平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い3つの項目について質問させていただきます。
 1つ目は、子どもの貧困対策についてです。
 9月議会では、藤本議員が子どもの貧困問題について質問されていました。重なる部分もあるかと思いますが、いっときも早く貧困問題の抜本的な対策で解決に当たってほしいという思いで、私のほうからも質問させていただきます。
 1つ目は、日本の子どもの貧困率は、過去最悪の2012年調査で16.3%になりました。OECD加盟国34カ国中ワースト10位の深刻さです。中でも深刻なのはひとり親世帯で、その貧困率は54.6%にも及びます。
 山形大学の戸室准教授の調査で、1992年から2012年の間に、最低生活費を下回る収入の18歳未満の子どもがいる世帯の割合を5年ごとにまとめたものがあります。2012年の子どもの貧困率は全国で13.8%と、1992年の5.4%から8.4ポイントふえ、約2.5倍になっています。地域特性としては、北海道や東北の一部と関西以西が高く、最も高いのが37.5%の沖縄県で、次いで21.8%の大阪府、3番目は20.6%の鹿児島県です。和歌山県は、9番目の17.5%となっています。1992年と2012年の比較での増加幅では、第5位となっています。
 貧困率が急増する背景には、国が進めてきた雇用、福祉、社会保障政策により、貧困と格差の拡大が生じているものと考えます。
 国においては、2013年に子どもの貧困対策法(子どもの貧困対策の推進に関する法律)が制定されました。どういう状況が貧困なのかという基本概念がないことや、貧困率の削減目標も盛り込まれていないのが残念です。この法律についての内容と受けとめについて、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 議員御質問のように、子供の貧困率が先進国の中でも高いことが指摘されていますが、貧困の状況を客観的に判断することは難しい問題であると考えます。しかしながら、子どもの貧困対策の推進に関する法律の基本理念にあるように、子供の将来がその生まれ育った環境に左右されることなく、貧困の世代間連鎖を断ち切ることは、社会全体の責任として取り組まなければならない問題として重く受けとめています。
 県におきましては、従来より教育支援、就労支援、経済的支援など、さまざまな施策を実施してきたところですが、この法律の趣旨を踏まえ、子供の生活や成長を権利として保障することを第一に施策体系の整理を行い、子供の生育環境や保育・教育条件の整備や充実を図っていくことが必要であると考えています。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今の答弁で、子どもの生活や成長を権利として保障する観点からということで、子どもに視点を置いてということで述べていただきました。そういう立場で、一層、先ほども申し上げましたが、根本的な解決、貧困を解決する、そういう立場で、ぜひ整備や充実を図っていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、質問をさせていただきます。
 国は、2014年の8月には、貧困法の課題や目標を示した子供の貧困対策に関する大綱を閣議決定しました。親から子への貧困の連鎖を断ち切ることをうたっています。現状把握のため、進学率や就職率を含む25の指標を示しています。また、子どもの家庭環境の相談に乗るスクールソーシャルワーカーの増員や、給付型奨学金の創設に向けた議論を開始しています。
 地方自治体独自に貧困率の調査を行ったり、家計収入のアップにつながる、入札者に指定した賃金以上の支払いを約束させる公契約条例を定めたりといった動きがあります。県として、貧困をなくすための対策をどう考えているのか。子どもの貧困問題の解決は喫緊の課題です。県子ども貧困対策推進計画の取り組み状況はどのようになっていますか。計画策定の方針と推進体制についても福祉保健部長にお尋ねいたします。
 また、さきに述べた国が公表している子どもの貧困率は、厚生労働省が3年ごとに実施する国民生活基礎調査です。この調査は、全国調査ではありますが、5万世帯によるサンプル調査であり、都道府県ごとの集計もありません。子どもの貧困の実態に迫るためには、各自治体でのしっかりとした調査が必要だと考えます。
 そこで、どのように子どもの貧困の実態を把握し、対策を推進していくのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 子供の貧困問題を解決するためには、教育支援、生活支援、就労支援、経済的支援など、多岐にわたる施策を総合的に実施し、貧困の世代間連鎖を断ち切ることが必要です。県計画の策定に当たっては、福祉保健部を中心に庁内事業関係課による連携体制のもと検討を重ねてきたところですが、本年11月に各部局主管課を含む9部局18課で構成する子供の貧困対策庁内検討会として体制を再編し、今後の対策の推進に全庁的に取り組んでまいります。
 また、計画の策定途中ではありますが、既存施策に加え、新たな取り組みとして和歌山県大学生等進学給付金、子どもの居場所づくり、和歌山こども食堂支援の3事業を創設し、平成28年度から実施しているところです。
 なお、貧困の実態把握については、従来施策の実施過程における実態の把握や調査等により現状を把握しているところですが、県全体での子供の状況として調査した実績はなく、今後さらなる施策の検討に向け、調査の必要性は十分認識しています。子供の貧困は、子供の置かれている状態や生活習慣による学習への影響など、内面的なものも含めた幅広く根深い問題でありますので、今後の調査のあり方については、国の動向や先進事例を参考に引き続き検討していきたいと考えています。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、御答弁いただいて、全庁的にやはり取り組んでいかれるということと、また、実態調査をしっかりと検討されていくということで期待をいたします。
 そこで、私自身、県としてしっかりとこの子どもの貧困対策に取り組んでいっていただく上で、要望をさせていただきたいことがあります。それは、子どもの貧困問題の解決に当たっては、労働政策や社会保障政策など包括的な取り組みが必要であり、中でも直接的な経済的支援は重要な柱だと考えています。
 特に、小中学生の貧困対策で不可欠なのは就学援助制度です。この就学援助制度なんですけども、例えば和歌山市の場合は、毎年されているかと思うんですが2015年の和教組の調査の中で、小学校1年生、学用品の支援額というのは、国が1万1420円、和歌山市の場合は6860円ということで──ほかの町村の、全町村を調べられた資料があるんですが、そういった中で見ても国基準よりも低いところがあるかと思うんです。これに対しては、本日は教育委員会には特に御質問ってしてないんですけども、こういう点も含めて、しっかりと状況を把握していただきたいと思います。また、入学準備金が入学後の7月に支給される問題については、改善するよう市町村へぜひ働きかけをよろしくお願いしたいと思います。
 貧困対策にはさまざまな課題があるんですが、先日、高校の現場の先生からお手紙をいただいたんですけども、その中で奨学金制度への切実な要望が書かれています。少し紹介したいんですが、和歌山県奨学給付金を受給しているその学校の生徒さんは全体の17.15%です。その奨学給付金受給というのは、保護者等が生活保護または課税証明書等の市町村民税が非課税であるということになっていて、多分250万円くらいだと聞いていますということで、この先生は3年ぶりに3年生の担任をして、子どもたちの姿が随分と変わったなあと感じられたと。保護者の年収が減っているようにも感じていますということで、お手紙をくれていました。
 年度当初に集める学級費2万円を11月になってもまだ払わない生徒も──払えない、払わない、厳密にはそこのところはわからないんですが──いらっしゃるということで、逼迫した家計状況が見られます。商業科なんかでは、進路保障のためにさまざまな検定受検が義務づけられていて、その検定料も多額になってきます。新入生説明会で教科書代、制服代、体操服代、体育館シューズ代、副教材代と、そういった説明が続いていくと徐々に空気がざわついて変わってくると、そういった状況を憂いてるようなことがお手紙につづられてるんですけど、学校の先生自体も20代の先生が、例えば4名のうち3名の方が奨学金を返済中というような状況ですということで、生徒さんの中で薬学部に合格した生徒さんがいるんですけど、保護者は自営業で世帯年収が大変低い、卒業まで6年間高い学費を払えるのか、担任初め皆心配しているということで、無事卒業、国家試験にも合格し、晴れて薬剤師となっても、1000万近い借金を持って社会に出ていくことになるので、前途ある優秀な学生にこんな過酷な状況を押しつけていることに暗たんとした思いですということで、お手紙をくれています。
 そういった中で、県としては、今年度より県独自の大学生の給付金制度が実施され、大変歓迎するものだと思ってるんですけど、さらに拡充をしていっていただけたらなあということで要望させていただきたいと思います。
 先ほど福祉保健部長が言われた対策の中でも、既に県としてはこども食堂への支援も始まってるんですけども、私としては、やはりこども食堂とか、こういった地域にしっかりと根づいて、小学校区単位につくっていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。その運営についても、人件費とかそういったことの補助にも、やはり拡充をして定着を、そして広げていっていただきたい課題であるということをお伝えしたいと思います。
 経済的支援の問題で、何よりも子どもの命に直結する、今までにも質問もしてまいりましたが、子どもの医療費、全国でやはり県以上の補助を、和歌山県の就学前までの以上の補助をしているのが今26都道府県にふえてきました。以前質問させていただいたときは3件ほどしかなかったかと思うんですが、こんなふうにして広がってきていることもあわせて、ぜひ御検討をしていただきたいと思います。
 最後に、子どもは生まれながらにして人権を持つ権利の主体であると同時に、次の世代を担っていく社会の未来そのものだと言えます。子どもが生まれてくる環境は恵まれていることもあれば、時に貧困や虐待によって過酷である場合もあります。だからこそ、社会全体で、子どもたちの尊厳と社会の未来を守らなければならないのではないでしょうか。子どもの貧困は、子どもの権利が守られていない状態の1つと言えます。日本では、憲法や児童憲章、子どもの権利条約などの理念に基づき、子どもの権利を保障するさまざまな制度があるにもかかわらず、子どもの権利が守られていない。一体、子どもの何を守るためにつくられたのか、非常に疑問に思います。ぜひスピードアップをして、実効ある対策を強く要望 いたしまして、2つ目の国民健康保険の問題を質問させていただきたいと思います。
 この国民健康保険の問題も、今までにも質問させていただきましたが、高い保険料で貧困を拡大していくという大変な問題があるんではないかと思い、そういう立場からも質問をさせていただきます。
 1つ目は、2018年度から、国民健康保険が市町村と都道府県が共同で運営する制度に変わります。国保の財政を都道府県が一括管理し、都道府県が各市町村に納付金を割り当て、市町村が住民から集めた保険料を県に納付する形で国保財政が賄われる仕組みです。納付金は、市町村の医療費水準、所得水準で調整して決められ、100%完納が原則となっています。
 国は、都道府県に国保運営方針の策定を義務づけ、別途県が策定する医療費適正化計画や地域医療構想と整合させることを義務づけています。医療費の中で大きなシェアを持つ国保の財政を県が握ることで、医療適正化計画による給付抑制や地域医療構想による病床削減とあわせて、権限を全て都道府県に集中して、強権的に給付費の削減を推進させるものではないかと思います。
 また、県が市町村に納付金を賦課し、標準保険料率を示すことで、市町村の保険料率の平準化が図られようとしています。
 国民健康保険制度は、年金生活者、非正規労働者が増加し、加入者が貧困化する中、生活困窮者も含めた全住民に医療を保障するという、国民皆保険を支える社会保障制度です。国が本来果たすべき責任を後退させ、国庫負担をどんどん削減する中、余りにも高過ぎる保険料引き下げのために、市町村が一般会計からの繰り入れを行ったり独自の減免制度などを設けることは、住民の医療保障のための地方自治体としての努力です。これを県単位化によって崩してしまうことは、さらに国保の構造的な問題を深刻化することにならないでしょうか。
 そこで、福祉保健部長にお伺いします。
 県に権限が集中する仕組みの中で、国保の財政運営を県が握る意味はどこにあるのでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等、国保運営に中心的な役割を担うことによって制度を安定化させることが、今回の国保制度改革の目的であります。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 国保の都道府県単位化は制度を安定化させることと言われたように思うんですけど、これまでも国保料が高くて払えず苦しんでいるというお話をして、県は国保の構造的問題だという認識も示されたと思うんです。今度の制度改革が誰のためか、何のためか、よくわからないというのが私の感想、印象です。
 国は、1984年に健康保険法等の改正で、先ほども申し上げましたけど、国庫補助を医療費ベースで45%から38.5%に削減をしました。国保は、所得に対する保険料負担率が他の公的医療保険から比べても9.9ということで、最も高くなっているこの保険制度、これは厚生労働省のホームページでの「医療保険について」というところでも示されてるんですが、この問題で深刻な実態にあって、私は国庫負担をもとに戻すことこそ本当の改革になるんじゃないかというふうに申し上げて、次の質問に行かせていただきます。
 9月議会でもこの問題についてお聞きしましたが、現在、国保運営方針について市町村の協議をしているということでした。今後、実施に向けて、県は各市町村の医療給付費の見込みと所得水準を加味した納付金を決定し市町村に賦課すること、国の保険料算定方式に基づき、県の標準保険料率、市町村ごとの標準保険料率を出すということになります。
 保険料率は市町村が決定することだと考えますが、市町村ごとの標準保険料率は、市町村を拘束することにならないでしょうか。その点について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 市町村の算定基準に基づく標準保険料率は、市町村の実際の算定方式に基づき、それぞれの収納率等を用いて算出するものであり、保険料率を決定する市町村に対し、県が参考として示すものです。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁いただいて、市町村で決める権限があるということでよろしいですよね。権限あるということで、確認できたと思います。県としてもこういったことをぜひとも強調をしていただきたいなということを要望して、次の質問に行かせていただきます。
 次は、国保運営方針案が市町村との協議で今年度中にも決められていくと思いますが、その協議の内容や経過を公開するべきだと考えます。これについてはいかがでしょうか。福祉保健部長、答弁、よろしくお願いします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 国保運営方針案につきましては、現在、県と市町村の担当課長の代表者による和歌山県国保運営方針連携会議で協議を行っているところであり、県としての案ができた段階での公表を考えております。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、国保運営方針は県内の統一的な運営方針ということになりますが、各市町村の賦課方式はこれまでどおりのやり方となるのかどうか、その点でいかがでしょうか。再度、福祉保健部長、よろしくお願いします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県としましては、将来的には県内統一の賦課方式による統一保険料を目指すべきであると考えていますが、賦課については市町村の権限であり、県が強制的に統一を図るものではありません。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、独自繰り入れについてお尋ねをいたします。
 前回の9月議会でもお尋ねをしましたが、前回の答弁で、国保運営方針に市町村ごとの赤字解消・削減の取り組み、目標年次等を記載する方向で協議を行っているとされました。この問題についてお伺いいたします。
 赤字解消というのは、一般会計からの繰り入れなしに国保会計の独立採算として赤字を解消することを言っていると考えますが、自治体が生活困窮者を含む全住民に医療を保障するという国保本来の機能を守るために、一般会計から繰り入れて保険料・税の引き下げを行うことは、市町村の自主性、自立性の問題であると考えますが、この点についていかがでしょうか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 市町村が国民健康保険特別会計に対し、一般会計から赤字解消のための法定外繰り入れを行うことは、国民健康保険の被保険者以外の住民の方にも負担を求めることとなるため、本来、解消すべきであると考えます。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 先ほど答弁がありましたが、ぜひ、この繰り入れについては、各市町村が苦労して──やはり先ほども申し上げたように、国保制度というのはそもそも構造的な問題があるというようなことで言われたわけです。その国保の加入者というのは、退職した方やいろんな──全員が入らないといけないわけですから、所得の厳しい方も含めて成り立ってるその制度が、国庫ということも含めて、県もお金を出してる中では、税金を入れて国保制度をつくってるわけです。その国保制度が大変な、運営が非常に厳しいということで、各市町村は、国保保険料の引き上げを抑えたり引き下げたり、そういったことをやってるということでは、政策的なまあ言うたらやり方ということで、各市町村の政策判断によって取り組まれてることではないんですか。
 その点でもう一度、繰り入れの内容も含めて、ぜひとも──政策的判断をして市町村がやってるんかどうか、その点ではどうお考えなのかをちょっとお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 先ほどもお答えしたとおり、法定外繰り入れに関しましては、国民健康保険の被保険者以外の方の負担にもなることですから、本来は解消すべきであると考えています。そして、この国民健康保険自体に関しましては、退職された方など無職の方が多くて構造的な問題があるということは私も認識してますので、県としましては、引き続き全国知事会等を通じて、国の責任をもって持続可能な制度を構築するように要請していきたいと考えています。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 また言うても平行線になるようなんですけど、全国知事会も、国が今度国保に対して3400億円投入するということで、全国でそういった対応をして──市町村が対応してるのでは、繰入額というのがそういう額ぐらいになるんじゃないかと思うんですが、それを赤字を解消せえということでそういうことをやると、結局は国保が1人3万円負担を軽減するとかいうようなことで言われてる、安倍首相なんかが答えたりしてますけども、そういったことに、決して軽減につながっていかないと思うんです。
 知事会では1兆円が必要やというようなことを言うてると思うんですけども、そういった点を含めて、ぜひとも国保の運営方針に、やっぱりそういった市町村の自主性、自立性を尊重する立場で、一律に赤字解消ということだけでなくて、しっかりと現状を把握して対応をしていただきたいと思います。
 運営方針には入れないようにしていただきたいということで申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
 一般会計からの繰り入れについては、調整交付金などで何らかのペナルティーを考えているのか、それについていかがでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 法定外繰り入れに対し、調整交付金などによるペナルティーは考えてはおりません。ただし、県が策定する国保運営方針に赤字解消の取り組み、目標年次等を記載することとしており、県としては、これに基づき市町村を指導していくことになります。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 都道府県の単位化というのは、今いろいろと質問させていただきましたが、結局のところ、住民にとってどのようなメリットがあるのかといった点でも、非常に決してそういうことではないように思いますので、私としては、ぜひとも、こういった国民健康保険の都道府県単位化ということについては中止をすべきだと申し上げて、次の質問に行かせていただきます。
 最後の3つ目の質問です。大型太陽光発電所の建設計画についてお尋ねいたします。
 1つ目は、エネルギーは食料とともに経済・社会の存立の基盤です。しかし、日本のエネルギー自給率は、わずか6%にすぎません。再生可能エネルギーを大量に導入するとともに、無駄な不要不急のエネルギー需要を削り、エネルギー効率の引き上げや省エネの徹底で、地球環境・資源の上で持続可能な低エネルギー社会を目指すことが必要です。
 再生可能エネルギーについて、第2次和歌山県産業技術基本計画では、エネルギー自給率の向上や地球温暖化対策に資するのみでなく、地産地消・分散型エネルギーとして地域振興への貢献も期待されることから、県として太陽光発電や風力発電などの導入を進めてきたと述べています。ここでは、特に太陽光発電の導入についてどのように考えられているのか、知事にお伺いいたします。御答弁よろしくお願いします。
○副議長(服部 一君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) エネルギー政策は、安全性を前提とした上で、安定供給、経済効率性、環境適合を基本的な視点として進めていく必要があると思います。太陽光発電は、エネルギー自給率を上げますし、温室効果ガスを排出しませんので、そういう意味ではいいエネルギーだというふうに一応考えられます。そういうことでございますので、再生可能エネルギーの大きな柱であり、和歌山県は豊富な日照時間など本県の持つ特性を生かすことができるものだと考えております。
 また、あんまりこれは雇用は生まないんですけれども、遊休地の活用とか市町村にとっての固定資産税を稼げるというようなことで、積極的に取り組んでいったらいいんじゃないか、そんなふうに思っております。
 そういう考え方で取り組んできました結果、有田市には一般家庭約9000世帯分の発電能力を有する約30メガワットの発電所が設置されるなど、いろいろ取り合わせて、県内の太陽光発電の容量は、平成27年度末で固定価格買取制度導入前と比べますと約8倍の348メガワットとなっております。
 また、橋本市において、ダイオキシン類の汚染の無害化処理対策を講じて利用困難であった地域があるわけですが、そういうところに太陽光発電を設置したことで、それが太陽光発電所が設置されたことでこの地がよみがえったというような県にとっての土地利用上のプラスもあったと思います。
 一方、太陽光発電は、地元雇用などの経済効果が大変限定的でありまして、また、パネルを設置しようといたしまして、それが斜面でありますときに森林の伐採をいたしますと、保水力がなくなって防災上問題が出るおそれも出てくるんじゃないかというようなこともよく調べないといけませんし、また、そういうことまでいかなくても、景観を損なうことで観光面あるいは地域としてのメリット、そういう面で悪影響が出たりする懸念もありますので、その推進に当たっては、いろんな自然との調和を図るなど、いろんな問題を総合的に考え、かつ地元の意向、これが大事でございますので、その意向も踏まえながら取り組んでいくべきだと考えております。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 地元の意向も踏まえながらということでおっしゃってくれたので、その点では大変安心をしてるんですけども、そういったところで、事業者さんは事業者さんとして説明はされるかと思うんですが、県としてもぜひ情報公開を十分行って、環境アセスなどの強化にもぜひ取り組んでいただきたいと、そのことを要望して次に行かせていただきます。
 次に、持続可能な発展を目指すための一環であるはずの再生可能エネルギーの取り組みも、環境規制の弱い日本では、事業化に当たって、きちんとしたルールや規制を整備しないままに利益追求を優先にした開発が起き、他県では環境保全や住民の健康・安全にかかわる問題を引き起こしています。事業者と地域住民の間で亀裂や紛争が生じることは、再生エネルギーの導入を進めていく上で望ましい状況ではないと思います。太陽光発電の場合、環境影響評価はどうなっていますか。環境生活部長にお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 環境生活部長日吉康文君。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 太陽光発電事業そのものは、施設の供用に伴う大きな環境への影響は想定されないことから、環境影響評価法の対象とはなっておりません。
 しかしながら、本県では、太陽光発電事業であっても75ヘクタール以上の土地の造成を伴うものについては、環境への影響が想定されることから、環境影響評価条例の対象事業として環境アセスメントの実施を義務づけております。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、今、和歌山での大型太陽光発電所の建設計画で住民の方からお伺いをしたんですが、その点で和歌山県として、現在、直川・六十谷・園部地域に2カ所の建設計画があると聞いています。その規模について商工観光労働部長にお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 議員御質問の2カ所の太陽光発電の建設計画についてでございますが、まず、和歌山市園部地区ほかに設置予定の発電所については、林地開発許可に基づく事前協議申出書によると、事業区域面積が約74ヘクタール、発電容量が約48メガワットとなっています。
 次に、和歌山市直川地区ほかに設置予定の発電所については、環境影響評価方法書によると、事業区域面積が約132ヘクタール、発電容量が約77メガワットとなっています。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、規模をお聞きしたんですけども、今あるメガソーラーの全国での規模なんかも当局の方にお聞きをして、そういった中で調べさせていただいたら、今の規模でいえば、一番大きいところが、太陽光発電所ランキングということでお聞きしたんですけども、1番目はパネル出力が148メガワットということで、先ほどの132ヘクタールということになれば77メガワットで、これは4番目の規模に相当するものだということがこのランキングでわかったんです。また、約74ヘクタールというのも、全国では7番目の規模になるということで、その10カ所のランキングの中で用地ということでは、もとは農地やったり工業用地やったり干拓というような埋立地ということで、工業用地が最も多かったんです。林地というのが1カ所だけあるんですが、こういった状況の中で、今規模をお伺いすると、林地のところで、林地開発の点では許可が必要やというようなことで言われました。
 そういうことで、私も先日、行かせていただいたんですが、それがお手元にありますこの写真でございます。写真の山の中央部に虹色にあるのは、これは印刷のむらではなくて──(「虹や」と呼ぶ者あり)、そうです、虹。ちょうどこの時間が3時だったんです。ほんでちょうど3時で虹。3時だったんです。
 これを見ていただいたら非常にきれいなところで、これが、私は、木の名前もちょっとよくわからなかったんですが、これも教えていただいて、コナラ、クヌギ、山桜、アラカシ、ウバメガシ、アカマツ、サカキ、ヤマモモなどなどがあるということで、本当に子供たちにとっても木の勉強にすごくなる。ハイキングコースにもなっていたりして、私はここへ行って、本当に改めて和泉山脈の、まちの近くにこういうものがあるということで感動して帰ってきたんです。
 これは、下にあるのは、千手川のちょうど昨年雨量が大変増水したときがあったんですが、そのときのちょうど写真を撮っていたのと、ほんでこの間行ったところの比較をして、130センチということで増水をしている様子をここにちょっと示させていただきました。
 これが、先ほど言われた約74ヘクタール。(資料を示す)75ヘクタールから環境アセスが要るわけなんです。それが74ということで、これは先ほどの、下がニュータウンで団地になってます。中学校もあって、下にもうちょっと行けば小学校もあるところで、こういったところが、これが74ヘクタールで、その隣にまた約130ヘクタールの環境アセスの影響調査のあれが出てるということで言われてる状況なので、こういったことが、午前中には長坂先生が森林保全のことを質問されていましたが、そういった点で非常に、ぜひ県としてもしっかり今後審議をしていただきたいなあというふうに思っています。
 そういう点でも、私が心配するのは、何よりもこの森林の保全の問題とあわせて、このときに行ったときに、この奥に──調整池を3カ所つくるということで言うてるこの奥に12~13軒の集落があるんです。そこに井戸水を使って生活を──まだ和歌山の水道が引けてないということで、それはそのいろんな事情があるんかと思うんですけども、井戸水で生活をしている方が12~13軒あります。
 そういったことを含めて、ここにずうっとこの千手川が蛇行して流れてるんですが、この千手川が昨年の7月17日に降水量が185ミリ、1メーター30センチ近くまで増水していました。これまでの降水量を調べたら、185ミリだったんですけど、300ミリぐらいになったときもあるということで、今までの和歌山市の──これ和歌山市なんで、和歌山市の降水量は353.5が、2000年の9月11日が今までの最高です。10位が185.5、1976年9月9日、これが降水量10位ということで、そういった状況の中で同じような降水量だったときにこういった状況があるので、ぜひともしっかりと検討していっていただきたいなあというふうに思うんですが、最後にこういった点で、林地開発の件で質問をさせていただきます。
 林地開発許可制度における利害関係者の同意の範囲についてということで御質問をさせていただきたいと思います。その点、その利害関係者の範囲というのをどんなふうに考えたらいいのか、その点で答弁を農林水産部長、よろしくお願いします。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 林地開発許可の同意の対象範囲についてでございますが、林地開発許可申請書における利害関係者の同意につきましては、和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領に基づき添付を求めております。
 対象範囲につきましては、森林法の許可基準である災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全に関する4つの要件で、直接的に影響が及ぶ範囲内の関係者で、一般的には隣接する土地所有者や地元自治会、水利組合等を想定しております。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。所定時間が迫っておりますので。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁いただきました。
 先ほども申し上げたように、林地を開発するという点で、県としてもしっかりと審議や、県民のやはり疑問やいろんな心配事も含めて十分受けとめていっていただきたいなというふうに思いますので、ぜひともよろしくお願いします。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時30分散会

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