それぞれが熱い思いと責任感を持って取り組んでいただきたい、そんなふうに考えております。
 なお、和歌山市立博物館が企画する特別展の際には、県立博物館所蔵資料をお貸しするなど、できるだけ県市協力してやっていきたいというふうに思っております。
 いずれにしても、さまざまな形で陸奥宗光が顕彰されることにより、節目の年が盛り上がることを期待したいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、知事から答弁をいただきましたように、実は民間でもいろいろ盛り上がってるんですが、この民間団体の会長は実は立谷会長でございまして、国へも働きかけてますし、いろんな資料を集めていただいたり提供していただいたりしておりますんで、その会長の熱い思いもしっかりと受け取っていただきまして、県としても支えていただきたいというふうに思う次第であります。
 それ以外にも、今回、陸奥宗光を取り上げることを知ったたくさんの方から、意見や資料をいただいております。その中の1人の方の意見を取り上げたいと思います。
 「アメリカとの問題は、東芝でも原子力・インフラ関係にかかわった私の悩みの種になっています。昭和62年のココム違反事件でたたかれ、現在は原子力事業においてアメリカの関係会社で発生した巨額赤字の処理はいかに決着しますか。東芝府中事業所の研究棟に事態の好転を望む心ひとしおであります。大事なのは、過去の偉人の功績を後世に伝えていく努力だと考えます」と、和歌山県が陸奥宗光を大切に思い、私たちの行動、子供たちの教育につなげている姿勢をすばらしいと、東京からたたえてメッセージを送ってくれております。和歌山県が、苦境に陥っている方々の希望の光になっているのではないかと思い、うれしく思っております。
 そこで、明治維新150周年についてです。
 政府は、平成30年に明治維新から150年を迎えることを受け、「明治150年は我が国にとって大きな節目。明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは極めて重要だ」と発表したことから、皆さんの感心は高く、和歌山県は何をするのか問い合わせをいただいております。
 明治維新150年に関して、高知県の尾﨑知事、先ほど紹介もしたが、メッセージを発しております。「150年前に描いた国のありようは今も大きな指針であり続けている。当時の人の思いを学ぶことで、現在にも生きてくる教訓はたくさんあると思う。地方が多様性を持って元気になることが時代に対応できる国家の強さにもなる」と県民に対して明治維新150年に向けた考え方を語っています。
 平成28年9月定例会で、明治維新から150年の取り組みに和歌山県もかかわることを提案しております。知事は過去に「知事からのメッセージ」というメッセージを県民の皆さん宛てに宛てておりまして、「明治維新による近代国家のモデルは紀州藩にあったと言っても過言ではない」と、非常にかかわっているようなことを発言されておりますので、明治維新150周年に向けて知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 明治維新150年に向けて思うことは、多くの先人を初め和歌山県民が一生懸命に頑張ってきた150年間であったということであります。
 まず、明治になりまして、紀州藩は陸奥宗光や津田出などによりまして、他藩に率先して四民平等、地租改正などの萌芽を含む兵制改革など藩政改革を断行しました。この改革は、それ以外は坂本龍馬など一部の人を除くとどうも明治近代国家のイメージがなかったんじゃないかという尊王攘夷派、こういう方々がイメージしていなかったような近代国家像を結果として明治政府に取り入れさせることに成功したというふうに思うわけであります。
 そういう意味で、この改革は近代国家を目指す明治政府のモデルとして、講学上の言葉で申しますと、近世の封建制から近代の中央集権国家への転換を少なくとも間接的にリードしたものであると私は思います。このことから、ちょっとおどかしの気持ちも踏まえて、明治維新は和歌山モデルだといって主張をしてるということでございます。
 また、そのほかの面におきましても、例えば産業界で申しますと、紀州藩がなくなりまして、それまでは紀州藩というのは大変な権威と力を持っていたわけでございますけれども、それがなくなったときに今度は民間の商工業者が奮起をして、それで繊維産業とか雑貨産業とか皮革産業などの軽工業を中心とするような産業革命が、日本全体で起こるわけですが、特に和歌山でそれが起こっていて、それが和歌山の繁栄につながっていったというふうに思いますし、その後でいいますと有機合成染料、これを由良浅次郎さんが日本で開発して、それを和歌山の産業に結びつけたり、さまざまな革新があったというふうに思います。
 学界におきましても、詳しく説明すると長くなるんですが、私学の雄、慶應とか早稲田も実は初めは和歌山だということでございまして、今、初めは和歌山だということを申し上げましたが、その初めは和歌山というように、困難なときに新機軸を打ち出して革新をしていく力というのが、和歌山県民には備わってるんじゃないかと思います。
 現代でも、多くのところで和歌山県出身の人が活躍しておられます。そういう方々、特に民間企業でトップに上り詰めたような人の話を聞いておりますと、順風満帆にそういうふうになったわけじゃなくて、危機のときに物すごく頑張って、それで危機を救って取り立てられたというような方が多いような気がいたします。苦しい中で海外に出ても、移民などの場で随分立派な人生を送っておられ、それからその中には例えば和田勇さんのように、1964年の東京オリンピック招致に大きく貢献した人もいると思います。
 こうした150年間にわたり一生懸命頑張ってきた和歌山県人の努力の足跡、あるいはその夢や志、そのようなものを学ぶことで県民も和歌山に対する誇りが湧き出てくるものと考えます。
 このため、「わかやま何でも帳」をつくりまして、これを学校で勉強してもらおうというような郷土教育に熱心に取り組むとともに、和歌山を顕彰するような偉人シンポジウムなどを毎年熱心に開いておりまして、そういう先人の業績を広く顕彰していくことによって和歌山県民の誇りを世に問おうと、こういうふうに考えているところでございます。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事の答弁に最後のくだりでお答えいただきましたように、人を動かすほどの熱い言葉と行動力、シンポジウムを含めた行動力を持つことが、人に感動を与え、和歌山に呼び込めること、あるいは誇りを持つことにつながると思いますので、企画内容等、非常に期待しておりますので、しっかりと実現、実施していただけたらと思います。
 次に、「偉人を教育に生かす」です。
 これまで何度か和歌山県内の中学校の修学旅行先として外務省を選定したらどうか、こういう提言をしてきました。その結果、平成28年は加太中学校が訪問してくれました。ことしも加太中学校が修学旅行で外務省を訪ねてくれる、このように聞いておりますが、それ以外にも県内の複数の中学校が同省を訪れる計画を立ててくれているようです。
 検討している学校の1つとして県立桐蔭中学校があるので、訪問してきました。この学校では、生徒の自主性を高める社会活動を実践していて、3年生には修学旅行の中の1日を生徒が行きたいと思っているところを選ばせる、これを義務づけております。その中に外務省を修学旅行先と考えているグループがありますが、それは日ごろから郷土の偉人に接する機会を設けていることも要因となっております。
 その1つとして、桐蔭中学・高校をつなぐ廊下にはモニターが設置されていて、そのコンテンツの1つとして陸奥宗光を紹介する映像があること、2つ目、図書室にはキャリア教育推薦図書コーナー、それから郷土の偉人に関する本をそろえております。ここには津本陽氏の「叛骨」も置かれています。このように、日常から郷土の偉人に触れる機会を設けることで、生徒が修学旅行先として外務省に行ってみたい、こういうふうに思えるような仕組みがありました。
 ところで、外務省には、和歌山市出身で外務省北米局北米第一課長の和田幸浩さんがおります。昨年、和歌山市内で有志によって開催されたシンポジウムでは、今、日本が世界のリーダーとして存在するのは陸奥宗光のおかげだと、その功績をたたえてくれました。和歌山市出身の先輩が外務省にいるのですから、場合によっては生徒が和田課長から直接話を聞く機会があるかもわかりません。
 桐蔭中学と同じように、全てとは言いませんが、ほかの中学校の修学旅行先として外務省の訪問を検討すべきだと考えますが、郷土の誇りを持たせるような教育方針を志向している教育委員会として、これからどんな働きかけをしていくのでしょうか。教育長の答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 修学旅行は、各学校においてふるさと教育や平和学習、国際理解教育、文化学習等のテーマを設定し、そのテーマに合った訪問先を計画に取り入れ実施してございます。ふるさと教育の一環として、郷土の先人の足跡を訪ねたり、その功績を調べたりする学習活動を取り入れている学校もございます。議員からお話しの桐蔭中学につきましては、キャリア教育の視点からも実施したものであり、私が校長の時代には官庁街の案内役を務めたこともございます。
 次期学習指導要領では、改訂の基本的な考え方の中に体験活動の重視が明確に示されており、自然の中での集団宿泊活動や職場体験、ボランティア等の体験活動が引き続き重視されております。そのような中、修学旅行でふるさと教育の一環として陸奥宗光像のある外務省やふるさと和歌山にゆかりのある史跡等を訪問することは、有意義な体験活動の機会だと考えてございます。
 このような意義については、先日開催いたしました公立小中学校長会において私から全校長に伝えたところですが、今後とも市町村教育長会議や指導事務担当者会議等さまざまな機会を通して、修学旅行における訪問先の選定も含め、体験活動を重視させるよう市町村教育委員会とともに進めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、昨年、陸奥宗光シンポジウムに参画して文部科学省や教育者の陸奥宗光の教育に生かす講演などを聞いて、公立中学校に対しての郷土の偉人教育にどう生かそうとしているのか、教育長にお尋ねします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 陸奥宗光シンポジウムにつきましては、県教育委員会からも出席しており、陸奥宗光の数々の功績を改めて聞き、その時代に果たした役割のすばらしさや、時代を超えて学ぶべきことがあることを再認識したと参加者からも聞いてございます。
 県教育委員会では、ふるさと和歌山の先人について学ぶことはふるさと教育の重要な柱の1つであり、ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」に陸奥宗光を初めとした和歌山ゆかりの先人を掲載してございます。この副読本は、みずから学習できるよう中学生一人一人に配付しております。
 また、本年は陸奥宗光没後120周年であり、この機会を捉え、陸奥宗光を含む先人を紹介する学習資料を作成してまいります。
 今後も、ふるさと教育を推進し、児童生徒がふるさと和歌山について学ぶことを通して、ふるさとを誇りに思う心情を育ててまいります。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 自国の近現代史を学ばず卒業する生徒は少なくなく、ことし2月21日に配信されました「わかやま通信」に知事の体験が記されておりました。「郷土の事を何も教えなかった当時の教育委員会を、どうして子供達にこの和歌山の素晴らしさを教えなかったか、と恨んでいます」。知事と同じような考え方の方はたくさんいるのではないかと思います。
 特に、郷土の歴史の中で、陸奥宗光のように現在の日本の基礎をつくったと言われる人物を輩出しており、近現代史において本県の果たした役割は大きいと感じています。
 しかし、今日までの歴史教育は、歴史の前半部分に時間をかけ、近現代に入るところで授業時間がなくなり、近現代史をしっかり学ぶ機会はほとんどありませんでした。自国の近現代史を学ばないで卒業する生徒がいることもあり、近現代史の知識定着状況が低いことが課題となっております。
 こうしたことから、中教審が答申した次期学習指導要領では、高校科目において、世界史と日本史を融合させた「歴史総合」が新設され、これまで重要視されてこなかった近現代史を見直すことになります。先ほど、近現代史をしっかり学ばなかった生徒が少なくないと申し上げましたが、現在の高等学校の教員も同様であろうかと思います。郷土の偉人を活用した教育を行うに当たっては、歴史教科にかかわる教師だけではなく、高校教師としてほかの教科の教師にも「歴史総合」が導入されるに至った今回の趣旨を踏まえて生徒への授業に臨むべきだと思いますが、教育長の考え方をお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 次期高等学校学習指導要領の歴史分野については、これまでの世界史必履修を見直し、世界とその中における日本を広く相互的な視野から捉えて、現代的な諸課題の形成にかかわる近現代の歴史を考察する「歴史総合」という科目が、全員が学ぶ必履修科目として設定されます。
 今後、「歴史総合」において近現代史を考察する際、これまで以上に地域の歴史や文化等を学ぶ機会が多くなると考えられます。まず、地理歴史科の教員が、郷土の偉人、先人から学ぶという視点を持って指導に当たるとともに、他の教科等においても地域の学習資源を活用した学習を実施する場合は、こうした視点を持って指導をすることが大切であると考えます。
 高等学校新学習指導要領は、平成34年度から年次進行で実施されるまでにその趣旨や狙い等について周知することとなっており、その中で全ての高等学校教員は、学習指導要領の全体像を把握し、各教科での指導に生かせるように準備するとともに、「歴史総合」を導入する意図についても認識しておく必要があると考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 続いて、学校図書館の充実についてであります。
 平成29年度予算案として、約315万円が計上されています。前年度が100万円ですから、学校図書館へ行って読書をしようという呼びかけが強化されたのかなというふうに思います。
 先日、元学校の先生と懇談する中で、現在、侍ジャパンの監督をしている小久保監督の話がありまして、「学生時代、彼はたくさん本を読んでいた。読書習慣のあるこの子は将来大成するだろうと思っていました」、こう聞かしてもらいました。読書習慣をつけるための施策をぜひ教育委員会としては推進していただきたいと思います。
 1つ目の質問です。
 公立学校図書館には、郷土の偉人に触れる図書として、津本陽の「叛骨」に限らず、偉人の図書は郷土の図書コーナーとして図書館に必要だと思います。特にことしは陸奥宗光没後120年、大政奉還・明治維新150年にかかわる人物の特設コーナーを設けるなど、本の魅力に触れるような、語れるような展示の仕組みが必要だと思いますが、教育長の答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校図書館は、子供の想像力や豊かな心を育むとともに、調べ学習などの自発的な学習活動を行う重要な場でございます。
 また、読書と学力の相関関係から、確かな学力を定着させるためには、読書を勧め、学習に生かすことができるよう、学校図書館を充実させる必要があると考えてございます。
 県内の学校には、図書館担当者や学校司書を中心に、郷土や季節、学習内容に応じた掲示をしたり、歴史的イベントに合わせたコーナーを設置したりするなど、子供の読書意欲を喚起し、学習に生かす工夫をしている図書館が多くございます。
 県教育委員会では、これまでも和歌山教育実践研究大会や管理職研修会、あるいは学校司書研修会などにおいて研修を深めるとともに、すぐれた取り組みを普及してまいりました。来年度は、新たな取り組みとして、県内全ての公立小中学校の図書館担当者を対象に、図書館資料の整備のあり方や図書の並べ方の工夫などについても研修を行う予定であり、魅力ある学校図書館づくりを進めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、教育長がお答えいただきましたが、全ての公立中学校と学校の図書館に図書司書を配置して図書の利用を促すということをしてほしいと思うんですけど、現実は、高校はよいとして、小中学校の図書司書の配置はおくれているように思います。平成24年度ゼロ校、全国最下位。平成28年度は小学校78校で32.1%、中学校33校で27%となり、配置は進んでいるものの、全国平均と比較しておくれている状況であります。読書習慣を身につけるよう学校図書館を充実させることは大切だと思いますので、この図書館を充実させるための取り組みについて、教育長の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、学校図書館を充実させるために、市町村教育委員会に学校司書の配置を働きかけるとともに、今後、これまで以上に保護者や地域のボランティアの方々の協力を得ながら、県内全ての学校図書館が、昼休みなど、子供が図書館を利用したいときに開館している体制づくりを目指すこととしてございます。
 また、各学校の図書館担当者を対象に、学校図書館の望ましいあり方や読書活動を推進する取り組みについての研修会やボランティアの資質向上のための研修会を行う予定です。
 「さあ、本を読もう、図書館へ行こう」を合い言葉に、学校、家庭、地域が連携して地域ぐるみで児童生徒の読書活動を充実させたいと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 次の項目に入ります。子供の貧困対策の推進についてです。
 貧困の世代間連鎖を断ち切るため、子供の貧困対策はとても重要な課題だと認識しております。和歌山県内の子供の貧困家庭の現状はどう捉えているか、また、子供食堂、子供カフェがふえ始めていますが、これらの取り組みへの支援はどう考えていますか、福祉保健部長の答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 子供食堂についてですが、帰宅しても1人で過ごさなければならないなど、経済的な状況も含め、さまざまな事情で寂しさを抱える子供たちに、大勢で食卓を囲み、温かい食事の提供などを行う民間団体の取り組みを支援するため、県の平成28年度からの新規施策として和歌山こども食堂支援事業を創設したところです。
 今年度の募集には6団体からの応募があり、少しずつではありますが、県内での取り組みが広がっているものと考えています。平成29年度においても継続して支援事業を予定しており、今後のさらなる広がりを期待しているところです。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 そんな子供カフェの事業者に聞いてみますと、子供カフェを必要としている子供を見つけることが難しいという意見がありました。行政に相談してもわからないので、子供カフェ、子供食堂を必要としている家庭や子供への案内や情報発信が難しいということです。補助制度とともに、必要としている人への案内ができる仕組みが必要だと思いますので、福祉保健部長の答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 子供食堂の取り組みを行っている団体の状況を見ると、活動を始めたきっかけ、対象とする子供や家庭はまさにさまざまです。それぞれの思いを持って、地域の中で課題や需要に応えようと活動に取り組んでおられると思います。
 行政の役割としては、その思いを生かしながらどのように活動を支えていけるのかということですが、議員お話しのように、支援を必要とする人に子供食堂の活動情報を伝えていくことも大変重要なことであると考えています。
 県としましては、今後、関係団体との連携の場を設けたり、開設の状況など必要な情報が周知できるよう取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 さて、経済格差が学力格差につながっている現状を鑑みて、公民館などを活用した学習機会と交流機会をつくることに対して支援を考えてくれております。特に、ひとり親世帯など生活困窮家庭は、子供の宿題を保護者が十分点検する余裕がなかったり、塾などへ行く学習機会に恵まれていないため塾に行けなかったり、不登校や不登校ぎみになり学習頻度が下がってしまう子供も多いように聞いています。そのため、高校に進学できない、または進学しても高校中退となることで就職に不利になることや、自己の知識と精神が練れていないことから、安定した仕事の選択ができないため低所得となり、貧困が連鎖してしまっています。
 地域において、子供の貧困や貧困の連鎖に問題意識を持っている人は多くいますが、学習に関するノウハウがないため、単発の支援となることが多くなっています。和歌山県が子供の貧困対策として学習習慣確立のために資することを政策として掲げてくれることは、先進的な取り組みであり、制度の実効性を高めることが重要だと考えています。
 ところで、民間の方々が独立行政法人福祉医療機構の助成金で和歌山市内で3カ所、新宮市内で1カ所、児童館を活用して子供たちに学習指導を行ってくれております。1カ所当たり約30人の参加があるので、4カ所の合計は100人から120人の実績、また、1カ所当たり1週間で2回学習指導をしていますから1カ月で8回、年間で100回実施していることになります。その結果、多くの生徒の成績が向上していると、この取り組みの成果を聞かせてもらいました。
 新宮市では、平成27年度以前から児童館に教育委員会の職員さんが学習指導に入っていたようですが、平成28年度から民間の人が学習指導を担ってくれています。民間のノウハウを導入したことが成績の向上にもつながっているかもしれません。最終的には地域の自主運営によって子供たちの学習指導ができるようになることが理想ですが、いきなりそこに到達することはあり得ませんから、まず民間のノウハウを導入して実施することが、この制度、施策の大切なポイントだというふうに思っております。
 経済環境によって学習機会に恵まれていない子供たちに対する学習指導の機会を県内に広めることを目指すための取り組みとして、公民館などを活用した学習支援の具体的な取り組みも含めて、教育長から答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、今年度から放課後等に1人で過ごさなければならない子供を含む主に小学校4年生から6年生の子供を対象に、学校の空き教室や公民館等を活用し、地域の方々の協力を得て学習支援や大人との交流活動を行う子供の居場所づくり事業を実施してございます。
 今年度は23市町59カ所で開設し、週1回から2回程度実施されているところが多くなってございます。各市町では、地域の実情に応じ、宿題や指導員の手づくり教材による学習支援や地域の方々との交流を行っています。成果として、家で毎日決まった時間に学習をするようになった、宿題以外の勉強にも取り組む姿勢が出てきた、字を丁寧に書くようになったなど、学習習慣の定着やコミュニケーション力の向上につながっているとの報告を受けております。
 また、子どもの居場所づくり指導員を対象に活動内容の交流やスキルアップのための研修会を実施しており、今後も学習面では、県が作成いたしました問題集等の活用や民間教育事業者のノウハウ等を紹介してまいります。さらに、遊びや調理などの体験活動を通して大人と子供がコミュニケーションを図れるよう、より一層指導員の指導力向上に努めてまいります。
 来年度は、さらに多くの市町村において子供の居場所づくりを開設することを予定しており、県教育委員会といたしましても、より多くの子供に対して学習機会や交流の場を提供できるよう支援してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今回、子供の貧困問題を取り上げること、それから、県のほうから、福祉保健部から和歌山県子供の貧困対策推進計画、こういった案というのもいただきまして思ったことがありまして、実はこの「子供の貧困」という表現について違和感を覚えるとともに、この表現がいいのかという意見をたくさんいただいております。国の政策としての表現ですが、「貧困」と表現される対象となる子供、家庭の心情を思うと、この表現はどうかなというふうに思います。この表現は心が余りないような感じもするので、心ある表現にできないか、温かいものにできないのかな、考えてほしいと思いますので、これ要望しておきたいと思います。
 最後、障害者の就労支援についてであります。
 実は、この制度の対象者は、ほぼ無料で就労支援を受けることができ、最長2年間通うことができます。就労支援事業者には各市町村から訓練等給付費と言われる運営費を受けられるかわりに、就労支援の期間を終えた人を就職させることが求められています。就労支援事業者は、訓練を終えた後に就労できるよう、実のある内容に仕上げ、就職先の確保のために尽力をしてくれています。
 ここで問題があります。就労支援の通所費用はほぼ無料なのですが、交通費が支給されないことです。最長2年間の訓練を受けるための交通費を負担できないため、この機会を逃している障害者の方も多いようです。この点に関して、和歌山県内では、海南市、有田市、御坊市、田辺市、新宮市などが障害者就労支援事業所に通所する場合に、交通費の一部負担をする支援制度を設けています。交通費の支出には上限があるのですが、就労支援を促すよい制度だと思います。就労支援に通う障害者のため、交通費負担は必要な支援だと思いますが、ほかの市町村でも制度化するためには、和歌山県の強いリーダーシップが必要だと思います。
 既に交通費の一部負担制度を設けている市町村もありますが、この制度を利用したいと思っている障害者のために、交通費一部負担制度を残りの全ての市町村で設けてほしいと思いますが、福祉保健部長のお考えをお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 障害のある人が事業所へ通所し、訓練を受けることは、自立や社会参加を図る上で大変重要であると考えております。
 障害のある人が就労移行支援事業所を利用する際、サービスを提供する事業所が必要に応じて送迎を行っております。しかしながら、中には公共交通機関を利用して事業所に通所している方もおられます。そうした方に対しては、議員の御質問にありましたように、負担を軽減するため市町村が補助を行っており、現在、20市町で交通費の一部について補助が行われているところです。
 県としましては、交通費を支援することは就労して自立する上で意義のあるものと考えておりますので、地域の特性や利用者ニーズに応じ柔軟に対応されるよう、未実施の市町村に対し働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 福祉保健部長からお答えいただきましたんで、ここの問題で、就労移行支援事業所が送迎してくれる、この場合の補助制度というのが実はあるんですけども、就労移行支援事業所の方々は、障害者の方は2年間、研修、訓練をしっかりします。ただ、訓練の中には、自分で自宅から公共交通機関を利用して通う、この取り組みを行っているところがあります。
 なぜかといいますと、実際企業へ将来就職するわけですから、自分で自宅から企業なり事業所なりへ通う必要が出てくるわけです。まさか企業が自宅まで車で迎えに行って送り迎えして、こんなことあり得ませんから、訓練の1つとして自分で公共交通機関を使って通所する、この必要があるわけです。
 その期間が例えば卒業前の、訓練終了前の3カ月から半年だとすると、その間の負担というのが障害者の家庭にとっては負担になる、そこでくじけるというんでしょうか、最後まで全うできない、こういうケースも出てきますので、ぜひ各市─未実施の市にもちょっと問い合わせをしたんですが、送迎があるから要らないんだよみたいな趣旨のことをおっしゃってるんですが、社会参画を目指すためにも必要な制度だと思いますので、未実施の市町に対してぜひ県から強く働きかけることを要望させていただきまして、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時43分休憩
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