平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。
 3月5日、昨日は啓蟄ということでありまして、虫たちも動き出すというふうなことで、いよいよ春がやってまいります。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らせていただきたいと思います。
 まず、持続可能な財政についてお伺いをしたいというふうに思います。持続可能な財政ということで、2つの視点で質問をさせていただきます。
 まず、中期行財政経営プランについてお伺いします。
 県では、長期総合計画の実現と将来にわたる持続可能な行財政運営の確保を両立させるという目的のため、このたび中期行財政経営プランを発表しました。対象期間は平成29年度から平成33年度までとし、ヒト(人員体制)、モノ(財産管理)、カネ(財政運営)について、今後の行政需要やリスクについて予見し得る限りの事情を考慮し、将来の道筋を立て、毎年の行財政運営を実施していくこととしています。
 私は、行財政改革の最も重要な点は、持続可能な財政運営に尽きると考えます。また、持続可能な財政運営とは、将来世代の選択肢を奪うことなく、次世代のニーズを満たしていくことと捉えています。
 そこで、今回は、この中期行財政経営プランについて、歳入や公債費などに焦点を当てて見ていきたいと思います。
 行財政を考える上で、歳出を抑えるということ以上に、歳入の見通しが大変重要なものと考えます。県税の動きを見てみると、平成29年度は平成28年度に比べ916億円と、30億円弱の減額となっていますが、平成30年度から平成33年度まで右肩上がりで増加する予測となっています。
 根拠となる名目成長率の政府発表は、実際には政府見通しを下回ることが多く、昨今の経済状況を勘案すると増加の根拠としては疑問を持っています。しかも、本県では特に人口減少という深刻な事態が待ち受けている中で、プランに示されている県税が本当に確保できるのか懸念されます。
 地方交付税、臨時財政対策債の額も平成24年度から減額されており、平成28年度の見込み額が1954億円で、税制改正の影響もあったと思いますが、結果は1901億円と50億円余りも低い額となっています。交付税の見込み額をほぼ横ばいと試算していますが、これも国の動向から考えて、維持されるかどうか大変疑問です。
 また、いわゆる貯金である財調・県債基金残高は、平成24年200億円だったものが鋭意努力され219億円になっていますが、この基金も見通しでは徐々に減額となり、平成33年度には153億円と示されています。150億円の水準は災害などに備え今後とも維持するとのことなのですが、最も不安になるのが通常債と臨財債の県債です。平成24年度から一貫して残高が増加しており、平成29年度は1兆355億円で、県民1人当たり104万円となっています。これが平成33年度には1兆681億円、本県の人口が減少していることを考えれば、県民1人当たりはさらに高額になることが予想されます。
 借金である公債費がふえるのに人口が減少するということを勘案すると、持続可能な財政運営をしていくために将来的に公債費が大きな負担にならないか、心配するところです。公債費の将来的展望について、総務部長にお伺いします。
 次に、ふるさと納税制度の現状と将来の見通しについてお聞きします。
 ふるさと納税の制度が創設されて約9年が経過しています。地方で生まれ育った方が自分のふるさとに貢献できるようにとの理念から生まれたものであります。
 総務省の説明によれば、3つの大きな意義があると示されています。まず1つは、納税者が寄附先を選択できる、2つ目は、生まれた地域、お世話になった地域を応援できる、3つ目は、自治体が国民に取り組みをアピールし、自治体間の競争が進むこととしています。しかし、9年経過した今、ふるさと納税の理念はどこへやら、返礼品の過当競争になっている現状です。
 政府は、平成27年度の制度改正で、住民税の所得割において寄附金控除の上限額をこれまでの2倍としました。また、寄附を行う自治体の数が5団体以下であれば確定申告が不要になる、ふるさと納税ワンストップ特例制度を創設しました。そういった国の後押しもあって、平成27年度実績で納税額が大きく膨らんだ自治体が幾つもあらわれました。
 住民の側から言うと、寄附した額から2000円を差し引かれ、その額全部が控除されると同時に各自治体から返礼品が届くので、大変お得な制度となっています。自治体側としては少しでも多く寄附してもらえるように返礼品の内容に凝るようになり、過度な返礼品競争が行われるといった状況です。
 しかし、実際、自治体が受け取る額は、ふるさと納税受入額から寄附金税額控除額を差し引いた額なので、各自治体に大きな差が生まれています。平成27年度実績で、例えば和歌山市、ここは1億3700万円の赤字であります。高野町は約3億6500万円の黒字であります。ちなみに県は、寄附額が5000万円、控除対象額が2億円であり、約1億5000万円の赤字となっています。控除額の75%は国から地方交付税として交付されるということでありますが、それにしても何のための寄附か意味がわかりません。
 これに加え、受取額から返礼品の費用を差し引きますので、赤字の自治体はさらに赤字ということになってきます。各議員さんの地方自治体も、いろんな差が出ているというふうに思います。
 ふるさとを応援しようという最初の趣旨はどこへやら、返礼品につられる某ネットショッピングのような状態になっているのです。おかしな制度と言わざるを得ません。しかも、それに係る自治体の事務作業は膨大なものになりつつあり、労多くして益なし、益なしどころか損という自治体があります。
 行政は、市民、県民から納められた大切な税金を使い、質の高い行政サービスを提供するのが本旨であります。よそより少しでも多くの寄附金を集めるために奔走する姿は、間違っていると思います。
 そこで、総務部長に、このようなふるさと納税制度の現状をどのように受けとめているのか、所見をお伺いします。また、今後の見通しについてもお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
 総務部長浦上哲朗君。
  〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) 議員から2点御質問いただきました。
 まず1点目、公債費の関係でございます。
 議員御指摘の県債残高のうち臨時財政対策債に関しましては、その全額が地方交付税に算入されますので、これを除いた実質的な県債残高につきましては、平成33年度末で6795億円と見込んでございます。ここ数年の県債残高とおおむね同規模でございますので、直ちに財政運営に支障を及ぼすものではないというふうに考えております。
 しかしながら、毎年度の償還につきましては義務的な経費でございますので、そのことを踏まえまして将来の中期的な財政収支見通しを立て、中期行財政経営プラン素案に基づき持続可能な財政運営を目指すこととしてございます。
 今後の財政運営においても、決算剰余金を活用した繰り上げ償還や、退職手当債を初め地方交付税措置がない県債発行額の縮減を図るなどして、将来の公債費負担の軽減に努めてまいります。
 2点目は、ふるさと納税でございます。
 ふるさと納税制度は、地方公共団体へ寄附した場合、2000円を超える金額について、一定額を上限として所得税と住所地で課税される個人住民税の軽減を受けることのできる制度でございまして、その目的は、自分を育ててくれたふるさとへの感謝や恩返しへの気持ちを具体化させるものだというふうに認識してございます。
 本県にとっても、この制度は、ふるさと和歌山への愛着と誇りを持つ方々とのネットワークの形成に役立てること、それから、地方と都市の税収格差を少しでも是正できるという観点から有意義な制度であると考えておりまして、平成20年度にふるさと和歌山応援寄附制度を創設し、現在運用しているところでございます。
 このふるさと納税制度の現状につきましては、議員御指摘の返礼品の問題、それから、ふるさと納税による住所地団体の減収の問題などがあることは承知してございます。特に返礼品につきましては、ふるさと納税制度が寄附金控除制度の特例でございますので、返礼品のために寄附をする仕組みになっていないことから、換金性の高いものですとか高額なもの、それから寄附額に対し返礼割合が高いものは、返礼品のために行う寄附ではないかというふうな誤解を与えますので、不適切であるというふうに考えてございます。
 一方で、ふるさとのために寄附をした方に対して寄附を受けた側が感謝の気持ちをあらわすと、そのために返礼品を送付することは、節度ある範囲であれば、人的ネットワークを維持するためにも必要なことであるというふうに考えてございます。
 本県では、ふるさと和歌山応援寄附制度により応援をいただいた方々に対する感謝の気持ちとして、プレミア和歌山の中から寄附者に選択していただく梅干しなどの特産品をお礼の品としてお送りしてございます。
 ふるさと納税制度につきましては、現在、国においても改善策等の検討がされておりますので、その動向について注視し、今後とも適切に対応してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 ふるさと納税制度については、以前、多田議員のほうも質問されておりまして、そのデメリットとして都道府県は寄附が集まりにくいと、まさしくそのとおりになっております。また、都市部などから不満の声が聞かれているようであるというふうな指摘もされておりました。まさしく、そういう状況になっているようであります。
 ふるさと納税に熱心な自治体は多いんですが、本来なら他の自治体に納められるであろう税を自分のところに持ってくるというような仕組みになっています。国においても改善策を検討されているということでありますので、今後の動向について注視したいというふうに思います。
 次の質問に移りたいと思います。
 男女共同参画社会の実現についてお伺いしたいと思います。これは一問一答でお願いしたいというふうに思います。
 男女共同参画社会の実現、まず女性の参画についてです。
 県においては、男女共同参画推進条例が平成14年4月1日から施行され、15年が経過しています。15年が経過しているにもかかわらず、女性参画がなかなか進まないというのが実感であります。
 世界経済フォーラムが、毎年、男女平等ランキングというものを発表しています。経済的参加度、教育達成度、健康と生存、政治的エンパワーメントの4部門でそれぞれランキングを示しています。日本は、昨年の101位から本年は111位とランキングを下げました。144カ国の中の111位です。これは、G7諸国とロシアを含む先進8カ国の中で断トツ最下位の結果となりました。
 日本は、読み書き能力、小中教育、平均余命の分野では世界1位なんです。でも、賃金、政治家、経営管理職、教授、専門職、国会議員では100位以下、それ以外も50位を超えるランキングは1つもないという結果になっています。
 この1月に、内閣府の男女共同参画局が全国女性の参画マップというものを公表しました。お手元の資料でございます。これを見ていただきますと、これによると本県の女性参画の状況は、県議会における女性の割合が7.1%、3人ですので30位、県の地方公務員採用試験、大卒程度の採用者に占める女性の割合が25.3%で38位、県の地方公務員管理職に占める女性の割合が4.4%で46位、県の審議会の委員に占める女性の割合が23.2%で47位、県の防災会議の委員に占める女性の割合が3.9%で43位と低迷しています。市町村の男女共同参画基本条例の制定も、上富田町と橋本市で制定されましたが、なかなか進んでいないという状況であります。
 和歌山県のランキングも、経済フォーラムの示す順位を裏づけるものとなりました。特に、県の管理職の割合が最下位からブービー、2番目であり、審議会委員の割合は最下位、防災会議の女性割合が最下位から5番目と、それぞれの割合が低いのですが、順位も低迷しているということです。
 このような結果を踏まえ、女性参画についての知事の所見をお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 少子高齢化、人口減少が進む本県にとって、性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮してもらうことが重要であり、経済を初めとするあらゆる分野への女性の参画は、社会の多様性と活力を高める大きな力になると考えております。
 このため、本県では、男女共同参画基本計画に数値目標を定め、さまざまな施策を総合的、計画的に推進してきたところであります。その結果、人々の意識を初め、さまざまな分野において男女共同参画は徐々に進んでいると思いますけれども、まだまだ目標に届いていない分野があるのが現状であります。私としては、その原因分析を行って、解決に向けて一層取り組んでいきたいと思っております。
 これまでの分析から、女性の参画が進まない原因は、仕事よりも家庭生活を重んじて人生を送りたいという人生観の問題というのはあるかもしれませんが、それは別として、それ以外に改善すべきものとして、主に次の3点があるというふうに思います。
 1つは、採用や昇進、賃金等雇用の場に現存する男女格差、次に、結婚、子育てをする女性の就業を支える環境の未整備、そして、出産等を機に退職した女性の再就職を支援する環境の未整備、こういうことだというふうに思っております。
 このため、来年度は、これまでの施策にもちろん加えまして、女性の参画が進まない要因に対する新たな政策を上記原因別に進めてまいりたいと思っております。具体的には、女性が安心して働くことのできる環境整備に率先して取り組む企業、団体を組織化する女性活躍企業同盟、それから、社員の結婚や仕事と子育ての両立を支援する企業を応援する結婚・子育て応援企業同盟、女性等の再就職を支援する本県独自の取り組みの構築などでございます。
 今後も、働く場における女性の活躍を促進するとともに、あらゆる分野における男女共同参画を一層推進してまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁ありがとうございます。
 知事は、この間の3月2日の山下議員の長計のときにも、女性の多様な働き方を支援するという、女性が活躍できる環境整備を進めていくというふうに述べておられます。県庁におかれても、民間に率先して女性が活躍できる環境を整備するために、管理職の比率を高めていただきたい。来年度にはぜひとも、その県議会のひな壇に女性がぜひとも登壇されることを期待しておりますので、要望いたしておきます。
 次に、今の答弁の中にもあったんですが、いろんな就労の問題についてちょっとお伺いしたいというふうに思います。女性の就労についてちょっとお伺いします。
 女性の就労状況を総務省の労働力調査で見てみると、年齢階級別就労形態では、正規雇用では25歳から29歳がピークとなり、それ以後は非正規で働くことが主となっています。
 年代別では、2000年前半を境に正規雇用は減少傾向でありますが、非正規雇用の割合が増加をたどっているという結果になっています。すなわち、27年度の調査では、女性の給与所得は100万円以下が16.5%、200万円以下を合わせると42.6%が低所得という状況になっており、高額所得者層も若干ふえているんですが、全体としては低所得者層が多いという傾向、労働の二極化が進んでいるということが言えると思います。
 就労状況を裏づけるように、結婚をし、第1子の出産を機に約5割の方が退職しています。三菱UFJリサーチの調査によると、退職された方の39.4%、約4割が自発的にやめたとしていますが、勤務時間が合わない、職場に両立を支援する雰囲気がなかったという理由で26%の方がやめられておりますし、それに、解雇・退職勧告されたという理由で9%の方がやめているという状況です。
 そこで、商工観光労働部長に、県における女性の継続就業に向けた支援についてお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によりますと、平成22年の調査では約6割の女性が第1子の出産を機に退職していましたが、平成27年の調査では約5割となり、育児休業制度利用者の割合が増加するなど、徐々にではありますが、女性が継続して就業できる環境が整ってきております。
 こうした流れを確かなものにするため、経営者、被雇用者双方の理解や意識改革がより一層進むよう、県では、経営者や人事労務担当者を対象にセミナーや出前講座等を実施し、仕事と家庭が両立できる職場環境づくりに向けた働きかけを行っているところです。加えて、社会保険労務士を企業に派遣し、両立支援のための就業規則の見直しなどについて、助言、指導を行っております。
 また、仕事と子育てを両立しながら頑張る女性や、両立支援に積極的な企業の取り組み事例等を女性応援サイト「ハッピーワーカー」やパンフレットを使って広くPRをしております。
 国においても、育児短時間勤務制度や子の看護休暇、育児休業取得者の代替要員の確保や復帰支援など、両立のための制度や助成金の充実が進められており、引き続きこうした制度も積極的に活用して女性の継続就業を促進するよう企業に働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 国においても、さまざまなそういった制度が用意されています。でも、中小零細の企業が多いこの和歌山県では、経営者が知らないということもよくある話なので、しっかりと働きかけていただきたいと思います。また、経営者と被雇用者双方の理解と意識改革への取り組みをしているということで、期待をしております。
 しかし、継続を望みつつも事情によりやむなくやめてしまった場合は、再就職を望んだとしても非正規やパートでしか就職先がないという現状、これがあるわけです。
 そこで、女性の再就職支援に向けた取り組みについて、同じく商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 女性を中心に再就職を強力に支援するため、平成29年度の新政策として、和歌山再就職支援「就活サイクル」プロジェクトを実施することとしております。
 高校生や大学生等新卒生には、求人・企業説明会、採用選考、内定等年間のスケジュールが決まっていますが、再就職やUIターン就職の場合には決まったスケジュールがないため、就職活動をスムーズに進められない人が多くいます。
 県では、再就職を希望する人が就職しやすいよう、新卒採用と同じような年間を通した就活サイクルを新たに構築することとしました。具体的には、年度初めに広報媒体や経済団体等を通じて、このサイクルを広く県民に知ってもらいます。7月からは、企業や女性等にこのサイクルを使った採用活動、企業活動への積極的な参画を呼びかけます。その後、10月から企業情報や求人情報を情報誌やホームページ等でPRし、2月に県内3カ所で再就職を応援する企業合同説明会を実施し、各企業でも積極的に採用選考を行ってもらい、4月からの就職につなげたいと考えています。
 また、このサイクルをより効果的なものにするため、再就職を応援する拠点として、ジョブカフェわかやまの機能の拡充、個別相談やセミナー等により、再就職に向けた意欲やスキルを高める支援も行ってまいります。
 こうした2月を採用強化月間とする和歌山独自の就活サイクルを構築、定着させることで、再就職しやすい和歌山県の雇用環境を創出し、女性の再就職を支援してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 来年度の新しい事業、就活サイクル。これは、周知が大変重要だと考えておりますし、期待される施策でありますので、ぜひとも成功するように取り組んでいただきたいというふうに思います。
 最後にもう1つ、女性の視点ですが、女性活躍推進の施策のもとで、子を産み、働き続けて管理職になる女性のロールモデルが脚光を浴びる一方、非正規で働き続ける女性たち、中でもシングル女性の存在が浮かび上がっています。
 横浜市男女共同参画推進協会では、非正規職で働くシングル女性を対象に調査を行いました。非正規で働くシングル女性の6割が不本意非正規で、7割が年収250万円以下という結果が出ました。35歳から44歳までの壮年シングル女性の非正規労働者数は年々増加しており、10年で3倍以上ふえているという結果もあります。本県でも、フルタイム就労に近い働き方をしている非正規シングル女性は、増加の傾向にあるのではないでしょうか。
 非正規で働くシングル女性の実態はどうなっているのか、社会問題となっているシングルマザーの貧困の問題をどう解決するのか等々、女性を取り巻く全ての根っこは同じであると考えます。少子化の時代、女性には子供を産んでほしいと望み、産み育てる環境を整えないまま女性を都合よく働かせて平気な社会の問題が大きいと考えます。
 そこで、商工観光労働部長にお伺いします。
 女性全体の就労実態は、正規雇用が横ばいであるのに非正規で働く女性が増加しているという状況で、非正規職女性に対する支援にどのように取り組んでおられるのか、お伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 平成28年に総務省が実施した労働力調査では、雇用者に占める非正規雇用労働者の割合は、男性の22%に対し女性が56%と高く、また、厚生労働省が実施した平成28年賃金構造基本統計調査では、所定内給与額について女性は男性の約7割と、女性を取り巻く雇用環境は依然として厳しい状況となっております。
 そのため、非正規で働く女性に対しても、正社員化など待遇改善が図られるよう支援していく必要があると考えております。
 国においては、事業主に対し、有期契約から正規雇用に転換等した場合に対象労働者1人当たり60万円を助成する制度や、賃金に関する規定等を改定し増額を行った場合に助成する制度などを設け、非正規雇用労働者の正社員化など待遇改善への取り組みを強化しております。
 本県におきましては、こうした制度とあわせ、価格転嫁が進み、中小企業が適正な収益を上げ、人材確保や待遇改善にコストが十分かけられるよう、国や産業界に対して価格転嫁を働きかけているところです。
 また、人手不足が顕在化する中、企業が成長を続けるためには、優秀な人材の確保や社員の意欲、能力を高め、生産性を向上することが急務であることから、引き続き、正規雇用の拡大や非正規雇用労働者の正社員化などの待遇改善を企業に働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 実際のところ、どのくらいの事業所でそういうことが活用されているかどうか、県としてもその辺はこれからは把握する必要があるというふうに思います。経営者側へしっかりと働きかけを行っていただいて、1人でも多くの女性が安心して生活できるよう取り組みを進めていただきたいと要望いたします。
 次の質問に移ります。部落差別の解消の推進に関する法律について、幾つかお伺いします。
 昨年の12月16日に、部落差別の解消の推進に関する法律が施行されました。「この法律は、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識の下にこれを解消することが重要な課題であることに鑑み、部落差別の解消に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、相談体制の充実等について定めることにより、部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現することを目的とする。」と明記されています。
 この法律では、部落差別は許されないものであるとの認識が示され、部落差別のない社会を実現するという画期的な内容となりました。
 法律の中にも示されているように、情報化の進展に伴い、部落差別に関する状況に変化が生じています。すなわち、部落差別は、インターネットの中で新たな差別を生み出し続けています。
 一昨年に質問をさせていただいた電子版「部落地名総鑑」は、収束するどころか、インターネットで「同和問題」、「部落問題」と検索すると「部落地名総鑑」がトップに出てきます。また、検索した「同和問題」、「部落問題」の検索結果は、差別的情報が圧倒的多数を占めています。
 また、多数の方が利用しているグーグルマップを使って同和地区の所在地が地図化され、ストリートビューを利用して御丁寧に近隣の風景もその場にいるように見られます。また、同和地区に多いと言われる1万人分以上の名字、姓が公開されるなど、誰でも気軽にネットで身元調査が可能である仕組みがつくられています。
 また、コピーサイトで拡散され、類似品が発売されています。発売している示現舎には10万件余りのアクセスがあり、閲覧することで検索上位に位置づけられ、差別を収入につなげている状況になっています。
 このように、インターネット問題を放置してきたことで、差別の限りない拡散と再生産を生み出しているという現状が、私たちの目の前にあらわれています。これらのことが、社会の中でどのような影響を与えているのでしょうか。
 まず、学校現場においては、関西の大学生が友人や恋人、自分自身の身元を調査したという事例、四国・関西地方の中学生が地元の同和地区を検索した事例、関西地方の中学生が学校で「やくざの7割は部落民」などの発表を行ったという報告があります。不明な事項を調べるためによく利用されるヤフーの知恵袋を使い結婚調査、土地調査を行っている事例や、行政への問い合わせ差別事件にもつながっています。誰もが気軽に利用できるインターネットの怖さを感じるとともに、心底怒りを感じます。
 部落差別の解消の推進に関する法律ができましたが、インターネットでの差別は減少するどころか、誤った知識が拡散し、新たな差別を生み出している状況です。
 そこで、インターネット上のこのような事態は放置しておけないと考えますが、知事の所見をお伺いします。
 さらに、インターネット上の差別事件に対する県の取り組みについて、また、部落差別の解消の推進に関する法律を受け、県として具体的施策について企画部長にお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私も放置できないと思います。
 県におきましては、人権尊重の社会づくり条例に基づき人権施策基本方針を策定し、この基本方針に沿って、国や市町村等と連携して同和問題の解決を目指し取り組んでまいりました。しかしながら、インターネット上に同和地区と称する地名を書き込むなど、差別を助長、拡散させる情報が多数流布していることは承知しておりまして、こうしたことは絶対に許されないものであり、強い怒りを覚えております。
 このようなインターネット上における人権侵害の状況も踏まえ、被害者救済のための実効性のある法制度の早期整備を県議会とともに国に対して求めてまいりました。
 こうした中、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じている中で、部落差別は許されないものであるとの認識を明示して、昨年12月に部落差別の解消の推進に関する法律が制定されました。
 インターネット上の人権侵害は、部落差別はもちろんのこと、ほかにも人格、人権を傷つけるようなものがたくさんありまして、本県でなく全国的な課題であり、本法律の制定を機に、インターネットに関するこのようなよからぬことを規制する法制度を整備するなど、国が責任を持って対応すべきと考えており、これからも国に対して強く働きかけていきたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 企画部長高瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) まず、インターネット上の差別事件に対する取り組みでありますが、県といたしましては、インターネット上での差別的な情報について、通報を受けたり発見した場合は、被害者への助言や、法務省と連携してプロバイダー等へ削除要請を行っているところでございます。また、同和問題を正しく理解していただくとともに、情報モラルや情報リテラシーを持ってインターネットを利用するよう、関係機関と一緒に県民の皆様への教育啓発を引き続き行ってまいります。さらに、インターネット上での本県にかかわる差別的な情報について現状把握を行い、国に対して働きかけていく材料といたします。
 次に、法律成立を受けての施策についてでございますが、県においては、法律成立後、直ちに県ホームページや「県民の友」等を活用して法律の周知に努めてまいりました。また、これまでも県民からの相談への対応や教育啓発に取り組んでまいりましたが、相談体制の一層の充実に向け、改めて県や市町村の担当職員が相談に的確に対応できるよう研修を実施したところであります。加えて、市町村に対しても、法の趣旨を踏まえた取り組みを強く働きかけてきたところです。
 今後とも、国や市町村等と連携しながら、相談業務や同和問題に対する正しい理解と認識を深めるための効果的な教育啓発活動に、より一層取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 インターネット上の人権侵害については、インターネットに関する法整備をするなど、国に対して強く働きかけていくというふうな答弁であります。
 県としては、これまでもこの「部落地名総鑑」は許されないこととして、取り組みを進めてこられたんですよね。同じように、身元調査を行うことを可能にしたこのインターネット版の地名総鑑、これを放置することはもう絶対許されないというふうに思うんです。
 県として、許すことのできないという差別事案として、「部落地名総鑑」を掲載しているサイトについて法務省の関係機関を通じて削除要請しているというふうに聞いているんですが、削除には至っていないというふうな現状で、一刻も早く削除していただきたいと思うんですが、なかなか削除に至らないというので腹立たしい思いをしています。
 本県にかかわる差別的な情報について現状把握を行うというふうにしていただいていますので、これについても迅速に確実に実施していただくように、あわせて要望しておきたいと思います。
 次の質問に行きます。最後の質問で、これまでの施策の検証を踏まえた英語教育のあり方についてお伺いしたいと思います。
 一昨年、これも前に質問さしていただいたんですが、外国語教育、次期学習指導要領には、目標として、外国語によるコミュニケーションにおける見方、考え方を働かせ、外国語による聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの言語活動を通しコミュニケーションを図る基礎となる資質、能力を養成することを目指しているというふうに目標になっています。
 文部科学省は、この目標に向かって外国語教育をするため、平成25年にグローバル化に対応した英語教育改革実施計画を公表し、その計画に基づき支援を進めてきました。しかし、その結果が思わしくないとのことで、平成27年度、新たに生徒の英語力向上推進プランを作成しています。ここでは、義務教育段階で中学生の英語4技能を測定する全国的な調査を実施し、その結果を公表、英語力の向上のための資料としたいとしています。文部科学省としても、4技能の取得が思うように進まないことの要因を考え、対策を考えたいとのことだと推察いたします。
 県では、英語力向上のため、国に先んじて中学校3年生全員に、公費で公益財団法人日本英語検定協会が実施する実用英語技能検定、いわゆる英検を受検させました。
 私は一般質問においてその意義についてお尋ねをしたところ、教育長は、生徒自身が中学校教育を通して、聞く、話す、読む、書くという4技能がどの程度定着しているかを確認することや、英語受検を目標として意欲的に英語教育を進めることで、英語に対する興味を高めたり、わかる喜びを実感したりすることと考えているとの御答弁でした。また、英検の結果分析をもとに、学習状況の報告を活用した授業改革を進めることで、英語力の一層の向上につながるという教育的効果が期待できますとのことでありました。
 英検に限ると、国では中学3年生で3級、高校生で準2級から2級が50%を達成させたいとしています。県では、この英検のテストをもう2回実施しています。教育長のおっしゃられた4技能の定着や英語に対する意欲はどうなったのか、受検結果はどうかなど、実施状況を教育長にまずお伺いしたいと思います。
 外国語教育に対しては、外国語指導助手、いわゆるALTの採用があります。高校では1億2460万円の予算をつけて、この外国人指導講師31名を各高校、特別支援学校に派遣をしています。小中の外国語指導助手は市町村に任されており、市町村の考え方や取り組みに委ねられているという状況です。
 この外国語指導助手は、実践的な英語に触れさせる、英語によるコミュニケーションの機会をつくるなどを目的に配置されているのですが、あくまでも補助的な役割であり、外国語指導助手が主体となって授業を行うことはないというふうに聞いているんです。
 また、生徒は、高校では学年で週1回1時間程度、小中では2~3週間に1時間程度の授業を受けているようです。外国語指導助手は、1日2~3時間の授業を受け持っています。この仕事の取り組みにも大きな格差があると聞いてるんです。クラブ活動に参加していただいたり、放課後生徒と交流を持つなど、熱意を持って仕事に取り組む外国語指導助手さんもいれば、ただその時間に来て、それで帰ってしまうという指導助手さんもいるとのことです。
 指導要領が改訂され、平成32年度には小学校5・6年生に外国語が教科として週2時間しなくてはいけない、3・4年生は外国語活動として週1時間授業が行われるということになりました。小・中・高を通じて体系的な取り組みが求められてきています。
 外国語を学ぶ一番の意義は、多文化を理解し、他者との関係をより深める、広げるツールを獲得することだと思います。そのためにも、読む、書くだけでなく、聞く、話すといった技能が求められていますが、日本人は、高等教育で英語を学んでも話せないとよく言われます。せめて日常会話ぐらい、聞いて話せる力をつけさせたいというふうに思います。指導要領でも4技能を習得させるとあります。これまでの外国語教育をこのまま続けていていいのか、検証すべき時期に来ています。
 そこで、次期学習指導要領が実施される平成32年度に向け、これまでの英語教育の施策を検証し、これからの英語教育を創造していく必要があると考えますが、教育委員会として、今後どのような考え方で、どのように取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 1件目の英語検定についてですが、県教育委員会では、平成27年度より、公立中学校3年生を対象に、意欲的に英語学習を進めることを目的にした日本英語検定を学習指導に導入いたしました。昨年度の結果を見ますと、3級以上を取得している中学校3年生の割合は31.8%となり、全国平均18.9%より12.9ポイント上回りました。
 2年目である今年度の受検状況を見ますと、3級より上位級である準2級や2級などの受検をする生徒が昨年度より増加しており、本事業の実施目的にある生徒の英語学習についての意欲の向上にもつながってございます。さらに、英語の授業においても、生徒の英語による言語活動の割合が増加するなど、聞く、話す、読む、書くの4技能を育成するための授業改善につながっているものと考えてございます。
 次に、今後の英語教育のあり方についてですが、現在、小学校では、英語を聞いたり話したりすることを通じて、英語の音声や基本的な表現になれ親しませることなどを目標として、5・6年生で外国語活動を実施しております。平成32年度からは全ての小学校で次期学習指導要領が完全実施され、現在5・6年生で行われている外国語活動が3・4年生で行われ、5・6年生においては新たに外国語が教科となります。教科としての外国語では、自分の気持ちを英語で伝え合う対話的な活動などを取り入れた授業が行われることになります。
 県教育委員会では、次期学習指導要領の実施に向けて、平成27年度より4年間で、全ての小学校の英語教育の中核となる教員及び中・高等学校の英語科教員を対象に、英語指導力の向上を図るための研修を行っているところです。
 さらに、正確な英語の音声や表現に触れるため、本物の英語になれ親しませる機会が一層必要となり、外国語指導助手の活用が重要と考えてございます。県教育委員会といたしましては、国の動向を踏まえながら、各市町村教育委員会に対して、外国語指導助手の重要性や効果的な活用法について指導してまいります。
 今後も、小・中・高等学校で一貫した英語教育の推進を図り、聞く、話す、読む、書くの4つの技能をバランスよく見につけるとともに、児童生徒が英語を使う楽しさを感じられる授業を実施できるよう取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 公費で全員に英検を受検させるということについては、私は前にいかがなものかと言わしていただいたんですが、メリットもあると思います。でも、デメリットも、できない子にとってはちょっと、すごくハードルが高いんじゃないかなあという気持ちもしておりまして、ぜひとも生徒が英語に対して、やっぱり楽しく学べる、意欲を持って取り組める、そういったことを進めていただきたいというふうに思います。
 次期指導要領で、今、教育長がおっしゃったように、外国語が本当に教科として2時間も入ってくる。総授業数がすごくふえるというふうなことになっています。
 特に、やっぱり日本人は聞くこととか話すことがとっても苦手だというふうなことはもう皆さんおわかりのことだと思うので、ここをしっかりと学んでいただく、学ばせたいというふうなことでいえば、やっぱり外国語の指導助手がすごく重要なんじゃないかなというふうに思ってまして、小学校へ外国語指導助手を厚くしていただけたらなというふうに思います。この部分は、小学校、中学校は市町村ということになっておりますので、県としても、そのあたりを市町村に働きかけていただくように要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時49分休憩
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