平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


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平成28年9月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成28年9月21日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第192号から議案第216号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第192号から議案第216号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 休会決定の件
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     日吉康文
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   岡本圭剛
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    竹田純久
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       上坊 晃
 議事課長       中谷政紀
 議事課副課長     浜野幸男
 議事課課長補佐兼議事班長
            長谷哲生
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主査      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第192号から議案第216号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 16番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 昨日の台風16号は、余り大きな被害がありませんでしたが、あちこちで停電が起きたり、そしてまた水で道路が通れなかったり、多少被害が出ておるようでありまして、心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
 それでは、通告に従いまして一般質問を行ってまいります。
 政府は、9月1日、総務省統計局、独立行政法人統計センターの業務の一部を本県に移転することを決定しました。平成30年度に統計データ利活用センターを県内に新設し、本県を関西圏の統計データ利活用の拠点と位置づけ、地方創生の手本にするとしています。誘致に至る仁坂知事初め県当局の取り組みに敬意を表します。私も、平成27年2月定例会一般質問で政府関係機関の地方移転について知事に質問したところであり、大変うれしく思います。
 政府関係機関の地方移転は、地方創生の目玉政策の1つでしたが、やはり役所の抵抗が大きく、誘致できたのは京都、徳島と我が県だけでした。ぜひ地方でも立派にやれることを証明し、次につなげていただくよう大いに御期待を申し上げます。
 最初に、温暖化ガス排出量取引所について伺います。
 9月3日、アメリカと中国がパリ協定に参加することが正式決定し、地球温暖化を抑制する世界の体制が整いました。今後、具体的な温暖化対策が出てくるものと予測します。
 そこで、私は、平成18年9月定例会で提案した排出量取引所の本県への誘致について再度質問します。当時は木村知事が逮捕直前の異常な事態での一般質問でしたが、今回、米中両国が加入したこの好機に知事の御所見を伺うものです。
 そもそも排出量取引所について意識したのは、NHKで米国マーカンタイル商品取引所が温暖化ガス排出量の取引を始めるという番組を見たことからでした。1992年にリオデジャネイロで開催された国連地球サミットにおいて人類共通の課題として地球環境問題が認識され、5年後に京都で開催されたCOP3では温暖化ガス削減目標を各国に割り当てることとし、その実現方法として京都メカニズムや排出量取引などが考案されました。
 番組は、アメリカは、京都議定書には参加しないのに、ちゃっかりと商売になる排出量の取引は行うという内容のものでした。また、数年前、ある講演会で経産省の局長から国際的な排出量取引の実例として、総合商社は、東南アジアで豚を飼育し、そのふん尿からメタンガスを製造して、それを燃やす権利を売っているという話を伺いました。
 それらの話に比べると、和歌山県の森林を整備し、その吸収量を取引することは実に真っ当な取引であり、このような真っ当な取引を普及し地球温暖化に資するために、本県の宣伝と経済活性化にも役立つ排出量取引所を設立もしくは誘致できないものかと思った次第です。
 現在、世界中の企業や個人は、それぞれの国や地域のばらばらの基準で温暖化ガスを排出していますが、これを世界統一のルールで規制するためには、国や地域、産業、企業間で排出量を調整する制度が必要であり、排出量取引所が今後急速に整備されるものと予測します。
 その際は、かつての証券取引所のような場立ちではなく、ネット取引であれば東京のような都会に置く必要がありません。また、既成の産業集積も必要ないことから、和歌山のような地方でもいち早く取り組んだところが勝つのではないでしょうか。
 私は、これまでも大阪証券取引所を訪問するなど排出量取引所の可能性を注視してきましたが、残念ながら、我が国では温暖化ガス排出量取引所については法整備が進まず、現在は数社が相対取引を行っている程度です。進まなかった原因は、最大の排出国である米中両国が自国の思惑から参加しないため、世界ルールが確立できなかったからであります。
 しかし、今回、米中が加入したことで千載一遇のチャンスが到来したと思うのですが、知事の御所見を伺います。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 排出量取引については、平成17年2月に発効された京都議定書を国際的に協調して約束達成する仕組みの京都メカニズムの1つとして、世界の地域、国でさまざまな試みが行われております。EUにおいては、加盟国各国の削減目標に基づき排出枠を定め、自国内の発電所、石油精製等の大規模事業者である企業等に排出枠を配分するキャップ・アンド・トレード方式による排出量取引制度が運用されております。そのための取引所が、イギリスやドイツなど欧州内の数カ所に設けられているというふうに聞いております。
 この方式の課題といたしましては、事業活動を縮小すれば削減努力をしなくても余剰排出枠がふえてしまうといったことや、規制の強化により企業負担がかさみ国際競争力の低下を招くおそれもあるというようなことで、EUはそれにもかかわらず踏み切ったのですけれども、EUの中にもいろいろ批判はございます。
 一方、我が国においては、平成20年1月に環境省において国内排出量取引制度検討会が、同年3月には国内排出量取引制度の法的課題に関する検討会が設置され、この制度について検討をされてきました。経済団体などからは導入に当たっての生産活動や負担増への懸念などが意見として出されるなど、現在まで国内排出量の規制、それと取引の制度化には至っておりません。
 このため我が国では、個々の企業に排出枠を設定する制度ではなくて、企業の任意に基づき国が認定したクレジットを企業の間の相対で取引するクレジット制度が行われてきたところであります。経済産業省主導によるものとか環境省主導によるものとかございましたが、平成25年度にこれらが統合されましてJ─クレジット制度が開始され、運用されておりますけれども、現在までのところ取引は低調であると考えております。
 このような中、今回の新しいスキームをもとにして平成28年5月に閣議決定のあった地球温暖化対策計画におきましては、我が国の国内排出量取引制度については、産業に対する負担や、これに伴う雇用への影響、海外の動向とその効果や国内における産業界の自主的な取り組み等の運用評価等を見きわめ、慎重に検討を行うということになっております。
 我が国においては、排出量の規制とこれに基づく取引はまだ実現されておらず、したがって、排出量取引所の早期の設置については難しいと思っています。ただ、将来これらがどうなるかわからないわけでございますので、世の中の動きをよくウオッチして、議員御提案の趣旨に沿うようにしてまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、生物多様性和歌山戦略について伺います。
 この半年ほどの聞に私自身が気づいた自然環境の変化について御紹介します。
 まず、最近、御坊市周辺の山では緑の山肌に赤茶けた箇所が散見されます。夏の終わりとはいえ、紅葉にはまだ早く、最初は松枯れかと思いましたが、どうも松とは樹形が違うので近づいてみれば、大きな樫の木が枯れていました。ついに御坊へも来たかという感 じです。
 ウィキペディアによりますと、ナラ枯れは、大量のカシノナガキクイムシがナラ、カシ類の樹幹に穴をあけて穿入し、体に付着した病原菌・ナラ菌を多量に樹体内に持ち込むことにより発生する樹木の伝染病です。
 全国の被害状況は、平成22年をピークにその後減少していましたが、昨年度は再び増加に転じています。都道府県別状況を見れば、山形や新潟、京都など最初に発生したところは被害が一巡したのか減少していますが、その近隣では増加しています。近畿では大阪、兵庫、奈良は軒並み300%台の猛烈な勢いで増加し、本県も162%と増加しています。
 私は、何年か前に日本海側で発生したときに、いつか本県にも伝染してくるのではと心配しておりましたが、ナラが枯れても県民生活や県経済にはあんまり影響がないんじゃないかということもあって議会で質問もしませんでしたが、いよいよ御坊周辺でも目立つようになり、改めて危機を感じています。
 次に、竹林の拡大について。
 竹林の拡大はこれまでも一般質問で取り上げましたが、なかなか整備がされず、依然と拡大中です。かつて有用物として栽培管理されていた竹林が放棄され、毎年5メートルのスピードで拡張し、もはや人の管理を超えて猛烈な勢いで里山を荒らしています。御坊市周辺で活躍していた竹切りグループも、基金からの補助をやめるなど、運動が下火になりつつあります。一体、竹林は県内にどれだけあるのか。拡大していることは間違いありませんが、現状がわかる資料さえありません。
 話題を変えて、次はアライグマ。
 私の母は、父が亡くなった後、1人で細々と農業をやっていますが、最近、自宅近くの畑に種をまいたところ、ちょうど双葉が出たときに畝をひっくり返され、苗が全滅しました。恐らくはアライグマのしわざだということです。かつてアニメの主人公にもなった北米原産のアライグマが、日本の里を我が物顔で席巻しています。果たして、アライグマが日本からいなくなる日は来るのでしょうか。
 4番目は、日高川の濁りについて。
 日本一長い2級河川・日高川は、上水道、農業用水、工業用水の水源として、また、紀伊水道の海藻やプランクトンの栄養源として、まさに母なる河川として日高を潤しています。しかし、たび重なる洪水を経験し、昭和63年に椿山ダムが完成して以降は、なかなか流水の濁りが澄むのに時聞がかかるようになりました。これも治水のためには仕方がないと多くの県民は認識しています。
 ところが、夏前に日高川漁協を訪問したところ、役員から、最近はダムの下流よりも上流のほうが1割増しで濁っており、入漁客が減少して困っているとの話を聞きました。原因は、日高川上流の森林や林道の荒廃らしいということです。濁水は、下流の農業用水にも悪影響を及ぼしています。
 最後は、いそ焼けについて。
 御坊市内の漁業者から、かなり以前よりいそ焼けがひどいという話を聞いています。そのため、浅い海を漁場とする海藻や貝類の漁獲が激減しており、高齢化と相まって、いそ根漁業は消滅の危機に瀕しています。
 いそ焼けとは、1902年に海藻学者の遠藤吉三郎博士が伊豆のテングサ漁場の荒廃を表現した言葉ですが、何らかの原因によって比較的浅い海域の藻場などが消失したまま回復しない状況を指し、藻場の消失により海藻類の採集ができなくなり、さらには藻場で生活する貝類やいそ魚などが大きく減少することで、沿岸漁業に経済的な打撃をもたらします。
 さて、以上のような現象についてそれぞれ個別対策が必要ですが、このような現象が連続的に山、川、里、海と多面的に発生していることは、私たちを取り巻く自然環境が気づかないうちに大きく変化しているからではないでしょうか。
 県では、このような事態に対応するため、本年3月、生物多様性和歌山戦略が策定されました。戦略は、生物多様性国家戦略に沿った本県の生物多様性を守るための戦略で、本年度から平成32年度までの5年間に、紀の川や日高川など6流域ごとに森、里、川、海の連環の中で取り組むべき事柄を整理し、保全と活用の視点から、今後の自然共生社会の構築に向けて、天然林等の保全、人工林への対応、里地・里山の保全、外来生物への対応、野生鳥獣の適正管理、生物多様性の保全に係る意識の醸成、森、里、川、海の連環を育む多様な主体の連携に取り組むとしています。
 一般的に戦略とは、特定の目標を達成するために長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する技術、科学であると言われております。私がさきに指摘したような事柄を解決していくためにもこの戦略の実現が重要であると考えますが、いかに取り組むのでしょうか、知事の御答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の自然環境は、近年の経済活動や生活様式の変化により、議員から御指摘のありました問題を初め、天然林の減少や鹿による食害など、さまざまな課題が生じており、かつて南方熊楠が愛した貴重な生態系が失われつつあります。
 本年3月に策定いたしました生物多様性和歌山戦略では、各種事業の実施に当たり生物多様性に配慮することや、持続可能な形で保全と活用を進めることにしております。
 これらを効果的に実現するため、議員御指摘のとおり、7つの基本戦略を定め、森、里、川、海の連環を基本理念とし、貴重な天然林の公有化を行う新紀州御留林などの事業を実施することにしております。
 今後は、施策を統一的に進める実行体制を整えるとともに、県民の皆様の理解を深め、行動を促しながら、自然と暮らしとが調和した和歌山づくりのため、積極的に取り組んでいく所存でございます。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ぜひ推進するトップには──もちろん行政のトップは知事でありますけども、そちらのトップにもついていただいて大きく進めていただきたいというふうに期待をいたしておきます。
 3番目は、環境立県について伺います。
 排出量取引所の誘致に際しては、迅速、的確な取り組みが私は必要だと思いますが、しかし、それだけではなく、和歌山こそが立地にふさわしいと世界から認知されるようなすばらしい自然環境を創出することが大切だと思っています。
 我が県が今後目指すべき方向は、東京になることではなく、東京がまねのできないこのすばらしい自然や歴史を守りながら、さらに磨きをかけて活用していくことです。世界中から観光客が訪れたくなる、農産物や魚など、ぜひ食べてみたくなるようなすばらしい自然環境の県になればいいと思います。
 そのような自然環境日本一の環境立県を目指すべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在の環境問題は、大気汚染や水質汚濁などの身近な問題から地球温暖化、生物多様性の喪失などの地球規模での問題まで多岐にわたっております。私たちには、これらの問題を解決し、将来の世代が安全・安心に快適な環境で暮らすことができるように、環境負荷の少ない持続的に発展することができる社会を構築する責務があると思います。
 そこで県では、平成28年3月、今後5年間の環境行政の基本方針となる第4次和歌山県環境基本計画を策定いたしました。先ほどの生物多様性のプランも、この中に盛り込ましていただいた次第でございます。
 具体的には、安全・安心の確保を前提に、各分野別計画となる和歌山県地球温暖化対策実行計画、和歌山県廃棄物処理計画及び生物多様性和歌山戦略に基づく取り組みを進めていこうと思っております。
 自然環境日本一の環境立県を目指すべきという議員の御提案でございますけれども、そのような気持ちを胸に、まずは全ての分野において「将来にわたり住みよい環境わかやま」の実現を目指し、今後とも県民の皆様や事業者、民間団体、さらには市町村と相互に連携、協力しながら取り組んでいきたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、感震ブレーカーについて伺います。
 感震ブレーカーにつきましては、片桐議員も6月議会で質問され、今議会もされるので重なっておりますが、お許しをいただきたいと思います。
 阪神・淡路大震災や東日本大震災では、それぞれ100件を超す火災が発生し、その原因の約6割が電気に起因する火災であることが明らかになっています。その主なものは、転倒・落下した可燃物がヒーターに接触する着火や配線の損傷、コードの断線などと言われています。この教訓から、一定の揺れを感知して自動的に通電を遮断する感震ブレーカーが推奨されるようになりました。
 本県では、昭和21年の南海地震で新宮市域の3分の1が焼失しています。近い将来に発生する南海地震において、知事は1人の県民の命も失わないという覚悟で防災対策に取り組んでいただいています。
 感震ブレーカーについても、ぜひ進めていただきたいと思いますが、県の取り組みを危機管理監に伺います。
 また、本県の隅々にまで普及するためには、高齢者などの災害弱者に対して支援が必要と考えますが、どのような御所見でしょうか。
○議長(浅井修一郎君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 大規模地震発生時には電気火災の発生が危倶されており、津波到達までに余裕があり家屋の倒壊のおそれがない場合はブレーカーを落としてから避難することや、ブレーカーをもとに戻す際にも配線や電気機器の安全性を確認することを啓発しております。
 また、議員御指摘の感震ブレーカーは、地震の揺れを感知すると自動的に通電を遮断するため、転倒した電気機器やショートしたコードから発生する出火を相当程度防止できることが期待されておりますので、春と秋の全国火災予防運動において、その普及を呼びかけてまいりました。
 さらに、県が実施する「出張!減災教室」や「出張!県政おはなし講座」等、いろいろな機会を捉えて、地震による電気火災やガス漏れを防ぐため、パンフレットを用いて普及啓発に取り組んでおります。その際には、感震ブレーカーは地震の揺れで電気をとめるため、照明も消え、人工呼吸器等の在宅医療機器も停止することから、懐中電灯や予備バッテリー、自家発電機等を用意するなどの注意喚起も行っております。
 なお、感震ブレーカーは、家庭用の簡易タイプのものであれば4000円程度であることや、個々の家庭で設置するものであり、その設置については、みずからの命はみずからが守るという自助の問題であるというふうに考えております。
 しかしながら、従前から個々の家庭における家具の転倒防止について、自身で固定が困難となる要援護者に対しましては、市町村が補助する場合、わかやま防災力パワーアップ補助金において交付対象としておりますことから、感震ブレーカーの設置についても同様の検討をしてまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今度は、電力会社の対応について伺います。
 本年4月に発生した熊本地震では、電力火災を防止するため、九州電力が倒壊家屋と電柱をつなぐ引き込み線を切断した上で電力復旧を進めたことが報道されました。今後、感震ブレーカーの普及を進めるとしても、災害復旧時に引き込み線を切断し、通電火災発生のリスクを軽減する必要があります。
 そこで、関西電力の取り組み状況を踏まえた上で、本県の電気火災の防止対策をどのように進めるのか、危機管理監に答弁を求めます。
○議長(浅井修一郎君) 危機管理監。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 関西電力によりますと、大規模災害が発生し停電した場合の復旧につきまして、熊本地震での九州電力の対応と同様に、各家庭への送電を再開する際には、住民とともに配線や電気機器の安全の確認ができた家庭から送電が再開されると聞いております。
 具体的には、倒壊等で居住が困難な家屋は引き込み線を切断し、住民が不在のため安全が確認できない家屋に対しては電気メーターの配線を外すことにより送電をとめて、電気火災を防止すると聞いております。
 県といたしましては、関西電力とも連携しながら、感震ブレーカーの普及等による配線や電気機器の安全対策とともに、それらに障害を発生させることになる家屋の倒壊や家具の転倒を防止するため、家屋の耐震化や家具の固定をより一層推進してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3番目に、建設残土の活用について伺います。
 私は、8月の2日、美浜町吉原地内に建設される高台津波避難場所、いわゆる命山の起工式に参加してきました。選挙区でもない私をわざわざ呼んでくれたのは、東日本大震災の視察で、かねてから命山など盛り土構造物の有効性を主張していたことを町関係者が評価してくれたからであります。改めて感謝を申し上げ、工事の無事を祈るものであります。
 さて、命山とは津波浸水時に住民が避難するための人工高台の通称で、静岡県袋井市が江戸時代の教訓を取り入れ、平成25年12月に6400平米の敷地に海抜10メートル、800平米の広場、約1300人が避難できる平成の命山を造成したのが始まりです。
 命山は、避難タワーに比べ維持費が安い上に、耐用年数はほぼ永久と言われています。その後、袋井市の命山はNHKで紹介され、現在では全国各地で命山の建設が進んでいます。
 美浜町の命山は、お手元に完成予想図を配付しておりますが、1万3000平米の敷地に海抜15.5メートル、2400平米の広場、約2000人が避難できる規模で、盛り土3万9000立米のほとんどは日高港のしゅんせつ土を活用しています。どれくらいの建設費用が節約できたか正確な数字は不明ですが、約4億1000万円の設計金額に対し、落札金額は2億800万円でした。この命山は、和歌山県初のすばらしい避難施設であると同時に、実は建設発生土活用のすばらしいお手本でもあります。
 現在、県内では毎年何十万立米も建設発生土は出ていますが、1立米当たり約1800円から数千円程度の処分費を払って土砂処分場に埋め立てています。
 ちなみに、平成25年度は65万立米の発生に対し46万立米が処分され、仮に立米当たり2500円とすると11億5000万円、平成26年度は34万立米に対し15万立米、3億7500万円、平成27年度は56万立米に対し27万立米、7億2500万円もの予算が処分費として支出されました。皆さん、もったいないと思いませんか。知事はどうですか。
 山岳地帯の多い本県の地形を考慮すればこれをゼロにすることは不可能ですが、県内で大量に発生する建設発生土を活用することは大きな予算削減効果があり、ぜひとも取り組むべきです。
 建設発生土の活用は、私は平成26年9月定例会で一般質問し、県土整備部長から活用を進めるという答弁がありましたが、残念ながら活用は思ったほど進んでいません。これは、命山などを担当する県や市町村の防災部局と建設発生土を担当する部局が違うこともありますが、そもそも建設発生土を活用する部局横断型の具体的な仕組み、県全体の新政策が必要だと考えますが、県土整備部長の御所見を伺います。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 建設発生土の活用に関して御質問を頂戴いたしました。
 建設発生土の処分につきましては、運搬距離が50キロメートルの範囲内に国、県及び市町村の受け入れ可能な工事があれば、相互に流用することを原則としております。
 工事間流用は、発生元と受け入れ先の工程が合わないことなどが課題となりますが、施工時期の調整や仮置場の確保等の取り組みにより、他工事での利用率が向上してきたところでございます。
 しかしながら、現状においても、発生土のうち約半分が民間処分場等への搬出に頼っている状況でもございます。県としましては、発注者間の連携を密にすることにより、より一層、建設発生土の有効利用を進めてまいります。
 さらに、議員から例示のございました命山や防潮堤などに建設発生土を有効に活用した計画を市町村が主体となって立案していただくことも重要と考えてございます。そのために、県としましては、命山や防潮堤などに建設発生土が有効利用できることを関係部局と連携して積極的に伝えるとともに、建設発生土を有効に活用した事例等を収集、紹介してまいりたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、西川流域の河川整備について伺います。
 9月12日、日高郡選出県議の同行を得て、美浜町長、議会議員の皆さんが知事に対し、西川河川整備事業採択のお礼と、さらなる事業推進をお願いしたことが地元紙に報道されました。
 私の選挙区御坊市は、右岸側の市街地全てが西川流域にあり、私も同行したかったのですが、幸い今議会で一般質問の機会を得ましたので、この場をかりて、まずは事業化に対して御坊市民を代表してお礼を申し上げる次第であります。ありがとうございました。
 そこで、この場では今後の整備について質問させていただきます。
 本年3月末に策定された日高川河川整備計画は今後20年間の整備内容を示したものですが、西川流域に関しては、西川本流、その支流の下川、斉川、さらに斉川の支流の堂閉川の改修が計画されています。そして、その事業費には、数十億円もの巨額の予算が必要と言われております。
 本年度は初年度ということもあり事業費が5000万円でしたが、先ほど申し上げたように西川流域は広く、日高平野の大部分は西川水系にあります。最近のゲリラ豪雨で年に何回も通行どめが発生し、国道42号線すら迂回しなければなりません。
 昨日の台風でも、大きな被害はありませんでしたが、市内各所で通行どめが行われ、自宅に帰れなかったという苦情が寄せられました。早期改修に一刻の猶予もない中、ぜひとも予算の劇的な増額をお願いするものでありますが、今後の整備方針について伺います。
 また、下川については昨年までに県で茶免橋から徳大夫橋まで拡幅されました。おかげさまで越流、逆流、床下浸水することはなくなり、昨日も大丈夫でした。しかし、依然と床下ぎりぎりに浸水する地区があり、下川に通じる内水があふれている状況を考えると、下川放水路整備は待ったなしです。一刻も早い事業化をお願い申し上げますが、今後の見通しについて、あわせて県土整備部長に御答弁願います。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 西川の整備方針などについて御質問を頂戴いたしました。
 西川流域の河川整備については、平成28年3月に策定した日高川水系河川整備計画において、西川本川の下川合流部から志賀川合流部の約4.8キロ区間の河道掘削、下川放水路の整備、斉川や堂閉川の堤防整備、河道掘削などを位置づけ、おおむね20年間を目標として整備することとしております。現在、西川本川において早期に河道掘削の工事に着手すべく、下流側より測量、地質調査及び詳細設計を実施しているところです。
 西川流域における河川整備の推進につきましては、西川本川の整備による治水効果の発現状況を注視しながら、下川放水路の整備を含む支川の浸水対策についても効率的、効果的に進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 中村裕一君。
○中村裕一君 発言ありません。なし。終わり。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。質問も最終日になってまいりまして、お疲れのことかと思いますけれども、しばらくの間、御清聴よろしくお願いいたします。
 議長のお許しをいただきましたので、3点にわたって質問をしたいというふうに思います。
 まず、科学技術の拠点づくりという点からお伺いをしたいと思います。
 先日の9月12日、政府は、成長戦略の具体策を立案する未来投資会議の初会合を開催しました。新聞発表によると、会議の中では、人工知能(AI)を活用した第4次産業革命を推進するための戦略に関する議論を本格化させるとのことであります。
 今回は、和歌山県における科学技術革新の芽をどのように発展させていくかといった論点で質問をさせていただきます。
 近年の技術革新により無人航空機(UAV)、俗称「ドローン」──この語源は、英語の「雄蜂」に由来するとのことですが──このドローンを活用した取り組みがさまざまな場面で行われています。小型化、低価格化が進み、和歌山県においても1機、購入したと聞いています。
 国土交通省においてもドローンの活用に期待をしており、ネットで検索しても事例が幾つかヒットしてきます。
 岐阜県の高山国道事務所では、雪害による倒木状況の把握、豪雨災害時の現地調査、中部縦貫自動車道の改築事業での活用事例など、図で説明しにくい部分をドローンの静止画像を説明資料として添付したところ、大変わかりやすいといった評価をいただいているとのことです。
 ほかにも、赤外線を搭載し太陽光パネルの検診を行う事例、ICタグを取りつけたドローンにより広範な範囲に置かれた資材の管理を行う事例などに加え、上空から測量した土地の形状を3次元で表示し、傾斜や必要な土砂の量まであらわすことができるとお聞きしています。
 また、ドローンは今後さまざまな場面での活用が考えられますが、その研究はこれからであります。
 国土交通省では、航空法を改正し、無人航空機の安全な飛行のためのガイドラインを定めました。運輸については、交通運輸技術開発推進制度を利用し、ドローンの目視外飛行における安全な自動離着陸が可能で安価に設置できる物流用ドローンポートシステムの研究開発を行うため、民間と東京大学が提携したドローンポート連絡会が発足しています。
 このように、ドローンの活用をめぐっては、まだまだ制度を整えていく必要があります。あわせて、国内において不足しているというドローンを操縦する人材の育成を急がなければなりません。
 ドローンの活用はこれからますます広がると予想され、産業界にとっても大きな市場となってくると思われます。全国的にもドローンを活用したプロジェクトが始められています。ドローンにどのようなものを乗せ、どのように組み合わせていくか、どのようなソフトウエアと結びつけていくかがこれからの課題であります。
 さきの6月議会でも山下直也議員からドローンの活用について要望が出されておりますが、これからの産業であるドローンの可能性を考えると、研究、開発、実験、実証、技術者の養成のために産学官の取り組みが何よりも重要です。始まったばかりの分野でありますが、その未来は大きく開かれていると考えます。
 また、同じ科学分野として宇宙航空研究の取り組みも興味深いものがあります。ことしも缶サット甲子園近畿予選大会が、コスモパーク加太で行われました。大会は2008年開始以来9年目を迎え、近畿大会で代表になると秋田で行われる全国大会に出場できます。ことしは県立桐蔭高校が代表に選ばれ、全国大会で準優勝となり、特別賞のベストマネジメント賞に輝きました。
 この缶サット甲子園は、理数が楽しくなる教育実行委員会がプロジェクト遂行型実践教育を提唱し、そのための科学教育プログラムとして開催しています。
 缶サット甲子園、これ、どんな大会、どんなことを競うか、ちょっと簡単に御説明しますと、2メーターぐらいの高さで直径が80センチぐらいの筒状になったロケット、ここに缶を搭載して高度400メートルまで飛翔させた後、上空でそれを放出させて、中に入っている缶をパラシュートとともに落下させるわけです。缶の中にはセンサーとマイコンが組み込まれており、上空でデータを取得し、無事に回収するという一連のプロセスを参加者全員の前で報告すると。一番、宇宙開発の中では最も基本的な技術を競う大会なんです。すごい勢いで上空に飛んでいくという、すごい楽しい大会です。
 この大会は、年々参加校もふえて、熱心に取り組む高校生の姿は頼もしくもあります。私も桐蔭高校を訪問させていただき、科学部の取り組みの様子を拝見しましたが、プログラミングまで自分たちでやってしまう彼ら彼女らに感心してしまいました。このように、科学に興味関心を持つ高校生が科学技術創造立国の担い手になることに大きな期待が寄せられます。
 中でも、この大会の推進役でもある高校生たちに直接指導されている和歌山大学の秋山教授の存在は、大変大きいものがあります。
 秋山氏は、小惑星探査機「はやぶさ」の理学メンバーでもあり、JAXA研究員を経て秋田大学で能代宇宙イベントを企画、2008年に和歌山大学に着任し、2010年4月から大学宇宙研究所の初代所長に就任するといった経歴をお持ちです。今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議委員や宇宙政策委員会調査分析部会委員なども務められております。
 秋山氏は、この缶サットの仕掛け人でもあり、さまざまなイベントを企画されています。宇宙カフェの開催、ロケットガール・ロケットボーイ養成講座の開催、加太宇宙イベントの開催等々、精力的な活動を進められております。彼の周りにはやる気のある若者が集い、地元加太の皆さんとも大変協力的な関係を築いておられます。
 秋山氏は、これからの宇宙戦略についても提言をされ、これからの宇宙開発は大型衛星を打ち上げるというのではなく、超小型衛星産業を実用化していくことが必要であるというふうに言われています。また、放送通信衛星や衛星サービスの拡大、インフラ衛星の整備、センサー等の部品研究、観測データ市場に参入することなどを念頭に、高付加価値で低価格の衛星を生産していくことが重要であると言われています。高い技術力で国際競争にも十分勝てる、そして衛星全体を国内生産にシフトしていく方向を示していただいています。そのためにも、実験や実証を積み重ねる実験地としてコスモパーク加太が貴重な場所であるということも話されています。
 ドローンも宇宙航空分野も共通する部分が多い分野であり、どちらの分野も第4次産業革命とイノベーションを目指すものであり、これからの産業が担う未来ある分野であります。和歌山はその分野への大きな可能性を持っており、和歌山大学の取り組みも大きな力になることは間違いありません。
 私は、ドローンや航空宇宙の研究には開発や技術者の養成に必要な安全に飛行させる場所の選定も重要な要素であり、コスモパーク加太周辺は、秋山教授が話されているように最適な場所であると思います。また、この広大な土地を企業に細切れに切り売りするのではなく、周りに人家もなく電線もない特徴を生かし、ドローンや宇宙航空分野への研究開発のための場所として生かすべきだと考えます。
 さらに、実用的なドローンや衛星の開発がこれからの課題であり、そのための企業とのマッチングや、どんな組み合わせが必要かといったことも求められています。
 そこで、知事にお伺いします。
 今年度、県においては宇宙航空分野の産業化を進めるとしていますが、どのような構想を持たれ、どのように進めようとしているのか。また、今後、宇宙航空分野やドローン等を和歌山県の産業に生かすため、産官学が協力しながら取り組みを進めてはどうでしょうか。所見をお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 航空宇宙産業については、世界の旅客需要増加等を背景に今後大きな成長が見込まれておりまして、県内企業の中でも高い技術を有する企業がエンジン部品などの部素材産業へのさらなる参入を期待しているところでございます。幾つかの有望な事例が既にできつつあるというふうに理解しております。そのため、昨年10月に策定した第2次和歌山県産業技術基本計画において、重点的に推進すべき8つの戦略分野の1つとして、航空宇宙分野を新しく位置づけた次第でございます。
 今年度、県内企業が航空産業に参入するために必要な品質管理等に関する認証の取得を支援する制度を創設いたしました。これは、こういう分野では認証、資格を取っとかないと何か商売にならないというようなことなんで、それがかなりお金がかかるもんですから、それをお助けするという施策を準備しているところでございます。
 一方、航空宇宙産業においては、議員御指摘のとおり、和歌山大学にその分野の第一人者である秋山教授がいらっしゃいます。県の発案のもと、秋山教授の協力を得て、産官学による勉強会を本年より立ち上げ、現時点で航空宇宙産業に関心を持つ県内企業9社の参加を得ているところでございます。9月初旬に開催した直近の勉強会では、衛星やドローンを活用した農業や防災システムの構築などに、県内の電気・電子企業やソフトウエア企業が技術を提供できるのではないかというようなことを検討していくことになりました。
 県内企業の航空宇宙分野参入などが進めば本県の産業構造の高度化にもつながるものと思われますので、今後も産官学が一緒になって取り組んでまいりたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 科学技術の拠点づくりについて知事に御答弁いただきました。県としても産学官による勉強会を立ち上げて未来の産業としての可能性を探っておられるということですので、ここはしっかり取り組みを進めていただきたいと強く要望いたします。
 また、これからは宇宙航空分野やドローン等の産業界に適応する人材の育成も大きな課題の1つであります。高校生による缶サット甲子園、大学生のロケットガール、ロケットボーイなどの取り組みは人材育成につながるものであり、また、使いこなす人材の育成も急がれています。産学官の取り組みと並行して人材の育成も視野に入れ進めていただきたいと要望して、この質問を終わります。
 次の質問に移ります。教職員の多忙化解消についてであります。
 OECD(経済協力開発機構)が2013年に実施した国際教員指導環境調査によると、日本の中学校教員の1週当たりの労働時間は53.9時間。これは、調査に参加した38の国・地域の平均38.3時間を大きく上回っており、参加国中、最も長くなっています。
 少し古いデータですが、2006年に行われた教員勤務実態調査では、勤務日1日当たりの平均残業時間数では、2時間以上残業する教員が中学校では50.5%、小学校でも32.9%となっており、休日に出勤して何らかの仕事を行う教員は、中学校では59.3%、小学校では33.2%となっています。約半分、また小学校では3分の1というふうな数字だと思います。特に中学校では、教員の半数以上が日常的に超過勤務や休日出勤が常態化していると言えます。
 日本標準教育研究所の小学校教員意識アンケートによると、自宅でどのくらい仕事をしますかという問いに、1時間から1時間半と答えた方が30.8%、2時間から2時間半と答えた方が17.4%と、約半数の方が自宅で仕事をしているといった報告もされています。
 こうした厳しい環境で、退職や休職に追い込まれる教員も少なくありません。文部科学省の2013年度公立学校教職員の人事行政の状況調査、また学校基本調査によると、精神疾患による休職者数が10年前の1.4倍、20年前の4.3倍までに達しています。ここ近年では退職者が多く、学校現場では少数の50代と若手教員の二極化が進んでおりまして、そのため、進路主任とか学年主任というふうな責任の重たい仕事が少数の方に集中してしまうといった傾向も見られておりまして、私の知り合いの教員の方も、本当に教育には意欲があっても、体がもたないというような理由で、もう早期退職をされてしまいました。優秀な教員だっただけに本当に残念なことでありました。
 また、何が先生方の負担になっているのかとお聞きしたところ、教科指導以外の雑務の多さであるとのことでした。例えば、就学援助事務や給食事務などが現金を扱うだけに神経を使う仕事になっているとのことでした。
 日本の先生方の特徴としては、働きがいといった点で、採用当初は一般の職種と比較しても非常に高い傾向にあります。一般職種は年齢が上がるにつれて意欲が増していくんですが、先生方は反対に低下していくというふうな傾向があるようであります。休みのとりにくさや勤務時間の長さ、雑務の多さや教員1人当たりの負担の大きさなどが要因と考えられています。
 私が危倶しているのは、教員の勤務の特殊性が児童生徒に大きな影響を与えるという点であります。教員がゆとりなく多忙をきわめる中では、児童生徒に対して本当に行き届いたきめ細かな教育が行われるでしょうか。教員が元気で意欲を持って仕事に打ち込める環境づくりを進めていただきたいと思います。
 多忙化の大きな要因の1つとなっている中学校の部活動に、特に運動部についてちょっと視点を変えてお聞きします。
 私の事務所、よく子供たちが立ち寄ってくれるんですが、たまに顔を見せてくれたりしてるんですが、この間も仕事をしておりますと、夕方、地元の中学生が顔を出してくれまして、土曜日だったのですが、クラブだったということで、彼らが言うにはきょうは朝の6時半に集合したというふうなことでした。
 「ええっ、朝から今まで」と、もうそのときは夕方5時ごろでしたので聞きますと、大会だったので紀三井寺にいたというふうなことでした。「先生も一緒?」と聞くと、「先生はずうっと一緒でいろいろ教えてくれる。先生も忙しくて大変や」と、こんなふうに子供たちが言います。そういうことを聞きながら、生徒たちも先生の大変さはわかってるんだなあ、そんな生徒を相手に先生方もやりがいを感じながら仕事をされているんだなあというふうに思いました。
 これまでの部活は、このような教員に支えられ、続けられてきた感があります。さらに、運動部は強くなったはなったで、保護者の期待や生徒の勝ちたいという意欲に応えるよう、さらに練習を重ねるといったことも往々にしてあるように思います。
 私は、超過勤務を強いる部活の全てを否定するつもりはありません。先生方もそれをわかった上で、意欲を持って指導されてきたことも理解しております。しかし、改善すべき点は多々あると感じております。
 そもそも、部活というのは生徒の自主的な活動とされておりまして、教育課程の中には位置づけられていません。教師本来の職務ではないにもかかわらず、強制的に顧問を割り振られるといった実態もあるわけです。
 これまで教育行政は、部活動について教員の自主的な活動に甘え、その勤務についてまともな対応をしてきませんでした。放課後や朝の練習に対する残業代はおろか、土曜、日曜に出勤しても1日3000円余りの手当しかつけず、移動交通費はほとんど自腹といった状況です。教員のボランティアと持ち出しに依存して活動を続けてこられたと言っても過言ではありません。
 このような実態に鑑み、文科省からは、この6月に学校現場における業務の適正化に向けての通知が出されています。この通知は、ちょっと初めて私は見ましたが、かなり詳しく書かれておりますが、この中で特に部活動について、休養日の設定の徹底を初めとした運営の適正化や勤務時間管理の適正化の必要性等が示されていました。また、「制度の整備や必要な予算措置も含めた業務改善のための方策を実施し、学校現場の業務の適正化に向けた支援に取り組みます」とも明示しています。
 今回、緊急性の高い特定の課題に取り組むために設置される特別チーム、こういう意味のタスクフォース、こんなふうに名づけられているわけです。この業務改善の通知は、文科省の本気度が出ていると言えます。
 そこで、文科省が本気度を出しているわけですから、県教育委員会の本気度をお聞きしたいと思います。
 教育長にお伺いします。
 教員の多忙化が大きな社会問題となっていますが、県教育委員会はどのように認識しているのか、見解をお聞きします。また、県の教育委員会は多忙化解消に向けどのように取り組んでいるのか、お聞きします。さらに、部活動が教員の多忙化の大きな要因となっていると考えますが、県教育委員会はどのように捉えているのか、タスクフォースでも指摘されている部活動のあり方についてどのように取り組んでおられるのか、お聞きします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 教員の多忙化について3点お答えいたします。
 教員の多忙化の認識についてですが、近年、急激な社会の変化に伴い、いじめ、不登校や暴力行為、特別な支援を必要とする児童生徒への対応など、学校現場を取り巻く環境が複雑かつ多様化し、教員に求められる役割は拡大しております。教員には、このように多様な教育課題に対応しなければならない状況に加え、事務量の増加や保護者への対応、運動部活動の指導等により担うべき業務もふえています。
 こうした教員の多忙化を解消することは、子供と向き合う時間を確保するとともに、教員の心身の健康を保持するためにも極めて大切であると考えております。
 次に、多忙化解消に向けての取り組みについてですが、県教育委員会では、研究指定校事業の削減や校務支援システムの導入など、多忙化の防止と解消に向けた対策を講じてまいりました。さらに、学校に対しての調査やアンケートの精選、会議や研修会等の簡素化、統合などに取り組むとともに、市町村や県立学校に対し、年度当初に校務分掌の精選や会議のスリム化など勤務負担軽減の改善ポイントを示し、指導を行ってきたところです。しかし、十分な対策となっていないことから、昨年度より庁内でプロジェクトチームを立ち上げ、より具体的な方策について検討しているところでございます。
 次に、部活動についてですが、学習指導要領の総則において、学校教育活動の一環として教育課程との関連が図れるよう留意することと明記されてございます。運動部活動は、生涯にわたってスポーツに親しむ習慣を身につけ、体力の向上や健康の増進につながる学校教育の重要な教育活動であります。
 一方で、教員の熱心な取り組みに支えられ、平日の放課後とともに練習試合や大会等で土日等も活動している状況は認識しており、県教育委員会では、一部の学校へは外部指導者の派遣や効果的、効率的な指導の手法を学ぶ研修会等を実施してまいりました。
 さらに、昨年9月に和歌山県中学校運動部活動の在り方に関する有識者会議を立ち上げ、部活動のあり方についてさまざまな観点から議論していただき、現在、取りまとめを しているところです。
 この会議の中で、教員の負担軽減や生徒の健全な成長を促す観点から、週1回は休養日を設けるとの意見が多数となってございます。また、国においても、休養日の明確な設定等を通じ、部活動の運営の適正化を推進するよう示されております。
 こうしたことからも、中学校では週1回は休養日にすることが妥当であり、県中学校体育連盟とも連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 教育委員会としては、プロジェクトチームを立ち上げて、組織横断的に、より具体的な方策について検討していくとしていますね。
 私は、児童生徒の教育にかかわる業務、教育本来の業務と就学援助事務とか給食事務等の雑務を明確に区分けして、行政的に処理できるような制度の改善を求めたいと思います。より具体的に取り組んでいただけるよう要望いたします。
 また、部活動については中学校を例とさせていただきましたが、中学校だけではなくて、高校においても同じようなことが起こっています。答弁として、週1回は部活動を休みにするということであります。皆、昔は運動中は水も飲むなとか肩は冷やすなといった根性論みたいな運動部でありましたが、今どきそんなことをしてるクラブはないと思いますけど、練習量を減らすということには抵抗のある方が多いのではないかというふうに思います。今後は、外部指導員の導入や部活を社会スポーツに移行するといった視点も検討していただくよう要望したいというふうに思います。
 次の質問に入ります。よろしくお願いします。
 子供の貧困問題について、3点目にお伺いしたいというふうに思います。
 2012年に厚生労働省の国民生活基礎調査を行ったところ、子供の相対的貧困率が過去最悪の16.3%となりました。このことをきっかけに、子供の貧困が社会問題として大きくクローズアップされるようになりました。この16.3%という数字は、6人に1人の325万人の子供たちが貧困状態にあるということで、先進諸国の中でも高く、OECDが公表したデータでも加盟する34カ国中9番目に悪い数字となりました。また、ひとり親世帯では、これはパーセントが54.3%と最悪の水準となっています。
 「相対的貧困」という言い方は、聞きなれない言葉であります。分かりやすく言うと、社会の標準的な所得の半分以下の所得しかない世帯ということです。2012年の社会の標準的な所得、所得中央値は244万円です。その半分が貧困であるかどうかを分ける貧困線で122万円です。貧困率は、1年間を122万円以下で生活している人の割合を示したものであります。きょう寝るところもなく困っているという絶対的貧困と比べると、理解されにくい状態であると言えます。
 このように、貧困が子供たちに与える影響は、生活、学力、健康、情緒等の発達など、多岐にわたっています。2012年の「厚生労働白書」では、小学校時点の家庭の経済力と学力、高校卒業後の予定進路、フリーター等との分析の相関関係から、家庭の経済状況の差が子供の学力や最終学歴に影響を及ぼし、ひいては就職後の雇用形態にも影響を与えていると結論づけています。生活では、朝食の摂取、個室、持ち家、家族旅行の経験、学校の成績、欠席率、塾、習い事などにも明らかに差異があるとしています。
 また、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの報告によれば、このまま放置することは社会的にも大きな損失であると指摘しています。今の時点で国が貧困対策を講じた場合、所得額や税・社会保障の純負担額が大幅に改善され、社会的損失より経済的効果が大きいとしたデータが示されています。
 国は、子供の貧困対策を総合的に推進することを目的に、平成25年6月26日に子どもの貧困対策の推進に関する法律を公布し、平成26年1月17日から施行しています。基本理念として、「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及び子どもの貧困対策の基本となる事項を定めることにより、子どもの貧困対策を総合的に推進することを目的とする。」と明記されています。
 また、第4条には「地方公共団体は、基本理念にのっとり、子どもの貧困対策に関し、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」としています。
 さらに、平成26年1月から施行されている子どもの貧困対策の推進に関する法律では「当該地域の状況に応じた施策を策定し」とあります。同法が施行され2年半余りが経過し、県として子供の貧困の実態はどうなっているのか、どのような施策を進めているのか、福祉保健部長にお聞きします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 子供の貧困問題について、現在、県では、今年度中を目途に子供の貧困対策に関する計画の策定に取り組んでいるところです。
 計画の策定に当たっては、子供の貧困問題の中心的な部分を占め、支援の緊急度が高いと考えられる生活保護世帯の子供、ひとり親家庭の子供、社会的養護を受けている子供についての現状把握をもとに、外部有識者の意見も伺いながら、必要となる対策を盛り込んだものとする予定です。
 県内の現況として、中学から高校への進学率に大きな差は見られないものの、高校での中退者が多く、卒業後の進路にも大きな違いが出ている実態があります。
 子供の貧困を解消していくためには、教育支援、生活支援、保護者の就労支援など多岐にわたっての施策を総合的に実施し、貧困の連鎖を断ち切ることが必要です。
 本県では、計画の策定途中ではありますが、既存施策に加え、和歌山県大学生等進学給付金、子供の居場所づくり、和歌山こども食堂支援の3事業を新たに創設し、今年度から実施しているところです。
 子供の貧困は、幅が広く根深い問題です。経済的な問題だけでなく、いわゆる育児放棄により貧困と同じような状態に陥った子供については顕在化しにくいという問題はありますが、市町村と協力し、地域における子供の見守り制度を構築することにより、その対応に取り組んでまいります。
 また、子供の生活習慣や内面的なものも含めた詳しい実態の把握については、国の動向や先進事例等を十分踏まえた上で、引き続き検討していきたいと考えています。
 さらに、計画策定後においても、教育委員会を初め関係各課で構成する庁内会議を引き続き開催し、課題の見きわめ、施策の効果検証を行い、課題解消のためさらに必要となる施策等について十分検討し、貧困の連鎖を断ち切るため一丸となって取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 県では貧困の連鎖を断ち切ることが必要だと認識を示されまして、でもその解決は、ほんま大変難しい問題だなあというふうに私も思っております。給付型の奨学金、これ、ことしから。ほとんどことしの事業ですが、子供の居場所づくり、こども食堂支援。でも、どれをとっても絶対量が足りないんですよね。奨学金も限られておりますし、居場所づくりもそんなにたくさんの場所があるわけでもありません。こども食堂に至っては、まだまだ本当に数の少ない事業であります。
 また、答弁の中では実態について、現状において子供の生活習慣や内面的なものも含めたさらに詳しい実態をつかむための手法が確立されていないというようなことで、引き続き検討していきたいとのことであります。貧困が子供たちにどのような影響を及ぼしているのかというのがわからないのでは、ちょっと対策の打ちようがないんじゃないかというふうに思うわけです。
 沖縄県での事例を申し上げますと、詳細な実態調査をされておりまして、8月19日付で沖縄県子どもの貧困対策計画等についてという、もうそういうのが出されております。その中では、実態調査に基づいた対策が示されております。沖縄は貧困率が一番高いというふうに言われておりましたので、かなり早く対策を出されたんだというふうに思いますけれども、それでもやはり和歌山県においても必要な取り組みだというふうに思うわけです。
 6月には、沖縄で経済団体、それから労働団体、教育団体、福祉医療、保健分野、それからNPOなどその他の支援団体とか報道機関、それに国と県、市町村が構成メンバーになりまして、沖縄子どもの未来県民会議というのが設立されました。県民の総力を挙げて未来を創造する子供たちが安心して暮らし、希望を持って成長していける社会の実現を目指すというふうにして、子供の貧困対策に、それこそ先ほども本気、本気と言ってるんですけど、本気で取り組む姿勢が感じられたわけです。
 先ほど言わしていただいたように、沖縄だけではなく日本全国どの地方でもやっぱり本気で取り組まなければならない課題だと思いますので、この課題を見きわめるためには実態調査がやっぱり必要じゃないかというふうに私は思っております。そのことも十分検討していただくとともに、具体的な取り組みを強く要望したいというふうに思います。
 以上で、質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時20分休憩
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  午後1時0分
○議長(浅井修一郎君) 再開の前に申し上げます。
 本日、和歌山大学附属小学校6年生の皆さんが、こども県庁探検隊として傍聴席に来場されておりますので御紹介申し上げます。(拍手)
 児童の皆さんには、県議会や県行政について関心をお持ちいただくとともに、未来の和歌山のため、しっかりと勉強していただきたいと思います。
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  午後1時0分再開
○議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 議長がおっしゃりましたように、附属小学校の子供たちが来ております。勉強になれるようしっかり頑張りますんで、よろしくお願いします。
 まず、第1問目であります。
 一般社団法人日本ハラール認定推進機構の加藤洋介さんという方が、先般、和歌山県を観光目的で訪れてくれました。
 山梨県では、外国人観光客の誘客で、中でもムスリム旅行者向けのホテルや旅館を誕生させ誘客に成功している、このことを説明してくれたものです。加藤さんいわく「和歌山県も外国人観光客の誘客に積極的だと聞いております。世界遺産である高野山や熊野古道があり、外国人にとって魅力的な地域なので、ここにムスリム旅行者を呼び込めると思います」、このように話してくれました。
 ムスリム観光客向けに改装した山梨県のホテルは四季の宿富士山、ここはムスリム旅行者向けに宿泊者用の礼拝所が設置されたと聞きました。ビザの緩和の影響もありマレーシアやインドネシアからの旅行者が増加している状況から、ムスリム旅行者に日本での観光を楽しめるよう礼拝所を設置したものです。このように安心してムスリムツーリズムができることが、日本でも可能なことを海外のムスリム観光者に河口湖での取り組みを発信している、このように聞きました。
 ある大手食品会社では、ムスリム専用の食肉工場を設けているということも聞きました。ここで生産されたお肉は、ムスリム用の食材として使用できることになります。このように、外国人観光客誘致に積極的なところは、外国人観光客向けの体制を整えつつあります。
 我が和歌山県ですが、例えばバイオマス発電で使用するPKS、パームステアリングオイル、この主な輸入元はマレーシアやインドネシアなので、和歌山県にこれらの国からのお客さんが来ることもこれから予想されるというふうに思います。
 そこで、この点の1問目であります。
 知事の議会開会日の説明の中で、外国人観光客の受け入れ体制の整備を進めるとともに、海外向けの情報発信やプロモーション活動を積極的に展開していく、こういう説明がありました。外国人観光客向けの受け入れ体制の整備や情報の発信状況はどう考えているのか。また、ムスリム旅行者向けの受け入れ体制やこれらの国への情報発信はどう考えているのでしょうか。第1問目に関しては、商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 県としましては、今後ともより多くの外国人観光客を誘致するため、無料公衆無線LAN、おもてなしトイレの整備、電話通訳サービス、簡易翻訳サービスなどの受け入れ環境の充実と各国の嗜好、動向を踏まえた海外へのプロモーションを2本柱として取り組んでおります。
 マレーシア、インドネシアを初めとする東南アジア圏についてはインバウンド観光客誘致の重点市場と捉え、ムスリム旅行者の受け入れ体制を向上させるため、県内の飲食店、宿泊施設などの観光事業者を対象に、ムスリム対応に関するセミナーを開催しています。
 また、こうした取り組みを行っている観光事業者の飲食や礼拝環境等への対応状況を集約し、多言語ガイドブックを通じて情報発信を行っているところです。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 平成25年の6月県議会定例会におきまして、和歌山県とマレーシア、そしてハラル市場への進出の可能性や期待、観光面からの期待で知事から答弁をいただいておりますので、その一部を引用させていただきたいと思います。
 「マレーシアは、昨年の訪日数が過去最高を記録しておりまして、この夏──これは平成25年のことなんですが──に予定されているビザ免除で訪日数が一層増加するということが予想されておりまして、大変有望な、かつ重要な市場となっている。また、県内の一部の宿泊施設では、ハラルや祈祷の対応を行っております。その際、先ほど申し上げましたハラルの問題について、受け入れ側のサービス主体が対応するということは、ここでそんなに不可能とは思われません。十分可能だと思いますので、民間の企業とよく相談をして研究して対応してまいりたいと思います」。
 続いて、「このような県や民間事業者の取り組みにつきまして、マレーシアの旅行会社が和歌山商品を造成するというようなことを実施しておりまして、少しずつ成果があらわれておりますけれども、まだまだでございますから、マレーシアへのプロモーションを継続、強化することによって、さらなる誘客に努めてまいりたい」、こういう答弁をいただいております。
 ここで、マレーシアのプロモーション活動の継続、強化によりさらなる誘客に努めていくということでしたが、継続、強化したプロモーションによる誘客の成果はどのようにあらわれていますか。この点も商工観光労働部長の答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) マレーシアからの誘客に関しましては、平成23年から毎年、現地旅行博へ出展するとともに、メディア取材やエージェントへのファムトリップを実施するなど、継続したプロモーションに取り組んでいます。
 これらの取り組みにより、マレーシアからの県内宿泊数は、統計を始めた平成25年の527人から平成27年には1718人と3年間で3倍以上に増加しております。
 あわせて、マレーシアからの教育旅行の誘致にも取り組んでおり、平成27年は5校155人が来県し、印南町、日高川町で民泊体験や県内の高等学校との交流を行っております。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 部長の答弁によると成果が徐々にではあるけどもあらわれていると、このような状況かというふうに思います。
 また、白浜空港の国際線化、今計画をしているところでありますが、これが実現しますと、運営者は東南アジアからの個人観光客の誘客にも力を注ぐのではないかと思われますし、アジアのこれらの国々から観光客の増加が見込まれます。
 既に白浜町のホテルも外資になっているところがありますし、アジア圏やムスリム旅行者向けのホテルの設置の可能性が出てきます。今から東南アジアからの観光客増加に対応した体制、民間事業者との連携を図る必要があると思いますが、この補助制度の適用も含めて商工観光労働部長の答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 東南アジア圏から今後多くの皆さんを本県にお迎えできるよう、セミナーの開催などにより宿泊施設の受け入れ体制の充実に取り組むとともに、メディアやウエブサイトを活用しつつ、あらゆる機会を捉えて情報発信を行ってまいります。
 また、本年9月より高級ホテル・旅館の開設を促進する奨励金制度を創設いたしました。この制度は、県内一定の要件を満たす宿泊施設を新たに建設、取得、賃借または増設する場合に奨励金や補助金を交付するものです。昨年、本県への観光客が過去最高を記録する中、高級ホテル・旅館の立地によるさらなる知名度の向上や新たな顧客層の誘客を図ってまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、第2問目に入りますが、ちょうどきょう傍聴に来てくれてる子供たちが小学校6年生ということなんで、ちょっと歴史の認識を深めていただければありがたいと思いまして、明治維新、大政奉還から150年の取り組みについて、この点に入らしていただきます。
 平成27年8月31日、東京・明治記念館で、平成30年に迎える明治維新150年に向けて、平成の薩長土肥連合、これが宣言されております。鹿児島県、山口県、高知県、佐賀県が幕末維新をテーマとする広域観光ルートの形成などで相互客送の体制を構築し、知名度の向上と観光産業の強化を図っていく、このような企画です。既に平成30年のNHKの大河ドラマは西郷隆盛を取り上げた「西郷(せご)どん」、これに決定していますから、平成の薩長土肥が注目を集めることになります。
 また、京都市では、平成29年に大政奉還から150年の節目を迎えることに着目し、大政奉還150周年記念プロジェクトを計画しています。このプロジェクトでは、幕末維新に京都で活躍した先人たちと縁を持つ都市が相互に交流、連携を図りながら記念事業を実施することにしています。
 京都市は、京都市に縁、ゆかりを持つ都市に幅広く参画を呼びかけて、16都市に賛同してもらったと聞きました。プロジェクトは、幕末維新にスポットを当てた都市間連携事業としては過去最大規模の広がりを持つ取り組みになります。このプロジェクトに参加する都市の主な取り組みとして、坂本龍馬没後150年記念事業、高杉晋作没後150年記念事業、戊辰戦争150年プレ事業などが計画されているようです。平成29年は大政奉還150年、平成30年は明治維新150年の年になり、観光はここにゆかりのある都市に集中することが予想できます。
 明治維新150年にも大政奉還150年にも和歌山県がかかわっていないということであれば、とても寂しいことだというふうに思います。特に平成29年は陸奥宗光没後120年の年となりますから、シンポジウムの開催など大政奉還150周年プロジェクトと連動した取り組みをすることで偉人の功績が広く伝わり、集客効果も上がると思います。
 例えば陸奥宗光の功績ですが、慶応3年(1867年)11月15日に坂本龍馬が暗殺されていますが、龍馬の遺志を受け継いだ陸奥宗光の行動は素早く、同年12月、英国公使パークスに面会、その後、京都の岩倉具視に面会を果たし開国を説いています。ほかにも、この時代の和歌山県のことは「南紀徳川史」に記されております。
 大政奉還後に版籍奉還が行われ、紀州藩から和歌山藩になっています。当時、朝廷と新政府とも関係が思わしくなかった紀州藩主徳川茂承は、津田出を介して岩倉具視に高く評価されていた陸奥宗光に紀州藩の危急を知らせ、陸奥は郷里の危機にはせ参じ、郡県制と兵制改革の施行を根幹とする改革案を陸奥は岩倉具視に提示、説得し、藩主茂承は版籍奉還を申し出て認められ、和歌山藩知事に任命されています。
 すぐさま明治2年に和歌山藩が率先して藩政改革を行い、明治政府の廃藩置県のモデルになったという歴史があります。和歌山藩が薩長土肥に先駆けて藩政改革を行ったことで明治維新があり得たと言いたいと思います。薩長土肥が明治維新への布石をつくり、それを真っ先に実践し、近代国家のモデルとなったのが和歌山藩です。よって、明治維新は和歌山から起きたと言っても過言ではないと思います。
 その明治維新から歴史は150年の時を刻みました。この先人がつくった歴史を、和歌山県はやすやすと見逃すのでしょうか。こうした先人たちの誇れる歴史を私たちが発信していなかったことを今反省しなければならないと思います。
 平成29年は大政奉還から150年、平成30年は明治維新から150年の年を迎えることになります。幕末にゆかりのある府県では、都市間を結ぶ観光プロジェクトやイベントを計画しています。明治2年に藩政改革を行った和歌山藩こそ明治維新の立て役者であり、この歴史を発信してほしいと思います。
 和歌山県として、我が国の歴史の大きな転換期となる大政奉還と明治維新から150年の年は、郷土の偉人たちの功績を現在によみがえらせ、ふるさとの歴史を学ぶ、そのことを全国に情報発信することが観光にもつながると思いますので、観光の観点から知事の答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御承知のとおり、本県では平成23年度より和歌山県偉人顕彰シリーズとして毎年東京でシンポジウムを行っており、これまでに陸奥宗光や濱口梧陵など明治政府の近代化に寄与した人物など、郷土の偉人たちの功績を改めてたたえ、全国に情報発信をしております。今年度も、松下幸之助シンポジウムを12月17日に東京で開催することにしております。
 陸奥宗光さんは、外務省で唯一銅像が建っておる、我が国の外交史上ナンバーワンの政治家であります。このようなことを含めて、和歌山県の郷土の認識については、私自身も実は正直言って、大変、子供のころは知りませんでした。知事になりましてからいろいろ勉強いたしましたら大変なことがいっぱいわかってまいりまして、それで誇るべきものがたくさんあるんだなということを知ったわけであります。これまた正直言いますと、仁坂少年に全然教えなかった当時の和歌山県とか和歌山県教育委員会とかに物すごい腹立ちを覚えておりますが、しかし、今の子供たちに将来そんなふうに思われてはいかんということで、実は「わかやま何でも帳」など郷土教育を一生懸命やろうというふうに思っているわけでございます。
 陸奥宗光については、岡崎久彦さんの教えがたくさんございまして、これは大変な偉人だということで、実は今からもう7~8年ぐらい前になりますけれども、NHKに大河ドラマにしてくれというようなことを、時の会長か副会長に申し入れに行ったことがあります。実は、「近代は難しい」というのがそのときの話だったんですが、あわせて必要なこととしては「小説が要ります」と、「ドキュメンタリーではだめです。小説が要ります」というようなことを言われました。
 そこで、これまた和歌山県の生んだ立派な作家でありますところの津本陽さんに陸奥宗光の伝記をぜひ書いてくださいというようなことを申し上げておりましたら、まず坂本龍馬との関係で小さい本を書いてくれたんですけれども、これはどうも坂本龍馬のことばっかり書いてあるんでちょっと使い物にならんと思っておったら、ついに最近「潮」に連載が始まりまして、9月5日に単行本として「叛骨 陸奥宗光の生涯」という本が出たわけでございます。1つの必要性はクリアされたんですが、努力をしていきたいと思います。
 陸奥宗光没後120年に当たる来年は、改めてシンポジウムの開催などを考えているということを企画部長が答弁申し上げたとおりでございます。大きな役割を果たした郷土の偉人たちの功績に再びスポットを当てて、周辺の観光資源と結びつけながらお客様を招くことは、県民のふるさと和歌山への愛着と誇りや自信にもつながるよい取り組みと考えております。それには、まず県民皆が特にふるさとについての知識を持って、それぞれがその知識を語り始めるということが大事だと私は思います。
 そこで、先ほど申し上げました「わかやま何でも帳」を子供の教育用だけではなくて大人の方にも読んでいただけるように、和歌山放送に市販してもらって出版をしてるということでございます。こういうことをいろいろ総合的にやりながら、観光と、それから和歌山県民の誇り、両方を達成できるように頑張ってまいりたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事に答弁をいただきまして、そういや、僕も学校で習った記憶は余りないなあというのを思い出しまして。
 なぜこの名前を知ったかというと、小学校のころ父親が、「和歌山ですばらしい人いる?」という僕の質問に対して「陸奥宗光や」と即答で言ってくれて、そこから調べ出したというのがちょっと今記憶によみがえってきたんですが、しっかりと教育で伝えていただきたいと思います。
 先般、この質問をするに際して、陸奥宗光はどんな人物やということを知り合いが、えらいエピソード、生まれてから亡くなるまでのエピソードをこれぐらいにまとめていただいて資料を提供していただきまして、十分これだけで大河ドラマというんでしょうか、物語性があるのかなというふうに思いますので、しっかりとこの陸奥元外務大臣の功績を伝えられる、これは教育にも観光にも伝えていけたらというふうに改めて思った次第であります。
 さて、平成29年から平成30年にかけては「幕末」が観光のキーワードになる、このように思いますが、例の大政奉還のプロジェクトですけども、企画した京都市から和歌山市に対して参加要請は、確認するとなかったようです。京都市は、「和歌山市はお誘いする対象の都市にはなっていなかった」ということでした。紀州藩が大政奉還や明治維新に果たした役割の認識がないこと、これは和歌山県として反省すべきだというふうに思います。もし日常から和歌山県の観光は文化と歴史、偉人だということをほかの都市に発信していれば、広域観光の誘いもあったのではないかなというふうに思います。
 歴史を題材とした広域観光の流れは、県内外にとどまらず全国、いや、世界の歴史ファン、研究家に文化と歴史の輝く観光都市和歌山を知っていただく大きなチャンスではないかというふうに思います。例えば、陸奥宗光没後120年の企画や廃藩置県のモデルをつくった和歌山藩であることを訴える機会にはなると思います。
 加えて、和歌山県の観光事業として、大政奉還と明治維新にかかわる取り組みも検討していただきたいと思います。観光振興につながり、和歌山県の文化と歴史のPRにもつながる事業が必要だと思いますが、商工観光労働部長の答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 議員御指摘のプロジェクトが関係する自治体で連携して進められていることは存じていますが、本県には、明治維新期の陸奥宗光はもとより、例えば、濱口梧陵の「稲むらの火」や、昨年、国内外で上映されたエルトゥールル号遭難にまつわる日本とトルコの友情の話、現在大河ドラマで放送中の真田幸村を初めとする戦国の物語などの逸話もたくさんあります。
 県としては、こういった和歌山が主役として戦略的に売り出していける歴史、文化などの観光資源と、お客様に楽しんでいただける温泉や食、体験などを組み合わせた魅力ある観光プランをつくり旅行動機を喚起することで、周遊促進、滞在時間の延長につなげるべく取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 部長から答弁をいただきましたが、来年に向けてこういった郷土の偉人をつなぐ、こういった観光の企画が明治維新や大政奉還に劣らぬよう、しっかりと企画をして全国に発信する、誘客できる、こういう取り組みになることを期待していることを申し添えたいと思います。
 第3問目に入らしていただきます。防災対策についてです。
 ことし8月、改新クラブとして熊本地震で被災した熊本市と益城町を訪ね、災害発生後の対応や避難所の運営に関して現場を視察し、現地の人と意見交換を行ってきました。被災現場に立つと、一日も早く復興してほしいと願わずにいられませんでした。
 これまでも、阪神・淡路大震災、東日本大震災の現場にも行きましたが、被災地に立って思うことは、事前にできること、考えられる対策は全てやっておくべきだということです。軽易なことに思えても、二重三重に対策を講じることこそ、全ての県民の方々の命を守ることにつながることになります。
 わかっているけれども理由をつけて実施していないという姿勢が見られるようでは、到底県民の命を守ることはできません。事前にわかっていることは事前に実施すべきですから、もしも南海トラフの巨大地震や津波に襲われたとき、わかっていたのになぜ事前に対策を実行しなかったのだろうと後悔しないようにしたいと思います。
 平成28年6月県議会で一般質問した感震ブレーカーについて、質問後、思っていた以上に反響が大きかったので驚いております。
 幾つかの意見をいただきました。「以前から市に対して──この市というのは、この住民の方が住んでいる市なんですが──申し出ていたけど対応してくれなかった」、「不安に思っていたけれど、届かなかった声を県に届けてくれた」、「自分の命は自分で守るけれど、そのためには情報が必要です。行政はこのように必要な情報を発信していただきたいと思いますし、普及するために支援制度をつくってほしいと思います」、「串本町では補助制度を創設しているのに、ほかの市町村に制度がないのはなぜなのでしょう。県からの指導はどうなっていますか」、「私の住んでいる市では感震ブレーカーも補助対象機器になっているけれど、ほかの機器と同じ扱いなので、火災報知器などほかの機器導入の補助が多ければ感震ブレーカーの予算は少なくなります。防災対策として余りにも予算が少ないのが現状です」、こういった意見が寄せられました。
 そのため、幾つかの市を訪ねて、感震ブレーカーの広報活動や補助制度の考え方について意見交換を行ってきました。その中で、「これから秋の防災訓練の中で広報活動は実施しますよ」、こういう声はいただいたんですが、補助制度に関しては、「市でも検討したいけれど、市では新規対策に回せる予算は限られている、ありません」だとか、「県が市に対して予算を配分してくれるとやれるのですが」などの意見が大半でした。市町村は県を頼りにしていますから、必要なことは県に言ってこい、こういう姿勢を持ってほしいと思います。ただ、広報活動に関して実践してくれていることはありがたいと思っています。
 9月に入って、私は2度、防災講演会、これを開催さしていただきまして、1回目は和歌山県の危機管理局、2回目は和歌山市消防局に来てもらい、それぞれ講演してもらいました。今までの講演内容に加えて、通電火災を防止することや感震ブレーカーの設置についても今回は説明してくれたということで、こういった内容を県民の方々に日ごろから説明してくれてるんだなと、こういうふうに思いましてありがたく思っておりましたが、支援制度の面ではまだまだのようです。
 また、大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会、これは内閣府、消防庁、経済産業省で構成されておりますが、地震火災による延焼危険の高い木造密集市街地に対して、これらの感震ブレーカー等の普及を重点的に進める必要があると結論づけています。
 そして、一般社団法人日本電気協会が定めた電気事業者が電気設備の設計、施工などにおいて基準とする内線規定では、地震等に著しく危険な密集市街地において、新築、改修などで新たに分電盤を設置する場合は、感震ブレーカーの設置を積極的に推進しています。
 ここで、感震ブレーカーの設置を求める推進地域に和歌山県の中では複数の市町が位置づけられています。既に全国の市町村では補助制度を創設し始めていますが、和歌山県では串本町が補助制度を創設している程度かと思います。
 最重要課題である防災対策ですから、県に必要な施策の要望をしてきた場合は、現場の意見として聞いてほしいと思います。このような身近な課題は市町村が窓口になることが好ましく、大切な県民の声を聞き取っている市町村が必要とする施策に関しては、予算面でも県が市町村を支援すればいいと思います。
 特に、今回声の大きかった高齢者、障害者などの要配慮者の命を守るために、感震ブレーカーの支援制度を創設してほしいと思います。市町村が感震ブレーカー普及のための支援制度をつくることを県として支援してほしいと思いますが、知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 6月議会に議員から御質問のあった感震ブレーカーの普及拡大については、私も行政報告会などで地震による電気火災やガス漏れを防ぐためのパンフレット等を用いて県民の皆さんに呼びかけを行っているところであります。
 感震ブレーカーの設置補助についてのお話でありますが、わかやま防災力パワーアップ補助金の交付対象にしてほしいとの要望を県市長会とか町村会からいただいているんですけれども、ライフジャケットのときもそうだったんですけど、基本的に感震ブレーカーの設置は個々の家庭ですることであって、みずからの命はみずからで守るという自助の問題であると基本的には考えています。
 しかし、わかやま防災力パワーアップ補助金において、現に従前から個々の家庭における家具の転倒防止について、高齢者等災害時の避難に特に配慮を要する者に対して市町村が補助をする場合、交付対象にしております。そういうこともございますので、これもいい話でございますから、感震ブレーカーの設置についても前向きに検討してまいりたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事から答弁をいただきまして、前向きに検討ということで、ぜひ来年度から実現するようにお願いを申し上げたいと思います。
 この中で、きのう同僚議員の質問の中で、河川の整備の中で意見をここでおっしゃられた議員さんのところで感銘を受けたことがございまして、例えば、河川の管理を放置していることに関して、住民が不安に感じていることを解消し安心感を与えることが行政の役割だと、こういうことを話しておりましたが、この感震ブレーカーについてもまさにそのとおりだというふうに思います。
 不安感を感じているもの、少額だからこれはまあいいだろうというんじゃなくて、少額でも必要としてくれてるというのは、やっぱり高齢者の方や障害者の方々、あるいは病気で動けないという要援護者の方々の声だというふうに思います。そういう皆さんの声をしっかりと聞いて、少額であってもなかなか自分で、自助でできないという方もいるということを認識した上でこの制度設計をお考えいただく、このことを要望しておきたいと思います。
 それでは、最後の質問です。拳銃発砲事件への対応についてであります。
 平成28年8月29日、和歌山市塩屋1丁目の土木建設会社和大興業で4人が死傷した拳銃発砲事件が発生しました。和歌山県警は、殺人と殺人未遂容疑で全国に指名手配をしました。翌30日の午後9時過ぎごろ、市内の現場近くで自転車に乗っているところを発見されましたが、パトカーに対して後方から拳銃を発砲し、再び逃走しました。
 事件から2日後の31日午前1時ごろに再び発見されましたが、容疑者は集合住宅の外廊下や隣の工事中の建物に立てこもりました。そして、同日午後6時半ごろ、自分の腹をみずからの拳銃で撃ったところを取り押さえられ銃刀法違反容疑で現行犯逮捕されましたが、救急車で病院に搬送された後、約2時間後に死亡してしまったと、こういう事件であります。
 容疑者が拳銃を持ちながら29日から31日まで逃走を続けたこと、覚醒剤を使用していたという情報などから、この時間帯、和歌山市民は大きな不安と恐怖を感じました。結果として、約17時間アパートに立てこもり、事件発生から身柄拘束まで約58時間もかかったこと。もっと早く解決できなかったのか、こういう声が上がりました。
 ここで感じたことは、市民が自己防衛をするために必要な情報の発信ができたのか、容疑者を死亡さしてしまったことから拳銃や薬物の入手ルートの解明が難しくなり、市民の不安が今も継続していることなど、こういった問題があるということです。
 そこで、警察本部長にお尋ねいたします。
 今回の事件で、市民の安全確保のために実施したこと、小・中・高校や幼稚園、保育園などの安全確保に努めたことについても説明してください。
 また、容疑者が拳銃と薬物を所持していたことは大きな問題です。拳銃と薬物の取り締まりについてもお答えをお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 警察本部長直江利克君。
  〔直江利克君、登壇〕
○警察本部長(直江利克君) 今回の事件は、住宅地における銃器を使用した非常に凶悪な犯罪であり、警察としましては組織を挙げて地域の安全確保を最優先に事態対処に当たりました。
 まず、市民の安全確保につきましては、8月29日の事件発生直後に和歌山市防災無線、きしゅう君の防犯メール、報道機関を通じた住民の方々への情報提供、関係機関への情報提供を実施し、安全確保に努めました。
 翌30日、通報を受け被疑者を追跡した際には、付近住民に対しパトカーのスピーカー、戸別訪問、和歌山市防災無線、きしゅう君の防犯メールによって外出の自粛、戸締りの徹底をお願いするとともに、住民を避難させる等の安全確保に努めました。
 次に、近隣の幼稚園や小学校等の安全確保につきましては、事件発生直後に県教育委員会等の関係機関に情報提供を行うとともに、発生地が校区となる小学校及び中学校には直接担当者が赴き、安全確保の検討を申し入れました。
 また、県下の全警察署に対し、登下校時の時間帯において、小学校の通学路等に重点を置いたパトカー等による警戒活動を強化させました。
 さらに、31日未明には、再度県教育委員会等の関係機関に情報提供を行い、安全確保について検討を申し入れ、近隣の幼稚園や小学校の安全確保に努めました。
 銃器犯罪は県民の生命を脅かす重大な犯罪であり、地域住民の方々を不安と恐怖に陥らせた今回の銃器を使用した事件の発生を重く受けとめております。県警察では、暴力団関係者等からの情報収集や他の事件捜査からの端緒情報入手のほか、けん銃110番報奨制度の広報を含め県民からの情報提供をお願いするなど、銃器摘発に向けた対策を積極的に推進しているところであります。
 また、薬物事犯につきましても、昨年中174人を検挙し、約1.3キログラムに上る大量の覚醒剤を押収するなど、密売人や末端乱用者に至るまで徹底して検挙しているところであります。
 今回の事件に使用された拳銃及び薬物の入手ルートについては鋭意捜査中でありますが、県民の皆様の安全と安心を確保するため、今後も強力な取り締まりに加え、薬物事犯の根絶に向けて、学生を対象とした薬物乱用防止教室の開催や県薬務課等の関係機関と連携した広報啓発活動を一層推進し、薬物乱用の危険性を広く浸透させてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 警察本部長から答弁をいただきまして、この事件、終わったかのように見えますが、依然として捜査が継続中ということで、まだ終わっていないということもありまして、まだ捜査上の秘匿事項というんですか、そういうこともあろうかというふうに思います。
 ただ、拳銃発砲、麻薬、こういったことが我々市民生活、県民生活に与える影響は非常に大きいと思いますし、特に市街地でこういうことがあってはならないというふうに思います。しっかりと解明、そして再発防止に努めていただくことをお願い申し上げまして、私の一般質問とさせていただきます。どうも御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 22番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 皆さん、こんにちは。議長のお許しをいただいて、一般質問、最後の質問をさせていただきます。
 最近、世界的に異常気象──これは日本もそうなんですけども、異常気象ということで、世の中、地球温暖化対策をしなきゃいけないということで盛んにテレビと新聞でも論じられております。その中で一昨日の「産経新聞」、この中に石原慎太郎氏が第1面で、これはコラムというか世の中を警世する、そういう「日本よ」という記事を載せてあるんですけども、石原慎太郎氏、何回も、ことしになってもう3回ぐらいこの話を新聞で発表しております。というのはこういう話なんです。
 イギリスの宇宙物理学者ホーキング博士の話なんですね。石原慎太郎さんが、40年ほど前に東京でこの方の講演を受けたと。その中で、最後に質疑応答があって質問が出たと。どういう質問かといいますと、いわゆる宇宙全体に地球のような環境の星がどのぐらいありますかということで質問されたと。博士は言下に300万あると。そしたらまた質問があって、そんなに300万も宇宙に地球と同じような星があるんだったら、地球人、我々がどうして宇宙人と遭遇しないのかと。そしてまた、宇宙船、UFOと遭遇しないのかというそういう質問で、その答えとして、地球ほどに文明が発達した星は、いろんな循環が狂ってしまって瞬時に消滅するという話であるわけなんです。瞬時に。
 瞬時というのはどれぐらいかということを石原慎太郎氏が質問したと。すると、まあ100年かなと、こういう話であるわけなんです。そういう話の中で、石原慎太郎氏は、もうこれ何回も言うわけなんですけども、もう放っておくわけにはいかないと。何とかこの問題に正面から取り組まないと地球は消滅するんじゃないかと。地球消滅、または生物消滅ですね。
 地球誕生から30数億年たつわけなんですけども、人類ができたのは1年で例えれば12月の大みそかの日で、もう10時回った時間帯ぐらいにできたんだろうということなんですけども、それぐらい──まあ100万年ぐらいですね、長く見積もっても。石器時代ということになれば10万年ぐらいで、そういう短い間なんですけども、それよりも瞬時に100年で消滅するという、こういう話なんです。地球的時間ではどれぐらいかということを石原さんが聞いたらしいですね。そうすると100年だと、そういうことなんです。
 それで、この間もパリ協定ということで、世界の2大排出国、公害大国、中国とアメリカがパリ協定を批准したわけなんですけども、とにかく今、その問題が持ち切りでされておるわけなんです。地球温暖化対策ということで。
 それで、きょう私は、この地球温暖化対策の中で、そういうことを観点に森林の問題と観光の問題を尋ねさせていただくわけなんですけども、山の日というのが8月11日にことしからありました。この山の日の制定というのは、山岳連盟とか登山家の人たちが、海の日があるんだから山に登る日もあってもいいだろうということで提唱してできたこともあるわけなんですけども、基本的には、我々にとって山の日という意味は、山に親しんで、そして山の持っている恩恵に感謝するという日であるということであります。
 そういうことで、和歌山県は全国第7位の森林県。これは本当に、76.8%、約77%が森林に覆われた県土の県であるわけであります。その山を守るために我々和歌山県はどうするかということを考える1つの大きな日にしていきたいということであります。
 今、その和歌山県には企業の森というのがたくさんできております。企業の森。大学の森もできておるらしいですね、桃山学院大学。この間、御坊へ行ったら、「日高新報」で見たんですけども、大学の森で学生が何十人か来て体験をしたり民宿に泊まったりしていろんなことをしておるということ、勉強をしておるということを聞いたんですけども、そういう大学の森というのもあるわけなんです。
 そしてまた、「じみんの森」というのも中辺路町にあるわけですね。これ、3年ほど前に自民党が、とにかくいろんな団体が企業の森をつくるんだったら我々も「じみんの森」という、いわゆる政党の森をつくって国民運動をしようじゃないかということでつくったわけなんですけども、まあまあ3年になって木も大分生えてきて、中辺路通ったら安倍晋太郎総裁の「じみんの森」という看板がかかっておるので、また一遍見に行っていただきたいなと、そんなに思います。
 そういうことで、こういう山の日の行事を集中的に行うことによって、県民みんなが森に山に感謝して、そしてまた、どうしたらみんなが山を守れるんだろうかということを考える、そういう日にしたいなということで、こういう事業を、イベントを県で一遍やってほしいなと、そんなに思うわけであります。
 やり方はいろいろあると思うんですね。企業の森の人をみんな呼んで一斉に何かをやろうじゃないかと、そういういわゆるイベントの日にしていただいて、ひいてはそれがまた観光の資源になるんではないかと、私はそのように思うんで、この点についてひとつこれは知事にお伺いしたいなと、そんなに思います。
 それから、森林の問題でありますけれども、これは森林のPR事業はやっぱりなぜ山を守らなきゃいけないかということをやらなきゃいけないなと、そんなふうに思います。
 平成13年に森林・林業基本法が改正されました。これは、改正されたというのはどういうことを改正されたかというと、今まで林業基本法ということで林業生産にかかわることについての法律であったわけなんですけども、この平成13年からは森林の持つ多面的機能──これは鈴木議員もこの間質問してましたけども、多面的機能がたくさんあると。これは、もう我々が随分前からみんなで叫んでこの林業基本法が改正されたわけなんですけれども、そういう精神を生かすために紀の国森づくり税ができたわけなんです。
 この条例については、和歌山の議会始まって以来の議員提案の県条例でありました。とにかく議会改革をしなけりゃいけないという思いで、自民党を中心に、採決のときには自民党単独でこれせなあかんのかなと思っておったんですけども、皆さん反対されて、最終的に我が有田の松本貞次さんが「やるんだったら、やっぱり賛成しようじゃないか」ということで、これが採決されてできました。
 それ、既に37県がこの間できたと初めて聞いたんですけども、37県といえば──大体、森林面積がいわゆる県土の50%以上ということの県だろうと思うんです──そういう県でできたということは、もう全国的にこれが認知されて当然の税になったなということなんですけども。
 そういうことで、我々は県民に本当に税について語りかけて、やっぱりこの税が必要であるということを語りかけて、森林シンポジウムとかそんなんをやって、議員提案をしてこの条例をつくったわけなんですけども、それがようやく全国に広がって、この間も聞いたんですけども、与党の中で自民党と公明党、与党の中で税制大綱の中で森林環境税ができる方向性が出てきたというのを聞いて非常に喜んでるんですけども、やっぱりこれができて国民みんなが、東京都民の人たちも森林のための環境税を払ってもらうという、そういう法律ができれば大変うれしく、いいなと思います。
 そういうことで、山のこの危機的な状況をなぜ救わなきゃいけないかということを、もっともっと県がPRする必要があると思うわけなんです。そういう意味で、紀の国森づくり税の財源を使ってPRをしていただきたいなと、そんなに思います。
 山林というのは、もう非常に山村地域が過疎化しておって、人口は減り、お年寄りばっかり、高齢化率が非常に高いということで、本当に消滅する一歩手前のような状況になってきておるんではないかと思います。そういうことで、このPR事業がいかに大事かということを認識していただいて、それに取り組んでいただきたいなと、そのように思います。
 次に、森林を大事にするためにはどうしたらいいかということに進んでいくわけなんですけども、それはやっぱり森林と、そしてこの林業を活性化させるということであります。森林の木を切って、そのなりわいをうまく安定していけるようにすることが、山を守る出口の第1番の方法ではないかと思うわけであります。
 従来の林業は大分低迷しておって、もう林業自体があかんから間伐材も出せない、間伐もできないという山林があっちこっちで放置されておるわけなんです。立ち枯れはするわ、日が当たらないから雨が降れば大量に水が出ていくわということで、大変な状況になってきておるわけであります。
 そういう中で私が提案をしたいのは、新しい林業ということであります。新しい林業ということで起こそうと思えば、やっぱり新しい木を使う産業を起こさなきゃいけないなということであります。新しい木材を利用する産業、そしてまた新しい木材を利用する工法を和歌山県が考えなきゃいけないなというふうに思うわけであります。
 私は、和歌山県はこの面については非常に後進県だなと、そんなに思っております。というのは、この間、私は和歌山県木材県産品フェアというのに行ってきたんです。そこへ行ってきたら、木製ガードレールのコーナーがありました。そこへ行って聞くと、長野県産だと言うんです。長野県産。なぜ和歌山の県産品になるんですかということを聞いたら、和歌山の木を使うからということらしいですけども、それはやっぱりどっかに問題があるなと私は思ったわけですね。
 それで、長野県産のガードレールはどんなにできてるんかなということでちょっと調べたんですけども、それは田中康夫知事、これは我々余り評価はしてなかったんですけども、その知事が在任中にこの木製ガードレールを本当に推進して、長野県中を何十キロも整備したというのを聞きました。
 そして、そのガードレールをつくるのにも、これ大体衝撃テストというのが2000万ぐらいかかるらしいです。2000万円。だから、これ考えて、2000万かかるんですから、なかなか和歌山県でも手を出す人はおらんわけなんです。2000万、元をかけて、使ってくれるかどうかもわからんその木製ガードレールをつくるわけにはいかんということなんですけども、それを長野県は提案しなさいと。そしたら、10の企業が提案したらしいですね。そして、3つの企業に合格点を与えて衝撃テストのお金も出してやったと、こういう事例があるわけなんです。
 そういうことで、和歌山県でも有田でクスベ産業さんの楠部さんが、この間、試作品をつくって実用新案をとったというのを聞いております。だから、私はこの木製ガードレール、和歌山県はちょっとしかないですね。ちょっと見たことがあります。本宮あたりへ行ったらちょっとありますね。ちょっとしかない。やっぱり観光地とかそんなところへ、こういう木製ガードレールをしたらいいと思うんで、せっかく実用新案をとっておる、そういうものに対して県が何とか支援をできないのかと、そのように思いますので、取り組んでほしいなと、そんなに思います。
 それで、またきょうも大西さんも来ていただいてるんですね。株式会社オオニシさん、和歌山市の方なんですけども、木材の間伐材を使って木枠の特許をとっておると。ところが、この特許をとっておりますけども、県の木材利用マニュアルに載せてくれないから余り使ってくれないということを言っております。やっぱり特許をとって、こういう一般の会社の方が、和歌山県のとにかく山を守るために林業を盛んにしなきゃいけないということで取り組んでおる方であるので、やっぱり県は大きな支援をやっていただきたいなと、私はそんなに思います。
 そういうことで、和歌山県の林産業の活性化についてどのように考えているかということについて答弁を願いたいなと思います。
 それから、この木材利用についての公共事業における木材利用の推進についてということでありますけれども、これは知事に聞くわけなんですけども、私どもも、木材を使って公共事業をやってくださいというような、これは国も言っておりますし、県もそういう通知をつくってみんなに通知をして推進をしているわけなんですけども、やっぱりこれも私はスピードが遅いと思うんです。なぜスピードが遅いということを断言できるかといいますと、この木材の使用量が断然低い。やっぱりよその森林県──森林県といったら大体10番目ぐらいまでが森林県だと思うんですけども、10番目ぐらいまでは70%以上の森林県だと思うんですけども、やっぱりよそのそういう県と比べれば低いと思うわけなんです。
 だから、これあえて知事に聞くのは、いろいろコストの問題もあると思うんです。そら、高いです。例えば木製ガードレールを使えば2倍くらいにつくと。そして、また木で河川の工事あるいは治山の工事、そんなんをすればやっぱり何割か高くつくんです。高くつきます、それは。そして、耐久年数もやっぱり弱いと、そのように思います。
 しかし、コストというのは、今まで申し上げたように、いかに森林を守らなきゃいけないか──森林の多面的機能ですね。いわゆる防災機能もあります。そしてまた、水資源涵養の機能もあります。いろんな機能があるわけなんです。それを守るだけのコストを考えれば、高いか安いかの判断は、私は政治家である知事が判断しなきゃ、最終的に覚悟と決断を持って判断をしなきゃいけないなと、そんなに思うわけであります。
 そういう意味で、知事にどういうふうな取り組みを今後、今までのことはともかくとして今後するのかという、その意気込みをお聞きしたいなと、そんなに思います。
 それから、その次にはこの木材利用の数値目標の設定。木材の数値について、使用量について少し話をさしていただきましたけれども、やっぱり県全体でどれぐらいの木材をことしは使うんだという、その数値目標を立てなけりゃいけないと思うんです。これをやらないと、なかなか県の職員もそれに向かってスタートしないし取り組みもしないということであろうと思うんです。
 そういうことで、この木材利用マニュアルに数値目標ですね。ことしは何立米を使うんだと。よその県は1000立米、2000立米使ってるんですね。だから、これぐらいの立米を使うんだということを明記してほしいと、そう思うわけであります。
 それで、この対応については農林水産部、県土整備部、それからいろんな部にまたがっておるわけなんですけれども、それを全庁的に、今、木の国プロジェクト推進会議というのを庁内につくっているようです。これはつくっているわけなんですけども、その議長が下副知事であります。だから、副知事、下さんに、これはやっぱり充て職でなってる役やと思わんと、本気になって紀州の木材を使うんだという、そういう意気込みで今後どうするのかということをお尋ねしたいと、そのように思います。
 次に、県産品の使用。先ほども言いましたけども、この県産品を使うということは、やっぱり県内に新しい産業を興すということであります。新しい産業を興すということは、やっぱり雇用の拡大とか、これはまさに我々が訴えておるところの地方創生に結びつくもんだと思うわけであります。ですから、この県産品として十分取り組んでほしいなと、そういうふうに思うわけであります。
 それで、きょうお願いしておきたいのは、先ほども言いましたように、例えばガードレールの話をしましたけども、県産品というのは、やっぱり和歌山の材料を使って、和歌山の人がそれを発明した工法をもって県産品というんじゃないかなと、そんなに思います。だから、これ入札のときにも、県産品ということで加点をするんであれば工法についても今まで以上に大きな加点をしてやってほしいなと、そんなに思います。
 そして最後に、これは私は一番大事なことだと思うんですけれども、設計する段階で、きょうも冨安議員に言われたんですけども、一番やっぱり木材の利用で大事なことは設計の段階やと。設計の段階で県産品の木材を使用するというようなことを上げてもらって、そしてそれを施工業者に十分通るように、これを県が主体的になってやらなきゃいけないということであると思うんです。
 だから、木材利用と県産品の使用について、思いっ切りやっていただきたいなと思います。これは地球温暖化対策にとって小さいことかもしれませんけども、やっぱりこういうことをやらないと、幾ら和歌山県のいろんな行政を立派にしようといったって、地球が消滅したら何もできないですからね。そういうことをお願いしたいなと思います。
 それから、次に観光の問題について質問をさせていただきたいと思います。
 観光振興の問題ですけども、「観光立県」という言葉は、最近どこの県でも使っておると思うんです。これは、やっぱり観光収入によって県民が豊かになって、みんなが幸せになろうというのが観光立県の目標であると思うんですけども、なかなか観光立県をしようと思ったって、和歌山県、まだまだ途中であろうかと、そんなに思うわけであります。観光の話、きょうも議会の中で、きのうもそうですけど、観光の話出てきましたけれども、なかなか観光立県ということで、この観光収入でできるだけ大多数の人が生活、収入を上げようというふうなことについては、難しい問題があろうかと思うわけであります。
 そういう中で、いろんな角度から観光についてはどうするんとかいうことを言い合って、その中からオリンピックまで和歌山県の観光を本当に観光立県にふさわしいような観光客数を呼び込むような、そういう展開をしていかなきゃいけないなと、そんなに思います。
 それで、和歌山大学に観光学部というのができておりますね。その中で、名前は大浦由美教授かな。きょうはちょっと和歌山県の土地利用審査会の審議委員に推薦されておりましたけども、その方が森林観光ということで講義をしているようです。
 私もこの方から有田川町で講演を聞いたことがあるんですけども、とにかく和歌山県の自然、そしてまた気候とか、それから文化、それからまた食事──食ですね──これやっぱり、よその県に負けないものを持っておると。特にこの山林、山村地域というものを考えればこれは1つの大きな観光資源になるんではないかと、そういう考え方をされておって、森林観光というのを講義しておるようであります。
 そういうことで、私も豊かな自然、豊かな森林、これはやっぱり重要な観光産業の1つであると思うんで、山村地域における新しい観光産業の育成というものを県で取り組んでもらいたいなと思うわけであります。
 和歌山は、最近、水の観光ということで水をテーマにした観光を訴えておるようでありますけれども、やっぱり水の音は美しい豊かな森林のたまものであると思うので、森林を守る作業をしていく中での過程で、こういう新しい観光というものを考えてもらいたい、森林観光を考えてもらいたいと思うので、この点について商工観光労働部長にお願いをいたします。
 それから、その次は観光立県における県の施策ということで、これも観光についてもやっぱり全庁的にあらゆる分野の協力で取り組まなきゃいけない問題であると思うんです。
 例えば、農林水産部であれば、観光農園とか、それからさっき言いました森林観光とか、それから漁業、魚の祭りとか、そんないろんな産物の特性を生かしたそういう事業があると思うんですけども、そういった観光をどうするのかという視点でお答えをしていただきたい。
 そして、また県土整備部であれば、やっぱり先ほど言いましたように、木製ガードレールを使った観光に優しい、観光に来た人が和歌山県の道はやっぱり観光を考えてくれてるような道であるなという、そういう気持ちに持っていけるような道づくり、そして河川整備のつくり方、治山事業のやり方、そういったものを、やっぱり観光立県ですから観光というものの視点から考えていただきたいなと思います。
 ですから、これ全部の部長から答弁をもらおうと思うとったんですけども、きょうは商工観光労働部長と、それと農林水産部長、それから県土整備部長、3つの部長さんから和歌山県の観光についての答弁をいただきたいと、そんなに思います。
 それから、3番目にこれは連結観光ということで、なかなか和歌山で観光、例えば白浜へ来てもらっても、アドベンチャーワールドを見てローソンで弁当を買って日帰りで帰るというのが非常に多いというのは聞いております。和歌山県の観光で和歌山県にお金を落としていってもらおうと思えば、やっぱり1つの観光が連続して連結した観光を目指さんことには、宿泊もしてくれないし、広がりがないかなと思うわけであります。
 そこで、連結観光をさそうと思えば、やっぱり観光の新しいスポットですね、整備をしていかなきゃいけないなと、そんなに思います。
 例えば、京阪神から白浜へ来るお客さんを一旦有田でおろして、有田の観光を楽しんでもらうと。有田の観光といったら、なかなか紀中の観光、ないですね。だから、これをPRしてもらうと同時に、観光づくりをやって取り組んでもらわなきゃいけないなと、そんなに思うわけです。
 例えば、広川町に稲むらの火の館というのがあるんですけども、最近みんな観光に来てもらってます。いろんな国の大使も来ております。来ておるんですけども、なかなか観光スポットになり得ないなと思うんですね。道も狭いし、バスのとめるとこもないし、古い住宅もそのまま空き家が放置されておるし、これは観光スポットにならんなと思うんですけども、しかし、ちょっと工夫して手を加えれば、海辺に近いですから大きな観光地になると思うんです。
 そんなことは地元で考えよと知事はおっしゃるかわかりませんけども、そやけども、県もやっぱり観光立県という大きなことを掲げておるんであれば、支援の手だてを考えていただきたいなと、そんなに思うわけであります。県がいろんな観光パッケージを考えて、紀中地方にも白浜の途中でおろすような観光資源をつくっていこかと、そういう手だてを考えていただきたいなと、そんなに思います。
 それから、最後に外国に向けた観光PRについて聞きたいなと思います。
 広川町に稲むらの火の館というのがあって、ことしに入ってインドネシア、デンマーク、ベトナム、ブルネイ、メキシコ大使が来ております。そして、その館の周辺で植樹をしておるんです。これ「大使の森」というらしいですけども、植樹をしてます。ことしになってその5カ国が来ておるんです。それ以前にも中国大使とかブータンの大使とかいろんな、5カ国以上の大使が来てると聞いております。一度、有田川町のかっぽうで大使5人の人と食事をしたことがあるんですけども、とにかく和歌山県は食事がうまいと、そういうことを言っておりました。
 ですから、今、私は観光振興議員連盟の会長を今期から預かってやってるんですけども、観光振興議員連盟で一度、アジアを中心にできるだけの数の大使を招いて大使の観光サミットを開いたらどうかということで、議連のほうで了解をいただいております。その時期については知事にも相談して早く決定したいなと思っておるんですけども、この問題についても予算を伴うことなんで、知事に答弁いただいて、できるだけ議連の予算と県の予算とその他の予算を膨らまして、訪れる大使が「本当にいい接待をしてくれたな」と、そういうふうなことでこの事業を成功させたいなと思うので、また皆さん方にもよろしくお願いしたいなと思います。
 以上で私の1回目の質問は終わらしていただきますので、どうか誠意のある御答弁をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私に3問ございましたんで、順に申し上げたいと思います。
 まず、森林・林業についてのうちの山の日のイベント事業についてでございます。
 本県では、森林の恵みとそれを支えてきた山村に対する理解と関心を深め、感謝の心を育み、豊かな森林、山村づくりの意識の高揚を図るため、平成23年度まで毎年11月7日を紀州・山の日と定めて各種啓発行事などを行ってまいりました。
 その後、全国植樹祭の開催を契機といたしまして、紀州・山の日の豊かな森林づくり等の精神を受け継ぎ、森林及び樹木がもたらすさまざまな恩恵を再認識し、県民総参加で木の国和歌山の森林及び樹木を守り育てていくために、和歌山の森林及び樹木を守り育てる条例を制定していただきました。その中で、植樹祭が開催された5月22日をわかやま森林と樹木の日と定めたことにより、この年からこの日に合わせて記念行事を実施し、県民の皆さんの森林に対する理解がさらに深まるよう、緑化功労表彰や自然観察などの体験学習も行っているところであります。
 国が日本全体として8月11日と定めました山の日は、山に親しむ機会を得て山の恩恵に感謝する日であるとされておりまして、森林や樹木のみならず、観光や山岳スポーツ、環境、歴史、文化など、山がもたらすさまざまな恩恵に感謝するという意義が含まれているというふうに理解しております。
 県といたしましては、水源の涵養、国土の保全、生物多様性の保全など、多くの恵みをもたらす森林の重要性、また、森林を守り育て適正に活用するため日々取り組んでいる林業の役割について、広く県民の皆さんに理解していただけるよう、山の日の趣旨を踏まえた事業の検討を進めてまいりたいと思います。
 次に、公共事業における木材利用でございます。
 議員御指摘のとおり、本県は森林率全国7位の森林県であります。この恵まれた森林は、二酸化炭素を吸収して大気を浄化し、水を蓄え、山崩れを防止し、林産物を供給するなど、私たちの生活にとって欠かせない大切な役割を担っております。
 こうした森林を適切に保全していくことは大変重要なことでございますけれども、同時に、公的な補助制度によって整備された人工林については、社会のために有効に活用することも重視しなければならないと思います。
 そのためには、間伐等の森林整備はもとより、適切な時期に伐採し、そして伐採跡地は植林などによって確実に森林に再生する、いわゆる森林資源の適切な循環利用を進めることが必要であります。
 また、本県林業の振興のためには木材の需要拡大が重要であり、その一環として公共事業での紀州材の積極的な使用が必要であります。
 国は、平成22年10月に公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律を施行いたしました。これを受けて、平成24年2月に公共建築物における木材利用促進の基本方針等を定めた和歌山県木材利用方針を、平成26年6月には公共土木工事における木材利用推進指針を策定するとともに、有効かつ積極的な木材利用を図るため、木製構造物の設計や施工に関する事項を定めた公共土木工事木材利用マニュアルを策定し、公共事業での木材の優先利用に努めているところでございます。
 これまでに、秋葉山公園県民水泳場、和歌山ビッグウエーブ、和歌山県土砂災害啓発センターなどにおいて紀州材を構造材やあるいは内外装材として積極的に利用したところであります。
 これからは、この中でも内装材は大分そうなっておりますけれども、それだけじゃなくて、外装材とか構造材としてどう使っていくかを積極的に検討しなければいけない、そういう時期だなあというふうに思います。
 公共事業における紀州材の利用拡大も、そういう方向で一層積極的に推進していくとともに、県内市町村に対しても働きかけていきたいと思います。
 次に、観光、特に外国に向けての観光PRでございます。
 海外への観光プロモーションについては、関西国際空港からのアクセスといったロケーションを生かしつつ、豊富な観光資源を対象市場の嗜好を踏まえて戦略的に実施しております。
 アジア市場向けには、四季の自然や温泉、食などの魅力を発信する一方、日本の歴史や精神文化に強い関心を持つ欧米豪市場向けには、「ロンリープラネット」や「ミシュラン・グリーンガイド」といった世界的な旅行ガイドブックで高評価を得ている高野山と熊野の魅力を発信しております。
 個人旅行者(FIT)への対策といたしましては、メディアでの情報発信に特に力を入れておりまして、ことし3月にはCNNやBBCといった世界的ニュースサイトにおいてプロモーションビデオの配信等を実施いたしました。また、デービッド・アトキンソンさんの監修によりまして、美しい写真、映像を多用した多言語観光ウエブサイト「Visit Wakayama」を5月にリニューアルオープンいたしました。
 職員も海外旅行博への参加や海外からのメディア取材やエージェントの下見支援(ファムトリップ)などに、観光プロモーターと連携しながら積極的に取り組んでいるところでございます。私も含めて、今後も積極的なプロモーションにより、さらなる誘客に取り組んでいく所存であります。
 そういう中で、このたび県議会観光振興議員連盟みずからが白浜での大使観光サミットに取り組まれていることは、大変有意義なことであります。議員諸兄がみずから有力な大使に御自身で積極的に観光PRをしてもらいたいというふうに思います。といっても、こういういい話は最大限の御協力をせねばいかんというふうに思っております。私も、大使などを呼んでくるときのテクニックとかそういうノウハウも多少ありますので、最大限の協力をいたしたいと思いますし、また、県庁職員も国際的に十分通用する職員が大分育ってきておりますので、全員で協力して、また県としても有意義なプログラムをどんどん提供していきたいと思います。
 当該サミットを契機として、さらなる外国人観光客の誘客につながるよう、今後とも県議会の皆さんと一丸となって積極的なプロモーションに取り組んでいく所存でございます。
○議長(浅井修一郎君) 副知事下 宏君。
  〔下 宏君、登壇〕
○副知事(下 宏君) 公共事業における木材利用の数値目標についてお答えをいたします。
 公共事業のうち低層の公共建築物につきましては、和歌山県木材利用方針に基づきまして原則木造化を図るとともに、中高層であっても、県民の皆さんの目に触れる機会が多いと考えられる部分を中心に内装等の木質化を推進してまいります。
 また、公共土木工事につきましては、公共土木工事における木材利用推進指針において、木材の利用を重点的に推進する工種、工法ごとに木材の利用目標を定めてございまして、山腹工などの柵工や丸太筋工などは木材利用率を100%とするとともに、自然公園等の景観に配慮が必要な箇所につきましては、転落防止柵工や沈床工など、木材を利用することといたしてございます。
 議員御提言の数値目標の設定につきましては、公共施設の整備の有無、公共土木工事の事業量が年度ごとに増減がございますし、適用可能な工事量も一定していないこと、そして、コストの課題等もございますので、数値目標の設定は簡単ではございませんが、どのような目標設定が可能かを検討してまいりたいと思います。
 木の国プロジェクト推進会議では、木材利用の進捗管理を通じまして新たな木材利用の推進施策を検討するとともに、木材利用マニュアルの周知徹底や公共施設の木造木質化支援などを通じ、市町村の公共事業に対しても木材利用の推進を働きかけていきたいと考えてございます。
 木の国プロジェクト推進会議の議長は私でございますが、充て職という意識ではなくて、担当の部課長も含めまして真剣に取り組んでまいりますので、御協力方よろしくお願い申し上げます。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 3点、御質問をいただきました。
 最初に、山村地域の観光振興についてでございますが、和歌山県は「木の国」と言われ、その豊かな森が美しい水を育むというすばらしい自然を有しているふるさとです。こういった自然を観光資源として活用することは、誘客につながる重要なものと認識しております。
 議員御承知のとおり、現在展開中の「水の国、わかやま。」キャンペーンでは、今まで取り上げる機会の少なかった棚田、渓谷など山村地域の観光資源を取り上げるとともに、山村周辺のカフェ、温泉なども紹介することで地域の消費拡大につながるよう情報発信を行っているところでございます。
 今後も、山村地域の魅力をより広く知っていただくことで、これまで訪れる機会の少なかった観光客に山村地域へ周遊していただけるよう取り組んでまいります。
 続きまして、観光立県における県の施策、取り組みについてでございますが、県では、平成25年から3カ年をゴールデンイヤーとして位置づけ、集中したメディア露出や年ごとの大きな催事に合わせた数々の事業を継続的に行った結果、平成27年には約3340万人と、昭和34年の調査開始以降、史上最高の入り込み客数を記録するに至りました。
 県としては、定着してきたこの和歌山ブランドをより広く浸透させるため、和歌山の魅力を継続して発信するとともに、観光客の視点に立った基盤整備を進めることにより持続可能な観光地づくりを推進してまいります。
 さらに、主要な観光地だけでなく、まだ知られていない魅力ある地域の観光資源と組み合わせることで、県内周遊を促進し、滞在時間をふやし、地域の消費拡大を図ってまいります。
 今後も、平成22年に制定されました和歌山県観光立県推進条例のもと、県民総参加による観光振興に取り組むため、他部局とも連携しながら取り組んでまいります。
 最後に、連結観光についてでございます。
 県としては、先ほど申し上げましたとおり、昨年、史上最高の入り込み客数を記録しましたが、議員御指摘のとおり、持続可能な観光地づくりを目指すためには、今後も県内で連泊するお客様をふやし地域消費をふやしていくということは大きな課題であると認識しております。
 中紀地方では、これまで紀南地域から湯浅町の重要伝統的建造物群保存地区、手づくりしょうゆ店や周辺食事どころに立ち寄るランチコースの設定、サンショウとあらぎ島の棚田を組み合わせた物販の促進、紀南地域への年金旅行や修学旅行の際に稲むらの火の館をコースに入れていただくなど、具体的な周遊ルートを提案してまいりました。
 今後とも、展開中の「水の国、わかやま。」キャンペーンとともに、中紀地方の豊富な歴史文化を生かした新しい旅のモデルを提案し、周遊、滞在していただけるよう、さらに取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 3点、御質問をいただきました。
 まず、森林のPR事業についてでございますが、県では小さいころからの啓発が重要と考え、平成5年度から全国に先駆けて林業関係者が小学校に出向いて直接授業を行う森林・林業教室に取り組んできており、現在、その内容を拡充し、紀の国森づくり基金を活用して緑育推進事業を実施しているところでございます。これまで、この両事業を合わせて延べ約8万2000人の児童や生徒に体験学習等を通じた普及啓発を行ってまいりました。
 また、紀の国森づくり基金のパンフレットを作成し、森林の公益的機能や森林の現状、森林保全活動の意義等について啓発するとともに、基金活用事業の公募事業募集の際には、新聞やラジオ、チラシ等を活用して、森林を守る活動や森林への理解が深まる活動への参加を広く県民の皆さんに呼びかけてきております。
 ほかにも、市町村が行う産業まつり等において木工教室を実施したり、「わかやまの山村」絵画コンクールやキノピー教室などを行うなど、子供から大人まで幅広く森林の重要性について普及啓発に努めてきております。
 こうした取り組みは、広く、また継続して行うことが重要かつ必要と考えるため、今後ともあらゆる機会を捉えて森林の重要性等についての普及啓発を一層進めてまいります。
 続きまして、林業の活性化についてでございます。
 林業の活性化を推進していくためには、本県の充実した森林資源の循環利用を進め、伐採された木材を有効に活用することが必要です。そのことにより山村地域に雇用が生まれ、地域の活性化につながるものと考えます。
 議員からお話のありました木製ガードレールにつきましては、現在、和歌山県木材協同組合連合会において木製ガードレール等検討委員会を組織し、紀州材の新たな土木資材としての活用の可能性を検討しているところでございます。この検討委員会での結果を踏まえ、熊野古道沿線など景観に配慮する箇所において導入を検討してまいりたいと考えています。
 また、木製ガードレールを初めとした紀州材を利用した土木資材開発などの新たな林産業の育成につきましても、関係機関等と連携を図り、支援してまいります。
 続きまして、観光振興における県の施策について、農林水産業分野についてお答えいたします。
 農山漁村が持つ多様な魅力を生かし、誘客を進めるためには、人々が生き生きと暮らし働く豊かな農山漁村づくりが基本と考えております。
 農林水産部では、これまで所得の向上と地域の活性化につながる農家民泊や農産物直売所、加工体験施設などの都市農村交流施設整備への支援を通じて誘客を進めてきましたが、施設が点在、分散しており、一度に多くの受け入れができないことや、一体となった情報発信も十分でないなどの課題がありました。
 このため、市町村が事業主体となってグリーンツーリズムやブルーツーリズムを推進する今年度の新政策により、農林漁家民泊の拡大や交流拠点施設、観光農園などの整備に加え、地域による情報発信活動などを総合的に支援し、団体旅行客等の受け入れが可能な特色ある受け入れエリアづくりを進めているところでございます。
 中でも、過疎化が進んでいる山村の活性化は急務と考えます。山村地域を活性化するためには、より多くの人に訪れていただくことが必要であり、例えば、森林をフィールドとした企業の森では、森林保全活動とあわせて自然観察体験や熊野古道散策、農業体験などのメニューを用意し、多くの方々に参加いただいております。
 こうしたノウハウを活用して山村地域のさまざまな資源を有機的に連携させていくことが、山村への新たな誘客を促すものと考えております。今後とも、生き生きとした農山漁村づくりを進め、観光振興につなげてまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 私には2点の御質問をいただきました。
 まず、県産品の使用の推進に関する御質問でございます。
 県産品使用の推進につきましては、ホームページで県産品登録製品の公表を行うとともに、県発注の全ての工事や業務において資材調達での優先使用や積極使用するための検討を設計計画時に行うことを受注者に求めることで、県産品が積極的に使用されるよう努めてございます。
 また、総合評価方式での入札においては、県産品等の積極使用の提案等について加点評価するとともに、工事完成後の工事成績評定においても、県産品・県産新工法等の使用に対して加点をしてございます。このような取り組みにより、県産品資材の使用実績は向上していると考えてございます。
 さらに、県内事業者による新技術の開発については、事業者の相談に応じて技術的なアドバイスを行うとともに、フィールド提供などの支援制度を用意しているところであり、特に木材を使った新たな工法や製品については公共工事木材利用マニュアルに随時追加を検討するなど、紀州材が建設資材として採用される機会が拡大するよう一層努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、県土整備の分野での観光振興への取り組みについて御質問をいただきました。
 県内各地には多くの観光拠点があり、これら観光拠点への交通アクセスの向上や、議員から御提案のあった景観に配慮した道路などの社会資本整備に取り組むことは、観光産業発展のためにも重要な課題であると認識しています。
 交通アクセスの整備効果の事例といたしましては、昨年開通した紀勢自動車道と那智勝浦新宮道路により紀南地域へのアクセスが向上し、串本経由で紀南地方を周遊する新たなツアーが設定されるなど、観光産業の生産性向上につながっていると考えてございます。
 さらに、紀伊半島一周高速道路の実現や幹線道路の整備を推進するとともに、近年増加しているインバウンドに対応するため、和歌山下津港及び新宮港における大型クルーズ船の受け入れ環境の改善や南紀白浜空港の国際化に向けても取り組んでございます。
 また、景観に配慮した整備事例といたしましては、高野山内において木製ガードレールを整備するなどの取り組みを行ってきたところでございます。このような取り組みがさらに他の観光拠点などにも広げられないか、今後検討してまいります。
 今後も、社会資本の整備を通して、観光立県和歌山につなげてまいりたいと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 再質問を許します。
 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 時間がないので、1点だけお願いします。
 知事の前向きな答弁をいただいて、ありがとうございます。
 そこで、部長さん方に申し上げます。知事が覚悟のある決意を持った答弁をしていただいたので、この木材利用については本当に積極的に知事の意を体してやっていただくことをお願いして、質問を終わります。
 以上です。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第192号から議案第211号まで及び議案第214号から議案第216号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。9月23日及び26日は、常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 御異議なしと認めます。よって、9月23日及び26日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、9月27日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時41分散会

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