平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、通告に従って3項目にわたって一般質問をさせていただきます。
 最初に、大型太陽光発電施設計画についてお尋ねいたします。
 私は、和歌山市に生まれ育ちました。子供のころからは和泉山脈が当たり前のように目にとまり、こんなに森が削られていくことになってから初めて、私たちの暮らしが森に育まれている、そういった思いをしています。
 せんだって、秋月議員のほうから滝のお話がありました。私は小さいころ、鳴滝川にある滝に遊びに行き、ずぶぬれになって堤防を歩き、市駅まで帰ってきた、そんなことを質問を聞きながら思い出しました。そういった中で、大切に自然環境を守っていく、そういった立場から、12月の定例会の一般質問でも取り上げさせていただきましたが、今回も質問させていただきます。
 計画地のパネルを御用意しましたので、皆さんの手元にも資料を置かせていただいています。あわせてごらんいただきたいと思います。(パネルを示す)
 このように、赤色の和歌山市園部地区、直川、六十谷地区、3地区にわたっているこの計画地ですが、「園部地区」と今回の場合は表現させていただきます。
 この赤色の和歌山市園部地区と青色の直川地区、2カ所の計画地を合わせると甲子園球場の約53倍、206.5ヘクタールの広さになります。赤色は発電出力4万8800キロワット、面積74.3ヘクタール、青色は発電出力7万6600キロワット、面積132.2ヘクタールで、それぞれ別々の事業所が計画しています。巨大な太陽光発電の計画となっています。
 太陽光発電施設を建設する場合、環境影響評価はどうなっているのか、県にお尋ねしたところ、県は、太陽光発電事業そのものは施設の供用に伴う大きな環境の影響は想定されないことから環境影響評価法の対象とはなっていないが、和歌山県では、太陽光発電事業であっても75ヘクタール以上の土地の造成を伴うものについては、環境への影響が想定されることから、県環境影響評価条例の対象事業として環境アセスメントの実施を義務づけていると答弁がありました。
 そこで、お伺いいたします。
 そもそも、環境アセスメントとはどのようなものでしょうか。環境生活部長にお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 環境生活部長日吉康文君。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 環境アセスメントとは、一定規模以上の開発事業等を行うに当たり、事業者みずからがあらかじめ環境への影響について調査、予測、評価を行い、その結果を公表して一般の方々や地方公共団体などから意見を聞き、それらを踏まえて、環境の保全の観点から、よりよい事業計画をつくり上げていく制度でございます。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 森林の開発や大規模なソーラーパネルの設置など、住民の中で不安を持っている方は少なくないように見受けられます。事業をしたいと考えている業者が、もっと前の段階で住民や自治体に意見を聞くというシステムが必要ではないでしょうか。
 国の改正環境影響評価法が平成23年4月22日に成立し、平成25年4月1日から完全施行されました。事業の早期段階における環境配慮を図るための計画段階配慮書の手続及び環境保全措置等の報告、公表の手続が新たに義務づけられています。和歌山県の場合はどうなっているでしょうか、環境生活部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 環境生活部長。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 和歌山県環境影響評価条例では、計画段階配慮手続については義務づけておりませんが、環境保全措置の報告、公表手続については法改正以前から事業者に義務づけております。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 都道府県の環境影響評価条例の制定状況を見ると、近畿圏内の場合には兵庫、滋賀、京都、奈良が配慮書手続の新設をしています。ぜひ、和歌山県でも条例の御検討をよろしくお願いしたいと思います。
 また、事業実施を前提としてでなく、最初の段階から住民と話し合いが持てるような仕組みを考えていくべきだと思いますので、あわせてよろしくお願いいたします。
 次の質問をさせていただきます。
 直川・府中地区に計画されている太陽光発電事業は、環境影響評価の対象事業となっており、山や千手川の希少生物についてもこの中で調査をされると思いますが、現在、環境影響評価の手続の進捗状況はどうなっていますか、環境生活部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 環境生活部長。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 現在、当事業については、事業者が事業の実施に伴う生活環境や自然環境への影響をどのように調査、予測、評価していくのか、その方法を記載した方法書に対し意見を述べる手続を実施しているところです。
 県としての方法書に対する意見については、有識者で構成される和歌山県環境影響評価審査会の意見を踏まえて4月下旬には取りまとめる予定でおり、現在、審査会では方法書の記載内容について専門的な見地から住民意見も十分考慮し、審査を行っております。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 先日、県の環境影響評価審査会が開かれました。審査会において、委員の方々からどのような意見が出されましたか。再度、環境生活部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 環境生活部長。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 委員からの意見の主なものとしましては、「環境影響を審査をする上でもっと具体的な事業内容、管理体制を示す必要がある」、「事業規模がかなり大きいことから、環境影響については長期的な視点で評価すべき」や「付近で別の事業者が太陽光発電事業を計画しており、そのことも踏まえて環境影響を評価すべき」などとなっております。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 要望をさせていただきます。
 今、部長のほうから答弁していただきました。住民の皆さんが疑問に思われていることと同じような意見が出されていることに安心をいたしました。
 何度も言うようですが、この太陽光発電事業は超大規模な開発計画になっています。和泉山脈はこの南麓を通る中央構造線活断層系の活発な断層運動によって隆起が著しく、その活断層に隣接する山地を開発するという計画のため、県としては審査会の意見をしっかり受けとめていただきたくお願い申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
 3番目は、千手川沿いに現地視察をした折、千手川の上流に砂防指定地の表示看板が立てられていました。
 ここで、砂防指定地について県土整備部長にお尋ねしておきたいと思います。砂防指定地の範囲と、いつ指定をしたのか、お答えください。また、砂防設備がつくられた時期についてもお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 千手川の砂防指定地の指定時期等について御質問を頂戴をいたしました。
 千手川の砂防指定地につきましては、JR阪和線と千手川が交差する地点から上流600メートルに位置します観音橋付近を下流端といたしまして、そこから上流約3キロの区間において川岸から両側10メートルから20メートルの区域を昭和27年、29年、52年、55年と段階的に指定をしてございます。
 また、流水による川底や川岸の侵食を防止するための床固め工や護岸工の砂防設備につきましては、昭和27年から28年、昭和49年、昭和54年から59年、平成4年から5年の4期に分けて整備をしてきてございます。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 千手川の上流の砂防指定地の状況について、今御答弁をいただきました。千手川は、土砂流出の大きな河川で、上流域は谷底堆積物が見られ、下流域には多量の土砂が流出し堆積しています。千手川は、一部天井河川をなしています。事業計画地は、主に白亜系和泉層群の砂岩泥岩互層で砂岩が分布しているとお聞きしています。千手川流域には多くの急斜面が見られます。
 皆さんのお手元にも資料2、3、4として資料を提供させていただいています。事業計画地は、一般に北東側斜面が流れ盤、南西側斜面が受け盤の構造をなし、岩盤の緩みや地すべりなど地盤の変動が多く発生しています。直川地区は、千手川の流路低地、古期扇状地堆積物、谷底堆積物などに立地しているということが言えると思います。林地が大規模に開発されれば、千手川流域では土砂災害、洪水などの危険性が著しく高くなると考えられます。
 申し上げるまでもなく、森林は水を蓄える、洪水を予防する、水をきれいにする、表土の流出を防ぐ、土砂崩れを防ぐ、野外教育や環境教育の場所、野生の鳥獣を守る、二酸化炭素を吸収するという大切な役割があります。事業者は太陽光パネルを設置するため森林を伐採するということですが、その影響をどのようにお考えでしょうか。農林水産部長にお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 森林伐採の影響をどう考えるかということですが、議員御指摘のとおり、森林には水源の涵養や土砂の流出防止などのさまざまな機能があり、大規模な森林伐採を伴う開発はその機能を損なうものと考えます。そのため、森林法では、1ヘクタールを超す森林の開発については林地開発許可が必要となっています。その許可要件として、災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全があり、それぞれの基準に照らし合わして防災施設等が計画されているかなど、適正に審査することとなっています。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再度お尋ねさせていただきます。
 許可要件の基準に照らして審査するということですが、もう一度資料1をごらんください。赤色の園部地区の計画地と紺色の直川地区計画地に挟まれたところに千手川が流れています。園部地区計画地は千手川流域の約10%、直川地区計画地は約30%を占めているとお聞きしています。
 資料2をごらんください。千手川の狭窄部は、大雨のときはよく崩壊が発生しています。そのときは、河道閉塞が発生することがあります。
 資料3では、流れ盤斜面では地盤の緩みや滑りが発生しています。
 次に、資料4です。この地域の岩盤は裂罅がよく発達して、開口性の裂罅がやや深くまで達しています。また、わかやま土砂災害マップを見ると、山地災害危険地区、土砂災害危険箇所、急傾斜地崩壊危険区域が計画地付近及び近隣の住宅地に見られます。このようなところを適正に審査をするということは、どういうことでしょうか。再度、農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 許可申請があった場合、書類審査に加え、現地調査などを実施し、土砂災害を発生させないようなのり面保全対策や、低下した保水力を補う防災調整池などの防災計画が許可の基準を満たしているかを適正に審査します。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 事業者は、平成28年10月28日、園部太陽光発電所計画の事前協議申出書を提出し、それに対して県は意見を取りまとめしています。平成28年12月21日に事業者に回答されています。
 一方、事業者は、昨年11月13日と20日の2日間、5つの自治会に対して説明会を行っています。質疑応答議事録が回覧されたということです。議事録には、「土地の面積はどのくらいで申請されているのですか」の住民からの問いに対して、業者側は「開発面積は75ヘクタール、坪数でいうと約22万坪です」と答えています。さきの答弁であるように、環境影響評価が必要となってきます。実際の申請は74.3ヘクタールとなっています。
 業者に対する疑問の声が出ています。「絶対に森を守ってほしい」、「いっぱい自然があったからここに住んでいるのに」、「昔から森にしょっちゅう行ってるけど、雨が降っても土がすぐ吸収してくれるので水たまりが余りできない」、「木を絶対に切らないで。崖崩れが当たり前の山で木を切ってしまったらあかん」、「もとに戻るのに何十年もかかる」、「説明会知らなかった」、「反対です」などなどの意見が寄せられています。
 このような開発を次々とやっていくと、どうなるでしょうか。山が壊れます。平成19年4月1日からスタートした紀の国森づくり税の適用期間が平成29年4月1日から5年間延長されました。県民1人当たり年額500円を負担しています。森林を県民の財産として守り育て、次の世代に引き継いでいくためのもの、森林環境の保全や森林と共生する文化の創造に関する施策に使うとうたわれています。やはり大規模な森林伐採、乱開発を行うべきではないということを述べて、次の質問に移ります。
 次、5点目です。
 最近、住宅地に隣接する形で太陽光発電所が設置される場合が見受けられますが、近隣住民から心配の声や事前の説明がないなどの苦情を聞きます。これらの問題に対応するため、国は事業者に対して発電事業計画の策定を求め、その事業計画策定のためのガイドラインを制定すると聞いているが、どのような内容となっているのでしょうか。商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 再生可能エネルギーの固定価格買取制度において、平成29年4月から新たな認定制度が開始されることとなっており、発電事業を行う者は事業計画を策定し、国の認定を受ける必要があります。
 現在、国において、再生可能エネルギーの導入が進められていく中で顕在化してきた課題に対応するため、事業計画策定のためのガイドラインの制定を進めており、本年1月にガイドライン案が示されたところです。その案では、発電事業の企画立案段階から設計・施工、運用・管理、撤去・処分に至るまで適正に事業を行うことを求める内容となっております。
 議員御指摘の地域住民への説明については、事業計画作成の初期段階から地域住民と適切なコミュニケーションを図り、説明会を開催するなど、事業について地域住民の理解を得られるよう努めることを求めております。
 また、認定された事業計画にのっとって事業を実施しない場合、国が改善命令や認定の取り消しを行えるよう法改正がなされたところであり、これらの措置によって一層適正な事業実施の確保が図られていくものと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、要望をさせていただきます。
 県の長期計画案にも記されていますが、地球温暖化対策の推進を図っていく上で、太陽光発電を初め再生可能エネルギーの導入推進を掲げています。一方では、二酸化炭素吸収源対策を推進させるため、植林による森林の再生の促進により樹木の炭素貯蔵効果を最大限発揮させて環境負荷を低減すると述べられていることからも、ぜひ森林を壊すことのないように計画的に取り組んでいただきたく要望をいたします。
 次に、2項目めの和歌山県立医科大学薬学部設置計画について、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 公立大学は、学術の進歩に貢献し、住民要求に応えた高等教育を行い、地域の文化、経済の発展に寄与するものです。大学は、学術の中心であり、知的基盤として社会の知的・文化的な発展、県民生活の質の向上や地域経済に大きな役割を果たすものと考えています。学術の衰退は社会の大きな損失であり、大学が担っている基礎研究が枯れてしまえば、政府が言うイノベーション、新しい社会的価値や技術の創造も望むことができません。大学教育の充実は県民の願いであると思います。県立医科大学の学部の増設は、平成16年4月に開設した保健看護学部以来で、県民も期待していることと思います。
 県議団では、岐阜薬科大学、県立静岡大学に視察に行ってまいりました。開校して100年など、歴史の重さや深さを知ることができ、新設校としてしっかりした理念のもとで取り組んでいくことが大事だと感じてきました。
 そこで、お尋ねいたします。
 どのような特色のある学校を目指そうとしていますか。また、進捗状況もあわせてお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 学校の特色につきましては、医学部及び保健看護学部を併設している医療系大学の特徴を最大限に生かした薬学教育を目指しています。
 具体的には、医学部と連携した創薬研究や専門職種を積極的に活用し、多職種間の協働を図るチーム医療に重点を置いた薬学教育を実施することとしています。
 進捗状況につきましては、現在、県立医科大学に設置された薬学部設置準備委員会で学部の特色に応じた教育方針の検討が行われているところであり、県では県立医科大学と連携しながら施設の設計を行っているところです。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 チーム医療に重点を置くということで薬学教育を実施していくということも述べられたと思います。患者さんの立場に立って医師とともに薬物治療を行っている薬剤師の役割は、大変重要なものだと思っています。
 また、和歌山県下には栄養士の資格を取得できる食物栄養専攻を持つ大学もあります。薬と同時に、食養生は治療の一環でもあります。大学を超えた連携もぜひ考えていっていただきたいと思います。
 全国的には、6年間の大学教育プログラムをしっかり学んでも、一昨年は63.2%、昨年は76.9%の薬剤師国家試験の合格率です。命を大切にする心を育みながら、国家試験に合格する力をつけなければなりません。ハード・ソフト含め、しっかりと教育環境を整えていただきたいと思います。
 次の質問をさせていただきます。
 薬剤師の需要と供給についてどのようにお考えか、福祉保健部長、再度御答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県内の薬剤師の有効求人倍率は高い状況が続いており、一定の需要があります。また、薬剤師は、医薬分業や在宅医療の進展に伴い、これからも重要な役割を担うこととなることは明らかであり、今後も安定した需要が見込まれます。したがいまして、薬学部設置により薬剤師が県内に供給されることは、大変有意義なことと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次の診療報酬改定では、病院に近接した中規模以上の薬局のさらなる技術料改悪が進められようとしています。医薬分業の見直し議論も起こっています。
 本来あるべき医薬分業の基本は、経済的、機能的、構造的にも独立した組織、事業所の医師と薬剤師による医薬品使用の個々患者への適正化のシステムと言われています。そのためにも、地域包括ケアにおいて地域に根差した保健薬局の役割が大変必要と考えます。国も「かかりつけ薬局」を提言しています。
 しかし、卒業後は薬剤師として、こういった中で本当に希望の持てる働く環境づくりができていくのか、その点が大切ではないでしょうか。そういった点も含めて、今、日本の利益相反マネジメントの後進性を改めていく、このことが私は重要であると考えています。そういった点も含め、安心して働ける環境、希望を持って働ける環境も同時につくっていくことが大切だということを述べて、次の質問に行かせていただきます。
 次は、男女共同参画の推進についてです。昨日も藤本議員から質問がありました。重なるところもありますが、私からもさせていだたきたいと思います。
 女性活躍推進法に基づく県の取り組みの方向性についてお聞きいたします。
 あす3月8日は国際女性デーです。国際女性デーは、女性に対する差別撤廃と平等な社会参加に向けて行動する日で、世界各地で女性がさまざまな要求を掲げて運動します。私は、男女平等の社会を願って、一般質問を通してこの運動に参加したいと思います。
 1979年、「世界女性の憲法」と言われる女性差別撤廃条約、すなわち女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約が国連で採択されました。日本は1985年に批准しています。ことしは批准して32年を迎えます。この間、男女雇用機会均等法やパートタイム労働法、配偶者からの暴力防止法、さらに育児・介護休業法も男女双方になり、1999年には男女共同参画社会基本法が制定されました。全ての分野で男は仕事、女は家庭という伝統的性別役割分担を改め、仕事も家庭責任も社会活動も男女がともに担い、ともに参画する社会を目指す方向を示したことは新しい前進だと思います。
 そこで、お尋ねいたします。
 基本法に基づき、国、都道府県には男女共同参画基本計画を定めることが義務づけられています。また、2016年4月に女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、いわゆる女性活躍推進法が完全施行されました。この法律では、国の基本方針を勘案して都道府県は、それぞれの地域での女性の職業生活における活躍について推進計画を策定することが努力義務として定められています。
 そこで、県としての取り組みの方向性を環境生活部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 環境生活部長。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 県では、男女協働参画基本計画に基づき、さまざまな施策を総合的、計画的に推進してきました。現在、平成29年度からの5年間を計画期間とする第4次基本計画の策定を進めているところであり、この計画の中に女性活躍推進法に基づく県の推進計画を包括し、一体的に策定することとしております。
 女性の就業率が年々増加していることなど、現在、多くの分野で女性の活躍が進んできている一方で、固定的な性別役割分担意識を背景に、家事、育児、介護等、家庭生活における女性側の負担が大きくなっていることや、長時間労働を前提とするような働き方などにより、女性が仕事と家庭を両立して働き続けることが困難になっています。
 女性活躍推進法に基づく県推進計画では、あらゆる分野で女性の参画を推進するとともに、就業環境の整備や子育て・介護支援の充実など、仕事と生活の調和が実現できる環境を整備し、男女がともに働きやすく暮らしやすい社会づくりを推進してまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、県内事業所への一般事業主行動計画の取り組みについて。
 平成27年に県が実施した男女共同参画に関する県民意識調査によると、働く場で男女が平等でないと思うことについての問いに、昇進・昇格が50.4%と最も高く、次いで賃金が49.4%、仕事の内容が43.6%になっているということです。また、平成24年総務省就業構造基本調査によると、本県の非正規の職員・従業員数は、男性が19.4%と全国の22.1%を下回り、逆に女性は59.6%と全国の57.5%を上回っており、また平成28年度賃金構造基本統計調査によれば、フルタイムで働く女性の所定内給与は男性の73%ということです。まだまだ男女の格差があると言わざるを得ません。
 厚生労働省では、企業が独自に賃金や雇用管理のあり方を見直すための支援ツールとして、2010年に男女間の賃金格差是正のためのガイドラインを作成しています。さらに、女性活躍推進法では、採用や管理職における女性比率などの状況把握や、一般事業主行動計画の策定・公表、情報の公表を国や地方自治体、大企業に義務づけ、常時雇用する労働者が300人以下の事業所には努力義務としています。全国では、努力義務となっている事業所のうち、本年1月末までに2276社が一般事業主行動計画を策定し、届けているということです。
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。県内事業所への一般事業主行動計画の取り組みについて、御答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 議員御指摘のとおり、本県の女性を取り巻く雇用環境は依然として厳しいものがあると認識しております。
 そのため、事業主に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定に向けた取り組みを促進しており、平成29年1月末現在においては、行動計画の策定義務がある常時雇用する労働者301人以上の事業所では58社のうち57社、努力義務の300人以下の事業所では21社が計画を策定しております。
 本県では、中小企業がほとんどであることから、女性が個性と能力を十分発揮できる社会を実現するためには、一般事業主行動計画の策定が努力義務となっている300人以下の事業所が計画を策定し、定期的に進捗状況を確認しながら目標達成に向けて取り組むことが重要と考えております。
 そのため、県では、中小企業に社会保険労務士を派遣し、行動計画の策定を働きかけるとともに、新たな部署への女性の配置や女性管理職育成を目的としたキャリア研修等、実情に応じた取り組み目標の設定や国の助成制度の案内などの助言、指導を行っております。
 引き続き、女性の活躍推進の取り組みを着実に進めるため、事業所に対して、労働局と連携して行動計画策定や円滑な実施を働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、要望をさせていただきます。
 本当に真に女性が活躍できるためには、そのかなめとして男女の賃金格差の是正や女性に対する差別の撤廃の政策を強力に進めることが大事だと思います。成長戦略のために都合よく女性を活用するということにならないようにしていくことだと思います。
 不当な差別、格差をなくし、女性が個人として尊重される社会にしていくために、男女賃金格差、昇進・昇格差別などの是正を図り、職場での男女平等を進めること、法律的にも社会的にも個人としての尊厳、女性の人権が守られる社会をつくること、民法を改正して選択的夫婦別姓の実現、DV・性暴力被害の防止、被害者の保護の支援充実を図ること、あらゆる政策・意思決定の場に女性の平等な参加を保障し、今、国会と地方議会の議員の男女同数を目指していくことなど議論をされてきましたが、先日、やっと選挙の際、候補者を男女均等にするよう各政党が取り組む法案についての見通しが報道されています。ぜひ、あらゆる分野で男女平等が実現できるよう取り組んでいただきたいと思います。
 これを要望して、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で奥村規子君の質問が終了いたしました。

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