平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(全文)


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正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成29年2月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成29年3月2日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第17号から議案第31号まで、議案第60号、議案第72号、議案第75号及び議案第118号
    (委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第2 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、
    議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号まで(質疑)
 第3 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第17号から議案第31号まで、議案第60号、議案第72号、議案第75号及び議案第118号
    (委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第2 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、
    議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号まで(質疑)
 第3 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     日吉康文
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   岡本圭剛
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   大桑いく嗣
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       上坊 晃
 次長         西原龍也
 議事課長       中谷政紀
 議事課副課長     浜野幸男
 議事課課長補佐兼議事班長
            長谷哲生
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主査      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第35号から議案第42号まで、議案第62号から議案第64号まで及び議案第67号は、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。また、監査委員から監査報告がありました。いずれもお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 この際、暫時休憩いたします。
 なお、再開は午後1時とし、旧県議会議事堂で会議を開きます。
  午前10時1分休憩
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  午後1時0分
○議長(浅井修一郎君) 再開に先立ち、一言御挨拶を申し上げます。
 本日、ここ旧県議会議事堂の本会議は、昨年の6月定例会開会日以来、2度目の開催となります。
 開催に当たり、岩出市長初め、地元岩出市の皆さん、当局並びに関係の方々の御協力を賜りましたことに対し、厚く御礼を申し上げます。
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  午後1時0分再開
○議長(浅井修一郎君) それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、補正予算等議案第17号から議案第31号まで、議案第60号、議案第72号、議案第75号及び議案第118号を一括して議題とし、順次、常任委員会委員長の報告を求めます。
 福祉環境委員会委員長浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○福祉環境委員会委員長(浦口高典君) 福祉環境委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案2件であります。
 委員会は、2月23日、第2委員会室において開催し、福祉保健部、環境生活部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号及び議案第29号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、福祉保健部関係では、国民健康保険連絡調整費の増額の背景について、医療費削減への取り組みについて、こころの医療センターの入院収益の減額の理由について、社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金の精算事務終了に伴う返還金について、後期高齢者医療制度における県負担金等の増額の内容と検診の重要性について、子ども・子育て支援における保育士の処遇改善等のための費用の増額と保育士人材確保の費用の減額の内容について、待機児童解消に向けての取り組みについて、生活保護費の扶助費の増額の要因について、こころの医療センターの医業収益の減額と今後の展望について、自殺の増加に対する取り組みについて、国保財政調整交付金の配分の割合について、病床機能の分化・連携のための体制整備における減額の内容と今後の取り組みについて、介護老人保健施設に対する行政処分と再発防止のための制度設計について、環境生活部関係では、ジオパーク推進事業の減額の内容について、紀南版フェニックス事業の事業費の変更の内容について、環境衛生研究センターの人件費減額の内容について、水道施設整備指導事業の交付金減額による市町村への影響について、アスベスト対策事業の減額の内容について、御坊市の給食センターで起こった食中毒の状況と再発防止策についてであります。
 以上をもって、福祉環境委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 経済警察委員会委員長鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕(拍手)
○経済警察委員会委員長(鈴木太雄君) 経済警察委員会における審査の経過並びに結果について、御報告を申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案5件であります。
 委員会は、2月23日、第3委員会室において開催し、商工観光労働部・労働委員会、公安委員会の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号、議案第19号、議案第22号、議案第30号、議案第31号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における主な質疑項目を申し上げますと、商工観光労働部・労働委員会関係では、企業立地促進対策助成奨励金、企業立地促進資金融資の補正理由について、議案第30号の隧道内配水管更新ほか工事に係る債務負担行為変更の理由について、公安委員会関係では、職員費の手当増額の内容と理由について、児童手当予算の積算方法と増額理由について、警察装備事業や交通安全施設補助金の減額が生じた理由についてであります。
 以上をもちまして、経済警察委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 農林水産委員会委員長立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○農林水産委員会委員長(立谷誠一君) 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、御報告を申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案4件であります。
 委員会は、2月23日、第4委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査した結果、議案第17号、議案第18号、議案第72号及び議案第118号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における主な質問項目を申し上げますと、中山間地域等直接支払事業費の減額理由と現状について、農作物鳥獣害防止総合対策事業費の減額理由について、有害鳥獣捕獲おりの購入補助について、農業用ハウスの復旧対策費用についてであります。
 以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をいただきますようお願いを申し上げます。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 建設委員会委員長濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○建設委員会委員長(濱口太史君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案6件であります。
 委員会は、2月23日、第5委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号、議案第60号及び議案第72号は賛成多数をもって、議案第23号、議案第24号及び議案第27号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における質問項目を申し上げますと、白浜空港民営化を進める上でのリスクについてであります。
 以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 文教委員会委員長岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)
○文教委員会委員長(岩田弘彦君) 文教委員会における審査の経過及び結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表のとおり、議案2件であります。
 委員会は、2月23日、第6委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号及び議案第20号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における主な質問項目について申し上げますと、一般会計補正予算の減額における勤勉手当について、御坊市で発生した集団食中毒の原因と食中毒予防等の研修会の開催について、退職手当の減額理由について、県教職員住宅解体撤去の減額理由について、以上であります。
 何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 総務委員会委員長中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕(拍手)
○総務委員会委員長(中本浩精君) 総務委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案7件であります。
 委員会は、2月23日、第1委員会室において開催し、会計局、人事委員会、監査委員、選挙管理委員会、県議会事務局、知事室、企画部、総務部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号、議案第21号、議案第25号から議案第28号まで及び議案第75号は、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、委員会審査における主な質問項目を申し上げますと、企画部関係では、山間部の路線バスの購入費補助について、総務部関係では、東燃ゼネラル和歌山工場の火災原因の究明についてであります。
 以上をもちまして、総務委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、常任委員会委員長の報告が終わりました。
 これより委員長報告に対する質疑に入ります。
 質疑はありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 質疑なしと認めます。
 次に、討論に入ります。
 奥村規子君から反対討論の通告がありますので、許可いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 日本共産党県議団を代表しまして、議案第17号、22号、60号及び72号に対する反対討論を行います。
 議案第60号は、県の南紀白浜空港の民営化に道を開く条例改定であり、議案第17号の一般会計補正予算には、債務負担行為として南紀白浜空港のコンセッション方式の公募に向けたコンサル委託費が計上されています。国は、この間、民活空港運営法に基づき、滑走路などの所有権を国に残し運営権を民間会社に与えるコンセッション方式を各地で進めています。和歌山県では、県営白浜空港にもこのコンセッション方式を導入すべく検討し、新年度の公募に向けて今回の条例改定が提案されたものです。
 国の空港民営化の動機は、国が行ってきた赤字の空港運営と黒字の出ている民間の空港ビルの運営を一括して民間が行えば赤字が出なくなることや、着陸料を安くすることなどにより空港活用が進むということを狙ったものです。しかし、年間何百万人もの利用者がある空港ならともかく、利用者が少なく赤字の地方空港においては、それらの問題が簡単に解決できるとは思いません。
 白浜空港への指定管理の導入にしても、それよりさらに運営会社にとって自由度の高いコンセッション方式にしても、安全性の担保や運営会社に対するコントロール権、利便性向上と利用促進、県の財政負担など、どの分野においても、契約する民間会社とこの先協議することになっています。メリットは確かとは言えず、デメリットへの対応も不確実です。
 また、空港の民営化が進めば空港間競争を促すことになり、地方空港の経営悪化につながるおそれもあります。競争激化の末に採算が合わず、企業が撤退することもあり得ます。県営に戻るとなったときには、これまで県職員が空港運営で継承してきた技術や経験が途切れてしまっており、簡単ではないことが考えられます。
 以上のことから、南紀白浜空港の運営権を民間会社に譲渡する道を開く条例改定と補正予算には反対します。
 議案第22号は、県営競輪事業特別会計補正予算です。カジノ解禁推進法の成立が強行されたことで、ギャンブル依存症のさらなる増加が懸念されています。余り知られていませんが、日本のギャンブル依存症患者は、推定536万人、成人の4.8%で、アメリカの1.6%やオーストラリアの1%に比べて突出しています。日本共産党県議団として公営ギャンブルには一貫して反対してきた立場から、議案第22号には賛成できません。
 議案第72号は、建設事業施行に伴う市町村負担金ですが、市町村負担金のさらなる軽減を求めて反対します。
 以上で、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、討論を終結いたします。
 これより採決に入ります。
 まず、議案第17号、議案第22号、議案第60号及び議案第72号を一括して採決いたします。
 本案に対する委員長報告は、いずれも原案可決であります。
 本案をいずれも委員長報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(浅井修一郎君) 起立多数であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
 次に、議案第18号から議案第21号まで、議案第23号から議案第31号まで、議案第75号及び議案第118号を一括して採決いたします。
 本案に対する委員長報告は、いずれも原案可決であります。
 本案をいずれも委員長報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(浅井修一郎君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
 次に日程第2、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号までを一括して議題とし、本案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 34番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 皆さん、こんにちは。自由民主党県議団、山下直也でございます。
 平成29年2月定例会、いよいよ本日から5日間にわたり一般質問が行われます。今定例会は私を含め15名の議員が登壇に立つわけでありますが、初日トップで登壇の機会を与えていただきましたことに対しまして、議長を初め先輩・同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げる次第であります。
 さて、本日は、ここ旧和歌山県議会議事堂において一般質問が行われる運びとなりました。皆さん御承知のとおり、旧議事堂においては、明治31年春の建物竣工後、40年間にわたり県議会が開催されていたわけであります。
 「和歌山県議会史」によりますと、旧議事堂における県議会の開催は、昭和12年11月24日に開会し同年12月22日に閉会した通常会が最後となっておりまして、昨年の6月定例会は、ここ旧議事堂において79年ぶりに初日のみ開催され、本日は、実に80年ぶりに質疑が交わされるわけであります。また、和歌山市を離れ一般質問が行われるのは、記録を読む限り今回が初めてとのことであります。
 今、この壇上に立たせていただき、改めまして、先人たちが和歌山県の発展のため、この旧議事堂で激論を交わし合っていたであろう情景に思いをはせますと、非常に感慨深く、かつ、その歴史の重みをひしひしと感じ、身が引き締まる思いであります。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、私自身にとりまして通算27回目になりますが、一般質問をさせていただきたいと思います。
 月日がたつのは早いもので、ことしも既に2カ月が過ぎました。昼間の時間が少しずつ長くなりつつある中、日差しも少しずつではありますが、暖かく感じられるようになってまいりました。まさに桜の名所であります、ここ岩出市根来におきまして、桜前線の到来が待ち遠しく感じるきょうこのごろであります。
 さて、振り返りますと、昨年は和歌山県にとって非常に大事な1年でありました。一昨年、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会や、高野山開創1200年という県史に刻まれるビッグイベントが成功裏に終わり、通常であれば昨年は端境期となってもおかしくないものでありましたが、世界遺産の追加登録を初め、大河ドラマ「真田丸」の放送、総務省統計局及び独立行政法人統計センターの一部機能の本県への移転決定、また赤ちゃんパンダ結浜の誕生など、国内外から引き続き高い注目を浴びた1年となりました。本県が持つポテンシャルの一端が花開いたものと、大変うれしく感じるところであります。
 思えば、平成18年12月、仁坂知事が就任されてから10年が経過をいたしました。この間、県当局と議会がともに情熱を持って県政を牽引してきたことで、本県を取り巻く環境は大きく変わったと感じます。
 県民の悲願である紀伊半島一周道路・近畿自動車道紀勢線はすさみ南インターチェンジまで延伸し、京奈和自動車道は来る3月18日に県内全線が開通、第二阪和国道と国道480号鍋谷峠道路もこの4月1日に開通するなど、県内の幹線道路ネットワークや府県間道路の整備が、今、着々と進んでおります。
 また、産業振興につきましては、県内企業の経営革新、技術開発力強化、販路開拓を支援する施策が充実するとともに、160社を超える企業誘致が実現し、約2200人の新規雇用が生み出されました。
 少子化対策にも重点を置き、多子世帯の保育料等の無料化や大学等への進学給付金制度を創設されるとともに、1人で過ごさざるを得ない子供たちの居場所づくりなど、経済面、心のケア面の両面から子育て環境を充実させる取り組みが実施されてまいりました。こういった取り組みを通じて、本県では地方創生をいわば先取りして実践してきたとも言えます。
 しかし、一方で、目を背けてはならない課題は山積しております。
 何より、とうとい県民の命を守るため、今後30年以内に70%程度という高い確率で発生が予想される南海トラフ地震を初めとする大規模自然災害への対策は、道半ばであります。
 また、若年層を中心とした人口流出が長らく続き、中山間地域では過疎化、高齢化が進行しております。それに伴い、地域を支えてきた農林水産業では、後継者不足が一層深刻な問題となっております。
 世界に羽ばたく人材や地域を支える人材を育てる上では、県内の児童生徒の確かな学力、豊かな心、健やかな体をバランスよく備えさせていくことが必要であります。
 さらに、世界を見渡せば、ますます激動の時代に突入すると言っても過言ではありません。政治、経済は一層グローバル化が進み、我々の経済活動や生活に大きな影響を与えております。
 そのような状況のもと、昨年の6月定例会におきまして、私から1年前倒しして新たな和歌山県長期総合計画を策定するに至った知事の考えをただしたところ、加速度的に進む人口減少の克服に向けた取り組みや、大規模災害の相次ぐ発生に伴う国土強靱化の流れ、急速な高齢化の進展など、新たな諸課題に速やかな対応が求められているとの答弁がありました。まさに、私も全く同感であります。
 また、計画策定に当たる議会との議論のあり方につきましては、今後10年間にわたる県政の重要な総合的指針であることを踏まえ、県議会とともにつくり上げていくことが重要であるとの認識も示されました。
 議会は、県政を進める車の両輪の1つとして、本県の大いなる発展に対し重い責任を背負っており、当局と10年後の和歌山県の将来像への思いを1つにして取り組むことが重要であると考えます。
 そのため、我々自由民主党県議団では、真摯に検討を重ねてまいりました。さきの12月定例会の行政改革・基本計画等に関する特別委員会におきましても、当局から示された原案に対し、出席議員からさまざまな意見が述べられたところであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 これらの意見を踏まえ、今定例会で和歌山県長期総合計画案が提案されたわけでありますが、改めて、新たな和歌山県長期総合計画にかける知事の決意をお聞かせください。
 また、和歌山県長期総合計画案に掲げた将来像の実現に向け、初年度となる平成29年度において知事はどのような思いを込めて新政策を展開されようとしているのかも、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。
 一方、本県の財政は、その歳入の多くを国に依存する構造になっております。その歳入の太宗を占める地方交付税につきましては、昨年、国の予算編成において、その総額確保が大変厳しいものと懸念されました。このため、12月定例会初日において、各会派の協力をいただき早期の議決を実施した「地方交付税の総額確保等を求める意見書」を携え、12月5日に議長代理といたし、私と岸本議員で上京、二階幹事長や門衆議院議員を初めとする本県選出の自由民主党の国会議員の方々の御尽力をいただき、衆参両院、関係省庁をめぐり、要望を行いました。
 その結果、平成29年度は、地方交付税を含め、必要な一般財源総額の確保が実現したところではありますが、この先も不透明な財政運営が強いられるのではないかと懸念いたすところであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 今後、和歌山県長期総合計画案に掲げられた将来像の実現に向けては、将来にわたり財政の健全性を確保していくことが前提だと考えますが、来年度の予算のことも含め、今後どのように行財政運営をされようとお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 2点目の質問に入ります。
 和歌山県長期総合計画案の中においても新たな観光資源の創出のための方策として掲げられているカジノを含む統合型リゾート、いわゆるIRの誘致についてお尋ねをいたします。
 皆さん御承知のとおり、超党派の国会議員により提出されていた特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律が昨年12月に成立をいたしました。一般的に「IR推進法」と言われるこの法律は、IRを整備することにより国際競争力の高い魅力ある観光地の形成や地域経済の振興に寄与するとともに、適切かつ厳格な国の規制、監督のもとで運営されるカジノの収益により、財政の改善に資することを目的としたものであります。
 この法律は、今まで我が国では認められていなかったカジノ施設を含む統合型リゾートの創設について基本的な方向を示すものであり、注目度は非常に高く、成立以降はマスコミ等で「IR」または「カジノ」という言葉を頻繁に目にするようになりました。同時に、誘致を推進する自治体の動きも本格化してきております。
 本県におきましては、知事は以前からIRを積極的に推進しているところでありますが、去る12月定例会において、我が自由民主党県議団の森政調会長が改めてIR誘致に対する知事の姿勢をただしたところ、知事からは、社会的リスクにはきちんと対応しながらIRを推進する旨の答弁がありました。
 また、県都和歌山市の尾花市長におかれましても、市民へのアンケート調査の結果、反対が賛成を上回る中、去る2月15日、カジノ施設の入場については外国人専用にして、日本国民のギャンブル依存症のリスクを排除するという条件で誘致を表明されたことは記憶に新しいところであり、現在開催中の和歌山市議会の動向も非常に気になるところであります。
 そのような状況の中、いろんな機会を通じて、私も直接県民の皆さんの声をお伺いいたしました。さまざまな意見がございましたが、IRというものを詳細に理解している方ばかりではなかったので、私は、以前訪れたことのあるシンガポールの例を挙げ、IRとは単なるカジノ施設ではなく、カジノ施設及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設、その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であることや、カジノ施設はIRのほんの一部であってIR全体の5%未満にすぎないこと、また、パチンコのように誰でも入場できるわけではなく、入場料の設定などさまざまな入場規制の措置がとられていることなどを御説明させていただいたところであります。
 いずれにしろ、県民の声を直接聞いて、カジノを含むIRは県民にとって非常に関心のある話題であることを改めて実感をしたところであります。
 今後、県は誘致を表明した和歌山市などと連携をしながらIR実現に向け積極的に取り組んでいくことになると思いますが、カジノ施設を含むIRを設置することができる区域の選定手続については、現行のIR推進法では何も定められておらず、今後国において策定されるIR実施法の中で定められるものだと聞いております。
 そのような中、横浜市、大阪府など他の地方公共団体に誘致競争で負けないためにも、今後の国の動向に注視し、県市一体となってしっかりとした誘致スケジュールを立て、区域申請に向け準備を進めていく必要があるのではないでしょうか。
 また、お隣である大阪府は、2025年の開催を目指す万博とセットでIRの誘致を強力に推進し、有力な候補地の1つになっていると聞いており、私は、近接する地域の中で本県と大阪府のIRが果たして両立するのか、懸念をしているところであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 今後は県はどういった戦略を持ってIRの誘致を進めるのか、また現在どのような取り組みを行っているのかなど、IR誘致に関する知事のお考えをお聞かせください。
 3点目の質問に入ります。万国博覧会についてお尋ねをいたします。
 まず、万国博覧会が大阪で開催される意義についてであります。
 昨年11月、大阪府の松井知事が、菅官房長官を初め、本県選出の世耕経済産業大臣などを訪れ、大阪市の夢洲をメーン会場とする2025日本万国博覧会基本構想案を提出したことを受け、現在、国において、2025年国際博覧会検討会が立ち上げられ、万博誘致に向けた検討が進められております。
 大阪での万国博覧会の開催は、大阪のみならず本県も含めた関西全体の活性化につながるとともに、東京オリンピック開催後の我が国経済活性化の起爆剤としての期待も大きいことから、12月には超党派の国会議員による大阪万国博覧会を実現する国会議員連盟が発足し、本県選出の自由民主党の二階幹事長が会長に就任をされ、大阪万博の実現に向け日夜奔走されております。
 思い起こせば、1970年の万国博覧会は期間中6400万人を超える入場者で連日にぎわい、高度経済成長期の真っただ中であった時代の背景もあって、大阪のみならず、日本中が万博一色で大いに沸き立ったと記憶をしており、大阪で2度目の開催となる2025年の万国博覧会をぜひとも実現させたいと願うものであります。
 また、大阪府が国に提出してきた基本構想案によりますと6兆円を超える経済効果が見込まれており、本県にとっても大きな波及効果が見込まれるのではないかと期待されるところであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 大阪での万国博覧会の開催は、大阪のみならず本県にとっても大きな活力をもたらすものと考えますが、大阪で万国博覧会が開催される意義について、知事のお考えをお聞かせください。
 次に、大阪万博の誘致の実現に向けた取り組みについてお尋ねをいたします。
 先ほども申し上げたとおり、私は大阪万博を実現させたいと願う1人でありますが、この万博を実現させるための絶対条件は、当然のことながら開催地に選ばれることであります。
 しかし、2025年の万国博覧会の開催については、昨年11月22日に既にフランスが立候補を済ませているほか、報道によりますと、イギリスやロシアなどの名前も挙がっており、複数の立候補がある場合には、来年の秋に、博覧会国際事務局いわゆるBIEの総会において加盟国による投票が行われ、開催地が決定されることとなります。
 どの国が名乗りを上げるかはともかくとして、日本の提案が一番だと世界に認めてもらうことが必要であり、開催を申請した大阪府はもとより、万国博覧会の申請主体となる国が率先してBIE加盟国の理解と協力を得るために取り組むべきものであることは言うまでもありませんが、経済団体や周辺地域の自治体との連携も非常に重要視されると聞いております。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 大阪万博の誘致を実現するためには、本県も含め関西全体で一丸となって取り組んでいく必要があると考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 4点目の質問に入ります。先人の功績を顕彰する取り組みについてお尋ねをいたします。
 知事の、また私の母校でもありますが、和歌山大学教育学部附属小・中学校の駐車場の一角に、カール・ケッペン寓居後の木製碑があります。カール・ケッペンは、明治初期の和歌山藩の藩政改革に際し、洋式兵制である交代兵という徴兵制を提案し、その教育、訓練を指導した人物であります。
 なお、和歌山藩が洋式兵制を取り入れるに当たっては陸奥宗光の助言もあり、また、カール・ケッペンの雇い入れ交渉は陸奥宗光が担当したと「和歌山県史」に記述をされております。
 さて、現在のドイツ連邦共和国出身であるカール・ケッペンは、和歌山藩で交代兵制度を構築していく中で、兵隊の履物をわらじから洋靴に改め、母国から靴製造の技師を雇い入れるとともに、洋靴の原料となる皮革は友ヶ島に牧場を設け、その供給体制を確保したとのことであります。このわらじから洋靴への転換が、和歌山の地場産業である皮革産業の基礎となったわけであります。
 現在、先ほど申し上げたカール・ケッペン寓居後の木製碑は大変老朽化しておりまして、私も会員として名を連ねる和歌山日独協会がカール・ケッペンの功績を顕彰し、次代に伝えるため新たに石碑の建立を計画しているところであります。
 そのような折に、先ほど別の項目で申し上げましたとおり交付税に関する国への要望活動で上京中のことでありましたが、本県選出の門衆議院議員に御引率をいただき、総務省から財務省に向け徒歩で移動中に外務省に立ち寄る機会を設けていただき、陸奥宗光の銅像を目の当たりにすることができました。洋装の陸奥宗光像であります。
 御承知のとおり、歴代外務大臣の中で外務省に銅像が建立されているのは、陸奥宗光ただ1人であります。明治40年、外務省正面に建立された等身の銅像は第二次世界大戦時の金属不足でやむなく供出されましたが、陸奥宗光の没後70周年を記念し、昭和41年に現在の銅像が建立されました。陸奥宗光が明治25年、第2次伊藤内閣の外務大臣を務め、徳川幕府が幕末に外国と結んだ不平等条約を改正し、日清戦争では清国との講和に尽力するなど、日本外交史上に輝かしい業績を残したその功績をたたえて再度建てられたものでありました。
 また、それから5年後、ふるさとの和歌山にも銅像が建立されました。和装の陸奥宗光像であります。これは、当時の大橋和歌山県知事や宇治田和歌山市長を初め、政財界が中心となって建てられたものであり、昭和46年8月24日の陸奥宗光の命日に、和歌山市の岡公園において除幕式が行われたと聞いております。
 2つの銅像の存在を通して、改めて陸奥宗光の偉大さを思い知ることができます。ことしは、この偉大な先人が亡くなってから120年の節目の年を迎えます。
 また、ことしはもう1人、陸奥宗光とともに忘れてはならない偉大な先人が大きな節目を迎えます。
 慶応3年、現在の和歌山市の橋丁に生まれた南方熊楠であります。南方熊楠は、研究の場所を豊かな原生林が残る熊野に求め、多くの標本を採集し、多数の論文を執筆するなど、一生在野の研究者でありながら世界にも知られる偉大な学者でありました。
 この知の巨人が、ことし生誕150年を迎えます。白浜町に整備が進められていた南方熊楠記念館の新館も、今月19日にオープンされるとお聞きをしております。
 そこで、企画部長にお伺いをいたします。
 この大きな節目の年に2人の偉大な先人を顕彰するため、和歌山県はどういった取り組みを行うのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 次に、教育長にお伺いをいたします。
 陸奥宗光や南方熊楠を初めとする多くの先人たちの功績を風化させることなく後世に残していくには、先人に関する教育の充実も重要であると考えます。現在、教育の場において先人に関する教育はどのように取り組まれているのか、また今後どのように充実していくのか、教育長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 最後、5点目の質問に入ります。国民文化祭についてお尋ねをいたします。
 去る1月17日、第36回国民文化祭が平成33年度に和歌山県で開催されることに内定いたしました。国民文化祭は、美術や音楽から華道や茶の湯のような生活文化、さらには地域の伝統芸能に至るまで、さまざまな文化活動について全国的な規模で発表や交流する場であり、いわば文化の国体とも呼ばれているとお聞きをいたしております。「国体」という言葉を聞きますと、やはり一昨年開催された紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会の熱気や感動が思い起こされ、期待も膨らんでまいります。
 さらに、この年には、国民文化祭のほか、全国高等学校総合文化祭、全国障害者芸術・文化祭と3つの文化祭が開催される予定とお聞きをしております。これもまた国体開催時と同じような状況であり、今度はスポーツではなく文化の力で再び県民が心を躍らせ、地域が元気になるように取り組まなくてはならないと考えるところであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 国民文化祭が平成33年度に開催されることの意義、そして、大会の成功に向けどのように取り組んでいかれるのかをお聞かせいただきたいと思います。
 以上、5項目について質問を進めてまいりました。知事初め担当部長、教育長の前向きかつ心ある御答弁を御期待申し上げ、私の1回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) この旧県議会議事堂の演台にこのように立たせていただいておりますと、和歌山の民主主義の歴史と伝統の重みをひしひしと感じるわけでございますし、また先人たちの活躍が目に映るようで、心して答弁に努めないといけないと、身が引き締まる思いであります。
 まず、第1の御質問でございますが、長計に関してでございます。
 本県は、明治期に日本有数の人口を誇った和歌山市を初めとする沿岸地域での重化学工業や、あるいは繊維、木材などの地場産業、あるいは豊かな自然を生かした農林水産業を軸に発展しまして、昭和30年代から50年代にかけて、製造品出荷額や1人当たりの県民所得は全国でも上位に位置しておりました。
 その後、高速道路などの整備が全国的に進むにつれ、人や物の流れは鉄道から自動車による輸送に移行してまいりましたが、本県が半島に位置するがゆえ、これら道路網の整備がなかなか進まず、また、これと関連して産業構造の革新とか、あるいは企業成長などで日本全体の発展のスピードにおくれをとってきたことは否めないと思っております。
 私は、知事就任以来、元気な和歌山の実現に向け全力で取り組み、公共インフラの整備や新しい産業政策などさまざまな政策を講じてきましたが、その結果、県民や県内事業者が国内はもとより世界を見据えて積極果敢にチャレンジできる条件が整ってきた、そんなふうに思っております。
 今こそ、和歌山の再上昇を目指して、県民誰もが共感し希望を持つことのできる将来の姿と、その実現につながる具体的な道のりを示すことが何よりも重要であると考えたわけでございます。
 昨年春に新長期総合計画案の策定にこのような考えから着手して以降、あらゆる段階で議員各位からは貴重な御意見をいただき、厚く感謝申し上げます。それらの意見を踏まえて修正をし、さらなる検討を重ね、このたび新長期総合計画案を議会に提案しているところでございます。
 計画案におきましては、本県が持つすぐれた特色を積極的に生かして県勢を発展させていく姿を「『世界とつながる 愛着ある元気な和歌山』~県民みんなが楽しく暮らすために~」と表現し、本県が目指す将来像といたしました。この将来像を実現するため、強い熱意と覚悟をもって取り組んでまいる所存であります。
 第2に、来年度の新政策につきましてでございますが、これにつきましては、一昨年に策定いたしました和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略に立脚しつつ、新長期総合計画案に盛り込もうとしております政策を具体化し、将来像の実現に向けた道筋をつける力強い第一歩を踏み出したいと考えております。そのためには、県民、地域、企業や団体の御理解と御協力が不可欠であるということから、新長期総合計画に掲げる将来像を共有しつつ、県全体で社会構造の変革に結びつくような仕掛けづくりに着手してまいりたい、そんなふうに思っております。
 具体的に申し上げますと、結婚や出産、子育てへの不安や悩みを解消するため、社員の結婚と子育てを応援する企業の認定制度を創設し、先進的に取り組む企業を顕彰するとともに、企業同士による出会いの機会を創出し、社会全体で結婚や子育てを応援する文化をつくり上げていきたいと思っております。
 あわせて、女性が安心して働くことのできる環境整備に率先して取り組む企業や団体を組織化し、すぐれた取り組みを顕彰、PRすることで、女性が活躍できる環境整備を進めてまいりたいと思います。
 さらに、我が国の就活システムは、新規卒業者に対して一定の季節的サイクルが構築されているものの、結婚や出産、子育てで離職した女性や、あるいは、一旦都会で就職したけれども、地方で働くことを希望し転職しようとする人など、再就職を希望する人のサイクルが必ずしも確立していないというふうに思います。
 そこで、和歌山県では、企業や経済団体と連携しながら、毎年2月採用決定とするような本県独自の再就職、就活サイクルを構築してまいりたいと思います。
 また、本県では、全国よりも早く高齢化が進む中、元気な高齢者も増加しております。活躍する場を求める意欲ある高齢者と人材を求める方々との間をわかやま元気シニア生きがいバンクでつなぎ、高齢者が培ってきた知識や技能をさらに発揮してもらうことで、高齢者自身や社会全体それぞれの価値を一層高めてまいりたいと考えております。
 それと同時に、全ての県民が生涯にわたり健康を維持することを目指し、楽しく運動習慣の定着を図る仕組みを構築し、地域コミュニティーに密着した健康づくり県民運動を全県的に進めてまいりたいと思います。
 最後に、学校と地域あるいは家庭が力を合わせて子供たちの教育におけるさまざまな課題を解決するため、きのくにコミュニティスクールを県内の全ての学校に順次導入し、家庭や地域への要請と家庭や地域から学校への要請が円滑に循環する仕組みを構築してまいりたいと思います。
 これらの新政策、ほかにもございますが、多くの県民を巻き込んで一緒に実現していかなければならないことでございますので、仕掛けづくりとか協力の取りつけなど結構難しいものがあると思います。しかしながら、本県が目指す将来像の実現に向けた礎となるものでございますので、全力で取り組んでまいる所存であります。
 次に、行政改革でございます。
 平成29年度当初予算につきましては、社会保障関係の増加にも確実に対応するとともに、和歌山の再上昇をもたらす新政策予算も十分確保した上で、収支不足額は3年連続でゼロを達成いたしました。そして、財政調整基金、県債管理基金も取り崩すことなく、財政の健全性を確保したつもりでございます。何とかそこにこぎつけておるということだと思います。
 しかし、今後も、一方では県の発展のためにやっていきたいことはいっぱい出てくるでございましょうが、社会保障関係費の増加や公共施設等の老朽化対策、さらには国の財政健全化に伴う地方財政への影響など、御指摘があったような対応をしなければならない行財政運営上の課題が山積していると思っております。
 このため、来年度から平成33年度までの5年間の行財政運営の方向性を定めた中期行財政経営プランをお示ししたところでありまして、プランでは、人員体制及び事業の見直しなど130億円の行財政改革を進め、毎年度の収支不足の抑制を図り、財政調整基金、県債管理基金をプラン終了時においても少なくとも150億円は維持したい、そういう方針でございます。
 このほか、限られた行財政資源の中で最大の効果を上げるため、県庁の組織力向上や県庁以外の多様な主体との協働にも積極的に取り組んでいくような内容にしております。
 こうした行財政改革に県庁挙げて取り組むことによりまして、新長期総合計画の実現と将来にわたる持続可能な行財政運営の確保の両立を目指してまいりたいと思います。
 次に、IRに関してでございます。
 今後のIRの誘致に関し、私が留意している点は、以下の2点でございます。
 まず、第1点目としては、和歌山のIRのコンセプトはリゾート型のIRになるだろうと思います。本県は、マリンスポーツや海洋レジャーを満喫できるほか、高野山や熊野古道、温泉、美しい海岸線といった魅力ある観光資源が豊富にあるため、リゾート型のIRを目指すのがよかろうと思います。このような地域の観光資源と一体となったIRのほうが、より和歌山にとっての地域経済にも好影響を与えると考えております。
 リゾート型IRは、大阪府のような、カジノのほか巨大な会議場やコンベンション施設、あるいは劇場、ホテル、ショッピングセンターなど全て含んだ大都市型IRとは性格が異なり、これは必ずしも競合するものではないと思います。また、別のIRが近くにあったほうが相乗効果があってよいという事業者の意見もありますので、大阪ができることによって和歌山はできないんじゃないかという心配をする必要は必ずしもないと思います。大阪府にも頑張ってもらえばよろしいと思います。
 2点目といたしましては、入場制限でございます。IRは、地域経済に大きな波及効果がある一方で、やはり心配は、和歌山県民がギャンブル依存症に陥る懸念がより多くなるんじゃないか、そういうことでございます。IRに対する心配ないし反感のほとんどは、実はこれであるというふうに私は思っております。
 したがって、誘致するIRには、和歌山県民、これが難しければ日本国民は入場できないということにすれば、このような懸念はほとんどなくなるというふうに思います。ほとんどの人にとってなくなるというふうに思っております。
 この前提で誘致に取り組みますけれども、大事なことは、事業者が和歌山に投資してくれるかどうかということでございます。現在、国内、国外を問わず複数の事業者と接触し、意見交換を行っているところでありますが、本県の方針に対しては好意的な事業者もおりまして、こういう方々を中心に話を進めて、今後も引き続き、和歌山でIR事業を行う意欲のある事業者を確保すべく、精力的に取り組んでまいりたいと思っております。
 もう1つは、これが一番大事なことでございますが、今後、国がIRに関する手続を定める法律をどうつくり、その中で和歌山もその対象にしてくれるかどうかということが一番大事でございます。したがって、この法律の検討に当たっては、余り極端に地域を限定しないで、大都市型のIRだけじゃなくて、本県が目指すリゾート型のIRにも十分配慮した区域設定あるいは箇所づけを基本とするとともに、施設規模なども地方の実情に合うようなものといたしてもらい、地方創生の観点も踏まえた法体系になるように、今もそうですが、今後とも積極的に国に働きかけを行ってまいりたいと思っております。
 次に、万国博でございますけれども、万国博が大阪で開かれる。議員御指摘のとおり、我が国全体として大きな経済効果が見込まれるだけではなくて、関西のすばらしさを世界の人々に理解してもらう絶好の好機であります。また、関西を周遊する新たな観光ルートの創出や産業のイノベーションなどにより、関西全体の経済の活性化にもつながるというふうに思いますし、何よりも大阪に近い本県の活性化には必ずつながるというふうに思っております。
 大阪での開催が実現した際には、大阪府と当然連携して取り組まないといけませんが、当県の産業の活性化、あるいは世界遺産高野・熊野への誘客促進など、さまざまな面で本県の活性化につながる取り組みについて積極的に推進してまいりたいと思います。
 次に、大阪万博の誘致実現に向けて関西全体で取り組む必要があるんではないかという議員の御指摘については、まことにそのとおりであります。
 昨年9月の広域連合委員会におきまして、大阪府の松井知事から、2025年の国際博覧会を大阪で開催したいので、広域連合としても誘致決議をして運動してほしいという依頼がありまして、これはもう全会一致でそれを承認し、関西全体で協力して取り組んでいくことを確認したところでございます。また、要路に伺うときには、そのように全体で運動をしております。今後とも、力を合わせて取り組んでいきたいと考えております。
 次に、国民文化祭でございます。
 国民文化祭の開催時期については、平成33年が現在の和歌山県が誕生して150年を迎えるということから、地域の文化を見詰め直す絶好の機会であると思い、開催をここに焦点を当てて要望いたしました。
 今回、国民文化祭、全国高等学校総合文化祭、全国障害者芸術・文化祭の3つの文化祭が同じ年に開催されることになりまして、これは実は全国初でございます。県民誰もが文化芸術活動に参加する機会を創出することで、地域文化力の向上にもつながると期待しております。
 大会成功に向けた取り組みといたしましては、まず、県内で活動する文化団体の連携を図り、推進体制を構築するために、文化団体を統括する組織・わかやま文化芸術協議会を2月4日に設立したところでございます。また、機運を醸成するために、国民文化祭キックオフイベントを来る3月18日に和歌山県民文化会館で開催をいたします。
 平成29年度は、和歌山が誇る世界遺産や日本遺産を初め、地域の伝統芸能などの文化遺産を活用した事業を盛り込んだ基本構想を策定いたしまして、平成30年度から順次、実行委員会を設立して実施計画の策定を進め、万全の体制で本番を迎えたいと考えております。
 今後、文化団体を初め、県民の皆様と一緒になって、和歌山ならではの国民文化祭をつくり上げてまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 多くの偉大な先人を輩出してきた本県においても、本年、没後120年を迎える陸奥宗光と生誕150年を迎える南方熊楠は、傑出した先人であります。このような先人の功績を知ることは、ふるさとへの愛着や誇りへとつながるものであり、先人の顕彰を継続的に取り組むことが重要であると考えております。
 この2人の先人について、県では、紀の国先人展において平成16年度に南方熊楠を、平成21年度に陸奥宗光を取り上げたのを初め、ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」で紹介し、さらに平成23年度には南方熊楠についてのシンポジウムを東京で、平成24年度には陸奥宗光についてのシンポジウムを東京と和歌山で開催いたしました。
 本年は、議員御指摘のとおり、それぞれが節目の年を迎えることから、改めてその功績を顕彰してまいりたいと考えております。
 まず、陸奥宗光につきましては、県内でシンポジウムを開催するほか、功績を紹介するパネル展示を予定しております。
 次に、南方熊楠については、新館オープンに合わせて記念講演会を開催するとともに、特別展を8月まで、さらに粘菌教室や自然観察会なども実施を予定しております。また、この機会に南方熊楠顕彰館とはお互い協力することで、事業のPRや功績を広く周知するとともに、記念事業が予定されている田辺市や和歌山市とも連携を図ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県には、陸奥宗光や南方熊楠を初めとする国家、社会の発展に大きな働きをした多くの先人がおり、県民の誇りであります。
 小学校社会科の学習指導要領では、我が国の歴史や先人の働きについて理解と関心を深めるようにすることとされており、この中で例示されている42人の先人の中には、近代日本の外交に大きな功績を残した陸奥宗光が挙げられております。このため、小学校の全ての教科書、さらには中学校の全ての教科書にも掲載されてございます。
 県教育委員会では、ふるさと和歌山の先人について、さまざまな機会を捉え児童生徒が学ぶことが大切であると考え、陸奥宗光や博物学者であり自然保護にも大きく貢献した南方熊楠を初め、和歌山の先人を掲載したふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」を、県内全ての中学生に配付し活用しているところです。さらには、「わかやま何でも帳」を小学校においてもより一層活用できるよう、各学校に配付することにしております。
 本年は、陸奥宗光没後120周年、南方熊楠生誕150周年であり、この機会を捉え、2人の先人を紹介する学習用資料を作成し、学びを深めるよう指導してまいります。今後もふるさと教育を推進し、児童生徒がふるさと和歌山の先人について学ぶことを通して、これからの社会をよりよく生きるための指針を持ち、ふるさとを誇りに思う心情を育ててまいります。
○議長(浅井修一郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 再質問を許します。
 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま、知事、担当部長、そして教育長からそれぞれ御答弁をいただきました。
 最後に、1つだけ御要望させていただきたい。先人の功績を顕彰する取り組みに関連してであります。
 私たちのふるさと和歌山は、美しい山河、そして豊かな海に恵まれ、この風土と歴史がすばらしい人材を生み出してまいりました。私たちは、ふるさとの、また郷土の先輩の長い努力により築かれた遺産を引き継ぎ、さらに立派な郷土をつくっていかなくてはなりません。そのためにも、本県の偉大な先人たちの功績を伝え残すことで、次代のすばらしい人材の育成に資することが肝要であると考えます。
 教育の場におかれましては、今後とも引き続き、先人たちに関する教育の充実に取り組んでいただきますことを切にお願いを申し上げます。
 また、陸奥宗光に関してでありますが、シンポジウムの開催はすばらしい。しかし、シンポジウムはいわば一過性のものであります。平成29年度新政策の中に、これは商工観光労働部の中であったわけでありますけれども、「わかやま歴史物語」という新規事業がありました。
 神話の時代から近代に至る豊富な歴史ストーリーや歴史資産を100の旅のモデルとして発信し、歴史資産だけでなく、人、文化、食などを含めた和歌山の歴史の楽しみ方を提案する事業とのことであります。
 例えば、県と和歌山市が連携をし、岡公園にある陸奥宗光の銅像を活用するなどして、100の旅モデルの中に陸奥宗光に触れる機会というものを盛り込むことで、陸奥宗光といえば和歌山と、国内外に強力に発信していただけると考える次第であります。
 また、世界初の全身麻酔手術に成功した華岡青洲につきましては、紀の川市に青洲の里があります。初代県議会議長の濱口梧陵翁につきましては、広川町にある稲むらの火の館に濱口梧陵記念館があります。そして、南方熊楠につきましては、白浜町に南方熊楠記念館があります。陸奥宗光につきましても、何かそういう形あるものを残していただければ、そう願う次第であります。どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上で、要望とさせていただき、私の一般質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 24番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 皆さん、こんにちは。この意義ある旧県会議事堂におきまして質問の機会をいただきました議長を初め、先輩、同僚、皆さんに、まずもって御礼申し上げます。
 勉強すれば、ここでは夏目漱石が「現代日本の開化」と称して、内発力、エンパワーメント、諸外国留学、イギリスのときの自分の神経衰弱を踏まえて、日本人のそういうよさを訴えてくれたところやと思います。そういう意義ある場所であるということをかみしめながら、私もしっかり県民のために質問していきたいと思います。
 それでは、順次質問に移らせてもらいたいと思います。公明党県議団、中拓哉でございます。
 「泰平の眠りを覚ます上喜撰たった四杯で夜も眠れず」、老中・間部詮勝、号を松堂と号す。幕末、嘉永6年(1853年)、軍艦4隻を率いてペリー提督が浦賀にあらわれ、フィルモア大統領の国書で開国を迫られた折の幕府の困惑を茶化した狂歌として広く人口に膾炙したもので、皆さんも御存じかと思います。
 この議事堂の完成が明治31年(1898年)ですから、当時の県会議員らがこの議場で富国強兵、文明開化の議論を交わしていたころのつい45年前、つまり彼らの少年期の出来事となっております。私60ですから、先ほど来お話しになりました万博、ちょうどそれが45年ぐらい前かと思います。そういった、その当時の江戸幕府の鎖国政策が1604年の糸割符に始まるとすれば250年ぶりの国策の変更であり、開国がやがて尊皇攘夷、討幕運動につながり、封建社会は終わりを告げました。
 ここに1冊の新書版の「明治の夜明け」と称する評論社の本がございます(本を示す)。昭和50年3月の発行なので、私がちょうど高校を卒業し、創価大学に入学するに際して、産経新聞社の奨学金を借りて住み込みで働き始めたころ、その「産経新聞」の広告面で見つけたのです。
 何と、その著者が小関洋治という海南高校で3年生の私の担任の先生で、開学5年目の創価大学への進学を「新しい大学で頑張ってこい」と私を励ましてくれました。その恩師の一言が不安な私に勇気を与え、進学を決めたのでした。
 小関先生は、その後、教育委員会に配属され、文部省にも出向し、教育長も務められました。知事も桐蔭高校で歴史を教わったようにお聞きしました。今回の質問の準備の中で、40年前に読んだこの本も参考に思索が続きます。
 文部科学省は、このほど次期学習指導要領の改訂案を示し、小中学校の社会科で「鎖国」の表記を「幕府の対外政策」に改めるとし、近年の歴史研究では長崎の出島だけでなく、薩摩、対馬、松前でも外交と貿易ありとの学説が定着しているからだと説明しています。
 小関先生の本の後書きに「歴史は中央や権力の立場からだけでなく、地方や民衆の視点から具体的に描こうと意図した」とありますので、その教え子としても恩師のわだちに続き、地方や民衆の立場で、今までの常識だった鎖国が改まるのであれば、串本に寄港し貿易を迫ったケンドリックのレイディ・ワシントン号、グレイス号の史実を世に知らしめ、今日の日米同盟の嚆矢は我が和歌山の串本なのだと宣言しようではありませんか。
 外務省の「外交史料Q&A幕末期」には、儒学者・林復斎の史料集「通航一覧」、その中に1791年(嘉永3年)、南海道紀伊国の大島浦に2隻の異国船が漂着とあり、「マサチューセッツ海事史」初め多くの歴史書において、1791年、ボストン船籍レイディ・ワシントン号、ニューヨーク船籍グレイス号、南日本の港に寄港し、これを米国人が最初に日本を訪問した事例とし、串本町には日米修好記念館ありと、このように記載しております。
 また、東京大学史料編纂所の横山伊徳教授、この方が第103回史学会でレイディ・ワシントン号来航を取り上げ、「江戸幕府の異国船対策である寛政3年令が従来慣習として行われていた異国船に対する取扱法を成文として幕閣より公布した最初」とする田保橋潔説の背景にはこのレイディ・ワシントン号の来航がある、アメリカ独立革命後の米中貿易の展開の中にレイディ・ワシントン号来航を考えるべきとあります。
 本議会議場においても、平成4年2月議会で堀本隆男氏、また旧臘14日の12月議会では前芝先輩が取り上げ、また、衆議院でも玉置公良代議士が予算委員会等で質問しております。
 今回の質問に際し、仁坂知事も読まれたと前芝さんの質問の答弁にございましたが、「わが名はケンドリック」という佐山和夫氏の著作、3部作ございまして、「新版 わが名はケンドリック 来日米人第一号の謎」、また「ペリーよりも62年も前に」といった本を手始めに、濵健吾氏の「紀伊大嶋」、また現役の桐蔭高校の弓倉弘年先生ら6人で著作による「和歌山県の歴史」、また学びの丘所長や県和商の校長も務めた稲生淳氏の「熊野 海が紡ぐ近代史」、そして何より今回の新発見、グレイス号の航海日誌を研究するスコット・リドレー氏と櫻井敬人学芸員の小冊子、さらには、古文書ですけれども、「大庄屋文書」「津荷文書」「田辺万代記」「南紀徳川史」「外国通覧」「紀南遊嚢」といった古文書に行き着くのであります。
 本県にも、博物館には学芸員もいらっしゃれば、古文書を扱う文書館もあります。そして何より、文化及び学術の振興を任務とする文化学術課がございます。これら米国船の串本来航の事実を、またケンドリック司令官らの交易の申し入れのこういった事実を、日米外交史の嚆矢とすべく取り組まれるお考えはございませんか。知事の御見解をお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) レイディ・ワシントン号が串本町の大島に寄港した史実につきましては、「南紀徳川史」を初めとする歴史資料に記載がありますけれども、交易史としては大変意義のあるものだと思いますが、外交史ということではどうもないかなというふうには、私たちは思っております。
 串本町が平成27年よりアメリカにおいて調査研究を進めていたところ、当時の様子を記した航海日誌が発見されたことは御指摘のとおりであります。現在、この資料についてはアメリカの歴史学者とともに研究が進められておりまして、今後その研究成果が明らかになる予定と思っております。
 県では、このような成果を踏まえ、速やかに資料をもちろん入手するとともに、引き続き串本町が行う調査研究の成果もあわせて、今の御指摘にありましたような交易申し入れに関する新たな史実の発見などがないかどうかとか、そういうようなことを考えていき、調査をしていきたいと考えております。
 私も、佐山和夫さんの本などを読んで結構これは勉強していたのでございますけれども、当時の紀州藩の行動とか村の人たちの対応を見ても、エルトゥールル号のようないい話がなかなか書けない、描けないという恨みがあります。エルトゥールル号の場合は、和歌山の本当に心の美しいところがいっぱいありまして、これを世界に宣伝というか、言いまくってやるぞというような気持ちが大いに湧きまして、ある意味では大いにはしゃぎまして、それで、映画づくりのためにも一生懸命頑張りましたし、寄附金も集めたんですけれども、このレイディ・ワシントン号については、どうもそういう手がかりがないということで、しかし、史実はきちんと整理しておかなけりゃいけないということは大事なことだと思いますので、その上でまた考えてまいるということではないかと思います。
○議長(浅井修一郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。確かに、そういう人道的ないいお話ではないんですけども、年柄が1791年といいまして、アメリカの独立が1776年ですから、本当にまだアメリカ政府すらできてない、そういうときにケンドリックさんが、当時の東海岸の有力者たちがお金を出し合って──まあ貿易ですね、そういったことを考えたと。
 そのときに、第1代、初代大統領のワシントンさんの奥さんの名前を尊敬する意味でレイディ・ワシントンという船をつくって、今までなし遂げたことのない、アルゼンチン、チリのホーン岬をめぐって西海岸に出て、広東を目指したんだそうです、勉強すれば。中国の広東へ行って、毛皮が売れなんだもんで帰りに寄ったという形ですけど、史実を読んでいけば、当時この造船にお金を出した方々も、日本という国があるからそこへも寄ってこいよと、こういうことのアメリカの手紙も出てますし、全然まるっきりインチキでも何でもないもんですから、ここはひとつ頑張って事実を──ペリーが来たときの、アメリカの大統領の国書を持ってないことは間違いありませんから、そこには及びませんけども、日本を訪ねた、あるいは日本をノックした、それがやっぱり串本だった、そこから今に至る日米の歴史が始まるんだ、そういう研究はしていってほしいなと。
 というのは、長屋門の存続にしても、あるいは南葵音楽文庫にしても、さほどの動機がなかったんやと思いますけど、やっぱり仁坂さんのリーダーシップで頑張っていけば、こうやって文化的なことも残っていくもんですから、ひとつ力入れていただければなあ、こういうことで質問に取り上げさせてもらいましたんで。また、引き続き私も勉強してまいります。
 次に移りますけども、屋外広告物の規制のことについてお尋ねします。
 手元に、平成27年9月修正の魅力ある美しいまちづくりというこういうパンフレットがあるんですけども(資料を示す)、つらつら見てまして、良好な景観の形成と風致の維持、公衆に対する危害の防止を目的に、違反すれば罰則のある条例をもって無秩序な看板などの広告を規制するということなんです。広告物の設置する場所によって規制の強弱がありまして、自分のおうち、自分の会社に表示するときは自家用あるいはそれ以外の広告か、また、禁止区域か、1種・2種・3種の許可区域か、また、当然ですけど、道路交通の安全を阻害するおそれのあるものはだめですし、掲示場所もガードレールや分離帯などには設置できません。
 ややこしいのは、適用除外の規定なんですね。屋外広告物条例では、県内全域を禁止区域か許可区域のいずれかに区分しておきながら、しかし、適用除外であれば禁止区域でもオーケーですよ、設置できますよ、こういう立て分けになっております。
 和歌山県は、平成27年10月に違反広告物対策強化として、県景観条例に基づく特定景観形成区域の世界遺産周辺と和歌山城周辺の適正化に取り組みました。一定の成果もあって、違反事例も取ってくれたり、あるいは今も指導中かと思います。
 そうした中で、昨年7月26日、知事さんが、高速道路の沿道における屋外広告物の規制の見直しと違反広告物の是正指導に取り組むとして、これまで審議会を開き、パブリックコメントを求め、屋外広告物専門委員会を4回開催するなど、精力的に推進されてきております。
 顧みれば、42年も前、私がちょうどまだ海南高校の3年生で、卒業の写真を、できたばかりの高速道路、まだ通ってない高速道路の上で写真撮ったことの思い出があるんですけども、そのころの条例で、高速道路や自動車専用道路の300メーター沿いを禁止区域としておきながら、長年にわたって放置してきたのは何でかな。今ごろになって新たな基準で認める、300メーターの中は新しい基準で認めると言うんですけど、どんな理由からかな、県土整備部長、お答え願います。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 高速道路の沿道における屋外広告物の規制について御質問を頂戴いたしました。
 本県では、良好な景観形成等を目的とした屋外広告物法に基づき、和歌山県屋外広告物条例を定め、他府県と同様に、高速道路等の沿道における広告物の設置を原則として禁止してまいりました。
 しかしながら、こうした規制は必ずしも遵守されず、また県もこれに対して十分な措置を講じてこなかったことなどから、高速道路等の沿道において無秩序に広告物が設置されている箇所が存在しているところであり、さきの9月議会でも御答弁申し上げましたとおり、県といたしましては、この点を真摯に反省しているところでございます。
 今回の取り組みは、高速道路等の沿道に設置を認める広告物の基準を策定し、この基準に適合しない広告物の是正を通じて、本県の観光振興を一層推進するとともに、高速道路等の整備効果を最大化しようとするものでございます。
 このため、京奈和自動車道や紀勢自動車道の整備が進められ、これらが和歌山ジャンクションで接続されることとなるこの年度末のタイミングを捉え、実施することとしたものでございます。
○議長(浅井修一郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。秋月さんも9月議会でお聞きしてて、同じような答弁やったかなと思うんですけど、きのうも京奈和自動車道を往復しました。そんな目で注意して見たら、確かに紀勢道ほどの看板はございません。だから、これから出てきたら悪いんでやろうかということもわからんではないです。
 また一方、世界遺産の高野山ですよとか丹生都比売神社ですよという案内は、国土交通省がつけてくれてます。そうなってきたら粉河寺はどうよ、根来寺はどうよと、こうなってくるんですけども、国土交通省は立ててくれないということになってくるわけですね。
 そうなってきたときに、いろんな観光の看板立てるときに今度の新しいルールになりますとどういったことが起こるかな、非常に、不公平とまでは言いませんけど、ぎこちないんじゃないかな、こんなことを思ったりします。
 また、そもそも300メーター禁止やと言うておきながら、実はこういう色で、こういうデザインで、こういうピクトグラムで、こういうロゴでと、こういった形で県のルールに基づいたら許してあげると言うんやけど、表現の自由を侵すということになりませんか。この点もあわせてお答えください。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 高速道路沿道における屋外広告物の表示内容等の規制について御質問いただきました。
 和歌山県屋外広告物条例は、良好な景観を形成し、もしくは風致を維持し、または公衆に対する危害を防止することを目的とした屋外広告物法に基づき制定したものでございます。同条例では、屋外広告物法第5条の規定に基づきまして、こうした法目的を実現するため、必要があると認めるときは広告物の形状、面積、色彩、意匠等の基準を定めることができることとされております。
 今回の取り組みは、良好な景観を形成し、もしくは風致を維持し、または公衆に対する危害を防止する、この観点から、高速道路等の沿道において、周辺景観と調和しつつ、わかりやすく統一感のある一定の案内広告物に限って、その設置を認めようとするものでございます。
 議員御指摘のとおり、表示を認める内容、大きさ、色彩等に一定の基準を設ける方向で検討を進めており、判例では、こうした規制は、公共の福祉のため、表現の自由に対し許された必要かつ合理的な制限であると解されていると認識をしてございます。県といたしましては、広告主等の関係者の皆様に対し、引き続き丁寧に御説明し、本取り組みに対する御理解を得ながら対策を進めていく所存でございます。
○議長(浅井修一郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 統一した形でやっていくのは、きれいになることやし、いいことやと思うんですけど、今、紀南向いて走っていったら、アドベンチャーワールドであるとか、とれとれ市場であるとか、あるいは中田食品さんの梅干しであるとか、いろいろそれぞれ皆工夫してやってます。
 この条例の担当者に聞きますと、観光関係の施設のことやったらええんやということなんですね。じゃあ、泊まる松林渡船はどうよって、固有名詞で渡船屋さんはあかんのや、旅館はあかんのやと、こういうことなんですね。非常に複雑と申しましょうか、統一性が難しいんじゃないかな、そんなことを思ったりして、混乱を呼ぶんではないかなという心配をしております。
 ところで、そうやってこれから、今立ててる業者さんや広告主に対していろいろ指導していくんですけど、県庁の正面にきいちゃんが「ようこそ和歌山へ!」という、大きな看板がございます。これは和歌山市は第3種地域、お城のところの近くで、お城の真近くはあきませんけど、県庁は第3種地域で30平米までということに和歌山市の条例になってるんですけど、この県庁の看板はどれぐらいの大きさがあって、何で置けてるんかな、総務部長、教えてください。
○議長(浅井修一郎君) 総務部長浦上哲朗君。
  〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) 県庁正面広場の看板につきましては、平成23年3月に紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会への県民の機運の醸成を図ることを目的に設置したものでございまして、大きさは横7.7メートル、縦5.7メートル、面積は43.89平方メートルでございます。
 この看板につきましては、和歌山市の屋外広告物条例第9条第2項第8号に規定します「国又は地方公共団体が公共的目的をもって表示する広告物又はこの掲出物件」に該当しまして、許可、それから禁止地域等の規定の適用を除外されておりますので、表示面積につきましては特段の規制がございません。
○議長(浅井修一郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 適用除外で面積の規制ないさかいええということなんですけど、やっぱり法律の目的、条例の目的に照らしたら、景観の維持とか、危なさをよけるとか、必要最小限だと言って民間の方にはいろいろ規制するわけですよね。その一方で役所やからええわと、これがなかなか私には理解できません。
 いろいろ調べてたら、これは和歌山市長さんの権限ですから、和歌山市長さんにどうぞ言うてくださいと、こんなことになるわけですね。あるいは、先ほど来、沿道の問題にしても、結局、事務は市町村なんですよ。県は、この看板屋さんの業者登録の事務は県がしますけど、実際にあんたの違反ですよ、どけませんか、やり直しませんかというのは、市の事務なんですけど、それを県ができるとする根拠というものがもしありましたらお示しください。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) ただいま議員から、県と市町村で役割分担をしていることについて御質問を頂戴しました。
 和歌山県では、住民に身近な行政はできる限り身近な市町村が担うことが望ましいという考え方のもとで、県と市町村の協議により合意が得られた事務について権限移譲を進めてきたところでございます。
 その結果でございますが、屋外広告物に関する事務については、住民の利便性の向上などの観点から、市町村が広告物の設置に係る許可や違反広告物に対する措置命令などの事務を行っていただいてございます。
 なお、県は、広域調整の観点から、制度の根幹となる条例や基準の改廃、業登録などの事務を行っているところでございます。
○議長(浅井修一郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 今、部長言うてくれましたね。やっぱり市町村の事務なんですよ。だから、県の書類で事前審査するから先に県に持ってこいというようなことは、表現としては間違ってます。やっぱりどこまでも事前審査というか審査権は市町村にあるわけですから、問題あってこれええんかの、悪いんかのという基準になってきたら、県はそうやなと言って一緒に考えるのはあると思いますよ。市町村ずっとつながっていきますからね。あそこでこれがよかって、隣のまち行ったらあかんというようなことは不統一やから、県が相談に乗るということはいいかわかりませんけども、どこどこの書類で事前審査は県がするから言うてこいみたいなことは越権やと思うし、総務部長にお願いしたいのは、規制がないからええということではないと思うんですよ。あれ見てもうたらわかるように大きな看板で、裾のほうはバベで見えませんわ、大きさからしたらね。だから、30平米を守ろうと思うたら上の広さだけでも十分維持できるんですから、一度再考していただけたらなと、これはお願いでございます。よろしくお願いします。
 次に、地域共生社会の実現に向けてお尋ねいたします。
 平成21年2月議会の一般質問で、自殺予防、さまざまな相談業務の充実として、誰ひとり見捨てない相談員、担当者の設置を提案いたしました。当時の原副知事から、職員の意識改革に努める旨の答弁がありましたし、専門員の設置についてはさらに勉強するということでした。その後、知事は「一人も見捨てない和歌山県政」との表現でエッセイも書かれたりしておりました。
 あれから8年たちました。このほど国は、「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部を設置し、行政の力では対応し切れない複合的、重層的、包括的、総合的な支援、ダブルケア、トリプルケアの必要なケースが増加してくる少子高齢社会への対応として、公的支援の縦割りから丸ごと支援に、制度のはざまで見捨ておかれる、そういった人ごとから我が事として解決する仕組みを構築しようとしております。8年前の私の提案がようやくにして見えてきました。
 お互いさまで支え合い、困ってる人には大きな親切、大きなお世話、大きなおせっかいをお互いし合う社会が必要じゃないかなと思います。結婚のお世話、仕事探しのお世話、養子縁組あるいは里親のお世話、よその子のお世話、認知で徘回するお年寄りの見守りのお世話などなどです。
 今は他人事でも、あすは我が事なんです。それを丸ごと引き受けて最終の解決まで面倒を見る仕組みを構築すべきであると考えますが、最近の国の動向も踏まえて、県のお考えを福祉保健部長、お述べください。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 地域共生社会の構築についてお答え申し上げます。
 従来、公的な福祉サービスは、高齢者、障害者、子供といった対象者ごとのニーズに対し専門的なサービスを提供することで福祉の向上を図ってきたところですが、高齢化などによる地域の変容により、新たな複合的な、あるいは境界的な課題が生じています。
 このため、国においては、地域住民や地域の活動団体、社会福祉法人等が我が事として地域の生活課題を丸ごと受けとめ、公的機関と協働しながら、制度の垣根を越えて丸ごと支援していくという理念のもと、地域共生社会の実現に向け、社会福祉法や介護保険法等の改正案が通常国会に上程されています。
 具体的な施策としては、平成29年度において、複合的な課題にもワンストップで応じる分野横断的な相談体制の構築についてモデル事業が考えられており、また、高齢者と障害者に同一の事業所でサービスを提供する共生型サービスの創設についても改正案に盛り込まれているところです。
 そのほか、福祉や医療の専門資格を持つ人材の確保に向け、1人の人材が複数の資格を取りやすくなるよう共通の基礎課程の設置に向けた検討が進められるなど、今後5年間をめどにさまざまな制度改革が段階的に実施されていく予定です。
 県といたしましては、同じような問題意識を持ち、これまでも高齢者、障害者、児童福祉等の各専門分野でのきめ細かい相談支援を行う上に、支え合いのネットワークづくりとして、県及び市町村において福祉に関する総合相談窓口を設置するほか、民生委員、児童委員や地域見守り協力員等による重層的な見守り体制の構築等に努めてきたところです。
 今後、法改正が行われた際には、市町村に対し、地域共生社会の理念や市町村の役割などを十分周知するとともに、施策の実施に向けて働きかけ、引き続き地域共生社会の実現に取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。どうしても住民に一番近いところが市町村やから、そういうことになるんかわかりませんけども、私ら議員しててもいろんな相談を受けて、あっちこっちへ御相談に乗ってもらいます。
 しかし、それでその方が解決したかどうかということが、後でまたこうやったと言うてくれたらわかりますけども、ややもすると何かもう紹介することだけで終わってるような感じを受けますから、そうじゃなしにやっぱり、私も心しますけども、行政の方も相談を受けたら、相談乗ったけどどうやったんかなあ、こういう気持ちで、解決したかなあ、そういう気持ちで行政にお互い携わっていければなあ、こんなことを思いましたんで、お尋ねしたことです。「我が事・丸ごと」って非常にいい言葉やと思いますんで、心してやっていきたいなと思います。
 続きまして、総合診療科の設置についてお尋ねいたします。
 テレビ番組で興味深く見るものの1つに、NHKの「総合診療医ドクターG」というのがございます。新米の研修医が病名を診断するまで、迷ったり間違ったりそういうことをしながら、最終的には正しい診断に行き着く病名推理のエンターテインメントです。
 私自身も、15年前に急激に体重が落ちてきて、足に力が入らんと不安な日々を過ごしました。かかりつけのお医者さんに診てもらい、整形外科にも通い、いろいろ検査も受けました。ネットで調べたら、いろんな難病と言われるものの病気の症状に合致するもんですから非常に不安でございました。
 そういった折、整形外科の先生の紹介で県立医大の神経内科を紹介されて検査を受けたんですけど、そのうちに四肢が麻痺する決定的な症状が出まして、甲状腺機能亢進症、いわゆるバセドウ病との診断で、そのときの先生から「死ぬ病気ではないよ、薬で治る。私が診た患者の中には完治したプロ野球選手もいてるよ」、こうやって教授に言われたことが非常に救いとなり、安心したものでした。
 その後、内分泌代謝内科の先生のもとで投薬で完治いたしました。そんな経験から、この番組を見ていますと、ベテランの総合医の病名解明へのプロセスに引き込まれ、若いお医者さんたちが次々と気づいていく姿に思わず頑張れと声援を送りたくなります。
 最近の先進医療の進歩は目覚ましく、それはそれでいいことだと思いますけども、専門分野が細分化され過ぎて弊害も指摘されております。聞けば、患者さんが前に座っていても、パソコンの画面や映し出される血液検査の数値、MRI、CTの画像を見入るばっかりで患者を診ないお医者さんもいるやに仄聞します。
 最近、千葉大学や奈良医大を初め多くの大学病院にもこの総合診療部門を設置しておりますが、本県でもこういった多角的に診察してくれる総合診療医の、これからお医者さんの育成やら総合診療科の設置を推進すべきと考えますが、福祉保健部長、お答え願います。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 総合診療科の設置についてお答えします。
 総合診療とは、特定の臓器や疾患に限定せず、日常的に頻度が高く幅広い領域の疾病等について、総合的な視点で診療を行うことです。医師の質の一層の向上を図ること等を目的として平成30年度から開始が予定されている新専門医制度の中でも、新たな専門領域として検討されるなど、総合診療を担う医師の必要性が認識されており、県内の病院でも総合診療医の研修プログラムの準備をしているところです。
 高齢者は複数の疾患を抱える場合が多く、高齢化が進む本県では総合診療医の需要が高くなることが見込まれ、今後、関係医療機関などと協議を行い、総合診療医の育成とともに総合診療科の設置について検討してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。検討していただいた上で、実施が進むことをこいねがいます。
 次に、集団食中毒についてお尋ねいたします。
 去る1月25日、御坊市給食センターで調理した給食のいそあえが原因で、800人余りの園児、児童、生徒、教職員らが下痢、嘔吐、発熱の症状を訴え、ノロウイルスGⅡによる集団食中毒事件が発生しました。関係機関の適切な指導で、その後の感染拡大もなく、きのうから給食も再開されたとのことでございます。
 一方、東京立川市でも1098人に及ぶ集団食中毒が発生し、直近のニュースでは大阪のノリ業者の刻みノリが原因ということが判明しましたけども、心配は絶えません。
 県内には、共同調理方式を採用している小中学校が167校もあり、油断はできません。食品・生活衛生課の食品衛生班としては、2月21日付で知事名で厚生労働省に対し、大量調理施設衛生管理マニュアルのただし書きの削除、すなわち調理従事者の調理食品の喫食の禁止を要望しました。あわせて、環境生活部長名で、県内保健所長に対しても同様に、調理従事者は当該施設で調理された食品の喫食を禁じました。あとは、教育委員会が学校給食衛生管理基準の運用を改めることで食中毒のリスクは低減すると思います。
 きょうもあしたも生徒の皆さんは給食を食べております。一刻も早く対応すべきと思慮しますが、教育長にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、これまで安全で安心な学校給食を提供するため、文部科学省が定める学校給食衛生管理基準に基づき、食中毒発生や感染性胃腸炎の感染拡大の防止等について市町村教育委員会を指導してきたところですが、今回の食中毒が発生したことについては大変遺憾であります。
 今回のことを受けて、直後に再発防止のため、各市町村教育委員会に学校給食における衛生管理等について改めて徹底するよう通知いたしました。また、食中毒の原因究明を行うことが再発防止につながるという観点から、2月21日付で環境生活部が各保健所に発出した大量調理施設における調理従事者の調理食品の喫食についての通知を受けて、大量調理施設に当たる学校給食施設においては、調理従事者が調理した食品を喫食しないこととし、調理に従事しない栄養教諭等が喫食するよう指導してまいります。また、対象とならない学校給食施設においても、可能な限り運用できるよう指導してまいります。
 なお、本日、各市町村教育委員会の学校給食関係者を集め、調理従事者の喫食の取り扱い等、対策についての周知を行っております。さらに、今月末に調理従事者を含めた衛生管理研修会を開催し、衛生管理のより一層の徹底を図ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 教育長、ありがとうございます。
 私もそうですけど、私のせがれなんかもやっぱり給食を楽しみにしてますんで、より安全な形でできればとお願い申し上げたいと思います。難しいとこあるかわかりませんけど、県のほうで喫食禁止という方向に踏み込んだんであれば、やっぱり学校の給食も300食以上のそういう調理施設ということになるわけですから、同じように歩調を合わせてやっていくべきじゃないかなと思いましたんで、お尋ねした次第でございます。
 次に、県中学校運動部活動指針と部活動の指導員についてお尋ねいたします。
 「盛岡の中学校の露台の欄干に最一度我を倚らしめ」、この碑は石川啄木の句でございます。
 私自身の中学時代の邂逅に思いをいたせば、「海南の中学校の剣道場 窓辺に最一度我を倚らしめ」、馥郁と漂うタチバナの香りに癒やされながら剣道の稽古に汗を流す毎日でございました。小学校の仲よしグループ連れ立って、一緒に剣道部に入ろらということで入部し、20人を超す希望者とともに、当時女の子の入部も2人ありましたことから、珍しいとのことで新聞にも掲載されました。
 初めて握る竹刀に胸躍らせたのもつかの間、3年生の先輩の激しいしごきにさらされて、骨折、打撲で重傷者続出の暴行事件となりました。このときの剣道の先生、非常に悩んでおりました。みんな次々と退部し、結局5人が残るだけで、何とか5人の団体戦には出場できましたけども、また私も何とか踏ん張って無事初段まではとることができました。
 この後、高校でも3年間剣道を続けましたが、やはり中学校のクラブ活動のあのしんどかったことが後の私の人間形成に大きな影響を与えましたし、あの当時の仲間との友情は今でも続いております。事ほどさように部活動の意義は深いものがあり、充実させる必要性は論をまちません。
 このほど県教育委員会では、中学校の運動部の指針をまとめ、中でも注目は休養日の設定と外部指導者導入の予算措置かと存じます。その内容をお示しの上、新入生や現役生、さらには保護者への周知徹底方、教育長、お答えいただけたらと思います。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 和歌山県中学校運動部活動指針は、各中学校において、運動部活動が適正に行われるとともに、運営や指導方法のより一層の向上を図り、充実発展させるため作成したものです。
 この中で、特に生徒のバランスのとれた生活や思春期における健全な成長を確保するため、原則土日のどちらか1日は休養日とすることや練習時間の設定の徹底を初め、体罰の根絶とハラスメント等不祥事の防止、運営に係る経費の適正な執行、生徒が常に安全に活動できるよう指導管理体制を構築することなどを明確に示しております。
 本指針の周知につきましては、既に市町村教育委員会を訪問し、説明を行い、市町村教育委員会教育長会議や公立小中学校長会においても趣旨説明を行ってまいりました。県中学校体育連盟においても、本指針を受け、郡市の中学校体育連盟に対して周知徹底がなされております。
 また、県教育広報誌等に本指針の内容を取り上げ、保護者への啓発を行うとともに、各中学校には、入学説明会や各運動部ごとに生徒、保護者に説明し、理解を得るよう指導しております。本年4月以降は、各中学校の取り組み状況を把握した上で、必要に応じて市町村教育委員会を通じて指導し、定着させてまいります。
 さらに来年度は、退職教員等、地域で学校教育に理解があり、専門的な知識を持っている方々を部活動指導員と位置づけ、県内の約160の運動部に配置する事業として、現在予算をお願いしているところであります。このことにより教員の負担軽減を図るとともに、より安全かつ効果的な活動の確保を目指してまいります。
 このような取り組みにより、生徒の生涯スポーツにつながる礎を築くとともに、体力及び競技力の向上に努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございました。学力も大事ですし、体力も大事ですし、いろんな活動が大事やから、そのたびたびに私ら議員として教育のことにいろいろ意見を申し上げるわけですけども、教育の現場からしたら、そう一遍にいかんよ、なかなか難しいよ、そういうことが多々あろうかと思います。
 しかし、そういった中でも、今回、外部の指導員を置いてくれたり、週に1回休みやで、こういう指針が出たわけですから、何とか定着して浸透していってほしいなあ。というのは、やっぱり熱心な親にかかると、休まさんとどんどん練習させよというようなことにもなりかねませんし、また、別に休みら要らんよ、頑張りたいよ、こんなこともあるかもわかりません。
 しかし、その中で、あくまでも学校教育という一環の中でのクラブ活動だと、こういうことであれば、やはり生徒の将来、あるいは生徒の今の健康、そういったことも含めて結論出たんでしょうから、徹底してもらえたらな、かように思いますんで、よろしくお願い申し上げたいし、また私らも協力していければなあ、かように思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 当初、時間足らんかなと思って随分早口になったんですけど、まだ時間があるようなんで、最後に訪中の報告だけさせてもらいます。
 昨年10月23日から29日までの1週間、中華人民共和国広東省政府からの招聘を受け、何忠友副省長との面談、あるいは広東省人民対外友好協会成立60周年回顧と展望セミナーに参加するとともに、広東省公共外交協会との友好協力締結に関する覚書を交わしました。
 また、第3回広東21世紀海上シルクロード国際博覧会の開幕式に出席し、ローマからトルコ、中東、インド、タイ、ベトナムを経て広州に至る海のシルクロードの交易や文化の交流の歴史を学んでまいりました。この海上シルクロードの圏域の交流、これは今日のTPPやらいろんな貿易交渉なんかも見てましても、今日これからの発展については海のシルクロードという観点もまた新たな観点で大事になってくるんじゃないか、そんなことの啓発を受けましたし、考え、思索にふける経験を積んでまいりました。今後とも、ささやかではございますが、日中友好発展にこの身をささげてまいりたいと思います。
 また、冒頭、文化的なと申しましょうか、串本への寄港の問題を取り上げましてお尋ねさせてもらいました。おっしゃるように、まだまだ史実は少ないんかわかりませんけども、やはり研究を進めていく中で、本を読めば、当時のアメリカの関係者、出資者、指導者は、ケンドリックに日本とも交易してこいよというお手紙を出してますし、あるいはあの当時はほとんどがスペイン領だったもんですから、スペイン領にたどり着いたらこのアメリカの文書を見せてやっていけよ、あるいは拿捕できることがあったら拿捕していいよというような権限も与えております。そういった中でメダルも渡しております。そのメダルも出てきたら次の史実の解明につながるんではないか、そんなことを思います。
 何より、私も佐山さんの本を読んで感動したのは、キャプテン・ケンドリックではない、コマンダー・ケンドリックと書いている。ただ単なる船長ではなしに、軍の司令官の任務も経た上でのこの寄港であったということを学びましたんで、今後とも引き続き頑張ってまいりたいな、かように思います。
 以上をもちまして、この立派な議場での質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日は定刻より県庁の県議会議場において会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時0分散会

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