平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第192号から議案第216号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 16番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 昨日の台風16号は、余り大きな被害がありませんでしたが、あちこちで停電が起きたり、そしてまた水で道路が通れなかったり、多少被害が出ておるようでありまして、心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
 それでは、通告に従いまして一般質問を行ってまいります。
 政府は、9月1日、総務省統計局、独立行政法人統計センターの業務の一部を本県に移転することを決定しました。平成30年度に統計データ利活用センターを県内に新設し、本県を関西圏の統計データ利活用の拠点と位置づけ、地方創生の手本にするとしています。誘致に至る仁坂知事初め県当局の取り組みに敬意を表します。私も、平成27年2月定例会一般質問で政府関係機関の地方移転について知事に質問したところであり、大変うれしく思います。
 政府関係機関の地方移転は、地方創生の目玉政策の1つでしたが、やはり役所の抵抗が大きく、誘致できたのは京都、徳島と我が県だけでした。ぜひ地方でも立派にやれることを証明し、次につなげていただくよう大いに御期待を申し上げます。
 最初に、温暖化ガス排出量取引所について伺います。
 9月3日、アメリカと中国がパリ協定に参加することが正式決定し、地球温暖化を抑制する世界の体制が整いました。今後、具体的な温暖化対策が出てくるものと予測します。
 そこで、私は、平成18年9月定例会で提案した排出量取引所の本県への誘致について再度質問します。当時は木村知事が逮捕直前の異常な事態での一般質問でしたが、今回、米中両国が加入したこの好機に知事の御所見を伺うものです。
 そもそも排出量取引所について意識したのは、NHKで米国マーカンタイル商品取引所が温暖化ガス排出量の取引を始めるという番組を見たことからでした。1992年にリオデジャネイロで開催された国連地球サミットにおいて人類共通の課題として地球環境問題が認識され、5年後に京都で開催されたCOP3では温暖化ガス削減目標を各国に割り当てることとし、その実現方法として京都メカニズムや排出量取引などが考案されました。
 番組は、アメリカは、京都議定書には参加しないのに、ちゃっかりと商売になる排出量の取引は行うという内容のものでした。また、数年前、ある講演会で経産省の局長から国際的な排出量取引の実例として、総合商社は、東南アジアで豚を飼育し、そのふん尿からメタンガスを製造して、それを燃やす権利を売っているという話を伺いました。
 それらの話に比べると、和歌山県の森林を整備し、その吸収量を取引することは実に真っ当な取引であり、このような真っ当な取引を普及し地球温暖化に資するために、本県の宣伝と経済活性化にも役立つ排出量取引所を設立もしくは誘致できないものかと思った次第です。
 現在、世界中の企業や個人は、それぞれの国や地域のばらばらの基準で温暖化ガスを排出していますが、これを世界統一のルールで規制するためには、国や地域、産業、企業間で排出量を調整する制度が必要であり、排出量取引所が今後急速に整備されるものと予測します。
 その際は、かつての証券取引所のような場立ちではなく、ネット取引であれば東京のような都会に置く必要がありません。また、既成の産業集積も必要ないことから、和歌山のような地方でもいち早く取り組んだところが勝つのではないでしょうか。
 私は、これまでも大阪証券取引所を訪問するなど排出量取引所の可能性を注視してきましたが、残念ながら、我が国では温暖化ガス排出量取引所については法整備が進まず、現在は数社が相対取引を行っている程度です。進まなかった原因は、最大の排出国である米中両国が自国の思惑から参加しないため、世界ルールが確立できなかったからであります。
 しかし、今回、米中が加入したことで千載一遇のチャンスが到来したと思うのですが、知事の御所見を伺います。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 排出量取引については、平成17年2月に発効された京都議定書を国際的に協調して約束達成する仕組みの京都メカニズムの1つとして、世界の地域、国でさまざまな試みが行われております。EUにおいては、加盟国各国の削減目標に基づき排出枠を定め、自国内の発電所、石油精製等の大規模事業者である企業等に排出枠を配分するキャップ・アンド・トレード方式による排出量取引制度が運用されております。そのための取引所が、イギリスやドイツなど欧州内の数カ所に設けられているというふうに聞いております。
 この方式の課題といたしましては、事業活動を縮小すれば削減努力をしなくても余剰排出枠がふえてしまうといったことや、規制の強化により企業負担がかさみ国際競争力の低下を招くおそれもあるというようなことで、EUはそれにもかかわらず踏み切ったのですけれども、EUの中にもいろいろ批判はございます。
 一方、我が国においては、平成20年1月に環境省において国内排出量取引制度検討会が、同年3月には国内排出量取引制度の法的課題に関する検討会が設置され、この制度について検討をされてきました。経済団体などからは導入に当たっての生産活動や負担増への懸念などが意見として出されるなど、現在まで国内排出量の規制、それと取引の制度化には至っておりません。
 このため我が国では、個々の企業に排出枠を設定する制度ではなくて、企業の任意に基づき国が認定したクレジットを企業の間の相対で取引するクレジット制度が行われてきたところであります。経済産業省主導によるものとか環境省主導によるものとかございましたが、平成25年度にこれらが統合されましてJ─クレジット制度が開始され、運用されておりますけれども、現在までのところ取引は低調であると考えております。
 このような中、今回の新しいスキームをもとにして平成28年5月に閣議決定のあった地球温暖化対策計画におきましては、我が国の国内排出量取引制度については、産業に対する負担や、これに伴う雇用への影響、海外の動向とその効果や国内における産業界の自主的な取り組み等の運用評価等を見きわめ、慎重に検討を行うということになっております。
 我が国においては、排出量の規制とこれに基づく取引はまだ実現されておらず、したがって、排出量取引所の早期の設置については難しいと思っています。ただ、将来これらがどうなるかわからないわけでございますので、世の中の動きをよくウオッチして、議員御提案の趣旨に沿うようにしてまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、生物多様性和歌山戦略について伺います。
 この半年ほどの聞に私自身が気づいた自然環境の変化について御紹介します。
 まず、最近、御坊市周辺の山では緑の山肌に赤茶けた箇所が散見されます。夏の終わりとはいえ、紅葉にはまだ早く、最初は松枯れかと思いましたが、どうも松とは樹形が違うので近づいてみれば、大きな樫の木が枯れていました。ついに御坊へも来たかという感 じです。
 ウィキペディアによりますと、ナラ枯れは、大量のカシノナガキクイムシがナラ、カシ類の樹幹に穴をあけて穿入し、体に付着した病原菌・ナラ菌を多量に樹体内に持ち込むことにより発生する樹木の伝染病です。
 全国の被害状況は、平成22年をピークにその後減少していましたが、昨年度は再び増加に転じています。都道府県別状況を見れば、山形や新潟、京都など最初に発生したところは被害が一巡したのか減少していますが、その近隣では増加しています。近畿では大阪、兵庫、奈良は軒並み300%台の猛烈な勢いで増加し、本県も162%と増加しています。
 私は、何年か前に日本海側で発生したときに、いつか本県にも伝染してくるのではと心配しておりましたが、ナラが枯れても県民生活や県経済にはあんまり影響がないんじゃないかということもあって議会で質問もしませんでしたが、いよいよ御坊周辺でも目立つようになり、改めて危機を感じています。
 次に、竹林の拡大について。
 竹林の拡大はこれまでも一般質問で取り上げましたが、なかなか整備がされず、依然と拡大中です。かつて有用物として栽培管理されていた竹林が放棄され、毎年5メートルのスピードで拡張し、もはや人の管理を超えて猛烈な勢いで里山を荒らしています。御坊市周辺で活躍していた竹切りグループも、基金からの補助をやめるなど、運動が下火になりつつあります。一体、竹林は県内にどれだけあるのか。拡大していることは間違いありませんが、現状がわかる資料さえありません。
 話題を変えて、次はアライグマ。
 私の母は、父が亡くなった後、1人で細々と農業をやっていますが、最近、自宅近くの畑に種をまいたところ、ちょうど双葉が出たときに畝をひっくり返され、苗が全滅しました。恐らくはアライグマのしわざだということです。かつてアニメの主人公にもなった北米原産のアライグマが、日本の里を我が物顔で席巻しています。果たして、アライグマが日本からいなくなる日は来るのでしょうか。
 4番目は、日高川の濁りについて。
 日本一長い2級河川・日高川は、上水道、農業用水、工業用水の水源として、また、紀伊水道の海藻やプランクトンの栄養源として、まさに母なる河川として日高を潤しています。しかし、たび重なる洪水を経験し、昭和63年に椿山ダムが完成して以降は、なかなか流水の濁りが澄むのに時聞がかかるようになりました。これも治水のためには仕方がないと多くの県民は認識しています。
 ところが、夏前に日高川漁協を訪問したところ、役員から、最近はダムの下流よりも上流のほうが1割増しで濁っており、入漁客が減少して困っているとの話を聞きました。原因は、日高川上流の森林や林道の荒廃らしいということです。濁水は、下流の農業用水にも悪影響を及ぼしています。
 最後は、いそ焼けについて。
 御坊市内の漁業者から、かなり以前よりいそ焼けがひどいという話を聞いています。そのため、浅い海を漁場とする海藻や貝類の漁獲が激減しており、高齢化と相まって、いそ根漁業は消滅の危機に瀕しています。
 いそ焼けとは、1902年に海藻学者の遠藤吉三郎博士が伊豆のテングサ漁場の荒廃を表現した言葉ですが、何らかの原因によって比較的浅い海域の藻場などが消失したまま回復しない状況を指し、藻場の消失により海藻類の採集ができなくなり、さらには藻場で生活する貝類やいそ魚などが大きく減少することで、沿岸漁業に経済的な打撃をもたらします。
 さて、以上のような現象についてそれぞれ個別対策が必要ですが、このような現象が連続的に山、川、里、海と多面的に発生していることは、私たちを取り巻く自然環境が気づかないうちに大きく変化しているからではないでしょうか。
 県では、このような事態に対応するため、本年3月、生物多様性和歌山戦略が策定されました。戦略は、生物多様性国家戦略に沿った本県の生物多様性を守るための戦略で、本年度から平成32年度までの5年間に、紀の川や日高川など6流域ごとに森、里、川、海の連環の中で取り組むべき事柄を整理し、保全と活用の視点から、今後の自然共生社会の構築に向けて、天然林等の保全、人工林への対応、里地・里山の保全、外来生物への対応、野生鳥獣の適正管理、生物多様性の保全に係る意識の醸成、森、里、川、海の連環を育む多様な主体の連携に取り組むとしています。
 一般的に戦略とは、特定の目標を達成するために長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する技術、科学であると言われております。私がさきに指摘したような事柄を解決していくためにもこの戦略の実現が重要であると考えますが、いかに取り組むのでしょうか、知事の御答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の自然環境は、近年の経済活動や生活様式の変化により、議員から御指摘のありました問題を初め、天然林の減少や鹿による食害など、さまざまな課題が生じており、かつて南方熊楠が愛した貴重な生態系が失われつつあります。
 本年3月に策定いたしました生物多様性和歌山戦略では、各種事業の実施に当たり生物多様性に配慮することや、持続可能な形で保全と活用を進めることにしております。
 これらを効果的に実現するため、議員御指摘のとおり、7つの基本戦略を定め、森、里、川、海の連環を基本理念とし、貴重な天然林の公有化を行う新紀州御留林などの事業を実施することにしております。
 今後は、施策を統一的に進める実行体制を整えるとともに、県民の皆様の理解を深め、行動を促しながら、自然と暮らしとが調和した和歌山づくりのため、積極的に取り組んでいく所存でございます。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ぜひ推進するトップには──もちろん行政のトップは知事でありますけども、そちらのトップにもついていただいて大きく進めていただきたいというふうに期待をいたしておきます。
 3番目は、環境立県について伺います。
 排出量取引所の誘致に際しては、迅速、的確な取り組みが私は必要だと思いますが、しかし、それだけではなく、和歌山こそが立地にふさわしいと世界から認知されるようなすばらしい自然環境を創出することが大切だと思っています。
 我が県が今後目指すべき方向は、東京になることではなく、東京がまねのできないこのすばらしい自然や歴史を守りながら、さらに磨きをかけて活用していくことです。世界中から観光客が訪れたくなる、農産物や魚など、ぜひ食べてみたくなるようなすばらしい自然環境の県になればいいと思います。
 そのような自然環境日本一の環境立県を目指すべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在の環境問題は、大気汚染や水質汚濁などの身近な問題から地球温暖化、生物多様性の喪失などの地球規模での問題まで多岐にわたっております。私たちには、これらの問題を解決し、将来の世代が安全・安心に快適な環境で暮らすことができるように、環境負荷の少ない持続的に発展することができる社会を構築する責務があると思います。
 そこで県では、平成28年3月、今後5年間の環境行政の基本方針となる第4次和歌山県環境基本計画を策定いたしました。先ほどの生物多様性のプランも、この中に盛り込ましていただいた次第でございます。
 具体的には、安全・安心の確保を前提に、各分野別計画となる和歌山県地球温暖化対策実行計画、和歌山県廃棄物処理計画及び生物多様性和歌山戦略に基づく取り組みを進めていこうと思っております。
 自然環境日本一の環境立県を目指すべきという議員の御提案でございますけれども、そのような気持ちを胸に、まずは全ての分野において「将来にわたり住みよい環境わかやま」の実現を目指し、今後とも県民の皆様や事業者、民間団体、さらには市町村と相互に連携、協力しながら取り組んでいきたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、感震ブレーカーについて伺います。
 感震ブレーカーにつきましては、片桐議員も6月議会で質問され、今議会もされるので重なっておりますが、お許しをいただきたいと思います。
 阪神・淡路大震災や東日本大震災では、それぞれ100件を超す火災が発生し、その原因の約6割が電気に起因する火災であることが明らかになっています。その主なものは、転倒・落下した可燃物がヒーターに接触する着火や配線の損傷、コードの断線などと言われています。この教訓から、一定の揺れを感知して自動的に通電を遮断する感震ブレーカーが推奨されるようになりました。
 本県では、昭和21年の南海地震で新宮市域の3分の1が焼失しています。近い将来に発生する南海地震において、知事は1人の県民の命も失わないという覚悟で防災対策に取り組んでいただいています。
 感震ブレーカーについても、ぜひ進めていただきたいと思いますが、県の取り組みを危機管理監に伺います。
 また、本県の隅々にまで普及するためには、高齢者などの災害弱者に対して支援が必要と考えますが、どのような御所見でしょうか。
○議長(浅井修一郎君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 大規模地震発生時には電気火災の発生が危倶されており、津波到達までに余裕があり家屋の倒壊のおそれがない場合はブレーカーを落としてから避難することや、ブレーカーをもとに戻す際にも配線や電気機器の安全性を確認することを啓発しております。
 また、議員御指摘の感震ブレーカーは、地震の揺れを感知すると自動的に通電を遮断するため、転倒した電気機器やショートしたコードから発生する出火を相当程度防止できることが期待されておりますので、春と秋の全国火災予防運動において、その普及を呼びかけてまいりました。
 さらに、県が実施する「出張!減災教室」や「出張!県政おはなし講座」等、いろいろな機会を捉えて、地震による電気火災やガス漏れを防ぐため、パンフレットを用いて普及啓発に取り組んでおります。その際には、感震ブレーカーは地震の揺れで電気をとめるため、照明も消え、人工呼吸器等の在宅医療機器も停止することから、懐中電灯や予備バッテリー、自家発電機等を用意するなどの注意喚起も行っております。
 なお、感震ブレーカーは、家庭用の簡易タイプのものであれば4000円程度であることや、個々の家庭で設置するものであり、その設置については、みずからの命はみずからが守るという自助の問題であるというふうに考えております。
 しかしながら、従前から個々の家庭における家具の転倒防止について、自身で固定が困難となる要援護者に対しましては、市町村が補助する場合、わかやま防災力パワーアップ補助金において交付対象としておりますことから、感震ブレーカーの設置についても同様の検討をしてまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今度は、電力会社の対応について伺います。
 本年4月に発生した熊本地震では、電力火災を防止するため、九州電力が倒壊家屋と電柱をつなぐ引き込み線を切断した上で電力復旧を進めたことが報道されました。今後、感震ブレーカーの普及を進めるとしても、災害復旧時に引き込み線を切断し、通電火災発生のリスクを軽減する必要があります。
 そこで、関西電力の取り組み状況を踏まえた上で、本県の電気火災の防止対策をどのように進めるのか、危機管理監に答弁を求めます。
○議長(浅井修一郎君) 危機管理監。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 関西電力によりますと、大規模災害が発生し停電した場合の復旧につきまして、熊本地震での九州電力の対応と同様に、各家庭への送電を再開する際には、住民とともに配線や電気機器の安全の確認ができた家庭から送電が再開されると聞いております。
 具体的には、倒壊等で居住が困難な家屋は引き込み線を切断し、住民が不在のため安全が確認できない家屋に対しては電気メーターの配線を外すことにより送電をとめて、電気火災を防止すると聞いております。
 県といたしましては、関西電力とも連携しながら、感震ブレーカーの普及等による配線や電気機器の安全対策とともに、それらに障害を発生させることになる家屋の倒壊や家具の転倒を防止するため、家屋の耐震化や家具の固定をより一層推進してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3番目に、建設残土の活用について伺います。
 私は、8月の2日、美浜町吉原地内に建設される高台津波避難場所、いわゆる命山の起工式に参加してきました。選挙区でもない私をわざわざ呼んでくれたのは、東日本大震災の視察で、かねてから命山など盛り土構造物の有効性を主張していたことを町関係者が評価してくれたからであります。改めて感謝を申し上げ、工事の無事を祈るものであります。
 さて、命山とは津波浸水時に住民が避難するための人工高台の通称で、静岡県袋井市が江戸時代の教訓を取り入れ、平成25年12月に6400平米の敷地に海抜10メートル、800平米の広場、約1300人が避難できる平成の命山を造成したのが始まりです。
 命山は、避難タワーに比べ維持費が安い上に、耐用年数はほぼ永久と言われています。その後、袋井市の命山はNHKで紹介され、現在では全国各地で命山の建設が進んでいます。
 美浜町の命山は、お手元に完成予想図を配付しておりますが、1万3000平米の敷地に海抜15.5メートル、2400平米の広場、約2000人が避難できる規模で、盛り土3万9000立米のほとんどは日高港のしゅんせつ土を活用しています。どれくらいの建設費用が節約できたか正確な数字は不明ですが、約4億1000万円の設計金額に対し、落札金額は2億800万円でした。この命山は、和歌山県初のすばらしい避難施設であると同時に、実は建設発生土活用のすばらしいお手本でもあります。
 現在、県内では毎年何十万立米も建設発生土は出ていますが、1立米当たり約1800円から数千円程度の処分費を払って土砂処分場に埋め立てています。
 ちなみに、平成25年度は65万立米の発生に対し46万立米が処分され、仮に立米当たり2500円とすると11億5000万円、平成26年度は34万立米に対し15万立米、3億7500万円、平成27年度は56万立米に対し27万立米、7億2500万円もの予算が処分費として支出されました。皆さん、もったいないと思いませんか。知事はどうですか。
 山岳地帯の多い本県の地形を考慮すればこれをゼロにすることは不可能ですが、県内で大量に発生する建設発生土を活用することは大きな予算削減効果があり、ぜひとも取り組むべきです。
 建設発生土の活用は、私は平成26年9月定例会で一般質問し、県土整備部長から活用を進めるという答弁がありましたが、残念ながら活用は思ったほど進んでいません。これは、命山などを担当する県や市町村の防災部局と建設発生土を担当する部局が違うこともありますが、そもそも建設発生土を活用する部局横断型の具体的な仕組み、県全体の新政策が必要だと考えますが、県土整備部長の御所見を伺います。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 建設発生土の活用に関して御質問を頂戴いたしました。
 建設発生土の処分につきましては、運搬距離が50キロメートルの範囲内に国、県及び市町村の受け入れ可能な工事があれば、相互に流用することを原則としております。
 工事間流用は、発生元と受け入れ先の工程が合わないことなどが課題となりますが、施工時期の調整や仮置場の確保等の取り組みにより、他工事での利用率が向上してきたところでございます。
 しかしながら、現状においても、発生土のうち約半分が民間処分場等への搬出に頼っている状況でもございます。県としましては、発注者間の連携を密にすることにより、より一層、建設発生土の有効利用を進めてまいります。
 さらに、議員から例示のございました命山や防潮堤などに建設発生土を有効に活用した計画を市町村が主体となって立案していただくことも重要と考えてございます。そのために、県としましては、命山や防潮堤などに建設発生土が有効利用できることを関係部局と連携して積極的に伝えるとともに、建設発生土を有効に活用した事例等を収集、紹介してまいりたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、西川流域の河川整備について伺います。
 9月12日、日高郡選出県議の同行を得て、美浜町長、議会議員の皆さんが知事に対し、西川河川整備事業採択のお礼と、さらなる事業推進をお願いしたことが地元紙に報道されました。
 私の選挙区御坊市は、右岸側の市街地全てが西川流域にあり、私も同行したかったのですが、幸い今議会で一般質問の機会を得ましたので、この場をかりて、まずは事業化に対して御坊市民を代表してお礼を申し上げる次第であります。ありがとうございました。
 そこで、この場では今後の整備について質問させていただきます。
 本年3月末に策定された日高川河川整備計画は今後20年間の整備内容を示したものですが、西川流域に関しては、西川本流、その支流の下川、斉川、さらに斉川の支流の堂閉川の改修が計画されています。そして、その事業費には、数十億円もの巨額の予算が必要と言われております。
 本年度は初年度ということもあり事業費が5000万円でしたが、先ほど申し上げたように西川流域は広く、日高平野の大部分は西川水系にあります。最近のゲリラ豪雨で年に何回も通行どめが発生し、国道42号線すら迂回しなければなりません。
 昨日の台風でも、大きな被害はありませんでしたが、市内各所で通行どめが行われ、自宅に帰れなかったという苦情が寄せられました。早期改修に一刻の猶予もない中、ぜひとも予算の劇的な増額をお願いするものでありますが、今後の整備方針について伺います。
 また、下川については昨年までに県で茶免橋から徳大夫橋まで拡幅されました。おかげさまで越流、逆流、床下浸水することはなくなり、昨日も大丈夫でした。しかし、依然と床下ぎりぎりに浸水する地区があり、下川に通じる内水があふれている状況を考えると、下川放水路整備は待ったなしです。一刻も早い事業化をお願い申し上げますが、今後の見通しについて、あわせて県土整備部長に御答弁願います。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 西川の整備方針などについて御質問を頂戴いたしました。
 西川流域の河川整備については、平成28年3月に策定した日高川水系河川整備計画において、西川本川の下川合流部から志賀川合流部の約4.8キロ区間の河道掘削、下川放水路の整備、斉川や堂閉川の堤防整備、河道掘削などを位置づけ、おおむね20年間を目標として整備することとしております。現在、西川本川において早期に河道掘削の工事に着手すべく、下流側より測量、地質調査及び詳細設計を実施しているところです。
 西川流域における河川整備の推進につきましては、西川本川の整備による治水効果の発現状況を注視しながら、下川放水路の整備を含む支川の浸水対策についても効率的、効果的に進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
○中村裕一君 発言ありません。なし。終わり。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ