平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(全文)


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平成29年2月
和歌山県議会定例会会議録
第6号
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議事日程 第6号
 平成29年3月7日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、
    議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、
    議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     日吉康文
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   岡本圭剛
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   大桑いく嗣
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       上坊 晃
 次長         西原龍也
 議事課長       中谷政紀
 議事課副課長     浜野幸男
 議事課課長補佐兼議事班長
            長谷哲生
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主査      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、通告に従って3項目にわたって一般質問をさせていただきます。
 最初に、大型太陽光発電施設計画についてお尋ねいたします。
 私は、和歌山市に生まれ育ちました。子供のころからは和泉山脈が当たり前のように目にとまり、こんなに森が削られていくことになってから初めて、私たちの暮らしが森に育まれている、そういった思いをしています。
 せんだって、秋月議員のほうから滝のお話がありました。私は小さいころ、鳴滝川にある滝に遊びに行き、ずぶぬれになって堤防を歩き、市駅まで帰ってきた、そんなことを質問を聞きながら思い出しました。そういった中で、大切に自然環境を守っていく、そういった立場から、12月の定例会の一般質問でも取り上げさせていただきましたが、今回も質問させていただきます。
 計画地のパネルを御用意しましたので、皆さんの手元にも資料を置かせていただいています。あわせてごらんいただきたいと思います。(パネルを示す)
 このように、赤色の和歌山市園部地区、直川、六十谷地区、3地区にわたっているこの計画地ですが、「園部地区」と今回の場合は表現させていただきます。
 この赤色の和歌山市園部地区と青色の直川地区、2カ所の計画地を合わせると甲子園球場の約53倍、206.5ヘクタールの広さになります。赤色は発電出力4万8800キロワット、面積74.3ヘクタール、青色は発電出力7万6600キロワット、面積132.2ヘクタールで、それぞれ別々の事業所が計画しています。巨大な太陽光発電の計画となっています。
 太陽光発電施設を建設する場合、環境影響評価はどうなっているのか、県にお尋ねしたところ、県は、太陽光発電事業そのものは施設の供用に伴う大きな環境の影響は想定されないことから環境影響評価法の対象とはなっていないが、和歌山県では、太陽光発電事業であっても75ヘクタール以上の土地の造成を伴うものについては、環境への影響が想定されることから、県環境影響評価条例の対象事業として環境アセスメントの実施を義務づけていると答弁がありました。
 そこで、お伺いいたします。
 そもそも、環境アセスメントとはどのようなものでしょうか。環境生活部長にお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 環境生活部長日吉康文君。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 環境アセスメントとは、一定規模以上の開発事業等を行うに当たり、事業者みずからがあらかじめ環境への影響について調査、予測、評価を行い、その結果を公表して一般の方々や地方公共団体などから意見を聞き、それらを踏まえて、環境の保全の観点から、よりよい事業計画をつくり上げていく制度でございます。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 森林の開発や大規模なソーラーパネルの設置など、住民の中で不安を持っている方は少なくないように見受けられます。事業をしたいと考えている業者が、もっと前の段階で住民や自治体に意見を聞くというシステムが必要ではないでしょうか。
 国の改正環境影響評価法が平成23年4月22日に成立し、平成25年4月1日から完全施行されました。事業の早期段階における環境配慮を図るための計画段階配慮書の手続及び環境保全措置等の報告、公表の手続が新たに義務づけられています。和歌山県の場合はどうなっているでしょうか、環境生活部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 環境生活部長。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 和歌山県環境影響評価条例では、計画段階配慮手続については義務づけておりませんが、環境保全措置の報告、公表手続については法改正以前から事業者に義務づけております。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 都道府県の環境影響評価条例の制定状況を見ると、近畿圏内の場合には兵庫、滋賀、京都、奈良が配慮書手続の新設をしています。ぜひ、和歌山県でも条例の御検討をよろしくお願いしたいと思います。
 また、事業実施を前提としてでなく、最初の段階から住民と話し合いが持てるような仕組みを考えていくべきだと思いますので、あわせてよろしくお願いいたします。
 次の質問をさせていただきます。
 直川・府中地区に計画されている太陽光発電事業は、環境影響評価の対象事業となっており、山や千手川の希少生物についてもこの中で調査をされると思いますが、現在、環境影響評価の手続の進捗状況はどうなっていますか、環境生活部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 環境生活部長。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 現在、当事業については、事業者が事業の実施に伴う生活環境や自然環境への影響をどのように調査、予測、評価していくのか、その方法を記載した方法書に対し意見を述べる手続を実施しているところです。
 県としての方法書に対する意見については、有識者で構成される和歌山県環境影響評価審査会の意見を踏まえて4月下旬には取りまとめる予定でおり、現在、審査会では方法書の記載内容について専門的な見地から住民意見も十分考慮し、審査を行っております。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 先日、県の環境影響評価審査会が開かれました。審査会において、委員の方々からどのような意見が出されましたか。再度、環境生活部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 環境生活部長。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 委員からの意見の主なものとしましては、「環境影響を審査をする上でもっと具体的な事業内容、管理体制を示す必要がある」、「事業規模がかなり大きいことから、環境影響については長期的な視点で評価すべき」や「付近で別の事業者が太陽光発電事業を計画しており、そのことも踏まえて環境影響を評価すべき」などとなっております。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 要望をさせていただきます。
 今、部長のほうから答弁していただきました。住民の皆さんが疑問に思われていることと同じような意見が出されていることに安心をいたしました。
 何度も言うようですが、この太陽光発電事業は超大規模な開発計画になっています。和泉山脈はこの南麓を通る中央構造線活断層系の活発な断層運動によって隆起が著しく、その活断層に隣接する山地を開発するという計画のため、県としては審査会の意見をしっかり受けとめていただきたくお願い申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
 3番目は、千手川沿いに現地視察をした折、千手川の上流に砂防指定地の表示看板が立てられていました。
 ここで、砂防指定地について県土整備部長にお尋ねしておきたいと思います。砂防指定地の範囲と、いつ指定をしたのか、お答えください。また、砂防設備がつくられた時期についてもお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 千手川の砂防指定地の指定時期等について御質問を頂戴をいたしました。
 千手川の砂防指定地につきましては、JR阪和線と千手川が交差する地点から上流600メートルに位置します観音橋付近を下流端といたしまして、そこから上流約3キロの区間において川岸から両側10メートルから20メートルの区域を昭和27年、29年、52年、55年と段階的に指定をしてございます。
 また、流水による川底や川岸の侵食を防止するための床固め工や護岸工の砂防設備につきましては、昭和27年から28年、昭和49年、昭和54年から59年、平成4年から5年の4期に分けて整備をしてきてございます。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 千手川の上流の砂防指定地の状況について、今御答弁をいただきました。千手川は、土砂流出の大きな河川で、上流域は谷底堆積物が見られ、下流域には多量の土砂が流出し堆積しています。千手川は、一部天井河川をなしています。事業計画地は、主に白亜系和泉層群の砂岩泥岩互層で砂岩が分布しているとお聞きしています。千手川流域には多くの急斜面が見られます。
 皆さんのお手元にも資料2、3、4として資料を提供させていただいています。事業計画地は、一般に北東側斜面が流れ盤、南西側斜面が受け盤の構造をなし、岩盤の緩みや地すべりなど地盤の変動が多く発生しています。直川地区は、千手川の流路低地、古期扇状地堆積物、谷底堆積物などに立地しているということが言えると思います。林地が大規模に開発されれば、千手川流域では土砂災害、洪水などの危険性が著しく高くなると考えられます。
 申し上げるまでもなく、森林は水を蓄える、洪水を予防する、水をきれいにする、表土の流出を防ぐ、土砂崩れを防ぐ、野外教育や環境教育の場所、野生の鳥獣を守る、二酸化炭素を吸収するという大切な役割があります。事業者は太陽光パネルを設置するため森林を伐採するということですが、その影響をどのようにお考えでしょうか。農林水産部長にお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 森林伐採の影響をどう考えるかということですが、議員御指摘のとおり、森林には水源の涵養や土砂の流出防止などのさまざまな機能があり、大規模な森林伐採を伴う開発はその機能を損なうものと考えます。そのため、森林法では、1ヘクタールを超す森林の開発については林地開発許可が必要となっています。その許可要件として、災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全があり、それぞれの基準に照らし合わして防災施設等が計画されているかなど、適正に審査することとなっています。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再度お尋ねさせていただきます。
 許可要件の基準に照らして審査するということですが、もう一度資料1をごらんください。赤色の園部地区の計画地と紺色の直川地区計画地に挟まれたところに千手川が流れています。園部地区計画地は千手川流域の約10%、直川地区計画地は約30%を占めているとお聞きしています。
 資料2をごらんください。千手川の狭窄部は、大雨のときはよく崩壊が発生しています。そのときは、河道閉塞が発生することがあります。
 資料3では、流れ盤斜面では地盤の緩みや滑りが発生しています。
 次に、資料4です。この地域の岩盤は裂罅がよく発達して、開口性の裂罅がやや深くまで達しています。また、わかやま土砂災害マップを見ると、山地災害危険地区、土砂災害危険箇所、急傾斜地崩壊危険区域が計画地付近及び近隣の住宅地に見られます。このようなところを適正に審査をするということは、どういうことでしょうか。再度、農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 許可申請があった場合、書類審査に加え、現地調査などを実施し、土砂災害を発生させないようなのり面保全対策や、低下した保水力を補う防災調整池などの防災計画が許可の基準を満たしているかを適正に審査します。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 事業者は、平成28年10月28日、園部太陽光発電所計画の事前協議申出書を提出し、それに対して県は意見を取りまとめしています。平成28年12月21日に事業者に回答されています。
 一方、事業者は、昨年11月13日と20日の2日間、5つの自治会に対して説明会を行っています。質疑応答議事録が回覧されたということです。議事録には、「土地の面積はどのくらいで申請されているのですか」の住民からの問いに対して、業者側は「開発面積は75ヘクタール、坪数でいうと約22万坪です」と答えています。さきの答弁であるように、環境影響評価が必要となってきます。実際の申請は74.3ヘクタールとなっています。
 業者に対する疑問の声が出ています。「絶対に森を守ってほしい」、「いっぱい自然があったからここに住んでいるのに」、「昔から森にしょっちゅう行ってるけど、雨が降っても土がすぐ吸収してくれるので水たまりが余りできない」、「木を絶対に切らないで。崖崩れが当たり前の山で木を切ってしまったらあかん」、「もとに戻るのに何十年もかかる」、「説明会知らなかった」、「反対です」などなどの意見が寄せられています。
 このような開発を次々とやっていくと、どうなるでしょうか。山が壊れます。平成19年4月1日からスタートした紀の国森づくり税の適用期間が平成29年4月1日から5年間延長されました。県民1人当たり年額500円を負担しています。森林を県民の財産として守り育て、次の世代に引き継いでいくためのもの、森林環境の保全や森林と共生する文化の創造に関する施策に使うとうたわれています。やはり大規模な森林伐採、乱開発を行うべきではないということを述べて、次の質問に移ります。
 次、5点目です。
 最近、住宅地に隣接する形で太陽光発電所が設置される場合が見受けられますが、近隣住民から心配の声や事前の説明がないなどの苦情を聞きます。これらの問題に対応するため、国は事業者に対して発電事業計画の策定を求め、その事業計画策定のためのガイドラインを制定すると聞いているが、どのような内容となっているのでしょうか。商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 再生可能エネルギーの固定価格買取制度において、平成29年4月から新たな認定制度が開始されることとなっており、発電事業を行う者は事業計画を策定し、国の認定を受ける必要があります。
 現在、国において、再生可能エネルギーの導入が進められていく中で顕在化してきた課題に対応するため、事業計画策定のためのガイドラインの制定を進めており、本年1月にガイドライン案が示されたところです。その案では、発電事業の企画立案段階から設計・施工、運用・管理、撤去・処分に至るまで適正に事業を行うことを求める内容となっております。
 議員御指摘の地域住民への説明については、事業計画作成の初期段階から地域住民と適切なコミュニケーションを図り、説明会を開催するなど、事業について地域住民の理解を得られるよう努めることを求めております。
 また、認定された事業計画にのっとって事業を実施しない場合、国が改善命令や認定の取り消しを行えるよう法改正がなされたところであり、これらの措置によって一層適正な事業実施の確保が図られていくものと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、要望をさせていただきます。
 県の長期計画案にも記されていますが、地球温暖化対策の推進を図っていく上で、太陽光発電を初め再生可能エネルギーの導入推進を掲げています。一方では、二酸化炭素吸収源対策を推進させるため、植林による森林の再生の促進により樹木の炭素貯蔵効果を最大限発揮させて環境負荷を低減すると述べられていることからも、ぜひ森林を壊すことのないように計画的に取り組んでいただきたく要望をいたします。
 次に、2項目めの和歌山県立医科大学薬学部設置計画について、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 公立大学は、学術の進歩に貢献し、住民要求に応えた高等教育を行い、地域の文化、経済の発展に寄与するものです。大学は、学術の中心であり、知的基盤として社会の知的・文化的な発展、県民生活の質の向上や地域経済に大きな役割を果たすものと考えています。学術の衰退は社会の大きな損失であり、大学が担っている基礎研究が枯れてしまえば、政府が言うイノベーション、新しい社会的価値や技術の創造も望むことができません。大学教育の充実は県民の願いであると思います。県立医科大学の学部の増設は、平成16年4月に開設した保健看護学部以来で、県民も期待していることと思います。
 県議団では、岐阜薬科大学、県立静岡大学に視察に行ってまいりました。開校して100年など、歴史の重さや深さを知ることができ、新設校としてしっかりした理念のもとで取り組んでいくことが大事だと感じてきました。
 そこで、お尋ねいたします。
 どのような特色のある学校を目指そうとしていますか。また、進捗状況もあわせてお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 学校の特色につきましては、医学部及び保健看護学部を併設している医療系大学の特徴を最大限に生かした薬学教育を目指しています。
 具体的には、医学部と連携した創薬研究や専門職種を積極的に活用し、多職種間の協働を図るチーム医療に重点を置いた薬学教育を実施することとしています。
 進捗状況につきましては、現在、県立医科大学に設置された薬学部設置準備委員会で学部の特色に応じた教育方針の検討が行われているところであり、県では県立医科大学と連携しながら施設の設計を行っているところです。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 チーム医療に重点を置くということで薬学教育を実施していくということも述べられたと思います。患者さんの立場に立って医師とともに薬物治療を行っている薬剤師の役割は、大変重要なものだと思っています。
 また、和歌山県下には栄養士の資格を取得できる食物栄養専攻を持つ大学もあります。薬と同時に、食養生は治療の一環でもあります。大学を超えた連携もぜひ考えていっていただきたいと思います。
 全国的には、6年間の大学教育プログラムをしっかり学んでも、一昨年は63.2%、昨年は76.9%の薬剤師国家試験の合格率です。命を大切にする心を育みながら、国家試験に合格する力をつけなければなりません。ハード・ソフト含め、しっかりと教育環境を整えていただきたいと思います。
 次の質問をさせていただきます。
 薬剤師の需要と供給についてどのようにお考えか、福祉保健部長、再度御答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県内の薬剤師の有効求人倍率は高い状況が続いており、一定の需要があります。また、薬剤師は、医薬分業や在宅医療の進展に伴い、これからも重要な役割を担うこととなることは明らかであり、今後も安定した需要が見込まれます。したがいまして、薬学部設置により薬剤師が県内に供給されることは、大変有意義なことと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次の診療報酬改定では、病院に近接した中規模以上の薬局のさらなる技術料改悪が進められようとしています。医薬分業の見直し議論も起こっています。
 本来あるべき医薬分業の基本は、経済的、機能的、構造的にも独立した組織、事業所の医師と薬剤師による医薬品使用の個々患者への適正化のシステムと言われています。そのためにも、地域包括ケアにおいて地域に根差した保健薬局の役割が大変必要と考えます。国も「かかりつけ薬局」を提言しています。
 しかし、卒業後は薬剤師として、こういった中で本当に希望の持てる働く環境づくりができていくのか、その点が大切ではないでしょうか。そういった点も含めて、今、日本の利益相反マネジメントの後進性を改めていく、このことが私は重要であると考えています。そういった点も含め、安心して働ける環境、希望を持って働ける環境も同時につくっていくことが大切だということを述べて、次の質問に行かせていただきます。
 次は、男女共同参画の推進についてです。昨日も藤本議員から質問がありました。重なるところもありますが、私からもさせていだたきたいと思います。
 女性活躍推進法に基づく県の取り組みの方向性についてお聞きいたします。
 あす3月8日は国際女性デーです。国際女性デーは、女性に対する差別撤廃と平等な社会参加に向けて行動する日で、世界各地で女性がさまざまな要求を掲げて運動します。私は、男女平等の社会を願って、一般質問を通してこの運動に参加したいと思います。
 1979年、「世界女性の憲法」と言われる女性差別撤廃条約、すなわち女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約が国連で採択されました。日本は1985年に批准しています。ことしは批准して32年を迎えます。この間、男女雇用機会均等法やパートタイム労働法、配偶者からの暴力防止法、さらに育児・介護休業法も男女双方になり、1999年には男女共同参画社会基本法が制定されました。全ての分野で男は仕事、女は家庭という伝統的性別役割分担を改め、仕事も家庭責任も社会活動も男女がともに担い、ともに参画する社会を目指す方向を示したことは新しい前進だと思います。
 そこで、お尋ねいたします。
 基本法に基づき、国、都道府県には男女共同参画基本計画を定めることが義務づけられています。また、2016年4月に女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、いわゆる女性活躍推進法が完全施行されました。この法律では、国の基本方針を勘案して都道府県は、それぞれの地域での女性の職業生活における活躍について推進計画を策定することが努力義務として定められています。
 そこで、県としての取り組みの方向性を環境生活部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 環境生活部長。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 県では、男女協働参画基本計画に基づき、さまざまな施策を総合的、計画的に推進してきました。現在、平成29年度からの5年間を計画期間とする第4次基本計画の策定を進めているところであり、この計画の中に女性活躍推進法に基づく県の推進計画を包括し、一体的に策定することとしております。
 女性の就業率が年々増加していることなど、現在、多くの分野で女性の活躍が進んできている一方で、固定的な性別役割分担意識を背景に、家事、育児、介護等、家庭生活における女性側の負担が大きくなっていることや、長時間労働を前提とするような働き方などにより、女性が仕事と家庭を両立して働き続けることが困難になっています。
 女性活躍推進法に基づく県推進計画では、あらゆる分野で女性の参画を推進するとともに、就業環境の整備や子育て・介護支援の充実など、仕事と生活の調和が実現できる環境を整備し、男女がともに働きやすく暮らしやすい社会づくりを推進してまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、県内事業所への一般事業主行動計画の取り組みについて。
 平成27年に県が実施した男女共同参画に関する県民意識調査によると、働く場で男女が平等でないと思うことについての問いに、昇進・昇格が50.4%と最も高く、次いで賃金が49.4%、仕事の内容が43.6%になっているということです。また、平成24年総務省就業構造基本調査によると、本県の非正規の職員・従業員数は、男性が19.4%と全国の22.1%を下回り、逆に女性は59.6%と全国の57.5%を上回っており、また平成28年度賃金構造基本統計調査によれば、フルタイムで働く女性の所定内給与は男性の73%ということです。まだまだ男女の格差があると言わざるを得ません。
 厚生労働省では、企業が独自に賃金や雇用管理のあり方を見直すための支援ツールとして、2010年に男女間の賃金格差是正のためのガイドラインを作成しています。さらに、女性活躍推進法では、採用や管理職における女性比率などの状況把握や、一般事業主行動計画の策定・公表、情報の公表を国や地方自治体、大企業に義務づけ、常時雇用する労働者が300人以下の事業所には努力義務としています。全国では、努力義務となっている事業所のうち、本年1月末までに2276社が一般事業主行動計画を策定し、届けているということです。
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。県内事業所への一般事業主行動計画の取り組みについて、御答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 議員御指摘のとおり、本県の女性を取り巻く雇用環境は依然として厳しいものがあると認識しております。
 そのため、事業主に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定に向けた取り組みを促進しており、平成29年1月末現在においては、行動計画の策定義務がある常時雇用する労働者301人以上の事業所では58社のうち57社、努力義務の300人以下の事業所では21社が計画を策定しております。
 本県では、中小企業がほとんどであることから、女性が個性と能力を十分発揮できる社会を実現するためには、一般事業主行動計画の策定が努力義務となっている300人以下の事業所が計画を策定し、定期的に進捗状況を確認しながら目標達成に向けて取り組むことが重要と考えております。
 そのため、県では、中小企業に社会保険労務士を派遣し、行動計画の策定を働きかけるとともに、新たな部署への女性の配置や女性管理職育成を目的としたキャリア研修等、実情に応じた取り組み目標の設定や国の助成制度の案内などの助言、指導を行っております。
 引き続き、女性の活躍推進の取り組みを着実に進めるため、事業所に対して、労働局と連携して行動計画策定や円滑な実施を働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、要望をさせていただきます。
 本当に真に女性が活躍できるためには、そのかなめとして男女の賃金格差の是正や女性に対する差別の撤廃の政策を強力に進めることが大事だと思います。成長戦略のために都合よく女性を活用するということにならないようにしていくことだと思います。
 不当な差別、格差をなくし、女性が個人として尊重される社会にしていくために、男女賃金格差、昇進・昇格差別などの是正を図り、職場での男女平等を進めること、法律的にも社会的にも個人としての尊厳、女性の人権が守られる社会をつくること、民法を改正して選択的夫婦別姓の実現、DV・性暴力被害の防止、被害者の保護の支援充実を図ること、あらゆる政策・意思決定の場に女性の平等な参加を保障し、今、国会と地方議会の議員の男女同数を目指していくことなど議論をされてきましたが、先日、やっと選挙の際、候補者を男女均等にするよう各政党が取り組む法案についての見通しが報道されています。ぜひ、あらゆる分野で男女平等が実現できるよう取り組んでいただきたいと思います。
 これを要望して、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で奥村規子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 先週、アカデミー賞の発表がございまして、惜しくも逃しました「ラ・ラ・ランド」という映画がありまして、見てきました。これは夢を持った人たちが集まってくる、そして夢をかなえようとするまち、ロサンゼルスのことでございまして、「LA LAND」ということなんですけども、和歌山県も同じように夢を持った人が集まり、夢がかなえられる県にしたい、こういう思いを持ちまして一般質問をさせていただきたいと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。どうかよろしくお願い申し上げます。
 最初は、「和歌山県の偉人を観光に生かす」です。
 一般質問をするに際して、岡公園を訪ねてきました。現在、岡公園は工事中のため、道路からは郷土の偉人であります陸奥宗光公像が隠れた形になっているので、現在、訪れる人は非常に少なくなっております。
 京都市や高知県では、ことし大政奉還150年ということで、この機会を捉えまして幕末に活躍した郷土の偉人たちに脚光を浴びせて歴史教育や観光資源として活用している都市と比較して、和歌山県が見えるような形での動きが感じられないことを寂しく思います。
 高知県立高知城歴史博物館では、坂本龍馬が夢見た「新国家」の記載がある手紙を展示する幕末維新博が開催される予定で、全国から注目されています。この「新国家」の手紙は、龍馬暗殺の5日前に書かれたものであります。
 さて、この坂本龍馬は陸奥宗光を非常にかわいがっておりまして、龍馬が亡くなる2日前にも陸奥宗光宛てに手紙を送っています。龍馬は、陸奥を自分の後継者になる人物だと考えていたのかもしれません。「新国家」の手紙とともにこの2日前の手紙を和歌山県で展覧するなど、陸奥宗光と人気の高い坂本龍馬との関連性を伝えることは、観光面で効果があると思います。
 例えば、昨年、京都国立博物館で開催され、全国をめぐっている坂本龍馬没後150年の展覧会の和歌山県内での開催は、全国に向けて「和歌山県に陸奥宗光あり」を訴えることができます。偉人の功績をたたえるとともに、誘客効果があると思いますから実現可能性を探ってほしいところです。
 また、観光の取り組みの一例ですが、高知県では、大政奉還と明治維新150周年に向けていろいろな取り組みが行われております。高知県の尾﨑知事、坂本龍馬脱藩の道というのがあるんですが、これを観光資源にしようということで、こういうコメントをしております。「単なる山道ですが、龍馬はこの単なる山道を通って脱藩しました。龍馬だけではなく、そこで多くの志士たちも命をかけて脱藩していきました。現地に詳しい人と行けば、ここからこう抜けて、ここではこういう苦労があって、ここではこういう人が助けてという話を聞くことができます。そういった説明を聞きつつ、看板でもしっかり表示すれば、観光客の方に歴史の意義深さが伝わってきますよね。もっと言えば、何げない山道がとてつもない観光資源に変わるわけです」、こう話しております。
 幕末に注目が集まっていることしから来年にかけて、郷土の偉人を発信するために大切で、近年では唯一の機会となります。和歌山県の志は何か、郷土の偉人から何を学ぶか、偉人の功績を観光にどうつなげていくのか、ここで議論を交わしたいと思います。
 和歌山市は、大政奉還150周年記念プロジェクトに参画が決定し、スタンプラリーの冊子が配られ、わかやま歴史館に配置されております。先日、この冊子をもらいに行ったところ、この冊子を求めてわかやま歴史館を訪れている人に出会いました。尋ねてみると、「この後、和歌山城を訪れ、その後、スタンプラリーにある各都市をめぐることにしています」、こんな話をしてくれました。既に、歴史好きの人たちが大政奉還150周年記念プロジェクトに参加している観光地めぐりを始めている、このことを実感させられました。
 スタンプラリーで、和歌山市は「龍馬死す」のページに取り上げられています。時代の主役は、坂本龍馬の暗殺から、その遺志を受け継いだ陸奥宗光へと移っていくことを感じさせる内容です。
 また、京都市は和歌山県の偉人として陸奥宗光、紀州藩第14代藩主徳川茂承、三浦安、この3名を取り上げてくれております。和歌山市の観光地としてわかやま歴史館、和歌山城も取り上げられておりますので、この機会に和歌山県の観光もこのプロジェクトに呼応したものにしなければ、県内に観光客の誘導はできないと思います。
 近くにある岡公園にある陸奥宗光公像ですが、工事の柵の中に閉じ込められ、観光客がこの像を見つけることは困難で、立ち寄らずに和歌山市を後にするように思いますし、和歌山市吹上にあった生誕の地を示す碑もなくなっているように、近代国家の基礎を築いた郷土の偉人を敬う配慮が欠けているような気がします。
 せっかく京都市が3名をピックアップしてくれていても、参加している和歌山市は何らこの3人を生かした催しを実施していないのが現状です。このプロジェクトに参加しているほかの20市と区は、大政奉還に直接かかわった偉人の功績を生かした催しを積極的に実施し、観光振興、収益に貢献されるように工夫されています。現況の無策状態は、和歌山県及び和歌山市の観光振興の収益に生かされないばかりか、余りにももったいないことだと思います。
 参考までに、この3名は陸奥宗光と次の2人、紹介をさしていただきたいと思います。
 徳川茂承、明治6年、皇居として使用されていた旧江戸城が焼失した際に、紀州藩中屋敷──現在の赤坂御用地ですが──を献上して皇室を助け、明治11年には旧紀州藩士族を救済するために徳義社を設立、困窮した士族の援助と育成に尽力した方です。
 三浦安、大蔵省官吏、元老院議官、貴族院議員、第13代東京府知事を務めています。
 そこで、質問です。
 和歌山市がこの大政奉還150周年プロジェクトに参加していますが、例えば幕末維新スタンプラリーで和歌山市観光に来てくれた人に対して、陸奥宗光の功績や生きた足跡をどう見てもらうのか、和歌山市岡公園の陸奥宗光公像を観光に生かすためにやるべきことがあると思います。例えば、平成28年11月10日、外務省に建立されている陸奥宗光公銅像の周りに咲いている桜の枝が、陸奥宗光公銅像が再建されて50周年、これを記念して外務省から和歌山市へ贈呈されております。この式典で岸田外務大臣は、「私の大先輩である元外務大臣陸奥宗光公」と尊重してくださった上で、両所を結ぶ象徴として和歌山市長へ桜の枝が手渡されていますから、植樹式典という形での盛り上げ方もあるのではないかなと思います。
 参考までに、和歌山市内の有志の会が陸奥宗光を顕彰する子供向けの学習会を実施したときの構想が、外務省に接ぎ木を要望したものを「わかやま新報」が記事にしてくれました。外務省が岡公園に植樹するために接ぎ木を用意してくれたのを、銅像管理自治体として和歌山市長が受け取った、こういう経緯がございます。植樹する際、必ずこのとき参加した子供たち、お母さんにも参加してもらって初めて、次の世代に陸奥宗光の精神が受け継がれることになると思います。
 先ほど、高知県が坂本龍馬脱藩の道を新しい観光資源として売り出そうとしていることを御紹介しましたが、単なる山道でも、そこに埋もれている歴史を掘り起こし、情報発信することによって新たな観光資源に展開される好事例だと思います。あるいは、赤坂御用地、先ほど言いましたが、江戸時代に紀州藩の持ち物だったことも観光のネタになるのではないかと思います。
 これらのことは「わかやま歴史物語」で情報発信することができると思いますから、「わかやま歴史物語」の考え方、和歌山県の観光にどう生かすのか、知事の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の観光客の動きにつきましては、これまで高野山や熊野の世界遺産ブランドを中心に和歌山の魅力を発信し続けてきた結果、平成27年は国内外ともに過去最高のお客様にお越しいただいたところであります。
 このような好機にこそ、自然や歴史、文化といった本県の強みを効果的に活用し、地域に埋もれている素材のポテンシャルをわかりやすく整理し、発信していくことが必要であります。
 具体的には、現在展開中の自然を切り口にした「水の国、わかやま。」キャンペーンに加え、新たに取り組む「わかやま歴史物語」において、神話の時代から近代に至る豊富な歴史ストーリーや文化遺産、地域食材を生かした食、温泉などを組み合わせた「100の旅モデル」を作成するものであります。和歌山での新たな楽しみ方をウエブ等で広く紹介いたしまして、周遊の促進、滞在期間の延長につなげるべく取り組んでいきたいと思います。自分なりに旅のコースをアレンジする個人旅行客がふえる中、こういったモデルを参考にして満足度の高い旅を体験していただけることも期待できるのではないかと思います。
 「100の旅モデル」は、陸奥宗光を初め、幕末から明治維新のお話についても当然含むべきであると思います。そうやってお客様が見て、学び、楽しんで周遊いただけるものとするために、隠れた魅力の掘り起こしなどをせないかんと思います。
 また、歴史等の知識と教養もそのためには必要であります。先ほどからお聞きしておりますと片桐議員の見識も相当なものであると思いますので、このモデルの作成に当たり大いに御意見を賜りたい、そんなふうに思っております。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 さて、先ほどから申し上げてまいりましたように、ことしは陸奥宗光没後120年に当たります。和歌山県として陸奥宗光シンポジウムの開催は決定しておりますが、偉人の功績を現代に伝えるための企画内容がとても大切なので、ぜひともその点を考慮して進めてほしいと思います。例えば、和歌山県全体に広めるため、和歌山市外での開催も考えられますし、リレーシンポジウム、こういった形で各市町村をめぐる、こういうことも検討できるのではないかなと思います。
 また、シンポジウム開催とともに、「県民の友」に陸奥宗光特集を継続して紹介することも偉人の功績を伝えるよい方法だと思いますので、特集記事の掲載の検討をお願いしたいと思います。
 県内には、これ以外にも陸奥宗光没後120年に関する動きがあります。昨年、和歌山市内で有志によって開催されたシンポジウムでは、外務省、文部科学省の協力を受け、両省から講師が来てくれました。今回も同団体がシンポジウムの開催を計画していて、「私の大先輩である陸奥宗光公」と話してくれている岸田外務大臣や松野文部科学大臣にもシンポジウムの案内をする予定と聞いております。
 和歌山市立博物館では、没後100周年記念に開催した陸奥宗光特別展を継承する企画として、大政奉還150周年の特別展が検討されているようですから、県も積極的に協力すべきだと思います。
 もう1つ、陸奥宗光の書籍についての動きです。平成27年度和歌山県文化功労賞を受賞された田辺市出身の作家、大路和子さんの「相思空しく─陸奥宗光の妻亮子」は、女性側から激動の明治時代を捉え、陸奥亮子の足跡をみずから全て取材してつくられたすばらしい長編小説だと思います。文化功労賞でもその小説を高く評価されての受賞でした。
 しかし、その小説を出版した会社はなくなり、大手の出版社に引き継がれたようですが、肝心な「相思空しく」は絶版となっております。これは余りにも惜しいことでありますが、この本を復刊させようという動きもあります。和歌山県が文化功労賞を贈った作家ですから、ぜひとも復刊させてほしいと思います。
 そこで、知事にお伺いしたいのですが、このようなさまざまな動きをどのように考えるか、和歌山県の協力も含めてお答えいただきたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 偉人の顕彰は、ふるさとへの愛着や誇りへとつながるものでありまして、継続的に取り組むことが重要であるという信念で、就任以来、偉人顕彰シンポジウムなどさまざまな事業を行ってまいりました。
 陸奥宗光につきましては、実は私が当選した最初の記者会見で、「知事として政治家として模範とする人はいますか」と聞かれましたときに「陸奥宗光かなあ」と答えたことを覚えておりまして、そういう意味では陸奥宗光を売り出す当県における私は先駆者と、密かに心の中で──といっても言ってしまいましたが──自負しております。
 そこで、陸奥宗光について、平成21年度の紀の国先人展や平成24年度の外務大臣就任120年を記念した東京と和歌山でのシンポジウムなど、機会あるごとに顕彰してきたところでございます。
 没後120年となる節目の年に、県においてもシンポジウムを開催するとともに、これにあわせて「県民の友」はもとより、テレビ、ラジオなどの媒体を通じて広報してまいりたい、いろいろ考えていきたいと思います。
 議員が言われるようなさまざまな動きがあることを承知しておりまして、それぞれにいいお話であると思いますけれども、みずから企画したものに後から足らず米を県や国から支援もらおうということであると、それはちょっと違うん違うかというふうに思います。各団体や個人の活動については、それぞれが熱い思いと責任感を持って取り組んでいただきたい、そんなふうに考えております。
 なお、和歌山市立博物館が企画する特別展の際には、県立博物館所蔵資料をお貸しするなど、できるだけ県市協力してやっていきたいというふうに思っております。
 いずれにしても、さまざまな形で陸奥宗光が顕彰されることにより、節目の年が盛り上がることを期待したいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、知事から答弁をいただきましたように、実は民間でもいろいろ盛り上がってるんですが、この民間団体の会長は実は立谷会長でございまして、国へも働きかけてますし、いろんな資料を集めていただいたり提供していただいたりしておりますんで、その会長の熱い思いもしっかりと受け取っていただきまして、県としても支えていただきたいというふうに思う次第であります。
 それ以外にも、今回、陸奥宗光を取り上げることを知ったたくさんの方から、意見や資料をいただいております。その中の1人の方の意見を取り上げたいと思います。
 「アメリカとの問題は、東芝でも原子力・インフラ関係にかかわった私の悩みの種になっています。昭和62年のココム違反事件でたたかれ、現在は原子力事業においてアメリカの関係会社で発生した巨額赤字の処理はいかに決着しますか。東芝府中事業所の研究棟に事態の好転を望む心ひとしおであります。大事なのは、過去の偉人の功績を後世に伝えていく努力だと考えます」と、和歌山県が陸奥宗光を大切に思い、私たちの行動、子供たちの教育につなげている姿勢をすばらしいと、東京からたたえてメッセージを送ってくれております。和歌山県が、苦境に陥っている方々の希望の光になっているのではないかと思い、うれしく思っております。
 そこで、明治維新150周年についてです。
 政府は、平成30年に明治維新から150年を迎えることを受け、「明治150年は我が国にとって大きな節目。明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは極めて重要だ」と発表したことから、皆さんの感心は高く、和歌山県は何をするのか問い合わせをいただいております。
 明治維新150年に関して、高知県の尾﨑知事、先ほど紹介もしたが、メッセージを発しております。「150年前に描いた国のありようは今も大きな指針であり続けている。当時の人の思いを学ぶことで、現在にも生きてくる教訓はたくさんあると思う。地方が多様性を持って元気になることが時代に対応できる国家の強さにもなる」と県民に対して明治維新150年に向けた考え方を語っています。
 平成28年9月定例会で、明治維新から150年の取り組みに和歌山県もかかわることを提案しております。知事は過去に「知事からのメッセージ」というメッセージを県民の皆さん宛てに宛てておりまして、「明治維新による近代国家のモデルは紀州藩にあったと言っても過言ではない」と、非常にかかわっているようなことを発言されておりますので、明治維新150周年に向けて知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 明治維新150年に向けて思うことは、多くの先人を初め和歌山県民が一生懸命に頑張ってきた150年間であったということであります。
 まず、明治になりまして、紀州藩は陸奥宗光や津田出などによりまして、他藩に率先して四民平等、地租改正などの萌芽を含む兵制改革など藩政改革を断行しました。この改革は、それ以外は坂本龍馬など一部の人を除くとどうも明治近代国家のイメージがなかったんじゃないかという尊王攘夷派、こういう方々がイメージしていなかったような近代国家像を結果として明治政府に取り入れさせることに成功したというふうに思うわけであります。
 そういう意味で、この改革は近代国家を目指す明治政府のモデルとして、講学上の言葉で申しますと、近世の封建制から近代の中央集権国家への転換を少なくとも間接的にリードしたものであると私は思います。このことから、ちょっとおどかしの気持ちも踏まえて、明治維新は和歌山モデルだといって主張をしてるということでございます。
 また、そのほかの面におきましても、例えば産業界で申しますと、紀州藩がなくなりまして、それまでは紀州藩というのは大変な権威と力を持っていたわけでございますけれども、それがなくなったときに今度は民間の商工業者が奮起をして、それで繊維産業とか雑貨産業とか皮革産業などの軽工業を中心とするような産業革命が、日本全体で起こるわけですが、特に和歌山でそれが起こっていて、それが和歌山の繁栄につながっていったというふうに思いますし、その後でいいますと有機合成染料、これを由良浅次郎さんが日本で開発して、それを和歌山の産業に結びつけたり、さまざまな革新があったというふうに思います。
 学界におきましても、詳しく説明すると長くなるんですが、私学の雄、慶應とか早稲田も実は初めは和歌山だということでございまして、今、初めは和歌山だということを申し上げましたが、その初めは和歌山というように、困難なときに新機軸を打ち出して革新をしていく力というのが、和歌山県民には備わってるんじゃないかと思います。
 現代でも、多くのところで和歌山県出身の人が活躍しておられます。そういう方々、特に民間企業でトップに上り詰めたような人の話を聞いておりますと、順風満帆にそういうふうになったわけじゃなくて、危機のときに物すごく頑張って、それで危機を救って取り立てられたというような方が多いような気がいたします。苦しい中で海外に出ても、移民などの場で随分立派な人生を送っておられ、それからその中には例えば和田勇さんのように、1964年の東京オリンピック招致に大きく貢献した人もいると思います。
 こうした150年間にわたり一生懸命頑張ってきた和歌山県人の努力の足跡、あるいはその夢や志、そのようなものを学ぶことで県民も和歌山に対する誇りが湧き出てくるものと考えます。
 このため、「わかやま何でも帳」をつくりまして、これを学校で勉強してもらおうというような郷土教育に熱心に取り組むとともに、和歌山を顕彰するような偉人シンポジウムなどを毎年熱心に開いておりまして、そういう先人の業績を広く顕彰していくことによって和歌山県民の誇りを世に問おうと、こういうふうに考えているところでございます。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事の答弁に最後のくだりでお答えいただきましたように、人を動かすほどの熱い言葉と行動力、シンポジウムを含めた行動力を持つことが、人に感動を与え、和歌山に呼び込めること、あるいは誇りを持つことにつながると思いますので、企画内容等、非常に期待しておりますので、しっかりと実現、実施していただけたらと思います。
 次に、「偉人を教育に生かす」です。
 これまで何度か和歌山県内の中学校の修学旅行先として外務省を選定したらどうか、こういう提言をしてきました。その結果、平成28年は加太中学校が訪問してくれました。ことしも加太中学校が修学旅行で外務省を訪ねてくれる、このように聞いておりますが、それ以外にも県内の複数の中学校が同省を訪れる計画を立ててくれているようです。
 検討している学校の1つとして県立桐蔭中学校があるので、訪問してきました。この学校では、生徒の自主性を高める社会活動を実践していて、3年生には修学旅行の中の1日を生徒が行きたいと思っているところを選ばせる、これを義務づけております。その中に外務省を修学旅行先と考えているグループがありますが、それは日ごろから郷土の偉人に接する機会を設けていることも要因となっております。
 その1つとして、桐蔭中学・高校をつなぐ廊下にはモニターが設置されていて、そのコンテンツの1つとして陸奥宗光を紹介する映像があること、2つ目、図書室にはキャリア教育推薦図書コーナー、それから郷土の偉人に関する本をそろえております。ここには津本陽氏の「叛骨」も置かれています。このように、日常から郷土の偉人に触れる機会を設けることで、生徒が修学旅行先として外務省に行ってみたい、こういうふうに思えるような仕組みがありました。
 ところで、外務省には、和歌山市出身で外務省北米局北米第一課長の和田幸浩さんがおります。昨年、和歌山市内で有志によって開催されたシンポジウムでは、今、日本が世界のリーダーとして存在するのは陸奥宗光のおかげだと、その功績をたたえてくれました。和歌山市出身の先輩が外務省にいるのですから、場合によっては生徒が和田課長から直接話を聞く機会があるかもわかりません。
 桐蔭中学と同じように、全てとは言いませんが、ほかの中学校の修学旅行先として外務省の訪問を検討すべきだと考えますが、郷土の誇りを持たせるような教育方針を志向している教育委員会として、これからどんな働きかけをしていくのでしょうか。教育長の答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 修学旅行は、各学校においてふるさと教育や平和学習、国際理解教育、文化学習等のテーマを設定し、そのテーマに合った訪問先を計画に取り入れ実施してございます。ふるさと教育の一環として、郷土の先人の足跡を訪ねたり、その功績を調べたりする学習活動を取り入れている学校もございます。議員からお話しの桐蔭中学につきましては、キャリア教育の視点からも実施したものであり、私が校長の時代には官庁街の案内役を務めたこともございます。
 次期学習指導要領では、改訂の基本的な考え方の中に体験活動の重視が明確に示されており、自然の中での集団宿泊活動や職場体験、ボランティア等の体験活動が引き続き重視されております。そのような中、修学旅行でふるさと教育の一環として陸奥宗光像のある外務省やふるさと和歌山にゆかりのある史跡等を訪問することは、有意義な体験活動の機会だと考えてございます。
 このような意義については、先日開催いたしました公立小中学校長会において私から全校長に伝えたところですが、今後とも市町村教育長会議や指導事務担当者会議等さまざまな機会を通して、修学旅行における訪問先の選定も含め、体験活動を重視させるよう市町村教育委員会とともに進めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、昨年、陸奥宗光シンポジウムに参画して文部科学省や教育者の陸奥宗光の教育に生かす講演などを聞いて、公立中学校に対しての郷土の偉人教育にどう生かそうとしているのか、教育長にお尋ねします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 陸奥宗光シンポジウムにつきましては、県教育委員会からも出席しており、陸奥宗光の数々の功績を改めて聞き、その時代に果たした役割のすばらしさや、時代を超えて学ぶべきことがあることを再認識したと参加者からも聞いてございます。
 県教育委員会では、ふるさと和歌山の先人について学ぶことはふるさと教育の重要な柱の1つであり、ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」に陸奥宗光を初めとした和歌山ゆかりの先人を掲載してございます。この副読本は、みずから学習できるよう中学生一人一人に配付しております。
 また、本年は陸奥宗光没後120周年であり、この機会を捉え、陸奥宗光を含む先人を紹介する学習資料を作成してまいります。
 今後も、ふるさと教育を推進し、児童生徒がふるさと和歌山について学ぶことを通して、ふるさとを誇りに思う心情を育ててまいります。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 自国の近現代史を学ばず卒業する生徒は少なくなく、ことし2月21日に配信されました「わかやま通信」に知事の体験が記されておりました。「郷土の事を何も教えなかった当時の教育委員会を、どうして子供達にこの和歌山の素晴らしさを教えなかったか、と恨んでいます」。知事と同じような考え方の方はたくさんいるのではないかと思います。
 特に、郷土の歴史の中で、陸奥宗光のように現在の日本の基礎をつくったと言われる人物を輩出しており、近現代史において本県の果たした役割は大きいと感じています。
 しかし、今日までの歴史教育は、歴史の前半部分に時間をかけ、近現代に入るところで授業時間がなくなり、近現代史をしっかり学ぶ機会はほとんどありませんでした。自国の近現代史を学ばないで卒業する生徒がいることもあり、近現代史の知識定着状況が低いことが課題となっております。
 こうしたことから、中教審が答申した次期学習指導要領では、高校科目において、世界史と日本史を融合させた「歴史総合」が新設され、これまで重要視されてこなかった近現代史を見直すことになります。先ほど、近現代史をしっかり学ばなかった生徒が少なくないと申し上げましたが、現在の高等学校の教員も同様であろうかと思います。郷土の偉人を活用した教育を行うに当たっては、歴史教科にかかわる教師だけではなく、高校教師としてほかの教科の教師にも「歴史総合」が導入されるに至った今回の趣旨を踏まえて生徒への授業に臨むべきだと思いますが、教育長の考え方をお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 次期高等学校学習指導要領の歴史分野については、これまでの世界史必履修を見直し、世界とその中における日本を広く相互的な視野から捉えて、現代的な諸課題の形成にかかわる近現代の歴史を考察する「歴史総合」という科目が、全員が学ぶ必履修科目として設定されます。
 今後、「歴史総合」において近現代史を考察する際、これまで以上に地域の歴史や文化等を学ぶ機会が多くなると考えられます。まず、地理歴史科の教員が、郷土の偉人、先人から学ぶという視点を持って指導に当たるとともに、他の教科等においても地域の学習資源を活用した学習を実施する場合は、こうした視点を持って指導をすることが大切であると考えます。
 高等学校新学習指導要領は、平成34年度から年次進行で実施されるまでにその趣旨や狙い等について周知することとなっており、その中で全ての高等学校教員は、学習指導要領の全体像を把握し、各教科での指導に生かせるように準備するとともに、「歴史総合」を導入する意図についても認識しておく必要があると考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 続いて、学校図書館の充実についてであります。
 平成29年度予算案として、約315万円が計上されています。前年度が100万円ですから、学校図書館へ行って読書をしようという呼びかけが強化されたのかなというふうに思います。
 先日、元学校の先生と懇談する中で、現在、侍ジャパンの監督をしている小久保監督の話がありまして、「学生時代、彼はたくさん本を読んでいた。読書習慣のあるこの子は将来大成するだろうと思っていました」、こう聞かしてもらいました。読書習慣をつけるための施策をぜひ教育委員会としては推進していただきたいと思います。
 1つ目の質問です。
 公立学校図書館には、郷土の偉人に触れる図書として、津本陽の「叛骨」に限らず、偉人の図書は郷土の図書コーナーとして図書館に必要だと思います。特にことしは陸奥宗光没後120年、大政奉還・明治維新150年にかかわる人物の特設コーナーを設けるなど、本の魅力に触れるような、語れるような展示の仕組みが必要だと思いますが、教育長の答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校図書館は、子供の想像力や豊かな心を育むとともに、調べ学習などの自発的な学習活動を行う重要な場でございます。
 また、読書と学力の相関関係から、確かな学力を定着させるためには、読書を勧め、学習に生かすことができるよう、学校図書館を充実させる必要があると考えてございます。
 県内の学校には、図書館担当者や学校司書を中心に、郷土や季節、学習内容に応じた掲示をしたり、歴史的イベントに合わせたコーナーを設置したりするなど、子供の読書意欲を喚起し、学習に生かす工夫をしている図書館が多くございます。
 県教育委員会では、これまでも和歌山教育実践研究大会や管理職研修会、あるいは学校司書研修会などにおいて研修を深めるとともに、すぐれた取り組みを普及してまいりました。来年度は、新たな取り組みとして、県内全ての公立小中学校の図書館担当者を対象に、図書館資料の整備のあり方や図書の並べ方の工夫などについても研修を行う予定であり、魅力ある学校図書館づくりを進めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、教育長がお答えいただきましたが、全ての公立中学校と学校の図書館に図書司書を配置して図書の利用を促すということをしてほしいと思うんですけど、現実は、高校はよいとして、小中学校の図書司書の配置はおくれているように思います。平成24年度ゼロ校、全国最下位。平成28年度は小学校78校で32.1%、中学校33校で27%となり、配置は進んでいるものの、全国平均と比較しておくれている状況であります。読書習慣を身につけるよう学校図書館を充実させることは大切だと思いますので、この図書館を充実させるための取り組みについて、教育長の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、学校図書館を充実させるために、市町村教育委員会に学校司書の配置を働きかけるとともに、今後、これまで以上に保護者や地域のボランティアの方々の協力を得ながら、県内全ての学校図書館が、昼休みなど、子供が図書館を利用したいときに開館している体制づくりを目指すこととしてございます。
 また、各学校の図書館担当者を対象に、学校図書館の望ましいあり方や読書活動を推進する取り組みについての研修会やボランティアの資質向上のための研修会を行う予定です。
 「さあ、本を読もう、図書館へ行こう」を合い言葉に、学校、家庭、地域が連携して地域ぐるみで児童生徒の読書活動を充実させたいと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 次の項目に入ります。子供の貧困対策の推進についてです。
 貧困の世代間連鎖を断ち切るため、子供の貧困対策はとても重要な課題だと認識しております。和歌山県内の子供の貧困家庭の現状はどう捉えているか、また、子供食堂、子供カフェがふえ始めていますが、これらの取り組みへの支援はどう考えていますか、福祉保健部長の答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 子供食堂についてですが、帰宅しても1人で過ごさなければならないなど、経済的な状況も含め、さまざまな事情で寂しさを抱える子供たちに、大勢で食卓を囲み、温かい食事の提供などを行う民間団体の取り組みを支援するため、県の平成28年度からの新規施策として和歌山こども食堂支援事業を創設したところです。
 今年度の募集には6団体からの応募があり、少しずつではありますが、県内での取り組みが広がっているものと考えています。平成29年度においても継続して支援事業を予定しており、今後のさらなる広がりを期待しているところです。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 そんな子供カフェの事業者に聞いてみますと、子供カフェを必要としている子供を見つけることが難しいという意見がありました。行政に相談してもわからないので、子供カフェ、子供食堂を必要としている家庭や子供への案内や情報発信が難しいということです。補助制度とともに、必要としている人への案内ができる仕組みが必要だと思いますので、福祉保健部長の答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 子供食堂の取り組みを行っている団体の状況を見ると、活動を始めたきっかけ、対象とする子供や家庭はまさにさまざまです。それぞれの思いを持って、地域の中で課題や需要に応えようと活動に取り組んでおられると思います。
 行政の役割としては、その思いを生かしながらどのように活動を支えていけるのかということですが、議員お話しのように、支援を必要とする人に子供食堂の活動情報を伝えていくことも大変重要なことであると考えています。
 県としましては、今後、関係団体との連携の場を設けたり、開設の状況など必要な情報が周知できるよう取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 さて、経済格差が学力格差につながっている現状を鑑みて、公民館などを活用した学習機会と交流機会をつくることに対して支援を考えてくれております。特に、ひとり親世帯など生活困窮家庭は、子供の宿題を保護者が十分点検する余裕がなかったり、塾などへ行く学習機会に恵まれていないため塾に行けなかったり、不登校や不登校ぎみになり学習頻度が下がってしまう子供も多いように聞いています。そのため、高校に進学できない、または進学しても高校中退となることで就職に不利になることや、自己の知識と精神が練れていないことから、安定した仕事の選択ができないため低所得となり、貧困が連鎖してしまっています。
 地域において、子供の貧困や貧困の連鎖に問題意識を持っている人は多くいますが、学習に関するノウハウがないため、単発の支援となることが多くなっています。和歌山県が子供の貧困対策として学習習慣確立のために資することを政策として掲げてくれることは、先進的な取り組みであり、制度の実効性を高めることが重要だと考えています。
 ところで、民間の方々が独立行政法人福祉医療機構の助成金で和歌山市内で3カ所、新宮市内で1カ所、児童館を活用して子供たちに学習指導を行ってくれております。1カ所当たり約30人の参加があるので、4カ所の合計は100人から120人の実績、また、1カ所当たり1週間で2回学習指導をしていますから1カ月で8回、年間で100回実施していることになります。その結果、多くの生徒の成績が向上していると、この取り組みの成果を聞かせてもらいました。
 新宮市では、平成27年度以前から児童館に教育委員会の職員さんが学習指導に入っていたようですが、平成28年度から民間の人が学習指導を担ってくれています。民間のノウハウを導入したことが成績の向上にもつながっているかもしれません。最終的には地域の自主運営によって子供たちの学習指導ができるようになることが理想ですが、いきなりそこに到達することはあり得ませんから、まず民間のノウハウを導入して実施することが、この制度、施策の大切なポイントだというふうに思っております。
 経済環境によって学習機会に恵まれていない子供たちに対する学習指導の機会を県内に広めることを目指すための取り組みとして、公民館などを活用した学習支援の具体的な取り組みも含めて、教育長から答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、今年度から放課後等に1人で過ごさなければならない子供を含む主に小学校4年生から6年生の子供を対象に、学校の空き教室や公民館等を活用し、地域の方々の協力を得て学習支援や大人との交流活動を行う子供の居場所づくり事業を実施してございます。
 今年度は23市町59カ所で開設し、週1回から2回程度実施されているところが多くなってございます。各市町では、地域の実情に応じ、宿題や指導員の手づくり教材による学習支援や地域の方々との交流を行っています。成果として、家で毎日決まった時間に学習をするようになった、宿題以外の勉強にも取り組む姿勢が出てきた、字を丁寧に書くようになったなど、学習習慣の定着やコミュニケーション力の向上につながっているとの報告を受けております。
 また、子どもの居場所づくり指導員を対象に活動内容の交流やスキルアップのための研修会を実施しており、今後も学習面では、県が作成いたしました問題集等の活用や民間教育事業者のノウハウ等を紹介してまいります。さらに、遊びや調理などの体験活動を通して大人と子供がコミュニケーションを図れるよう、より一層指導員の指導力向上に努めてまいります。
 来年度は、さらに多くの市町村において子供の居場所づくりを開設することを予定しており、県教育委員会といたしましても、より多くの子供に対して学習機会や交流の場を提供できるよう支援してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今回、子供の貧困問題を取り上げること、それから、県のほうから、福祉保健部から和歌山県子供の貧困対策推進計画、こういった案というのもいただきまして思ったことがありまして、実はこの「子供の貧困」という表現について違和感を覚えるとともに、この表現がいいのかという意見をたくさんいただいております。国の政策としての表現ですが、「貧困」と表現される対象となる子供、家庭の心情を思うと、この表現はどうかなというふうに思います。この表現は心が余りないような感じもするので、心ある表現にできないか、温かいものにできないのかな、考えてほしいと思いますので、これ要望しておきたいと思います。
 最後、障害者の就労支援についてであります。
 実は、この制度の対象者は、ほぼ無料で就労支援を受けることができ、最長2年間通うことができます。就労支援事業者には各市町村から訓練等給付費と言われる運営費を受けられるかわりに、就労支援の期間を終えた人を就職させることが求められています。就労支援事業者は、訓練を終えた後に就労できるよう、実のある内容に仕上げ、就職先の確保のために尽力をしてくれています。
 ここで問題があります。就労支援の通所費用はほぼ無料なのですが、交通費が支給されないことです。最長2年間の訓練を受けるための交通費を負担できないため、この機会を逃している障害者の方も多いようです。この点に関して、和歌山県内では、海南市、有田市、御坊市、田辺市、新宮市などが障害者就労支援事業所に通所する場合に、交通費の一部負担をする支援制度を設けています。交通費の支出には上限があるのですが、就労支援を促すよい制度だと思います。就労支援に通う障害者のため、交通費負担は必要な支援だと思いますが、ほかの市町村でも制度化するためには、和歌山県の強いリーダーシップが必要だと思います。
 既に交通費の一部負担制度を設けている市町村もありますが、この制度を利用したいと思っている障害者のために、交通費一部負担制度を残りの全ての市町村で設けてほしいと思いますが、福祉保健部長のお考えをお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 障害のある人が事業所へ通所し、訓練を受けることは、自立や社会参加を図る上で大変重要であると考えております。
 障害のある人が就労移行支援事業所を利用する際、サービスを提供する事業所が必要に応じて送迎を行っております。しかしながら、中には公共交通機関を利用して事業所に通所している方もおられます。そうした方に対しては、議員の御質問にありましたように、負担を軽減するため市町村が補助を行っており、現在、20市町で交通費の一部について補助が行われているところです。
 県としましては、交通費を支援することは就労して自立する上で意義のあるものと考えておりますので、地域の特性や利用者ニーズに応じ柔軟に対応されるよう、未実施の市町村に対し働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 福祉保健部長からお答えいただきましたんで、ここの問題で、就労移行支援事業所が送迎してくれる、この場合の補助制度というのが実はあるんですけども、就労移行支援事業所の方々は、障害者の方は2年間、研修、訓練をしっかりします。ただ、訓練の中には、自分で自宅から公共交通機関を利用して通う、この取り組みを行っているところがあります。
 なぜかといいますと、実際企業へ将来就職するわけですから、自分で自宅から企業なり事業所なりへ通う必要が出てくるわけです。まさか企業が自宅まで車で迎えに行って送り迎えして、こんなことあり得ませんから、訓練の1つとして自分で公共交通機関を使って通所する、この必要があるわけです。
 その期間が例えば卒業前の、訓練終了前の3カ月から半年だとすると、その間の負担というのが障害者の家庭にとっては負担になる、そこでくじけるというんでしょうか、最後まで全うできない、こういうケースも出てきますので、ぜひ各市─未実施の市にもちょっと問い合わせをしたんですが、送迎があるから要らないんだよみたいな趣旨のことをおっしゃってるんですが、社会参画を目指すためにも必要な制度だと思いますので、未実施の市町に対してぜひ県から強く働きかけることを要望させていただきまして、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時43分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(服部 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 14番尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕(拍手)
○尾﨑太郎君 議長の許可を得ましたので、一般質問をいたします。
 昨年は、英国のEU離脱の決定、米国のトランプ氏の当選という番狂わせがありました。番狂わせだと騒いだのは、専門家と呼ばれる人たちのバイアスのかかったコメントをマスコミが垂れ流した結果なのか、選挙は水もの、もともとそういうものなのか。恐らくはその両方なのでしょうが、最近の中東アフリカ7カ国に対するトランプ大統領の入国制限措置の大統領令に対する報道を見れば、これは本日の朝刊によればイラクを除いた新たなものが出るとのことですが、やはり考えさせられるものがあります。
 おおむねこの大統領令について我が国マスコミは否定的な論調ですが、米国での世論調査では、大統領令に賛成が反対を上回っています。英国と米国、2大グローバリズム、新自由主義の信奉者にて推進者であった両国で、国民が選挙を通じて行き過ぎたグローバリズムに対してブレーキをかけることになったのです。
 しかし、かの国の国民の声も偏りなく報道してくれなければ、一方の陣営の声だけを聞くことになります。バランスのとれた報道がなければ、グローバリズム、新自由主義の限界について日本国民の考える機会が失われてしまうのではないかと危惧します。手放しでグローバリズムを礼賛するときは過ぎ、再び強く国境を意識する時代に入ったと言えるのではないでしょうか。この400~500年にわたり世界文明を牽引してきたアングロサクソンの潮流の変化を見逃してはなりません。
 さて、新聞報道によりますと、日高の老健施設で3億円もの介護報酬の不正請求が発覚いたしました。不正請求額としては全国を見ても例がないほど巨額であり、またこの施設では虐待も行われていたとのことですから、取り消し処分とならなかったことには納得しがたいものがあります。この問題につきましては、常任委員会においてただしてまいりたいと存じます。
 ここであえて申し上げておきたいのは、この老健施設の不正が県の監査で発覚したものではなく、内部通報によるものであったということであります。これほどの不正を県の監査が見逃してしまっていたということについては、県監査のあり方、手法を検討し、今後の教訓とすべきですが、もし通報がなければ巨額の不正請求、虐待は放置されていたわけであり、この種の通報の有用性は疑うべくもありません。
 ただ、残念なことに、この通報をもたらしてくれた方は当該施設を退職なさったようです。退職に至った理由は存じておりませんが、公益通報を行ったゆえのことであるとしたらゆゆしき事態と言わねばなりません。
 平成16年に公益通報者保護法が制定され、これを受けて平成17年には関係省庁申し合わせ、国の行政機関の通報処理ガイドラインが作成されております。ガイドラインの目的は、公益通報者の保護を図り、事業者の法令遵守を推進することとされており、通報処理のあり方として、各行政機関は、通報処理の仕組みについて内部規定を作成し、公表することとされています。
 また、秘密保持及び個人情報保護の徹底、利益相反関係の排除の点から、当然、通報または相談の処理に関与した者は通報または相談に関する秘密を漏らしてはならないとされ、各行政機関の職員はみずから関係する通報事案の処理に関与してはならないとなっています。通報の処理については、通報者の秘密は保持されること及び個人情報は保護されることを通報者に対し説明する、当該行政機関が権限を有しないときは権限を有する行政機関を通報者に対し遅滞なく教示する、通報がなされた後、これを法に基づく公益通報として受理したときは受理した旨を、受理しないときは受理しない旨または情報提供として受け付ける旨を、通報者に対し遅滞なく通知しなければならないとしております。
 調査の実施については、調査中には調査の進捗状況について通報者に対し適宜通知するとともに、調査結果は可及的速やかに取りまとめ、その結果を遅滞なく通知するように努めるとされており、調査結果に基づく措置を実施したときには、その内容を通報者に遅滞なく通知するよう努めるものとし、また、各行政機関は通報の受理から終了までの標準処理期間を定め、または必要と見込まれる期間を通報者に対し遅滞なく通知するよう努めると定めております。
 よくできたガイドラインであり、各行政機関は当然このガイドラインに沿って事務を進めるべきですが、本県においては適切に本ガイドラインに基づいた処理がなされているのでしょうか。
 平成18年、知事の認可法人、和歌山県職業能力開発協会と職業訓練法人和歌山技能訓練協会の2団体が、97年から2000年にかけて、県からの補助金と中央職業能力開発協会からの委託金、計778万円を不正受給していたことが発覚しました。県はこの件に関し、私的流用が認められず、加算金を含めて全額が返還されていることを理由に、刑事告発はおろか業務停止などの処分すら行われず、文書での厳重注意で済ましております。この不正受給の発覚もまた、知事へのメールでの通報がきっかけとなっています。
 残念ながら、この職員もまた、その後さまざまなハラスメントを受けることになりますが、事件発覚の後、経理から配置がえさせられた部署においても、協会の法令遵守の徹底を図るべく孤軍奮闘します。しかし、この職員へのハラスメントはエスカレートし、ついに平成25年には突如退職を勧告されます。この勧告は、威圧的な言動と理不尽な理由をもとに行われており、法令違反の疑いが濃厚であり、少なくとも極めて不適切なものであると言えます。この意思決定は協会内でどのように行われたのか。理事会で諮られた様子がないところを見れば会長の独断であったのか。会長は非常勤であり事務を詳細に把握していたとは到底思えないことを勘案すれば、会長の責任は免れないにせよ、会長をそそのかした職員がいるのではないかと推察されます。
 退職勧告を受けた職員の日ごろの真摯な業務遂行を知る協会の複数の会員は、この職員の雇用を守るべく、嘆願書を協会に提出しています。複数の嘆願書によれば、この職員は会員にとって必要であるとの認識で一致しており、この職員が有能であることをうかがわせます。そもそも、退職を勧告するには、その勧告を職員が受け入れる必要がないことを前もって伝えなければなりません。この職員が不当な圧力にさらされ、退職を余儀なくされる寸前まで苦しんでいるのを見たからこそ、協会員は嘆願書を提出したのでありましょう。
 ちなみに、協会副会長は、この職員が解雇を受け入れていないにもかかわらず、本人が解雇を受け入れたとのうその証言をしたと嘆願書で指摘されています。
 ところで、改めて平成18年に発覚した不正受給事件を振り返ってみますと、幾つか不可解な点が浮かび上がってきます。加算金を含め1334万円にも上る返還金を誰が負担したのか。県によりますと、協会の職員3人で負担したとのことですが、1人当たり400万円以上にもなる負担を協会はなぜ職員だけにさせたのか。私的流用がないはずなのに、職員はなぜ甘んじて自分たちだけで返還することに応じたのか。
 和歌山県職業能力開発協会規約の第11条には、理事は、協会の業務運営に関し、連帯してその責任を負うとあります。理事長を初め理事の誰ひとりとして返還金を負担していないのは、どう考えてもおかしい。また、このような処理をなぜ県は是認したのか、不可解でありますが、自分たちだけで返還しなければならなかった職員は、内部通報者を恨んだとしても不思議はありますまい。
 理事とは名ばかり、この協会の理事たちはもともと重大な責任を負っているなどとは思っておらず、当事者意識など全くないと断言せざるを得ません。しかしながら、この団体は、厚生労働大臣の委任を受けた和歌山県にかわって国家試験を実施する団体なのです。このようなガバナンスでよいわけはありません。
 理事会が有効に機能しない結果、協会の運営は特定の職員が会長の袞竜の袖に隠れてこれを専横し、不適切な事務が行われているのではないでしょうか。これに異を唱える者はさまざまな圧力をかけて排除しようとかかっているのではないか、そんな構造が私の目には透けて見えてくるのです。
 くだんの職員は、会員からの嘆願が功を奏したのか、このときは何とか退職に追い込まれることは避けられました。ちなみに、経理であったこの職員とタッグを組んで委託金不正受給を指摘することに貢献することになる県職OBである当時の事務局長は、協会内職員とのあつれきがもとで会長に休職を勧告され、その後、辞職しています。
 この職員は、その後、体調を崩しながらも懸命に職務を遂行していましたが、傷病休暇を経て出勤した昨年の6月13日に、まさにその日に休職を命じられます。辞令には「休職を命じる。休職期間は追って通知する。休職期間の給与は100分の80を支給する」とだけ記載されています。協会の事務局長は、病気で休んでいるようにするため診断書をもらってくるように指示し、診断書の代金は払ってやると発言しています。職員は6月20日付の診断書を提出していますが、それには「現在、ぜんそくコントロール状態は安定しており、予防薬吸入を行いながら通常の就業が可能である」と記されております。
 また、休職期間については、「平成27年度後期技能検定型枠施工職種型枠工事作業の採点用紙並びに得点表の書き直しに係る事実確認、発生原因等が解明されるまでの間とする」との文書が別に発出されております。しかし、県担当課によればこの職員の不正は確認されなかったとのことであり、早急に休職命令を取り下げるべきところでありますが、いまだなされておりません。そもそも、仮に何らかの問題があるにせよ、処分を科す前に休職を命じること自体、極めて不適切であります。協会は、よほどこの職員に出勤されては困ると見えます。
 この職員は、経理を外された後は検定試験の担当となっており、職業能力開発協会の主な事業である技能検定試験の実施について不適切な事務があれば、その都度、持ち前の熱心さで指摘していました。強い正義感の持ち主ですから、なあなあで済ませたい人たちにとっては邪魔な存在であったはずです。
 技能検定試験とは、職業能力開発促進法において定められた技能士を認定するための試験です。それぞれの職種で等級に応じ、3級、2級は都道府県知事から、1級は厚生労働大臣から合格証書が交付されます。厚生労働省に確認したところによりますと、技能士は国家資格とのことであります。本県においても県内入札参加審査において加点の対象となっており、近年では下請業者は受注の条件として技能士を求められるなど、技能士の社会的地位は高まりつつあります。それだけに、どうにかして、たとえ不正な手段を用いても合格したい、させたいと考えるやからが出てくることは容易に推察されます。であればこそ、国家試験たる技能検定試験は、厳正な手続に従い公正に実施されるべきであることは言うまでもありません。
 職業能力開発促進法は、第89条において、「都道府県協会が行う技能検定試験に関する業務に従事する都道府県協会の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす」と定めております。そして、技能検定員もまた職員と解釈されますので、公務に従事する者なのです。残念ながら、私の調査では、本県における技能検定試験の中にはずさんかつ不適切きわまるものが散見されると言わざるを得ません。
 平成28年10月28日、和歌山県職業能力開発協会において理事会が開催されております。ここでは、平成28年度前期技能検定試験における防水施工職種において、実技試験前日に開催された講習会に技能検定委員が参加していた件が議題となっています。技能検定委員は、実技試験審査のための審査基準を知り得る立場であり、実際に審査するわけですから、当然、事前の講習会に参加することは不適切であります。例えば、面接試験において採用基準を知る審査員が事前の講習会に参加していたとすればどうでしょうか。そのような試験は、公平・公正な試験であるとは言えないとするのが国民、県民の常識というものでありましょう。
 理事会では、冒頭、協会事務局長から次のような発言がありました。正確を期すため、議事録からそのまま引用します。
 「この事前講習会は補佐員さんが運営を行っていましたが、技能検定委員が翌日の実技試験実施準備のために会場に来ておりました。技能検定委員は、各種団体や事業所等が実施する技能検定試験に係る事前講習会の講師をしてはならないことや秘密の保持について充分理解はしておりましたが、認識が甘く、事前講習会が行われる会場に同席したという事案でございます」。
 要するに、この事務局長は、検定委員は事前講習会の会場に来ていたが、ただぼうっと突っ立っていただけで、運営は補佐員が行っていたので、認識の甘さを指摘するぐらいでよいのではないかと言いたいのです。そのような話をうのみにする者がいるとは信じられませんが、果たして、理事会でも納得できない旨の発言が相次いでいます。
 この問題が発覚した経緯について、協会事務局長は次のように発言しています。これも議事録からそのまま引用いたします。
 「ある方から、防水施工職種の講習会において、検定委員さんが参加しているという、写真、カメラ、あっ動画かと思いますが、それを見せられました。それに基づいて私の方で、防水組合さん、事務局のほうに電話を入れて、一度お越しくださいと、ちょっと至急にお話しを聞きたいということで、来ていただきました。来ていただいて、講習会に検定委員さんが出席されているという情報を得ましたので、その辺のところを正直にお話しくださいということで、その講習会の場に検定委員さん、その建物の中に検定委員さんはいましたということを聞きましたので、それを県に報告しました」。
 私もこの動画を見ましたが、検定委員とおぼしき人が講習会で指導しているところが映っていました。動画には補佐員も映っていましたが、おおむね補佐員はポロシャツ、検定委員はカッターシャツを着ているようです。これは本来、検定委員は補佐員に指図をするのが常であり、実際作業をするのは補佐員であるからでありましょう。いずれにせよ、単に事前講習会が行われている会場に同席したということでないことは明らかであります。
 では、この事前講習会の主催者は誰なのでしょう。これは、和歌山県防水事業協同組合が主催しております。もちろん受講代を取っておりまして、私の手元にある資料によりますと、この検定の受検者は2名で13万1600円を防水事業協同組合に支払っています。これは、実技試験の検定料1万7900円と学科試験の検定料3100円を含むものなので、4万4800円が1人当たりの事前講習会の受講料ではないかと推察されます。
 協会事務局長は、「技能検定委員は実施試験準備のために会場に来ておりました」と発言しております。確かに、通常、検定の前日には検定委員は準備のため会場に出向きますが、それは検定の主催者である職業能力開発協会の要請であり、経費が協会より検定委員に支払われます。これはいずれの検定でもそうであり、防水施工職種についてもしかりであります。前日に準備のため検定委員が会場入りするのは、いわばルーチンなのです。
 防水事業協同組合が主催する講習会は、受講生の間ではトライアルと呼ばれ、常態化しておりました。1日で4万円を超える受講料は少なくない負担ですし、長年特に不満の声も聞かれなかったようですから、恐らくそれなりに検定を受ける人には価値ある講習だったのでありましょう。
 協会事務局長は、検定委員が指導している講習会の動画、写真を見た。大ごとになることを恐れた彼は、県には動画の件は伏せて、講習会へ検定委員が来ていたことだけを報告した。そして、事前準備のために来ていた検定委員が、つい講習会へ同席してしまったというストーリーをつくり上げた。このストーリーであれば、不適切ではあるが検定結果には影響がないということで、検定のやり直しという事務局長としては何としても阻止したい事態を回避しようとしたのでありましょう。
 大体、「その講習会の場に検定委員さん、その建物の中に検定委員さんはいましたということを聞きましたので、それを県に報告しました」などという報告に意味があるでしょうか。先ほど申し上げたように、検定前日、会場に検定委員に出向くように要請しているのは、ほかならぬこの協会事務局なのです。検定委員が会場にいたことは当初から明らかなのです。聞き取るべきことは、検定委員の講習会への関与の度合い、検定委員が教示していたか否かであるはずです。県への報告に動画の件が抜け落ちていることは、意図的であると言わざるを得ません。
 この問題について、県は聞き取り調査を県職員が行ったと言い、協会事務局長は自分が関係者を呼び出して事情を聞いて県に報告したと言う。協会事務局長は動画を見せられたと言い、県は動画は知らないと言う。10月28日の協会理事会議事録からは、このような説明を聞かされた出席者の困惑と憤りが伝わってきます。
 結局、この日の理事会は紛糾したまま終わります。これも議事録からそのまま引用します。「まあ会長、いずれにしても、この決着またね、再度理事会で報告ちゃんとせないかんと思いますわ」、「はい、わかりました」「それだけ確認して」、「はい」。会長は、理事会の開催を約束して会を閉じます。
 現在休職に追いやられている職員は、検定試験の担当者であります。この職員は、事前準備のために会場に来ていた検定委員に対して、常々講習会への立ち入りを厳しくいさめていたそうであります。防水事業協同組合としては、当然1人でも多くの検定合格者を出したい。そのための講習会であり、講習会ではできれば検定委員から有益なサジェスチョンがあればと考える可能性は十分にあります。また、実際にそのような危うい場面をこの職員は何度か目撃したからこそ、検定試験の厳格さを保つため、事あるごとに目を光らせ、指導してきたのです。
 配置がえさせられた部署で研さんを積み、協会員から協会内随一の検定のスペシャリストと認められるようになった人物を正当な理由なく休職に追い込んでいる間に問題は発生し、その職員が不在のままこの問題はふたをされようとしています。結局、約束した理事会を開くことなく、協会長は、昨年12月27日付で「平成28年度前期技能検定事前講習会開催事案における再発防止について(報告)」なる文書を商工観光労働部長に出しております。これで終わりにするつもりであったのでしょう。理事会は、現在に至るまで開催されておりません。全くあきれ果てた団体であります。
 この事案以外にも、実に多くの検定試験に関する不適切な事務、情報がもたらされております。その一部を御紹介申し上げますと、ある検定の現場では、不合格になることを正式な採点の前に受検生の雇用主に告げ、雇用主から懇願され、その場で再試験の検定料を受け取り、午後から再試験を行った協会職員がいるそうであります。また、塗装職種噴霧塗装作業における検定で、必要な課題を抜かして検定を行っていたことも判明しています。
 さらには、これは県も情報を得ているようですが、検定の現場で金品を受け取っている検定委員がいるとのこと。これらの情報は日時、場所、氏名等、具体的な内容を伴っており、信憑性は高く、早急に調査すべきものであります。まるで、検定を所管する有能な職員が不在である間隙をつき、検定の不正が横行しているかのように見えます。
 以上、現在、和歌山県職業能力開発協会は極めて重大な問題を抱えております。理事の皆様におかれましては、御自身の職責をよく認識され、直ちに理事会を開催し、問題の処理に当たっていただきますよう強く要請をいたします。自浄作用が全く働かない団体であれば、もはや本県の技能検定試験を請け負う団体としてふさわしくないと判断せざるを得ません。
 そこで、まず知事には公益通報制度についてどのようにお考えなのか、お尋ねをいたします。
○副議長(服部 一君) ただいまの尾﨑太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員のお話にありましたことは大問題でありまして、県においても調査をしているところであります。議員御指摘のお話しされた内容については、これまでの調査で全てオーソライズされる内容というわけではございませんけれども、御指摘のように、今までの県の対応が十分とは決して言えません。
 そこで、改めて問題があるんじゃないかという前提で調査をもう一度行い、事実を明らかにしていきたいと考えております。
 さて、公益通報でございますけれども、国民生活の安心・安全を損なう民間事業者の不祥事が、事業者内部からの通報を契機に相次いで明らかになってまいりました。こうした状況を踏まえ、通報した労働者が解雇等の不利益な取り扱いを受けないように、平成18年4月に公益通報者保護法が施行され、公益通報に関する保護制度が整備されました。法律の趣旨からも当然のことでありますけれども、公益通報者が通報を理由として不利益な取り扱いを受けることは、断じて許されるわけではありません。
 県は、国が定めたガイドラインに基づき、労働者からの通報に対する通報窓口及び通報への対応方法などを定めた要綱を作成して、適切に対応できる体制を整備しております。
 私は、就任以来、県政ポストなどに来た投書、通報には全て目を通しております。全てが今申し上げました公益通報の場合に当たるわけではありませんけれども、どんなに県庁職員の批判をその投書がしていても、職員はそれを私に対して反証してもいいけれども、投書者に意趣返しをしたらそのことだけで処罰するという注意をしています。これは、徹底されていると思っております。
 平成18年の不適正受給に係る知事へのメールは、私の就任前のもので私は見ていませんでしたけれども、物の道理としては以上のとおりでございますし、それから公益通報に該当することから、通報者の権利が侵害されてはならないというのが当然であります。
 平成25年の整理解雇も今回の休職処分も、平成18年の通報とは関係がないとこれまでの調査で我が職員が協会から聞いておりますけれども、他の問題ともあわせて公益通報者の権利が侵害されるような事実がなかったかについて、改めて調べるように指示を出したところであります。
○副議長(服部 一君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 公益通報について、知事のお考え、賜りました。もう一度、一遍調べるということでありましたが、そのお答えは非常にありがたいお答えでありますけれども、県庁の中では、確かに公益通報者に意趣返しするようなことをすれば知事は目を光らせてらっしゃるというのはわかるんですが、例えばこういう協会の中でそういうことがあった場合、協会の中においてどんな扱いがされてたというのは、ちょっと知事の目が届きにくいと思うんです。だけれども、このガイドラインにもありますように、やっぱりこういうことを調べるのはその関係者が調べたらちょっとよくないから、協会に聞いて「そんなことやってません」と言うて「そうか」というような報告ではなしに、やっぱりちょっとちゃんと客観的に調査をしてもらいたいなと、これは要望しておきます。
 そこで、とりあえず今、知事もよくないと言っていただいたんですが、今、休職に追い込まれてる職員があるわけですよね。この現在休職に追い込まれている職業能力開発協会の職員の早急な職場復帰に向けて環境を整備していく必要があると思いますが、商工観光労働部長の見解をお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 職業能力開発協会が平成28年6月13日に当該協会職員に対して行った休職処分は、協会の職員就業規程に基づかない不当な処分であります。そのため、県としましては、速やかな処分取り消しと職場復帰を図るよう協会へ指導を行ってきたところです。
 協会は、平成28年10月20日に当該休職処分を6月13日にさかのぼって自宅待機に変更し、給与差額を支給することを決定しました。その旨を説明するため電話や出勤を求める内容証明郵便等を送付しておりますが、現在まで出勤に至っていない状況です。
 一日も早く職員が復帰できるよう、休職処分を取り消す書面の交付とともに、適切な意思疎通ができる職場環境を整備するよう協会に指導してまいります。
○副議長(服部 一君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 指導してるけど、あんまり言うこと聞かんということなんでしょ、今のお話は。やってくれてるみたいです、県は、これはよくないと。だけれども、協会は何かのらりくらりと、自宅待機に変更して給与差額を支給することを決定とかいって、本質とずれてるんですよ、そんなことは。まずすべきことは、出した休職命令が適切でなかったから取り消しますということを通知しなければならない。そうしないと、今この職員と協会との間にもう大きな溝ができてしまってるんです。そら、会社へ行ってて突然、「もうあしたから来いでええわ」と言われたら「何や、これ」と思いますよ。まして、協会というのは大会社じゃありませんから、小ぢんまりしたとこですから、そこで精神的な圧迫を受けたことは容易に推察されるわけでありますよね。
 ですから、今の話を聞いて、県は確かに協会に指導してくれてるようでありますけれども、協会は自分の出した休職命令がそんなに悪いもんじゃないということを繕うために、とりあえず自宅待機に変更して給料をもとへ戻してますから、それでちょっと説明するために電話とかしていろいろ送ってるんですけど、いっこも連絡来ませんと。それはちょっと協会の体質を、今のお話は浮かび上がらせてくると思うんですよ。
 だから、やっぱり今に至るまでその指導に従ってないわけですから、何か別の方法でとにかく職場復帰させれるようにちょっと考えてもらいたいなと思います。またこの問題は後でちょっとかかわるとこもありますんで、もう一度そのときに知事にお聞きをいたしますが、次にまいります。
 和歌山県職業能力開発協会は、厚生労働大臣の委任を受けた都道府県にかわり、国家試験である技能検定試験を実施する団体としては、そのガバナンスに大きな問題があると言わざるを得ません。知事は、本県がその事務を委任している当該団体の現在のガバナンスについてどう思われておりますか、御見解をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 職業能力開発協会は、職業能力の開発や向上を促進するため、職業訓練や技能検定の実施を主な業務として法に基づいて各都道府県に設置された法人で、その認可は都道府県知事が行っております。協会は、技能検定の実施や技能者の育成という重要な役割を担っており、事務が適正に行われるよう役職員全員が責任を持って運営に取り組まなければならないというのが当然であります。
 そういう意味で、私は昨年末、本件の経緯を初めて聞いたのでございますけれども、それは問題だなあというような、問題だと思うようなガバナンスの欠如や、あるいは県の指導監督の不十分さがあると思いました。昨年末以来、徹底的に問題点を洗い直せという指示をしているところでございます。
 今回、休職処分の問題が発生し、また過去にも補助金の不正受給や整理解雇の問題があったことから、県としては協会の運営実態をこの際徹底的に調査し、誤りある部分を正すだけではなくて、正常な運営に復帰できるように組織の立て直しを図らなきゃいけない、そういうふうに思っております。
○副議長(服部 一君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 知事がそのような御認識をお持ちいただいてるということは非常に心強い限りでありまして、知事が先頭に立って今回の協会の正常化に向けて取り組んでいってもらいたい。
 しかし、知事がここへ委任してるんですからね。和歌山県が委任してるんだから。もうそんなもんあかんかったら、自分でその事務やってもええわけですよ、法律的には。厚生労働大臣が和歌山県、都道府県に委任している事務を、またそれをこの協会に委任してもいいと書いてるから、もうこんなもんあかんと思ったら、自分でやっても法理論上はいいのかもしれませんよね。だけど、実際はどうなのかわかりませんから、それは知事が強力なリーダーシップを発揮してこの協会を正常にして、検定事務という国家試験を行う事務ですから、一日も早く正常だと知事が太鼓判を押せるように改革をしていってもらいたいと思います。
 先ほど答弁の最初に、いろいろあるけど、また一から精査しますよという意味の答弁を知事がしてくれましたんで、ちょっと重複しますけど、この防水事業協同組合が主催した事前講習会についてはちょっと不透明な点が多いと思うんです。というのは、県は県で独自に調べてくれてます。それは私は聞きました。だけれども、やっぱり協会というのは独立した一応団体ですから、その理事会の中でどんな議論が行われてるかというのも大事なんですよ。だから、その県の調べたことというのは他の理事の方に伝わってるのかなとやっぱり思うんです。そこで理事会でかんかんがくがく議論をして、協会これやったらあかんやないかというような議論が行われてなかったらあかんのに、せっかく県の調べたその調査というのが議事録を見たら全然出てこないですよ、知事。それはどうなのかな。
 ただ県は県で調べてる。事務局は事務局で調べたけど、県の報告はこんなに県は言うてますというだけで、きちんとした文書なりなんなりで県の報告は出てきて、「お、県はこうかい。そやけど県、おかしいやないか」とか、「いや、県はこう言うてんのやったら」というようなやりとりがあんまりないんですよね。ただ、県のその調査というのはしかるべき手順にのっとって行われてると思いますが、それにしても人間のやることですから、知事が見るところ十分だと思えないところもあるということでしたから、もう一遍これを一から見直してもらって、そしてその情報をもとにして、できれば協会の理事会の中で、本来あるべきガバナンスの一環としてこの問題について議論していけるようにするのが本筋だと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 平成28年度前期技能検定防水施工職種において、当該検定委員等がかかわる事前講習会が実施されたとの指摘があり、県において当該検定委員10名及び補佐員5名、それぞれ全員から個別に事情聴取を行うとともに、受講者20名のうち17名から事情聴取を行ったという報告を受けています。その結果、当該事前講習会は和歌山県防水事業協同組合が主催し、検定委員及び補佐員が関与した事実が認められましたが、検定の結果に影響を与えるものとは認められなかったので、実技試験自体は有効なものと判断をしたということであります。
 検定委員等が事前講習会に関与することは、技能検定の公平性について重大な疑念を抱かせる行為として国の通知で禁止されていることからも、だめに決まってるわけでありまして、職業能力開発協会に対して厳重に注意し、28年度後期技能検定試験より当該検定委員及び補佐員を外すとともに、全ての検定委員及び補佐員に対し、事前講習会に一切関与しないよう職業能力開発協会を通じ文書で指導したということでございます。
 この件につきましては、一連の問題のある行為の中では、県の処置については厚生労働省とも協議をしながら対応してきたというふうに考えておりますけれども、他の問題もあることから、御指摘を踏まえて再度点検し、必要な調査を行って対応してまいりたいと思いますし、その中には現在の理事会の方々にもちゃんと理解してもらえるように、その辺の指導も含めてやっていかなきゃいけない、そういうふうに思っております。
○副議長(服部 一君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 その調査についても再度行っていただけるということを知事からおっしゃっていただきました。よろしくお願いいたします。
 次に、この検定事務の担当である有能な職員を休職にした結果、技能検定事務は人員不足によって支障を来しているというふうに私、聞いております。しかも、この職員には、当初100分の80の給与が支払われておったんです。ところが、今聞いた答弁によると、これを100分の100に戻している。この職員ってほんの何人かしかいないですよ、協会って。その職員を1人、無駄と言ったら悪いですけど、給料を全部出してて、それで職務に支障を来さしめて、検定が十全に行われてないという不評が私の耳に入ってくるんです。こんな、これは全部県の補助金で行われてる事業ですから、県の補助金の使い方としては甚だ不適切であると言わざるを得ません。
 そこで、この観点から、平成28年度の和歌山県職業能力開発協会の業務に関し、監査の必要があると思料いたします。代表監査の御見解をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 代表監査委員江川和明君。
  〔江川和明君、登壇〕
○代表監査委員(江川和明君) 和歌山県職業能力開発協会につきましては、地方自治法第199条第7項の「財政的援助を与えているもの」に該当するため、地方自治法に定められた範囲内で監査を行うことができます。
 当該協会への監査につきましては、所管課に経緯と状況を確認した上で、必要があると判断する場合は監査を実施してまいります。
○副議長(服部 一君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 監査の対象になる、必要があると判断したら監査をしてくれる、こういう答弁でした。
 今、代表監査も他の監査委員の方もこの議会のやりとり聞いておって、他の部署どころか知事が問題あるん違うかと言うてるわけですから、これ、監査になると私は理解しておりますけど、ぜひこの無駄なお金の使い方の観点からも監査をしていただきたいなと思います。
 実は、この職員の方、この方は女性なんです。それで、このことを女性と言っていいのかどうか、私わからんかったんで、質問の中でずうっと書いてて「この職員」という表現をしておりましたが、御自身に確認したらもうその女性だということを言ってくれて構わないと。むしろ、他の女性でも苦しんでおられる、こういう問題で苦しんでおられる方もいらっしゃるかわからんので、明らかにしてくださいというふうにおっしゃったので、あえて今申し上げます。
 今議会でも、女性の活躍について女性の議員から質問が出ておりました。私、男ですけど、ちょっと知事が、女性が安心して働くことのできる環境整備に率先して取り組む企業、団体を女性活躍企業同盟として組織化してまいりますと、こう高らかにおっしゃったわけですね、知事説明で。
 ということは、前提として、あんまり女性というのが団体や企業の中で活躍しづらい状況にあるということを前提としてるんですね。もともとそういうことでなかったら、別に優秀な企業、こんなもんつくっていかなくてええわけですよね。だから、もともとちょっと自分が能力発揮しようと思ったら、職場の雰囲気として頭押さえられるような雰囲気があるんですよ、確かにこの日本の社会においてはね。
 それで、この女性は頑張って頑張って、不正を見つけて知事に通報したり、いろいろ問題点指摘して厚労省に言いに行ったり、仕事熱心なんですよ。でも、熱心にやればやるほど、「何やねん、おまえ」って、心の中にもしかしたら女性蔑視の気持ちがあって、女のくせになんていうことを思っておったかもわからんじゃないですか。そうでなかったら、休職命令して、なかなか泣き寝入りって─男やったらそれは言えるかわかりませんよ。「何で俺がそんなもん休職にされやなあかんのな」と言うかもわかりません。うちの奥さんでも言うかもわかりません。だけど、大方の女性というのは、やっぱりちょっと今、日本社会の中では男性ばかりの職場の中で物が言いにくい状況にあることは事実なんです。だから、知事は、こういう環境整備に率先して取り組む企業は女性活躍企業同盟として組織化していくとおっしゃってるんだと思うんです。
 他団体を啓蒙していく、これも大事なことです。だけど、知事も、この女性が今こういう理不尽な休職で苦しんでるという事例を今お聞きになったわけだから、まず「隗より始めよ」で、御自身が関係してるこの団体から正常化を図っていくべきだと思いますが、知事の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘のお話は、関係者が女性であるか否かをはるかに超えた問題であると私は思っておりますけれども、御質問ですからお答え申し上げますと、女性が安心して働くことのできる環境整備に率先して取り組む企業や団体を女性活躍企業同盟として組織化し、すぐれた取り組みを顕彰、PRすることによって、企業や団体が女性が安心して働くことのできる環境整備に自主的に取り組むように進めていきたいと思ってるわけでございます。御指摘のとおりであります。
 県全体に働きやすい環境を整えていくためには、県が率先して働きやすい職場環境づくりを進めるとともに、多くの企業や団体が企業同盟に参加することが必要である、これもおっしゃるとおりでございます。
 補助金交付団体や県の関係団体に対しても、女性が安心して働くことのできる職場環境の整備を促し、企業同盟への参加を働きかける必要があると思います。これも御指摘のとおりです。
 そういう意味では、この団体は根本的に立て直して、ちゃんと参加できるようにまずはしないといけない、そういうふうに思います。
○副議長(服部 一君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 知事の決意を聞かせていただきましたので、今後の知事の指導力に期待をいたします。
 やっぱり、この和歌山県職業能力開発協会、これは全国にこういう組織があるんです。全国の会議行ったら「和歌山どうよ」と言われたら恥ずかしいです。和歌山の国家検定ってむちゃくちゃやなと、どないなってるのと思われることのないように、一日も早くこれを正常化して、検定を厳正、公正なるものにして、国民、県民から見て、ああやっぱり県の、厚生労働大臣や知事の認定を受けた技能士にやってもうた仕事はええな、こういう方を雇ってる会社はすばらしいな、そしてまた県の公共事業にもどんどん参画をしていただく、そのような国民が思っていただけるような検定制度にちゃんとやっぱり戻っていっていただきたいなと思います。
 そして、もう1つ個別の問題ですけれども、今苦しんでいるこの女性の職員の方が安心して職場で御自身の能力が発揮できるように、早急に取り組んでいただけるようにお願いを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、尾﨑太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 4番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 本日4番目の登壇です。大変皆さんお疲れのことと存じますが、今回は簡潔に質問をいたしますので、おつき合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、韓国・果川市と江原のIRを視察させていただきました。この報告からさせていだたきたいと思います。
 去る2月1日、2日の2日間にわたりまして、私を含め4名の議員で韓国は果川市と江原を行政視察してまいりました。朝一番の仁川行きの大韓航空で向かい、仁川には通訳と車の用意をお願いしておりました金さんの出迎えを受け、早速、金さんの車で果川市に向かいました。
 果川市では、総務課長ほか職員の出迎えを受けまして、果川市市長室へと案内をしていただきました。果川市は、8年余り前、和歌山県当局の紹介を受け、白浜町と友好都市提携をさせていただき、その後、白浜町との交流が続いているところでございます。市長とは大変有意義な懇談をさせていただきました。懇談の中で最後に、果川市はもう1カ所、北海道内のまちと友好都市提携ができないか考えており、もしよいまちがあれば御紹介をいただきたいとの宿題ももらった次第です。
 2時間足らずの訪問を終えて、次の目的地である江原に向かいました。高速道路を100キロ余りの速度で走り続けること約4時間、ようやく江原に到着いたしました。しかし、時間はもう夕方6時過ぎです。今夜は江原のホテルに泊まり、翌日9時ごろよりIRの視察でございます。
 IRの建物に入ると、依存症対策室の職員3人が迎えに出てくれており、玄関近くの部屋に通されました。その部屋は、江原ランド中毒管理センターです。説明によると、江原IRは2000年度開設で、来場者は1日平均約6000人から9000人で、年間約300万人とのことでございます。なお、6対4の割合で男性が多いとのこと。また、年間売り上げは1兆5000億ウォン、1日では約50億ウォン、利益は年間4000億ウォンとのことです。
 働いている方は、正職員3500人、臨時職員等は2500人であり、51%が政府の出資で、全員政府投資機関の職員である。また、政府がやっているのでやくざなどは入れないとのことでありました。さらに、民間の運営は危ないとのことでありました。また、来場者の1割が依存症になるとのことで、依存症になれば再び入場はできないようにしている。依存症対策として年間売り上げの約1割、1500億ウォンをかけているとのことでありました。
 ちなみに、いただいた「責任あるギャンブルって何?」とプリントされました依存症対策のパンフレットには、次のように書かれています。パンフレットを用意いたします。こういうパンフレットをいただいたんですが、(パンフレットを示す)この2つのパンフレットの中から朗読をさせていただきたいと思います。
 まず1つ目に、「あなたは、ギャンブルで失っても構わない金額以上のお金をギャンブルで使ったことがありますか。 あなたは、ギャンブルで負けたとき、負けたお金を取り戻そうとして次の日にまたギャンブルをしたことがありますか。 あなたは、自分がギャンブルをすることに対し問題になると感じたことがありますか。 あなたは、ギャンブルが原因でストレスを受けたり不安になるなど、健康に問題があると感じたことがありますか。 あなたがギャンブルをすることで、本人や家族に経済的な問題が生じたことがありますか。 あなたは、自分がギャンブルをすることやその結果生じたことに対して罪悪感を感じたことがありますか」。
 さらに、「損したお金は気分転換に使ったと思ってください。そして、もうけたお金はボーナスをもらったと思ってください。 ゲームの制限時間を決めて、その制限時間を超えないようにしましょう。勝っても負けても決めた制限時間を超えたらすぐその場を離れましょう。 ゲームで負けるのは当たり前のことだと考え、その結果を受け入れるようにしましょう。 家族、友達、仕事よりもゲームを最優先してはいけません。 損したお金を取り戻そうと考えてはいけません。ほとんどの場合、損したお金を取り戻そうとしても、もっと多くのお金を失う結果になります。 ゲームであなたの心の傷や身体的な苦痛を癒やしたいとか、満足感を得たいと思わないでください。 あなた自身に深刻な問題がある可能性を認めましょう。 もしゲームをこれ以上娯楽として楽しむことができないなら、あなた自身に問いかけてみましょう。どうしてあなたがまだここにいるのか」。
 また、こんなことも書かれています。
 「インディアンが立ちどまる理由。 北アメリカのインディアンは、馬に乗って走り、どこかに矢のように走りながらも、ある瞬間になると一度馬をとめては後ろを振り返るそうです。なぜかといえば、矢のように走っていると私の魂が追いつかない、道を忘れ迷うかもしれないということなのです。 速く走る馬が最善ではありません。今、何かをするために一生懸命に走っていますか。それならば私の魂がついてきているのか、取りそろえなければならないときなのです。一度ぐらいは、自分がどこに行っているのか、きちんと行っているのか、深く考えてみるべきなのです。速度より重要なことは、方向だと思います。 誰よりも速く走るのも重要ですが、どこに走っているかが事実もっと重要です。全ての力を投入して走って望まないところに到達したり後悔する結果になると、それ自体、残念な人生になってしまうからです。御自身と御自身の身の回りを今見詰めてみましょう」、こう書かれています。
 申し上げておきますが、以上のことは私が考えたことではありません。国会で法律ができていますので、県政与党の党員の1人としましても、私自身は今現在ニュートラルな位置に置いておきたいと考えています。
 なお、日本からの江原ランド視察団は多く、既に千葉、大阪、北海道など20カ所から来られておられまして、当日も私たちの後、10時40分には大阪から議員団が来られ、説明を受けることになっているとのお話でありました。
 その後、せっかくなので帰りの飛行場までの時間を考え、1時間ほどIR内に入場させていただくことになり、自分の人生で初めて賭博場なるとこへ入りました。もう会場はスロットマシンやトランプカードの前に座っている方など、びっしりの人、人、人でいっぱいです。せっかくなので1000ウォンほど参加してみようと思いましたが、死んでしまったおやじやおふくろの了解ももらっていないので、思案をしている間に1時間ほどの時間が過ぎ、初体験することもなく会場を後にいたしました。
 あとは高速道路をぶっ飛ばしてもらい、帰るだけです。2日間、秘書兼運転手を務めていただきました地元の金さんにお礼を言い、韓国・仁川空港を後にいたしました。
 以上、韓国・江原ランド視察の報告とさせていただきます。
 それでは、一般質問に入らせていただきます。
 まず、エコミュージアム構想についてお尋ねをしたいと思います。
 エコミュージアムとは、1960年代にフランスから入ってきた思想というか考え方だと伺っているところです。エコミュージアムとは時間と空間の博物館であり、屋根のない博物館とも言われています。また、地球全体が博物館であり、住民全てが学芸員とも言われています。そして、環境と人間とのかかわりを探る博物館システム、研究、保存、展示を行う常設の組織であり、こうした取り組みを通じて、当該地域社会の発展に寄与することを目的とする新しい理念を持った博物館である云々と定義づけをされています。
 こうした理念を踏まえまして、今回、和歌山県の南部に位置する田辺市、上富田町、白浜町にわたる田辺湾とその周辺地域と社会をエコミュージアムに選定をしていただき、地域社会のさらなる発展に結びつけることを願い、提言をいたします。
 さて、その根拠たるたくさんの田辺湾の文化や歴史の中から、その一部を御紹介いたします。ちなみに、湾と位置づけられてる場所は、県内には田辺湾と和歌浦湾の2カ所しかございません。田辺湾の北端に位置するところにはナショナルトラスト運動の先駆けとして有名な天神崎があります。少し東に移動すれば安藤城主が築いた屋敷町が広がり、ここは弁慶生誕の地でもあります。
 市内には、昨年世界遺産に追加登録された鬪鶏神社があり、鬪鶏神社は源平合戦の折、紅白の7羽の鶏を戦わせ、その結果、源氏につくことになり、この田辺湾から熊野水軍を出陣させたと言われているところでございます。
 その隣の文里港は、昭和21年に引揚者援護局が設置され、さきの大戦で敗れ、傷ついた軍人や軍属、家族の皆さん20万人余りが南方から輸送船に乗り、傷心の身で帰還し、上陸した地でございます。近くの田辺市民総合センター3階には、引揚港田辺資料室がありました。
 また、磯間にはといしの切り出し山があり、長い年月にわたり地場産業として栄えてまいりました。その碑が建立されています。さらに奥には、大正年間に上富田町朝来の新川から大きな山をくり抜き、田辺湾へ田畑の水を排出するための暗渠がつくられています。
 さらに東に行くと、内之浦に大きな干潟公園がつくられていて、市民の憩いのスポットとなっています。その向かいの鳥の巣には、さきの大戦時、敵艦に体当たりし撃沈させるための特攻隊が設置され、その船を敵から隠すため、岩場に穴を掘り隠した洞窟が残されています。現在は鳥の巣公園がつくられ、保全をされているところであります。
 田辺湾は広く深いリアス式海岸であり、湾内にはたくさんの小さな島が点在していますが、点在する島のなぎさの白砂を伝馬船に載せ、大阪方面にガラスの生産に必要な石英として出荷していた時代がありました。その向かいの島が神島です。
 「一枝も心して吹け沖つ風わが天皇(すめろぎ)のめでましし森ぞ」、この歌は昭和4年6月1日、昭和天皇が御召艦で旗艦である戦艦長門と従艦7隻を従え田辺湾へ入港します。そして水雷艇に乗りかえ、当時の瀬戸鉛山村──今の白浜町ですが──綱不知にある桟橋から上陸し、徒歩で当時の京都帝国大学臨海研究所へ出向かれ、さらに御座船に乗りかえて円月島、四双島、塔島などで海洋生物の調査を楽しまれた後、紀州徳川家の所領でした畠島にも上陸し、その後、南方熊楠が待機する神島に上陸され、熊楠から御進講を受けられています。
 その天皇陛下の神島への上陸を記念して南方熊楠が詠んだ先ほどの「一枝も」というくだりの歌は、そのときに詠んだ歌なのでございます。その石碑が神島に建立されています。
 その入り江最深部には古賀浦、そして太刀ヶ谷地区があります。太刀ヶ谷には太刀ヶ谷神社がございまして、神武天皇の太刀を御神体にしています。その昔、神武天皇が統制のため、なにわの都から船に乗り熊野地方に向かう途中──今の三重県の方向だというふうに聞いています──しけに遭い、難を逃れようと田辺湾奥深く逃げ込んでまいります。この湾の奥は綱不知と言われるほど、大きなしけでも波1つ立つことのないリアス式海岸の入り江だったのです。
 しかし、3日たっても4日たっても沖の波がおさまりません。神武天皇はいらだち、腰に携えていた太刀を海に投げ込まれます。するとどうでしょう、ほどなくして波はおさまり、軍団は出立することができました。村人は、海へ投げ入れたその太刀をいただき、太刀ヶ谷神社の御神体としているのでございます。そして、この太刀ヶ谷神社は、白浜町無形民俗文化財の第1号の認定を受けているところであります。
 臨海近くには熊野三所神社があり、その鳥居近くに7世紀ごろにつくられた火雨塚古墳があります。臨海の丘には南方熊楠の記念館が設置されており、熊楠に関するたくさんの資料が保管され、展示されています。
 その麓にある大正11年に開設された京都帝国大学臨海研究所では、今日までも海洋生物の研究が続いており、研究員の久保田准教授が研究されているベニクラゲは、5年ほど前に「ニューヨークタイムズ」の報道を受けてから一気に世界中に知られるところとなり、今日では世界中で報道のされない日がないほどでございます。注目されているポイントは、ベニクラゲが不老不死の生き物であることにあります。地球上に生き物は144万種類があると言われていますが、全ての生き物は命の来る日が来ます。寿命の日が来ないのはこのベニクラゲだけであるというふうになってございまして、この研究を続けている方でございます。
 教授自身も、ベニクラゲの1つの個体の観察を続けること数十年、この間、14回も若返りを繰り返すことに成功しています。地元では、今、和歌山県でノーベル賞に一番近い男と言われています。先生は、定年後もこの地に住み続けたいと言います。それは、田辺湾がベニクラゲやイサギ、ボラ、エイ、タチウオ、ウニ、エビ類など、多様な海洋生物がすむ水中生物の宝庫だからです。
 さらに、田辺湾はいろいろな船や飛行機が行き交う時代がありました。明治の時代から、白浜の桟橋から田辺の大浜を往復する巡航船が就航していました。私たちの時代は、玉姫丸、豊姫丸が1時間に1本、田辺湾を往復しており、高校の通学時に利用していたころは100トン未満の木造船に150名ほどが乗り、鈴なり状態で運航されていました。さらに、空からは畠島近くに大阪の堺市から5~6人乗りの水上飛行機が飛来しており、田辺湾での着水や離水の姿は、青い海とべたなぎの水面が絵になって、見ている者の目を楽しませてくれました。
 そのころ、戦後の経済が落ちついてきたのか、当時のソ連の沿岸州にあるハバロフスクよりたくさんの木材を載せた5000トンクラスの船が毎日のように停泊し、田辺湾に、いわゆる当時「外材」と言われていた木材を投げ込み、タグボートがそれを集めて新庄の製材所へ運んでいました。
 以上のように田辺湾沿岸の歴史は切りがありませんので、これぐらいにしておきます。
 有史以来、生をうけてから寿命を終えるその日まで、この地に住むたくさんの人々が高尾山や槇山、分領山など牟婁の山並みに抱かれた田辺湾の幸をいただき、鏡を伏せたように動かない田辺湾に癒され、心豊かな生活を重ねてきました。これからもこの地に住む人々は、田辺湾とともに笑い、怒り、叫び、そしてあるときは涙を流し、次の世代、その次の世代へと引き継がれていきます。そんな歴史や文化深い田辺湾を守り、午前中の片桐議員の発言にもございましたが、陸奥宗光や地域の先達を顕彰し、活用していくことが今を生きる我々の世代の務めであると考えます。
 さて、今の時代です。田辺湾一帯をエコミュージアム、先ほども冒頭で発言させていただきましたが、屋根のない博物館と位置づけ、県行政のリーダーシップのもと、守り活用することにより、さらに地域が豊かになるべく取り組んでいただけることを提言いたします。当局の御見解をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) エコミュージアムにつきましては、平成19年に国の文化審議会文化財分科会において、文化財に対する人々の理解の増進のためにエコミュージアムの取り組みの必要性についても議論された経緯がございます。県外では、市町村や民間団体が主体となって、自然遺産を核にした環境教育や地域の伝統的な生活スタイルの公開などに取り組んでおり、いずれも地元住民が参加した事例として成果が報告されております。
 議員御案内のとおり、県内には貴重な自然と多くの有形、無形の文化財があり、田辺湾周辺にも、重要文化財であり世界遺産に追加登録された鬪鶏神社や、国立公園並びに国名勝南方曼荼羅の風景地を構成する天神崎や神島がございます。さらに、その近隣にはジオパークを構成し国名勝である円月島や千畳敷など、多くの価値の高い地域資源が存在してございます。
 県教育委員会といたしましては、1つ1つの文化財について国指定等に向けて取り組むとともに、県立博物館や自然博物館などの既存の研究施設による教育、普及に努めてまいります。
 今後、田辺湾周辺の文化財の保存と活用を積極的に推進するため、その学術的な価値づけを行うとともに、その成果についても子供たちや地域の方々が誇りに思えるよう、市町の教育委員会と連携・協力して取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。もう少しエコミュージアムのことをちょっと御報告させていただきましたら、目的、理念、機能、任務、こんなふうに色分けをされている中で、まず理念のところですが、この理念はこういうふうになっています。行政と住民が一体となって発想し、形成し、運営していくとりでである、行政側は専門家と力を合わせて施設や資金等を提供し、住民はアイデア、ビジョン等を提供する、それから、エコミュージアムとは、住民の心を写す鏡である、展示や活動の中に住民の心を反映しなければならない、そんなふうなことをいろいろとうたわれております。
 この質問に先立ちまして、この田辺湾周辺に民間の皆さん方で、町民の皆さん方で、こうしたことに対する条件が整ってるか、そういう団体がどの程度あるかというふうなところをちょっと調べてみましたら、白浜でしたらコマンドクラブであったりとか、いろいろ田辺のほうにもたくさんのそうした団体があることがわかりました。内之浦湾を良くする会、南紀生物同好会、そんな団体がたくさんあることがわかりましたので、ぜひそうした団体の皆さん方にもお力添えをいただいて、これから田辺湾一帯をエコミュージアムとして取り組んでいただければ、我々が本当に次の世代のためにそうした資源を引き継いでいけるんではないかなと思いますので、ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
 次に、2点目の質問に移らせていただきます。
 過日配付いただいておりました和歌山県の長期総合計画に、クルーズ船の誘致活動を推進しますとなってございます。これに関連いたしましてお伺いいたします。
 白浜町桟橋、ホテル川久近くに、昭和40年代後半から昭和50年代に就航していました神紀フェリーの桟橋がその後使われずに現在も残されています。桟橋は、当時、数千トンクラスの船が出入りをしておりまして、客船等が入港し、この桟橋から下船することができれば、歩いて数分で関西一の温泉街に到達いたします。この神紀フェリーの桟橋を再活用してクルーズ船等が寄港できれば、高速道路から、そして南紀白浜空港から、さらに海路から紀南地方へ訪れることができ、さらなる地域の振興等、大きな弾みがつくと考えられます。ぜひ再活用していただきたいと考えるのですが、県当局の御見解をお願いいたします。
 あわせて、クルーズ船の田辺・西牟婁地方への誘致についての当局の御見解もお願いをしたいと思います。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 白浜町内の既存の桟橋を再活用したクルーズ船等の寄港について御質問を頂戴をいたしました。
 まず、クルーズ船の誘致につきましては、昨年11月に庁内横断のクルーズ船誘致チームを立ち上げまして、国内外で開催される商談会等への参加や船会社等を直接訪問するなど、プロモーション活動を積極的に実施しているところでございます。
 近年、クルーズ船は大型化する傾向にございまして、今まで和歌山県に寄港実績があるクルーズ船でさえ、大型岸壁が整備されていない白浜町周辺の港湾では直接接岸することは難しいと考えてございます。串本などにおきましては、岸壁に直接接岸せずに、沖どめをした船から乗客が小型船に乗りかえて、小型岸壁から上陸した例がございます。
 議員から御紹介のございました桟橋は、白浜町、地元の漁業協同組合及び民間企業の3者で共有される施設のため、白浜町周辺にクルーズ船を沖どめして、これを活用する場合には、この3者とともにまず検討させていだたく必要がございます。現時点では、この桟橋が使用可能かどうかの情報も持ち合わせておりませんので、まずは桟橋の現状調査等を行いたいと考えております。
 本県へのクルーズ船の誘致に当たりましては、白浜が本県を代表する観光地であることから、今後とも魅力ある白浜をオプショナルツアーの目的地として、引き続き積極的なPR活動を行ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 今、県土整備部長からそのような答弁をいただきました。ちょっとおさらいをさせていただきましたら、白浜周辺の港湾への寄港は現時点では難しいが、クルーズ船が大型化になってるということで、ただ、沖どめによる小型船の上陸ということは不可能ではないと、そういう答弁をいただいたところです。ぜひいろんな知恵を使って、すばらしい観光資源がたくさんある地域でもありますので、御努力をいただきたいなと思います。
 それから、桟橋ですが、実は昭和50年2月3日に私は家内と一緒になりまして、この船に乗りまして神戸まで行ったんですが、当時、乗り込む乗用車も100台、200台と載っておりましたし、もちろん乗客の立場でも大勢の人が乗っておりました。活用の方法さえ成り立てば、十分まだまだこの桟橋、使えるんではないかと思います。そういった意味で、情報もないためというお話でしたので、ぜひ情報をとっていただいて現状調査をしていただきまして、何とか、ないもんをつくれというのは難しいですが、あるもんを利用してもらうという提案ですので、一度深く御検討いただきたいとお願いを申し上げます。
 それから、白浜をオプショナルツアーの目的地としても御検討いただけるということで、これにつきましてもお願いを申し上げておきたいと思います。
 最後の質問をさせていただきます。
 3点目に、道路の交差するところ、我々は交差点というような表現しか言葉知らないんですが、交差点はほとんど信号つけられていますが、3年ほど前でしたか、マスコミ報道によりましたら、政府は今後ロータリー方式を取り入れるとの内容でありました。
 白浜町内でも、皆さん御存じかもわかりませんが、5本の道路が交差する交差点がございます。地元の人は丸公園、丸公園と言いまして、丸公園交差点といいます。その昔からロータリーになっておりまして、信号は設置されていませんが、白浜一の随一の交通の要所でもありますが、私も運転免許を取って50年近く車に乗っていますが、そのロータリーの交差点で渋滞に遭遇したことがありません。いつも車両はスムーズに流れるように進みます。その上に大切なことは、交通の要所でありながら事故がほとんど発生してないことです。政府も、ロータリー方式の交差点のその効果と結果に着目をしているのではないかと考えます。
 さて、交差点のロータリー化に向けた国の取り組みの本気度を、新しく就任をいただきました県警本部長にお伺いしたいと思います。
○副議長(服部 一君) 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 平成26年9月1日に施行された改正道路交通法において、1つの交差点とみなせる環状構造の交差点について、道路標識により車両がその部分を右回り、時計回りに通行することが指定される環状交差点に関する規定が設けられました。
 従前は、環状構造の交差点に関する通行方法が規定されていなかったので、議員御指摘の白浜町丸公園交差点のように右左折方法の指定と一時停止の組み合わせであったりとか、あるいは指定方向外進行禁止や環状部分の一方通行などの複数の交通規制を組み合わせることにより通行方法を示すなど、その規制方法は統一されていませんでしたが、この規定により環状交差点の通行方法を1つの標識で包括的に示すことが可能となったところであります。
 一方で、交通量が極めて多い交差点では、交通がふくそうし、渋滞の原因になるといった問題もあることから、この規定による交通規制を実施するに当たっては道路構造上の対策が不可欠であるため、警察庁と国土交通省道路局とが十分な調整を行った上で策定された交通規制基準が示されております。
 この改正道路交通法に基づく環状交差点は、全国で平成28年12月末現在、19都府県で61カ所が整備されていますが、警察庁としては、その現実の効果などについて全国に発信しつつ、道路管理者との連携のもと、ふさわしい場所への導入が計画的に推進をされるよう都道府県警察を指導していく方針である、そういうふうに承知をしております。
 当県においては、現時点、未整備でありますが、信号機設置の必要がないことから災害発生時に停電等の影響を受けないというメリットがあるほか、待ち時間の減少、交差点内の車両速度の低下による高速度での出会い頭といった重大事故の減少、こういったことが見込まれるものというふうに考えております。
 現在まで、全国で設置された環状交差点においては、死亡事故の発生がなく、混乱なく利用されているというふうに聞いておりまして、災害対策、交通安全対策、また信号機や停電時の電力供給のための発電機等の設置及び維持管理費用等の削減にもつながるものというふうに期待をしているところでありまして、今後、環状交差点の整備運用について、道路管理者と緊密な連携を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○副議長(服部 一君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 次に、あわせまして、具体的な取り組みの検討の現状を県土整備部長にお伺いしたいと思います。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 県内におけます環状交差点の導入に向けた取り組み状況等について御質問を頂戴いたしました。
 和歌山県における環状交差点の導入に向けた検討につきましては、平成26年の道路交通法改正以降に公安委員会と調整を始めたところでございます。環状交差点の導入について検討を重ねた結果、田辺市龍神村柳瀬地内の県道田辺龍神線と県道龍神中辺路線との交差点において協議が調い、平成27年度に事業化いたしました。現在、測量及び設計が完了し、地元関係者と調整を行っており、早期完成を目指して事業を推進してまいりたいと考えてございます。
 今後も、公安委員会と連携し、交通量や構造等に一定の基準が設けられていることを踏まえながら、沿道の利用状況や近接交差点の状況等を勘案し、期待される効果が十分に発揮できる箇所について導入を検討してまいりたいと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ただいま県土整備部長から、田辺市龍神村柳瀬地内の交差点で事業化に向けて取り組みを進めていただいてるというお話をいただきました。ぜひ、これが完成した折には、地元の皆さんだけじゃなくて、県の広報を通じて流布をしていただきたいなと思います。
 もう大変楽しみです。道路って、車を運転して快適な道であるということも重要ですが、また道路自体を我々はドライバーとして楽しんでみたいと、こう思います。そういった意味で、このロータリーのある道路、すごく楽しみの1つでもございます。ぜひ、そういった意味でこれからも積極的な取り組みをいただけますことを要望いたしまして、一般質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時25分散会

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