平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(中本浩精議員の質疑及び一般質問)


平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(中本浩精議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(服部 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕(拍手)
○中本浩精君 皆さん、こんにちは。本日3番目に登壇させていただきます中本浩精です。いましばらくの間、おつき合いいただきますようによろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、台湾現地調査について報告させていただきます。
 11月28日から11月30日、尾崎要二議員、岸本健議員、そして私、中本浩精の3名で台湾台北市を訪問しました。
 11月28日到着後、和歌山県観光交流課交流推進班の職員2名と合流し、財団法人台湾観光協会本部事務所を訪問、王富民副秘書長、戚國福組長と面談し、孫文と南方熊楠との歴史的ゆかりや教育旅行を通じた台湾と和歌山の双方向の交流促進について意見交換を行いました。その際、王副秘書長からは、「台湾と和歌山の双方向のさらなる交流促進に向けて、お互いに協力しながら連携していきたい」との発言もいただきました。
 続いて、台北市内の大手旅行会社であり、和歌山ツアー商品を積極的に展開している喜鴻旅行社有限公司を訪問し、鄭穆誠総経理、李柏樟副社長ら同社幹部に対し、和歌山への送客状況についてヒアリングを行うとともに、和歌山での農家民泊や体験型観光の魅力をPRし、さらなる和歌山ツアー商品の企画を依頼しました。鄭総経理からは、「ゴルフ企画旅行や体験型観光を取り入れた教育旅行を検討していきたい」との前向きな発言をいただきました。
 28日、最後の訪問先である中華民国外交部亜東関係協会では、蔡明耀秘書長及び李世丙副参事と面談し、孫文と南方熊楠との歴史的ゆかりや教育旅行を通じた台湾と和歌山県の交流促進に係る意見交換を行いました。蔡秘書長及び李副参事からは、「台湾と和歌山のさらなる交流促進に向けて、お互いに協力しながら連携していきたい」と発言があり、大変心強く感じました。
 2日目、29日の午前中は、国立台湾大学図書館にて世界的かんきつ分類学者であり附属図書館の初代館長でもあった田中長三郎先生の蔵書を整理・保存した田中文庫の調査を実施いたしました。岳修平教授、林維真副教授、図書館担当・黄さん、田中長三郎の研究をされている大学院生の修さん、実際に田中文庫を整理している李さんから現場を案内していただきながら説明を受けました。
 台湾で田中長三郎の業績は高く評価され、国立台湾大学内に田中文庫の設立に至っています。しかし、日本で彼の業績を知る人は少ないようです。全国有数のかんきつ産地、和歌山県では、海南市橘本神社の宮司を務める前山家と田中長三郎とが終生にわたり深く交流し、かんきつ産業の発展に尽力してきました。また、現在、大阪大学において、前山家で発見された田中長三郎との手紙等について研究が行われています。
 図書館の書籍は、温度、湿度管理はもちろん、クスノキでつくられた重厚な本棚に3800冊を保存しており、今後、全てをデータベース化するとのことです。それらの中には、1912年(明治45年)発行の「蜜柑乃紀州」があり、当時の有田郡保田村山田原飯盛山柑橘園の写真等の様子が記されていました。後でも触れますが、田中長三郎は南方熊楠とも交流を重ねてきています。田中長三郎と南方熊楠、そして孫文との歴史的ゆかりを通じた台湾と和歌山との関係について意見交換を行いました。その際、お聞きしたところ、2018年には田中長三郎の特別展示会を予定しているとのことでした。
 午後からは、商田實業有限公司にて、林けい森理事長、林璋い社長らと和歌山県産品の台湾への輸入状況についてヒアリングを行いました。食品関係では、和歌山県は徳島県と合同で現地高級スーパーでのフェアを開催しているが、もっとフェアの開催に力を入れてほしいとの話を伺いました。また、知事が来てトップセールスを行っている県は多いが、和歌山県の知事はまだお越しいただいてないので、くまモンに負けないように、きいちゃんとぜひ御一緒に来ていただきたいとの要望を受けました。
 引き続き、商田實業有限公司が和歌山県産品の取引を行うシティースーパー復興店にて、実店舗での和歌山県産品の販売状況を調査しました。シティースーパーは高級スーパーで、日本製品も多く取り扱っており、和歌山県産についても下津ミカンなどの生果や加工品、ジュース、しょうゆなどが取り扱われていました。
 商田實業から台湾産の柿の品質は上がっていると聞いたので、日本円で1つ300円もする台湾産の柿を試食してみました。見た目は日本の柿と変わらず、大きくて美しい。柿に張られているシールには平仮名で「おいしい」と書かれていて、台湾産と言われなければ日本のものと間違いそうでした。ただ、味は日本の柿のほうがよいと私は感じましたが、台湾産の柿の品質が上がっていることも感じました。
 11月30日最終日には、株式会社島精機製作所台北支店にて、香港現地法人営業推進室の北村さんから県内企業の台北での現況についてヒアリングを行いました。この台北支店は、台湾で繊維産業が盛んな中、東京支店よりも早く1986年に直営店として設置されました。
 繊維関係の企業について、台湾の会社は、日本でデザインを作成し、中国の工場で生産を行うパターンでしたが、生産地についてはベトナム、バングラデシュ、ミャンマー、カンボジア、インドネシアにシフトしているようです。
 最近はセーターの編み機以上に靴のアッパー部分の作製のための機械を年間数千台販売しております。台湾は、原材料になるナイロン、ポリエステルの生産量が多いということも要因でしょうが、靴産業が盛んで、特にスポーツブランド、アウトドアブランドのシューズでは、ナイキ、アディダスの7割から8割は台湾の会社が製造しています。それだけに、台北支店の機能は重要であり、アジアの拠点となっています。
 今回の調査では、大きく4つのテーマ、観光振興(特に修学旅行での交流)、田中文庫、和歌山県産品(特に輸出促進について)、そして県内企業の現況について調査を行いました。これらのことを今後の議会活動等を通じ、県勢発展のために生かしていく考えであります。
 最後に、対台湾について、和歌山県職員の皆様も少なからず現地に赴き、一生懸命に頑張っていますし、現地で高く評価していただいておりました。大変うれしく思いましたし、誇りにも思いました。これまでの取り組みにより、現地スーパーでは多くの県産品が定番化され、取り扱ってもらっているようなので、今後は、スーパーでのフェアに加え、販売先の幅をさらに広げていく取り組みも必要だと感じました。また、できれば担当の分野別に活動するのではなく、それぞれを連携させて活動するべきであるとも思いました。その上で、機会を捉え、知事のトップセールスが行われることを要望いたしまして報告といたします。
 どうか、知事、よろしくお願いいたします。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 グローバル化に対応した教育について、小項目1、台湾への修学硫行について。
 先ほど御報告させていただいたように、県の観光振興と農産物の販路拡大等を目的に台湾を視察してまいりました。その際、立ち寄った台湾大学には、田中文庫と称してたくさんの蔵書が置かれ、現地の方々によりとても丁寧に維持管理されておりました。
 この田中氏とは、南方熊楠と親交が深かった農学博士の田中長三郎氏であります。田中氏は、東京農業大学農学部、大阪府立大学農学部等の教授を歴任したほか、台北帝国大学農学部でも教鞭をとり、現在でも彼の中国語、日本語、英語による蔵書が台湾大学に残っているのです。これら彼の蔵書は、とりわけかんきつの分野で台湾の植物学と園芸学の研究に大きな貢献を果たしています。熊楠を語る上でも重要な人物が、台湾でその足跡を残していることは興味深いことです。
 グローバル化が叫ばれる現在、本県の高校生には、世界各国で活躍した本県出身の先人もしくはゆかりの人物が足跡を残した場所を訪問し、ふるさと和歌山への誇りを新たにしてほしいと思っております。
 台湾は、日本からの距離が近く、治安も安定し、親日家が多い地域であります。県立高校の修学旅行の目的地として最適な場所の1つだと考えます。今後、台湾へ修学旅行に出かける高等学校をふやすことができないか、教育長の見解をお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) ただいまの中本浩精君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) グローバル化が進展する中、高校生が海外を訪問し、他国の文化に触れたりさまざまな人々と交流することは、大変意義のあることだと考えております。
 修学旅行、研修旅行に関しまして、平成27年度の調査では、県立高等学校39校中8校が海外を訪れており、そのうち台湾を訪問したのは3校で、来年度は県立中学校1校も台湾への修学旅行を計画してございます。ほかに、交流を目的として台湾の高等学校との姉妹校提携等を結んでいる高等学校も3校あります。また、本年8月に開催されたアジア・オセアニア高校生フォーラムにおいても、台湾から生徒が参加し、本県の高校生と交流を深めました。
 議員御指摘のように、関西国際空港から台北へは約3時間と利便性がよく、また親日家も多く治安が安定しており、加えて、中国語のほか英語を使用する機会も多く、語学研修を兼ねた修学旅行の地としても適していると考えます。
 修学旅行先は各学校の教育目標や教育課程に照らして決定されますが、今後、和歌山と台湾との交流が一層進められるよう努めてまいります。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 教育長、どうもありがとうございました。
 教育長がおっしゃるように、若い世代である高校生たちが海外を訪問することは非常に意義があることだと思います。豊かな感受性で海外の国、地域のよさを感じ、交流を通して育まれた友情は息の長い国際交流につながります。さらに、日本のよさに目を向けることにもなるでしょう。各国・地域との友好関係を築くためにも、台湾を初め世界の方々との幅広い国際交流の機会を高校生が享受できるよう、よろしくお願いします。
 続いて質問させていただきます。続きまして、小項目2、小学校の英語教育についてお尋ねいたします。
 文部科学省は、平成25年にグローバル化に対応した英語教育改革実施計画を策定しました。また、計画の具体化のため開催された有識者会議では、報告書「今後の英語教育の改善・充実方策について」の中で、英語教育改革の提言もなされています。小学校からの英語教育をより進めるのは既定路線で、現在の小学5年生、6年生の外国語活動を、2020年からは外国語活動を3年生からとし、5年生からは教科化とするそうです。国は、アジアでトップクラスの英語力を目指すとのことですが、私は、小学校で英語を学ぶことはいいことだと思いますが、英語を早くから始めることで英語嫌いな子供たちが出てくることのないよう、とにかく楽しく学ぶことが大切だと思います。
 今後の小学校の英語教育の見通しはどのようになっていくのか、また、それに対して県教育委員会はどのような取り組みを行っていくのか、教育長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 小学校の英語教育については、現在、5・6年生の外国語活動において、英語を聞いたり話したりすることを通じて英語の音声や基本的な表現になれ親しませることなどを目標とし、年間35時間実施してございます。
 平成32年度から、全ての小学校で実施される次期学習指導要領では、現在5・6年生で行われている外国語活動が3・4年生で実施されることとなります。さらに、5・6年生においては、教科として外国語を年間70時間実施し、英語を聞いたり話したりする活動に加えて、読んだり書いたりすることも学習することとなります。
 このため、本県では、平成27年度より4年間で、全ての小学校の英語教育の中核となる教員を対象に、英語指導力の向上を図るための研修を行っているところです。この研修を受講した教員は、学んだことを自校の校内研修等で全教員に普及し、指導力の向上を図っております。
 今後も、小学校において子供たちが英語になれ親しみ、楽しみながら意欲的に学習できるよう取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ありがとうございます。今、教育長から御答弁いただきました。
 35時間から70時間になるというお話でございます。時間割も含めて、本当に大変だと思うんですが、子供たちが英語に関心を持って英語を好きになるよう、そして、英語を勉強してよかったなと思えるようなお取り組みをしていただきますように、よろしくお願い申し上げます。
 また、グローバル化が進む中、英語教育の目指すところは、単語を知っている、文法が得意というのも大変な大事なことだと思うんですが、英語を使って何ができるようになるかが大切だと思います。外国の方と話しして、相手のこと、相手の国のことを理解する、そして自分のこと、日本という国を知ってもらえるというのも目指すところだと私は思います。
 また、思いやりの心を込めて笑顔で挨拶すれば、おもてなしの心にもつながると思いますし、コミュニケーションにもつながっていくと思います。
 グローバル化に対応した英語教育改革実施計画にも、日本人としてのアイデンティティーに関する教育の充実がうたわれています。そして、英語教育改革の提言にも平成25年6月に閣議決定された教育振興基本計画にも、日本の歴史、伝統文化等を学びましょう、豊かな語学力、コミュニケーション能力、主体性・積極性、異文化理解の精神等を身につけましょうということが述べられていて、この点は私の思いも一致するところであります。
 もう少しつけ加えますと、日本の伝統文化には、親切、真面目、気配り、礼儀正しさ、そういったものがあると思います。
 そこで、要望といたしまして、グローバル化に対応した教育の充実とともに、日本人のアイデンティティーを育成するために、歴史教育、ふるさと教育、道徳教育についても一層の充実をよろしくお願いいたします。
 続きまして、紀淡海峡ルートについて、紀淡海峡ルートの必要性と実現に向けた取り組みについてお尋ねいたします。
 折に触れ県議会で取り上げられる紀淡海峡ルートについてお聞きします。
 直近では、昨年2月議会で門議員が最後の一般質問の中で取り上げています。また、山下直也議員が関西広域連合議会で、その必要性について質問していただいております。知事の答弁では、和歌山県のみならず、関西の発展、西日本の発展、ひいては日本の将来の発展のかなめとなるプロジェクトであるとのことで、その重要性、必要性を十分認識いただいています。京奈和自動車道の和歌山ジャンクションの完成を間近に控えるなど諸条件が変わる中、改めて県は、この紀淡海峡ルートの必要性をどのように認識しているのでしょうか。
 また、この紀淡海峡ルートというのは夢のプロジェクトであって実現ははるか先というのが実際のところだと思いますが、夢の実現に向かって情報発信を継続しなければ夢に終わりかねません。
 昨年2月議会では、知事から、国を初めとした日本全体に向けて広く情報発信し、提唱し続けるとの答弁があり、大変心強く思っていますし、また期待もしております。その情報発信ですが、ぜひ県民の機運も盛り上がるようなものをお願いしたいと思います。かつてほど紀淡海峡ルートの情報に触れることがない今、県民、特に若い方々は、こういうプロジェクトがあることを知っているのでしょうか。知事を初めとする県当局の思いを県民も共有してプロジェクトの実現に向けて取り組みを進めることが必要だと考えます。
 そこで、実現に向けた取り組みをどのように行っているのか、また、行っていくのか、あわせて企画部長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 紀淡海峡ルートの実現は、第1に第2国土軸としてリダンダンシーを確保するもの、第2に西日本の大動脈の代替機能を有する四国新幹線の実現を可能とするもの、第3に関西国際空港と大阪都心を結ぶ超高速鉄道の整備につながり関西国際空港の機能の強化に資するもの、第4に関西大環状道路や大阪湾環状道路の実現につながるものであり、和歌山県のみならず、関西、ひいては日本の発展のかなめとなる重要なプロジェクトであると考えています。
 実現に向けた取り組みについてですが、国において紀淡海峡ル-トに関する調査が平成19年度を最後に実施されていないことから、県では、国に対し、紀淡海峡ルートの早期実現につながる調査の再開や地域高規格道路の候補路線である紀淡連絡道路の計画路線への格上げなどを提案してきており、本年度も5月に提案を行っております。また、来年1月には、本県が中心となって堺市でシンポジウムの開催も予定しているところです。
 さらに、紀淡海峡ルートの実現に向け、平成27年9月に策定した和歌山県国土強靱化計画に位置づけるとともに、本年度策定している和歌山県長期総合計画にも盛り込むこととしています。
 引き続き、国に対し実現を粘り強く働きかけるとともに、シンポジウムの開催や県のホームページを通じた県民に対する情報発信など、機運の醸成に取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 企画部長、どうもありがとうございました。
 企画部長の答弁をお聞きしまして、県が紀淡海峡ルートの重要性について十分認識していただいていると確信しました。また、理解もしました。
 近年、本県では、重要なインフラが着実に整備されてきている中、次の段階として夢のあるプロジェクトが実現されるよう取り組むべきだと思います。先ほどの部長の答弁にもありましたが、国においては平成19年度を最後に紀淡海峡ルートに関する調査が実施されておらず、トーンダウンした感がありますが、このプロジェクトは今後の本県の発展を考える上においてぜひとも必要であると思います。県においては、調査の再開を国に対し強く働きかけていただくとともに、紀淡海峡ルートの実現に向けた取り組みを力強く進めていただくことを要望させていただき、次の質問に入らせていただきます。
 最後の項目になります。児童相談所について、小項目1、児童相談所の役割についてお尋ねいたします。
 大阪で児童が殺害された、殺害されていたという事件が続きました。過去にも、小さな命が奪われる、時にはその子が最も頼るべき人の手によりその命を奪われることもありました。どんな事故、事件も悲しい出来事ですが、このような事件は本当に悲しく、やり切れない思いが募ります。そして、過去にもあった同様の事件、そのうち幾つかは回避できたのもあったのではと考えたりもします。
 児童虐待では、各種機関の連携のもと適切に対応していただいておりますが、児童相談の一義的な窓口は市町村が担い、一時保護や施設への措置入所などが必要となる専門性の高い事例については児童相談所が対応していることと思います。
 近年は、児童虐待がマスコミ等をにぎわせることもあり、児童相談所は児童虐待に対応するところという捉え方があるかもしれませんが、児童相談所は、その名のとおり、児童、子供に関するありとあらゆる問題に対峙する施設だと考えます。
 児童虐待の芽を事前に摘むという対応も、市町村はもちろんですが、児童相談所の大いに期待される業務の1つです。その業務は、幅広い範囲を受け持ちながら専門的な要素もあります。もう1つつけ加えるなら、機械的ではなく心を持って対応していくことも必要です。
 そういう状況の中、十分な人員確保ができているのでしょうか。児童相談所の職員の皆さんは、それぞれの立場で頑張っていると思います。でも、児童相談所というのは、気軽には行きにくいような気もします。これは、相談の多くが重い内容で、家庭のプライバシーにかかわることで、できることならほかに知られたくないということが大きな要因だと思います。
 そこで、気軽に相談いただくようにどういった手だてをとっているのか、そして、私たちはあなた方の味方ですよ、困ったことがあればいつでも相談に乗りますよ、こんな対応をしていますよということも含めて、福祉保健部長の所見をお聞かせ願えますか。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県内の児童虐待相談件数は、年々増加傾向にあります。さまざまな相談や通報に対応するため、児童相談所においては、児童福祉司や児童心理司等の専門職員の増員、児童虐待緊急対応員の配置など、体制強化を図っているところです。
 しかしながら、虐待事案は、複雑な事情を抱え、解決に向けためどが立つまでに長い時間を要するものが多く、担当職員のもとに相談ケースとして積み上がり、多くの困難事案を抱えるという厳しい現実の中、相談所の職員は日夜業務に向き合っています。
 このような状況の中で、虐待対応だけでなく発達障害や非行に関するものなど、さまざまな相談への対応が必要となることから、議員御質問の心のこもった対応ができるよう、職員の実務経験に応じた体系的な研修を実施し、相談援助やカウンセリング等の専門性及び資質の向上に努めています。
 また、虐待の未然防止や早期対応につながる電話相談については、今年度から相談員により24時間対応で実施し、充実を図っています。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 部長、ありがとうございます。
 続きまして、小項目2、児童相談所の適正配置についてお尋ねいたします。
 児童相談所は、県内では和歌山市内に子ども・女性・障害者相談センター、田辺市内に紀南児童相談所、新宮市内に紀南児童相談所新宮分室と3カ所ありますが、十分なのでしょうか。
 児童相談所の敷居が高いのもだめですが、遠いのもどうかと思います。かなりデリケートな問題なので、電話の相談でよしとか、たまに行って相談でよしとはいかないと思います。市町村との連携でも、遠隔では面談よりは電話等が主となり、距離はきめ細やかな対応への壁となります。電話相談による体制を拡充したとしても、虐待事案など複雑な事情を抱える家庭への対応としては、専門的な知識を持った児童相談所職員による面談等が必要となる場合が多くあると思います。また、家庭とのかかわりが長期化し、継続的な対応が必要となることもあるでしょう。
 そのような中、県内の地理的状況も考えた場合、できる限り身近なところに児童相談所の窓口があることが望ましいのではないかと思います。
 バランスという点では、伊都・橋本地域に1カ所設置いただくのが適当と考えますが、いかがでしょうか。児童相談所の追加設置についての考え方を福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 議員御質問のとおり、県では2カ所の児童相談所と1カ所の分室を設置していますが、地域性を考慮の上、迅速な対応を行うための体制として、伊都振興局、日高振興局に児童相談所との兼務職員をそれぞれ配置しているところです。
 児童相談所の追加設置についてですが、これまで地域別の相談対応状況等を踏まえ、県全体の職員の適正配置を図ることで対応してきたところです。
 今後は、住民に身近な窓口となる市町村に対して適正な役割分担を行うための体制強化を働きかけるとともに、兼務職員を配置した振興局の機能強化に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 今、部長のほうから2項目について答弁をいただきました。
 初めに申しましたとおり、痛ましい児童虐待は年々増加を続けています。聞けば、和歌山県でも、児童相談所に寄せられる虐待相談件数はここ5年で倍増しているとのことです。一方で、対応する組織体制は十分であるのか、研修、研さんによって個人の能力を向上しても限りがあるのではないか、個別状況もいろいろあるし、社会的な注目にさらされている職員の緊張感は察して余りあると感じています。児童相談所の職員の精神的なストレスも気になるところです。ぜひ、体制の充実強化に取り組んでいただきたいと思います。
 さらに、物理的距離を改善させるため、新たな児童相談所とまでは申しませんが、伊都・橋本地域にも分室機能を持たせ、相談体制の強化をお願いしたいと再度申し上げ、要望とさしていただき、質問を終わらしていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。

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