平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(川畑哲哉議員の質疑及び一般質問)


平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(川畑哲哉議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
○川畑哲哉君 皆様、おはようございます。
 議長よりお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まずは、アルゼンチン・カナダ県人会訪問の御報告をさせていただきます。
 ことし10月21日より10月27日まで、服部一副議長、谷洋一議員、藤山将材議員、濱口太史議員、そして私の5名の議員は、下宏副知事とともにアルゼンチン及びカナダを訪問してまいりました。
 まずは、10月23日、現地で中島紀生公益財団法人和歌山県国際交流協会事務局長と合流し、在アルゼンチン和歌山県人会50周年記念式典に出席をいたしました。約150名の出席者の中で式典は始まり、日亜両国国歌斉唱、県人会先没者への黙祷の後、里信百合子在アルゼンチン和歌山県人会会長御挨拶、下副知事、服部副議長ほかよりの祝辞、来賓紹介、和歌山県移住者子弟研修生OB代表挨拶があり、その後、100歳長寿者記念品贈呈、長寿者記念品贈呈が行われ、次に、在アルゼンチン県人会に対し、県、県議会、県議会南北友好議連、県国際交流協会から記念品を贈呈し、在アルゼンチン和歌山県人会からは、50周年記念式典プレートの贈呈を受けました。結びに、参加者全員による記念撮影を行い、式典は終了しました。
 その後、懇親会に移り、各テーブルに訪問団の人員が分かれて座り、それぞれのテーブルにおきまして交流を深めました。交流の中では、移民の際の御苦労話や現在のお仕事、ふるさとや和歌山の思い出話、県人会の運営が今後2世、3世が中心となっていくことへの不安などをお伺いするほか、県人会の方からは、現在のふるさとのまちの状況や、今も和歌山にいる和歌山の知人の近況を尋ねられました。
 県人会の方には、多くの議員や県庁職員が地球の裏側のアルゼンチンまで自分たちのことを忘れずに訪ねてきてくれたことを大いに喜んでいただいたことや、遠く離れてもなおふるさと和歌山を思っていただいていることに、私たちは深い感動を覚え、式典への参加は大変有意義なものでございました。
 次の日、10月24日、在亜日本人会附属日本語教習所として発足しましたブエノスアイレス日亜学院を視察いたしました。小学生たちの心温まる歓迎のスピーチと歌で、おもてなし精神あふれる出迎えを受けました。三井デリア教育学長から学校の概要説明を受けましたところ、2016年度在籍生徒数は、幼稚園168名、小学部307名、中高等部128名、土曜日日本語コースは幼稚園、小学校、中学校合わせて201名、成人コース550名とのことです。生徒には、掃除、配膳などを当番制として指導されています。
 現在の幼稚園から中高等部までの日系、非日系の割合は、70%が非日系、30%が日系で、日系が少ない理由として、月謝が払えない、近所に住んでいないために通えない、日本語より英語のほうが大切だと思われているお考えのおうちもあるとのことでした。
 その後、学校内や幼・小・中・高等部の授業風景を視察いたしました。また、学校内には秋篠宮文庫があり、1998年、日亜修好100周年の際に秋篠宮殿下が来られて、次の年に秋篠宮のお名前をいただかれた文庫が設置され、多くの日本の書籍が所蔵されていました。
 また、在アルゼンチン日本国大使館も訪問いたしました。福嶌教輝特命全権大使より、アルゼンチンの現況について細やかな御説明をしていただきました。
 アルゼンチンの面積は日本の7.5倍、278万平方キロメートルで世界第8位。人口は約4342万人。GDPは中南米地域ではブラジル、メキシコに次いで第3位、世界では第21位。これは、サウジアラビアやスイスと同等の経済規模でございます。G20のメンバーでもあり、中南米ではブラジル、メキシコ、アルゼンチンのみ参加をされています。
 穀物の大豆は、粒では世界第3位、油は第1位、粕でも第1位でございます。これからの食料事情にとって世界的に重要な国であり、日本の商社もたくさん進出しております。30年後、40年後の世界の人口が70億や100億人を超えるようであれば、世界はアルゼンチンの食料に頼らざるを得ない状況になります。世界が元気であるためには、この国が元気でなければなりません。アルゼンチンが安定して発展していくことが、世界にとっても大事なことであるということでございます。
 また、メード・イン・ジャパンに高い信頼が寄せられています。日本進出企業の数は、ブラジルで700社、メキシコで1000社、アルゼンチンにはまだ54社しか進出しておりませんが、日系人が税理士や弁護士として社会的信用を得ていることや所得水準が高いこと、トヨタ、ホンダ、日産などの自動車産業がふえていることなどから、今後ますます日本企業が進出していくと考えられます。
 同時に、日本食への関心も高まっています。20年前、おすし屋は4軒くらいだったのが、現在300軒くらいあるとのことです。福嶌特命全権大使より、「和歌山のおいしい梅干しや梅酒、食材など、輸入に関しては大使館やJICAもお手伝いするので、さまざまな和歌山の企業の方にアルゼンチン、中南米はおもしろい可能性を秘めているとお伝えください」とのことでしたので、この場をおかりしてお伝え申し上げます。
 県人会の方からは、アルゼンチンではとにかくコーヒーショップはもうかる、おいしいラーメン屋さんやカレー屋さんもおもしろいかもしれないとのことでした。将来、コーヒーショップを開くのが夢である私にとりましても耳寄りな情報でございましたが、いずれにしましても、アルゼンチンの大いなる可能性を物語るお話でございました。
 さて、アルゼンチンを出国後、チリを経由してカナダはトロントへ入りました。10月25日のことです。まずは、トロント総領事館を表敬訪問し、中山泰則在トロント日本国総領事及びトロント総領事首席領事より、カナダの現況について御説明をしていただきました。
 総面積は998万4670平方キロメートルで日本の27倍、ロシアに次いで世界第2位の国土で、10州と3つの準州で構成されています。人口は約3554万人。トロントはオンタリオ州にあり、人口は606万人で、カナダ最大の都市でございます。日系人は約5万人。公用語は英語とフランス語の2つでございます。ちなみに、カナダ人のほとんどはアメリカとの国境に住んでいらっしゃいます。
 カナダは、原油、天然ガス、ウラン、銅、亜鉛、タングステンなど、豊富な天然資源を有しており、日本にとってウランの輸入シェアは33%を占めています。
 オンタリオ州の経済は、GDP7471億カナダドルで、カナダ全体の約4割を占め、北米の大市場に接していることから、アメリカへの輸出に大きく依存しています。その中で、自動車産業はオンタリオ州にとって重要な産業でございます。
 ホンダ、トヨタ、日野各社が生産工場を置くほか、これに付随する多くの関連部品工場が所在し、雇用の面でも州経済を支えています。2015年、トヨタが、GM、フォード、フィアット・クライスラー・オートモービルズのデトロイト3以外のメーカーでカナダ最大の自動車生産メーカーとなりました。
 オンタリオ州にとって、日本は第6位の輸出相手国であり、第4位の輸入相手国となります。また、通訳の話によりますと、オンタリオ州の共働き夫婦の平均手取りは月に58万円で、物を買うと消費税5%に州税8%の計13%が外税として加算されます。ただし、生まれてから亡くなるまでの医療費は無料、託児所も無料、待機児童はなしということでございました。
 日系カナダ人は約1万8000人。日系人の歴史は古く、1877年、日本からカナダに来た最初の日本人は九州出身の永野萬蔵さん、次に有名なのは工野儀兵衛さん。1888年、和歌山県日高郡の三尾村から単身カナダに渡航し、バンクーバーの南方にあるフレーザー川河口にあるスティーブストンのサケ漁に着眼しました。1900年くらいに日系移民はピークを迎えます。西海岸の漁業従事者の6割から7割は三尾村出身の方で、当時、現地に150名から成る加奈陀三尾村人会が結成されました。
 1941年、真珠湾攻撃が始まったとき、カナダ政府は日系人の全財産を没収し、4年間強制収容をし、没収した漁船、自動車、家屋、全ての財産を二束三文で売り飛ばしました。戦後、日系人だと知られると仕事はもらえず、家も貸してもらえないという差別を受け、日系人だとばれるといろいろな仕打ちを受けるので、日系人であることを隠して住んでいる人が多かったとのことです。また、日系人で固まって住むと必ずいじめられるので、ばらばらに住み、言葉も日本語をなるべく話さないようにと親から言われたそうです。
 戦後になり、当時、イタリアやドイツなど数十国の多くの移民がいたにもかかわらず、収容所に入れられたのは日系人だけで、これは差別ではなかったのかとの運動が起き、1988年にカナダ政府と交渉して謝罪と補償をかち取ったのでした。
 さて、その後、非営利慈善団体モミジ・ヘルスケア・ソサエティが運営する日系カナダ人のシニアを対象としたいわゆる居住型老人ホーム・もみじ会館の視察をいたしました。設立当時の目標は、戦後、カナダ東部、特にトロント地域へ移り住んだ日系1世の人々を支援することであったそうです。
 会館内の居住施設を視察した後、シニアの方々と懇談を行いました。ふるさと日本への思いは今もなお衰えることなく心に刻まれていて、私たちカナダ訪問団との懇談で、ふるさと日本の生の声を聞くことができ、大変喜んでいただけたことと思います。
 最後の日程は、東部カナダ和歌山県人会・後出吉之会長ほか3名の役員の方々と懇談でございました。
 東部カナダ和歌山県人会は、カナダ東部地域に移住された本県出身者が故郷である和歌山県との連絡を密にし、互いに助け合い、親睦を図るため、1976年に創立されました。会員数は235名で、親睦会、ボーリング大会、ゴルフ大会、ピクニック、敬老会、カラオケ大会の実施、老人ホーム訪問等を主な活動にされています。世代交代が進み、会員のほとんどが2世で構成されているとのことです。
 懇談会の会場となりました日系文化会館は、戦後、子供に自分たちのルーツを伝える機会がなくなってきた中、何とか集まって日系の文化を継承できる場所はないだろうか、日本語で話し合いができる場所はないだろうかということを考え、建設の話が持ち上がり、日系人が持っていたなけなしの土地、家を抵当に入れてつくったお金で1963年に完成したそうです。
 この日系文化会館は、カナダの日系人が誇りを感じている施設でございますが、現在では、日本文化に触れてもらうために、文楽、落語会、クラシックコンサート、日本の歌手グループによるコンサートなどが開催され、日系人だけでなく多くのカナダ人も見に来られているとのことでした。
 カナダには、昔32あった県人会が今は26となり、各県人会とも高齢化で、合併する話も出てきているそうです。敬老会を主催しても、主催者の役員が76歳や77歳ということが現状であるとか。私たちは、ともかく今後も頑張っていただいて和歌山県人会を維持していただきたいというお願いを申し上げてまいりました。
 このたびのアルゼンチン、カナダ訪問の全日程を終え、振り返って思いますことは、ふるさとから遠く離れた異国の地で幾多の困難を乗り越えてこられた方々、またその子弟の方々と大いに交流することができ、移民されたこれまでの御努力並びに現在皆様が各界各分野で御活躍され、各社会になくてはならない地位を確立しておられることに対し、尊敬の念を抱くとともに、不屈の精神と紀州人魂を感じました。
 一方で、両県人会とも、会員数の減少や会員の高齢化により会の維持に大変苦心をされていました。和歌山で生まれ育った1世の方々と和歌山をよく知らない2世、3世の方々とで、和歌山や和歌山県人会に対する温度差があるのは当然のことでございます。この温度差を埋めるためには、それぞれのつながりを深める工夫や努力をすること以外にないと私は考えます。
 既に本県では、日本及び和歌山県の文化、習慣を理解していただき、みずからのルーツを再認識していただくため、海外に移住した県人会の子弟を県内の一般家庭で受け入れる取り組みも行われています。
 しかし、1年に各国から1名から2名を2~3週間受け入れるだけでは、県人会を維持するための取り組みとしては十分とは言えません。県人会の子弟を県の国際交流員や国際交流協会スタッフとして雇用したり、本県から青年を派遣したりして、相互交流を一層促進させる必要があります。
 また、アルゼンチンなど、今後の発展や和歌山県内企業の進出を想定しますと、現地での政財界要人との強力なパイプ確立を目的とした県人会事務所への本県あるいは国際交流協会のスタッフ派遣ということも、ぜひ御検討いただきたいと思います。そして、県人会会員には、現地での日本語教室運営や通学の補助、技術研修制度の復活など、県人会会員であることの明確なメリットを担保することも必要なのかもしれません。
 いずれにしましても、アルゼンチン和歌山県人会・里信会長初め県人会の皆様、東部カナダ和歌山県人会・後出会長初め役員の皆様には、本当に温かくお出迎えをいただき、視察に御協力いただきましたことに改めて心から感謝申し上げますとともに、両県人会の今後ますますの御発展と県人会の皆様の御健康、御多幸を心から祈念し、今後とも、ふるさと和歌山県との友好に引き続き御尽力賜りますようお願い申し上げます。
 そして、事前の交渉や調査、ロストバゲージなどのトラブルを乗り越えながら、このたびの訪問の御段取りをいただきました職員の皆様にも心から感謝を申し上げます。
 私たちは、遠く離れていてもふるさと和歌山を思う県人会の方々のお気持ちに応えるべく、県勢のさらなる発展に尽くしていかなければならないと決意を新たにいたしました。
 以上をもちまして、アルゼンチン・カナダ県人会訪問の御報告とさせていただきます。
 次に、最先端技術について一般質問をさせていただきます。
 「シンギュラリティー」という言葉を御存じでしょうか。技術的特異点という意味であり、人工知能が人間の能力を超えたときに起こる事象ということだそうです。例えば、人工知能(AI)がチェスや将棋の世界チャンピオンだけではなく囲碁の世界チャンピオンを破ったとか、BMW社がレベル4の完全自動運転車を2021年までに市販すると発表したとか、シンガポールの商業地区ワンノースで、公道では世界初となる自動運転タクシーが登場したとか、第4次産業革命時代と呼ばれる時代が幕をあけています。
 昨年4月、首相官邸の屋上ヘリポートで発見されたのを契機に、「ドローン」という言葉が瞬く間にお茶の間にも広がりました。今やドローンは、さまざまな活用例が勘案されています。本県でも、被災地の調査用としてドローンを所有していますし、私の母校、県立那賀高等学校の放送部では、ドローンを活用したオリジナルムービー制作が好評を博し、各事業からひっきりなしに協力依頼を受けています。
 また、携帯事業者、福祉事業者、ドローン事業者が三位一体となった離島へのドローンを使った買い物代行の実証実験も先月無事成功したとのことです。漫画家・弘兼憲史先生によりますと、ドローンに精度の高い画像認識能力を搭載させることで、より精密な農薬散布を可能にしますし、渓流釣りの場面でも効率のよい釣りざおの投下を行うことができます。
 一方、宅配事業者や運送事業者は、MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)と呼ばれる自動運転を活用した移動サービスにチャレンジしています。ヤマト運輸社とディー・エヌ・エー社は、自動運転で宅配する「ロボネコヤマト」プロジェクトをことし7月より開始しました。
 AIやドローン、IoT、ロボットなど、私たちが子供のころに映画やアニメを見ながら思い描いた未来の形が、今いわゆる最先端技術と呼ばれる革新的技術により姿を見せつつあります。
 先月、北九州市の株式会社安川電機を訪問させていただきました。アイスクリームづくりロボットやおもちゃづくりロボットは社会見学で訪れる子供たちに大人気とのことでしたが、3D印刷から製作された巨大なモニュメントや7つに関節が曲がる世界初の7軸産業用ロボットの実演なども見せていただき、人間と共生するロボットがとてつもないスピードで進化していることがわかりました。
 また、新島雄先輩議員と訪れた沖縄科学技術大学院大学、通称OISTでは、世界50カ国から集まる教授、教員、学生による、まさに国家プロジェクトと呼ぶべき、住宅街まで備えた一大研究施設において、あらゆる最新の研究開発が行われています。そして、OIST独自にベンチャー企業とのマッチングも積極的に行い、2年前には高度なタンパク質の分析を受託する第1号のベンチャー企業を誕生させています。
 世界では、最先端技術開発にアメリカ、ドイツが先行し、中国は世界4大機械メーカーのドイツ・KUKA社を買収しました。まさに、第4次産業革命の大きな波がすぐそこまで迫ってきています。
 そこで、お尋ねいたします。
 私は、この最先端技術の利活用は、都会よりも地方のほうが効果は大きいと考えております。新しいビジネスモデルとしてはもちろん、行政サービスとしても本県の県勢発展に大きく寄与する分野でございます。
 県内の企業、事業者の皆様にも存分にアイデアを出していただき、経済成長につなげていただきたいと考えておりますが、県のお考えや取り組みはいかがでしょうか。商工観光労働部長の御答弁、よろしくお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 県では、県内企業の成長力を一層強化させるため、昨年10月に第2次和歌山県産業技術基本計画を策定いたしました。その中で、最先端技術分野であるIT・ソフトウェア・通信技術分野や航空・宇宙分野を戦略的分野として新たに位置づけるとともに、志高い創業者や新たな展開を目指す第二創業者を発掘、育成するための支援体制を構築いたしました。
 これらを具体化させるため、本年度から、IT等分野と航空・宇宙分野については、それぞれコーディネーターを配置し、ITの高度化等を目指す県内企業の支援や航空・宇宙分野への県内企業の参入を促進しています。また、ベンチャーキャピタルなどから構成されるわかやまスタートアップ創出支援チームを設置し、当該支援チームと創業者等のマッチングを実施いたしました。
 また、これまで全国展開を目指すような先駆けた新技術の開発を支援する先駆的産業技術研究開発支援事業により、延べ51社を支援してきたところであり、一部の県内企業では事業化に至っております。さらに、AIを活用したビジネスモデルの開発や航空産業参入のための研究開発といった最先端技術の開発を初めとする県内企業もあらわれてきております。
 また、ことし、県の工業技術センターにおいても、地方創生の交付金を活用して最先端機器等を導入し、将来的な新技術開発を支援するための体制も充実しているところです。
 県としましては、このような取り組みを継続し、県内企業のさらなる経済成長につなげるため、最先端技術の開発を支援してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 商工観光労働部長より御答弁をいただきました。
 充実した取り組みをしていただいていると感じております。各事業とも、多くの県内企業や事業者の皆様から、より積極的な御活用をいただけますように、御支援、御案内のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 先ほど申し上げました沖縄科学技術大学院大学(OIST)でお会いしました照屋マネジャーいわく、最新の研究開発に携わる世界一級の研究者を育てるには、アクティブラーニングが効果的とのことでした。
 先ほど、長坂議員の御質問の中でも御発言がございましたが、アクティブラーニングとは、もともと大学の授業で使われている用語であります。2012年8月の中央教育審議会答申では、学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る教授・学習法の総称であり、具体的には、発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習、教室内でのグループディスカッション、ディベート、グループワークなどを挙げています。
 そして、この中央教育審議会に対する諮問では、小・中・高のアクティブラーニングを「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習」とした上で、何を教えるのかという知識の質や量の改善はもちろん、どのように学ぶかという学びの質や深まりを重視し、知識、技能を定着させる上でも、学習意欲を高める上でも効果的だと指摘されています。
 本県の子供たちが、社会でチームワークを保ち、リーダーシップを発揮できる倫理観を持った社会人として育っていただくためであることはもちろんでございますが、その中から最先端技術を利活用し、最新の技術開発を行う優秀な研究者を輩出するためには、私もアクティブラーニングを小・中・高課程で充実させることが重要だと考えております。県教育委員会のお考えはいかがでしょうか。取り組み状況とあわせて、教育長の御答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 科学技術やグローバル化が急速に進展する中、子供たちがこれからの時代を生き抜くために必要な資質、能力を身につけるため、アクティブラーニングは有効な学び方の1つであると考えます。
 国においては、現在改訂中の次期学習指導要領で、子供たちの思考力、判断力、表現力を一層高めるよう、アクティブラーニングの視点を取り入れた指導を行うことが明記されようとしてございます。
 本県では、これまでも児童生徒の発達の段階に応じ、全ての小・中・高等学校においてアクティブラーニングの視点を取り入れた授業を行うよう指導しており、全教科で実践を進めているところでございます。また、学校指導訪問を通して個別具体的に指導するほか、各研修会において各アクティブラーニングの効果的な方法を指導するとともに、各校における実践の情報提供を行い、その充実に努めているところです。
 加えて、本年度、課題解決能力育成のため、海外との交流などを通して多様な文化や価値観を学び、幅広い視野を持って地域の課題解決に取り組む新規事業「イノベーションスクール(OECD和歌山版)」を5つの県立高等学校で取り組み、その成果を全ての高等学校に広げようとしてございます。
 今後も、アクティブラーニングを取り入れた授業を一層充実させ、定着を図るよう、各学校を指導してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 次に、プログラミング教育についてお聞きします。
 先月下旬に訪れました株式会社よしもとロボット研究所の梁チーフプロデューサーによりますと、今の子供たちが社会に出るころ、つまり10年から20年くらい後には、子供たちがつく職業の70%が現在は存在しない職業であると言われているとのことでした。また加えて、プログラミング教育産業が英会話教育産業を上回ったようだともおっしゃっていました。確かに、8月に訪れました教材の企画販売会社でも、プログラミング教材が子供や高齢者に大人気だとのお話をお聞きしたことがございます。
 ちなみに、2015年9月に公表されました世界経済フォーラムの報告書の中で、21のティッピングポイントが明らかにされました。
 ティッピングポイントとは特定の技術的変革が社会の主流を転換させる瞬間ということですが、この報告書によりますと、800名を超える情報通信テクノロジー分野の企業役員や専門家が参加した調査の中で、「2025年までに人口5万人を超える都市で初めて信号機が廃止されることが起こる」と予想した回答者は63.7%でした。また、「2025年までに3Dプリンター製の肝臓の初移植が実施される」と予想された回答者は76.4%、「2025年までに眼鏡の10%がインターネットに接続されている」と予想した回答者は85.5%、何と「2025年までにアメリカで最初のロボット薬剤師が登場する」と予想した回答者は86.5%にも上りました。
 このように、急激な進化や変革をしていくことが予想されます情報技術社会において、時代に適応し、また新たな仕事を創出していくための基礎はプログラミング教育により培われると私は考えておりますが、県教育委員会ではプログラミング教育についてどのような学習をされていますか。教育長の御答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 現在行われているプログラミングに関する教育は、中学校では、技術・家庭科の授業において、情報通信ネットワークの仕組みやプログラムによる計測を行うなどの学習を実施しております。また、高等学校では、情報の授業において、問題解決の手順を図で表現したアルゴリズムを用いて論理的に思考する学習などを実施しております。さらに、工業高校や商業高校などの専門学科では、プログラム言語を用いてプログラムを作成する専門的な学習を実施してございます。
 平成32年度から小学校で実施される次期学習指導要領では、情報技術が飛躍的に進化する未来を生きる子供たちに、コンピューターに処理を指示し実行させるような体験を通して、論理的に考える力を育てるプログラミング教育が行われることとなります。
 県教育委員会といたしましては、今後、小・中・高等学校の発達の段階に応じたプログラミング教育を一層充実してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 アクティブラーニング及びプログラミング教育につきましては、鋭意進めていただきますようお願いを申し上げます。
 もう1点、この最先端技術の利活用につきましては、大きなビジネスチャンスや日常生活における格段の利便性向上があることは間違いないわけでございますが、一方で、貧富の格差がより広がる危険性をはらんでいるとも考えております。
 頑張った者が頑張ったと評価される社会であるべきですし、頑張った者が頑張っただけの成功を享受できる社会であるべきですが、頑張った者だけがその果実を得られる社会であってはいけないと思います。そのためにも、教育課程におきまして、勉強や仕事をしっかり頑張るんだという意識と、チームや地域、社会と利益を共有するんだという心をあわせて育てていただきたいということを強く要望申し上げます。
 次の質問に入らせていただきます。
 ことし10月に、広島県立美術館を訪れました。ちょうど、東山魁夷の特別展開催中ということと、皇族の方のお成りも同日で、大変なにぎわいを見せている中、前田副館長より貴重なお話をお聞きすることができました。
 広島県立美術館では、昨年10月より企画チームを発足させ、各学芸員から担当分野のヒアリングを実施することから始めた広島県立美術館活性化ビジョンを展開中です。同敷地内の浅野家別邸庭園・縮景園とも連携することで、来館者の満足度を向上させ、特別展の魅力や収益性の向上を図り、自主企画展の実施や学芸員の育成など、美術館の活性化に向けて精力的に取り組まれています。
 結果、来館者が、昨年は所蔵作品展に7万4000人、特別展には24万人となり、今後は総入館者数45万人を目標としているとのことでした。
 また、先月、宇治田議員、尾崎要二議員、山下議員、岸本議員、濱口議員、鈴木議員と訪れました滋賀県における滋賀県立近代美術館では、加工されていない生のままの芸術でありますアール・ブリュットを新たなコレクションの核に加え、2019年に新生美術館として生まれ変わるべく、県民への機運醸成施策から始めて着々と事業を進められています。「美術に興味がある人にもない人にも訪れていただける開かれた美術館を目指します」とおっしゃっていた御担当の方の笑顔が印象的でございました。
 さて、本県にも、すばらしい県立近代美術館と博物館がございます。もともとは、昭和38年3月、和歌山公園内二の丸跡に設立された和歌山県立美術館が拡大発展し、昭和45年11月2日、県民文化会館1階に我が国で5番目の近代美術館として開館しました。その際、県立美術館は、近世以前の歴史や美術史に関する業務を担う県立博物館として生まれ変わっています。そして、平成6年7月8日、現在の場所であります和歌山大学教育学部跡地に、黒川紀章先生による意匠を凝らしたデザインで、新県立近代美術館として開館しました。デッキで連結する和歌山県立博物館とともに、公共建築100選にも選ばれているとのことです。
 日経新聞社発行の「五つ星の美術館」では、学芸力関西第3位、また総合力では関西第4位、そして、平成28年度都道府県立美術館基本調査票に基づく収蔵品点数では1万4052点として全国第6位という、本県が全国に誇る近代美術館でございます。
 本県の県勢発展に文化レベルの向上は必須であるという観点から、この県立近代美術館及び一体の施設となる県立博物館を今以上に活性化させることが重要であると私は考えておりますが、県のお考えや取り組み状況はいかがでしょうか。入館者実績や今後の目標も含め、教育長の御答弁、よろしくお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県では、博物館施設を多くの人々が訪れ、学び、楽しむことのできる教育文化拠点としていくため、展覧会や教育普及の充実を図る機能強化に取り組んでございます。その一環として、本県が誇る文化財やゆかりの作品など豊富な収蔵品を十分に活用し、常設展の充実に取り組んでございます。さらに、テーマごとに県内外からよりすぐりの作品を集めた特別展や企画展を開催するとともに、学芸員による展示解説や講演会も実施するなど、多くの方に来館いただくよう努めてございます。
 入館者数につきましては、今年度においては博物館の特別展「蘆雪溌剌」、近代美術館の常設展「コレクション展 2016-夏」に、約1万人の方が来館してございます。さらに、3年に1度の大規模展として近代美術館で開催中の特別展「動き出す!絵画」は、現在7000人を超える方が来館してございます。今後も、年間を通じて来館いただき、再び訪れたいと感じられる、魅力ある博物館施設とするよう取り組んでまいります。
 あわせて、コンサートやバックヤードツアーなど、両館の立地を生かした事業も実施することにより、県全体の文化レベル向上の一翼を担うよう努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 特別展「動き出す!絵画」は、私も先日のぞかせていただきましたが、本当にすばらしい展覧会だと感じました。また、ぜひ先輩議員の皆様と御一緒にお伺いしたいと思います。
 それでは、最後に、子供向け事業についてお尋ねいたします。
 広島県立美術館、滋賀県立近代美術館の両館とも、来館者数確保や来館層の拡大、何より子供の創造性向上を狙い、夏休み期間中などに子供向けやファミリー向けの体験イベントなどを充実させているというお話をお聞きしました。
 さて、本県では、両館でどのような子供向け事業に取り組まれているでしょうか。教育長の御答弁、よろしくお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 博物館施設で本物の文化遺産や芸術作品に触れることにより、子供が知的な興奮や驚きを覚え、本県の歴史や文化に対する強い探究心を起こすことができるよう、さまざまな企画展やイベントを開催してございます。特に、夏休み期間中、近代美術館では子供と大人が一緒に楽しむ企画展「なつやすみの美術館」を平成23年度から毎年開催しており、本年度は21校、約1万人が来館いたしました。
 また、博物館でも、毎年、歴史や文化をわかりやすく紹介する夏休み企画展を開催してございます。本年度は、平安から江戸時代に和歌山で活躍した有名人等を紹介する「きのくに人物百科」を開催し、34校、7000人近くが来館いたしました。
 これらの展覧会では、絵を描くワークショップなどの体験プログラムの実施や、展示作品について学べるワークシートを作成しているほか、鑑賞しながら楽しく学べるよう学芸員が解説を行うなど、教育普及に努めてございます。さらに、学校や学年単位で来館する際には、同じ日に両館を活用できる受け入れ体制を充実してございます。また、来館が困難な学校には出前講座を実施するなど、学校の利便性向上を図っております。
 今後とも、両館のすぐれた作品に親しむ機会を提供し、和歌山の文化芸術の将来を担える子供たちの育成に努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 教育長の前向きな御答弁、ありがとうございました。
 私も、2003年より和歌山県立近代美術館友の会の会員でございます。微力ながら、本県の文化レベル向上に尽力してまいりますことをお誓い申し上げます。
 最後に、一言御礼を申し上げます。
 6月の定例会におきまして、旧和歌山県議会議事堂「一乗閣」の利活用につきまして御要望申し上げましたところ、仁坂知事初め当局の皆様、また宮下教育長初め県教育委員会の皆様には、県下に一乗閣の積極的な利活用へのお声かけをいただいておりますこと、この場をおかりしまして心から感謝を申し上げます。
 引き続きの御理解、御協力を心からお願い申し上げまして、私の人生3度目の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時33分休憩
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