平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


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平成29年2月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成29年3月6日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、
    議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、
    議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     日吉康文
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   岡本圭剛
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   大桑いく嗣
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       上坊 晃
 次長         西原龍也
 議事課長       中谷政紀
 議事課副課長     浜野幸男
 議事課課長補佐兼議事班長
            長谷哲生
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主査      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 16番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 改めまして、おはようございます。
 本日は3月6日。桃の節句も過ぎました。いよいよ、これから春らしくなってまいります。私は、今の季節が一番好きでありまして、休眠している命が生き返ってくる、これから成長に向けてどんどんと芽を出してくるという大変すばらしい季節であります。
 しかし、四季は夏になり、秋になり、また冬になりというふうに回転をいたしております。我が和歌山県も、今、人口減少ということで大変心配をしておりますけども、未来永劫ずっと減り続けるんではなくて、必ずやまた発展、人口がふえるときが来ると思いますし、そういうふうにしなければいけないというふうに思っております。
 例えば、紀伊半島沖にはメタンハイドレートがあるわけでありまして、私はこの開発の仕方によっては紀伊半島沿岸もアラブ湾岸のようになるんではないかというふうに思っておりまして、私は、これは決して夢ではなくて、必ず実現をしていくべきものだというふうに思っております。そういう視点で、私は県政に取り組んでおります。
 通告に従いまして、一般質問を行ってまいりたいというふうに思います。
 まず、データ利活用について5点質問いたします。
 最初は、新政策です。データ利活用の推進が今回の新政策に盛り込まれ、県データ利活用推進センターを来年4月に設置する準備経費や、シンポジウム開催費用などを合わせて約8000万円が新年度並びに平成28年度補正予算に計上されました。
 総務省の統計局移転、これは中央省庁移転の成功例として大いに期待しているところでありますが、具体的に何をするのか。また、これまでの取り組みについて、企画部長に伺います。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 昨年9月に策定した和歌山県データ利活用推進プランに基づき、日本のデータ利活用拠点を構築するため、和歌山県データ利活用推進センター──仮称でございますが──の開所に向けた整備や重要性、有用性を全国に発信するためのシンポジウムの開催、高校生、大学生等を対象としたコンペティションの実施等に取り組みます。
 また、エビデンスに基づく行政を推進するため、公募型研究事業を実施するほか、県内産業の活性化を図るため、地域経済分析システム(RESAS)等のさまざまなデータによる企業支援や企業向けセミナーの開催にも取り組んでまいります。
 さらに、県民の統計リテラシー向上のため、小学生向け統計データ利活用冊子の作成や教員向け統計教育研修の実施に取り組むなど、全庁を挙げて産学官全てにおけるデータ利活用を推進してまいります。
 なお、これまでの取り組みにつきましては、和歌山県統計大会や小中学校向け出前授業を開催するとともに、本県の取り組みに対して助言をいただくため、近畿圏及び全国の有識者とのネットワークを構築したほか、来年度実施する事業の準備等についても鋭意進めてきたところです。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、大学についてであります。
 経産省は、人工知能やIoTによるトータルの経済価値は、将来、日本経済の4倍もの規模になると予測しています。物づくり分野だけでも、日本のGDP4.1兆ドルに匹敵する3.9兆ドルもの変化が起きるそうです。
 そして、現在進行する第4次産業革命において日本が世界をリードしていくためには、出おくれたバーチャルデータ分野よりも日本が強い分野、すなわち個人の健康データや車の走行データ、工場の稼働データといったリアルデータの分野に特化し、日本の社会と企業の強みを生かして、集めたデータを社会にうまく還元し、課題解決ができれば、日本が世界のプラットホームになることも夢ではなく、データ利活用を社会課題の解決や新サービス創出につなげたいとしています。
 実は、本県も、統計局の誘致によりまして、今まさにその門口に立っているのだと思います。しかし、県で策定したデータ利活用推進プランが指し示す方向には間違いはありませんが、データ利活用が我が県にとって本当にありがたいものにするためには、大学の設置や産業化こそが必要だと考えます。プランには、その点が弱いのではないでしょうか。
 大学の設置については、県のこれまでの説明によると、和歌山大学でデータサイエンス人材の育成に向けた検討が始められているとのことでした。しかし、今春、既に滋賀大学にデータサイエンス学部が設置されました。私は、データ利活用は統計局の誘致で何となく他府県をリードしているのかと思っていましたが、どうも現実はそんなに甘くはありません。滋賀大学の新学部創設の新聞広告を見て目が覚めました。
 滋賀大学では、データサイエンスとは、社会にあふれるデータから価値を引き出す学問と規定し、ICT(情報通信技術)の進化した時代では、あらゆるビジネスや医療、教育、行政などにおいて、高度なデータ処理能力、データ分析力が必要となるので、そのスキルを身につける教育を行うとうたっています。
 そもそも大学は、単なる教育機関ではなく、研究者でもある教員が世界中から集まる研究機関、シンクタンクでもあります。同時に、全国から集まった優秀な学生を、卒業後も教員や研究者として、また一部は企業や役所への就職、みずから起業などで大学周辺に残させる人材定着機関でもあり、その人材が持つ技術や知識が発明、発見につながり、さらに産業振興につながる地域活性化機関でもあります。つまり、起業や産業が興る一番おいしいところが大学だと思います。この千載一遇のチャンスに大学をつくらずして何をするのかと申し上げたい。
 ちなみに、新長期計画には反省点として、本県の起業率が平成26年度で4.2%と全国最下位であったことを指摘し、その原因が県の努力不足だったと分析していますが、本当は本県には起業する絶対数が少ないからで、もっと突き詰めれば、起業する人材を養成する大学がないからだと私は思っています。
 県では、西日本、いや、日本のデータ利活用のメッカを目指すという高い目標を掲げていますが、それなら、大きな推進力となる大学や学部、学科はつくらないのでしょうか、企画部長に伺います。
○議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) データの価値や重要性がますます高まっている中で、データを高度に分析し、新たな価値を見出す学問であるデータサイエンスは、日本全体で今後ますます活用の場が広がっていくと考えられており、有望な分野であると見込まれます。一方、県が設置主体となってデータサイエンスに関する大学、学部、学科を新設することは、県財政に与える影響など、大変難しい課題があります。
 そのような中、本県としては、県内唯一の総合大学である和歌山大学に対し、データサイエンス教育の強化を働きかけてきたところであり、和歌山大学においても検討が進められていると聞いております。県といたしましては、今後も引き続き和歌山大学に対して強く働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、がんの最先端医療について。
 データ利活用は、あらゆる場面で進行しています。昨年11月、NHKでがん治療の革命として、国立がん研究センターなどで研究が進められているプレシジョンメディシンが紹介されました。
 プレシジョンメディシンとは、精密医療とも訳されますが、患者の遺伝子情報を解析してオーダーメードの医療を行うというもので、番組では、がん治療に苦しむ患者がプレシジョンメディシンを受けて、がん細胞の43%が縮小したという驚きの事例が紹介されていました。プレシジョンメディシンは、アメリカでは前大統領の時代から国家戦略と位置づけられ、最先端医療技術分野で世界をリードし、産業振興につなげるとともに、増大する医療費の削減を目指しています。
 さて、その際、遺伝子解析に用いられるのがAI(人工知能)であります。IBMが開発した人工知能システム・ワトソンは、過去の医療データや論文など膨大なデータベースの中から、患者に最も適切な治療方針や薬についての情報を提案してくれる大変便利なシステムです。まさにデータ利活用の最たるもので、去る2月5日の「読売新聞」によりますと、我が国でも公益財団法人がん研究会がこの人工知能を活用するプロジェクトを始め、2021年までに実用化を目指すとのことであります。
 このプロジェクトのように、がん治療の分野においてもデータ利活用が重要になっていますが、県として今後どのように取り組むのか、福祉保健部長に伺います。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) がんの最先端医療でのデータの利活用についてですが、がんに関する治療については、議員の御質問にありましたとおり、国立がん研究センターなどで遺伝子情報データを活用した治療法の研究が最先端のプロジェクトとして進行しており、その成果が期待されるところです。今後、人工知能に関する研究が進めば、がん治療に係るデータの利活用はさらに促進されると考えており、その動向を注目してまいります。
 一方、県におけるがん対策としましては、がん登録等の推進に関する法律に基づき、平成28年1月から、全ての病院からがんの罹患に関する情報を収集しているところです。今後、がん登録情報が蓄積されることから、がん医療の質の向上等を図るため、医療機関等への情報提供を行うとともに、県においてもデータ分析を進め、効果的にがん対策に活用してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、宇宙衛星について。
 時に森林県と呼ばれる本県ですが、森林の様子は樹種、樹齢などに分けて森林簿により把握しています。しかし、長い期間にデータが微妙にずれてきており、全面改訂には、従来の測量方法では10億円以上もかかると言われており、今後は衛星によるデータ解析が期待されています。
 このような人工衛星を用いて宇宙から地球表面の情報を収集、解析する技術をリモートセンシングといいますが、今日では軍事目的以外にも気象など民生、科学目的でも幅広く利用されています。
 そして、その研究センターが本年2月9日、山口県に設立されました。山口大学応用衛星リモートセンシング研究センターであります。設立に当たり、同研究センターの三浦センター長は、衛星リモートセンシングを用いて地球規模のさまざまな課題に貢献していきたいとの抱負を述べました。
 同日、JAXA西日本衛星防災利用研究センターも山口県産業技術センターに設置されました。さすが総理を選出する県と思いますが、この仕事は宇宙基本法制定など、自民党の宇宙政策の責任者、河村建夫元官房長官の主導で進められました。開所式には、鶴保庸介大臣のメッセージが届きました。同様の衛星リモートセンシングセンターは、福井県にも設置の動きがあるそうです。
 本年は、国産GPSともいうべき準天頂衛星が3機打ち上げられ、4機体制になることから、24時間365日休むことなく、ビルの陰に隠れることもなく、5センチの大きさまで判別できる画期的な利用環境が整います。関連する地上の情報網である5Gの整備につきましては、今般、藤山議員が取り上げます。
 現在、本県では、衛星リモートセンシングは既に準備されており、国土交通省が和歌山大学災害科学教育研究センター・秋山演亮教授とともに、紀伊山地の山腹にセンサーを設置し、衛星通信により崩壊情報を収集し、深層崩壊を事前に察知すべく研究を進めています。
 そこで、本県でも、データ利活用政策の一環として、防災情報を初め衛星を通じて情報を収集するリモートセンシングセンターを和歌山大学などに設置すべきだと考えますが、どのような見解か、商工観光労働部長に伺います。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 議員御指摘の人工衛星を使ったリモートセンシング技術は、災害監視や森林管理など多くの分野においてその活用が見込まれている技術であり、本県においても同様の分野において活用が期待されるものと考えています。
 県では、これまで人工衛星等を利用した新たなビジネスの可能性を探るため、航空・宇宙分野の専門家である和歌山大学の秋山教授の協力を得ながら、航空・宇宙産業に関心を持つ県内企業とともに、産官学連携による勉強会を開催してきたところです。
 リモートセンシングセンターが県内に設置されることになれば、防災を初めとした多くの分野への活用が考えられます。さらには、その技術開発に県内企業が参画することができれば、新しい産業の創出にもつながるものと期待しております。これまでも航空関連産業の企業等の誘致を推進してきたところであり、リモートセンシングセンターを初めとした航空・宇宙分野の施設等の誘致や当分野の技術開発の支援についても、積極的に推進してまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今御質問申し上げましたようなデータ利活用はさまざまなところで進んでおるんですが、私は、そういったものを総合的に捉えた戦略が必要ではないかと思って知事に伺いたいと思います。
 1月20日、自民党県議団で重機メーカー・コマツのIoTセンタを視察し、スマートコンストラクションについてのお話を伺ってきました。
 工事現場をドローンを使って測量し、その3Dデータをコンピューターが読み込んで設計、積算し、さらにそのデータを読み込んだICTユンボやブルが工事を行うという、これまた画期的な工事方法で、新人でもベテラン技術者やベテランオペレーターと同様の土木工事を完成することができます。国土交通省は、新年度で技術の普及を目指し、スマートコンストラクションの工事を発注すると聞きました。
 現在、そのほかにもデータ利活用はさまざまなところで実施されております。新人のタクシードライバーがベテランドライバーと変わらない売り上げを上げることができた事例や、イチゴ農家の農作業の効率アップ、高齢者介護の現場などがテレビで紹介されました。
 さて、このような新しい潮流の中で、県では、今後のデータ利活用推進については先般策定した推進プランにより実施することとしていますが、昨年末の国会では官民データ活用推進基本法が成立し、都道府県に官民データ活用推進計画の策定を義務づけました。つまり、今後は全国的にデータ利活用は進むわけであり、全国と同じようなことをやっていたのでは、統計センターを誘致した効果が薄れるのではないかと心配します。むしろ、全国に先駆けて大学設置などの人材育成や研究者招聘、研究水準向上、新事業創出など、経済成長につながるような骨太の戦略が必要だと思いますが、知事の御所見を伺います。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 滋賀大学のデータサイエンス学部の話が提起されておりましたが、実は、私はあれを知ったときは大ショックでありまして、統計局の誘致を一生懸命やっておりましたんで、これは大変だというふうに、はっきり言って思っておりました。この分野の重要性に目をつけたのが、大学では滋賀大学、都道府県では和歌山県ということで、移転の審議のときに滋賀県が参入しておったら、ひとたまりもなかったなあというふうに思うところもあります。
 ただ、人頼み、大学頼みというわけにもいきませんので、大学にそういうものをつくってからということだったら、いつまでたっても時間がかかってしようがありません。したがって、現在の現有勢力の中で最善のことをやるしかないということであろうかと思います。
 そういう観点から、和歌山県データ利活用推進プランというのをつくりまして、いろいろ施策を中に入れております。
 特に、和歌山県データ利活用推進センター、これ名前が似てるのであれなんですが、「推進」がついておりまして、これは県の組織でございます。これは統計局の統計利活用センターを助けるものという位置づけでもありますけれども、この中に新たに研究者を招聘いたしまして、行政課題に関する研究とか、県内の高等教育機関におけるデータサイエンス人材の育成とか、あるいは民間企業等におけるデータ利活用の推進等に取り組むことなどをこのプランに書いてございます。
 それを実行すると。実行するんだけど、ばらばらに実行してるとなかなかぱっとしないので、このような組織と、それから新しく招聘された研究者、それから県からそこに派遣する若手を中心とする人材、そういうものが中心になって統計局を助けながら、和歌山県のこの分野の発展を図るということを今狙ってるわけでございます。
 データ利活用に関して、日本を代表する近畿圏と全国の有識者とネットワークを構築いたしまして、本県の取り組みに協力していただく体制は、これはもうつくりました。その中には、もちろん滋賀大学も入っています。さらに、自治体としては、これは初めてでございますが、独立行政法人統計センターとの連携協定を締結する方向で進めておりまして、少し今のところ全国に先駆けてこの分野について走っとるというのが和歌山県の現状ではないかと思います。
 ただ、おっしゃるように、この分野は、大変、言ってみれば最先端の部分、それからみんなが注目してる部分でございますんで、油断をしてるとあっという間に和歌山県だけがおくれてるということになったらいけないということでございます。したがって、定期的に取り組み成果の検証を実施し、施策の見直しとか新たな施策の立案等を行っていかなきゃいかんと思うし、そういう意味で、データ利活用の推進に関するさまざまな施策、そのうちの多くの部分は、今議員が挙げられましたけども、そういう点について幅広く検討して積極的にやっていかないといけない、そんなふうに思っております。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、人もお金もいろんなものが集まってくるのが大学だと思いますし、和歌山県の推進センターが、大学も含めていろんなものがどんどんと集まってくるような、そういうセンターになっていただいて、せっかく今はトップ近くにおりますから、このまま走り抜けられるようによろしくお願いいたしたいと思います。私たちも、ぜひ応援をさせていただきたいと思ってます。
 2つ目の大きな質問といたしまして、貿易立県という視点で4点質問いたします。
 まず、水産物の輸出について。
 昨日の自民党大会におきましても、安倍総理が地方創生の切り札として、引き続き農産物の輸出に力を入れていくとおっしゃっていました。まさに、我が意を得たりとの思いでありました。
 さて、私は昨年、県食品流通課、ジェトロ大阪本部のお世話で、香港、マカオの日本食事情を視察してきました。私の地元の協栄漁業の塩谷氏や松村氏が紀伊水道でとれるおいしいアジ、サバを輸出する研究を始めており、私も微力ながらお手伝いしたいと思っております。
 金持ち率世界第3位で、しかもほとんど輸入障壁がなく、ほぼ全ての食材が輸入されており、日本食が日常食になっている香港は、我が国の食品輸出の最大輸出国であり、どんな輸出業者もまずは香港から始めるべき登竜門のような大変ありがたい市場です。現在、中国経済の減速が心配されますが、香港の市場としての魅力は、今後いささかも失われることはないと聞きました。
 今回の視察は大変有意義で大いに勉強になりましたが、特に印象に残ったことが2点あります。
 まず1点目は、季節がちょうど秋だったこともあり、行く先々で和歌山県産の柿が出てきたことです。市場には県産のミカンも出回っており、知事初め食品流通課の皆さんの活躍の成果と、大いに感心した次第であります。
 もう1つは、マカオのIR、ギャラクシーにあるホテルオークラの日本料理店・山里の林料理長から、和歌山県産の新鮮な魚なら値段は気にしないので、どんどん送ってほしいとのお話をいただきました。京都出身の林さんは、来県されたことがあり、和歌山の気候や自然、文化を評価していただいた上でのお言葉かと思います。
 山里は高級かっぽうで、日本国内と同等の刺身などの料理が提供されています。私のこれまでの経験では、海外の日本料理店で出てくるのはサーモンばかりで、日本食ブームといっても、外国人は日本人が常食する近海物の本当のおいしい魚を知らないのではないかと感じています。近海物と同じ魚種は世界中でとれますが、海流が複雑に絡み合う海域でとれる旬の魚のおいしさは格別で、漁獲方法や締め方、流通方法などにおける我が国水産物のサプライチェーンは先進的で、ノルウェーは別にして、ほかではまねができない強みではないでしょうか。
 このおいしい日本の魚、和歌山の旬の魚を、四季を通じて世界の高級日本料理店に食材として、HACCPなど食品安全基準はもちろん、おいしさも脂肪分だけではなく、鮮度をあらわすK値、食味、食感などを考慮した供給体制ができないかと思います。
 水産物の輸出に関しては、有田市箕島漁港の成功例があります。地元の浅井議長のお話によると、10年ほど前からタチウオが韓国に輸出されるようになり、漁港で行われる入札価格が10倍に高騰し、市内の鮮魚店には出回らなくなったそうです。
 また、水産物の輸出は、このような価格効果だけではなく、輸出レベルの品質や流通などを目指すことで漁業者自身のレベルアップにつながり、国内への販売力強化にもなると思います。
 我が県は、県域の半分が海に面する海洋県です。水産物輸出に向けた県の漁業振興策について、知事に伺います。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘のように、和歌山県は良好な海域に恵まれ、多種多様で新鮮な水産物が水揚げされておりますけれども、近年、国内消費の落ち込みとか魚価の低下等により漁業者所得は低迷しております。このため、水産物の輸出にも取り組んでいくべきものだと考えております。
 輸出の場合、一番大事なことは、相手国の市場でどうやって流通システムをつくるかということであります。そのときに、日本側では輸出採算リスクをみずからとって手続をちゃんとする者、それから、相手国でも同じく採算やリスクをとってその産物を引き取って相手国の流通に乗せる者、この双方が要るわけであります。魚の場合は、農産物の場合以上に、さらに鮮度保持とか輸送コストなどがちょっと大変、それから天然魚の場合は、ちゃんと注文出しててもとれるかどうかわからんとかそういうことがありますので、いろいろな困難な点はあると思います。
 でも、農産物でも一生懸命やっておりましたら、まだ十分とは言えませんけれども、だんだんとやっぱり前進することができるわけであります。そういう意味で、和歌山県産の魚の魅力を戦略的に相手国の消費者にPRする、そういうことは我々としても大いに大事だと思うし、それからさらに、先ほど言いました相手国の流通業者、これを何とか物にしなきゃいけないというのが、我々の目指すべきところだと思います。
 消費者にPRするためには、あるいは相手国の業者に納得していただく、あるいは武器を与えるという意味で、議員御指摘のような脂肪分とか鮮度とか食味とか食感などのおいしさを物語るような指標、そういうものの研究も必要だろうと思います。
 また、輸出とは違いますけれども、本年度の新政策として、南紀白浜空港等を活用して首都圏に水産物を販路拡大したい。そのためには、言葉以外の問題はほとんど同じような問題が、首都圏の流通をどうやって握るかとかございまして、そういうような中で輸出に関しても必要になるようなことが多く勉強できるんじゃないかと、そういうふうに思ってますので、今後、引き続き頑張っていきたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうぞよろしくお願いいたします。
 次は、ジェトロ事務所についてであります。
 香港でお世話になった田中部長から、全国的にジェトロの都道府県事務所の設置が進んでいるとのお話を伺いました。農林水産物を初め地方の特産物、中小企業の工業製品などの輸出、直接投資を通じてアジアなどの成長を国内に取り込むことは今や国策であり、地域振興のかなめであります。本県でも、平成29年度予算案に新政策として開設準備経費が計上されています。まことに時宜にかなったものと考えますが、その内容と目的、今後の展開について、ジェトロ・ミラノセンターに勤務された御経験のある知事に伺います。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私の経験でありますけれども、私がジェトロ・ミラノセンターにおりましたときも、全国の各県、特に地方県と言われているような県には、貿情センターを誘致するというのが結構はやっておったわけです。
 しかし、現実にはそのような県の海外活動の推進にそう役に立っとるかというと、あんまりそうでもないなあというふうに分析をしておりました。逆に言うと、そこに貿易情報センターというジェトロの支分所があるために、そこにばっかり頼って、それで全体のジェトロの機能からすると一部のものしか使えてないというようなこともあるので、和歌山県は大阪に近くて、大阪というのはジェトロ発祥の地でありまして、ジェトロ大阪事務所じゃなくてジェトロ大阪本部なんですね。大きな組織がありますので、和歌山県の職員には、ジェトロ大阪本部に頼るようにと、そこから情報をちゃんともらって、和歌山県の業者の方々にちゃんとそれをスイッチングするようにしてくださいというようなことをお願いして今までやってまいりました。
 しかし、ジェトロの貿易情報センター自体も随分進化してるわけでございます。職員もどんどん優秀になりますし、それから本部と、あるいは大阪本部と、それから貿情センターとの間の連絡もすごくよくなっておりますし、何よりも実はコンピューターシステムが整備されておりまして、海外のジェトロの事務所から寄せられた買い手情報、あるいは売り手情報、製品情報、そういうものがどっさり詰まったコンピューターシステムがあるわけです。それは、各地の貿易情報センターにみんな利用可能になった状態でありまして、例えば、何々を売りたいんですがというようなことを言ったら、この国にはこういう買い手がいますねと、関心のある人がいますよというようなことがすぐにわかるというようなことになります。
 そういう点では、今ややっぱり貿易情報センターの機能は和歌山県にとって大変大事になってきているということを気がつきまして、それで、そこから誘致活動を一生懸命やるようにしたわけでございます。もちろん、県も出さないといけないんですが、県のうちの一部は市町村も出してあげようということで協力体制ができておりまして、この貿情センターができますと、これを通じて、今申し上げましたような個別の商談だけじゃなくて、海外バイヤーとの面談の機会の増加とかセミナーの開催とか、そういうものが大きく利用できるようになるんじゃないかと思って期待をしているところでございます。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 「こんにちは、こんにちは、世界の国から」、万博というと、まずこの三波春夫の歌と太陽の塔などの巨大なパビリオンが林立する風景を思い出します。当時、私は多感な小学5年生で、大阪万博の強烈な印象を今でも覚えております。現在では考えられませんが、外国人でさえも珍しく、出会った人にサインをお願いもいたしました。
 この大阪万博に出品し、その後に実現、普及したものはたくさんあります。例えば、動く歩道やモノレール、エアドーム、ウオシュレット、携帯電話、UFOキャッチャー、電波時計、原子力発電。食品では、缶コーヒー、フライドチキン、ハンバーガー、ファミレスなどです。
 大阪万博と東京オリンピックは、我が国の高度経済成長の象徴的イベントであり、次の第2回目の東京オリンピックや大阪万博は、我が国の次の時代への転換点になるものと期待しています。
 2回目の大阪万博はライバルも多いと報じられていますが、本県としていかに取り組むのか。山下自民党県議団会長も質問されましたが、単に応援するだけではなく、主体的に取り組むべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大阪で万国博覧会が開催されると考えるだけで、私もちょっと心躍る思いがいたします。それは、おっしゃるように昔の記憶があって、同じようなことがまた起こっていいんじゃないかと思うわけであります。ただ、具体的に考えますと、当然、国の内外から多くの人々が大阪を中心とした、大阪万博を目指してということは、すなわち大阪を中心とした関西を訪れることが予想されるわけですので、関西のすばらしさを理解してもらう絶好の機会と思っております。
 この機に乗じて、関西を周遊する新たな観光ルートの創出、その中には和歌山県の要素がたくさん入っているはずでございますし、産業のイノベーション、これも和歌山県の産業にとって大変役に立つはずでございます。そういうようなことをすることが、関西全体の経済の活性化につながると思っております。
 このため、昨年9月の広域連合委員会においては、万国博覧会の誘致・実現に向けて関西全体で取り組んでいくことを全会一致で決議をいたしまして、それで、それぞれがいろんな政府要人とか国際人とかに会うときには、そういうことを言って応援しようということに今なっております。
 このようなことから、まだまだ具体的な話はどんどん出てくると思いますけれども、本県としては、関西広域連合のほかの構成団体とともに力を合わせて進めてまいりたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、エアショーについてであります。
 昨年、東京ビッグサイトで4年に1度開催される2016年国際航空宇宙展を視察してきました。国内外より700社がロケットや戦闘機からねじ1本まで出品し、3日間で約4万人が訪れたそうですが、ふだん見るチャンスがないものばかりで大変興味深く、1日では見て回れませんでした。
 ただし、本県からの出展は島精機さん1社のみで、大変残念に思いました。宇宙航空産業は将来発展が期待できる成長分野で、その振興は国策であり、ぜひ本県においても県勢浮揚をかけて取り組むべきと考えますが、昨年から研究会を立ち上げたと聞いております。どうか、次回は多数参加していただけるよう要望しておきます。
 さて、航空展いわゆるエアショーは、諸外国ではデモフライトをするため、飛行場で開催されることが多いと聞きました。宇宙航空産業の振興を和歌山に取り込むためには、人材不足の観点から大学設立が必要と考えますが、大学については次回に譲り、まずできることからという意味で、身近な空港でエアショーが開催できないかと思います。
 今回の質問に際し、残念ながら関西空港では開催できないとの報告がありました。それなら、定期便が3便しかない南紀白浜空港なら、大型機は無理でも小型機やヘリコプターに限定すれば、実際の飛行機を持ち込んだエアショーの開催ができるのではないでしょうか。県土整備部長の見解を伺います。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港を活用したエアショー開催の可能性について、御質問を頂戴いたしました。
 議員御提案の小型機やヘリコプターに限定したエアショーの開催につきましては、これまで国内ではエアショー開催の実績がないこともございまして、開催に必要な条件、体制、規制等を把握できていないのが実情でございます。したがいまして、その開催に必要な条件や最小最適な規模、さらには関係業界の仕組み等を把握することが、その可能性の有無を判断する前提であると考えてございます。
 こうしたことによりまして、白浜空港周辺も含めた立地で開催の可能性がございますれば、必要な条件整理や整備費等を勘案しながら検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 よろしくお願いします。
 大きな3番目の質問として、学校薬剤師の活動に関連して、学校の衛生状況について3点伺います。
 まず、学校薬剤師について。
 先般の御坊市給食センターの食中毒事件は、原因が判明し、給食が再開されたことで、子供たちの喜びの声と市民から安堵の声が聞かれます。
 一方、給食制度について、財政の観点から全国的に採用されているセンター方式や価格偏重の食材供給が問題になりました。しかし、自校式に変更することや全ての食材を地産地消ですることは困難であることから、現実的には衛生面で規則を徹底することと、適切な業務が行われているか第三者が厳しくチェックすることしかないのではないかと思います。
 このうち、給食の施設及び設備の安全性のチェックについては、学校保健安全法で義務づけられており、学校薬剤師の職務とされています。しかし、関係者からは、学校薬剤師に支払われる報酬や検査のための費用が支給されていないという状況、また、学校薬剤師のなり手がいないという声を聞きます。恐らく、事件・事故が起きなければ問題がないという認識でしょうか。事件・事故が起きたときは遅いのです。
 そこで、今回の事件を受けて、現状について伺います。学校薬剤師の職務は果たされているのか、また、職務を全うするための当然の対価や検査費用の質はどうなっているのか、教育長に伺います。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校薬剤師の主な職務につきましては、学校保健安全法により、環境衛生検査や学校において使用する医薬品等の管理に関して必要な指導及び助言を行うこととされております。さらに、平成21年の法改正により、新たな保健指導及び健康相談に従事することが加えられ、学校や児童生徒の実態を把握した学校薬剤師など、専門的な立場からの支援が期待されております。しかし、十分な実施に至っていないことから、学校薬剤師会と連携を図っているところでございます。
 また、市町村によっては、環境衛生検査の経費が報酬に含まれている実態があること、及び学校薬剤師の執務内容に差異があることから、各市町村教育委員会に対しまして、環境衛生検査の実施に係る経費の負担や、学校薬剤師の執務内容の実態に応じた適切な報酬となるよう働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ぜひ、市町村の教育委員会、そしてまた学校現場を教育長がおっしゃるように指導していくというのは、なかなか難しいことでありますけども、ぜひとも実現をしていただくようにお願いしたいと思います。
 次は、学校保健委員会についてであります。
 私は、平成9年12月定例会一般質問で、当時の学校保健法で規定されている学校保健委員会が県内ではほとんど設置されていない実態から、その設置促進について質問した経緯があり、その後、設置が進んだものと承知しております。
 平成21年4月に、学校保健法が学校保健安全法に改定され、学校における安全管理に関する条項が加えられました。
 通常、学校保健委員会は、年間3回開催することが望ましいとされています。果たして、その後の学校保健委員会の開催状況はどうなっているのでしょうか、現状を教育長に伺います。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校保健委員会は、学校における多様化、複雑化する児童生徒の健康に関する課題について協議し、健康づくりを推進するための組織であり、県内の公立学校における設置率は約96%となっております。しかし、学校薬剤師等と日常的な連携はできているにもかかわらず、学校保健委員会を年間に複数回実施している学校が約17%であることから、組織的な対応が不十分であることは、課題として認識してございます。
 今後は、各学校における学校保健委員会が、学校薬剤師、学校医、学校歯科医等の協力のもと、児童生徒の健康課題の解決につながる組織として機能するよう、指導してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 県議会では、かつてフッ化物洗口について、たしか意見書というんでしょうか、決議もいたした経過がございます。西牟婁郡ではフッ化物洗口が進んで、近い将来には虫歯がほとんどなくなるという、そういうことを聞いております。しかし、県下全体を見たら進んでないところも多い。私は、学校は子供たちのためにあると思ってますが、実際はそうでないことをそのことを通じて知りました。保健委員会、本当に子供たちの健康や、そしてまた学校の安全を考えたら、もっともっと頑張れるところじゃないかと思いますので、どうぞ県教育委員会の指導をよろしくお願いいたしたいと思います。
 最後に、パンデミックについてであります。
 今回の食中毒によりまして、御坊市内の小学校では手洗いを徹底した結果、インフルエンザの罹患率が減少したと聞きます。将来発生の危険がある新型インフルエンザなどの大流行、いわゆるパンデミックに対しても、日ごろから衛生管理を徹底しておくことが大きな備えになるのではと考えますが、パンデミックの備えについて、教育長に伺います。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校における新型インフルエンザなどの大流行、いわゆるパンデミックについてですが、新型インフルエンザ等感染症は、学校保健安全法において第一種の感染症とみなすとされており、ほとんどの人が免疫を獲得しないこと、及びウイルスの病原性等の状況を勘案し、出席停止の期間は治癒するまでとされております。
 新型インフルエンザへの備えとして、平常時から手洗い等の対策に努めることが子供たちや職員及びその家族等の健康を守ることにつながることから、その対策が習慣化できるよう引き続き指導を徹底してまいります。
 さらに、新型インフルエンザ等対策に関する文部科学省行動計画によりますと、学校において新型インフルエンザが発生した場合の対応として、第2種のインフルエンザ、いわゆる季節性インフルエンザにおいては、集団における欠席率が10から30%を臨時休業等の目安としているのに対して、新型インフルエンザでは、文部科学省等が示す目安を踏まえ、欠席率が10%程度で臨時休業等の措置を適切に講じることとされております。
 新型インフルエンザの対応策については、県立学校及び市町村教育委員会に対して周知しているところですが、今後、対応マニュアルを作成するなど、発生時の迅速かつ適切な行動につながるよう指導を徹底してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。
 3月5日、昨日は啓蟄ということでありまして、虫たちも動き出すというふうなことで、いよいよ春がやってまいります。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らせていただきたいと思います。
 まず、持続可能な財政についてお伺いをしたいというふうに思います。持続可能な財政ということで、2つの視点で質問をさせていただきます。
 まず、中期行財政経営プランについてお伺いします。
 県では、長期総合計画の実現と将来にわたる持続可能な行財政運営の確保を両立させるという目的のため、このたび中期行財政経営プランを発表しました。対象期間は平成29年度から平成33年度までとし、ヒト(人員体制)、モノ(財産管理)、カネ(財政運営)について、今後の行政需要やリスクについて予見し得る限りの事情を考慮し、将来の道筋を立て、毎年の行財政運営を実施していくこととしています。
 私は、行財政改革の最も重要な点は、持続可能な財政運営に尽きると考えます。また、持続可能な財政運営とは、将来世代の選択肢を奪うことなく、次世代のニーズを満たしていくことと捉えています。
 そこで、今回は、この中期行財政経営プランについて、歳入や公債費などに焦点を当てて見ていきたいと思います。
 行財政を考える上で、歳出を抑えるということ以上に、歳入の見通しが大変重要なものと考えます。県税の動きを見てみると、平成29年度は平成28年度に比べ916億円と、30億円弱の減額となっていますが、平成30年度から平成33年度まで右肩上がりで増加する予測となっています。
 根拠となる名目成長率の政府発表は、実際には政府見通しを下回ることが多く、昨今の経済状況を勘案すると増加の根拠としては疑問を持っています。しかも、本県では特に人口減少という深刻な事態が待ち受けている中で、プランに示されている県税が本当に確保できるのか懸念されます。
 地方交付税、臨時財政対策債の額も平成24年度から減額されており、平成28年度の見込み額が1954億円で、税制改正の影響もあったと思いますが、結果は1901億円と50億円余りも低い額となっています。交付税の見込み額をほぼ横ばいと試算していますが、これも国の動向から考えて、維持されるかどうか大変疑問です。
 また、いわゆる貯金である財調・県債基金残高は、平成24年200億円だったものが鋭意努力され219億円になっていますが、この基金も見通しでは徐々に減額となり、平成33年度には153億円と示されています。150億円の水準は災害などに備え今後とも維持するとのことなのですが、最も不安になるのが通常債と臨財債の県債です。平成24年度から一貫して残高が増加しており、平成29年度は1兆355億円で、県民1人当たり104万円となっています。これが平成33年度には1兆681億円、本県の人口が減少していることを考えれば、県民1人当たりはさらに高額になることが予想されます。
 借金である公債費がふえるのに人口が減少するということを勘案すると、持続可能な財政運営をしていくために将来的に公債費が大きな負担にならないか、心配するところです。公債費の将来的展望について、総務部長にお伺いします。
 次に、ふるさと納税制度の現状と将来の見通しについてお聞きします。
 ふるさと納税の制度が創設されて約9年が経過しています。地方で生まれ育った方が自分のふるさとに貢献できるようにとの理念から生まれたものであります。
 総務省の説明によれば、3つの大きな意義があると示されています。まず1つは、納税者が寄附先を選択できる、2つ目は、生まれた地域、お世話になった地域を応援できる、3つ目は、自治体が国民に取り組みをアピールし、自治体間の競争が進むこととしています。しかし、9年経過した今、ふるさと納税の理念はどこへやら、返礼品の過当競争になっている現状です。
 政府は、平成27年度の制度改正で、住民税の所得割において寄附金控除の上限額をこれまでの2倍としました。また、寄附を行う自治体の数が5団体以下であれば確定申告が不要になる、ふるさと納税ワンストップ特例制度を創設しました。そういった国の後押しもあって、平成27年度実績で納税額が大きく膨らんだ自治体が幾つもあらわれました。
 住民の側から言うと、寄附した額から2000円を差し引かれ、その額全部が控除されると同時に各自治体から返礼品が届くので、大変お得な制度となっています。自治体側としては少しでも多く寄附してもらえるように返礼品の内容に凝るようになり、過度な返礼品競争が行われるといった状況です。
 しかし、実際、自治体が受け取る額は、ふるさと納税受入額から寄附金税額控除額を差し引いた額なので、各自治体に大きな差が生まれています。平成27年度実績で、例えば和歌山市、ここは1億3700万円の赤字であります。高野町は約3億6500万円の黒字であります。ちなみに県は、寄附額が5000万円、控除対象額が2億円であり、約1億5000万円の赤字となっています。控除額の75%は国から地方交付税として交付されるということでありますが、それにしても何のための寄附か意味がわかりません。
 これに加え、受取額から返礼品の費用を差し引きますので、赤字の自治体はさらに赤字ということになってきます。各議員さんの地方自治体も、いろんな差が出ているというふうに思います。
 ふるさとを応援しようという最初の趣旨はどこへやら、返礼品につられる某ネットショッピングのような状態になっているのです。おかしな制度と言わざるを得ません。しかも、それに係る自治体の事務作業は膨大なものになりつつあり、労多くして益なし、益なしどころか損という自治体があります。
 行政は、市民、県民から納められた大切な税金を使い、質の高い行政サービスを提供するのが本旨であります。よそより少しでも多くの寄附金を集めるために奔走する姿は、間違っていると思います。
 そこで、総務部長に、このようなふるさと納税制度の現状をどのように受けとめているのか、所見をお伺いします。また、今後の見通しについてもお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
 総務部長浦上哲朗君。
  〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) 議員から2点御質問いただきました。
 まず1点目、公債費の関係でございます。
 議員御指摘の県債残高のうち臨時財政対策債に関しましては、その全額が地方交付税に算入されますので、これを除いた実質的な県債残高につきましては、平成33年度末で6795億円と見込んでございます。ここ数年の県債残高とおおむね同規模でございますので、直ちに財政運営に支障を及ぼすものではないというふうに考えております。
 しかしながら、毎年度の償還につきましては義務的な経費でございますので、そのことを踏まえまして将来の中期的な財政収支見通しを立て、中期行財政経営プラン素案に基づき持続可能な財政運営を目指すこととしてございます。
 今後の財政運営においても、決算剰余金を活用した繰り上げ償還や、退職手当債を初め地方交付税措置がない県債発行額の縮減を図るなどして、将来の公債費負担の軽減に努めてまいります。
 2点目は、ふるさと納税でございます。
 ふるさと納税制度は、地方公共団体へ寄附した場合、2000円を超える金額について、一定額を上限として所得税と住所地で課税される個人住民税の軽減を受けることのできる制度でございまして、その目的は、自分を育ててくれたふるさとへの感謝や恩返しへの気持ちを具体化させるものだというふうに認識してございます。
 本県にとっても、この制度は、ふるさと和歌山への愛着と誇りを持つ方々とのネットワークの形成に役立てること、それから、地方と都市の税収格差を少しでも是正できるという観点から有意義な制度であると考えておりまして、平成20年度にふるさと和歌山応援寄附制度を創設し、現在運用しているところでございます。
 このふるさと納税制度の現状につきましては、議員御指摘の返礼品の問題、それから、ふるさと納税による住所地団体の減収の問題などがあることは承知してございます。特に返礼品につきましては、ふるさと納税制度が寄附金控除制度の特例でございますので、返礼品のために寄附をする仕組みになっていないことから、換金性の高いものですとか高額なもの、それから寄附額に対し返礼割合が高いものは、返礼品のために行う寄附ではないかというふうな誤解を与えますので、不適切であるというふうに考えてございます。
 一方で、ふるさとのために寄附をした方に対して寄附を受けた側が感謝の気持ちをあらわすと、そのために返礼品を送付することは、節度ある範囲であれば、人的ネットワークを維持するためにも必要なことであるというふうに考えてございます。
 本県では、ふるさと和歌山応援寄附制度により応援をいただいた方々に対する感謝の気持ちとして、プレミア和歌山の中から寄附者に選択していただく梅干しなどの特産品をお礼の品としてお送りしてございます。
 ふるさと納税制度につきましては、現在、国においても改善策等の検討がされておりますので、その動向について注視し、今後とも適切に対応してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 ふるさと納税制度については、以前、多田議員のほうも質問されておりまして、そのデメリットとして都道府県は寄附が集まりにくいと、まさしくそのとおりになっております。また、都市部などから不満の声が聞かれているようであるというふうな指摘もされておりました。まさしく、そういう状況になっているようであります。
 ふるさと納税に熱心な自治体は多いんですが、本来なら他の自治体に納められるであろう税を自分のところに持ってくるというような仕組みになっています。国においても改善策を検討されているということでありますので、今後の動向について注視したいというふうに思います。
 次の質問に移りたいと思います。
 男女共同参画社会の実現についてお伺いしたいと思います。これは一問一答でお願いしたいというふうに思います。
 男女共同参画社会の実現、まず女性の参画についてです。
 県においては、男女共同参画推進条例が平成14年4月1日から施行され、15年が経過しています。15年が経過しているにもかかわらず、女性参画がなかなか進まないというのが実感であります。
 世界経済フォーラムが、毎年、男女平等ランキングというものを発表しています。経済的参加度、教育達成度、健康と生存、政治的エンパワーメントの4部門でそれぞれランキングを示しています。日本は、昨年の101位から本年は111位とランキングを下げました。144カ国の中の111位です。これは、G7諸国とロシアを含む先進8カ国の中で断トツ最下位の結果となりました。
 日本は、読み書き能力、小中教育、平均余命の分野では世界1位なんです。でも、賃金、政治家、経営管理職、教授、専門職、国会議員では100位以下、それ以外も50位を超えるランキングは1つもないという結果になっています。
 この1月に、内閣府の男女共同参画局が全国女性の参画マップというものを公表しました。お手元の資料でございます。これを見ていただきますと、これによると本県の女性参画の状況は、県議会における女性の割合が7.1%、3人ですので30位、県の地方公務員採用試験、大卒程度の採用者に占める女性の割合が25.3%で38位、県の地方公務員管理職に占める女性の割合が4.4%で46位、県の審議会の委員に占める女性の割合が23.2%で47位、県の防災会議の委員に占める女性の割合が3.9%で43位と低迷しています。市町村の男女共同参画基本条例の制定も、上富田町と橋本市で制定されましたが、なかなか進んでいないという状況であります。
 和歌山県のランキングも、経済フォーラムの示す順位を裏づけるものとなりました。特に、県の管理職の割合が最下位からブービー、2番目であり、審議会委員の割合は最下位、防災会議の女性割合が最下位から5番目と、それぞれの割合が低いのですが、順位も低迷しているということです。
 このような結果を踏まえ、女性参画についての知事の所見をお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 少子高齢化、人口減少が進む本県にとって、性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮してもらうことが重要であり、経済を初めとするあらゆる分野への女性の参画は、社会の多様性と活力を高める大きな力になると考えております。
 このため、本県では、男女共同参画基本計画に数値目標を定め、さまざまな施策を総合的、計画的に推進してきたところであります。その結果、人々の意識を初め、さまざまな分野において男女共同参画は徐々に進んでいると思いますけれども、まだまだ目標に届いていない分野があるのが現状であります。私としては、その原因分析を行って、解決に向けて一層取り組んでいきたいと思っております。
 これまでの分析から、女性の参画が進まない原因は、仕事よりも家庭生活を重んじて人生を送りたいという人生観の問題というのはあるかもしれませんが、それは別として、それ以外に改善すべきものとして、主に次の3点があるというふうに思います。
 1つは、採用や昇進、賃金等雇用の場に現存する男女格差、次に、結婚、子育てをする女性の就業を支える環境の未整備、そして、出産等を機に退職した女性の再就職を支援する環境の未整備、こういうことだというふうに思っております。
 このため、来年度は、これまでの施策にもちろん加えまして、女性の参画が進まない要因に対する新たな政策を上記原因別に進めてまいりたいと思っております。具体的には、女性が安心して働くことのできる環境整備に率先して取り組む企業、団体を組織化する女性活躍企業同盟、それから、社員の結婚や仕事と子育ての両立を支援する企業を応援する結婚・子育て応援企業同盟、女性等の再就職を支援する本県独自の取り組みの構築などでございます。
 今後も、働く場における女性の活躍を促進するとともに、あらゆる分野における男女共同参画を一層推進してまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁ありがとうございます。
 知事は、この間の3月2日の山下議員の長計のときにも、女性の多様な働き方を支援するという、女性が活躍できる環境整備を進めていくというふうに述べておられます。県庁におかれても、民間に率先して女性が活躍できる環境を整備するために、管理職の比率を高めていただきたい。来年度にはぜひとも、その県議会のひな壇に女性がぜひとも登壇されることを期待しておりますので、要望いたしておきます。
 次に、今の答弁の中にもあったんですが、いろんな就労の問題についてちょっとお伺いしたいというふうに思います。女性の就労についてちょっとお伺いします。
 女性の就労状況を総務省の労働力調査で見てみると、年齢階級別就労形態では、正規雇用では25歳から29歳がピークとなり、それ以後は非正規で働くことが主となっています。
 年代別では、2000年前半を境に正規雇用は減少傾向でありますが、非正規雇用の割合が増加をたどっているという結果になっています。すなわち、27年度の調査では、女性の給与所得は100万円以下が16.5%、200万円以下を合わせると42.6%が低所得という状況になっており、高額所得者層も若干ふえているんですが、全体としては低所得者層が多いという傾向、労働の二極化が進んでいるということが言えると思います。
 就労状況を裏づけるように、結婚をし、第1子の出産を機に約5割の方が退職しています。三菱UFJリサーチの調査によると、退職された方の39.4%、約4割が自発的にやめたとしていますが、勤務時間が合わない、職場に両立を支援する雰囲気がなかったという理由で26%の方がやめられておりますし、それに、解雇・退職勧告されたという理由で9%の方がやめているという状況です。
 そこで、商工観光労働部長に、県における女性の継続就業に向けた支援についてお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によりますと、平成22年の調査では約6割の女性が第1子の出産を機に退職していましたが、平成27年の調査では約5割となり、育児休業制度利用者の割合が増加するなど、徐々にではありますが、女性が継続して就業できる環境が整ってきております。
 こうした流れを確かなものにするため、経営者、被雇用者双方の理解や意識改革がより一層進むよう、県では、経営者や人事労務担当者を対象にセミナーや出前講座等を実施し、仕事と家庭が両立できる職場環境づくりに向けた働きかけを行っているところです。加えて、社会保険労務士を企業に派遣し、両立支援のための就業規則の見直しなどについて、助言、指導を行っております。
 また、仕事と子育てを両立しながら頑張る女性や、両立支援に積極的な企業の取り組み事例等を女性応援サイト「ハッピーワーカー」やパンフレットを使って広くPRをしております。
 国においても、育児短時間勤務制度や子の看護休暇、育児休業取得者の代替要員の確保や復帰支援など、両立のための制度や助成金の充実が進められており、引き続きこうした制度も積極的に活用して女性の継続就業を促進するよう企業に働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 国においても、さまざまなそういった制度が用意されています。でも、中小零細の企業が多いこの和歌山県では、経営者が知らないということもよくある話なので、しっかりと働きかけていただきたいと思います。また、経営者と被雇用者双方の理解と意識改革への取り組みをしているということで、期待をしております。
 しかし、継続を望みつつも事情によりやむなくやめてしまった場合は、再就職を望んだとしても非正規やパートでしか就職先がないという現状、これがあるわけです。
 そこで、女性の再就職支援に向けた取り組みについて、同じく商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 女性を中心に再就職を強力に支援するため、平成29年度の新政策として、和歌山再就職支援「就活サイクル」プロジェクトを実施することとしております。
 高校生や大学生等新卒生には、求人・企業説明会、採用選考、内定等年間のスケジュールが決まっていますが、再就職やUIターン就職の場合には決まったスケジュールがないため、就職活動をスムーズに進められない人が多くいます。
 県では、再就職を希望する人が就職しやすいよう、新卒採用と同じような年間を通した就活サイクルを新たに構築することとしました。具体的には、年度初めに広報媒体や経済団体等を通じて、このサイクルを広く県民に知ってもらいます。7月からは、企業や女性等にこのサイクルを使った採用活動、企業活動への積極的な参画を呼びかけます。その後、10月から企業情報や求人情報を情報誌やホームページ等でPRし、2月に県内3カ所で再就職を応援する企業合同説明会を実施し、各企業でも積極的に採用選考を行ってもらい、4月からの就職につなげたいと考えています。
 また、このサイクルをより効果的なものにするため、再就職を応援する拠点として、ジョブカフェわかやまの機能の拡充、個別相談やセミナー等により、再就職に向けた意欲やスキルを高める支援も行ってまいります。
 こうした2月を採用強化月間とする和歌山独自の就活サイクルを構築、定着させることで、再就職しやすい和歌山県の雇用環境を創出し、女性の再就職を支援してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 来年度の新しい事業、就活サイクル。これは、周知が大変重要だと考えておりますし、期待される施策でありますので、ぜひとも成功するように取り組んでいただきたいというふうに思います。
 最後にもう1つ、女性の視点ですが、女性活躍推進の施策のもとで、子を産み、働き続けて管理職になる女性のロールモデルが脚光を浴びる一方、非正規で働き続ける女性たち、中でもシングル女性の存在が浮かび上がっています。
 横浜市男女共同参画推進協会では、非正規職で働くシングル女性を対象に調査を行いました。非正規で働くシングル女性の6割が不本意非正規で、7割が年収250万円以下という結果が出ました。35歳から44歳までの壮年シングル女性の非正規労働者数は年々増加しており、10年で3倍以上ふえているという結果もあります。本県でも、フルタイム就労に近い働き方をしている非正規シングル女性は、増加の傾向にあるのではないでしょうか。
 非正規で働くシングル女性の実態はどうなっているのか、社会問題となっているシングルマザーの貧困の問題をどう解決するのか等々、女性を取り巻く全ての根っこは同じであると考えます。少子化の時代、女性には子供を産んでほしいと望み、産み育てる環境を整えないまま女性を都合よく働かせて平気な社会の問題が大きいと考えます。
 そこで、商工観光労働部長にお伺いします。
 女性全体の就労実態は、正規雇用が横ばいであるのに非正規で働く女性が増加しているという状況で、非正規職女性に対する支援にどのように取り組んでおられるのか、お伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 平成28年に総務省が実施した労働力調査では、雇用者に占める非正規雇用労働者の割合は、男性の22%に対し女性が56%と高く、また、厚生労働省が実施した平成28年賃金構造基本統計調査では、所定内給与額について女性は男性の約7割と、女性を取り巻く雇用環境は依然として厳しい状況となっております。
 そのため、非正規で働く女性に対しても、正社員化など待遇改善が図られるよう支援していく必要があると考えております。
 国においては、事業主に対し、有期契約から正規雇用に転換等した場合に対象労働者1人当たり60万円を助成する制度や、賃金に関する規定等を改定し増額を行った場合に助成する制度などを設け、非正規雇用労働者の正社員化など待遇改善への取り組みを強化しております。
 本県におきましては、こうした制度とあわせ、価格転嫁が進み、中小企業が適正な収益を上げ、人材確保や待遇改善にコストが十分かけられるよう、国や産業界に対して価格転嫁を働きかけているところです。
 また、人手不足が顕在化する中、企業が成長を続けるためには、優秀な人材の確保や社員の意欲、能力を高め、生産性を向上することが急務であることから、引き続き、正規雇用の拡大や非正規雇用労働者の正社員化などの待遇改善を企業に働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 実際のところ、どのくらいの事業所でそういうことが活用されているかどうか、県としてもその辺はこれからは把握する必要があるというふうに思います。経営者側へしっかりと働きかけを行っていただいて、1人でも多くの女性が安心して生活できるよう取り組みを進めていただきたいと要望いたします。
 次の質問に移ります。部落差別の解消の推進に関する法律について、幾つかお伺いします。
 昨年の12月16日に、部落差別の解消の推進に関する法律が施行されました。「この法律は、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識の下にこれを解消することが重要な課題であることに鑑み、部落差別の解消に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、相談体制の充実等について定めることにより、部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現することを目的とする。」と明記されています。
 この法律では、部落差別は許されないものであるとの認識が示され、部落差別のない社会を実現するという画期的な内容となりました。
 法律の中にも示されているように、情報化の進展に伴い、部落差別に関する状況に変化が生じています。すなわち、部落差別は、インターネットの中で新たな差別を生み出し続けています。
 一昨年に質問をさせていただいた電子版「部落地名総鑑」は、収束するどころか、インターネットで「同和問題」、「部落問題」と検索すると「部落地名総鑑」がトップに出てきます。また、検索した「同和問題」、「部落問題」の検索結果は、差別的情報が圧倒的多数を占めています。
 また、多数の方が利用しているグーグルマップを使って同和地区の所在地が地図化され、ストリートビューを利用して御丁寧に近隣の風景もその場にいるように見られます。また、同和地区に多いと言われる1万人分以上の名字、姓が公開されるなど、誰でも気軽にネットで身元調査が可能である仕組みがつくられています。
 また、コピーサイトで拡散され、類似品が発売されています。発売している示現舎には10万件余りのアクセスがあり、閲覧することで検索上位に位置づけられ、差別を収入につなげている状況になっています。
 このように、インターネット問題を放置してきたことで、差別の限りない拡散と再生産を生み出しているという現状が、私たちの目の前にあらわれています。これらのことが、社会の中でどのような影響を与えているのでしょうか。
 まず、学校現場においては、関西の大学生が友人や恋人、自分自身の身元を調査したという事例、四国・関西地方の中学生が地元の同和地区を検索した事例、関西地方の中学生が学校で「やくざの7割は部落民」などの発表を行ったという報告があります。不明な事項を調べるためによく利用されるヤフーの知恵袋を使い結婚調査、土地調査を行っている事例や、行政への問い合わせ差別事件にもつながっています。誰もが気軽に利用できるインターネットの怖さを感じるとともに、心底怒りを感じます。
 部落差別の解消の推進に関する法律ができましたが、インターネットでの差別は減少するどころか、誤った知識が拡散し、新たな差別を生み出している状況です。
 そこで、インターネット上のこのような事態は放置しておけないと考えますが、知事の所見をお伺いします。
 さらに、インターネット上の差別事件に対する県の取り組みについて、また、部落差別の解消の推進に関する法律を受け、県として具体的施策について企画部長にお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私も放置できないと思います。
 県におきましては、人権尊重の社会づくり条例に基づき人権施策基本方針を策定し、この基本方針に沿って、国や市町村等と連携して同和問題の解決を目指し取り組んでまいりました。しかしながら、インターネット上に同和地区と称する地名を書き込むなど、差別を助長、拡散させる情報が多数流布していることは承知しておりまして、こうしたことは絶対に許されないものであり、強い怒りを覚えております。
 このようなインターネット上における人権侵害の状況も踏まえ、被害者救済のための実効性のある法制度の早期整備を県議会とともに国に対して求めてまいりました。
 こうした中、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じている中で、部落差別は許されないものであるとの認識を明示して、昨年12月に部落差別の解消の推進に関する法律が制定されました。
 インターネット上の人権侵害は、部落差別はもちろんのこと、ほかにも人格、人権を傷つけるようなものがたくさんありまして、本県でなく全国的な課題であり、本法律の制定を機に、インターネットに関するこのようなよからぬことを規制する法制度を整備するなど、国が責任を持って対応すべきと考えており、これからも国に対して強く働きかけていきたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 企画部長高瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) まず、インターネット上の差別事件に対する取り組みでありますが、県といたしましては、インターネット上での差別的な情報について、通報を受けたり発見した場合は、被害者への助言や、法務省と連携してプロバイダー等へ削除要請を行っているところでございます。また、同和問題を正しく理解していただくとともに、情報モラルや情報リテラシーを持ってインターネットを利用するよう、関係機関と一緒に県民の皆様への教育啓発を引き続き行ってまいります。さらに、インターネット上での本県にかかわる差別的な情報について現状把握を行い、国に対して働きかけていく材料といたします。
 次に、法律成立を受けての施策についてでございますが、県においては、法律成立後、直ちに県ホームページや「県民の友」等を活用して法律の周知に努めてまいりました。また、これまでも県民からの相談への対応や教育啓発に取り組んでまいりましたが、相談体制の一層の充実に向け、改めて県や市町村の担当職員が相談に的確に対応できるよう研修を実施したところであります。加えて、市町村に対しても、法の趣旨を踏まえた取り組みを強く働きかけてきたところです。
 今後とも、国や市町村等と連携しながら、相談業務や同和問題に対する正しい理解と認識を深めるための効果的な教育啓発活動に、より一層取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 インターネット上の人権侵害については、インターネットに関する法整備をするなど、国に対して強く働きかけていくというふうな答弁であります。
 県としては、これまでもこの「部落地名総鑑」は許されないこととして、取り組みを進めてこられたんですよね。同じように、身元調査を行うことを可能にしたこのインターネット版の地名総鑑、これを放置することはもう絶対許されないというふうに思うんです。
 県として、許すことのできないという差別事案として、「部落地名総鑑」を掲載しているサイトについて法務省の関係機関を通じて削除要請しているというふうに聞いているんですが、削除には至っていないというふうな現状で、一刻も早く削除していただきたいと思うんですが、なかなか削除に至らないというので腹立たしい思いをしています。
 本県にかかわる差別的な情報について現状把握を行うというふうにしていただいていますので、これについても迅速に確実に実施していただくように、あわせて要望しておきたいと思います。
 次の質問に行きます。最後の質問で、これまでの施策の検証を踏まえた英語教育のあり方についてお伺いしたいと思います。
 一昨年、これも前に質問さしていただいたんですが、外国語教育、次期学習指導要領には、目標として、外国語によるコミュニケーションにおける見方、考え方を働かせ、外国語による聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの言語活動を通しコミュニケーションを図る基礎となる資質、能力を養成することを目指しているというふうに目標になっています。
 文部科学省は、この目標に向かって外国語教育をするため、平成25年にグローバル化に対応した英語教育改革実施計画を公表し、その計画に基づき支援を進めてきました。しかし、その結果が思わしくないとのことで、平成27年度、新たに生徒の英語力向上推進プランを作成しています。ここでは、義務教育段階で中学生の英語4技能を測定する全国的な調査を実施し、その結果を公表、英語力の向上のための資料としたいとしています。文部科学省としても、4技能の取得が思うように進まないことの要因を考え、対策を考えたいとのことだと推察いたします。
 県では、英語力向上のため、国に先んじて中学校3年生全員に、公費で公益財団法人日本英語検定協会が実施する実用英語技能検定、いわゆる英検を受検させました。
 私は一般質問においてその意義についてお尋ねをしたところ、教育長は、生徒自身が中学校教育を通して、聞く、話す、読む、書くという4技能がどの程度定着しているかを確認することや、英語受検を目標として意欲的に英語教育を進めることで、英語に対する興味を高めたり、わかる喜びを実感したりすることと考えているとの御答弁でした。また、英検の結果分析をもとに、学習状況の報告を活用した授業改革を進めることで、英語力の一層の向上につながるという教育的効果が期待できますとのことでありました。
 英検に限ると、国では中学3年生で3級、高校生で準2級から2級が50%を達成させたいとしています。県では、この英検のテストをもう2回実施しています。教育長のおっしゃられた4技能の定着や英語に対する意欲はどうなったのか、受検結果はどうかなど、実施状況を教育長にまずお伺いしたいと思います。
 外国語教育に対しては、外国語指導助手、いわゆるALTの採用があります。高校では1億2460万円の予算をつけて、この外国人指導講師31名を各高校、特別支援学校に派遣をしています。小中の外国語指導助手は市町村に任されており、市町村の考え方や取り組みに委ねられているという状況です。
 この外国語指導助手は、実践的な英語に触れさせる、英語によるコミュニケーションの機会をつくるなどを目的に配置されているのですが、あくまでも補助的な役割であり、外国語指導助手が主体となって授業を行うことはないというふうに聞いているんです。
 また、生徒は、高校では学年で週1回1時間程度、小中では2~3週間に1時間程度の授業を受けているようです。外国語指導助手は、1日2~3時間の授業を受け持っています。この仕事の取り組みにも大きな格差があると聞いてるんです。クラブ活動に参加していただいたり、放課後生徒と交流を持つなど、熱意を持って仕事に取り組む外国語指導助手さんもいれば、ただその時間に来て、それで帰ってしまうという指導助手さんもいるとのことです。
 指導要領が改訂され、平成32年度には小学校5・6年生に外国語が教科として週2時間しなくてはいけない、3・4年生は外国語活動として週1時間授業が行われるということになりました。小・中・高を通じて体系的な取り組みが求められてきています。
 外国語を学ぶ一番の意義は、多文化を理解し、他者との関係をより深める、広げるツールを獲得することだと思います。そのためにも、読む、書くだけでなく、聞く、話すといった技能が求められていますが、日本人は、高等教育で英語を学んでも話せないとよく言われます。せめて日常会話ぐらい、聞いて話せる力をつけさせたいというふうに思います。指導要領でも4技能を習得させるとあります。これまでの外国語教育をこのまま続けていていいのか、検証すべき時期に来ています。
 そこで、次期学習指導要領が実施される平成32年度に向け、これまでの英語教育の施策を検証し、これからの英語教育を創造していく必要があると考えますが、教育委員会として、今後どのような考え方で、どのように取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 1件目の英語検定についてですが、県教育委員会では、平成27年度より、公立中学校3年生を対象に、意欲的に英語学習を進めることを目的にした日本英語検定を学習指導に導入いたしました。昨年度の結果を見ますと、3級以上を取得している中学校3年生の割合は31.8%となり、全国平均18.9%より12.9ポイント上回りました。
 2年目である今年度の受検状況を見ますと、3級より上位級である準2級や2級などの受検をする生徒が昨年度より増加しており、本事業の実施目的にある生徒の英語学習についての意欲の向上にもつながってございます。さらに、英語の授業においても、生徒の英語による言語活動の割合が増加するなど、聞く、話す、読む、書くの4技能を育成するための授業改善につながっているものと考えてございます。
 次に、今後の英語教育のあり方についてですが、現在、小学校では、英語を聞いたり話したりすることを通じて、英語の音声や基本的な表現になれ親しませることなどを目標として、5・6年生で外国語活動を実施しております。平成32年度からは全ての小学校で次期学習指導要領が完全実施され、現在5・6年生で行われている外国語活動が3・4年生で行われ、5・6年生においては新たに外国語が教科となります。教科としての外国語では、自分の気持ちを英語で伝え合う対話的な活動などを取り入れた授業が行われることになります。
 県教育委員会では、次期学習指導要領の実施に向けて、平成27年度より4年間で、全ての小学校の英語教育の中核となる教員及び中・高等学校の英語科教員を対象に、英語指導力の向上を図るための研修を行っているところです。
 さらに、正確な英語の音声や表現に触れるため、本物の英語になれ親しませる機会が一層必要となり、外国語指導助手の活用が重要と考えてございます。県教育委員会といたしましては、国の動向を踏まえながら、各市町村教育委員会に対して、外国語指導助手の重要性や効果的な活用法について指導してまいります。
 今後も、小・中・高等学校で一貫した英語教育の推進を図り、聞く、話す、読む、書くの4つの技能をバランスよく見につけるとともに、児童生徒が英語を使う楽しさを感じられる授業を実施できるよう取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 公費で全員に英検を受検させるということについては、私は前にいかがなものかと言わしていただいたんですが、メリットもあると思います。でも、デメリットも、できない子にとってはちょっと、すごくハードルが高いんじゃないかなあという気持ちもしておりまして、ぜひとも生徒が英語に対して、やっぱり楽しく学べる、意欲を持って取り組める、そういったことを進めていただきたいというふうに思います。
 次期指導要領で、今、教育長がおっしゃったように、外国語が本当に教科として2時間も入ってくる。総授業数がすごくふえるというふうなことになっています。
 特に、やっぱり日本人は聞くこととか話すことがとっても苦手だというふうなことはもう皆さんおわかりのことだと思うので、ここをしっかりと学んでいただく、学ばせたいというふうなことでいえば、やっぱり外国語の指導助手がすごく重要なんじゃないかなというふうに思ってまして、小学校へ外国語指導助手を厚くしていただけたらなというふうに思います。この部分は、小学校、中学校は市町村ということになっておりますので、県としても、そのあたりを市町村に働きかけていただくように要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時49分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(服部 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速、質問に入らせていただきます。
 第1は、カジノ・舟券売り場とギャンブル依存症であります。
 カジノ解禁推進法が国会で可決されたことをめぐって、12月県議会で議論が行われました。その議論では、マリーナシティが候補地の1つとして挙げられておりました。マリーナシティは、海南市と目と鼻の先にあります。その一方で、海南市には藤白に場外舟券売り場・ボートピアチケット販売所建設計画が立ち上がり、地元からは反対の声が上がっています。
 私どもは、このままでは海南市が賭博のまちになるのではないかという危機感を持ち、市民の皆さんとともにこの問題を考えてみようという活動を始めています。
 その手始めに、海南市に計画されているミニボートピアチケットショップのある奈良県御所市に行ってきました。交通便利な場所にある明るい色の建物です。中に入って管理者から説明をお聞きしました。馬券売り場や舟券売り場というと想像するような、外れ券をちぎってばらまいているようなことは全くありません。お酒の持ち込みも禁止になって、お客さんは黙々とチケットを買ってスクリーンを眺めている。異様な雰囲気ではあるが、全く静かです。
 総売り上げは40億円、その1%、4000万円を市役所に協力金で支払います。海南市の業者が総売り上げ35億円、1%、3500万円を市役所に納めますと言っているのと大差はありません。ただ、1つ違ったのは、「海南市に来る業者は、地元自治会に100万円、周辺の自治会連合会に100万円を毎年10年間払うと言っています」と言いますと、管理者の方は目を丸くして、「自治会の支援はそこまでしていません。流しそうめんをしたり、花火大会でうちわを配ったりしています」と言うのです。
 その後、市役所に行く前に喫茶店に入りました。喫茶店のママさんは言います。「市に4000万円入るんだったらいいんじゃないの」と言われます。土地も貸しているそうです。そこで、「この施設が来てお客さんがふえましたか」とお聞きしました。「全然。ごらんのとおりよ」。なるほど、私たちのほかに、お客さんは入っていません。ママさんは続けます。「ギャンブルに来る人はね、少しでもかけたいからコーヒーなどは飲まないのよ。お昼もお弁当を持ってくるかコンビニでおにぎりを買う。そんなお客さんにはあんまり来てほしくない。親しくなったらお金を貸してと言われるから。それでも、『ガソリン代がないので1000円貸して』と言われて、しようがないから上げたことがあるのよ」、こういうお話でございました。
 カジノも競艇もパチンコも同じですが、生産したり価値を生むわけではありません。ボートピアの総売り上げ40億円の場合、その4分の3が利用者に還元されてギャンブル依存症を生む。しかし、10億円は巻き上げられて、そこから20人の雇用、施設維持費が支払われ、市には4000万円、地元自治会に何がしかの協力金が支払われる。そのあとのお金はどこへ流れていくのでしょうか。
 そこで質問です。まず、日本における、また和歌山県でのパチンコを含むギャンブル依存症の実態をどう把握しているのか、福祉保健部長にお伺いします。
 また、警察庁の犯罪統計でも、2015年からパチンコ依存症、ギャンブル依存症を動機とするものを分類するようになったとお聞きしています。警察本部長から、全国における、または和歌山でのギャンブル依存に起因する犯罪の実態についてお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) ギャンブル依存症は、さまざまなギャンブルへの衝動が抑制できなくなり、経済的、社会的、精神的な問題や対人関係などの問題が生じているにもかかわらず、自分の意思ではやめることができない状態とされており、本人やその家族にさまざまな問題を生じさせる疾病であると言われております。
 平成25年度に厚生労働省の研究班が実施した調査によれば、ギャンブル等の依存症が疑われる方は国内では成人の4.8%と推計されておりますが、本県の実態については把握しておりません。なお、現在、国では、より詳細な依存症の実態を把握するための調査が行われているところです。
 県では、アルコールや薬物などの依存とともに県精神保健福祉センターや県立保健所で相談を行っており、電話や来所による相談は、平成26年度は32件、27年度は43件、本年度は1月末時点で35件という状況です。
○副議長(服部 一君) 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 犯罪統計で確認できる範囲でございますが、ギャンブル依存、パチンコ依存を主たる動機とする犯罪は、全国においては、統計をとり始めた平成27年中は1702件、平成28年中は2328件であり、一方、和歌山県では、平成27年中は9件、平成28年中は8件を確認しているところでございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ギャンブル依存症のさまざまな心配、問題が指摘されました。御答弁いただきましたように、厚生労働省はギャンブル依存症の実態を推計しております。しかし、和歌山県ではその実態がつかまれていない。そして、保健所に寄せられた相談は1年間に30件から40件、氷山のほんの一角だと言わなければなりません。
 私たちは、海南市で舟券売り場建設を考える市民の集いを開きました。その中で私が驚いたのは、身内のギャンブル依存症の実態が赤裸々に語られたことでした。「私の妹の子供はギャンブル依存症でした。朝は普通の服装で出かけるのですが、帰りはシャツ裸で帰ってくる。その姿で電車に乗れないのでタクシーで帰ってきて、家人に『タクシー代を払ってくれ』と言うのです」、「私の母はパチンコ依存症になり、お金を借りてパチンコに通うのがとまらなくなった」という話が出ます。こういう普通なら言いたくないような話が次々出てくるわけです。
 そこで質問ですが、賭博というものは本来違法なものである。ところが、自治体財政に寄与するなどという理由をつけて公営ギャンブルが公認されてきました。それに、サッカーくじが加わり、このたびカジノまでがその仲間入りすることになりました。
 賭博を禁止するという本来の趣旨はどこにあるのか、警察本部長からお話をいただきたいと思います。お願いします。
○副議長(服部 一君) 警察本部長。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 賭博を禁止することの本来の趣旨につきましては、一般的には公序良俗、すなわち国民の健全な経済活動と勤労への影響と副次的犯罪の防止にあるものというふうに承知をしております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今お話しいただきましたように、本来、賭博というものは公序良俗、そして国民の健全な生活活動などに影響があるので禁止をされているわけでございます。そこで、ギャンブル依存症に私たちは大変心配をする。
 そして、和歌山県では、IR誘致候補地として和歌山市のコスモパーク加太、和歌山マリーナシティ、それに白浜町の旧空港跡地の3カ所が挙がっているわけですが、区域の認定を申請する際には、隣接の自治体の同意も必要になるのでしょうか。これは、企画部長からお答えいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 昨年12月に成立した特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、いわゆるIR推進法の附帯決議には、地方公共団体が特定複合観光施設区域の認定申請を行うに当たっては、公営競技の法制に倣い地方議会の同意を要件とすること、また、地方公共団体による公聴会の開催など、地域の合意形成に向けた具体的なアクションや依存症や治安維持などの地域対策を国の認定に当たっては十分に踏まえることと盛り込まれておりますが、隣接する地方公共団体の同意については特に触れられておりません。
 IRの整備に必要な具体的な手続については、今後の国の法整備の中で定められることになっておりますので、隣接自治体の同意の必要性についても、その中で明らかになってくるものと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 国のほうでもまだ決まっていないこともいろいろあるようでございます。
 その中でこのIRの誘致が議論になっているわけですが、仮に和歌山にカジノを含むIR施設ができた場合、ギャンブル依存症についてどんな懸念があり、どう対応されるのか、改めて知事からお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、かねてから申し上げておりますとおり、カジノ設置に伴い懸念されるギャンブル依存症については、物すごく重視しております。そうならないようにする技術はいろいろ議論されておりまして、かなりの程度、それは可能だと思いますけれども、それでも、雑賀議員のような人だけではなく、多くの人の頭から心配は消えないでしょう。うちの人が、うちの子が、うちの親がなったらどないしようということであります。だから、少なくともその懸念がなくなるまでは、和歌山でIRが認められるとしても、そこでは和歌山県民ないしは日本人をカジノに入場できないようにしたいと考えております。
 したがいまして、理論的に考えますと、和歌山のIRにおいては、住民のカジノによるギャンブル依存症の可能性はゼロであります。したがいまして、どうして雑賀議員がそのような質問をされるのかなあと、何か私の言うことはいつも無視されるなあと、この件にかかわらず一生懸命言うてるんだけどなあということが多々ございますので、最後、感想でございますが、以上でございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 知事が、和歌山県民あるいは日本人を入れないようにしたらいいというふうに言っておられることは重々承知の上で、改めてお伺いしています。それでギャンブル依存症から県民を守ると言うんですが、私はこの考えは、ちょっと異様な、恥ずかしいというふうな気がするわけです。
 和歌山県民には、「そんなことをするとギャンブル依存症になるから、そんな施設に出入りしてはいけませんよ」と言うわけでしょう。ところが、世界からお見えになるお客さんには、「ギャンブルでしっかり遊んでください」と言うわけです。ギャンブル依存症になっても関係ないんでしょうか。「当分の間」というような曖昧なこともよく言われますが、そんな当分の間でギャンブル依存症の対策ができるようには私には思えません。それで、和歌山にお客さんが来てもうかればいいんだ。それでも、さっき御紹介した喫茶店のママさんが言うように、本当にもうかるかどうかわからない、こういうことになるわけです。
 私は、お客さんに来てくださいという施設では、和歌山県民も楽しめる施設でなくてはならないというふうに思う。そういうことで、知事が何とお答えするかよくわかった上で改めてお伺いしたことを申し上げて、次の問題へ行きたいと思います。
 次へ行かせてもらいます。第2番目は、学校給食と集団食中毒の問題です。
 御坊市の学校給食が原因となるノロウイルスによる集団食中毒が発生しました。原因もほぼ明らかになってきているようですが、このたびの食中毒の規模、原因究明や対応について、環境生活部長からお答えいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) 環境生活部長日吉康文君。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 今回の御坊市立給食センターが調理した給食を食べた御坊市及び日高川町内の児童ら763名が嘔吐などの症状を訴えた集団食中毒では、原因食品である「いそあえ」をあえる工程でノロウイルスに汚染されたことが強く疑われますが、調理従事者全員が原因食品を食べたことと、一部の食材が保存されていなかったことから、詳細な汚染経路の特定には至りませんでした。
 このことから、県では、当センターに対して、衛生管理マニュアルに基づく検食用食材の保存と調理された食品を調理従事者が食べないことを指導する一方、県内の集団給食施設への緊急一斉立ち入り指導を行うとともに、今月中旬には、御坊市及び和歌山市において調理従事者等を対象とした衛生講習会を開催することとしております。
 再びこのようなことが起こらないよう、集団給食施設を初めとする食品事業者への監視指導と県民への感染予防対策の啓発に努めてまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今、いろいろ大事なことをお答えいただきました。その中で、食材が保存されていたらノロウイルスの感染経路は早く発見されて、立川市の食中毒も防ぐことができたのではないかなどと大変残念に思います。しかし、これからはしっかりやっていただきたい。
 そこで、大きな調理場になっているために食中毒の規模が大きくなったという問題もあるのではないかと思います。かつて海南市で、学校給食センター化に反対する運動が起こりました。それまで海南市では、学校ごとの調理場で調理が行われておりました。その中でも南野上小学校の給食がおいしいということがよく言われました。当時の海南市で一番小さい農村部の学校。地元でとれた農産物で給食の調理がされていたからです。市民の大きな運動の中で2~3校ごとまとめて調理する親子方式に落ちついて、現在に至っています。
 学校給食には、単独調理場、共同調理場、その中間の親子方式、この3つに大別されますが、その状況はどうなっているのでしょうか。また、共同調理場の規模はどのようなものでしょうか。教育長からお答えいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県の学校給食調理場の状況についてですが、平成27年度は単独調理場が110施設、いわゆる親子方式とされる単独調理場が16施設、共同調理場が27施設、民間施設で民間業者が調理している調理場は5施設です。
 また、共同調理場の規模ですが、給食数でいいますと、30食余りから5000食を超える調理場などさまざまな規模となっております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今回の御坊市の給食調理場は、2000食規模のセンターです。しかし、橋本市、田辺市では、3000食を超える規模の給食調理場で給食調理をしています。岩出市では5000食規模です。こういうところで今回のような事態が起こったら地域の医療機関で対応できるんだろうか、こんな心配もあります。
 いま1つ、大きな調理場、給食調理場を行政が直接管理するのか、民間会社に委託するのかという問題があります。直営の共同調理場と民間委託の共同調理場、民間施設で民間業者が調理しているものはどれだけあるのか。御坊市は、シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社という会社に委託していたと報道されていますが、民間委託先、民間事業者とその安全実績をどう把握しておられるのでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 共同調理場の直営等の状況につきましては、市町村が調理員を雇用している共同調理場が18施設、調理業務を民間に委託している共同調理場が9施設、このほかに民間施設で民間業者が調理している調理場は5施設です。各市町村において、プロポーザル方式または入札方式等により業者を決定しており、過去数年間に食品衛生法上の違反に係る行政処分を受けていないことなどの条件を設定することで安全実績を担保しております。
 県教育委員会では、各市町村教育委員会に対して、文部科学省の学校給食衛生管理基準に基づく衛生管理の徹底について指導しており、各市町村教育委員会では、この基準に定められた点検票により、委託業務内容に関する衛生管理の徹底が図られているかを定期的に点検しております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 これまでいろいろやってこられても今回の食中毒事件が起こったわけですから、ひとつその問題をもう一度再点検をしていただきたいと思っています。
 そこで、1つの問題ですが、今回は食材に原因があったことが明らかになったわけですが、ノロウイルス対策には幾つかの問題が考えられると思います。症状が出ていないけれどもノロウイルスを保菌している無症状の保菌者を事前にどう見つけるのかの問題です。普通の感染症は検便で保菌者が見つかるのですが、ノロウイルスの場合、特別な検便が必要で、それにかなりの費用がかかるといいます。こうした検便はどのくらい実施されているのでしょうか、また、回数をふやすために予算措置を検討されているのでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 文部科学省の学校給食衛生管理基準では、「検便は、赤痢菌、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌血清型O157その他必要な細菌等について、毎月2回以上実施すること」と規定されております。また、ノロウイルスによる感染症が地域で流行している場合や調理場内に感染が疑われる者がいる場合はノロウイルスの検便調査を行うこととなっており、各市町村において、ノロウイルス流行状況を踏まえ、必要に応じて検査を実施しているところです。また、県立特別支援学校では、ノロウイルスの感染が疑われる者がいる場合、検査を実施しております。
 ノロウイルス検査の実施については、予算措置を含めて地域の実情を踏まえ、各市町村教育委員会が実施するものと考えております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 こうしたお金のかかる調査については、市町村の責任だということで任せておくんではなくて、予算措置も含めて県としても検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 そして、無症状の保菌者を見つけ出すもう1つの方法として、関係者に自己申告してもらう方法があります。
 家族にノロと疑わしい症状があった場合は、申し出ていただいて休んでもらう。ところが、現在の給食調理員の給与体系の場合は、休めば給与がなくなる場合があります。休まなくてはならない期間が1カ月にも及ぶという場合がある。そうなると、少し気になっていても、まあ心配ないだろうと自分に言い聞かせるというのがよくあることです。安心して自主申告で休んでもらうためには、安全のための休暇中は休業補償をするということも必要ではないかと思いますが、教育長、いかがでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 市町村の給食施設における給食調理員につきましては、各市町村での雇用となり、給与体系等も市町村の規定によるところであります。また、調理業務を委託している場合の休業補償については、市町村が委託業者と契約している内容であり、その契約の範囲で対応することとなっております。
 なお、県立学校における給食調理につきましては、賃金職員として雇用されており、勤務実績に応じた支給となっております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 県立校でも、あるいは委託されたセンターでも、給食調理員は大抵勤務実績に伴う給与体系というふうになってる。そうすると、どうしても人情として、ちょっと心配だけども、まあ大丈夫だろうと自分に言い聞かせる、よくありがちな話だと思います。今度こういうことが起こった際に際して、いろいろと検討もいただきたいと思います。
 学校給食は、できるだけ子供に近いところで調理することが望ましいと思っています。それは、リスクが大きくならないということだけでなく、地産地消、食育という面からも、身近なところで給食が準備されることが望ましいと考えるからです。財政的効率化のためにセンター化に走るんではなくて、各学校で調理する単独調理場の方向に近づいてほしいと思います。また、感染経路がわかるようにすることよりも、再発防止のための安全対策が大切だと思います。
 教育長は、今回起こった事態の教訓も含めて、今後どういうことを検討していかれるか、お伺いしたいと思います。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 調理場方式につきましては、設置者である市町村が給食施設の維持管理、栄養教諭等人員確保、食育や地産地消といった教育的見地など総合的に検討し、市町村の実情に応じた調理場方式を選択し、決定しているところです。いずれの場合においても、衛生管理の徹底等適切な実施について指導してきたところであり、今後も引き続き、安全で安心な学校給食の提供に努めるよう指導してまいります。
 また、県教育委員会では、再発防止のため、先日、市町村教育委員会給食担当者に対して説明会を開催し、今月末にも学校給食関係者を対象とした衛生管理研修会を開催する予定です。今後とも、各市町村教育委員会に対して、文部科学省が定める学校給食衛生管理基準に基づく衛生管理のさらなる徹底を図るよう指導してまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今回の問題は起こったばかりで、原因はわかりましたが、まだまだこれから考えなくてはならない問題がたくさんあるというふうに私は思っています。
 今までちゃんとやってますということだけじゃなくて、そして何かあったらとにかく職員を集めて研修、研修ということだけじゃなくて、やっぱりいろいろ予算的な措置も含めて、これからいろいろと検討していただきたいと思います。まだ事故は起こったばかりなので、これからも一緒に考えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、次の問題に入ります。
 外国から来た子供の教育というふうにテーマを、題をつけました。
 先日、海南市の中学校で、外国籍を持つ子供の教育を考える学習会が開かれました。昨年の4月に中国籍の男子中学生が転校してきたんですが、日本で再婚した母親が引き取って、日本で暮らしやすいとやってきたそうです。日本語は全く話せない。
 子供を受け入れなくてはならないと、校長先生は中国語の入門書とCDを買ってきて準備をして備えたといいます。海南市教育委員会も週に1回、人を派遣してくれました。しかし、十分な支援ができないままに中学生はだんだん元気をなくして、中国の父親のもとに帰ってしまった。学校では、日本で学びたいとやってきた子供を支え切れなかったという反省から、この学習会を開いたんだというふうにお聞きしました。
 こういう子供の中には、外国籍の子供も日本国籍の子供もいます。日本語を話せない子供、話せる子供、親が外国籍であったり日本語を十分話せない場合があります。そこで、「外国から来た子供」というふうに仮に呼んでおきましょう。
 和歌山市の繁華街に近いM小学校、外国から来た子供が11人います。中国4人、フィリピン4人、タイ3人。日本語がほとんど話せない中国から来た子供2人のためには、子供支援センターからのボランティアが週に1日来てくれるそうです。その近くのS小学校では、外国から来た子供は10人、韓国3人、アメリカ1人、タイ4人、フィリピン4人、日本語を話せない子供は2年生で1人、4年生で1人です。ここには県教育委員会から週に3日教員が派遣され、「特に国語の授業などは別室で指導してくれるので助かる」と校長先生は語っておられます。
 2つの小学校だけで外国から来た子供は23人です。どちらの学校でも子供はすぐに会話はできるようになるが、親との意思疎通が大変だという悩みを聞かせていただきました。7~8割が母子家庭です。「メールを送ることも多いのですが、メールの文字を読めない親がいる。防災メールなどの場合、心配だ」と校長先生はきめ細かい心配を語られます。
 そこで質問ですが、第1に、外国から来た子供の実態をしっかりつかむ必要があると思います。幾つの学校にどのくらいの人数の児童がいるのでしょうか、教育長にお伺いします。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 外国人児童生徒の就学については、国際人権規約等の規定を踏まえ、就学の機会を適切に確保するよう、各市町村において小中学校に入学を希望する外国人児童生徒を無償で受け入れるなどの措置を講じております。県教育委員会といたしましては、日本語指導が必要な児童生徒の状況を把握するとともに、市町村教育委員会からの外国人児童生徒の就学等に関する相談に対応し、支援を行っております。
 県内の日本語指導が必要な児童生徒については、平成28年5月1日現在、小学校21校に34名、中学校7校に12名在籍してございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 小中学校合わせて28の学校に46人ということでした。これは、日本語を話せない子供ということで県教育委員会も文科省も統計をとってるわけでして、私の訪問した学校でいいましたら、2つの学校に4人。ところが、私が申し上げる外国から来た子供という広い意味で言うと、4人ではなくて、23人いる。そして、親との意思疎通がなかなか難しかったり、学校ではいろいろな御苦労をしていらっしゃる。こういうことになるわけで、ですから広い意味でいえば46人ではなくて200人から300人という人数になるんではないかと思っています。
 そこで、こうした子供たちを支援するための県の教員の配置などはどうなっているのか。1つの学校には県から来てくれた先生が3日来ているという話を聞いてきましたけども、全県ではどうなっているのか。また、市町村教育委員会や子供支援センターからボランティアが配置されているようですが、どんなぐあいなんでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、本年度、国の加配を活用して、日本語指導が必要な児童生徒が多い和歌山市と田辺市に教員を1名ずつ配置しており、巡回指導を行うなどして、個別に日本語習得のための指導や各教科の学習内容が理解できるよう支援しております。
 市町村教育委員会においては、個々の状況に応じて支援員を配置したり外国語ボランティアを活用したりするなど、日本語習得のための支援やその児童生徒の母国語による支援などを行っております。また、日本語によるコミュニケーションが困難な保護者に対しては、学校の支援員やボランティアなどを活用し、意思疎通を図るなどの対応をしております。
 日本語指導が必要な児童生徒が在籍する学校においては、特別の教育課程を導入して、個別の学習や一斉授業の中で児童生徒に寄り添うなど、1人1人に応じた支援を行っております。今後、本県においても日本語指導が必要な児童生徒が増加することが予想されますので、国に対してさらなる加配の要望を行うとともに、関係機関との連携の強化を図ってまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 日本語を話せない子供はもちろんですが、親が十分日本語を話せない、しかし、学校生活の中で日常会話だけは何とかできるようになった、こういう子供たちの場合も含めて学力の問題は大変だろうと思います。こういう子供たちの学力の課題も分析しておられると思うんですが、どのような対応をしておられるんでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 全国学力・学習状況調査や県で実施しております学習到達度調査の実施に当たって、日本語指導が必要な児童生徒については、各学校の判断により、調査時間の延長や問題用紙へのルビ振りなど、ふだんの学習活動と同様の配慮を行うなどの対応をしております。
 県教育委員会では、児童生徒の調査結果を踏まえ、1人1人の学力の定着状況を把握し、補充学習を初め、個に応じた支援を充実するよう指導しております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私は一斉学力テストというものには批判的なんですが、その理由の1つは、平均点比べになっていて、平均点競争、和歌山の平均点が高い低いというようなそんな議論にばっかり行くのは大変気になるわけです。そういうことでなくて、こうした子供たち、課題を抱えた子供たちにしっかりと目を向けていただきたいと思います。
 そして次に、こうした子供たちが高校へ進学したいという場合があるんですが、高校に進学できるようにサポートする問題です。高校への進学状況はどうなっているのか。他府県では、国語、数学、英語の3教科入試を実施しているという話も聞くんですが、和歌山県の場合はどういうふうにやっておられますか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 日本語の理解が十分でない外国人生徒等で、特別な措置を講じて県立高校に入学した生徒は、平成27年度で1人、平成28年度で3人であります。
 入学者選抜の方法としましては、日本語の理解不足による不利な状況を補うため、問題や解答用紙の漢字へのルビ振り、試験時間の延長、母国語の辞書持ち込みなど、個々の状況に応じて特別な措置を講じ、対応しているところです。
 今後も、市町村教育委員会を通じて特別な措置が必要な志願者を把握し、1人1人の状況に応じた個別の措置で対応してまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 外国から来た子供たちというのは、これからもふえてくると思います。そして、何回も申し上げますように、教育委員会から言われるその少ない数字というのは、あくまでも日本語を話せない子供、そしてそうではない、いろいろな私が申し上げている広い意味での外国から来た子供というのも、やはりいろいろな面でのハンディキャップを抱えて、これから日本で生活していかなくてはならない。こうした子供たちをしっかりとサポートして、日本と彼らの母国の友好のかけ橋になってほしいと思うわけでございます。それで学校現場ではいろいろ御苦労されておられますんで、そんな御苦労をしっかりつかんで施策を充実していくようにお願いしておきます。よろしくお願いします。
 続けて、第4の問題、熊野川の濁水の問題について。
 一昨年の2月と昨年の12月に、この県議会でも地元の議員さんからそれぞれ取り上げていただきました。私たち共産党県議団でも、先日、土砂災害啓発センターの視察も兼ねて、熊野川、ダム視察を行い、ダム管理者のお話を聞き、新宮市の担当者、地元住民の皆さんと懇談をしてまいりました。
 熊野川に沿って車を走らせると、ダムから流れる濁水と北山水系からの清流がくっきりと分かれます。まず、地元住民の皆さんのお話を聞いて感じたのは、地元住民の熊野川への思いの深さ、この川を守る長い闘いの歴史でした。地元の方が持ち出されたのは、新宮川水質汚濁防止連絡協議会という団体が発行した昭和21年から昭和53年までの新聞切り抜き資料集でした。熊野の山林の管理と発電ダム建設をめぐって、熊野川と自然を守る立場から長い取り組みがありました。それが、平成23年の水害をきっかけにして濁水が深刻になっています。
 平成24年7月、国、県、ダム管理者、沿川市町村で構成される熊野川の総合的な治水対策協議会が設置されました。一昨年3月に濁水対策の平成33年までの計画・工程表がつくられています。しかし、新宮市当局を含めて地元の住民の皆さんには、本当に濁水問題が改善されるのだろうかという気持ちが大変強い。その後、濁水問題が解決されていないことを訴えられたのが、昨年12月の田辺市の議員さんの質問でした。知事からは、奈良県側の復旧のおくれが指摘をされました。
 そこで質問なんですが、治水対策協議会の計画・工程表の施策で実効ある対策ができるとお考えでしょうか。また、災害復旧でも、崩れた道路を復旧するという問題は、和歌山県側、奈良県側、三重県側、それぞれの都合に合わせて早い遅いがあってもいたし方ないと思います。しかし、川を守るための治山を含めた流域対策は、国が主導して治水対策協議会の責任でやらなくてはならないと思います。私には、それが見えてこないように思われるのですが、県土整備部長のお考え、見通しをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 熊野川の濁水への対策について御質問を頂戴いたしました。
 熊野川の濁水対策については、平成24年7月に国、三重県、奈良県、和歌山県、電源開発株式会社、関西電力株式会社及び沿川市町村から構成される熊野川の総合的な治水対策協議会を設置し、各機関において対策を実施しているところでございます。
 流域対策につきましては、平成33年度末を目指し、国土交通省や和歌山県等が洪水後の濁水の発生源となっている崩壊地対策や河道への土砂流出防止対策を治山、砂防事業で実施するなどしております。
 また、電源開発株式会社が実施するダムの貯水池対策については、洪水後には表層の清水層から取水できるよう、風屋ダムや二津野ダムに浮き沈みする濁水防止フェンスを平成27年度末までに設置するとともに、風屋ダムの取水設備の改造に着手しました。あわせて、洪水後の濁水早期排出と清水貯留期間の延長など、発電運用の改善にも取り組んでいるところでございます。
 これらの全ての対策が完了した場合においては、平成23年の紀伊半島大水害以前の状態まで濁度の軽減が図れるものと期待しております。引き続き、これらの対策を早期に完成させるとともに、その進捗状況、対策効果のモニタリングを関係機関と連携し進めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 できればいいなと思います。
 新宮市は、計画・工程表に加えて、先進地事例の研究と実践──風屋ダム濁水バイパスの設置──などを提案しております。「先進地とはどこですか」とお伺いしますと、「九州に一ツ瀬ダムというのがあって、親子ダムになっています」というお返事をいただきました。私は素人ですから、それが有効なのかどうかの判断はできませんが、濁水に悩む新宮市の提案であります。ぜひ、こうしたことも検討していただきたいと思いますが、県土整備部長、いかがでしょうか。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 新宮市から御提案のあった濁水対策への御提案について御質問を頂戴しました。
 議員から御指摘のありました先進地事例の研究等につきましては、熊野川の総合的な治水対策協議会において、既に新宮市から御提案があったことを承知してございます。
 この提案を受けまして、風屋ダムの管理者である電源開発株式会社からは、現在実施している熊野川の濁水軽減対策は、平成26年6月に設置された有識者等から成る熊野川濁水対策技術検討会において、全国の濁水長期化対策の事例も参考に、発生源や濁水長期化の要因分析及びダムにおける対策に関する技術的検討により取りまとめられた対策であり、まずはこれらの対策を早期に完成させるとともに、その効果の検証が重要と考えている旨、協議会において報告があったところでございます。
 県といたしましては、現在予定されている対策の実施とその効果の検証を行った上で、さらなる追加対策が必要となれば、熊野川の総合的な治水対策協議会において検討されるよう働きかけてまいりたいと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 よろしくお願いします。
 私は、さきに申し上げた地元の議員さんの質問も読み返させていただきました。それぞれ地元の住民の皆さんの強い思いがこもった質問になっていたなと敬服いたしました。
 しかし、問題解決への見通しが見えないことに、地元に皆さんはいら立っておられると思います。知事初め関係者の皆さんに、国への働きかけをしっかりと進めていただけるよう要望して質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、雑賀光夫君の質問は終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時55分散会

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