平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 次に日程第2、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号までを一括して議題とし、本案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 34番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 皆さん、こんにちは。自由民主党県議団、山下直也でございます。
 平成29年2月定例会、いよいよ本日から5日間にわたり一般質問が行われます。今定例会は私を含め15名の議員が登壇に立つわけでありますが、初日トップで登壇の機会を与えていただきましたことに対しまして、議長を初め先輩・同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げる次第であります。
 さて、本日は、ここ旧和歌山県議会議事堂において一般質問が行われる運びとなりました。皆さん御承知のとおり、旧議事堂においては、明治31年春の建物竣工後、40年間にわたり県議会が開催されていたわけであります。
 「和歌山県議会史」によりますと、旧議事堂における県議会の開催は、昭和12年11月24日に開会し同年12月22日に閉会した通常会が最後となっておりまして、昨年の6月定例会は、ここ旧議事堂において79年ぶりに初日のみ開催され、本日は、実に80年ぶりに質疑が交わされるわけであります。また、和歌山市を離れ一般質問が行われるのは、記録を読む限り今回が初めてとのことであります。
 今、この壇上に立たせていただき、改めまして、先人たちが和歌山県の発展のため、この旧議事堂で激論を交わし合っていたであろう情景に思いをはせますと、非常に感慨深く、かつ、その歴史の重みをひしひしと感じ、身が引き締まる思いであります。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、私自身にとりまして通算27回目になりますが、一般質問をさせていただきたいと思います。
 月日がたつのは早いもので、ことしも既に2カ月が過ぎました。昼間の時間が少しずつ長くなりつつある中、日差しも少しずつではありますが、暖かく感じられるようになってまいりました。まさに桜の名所であります、ここ岩出市根来におきまして、桜前線の到来が待ち遠しく感じるきょうこのごろであります。
 さて、振り返りますと、昨年は和歌山県にとって非常に大事な1年でありました。一昨年、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会や、高野山開創1200年という県史に刻まれるビッグイベントが成功裏に終わり、通常であれば昨年は端境期となってもおかしくないものでありましたが、世界遺産の追加登録を初め、大河ドラマ「真田丸」の放送、総務省統計局及び独立行政法人統計センターの一部機能の本県への移転決定、また赤ちゃんパンダ結浜の誕生など、国内外から引き続き高い注目を浴びた1年となりました。本県が持つポテンシャルの一端が花開いたものと、大変うれしく感じるところであります。
 思えば、平成18年12月、仁坂知事が就任されてから10年が経過をいたしました。この間、県当局と議会がともに情熱を持って県政を牽引してきたことで、本県を取り巻く環境は大きく変わったと感じます。
 県民の悲願である紀伊半島一周道路・近畿自動車道紀勢線はすさみ南インターチェンジまで延伸し、京奈和自動車道は来る3月18日に県内全線が開通、第二阪和国道と国道480号鍋谷峠道路もこの4月1日に開通するなど、県内の幹線道路ネットワークや府県間道路の整備が、今、着々と進んでおります。
 また、産業振興につきましては、県内企業の経営革新、技術開発力強化、販路開拓を支援する施策が充実するとともに、160社を超える企業誘致が実現し、約2200人の新規雇用が生み出されました。
 少子化対策にも重点を置き、多子世帯の保育料等の無料化や大学等への進学給付金制度を創設されるとともに、1人で過ごさざるを得ない子供たちの居場所づくりなど、経済面、心のケア面の両面から子育て環境を充実させる取り組みが実施されてまいりました。こういった取り組みを通じて、本県では地方創生をいわば先取りして実践してきたとも言えます。
 しかし、一方で、目を背けてはならない課題は山積しております。
 何より、とうとい県民の命を守るため、今後30年以内に70%程度という高い確率で発生が予想される南海トラフ地震を初めとする大規模自然災害への対策は、道半ばであります。
 また、若年層を中心とした人口流出が長らく続き、中山間地域では過疎化、高齢化が進行しております。それに伴い、地域を支えてきた農林水産業では、後継者不足が一層深刻な問題となっております。
 世界に羽ばたく人材や地域を支える人材を育てる上では、県内の児童生徒の確かな学力、豊かな心、健やかな体をバランスよく備えさせていくことが必要であります。
 さらに、世界を見渡せば、ますます激動の時代に突入すると言っても過言ではありません。政治、経済は一層グローバル化が進み、我々の経済活動や生活に大きな影響を与えております。
 そのような状況のもと、昨年の6月定例会におきまして、私から1年前倒しして新たな和歌山県長期総合計画を策定するに至った知事の考えをただしたところ、加速度的に進む人口減少の克服に向けた取り組みや、大規模災害の相次ぐ発生に伴う国土強靱化の流れ、急速な高齢化の進展など、新たな諸課題に速やかな対応が求められているとの答弁がありました。まさに、私も全く同感であります。
 また、計画策定に当たる議会との議論のあり方につきましては、今後10年間にわたる県政の重要な総合的指針であることを踏まえ、県議会とともにつくり上げていくことが重要であるとの認識も示されました。
 議会は、県政を進める車の両輪の1つとして、本県の大いなる発展に対し重い責任を背負っており、当局と10年後の和歌山県の将来像への思いを1つにして取り組むことが重要であると考えます。
 そのため、我々自由民主党県議団では、真摯に検討を重ねてまいりました。さきの12月定例会の行政改革・基本計画等に関する特別委員会におきましても、当局から示された原案に対し、出席議員からさまざまな意見が述べられたところであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 これらの意見を踏まえ、今定例会で和歌山県長期総合計画案が提案されたわけでありますが、改めて、新たな和歌山県長期総合計画にかける知事の決意をお聞かせください。
 また、和歌山県長期総合計画案に掲げた将来像の実現に向け、初年度となる平成29年度において知事はどのような思いを込めて新政策を展開されようとしているのかも、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。
 一方、本県の財政は、その歳入の多くを国に依存する構造になっております。その歳入の太宗を占める地方交付税につきましては、昨年、国の予算編成において、その総額確保が大変厳しいものと懸念されました。このため、12月定例会初日において、各会派の協力をいただき早期の議決を実施した「地方交付税の総額確保等を求める意見書」を携え、12月5日に議長代理といたし、私と岸本議員で上京、二階幹事長や門衆議院議員を初めとする本県選出の自由民主党の国会議員の方々の御尽力をいただき、衆参両院、関係省庁をめぐり、要望を行いました。
 その結果、平成29年度は、地方交付税を含め、必要な一般財源総額の確保が実現したところではありますが、この先も不透明な財政運営が強いられるのではないかと懸念いたすところであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 今後、和歌山県長期総合計画案に掲げられた将来像の実現に向けては、将来にわたり財政の健全性を確保していくことが前提だと考えますが、来年度の予算のことも含め、今後どのように行財政運営をされようとお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 2点目の質問に入ります。
 和歌山県長期総合計画案の中においても新たな観光資源の創出のための方策として掲げられているカジノを含む統合型リゾート、いわゆるIRの誘致についてお尋ねをいたします。
 皆さん御承知のとおり、超党派の国会議員により提出されていた特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律が昨年12月に成立をいたしました。一般的に「IR推進法」と言われるこの法律は、IRを整備することにより国際競争力の高い魅力ある観光地の形成や地域経済の振興に寄与するとともに、適切かつ厳格な国の規制、監督のもとで運営されるカジノの収益により、財政の改善に資することを目的としたものであります。
 この法律は、今まで我が国では認められていなかったカジノ施設を含む統合型リゾートの創設について基本的な方向を示すものであり、注目度は非常に高く、成立以降はマスコミ等で「IR」または「カジノ」という言葉を頻繁に目にするようになりました。同時に、誘致を推進する自治体の動きも本格化してきております。
 本県におきましては、知事は以前からIRを積極的に推進しているところでありますが、去る12月定例会において、我が自由民主党県議団の森政調会長が改めてIR誘致に対する知事の姿勢をただしたところ、知事からは、社会的リスクにはきちんと対応しながらIRを推進する旨の答弁がありました。
 また、県都和歌山市の尾花市長におかれましても、市民へのアンケート調査の結果、反対が賛成を上回る中、去る2月15日、カジノ施設の入場については外国人専用にして、日本国民のギャンブル依存症のリスクを排除するという条件で誘致を表明されたことは記憶に新しいところであり、現在開催中の和歌山市議会の動向も非常に気になるところであります。
 そのような状況の中、いろんな機会を通じて、私も直接県民の皆さんの声をお伺いいたしました。さまざまな意見がございましたが、IRというものを詳細に理解している方ばかりではなかったので、私は、以前訪れたことのあるシンガポールの例を挙げ、IRとは単なるカジノ施設ではなく、カジノ施設及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設、その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であることや、カジノ施設はIRのほんの一部であってIR全体の5%未満にすぎないこと、また、パチンコのように誰でも入場できるわけではなく、入場料の設定などさまざまな入場規制の措置がとられていることなどを御説明させていただいたところであります。
 いずれにしろ、県民の声を直接聞いて、カジノを含むIRは県民にとって非常に関心のある話題であることを改めて実感をしたところであります。
 今後、県は誘致を表明した和歌山市などと連携をしながらIR実現に向け積極的に取り組んでいくことになると思いますが、カジノ施設を含むIRを設置することができる区域の選定手続については、現行のIR推進法では何も定められておらず、今後国において策定されるIR実施法の中で定められるものだと聞いております。
 そのような中、横浜市、大阪府など他の地方公共団体に誘致競争で負けないためにも、今後の国の動向に注視し、県市一体となってしっかりとした誘致スケジュールを立て、区域申請に向け準備を進めていく必要があるのではないでしょうか。
 また、お隣である大阪府は、2025年の開催を目指す万博とセットでIRの誘致を強力に推進し、有力な候補地の1つになっていると聞いており、私は、近接する地域の中で本県と大阪府のIRが果たして両立するのか、懸念をしているところであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 今後は県はどういった戦略を持ってIRの誘致を進めるのか、また現在どのような取り組みを行っているのかなど、IR誘致に関する知事のお考えをお聞かせください。
 3点目の質問に入ります。万国博覧会についてお尋ねをいたします。
 まず、万国博覧会が大阪で開催される意義についてであります。
 昨年11月、大阪府の松井知事が、菅官房長官を初め、本県選出の世耕経済産業大臣などを訪れ、大阪市の夢洲をメーン会場とする2025日本万国博覧会基本構想案を提出したことを受け、現在、国において、2025年国際博覧会検討会が立ち上げられ、万博誘致に向けた検討が進められております。
 大阪での万国博覧会の開催は、大阪のみならず本県も含めた関西全体の活性化につながるとともに、東京オリンピック開催後の我が国経済活性化の起爆剤としての期待も大きいことから、12月には超党派の国会議員による大阪万国博覧会を実現する国会議員連盟が発足し、本県選出の自由民主党の二階幹事長が会長に就任をされ、大阪万博の実現に向け日夜奔走されております。
 思い起こせば、1970年の万国博覧会は期間中6400万人を超える入場者で連日にぎわい、高度経済成長期の真っただ中であった時代の背景もあって、大阪のみならず、日本中が万博一色で大いに沸き立ったと記憶をしており、大阪で2度目の開催となる2025年の万国博覧会をぜひとも実現させたいと願うものであります。
 また、大阪府が国に提出してきた基本構想案によりますと6兆円を超える経済効果が見込まれており、本県にとっても大きな波及効果が見込まれるのではないかと期待されるところであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 大阪での万国博覧会の開催は、大阪のみならず本県にとっても大きな活力をもたらすものと考えますが、大阪で万国博覧会が開催される意義について、知事のお考えをお聞かせください。
 次に、大阪万博の誘致の実現に向けた取り組みについてお尋ねをいたします。
 先ほども申し上げたとおり、私は大阪万博を実現させたいと願う1人でありますが、この万博を実現させるための絶対条件は、当然のことながら開催地に選ばれることであります。
 しかし、2025年の万国博覧会の開催については、昨年11月22日に既にフランスが立候補を済ませているほか、報道によりますと、イギリスやロシアなどの名前も挙がっており、複数の立候補がある場合には、来年の秋に、博覧会国際事務局いわゆるBIEの総会において加盟国による投票が行われ、開催地が決定されることとなります。
 どの国が名乗りを上げるかはともかくとして、日本の提案が一番だと世界に認めてもらうことが必要であり、開催を申請した大阪府はもとより、万国博覧会の申請主体となる国が率先してBIE加盟国の理解と協力を得るために取り組むべきものであることは言うまでもありませんが、経済団体や周辺地域の自治体との連携も非常に重要視されると聞いております。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 大阪万博の誘致を実現するためには、本県も含め関西全体で一丸となって取り組んでいく必要があると考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 4点目の質問に入ります。先人の功績を顕彰する取り組みについてお尋ねをいたします。
 知事の、また私の母校でもありますが、和歌山大学教育学部附属小・中学校の駐車場の一角に、カール・ケッペン寓居後の木製碑があります。カール・ケッペンは、明治初期の和歌山藩の藩政改革に際し、洋式兵制である交代兵という徴兵制を提案し、その教育、訓練を指導した人物であります。
 なお、和歌山藩が洋式兵制を取り入れるに当たっては陸奥宗光の助言もあり、また、カール・ケッペンの雇い入れ交渉は陸奥宗光が担当したと「和歌山県史」に記述をされております。
 さて、現在のドイツ連邦共和国出身であるカール・ケッペンは、和歌山藩で交代兵制度を構築していく中で、兵隊の履物をわらじから洋靴に改め、母国から靴製造の技師を雇い入れるとともに、洋靴の原料となる皮革は友ヶ島に牧場を設け、その供給体制を確保したとのことであります。このわらじから洋靴への転換が、和歌山の地場産業である皮革産業の基礎となったわけであります。
 現在、先ほど申し上げたカール・ケッペン寓居後の木製碑は大変老朽化しておりまして、私も会員として名を連ねる和歌山日独協会がカール・ケッペンの功績を顕彰し、次代に伝えるため新たに石碑の建立を計画しているところであります。
 そのような折に、先ほど別の項目で申し上げましたとおり交付税に関する国への要望活動で上京中のことでありましたが、本県選出の門衆議院議員に御引率をいただき、総務省から財務省に向け徒歩で移動中に外務省に立ち寄る機会を設けていただき、陸奥宗光の銅像を目の当たりにすることができました。洋装の陸奥宗光像であります。
 御承知のとおり、歴代外務大臣の中で外務省に銅像が建立されているのは、陸奥宗光ただ1人であります。明治40年、外務省正面に建立された等身の銅像は第二次世界大戦時の金属不足でやむなく供出されましたが、陸奥宗光の没後70周年を記念し、昭和41年に現在の銅像が建立されました。陸奥宗光が明治25年、第2次伊藤内閣の外務大臣を務め、徳川幕府が幕末に外国と結んだ不平等条約を改正し、日清戦争では清国との講和に尽力するなど、日本外交史上に輝かしい業績を残したその功績をたたえて再度建てられたものでありました。
 また、それから5年後、ふるさとの和歌山にも銅像が建立されました。和装の陸奥宗光像であります。これは、当時の大橋和歌山県知事や宇治田和歌山市長を初め、政財界が中心となって建てられたものであり、昭和46年8月24日の陸奥宗光の命日に、和歌山市の岡公園において除幕式が行われたと聞いております。
 2つの銅像の存在を通して、改めて陸奥宗光の偉大さを思い知ることができます。ことしは、この偉大な先人が亡くなってから120年の節目の年を迎えます。
 また、ことしはもう1人、陸奥宗光とともに忘れてはならない偉大な先人が大きな節目を迎えます。
 慶応3年、現在の和歌山市の橋丁に生まれた南方熊楠であります。南方熊楠は、研究の場所を豊かな原生林が残る熊野に求め、多くの標本を採集し、多数の論文を執筆するなど、一生在野の研究者でありながら世界にも知られる偉大な学者でありました。
 この知の巨人が、ことし生誕150年を迎えます。白浜町に整備が進められていた南方熊楠記念館の新館も、今月19日にオープンされるとお聞きをしております。
 そこで、企画部長にお伺いをいたします。
 この大きな節目の年に2人の偉大な先人を顕彰するため、和歌山県はどういった取り組みを行うのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 次に、教育長にお伺いをいたします。
 陸奥宗光や南方熊楠を初めとする多くの先人たちの功績を風化させることなく後世に残していくには、先人に関する教育の充実も重要であると考えます。現在、教育の場において先人に関する教育はどのように取り組まれているのか、また今後どのように充実していくのか、教育長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 最後、5点目の質問に入ります。国民文化祭についてお尋ねをいたします。
 去る1月17日、第36回国民文化祭が平成33年度に和歌山県で開催されることに内定いたしました。国民文化祭は、美術や音楽から華道や茶の湯のような生活文化、さらには地域の伝統芸能に至るまで、さまざまな文化活動について全国的な規模で発表や交流する場であり、いわば文化の国体とも呼ばれているとお聞きをいたしております。「国体」という言葉を聞きますと、やはり一昨年開催された紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会の熱気や感動が思い起こされ、期待も膨らんでまいります。
 さらに、この年には、国民文化祭のほか、全国高等学校総合文化祭、全国障害者芸術・文化祭と3つの文化祭が開催される予定とお聞きをしております。これもまた国体開催時と同じような状況であり、今度はスポーツではなく文化の力で再び県民が心を躍らせ、地域が元気になるように取り組まなくてはならないと考えるところであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 国民文化祭が平成33年度に開催されることの意義、そして、大会の成功に向けどのように取り組んでいかれるのかをお聞かせいただきたいと思います。
 以上、5項目について質問を進めてまいりました。知事初め担当部長、教育長の前向きかつ心ある御答弁を御期待申し上げ、私の1回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) この旧県議会議事堂の演台にこのように立たせていただいておりますと、和歌山の民主主義の歴史と伝統の重みをひしひしと感じるわけでございますし、また先人たちの活躍が目に映るようで、心して答弁に努めないといけないと、身が引き締まる思いであります。
 まず、第1の御質問でございますが、長計に関してでございます。
 本県は、明治期に日本有数の人口を誇った和歌山市を初めとする沿岸地域での重化学工業や、あるいは繊維、木材などの地場産業、あるいは豊かな自然を生かした農林水産業を軸に発展しまして、昭和30年代から50年代にかけて、製造品出荷額や1人当たりの県民所得は全国でも上位に位置しておりました。
 その後、高速道路などの整備が全国的に進むにつれ、人や物の流れは鉄道から自動車による輸送に移行してまいりましたが、本県が半島に位置するがゆえ、これら道路網の整備がなかなか進まず、また、これと関連して産業構造の革新とか、あるいは企業成長などで日本全体の発展のスピードにおくれをとってきたことは否めないと思っております。
 私は、知事就任以来、元気な和歌山の実現に向け全力で取り組み、公共インフラの整備や新しい産業政策などさまざまな政策を講じてきましたが、その結果、県民や県内事業者が国内はもとより世界を見据えて積極果敢にチャレンジできる条件が整ってきた、そんなふうに思っております。
 今こそ、和歌山の再上昇を目指して、県民誰もが共感し希望を持つことのできる将来の姿と、その実現につながる具体的な道のりを示すことが何よりも重要であると考えたわけでございます。
 昨年春に新長期総合計画案の策定にこのような考えから着手して以降、あらゆる段階で議員各位からは貴重な御意見をいただき、厚く感謝申し上げます。それらの意見を踏まえて修正をし、さらなる検討を重ね、このたび新長期総合計画案を議会に提案しているところでございます。
 計画案におきましては、本県が持つすぐれた特色を積極的に生かして県勢を発展させていく姿を「『世界とつながる 愛着ある元気な和歌山』~県民みんなが楽しく暮らすために~」と表現し、本県が目指す将来像といたしました。この将来像を実現するため、強い熱意と覚悟をもって取り組んでまいる所存であります。
 第2に、来年度の新政策につきましてでございますが、これにつきましては、一昨年に策定いたしました和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略に立脚しつつ、新長期総合計画案に盛り込もうとしております政策を具体化し、将来像の実現に向けた道筋をつける力強い第一歩を踏み出したいと考えております。そのためには、県民、地域、企業や団体の御理解と御協力が不可欠であるということから、新長期総合計画に掲げる将来像を共有しつつ、県全体で社会構造の変革に結びつくような仕掛けづくりに着手してまいりたい、そんなふうに思っております。
 具体的に申し上げますと、結婚や出産、子育てへの不安や悩みを解消するため、社員の結婚と子育てを応援する企業の認定制度を創設し、先進的に取り組む企業を顕彰するとともに、企業同士による出会いの機会を創出し、社会全体で結婚や子育てを応援する文化をつくり上げていきたいと思っております。
 あわせて、女性が安心して働くことのできる環境整備に率先して取り組む企業や団体を組織化し、すぐれた取り組みを顕彰、PRすることで、女性が活躍できる環境整備を進めてまいりたいと思います。
 さらに、我が国の就活システムは、新規卒業者に対して一定の季節的サイクルが構築されているものの、結婚や出産、子育てで離職した女性や、あるいは、一旦都会で就職したけれども、地方で働くことを希望し転職しようとする人など、再就職を希望する人のサイクルが必ずしも確立していないというふうに思います。
 そこで、和歌山県では、企業や経済団体と連携しながら、毎年2月採用決定とするような本県独自の再就職、就活サイクルを構築してまいりたいと思います。
 また、本県では、全国よりも早く高齢化が進む中、元気な高齢者も増加しております。活躍する場を求める意欲ある高齢者と人材を求める方々との間をわかやま元気シニア生きがいバンクでつなぎ、高齢者が培ってきた知識や技能をさらに発揮してもらうことで、高齢者自身や社会全体それぞれの価値を一層高めてまいりたいと考えております。
 それと同時に、全ての県民が生涯にわたり健康を維持することを目指し、楽しく運動習慣の定着を図る仕組みを構築し、地域コミュニティーに密着した健康づくり県民運動を全県的に進めてまいりたいと思います。
 最後に、学校と地域あるいは家庭が力を合わせて子供たちの教育におけるさまざまな課題を解決するため、きのくにコミュニティスクールを県内の全ての学校に順次導入し、家庭や地域への要請と家庭や地域から学校への要請が円滑に循環する仕組みを構築してまいりたいと思います。
 これらの新政策、ほかにもございますが、多くの県民を巻き込んで一緒に実現していかなければならないことでございますので、仕掛けづくりとか協力の取りつけなど結構難しいものがあると思います。しかしながら、本県が目指す将来像の実現に向けた礎となるものでございますので、全力で取り組んでまいる所存であります。
 次に、行政改革でございます。
 平成29年度当初予算につきましては、社会保障関係の増加にも確実に対応するとともに、和歌山の再上昇をもたらす新政策予算も十分確保した上で、収支不足額は3年連続でゼロを達成いたしました。そして、財政調整基金、県債管理基金も取り崩すことなく、財政の健全性を確保したつもりでございます。何とかそこにこぎつけておるということだと思います。
 しかし、今後も、一方では県の発展のためにやっていきたいことはいっぱい出てくるでございましょうが、社会保障関係費の増加や公共施設等の老朽化対策、さらには国の財政健全化に伴う地方財政への影響など、御指摘があったような対応をしなければならない行財政運営上の課題が山積していると思っております。
 このため、来年度から平成33年度までの5年間の行財政運営の方向性を定めた中期行財政経営プランをお示ししたところでありまして、プランでは、人員体制及び事業の見直しなど130億円の行財政改革を進め、毎年度の収支不足の抑制を図り、財政調整基金、県債管理基金をプラン終了時においても少なくとも150億円は維持したい、そういう方針でございます。
 このほか、限られた行財政資源の中で最大の効果を上げるため、県庁の組織力向上や県庁以外の多様な主体との協働にも積極的に取り組んでいくような内容にしております。
 こうした行財政改革に県庁挙げて取り組むことによりまして、新長期総合計画の実現と将来にわたる持続可能な行財政運営の確保の両立を目指してまいりたいと思います。
 次に、IRに関してでございます。
 今後のIRの誘致に関し、私が留意している点は、以下の2点でございます。
 まず、第1点目としては、和歌山のIRのコンセプトはリゾート型のIRになるだろうと思います。本県は、マリンスポーツや海洋レジャーを満喫できるほか、高野山や熊野古道、温泉、美しい海岸線といった魅力ある観光資源が豊富にあるため、リゾート型のIRを目指すのがよかろうと思います。このような地域の観光資源と一体となったIRのほうが、より和歌山にとっての地域経済にも好影響を与えると考えております。
 リゾート型IRは、大阪府のような、カジノのほか巨大な会議場やコンベンション施設、あるいは劇場、ホテル、ショッピングセンターなど全て含んだ大都市型IRとは性格が異なり、これは必ずしも競合するものではないと思います。また、別のIRが近くにあったほうが相乗効果があってよいという事業者の意見もありますので、大阪ができることによって和歌山はできないんじゃないかという心配をする必要は必ずしもないと思います。大阪府にも頑張ってもらえばよろしいと思います。
 2点目といたしましては、入場制限でございます。IRは、地域経済に大きな波及効果がある一方で、やはり心配は、和歌山県民がギャンブル依存症に陥る懸念がより多くなるんじゃないか、そういうことでございます。IRに対する心配ないし反感のほとんどは、実はこれであるというふうに私は思っております。
 したがって、誘致するIRには、和歌山県民、これが難しければ日本国民は入場できないということにすれば、このような懸念はほとんどなくなるというふうに思います。ほとんどの人にとってなくなるというふうに思っております。
 この前提で誘致に取り組みますけれども、大事なことは、事業者が和歌山に投資してくれるかどうかということでございます。現在、国内、国外を問わず複数の事業者と接触し、意見交換を行っているところでありますが、本県の方針に対しては好意的な事業者もおりまして、こういう方々を中心に話を進めて、今後も引き続き、和歌山でIR事業を行う意欲のある事業者を確保すべく、精力的に取り組んでまいりたいと思っております。
 もう1つは、これが一番大事なことでございますが、今後、国がIRに関する手続を定める法律をどうつくり、その中で和歌山もその対象にしてくれるかどうかということが一番大事でございます。したがって、この法律の検討に当たっては、余り極端に地域を限定しないで、大都市型のIRだけじゃなくて、本県が目指すリゾート型のIRにも十分配慮した区域設定あるいは箇所づけを基本とするとともに、施設規模なども地方の実情に合うようなものといたしてもらい、地方創生の観点も踏まえた法体系になるように、今もそうですが、今後とも積極的に国に働きかけを行ってまいりたいと思っております。
 次に、万国博でございますけれども、万国博が大阪で開かれる。議員御指摘のとおり、我が国全体として大きな経済効果が見込まれるだけではなくて、関西のすばらしさを世界の人々に理解してもらう絶好の好機であります。また、関西を周遊する新たな観光ルートの創出や産業のイノベーションなどにより、関西全体の経済の活性化にもつながるというふうに思いますし、何よりも大阪に近い本県の活性化には必ずつながるというふうに思っております。
 大阪での開催が実現した際には、大阪府と当然連携して取り組まないといけませんが、当県の産業の活性化、あるいは世界遺産高野・熊野への誘客促進など、さまざまな面で本県の活性化につながる取り組みについて積極的に推進してまいりたいと思います。
 次に、大阪万博の誘致実現に向けて関西全体で取り組む必要があるんではないかという議員の御指摘については、まことにそのとおりであります。
 昨年9月の広域連合委員会におきまして、大阪府の松井知事から、2025年の国際博覧会を大阪で開催したいので、広域連合としても誘致決議をして運動してほしいという依頼がありまして、これはもう全会一致でそれを承認し、関西全体で協力して取り組んでいくことを確認したところでございます。また、要路に伺うときには、そのように全体で運動をしております。今後とも、力を合わせて取り組んでいきたいと考えております。
 次に、国民文化祭でございます。
 国民文化祭の開催時期については、平成33年が現在の和歌山県が誕生して150年を迎えるということから、地域の文化を見詰め直す絶好の機会であると思い、開催をここに焦点を当てて要望いたしました。
 今回、国民文化祭、全国高等学校総合文化祭、全国障害者芸術・文化祭の3つの文化祭が同じ年に開催されることになりまして、これは実は全国初でございます。県民誰もが文化芸術活動に参加する機会を創出することで、地域文化力の向上にもつながると期待しております。
 大会成功に向けた取り組みといたしましては、まず、県内で活動する文化団体の連携を図り、推進体制を構築するために、文化団体を統括する組織・わかやま文化芸術協議会を2月4日に設立したところでございます。また、機運を醸成するために、国民文化祭キックオフイベントを来る3月18日に和歌山県民文化会館で開催をいたします。
 平成29年度は、和歌山が誇る世界遺産や日本遺産を初め、地域の伝統芸能などの文化遺産を活用した事業を盛り込んだ基本構想を策定いたしまして、平成30年度から順次、実行委員会を設立して実施計画の策定を進め、万全の体制で本番を迎えたいと考えております。
 今後、文化団体を初め、県民の皆様と一緒になって、和歌山ならではの国民文化祭をつくり上げてまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 多くの偉大な先人を輩出してきた本県においても、本年、没後120年を迎える陸奥宗光と生誕150年を迎える南方熊楠は、傑出した先人であります。このような先人の功績を知ることは、ふるさとへの愛着や誇りへとつながるものであり、先人の顕彰を継続的に取り組むことが重要であると考えております。
 この2人の先人について、県では、紀の国先人展において平成16年度に南方熊楠を、平成21年度に陸奥宗光を取り上げたのを初め、ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」で紹介し、さらに平成23年度には南方熊楠についてのシンポジウムを東京で、平成24年度には陸奥宗光についてのシンポジウムを東京と和歌山で開催いたしました。
 本年は、議員御指摘のとおり、それぞれが節目の年を迎えることから、改めてその功績を顕彰してまいりたいと考えております。
 まず、陸奥宗光につきましては、県内でシンポジウムを開催するほか、功績を紹介するパネル展示を予定しております。
 次に、南方熊楠については、新館オープンに合わせて記念講演会を開催するとともに、特別展を8月まで、さらに粘菌教室や自然観察会なども実施を予定しております。また、この機会に南方熊楠顕彰館とはお互い協力することで、事業のPRや功績を広く周知するとともに、記念事業が予定されている田辺市や和歌山市とも連携を図ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県には、陸奥宗光や南方熊楠を初めとする国家、社会の発展に大きな働きをした多くの先人がおり、県民の誇りであります。
 小学校社会科の学習指導要領では、我が国の歴史や先人の働きについて理解と関心を深めるようにすることとされており、この中で例示されている42人の先人の中には、近代日本の外交に大きな功績を残した陸奥宗光が挙げられております。このため、小学校の全ての教科書、さらには中学校の全ての教科書にも掲載されてございます。
 県教育委員会では、ふるさと和歌山の先人について、さまざまな機会を捉え児童生徒が学ぶことが大切であると考え、陸奥宗光や博物学者であり自然保護にも大きく貢献した南方熊楠を初め、和歌山の先人を掲載したふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」を、県内全ての中学生に配付し活用しているところです。さらには、「わかやま何でも帳」を小学校においてもより一層活用できるよう、各学校に配付することにしております。
 本年は、陸奥宗光没後120周年、南方熊楠生誕150周年であり、この機会を捉え、2人の先人を紹介する学習用資料を作成し、学びを深めるよう指導してまいります。今後もふるさと教育を推進し、児童生徒がふるさと和歌山の先人について学ぶことを通して、これからの社会をよりよく生きるための指針を持ち、ふるさとを誇りに思う心情を育ててまいります。
○議長(浅井修一郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 再質問を許します。
 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま、知事、担当部長、そして教育長からそれぞれ御答弁をいただきました。
 最後に、1つだけ御要望させていただきたい。先人の功績を顕彰する取り組みに関連してであります。
 私たちのふるさと和歌山は、美しい山河、そして豊かな海に恵まれ、この風土と歴史がすばらしい人材を生み出してまいりました。私たちは、ふるさとの、また郷土の先輩の長い努力により築かれた遺産を引き継ぎ、さらに立派な郷土をつくっていかなくてはなりません。そのためにも、本県の偉大な先人たちの功績を伝え残すことで、次代のすばらしい人材の育成に資することが肝要であると考えます。
 教育の場におかれましては、今後とも引き続き、先人たちに関する教育の充実に取り組んでいただきますことを切にお願いを申し上げます。
 また、陸奥宗光に関してでありますが、シンポジウムの開催はすばらしい。しかし、シンポジウムはいわば一過性のものであります。平成29年度新政策の中に、これは商工観光労働部の中であったわけでありますけれども、「わかやま歴史物語」という新規事業がありました。
 神話の時代から近代に至る豊富な歴史ストーリーや歴史資産を100の旅のモデルとして発信し、歴史資産だけでなく、人、文化、食などを含めた和歌山の歴史の楽しみ方を提案する事業とのことであります。
 例えば、県と和歌山市が連携をし、岡公園にある陸奥宗光の銅像を活用するなどして、100の旅モデルの中に陸奥宗光に触れる機会というものを盛り込むことで、陸奥宗光といえば和歌山と、国内外に強力に発信していただけると考える次第であります。
 また、世界初の全身麻酔手術に成功した華岡青洲につきましては、紀の川市に青洲の里があります。初代県議会議長の濱口梧陵翁につきましては、広川町にある稲むらの火の館に濱口梧陵記念館があります。そして、南方熊楠につきましては、白浜町に南方熊楠記念館があります。陸奥宗光につきましても、何かそういう形あるものを残していただければ、そう願う次第であります。どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上で、要望とさせていただき、私の一般質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ