平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(菅原博之議員の質疑及び一般質問)


平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(菅原博之議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕(拍手)
○菅原博之君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、しばらく私の質問におつき合いいただきたいと思います。
 本県では、ただいま新長期総合計画を作成中でありますが、皆様もそうであるように、私なりに本県の将来のあるべき姿をいろいろとこの機会に思い描くことができたと思っております。それと同時に、10年後の本県も、やはり今の本県の延長線上から逃れることはできないと改めて認識しなければならないと思っております。そういう観点から、最も大切なことは、今どう一歩を進めるかということであります。
 10年後の和歌山県は、何で発展しているのか、何で食べているのかを考えたとき、次の3つの行動が非常に重要だと思っております。1つ、農林水産業を新技術でてこ入れする、2つ、観光に知恵を絞り、インフラ、環境を整備する、3つ、産業界の新たな動きや資源に注目し、新技術にアンテナを張り、有望なものを本県に誘導すべく働きかけを行う、この3点について、将来の和歌山をどうするのかという観点から本日は質問させていただきたいと思います。
 1番目の農林水産業を新技術でてこ入れの部分では、先日発表の新政策においても、農業への新技術としてロボットやドローンについても触れられておりましたが、本日は林業を取り上げたいと思います。
 まず、前提の話としまして、先々月になりますが、私が委員を務めさせていただいている農林水産委員会では、立谷誠一委員長のもと7名の委員が県下の林業水産業さんのもとへ実情視察にお伺いさせていただきました。
 その際の、すさみ町に工場を置いておられる県下最大手クラスの木材業者さんのお話のポイントですが、仕入れ面で紀州材をもっと仕入れたいが、市場へ出荷される量が少なく、やむを得ず他県から木材を仕入れている、また、紀州材の扱い量は全体の15%であるということ、そして、販売面では、国産材と輸入木材の価格差はおおむね10%国産材価格が高いだけというお話で、なぜ紀州材の市場への出回りが少ないのかとの理由について業者さんの分析では、急峻な山の地形、搬出路の未整備、山林労働者の不足が大きいとのお話でありました。
 ここでのお話では、紀州材は市場で売りにくいから切り出さないというのではなく、切り出せば売れるのに切り出せないという現状があるということになります。急峻な山の地形、搬出路の未整備は機械化を一層進めて対応していくほかはありませんが、山林労働者の不足という点は構造的な課題と言えると思います。
 そこで、本日は、現地に一緒に足を運んで実情をお聞きくださいました農林水産部長に、作業従事者の賃金はどうか、安定した収入状態なのか、イメージ、定着率はどうか、また、農林大学校林業研修部の募集に対して応募状態はどうなっているのかをお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの菅原博之君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 県内の現場作業員の賃金は、日給月給制による支払いが大半を占めている状況であり、毎月の収入は天候に左右される状況となっております。このため、雨天が続く時期については、仕事量が少しでも安定するように、事業体において下草刈り等、雨天時でも対応できる作業を整え、仕事量の確保に努めているところです。また、林業は、きつい、汚い、危険の3Kのイメージが強い産業ですが、現在は高性能林業機械の導入、作業道の整備等が進み、労働強度の軽減が図られています。
 新規就業者の定着状況につきましては、国が実施している緑の雇用事業における新規就業者に対する研修修了者のうち、3年後も就業している者の割合は、直近5カ年の全国平均が約7割、本県の平均は約8割となっており、全国平均よりも高い定着率となっています。
 今後、戦後植林した森林が伐採期を迎え、増産が求められる中、作業道の整備や機械導入等の基盤整備に対する支援を引き続き積極的に行い、収益を拡大することで、さらなる労働条件の改善が図られるよう事業体に働きかけてまいります。
 来年4月に開設する農林大学校林業研修部林業経営コースにつきましては、定員10名の募集に対し、11月に実施した前期選考試験の応募者は5名で、全員が合格いたしました。後期選考試験につきましては、1月16日から願書の受け付けを開始しますので、引き続き広く応募を呼びかけてまいります。広報活動としては、県内のハローワークやふるさと回帰支援センターでの1日相談ブースの設置、高校訪問等、積極的に実施してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。なかなか厳しい状況だと認識いたします。
 林業というものは、伐採しただけでは終わらずに、その後の植栽、また成木になるまでの下草刈りなどの手入れや、いろいろな費用がかかってまいりますので、ただいまの農林水産部長の御答弁の中にもありましたが、事業体の収益を改善することが抜本的な解決であろうと考えます。
 つまり、商売としてたくさん出荷して、十分な利潤を生む産業に育てなければなりません。そして、その利潤からしっかり納税していただく、和歌山県の将来のために、ぜひ林業が元気になってもらわなくてはなりません。
 そこで、次は、紀州材の魅力を高めるために現在行われていることの評価について、再度、農林水産部長にお尋ねしたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 紀州材の魅力を高めるために現在行われていることについてですが、県では、紀州材・家づくりフェアやわかやま木の家コンテストの開催など、紀州材による家づくりのPR、また、首都圏を初めとした県外の大消費地における展示会への出展など、販路開拓に向けた取り組みを行っているところです。
 各イベント開催に際しましてはアンケートを実施しており、ユーザー側から、色艶がよい、強度がある、耐久性があるなどの回答が寄せられていることから、紀州材は見た目も性能もすぐれた製品として認知されており、事業の効果が上がっているものと考えています。
 その一方で、国内他産地や外材との競争はますます厳しくなってきており、さらに住宅着工戸数の減少が見込まれていることから、今後、紀州材の利用を進めていくためには、これまでのPR活動や販路開拓に関する取り組みを継続していくことに加え、最終ユーザーである一般消費者に直接紀州材の魅力をPRするための取り組みを強化する必要があると考えています。
 そのため、県では、一般消費者に近い工務店や建築士など、住宅供給者側から紀州材を使った家づくりの魅力を伝えていただく体制づくりのため、本年10月1日より紀州材の家づくり協力店登録制度を創設したところです。また、首都圏など大消費地において紀州材ファンとなる建築士を開拓していくための取り組みなどを通じて、一般消費者に対して紀州材の魅力を御理解いただけるような機会の創出に努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。他の業界では本来は業者さん側の団体が行う内容までもよく網羅された取り組みだと思います。行政の御努力が実るようにと思っております。
 その上で、御答弁にあったように、国内他産地との競争という厳しい現実も出てまいります。私は、紀州材の印象を強烈に訴えるには、住宅建築のみならず、近代的な施設、ビルに効果的に紀州材を使うべきだと考えております。
 ただ、使用するということでは、国の法律でも促進をうたっておりますが、ここは特に紀州材の魅力を見せる、印象づけるという観点が必要だと思います。
 御提案させていただきたいのですが、今後、県関連施設では、フロアなり階段なり、どこか1カ所以上のスペースに紀州材の魅力を建築で訴求する場を必ず設ける。それを、今植えつけた紀州材の苗が立派に育つのを待つように、今後50年ぐらいは続ける。そうすることによって木造建築の新たな施工技術も開発されてきましょうし、少なくとも施工業者さんとして建築に参加を希望する業者さんは、紀州材の魅力を生かすことに知恵を絞ることになります。その際、得た知見は、他の建築物にも生かされることになると考えられます。
 質問は、単に木造利用促進ではなく、県関連施設の新築に際し、必ず木造の魅力をアピールし、見えるところにそういう部分を設けることにしてはどうかということでございます。30年、40年先の知事も引き続き取り組んでいただけるようなよい循環を、ぜひ今始めなければならないのではないでしょうか。
 この点について、知事の御見解をいただきたいと存じます。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県の林業振興のためには、紀州材の利用推進が不可欠でありまして、そのためには県が率先して紀州材を使い、その魅力を発信していく姿勢を示さなければならないと考えております。
 県では、平成22年10月に施行されました公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づきまして、平成24年2月に和歌山県木材利用方針を策定いたしました。この方針においては、県が整備する公共建築物で、耐火性能が求められない低層の建築物は原則として木造化を図ることとし、木造化が困難であっても、内装等利用者から見える部分に可能な限り紀州材を使用するよう配慮しているものでございます。
 県では、これまでに秋葉山公園県民水泳場、和歌山県土砂災害啓発センターなどにおいて、紀州材を構造材や内外装材に利用してまいりました。特に秋葉山公園県民水泳場はすばらしいデザインの木造による内装が有名でありまして、就任、実は1日目であったんですが、現在の鈴木長官がお見えになって、「自分が見た水泳場の中で、これが一番きれいだ」というふうに言うてくれた、そういうものでございます。
 したがって、デザインとか魅力とか、紀州材を使ってどういうふうにアピールするか、いいモデルをつくっていかなきゃいけないという点については、議員御指摘のとおりだと思います。
 そういう観点からは、今、公共建築物の話を申し上げましたが、住宅においてもいいアイデアで、物すごくいいデザインで、機能的なものをおつくりになった、そういう業者さんの作品をコンテストで選んで顕彰しているというようなこともやっております。
 今後の施設整備に当たっても──これは公共建築物の観点ですが──紀州材の特性をより一層生かした木造、木質化を積極的に進めていくことで、その魅力の発信に努めてまいりたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。全く同感でございますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、県議会でもたびたび取り上げられているメタンハイドレートについてお尋ねいたします。
 当初は、2008年までに探査技術の基礎的研究、つまりどこに存在するか探す技術の基礎研究、2015年までに生産技術の基礎的研究、2018年までに商業的産出のための技術の整備、つまり技術基盤の整備が2018年に完了するという開発計画でありました。しかしながら、取りかかってみるといろいろな壁に突き当たっているようですし、最近は日本海側にも有望な地点の存在が言われ、日本海側の自治体も日本海連合などの動きがあるようにお聞きします。
 今後、この資源の有効な分布状況の把握と、産業界、自治体の動きが気になるところでありますが、本県として、メタンハイドレートの資源利用のための動きと、国、関係団体への働きかけはどうなっているのかを商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) メタンハイドレートの技術開発につきましては、その前提として、海底地下構造の把握、採掘、貯蔵、輸送などの各工程において多岐にわたる高度な技術が必要であり、これまで国による調査研究が実施されてきたところです。
 具体的には、海洋基本計画に基づき、メタンハイドレートの存在形態である砂層型と表層型に分けて、商業化に向けた工程表が策定されております。砂層型については、平成25年に世界初の海洋産出試験が実施され、現在、その試験で明らかになった技術課題に対する解決策が検証されているところです。また、表層型については、平成25年度から平成27年度にかけて資源量把握の調査が実施され、今後、その調査結果に基づいて、回収技術の調査研究等が実施される予定であると聞いております。
 本県では、以前より熊野灘沖においてメタンハイドレートの存在が示唆されていることから、県の漁業調査船を活用し、経済的な方法で表層型の賦存状況調査を平成24年度から実施してきているところです。この調査によって、メタンハイドレートが存在する可能性が強く示唆されるプルームが複数観測されています。
 和歌山県沖でメタンハイドレートの採掘や開発が行われるというチャンスをつかむため、これまでも国に対する要望を行ってきたところであり、今後とも県独自の調査による成果を積み上げていき、国への働きかけを続けてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。ぜひ採掘開発拠点を和歌山県に持ってこれますよう、御努力お願いいたします。
 次に、テレワークの本県普及についてお尋ねいたします。
 テレワークは、地方にお住まいの方もインターネットを通じて都会の企業の仕事を受注することが可能で、各自のスキルを磨くことによって、すき間時間を利用し、小さな子供や御家族のそばを離れることなく収入を得ることができる利点と、どこへ移動してもインターネット環境さえあれば仕事ができることから、地方創生や移住者へのアピールとして極めて有効であると考えます。
 現に、府県単位や市町村が業者側と連携して取り組もうという動きになっており、自治体単位でフリーランス支援窓口やフリーランスの経営塾、フリーランス特区として地方創生交付金を活用したさまざまな優遇処置を打ち出そうという自治体も出てきております。10年先には在宅で都会の仕事が盛んにできている和歌山県になれば、いろいろな面で新しい展開も可能になりましょう。
 本県でも、先ごろテレワークフェアを開催されましたが、今後のテレワークの本県普及について、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 県では、テレワークを推進するため、11月末に和歌山市、田辺市でわかやまテレワークフェアを開催したところ、子育て世代の女性を中心に300人以上の方の参加をいただきました。
 今回のフェアでは、インターネット上で仕事を発注する企業と仕事を請け負う個人をつなぐハローワーク的な業務を営む大手クラウドソーシング事業者4社から、クラウドソーシングを利用した仕事の仕組みやサイトへの登録方法、どうすれば仕事を受注できるかなどの説明を受け、参加者からは、すき間時間を使って働けるのは魅力的だとか、これならやれそう、すぐ登録したいといった前向きな声が寄せられました。
 この仕組みは、事業者サイトへの登録後、自分自身で仕事をとりに行く必要があるため、受注率の高い先輩ワーカーからそのノウハウを学ぶフォローアップ研修を来年2月に実施することとしております。
 また、議員御質問のとおり、テレワークは地方創生にも効果が期待されていることから、フェアにあわせて市町村の担当者職員に向け、事業者から先進事例等を紹介するセミナーも開催したところです。
 引き続き、セミナーや研修会の開催、情報提供など、テレワークの周知普及に取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 子育て中の若い世代を中心にして、年配の男性までかなりの層の方の関心が高いと感じております。さきのフェアでは、前もってネットで予備知識を持って参加されていた方も多かったと思いますので、次回はさらに実際の実入りなどに関して突っ込んだセミナーを期待しております。
 そして、要望させていただきたいのですが、テレワークは移住希望者にも収入の助けになる重要なツールとなります。移住希望者へのテレワーク取り組みのアピールと、昨年6月議会でも訴えさせていただきましたが、過疎地にかかわらず、本県都市部への移住促進の取り組みもお願いしたいと要望いたします。
 次に観光についてですが、今、国会ではIR法、カジノを含む統合リゾートの法案が審議されておりますが、そのこととは別の観点から、視点からお尋ねいたします。
 外国から来られる観光客は、日本を知りたい、味わいたいとの思いでもいらっしゃいますので、最初は東京や京都に行って一通りのものを見ても、次は本来の日本を知る意味で文化に触れる体験をしたいという方が多くいらっしゃいます。そのことがより旅の印象を残していただけるのだと思っております。
 そこで、商工観光労働部長に、外国人旅行者に対する体験型観光の取り組みについてお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 外国人観光客の旅行形態が団体旅行から個人旅行へと変化する中、フルーツピッキングや平安衣装体験などの体験型観光が経験豊かなリピーター層を中心に人気を集めています。こうした背景もあり、県では、海外へのプロモーションと受け入れ環境の整備に取り組むことが重要と認識しております。
 具体的には、県内の体験型観光について、多言語ウエブサイトやガイドブックで紹介するとともに、海外の旅行会社やメディアの視察支援の際に直接現地を御案内し、ツアー造成や情報発信を働きかけております。本年10月には、県内体験型観光事業者を対象に、和歌山県体験型観光インバウンド受け入れセミナーを開催したところであり、受け入れ環境の向上にも取り組んでおります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 私は、来年度の新政策で神話の時代から近代に至る歴史ストーリーと資産を100の旅モデルにより発信するとお聞きしたとき、大変よいことだと思いました。当然、その中には、外国人にも日本人にも喜んでいただける体験型の観光も取り入れていただけるものと期待しておりますが、そのことについて商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 体験型観光の推進は、観光客が訪問先での滞在時間を延ばし、消費拡大やリピーター増加のために重要であると認識しており、現在、自然、農業、漁業や歴史文化など、地域資源を生かした約350のプログラムをパンフレットやホームページなどで情報発信を行っているところです。それに加え、雑誌や新聞、テレビなどでも和歌山ならではの体験を紹介しています。
 議員御提案のとおり、歴史ストーリーや資産のみならず、地域素材を生かした食や地元の人と交流できるような体験などを取り入れ、観光客が楽しめる旅モデルにしたいと考えています。その中で、例えば写経や漆器まき絵体験など、外国人にも興味を持っていただけるものも盛り込んでいきたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 さて、外国の方への観光という視点で話を進めてまいりましたが、観光の視点、県民の公園という視点から、紀伊風土記の丘についてお話をさせていただきたいと思います。
 県立の博物館施設ということでありますが、その敷地内は県民が自然と触れ合う憩いの場ともなっており、東西に1周3キロ、約80分の長円形の周回コースが設けられております。その周回コースには、車に乗って遠方わざわざ散歩にいらっしゃる方も多く、年配の女性も1人で歩かれている方が結構いらっしゃいます。
 西と東に休憩所があり、それぞれの休憩所から本館の博物館までは30分は徒歩を覚悟しなければなりません。その休憩所に簡易トイレが各1基設置されているのですが、くみ取り式のトイレであり、当初は照明も手洗いもない状態でありました。昨年、その状態を写真にして文化遺産課さんにお願いし、乾電池式の照明を取りつけていただいたところであります。
 その後も利用者さんからの要望を入れていただいて、すりガラスの窓や手洗い用にドラム缶に水をためて下に蛇口をつける対応をしていただいております。機敏にすぐ対応していただいていると評価しておりますが、このコースにもし観光のお客様をお連れして歩くという体験をしていただくにはどうでしょうか。乾電池式の照明は今でも薄暗く、曇りの日には、床に虫がはっているのかどうかさえ確認できる状態ではありません。年配の方はトイレも近く、歩いて我慢するのはつらいものであります。
 一方で、友ヶ島のハイキングコースには、出発点から1時間近く歩いた山の中に立派なバイオ技術を取り入れた循環式の水洗式トイレが設置され、ソーラー発電で明るい照明も完備しております。調べますと、バイオトイレというものは、浄化槽ももちろん下水も不要で、くみ取りも不要の水洗トイレというものであります。さらに、ソーラー発電の照明も含めて、そういうトイレは熊野古道の道中にも設置されております。
 世の中にそういうトイレが存在すると知れば、それも近くに普及してくれば、それが基準になってしまうのが世の常でありますので、ぜひともお願いいたしたく、国際化の観点から紀伊風土記の丘の周回コースのトイレ設備充実について改善されるお考えはあるのか、教育長にお考え、お伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 園内のトイレにつきましては、資料館前のレストハウスに水洗式の多目的トイレを設置してございます。また、園路については、1周約3キロメートルであることから、山上の東西2カ所に簡易トイレを設置してございます。この簡易トイレについては、利用者の方からの要望もあり、ガラス窓やライトを設置することで採光を確保したり、施錠方法の改善や手洗い場の設置なども行ってまいりました。
 今後は、さらなる環境整備として、特別史跡岩橋千塚古墳群の文化財的価値を踏まえた水洗化など、設備改善の実現方策を前向きに検討してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。ぜひ、前向きによろしくお願いいたします。
 次に、最後に特殊詐欺対策についてお尋ねいたします。
 先ごろ、私どもの住宅地区では、敬老の日のイベントとして、地区老人の皆さんに特殊詐欺の被害に遭わないよう、所轄の警察署にお願いし、生活安全課さんによる講演をしていただきました。その内容は非常に役立つもので、そういう手口を知っていなければ、老人といわず、この会を主催した若い役員たちでもだまされるのではないかと思う内容でございました。
 そこで、改めて県警の皆さんや生活安全課さんの取り組みに敬意を表しますとともに、県警察本部長に本県での特殊詐欺の実態と県民に対する注意喚起についてお尋ねしたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 警察本部長直江利克君。
  〔直江利克君、登壇〕
○警察本部長(直江利克君) 本県における特殊詐欺の被害状況につきましては、11月末現在の被害総額は約1億9169万円で、前年同期と比較して約1億3155万円、約40.7%減少しているものの、認知件数は62件と12件増加しております。
 手口別の認知件数は、市役所職員等をかたった還付金等詐欺が13件と、昨年同期と比較して11件増加しているほか、オレオレ詐欺が16件、架空請求詐欺が29件、融資保証金詐欺が2件、金融商品等取引名目の詐欺が1件、その他1件となっております。
 また、特殊詐欺の被害の約7割を65歳以上の高齢者が占めているのが現状です。特殊詐欺の県民に対する注意喚起につきましては、被害の大半を占める高齢者を中心として、さまざまな機会を捉えて推進しているところであります。
 1つは、いわゆる水際における注意喚起であります。金融機関において、高齢者の方が高額出金をなさる場合に、だまされているのではないかと注意喚起するため、110番通報していただいて臨場する制度を運用しております。この制度により、本年も既に14件の詐欺を阻止したところであります。
 また、現金型被害防止のため、コンビニエンスストア、宅配事業者及び郵便局におきまして、荷物の引き受け時にだまされていないか注意喚起をするために、送付型被害防止シールを配布し、連携を強化しております。
 さらに、特殊詐欺を認知した場合や予兆電話が多発した場合などには、タイムリーな注意喚起を行うために、きしゅう君の防犯メールを配信するとともに、県内のラジオ放送局に振り込め詐欺等注意報の緊急放送を依頼するなどしております。
 そして、何よりも、平素から対象となりやすい高齢者に詐欺への抵抗力をつけていただくことが大事であります。県警としては、巡回連絡、防犯教室、老人クラブの会合等の機会を利用して防犯指導しているところでありますが、最新の手口をタイムリーに伝え、抵抗力を一層高めていただく方策の推進を検討しているところであります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 私は、この注意喚起の部分については、県の組織を挙げて取り組んでよいのではないかと思っております。特に県広報の方には、県警さんからの情報を「県民の友」などで紹介したり、今こういう手口が出てきたから気をつけてくださいよなどの注意喚起を県警さんと一体となって取り組むべきだと考えておりますが、特殊詐欺について県広報の協力体制はどうか、環境生活部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 環境生活部長日吉康文君。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 県の協力体制につきましては、県警察が平成26年に発足させた和歌山県特殊詐欺被害防止対策協議会に参画し、関係機関と連携しながら特殊詐欺対策に取り組んでおります。
 県の広報活動といたしましては、高齢者を初めとした県民にその被害状況や手口に関する具体的な情報を提供することが重要と考えており、「県民の友」や県内市町村、防犯ボランティア向けに発行する「わがまち和歌山安全ニュース」などにより広報・啓発するとともに、県警察と協力して展開する防犯ボランティア交流会や高齢者交通安全講座など、さまざまな機会を通じ、特殊詐欺被害防止を呼びかけております。さらに、今年度は、特殊詐欺や悪質商法などの電話による被害の防止を図るため、県警察や協力市町と連携し、高齢者世帯を対象に373台の通話録音機を無料で貸与したところでございます。
 県といたしましては、引き続き関係機関と緊密に連携しながら、「県民の友」を初めテレビ、ラジオ等の広報媒体も活用し、県民の安全・安心な暮らしに資する時期を得た啓発を行ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。これで、私の質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、菅原博之君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時31分休憩

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