平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


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平成28年12月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成28年12月13日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第226号から議案第249号まで並びに諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第226号から議案第249号まで並びに諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     日吉康文
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   岡本圭剛
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       上坊 晃
 次長         西原龍也
 議事課長       中谷政紀
 議事課副課長     浜野幸男
 議事課課長補佐兼議事班長
            長谷哲生
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主査      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第226号から議案第249号まで、並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 42番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 1つ目に、和歌山県の水源地の管理についてであります。
 北海道を初めとして、外国人や外国資本により、水源地である森林の買収が進められています。北海道・洞爺湖温泉街の西、約3キロ離れた洞爺湖町月浦地区では、ことし7月下旬、中国を拠点に不動産投資を展開する企業グループの現地法人が約7万7000平方メートルの土地を買収しました。グループオーナーが地元紙に語ったところによると、約100億円を投入し、500室、最大1500人を収容できる高級宿泊施設を中心とする大規模リゾートを開発、中国本土やマカオに住む富裕層や中間層を対象に、平成30年3月ごろをめどに、約100室を先行開業する方針だといいます。
 また、札幌市の中国系不動産会社が平成25年3月、小樽市で3100平方メートルの高台を購入し、約30億円を投じて、地上9階、地下2階の高級リゾートマンションを建設、分譲することを発表しましたが、3年たった今、工事はおろか、買収した土地は荒れ、開発は頓挫したままという事態も発生しています。
 和歌山県においても、白浜町の温泉つき別荘エリアで中国人が購入した物件もあるとのことです。17道県で水資源保全条例が制定されていますが、水資源保護の観点から、外国資本などによる買収を監視するため、水源地に絡む土地取引について自治体への事前の届け出などを義務づける条例とのことですが、外国資本による森林や水源地の売買については、実質把握が難しいのが実情であります。
 和歌山県も「水の国、わかやま。」キャンペーンができるくらいのさまざまな水資源が豊かなところであります。「和歌山」や「紀州」の商標を勝手に使用している国もあるくらいで、ますます海外からも魅力的な水源地として注目が集まっている和歌山県ではないかと思います。
 そこで質問に入りますが、1つ目、森林を多く有する本県ではありますが、外国人や外国資本による本県の森林の買収の実態はいかがでしょうか、農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 外国人や外国資本による本県の森林の買収実態についてでございますが、森林の土地を新たに取得した者は、一定の面積以上で、かつ売買等による取得をした場合には、国土利用計画法の定めにより、該当市町村の土地利用担当部局に対して、同法に基づく土地売買等の契約の届け出が義務づけられています。
 また、平成24年4月から施行された改正森林法により、国土利用計画法に定める基準に当てはまらない森林の取得についても、該当市町村の林務担当部局に対して、森林の土地の所有者届の提出が義務づけられました。
 これにより、森林の土地を新たに取得した場合は、個人、法人を問わず、また規模や取得方法にかかわらず、該当市町村への届け出が義務づけられることとなっています。これらの情報は県にも報告される仕組みとなっていますが、これまでのところ、議員お尋ねの外国人、外国資本による森林の買収についての該当案件はございません。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 外国人や外国資本が水資源に絡む土地を取得した後に乱開発して、水源での過剰取水や水質汚濁を招かぬよう、生活に必要な水の安全管理上からも、和歌山県においては安全・安心な水源地保全対策が欠かせません。
 平成25年1月15日に、知事は、「水源を守るための『無許可伐採』・『無届伐採』の防止に向けた森林関係法令の周知徹底並びに伐採監視強化について」と記者発表をされていますが、さきに述べたような、外国人や外国資本が北海道などの森林を買収する事案が幾つも見られる昨今、外国からターゲットにされる可能性が大きい和歌山県の水源を守るための森林保全対策について、改めて仁坂知事の御見解をお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員の御心配は、全国各地で外国資本による森林買収がふえている中で、本県の対策は大丈夫か、本県だけが狙い撃ちにされないかということだろうというふうに思います。
 問題は、むちゃくちゃな伐採をして水源がかれてしまうようなことがあってはいけないもんですから、それは外国の資本だとやるんじゃないかというようなことを疑われてるからということではないかと思います。
 実は、むちゃをやるのは外国資本だけじゃなくて日本資本もありまして、露骨に言うと地元の関係者もそういうことをやったところもあります。したがって、土地を買収する目的として、むちゃをやりたいという意図があるとすると、和歌山で土地を買収したら損だというふうに思わせるような制度をつくっておくということが一番大事だというふうに思います。
 そういう意味で、水源保全のためには、外国資本による森林買収を直接規制して、何か「外国人は」と言って差別的なことをするよりは、適正な森林管理をちゃんとやって、内外を問わず、そういうむちゃをやりたい人は和歌山にあんまり寄りつきたくないなというふうに思わしとくのが一番いいということではないかと思います。これは、方法論的にはそうだと思うんですが、実際は大変でございます。
 国としましても、平成24年4月から施行された改正森林法によって無届け伐採に対する規制が強化されています。県独自では、さっき御指摘ございましたけれども、平成25年1月から、全ての保安林並びに1ヘクタール以上の普通林の伐採現場に伐採許可証等の旗の掲示を義務づけるということで、まず何やっとるかってすぐわかるということにし、それによって違法伐採等の防止に努めるとともに、あわせて、伐採現場の定期的な確認と違法伐採抑止を目的にして、県職員あるいは市町村の人たち、そういう方々を動員して、森林巡視の強化を図っているところでございます。
 現在のところ、本県での外国資本による森林買収というのは確認されていないんですけれども、そういうことを──むちゃをやりたいという目的でもって森林を買いたいという人がその気にならないように、先ほど申しましたような規制について遺漏がないかどうか、常にちゃんと心がけていきたいと、そんなふうに思っております。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 お答えいただきました。
 北海道の小樽市の高台でのリゾートマンション計画のように、土地購入の後、何年もほったらかしにして土地を荒れ放題にするケースというのは、これ少なくないんではないかなと思います。これも環境破壊につながるゆゆしき話でありまして、外国人や外国資本による土地購入後の放置物件についても、絶えず監視の目を行き届かせていただきたいと思います。
 決して好調とは言えない不動産市場や、人手も買い手もなく困っている土地・山林所有者に、外国人や外国資本が甘い話を仕掛けてくることもよくあると思います。特に、特定の国の外国資本が将来的な何らかの意図のもとに、近郊に複数の土地を購入するようなことも可能性としてあると思います。日本企業による開発が頓挫したり破産したりして放置されている土地なども当然ターゲットになります。
 さらに、取得した土地から地下水をくみ上げて、水脈を探し当てて自由に水を確保することだってあると思います。森林、地域政策、環境と多岐にわたる行政にかかわる案件だと思いますので、下流域に位置する市町村や田畑が荒廃することがないよう、また、和歌山県の天与の美しい自然環境が破壊されないよう、ぜひ全庁的な対応をお願いいたしまして、要望とさせていただきます。
 2点目に、和歌山県工業技術センターの活用についてであります。
 去る10月25日から26日に鹿児島県鹿屋市へ行って、鹿児島県大隅加工技術研究センター、当センター発の唐芋レアケーキが好評のフェスティバロの製造工場、大型でん粉プラント施設の鹿児島きもつき農業協同組合西南澱粉工場、それに、こうじ菌の発酵テーマパーク、麹蔵河内GENを視察してまいりました。
 ちなみに、フェスティバロの唐芋レアケーキ「ラブリー」は、空港でのキャビンアテンダントの口コミと、楽天のスイートポテトランキングで人気第1位になるなど、ネット戦略に加えてテレビでも取り上げられ、人気が爆発しました。厳選されたサツマイモを原料に加工製造された後、冷凍して各地へ発送され、解凍していただくのですが、甘さ控え目の誰でも食べやすいスイーツです。知る人ぞ知る鹿児島県を代表する加工品のブランドと言えます。特産農産物を使ったスイーツづくりは、良質なフルーツが豊富な本県にも大いに参考になるのではないかと感じました。
 さて、大隅加工技術研究センターでは、食品の一次加工について調査してまいりました。
 鹿児島県は、平成26年の農業生産額が4263億円で全国第3位、最も、畜産の占める割合が63.6%と高くなっています。素材提供型の農業から一次加工等による高付加価値型農業の展開を図るため、新たな加工・流通技術の研究開発を行うとともに、加工事業者等による加工品の試作、研究開発や販路拡大等を支援する施設として、平成27年4月に開設されました。
 整備に至った背景の1つに、国内の食用農水産物の最終消費額は生産・出荷段階時の約7倍に増加すると言われていて、このうちの約8割が、食の簡便化志向や外部化の進展を反映し、加工品と外食となっているということです。すなわち、7倍の価値が地元におりているということであります。だから、生産現場に近いところにセンターをつくって、地元関係者を育成、養成しようということで建設されたんだと、センターの方は言っておられました。
 鹿児島県は、「攻めの農業」プランの中に、「付加価値向上への取組強化」として、大隅加工技術研究センターを拠点とした食品関連産業の振興と、農業者等が農業生産及びその加工または販売を一体的に行う6次産業化の取り組みを支援しています。加工によって、重量がある青果物で出荷するよりも輸送コストを圧縮できます。
 当センターでは、企業や大学等との共同研究を推進し、加工技術、殺菌技術等といった研究開発だけでなく、今の時代、欠かせない要素である流通貯蔵技術の研究開発も行っており、加工ライン実験施設、加工開発実験施設、そして、企画・支援施設をそれぞれ開放しています。このような施設が本県にもあれば、もっと特産資源の果実類や野菜類を活用した加工食品で全国展開できるのにと感じた次第です。
 和歌山県に目を転じますと、和歌山県工業技術センターの食品産業部は今まで2階にあって、せっかくたくさんの加工機器があっても、部屋が狭過ぎて使い勝手がよくなかったので、今年度からの事業で1階のほうへ移転いただいて、より広いところで研究開発のための実験もできるよう御尽力いただいていると伺っております。
 そこで質問ですが、1つ目、この食品産業部のスペースを食品関連産業の方々に活用いただくとともに、企業等の利用状況次第で、商工と農林の垣根を越えて、農業者、農業生産法人等の農産物の一次加工の実験、開発研究にも今後活用いただきたいと思いますが、商工観光労働部長、いかがですか。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 工業技術センターは、これまで、県内産業の中核的研究機関として、産業の振興及び県内企業の技術力、研究開発力の向上のための総合的な支援を実施してまいりました。そういった中、当センターは、本年創立100周年を迎え、より多くの皆さんに御利用いただくために、研究開放型の施設であるオープンラボ構想を新たに推進し、最新の分析・評価機器の導入や技術展示場の整備等を行っているところです。
 議員御質問の食品産業部の食品加工室についても、オープンラボの1つであるフードプロセッシングラボとして、多くの食品関連産業に携わる皆さん方に御利用いただくとともに、機能性の向上を図るため、内閣府の地方創生拠点整備交付金を活用するべく、本議会の議案として審議をお願いしております。
 農業者、農業生産法人などの皆さん方にも、農産物の一次加工の試作や実験、開発研究として既に御利用いただいているところであり、今後も食品加工室を含めた施設の充実を図り、より一層、工業技術センターを御利用いただきたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 次に、1階へ移転する食品産業部のフロアですが、原材料や試作品などの搬出入、また水回りが充実した実験・試作スペース、あるいは貯蔵、保存など流通技術の研究を含めた各種食品加工にかかわる必要機器の配置など、従来とは違った工夫、配慮を期待するものです。
 食品産業部における移転計画について、商工観光労働部長から御説明いただきます。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 現在、工業技術センターにおいて、研究開発の一層の効率化を図るため、実証棟内の施設の再配置計画を進めております。
 議員御質問の食品産業部における移転計画については、試作のための実験スペースを現在の3倍に拡大するとともに、食品加工機等を最適に配置する計画としております。これにより、基礎的な実験から試作品開発まで一貫して実施できるような環境が整うことになり、今後、食品関連産業に携わる方々を初め、より多くの皆さん方に研究開発に御利用いただけるものと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 若干繰り返しになりますが、食品試作実験室が従来より大きなスペースを確保することによって、使いやすさは大きく向上しますし、試作作業に当たって、たくさんのお水を使用できる洗い場、流し場は必要欠くべからざるものであります。また、実験から試作までが同じ場所で流れるように実施できるようになれば、利用者の機能性は随分改善されるものと期待しています。
 それに、加工だけでなく、加工食品がその鮮度とおいしさを保ったまま消費者に届くための貯蔵・保存技術研究も大変重要な要素になります。どうか、片っ端から予算を確保いただいて、本県の食品加工分野の拡大、発展につなげていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 3点目行きます。和歌山県の教育について。
 1つ目、がん教育についてであります。
 平成25年12月28日に施行された議員提案条例、和歌山県がん対策推進条例ですが、はや3年が経過しようとしています。その中の第9条に、教育関係者の役割がうたわれています。先生が子供たちに健康と命の大切さを訴えたり、がん予防のため規則正しい生活を心がけるよう呼びかけることも大切でしょう。そのために、がん体験者の話や医療者側の話を聞いたりすることも必要かと思います。
 2006年成立のがん対策基本法に基づいて国が定めるがん対策推進基本計画(2012年から16年度)には、がん教育指針の検討と実施が盛り込まれました。文部科学省の検討会が2015年3月に出した報告書では、がん教育を健康教育の一環とし、具体的な教育内容として、がんの要因と経過、予防、早期発見・検診、治療法、患者の理解と共生などを挙げています。
 がん教育の本格的実施に向けて、文部科学省の全国でのモデル事業が2014年度から始まっていますが、和歌山県では、小学校、中学校、そして高等学校と、それぞれのがん教育の取り組みはいかがでしょうか、教育長にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 現在、がんに関する教育につきましては、学習指導要領に基づき、小学校、中学校、高等学校において、児童生徒の発達段階に応じて、健康教育の中で指導してございます。
 また、がんに関する教育につきましては、文部科学省が設置した「がん教育」の在り方に関する検討会において、日本人の死亡原因の1位であるがんについての理解や患者に対する正しい認識を深める教育が不十分であることから、健康教育の中でさらに重視することなどが検討されたところです。
 このようなことから、県教育委員会では、がんに関する教育を通して、学齢期における望ましい生活習慣の確立など健康づくりの基礎的素養を培うため、本年度、文部科学省の事業を活用し、専門医を含めたがん教育研究会において、小・中・高等学校の指導資料を作成しているところです。
 今後、こうした指導資料等を活用し、小学校では、保健や道徳において、健康と命の大切さを育むこと、中学校、高等学校では、保健体育の授業を中心として、科学的根拠に基づいたがんの予防や検診による早期発見、患者に対する正しい認識を持つことができるよう取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目に、学校でのいじめについてであります。
 相変わらず、学校でのいじめ事案はマスコミをにぎわしております。最近では、東京電力福島第1原発事故で福島県から自主避難している新潟市立小4年の男子児童が、同級生だけでなく担任の男性教諭からも名前に「菌」をつけて呼ばれ、11月から登校できなくなっています。
 さて、2014年度の児童生徒1000人当たりの都道府県別いじめ認知件数で、和歌山県は、京都府、宮城、宮崎、千葉、山形各府県に次いで第6位になっています。それだけ学校当局も、学校現場で日ごろ目配りされている成果だと言えるかもしれません。
 いじめ防止対策推進法が、平成23年10月に大津市の中2男子がいじめを苦に自殺したのを契機に、議員立法で制定され、平成25年9月に施行されて3年経過、それを受けて、本県でも和歌山県いじめ防止基本方針が平成26年3月に策定されましたが、和歌山県の基本方針策定以降のいじめの現状について、教育長にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県の公立小・中・高等学校、特別支援学校におけるいじめの認知件数は、いじめ防止基本方針策定前の平成25年度は2635件、策定後の平成26年度は3692件、平成27年度は速報値でございますが、2953件となっており、増加傾向にあります。こうしたいじめの認知件数の増加は、同方針の策定を受け、各学校でより丁寧に児童生徒の人間関係や行動を注視し、早期発見に努めた結果であると考えてございます。
 また、いじめの解消率は、同方針策定前の平成25年度は約95%、策定後の平成26年度及び27年度は約98%と増加し、平成27年度において、解消率は全国で2位となっております。こうした結果は、各学校がいじめにつながるささいな言動や行動も見逃さず、いじめを早期に発見し、保護者や関係機関との連携を密にし、迅速にきめ細かな指導を行った成果であると考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 ツイッター、フェイスブック、それに、LINEなどSNSでのいじめも、写真や実名を載せたり、集団で特定の個人を攻撃したりして、周囲への反響も大きな、露骨ないじめ、あるいは実に陰湿ないじめになっています。本県におけるSNSでのいじめの現状と対策について、教育長にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) パソコンや携帯電話を用いて誹謗中傷などのいじめを受けた件数は、平成27年度の調査において、公立小・中・高等学校、特別支援学校で92件確認されており、近年増加傾向にあります。
 こうしたことから、青少年をネットいじめなどから守るため、青少年・男女共同参画課と連携してネットパトロールを行い、インターネット上の誹謗中傷や個人情報の流出をいち早く発見し、学校での指導につなげています。
 SNS等を介したいじめが発生した場合、学校は警察等の関係機関と連携して対応するとともに、通信会社やサイト運営会社等にデジタルデータの削除を依頼することも含めて、早期に対応するよう指導しているところです。これまでも実施しております生徒指導や情報モラルの担当者を対象とした研修で、今後もSNS等によるいじめに対応する内容を拡充させ、未然防止に努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 次に、いじめ防止対策推進法制定後も、背景にいじめがあったのではないかと思われる児童生徒の自殺が後を絶ちません。全国で平成25年には2件、26年には10件、27年には9件、そして、ことしも9月までに4件ありました。特に中高生の自殺がふえていて、中学生は4年連続増加しています。いじめによる自殺に至らないための、いじめを早期に発見することや、担当教師が1人で抱え込まずに、他の教師や保護者と情報を共有することも大切かと思います。
 本県における学校側のいじめの実態の把握と対応について、教育長に伺います。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) いじめの早期発見、早期対応につきましては、全教職員がいじめ問題対応マニュアルや「子どもの安全・安心サポートマニュアル 見逃さないで!子どものSOS」に基づきいじめアンケートを実施するなど、各学校で子供の小さな変化を見逃さないよう徹底して取り組み、その実態把握に努めております。
 また、いじめを認知した場合は、担当の教員が1人で抱え込むことなく、管理職や学年主任などが中心となり、学校全体で取り組んでいるところです。
 具体的には、被害及び加害児童生徒双方からの聞き取りにより事実関係を把握し、その後、再びいじめが起こらないよう指導してございます。あわせて保護者に報告するなど、いじめの真の解決に向け地道な取り組みを行っております。
 加えて、いじめ問題を解決できる学校、学級集団づくりも行ってございます。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーも活用するなどし、児童生徒が不安や悩みを相談しやすい環境づくりと支援の体制を充実させてございます。
 さらに、県では、学びの丘に24時間対応のいじめ相談専用電話を開設し、学校と連携して問題の解消に取り組んでいるところでございます。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 昨今、個人が個人を攻撃するよりも、集団で個人をいじめる事案が圧倒的に多いのではないかなと思います。先生方も児童生徒の発するシグナルに敏感に反応して、ほかの先生方やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの方、さらに、保護者とのチーム体制でいじめ解消に当たっていただきたいと思います。
 犯罪行為が行われた場合の学校と警察との連携については、本県ではどのようになっていますか、教育長に伺います。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会と県警察本部は、児童生徒の非行防止、被害防止、健全育成を図るため、平成17年度より、学校と警察が連携して児童生徒の情報を共有する、きのくに学校警察相互連絡制度を設けてございます。いじめに伴う暴力行為など、学校と警察との連携が必要と認められる児童生徒の問題行動等に対しても、本制度に基づいて学校と警察署が相互に連絡をとり合い、情報共有することにより、適切に対応し、問題解決に当たっております。
 また、学校現場においては、退職された警察職員を学校支援サポーターとして配置し、児童生徒の問題行動等を指導するなど、未然防止に役立ててございます。
 今後とも、警察を初めとする各関係機関との連携協力の強化を図り、問題行動の未然防止や早期発見、早期対応、適切な事後対応につなげ、児童生徒の健全育成に努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 3点目に、不登校についてであります。
 文部科学省が10月27日に公表した問題行動調査の結果では、2014年度には全国で小学校の不登校が過去最多になりました。小学校での暴力行為は2015年度で1万7137件となり、2006年度の4.5倍になっています。小学校1・2年生の暴力行為の増加も顕著で、前年の1.8倍に上っています。学校でのいじめ、暴力だけでなく、最近では家庭環境による不登校もふえていて、学校だけでの対応が難しいケースも出てきていると伺います。
 そこで、本県の不登校の現状と不登校に至る要因について、教育長にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本年10月、文部科学省から公表された平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果の速報値では、本県の1000人当たりの不登校児童生徒数は、小学校で前年度5.3人から5.2人、中学校で前年度32.1人から28.5人、高等学校で前年度17.2人から16.4人に減少してございます。
 また、本年7月の「和歌山県不登校対策に係る有識者会議のまとめ」では、不登校に至る主な要因として、学校における人間関係やいじめ、友人関係をめぐる問題、学業の不振、進路に係る不安、遊び、非行、無気力、親子関係をめぐる問題など、多岐にわたってございます。
 一人一人の児童生徒の状況を見ると、その背景も多様であり、個々の要因が複雑に絡み合うことが多くなっているため、問題に対応していくためには、その背景や要因をしっかり捉えることが極めて大切であると考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 家庭によっては、学校で子供に何かあると、すぐに親が学校に行かせないようにしたり、家庭内暴力等虐待もあって、子供が学校に行くに行けないような場合もあると伺っております。不登校の要因は、学校内外でいろんな要素があると思いますので、先生方も大変ですが、家庭訪問等、小まめなケアをお願いしたいと思います。
 さて、子供たちが不登校にならないように、集団生活に必要な社会性や人間関係づくりの学びなども必要だと思いますが、本県での不登校対策について教育長にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 不登校の対策といたしましては、未然防止、早期発見、早期対応が極めて重要であります。
 具体的には、「累計5日以上欠席した児童生徒の個人状況・学校対応状況シート」を活用して、欠席しがちな児童生徒一人一人について、個々に応じた対応を行ってございます。
 また、議員御指摘の社会性や人間関係づくりにつきましては、「みんな生き生き!学級集団づくり」や「不登校を生まない集団づくり」のリーフレットを活用し、各学校では児童生徒にとって楽しい学級づくりや魅力ある学校づくりに取り組んでおります。
 不登校に至った場合は、学校への復帰支援のため、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等を活用したチームによる組織的な支援体制の整備を行い、個々の児童生徒に応じた支援計画を立て、対応してございます。
 さらに、和歌山県不登校対策に係る有識者会議のまとめを受け、現在、不登校に関する対応マニュアルを作成中でございます。
 不登校の問題は、学校教育の根幹にかかわる最重要課題であり、これまでの取り組みをさらに充実させるとともに、今後も市町村教育委員会、学校、家庭、地域、関係機関と一体となって全力で取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 4点目に、脱ゆとり教育についてであります。
 いわゆるゆとり教育は、受験戦争の過熱による詰め込み教育への反省から1970年代に始まり、学校週5日制導入で本格化しました。2002年スタートの学習指導要領では、教育内容が3割減少し、それが学力低下を招いたとされ、2008年には現行指導要領に改訂されて、教育内容がふえて今に至っています。
 ゆとり教育の中で、「みずから学ぶ意欲や思考力などを学力の基本とする」とか「『ゆとり』の中で『生きる力』をはぐくむ」とありましたが、先生方も今までの教え方を変えざるを得ず、戸惑いがあったでしょうし、子供たちも、逆に教育内容が減ったからといって、みずから学ぶ意欲と思考力がその分、身についたとは限らないし、逆に自主性を求められ、課題を与えられることのほうが多くなって、授業自体がわかりにくくなったんではないかと思います。
 その際、導入された総合的な学習の時間が、有効的に授業として活用されたのかも実際疑問です。要は、子供たちに学習をやる気にさせるかどうかが大切なのであって、ゆとりよりも、むしろ気の緩みを子供たちに許してしまったのではないかと思ってしまいます。そこで、学力も必然的に低下したのではないかと思います。
 ゆとり教育で言われた能動的学習とは、まさに子供たちがやる気を持って学習することだと思います。学習の量では片づけられない問題だと思います。ゆとり教育は脱していいと私は思います。
 そこで、ゆとり教育の功罪について、教育長の御見解を伺います。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 文部科学省は、平成10年に改訂された学習指導要領において、教育内容の厳選、授業時数の縮減を行い、「『ゆとり』の中で『生きる力』をはぐくむ」ことを打ち出しました。いわゆるゆとり教育については、子供の自主性を尊重する余り、結果として基礎学力が十分に身につかなかったり、学ぶ意欲の低下につながったりしたというふうに私も考えてございます。
 一方、知・徳・体のバランスのとれた生きる力を育てようとする理念や考え方については、現在の学習指導要領にも引き継がれており、これからの時代に求められる力として重要な柱であると考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 ゆとり教育について考えたとき、教育には、知識と考える力、このバランスのとり方が肝要だと思いましたが、さて、これから道徳の教科化が小学校で2018年度、中学で2019年度に実施され、2020年からいよいよ次期学習指導要領での教育が開始されます。学習内容は削減せず、対話を通じて知識の理解を深めるアクティブラーニングを全教科に取り入れ、英語教育を小学3年生から前倒しするといった改訂案が出ています。
 文部科学大臣も脱ゆとり教育を宣言する中、本県では、ことし行われた全国学力テストの成績が小中学校ともにほぼ平均を下回り、国語の2教科で全国最下位となって、依然低迷しております。
 そのような状況の中、道徳が教科化される目的と今後の和歌山県教育の目指す方向について、教育長の御所見を伺います。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 道徳教育につきましては、本県独自に作成した「心のとびら」と「希望へのかけはし」を活用し、規範意識や思いやりの心などを育む取り組みを充実しているところでございます。
 今回の学習指導要領の改訂により、「特別の教科 道徳」として教科化され、これまでどおり、年間35時間の授業を実施します。いじめ問題への対応などの充実を図るとともに、子供たちがこれまで以上に課題について深く考え、議論し、よりよく生きるための基盤となる道徳性を育む授業を充実することを目的としてございます。
 本県の教育につきましては、確かな学力、豊かな心、健やかな体の知・徳・体を基盤とした、人間としての総合力を備えた人材の育成を目指してございます。そのため、現在策定を進めてございます新長期総合計画におきましても、児童生徒が主体的に学ぶ授業や補充学習の充実、道徳教育、ふるさと教育の推進、計画的な体力づくりなどを掲げることを検討してございます。
 とりわけ、学力は人間としての総合力の土台であり、全国学力・学習状況調査で明らかになった課題を改善できるように、市町村教育委員会とともに、学校、家庭、地域と一体となって、総力を挙げて取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 ところで、主に中学校、高校での部活動ですが、学習指導要領で学校教育の一環に位置づけられています。部活動は、熱心にすればするほど体力、気力も時間も使いますが、気の持ちようで、同時に生徒の学習意欲の向上や責任感、それに社会性を育むものであると思います。部活動で楽しく心身を鍛えられますし、限られた時間の中で勉強にも励めば、大変めり張りもついて、相乗効果をもたらすものだと思います。
 最近、行き過ぎた行動が教員、生徒双方の負担になると問題指摘されている面もありますが、部活動は逆に脱ゆとり教育にもつながる、何事にもやる気、意欲を向上させるものだと私は思います。今後とも文武両道の総合的な人間力を高める教育、よろしくお願いいたします。
 4点目へ行きます。伏虎中学校跡地周辺の今後の交通対策についてであります。
 和歌山県立医科大学薬学部、それに新しい和歌山市民会館が伏虎中学校跡地に建設されるということで、まちににぎわいができるのはありがたいことですが、至近に和歌山市の行政の核たる和歌山市役所と和歌山市消防局、県下最大のホテル・ダイワロイネットホテル和歌山、和歌山城公園、それに、背後にビジネス街等が広がるところで、さまざまな業者が出入りする薬学部、また、各種イベントで一度に1000人以上が押し寄せることが容易に推測される新市民会館の2つが建設されて、稼働率が上がれば上がるほど周辺の交通渋滞が大変懸念されるところです。
 2つの施設はともに既設の市営あるいは民間駐車場で賄うということでありますし、また、今でも朝夕のラッシュ時には伏虎中学校、すなわち新しい市民会館用地に隣接するけやき大通りは公園前交差点付近まで車が渋滞するところでありますが、2つの施設の完成後の交通の動線について大変憂慮しております。
 伏虎中学校跡地周辺というのは、県庁所在地・和歌山市のまさに心臓部分に位置しておりますので、本県の行政や経済活動を停滞させるような悪い影響が出ないよう、県と市が十分な連携をとって、県警察の協力のもと、円滑な交通対策を遂行いただきますよう、切に要望させていただきたいと思います。
 これで、以上、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
○川畑哲哉君 皆様、おはようございます。
 議長よりお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まずは、アルゼンチン・カナダ県人会訪問の御報告をさせていただきます。
 ことし10月21日より10月27日まで、服部一副議長、谷洋一議員、藤山将材議員、濱口太史議員、そして私の5名の議員は、下宏副知事とともにアルゼンチン及びカナダを訪問してまいりました。
 まずは、10月23日、現地で中島紀生公益財団法人和歌山県国際交流協会事務局長と合流し、在アルゼンチン和歌山県人会50周年記念式典に出席をいたしました。約150名の出席者の中で式典は始まり、日亜両国国歌斉唱、県人会先没者への黙祷の後、里信百合子在アルゼンチン和歌山県人会会長御挨拶、下副知事、服部副議長ほかよりの祝辞、来賓紹介、和歌山県移住者子弟研修生OB代表挨拶があり、その後、100歳長寿者記念品贈呈、長寿者記念品贈呈が行われ、次に、在アルゼンチン県人会に対し、県、県議会、県議会南北友好議連、県国際交流協会から記念品を贈呈し、在アルゼンチン和歌山県人会からは、50周年記念式典プレートの贈呈を受けました。結びに、参加者全員による記念撮影を行い、式典は終了しました。
 その後、懇親会に移り、各テーブルに訪問団の人員が分かれて座り、それぞれのテーブルにおきまして交流を深めました。交流の中では、移民の際の御苦労話や現在のお仕事、ふるさとや和歌山の思い出話、県人会の運営が今後2世、3世が中心となっていくことへの不安などをお伺いするほか、県人会の方からは、現在のふるさとのまちの状況や、今も和歌山にいる和歌山の知人の近況を尋ねられました。
 県人会の方には、多くの議員や県庁職員が地球の裏側のアルゼンチンまで自分たちのことを忘れずに訪ねてきてくれたことを大いに喜んでいただいたことや、遠く離れてもなおふるさと和歌山を思っていただいていることに、私たちは深い感動を覚え、式典への参加は大変有意義なものでございました。
 次の日、10月24日、在亜日本人会附属日本語教習所として発足しましたブエノスアイレス日亜学院を視察いたしました。小学生たちの心温まる歓迎のスピーチと歌で、おもてなし精神あふれる出迎えを受けました。三井デリア教育学長から学校の概要説明を受けましたところ、2016年度在籍生徒数は、幼稚園168名、小学部307名、中高等部128名、土曜日日本語コースは幼稚園、小学校、中学校合わせて201名、成人コース550名とのことです。生徒には、掃除、配膳などを当番制として指導されています。
 現在の幼稚園から中高等部までの日系、非日系の割合は、70%が非日系、30%が日系で、日系が少ない理由として、月謝が払えない、近所に住んでいないために通えない、日本語より英語のほうが大切だと思われているお考えのおうちもあるとのことでした。
 その後、学校内や幼・小・中・高等部の授業風景を視察いたしました。また、学校内には秋篠宮文庫があり、1998年、日亜修好100周年の際に秋篠宮殿下が来られて、次の年に秋篠宮のお名前をいただかれた文庫が設置され、多くの日本の書籍が所蔵されていました。
 また、在アルゼンチン日本国大使館も訪問いたしました。福嶌教輝特命全権大使より、アルゼンチンの現況について細やかな御説明をしていただきました。
 アルゼンチンの面積は日本の7.5倍、278万平方キロメートルで世界第8位。人口は約4342万人。GDPは中南米地域ではブラジル、メキシコに次いで第3位、世界では第21位。これは、サウジアラビアやスイスと同等の経済規模でございます。G20のメンバーでもあり、中南米ではブラジル、メキシコ、アルゼンチンのみ参加をされています。
 穀物の大豆は、粒では世界第3位、油は第1位、粕でも第1位でございます。これからの食料事情にとって世界的に重要な国であり、日本の商社もたくさん進出しております。30年後、40年後の世界の人口が70億や100億人を超えるようであれば、世界はアルゼンチンの食料に頼らざるを得ない状況になります。世界が元気であるためには、この国が元気でなければなりません。アルゼンチンが安定して発展していくことが、世界にとっても大事なことであるということでございます。
 また、メード・イン・ジャパンに高い信頼が寄せられています。日本進出企業の数は、ブラジルで700社、メキシコで1000社、アルゼンチンにはまだ54社しか進出しておりませんが、日系人が税理士や弁護士として社会的信用を得ていることや所得水準が高いこと、トヨタ、ホンダ、日産などの自動車産業がふえていることなどから、今後ますます日本企業が進出していくと考えられます。
 同時に、日本食への関心も高まっています。20年前、おすし屋は4軒くらいだったのが、現在300軒くらいあるとのことです。福嶌特命全権大使より、「和歌山のおいしい梅干しや梅酒、食材など、輸入に関しては大使館やJICAもお手伝いするので、さまざまな和歌山の企業の方にアルゼンチン、中南米はおもしろい可能性を秘めているとお伝えください」とのことでしたので、この場をおかりしてお伝え申し上げます。
 県人会の方からは、アルゼンチンではとにかくコーヒーショップはもうかる、おいしいラーメン屋さんやカレー屋さんもおもしろいかもしれないとのことでした。将来、コーヒーショップを開くのが夢である私にとりましても耳寄りな情報でございましたが、いずれにしましても、アルゼンチンの大いなる可能性を物語るお話でございました。
 さて、アルゼンチンを出国後、チリを経由してカナダはトロントへ入りました。10月25日のことです。まずは、トロント総領事館を表敬訪問し、中山泰則在トロント日本国総領事及びトロント総領事首席領事より、カナダの現況について御説明をしていただきました。
 総面積は998万4670平方キロメートルで日本の27倍、ロシアに次いで世界第2位の国土で、10州と3つの準州で構成されています。人口は約3554万人。トロントはオンタリオ州にあり、人口は606万人で、カナダ最大の都市でございます。日系人は約5万人。公用語は英語とフランス語の2つでございます。ちなみに、カナダ人のほとんどはアメリカとの国境に住んでいらっしゃいます。
 カナダは、原油、天然ガス、ウラン、銅、亜鉛、タングステンなど、豊富な天然資源を有しており、日本にとってウランの輸入シェアは33%を占めています。
 オンタリオ州の経済は、GDP7471億カナダドルで、カナダ全体の約4割を占め、北米の大市場に接していることから、アメリカへの輸出に大きく依存しています。その中で、自動車産業はオンタリオ州にとって重要な産業でございます。
 ホンダ、トヨタ、日野各社が生産工場を置くほか、これに付随する多くの関連部品工場が所在し、雇用の面でも州経済を支えています。2015年、トヨタが、GM、フォード、フィアット・クライスラー・オートモービルズのデトロイト3以外のメーカーでカナダ最大の自動車生産メーカーとなりました。
 オンタリオ州にとって、日本は第6位の輸出相手国であり、第4位の輸入相手国となります。また、通訳の話によりますと、オンタリオ州の共働き夫婦の平均手取りは月に58万円で、物を買うと消費税5%に州税8%の計13%が外税として加算されます。ただし、生まれてから亡くなるまでの医療費は無料、託児所も無料、待機児童はなしということでございました。
 日系カナダ人は約1万8000人。日系人の歴史は古く、1877年、日本からカナダに来た最初の日本人は九州出身の永野萬蔵さん、次に有名なのは工野儀兵衛さん。1888年、和歌山県日高郡の三尾村から単身カナダに渡航し、バンクーバーの南方にあるフレーザー川河口にあるスティーブストンのサケ漁に着眼しました。1900年くらいに日系移民はピークを迎えます。西海岸の漁業従事者の6割から7割は三尾村出身の方で、当時、現地に150名から成る加奈陀三尾村人会が結成されました。
 1941年、真珠湾攻撃が始まったとき、カナダ政府は日系人の全財産を没収し、4年間強制収容をし、没収した漁船、自動車、家屋、全ての財産を二束三文で売り飛ばしました。戦後、日系人だと知られると仕事はもらえず、家も貸してもらえないという差別を受け、日系人だとばれるといろいろな仕打ちを受けるので、日系人であることを隠して住んでいる人が多かったとのことです。また、日系人で固まって住むと必ずいじめられるので、ばらばらに住み、言葉も日本語をなるべく話さないようにと親から言われたそうです。
 戦後になり、当時、イタリアやドイツなど数十国の多くの移民がいたにもかかわらず、収容所に入れられたのは日系人だけで、これは差別ではなかったのかとの運動が起き、1988年にカナダ政府と交渉して謝罪と補償をかち取ったのでした。
 さて、その後、非営利慈善団体モミジ・ヘルスケア・ソサエティが運営する日系カナダ人のシニアを対象としたいわゆる居住型老人ホーム・もみじ会館の視察をいたしました。設立当時の目標は、戦後、カナダ東部、特にトロント地域へ移り住んだ日系1世の人々を支援することであったそうです。
 会館内の居住施設を視察した後、シニアの方々と懇談を行いました。ふるさと日本への思いは今もなお衰えることなく心に刻まれていて、私たちカナダ訪問団との懇談で、ふるさと日本の生の声を聞くことができ、大変喜んでいただけたことと思います。
 最後の日程は、東部カナダ和歌山県人会・後出吉之会長ほか3名の役員の方々と懇談でございました。
 東部カナダ和歌山県人会は、カナダ東部地域に移住された本県出身者が故郷である和歌山県との連絡を密にし、互いに助け合い、親睦を図るため、1976年に創立されました。会員数は235名で、親睦会、ボーリング大会、ゴルフ大会、ピクニック、敬老会、カラオケ大会の実施、老人ホーム訪問等を主な活動にされています。世代交代が進み、会員のほとんどが2世で構成されているとのことです。
 懇談会の会場となりました日系文化会館は、戦後、子供に自分たちのルーツを伝える機会がなくなってきた中、何とか集まって日系の文化を継承できる場所はないだろうか、日本語で話し合いができる場所はないだろうかということを考え、建設の話が持ち上がり、日系人が持っていたなけなしの土地、家を抵当に入れてつくったお金で1963年に完成したそうです。
 この日系文化会館は、カナダの日系人が誇りを感じている施設でございますが、現在では、日本文化に触れてもらうために、文楽、落語会、クラシックコンサート、日本の歌手グループによるコンサートなどが開催され、日系人だけでなく多くのカナダ人も見に来られているとのことでした。
 カナダには、昔32あった県人会が今は26となり、各県人会とも高齢化で、合併する話も出てきているそうです。敬老会を主催しても、主催者の役員が76歳や77歳ということが現状であるとか。私たちは、ともかく今後も頑張っていただいて和歌山県人会を維持していただきたいというお願いを申し上げてまいりました。
 このたびのアルゼンチン、カナダ訪問の全日程を終え、振り返って思いますことは、ふるさとから遠く離れた異国の地で幾多の困難を乗り越えてこられた方々、またその子弟の方々と大いに交流することができ、移民されたこれまでの御努力並びに現在皆様が各界各分野で御活躍され、各社会になくてはならない地位を確立しておられることに対し、尊敬の念を抱くとともに、不屈の精神と紀州人魂を感じました。
 一方で、両県人会とも、会員数の減少や会員の高齢化により会の維持に大変苦心をされていました。和歌山で生まれ育った1世の方々と和歌山をよく知らない2世、3世の方々とで、和歌山や和歌山県人会に対する温度差があるのは当然のことでございます。この温度差を埋めるためには、それぞれのつながりを深める工夫や努力をすること以外にないと私は考えます。
 既に本県では、日本及び和歌山県の文化、習慣を理解していただき、みずからのルーツを再認識していただくため、海外に移住した県人会の子弟を県内の一般家庭で受け入れる取り組みも行われています。
 しかし、1年に各国から1名から2名を2~3週間受け入れるだけでは、県人会を維持するための取り組みとしては十分とは言えません。県人会の子弟を県の国際交流員や国際交流協会スタッフとして雇用したり、本県から青年を派遣したりして、相互交流を一層促進させる必要があります。
 また、アルゼンチンなど、今後の発展や和歌山県内企業の進出を想定しますと、現地での政財界要人との強力なパイプ確立を目的とした県人会事務所への本県あるいは国際交流協会のスタッフ派遣ということも、ぜひ御検討いただきたいと思います。そして、県人会会員には、現地での日本語教室運営や通学の補助、技術研修制度の復活など、県人会会員であることの明確なメリットを担保することも必要なのかもしれません。
 いずれにしましても、アルゼンチン和歌山県人会・里信会長初め県人会の皆様、東部カナダ和歌山県人会・後出会長初め役員の皆様には、本当に温かくお出迎えをいただき、視察に御協力いただきましたことに改めて心から感謝申し上げますとともに、両県人会の今後ますますの御発展と県人会の皆様の御健康、御多幸を心から祈念し、今後とも、ふるさと和歌山県との友好に引き続き御尽力賜りますようお願い申し上げます。
 そして、事前の交渉や調査、ロストバゲージなどのトラブルを乗り越えながら、このたびの訪問の御段取りをいただきました職員の皆様にも心から感謝を申し上げます。
 私たちは、遠く離れていてもふるさと和歌山を思う県人会の方々のお気持ちに応えるべく、県勢のさらなる発展に尽くしていかなければならないと決意を新たにいたしました。
 以上をもちまして、アルゼンチン・カナダ県人会訪問の御報告とさせていただきます。
 次に、最先端技術について一般質問をさせていただきます。
 「シンギュラリティー」という言葉を御存じでしょうか。技術的特異点という意味であり、人工知能が人間の能力を超えたときに起こる事象ということだそうです。例えば、人工知能(AI)がチェスや将棋の世界チャンピオンだけではなく囲碁の世界チャンピオンを破ったとか、BMW社がレベル4の完全自動運転車を2021年までに市販すると発表したとか、シンガポールの商業地区ワンノースで、公道では世界初となる自動運転タクシーが登場したとか、第4次産業革命時代と呼ばれる時代が幕をあけています。
 昨年4月、首相官邸の屋上ヘリポートで発見されたのを契機に、「ドローン」という言葉が瞬く間にお茶の間にも広がりました。今やドローンは、さまざまな活用例が勘案されています。本県でも、被災地の調査用としてドローンを所有していますし、私の母校、県立那賀高等学校の放送部では、ドローンを活用したオリジナルムービー制作が好評を博し、各事業からひっきりなしに協力依頼を受けています。
 また、携帯事業者、福祉事業者、ドローン事業者が三位一体となった離島へのドローンを使った買い物代行の実証実験も先月無事成功したとのことです。漫画家・弘兼憲史先生によりますと、ドローンに精度の高い画像認識能力を搭載させることで、より精密な農薬散布を可能にしますし、渓流釣りの場面でも効率のよい釣りざおの投下を行うことができます。
 一方、宅配事業者や運送事業者は、MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)と呼ばれる自動運転を活用した移動サービスにチャレンジしています。ヤマト運輸社とディー・エヌ・エー社は、自動運転で宅配する「ロボネコヤマト」プロジェクトをことし7月より開始しました。
 AIやドローン、IoT、ロボットなど、私たちが子供のころに映画やアニメを見ながら思い描いた未来の形が、今いわゆる最先端技術と呼ばれる革新的技術により姿を見せつつあります。
 先月、北九州市の株式会社安川電機を訪問させていただきました。アイスクリームづくりロボットやおもちゃづくりロボットは社会見学で訪れる子供たちに大人気とのことでしたが、3D印刷から製作された巨大なモニュメントや7つに関節が曲がる世界初の7軸産業用ロボットの実演なども見せていただき、人間と共生するロボットがとてつもないスピードで進化していることがわかりました。
 また、新島雄先輩議員と訪れた沖縄科学技術大学院大学、通称OISTでは、世界50カ国から集まる教授、教員、学生による、まさに国家プロジェクトと呼ぶべき、住宅街まで備えた一大研究施設において、あらゆる最新の研究開発が行われています。そして、OIST独自にベンチャー企業とのマッチングも積極的に行い、2年前には高度なタンパク質の分析を受託する第1号のベンチャー企業を誕生させています。
 世界では、最先端技術開発にアメリカ、ドイツが先行し、中国は世界4大機械メーカーのドイツ・KUKA社を買収しました。まさに、第4次産業革命の大きな波がすぐそこまで迫ってきています。
 そこで、お尋ねいたします。
 私は、この最先端技術の利活用は、都会よりも地方のほうが効果は大きいと考えております。新しいビジネスモデルとしてはもちろん、行政サービスとしても本県の県勢発展に大きく寄与する分野でございます。
 県内の企業、事業者の皆様にも存分にアイデアを出していただき、経済成長につなげていただきたいと考えておりますが、県のお考えや取り組みはいかがでしょうか。商工観光労働部長の御答弁、よろしくお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 県では、県内企業の成長力を一層強化させるため、昨年10月に第2次和歌山県産業技術基本計画を策定いたしました。その中で、最先端技術分野であるIT・ソフトウェア・通信技術分野や航空・宇宙分野を戦略的分野として新たに位置づけるとともに、志高い創業者や新たな展開を目指す第二創業者を発掘、育成するための支援体制を構築いたしました。
 これらを具体化させるため、本年度から、IT等分野と航空・宇宙分野については、それぞれコーディネーターを配置し、ITの高度化等を目指す県内企業の支援や航空・宇宙分野への県内企業の参入を促進しています。また、ベンチャーキャピタルなどから構成されるわかやまスタートアップ創出支援チームを設置し、当該支援チームと創業者等のマッチングを実施いたしました。
 また、これまで全国展開を目指すような先駆けた新技術の開発を支援する先駆的産業技術研究開発支援事業により、延べ51社を支援してきたところであり、一部の県内企業では事業化に至っております。さらに、AIを活用したビジネスモデルの開発や航空産業参入のための研究開発といった最先端技術の開発を初めとする県内企業もあらわれてきております。
 また、ことし、県の工業技術センターにおいても、地方創生の交付金を活用して最先端機器等を導入し、将来的な新技術開発を支援するための体制も充実しているところです。
 県としましては、このような取り組みを継続し、県内企業のさらなる経済成長につなげるため、最先端技術の開発を支援してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 商工観光労働部長より御答弁をいただきました。
 充実した取り組みをしていただいていると感じております。各事業とも、多くの県内企業や事業者の皆様から、より積極的な御活用をいただけますように、御支援、御案内のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 先ほど申し上げました沖縄科学技術大学院大学(OIST)でお会いしました照屋マネジャーいわく、最新の研究開発に携わる世界一級の研究者を育てるには、アクティブラーニングが効果的とのことでした。
 先ほど、長坂議員の御質問の中でも御発言がございましたが、アクティブラーニングとは、もともと大学の授業で使われている用語であります。2012年8月の中央教育審議会答申では、学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る教授・学習法の総称であり、具体的には、発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習、教室内でのグループディスカッション、ディベート、グループワークなどを挙げています。
 そして、この中央教育審議会に対する諮問では、小・中・高のアクティブラーニングを「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習」とした上で、何を教えるのかという知識の質や量の改善はもちろん、どのように学ぶかという学びの質や深まりを重視し、知識、技能を定着させる上でも、学習意欲を高める上でも効果的だと指摘されています。
 本県の子供たちが、社会でチームワークを保ち、リーダーシップを発揮できる倫理観を持った社会人として育っていただくためであることはもちろんでございますが、その中から最先端技術を利活用し、最新の技術開発を行う優秀な研究者を輩出するためには、私もアクティブラーニングを小・中・高課程で充実させることが重要だと考えております。県教育委員会のお考えはいかがでしょうか。取り組み状況とあわせて、教育長の御答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 科学技術やグローバル化が急速に進展する中、子供たちがこれからの時代を生き抜くために必要な資質、能力を身につけるため、アクティブラーニングは有効な学び方の1つであると考えます。
 国においては、現在改訂中の次期学習指導要領で、子供たちの思考力、判断力、表現力を一層高めるよう、アクティブラーニングの視点を取り入れた指導を行うことが明記されようとしてございます。
 本県では、これまでも児童生徒の発達の段階に応じ、全ての小・中・高等学校においてアクティブラーニングの視点を取り入れた授業を行うよう指導しており、全教科で実践を進めているところでございます。また、学校指導訪問を通して個別具体的に指導するほか、各研修会において各アクティブラーニングの効果的な方法を指導するとともに、各校における実践の情報提供を行い、その充実に努めているところです。
 加えて、本年度、課題解決能力育成のため、海外との交流などを通して多様な文化や価値観を学び、幅広い視野を持って地域の課題解決に取り組む新規事業「イノベーションスクール(OECD和歌山版)」を5つの県立高等学校で取り組み、その成果を全ての高等学校に広げようとしてございます。
 今後も、アクティブラーニングを取り入れた授業を一層充実させ、定着を図るよう、各学校を指導してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 次に、プログラミング教育についてお聞きします。
 先月下旬に訪れました株式会社よしもとロボット研究所の梁チーフプロデューサーによりますと、今の子供たちが社会に出るころ、つまり10年から20年くらい後には、子供たちがつく職業の70%が現在は存在しない職業であると言われているとのことでした。また加えて、プログラミング教育産業が英会話教育産業を上回ったようだともおっしゃっていました。確かに、8月に訪れました教材の企画販売会社でも、プログラミング教材が子供や高齢者に大人気だとのお話をお聞きしたことがございます。
 ちなみに、2015年9月に公表されました世界経済フォーラムの報告書の中で、21のティッピングポイントが明らかにされました。
 ティッピングポイントとは特定の技術的変革が社会の主流を転換させる瞬間ということですが、この報告書によりますと、800名を超える情報通信テクノロジー分野の企業役員や専門家が参加した調査の中で、「2025年までに人口5万人を超える都市で初めて信号機が廃止されることが起こる」と予想した回答者は63.7%でした。また、「2025年までに3Dプリンター製の肝臓の初移植が実施される」と予想された回答者は76.4%、「2025年までに眼鏡の10%がインターネットに接続されている」と予想した回答者は85.5%、何と「2025年までにアメリカで最初のロボット薬剤師が登場する」と予想した回答者は86.5%にも上りました。
 このように、急激な進化や変革をしていくことが予想されます情報技術社会において、時代に適応し、また新たな仕事を創出していくための基礎はプログラミング教育により培われると私は考えておりますが、県教育委員会ではプログラミング教育についてどのような学習をされていますか。教育長の御答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 現在行われているプログラミングに関する教育は、中学校では、技術・家庭科の授業において、情報通信ネットワークの仕組みやプログラムによる計測を行うなどの学習を実施しております。また、高等学校では、情報の授業において、問題解決の手順を図で表現したアルゴリズムを用いて論理的に思考する学習などを実施しております。さらに、工業高校や商業高校などの専門学科では、プログラム言語を用いてプログラムを作成する専門的な学習を実施してございます。
 平成32年度から小学校で実施される次期学習指導要領では、情報技術が飛躍的に進化する未来を生きる子供たちに、コンピューターに処理を指示し実行させるような体験を通して、論理的に考える力を育てるプログラミング教育が行われることとなります。
 県教育委員会といたしましては、今後、小・中・高等学校の発達の段階に応じたプログラミング教育を一層充実してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 アクティブラーニング及びプログラミング教育につきましては、鋭意進めていただきますようお願いを申し上げます。
 もう1点、この最先端技術の利活用につきましては、大きなビジネスチャンスや日常生活における格段の利便性向上があることは間違いないわけでございますが、一方で、貧富の格差がより広がる危険性をはらんでいるとも考えております。
 頑張った者が頑張ったと評価される社会であるべきですし、頑張った者が頑張っただけの成功を享受できる社会であるべきですが、頑張った者だけがその果実を得られる社会であってはいけないと思います。そのためにも、教育課程におきまして、勉強や仕事をしっかり頑張るんだという意識と、チームや地域、社会と利益を共有するんだという心をあわせて育てていただきたいということを強く要望申し上げます。
 次の質問に入らせていただきます。
 ことし10月に、広島県立美術館を訪れました。ちょうど、東山魁夷の開催中ということと、皇族の方のお成りも同日で、大変なにぎわいを見せている中、前田副館長より貴重なお話をお聞きすることができました。
 広島県立美術館では、昨年10月より企画チームを発足させ、各学芸員から担当分野のヒアリングを実施することから始めた広島県立美術館活性化ビジョンを展開中です。同敷地内の浅野家別邸庭園・縮景園とも連携することで、来館者の満足度を向上させ、特別展の魅力や収益性の向上を図り、自主企画展の実施や学芸員の育成など、美術館の活性化に向けて精力的に取り組まれています。
 結果、来館者が、昨年は所蔵作品展に7万4000人、特別展には24万人となり、今後は総入館者数45万人を目標としているとのことでした。
 また、先月、宇治田議員、尾崎要二議員、山下議員、岸本議員、濱口議員、鈴木議員と訪れました滋賀県における滋賀県立近代美術館では、加工されていない生のままの芸術でありますアール・ブリュットを新たなコレクションの核に加え、2019年に新生美術館として生まれ変わるべく、県民への機運醸成施策から始めて着々と事業を進められています。「美術に興味がある人にもない人にも訪れていただける開かれた美術館を目指します」とおっしゃっていた御担当の方の笑顔が印象的でございました。
 さて、本県にも、すばらしい県立近代美術館と博物館がございます。もともとは、昭和38年3月、和歌山公園内二の丸跡に設立された和歌山県立美術館が拡大発展し、昭和45年11月2日、県民文化会館1階に我が国で5番目の近代美術館として開館しました。その際、県立美術館は、近世以前の歴史や美術史に関する業務を担う県立博物館として生まれ変わっています。そして、平成6年7月8日、現在の場所であります和歌山大学教育学部跡地に、黒川紀章先生による意匠を凝らしたデザインで、新県立近代美術館として開館しました。デッキで連結する和歌山県立博物館とともに、公共建築100選にも選ばれているとのことです。
 日経新聞社発行の「五つ星の美術館」では、学芸力関西第3位、また総合力では関西第4位、そして、平成28年度都道府県立美術館基本調査票に基づく収蔵品点数では1万4052点として全国第6位という、本県が全国に誇る近代美術館でございます。
 本県の県勢発展に文化レベルの向上は必須であるという観点から、この県立近代美術館及び一体の施設となる県立博物館を今以上に活性化させることが重要であると私は考えておりますが、県のお考えや取り組み状況はいかがでしょうか。入館者実績や今後の目標も含め、教育長の御答弁、よろしくお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県では、博物館施設を多くの人々が訪れ、学び、楽しむことのできる教育文化拠点としていくため、展覧会や教育普及の充実を図る機能強化に取り組んでございます。その一環として、本県が誇る文化財やゆかりの作品など豊富な収蔵品を十分に活用し、常設展の充実に取り組んでございます。さらに、テーマごとに県内外からよりすぐりの作品を集めた特別展や企画展を開催するとともに、学芸員による展示解説や講演会も実施するなど、多くの方に来館いただくよう努めてございます。
 入館者数につきましては、今年度においては博物館の特別展「蘆雪溌剌」、近代美術館の常設展「コレクション展 2016-夏」に、約1万人の方が来館してございます。さらに、3年に1度の大規模展として近代美術館で開催中の特別展「動き出す!絵画」は、現在7000人を超える方が来館してございます。今後も、年間を通じて来館いただき、再び訪れたいと感じられる、魅力ある博物館施設とするよう取り組んでまいります。
 あわせて、コンサートやバックヤードツアーなど、両館の立地を生かした事業も実施することにより、県全体の文化レベル向上の一翼を担うよう努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 特別展「動き出す!絵画」は、私も先日のぞかせていただきましたが、本当にすばらしい展覧会だと感じました。また、ぜひ先輩議員の皆様と御一緒にお伺いしたいと思います。
 それでは、最後に、子供向け事業についてお尋ねいたします。
 広島県立美術館、滋賀県立近代美術館の両館とも、来館者数確保や来館層の拡大、何より子供の創造性向上を狙い、夏休み期間中などに子供向けやファミリー向けの体験イベントなどを充実させているというお話をお聞きしました。
 さて、本県では、両館でどのような子供向け事業に取り組まれているでしょうか。教育長の御答弁、よろしくお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 博物館施設で本物の文化遺産や芸術作品に触れることにより、子供が知的な興奮や驚きを覚え、本県の歴史や文化に対する強い探究心を起こすことができるよう、さまざまな企画展やイベントを開催してございます。特に、夏休み期間中、近代美術館では子供と大人が一緒に楽しむ企画展「なつやすみの美術館」を平成23年度から毎年開催しており、本年度は21校、約1万人が来館いたしました。
 また、博物館でも、毎年、歴史や文化をわかりやすく紹介する夏休み企画展を開催してございます。本年度は、平安から江戸時代に和歌山で活躍した有名人等を紹介する「きのくに人物百科」を開催し、34校、7000人近くが来館いたしました。
 これらの展覧会では、絵を描くワークショップなどの体験プログラムの実施や、展示作品について学べるワークシートを作成しているほか、鑑賞しながら楽しく学べるよう学芸員が解説を行うなど、教育普及に努めてございます。さらに、学校や学年単位で来館する際には、同じ日に両館を活用できる受け入れ体制を充実してございます。また、来館が困難な学校には出前講座を実施するなど、学校の利便性向上を図っております。
 今後とも、両館のすぐれた作品に親しむ機会を提供し、和歌山の文化芸術の将来を担える子供たちの育成に努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 教育長の前向きな御答弁、ありがとうございました。
 私も、2003年より和歌山県立近代美術館友の会の会員でございます。微力ながら、本県の文化レベル向上に尽力してまいりますことをお誓い申し上げます。
 最後に、一言御礼を申し上げます。
 6月の定例会におきまして、旧和歌山県議会議事堂「一乗閣」の利活用につきまして御要望申し上げましたところ、仁坂知事初め当局の皆様、また宮下教育長初め県教育委員会の皆様には、県下に一乗閣の積極的な利活用へのお声かけをいただいておりますこと、この場をおかりしまして心から感謝を申し上げます。
 引き続きの御理解、御協力を心からお願い申し上げまして、私の人生3度目の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時33分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(服部 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 29番岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕(拍手)
○岩井弘次君 こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 ことし4月に、全国の小学校第6学年と中学校第3学年を対象に実施された文科省の全国学力・学習状況調査の結果が9月に発表されました。それによりますと和歌山県は、中学校数学Aを除き、その他の平均正答率が全て全国平均を下回っていることがわかりました。
 義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証、その改善を図る、そして、そのような取り組みを通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立し、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てることを調査の目的としております。
 全国学力・学習状況調査は、特別支援学校を含む県内全ての公立小学校242校、約7600人と中学校124校、約8000人を対象に行われ、その調査内容は、教科に関する知識と活用についてでは、国語、算数及び数学で基礎的な知識を問うものと応用力を問う問題が出題され、そして生活習慣や学習環境に関する質問調査では、児童生徒に対する調査と学校に対する調査において、生活習慣や学習環境、学習意欲など、また、学校における指導方法に関する取り組みや人的・物的な教育条件の整備の状況に関しての調査が行われました。
 平成19年から再開された全国学力・学習調査ですが、以来、本県は全国の下位に低迷し、全国最下位という年もございました。
 そこで、まず今回の全国学力・学習調査の結果について、教育長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) ただいまの岩井弘次君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本年度の全国学力・学習状況調査の結果につきましては、小学校では昨年度に比べて全国平均との差が広がりましたが、中学校では国語Bを除き昨年度に比べて差が縮まり、数学Aも4年ぶりに全国平均に並びました。しかしながら、年度によって全国平均との差にばらつきがあり、順位も下位に低迷してございます。特に国語については課題があり、今年度は、小学校国語Aと中学校国語Bが特定の問題の正答率が低かったことも影響いたしまして、全国最下位となりました。
 学習や生活の状況につきましては、最後まで解答を書こうと努力する子供はふえてきてございます。また、ノートに学習の目標やまとめを書く習慣が定着し、学習に取り組む姿勢が向上してきてございます。しかし、休日に全く勉強しない子供や家庭で授業の復習をしない子供の割合は、小中学校とも全国平均より高く、携帯電話、スマートフォン、テレビゲーム等の使用時間が2時間以上の子供の割合も全国平均より高いなど、大きな課題がございます。
 今回の結果を厳しく受けとめ、県の取り組みを学校にしっかりと浸透させるとともに、教員の指導力を一層高め、学力向上に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございます。
 順位をつけるというのもいかがかなあとも思いますけども、学習成果を分析する上での一基準として捉え、真摯に向き合い、向上への糧としていくべきものであります。そして、教える側と受ける側、その両者がかみ合わなければ学力の向上も難しいのではないかとも思います。
 御答弁に、本県の学習や生活の状況については、最後まで解答を書こうと努力する子供がふえ、学習に取り組む姿勢も向上するなど、評価できる点もあらわれてきたとのことでございます。しかし、休日に全く勉強しない、家庭で授業の復習をしない子供の割合は小中学校とも全国平均より高く、そして携帯電話やスマートフォン、テレビゲームなどの使用時間が2時間以上の子供の割合も高かったとのこと。
 近年の学力・学習調査におきまして、秋田県、福井県、石川県といった日本海側のこの3県が安定して上位を占めております。傾向として、復習など家庭での学習時間が全国平均の中でもよくできていることが大きな向上要件ではないかと分析されているようでございます。
 私自身も、余り褒められた小中学校時代ではございませんでした。たしか、学校から帰りますとランドセル、かばんを家の中にぽんと放り込みまして、そのまま友達と遊びに出かけ、日暮れまで帰ってこない。母からよく「日暮れには帰れ」と叱られたことを覚えております。今の子供さんのようにテレビゲームとかそういった電子的な遊び道具はございませんでしたから、体を使うことしかございませんでした。
 また、宿題も親に言われなければしないというような始末でしたから、余り勉強のできる子ではなかったように思います。母によく言われた言葉が「勉強するもしないもおまえの勝手やけども、全部自分のためやから」とよく言われました。それが今でも耳に残っております。
 ただ、それが今でも生かされてるかどうかはちょっと横へ置かせていただきまして、今の子供たちは、よきにつけあしきにつけ、生活環境も大きく変わっております。そして、一概に「学力向上を」と言っても、教師の指導力、家庭環境、友達など、さまざまな要因が相まって子供たちのやる気が培われていくものだと思います。
 ただ、やはり学習に関しては、学校での授業、指導が大きく影響されます。大変御努力をされているのは承知しておりますが、どのような環境であれ、学習意欲を育み向上させる責務が学校にはあると思います。
 そこで、学力向上のための今後の取り組みについて、教育長にお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学力向上につきましては、学力向上対策中期計画に基づき取り組みを進めてございます。学校では、授業の目標の提示、考えを表現する場面の設定、学習内容の定着の確認をまとめた「和歌山の授業づくり基礎・基本3か条」を徹底するとともに、子供一人一人のつまずきに応じた補充学習に取り組んでございます。
 課題の大きい学校に対しましては、県教育委員会と市町村教育委員会の指導主事がチームとなり、毎月1回訪問し、重点的かつ継続的に現在、指導・支援を行ってございます。
 また、すぐれた教育実践力を持つ退職教員を学校に派遣し、学校の取り組みや教員の授業について指導する事業を実施しております。今年度は45校に40人の退職教員を派遣し、授業改善や指導力の向上に取り組んでおります。
 さらに、県外での学力向上の成果を上げている学校に、昨年度からの2年間で60人の教員を5日間、今年度は5人の教頭を3週間派遣してございます。派遣教員は、研修で得た成果を所属校の取り組みに生かすとともに、県内各地域での研修会で報告することで県全体に普及しているところです。
 現在、すぐれた教員の授業をおさめた授業づくりDVDと授業や家庭学習等で活用できる問題集を作成してございまして、これらの教材等の活用を徹底してまいります。
○副議長(服部 一君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございました。
 学校現場の御努力、中でも児童生徒と向き合っておられる先生方の御苦労ははかり知れないものがあるかと思います。しかし、この和歌山県の将来を担う人材を育てておられる自覚と誇りを持って取り組んでいただきたいと念願するものでございます。
 私も、母の言葉と同じぐらい、小中学校時代の先生からいただいた私のことを思っての叱咤激励、また指導が、その後の生活に影響を与えていただきましたことを今でも感謝しております。教育委員会の皆さんも御努力をされておられるとは思いますが、ぜひ現場の先生方と同苦していただきたい。
 今回、この全国学力・学習調査について、本県の学力が低迷していることに対して、多くの方から憂いておられる声をいただきましたので、質問をさせていただきました。すぐれた教育実践力を持つ退職教員を学校に派遣し、学校の取り組みや教員の授業について指導する事業を実施しておられるとのことですが、忙し過ぎる先生方の軽減を図るためにも、マンパワーの拡充に力を注いでいただくことも向上に大いに資するものと考えます。特に、元教師の方からは、「何か力になりたいのだが」といった声もありました。長年奉職され、今も元気に地域で活躍されておられます。こういった方々をより多く活用することも検討していただきたいと思います。
 学力向上対策中期計画に基づき取り組まれておられるということですが、例えばきのくに学力定着フォローアップ事業について見てみますと、退職教員が派遣された学校は、平成26年度が40校、平成27年度が72校とされております。今年度は45校とお聞きしましたが、派遣される学校数においては、恐らく全国学力・学習状況調査の結果も影響していることでしょう。しかしながら、結果が悪いからとかどうとかではなく、和歌山県の宝であります未来っ子を育むために、2カ年の中期計画を踏まえて、このような事業には長期的に取り組んでいっていただきたいと要望させていただきます。
 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 次に、関西広域連合について質問させていただきます。
 本年の6月定例会におきまして関西広域連合議会議員に選出いただき、山田先生、尾﨑太郎先生、そして立谷先生とともに、毎定例会、臨時会、また所属する常任委員会に参加し、さきの11月臨時会では初めての一般質問もさせていただくなど、自分なりに広域連合議会議員としての自覚を持って活動させていただいております。
 およそ半年が経過し、広域連合について感じているところについて質問させていただきます。
 今さらですが、関西広域連合は、平成22年12月1日に府県をまたがる全国初の広域連合として、関西の大阪府、京都府、滋賀県、兵庫県、和歌山県、鳥取県及び徳島県の2府5県が結集して設立されました。以来、大阪市などの政令4市の加入、昨年12月には奈良県が部分加入して、この12月で丸6年が経過いたしました。連合設立の狙いは、1、地方分権改革の突破口を開く、2、関西における広域行政を担う責任主体づくり、3番目として、国と地方の二重行政を解消するの3点を目的として、広域にわたる防災、観光・文化・スポーツ振興、産業振興、医療、環境保全、資格試験・免許等、職員研修の7つの事務分野において、それぞれに担当府県市を決め、取り組みが進められております。
 さきの委員会では、井戸連合長の再選が採択され、仁坂知事も副連合長に再選されました。日々の激務の中、大変なお役目ではございますが、健康には御留意され、御活躍をお祈りいたしております。
 本県は設立当初より参加しておりますが、そこで、まずこの6年間を総括し、関西広域連合に参加したからこそ得られた成果及び評価について、知事の御所見をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 関西広域連合は、私の言葉で整理をいたしますと、3つ意味があると。1つは、当初よく言われたんですが、国の出先機関の受け皿になりたいということでありました。2つ目は、行政の一部を統合して効率化を図るということであります。3つ目は、広域的な課題に協力して、統合はしないんだけど協力をすると、一緒に取り組むと、この3つを目指すものであろうかと思います。
 しかしながら、この3つの目的のうち、国出先機関の受け皿づくりについては全然うまくいっていません。これを広域連合の本旨であると、あるいはあったというふうに言って、だから広域連合はだめと言うような人もいるんですけれども、これはもともとうまくいくはずがないし、それから逆にうまくいったとすると、実は国の出先機関に広域連合がなってしまうということでございますので、どちらかというとあんまり望ましいもんではないと私は思っておりましたが、私の留守中に決まったことなんで、反逆をするのはいけないなと思って黙っておりました。
 うまくいかなかったんですが、時の政権の甘言に乗った人もいて、マスコミの注目を大いに集めて、そればっかりが喧伝されたんですが、結果的には、論理的にそういうことでございますので、うまくいきませんでした。
 2つ目の統合による効率化ということは、実は小さい分野ですが着々と進んでおります。一部の資格試験の共同実施などについて進んでおりますが、何分、領域が大変小さいということでございますので、範囲は限られているということだと思います。
 一方、3番目の広域的な協力ということについては、私はもともとそれが中心と思っていたので、所定の成果は十分上げ得ているんじゃないかというふうに考えております。具体的に申し上げますと、まず広域防災の分野では、災害発生時に一致協力して即座に全体として支援を行えるというような体制を構築していこうということでございましたが、例えば東日本大震災や熊本地震のときには、カウンターパート方式というのをうまく組織して、みんなで協力して被災地支援を即座に実施できたというところなんかは大きいと思います。
 実は、和歌山県で起こりました紀伊半島大水害のときも、早速、広域連合防災局が助けてあげようかということで、ずっと後詰めをやってくれてました。後詰めというのは、和歌山県と国その他でうまくやったもんですから、あんまりたくさんのところを具体的に助けてもらってないんですけど、それでも常にフォローしてくれて、問題が起こったらすぐ応援を出すという体制をずうっと整えてくれてたのは大変評価すべきことだと思います。
 具体的には、ボランティアの派遣を私は要請いたしました。それをアレンジしてくれたし、それから土木の技術屋さんの派遣ですね、これについても全体で協力してくれて、かつ九州にも頼んでくれて、和歌山県の復旧が早かった原因となっているというふうに思っております。
 次に、東日本大震災に端を発した電力危機とか原子力への対応が挙げられると思います。これは、1県だけでやると、例えば関西電力との関係でいっても、関西電力の供給範囲というのは関西全域ですから、どうしてもうまく話がかみ合わない。みんなでまとまって、それで社長さんなんかとも議論をして、関西全体の利益をリーズナブルに集約していったということができたのではないかというふうに考えております。
 それから、広域インフラ、これ実は私が担当しとるんですが、これについてもみんなで応援しようということができておりますし、差し当たっての大問題としては、北陸新幹線と、それからリニア、これの早期開業について、みんなで力を合わせてやっとるということではないかというふうに思います。
 また、危険ドラッグ対策も広域連合内で情報共有をした結果、和歌山県の先進事例──そのものじゃないんですが──に多少準じたような同様の条例が各県でつくられまして、それで関西全体の対策が進んだと思います。
 関西ワールドマスターズゲームズ2021については、これは関西広域連合で受けないととてもじゃないが受けられないわけですが、それを誘致に成功してこれからということになっておりますし、今、万博の大阪開催、これをみんなで応援しようかというふうに動き出しているところでございます。
 また同時に、今度は和歌山なんかはどちらかというと人口の少ないところですので、全体で引きずられて、どうしても嫌なことを強制されないようにする必要もあったかと思います。これは、制度の設計のときに大分知恵を出しまして工夫をしましたので、うまくいってると私は思っています。大事なことは全員一致、それから個々の事業は、それに参加したくない者は参加しなくていいと、そのかわり口もお金も出さない、そういうふうに決めておりますので、嫌なことはしないでもいいということになっております。
 例えば、嫌なことかどうかはわかりませんが、ドクヘリの統合という問題がありました。これについては、ドクヘリは関西では和歌山がパイオニアでございます。県民は、みんなそれに誇りを持っておりますから、和歌山県ドクヘリという立場は守らしていただきました。それで、ただ、従来どおり協力はするということで、関西広域連合でもうまくやっていただいていると思っております。
 実は、私自身は関西広域連合の行事が多過ぎてちょっとつらいところもあるんでございますが、今申し上げましたように、関西全体で一致協力して取り組むという体制は大事なことだと思いますので、これは大事にしていきたいと思っております。
○副議長(服部 一君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございました。事細かく丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 得られた成果、評価につきまして、広域的な課題に協力して取り組んでいること、特に広域防災、危険ドラッグなどなど、具体的な事例をお答えいただきました。
 ただ、関西広域連合での事務というのは広域的で処理するものでございまして、そもそも県民には見えづらく、県民から遠い組織というイメージがあるのではないでしょうか。県民の広域連合に対する理解とともに、その成果も実感していただけているのか疑問もございます。
 関西広域連合への参加による和歌山県にとってのメリットについて、知事の御所見をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 関西広域連合は道州制とは違いますので、どうしてもやっぱり県というものが別に消えるわけではございません。したがって、県が関西広域連合の機能をうまく使っていろんな事業をしておれば、逆に県民のほうからすれば関西広域連合の姿が見えないというところはどうしても出てくるかなあと。逆に言うと、県ががたがたになって、それでかわりにやってというような話になるとそれが出てくるんですが、今のところそんなことはございませんので、御指摘のような点はどうしても出てくるかなあというふうに思います。
 ただ、説明を申し上げていかないといけないので、メリット、デメリット──メリットということを申し上げますと、例えば、先ほど申し上げましたが、原子力、電力、エネルギー、違法ドラッグ、そういうような問題については共通の課題でございます。1県だけではあんまり重視されない意見も、みんながまとまれば関西全体の意見として世の中に影響を及ぼすということができていくと思っております。
 それから、各論的に言っても、先ほど言いましたように、広域防災分野については、これは大変役に立つ仕掛けであろうかと思います。
 それから、広域インフラについてはこれからの問題でございますけれども、これも例えば関西全体にとって大変大事な、東京との関係で大事なリニアの同時開業の問題もしくは早期開業の問題、あるいは北陸新幹線の早期開業の問題、こういう問題については力を合わせてやる手段ができたということで、これもメリットになってるんじゃないかというふうに思います。
 それから、広域観光とか広域産業の領域については、関西広域連合でもプロモーションをやってます。こういう問題は、関西広域連合だけがやるというんじゃなくて、どうしても二重に、多層でやっていって、それで使えるところを使っていくというようなことでやるしかないと私は思っております。統合しているEUも、実はこういうプロモーションに関してはそれぞれがやっていて、それで問題なくやってると思っています。合同プロモーションなんかを関西広域連合で企画してくれますので、これを和歌山県としてどう利用していくかなということで、そこのところを利用してやる場合はそっちに行って、独自でやるときは独自でやると、そういうようなことで成果を出していきたいと考えております。
 それから、先ほど言いました、範囲は小さいんですけど、調理師、製菓衛生師、准看護師といった資格試験・免許、これを広域連合全体でやっておりまして、これについては効率化になっとるようなところだと思っております。
 したがって、和歌山県にとってメリット、デメリットを考えますと、デメリットは先ほど申し上げましたように、マイナスのところは一応封じておりますから、全体としてはメリットのほうが大きいんじゃないかというふうには思っております。
○副議長(服部 一君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
 私自身も、まだ約半年しか経過していないので、本当に申し上げたら失礼な部分もあるかもわかりませんのですが、当初、関西広域連合議会議員ということで、鼻息ふんふんで行かしていただいたように思います。ただ、議論の中でどうも、私はせんだっての議会でも言わせてもらったんですけど、フランチャイズ制の関西広域連合という大きな看板のもとにこの2府6県4市が集まった、フランチャイズが集まった、そういうような感覚といいますか、感じがしてございまして、きょうは質問させていただきました。
 ただ、この関西広域連合議会を別に脱退しようとかなんとかというんじゃなくして、入るも出るも大きなハードルがございます。全構成団体が同意せなあかん、議会議決を経るというような大きなハードルもございますし。ただ、設立当初から大きな目的を持って加入しておりますんで、これはもう私自身も選出いただいた議員の1人として、やっぱりしっかり取り組んでいかなあかん、和歌山県のために、また関西のために取り組んでいかなあかんなというふうに、今回質問をずうっと考えておりまして、反省もし、また決意もさせていただいております。
 「関西は1つ1つ」とやゆされることがあるんですけども、個性が異なる各団体または連合と各団体との事務・意見調整を行うことは、相当の困難を伴うもののように感じております。現在、連合議会におきまして、山田先生が本県代表の理事として理事会等で打ち合わせ、意見調整に御尽力いただいております。私の所感と相違してお叱りを受けるかもしれませんが、大変御苦労をされておられるのではないかと思います。
 そして、各分野の担当府県市の職員は併任発令され、連合本部事務局へ各構成団体から職員が派遣されたりもしております。また、各委員は府県知事及び政令市長さんで構成されておりますから、委員会の事前準備等に各団体の事務方が調整するなど、事務の効率性から見てもかなりの負担があるのではとも思料いたします。
 本県の個性、意見が人口の多い大都市の意見などにかき消されてしまうのではないか、平成22年の設立加入時の際にも、諸先輩方が議会においてその懸念を質問されておられます。また、平成22年9月28日の和歌山県議会において附帯決議を行っており、その第2項に「人口が多い中心部に偏ることなく、各地域の個性を連携させて」と条件を付しております。
 私も、さきの連合議会での一般質問で「東京一極集中を打破し、国土の双眼構造を構築することは連合設立の眼目であり、大いに理解するところではありますが、広域連合内においても各構成団体間で人口やインフラ、財政力など体力差、格差があることは明らかであることから、連合内においてさらに一極集中的な状況にならないよう、関西全体、各構成団体が発展することを要望し、また、広域計画にあるように、構成団体全てに公平・公正な利害調整が広域連合によりなされることがあるべき将来像ではないか」といった旨を訴えさせていただきました。
 るる述べましたが、関西広域連合が中心部偏重とならないよう、副連合長に再選された仁坂知事に期待するところ大でございますが、今後、本県の存在感、県勢浮揚・発展のため、大いに利活用し、県民の皆さんに見えるような成果をより上げられるよう取り組んでいかなくてはならないと自分自身にも言い聞かせながらの意見を申し述べ、一般質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で岩井弘次君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い3つの項目について質問させていただきます。
 1つ目は、子どもの貧困対策についてです。
 9月議会では、藤本議員が子どもの貧困問題について質問されていました。重なる部分もあるかと思いますが、いっときも早く貧困問題の抜本的な対策で解決に当たってほしいという思いで、私のほうからも質問させていただきます。
 1つ目は、日本の子どもの貧困率は、過去最悪の2012年調査で16.3%になりました。OECD加盟国34カ国中ワースト10位の深刻さです。中でも深刻なのはひとり親世帯で、その貧困率は54.6%にも及びます。
 山形大学の戸室准教授の調査で、1992年から2012年の間に、最低生活費を下回る収入の18歳未満の子どもがいる世帯の割合を5年ごとにまとめたものがあります。2012年の子どもの貧困率は全国で13.8%と、1992年の5.4%から8.4ポイントふえ、約2.5倍になっています。地域特性としては、北海道や東北の一部と関西以西が高く、最も高いのが37.5%の沖縄県で、次いで21.8%の大阪府、3番目は20.6%の鹿児島県です。和歌山県は、9番目の17.5%となっています。1992年と2012年の比較での増加幅では、第5位となっています。
 貧困率が急増する背景には、国が進めてきた雇用、福祉、社会保障政策により、貧困と格差の拡大が生じているものと考えます。
 国においては、2013年に子どもの貧困対策法(子どもの貧困対策の推進に関する法律)が制定されました。どういう状況が貧困なのかという基本概念がないことや、貧困率の削減目標も盛り込まれていないのが残念です。この法律についての内容と受けとめについて、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 議員御質問のように、子供の貧困率が先進国の中でも高いことが指摘されていますが、貧困の状況を客観的に判断することは難しい問題であると考えます。しかしながら、子どもの貧困対策の推進に関する法律の基本理念にあるように、子供の将来がその生まれ育った環境に左右されることなく、貧困の世代間連鎖を断ち切ることは、社会全体の責任として取り組まなければならない問題として重く受けとめています。
 県におきましては、従来より教育支援、就労支援、経済的支援など、さまざまな施策を実施してきたところですが、この法律の趣旨を踏まえ、子供の生活や成長を権利として保障することを第一に施策体系の整理を行い、子供の生育環境や保育・教育条件の整備や充実を図っていくことが必要であると考えています。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今の答弁で、子どもの生活や成長を権利として保障する観点からということで、子どもに視点を置いてということで述べていただきました。そういう立場で、一層、先ほども申し上げましたが、根本的な解決、貧困を解決する、そういう立場で、ぜひ整備や充実を図っていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、質問をさせていただきます。
 国は、2014年の8月には、貧困法の課題や目標を示した子供の貧困対策に関する大綱を閣議決定しました。親から子への貧困の連鎖を断ち切ることをうたっています。現状把握のため、進学率や就職率を含む25の指標を示しています。また、子どもの家庭環境の相談に乗るスクールソーシャルワーカーの増員や、給付型奨学金の創設に向けた議論を開始しています。
 地方自治体独自に貧困率の調査を行ったり、家計収入のアップにつながる、入札者に指定した賃金以上の支払いを約束させる公契約条例を定めたりといった動きがあります。県として、貧困をなくすための対策をどう考えているのか。子どもの貧困問題の解決は喫緊の課題です。県子ども貧困対策推進計画の取り組み状況はどのようになっていますか。計画策定の方針と推進体制についても福祉保健部長にお尋ねいたします。
 また、さきに述べた国が公表している子どもの貧困率は、厚生労働省が3年ごとに実施する国民生活基礎調査です。この調査は、全国調査ではありますが、5万世帯によるサンプル調査であり、都道府県ごとの集計もありません。子どもの貧困の実態に迫るためには、各自治体でのしっかりとした調査が必要だと考えます。
 そこで、どのように子どもの貧困の実態を把握し、対策を推進していくのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 子供の貧困問題を解決するためには、教育支援、生活支援、就労支援、経済的支援など、多岐にわたる施策を総合的に実施し、貧困の世代間連鎖を断ち切ることが必要です。県計画の策定に当たっては、福祉保健部を中心に庁内事業関係課による連携体制のもと検討を重ねてきたところですが、本年11月に各部局主管課を含む9部局18課で構成する子供の貧困対策庁内検討会として体制を再編し、今後の対策の推進に全庁的に取り組んでまいります。
 また、計画の策定途中ではありますが、既存施策に加え、新たな取り組みとして和歌山県大学生等進学給付金、子どもの居場所づくり、和歌山こども食堂支援の3事業を創設し、平成28年度から実施しているところです。
 なお、貧困の実態把握については、従来施策の実施過程における実態の把握や調査等により現状を把握しているところですが、県全体での子供の状況として調査した実績はなく、今後さらなる施策の検討に向け、調査の必要性は十分認識しています。子供の貧困は、子供の置かれている状態や生活習慣による学習への影響など、内面的なものも含めた幅広く根深い問題でありますので、今後の調査のあり方については、国の動向や先進事例を参考に引き続き検討していきたいと考えています。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、御答弁いただいて、全庁的にやはり取り組んでいかれるということと、また、実態調査をしっかりと検討されていくということで期待をいたします。
 そこで、私自身、県としてしっかりとこの子どもの貧困対策に取り組んでいっていただく上で、要望をさせていただきたいことがあります。それは、子どもの貧困問題の解決に当たっては、労働政策や社会保障政策など包括的な取り組みが必要であり、中でも直接的な経済的支援は重要な柱だと考えています。
 特に、小中学生の貧困対策で不可欠なのは就学援助制度です。この就学援助制度なんですけども、例えば和歌山市の場合は、毎年されているかと思うんですが2015年の和教組の調査の中で、小学校1年生、学用品の支援額というのは、国が1万1420円、和歌山市の場合は6860円ということで──ほかの町村の、全町村を調べられた資料があるんですが、そういった中で見ても国基準よりも低いところがあるかと思うんです。これに対しては、本日は教育委員会には特に御質問ってしてないんですけども、こういう点も含めて、しっかりと状況を把握していただきたいと思います。また、入学準備金が入学後の7月に支給される問題については、改善するよう市町村へぜひ働きかけをよろしくお願いしたいと思います。
 貧困対策にはさまざまな課題があるんですが、先日、高校の現場の先生からお手紙をいただいたんですけども、その中で奨学金制度への切実な要望が書かれています。少し紹介したいんですが、和歌山県奨学給付金を受給しているその学校の生徒さんは全体の17.15%です。その奨学給付金受給というのは、保護者等が生活保護または課税証明書等の市町村民税が非課税であるということになっていて、多分250万円くらいだと聞いていますということで、この先生は3年ぶりに3年生の担任をして、子どもたちの姿が随分と変わったなあと感じられたと。保護者の年収が減っているようにも感じていますということで、お手紙をくれていました。
 年度当初に集める学級費2万円を11月になってもまだ払わない生徒も──払えない、払わない、厳密にはそこのところはわからないんですが──いらっしゃるということで、逼迫した家計状況が見られます。商業科なんかでは、進路保障のためにさまざまな検定受検が義務づけられていて、その検定料も多額になってきます。新入生説明会で教科書代、制服代、体操服代、体育館シューズ代、副教材代と、そういった説明が続いていくと徐々に空気がざわついて変わってくると、そういった状況を憂いてるようなことがお手紙につづられてるんですけど、学校の先生自体も20代の先生が、例えば4名のうち3名の方が奨学金を返済中というような状況ですということで、生徒さんの中で薬学部に合格した生徒さんがいるんですけど、保護者は自営業で世帯年収が大変低い、卒業まで6年間高い学費を払えるのか、担任初め皆心配しているということで、無事卒業、国家試験にも合格し、晴れて薬剤師となっても、1000万近い借金を持って社会に出ていくことになるので、前途ある優秀な学生にこんな過酷な状況を押しつけていることに暗たんとした思いですということで、お手紙をくれています。
 そういった中で、県としては、今年度より県独自の大学生の給付金制度が実施され、大変歓迎するものだと思ってるんですけど、さらに拡充をしていっていただけたらなあということで要望させていただきたいと思います。
 先ほど福祉保健部長が言われた対策の中でも、既に県としてはこども食堂への支援も始まってるんですけども、私としては、やはりこども食堂とか、こういった地域にしっかりと根づいて、小学校区単位につくっていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。その運営についても、人件費とかそういったことの補助にも、やはり拡充をして定着を、そして広げていっていただきたい課題であるということをお伝えしたいと思います。
 経済的支援の問題で、何よりも子どもの命に直結する、今までにも質問もしてまいりましたが、子どもの医療費、全国でやはり県以上の補助を、和歌山県の就学前までの以上の補助をしているのが今26都道府県にふえてきました。以前質問させていただいたときは3件ほどしかなかったかと思うんですが、こんなふうにして広がってきていることもあわせて、ぜひ御検討をしていただきたいと思います。
 最後に、子どもは生まれながらにして人権を持つ権利の主体であると同時に、次の世代を担っていく社会の未来そのものだと言えます。子どもが生まれてくる環境は恵まれていることもあれば、時に貧困や虐待によって過酷である場合もあります。だからこそ、社会全体で、子どもたちの尊厳と社会の未来を守らなければならないのではないでしょうか。子どもの貧困は、子どもの権利が守られていない状態の1つと言えます。日本では、憲法や児童憲章、子どもの権利条約などの理念に基づき、子どもの権利を保障するさまざまな制度があるにもかかわらず、子どもの権利が守られていない。一体、子どもの何を守るためにつくられたのか、非常に疑問に思います。ぜひスピードアップをして、実効ある対策を強く要望いたしまして、2つ目の国民健康保険の問題を質問させていただきたいと思います。
 この国民健康保険の問題も、今までにも質問させていただきましたが、高い保険料で貧困を拡大していくという大変な問題があるんではないかと思い、そういう立場からも質問をさせていただきます。
 1つ目は、2018年度から、国民健康保険が市町村と都道府県が共同で運営する制度に変わります。国保の財政を都道府県が一括管理し、都道府県が各市町村に納付金を割り当て、市町村が住民から集めた保険料を県に納付する形で国保財政が賄われる仕組みです。納付金は、市町村の医療費水準、所得水準で調整して決められ、100%完納が原則となっています。
 国は、都道府県に国保運営方針の策定を義務づけ、別途県が策定する医療費適正化計画や地域医療構想と整合させることを義務づけています。医療費の中で大きなシェアを持つ国保の財政を県が握ることで、医療適正化計画による給付抑制や地域医療構想による病床削減とあわせて、権限を全て都道府県に集中して、強権的に給付費の削減を推進させるものではないかと思います。
 また、県が市町村に納付金を賦課し、標準保険料率を示すことで、市町村の保険料率の平準化が図られようとしています。
 国民健康保険制度は、年金生活者、非正規労働者が増加し、加入者が貧困化する中、生活困窮者も含めた全住民に医療を保障するという、国民皆保険を支える社会保障制度です。国が本来果たすべき責任を後退させ、国庫負担をどんどん削減する中、余りにも高過ぎる保険料引き下げのために、市町村が一般会計からの繰り入れを行ったり独自の減免制度などを設けることは、住民の医療保障のための地方自治体としての努力です。これを県単位化によって崩してしまうことは、さらに国保の構造的な問題を深刻化することにならないでしょうか。
 そこで、福祉保健部長にお伺いします。
 県に権限が集中する仕組みの中で、国保の財政運営を県が握る意味はどこにあるのでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等、国保運営に中心的な役割を担うことによって制度を安定化させることが、今回の国保制度改革の目的であります。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 国保の都道府県単位化は制度を安定化させることと言われたように思うんですけど、これまでも国保料が高くて払えず苦しんでいるというお話をして、県は国保の構造的問題だという認識も示されたと思うんです。今度の制度改革が誰のためか、何のためか、よくわからないというのが私の感想、印象です。
 国は、1984年に健康保険法等の改正で、先ほども申し上げましたけど、国庫補助を医療費ベースで45%から38.5%に削減をしました。国保は、所得に対する保険料負担率が他の公的医療保険から比べても9.9ということで、最も高くなっているこの保険制度、これは厚生労働省のホームページでの「医療保険について」というところでも示されてるんですが、この問題で深刻な実態にあって、私は国庫負担をもとに戻すことこそ本当の改革になるんじゃないかというふうに申し上げて、次の質問に行かせていただきます。
 9月議会でもこの問題についてお聞きしましたが、現在、国保運営方針について市町村の協議をしているということでした。今後、実施に向けて、県は各市町村の医療給付費の見込みと所得水準を加味した納付金を決定し市町村に賦課すること、国の保険料算定方式に基づき、県の標準保険料率、市町村ごとの標準保険料率を出すということになります。
 保険料率は市町村が決定することだと考えますが、市町村ごとの標準保険料率は、市町村を拘束することにならないでしょうか。その点について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 市町村の算定基準に基づく標準保険料率は、市町村の実際の算定方式に基づき、それぞれの収納率等を用いて算出するものであり、保険料率を決定する市町村に対し、県が参考として示すものです。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁いただいて、市町村で決める権限があるということでよろしいですよね。権限あるということで、確認できたと思います。県としてもこういったことをぜひとも強調をしていただきたいなということを要望して、次の質問に行かせていただきます。
 次は、国保運営方針案が市町村との協議で今年度中にも決められていくと思いますが、その協議の内容や経過を公開するべきだと考えます。これについてはいかがでしょうか。福祉保健部長、答弁、よろしくお願いします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 国保運営方針案につきましては、現在、県と市町村の担当課長の代表者による和歌山県国保運営方針連携会議で協議を行っているところであり、県としての案ができた段階での公表を考えております。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、国保運営方針は県内の統一的な運営方針ということになりますが、各市町村の賦課方式はこれまでどおりのやり方となるのかどうか、その点でいかがでしょうか。再度、福祉保健部長、よろしくお願いします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県としましては、将来的には県内統一の賦課方式による統一保険料を目指すべきであると考えていますが、賦課については市町村の権限であり、県が強制的に統一を図るものではありません。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、独自繰り入れについてお尋ねをいたします。
 前回の9月議会でもお尋ねをしましたが、前回の答弁で、国保運営方針に市町村ごとの赤字解消・削減の取り組み、目標年次等を記載する方向で協議を行っているとされました。この問題についてお伺いいたします。
 赤字解消というのは、一般会計からの繰り入れなしに国保会計の独立採算として赤字を解消することを言っていると考えますが、自治体が生活困窮者を含む全住民に医療を保障するという国保本来の機能を守るために、一般会計から繰り入れて保険料・税の引き下げを行うことは、市町村の自主性、自立性の問題であると考えますが、この点についていかがでしょうか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 市町村が国民健康保険特別会計に対し、一般会計から赤字解消のための法定外繰り入れを行うことは、国民健康保険の被保険者以外の住民の方にも負担を求めることとなるため、本来、解消すべきであると考えます。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 先ほど答弁がありましたが、ぜひ、この繰り入れについては、各市町村が苦労して──やはり先ほども申し上げたように、国保制度というのはそもそも構造的な問題があるというようなことで言われたわけです。その国保の加入者というのは、退職した方やいろんな──全員が入らないといけないわけですから、所得の厳しい方も含めて成り立ってるその制度が、国庫ということも含めて、県もお金を出してる中では、税金を入れて国保制度をつくってるわけです。その国保制度が大変な、運営が非常に厳しいということで、各市町村は、国保保険料の引き上げを抑えたり引き下げたり、そういったことをやってるということでは、政策的なまあ言うたらやり方ということで、各市町村の政策判断によって取り組まれてることではないんですか。
 その点でもう一度、繰り入れの内容も含めて、ぜひとも──政策的判断をして市町村がやってるんかどうか、その点ではどうお考えなのかをちょっとお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 先ほどもお答えしたとおり、法定外繰り入れに関しましては、国民健康保険の被保険者以外の方の負担にもなることですから、本来は解消すべきであると考えています。そして、この国民健康保険自体に関しましては、退職された方など無職の方が多くて構造的な問題があるということは私も認識してますので、県としましては、引き続き全国知事会等を通じて、国の責任をもって持続可能な制度を構築するように要請していきたいと考えています。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 また言うても平行線になるようなんですけど、全国知事会も、国が今度国保に対して3400億円投入するということで、全国でそういった対応をして──市町村が対応してるのでは、繰入額というのがそういう額ぐらいになるんじゃないかと思うんですが、それを赤字を解消せえということでそういうことをやると、結局は国保が1人3万円負担を軽減するとかいうようなことで言われてる、安倍首相なんかが答えたりしてますけども、そういったことに、決して軽減につながっていかないと思うんです。
 知事会では1兆円が必要やというようなことを言うてると思うんですけども、そういった点を含めて、ぜひとも国保の運営方針に、やっぱりそういった市町村の自主性、自立性を尊重する立場で、一律に赤字解消ということだけでなくて、しっかりと現状を把握して対応をしていただきたいと思います。
 運営方針には入れないようにしていただきたいということで申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
 一般会計からの繰り入れについては、調整交付金などで何らかのペナルティーを考えているのか、それについていかがでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 法定外繰り入れに対し、調整交付金などによるペナルティーは考えてはおりません。ただし、県が策定する国保運営方針に赤字解消の取り組み、目標年次等を記載することとしており、県としては、これに基づき市町村を指導していくことになります。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 都道府県の単位化というのは、今いろいろと質問させていただきましたが、結局のところ、住民にとってどのようなメリットがあるのかといった点でも、非常に決してそういうことではないように思いますので、私としては、ぜひとも、こういった国民健康保険の都道府県単位化ということについては中止をすべきだと申し上げて、次の質問に行かせていただきます。
 最後の3つ目の質問です。大型太陽光発電所の建設計画についてお尋ねいたします。
 1つ目は、エネルギーは食料とともに経済・社会の存立の基盤です。しかし、日本のエネルギー自給率は、わずか6%にすぎません。再生可能エネルギーを大量に導入するとともに、無駄な不要不急のエネルギー需要を削り、エネルギー効率の引き上げや省エネの徹底で、地球環境・資源の上で持続可能な低エネルギー社会を目指すことが必要です。
 再生可能エネルギーについて、第2次和歌山県産業技術基本計画では、エネルギー自給率の向上や地球温暖化対策に資するのみでなく、地産地消・分散型エネルギーとして地域振興への貢献も期待されることから、県として太陽光発電や風力発電などの導入を進めてきたと述べています。ここでは、特に太陽光発電の導入についてどのように考えられているのか、知事にお伺いいたします。御答弁よろしくお願いします。
○副議長(服部 一君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) エネルギー政策は、安全性を前提とした上で、安定供給、経済効率性、環境適合を基本的な視点として進めていく必要があると思います。太陽光発電は、エネルギー自給率を上げますし、温室効果ガスを排出しませんので、そういう意味ではいいエネルギーだというふうに一応考えられます。そういうことでございますので、再生可能エネルギーの大きな柱であり、和歌山県は豊富な日照時間など本県の持つ特性を生かすことができるものだと考えております。
 また、あんまりこれは雇用は生まないんですけれども、遊休地の活用とか市町村にとっての固定資産税を稼げるというようなことで、積極的に取り組んでいったらいいんじゃないか、そんなふうに思っております。
 そういう考え方で取り組んできました結果、有田市には一般家庭約9000世帯分の発電能力を有する約30メガワットの発電所が設置されるなど、いろいろ取り合わせて、県内の太陽光発電の容量は、平成27年度末で固定価格買取制度導入前と比べますと約8倍の348メガワットとなっております。
 また、橋本市において、ダイオキシン類の汚染の無害化処理対策を講じて利用困難であった地域があるわけですが、そういうところに太陽光発電を設置したことで、それが太陽光発電所が設置されたことでこの地がよみがえったというような県にとっての土地利用上のプラスもあったと思います。
 一方、太陽光発電は、地元雇用などの経済効果が大変限定的でありまして、また、パネルを設置しようといたしまして、それが斜面でありますときに森林の伐採をいたしますと、保水力がなくなって防災上問題が出るおそれも出てくるんじゃないかというようなこともよく調べないといけませんし、また、そういうことまでいかなくても、景観を損なうことで観光面あるいは地域としてのメリット、そういう面で悪影響が出たりする懸念もありますので、その推進に当たっては、いろんな自然との調和を図るなど、いろんな問題を総合的に考え、かつ地元の意向、これが大事でございますので、その意向も踏まえながら取り組んでいくべきだと考えております。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 地元の意向も踏まえながらということでおっしゃってくれたので、その点では大変安心をしてるんですけども、そういったところで、事業者さんは事業者さんとして説明はされるかと思うんですが、県としてもぜひ情報公開を十分行って、環境アセスなどの強化にもぜひ取り組んでいただきたいと、そのことを要望して次に行かせていただきます。
 次に、持続可能な発展を目指すための一環であるはずの再生可能エネルギーの取り組みも、環境規制の弱い日本では、事業化に当たって、きちんとしたルールや規制を整備しないままに利益追求を優先にした開発が起き、他県では環境保全や住民の健康・安全にかかわる問題を引き起こしています。事業者と地域住民の間で亀裂や紛争が生じることは、再生エネルギーの導入を進めていく上で望ましい状況ではないと思います。太陽光発電の場合、環境影響評価はどうなっていますか。環境生活部長にお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 環境生活部長日吉康文君。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 太陽光発電事業そのものは、施設の供用に伴う大きな環境への影響は想定されないことから、環境影響評価法の対象とはなっておりません。
 しかしながら、本県では、太陽光発電事業であっても75ヘクタール以上の土地の造成を伴うものについては、環境への影響が想定されることから、環境影響評価条例の対象事業として環境アセスメントの実施を義務づけております。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、今、和歌山での大型太陽光発電所の建設計画で住民の方からお伺いをしたんですが、その点で和歌山県として、現在、直川・六十谷・園部地域に2カ所の建設計画があると聞いています。その規模について商工観光労働部長にお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 議員御質問の2カ所の太陽光発電の建設計画についてでございますが、まず、和歌山市園部地区ほかに設置予定の発電所については、林地開発許可に基づく事前協議申出書によると、事業区域面積が約74ヘクタール、発電容量が約48メガワットとなっています。
 次に、和歌山市直川地区ほかに設置予定の発電所については、環境影響評価方法書によると、事業区域面積が約132ヘクタール、発電容量が約77メガワットとなっています。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、規模をお聞きしたんですけども、今あるメガソーラーの全国での規模なんかも当局の方にお聞きをして、そういった中で調べさせていただいたら、今の規模でいえば、一番大きいところが、太陽光発電所ランキングということでお聞きしたんですけども、1番目はパネル出力が148メガワットということで、先ほどの132ヘクタールということになれば77メガワットで、これは4番目の規模に相当するものだということがこのランキングでわかったんです。また、約74ヘクタールというのも、全国では7番目の規模になるということで、その10カ所のランキングの中で用地ということでは、もとは農地やったり工業用地やったり干拓というような埋立地ということで、工業用地が最も多かったんです。林地というのが1カ所だけあるんですが、こういった状況の中で、今規模をお伺いすると、林地のところで、林地開発の点では許可が必要やというようなことで言われました。
 そういうことで、私も先日、行かせていただいたんですが、それがお手元にありますこの写真でございます。写真の山の中央部に虹色にあるのは、これは印刷のむらではなくて──(「虹や」と呼ぶ者あり)、そうです、虹。ちょうどこの時間が3時だったんです。ほんでちょうど3時で虹。3時だったんです。
 これを見ていただいたら非常にきれいなところで、これが、私は、木の名前もちょっとよくわからなかったんですが、これも教えていただいて、コナラ、クヌギ、山桜、アラカシ、ウバメガシ、アカマツ、サカキ、ヤマモモなどなどがあるということで、本当に子供たちにとっても木の勉強にすごくなる。ハイキングコースにもなっていたりして、私はここへ行って、本当に改めて和泉山脈の、まちの近くにこういうものがあるということで感動して帰ってきたんです。
 これは、下にあるのは、千手川のちょうど昨年雨量が大変増水したときがあったんですが、そのときのちょうど写真を撮っていたのと、ほんでこの間行ったところの比較をして、130センチということで増水をしている様子をここにちょっと示させていただきました。
 これが、先ほど言われた約74ヘクタール。(資料を示す)75ヘクタールから環境アセスが要るわけなんです。それが74ということで、これは先ほどの、下がニュータウンで団地になってます。中学校もあって、下にもうちょっと行けば小学校もあるところで、こういったところが、これが74ヘクタールで、その隣にまた約130ヘクタールの環境アセスの影響調査のあれが出てるということで言われてる状況なので、こういったことが、午前中には長坂先生が森林保全のことを質問されていましたが、そういった点で非常に、ぜひ県としてもしっかり今後審議をしていただきたいなあというふうに思っています。
 そういう点でも、私が心配するのは、何よりもこの森林の保全の問題とあわせて、このときに行ったときに、この奥に──調整池を3カ所つくるということで言うてるこの奥に12~13軒の集落があるんです。そこに井戸水を使って生活を──まだ和歌山の水道が引けてないということで、それはそのいろんな事情があるんかと思うんですけども、井戸水で生活をしている方が12~13軒あります。
 そういったことを含めて、ここにずうっとこの千手川が蛇行して流れてるんですが、この千手川が昨年の7月17日に降水量が185ミリ、1メーター30センチ近くまで増水していました。これまでの降水量を調べたら、185ミリだったんですけど、300ミリぐらいになったときもあるということで、今までの和歌山市の──これ和歌山市なんで、和歌山市の降水量は353.5が、2000年の9月11日が今までの最高です。10位が185.5、1976年9月9日、これが降水量10位ということで、そういった状況の中で同じような降水量だったときにこういった状況があるので、ぜひともしっかりと検討していっていただきたいなあというふうに思うんですが、最後にこういった点で、林地開発の件で質問をさせていただきます。
 林地開発許可制度における利害関係者の同意の範囲についてということで御質問をさせていただきたいと思います。その点、その利害関係者の範囲というのをどんなふうに考えたらいいのか、その点で答弁を農林水産部長、よろしくお願いします。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 林地開発許可の同意の対象範囲についてでございますが、林地開発許可申請書における利害関係者の同意につきましては、和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領に基づき添付を求めております。
 対象範囲につきましては、森林法の許可基準である災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全に関する4つの要件で、直接的に影響が及ぶ範囲内の関係者で、一般的には隣接する土地所有者や地元自治会、水利組合等を想定しております。
○副議長(服部 一君) 奥村規子さん。所定時間が迫っておりますので。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁いただきました。
 先ほども申し上げたように、林地を開発するという点で、県としてもしっかりと審議や、県民のやはり疑問やいろんな心配事も含めて十分受けとめていっていただきたいなというふうに思いますので、ぜひともよろしくお願いします。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時30分散会

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