平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(服部 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速、質問に入らせていただきます。
 第1は、カジノ・舟券売り場とギャンブル依存症であります。
 カジノ解禁推進法が国会で可決されたことをめぐって、12月県議会で議論が行われました。その議論では、マリーナシティが候補地の1つとして挙げられておりました。マリーナシティは、海南市と目と鼻の先にあります。その一方で、海南市には藤白に場外舟券売り場・ボートピアチケット販売所建設計画が立ち上がり、地元からは反対の声が上がっています。
 私どもは、このままでは海南市が賭博のまちになるのではないかという危機感を持ち、市民の皆さんとともにこの問題を考えてみようという活動を始めています。
 その手始めに、海南市に計画されているミニボートピアチケットショップのある奈良県御所市に行ってきました。交通便利な場所にある明るい色の建物です。中に入って管理者から説明をお聞きしました。馬券売り場や舟券売り場というと想像するような、外れ券をちぎってばらまいているようなことは全くありません。お酒の持ち込みも禁止になって、お客さんは黙々とチケットを買ってスクリーンを眺めている。異様な雰囲気ではあるが、全く静かです。
 総売り上げは40億円、その1%、4000万円を市役所に協力金で支払います。海南市の業者が総売り上げ35億円、1%、3500万円を市役所に納めますと言っているのと大差はありません。ただ、1つ違ったのは、「海南市に来る業者は、地元自治会に100万円、周辺の自治会連合会に100万円を毎年10年間払うと言っています」と言いますと、管理者の方は目を丸くして、「自治会の支援はそこまでしていません。流しそうめんをしたり、花火大会でうちわを配ったりしています」と言うのです。
 その後、市役所に行く前に喫茶店に入りました。喫茶店のママさんは言います。「市に4000万円入るんだったらいいんじゃないの」と言われます。土地も貸しているそうです。そこで、「この施設が来てお客さんがふえましたか」とお聞きしました。「全然。ごらんのとおりよ」。なるほど、私たちのほかに、お客さんは入っていません。ママさんは続けます。「ギャンブルに来る人はね、少しでもかけたいからコーヒーなどは飲まないのよ。お昼もお弁当を持ってくるかコンビニでおにぎりを買う。そんなお客さんにはあんまり来てほしくない。親しくなったらお金を貸してと言われるから。それでも、『ガソリン代がないので1000円貸して』と言われて、しようがないから上げたことがあるのよ」、こういうお話でございました。
 カジノも競艇もパチンコも同じですが、生産したり価値を生むわけではありません。ボートピアの総売り上げ40億円の場合、その4分の3が利用者に還元されてギャンブル依存症を生む。しかし、10億円は巻き上げられて、そこから20人の雇用、施設維持費が支払われ、市には4000万円、地元自治会に何がしかの協力金が支払われる。そのあとのお金はどこへ流れていくのでしょうか。
 そこで質問です。まず、日本における、また和歌山県でのパチンコを含むギャンブル依存症の実態をどう把握しているのか、福祉保健部長にお伺いします。
 また、警察庁の犯罪統計でも、2015年からパチンコ依存症、ギャンブル依存症を動機とするものを分類するようになったとお聞きしています。警察本部長から、全国における、または和歌山でのギャンブル依存に起因する犯罪の実態についてお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) ギャンブル依存症は、さまざまなギャンブルへの衝動が抑制できなくなり、経済的、社会的、精神的な問題や対人関係などの問題が生じているにもかかわらず、自分の意思ではやめることができない状態とされており、本人やその家族にさまざまな問題を生じさせる疾病であると言われております。
 平成25年度に厚生労働省の研究班が実施した調査によれば、ギャンブル等の依存症が疑われる方は国内では成人の4.8%と推計されておりますが、本県の実態については把握しておりません。なお、現在、国では、より詳細な依存症の実態を把握するための調査が行われているところです。
 県では、アルコールや薬物などの依存とともに県精神保健福祉センターや県立保健所で相談を行っており、電話や来所による相談は、平成26年度は32件、27年度は43件、本年度は1月末時点で35件という状況です。
○副議長(服部 一君) 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 犯罪統計で確認できる範囲でございますが、ギャンブル依存、パチンコ依存を主たる動機とする犯罪は、全国においては、統計をとり始めた平成27年中は1702件、平成28年中は2328件であり、一方、和歌山県では、平成27年中は9件、平成28年中は8件を確認しているところでございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ギャンブル依存症のさまざまな心配、問題が指摘されました。御答弁いただきましたように、厚生労働省はギャンブル依存症の実態を推計しております。しかし、和歌山県ではその実態がつかまれていない。そして、保健所に寄せられた相談は1年間に30件から40件、氷山のほんの一角だと言わなければなりません。
 私たちは、海南市で舟券売り場建設を考える市民の集いを開きました。その中で私が驚いたのは、身内のギャンブル依存症の実態が赤裸々に語られたことでした。「私の妹の子供はギャンブル依存症でした。朝は普通の服装で出かけるのですが、帰りはシャツ裸で帰ってくる。その姿で電車に乗れないのでタクシーで帰ってきて、家人に『タクシー代を払ってくれ』と言うのです」、「私の母はパチンコ依存症になり、お金を借りてパチンコに通うのがとまらなくなった」という話が出ます。こういう普通なら言いたくないような話が次々出てくるわけです。
 そこで質問ですが、賭博というものは本来違法なものである。ところが、自治体財政に寄与するなどという理由をつけて公営ギャンブルが公認されてきました。それに、サッカーくじが加わり、このたびカジノまでがその仲間入りすることになりました。
 賭博を禁止するという本来の趣旨はどこにあるのか、警察本部長からお話をいただきたいと思います。お願いします。
○副議長(服部 一君) 警察本部長。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 賭博を禁止することの本来の趣旨につきましては、一般的には公序良俗、すなわち国民の健全な経済活動と勤労への影響と副次的犯罪の防止にあるものというふうに承知をしております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今お話しいただきましたように、本来、賭博というものは公序良俗、そして国民の健全な生活活動などに影響があるので禁止をされているわけでございます。そこで、ギャンブル依存症に私たちは大変心配をする。
 そして、和歌山県では、IR誘致候補地として和歌山市のコスモパーク加太、和歌山マリーナシティ、それに白浜町の旧空港跡地の3カ所が挙がっているわけですが、区域の認定を申請する際には、隣接の自治体の同意も必要になるのでしょうか。これは、企画部長からお答えいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 昨年12月に成立した特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、いわゆるIR推進法の附帯決議には、地方公共団体が特定複合観光施設区域の認定申請を行うに当たっては、公営競技の法制に倣い地方議会の同意を要件とすること、また、地方公共団体による公聴会の開催など、地域の合意形成に向けた具体的なアクションや依存症や治安維持などの地域対策を国の認定に当たっては十分に踏まえることと盛り込まれておりますが、隣接する地方公共団体の同意については特に触れられておりません。
 IRの整備に必要な具体的な手続については、今後の国の法整備の中で定められることになっておりますので、隣接自治体の同意の必要性についても、その中で明らかになってくるものと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 国のほうでもまだ決まっていないこともいろいろあるようでございます。
 その中でこのIRの誘致が議論になっているわけですが、仮に和歌山にカジノを含むIR施設ができた場合、ギャンブル依存症についてどんな懸念があり、どう対応されるのか、改めて知事からお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、かねてから申し上げておりますとおり、カジノ設置に伴い懸念されるギャンブル依存症については、物すごく重視しております。そうならないようにする技術はいろいろ議論されておりまして、かなりの程度、それは可能だと思いますけれども、それでも、雑賀議員のような人だけではなく、多くの人の頭から心配は消えないでしょう。うちの人が、うちの子が、うちの親がなったらどないしようということであります。だから、少なくともその懸念がなくなるまでは、和歌山でIRが認められるとしても、そこでは和歌山県民ないしは日本人をカジノに入場できないようにしたいと考えております。
 したがいまして、理論的に考えますと、和歌山のIRにおいては、住民のカジノによるギャンブル依存症の可能性はゼロであります。したがいまして、どうして雑賀議員がそのような質問をされるのかなあと、何か私の言うことはいつも無視されるなあと、この件にかかわらず一生懸命言うてるんだけどなあということが多々ございますので、最後、感想でございますが、以上でございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 知事が、和歌山県民あるいは日本人を入れないようにしたらいいというふうに言っておられることは重々承知の上で、改めてお伺いしています。それでギャンブル依存症から県民を守ると言うんですが、私はこの考えは、ちょっと異様な、恥ずかしいというふうな気がするわけです。
 和歌山県民には、「そんなことをするとギャンブル依存症になるから、そんな施設に出入りしてはいけませんよ」と言うわけでしょう。ところが、世界からお見えになるお客さんには、「ギャンブルでしっかり遊んでください」と言うわけです。ギャンブル依存症になっても関係ないんでしょうか。「当分の間」というような曖昧なこともよく言われますが、そんな当分の間でギャンブル依存症の対策ができるようには私には思えません。それで、和歌山にお客さんが来てもうかればいいんだ。それでも、さっき御紹介した喫茶店のママさんが言うように、本当にもうかるかどうかわからない、こういうことになるわけです。
 私は、お客さんに来てくださいという施設では、和歌山県民も楽しめる施設でなくてはならないというふうに思う。そういうことで、知事が何とお答えするかよくわかった上で改めてお伺いしたことを申し上げて、次の問題へ行きたいと思います。
 次へ行かせてもらいます。第2番目は、学校給食と集団食中毒の問題です。
 御坊市の学校給食が原因となるノロウイルスによる集団食中毒が発生しました。原因もほぼ明らかになってきているようですが、このたびの食中毒の規模、原因究明や対応について、環境生活部長からお答えいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) 環境生活部長日吉康文君。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 今回の御坊市立給食センターが調理した給食を食べた御坊市及び日高川町内の児童ら763名が嘔吐などの症状を訴えた集団食中毒では、原因食品である「いそあえ」をあえる工程でノロウイルスに汚染されたことが強く疑われますが、調理従事者全員が原因食品を食べたことと、一部の食材が保存されていなかったことから、詳細な汚染経路の特定には至りませんでした。
 このことから、県では、当センターに対して、衛生管理マニュアルに基づく検食用食材の保存と調理された食品を調理従事者が食べないことを指導する一方、県内の集団給食施設への緊急一斉立ち入り指導を行うとともに、今月中旬には、御坊市及び和歌山市において調理従事者等を対象とした衛生講習会を開催することとしております。
 再びこのようなことが起こらないよう、集団給食施設を初めとする食品事業者への監視指導と県民への感染予防対策の啓発に努めてまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今、いろいろ大事なことをお答えいただきました。その中で、食材が保存されていたらノロウイルスの感染経路は早く発見されて、立川市の食中毒も防ぐことができたのではないかなどと大変残念に思います。しかし、これからはしっかりやっていただきたい。
 そこで、大きな調理場になっているために食中毒の規模が大きくなったという問題もあるのではないかと思います。かつて海南市で、学校給食センター化に反対する運動が起こりました。それまで海南市では、学校ごとの調理場で調理が行われておりました。その中でも南野上小学校の給食がおいしいということがよく言われました。当時の海南市で一番小さい農村部の学校。地元でとれた農産物で給食の調理がされていたからです。市民の大きな運動の中で2~3校ごとまとめて調理する親子方式に落ちついて、現在に至っています。
 学校給食には、単独調理場、共同調理場、その中間の親子方式、この3つに大別されますが、その状況はどうなっているのでしょうか。また、共同調理場の規模はどのようなものでしょうか。教育長からお答えいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県の学校給食調理場の状況についてですが、平成27年度は単独調理場が110施設、いわゆる親子方式とされる単独調理場が16施設、共同調理場が27施設、民間施設で民間業者が調理している調理場は5施設です。
 また、共同調理場の規模ですが、給食数でいいますと、30食余りから5000食を超える調理場などさまざまな規模となっております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今回の御坊市の給食調理場は、2000食規模のセンターです。しかし、橋本市、田辺市では、3000食を超える規模の給食調理場で給食調理をしています。岩出市では5000食規模です。こういうところで今回のような事態が起こったら地域の医療機関で対応できるんだろうか、こんな心配もあります。
 いま1つ、大きな調理場、給食調理場を行政が直接管理するのか、民間会社に委託するのかという問題があります。直営の共同調理場と民間委託の共同調理場、民間施設で民間業者が調理しているものはどれだけあるのか。御坊市は、シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社という会社に委託していたと報道されていますが、民間委託先、民間事業者とその安全実績をどう把握しておられるのでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 共同調理場の直営等の状況につきましては、市町村が調理員を雇用している共同調理場が18施設、調理業務を民間に委託している共同調理場が9施設、このほかに民間施設で民間業者が調理している調理場は5施設です。各市町村において、プロポーザル方式または入札方式等により業者を決定しており、過去数年間に食品衛生法上の違反に係る行政処分を受けていないことなどの条件を設定することで安全実績を担保しております。
 県教育委員会では、各市町村教育委員会に対して、文部科学省の学校給食衛生管理基準に基づく衛生管理の徹底について指導しており、各市町村教育委員会では、この基準に定められた点検票により、委託業務内容に関する衛生管理の徹底が図られているかを定期的に点検しております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 これまでいろいろやってこられても今回の食中毒事件が起こったわけですから、ひとつその問題をもう一度再点検をしていただきたいと思っています。
 そこで、1つの問題ですが、今回は食材に原因があったことが明らかになったわけですが、ノロウイルス対策には幾つかの問題が考えられると思います。症状が出ていないけれどもノロウイルスを保菌している無症状の保菌者を事前にどう見つけるのかの問題です。普通の感染症は検便で保菌者が見つかるのですが、ノロウイルスの場合、特別な検便が必要で、それにかなりの費用がかかるといいます。こうした検便はどのくらい実施されているのでしょうか、また、回数をふやすために予算措置を検討されているのでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 文部科学省の学校給食衛生管理基準では、「検便は、赤痢菌、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌血清型O157その他必要な細菌等について、毎月2回以上実施すること」と規定されております。また、ノロウイルスによる感染症が地域で流行している場合や調理場内に感染が疑われる者がいる場合はノロウイルスの検便調査を行うこととなっており、各市町村において、ノロウイルス流行状況を踏まえ、必要に応じて検査を実施しているところです。また、県立特別支援学校では、ノロウイルスの感染が疑われる者がいる場合、検査を実施しております。
 ノロウイルス検査の実施については、予算措置を含めて地域の実情を踏まえ、各市町村教育委員会が実施するものと考えております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 こうしたお金のかかる調査については、市町村の責任だということで任せておくんではなくて、予算措置も含めて県としても検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 そして、無症状の保菌者を見つけ出すもう1つの方法として、関係者に自己申告してもらう方法があります。
 家族にノロと疑わしい症状があった場合は、申し出ていただいて休んでもらう。ところが、現在の給食調理員の給与体系の場合は、休めば給与がなくなる場合があります。休まなくてはならない期間が1カ月にも及ぶという場合がある。そうなると、少し気になっていても、まあ心配ないだろうと自分に言い聞かせるというのがよくあることです。安心して自主申告で休んでもらうためには、安全のための休暇中は休業補償をするということも必要ではないかと思いますが、教育長、いかがでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 市町村の給食施設における給食調理員につきましては、各市町村での雇用となり、給与体系等も市町村の規定によるところであります。また、調理業務を委託している場合の休業補償については、市町村が委託業者と契約している内容であり、その契約の範囲で対応することとなっております。
 なお、県立学校における給食調理につきましては、賃金職員として雇用されており、勤務実績に応じた支給となっております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 県立校でも、あるいは委託されたセンターでも、給食調理員は大抵勤務実績に伴う給与体系というふうになってる。そうすると、どうしても人情として、ちょっと心配だけども、まあ大丈夫だろうと自分に言い聞かせる、よくありがちな話だと思います。今度こういうことが起こった際に際して、いろいろと検討もいただきたいと思います。
 学校給食は、できるだけ子供に近いところで調理することが望ましいと思っています。それは、リスクが大きくならないということだけでなく、地産地消、食育という面からも、身近なところで給食が準備されることが望ましいと考えるからです。財政的効率化のためにセンター化に走るんではなくて、各学校で調理する単独調理場の方向に近づいてほしいと思います。また、感染経路がわかるようにすることよりも、再発防止のための安全対策が大切だと思います。
 教育長は、今回起こった事態の教訓も含めて、今後どういうことを検討していかれるか、お伺いしたいと思います。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 調理場方式につきましては、設置者である市町村が給食施設の維持管理、栄養教諭等人員確保、食育や地産地消といった教育的見地など総合的に検討し、市町村の実情に応じた調理場方式を選択し、決定しているところです。いずれの場合においても、衛生管理の徹底等適切な実施について指導してきたところであり、今後も引き続き、安全で安心な学校給食の提供に努めるよう指導してまいります。
 また、県教育委員会では、再発防止のため、先日、市町村教育委員会給食担当者に対して説明会を開催し、今月末にも学校給食関係者を対象とした衛生管理研修会を開催する予定です。今後とも、各市町村教育委員会に対して、文部科学省が定める学校給食衛生管理基準に基づく衛生管理のさらなる徹底を図るよう指導してまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今回の問題は起こったばかりで、原因はわかりましたが、まだまだこれから考えなくてはならない問題がたくさんあるというふうに私は思っています。
 今までちゃんとやってますということだけじゃなくて、そして何かあったらとにかく職員を集めて研修、研修ということだけじゃなくて、やっぱりいろいろ予算的な措置も含めて、これからいろいろと検討していただきたいと思います。まだ事故は起こったばかりなので、これからも一緒に考えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、次の問題に入ります。
 外国から来た子供の教育というふうにテーマを、題をつけました。
 先日、海南市の中学校で、外国籍を持つ子供の教育を考える学習会が開かれました。昨年の4月に中国籍の男子中学生が転校してきたんですが、日本で再婚した母親が引き取って、日本で暮らしやすいとやってきたそうです。日本語は全く話せない。
 子供を受け入れなくてはならないと、校長先生は中国語の入門書とCDを買ってきて準備をして備えたといいます。海南市教育委員会も週に1回、人を派遣してくれました。しかし、十分な支援ができないままに中学生はだんだん元気をなくして、中国の父親のもとに帰ってしまった。学校では、日本で学びたいとやってきた子供を支え切れなかったという反省から、この学習会を開いたんだというふうにお聞きしました。
 こういう子供の中には、外国籍の子供も日本国籍の子供もいます。日本語を話せない子供、話せる子供、親が外国籍であったり日本語を十分話せない場合があります。そこで、「外国から来た子供」というふうに仮に呼んでおきましょう。
 和歌山市の繁華街に近いM小学校、外国から来た子供が11人います。中国4人、フィリピン4人、タイ3人。日本語がほとんど話せない中国から来た子供2人のためには、子供支援センターからのボランティアが週に1日来てくれるそうです。その近くのS小学校では、外国から来た子供は10人、韓国3人、アメリカ1人、タイ4人、フィリピン4人、日本語を話せない子供は2年生で1人、4年生で1人です。ここには県教育委員会から週に3日教員が派遣され、「特に国語の授業などは別室で指導してくれるので助かる」と校長先生は語っておられます。
 2つの小学校だけで外国から来た子供は23人です。どちらの学校でも子供はすぐに会話はできるようになるが、親との意思疎通が大変だという悩みを聞かせていただきました。7~8割が母子家庭です。「メールを送ることも多いのですが、メールの文字を読めない親がいる。防災メールなどの場合、心配だ」と校長先生はきめ細かい心配を語られます。
 そこで質問ですが、第1に、外国から来た子供の実態をしっかりつかむ必要があると思います。幾つの学校にどのくらいの人数の児童がいるのでしょうか、教育長にお伺いします。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 外国人児童生徒の就学については、国際人権規約等の規定を踏まえ、就学の機会を適切に確保するよう、各市町村において小中学校に入学を希望する外国人児童生徒を無償で受け入れるなどの措置を講じております。県教育委員会といたしましては、日本語指導が必要な児童生徒の状況を把握するとともに、市町村教育委員会からの外国人児童生徒の就学等に関する相談に対応し、支援を行っております。
 県内の日本語指導が必要な児童生徒については、平成28年5月1日現在、小学校21校に34名、中学校7校に12名在籍してございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 小中学校合わせて28の学校に46人ということでした。これは、日本語を話せない子供ということで県教育委員会も文科省も統計をとってるわけでして、私の訪問した学校でいいましたら、2つの学校に4人。ところが、私が申し上げる外国から来た子供という広い意味で言うと、4人ではなくて、23人いる。そして、親との意思疎通がなかなか難しかったり、学校ではいろいろな御苦労をしていらっしゃる。こういうことになるわけで、ですから広い意味でいえば46人ではなくて200人から300人という人数になるんではないかと思っています。
 そこで、こうした子供たちを支援するための県の教員の配置などはどうなっているのか。1つの学校には県から来てくれた先生が3日来ているという話を聞いてきましたけども、全県ではどうなっているのか。また、市町村教育委員会や子供支援センターからボランティアが配置されているようですが、どんなぐあいなんでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、本年度、国の加配を活用して、日本語指導が必要な児童生徒が多い和歌山市と田辺市に教員を1名ずつ配置しており、巡回指導を行うなどして、個別に日本語習得のための指導や各教科の学習内容が理解できるよう支援しております。
 市町村教育委員会においては、個々の状況に応じて支援員を配置したり外国語ボランティアを活用したりするなど、日本語習得のための支援やその児童生徒の母国語による支援などを行っております。また、日本語によるコミュニケーションが困難な保護者に対しては、学校の支援員やボランティアなどを活用し、意思疎通を図るなどの対応をしております。
 日本語指導が必要な児童生徒が在籍する学校においては、特別の教育課程を導入して、個別の学習や一斉授業の中で児童生徒に寄り添うなど、1人1人に応じた支援を行っております。今後、本県においても日本語指導が必要な児童生徒が増加することが予想されますので、国に対してさらなる加配の要望を行うとともに、関係機関との連携の強化を図ってまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 日本語を話せない子供はもちろんですが、親が十分日本語を話せない、しかし、学校生活の中で日常会話だけは何とかできるようになった、こういう子供たちの場合も含めて学力の問題は大変だろうと思います。こういう子供たちの学力の課題も分析しておられると思うんですが、どのような対応をしておられるんでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 全国学力・学習状況調査や県で実施しております学習到達度調査の実施に当たって、日本語指導が必要な児童生徒については、各学校の判断により、調査時間の延長や問題用紙へのルビ振りなど、ふだんの学習活動と同様の配慮を行うなどの対応をしております。
 県教育委員会では、児童生徒の調査結果を踏まえ、1人1人の学力の定着状況を把握し、補充学習を初め、個に応じた支援を充実するよう指導しております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私は一斉学力テストというものには批判的なんですが、その理由の1つは、平均点比べになっていて、平均点競争、和歌山の平均点が高い低いというようなそんな議論にばっかり行くのは大変気になるわけです。そういうことでなくて、こうした子供たち、課題を抱えた子供たちにしっかりと目を向けていただきたいと思います。
 そして次に、こうした子供たちが高校へ進学したいという場合があるんですが、高校に進学できるようにサポートする問題です。高校への進学状況はどうなっているのか。他府県では、国語、数学、英語の3教科入試を実施しているという話も聞くんですが、和歌山県の場合はどういうふうにやっておられますか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 日本語の理解が十分でない外国人生徒等で、特別な措置を講じて県立高校に入学した生徒は、平成27年度で1人、平成28年度で3人であります。
 入学者選抜の方法としましては、日本語の理解不足による不利な状況を補うため、問題や解答用紙の漢字へのルビ振り、試験時間の延長、母国語の辞書持ち込みなど、個々の状況に応じて特別な措置を講じ、対応しているところです。
 今後も、市町村教育委員会を通じて特別な措置が必要な志願者を把握し、1人1人の状況に応じた個別の措置で対応してまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 外国から来た子供たちというのは、これからもふえてくると思います。そして、何回も申し上げますように、教育委員会から言われるその少ない数字というのは、あくまでも日本語を話せない子供、そしてそうではない、いろいろな私が申し上げている広い意味での外国から来た子供というのも、やはりいろいろな面でのハンディキャップを抱えて、これから日本で生活していかなくてはならない。こうした子供たちをしっかりとサポートして、日本と彼らの母国の友好のかけ橋になってほしいと思うわけでございます。それで学校現場ではいろいろ御苦労されておられますんで、そんな御苦労をしっかりつかんで施策を充実していくようにお願いしておきます。よろしくお願いします。
 続けて、第4の問題、熊野川の濁水の問題について。
 一昨年の2月と昨年の12月に、この県議会でも地元の議員さんからそれぞれ取り上げていただきました。私たち共産党県議団でも、先日、土砂災害啓発センターの視察も兼ねて、熊野川、ダム視察を行い、ダム管理者のお話を聞き、新宮市の担当者、地元住民の皆さんと懇談をしてまいりました。
 熊野川に沿って車を走らせると、ダムから流れる濁水と北山水系からの清流がくっきりと分かれます。まず、地元住民の皆さんのお話を聞いて感じたのは、地元住民の熊野川への思いの深さ、この川を守る長い闘いの歴史でした。地元の方が持ち出されたのは、新宮川水質汚濁防止連絡協議会という団体が発行した昭和21年から昭和53年までの新聞切り抜き資料集でした。熊野の山林の管理と発電ダム建設をめぐって、熊野川と自然を守る立場から長い取り組みがありました。それが、平成23年の水害をきっかけにして濁水が深刻になっています。
 平成24年7月、国、県、ダム管理者、沿川市町村で構成される熊野川の総合的な治水対策協議会が設置されました。一昨年3月に濁水対策の平成33年までの計画・工程表がつくられています。しかし、新宮市当局を含めて地元の住民の皆さんには、本当に濁水問題が改善されるのだろうかという気持ちが大変強い。その後、濁水問題が解決されていないことを訴えられたのが、昨年12月の田辺市の議員さんの質問でした。知事からは、奈良県側の復旧のおくれが指摘をされました。
 そこで質問なんですが、治水対策協議会の計画・工程表の施策で実効ある対策ができるとお考えでしょうか。また、災害復旧でも、崩れた道路を復旧するという問題は、和歌山県側、奈良県側、三重県側、それぞれの都合に合わせて早い遅いがあってもいたし方ないと思います。しかし、川を守るための治山を含めた流域対策は、国が主導して治水対策協議会の責任でやらなくてはならないと思います。私には、それが見えてこないように思われるのですが、県土整備部長のお考え、見通しをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 熊野川の濁水への対策について御質問を頂戴いたしました。
 熊野川の濁水対策については、平成24年7月に国、三重県、奈良県、和歌山県、電源開発株式会社、関西電力株式会社及び沿川市町村から構成される熊野川の総合的な治水対策協議会を設置し、各機関において対策を実施しているところでございます。
 流域対策につきましては、平成33年度末を目指し、国土交通省や和歌山県等が洪水後の濁水の発生源となっている崩壊地対策や河道への土砂流出防止対策を治山、砂防事業で実施するなどしております。
 また、電源開発株式会社が実施するダムの貯水池対策については、洪水後には表層の清水層から取水できるよう、風屋ダムや二津野ダムに浮き沈みする濁水防止フェンスを平成27年度末までに設置するとともに、風屋ダムの取水設備の改造に着手しました。あわせて、洪水後の濁水早期排出と清水貯留期間の延長など、発電運用の改善にも取り組んでいるところでございます。
 これらの全ての対策が完了した場合においては、平成23年の紀伊半島大水害以前の状態まで濁度の軽減が図れるものと期待しております。引き続き、これらの対策を早期に完成させるとともに、その進捗状況、対策効果のモニタリングを関係機関と連携し進めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 できればいいなと思います。
 新宮市は、計画・工程表に加えて、先進地事例の研究と実践──風屋ダム濁水バイパスの設置──などを提案しております。「先進地とはどこですか」とお伺いしますと、「九州に一ツ瀬ダムというのがあって、親子ダムになっています」というお返事をいただきました。私は素人ですから、それが有効なのかどうかの判断はできませんが、濁水に悩む新宮市の提案であります。ぜひ、こうしたことも検討していただきたいと思いますが、県土整備部長、いかがでしょうか。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 新宮市から御提案のあった濁水対策への御提案について御質問を頂戴しました。
 議員から御指摘のありました先進地事例の研究等につきましては、熊野川の総合的な治水対策協議会において、既に新宮市から御提案があったことを承知してございます。
 この提案を受けまして、風屋ダムの管理者である電源開発株式会社からは、現在実施している熊野川の濁水軽減対策は、平成26年6月に設置された有識者等から成る熊野川濁水対策技術検討会において、全国の濁水長期化対策の事例も参考に、発生源や濁水長期化の要因分析及びダムにおける対策に関する技術的検討により取りまとめられた対策であり、まずはこれらの対策を早期に完成させるとともに、その効果の検証が重要と考えている旨、協議会において報告があったところでございます。
 県といたしましては、現在予定されている対策の実施とその効果の検証を行った上で、さらなる追加対策が必要となれば、熊野川の総合的な治水対策協議会において検討されるよう働きかけてまいりたいと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 よろしくお願いします。
 私は、さきに申し上げた地元の議員さんの質問も読み返させていただきました。それぞれ地元の住民の皆さんの強い思いがこもった質問になっていたなと敬服いたしました。
 しかし、問題解決への見通しが見えないことに、地元に皆さんはいら立っておられると思います。知事初め関係者の皆さんに、国への働きかけをしっかりと進めていただけるよう要望して質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、雑賀光夫君の質問は終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時55分散会

このページの先頭へ