平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 3番森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 おはようございます。森礼子です。
 質問の前に1つ、水についてのエピソードを紹介させていただきます。私は、8月の終わりに有田川町の巨峰村のオープニングセレモニーに参加させていただきました。そのときには、仁坂知事を初め国会議員の先生方も参加され、祝辞を述べられる来賓の方々は、一様にことしの猛暑が甘くておいしいブドウを実らせたというふうに話されていました。後にある関係者の方とお話をしたとき、「ことしの夏はほとんどまとまった雨が降らなかった。だけど、雨乞いや渇水の報道もなく世間は穏やかだった」と話されていました。
 少し前だったら、雨が降らない場合、農作物に対する水の心配が尽きなかった。長い間、ダムや利水施設の整備など大変な時代を終え、振り返って数年たった今、安定的な水の供給ができることを誇らしそうに喜んでおりました。改めて、水の大切さを私も一緒に学ばせていただいた瞬間でした。
 また、水の和歌山として水を観光につなげる今回の政策は大変すばらしいことだと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い質問させていただきます。
 初めに、和歌山県の子育て支援について。
 9月7日の「産経新聞」によりますと、女性の就労参加率が保育所整備の進捗度などに応じ、都道府県で大きな格差が生じていると報道されています。参考までに、就労参加率の最高は福井県の76%、最低は奈良県の60%です。また、就労参加率の高い都道府県は、女性正規雇用の比率が高いとされています。
 このように、仕事と子育ての両立を支援する環境を地道に整えていくことが、女性の安定的な就労につながっていることがよくわかります。
 女性が安定的に就労するためには、いろんなハードルに対して丁寧な対応が望まれています。ハードルとしては、産後、職場復帰時の待機児童問題、病児・病後児保育、小学校1年生、4年生の壁が挙げられるのではないでしょうか。
 小学1年生の壁とは、小学校に上がるときに、それまでの保育環境と同じ条件を保つことが難しいため、お仕事を継続できず、やめざるを得ないという状況に置かれていることです。小学校4年生の壁については、病児・病後児保育における運用の問題で生じていますが、後ほど触れさせていただきます。
 まずは、待機児童問題について質問いたします。
 厚生労働省では、認可保育所に入れない待機児童の数を正確に把握するため、近く待機児童の定義を見直すとの方針であると聞いております。待機児童に数えられない隠れ待機児童には、希望する保育施設に入れない、保護者が育児休業中、自治体独自の保育施設を利用している、保育者が求職活動を休止しているという4類型の児童が含まれていると言われています。そして、待機児童の集計方法は、自治体の判断によってまちまちであることがわかりました。
 本年2月の私の質問で、待機児童の解消を含め県庁内保育所の取り組みを提案しましたが、近隣の事業所との兼ね合いや利用ニーズを考えると必要ではないとの答弁をいただきました。
 私の周りの働く女性からは、「希望の保育所に入れなかったので、認可外を利用したり、育休を延長したりせざるを得なかった」との声も聞きます。県としては、仕事と子育ての両立を支援するため、働く女性の声に丁寧に向き合っていく必要があると考えますが、待機児童の解消に向けてどう取り組んでいかれるのか、福祉保健部長の答弁をお願いします。
 次に、病児・病後児保育の充実について質問します。
 政府は、ニッポン一億総活躍プランで多様な保育の受け皿の整備を進めるとし、病児・病後児保育の充実をその1つに位置づけました。施設の増加を目指し、今年度から建設コストの9割までを国と地方自治体で補う財政支援策を導入するとともに、利用者の利便性を高めるため、児童の送迎費をも助成することとしています。こうした充実策により、現状で60人万弱の利用者を2019年には利用者150万人とする目標を掲げています。
 本年2月の私の質問で、条件つきで看護師の常駐を不要とするなどの人員の配置基準の見直しに触れた際には、国の財政支援の詳細について明らかではなかったので、病児・病後児保育の充実についての答弁が難しかったかもしれませんが、現時点においては、平成28年度から施設整備費のうち国、都道府県、市町村が3割ずつを負担し、残りの1割を事業者が出す仕組みとされたことに加え、急に体調を崩したお子さんの送迎費も国で助成することとされています。現在は保育所から施設までの送迎は一般的には保護者の負担となっていますが、国が一定額を助成することにより普及に弾みをつけるという狙いとのことです。
 このように、国の支援策の充実が明確になっておりますので、本県においても、国の財政支援をうまく活用するとともに、県費負担にも御配慮をいただき、病児・病後児保育の充実に積極的に取り組むことについて答弁をお願いします。
 また、病児・病後児保育の運用について質問します。
 それは、小学校4年生の壁の問題です。本県の幾つかの事業所に問い合わせたところ、病児・病後児保育の対象年齢は小学校3年生までとされています。このことにより、4年生以上の小学校の保護者は利用を断られ、やむなく職場を休まざるを得ないとのことです。国の利用対象年齢は、小学校6年生までに引き上げられました。にもかかわらず、現状の利用対象年齢を3年生までと決めているのには、何か特別な理由があるのでしょうか。
 病児・病後児保育の充実を図るためにも、利用対象年齢を小学校6年生までに拡大すべきだと考えます。また、現状の受け入れ体制は、同時に6名となっています。隔離が必要な利用者のスペースや看護師や保育士の体制を考えると6名が精いっぱいと伺いましたが、6名では補えずに断っているのも現状です。特に、インフルエンザ流行時にはその人数は少なくありません。できるだけ断ることのないように、受け入れ体制を整えていくべきだと思います。この点について、福祉保健部長の答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの森礼子君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) まず、1点目の待機児童解消の取り組みについてお答えいたします。
 和歌山県では、現在3歳以上の待機児童は発生しておりませんが、女性の活躍や核家族化の進行により、3歳未満の低年齢児保育の利用希望が年々増加しています。県では、そのニーズに対応するため市町村と連携して保育の受け皿整備を進めてきたところですが、一部の地域では低年齢児保育の利用希望が受け皿整備の進捗以上にふえており、その結果、平成27年10月1日には215人の待機児童が発生したところです。
 ことし4月1日の待機児童は10人いました。また、平成27年から国が調査を開始したいわゆる隠れ待機児童は、次の4つのケースに該当するものをいい、1つは地方単独保育事業を利用する者、2つ目は求職活動中のうち求職活動を休止している者、3つ目は特定の保育所のみ希望している者、4つ目は育児休業中の者で、県内ではこのうち特定の保育所のみ希望している者が33人いるという状況でした。
 県としては、年度途中でも産休明けや育休明けにスムーズに保育所を利用することが可能となるよう、関係市町村に対してさらなる保育の受け皿整備を強く要請するとともに、徐々に厳しくなりつつある保育士不足への対応として、今年度から開始する保育士修学資金等貸付事業の準備作業を進めているところです。
 さらには、今年度から新たに創設された内閣府の企業主導型保育事業補助制度の活用による企業内保育所の整備についても積極的に推進し、より一層待機児童解消に取り組んでまいります。
 次に、病児・病後児保育の充実についてお答えします。
 病児・病後児保育は、仕事と子育ての両立を図るための子育て支援策として重要であり、県全域での実施が必要と考えております。平成27年度は7圏域11カ所で実施されていましたが、今年度は新たに認定こども園2園で開始した体調不良児型を含め、7圏域13カ所で実施されております。ただし、地域によっては、インフルエンザの流行時期等には全てのニーズに対応できていない場合もあると聞いております。
 平成27年度本格施行された子ども・子育て支援新制度では、病児・病後児保育に係る国庫補助の対象がおおむね10歳未満から小学生に拡大され、また、今年度からは新たに整備に係る補助や送迎サービスに係る補助も創設されたところです。しかし、ニーズの重なる時期に年齢の低い病児の預かりを優先して行えるよう、小学3年生以下に限定せざるを得ない現状と聞いております。
 県としては、対象年齢の拡大や施設数の増加により、必要なときに病児・病後児保育を利用できる体制を整えることが必要であると認識しております。また、保護者が送迎できない場合の送迎サービスも、仕事と子育ての両立支援として今後ますます需要が増すと考えております。
 県では、国の補助制度を活用しながら病児・病後児保育のさらなる充実を図るため、実施主体である市町村への周知に加え、医師会に対する補助制度のPRなど、国の制度を周知する工夫を重ねながら一層積極的に働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 答弁ありがとうございます。
 病児・病後児保育に関しては、ぜひ国の財政支援をうまく活用していただいて、対象年齢など受け入れ人数の拡大をしていただいて、早い対応で、断られる方がないようによろしくお願いいたします。
 続いて、2つ目の質問は観光振興について。インバウンド受け入れ体制について質問します。
 最近、和歌山市内でも外国人観光客、とりわけ中国を初め香港、台湾などアジアからの観光客によく出会います。
 本県では、長らく外国人観光客は年間10万人程度でしたが、ここ数年で40万人と急増しています。しかし、残念ながら和歌山が魅力的で来るというよりも、業界関係者の話では、大阪ではホテルがとれないとの理由で関空から県内のホテルに直行し、翌朝には大多数の観光客は大阪、京都などゴールデンルートに出かけるそうです。しかし、一部熱心に営業し、夕食を提供するレストランもあれば、桃の季節には紀の川市に出かけるとの話も聞きました。また、最近ではリピーターに、ゴールデンルート以外の地方や日本らしい体験などが人気を呼んでいると言われています。
 国では、予想よりも早く2000万人を達成し、東京オリンピックの2020年には4000万人を目標にしています。世界の観光国と言われるフランスやスペイン程度までいこうと思えば、さらに倍増しなければなりません。つまり、まだまだ外国人はふえる可能性があり、ぜひともふやさなければなりません。
 本県は、高野・熊野の世界遺産があり、国宝数6位など文化や国立公園、ジオパークなど自然にも恵まれ、山海の珍味にあふれています。和歌山を訪れるお客様を大満足にもてなす素材はたくさんあり、大いに外国人観光客誘客の可能性があります。
 そこで、このチャンスをどのように生かし、観光客誘客につなげるためにも受け入れ体制をどうするのか、商工観光労働部長に伺います。
 ハラル対応について。
 現在、本県の外国人観光客は、中国、香港、台湾が中心ですが、今後の誘客をふやすためには、世界人口の約4分の1の約16億人を占めるASEAN諸国をターゲットに入れ、とりわけシンガポール、マレーシア、インドネシアなどイスラム圏域からのムスリム旅行者の受け入れに力を入れるべきだと考えます。
 しかし、ムスリム旅行者を受け入れるためには、宗教や文化を理解するとともに、ちゃんとした体制を準備する必要があります。
 例えば、ムスリム旅行者の80%は、ハラルを理由に外食できなかった場合を想定して、自国からインスタントラーメンを持参しているそうです。また、食事以外では歯磨き粉や石鹸、シャンプー、医薬品も持参しています。私たちに置きかえても、シャンプーや医薬品は自分に合ったものを持参しているように思います。ムスリム旅行者が安心して訪れる体制が必要です。今後、観光客のさらなる増大につながるとも思います。
 国際機関・日本アセアンセンターのムスリムおもてなし5カ条によると、第1に食事の体制と示されています。ハラル食は、豚肉やアルコールを使用していないだけでなく、製造、加工、調理の過程が禁忌とされているものに汚染されていないことが代表的です。厳格を追求すれば大変難しいと言わざるを得ません。
 しかし、日本に来るムスリム旅行者は、非イスラム圏域である日本をよく理解している方が多いので、豚肉や豚肉由来成分を使用していないことを最低限のルールとし、わかりやすい表示コミュニケーションが必要だと考えます。
 そこで、今後ASEAN諸国からの誘客をふやしていくためにも、ムスリム旅行者のおもてなしなど受け入れ体制をどのように取り組んでいくのか。また、ハラルのレベルは宗教、地域、個人によってばらばらだと言われていますが、ムスリム観光客がホテルやレストランなどを選ぶ際のハラルのレベル、受け入れる観光業者にとってもどの程度のハラルのレベルを整えるのかという統一した基準が必要だと考えます。現在白地の我が国でこそ統一が可能であり、今後は国や県で、ある統一したハラルの基準をつくるべきであると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 さて、日本には、ハラルとは違いますが、よく似た精進料理があります。高野山や根来寺でもてなす精進料理はレベルも高く、ムスリム観光客にはきっと受け入れられやすいのではないかと考えますが、少し工夫をして和歌山県版ハラル対応精進料理を提供できるよう企画してはいかがでしょうか。この点について、商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 最初に、インバウンド受け入れ体制についてでございますが、県では、外国人旅行者の快適かつ円滑な移動や滞在のための環境整備を外国人旅行者のニーズを踏まえ重点的に取り組んでいます。
 平成26年度に観光庁が実施した調査によると、外国人旅行者が日本旅行中に困ったこととして、無料公衆無線LANが整っていない、施設スタッフと外国語でコミュニケーションがとれない、観光案内板が多言語化していないなどが挙げられております。
 県では、これらの課題を解決するため、昨年度より和歌山フリーWi-Fiの整備を開始しました。本年8月には、市町村や観光事業者を中心に約1400アクセスポイントに達しています。
 また、市町村や道路管理者と連携し、観光案内板の多言語表示化を過去2年間で約2000カ所の整備を行いました。
 さらに、8月より外国人とのコミュニケーション支援として、英語、中国語、韓国語など10言語に対応した多言語電話通訳サービス、簡易翻訳サービスを開始いたしました。このサービスは、県内の宿泊施設や飲食店等に対して、電話での3者間通訳やチラシ、メニュー等の簡易翻訳を行うものです。
 外国人旅行者が県内での滞在に御満足いただくため、市町村や観光事業者と連携し、これらの取り組みを促進してまいります。
 続きまして、ハラルの対応についてでございますが、県としましては、東南アジア諸国をインバウンド観光客誘致の重点市場として捉え、マレーシア、インドネシアなどから訪れるムスリム旅行者の受け入れ体制を充実させることが不可欠と考えています。このため、県内の飲食店、宿泊施設等の観光事業者を対象にムスリム旅行者に関するセミナーを開催し、ムスリム対応の普及に努めています。
 統一した基準との御質問ですが、議員御指摘のとおり、イスラム教の実践については、宗派、地域、個人によってその内容や程度に差があります。このため、県では各事業者がまず取り組めることとして、食事に使用されている食材、成分等の情報表示を行い、ムスリム旅行者みずからが飲食の判断ができる環境づくりを推奨しています。また、御提案の和歌山県版ハラル対応精進料理については、現在、高野山内の複数の宿坊で提供しているところです。
 このような工夫を凝らしたおもてなしが県内に広がり、多くのムスリム旅行者をお迎えできるよう、引き続きセミナーの開催を通じて受け入れ体制の充実に取り組むとともに、メディアやウエブサイトを活用しつつ、あらゆる機会を捉えてムスリム旅行者に情報発信を行ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 答弁、ありがとうございました。
 では、次、3番目の和歌山南スマートインターチェンジ整備関連について質問いたします。
 和歌山南スマートインターチェンジは、平成25年度、和歌山市南部及び紀の川市南部、貴志川地区からの高速道路へのアクセスとして事業着手しました。約20年前にも南インター設置の動きがあったそうですが、当時は残念ながら実りませんでした。そういう意味では、南インター設置は地域の交通利便性と活性化を図る県民の悲願でもあります。
 平成30年度の供用を目指して工事の進捗を期待するものでありますが、関連して以下3点について質問いたします。
 南インター設置の効果については、当時の県からの記者発表資料を見ると、高速道路利用者の利便性向上はもとより、観光や産業の振興による地域の活性化や災害時における防災機能の強化などの効果が期待されるとあります。和歌山市南部及び紀の川市貴志川地区の開発可能性が飛躍的に向上し、地価の安さと相まって企業の進出の勢いが強まることが想定されています。
 和歌山市内の工業団地は、雑賀崎の工業団地には多少の用地は残っていますが、内陸の工業用地はなく、同地への企業進出がふえることは、産業振興、雇用確保の観点からも地元の住民はとても喜び期待しています。
 和歌山南インター設置に合わせた都市計画については和歌山市が主体となっておりますが、供用開始まであと2年となった今、知事はどのようにお考えなのか伺います。
 地域道路の整備について。
 和歌山南インター設置に合わせて県ではアクセス道路の整備を急いでいますが、地域交通のかなめとなる都市計画道路南港山東線は数十年前から整備要望を持っていますが、計画変更などの要因もあり、いまだに実現できていません。また、計画変更のために大型観光バスや災害時緊急車両が進入できないままの地域もたくさんあります。
 私は、山東地区に伺って思うことは、議員就任以来まだ数年しか経過していませんが、県内の山間地の立派な県道整備と比較して余りにもおくれており、大変申しわけない気持ちでいっぱいになります。
 特に、海南市との境にある境原地域の方々は、和歌山市街に向かうのに対向不可能な細過ぎる道とともに共存し、日々の生活の中、いらいらとともに道という大きな悩みと約半世紀もの長い間向き合っています。周辺では大きな幹線道路が開通していくのをうらやましく眺め、ある地元の方は「境原はな、秘境の地や」と寂しく思いを話されました。
 その間、県に対して何度も道の拡幅や新設の要望を重ねてきたと伺いました。これまで、単に予算がないだけではなく、用地などの地元の事情もあったことでしょう。しかし、南インター設置の現在こそ、整備すべき時期であると考えます。
 境原から和歌山市街に向かう道路の改善策として、昨年に県道岩出海南線の現道拡幅の要望書が自治会から届いていると思います。県道岩出海南線は、海南市と和歌山市東部と岩出市を結ぶ幹線道路であります。境原から口須佐、伊太祈曽、平尾の狭い昔からの道路は、局所改修しても地域開発用や災害時の緊急車両道路、何よりも安全な通学・通勤のための道路には不十分だと思います。せめて現道を拡幅して、中央線があり歩道のある道路にはできないものでしょうか。
 私は、将来的に例えば境原から直線的に山間部をくり抜いて県道和歌山橋本線へ直線連結し、かつ矢田峠につなぐようなバイパスが必要であると思います。
 そこで、境原地域から和歌山市街に向かう道路の状況や県道岩出海南線を利用する境原地域などの東部地域に必要な道路の整備に関し、県土整備部長の御所見を伺います。
 続いて、河川整備について。
 和歌山南インター周辺は、平成24年の大洪水以来、知事はオール和歌山で尾花市長や地元と協力して和田川流域の河川整備並びに国営総合農地防災事業を進めていただいております。改めて感謝申し上げます。
 平成24年の大洪水のように、岡崎、山東地域、とりわけ岡崎地域は御承知のとおり常に浸水しやすい地域です。今後、南インターが設置され、開発が加速されることが予測されています。
 現在計画されている河川整備並びに国営事業は岡崎地域全体の一定の浸水対策となると思いますので、ぜひとも河川整備並びに国営事業の促進をお願い申し上げ、農林水産部長と県土整備部長に進捗状況について伺います。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山南スマートインターチェンジ整備関連につきましてお答え申し上げます。
 このインターチェンジは、交通利便性の向上等を目的に、和歌山市南部地域の新たな交通結節点として、現在、西日本高速道路により整備が進められているところでございます。
 このスマートインターチェンジは、市街化調整区域内に位置しておるために、土地利用については都市計画法による市街化を抑制するというのが法の定める原則であります。しかしながら、そうした区域ではあるものの、インターチェンジの交通結節点機能を生かす観点から、和歌山市が都市計画法等をうまく活用して、意図的にインターチェンジから近い区域を同心円的にゾーニングをして、流通施設や工場等を誘致していくことは可能でありますし、また、やったらいいと私は思います。
 こうしたことを進める場合、和歌山市には、法の趣旨に照らして適正に運用していただければいいかというふうに思っております。
 県としては、今後、具体的な都市計画について提示、相談等があれば、必要な支援を積極的に行っていく所存であります。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 境原地域から和歌山市街地に向かう道路の状況、それから県道岩出海南線を利用する境原などの東部地域に必要な道路整備について御質問を頂戴いたしました。
 境原地域から和歌山市街地へ向かう場合、県道岩出海南線または県道沖野々森小手穂線のどちらかを利用されることとなるというふうに考えてございますが、どちらにも車両の対向が困難で、歩行者等の安全な通行に支障を来している狭隘な区間があることは十分認識をしてございます。
 現在、県では、境原地域を含む和歌山市の東部地域を通過する南北の広域交通を処理することを目的としまして、都市計画道路松島本渡線の整備を推進しているところでございます。
 一方、地域住民の方々が日常の生活で利用される道路の整備につきましては、沿道利用の状況ですとか整備効果の早期発現などの観点から、交通の流れを大きく変えるバイパス整備ではなく、現道を活用し、拡幅や線形改良といった整備を実施することを基本としてございます。
 議員御質問の県道岩出海南線につきましては、都市計画道路松島本渡線の整備により通過交通が排除される見込みであること、また東部地域の生活道路でもございますことから、現道を活用した整備が有効であると考えてございます。このため、用地の御協力をいただくことが前提となりますが、車両の円滑な対向、歩行者の安全の確保などの観点から、特に狭隘な箇所の整備について検討を行ってまいりたいと思ってございます。
 続きまして、和田川の河川整備の進捗状況について御質問を頂戴いたしました。
 和田川につきましては、平成24年6月に床上・床下浸水合わせて116戸の被害が発生したことを受け、河口から前代川合流部付近の約6キロで抜本的な改修を進めるため、平成25年度より床上浸水対策特別緊急事業を実施しております。
 これまでに、和歌川との合流点から坂田橋上流までの約2.4キロの区間は、JR橋に近接する区間を除いて概成しており、今年度は引き続きその上流の高野橋までの約1.4キロの河道掘削、さらにその上流の護岸工事などを進める予定でございます。
 今後とも、関係機関と連携を図りながら総合的な浸水対策の推進に資するよう、事業の進捗に努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 国営総合農地防災事業和歌山平野地区につきましては、紀の川中・下流域(和歌山市、紀の川市、岩出市)における農業用幹線水路からの溢水、農地の湛水被害の軽減を目的に、農林水産省が事業主体となり、総事業費456億円、平成40年度完成を目指し、平成26年度から着手しております。
 和田川流域に関しましては、早期効果発現を目指し、本年度から南インター付近の新溝支線水路と米田排水機場の工事に着手するとともに、名草排水機場、岡崎排水路の工事着手に向けた詳細設計を進めていただいております。
 県としましては、引き続き、早期効果を発現し地域の農業振興等に資するよう、関係機関との協議調整を行ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 答弁をいただき、ありがとうございました。
 特に、境原地域の方々は、約半世紀という長い間、道の問題に向き合って今日まで来ましたが、その間、何人かの知事の時代があって移り変わってきてますが、残念ながら地元の思いとしてはまだ今も喜べるほどの改善はなく、悩みと向き合っているということです。
 仁坂知事の時代でぜひとも、今の答弁では現道を活用し、拡幅や線形を改良する整備をするということですが、少しだけ整備をやっても「やりました」ということになってしまうんですが、そうではなくて、ぜひ地元に喜んでもらえるような整備をしていただけますように、よろしくお願いします。
 これで、私の一般質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時32分休憩
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