平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(中本浩精議員の質疑及び一般質問)


平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(中本浩精議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(服部 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕(拍手)
○中本浩精君 皆さん、こんにちは。3月3日、3番目に登壇させていただきます中本です。先ほど登壇前に、「ああせい、こうせい、中本浩精、しっかりせい」と叱咤激励をいただきました。明るく楽しく元気よく、そしてしっかりと県勢発展のために質問さしていただきますので、いましばらくの間おつき合いいただきますようによろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 今回、3項目させていただきます。
 まず1項目め、地方における外国人観光客の誘客についてお尋ねいたします。
 最近、特に外国からの観光客が多くなっており、昨年の訪日外国人旅行者は2403万人を超え、過去最高を記録しました。先日発表されたことし1月の推計値では、前年同月比24%増の229万5000人と、まずは好調な滑り出しをしたところでございます。
 2015年の訪日外国人旅行者が1973万人超とほぼ2000万人を達成したからでしょうか、政府は昨年3月に、2020年に訪日外国人旅行者2000万人という目標から、2020年までに4000万人、2030年には6000万人と新たに目標を定めました。
 こういった目標値は、希望的観測で往々にして実現不可能だったりしますし、さきの2000万人も結構高いハードルだったと思います。それが予想以上に早く達成できました。円安などの追い風があったことも要因でしょうが、官民挙げてさまざまな取り組みがなければ、ここまで早くの実現はなかったのではないかと思います。
 もちろん、県でもさまざまな取り組みを行っている結果があらわれていると思います。今後も、より多くの外国人観光客に来県いただくために、より一層の新たな取り組みも必要と考えます。しかし、当然その前にきちんと現状把握をする必要があります。
 そこで、外国人観光客の誘客に対する県の取り組みについてお伺いします。
 県内の外国人観光客の現状と、県としてどのような取り組みを行っているのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) ただいまの中本浩精君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 県内の外国人宿泊数につきましては、平成27年に過去最高となる42万人泊を記録したところですが、平成28年についても、この記録をさらに上回る50万人の大台を超える見込みです。
 県といたしましては、関西国際空港からのアクセスといったロケーションを生かしつつ、アジア市場向けには、桜などの四季の自然、白浜や勝浦などの温泉、フルーツ狩り体験、マグロに代表されるグルメなどの魅力を発信しています。一方、欧米豪市場向けには、「ロンリープラネット」や「ミシュラン・グリーンガイド」といった世界的な旅行ガイドブックで高い評価を得ている高野山と熊野の魅力を発信しているところです。
 また、外国人観光客の滞在時の不便等を解消するため、多言語観光ウエブサイトの充実やおもてなしトイレ、Wi─Fi環境、多言語案内表示などの受け入れ環境整備を進めております。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 御答弁いただきました。
 観光政策において、和歌山県は非常によく頑張っていただいていると私は思います。より一層、県の観光施策を積極的に進めていただきたく、次の質問に入らせていただきます。
 先ほども述べましたように、訪日外国人旅行者の人数は順調に推移しているように思われます。ただ、想定外の追い風はいつまでも続くものではなく、円高、景気悪化などの懸念もあり、追い風がなくなったときあるいは逆風になったときの用意、手だてもしておかなければならないと思います。円高だ、円安だと一喜一憂するのもどうかと思いますが、この先も好循環が続くと楽観視していいわけはありません。実際に、いわゆる爆買いに陰りが見られるというようなことも聞きます。陰りではなく、爆買い終えんではとの声もあり、やはり楽観視してはいられないようです。
 逆風になったときの手だてと申し上げましたが、この手だては、追い風状態ではより一層活用できるものだと思います。危機感を持ち、対応していくということがとても大切だと思います。
 さて、かつて外国の方の観光コースは、限定的とは言わないまでも、利便性の高い都市部の観光地が中心でした。昨今は、地方にも多くの方が観光に訪れています。日本人にとっては、必ずしも観光名所とまでは言えないスポットや地方にも訪問したりします。東京、富士山、関西のゴールデンルート等から広域ルート、地方ルートへの広がりです。
 今後の訪日外国人旅行者の増加はリピーターによるところが大きく、リピーターが増加しないと全体として増加も限定的と考えます。先ほどの2020年に4000万人、2030年に6000万人の訪日外国人旅行者の目標も、その6割をリピーターとしています。リピーター増加のためには、地方が魅力ある観光地であることと、いかに地方の情報を発信していくかが重要になります。
 和歌山県は、世界最大手インターネット検索サイト・グーグルにおいて、「2015年夏休み×旅行関連の検索ランキング~伸び率~」全国第1位や、宿泊予約サイト楽天トラベルで2016年秋の訪日旅行人気上昇エリアランキング全国第4位を記録するなど、大きく評価され始めています。
 そこで、県内への外国人旅行者誘致のため今後どのような取り組みを進めていくのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 議員御指摘のとおり、東京や京都、大阪といった、いわゆるゴールデンルートに集中する外国人観光客の地方部への誘客や、急増する個人観光客への対策を一層強力に進めていく必要があります。
 また、2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック・パラリンピック、そして2021年関西ワールドマスターズゲームズと世界的なビッグイベントが続きます。このタイミングを逃すことなく、引き続き誘客対策を推進してまいります。
 具体的には、個人観光客対策として、ウエブやSNSなどのメディアによる情報発信に取り組んでいるほか、平成29年度は、プロモーションと受け入れ環境整備の両面において、新たな取り組みを展開してまいります。
 プロモーションでは、外国人富裕層の誘客や個人観光客の長期滞在による消費拡大を目指し、ドイツやイスラエルなどの新たな市場への展開や欧米豪の富裕層をターゲットとしたプロモーション、スポーツツーリズムの推進、インバウンド向け体験型プログラムの情報発信の強化に取り組んでまいります。
 また、受け入れ環境につきましても、多言語電話通訳、簡易翻訳サービスの充実に加え、急増する個人観光客がストレスなく移動できるよう、公共交通事業者と連携して、交通結節点における案内表示や誘導表示などの共通化や公共交通を利用した観光ルートの発信などにも取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 今、部長のほうより力強い前向きな答弁をいただきました。ありがとうございます。
 本年2月8日ですが、白浜町において、吉井県議が会長を務める県議会観光振興議員連盟主催で大使観光フォーラムを開催したところ、アジア・オセアニア各国の大使を初め、大勢の方に御参加いただきました。本県のすばらしい自然や歴史などの魅力について情報発信させていただくなど、県議会としても外国人観光客の誘客に取り組んでいるところです。
 御答弁いただいたとおり、2020年東京オリンピック・パラリンピックを初め、今後、世界中から日本に注目が集まるビッグイベントが続きます。また昨日、山下県議からの質問にもありましたとおり、2025年大阪万博の実現に向けて、国を挙げての取り組みが進められようとしています。この絶好のチャンスを逃さないよう、日本にやってくる外国人観光客に和歌山へ訪れていただくための観光施策を、今から他府県に先駆けて施策をしかけていく必要があると思います。
 また、私の地元で考えても、高野山には外国人観光客がたくさん押し寄せておりますし、宿坊にもたくさんの外国人観光客が泊まられており、非常にありがたいことです。県においては、高野山を核とした周辺地域への誘客に既に取り組んでいただいておりますが、世界遺産に追加登録された黒河道を初めとする周辺の観光資源も活用しながら、さらなる外国人観光客の呼び込みに取り組んでいただきたいと思います。
 和歌山には、まだまだ地元の人が気づいていない、しかし世界に評価される可能性のある観光資源が多く眠っているはずです。新たな観光資源の掘り起こしや長期滞在を促進できるよう、主要観光地だけでなく周辺観光地も織りまぜた周遊観光ルートの発信に引き続き取り組んでいただきますよう要望いたしまして、次の質問へ入らせていただきます。
 2項目め、地域包括ケアシステムについてお尋ねいたします。
 重度な要介護状態となっても住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される、これが地域包括ケアシステムの説明としてなされています。この説明だけを聞くと、仮に将来病気や要介護になっても安心だという気もしますが、実際のところはどうでしょうか。
 医療や介護が必要な人には、通院や在宅医療などにより自宅で生活できる人だけでなく、重度化して入院や介護施設への入所が必要になる人もいます。しかし、病床の再編を進めるということも聞きますし、介護関係施設も今後の高齢者数の増加に対応するほどふえるのでしょうか。本人が望まない形で在宅生活を強いられる方がふえるのではないかと心配します。
 そこで、福祉保健部長にお伺いします。
 今後の地域包括ケアシステムについて御説明、よろしくお願いいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 地域包括ケアシステムについてお答えします。
 本県では、75歳以上の高齢者の数が2030年にピークを迎える中で、高齢者ができる限り住みなれた地域で安心して暮らせるように、地域包括支援センターを中心に、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を進めています。
 医療に関しては、医療機関の機能分化と連携、病床機能の再編を図り、将来の医療需要に応じた必要な病床数を確保していきます。入院が必要な人は急性期病院等に入院し、患者の病状に応じて回復期病院に転院するなど、切れ目なく質の高い医療が提供される体制の構築を目指しています。退院後も安心して在宅療養できるように、かかりつけ医や在宅医療を支える人材の育成や確保を図るとともに、訪問診療につなぐ役割を担う在宅医療サポートセンターを各圏域に設置し、急変時等に入院を受け入れる病院を地域密着型協力病院として県独自に指定するなど、全県的な在宅医療推進安心ネットワークの構築を進めてまいります。
 また、介護に関しても、2030年を見据えて、高齢者が安心して暮らせるよう、わかやま長寿プランに基づき、施設等への入所を望む高齢者に対応するための十分な施設整備を進めるとともに、在宅での生活を望む高齢者に必要な在宅サービスの整備を計画的に進めているところです。
 今後とも、県内の状況を見据えながら、高齢者がその個人個人の状況に応じて安心して暮らせるよう医療と介護の充実を図るとともに、必要なサービスが行き届くよう地域包括ケアシステムを実現してまいります。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ありがとうございました。
 ただいまの答弁を聞かせていただき、県では、必要な病床を確保するとともに、きめ細やかな配慮をしながら病床再編を進めていくということがよくわかりました。
 しかしながら、核家族化が進み、ひとり暮らしの高齢者がふえる中、私の地元でも、将来が不安だという高齢者の声をよく聞きます。ぜひとも、必要な人が病院や施設に入れないというようなことがないように、関係機関と密に連携を図り、地域包括ケアシステムの取り組みを確実に進めていただくことを要望いたしまして、次の項目へ入らしていただきます。
 3項目め、次代を担う人づくりについて質問させていただきます。
 「教育は国家百年の大計」、「教育は人なり」と申しますが、教育委員会におかれましては、宮下教育長を先頭に、和歌山の教育の向上のために子供を中心として日々御尽力いただいておりますこと、この場をおかりしまして感謝申し上げます。
 さて、本議会において、本県の10年後の未来を展望した目指す将来像と、その将来像の実現に向けて取り組む施策の基本的方向を示した和歌山県長期総合計画案が上程されています。
 長期総合計画では、それぞれの分野の10年後の本県の目指すべき姿を描いていますが、その第一には、現行の長期総合計画に引き続き、本県の教育における将来像が掲げられております。私も、本県の未来には人づくりが最も大切だと考えており、「ひとを育む」として教育の分野が最初に掲げられていることは、大変すばらしいことだと思っています。
 その将来像では、社会を生きていく上で基盤となる確かな学力、豊かな心、健やかな体の知・徳・体をバランスよく備えるとともに、変化の激しい時代においてもみずからの将来の夢や目標を実現できる新しい時代に必要な資質、能力を身につけているとされております。また、その実現に向けた多くの施策も記載されています。
 それらのさまざまな施策には大変期待しているところですが、必ず実現していただきたい施策が幾つかあります。
 まずは、本県がこれまでも力を入れて取り組んできました人権尊重社会の実現であります。
 人権教育の分野について振り返ってみますと、戦後間もなく、責善教育の名称で全国に先駆けて部落差別の解消を目指した取り組みがスタートし、その後、昭和40年の同和対策審議会答申、昭和44年の同和対策事業特別措置法を受けまして、同和教育が全ての学校で熱心に取り組まれ、大きな成果を上げてまいりました。同和問題の理解と認識について、全ての子供たちに部落差別についての正しい認識と理解を培い、部落差別をなくしていく力量を育てる実践が積み重ねられてきました。そして、取り組みの経緯の中で、同和問題のみならず、女性、子供、高齢者、障害者、外国人、HIV感染者等に関するあらゆる人権問題に関する理解と認識を深める役割も果たしてきました。
 また、同和地区と地区外の児童生徒の学力格差も縮まり、高校進学率の格差も大きく改善されてきました。本県における取り組みは、他府県からも視察に来るほど、同和教育の先進県として実にすばらしいものであったと思います。
 そのような取り組みの中で、国においても、昨年の12月9日、本県選出の門博文代議士が法務委員として大変御尽力くださり、部落差別の解消の推進に関する法律案が衆議院及び参議院において可決され、成立を見ました。この法律の成立は、一昨年9月に本県議会から出された意見書が大きな契機になったと私たちも大いに自負しているところですが、そこでお伺いします。
 この法律が成立したことにより、学校における人権教育の推進を県として今後どのように充実させていこうとお考えなのか、教育長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、人権が尊重される社会を築く人間を育成するため、和歌山県人権教育基本方針に基づいた取り組みを学校教育、社会教育の両面において積極的に進めているところでございます。学校教育では、人権教育担当教員等への研修の充実に努めるとともに、実践事例集や校内研修のためのハンドブック等を作成し、全ての教職員に対して人権教育の充実を図り、さまざまな人権課題に取り組んでまいりました。
 同和問題につきましては、解決に向けて多くの面で成果を上げてきたところですが、今なお差別事象の報告があります。昨年12月に施行された部落差別の解消の推進に関する法律は、部落差別は許されないものであるとの認識のもと、部落差別の解消の必要性について国民の理解を深め、部落差別のない社会を実現することを目指したもので、第5条では、教育及び啓発について定められております。
 このことから、同和問題を初めさまざまな人権課題を解決するため、学校教育の果たす役割の重要性を再確認し、これまでの取り組みを踏まえた上で、さらなる充実を図ることが必要であると考えております。
 現在、教職員を対象として、本法律の趣旨や内容等を含む人権教育の推進に係る手引きを作成しているところであり、これを活用し、教職員に関連法規等を正しく理解させるよう努めてまいります。
 今後とも、市町村教育委員会とより一層連携を密にし、人権教育のさらなる充実に努めてまいります。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 わかりました。これまでの同和教育の実践に学び、これからも全ての学校において人権教育の一層の推進と地域での人権教育の充実をぜひお願いいたします。
 続いていかせてもらいます。
 次に、学力の向上について質問させていただきます。
 秋田県では、県独自の取り組みである30人程度の学級を小学校6年生まで拡充し、小中学校の全学年を対象に展開しています。また、世界に通用する英語コミュニケーション能力や国際的な視野、幅広い教養、問題解決力等を身につけたグローバル人材など、秋田県の将来を担う人材を育成するとともに、子供の未来が生まれ育った環境に左右されることのない社会の実現に向け、教育委員会や市町村との連携を強化しながら、貧困の状態にある子供の支援を充実させることで大きな成果を上げていると聞いています。
 本県においても、県独自の施策として、小学校は2年生までは35人、3年生から6年生は38人以下学級──ただし3学級以上の規模の大きい学校の場合は35人学級──中学校は全て35人以下学級を実施されております。
 また、国の加配を活用し、指導方法の工夫改善に努められており、個別指導や補充学習等を行うなど、学校の実情に応じてきめ細かく対応していると聞いています。教員が研修を積み重ね、教員一人一人の指導力の向上を図ることはもちろんのことではありますが、児童生徒一人一人に寄り添って、学級の全ての子供に目の行き届いた指導、支援を行っていくには、ある程度学級の少人数化を図ることも重要かと考えます。
 一方、単に教職員数をふやすだけでは、高い教育効果は得られません。本県の子供たちがどのような状況にあり、どのような課題に直面しているのか、これからの社会をたくましく生き抜く子供たちに必要な力は何かなど、丁寧な分析を踏まえて適切な施策を行っていくことが大切であると考えます。
 和歌山県長期総合計画計画案では、子供たち一人一人が志高く未来をつくり出す力を育む教育の推進のための施策として、確かな学力の向上を1番目に打ち出しています。現在も学力の向上についてはいろいろと取り組みをされておられますが、本県の子供の全国学力・学習状況調査結果は、おおむね全国平均を下回る状況が続いていると聞いています。恐らく先生方も熱心に指導をしてくれていると思いますが、近年の学力の現状を心配しております。やはり、次代を担う人材を育てるためには、子供たちにまず学力をしっかりつけてあげることが一番だと思います。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 和歌山の子供の学力向上を図る施策についてお聞かせください。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県において、確かな学力を定着させることは喫緊の課題であります。このため、本年度は、すぐれた教員の授業をおさめた国語授業づくりDVDと、授業や家庭学習等で活用できる国語問題集を作成いたしました。現在、これらの教材等を全ての学校で徹底して活用し、教員の授業改善や子供たちの学習内容の定着に取り組んでいるところです。来年度は、理科授業づくりDVDと問題集を作成し、理科の課題改善と、次期学習指導要領で求められる理数教育及びプログラミング教育の充実に取り組む予定であります。
 また、現在、すぐれた教育実践力を持つ退職教員を学校に派遣し、授業づくりなどを指導する事業を実施しております。来年度は、派遣する学校数をふやし、取り組みの一層の充実を図るための予算をお願いしているところです。
 さらに、教頭や教員を学力向上の成果を上げている県外の学校に派遣し、研修で得た成果を県全体に普及しております。来年度も、県外に派遣した教員が学力向上の中核を担うリーダーとなり、教員同士のネットワークを築きながら授業研究の充実を図る予定であります。
 県内には、学力向上に地道に取り組み、成果を上げてきている市町村や学校もございます。また、全国レベルの団体による文部科学大臣奨励賞を受賞した学校など、すぐれた取り組みを行っている学校もございます。今後も、これらの市町村や学校の取り組みを県全体に積極的に広めながら、市町村教育委員会や学校、家庭、地域と一体となって、次代を担う和歌山の子供たちの学力向上に全力で取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ありがとうございました。
 次の学習指導要領では、単に知識を得るだけでなく、主体的、対話的で深い学びの視点からの授業改善をさらに充実させ、子供たちが将来にわたって社会の中で知識を活用できる力を身につけることや、小学校に外国語が教科として新たに導入されるなどが示されていると聞いています。
 先生方は本当に大変忙しいと思いますが、これからも学力の向上を初め、いじめ、不登校など、さまざまな教育の課題にしっかりと取り組んでいただくことをお願いいたします。
 県教育委員会におかれましては、市町村教育委員会とより一層連携を密にし、現場の現状把握に努めていただきますようよろしくお願いいたします。
 次に入ります。最後に、次代を担う人づくりについてお尋ねいたします。
 私は、教育施策を考えるとき、米百俵の故事を思い出します。長岡藩(現在の新潟県長岡市)の藩士で、幕末期活躍した小林虎三郎の教育にまつわる故事です。戊辰戦争によって長岡藩は壊滅的な状況となっていましたが、その窮状を察した兄弟藩である三根山藩から米100俵を贈られました。生活に困窮していた藩士たちは、その米が分け与えられることを望んでいましたが、小林虎三郎は藩士たちに向けて、「国が興るのも、まちが栄えるのも、ことごとく人にある。食えないからこそ、学校を建て、人物を養成するのだ」、「100俵の米も、食えばたちまちなくなるが、教育に充てればあすの1万、100万俵になる」と主張し、藩士たちを説得したというお話です。
 この米百俵のエピソードは、山本有三の戯曲「米百俵」で有名になり、その後、平成13年(2001年)、小泉純一郎元首相が所信表明演説で米百俵を引用したことで再び全国的に知れ渡り、その年の流行語にもなったことは記憶に新しいところです。私自身も、この米百俵の故事に大変共感しています。
 教育長は、新長期総合計画のスタートを目前にして、次代を担う人づくりに対して改めてどのような決意をお持ちですか、お聞かせください。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 議員が述べられました中に「教育は国家百年の大計」という言葉がございました。教育には、長期的な視点が重要だと考えてございます。
 本県においては、この先10年を見通して、今回上程しております新長期総合計画においても、さまざまな教育の施策が盛り込まれております。成果がすぐにあらわれるものばかりではありませんが、これらの施策を着実に進め、和歌山の教育の目指す将来像を実現していきたいというふうに考えてございます。
 一方、本県の喫緊の課題である学力や不登校については、さまざまな対策を講じているところであり、今後も私が先頭に立って進めてまいりたいと思ってございます。その手だてとして、このたび義務教育課に幼児教育推進班を新設するとともに、児童生徒支援室を設置し、幼・小・中を通しての教育の充実やいじめ、不登校対策の強化を図ることとしております。さらに、学力については、学校への指導、支援を充実するため、教育センター学びの丘を再編し、新たに学力対策課や学校支援課を設置することとしております。
 今後、コミュニティ・スクールを導入するなど、学校、家庭、地域、関係機関それぞれが役割と責任を果たし、総力を挙げて取り組むことによって、将来の和歌山を担う子供たちに、いわゆる知・徳・体の人間としての総合力を着実に育てていきたいと決意してございます。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ありがとうございました。宮下教育長より力強い決意を表明していただいたと私は思っております。
 和歌山県の未来を考えるとき、教育こそ、人材を育て、国やまちの繁栄のもととなるという教育第一の思想を貫いた人物、小林虎三郎に大変熱いものを感じます。
 私は、県教育委員会の応援団であります。答弁の中で新しい取り組みもお聞きしました。どうか県及び教育委員会におかれましては、財政厳しい折ではございますが、次代を担う人づくり、これからの和歌山を担う人材育成のために、子供を中心に推進すべき施策をより実効性のあるものにするため、教育の投資について御理解、御支援を賜りますようお願いいたします。
 最後に、教育立県和歌山の復活を願い、質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は3月6日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時40分散会

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