平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第228号から議案第233号まで、議案第237号、議案第238号及び議案第240号は、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第226号から議案第249号まで、並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 3番森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 おはようございます。森礼子です。12月議会の1番目の質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従って質問をいたします。
 初めに、新長期総合計画と平成29年度の新政策について伺います。
 いよいよ、我が国は、本格的な人口減少時代に入りました。さきの平成27年国勢調査では総人口が初めて減少となり、構成比では15歳未満人口が12.6%に低下する一方、65歳以上人口が過去最高の26.6%となるなど、少子化、高齢化はますます進んでまいりました。また、経済、社会のグローバル化が進み、新興国市場の存在感が増すとともに、IoTや人工知能、ロボット等の技術革新が我が国の産業構造や国民の生活に大きく影響してまいります。加えて、近年の地震・津波等の大規模自然災害の相次ぐ発生は、災害対応や国土形成のあり方、国民の防災・減災に対する意識を大きく変えることとなりました。
 このような時代の潮流の変化に対し、安倍総理は就任以来、日本再興戦略、地方創生、国土強靱化、一億総活躍社会といった重要な政策を矢継ぎ早に打ち出し、着実に政治を進めてまいりました。また、本年8月には、28兆円もの未来への投資を実現する経済対策を決定いたしました。関連経費を盛り込んだ補正予算がおよそ2カ月で成立したのも、国として真剣に取り組む姿勢のあらわれだと高く評価しています。
 一方、本県では、人口は全国に先駆けて昭和60年から減少に転じ、若年層の県外転出が続いています。さらには、30%を超える高齢化率、南海トラフ地震を初めとする大規模自然災害の脅威など、大きな課題を抱えています。しかしながら、本県は、京阪神や関空に近い、太平洋に面しているといった地政学的に有利なことや豊かな自然、歴史、文化など、将来の発展につながる高いポテンシャルを有しています。多くの課題を克服し、持てる強みを生かして本県を活性化するためには、時代の変化に応じたビジョンをつくり、県民の皆様に示して、一丸となって取り組んでいくことが何より重要です。
 さきの6月定例会において知事が答弁された、大きな状況変化に対応するため、改めてこの先10年間の戦略を一から練り直し、県民の皆様にその総合的な指針を早期に示すことが重要であるというふうなお考えに、私も大いに賛同するところであります。
 県当局では、4月早々に知事を本部長とした新長期総合計画策定本部を制定し、県内の数多くの関係団体や市町村長、並びに県外の有識者の方々からさまざまな御意見をいただいたと伺っております。我々自由民主党県議団も、早速意見を取りまとめ、7月22日、県当局に提言するとともに、9月には、行政改革・基本計画等に関する特別委員会において示された素案に対して、出席者からさまざまな意見が述べられたところであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 今定例会の冒頭で、知事から、徹底した議論を重ね、新長期総合計画の原案を作成し、次の特別委員会において説明する旨の説明がありましたので、この場での詳細な質問は控えますが、これまでの議論を踏まえ、新長期総合計画の作成に当たってどのような本県への将来像を描こうとされているのか、知事の思いをお伺いいたします。
 また、平成29年度は、作成中の新長期総合計画の初年度に当たる重要な年であります。県当局では、夏以降、新政策の議論が進められていると伺っています。平成29年度新政策について検討するに当たり、新長期総合計画に掲げる目指す将来像も踏まえ、知事にはこれまでとは違った強い意志もあろうかと思います。その知事の決意についても重ねてお伺いいたします。
 次に、財政運営についてお伺いします。
 新政策を進めていくためには、持続可能な県政を心がけ、財政の健全性を損なわないような財政運営を行っていく必要があります。
 そこで、新政策を推進しながら県財政の健全性を確保するため、新年度予算においてどのように財政運営をされようとしているのか、知事にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの森礼子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県では、全国より速い流れで人口減少が進む中、持続可能で元気な和歌山県を実現するためには、繁栄を取り戻し、人口減少に一定の歯どめをかけることはもちろんのこと、世界に誇る豊かな自然や伝統ある歴史や文化、都会にはない暮らしやすい環境を生かし、全ての県民が安心して楽しく暮らせる社会を実現することが何よりも重要であります。
 このため、子供を産み育てやすい環境をより一層充実するとともに、県民の経済的な安定を生み出す雇用の場を確保し、多様でバランスのとれた産業構造を実現することが必要であります。また、経済、社会のグローバル化が急速に進展している今日、県民や県内企業が世界の中でみずからの位置づけを強く意識し、和歌山に愛着と誇りを持ちながら、世界を相手に幅広く活躍していくことも重要であります。
 このため、故郷和歌山を愛し、みずからの未来を切り開くことができる子供を育てるとともに、全ての産業が世界に広がる市場に積極果敢に挑戦し、また、世界から多くの人・物を受け入れる環境を整えることが必要であります。
 さらには、1人の犠牲者も出さないという決意のもと、南海トラフ地震を初めとする大規模な自然災害への対策もなお一層強化していくとともに、県民生活のさまざまな面で安心・安全な生活を守り、とうとい命を守る和歌山を実現することも大事であると思います。
 そこで、新しい長期総合計画は、本県の将来像を「世界とつながる 愛着ある元気な和歌山~県民みんなが楽しく暮らすために~」とし、「ひとを育む」、「しごとを創る」、「いのちを守る」、「くらしやすさを高める」、「地域を創る」という5つの分野で、それぞれ必要な施策の方向を明確に示したいと思いますし、その目指す将来像は必ず実現させるという強い決意で臨んでいるところでございます。
 このため、御指摘のように長期総合計画の初年度となる平成29年度の新政策につきましては、昨年策定いたしました和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略に立脚しつつ、新たな長期総合計画の策定の中で示そうと考えている政策を、固定観念にとらわれない大胆かつ斬新な発想をもって具体化してまいりたいと思います。その際には、本県の社会構造の変革に結びつくような仕掛けづくりを行っていかなければいけないというふうに思っております。
 全体の概要は今議会の冒頭説明のとおりでございますが、特に力を入れていきたい新たな取り組みとしては、まず、少子化対策についてより一層傾注してまいりたいと考えております。具体的には、社員の結婚を積極的に応援する企業・団体を組織化し、企業交流型の男女の出会いの場を提供する仕組みを構築するとともに、独自の子育て支援制度を設けている企業を登録、顕彰し、すぐれた取り組みを県内全域に普及させることで、社会全体で結婚や子育てを応援するという新たな文化を全県的に創出したいというふうに思っております。
 また、現在の人口減少社会において、経済活動や社会活動に必要な労働力を確保するためには、高齢者や女性の活躍が不可欠であります。そこで、高齢者がこれまで培ってきた専門的な技能や知識を生かして活躍できるよう、社会ニーズの掘り起こしと人材マッチングの仕組みを構築したいと思います。
 あわせて、女性の挑戦への意欲を引き出すため、女性の継続就業等に率先して取り組む企業・団体を組織化するとともに、女性の就活サイクルをつくり出していきたいというふうに思いますし、また同時にその際、一旦職を離れた人や、あるいは職を変わろうとする人、特に、大都会でしばらく働いて、そろそろこの辺で故郷に帰ってもいいかなあと思ってる人も、和歌山での就職が容易に行えるような、そういうこともあわせて考えていきたいと思っております。
 さらには、年齢を重ねてもそれぞれの希望に応じて社会生活できる80歳現役社会を実現する。そのためには先ほど申しましたような活躍の場を提供する仕掛けが必要ですが、同時に、健康づくりのために、全ての県民が多様な健康づくり活動に参加しながら楽しく健康増進を図る仕組みを構築し、健康増進県民運動を県内全域に構築してまいりたいと考えております。
 これらの政策については、一朝一夕には実現できない政策であると考えておりまして、現在も鋭意検討を重ねているところでございますが、将来の和歌山を見据え、困難に立ち向かい、本県が目指す将来像の実現に向けた礎となる新政策であろうかと思いますので、いいものをつくり上げ、かつ予算原案を作成して、2月の県議会に出さしていただきたいと思っております。
 続きまして、財政運営でございますが、これは10年前にありました──あのときでいうと2年半でパンクとか、そういう危機は脱しておりますけれども、まだまだ手放しで安心というわけにはいきません。そこで、限りある行政資源を効率的、効果的に配分するために、既存事業についてはマイナス5%のシーリングを実施するとともに、選択と集中及びスクラップ・アンド・ビルドの方針を徹底して、全ての事業について一層の見直しに取り組んでいるところでございます。
 また、引き続き県税の確保等に努めるとともに、国の予算編成の動向に留意し、さまざまな財源の確保策を講じていきたいと思います。
 このように、来年度の新政策を着実に実行しながらも財政の健全性を確保し続けるような、そういう財政運営を行っていきたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、和歌山県の子育て支援について質問いたします。
 新聞報道によると、厚生労働省は、来年度から共働き世帯などが早朝や夜間でも子供を見てもらえるよう、国がベビーシッターの利用料を半額補助するほか、子育てサービスの拡充をするとされています。
 県内の保育所では、延長保育を含めて午前7時から午後7時までしか預かってもらえないところが大半です。このため、希望する仕事が早朝など会社の時間中に迎えに行けない場合は、近くの保育所で定員にあきが出たとしても待機児童になるケースがあるとのことです。低価格で時間外にベビーシッターを使うことができれば、働き方も柔軟性が増し、生活しやすくなる家庭もふえるのではないでしょうか。
 具体的には、ベビーシッターやファミリーサポート事業などの利用料の一部を補助する方向で検討がなされています。国に加えて市町村が独自に上乗せし、さらに補助率を高められるようにするとのことです。この補助スキームであると、県費負担の必要はないかもしれませんが、国の動向を的確に把握し、実施主体となる市町村への周知など、万全を期していただきたいと思います。このことについては、要望にとどめておきます。
 私は、女性が輝く社会の1つの柱として仕事と子育ての両立は不可欠であると訴え、質問してまいりました。政府も、私が訴えてきたとおり、仕事と子育ての両立に励む人の声を酌み取り、財政支援も強化されようとしています。
 今回の新政策の「少子化をくい止める」には全く含まれていませんでしたが、子育て日本一を掲げる本県が胸を張って日本一だと言えるように、積極的に取り組んでいただけることを期待して質問いたします。
 まずは、待機児童解消の取り組みの強化について、前議会で福祉保健部長から、3歳未満の利用希望の増加や昨年10月1日に215人の待機児童が発生したことを受け、年度途中でも産休明けや育休明けにスムーズに入所ができるよう市町村に受け皿整備を強く要請するとともに、保育士修学資金等貸付事業の準備、さらには国の補助制度を活用した企業内保育所の整備を推進し、より一層待機児童解消に取り組んでいくとの答弁をいただきました。
 そこで、待機児童の現状と来年度の取り組みの強化についてお伺いします。
 本年4月1日には10名であった本県の待機児童は、10月1日現在では何人となっているのでしょうか。現状を踏まえ、今後どのような取り組み強化を考えているのか、福祉保健部長に伺います。
 次に、病児・病後児保育の充実について。
 本年2月と前議会において、病児・病後児保育の充実のための国の財政支援の強化について具体的に指摘しておりますので、繰り返しませんが、アンテナを高く、国の財政支援をうまく活用していただくとともに、県費負担にも御配慮いただき、今後の病児・病後児保育の充実について、福祉保健部長に伺います。
 次に、児童相談所の機能強化について。
 親の虐待による幼い子供の死亡についての報道が後を絶ちません。また、児童相談所における児童虐待相談件数が増加しています。本県でも、平成23年度653件、平成24年度714件、平成25年度793件、平成26年度は932件と右肩上がりの状況です。さらに、児童虐待相談対応の内容は、複雑、困難なケースが増加しているとのことです。児童相談所の職員の皆さんは、日々幼い子供の命を救うため、虐待が疑われる父母から子供を引き離すという厳しい判断をすることが課せられています。児童虐待防止も災害対応と同じように、空振りは許されても見逃しは許されないという厳しい現場対応が求められているのではないかと推察いたします。現場の職員の皆様は、日々大変な重責のもと働いていただいていることに感謝を申し上げます。
 国では、本年5月末に、児童虐待に関する対策強化の一環として、児童相談所の体制、専門性や権限の強化を図るとともに、里親や養子縁組に関する支援を児童相談所の業務として位置づけることを柱とした児童福祉法等の一部を改正する法律が成立いたしました。この法律改正により、都道府県は、児童相談所に児童心理司、医師または保健師、指導・教育担当の児童福祉司を置くとともに、弁護士の配置またはこれに準ずる措置を行うものとされました。また、児童相談所の業務として、里親の開拓から児童の自立支援までの一貫した里親支援が位置づけられました。
 厚労省では、児童虐待への対応強化として、全国の児童相談所による弁護士の利用促進や、警察官OBなど非常勤勤務の採用拡大による体制強化に乗り出し、本年度予算の概算要求に約140億を盛り込んだことが報道されました。本県では、弁護士の利用は進んでいますが、国の児童相談所の機能強化支援策を踏まえ、来年度に向け、本県でも児童相談所の体制拡充が必要だと思います。
 また、児童虐待防止に向けた連携を強化するため、県警と児童相談所を所管する都道府県との間で、児童虐待が疑われる児童の情報共有に関する協定が締結される例が全国で5件あると聞きました。
 児童虐待をめぐっては、埼玉県でことし1月、顔にやけどを負った3歳の女児が遺体で見つかる事件があり、警察が近隣住民から110番通報を受けていたものの、けがを確認できず、児相への通告を見送ったとされ、警察庁が関係機関に情報共有を徹底するよう通達を出しています。
 本県では、児童虐待が疑われる児童の情報共有に関する協定の締結についてどのように考えておられるか、福祉保健部長に伺います。
 この項目の最後に、子育てしながら働きやすい職場づくりについて質問いたします。
 ここまで、病児・病後児保育の充実を初めとする仕事と子育ての両立のための支援の強化について質問してまいりましたが、共働き世帯やひとり親の子育てを支援するサービスと同じぐらい、もしくは、より重要なことは、子育てしながら働きやすい職場づくりでないかと考えます。
 例えば、子供が急病になったときには、親として子供を見守れる環境をもっと整えていくことが重要であると思います。子育てしながら働きやすい職場づくりを県内企業に求めていくためにも、県庁がまずそのような職場である必要があると思います。
 産休や育休のとり方はもとより、年次有給休暇の取得促進、超過勤務の縮減、育児短期時間勤務の活用推進など、県庁において働き方改革の推進や子育てしながら働きやすい職場づくりにどのように取り組んでおられるのか、総務部長に伺います。
 また、県内の民間事業所に対し、どのような取り組みがされているのか、商工観光労働部長に伺います。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 待機児童解消の取り組みについてお答えします。
 本年10月1日現在の待機児童は286人、そのうち261人は和歌山市で、全て3歳未満児となっております。近年、ゼロ歳児から子供を預けたい方が大幅に増加しており、和歌山市を例にとれば、出生数は減少しているにもかかわらず、平成25年から平成28年の3年間で、10月1日現在のゼロ歳から2歳の入所児童数が268人、待機児童数が228人増加し、合計では496人の新たな保育ニーズが発生しております。
 ゼロ歳から2歳の低年齢児の保育ニーズが急激に増加する一方で、数年先にも子供の数が確実に減少する見込みもあり、市町村も今後の見きわめに苦慮しているところです。また、低年齢児保育では、3歳以上の保育と比べ、広い施設面積や保育士の重点的配置が必要であることから、待機児童の解消を図るには、施設整備と保育士確保の両面での対策を行う必要があります。
 具体的に申し上げますと、まず施設整備に関しては、保育の実施主体である市町村と連携しながら整備を進めているところです。特に、待機児童が多く発生した和歌山市では、整備計画に基づき現在5園の保育所を整備中で、来年4月には92人の3歳未満児の定員増が見込まれておりますが、低年齢児の保育ニーズに追いつかない状況でありますので、より早急な受け皿整備に取り組むよう和歌山市に強く要請しているところです。
 また、企業内保育所も重要です。認可保育所並みに補助金が引き上げられた今年度創設の内閣府補助制度を活用し、和歌山市を中心に企業内保育所の整備についても積極的に働きかけており、既に県内で4件の助成が決定され、現在手続中の企業も数件あります。これらにより、来年4月には120人程度の受け皿が整備される予定となっております。企業内保育所の整備については、今後とも県内企業へ積極的に働きかけてまいります。
 保育士確保につきましては、保育士を必要とする現場と復帰を希望する潜在保育士のマッチングや、返還免除つき貸付事業により保育士確保を図っているところです。今年度からは、小学校教諭を保育士とみなすなどの特例的な運用も踏まえて、保育人材確保に取り組むよう市町村に働きかけてまいります。今後とも、待機児童解消に鋭意取り組んでまいります。
 次に、病児・病後児保育の充実についてお答えします。
 病児・病後児保育は、仕事と子育ての両立を図るための子育て支援策として重要であり、県全域での実施が必要と考えております。
 現在、7圏域15市町で実施されておりますが、特にニーズの高い医療機関で実施されている病児保育は、4圏域5カ所にとどまっている状況です。また、同時に受け入れできる定員の問題もあり、地域によっては、インフルエンザの流行時期等には、全てのニーズに対応できていない場合もあると聞いております。
 県としては、対象年齢の拡大や施設数の増加により、必要な場合には病児・病後児保育を利用できる体制を整えることが必要であると認識しており、医師会等に補助制度の周知を行ってきたところです。その結果、今年度、国で創設された病児保育の整備補助等を活用し、和歌山市内の医療機関1カ所で来年度中に病児保育を新たに開設することになり、現在準備を進めているところです。
 今後も、県全域での実施に向け、実施主体である市町村や医師会等関係機関に働きかけてまいります。
 続きまして、児童相談所の機能強化についてお答えします。
 児童虐待事案については、虐待対応の中核を担う児童相談所が関係機関と緊密な連携を図り、子供の安全確保を最優先に対応することが重要です。このため、県におきましては、子供の生命、身体の保護を責務とする警察との連携体制の強化に取り組んできたところです。具体的には、人事交流として平成23年度から中央児童相談所に現役警察官を配置し、対応困難事例等に係る警察への援助要請など、円滑に業務を遂行できる体制を構築しているほか、児童相談所と警察職員合同の研修や訓練を定期的に実施し、職員の資質向上に努めているところです。
 議員御質問の警察庁通達並びに同日付で発出された厚生労働省通知につきましては、その趣旨を踏まえ、児童相談所と警察相互において情報共有に関する協定を本日付で締結し、虐待兆候を見逃すことなく適切な初期対応をできるよう、さらなる情報共有を図ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 総務部長浦上哲朗君。
  〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) 県庁における子育てしながら働きやすい職場づくりについてお答えします。
 議員御指摘のとおり、仕事と子育ての両立を支援するためには、子育てをしながら働きやすい職場づくりへの取り組みが重要であると認識しております。
 県庁では、産前産後休暇、育児休業に加えまして、育児短時間勤務、部分休業など、妊娠、出産、育児のそれぞれの段階において制度充実に努めるとともに、働きやすい職場の環境づくりに取り組んでいるところです。また、男性が利用できる子育て関連制度、これを創設しまして、男性職員の積極的な育児参加にも努めているところです。
 今後とも、子育てしながら働きやすい職場づくりを推進してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 県内民間事業者の子育てしながら働きやすい職場環境づくりについてお答えします。
 民間事業所においても、労働基準法や育児・介護休業法に基づく産前産後休業、短時間勤務制度、子供の看護休暇など、出産、子育てをサポートする制度があります。また、代替要員の確保や育児休暇からの復帰を支援する助成制度も設けられており、人材確保の面からも働きやすい職場環境への要請が強まる中、子育て支援の充実に取り組む事業所がふえております。
 議員御質問の子供の看護等で急に休む必要が生じた場合への対応につきましても、労使協定を結ぶことによって、時間単位で年次有給休暇が取得することができます。
 こうした取り組みを進めるには、経営者や従業員の意識改革が欠かせないことから、県では、子育て支援に関する制度や職場環境づくりに積極的な企業の取り組みを出前講座やホームページ、パンフレットで紹介し、啓発しているところです。また、就業規則の見直し等のための助言指導を行う社会保険労務士の派遣も行っているところです。
 今後も、県内事業者における子育てしやすい職場環境づくりを一層促進してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 答弁をいただきましたが、待機児童の解消とか病児・病後児保育の解消などは、事業主体が市町村であるということで、全県域での実施に向けて市町村に働きかけますということでありますが、市町村も一生懸命取り組んでいただいている中で、県としてどのように取り組んでいくのかということも視野を広げて取り組んで、すばらしい子育てができるような環境を求めていただきたいと思います。
 それと、きょう付で児童虐待の共有提携がなされたということなんですけれども、その兆しを見逃さないようにしっかりと求めていっていただきたいと思います。
 それと、県庁内の職場環境の数字が何か出ているということなので、もし今後、数字がわかるようなものを資料で提供していただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、次の質問、第二阪和国道及び京奈和自動車道の推進について質問します。
 第二阪和国道、京奈和自動車道は、当初、紀の国わかやま国体・大会までの供用開始を目標に取り組んできましたが、工事のおくれで延期をした経緯があります。
 国体からはや1年が経過した現状は、国土交通省近畿地方整備局は、第二阪和淡輪─平井間、京奈和自動車道岩出根来─和歌山ジャンクション間は、平成28年度中に開通予定と発表されています。
 先日、所用で大阪に向かう途中、せっかくなので車をとめて第二阪和の工事現場を見てまいりました。最初は随分工事が進んできていると思ったのですが、現場を見て素人の私でさえ28年度中供用開始に間に合うのかと心配いたしました。進捗状況を現場の人に聞いてみたところ、現在、盛り土の工事中で、続いて砕石、舗装という経過であると伺いました。工事は、昼夜突貫工事で行われており、28年度開通に向けて進めているそうです。
 そこで、これら第二阪和国道及び京奈和自動車道の現在の進捗状況について、県土整備部長に伺います。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 第二阪和国道と京奈和自動車道の事業の進捗状況について、御質問を頂戴いたしました。
 第二阪和国道淡輪ランプから平井ランプ間と、京奈和自動車道紀北西道路岩出根来インターチェンジから、仮称でございますが、和歌山ジャンクション間の完成の見込みにつきましては、国土交通省が公表している事業計画通知において、両路線ともに平成28年度開通予定であることが明記をされてございます。
 あわせて、第二阪和国道につきましては、ことしの8月に、事業を担当する浪速国道事務所が開催した工事状況説明会において、孝子ランプなど工程的に厳しい箇所があるものの、平成28年度開通を目指すという説明が行われてございます。なお、その後も平成28年度開通予定が変更になったなどの報告は、これまでに受けてございません。
 県といたしましては、確実にこれらの区間が今年度内に開通するよう、今後も引き続き国土交通省に働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 私も、28年度中に供用開始がされることを楽しみにしてまいります。
 では、次の質問に入ります。
 次は、コスモパーク加太の利活用について伺います。
 コスモパーク加太は、和歌山市加太、磯の浦に位置する252ヘクタールの広大な土地であります。平成6年に関西国際空港が開港された暁には、和歌山の新たな観光名所として住友グループなどが進出し、経済の活性化が期待されていました。
 しかし、バブル崩壊後は、多様な努力を重ねてはきましたが、なかなか当初の思惑どおりには進まず、現在に至っております。現在の処理方法は、年間6億円の返済を今後7年間続け、さらに債務保証231億円を一括返済し、土地は賃貸をやめて全て売却すると聞きました。
 なぜ、これまで企業誘致に至らなかったのか、なぜ借り手がなかったのか。このような状況の中、売却一本という方針で相手企業は見つかるのか。私は、視点を変えて戦略を考える必要があるのではないかと心配いたします。
 そこで、コスモパーク加太の今後について、どのような有効な利活用につなげていくのか、企画部長に伺います。
○議長(浅井修一郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) コスモパーク加太につきましては、企業誘致用地、公共施設用地、防災対策用地としての利活用に向け取り組んでおります。現在、企業用地として、加太菜園、メガソーラー発電所が稼働しております。公共施設用地としては、県消防学校が来年4月に開校を予定してございます。また、防災対策用地としては、県の第一広域防災拠点としてヘリポートを備え、災害時の活用のため、各種防災訓練等に利活用しております。
 なお、コスモパーク加太の対策につきましては、新行財政改革推進プランに示しており、県民へも公開しております。
 今後も、「調停に代わる決定」の返済スキームを確実に実行していきながら、大規模用地が確保できること、自然災害に強いこと、京奈和自動車道や第二阪和国道など、今後アクセス面の向上があることなどをアピールし、商工観光労働部と連携して、早期売却に努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、統合型リゾート(IR)の推進について伺います。
 これまで、IR推進法案についてさまざまな議論が重ねられてきましたが、今国会中、12月14日までに可決・成立される見通しとなりました。また、ギャンブル依存症に対しても、政府で対策を講じていくとも報道されました。IR推進法を議員立法で推進いただきました二階俊博先生初め本県選出の国会議員、議連の細田会長など、国会の先生方に感謝申し上げます。
 IRについては、御存じのとおり、統合型リゾート施設のことであり、カジノだけではなく、遊園地やショッピングモール、世界各国のレストラン街や音楽ホール、プール、ホテル、コンベンションルームなどが融合した多様なレジャー施設であります。アメリカのラスベガスに加えて、最近はシンガポールやマカオが外資を受け入れて、世界中から観光客が訪れています。
 カジノ法案という言葉に賭博など暗くて悪いイメージをしがちですが、決してそうではありません。私も、マカオに2度視察に伺いました。IR施設は、たくさんの観光客でにぎわい、活気であふれていました。それだけではなくて、施設を少し離れてまちに繰り出してみると、すぐ近くには世界遺産があり、ポルトガルと中国がミックスした古い町並みと新しいIRが調和し、マカオ全体が観光地として魅力あるものとなっていました。私は、和歌山県の条件と重なるものを感じ、誘致と成功の兆しを持ち帰ってまいりました。
 これまで和歌山県においては、IR導入推進の立場から、これまでカジノの可能性に関する調査・研究報告書の作成や、県内自治体や経済団体の参加により、カジノ・エンターテイメント研究会の設立、特定複合型観光施設区域への地方の選定を政府要望など、取り組んでまいりました。
 以前、知事は「県発展のためにカジノの要素もあっていいと思っている」と発言されていますが、法律の成立に当たり、改めて知事のIRに対する姿勢についてお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) カジノを含む統合型リゾートについては、観光振興に寄与するとともに経済波及効果や雇用創出効果が期待でき、地域活性化につながる有効な手段の1つと、ずっと考えて行動してまいりました。ほぼ10年前から、沖縄県、神奈川県とずっと3県協議会をつくってこれを可能としようというような運動をして、政府に法整備などを要望してきたところでございます。
 私は、少し前は、カジノといっても御指摘のようなマカオとか、あるいはラスベガスのような大規模なIRでなくても、古くからの観光地である和歌山では、ヨーロッパに昔からあるようなホテル1個だけが隔離されて規制されてカジノになってる、そういうようなものでもいいんじゃないかというふうに考えて、そんな意見も言ってきたところもあるんです。
 しかし、幾つかの業界の方々と接触すると、和歌山でもやはりIR型のほうがやりやすいというか、そのほうが積極的に考えられますよというような企業が多いので、それならそういうことでもと、柔軟に考えてやっていったらいいんじゃないかと考えております。
 ただ、知事が理性的過ぎるのか、和歌山県が地味なためか、大阪の動きはマスコミがわあっと取り上げてくれるんですけれども、意識してか無意識なのかよくわかりませんが、当県の動きだけが報道の際には時として落とされるというようなことが起こっておりまして、少し苦笑しているというところでございます。
 今のような状況でございますので、IRの実現に向かうプログラム法の審議が進んでいるというのは歓迎したいと考えております。ただ、この先、私が考えると、より大事な手続法というか規制法というか、そういうものがないとこの話は進みませんし、また、どこでIRが認められるのかというようなことについても大事な局面が来ると思います。したがって、これはまだまだ先の話でございます。
 大事なのは、投資をする企業あるいは業者さん、そういうものがどういうふうに考えて和歌山との関与をつけてくれるかということが大事でございます。和歌山は、御指摘のように、ほかに観光資源もたくさんありますし関空にも近いわけですから、投資対象としてなかなかのところじゃないかなと私たちは思っておりますけれども、そういう企業の動向をアンテナを高くして、また、連絡を密にしてやっていきたいと考えております。
 ただし、先ほど御指摘がありましたような懸念される社会的リスクの問題については、同時に軽視すべきではないと私は思います。よく言われる暴力団組織の介入の排除とか、マネーロンダリングの防止の措置とかなども大事でございますけれども、何よりも住民のギャンブル依存症の防止をきちんと措置しておかなければならないというふうに思っております。
 しかし、私は、こういう点については、ちゃんとしたルールをつくり、そして適切な管理と隔離、それの規制をきちんと行うことにより防止できると考えております。そういうやり方なんですけれども、住民の特にギャンブル依存症の防止が最も大事な措置である、留意点であるということは、もう一度強調したいと思います。
 私は、一貫してカジノを含むIRの誘致論者でございますけれども、同時に、私は和歌山県の知事として、和歌山県の住民がギャンブル依存症に陥るのを防止する責任があると考えております。それは入場の規制を厳しく行うことによってかなえられると思いますけれども、パチンコ依存症の例などがよく議論されるように、割と開放的で楽観的で奔放な性格の方が多いような当県では、当分の間は和歌山県民はでき上がったカジノに入場できないというふうにしといたほうが安心かなあというふうに思っております。和歌山県民だけが入れないというのが技術的に難しければ、当分の間は日本人は入れないというのもありかなというふうに思います。
 これは、未来永劫そうでなきゃいけないということじゃなくて、カジノが定着して、そして、入場制限のやり方について、ギャンブル依存症の防止のためにこうやったらいいんだということがきちんと方法が確立されたら、そしたら、だんだんと和歌山人ないし、和歌山県民ないし日本人も楽しめるようにしたらいいんじゃないか、そんなふうに私は考えております。
○議長(浅井修一郎君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 コスモパークの利用に関しましては、関空が開港して約20数年時間がたっておりまして、その間、問題を抱えながらこれといった進展がなく結果に至っているわけですけれども、20年といったら、時代もすごく大きく変わってきていると思います。その中で、知事がおっしゃられた、6月の答弁で言ったというその大きな状況の変化に対応していくということも踏まえて、新しい視点で、今までと同じような考え方だけではなくて、取り組んでいっていただけるようにお願いしたいと思います。
 IRに関しましては、県民の皆様としっかりと話をして、リスクに対しては最大限にきちんと対応していく必要があると思いますけれども、これに関しても時代の流れで、後で後悔しないように、チャンスを逃してはいけないと思いますので、その点を含めてしっかりと進めていっていただけるように要望します。
 それでは、これで私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ