平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


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平成28年9月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成28年9月20日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第192号から議案第216号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第192号から議案第216号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     日吉康文
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   岡本圭剛
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   大桑いく嗣
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       上坊 晃
 議事課長       中谷政紀
 議事課副課長     浜野幸男
 議事課課長補佐兼議事班長
            長谷哲生
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主査      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中口 匠
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  午前9時59分
○議長(浅井修一郎君) 開議に先立ちまして、申し上げます。
 昨日より台風16号が近づいており、本県に上陸の可能性があります。県民の皆様には、被害が最小限にとどまるよう、台風に対し確実に備えていただくとともに、避難指示等の情報に十分注意をいただきますよう、あわせてお願いいたします。
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  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第192号から議案第216号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 33番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 皆さん、おはようございます。議長のお許しを得ましたので、一般質問をさしていただきます。
 その前に、毎回この9月議会で御報告いたしております本年度の「第13回おどるんや~紀州よさこい祭り~」は、ことし7月30日マリーナシティ、8月6日、7日ぶらくり丁やけやき大通り等において行われました。ことしは、参加87チームのうち県外は14チームで、遠くは長崎県や愛知県からも参加があり、踊り子総数約3600人、出店数60店舗、広告協賛は302社・団体で、ボランティア数153人、実行委員は76人、開催費用──これには年間の運営費も含みますが──約3100万円であり、県や市から一切の資金援助も受けておりません。
 この祭りは、今から15年前に内田嘉高君、上森成人君という2人の若者の「踊りを通じて和歌山を元気にしたい」という強い思いから始まったもので、いわば市民発の先駆的なビッグイベントであり、今後も自発的な参加を軸に企業や公的機関と連携し、和歌山の文化の振興、地域のきずなづくりと青少年の健全育成、さらに和歌山の経済への貢献、観光資源としての魅力づくりに向かって頑張っていきたいという熱い志のある祭りであります。
 御存じのとおり、私も議員になる前からNPO活動を通じて知っていたこの2人の若者に動かされ、よさこい文化のなかった和歌山にまず踊りのチームづくりということで、私の日本拳法の道場から始めたのが和歌山MOVEという和歌山初のよさこいのチームであり、そのチームがことし結成15周年ということで、私自身、今回初めて踊りチームを先導する地方車に乗せていただき、踊り子だけではなく周りの観客の姿を見て、改めて15年前には影も形もなかったこの祭りがこんなに盛大に開催され、和歌山の夏の風物詩として市民の楽しみの1つになっていることに感慨ひとしおでありました。
 それでは、本題に入らしていただきます。
 まず、人口激減・超高齢先進和歌山県についてであります。
 昨年10月に行われました5年に1度の国勢調査の速報値が発表されました。お手元の資料のとおりであります。この中で、1と3の人口減少率ランキングについてはこの国勢調査をもとに出されたものでありますが、2と4の人口高齢化率ランキングについては、まだ国勢調査の結果が出ていないということで、2の全国人口高齢化率ランキングについては平成26年10月1日現在の総務省の人口推計をもとに、また4の和歌山県人口高齢化率ランキングについては平成28年1月1日現在の総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」によることを、まずお断りしたいと存じます。それゆえに、2と4では和歌山県の高齢化率の数値が若干違いますが、全体を俯瞰する意味からこれらを使いましたことをまず御了承いただきたいと存じます。
 さて、まず全国の人口減少率ランキングについては、全国では平成20年をピークに人口減少が起こってきているとはいえ、平成22年から平成27年までの国勢調査の人口減少率は全国で0.74%でありましたが、和歌山県では3.83%、つまり全国に比べて5.2倍の大きさで和歌山県での人口減少が起こり、全国ランキングで言うと東北の秋田県、福島県、青森県、山形県や四国の南端・高知県に次いで6番目の減少率であります。
 また、全国人口高齢化率ランキングでは30.5%で全国第5位。2月議会で皆様にお示しした人口ピラミッド、これは平成22年の国勢調査をもとに作成されたものでありましたが、団塊の世代、つまり昭和21年から23年生まれの世代の層が大変厚く、現時点でその層の方たちは大体67歳から70歳になっています。つまり、あと5年から8年すると75歳以上のいわゆる後期高齢者の人口が大変多くなってまいります。
 これらのことを踏まえ、私は人口激減・超高齢先進和歌山県と断定しているのですが、これはあくまでも私が感じ、率直に表現した言葉であり、皆さんの中には、全国的に見て人口減少率は秋田県や福島県、人口高齢化率では高知県や島根県のほうが高いじゃないかと言われる方もいらっしゃると思いますが、少なくとも47都道府県中、人口減少率も高齢化率もトップ7に両方入っているところは、秋田県、高知県、山形県と我が和歌山県の4県だけでありました。いわば、人口激減・超高齢先進四天王県の1つと言っても過言ではないと思います。
 そして、和歌山県下でこの人口減少率と人口高齢化率のランキングを見ていきますと、人口減少率では県下全体では3.83%ですが、市部では3.12%に対して郡部では6.27%と倍以上の減少率であります。
 市町村別で見ますと、市部では有田市──議長には恐縮でありますが、有田市6.91%、新宮市6.87%、田辺市5.49%の減少率と続き、郡部では高野町15.90%、すさみ町12.68%、九度山町11.67%の減少率であります。わずか5年間で人口が1割以上減少した自治体がほかに紀美野町、由良町など、考えてみれば恐ろしい限りであります。
 また、和歌山県人口高齢化率ランキングを見ますと、高齢化率が30.3%と高い割合であり、これもやはり市部では29.0%でありますが、郡部では34.7%と5ポイント以上高くなっております。
 同じく市町村別で見ますと、市部では新宮市34.3%、海南市34.1%、有田市30.9%と高く、また郡部では古座川町51.2%、北山村49.3%、すさみ町45.2%と大変高い高齢化率が示されております。
 まさに、以前にも御紹介いたしました日本創成会議の言う消滅可能性都市・市町村になる恐ろしい兆候が和歌山県の至るところに出てきていると言っても過言ではないと思います。
 では、どうすればいいのか。政府が言うように、地方創生で果たして和歌山県は再生できるのか。私は、そのようなことで再生するとは楽観的には考えてはおりません。
 もちろん、やることは無駄とは言いませんが、他府県も同じようなことをやっておりますし、例えば少子化対策、子供の出生率は和歌山県は決して低くなく、近畿で見ても一番高いことは皆さんも御存じのとおりですが、これも2月議会で述べましたように、人口ピラミッドで見れば一目瞭然のとおり、子供を産む年齢層の女性の数が非常に少なくなってきており、たとえ3人以上産んだとしても、そうそう子供の数が大きくふえるものではありません。
 また、これも御存じのとおり、高校卒業後、県外の大学、短大への進学率が29年間全国一高く、県外の大学、短大を卒業しても県内に就職、雇用の場が少ないため、なかなか帰ってくることができず、人口減少に歯どめをかけることは大変難しく、そのスピードを抑えようとしてもなかなか追いつかない現実が続くことは、残念ながらほぼ間違いないと断言しておきます。
 それに加え、以前から和歌山県の要介護認定率が全国で第2位、つまり2番目に高いと言ってきたのですが、この資料の左側の新聞記事にあるとおり、ついに平成26年、全国で1位になってしまいました。要介護認定率ですね。和歌山県は全国で一番介護を必要とする。もちろん単純に結びつかないことは十分理解していますが、1つの象徴的な見方として和歌山県民は体が弱いということであります。また、同じ観点で見ることではありませんが、昨年の紀の国わかやま国体の総合優勝した県が要介護認定率全国第1位ということは、どういうことなのでしょうか。
 ここまで長々と人口激減・超高齢先進和歌山県ということだけではなく、要介護認定率全国第1位ということを述べてまいりましたが、このことについて知事に答弁を求めるものではありません。知事にどうしますか、どう思いますかと質問しても、「そうならないように頑張ります」という答弁しか返ってこないと思いますので、私はあえて質問はいたしません。
 それよりも、この議場にいらっしゃる皆さん方に少しドラスチック、つまり断言的に聞こえるかもしれませんけれども、このことを十分御理解いただき、危機感を共有していただくことを要望しておきます。
 それでは、質問であります。
 まず、健康長寿日本一わかやま推進会議について。
 さて、これまで述べてきたとおり、今後も過去経験したことのないスピードで人口減少と高齢化率がまだまだ進んでいくことは想像するに難くありません。しかも、要介護認定率全国第1位ということは、平たく言うと、人は減るわ、老人はふえるわ、しかもその老人に体が弱く自立できない人が多いということで、個人の家で考えても、またその延長線上の地域の将来を考えても、このままでは活力のない社会になっていくことは十分想像できます。
 そのような中で、人口が少なくなり高齢者がふえるけれども、その高齢者一人一人が元気で、まちを、社会を活力あるものにしていこうというのが、私の考える健康長寿日本一わかやまの実現であり、県もそのような思いを持って長期総合計画の中にも載せているのでしょうし、わざわざこの資料の右側の記事にあるように新聞にまで発表されております。ちなみに、これは「紀伊民報」のこの日の1面の一番右側にこの記事が載っておりました。このように発表されております。
 しかし、健康で長生きすることの政策の進め方の難しさは、ただ福祉保健部の健康推進課1課で達成できるものではありませんし、事実、この後、質問に入ってくる紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスは教育委員会の健康体育課ですし、ラジオ体操は同委員会のスポーツ課、また、わかやまシニアエクササイズは福祉保健部の長寿社会課・高齢者生活支援室というように3つに分かれています。
 そのほか、食育や社会参加、またワーク・ライフ・バランスなど労働との関係、さらに、予防医療、介護など多岐にわたり、健康推進課だけでは実現できないということで、平成25年9月議会において、それら関連部署を横串を刺すような形で健康長寿日本一わかやま推進会議をつくるべきではないかと提案さしていただきました。
 そのとき、当局には快く受け入れていただき、その推進会議を定期的に持つことまで約束をしてくださいました。現在まで何回その推進会議を開催し、その結果、成果はどうであったか、福祉保健部長、御答弁願います。
 まず、1問目の質問を終わらしていただきます。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 健康長寿日本一わかやま推進会議については、本年8月に第6回推進会議を開催し、本県の課題である野菜の摂取や運動定着のために有効な事業について情報共有を行い、共同で実施できる取り組みについての意見交換等を行いました。
 特に、本年10月9日に開催するわかやま健康と食のフェスタ2016における健康づくりを実践している企業の認定や食をテーマとしたステージイベント、ブースの出展参加、体力測定などについて協議を行ったところであり、今後も本推進会議が中核となり、健康推進事業において相互に連携することにより、一層高い効果を得られるよう取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 はい、ありがとうございました。
 2月議会で私からも提案いたしましたが、健康フェスティバル、本来なら健康長寿日本一わかやまメッセ・アンド・フェスティバルというような名前にしてもらいたかったのですが、既存の健康と食のフェスティバルをパームシティからビッグウエーブにスケールアップすることによりとりあえず了承した次第でございますが、答弁にもありましたとおり、今後さらに推進会議が中核となり、健康推進事業においてより一層の高い効果が得られるよう強力に取り組んでいただくことを強く望んでおきます。
 続けて行かしていただきます。
 健康長寿日本一わかやまを実現するため、今回は運動ということを中心に今まで実践してきたことをまず検証いたします。
 平成24年9月議会で、体力テストの結果が平成19年度から23年度までの5年間で、小学1年生から高校3年生まで男女、学年を問わず一度も全国平均を上回ったことがなく、しかも、小学低学年から中学年、高学年、さらに中学校、高校と学年が上がるほど全国平均から大きく離れていくという実態をグラフを使って説明したところ、教育委員会はこれではいけないということで力を入れてくださり、ロンドンオリンピック体操女子代表の田中理恵さんらの協力を得て平成25年9月につくられたのが、紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスであり、これを教材として当時から県教育委員会の職員が熱心に学校を回られ、まず担当教員にきちっと指導し、子供たちに指導さしたところ、その成果は目に見えて出てきたと聞いておりますが、紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスの取り組み及び今後について、教育長、お答えください。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスは、平成20年度以降、全ての学校、学年で実施している体力調査で課題となっていた幼児期や小学校低学年の時期からの動きづくりや、中高生女子の運動離れを解消するために制作したものでございます。和歌山らしさを動きや歌詞に盛り込み、親しみやすくしており、本県オリジナルの体育の教材として広く学校に普及しているところです。
 加えて、紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスを創作ダンスへと発展させる方法をまとめた指導用DVDを、大阪体育大学の協力のもと制作いたしました。
 これらを普及するため、毎年、指導者向け実技研修会を開催してまいりました。このようなことから児童生徒の運動機会の充実につながり、児童生徒の体力は向上してきたものと考えております。
 今後も、市町村教育委員会と一体となって、紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスを有効に活用し、さらなる体力の向上に努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 教育長、どうもありがとうございました。
 以前から、和歌山県の児童生徒の体力不足ということについては、他の先輩・同僚議員も指摘されており、教育委員会も力を入れてきたというふうに聞いておりました。特に、中高生の女子の体力が全国平均から大きく下回っていることはグラフを使って示したとおりでありますが、紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスを創作、導入して、大変体力の向上が見られたということであります。
 聞くところによりますと、平成21年の小学校5年生の体力を見ますと、全国で男子は35位、女子31位だったものが、昨年、平成27年には男子14位、女子13位になり、また平成20年の中学2年生の体力が全国で男子46位、女子44位だったのが、昨年、平成27年には男子25位、女子18位と初めて全国平均を上回ったということを聞いております。これは本当に大したものであると私は大変高く評価をしておりますし、ぜひ気を緩めず、健康長寿日本一と一緒に日本一を目指して頑張っていただくことを強く要望いたしておきます。
 次に、ラジオ体操についてでありますが、これもこの壇上で何度か質問しただけではなく、私が平成25年度から26年度まで2年間、文教委員会の委員を務めていたときに、毎回質問し、徹底したラジオ体操の普及を訴えてまいりました。
 これはシニア世代、つまり65歳以上になる前に、いわばその準備としてミドル世代にも運動の機会をということで、平成25年9月議会で、平成26年度に200人の指導者づくりと1000人以上の県民の皆さんに正しいラジオ体操を学んでもらうと答弁をいただき、実際に取り組んだところ、324人の指導者づくりと約1500人の県民の皆さんに正しいラジオ体操を学んでいただきました。
 その後、指導者だけをつくってそのままになっていないでしょうか。その指導者の活動状況と今後について、教育長、お答えください。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) ラジオ体操の取り組みにつきましては、平成26年度に健康ラジオ体操教室を開催し、正しいラジオ体操を普及するとともに、指導員養成講習会を開催し、726人の指導員を養成いたしました。そのうち324人が全国ラジオ体操連盟公認指導員資格を取得しています。
 平成27年度には、市町村へ指導員情報を提供し、指導員の活用を依頼しましたところ、新宮市、紀の川市、西牟婁地方の事業の中で活用されました。和歌山市の例では、ビッグホエールで公認指導員が主になってラジオ体操会が行われており、メディアにも取り上げられ、問い合わせも多くいただいてございます。また、「出張!県政おはなし講座」でのラジオ体操指導を昨年度15回、今年度も半年間で既に11回実施し、ラジオ体操への関心が高まっています。
 さらに、今年度は指導員の研修機会をふやし、地域に根差した活動を進めるため、養成した指導員が県職員と一緒におはなし講座でラジオ体操を指導する取り組みを新たに実施しているところでございます。
 今後も、さらなる指導員の活用や地域のラジオ体操会の開催状況が広報誌等で情報発信されるよう、市町村教育委員会に働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 教育長、どうもありがとうございました。
 実は前にも言ったかもしれませんが、私もその324人の全国ラジオ体操連盟公認指導員の1人でありますから、その後、教育委員会からのアプローチ、連絡がどうであったか、当事者の1人として、はっきり言って1度だけアンケートがあっただけで終わりなんですね。その後、何のアプローチもございませんでした。
 今の答弁では、さもその324人の指導員が県内各地で活動しているように聞こえますけれども、特に和歌山市では、現在ラジオ体操を定期的に実践しているところは、この指導員づくりから以前にずっとやってたとこなんですね。今回、そのことについては私は細かいことは申しませんけれども、紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスでは、先ほども申しましたように大変大きい成果を上げているにもかかわらず、ラジオ体操では、特に和歌山市において、せっかくつくった指導員が全くと言っていいほど活動実態がないことを強く指摘しておきます。それだけに、この私も含め324人の指導員が絵に描いた餅にならないよう強く要望をいたしておきます。
 さて、次に運動の最後に、わかやまシニアエクササイズについてでありますが、これは私が提案したものではなく、平成16年に介護予防として県と和歌山大学の本山教授が共同開発したもので、県内で約2万1000人の体験者と、現在でも約6500人の自主活動をしている人たちがいるということであります。これは、本山先生初め県や市町村の担当者も一生懸命取り組んだ成果であると思います。
 ちょうど4年前、私が福祉環境委員会の委員長のときに、フォルテワジマで行われた自主活動グループを視察した際に、我々委員もこのわかやまシニアエクササイズを体験させていただきました。50名近くいらっしゃったと思うのですが、皆さん熱心に取り組まれていたことが印象的でありました。大変すばらしいことでありますが、先ほども申し上げたとおり、12年間やって要介護認定率が全国第1位と、残念ながら結果が出ておりません。もちろん、わかやまシニアエクササイズだけが要介護認定率と関係あるとは申しませんが、少なくとも介護予防のために導入した運動であることは間違いありません。
 実際に、このわかやまシニアエクササイズを導入した平成16年は要介護認定率は18.9%で全国で3位でしたが、その後、23年には21.1%で2位、そして平成26年には22.1%で1位となってしまいました。
 先日、和歌山大学の本山先生の研究室を訪ね、いろいろとお話を伺いましたが、例えば和歌山市では65歳以上の高齢者が約10万7000人いて、シニアエクササイズの実践者は約2500人で、これを1万人以上に持ってこないと要介護認定率は下がらないとはっきり言われておりました。県として、さらにここまで力を注ぐことができるのでしょうか。12年間の成果と今後について、福祉保健部長、お答えください。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) わかやまシニアエクササイズについての12年間の成果と今後についてですが、議員が述べられたとおり、これまでの取り組みにより教室の卒業生は約2万1000人となり、また卒業生を中心に現在273グループ、約6500人が自主的に運動を継続しており、運動を習慣化することにより高齢化に伴う身体の衰えを防止する効果とともに、地域の高齢者が集まって交流することで閉じこもり予防などの効果もあったものと考えています。
 今後とも、介護予防のためには運動が重要な要素の1つであることから、シニアエクササイズを実践する高齢者が増加するよう市町村の取り組みを支援するとともに、例えばいきいき百歳体操などのように、指導者や特別な器具を必要とせず、虚弱な高齢者など誰でも簡単に少人数から取り組める体操やグラウンドゴルフなど競技性のあるスポーツを普及させることなど、運動する高齢者の底辺を広げるような市町村の多様な取り組みを支援することで、より多くの高齢者が運動するように働きかけを行ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、ありがとうございました。
 今まで体験した人数と現在も実践している人数は、私は本当に大したものだと思いますが、ただ、結果として、何度も申し上げるとおり、介護予防の全体の数字を減らすところまで来ていないということは事実であります。
 知事並びに福祉保健部長、ぜひ御認識いただきたいのは、何度も繰り返し言うように、この健康長寿日本一わかやまは平成20年4月策定の長期総合計画に書かれている目標ですし、先ほど紹介した新聞記事にも堂々と健康長寿日本一を目指すと発表されているんです。これは私が言ったのではなく、県の担当の職員が言ったことでありますし、もう少しこの言葉の意味を、重みを十分御認識いただき、本当に日本一になれるように今まで以上に真剣に取り組むことを要望しておきます。
 次に移ります。
 ここまで述べたように、健康長寿日本一わかやまの実現に向けて、ジュニア世代では紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンス、ミドル世代ではラジオ体操、シニア世代にはわかやまシニアエクササイズなど、3つの身体運動を県の施策として行っているということであります。それらを含めて今回私が提案させていただくのは、この最後の資料でありますけれども、和歌山ウオーキング・エクササイズ・プロジェクト、通称WWEP──これは私、勝手につけたもんでありますが、ここに入る前におさらいしておきたいのですが、ジュニア世代とミドル世代の違いは、ジュニア世代は小学校、中学校、高校と学校で実践していますが、ミドル、シニア世代は地域社会での実践ということであります。
 はっきり言って、ジュニア世代では大変成果を上げてるにもかかわらず、ミドル世代のラジオ体操では全体の広がりがまだまだ見えませんし、シニア世代のわかやまシニアエクササイズは、12年間かけて本山先生らが中心になり、かなり力を入れたにもかかわらず、結果として始めたときより要介護認定率が上がり、全国第1位ということは述べてきたとおりであります。
 では、この差がどうして生じるのか、少し考えてみたいと思います。
 ジュニア世代の紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスは、学校という枠がはめられた中で、教師が生徒、しかも同じ年齢、ほぼ同じ年齢というほぼ同質の対象者に対して定期的に指導ができ、指導する教員を学校長だけではなく教育委員会が指導監督をすることができる特徴があります。しかし、ラジオ体操やわかやまシニアエクササイズには、学校という枠もなければ、対象者が若者から老人、しかも個人個人の運動経験や価値観が大きく違うだけに、学校教育と同じことはできないことは十分わかっております。
 しかし、紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスの成功例を参考にするならば、今後もっと違った展開ができるのではないかと思います。
 まず私が思うのは目標設定、次に管理体制、そして指導者の育成、配置であります。ラジオ体操やわかやまシニアエクササイズに果たして目標設定があったのかどうか。もちろん、この2つを並列に考えるわけにはいきません。実際に、わかやまシニアエクササイズは、12年間にわたり本山先生の指導のもと今まで県内で約2万1000人の人たちが体験し、現在では6500人が実践しているということは大変すばらしいことだと思います。しかし、結果として、何度も何度も言いますように、要介護認定率が下がらないで上がってきているということは、もっと明確な目標設定を最初にしておいたほうがよかったのではないでしょうか。
 ラジオ体操については、平成26年度、スポーツ課も力を入れて、324人の指導者と約1500人の人に正しいラジオ体操を体験してもらいましたが、その後大きな動きもなく、現在に至っております。ですから、わかやまシニアエクササイズやラジオ体操を本当に健康長寿日本一わかやまの実現に役立たせようとすれば、もっとしっかりした目標を立てるべきではないでしょうか。
 次に、管理体制については、紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスは、学校というしっかりとした枠組みの中で学年主任もいれば校長もいる、また教育委員会が全体を見ることができます。しかし、ラジオ体操は、もちろんそのようなものはまだ存在いたしておりません。
 ただ、私が視察調査した中では、和歌山県スポーツ振興財団が指定管理者で入るビッグホエールや和歌山県立体育館などでは管理している部分もありますが、これもラジオ体操の全体から見るとごくごく一部であります。一方、わかやまシニアエクササイズは市町村が管理していますが、県はどこまで全体を伸ばそうとしているのでしょうか。
 3番目に、指導ということについて、紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスでは、もちろん現場の教員、しかもそこに対して県教育委員会の健康体育課の職員が真剣に指導し、その熱意が教員にも伝わり、児童生徒たちに対してもその熱意が伝わっていったと思います。
 ラジオ体操については、残念ながら指導体制というところまではいっておりません。どちらかというと自然発生的にやっているという感じで、もちろんやっている方たちは一生懸命やっているということはよくわかっておりますけれども、そのような中で、先ほども申し上げた和歌山県スポーツ振興財団が指導するビッグホエールや県立体育館は、しっかりとしたラジオ体操の上級指導員や健康運動指導士がきちっとやっているということは大変評価できることであると思います。
 わかやまシニアエクササイズについては、本山先生の指導のもとで、受講生の中から自主的に各地で普及させていっているということですが、介護予防、介護認定率を低下させるというレベルにおいて、相対的に指導者の人数が少ないと言わざるを得ません。
 以上見てきたとおり、学校と社会との大きな条件の違いがあるとはいえ、ラジオ体操、わかやまシニアエクササイズについては、まだまだ考えていかなければならないことが多いと思います。
 本当に県が健康長寿日本一わかやまの実現を県民の皆さんに約束した平成20年4月策定の和歌山県長期総合計画のとおり、平成29年度末までに健康長寿日本一わかやまを実現させるのであれば、実はこれについては、平成26年2月議会でも当時の中川福祉保健部長に確認をいたしましたら、それまで、つまり30年3月末までに実現するのは難しいから、平成34年度末までに実現に向け、強い意志を持って取り組むことをこの議場で約束をされましたが、つまりあと6年6カ月で達成しようと考えるなら、もう一度、社会におけるラジオ体操、わかやまシニアエクササイズの必要性と具体的な目標設定、管理体制、そして指導者の育成・配置という基本的なことから構築していく必要があるのではないでしょうか。
 さて、健康長寿日本一わかやまの実現のための運動について視点を変えて考えてみたいと思います。
 ラジオ体操やわかやまシニアエクササイズは、ただ1カ所に集まって同じ運動をするだけではなく、参加者がコミュニケーションを図ることができる楽しい場になっています。これはこれで、例えば家に閉じこもりがちな年配の方にとっては外に出るいい機会になると思うのですが、中には、そのような中に入りたくはない、できれば1人で運動できるものならしたい、また定期的に行くのがおっくうであるという方もいらっしゃるだろうし、実際にそのような方が非常に多いのではないかと思います。特に、男性にそのような傾向があるということはよく耳にいたします。
 そこで、私が今回提案したいのは、運動の原点ともいうべき歩くこと、つまりウオーキングであります。歩くことによって健康を維持し長生きできる、そしてこれなら人目を気にせず1人でもできる、このようなことは前々からわかっていたことですが、ではどれだけ歩けばそれが実現できるのか、いろいろと調べてみました。
 そこで出てきたのが、この本にもあるとおり(本を示す)1日8000歩、速歩き20分のウオーキングをすることによって健康を維持することができるということであります。これは私が勝手に言ってるわけではなく、このとおりでありますけれども、10月の福祉環境委員会の県外調査でも委員の皆さんに行っていただきますが、東京都健康長寿医療センターの青柳幸利先生が、故郷の群馬県中之条町で15年間にわたり5000人の町民に、1日24時間、風呂に入るとき以外ずっとこの身体活動計を──実はこういうものなんですけど(現物を示す)、身体活動計を持たして、ずっと1日の行動というものを掌握したわけです。そこの共通項が、健康で長生きしている人が1日8000歩、速歩き20分、まあ中程度の運動を20分する人が非常に健康で長生きする範疇に入ってきているという、そういう研究でありまして、これ非常に国際的にも評価されているということであって、これは中之条の奇跡と評価されているということも聞いております。
 そこで、この黄金律ともいうべき1日8000歩、速歩き20分のウオーキングを行うことを指標に、県民の皆さんに日常生活の中で歩くことの目標を持っていただき、つまり意識して歩き、歩数を重ねていく、そのためにシステムづくりを今後県としても考えていってはどうかと思います。
 実は、この件について8月に先進地域であります横浜市に行き、2年前から導入している歩くことによって特典を得られるウォーキングポイント事業について、健康福祉局保健事業課の粟屋課長にお会いし、説明を受けてまいりました。
 横浜市は、人口372万人いるそうですが、昨年度からこの事業を始め、もう既に2年間で15万人がこの活動計よりももっとシンプルなデジタルの歩数計を持っているとのことであります。得られたデータは、個人だけではなく、町なかのコンビニや商店街に設置されたリーダー機器にこの歩数計を──これが例えばリーダー機器だとしますが、ここに置くだけでこの本人が1日どれだけ歩いてその中強度の運動をやったかということを、これずっと1日──毎日じゃないですよ。ずっとここにインプットされてるもんが横浜市の役所に送信され、そこで管理するというシステムであります。
 横浜市では、来年度まで実践者を30万人にふやすということでありました。市民は、ポイントを稼ぐために積極的に歩き、そのリーダー機器を設置しているコンビニや商店街は、定期的に歩数計を持った市民が店を訪れ、リーダー機器にこの歩数計を置くついでに買い物をしていく。さらに、そのデータを市に送信することによって市は市民のウオーキングの実態を掌握し、将来的に介護や医療の費用を抑えられる可能性があるということであります。いわば、市民よし、店よし、役所よし、3方よしということであります。
 なお、これに近い事業は実は県下でも紀の川市や田辺市でも取り組んでいますが、私も実態を見てまいりましたが、まだまだ少人数でスケールが小さく、ぜひ健康長寿日本一わかやまの実現のために県主導で制度設計も含め取り組むべきだと考えますが、福祉保健部長、御答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) ウオーキング、歩くということは、運動・身体活動において、県民が日常生活に手軽に取り入れられ、生活習慣の改善に効果的な取り組みの1つとして認識しており、これまで関係団体と協働し、県内のウオーキングコースを紹介する「ウォーキングブック」の発行や、全市町村において累計1万3341人が参加した紀の国わかやま1万人健康リレーウォークの開催等に取り組んできたところです。
 今後は、他の自治体のすぐれた取り組みについて情報収集を行い、市町村等と連携しながら県民の運動習慣のさらなる定着を目的としたウオーキング事業を研究してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、ありがとうございました。
 今回、ウオーキングについて初めての提案なんですけれども、私は随分、私自身言うんなんですが、この本も含めて何冊も──ウオーキングはみんな体にいいことはわかってるんですけれども、本当にその根拠とは何かということでインターネットや書籍を大分調べました。その中で、この1日8000歩、速歩き、中程度の運動を20分という理論的な根拠というものを私自身知りまして、非常に喜んだ次第であります。ぜひとも、これを機会に当局でも十分精査していただき、健康長寿日本一わかやまの実現に向け、県が進めるラジオ体操やわかやまシニアエクササイズとともに、先ほども述べましたような形でこのウオーキングとエクササイズ、そしてこれをプロジェクトとして進めていただくことを、健康づくりの基本として持っていただくことを心より強く望む次第であります。
 これについては、私はこれからもずっと質問し続けますし、何とかして和歌山県の──要介護率を下げるだけが目的じゃありませんけれども、実はこれちょっと余談なんですが、和歌山県の要介護率が22.1%なんですが、埼玉県は14.1%なんです。同じ日本人で和歌山県と埼玉県が──埼玉県が介護認定率が一番低いんですけども──8ポイントも違うんですね。8ポイント違うということは、和歌山県で65歳以上の人が約30万いらっしゃるんで、8ポイント違えば2万4000人の方が元気になるということですから、ぜひともこのことをウオーキングを入れてお考えいただきたいと思います。
 最後になります。
 これまで申し上げてきたとおり、人口激減・超高齢先進和歌山県において、今後さらに加速度が増し、人口減少や高齢化率が一段と進むことは間違いないと思いますが、県都和歌山市も同様であります。それだけに戦略的な取り組みが必要であると考え、平成25年9月議会以降、阪和35分通勤快速電車で住環境のいい和歌山市へ若者を呼び戻し、定着してもらう、そして、平成26年9月議会以降、JR和歌山駅を中心としたコンパクトシティーづくりを進め、まちの利便性を高めると同時に活性化を図っていくという考え方で、この2つの政策を強く訴えてまいりました。
 現実的にはいろいろと難しい問題もあり、一朝一夕にいかないことはわかっておりますが、しかし、急がなければ、他府県より進む急激な人口減少と超高齢化に歯どめをかけることは到底できないと私は思っております。
 そこで、平成26年9月議会で、まずJR和歌山駅のターミナル駅の強化ということで、南海本線のJR和歌山駅乗り入れについて提案したところ、当時の野田部長は積極的に取り組むと断言し、この翌日の新聞にも大きく報道されました。何度も出しますように、これ私が言ったんではありません。野田部長が言いました。ここにある──また、余り話は進んでいないということも聞いておりますけれども、しかし、平成27年2月議会と同年9月議会で再度質問したところ、なかなかその後、質問するごとに問題が難しい難しいという方向へ行って、最初の積極的に取り組むと言ったのは何であったかなというふうに思うようなとこまで今来ておるんですが、この時間的な経過も含めて、わかりやすく御答弁を企画部長、お願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 鉄道の相互乗り入れにつきましては、平成26年度に鉄道事業者3者と和歌山市、県の5者で勉強会を立ち上げ、実現に向けた課題事項の洗い出しなど継続的に意見交換を行ってきたところです。
 ことしに入ってからも2回の勉強会を開催し、今までの課題を踏まえ、乗り入れが行えるとすればどのような方法があるか、例えば加太線、紀勢本線及び貴志川線の接続についてはどうかなどの意見交換を行っております。
 その中で、自動列車停止装置など保安設備の相違や車両の幅及び長さの相違といったこれまで把握していた課題に加え、線路の分岐点を制御するソフトウエアの改修や、現行の線路を活用した場合、車両が行き違いするための対向スペースに係る用地取得が必要となることなどの新たな課題も明らかになってきております。
 鉄道の相互乗り入れを実現するには課題が多岐にわたるため、鉄道事業者において具体的な費用の算定には至っていないものの、事業を実施するには莫大な投資が必要になるとのことであります。
 県としましては、鉄道事業者の収益性の問題など困難な課題が多くありますが、どのような乗り入れ方法があり、どうすれば課題を克服できるのか、引き続き鉄道事業者や和歌山市とともに検討を進めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 企画部長、どうもありがとうございました。
 ことしに入ってから、鉄道事業者3者と和歌山市と県の5者で2回勉強会を開催しているということでありますけれども、やればやるほど、先ほども言いましたようにいろいろと難しい問題が生じてきて、具体的な費用の算定に至っていないということはわかりますけれども、これも何度も言いましたように、先ほども言ったように、南海本線の和歌山駅乗り入れをということについて、県は積極的に取り組むと言った言葉の重みをぜひいま一度かみしめていただいて、今後も真摯な姿勢で交渉していただくことを要望しておきます。
 感じ方はいろいろ先ほども言いましたように違うと思うんですけれども、全国でトップクラスを走る人口減少、さらに高齢化を考えたときに、つまり人口激減・超高齢先進和歌山県の自覚を持って素早く必要な施策に真剣に取り組み、これは先ほど評価をさしていただきましたけれども、紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスのように、事は違いますけれども、確実に実績を上げていただくことをお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらしていただきます。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 3番森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 おはようございます。森礼子です。
 質問の前に1つ、水についてのエピソードを紹介させていただきます。私は、8月の終わりに有田川町の巨峰村のオープニングセレモニーに参加させていただきました。そのときには、仁坂知事を初め国会議員の先生方も参加され、祝辞を述べられる来賓の方々は、一様にことしの猛暑が甘くておいしいブドウを実らせたというふうに話されていました。後にある関係者の方とお話をしたとき、「ことしの夏はほとんどまとまった雨が降らなかった。だけど、雨乞いや渇水の報道もなく世間は穏やかだった」と話されていました。
 少し前だったら、雨が降らない場合、農作物に対する水の心配が尽きなかった。長い間、ダムや利水施設の整備など大変な時代を終え、振り返って数年たった今、安定的な水の供給ができることを誇らしそうに喜んでおりました。改めて、水の大切さを私も一緒に学ばせていただいた瞬間でした。
 また、水の和歌山として水を観光につなげる今回の政策は大変すばらしいことだと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い質問させていただきます。
 初めに、和歌山県の子育て支援について。
 9月7日の「産経新聞」によりますと、女性の就労参加率が保育所整備の進捗度などに応じ、都道府県で大きな格差が生じていると報道されています。参考までに、就労参加率の最高は福井県の76%、最低は奈良県の60%です。また、就労参加率の高い都道府県は、女性正規雇用の比率が高いとされています。
 このように、仕事と子育ての両立を支援する環境を地道に整えていくことが、女性の安定的な就労につながっていることがよくわかります。
 女性が安定的に就労するためには、いろんなハードルに対して丁寧な対応が望まれています。ハードルとしては、産後、職場復帰時の待機児童問題、病児・病後児保育、小学校1年生、4年生の壁が挙げられるのではないでしょうか。
 小学1年生の壁とは、小学校に上がるときに、それまでの保育環境と同じ条件を保つことが難しいため、お仕事を継続できず、やめざるを得ないという状況に置かれていることです。小学校4年生の壁については、病児・病後児保育における運用の問題で生じていますが、後ほど触れさせていただきます。
 まずは、待機児童問題について質問いたします。
 厚生労働省では、認可保育所に入れない待機児童の数を正確に把握するため、近く待機児童の定義を見直すとの方針であると聞いております。待機児童に数えられない隠れ待機児童には、希望する保育施設に入れない、保護者が育児休業中、自治体独自の保育施設を利用している、保育者が求職活動を休止しているという4類型の児童が含まれていると言われています。そして、待機児童の集計方法は、自治体の判断によってまちまちであることがわかりました。
 本年2月の私の質問で、待機児童の解消を含め県庁内保育所の取り組みを提案しましたが、近隣の事業所との兼ね合いや利用ニーズを考えると必要ではないとの答弁をいただきました。
 私の周りの働く女性からは、「希望の保育所に入れなかったので、認可外を利用したり、育休を延長したりせざるを得なかった」との声も聞きます。県としては、仕事と子育ての両立を支援するため、働く女性の声に丁寧に向き合っていく必要があると考えますが、待機児童の解消に向けてどう取り組んでいかれるのか、福祉保健部長の答弁をお願いします。
 次に、病児・病後児保育の充実について質問します。
 政府は、ニッポン一億総活躍プランで多様な保育の受け皿の整備を進めるとし、病児・病後児保育の充実をその1つに位置づけました。施設の増加を目指し、今年度から建設コストの9割までを国と地方自治体で補う財政支援策を導入するとともに、利用者の利便性を高めるため、児童の送迎費をも助成することとしています。こうした充実策により、現状で60人万弱の利用者を2019年には利用者150万人とする目標を掲げています。
 本年2月の私の質問で、条件つきで看護師の常駐を不要とするなどの人員の配置基準の見直しに触れた際には、国の財政支援の詳細について明らかではなかったので、病児・病後児保育の充実についての答弁が難しかったかもしれませんが、現時点においては、平成28年度から施設整備費のうち国、都道府県、市町村が3割ずつを負担し、残りの1割を事業者が出す仕組みとされたことに加え、急に体調を崩したお子さんの送迎費も国で助成することとされています。現在は保育所から施設までの送迎は一般的には保護者の負担となっていますが、国が一定額を助成することにより普及に弾みをつけるという狙いとのことです。
 このように、国の支援策の充実が明確になっておりますので、本県においても、国の財政支援をうまく活用するとともに、県費負担にも御配慮をいただき、病児・病後児保育の充実に積極的に取り組むことについて答弁をお願いします。
 また、病児・病後児保育の運用について質問します。
 それは、小学校4年生の壁の問題です。本県の幾つかの事業所に問い合わせたところ、病児・病後児保育の対象年齢は小学校3年生までとされています。このことにより、4年生以上の小学校の保護者は利用を断られ、やむなく職場を休まざるを得ないとのことです。国の利用対象年齢は、小学校6年生までに引き上げられました。にもかかわらず、現状の利用対象年齢を3年生までと決めているのには、何か特別な理由があるのでしょうか。
 病児・病後児保育の充実を図るためにも、利用対象年齢を小学校6年生までに拡大すべきだと考えます。また、現状の受け入れ体制は、同時に6名となっています。隔離が必要な利用者のスペースや看護師や保育士の体制を考えると6名が精いっぱいと伺いましたが、6名では補えずに断っているのも現状です。特に、インフルエンザ流行時にはその人数は少なくありません。できるだけ断ることのないように、受け入れ体制を整えていくべきだと思います。この点について、福祉保健部長の答弁をお願いします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの森礼子君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) まず、1点目の待機児童解消の取り組みについてお答えいたします。
 和歌山県では、現在3歳以上の待機児童は発生しておりませんが、女性の活躍や核家族化の進行により、3歳未満の低年齢児保育の利用希望が年々増加しています。県では、そのニーズに対応するため市町村と連携して保育の受け皿整備を進めてきたところですが、一部の地域では低年齢児保育の利用希望が受け皿整備の進捗以上にふえており、その結果、平成27年10月1日には215人の待機児童が発生したところです。
 ことし4月1日の待機児童は10人いました。また、平成27年から国が調査を開始したいわゆる隠れ待機児童は、次の4つのケースに該当するものをいい、1つは地方単独保育事業を利用する者、2つ目は求職活動中のうち求職活動を休止している者、3つ目は特定の保育所のみ希望している者、4つ目は育児休業中の者で、県内ではこのうち特定の保育所のみ希望している者が33人いるという状況でした。
 県としては、年度途中でも産休明けや育休明けにスムーズに保育所を利用することが可能となるよう、関係市町村に対してさらなる保育の受け皿整備を強く要請するとともに、徐々に厳しくなりつつある保育士不足への対応として、今年度から開始する保育士修学資金等貸付事業の準備作業を進めているところです。
 さらには、今年度から新たに創設された内閣府の企業主導型保育事業補助制度の活用による企業内保育所の整備についても積極的に推進し、より一層待機児童解消に取り組んでまいります。
 次に、病児・病後児保育の充実についてお答えします。
 病児・病後児保育は、仕事と子育ての両立を図るための子育て支援策として重要であり、県全域での実施が必要と考えております。平成27年度は7圏域11カ所で実施されていましたが、今年度は新たに認定こども園2園で開始した体調不良児型を含め、7圏域13カ所で実施されております。ただし、地域によっては、インフルエンザの流行時期等には全てのニーズに対応できていない場合もあると聞いております。
 平成27年度本格施行された子ども・子育て支援新制度では、病児・病後児保育に係る国庫補助の対象がおおむね10歳未満から小学生に拡大され、また、今年度からは新たに整備に係る補助や送迎サービスに係る補助も創設されたところです。しかし、ニーズの重なる時期に年齢の低い病児の預かりを優先して行えるよう、小学3年生以下に限定せざるを得ない現状と聞いております。
 県としては、対象年齢の拡大や施設数の増加により、必要なときに病児・病後児保育を利用できる体制を整えることが必要であると認識しております。また、保護者が送迎できない場合の送迎サービスも、仕事と子育ての両立支援として今後ますます需要が増すと考えております。
 県では、国の補助制度を活用しながら病児・病後児保育のさらなる充実を図るため、実施主体である市町村への周知に加え、医師会に対する補助制度のPRなど、国の制度を周知する工夫を重ねながら一層積極的に働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 答弁ありがとうございます。
 病児・病後児保育に関しては、ぜひ国の財政支援をうまく活用していただいて、対象年齢など受け入れ人数の拡大をしていただいて、早い対応で、断られる方がないようによろしくお願いいたします。
 続いて、2つ目の質問は観光振興について。インバウンド受け入れ体制について質問します。
 最近、和歌山市内でも外国人観光客、とりわけ中国を初め香港、台湾などアジアからの観光客によく出会います。
 本県では、長らく外国人観光客は年間10万人程度でしたが、ここ数年で40万人と急増しています。しかし、残念ながら和歌山が魅力的で来るというよりも、業界関係者の話では、大阪ではホテルがとれないとの理由で関空から県内のホテルに直行し、翌朝には大多数の観光客は大阪、京都などゴールデンルートに出かけるそうです。しかし、一部熱心に営業し、夕食を提供するレストランもあれば、桃の季節には紀の川市に出かけるとの話も聞きました。また、最近ではリピーターに、ゴールデンルート以外の地方や日本らしい体験などが人気を呼んでいると言われています。
 国では、予想よりも早く2000万人を達成し、東京オリンピックの2020年には4000万人を目標にしています。世界の観光国と言われるフランスやスペイン程度までいこうと思えば、さらに倍増しなければなりません。つまり、まだまだ外国人はふえる可能性があり、ぜひともふやさなければなりません。
 本県は、高野・熊野の世界遺産があり、国宝数6位など文化や国立公園、ジオパークなど自然にも恵まれ、山海の珍味にあふれています。和歌山を訪れるお客様を大満足にもてなす素材はたくさんあり、大いに外国人観光客誘客の可能性があります。
 そこで、このチャンスをどのように生かし、観光客誘客につなげるためにも受け入れ体制をどうするのか、商工観光労働部長に伺います。
 ハラル対応について。
 現在、本県の外国人観光客は、中国、香港、台湾が中心ですが、今後の誘客をふやすためには、世界人口の約4分の1の約16億人を占めるASEAN諸国をターゲットに入れ、とりわけシンガポール、マレーシア、インドネシアなどイスラム圏域からのムスリム旅行者の受け入れに力を入れるべきだと考えます。
 しかし、ムスリム旅行者を受け入れるためには、宗教や文化を理解するとともに、ちゃんとした体制を準備する必要があります。
 例えば、ムスリム旅行者の80%は、ハラルを理由に外食できなかった場合を想定して、自国からインスタントラーメンを持参しているそうです。また、食事以外では歯磨き粉や石鹸、シャンプー、医薬品も持参しています。私たちに置きかえても、シャンプーや医薬品は自分に合ったものを持参しているように思います。ムスリム旅行者が安心して訪れる体制が必要です。今後、観光客のさらなる増大につながるとも思います。
 国際機関・日本アセアンセンターのムスリムおもてなし5カ条によると、第1に食事の体制と示されています。ハラル食は、豚肉やアルコールを使用していないだけでなく、製造、加工、調理の過程が禁忌とされているものに汚染されていないことが代表的です。厳格を追求すれば大変難しいと言わざるを得ません。
 しかし、日本に来るムスリム旅行者は、非イスラム圏域である日本をよく理解している方が多いので、豚肉や豚肉由来成分を使用していないことを最低限のルールとし、わかりやすい表示コミュニケーションが必要だと考えます。
 そこで、今後ASEAN諸国からの誘客をふやしていくためにも、ムスリム旅行者のおもてなしなど受け入れ体制をどのように取り組んでいくのか。また、ハラルのレベルは宗教、地域、個人によってばらばらだと言われていますが、ムスリム観光客がホテルやレストランなどを選ぶ際のハラルのレベル、受け入れる観光業者にとってもどの程度のハラルのレベルを整えるのかという統一した基準が必要だと考えます。現在白地の我が国でこそ統一が可能であり、今後は国や県で、ある統一したハラルの基準をつくるべきであると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 さて、日本には、ハラルとは違いますが、よく似た精進料理があります。高野山や根来寺でもてなす精進料理はレベルも高く、ムスリム観光客にはきっと受け入れられやすいのではないかと考えますが、少し工夫をして和歌山県版ハラル対応精進料理を提供できるよう企画してはいかがでしょうか。この点について、商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 最初に、インバウンド受け入れ体制についてでございますが、県では、外国人旅行者の快適かつ円滑な移動や滞在のための環境整備を外国人旅行者のニーズを踏まえ重点的に取り組んでいます。
 平成26年度に観光庁が実施した調査によると、外国人旅行者が日本旅行中に困ったこととして、無料公衆無線LANが整っていない、施設スタッフと外国語でコミュニケーションがとれない、観光案内板が多言語化していないなどが挙げられております。
 県では、これらの課題を解決するため、昨年度より和歌山フリーWi-Fiの整備を開始しました。本年8月には、市町村や観光事業者を中心に約1400アクセスポイントに達しています。
 また、市町村や道路管理者と連携し、観光案内板の多言語表示化を過去2年間で約2000カ所の整備を行いました。
 さらに、8月より外国人とのコミュニケーション支援として、英語、中国語、韓国語など10言語に対応した多言語電話通訳サービス、簡易翻訳サービスを開始いたしました。このサービスは、県内の宿泊施設や飲食店等に対して、電話での3者間通訳やチラシ、メニュー等の簡易翻訳を行うものです。
 外国人旅行者が県内での滞在に御満足いただくため、市町村や観光事業者と連携し、これらの取り組みを促進してまいります。
 続きまして、ハラルの対応についてでございますが、県としましては、東南アジア諸国をインバウンド観光客誘致の重点市場として捉え、マレーシア、インドネシアなどから訪れるムスリム旅行者の受け入れ体制を充実させることが不可欠と考えています。このため、県内の飲食店、宿泊施設等の観光事業者を対象にムスリム旅行者に関するセミナーを開催し、ムスリム対応の普及に努めています。
 統一した基準との御質問ですが、議員御指摘のとおり、イスラム教の実践については、宗派、地域、個人によってその内容や程度に差があります。このため、県では各事業者がまず取り組めることとして、食事に使用されている食材、成分等の情報表示を行い、ムスリム旅行者みずからが飲食の判断ができる環境づくりを推奨しています。また、御提案の和歌山県版ハラル対応精進料理については、現在、高野山内の複数の宿坊で提供しているところです。
 このような工夫を凝らしたおもてなしが県内に広がり、多くのムスリム旅行者をお迎えできるよう、引き続きセミナーの開催を通じて受け入れ体制の充実に取り組むとともに、メディアやウエブサイトを活用しつつ、あらゆる機会を捉えてムスリム旅行者に情報発信を行ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 答弁、ありがとうございました。
 では、次、3番目の和歌山南スマートインターチェンジ整備関連について質問いたします。
 和歌山南スマートインターチェンジは、平成25年度、和歌山市南部及び紀の川市南部、貴志川地区からの高速道路へのアクセスとして事業着手しました。約20年前にも南インター設置の動きがあったそうですが、当時は残念ながら実りませんでした。そういう意味では、南インター設置は地域の交通利便性と活性化を図る県民の悲願でもあります。
 平成30年度の供用を目指して工事の進捗を期待するものでありますが、関連して以下3点について質問いたします。
 南インター設置の効果については、当時の県からの記者発表資料を見ると、高速道路利用者の利便性向上はもとより、観光や産業の振興による地域の活性化や災害時における防災機能の強化などの効果が期待されるとあります。和歌山市南部及び紀の川市貴志川地区の開発可能性が飛躍的に向上し、地価の安さと相まって企業の進出の勢いが強まることが想定されています。
 和歌山市内の工業団地は、雑賀崎の工業団地には多少の用地は残っていますが、内陸の工業用地はなく、同地への企業進出がふえることは、産業振興、雇用確保の観点からも地元の住民はとても喜び期待しています。
 和歌山南インター設置に合わせた都市計画については和歌山市が主体となっておりますが、供用開始まであと2年となった今、知事はどのようにお考えなのか伺います。
 地域道路の整備について。
 和歌山南インター設置に合わせて県ではアクセス道路の整備を急いでいますが、地域交通のかなめとなる都市計画道路南港山東線は数十年前から整備要望を持っていますが、計画変更などの要因もあり、いまだに実現できていません。また、計画変更のために大型観光バスや災害時緊急車両が進入できないままの地域もたくさんあります。
 私は、山東地区に伺って思うことは、議員就任以来まだ数年しか経過していませんが、県内の山間地の立派な県道整備と比較して余りにもおくれており、大変申しわけない気持ちでいっぱいになります。
 特に、海南市との境にある境原地域の方々は、和歌山市街に向かうのに対向不可能な細過ぎる道とともに共存し、日々の生活の中、いらいらとともに道という大きな悩みと約半世紀もの長い間向き合っています。周辺では大きな幹線道路が開通していくのをうらやましく眺め、ある地元の方は「境原はな、秘境の地や」と寂しく思いを話されました。
 その間、県に対して何度も道の拡幅や新設の要望を重ねてきたと伺いました。これまで、単に予算がないだけではなく、用地などの地元の事情もあったことでしょう。しかし、南インター設置の現在こそ、整備すべき時期であると考えます。
 境原から和歌山市街に向かう道路の改善策として、昨年に県道岩出海南線の現道拡幅の要望書が自治会から届いていると思います。県道岩出海南線は、海南市と和歌山市東部と岩出市を結ぶ幹線道路であります。境原から口須佐、伊太祈曽、平尾の狭い昔からの道路は、局所改修しても地域開発用や災害時の緊急車両道路、何よりも安全な通学・通勤のための道路には不十分だと思います。せめて現道を拡幅して、中央線があり歩道のある道路にはできないものでしょうか。
 私は、将来的に例えば境原から直線的に山間部をくり抜いて県道和歌山橋本線へ直線連結し、かつ矢田峠につなぐようなバイパスが必要であると思います。
 そこで、境原地域から和歌山市街に向かう道路の状況や県道岩出海南線を利用する境原地域などの東部地域に必要な道路の整備に関し、県土整備部長の御所見を伺います。
 続いて、河川整備について。
 和歌山南インター周辺は、平成24年の大洪水以来、知事はオール和歌山で尾花市長や地元と協力して和田川流域の河川整備並びに国営総合農地防災事業を進めていただいております。改めて感謝申し上げます。
 平成24年の大洪水のように、岡崎、山東地域、とりわけ岡崎地域は御承知のとおり常に浸水しやすい地域です。今後、南インターが設置され、開発が加速されることが予測されています。
 現在計画されている河川整備並びに国営事業は岡崎地域全体の一定の浸水対策となると思いますので、ぜひとも河川整備並びに国営事業の促進をお願い申し上げ、農林水産部長と県土整備部長に進捗状況について伺います。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山南スマートインターチェンジ整備関連につきましてお答え申し上げます。
 このインターチェンジは、交通利便性の向上等を目的に、和歌山市南部地域の新たな交通結節点として、現在、西日本高速道路により整備が進められているところでございます。
 このスマートインターチェンジは、市街化調整区域内に位置しておるために、土地利用については都市計画法による市街化を抑制するというのが法の定める原則であります。しかしながら、そうした区域ではあるものの、インターチェンジの交通結節点機能を生かす観点から、和歌山市が都市計画法等をうまく活用して、意図的にインターチェンジから近い区域を同心円的にゾーニングをして、流通施設や工場等を誘致していくことは可能でありますし、また、やったらいいと私は思います。
 こうしたことを進める場合、和歌山市には、法の趣旨に照らして適正に運用していただければいいかというふうに思っております。
 県としては、今後、具体的な都市計画について提示、相談等があれば、必要な支援を積極的に行っていく所存であります。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 境原地域から和歌山市街地に向かう道路の状況、それから県道岩出海南線を利用する境原などの東部地域に必要な道路整備について御質問を頂戴いたしました。
 境原地域から和歌山市街地へ向かう場合、県道岩出海南線または県道沖野々森小手穂線のどちらかを利用されることとなるというふうに考えてございますが、どちらにも車両の対向が困難で、歩行者等の安全な通行に支障を来している狭隘な区間があることは十分認識をしてございます。
 現在、県では、境原地域を含む和歌山市の東部地域を通過する南北の広域交通を処理することを目的としまして、都市計画道路松島本渡線の整備を推進しているところでございます。
 一方、地域住民の方々が日常の生活で利用される道路の整備につきましては、沿道利用の状況ですとか整備効果の早期発現などの観点から、交通の流れを大きく変えるバイパス整備ではなく、現道を活用し、拡幅や線形改良といった整備を実施することを基本としてございます。
 議員御質問の県道岩出海南線につきましては、都市計画道路松島本渡線の整備により通過交通が排除される見込みであること、また東部地域の生活道路でもございますことから、現道を活用した整備が有効であると考えてございます。このため、用地の御協力をいただくことが前提となりますが、車両の円滑な対向、歩行者の安全の確保などの観点から、特に狭隘な箇所の整備について検討を行ってまいりたいと思ってございます。
 続きまして、和田川の河川整備の進捗状況について御質問を頂戴いたしました。
 和田川につきましては、平成24年6月に床上・床下浸水合わせて116戸の被害が発生したことを受け、河口から前代川合流部付近の約6キロで抜本的な改修を進めるため、平成25年度より床上浸水対策特別緊急事業を実施しております。
 これまでに、和歌川との合流点から坂田橋上流までの約2.4キロの区間は、JR橋に近接する区間を除いて概成しており、今年度は引き続きその上流の高野橋までの約1.4キロの河道掘削、さらにその上流の護岸工事などを進める予定でございます。
 今後とも、関係機関と連携を図りながら総合的な浸水対策の推進に資するよう、事業の進捗に努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 国営総合農地防災事業和歌山平野地区につきましては、紀の川中・下流域(和歌山市、紀の川市、岩出市)における農業用幹線水路からの溢水、農地の湛水被害の軽減を目的に、農林水産省が事業主体となり、総事業費456億円、平成40年度完成を目指し、平成26年度から着手しております。
 和田川流域に関しましては、早期効果発現を目指し、本年度から南インター付近の新溝支線水路と米田排水機場の工事に着手するとともに、名草排水機場、岡崎排水路の工事着手に向けた詳細設計を進めていただいております。
 県としましては、引き続き、早期効果を発現し地域の農業振興等に資するよう、関係機関との協議調整を行ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 答弁をいただき、ありがとうございました。
 特に、境原地域の方々は、約半世紀という長い間、道の問題に向き合って今日まで来ましたが、その間、何人かの知事の時代があって移り変わってきてますが、残念ながら地元の思いとしてはまだ今も喜べるほどの改善はなく、悩みと向き合っているということです。
 仁坂知事の時代でぜひとも、今の答弁では現道を活用し、拡幅や線形を改良する整備をするということですが、少しだけ整備をやっても「やりました」ということになってしまうんですが、そうではなくて、ぜひ地元に喜んでもらえるような整備をしていただけますように、よろしくお願いします。
 これで、私の一般質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時32分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(服部 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)
○岩田弘彦君 皆さん、こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさしていただきます。今回は大項目3つ、全て一問一答方式にてお願いいたします。
 まず、大項目1番、関西の重要な道路ネットワークについてであります。
 資料のほう、議長のお許しをいただきましたので、皆さんの手元に配付させていただいております。質問の都合上、この両資料とも大阪府のホームページよりプリントアウトしております。平成28年9月15日現在で、これは平成21年となっておりますが、これが一番直近の資料でしたので、それを提出さしていただいております。
 資料1は、近畿ブロック知事会の合意事項の資料でございます。資料2は、近畿ブロック知事会合意「広域インフラグランドデザイン」に、これは21年現在のものでしたので、現在までに供用された部分、そして今年度中に供用予定の部分を調査し、加筆さしていただいた地図であります。言いたいことは、来年の今ごろにはこのようになる予定でありますということであります。資料を見ながらよろしくお願いいたします。
 関西の重要な道路ネットワーク、大阪橋本道路について2点質問いたします。
 大阪橋本道路は、近畿ブロック知事会合意の関西の重要な道路ネットワークを担う幹線道路であります。特に、未来につながる次世代産業拠点のネットワーク並びに世界遺産を初め世界レベルの文化・観光圏の形成に重要なインフラであるとされております。資料1のほうにて確認いただけたらと思います。
 また、和歌山県にとって、企業誘致を推し進めております紀北エコヒルズ、あやの台北部用地、さらに高野山周辺の世界遺産、観光資源へのアクセスに重要な幹線道路でもあります。
 ここ数年は、仁坂県政の積極的な取り組みのおかげでかなりスピードアップされまして、現在、トンネルを除く和歌山県側が全線供用されております。その恩恵に、私の地元でありますが、地元県民は感謝と誇らしさでいっぱいであります。
 それでは、(1)大阪橋本道路府県間部について質問さしていただきます。
 地図を見ていただきますと、真ん中のほうに大阪橋本道路、そして破線となっている部分、これが県境部であります。現在供用されております和歌山県側は、かなり整備効果が実感できております。しかし、平成15年に供用開始されております大阪府部分につきましては、現道とのアクセスも悪く、利用される方も非常に少なく、整備効果が全くと言っていいほど実感されていないのが現実であります。
 この府県間部のミッシングリンクを解消させ、一日も早くより大きな整備効果を発揮することが急務であるんではないでしょうか。大阪橋本道路府県境部の現状と見通しについて、県土整備部長にお伺いします。
○副議長(服部 一君) ただいまの岩田弘彦君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 大阪橋本道路の府県境部の現状と見通しについて御質問を頂戴いたしました。
 先生の御質問にありましたとおり、大阪橋本道路の府県境部は、国道371号(仮称)新紀見トンネルということで整備を進めてございます。この2.1キロにつきましては、府県境をまたぎますことから、和歌山県と大阪府で費用負担や役割分担を定めた協定を締結いたしまして、トンネル本体工事は和歌山県が施工することとしております。本年7月より和歌山県側からトンネルの掘削を開始しており、早期完成に向けて安全で円滑な工事の推進に努めてまいります。
 一方、大阪府側でございますが、河内長野市石仏から府県境までの6.1キロの区間につきましては、大阪府が石仏バイパスとして事業を進めており、平成15年3月に石仏から岩瀬間の1.8キロが供用されております。続く岩瀬から天見までの1.9キロ区間につきましては、平成29年度の完成に向け、トンネルや橋梁工事が鋭意進められているところでございます。
 さらに、天見から府県境までの区間につきましては、新紀見トンネルの区間を除く1キロ区間において、大阪府が平成30年代半ばの開通を目指し、トンネルや橋梁の工事を進めていると聞いてございます。
 なお、和歌山県といたしましては、和歌山県側から掘削を進めている新紀見トンネルの工事の進捗を図るとともに、大阪府と工程調整を行って、平成30年代の一日も早い全線開通に向け、連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 相手のある中、交渉を頑張っていただいて着々と進めていただいてるのには感謝しておるんですが、地元橋本市議会の皆さんも河内長野市議会の皆さんと議連のほうをつくりまして、先日も現場視察に行って、まずは府県間部を一日も早く開通できるようにと頑張ってくれておりますので、その辺も含めていただいて、より一日も早くミッシングリンクが解消されますようによろしくお願いいたします。
 続いて、(2)大阪橋本道路堺市─河内長野市間についてであります。地図を見ていただきますと、赤丸の点線の部分であります。
 大阪橋本道路は、近畿自動車道と京奈和自動車道をつなぐ、ここに載ってる和歌山県唯一の放射状幹線道路であります。
 関西の重要な放射状幹線道路を京奈和自動車道沿いに見てみますと、京都府は名神高速道路、第二京阪道路が開通をいたしております。奈良県は、奈良市へは第二阪奈道路、そして大和郡山市へは西名阪自動車道、そして橿原市へは南阪奈道路が全線開通をしております。
 しかし、和歌山県唯一の大阪橋本道路は道半ばであり、全線開通にはほど遠い状況にあるんではないでしょうか。私が心配するのは、これでは和歌山県は関西における発展のチャンスが低いんではないか、そのように考えます。
 また、企業誘致においてもインフラに大きな差があり、お隣の奈良県のほうが圧倒的有利になっております。地元橋本市の隣、五條市は盛んに企業誘致に取り組んでおります。来年の今ごろには開通していなかった京奈和自動車道が開通するので、南阪奈道路と直結するという形になりますので、私は非常に心配をしております。
 この大阪橋本道路の全線開通は、関西の道路ネットワークにおける優先課題であるんではないかなと思います。奈良県のように、主な都市へ放射状幹線道路を一定の間隔で整備することが必要不可欠であります。奈良県の事例でいいますと、近畿自動車道と京奈和自動車道を国道165号大和高田バイパスと、そして南阪奈道路の直結でつないでいます。
 同じように、大阪橋本道路の堺市、そして河内長野間は、自動車専用道路で直結すべきではないでしょうか。この道路は、国と関西全体で考える必要があるんではないでしょうか。大阪橋本道路の堺市─河内長野市間を自動車専用道路で近畿自動車道へ直結することについて、県土整備部長にお伺いします。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 大阪橋本道路の堺─河内長野間について御質問を頂戴いたしました。
 京奈和自動車道を含みます関西大環状道路と大阪府との連携強化を図る放射状道路でございます府県間道路を一体的に整備することは、関西都市圏を拡大させ、関西経済の活性化を図るとともに、本県においても、企業立地や観光振興、農林水産業の振興など、県民の将来のチャンスを保障するものとして不可欠であると考えてございます。
 そのため県では、京奈和自動車道紀北西道路や、府県間道路として先ほど御答弁申し上げました国道371号の整備促進はもちろんのこと、第二阪和国道、国道480号鍋谷峠道路の整備促進を最重点課題の1つとして取り組むとともに、その他直轄道路調査に着手していただいている構想路線の具体化などについても、国に働きかけてまいりたいと考えております。
 議員から御指摘のございました大阪橋本道路の堺市から河内長野市間につきましては、沿道の利用状況や環境への影響、それから既存道路ネットワークとの整合等の整理すべき課題は多くあると考えてございますが、この区間は、議員から御提示のありました近畿ブロック知事会策定の広域インフラグランドデザインですとか関西広域連合の広域インフラマップに地域高規格道路の一部として位置づけられてございますので、さまざまな機会を通じ、引き続き、関係機関などに対し、計画の推進、整備の具体化に向けた働きかけを行ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 機会を通じて働きかけをしていっていただけるということで、グランドデザインのほうにも載っておりますので、位置づけができているということになっておると思います。計画路線でもありますので、あとは大いに推していただいたらと思いますが、1つあるんですが、この道路は直轄道路でもないんで、なかなか整備手法のほうが大阪府さんの関係もあって難しいと思うんですが、部長のほうは国にお近い方とお聞きしておりますので、その整備手法のほうも新たな工夫をしていくとか、いろんな方法はあると思います。その辺も挑戦していただいて、一日も早く京奈和自動車道と近畿自動車道をつなぐ1本の重要幹線が和歌山県にも来るように御尽力いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、続きまして大項目2、世界遺産追加登録について、(1)追加登録決定延期の経過と見通しについて質問をさせていただきます。
 世界遺産追加登録につきましては、平成22年度から取り組んでおります。県教育委員会が世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に関する未指定文化財について調査を行い、それをもとに、県内の関係市町が平成27年1月に、関連の参詣道や文化財の国史跡への追加指定について文部科学大臣に意見具申を行いました。
 国史跡として追加指定された後は、三重県、奈良県とともに、世界遺産追加登録のために、その範囲及び内容を検討の上、変更申請書を文化庁に提出しております。世界遺産への追加登録が速やかに実現できるよう着実に進めていただきました。
 その結果として、諮問機関でありますイコモスによる評価や勧告を経て、本年7月の世界遺産委員会で決定される予定になっておりました。
 私の地元橋本市では初めての世界遺産登録でしたので、県教育委員会を初め、御尽力いただきました関係の皆様に厚く感謝しながら大変心待ちにしておりましたが、しかし、もう本当に不運やと思います。不運にも決定が延期になったそうであります。経過と今後の見通しにつきまして、教育長にお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本年7月10日からトルコのイスタンブールで開催された第40回世界遺産委員会は、開催地の治安問題により中断され、新規登録の審議のみを行って閉会せざるを得ない状況となりました。そのため、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の追加登録を含む残された案件は、10月24日から26日にフランスのパリで開催される臨時会合において審議されることが決定されています。
 県教育委員会といたしましては、この臨時会合の審議においてイコモスの勧告どおりに承認され、黒河道を初め提案した22地点全てが新たに世界遺産に追加登録されるものと考えております。
○副議長(服部 一君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 長年にわたりありがとうございました。不幸は2回も続けへんと思いますので、10月24日に決まるということなんで、また心待ちにさしていただきたいと思います。
 次、(2)今後の活性化策についてであります。
 登録されますと、高野山地域では、橋本市を通る黒河道を初め三谷坂や女人道などが加わり、伊都地域全市町が世界遺産を持つことになります。また、熊野地域では大辺路や中辺路に多くの資産が加わり、新たに上富田町と串本町が世界遺産を持つことになります。世界遺産をめぐるルートが飛躍的に拡大し、既に登録されている地域との相乗効果により本県世界遺産の価値と魅力が一層高まることになります。
 県では、この追加登録を当該地域のみならず周辺地域への誘客を図る絶好の機会と捉え、ハード・ソフト両面でさまざまな事業を予定していたと思います。今後の活性化策について、商工観光労働部長にお伺いします。
○副議長(服部 一君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 県では、追加登録の審議が延期された期間を有効に活用し、地元自治体や地域住民の皆さんの盛り上がりも広げていけるように取り組んでいるところです。
 具体的には、ハード面として、世界遺産の保全と活用の中核施設である県世界遺産センターのリニューアルや来訪者への情報提供を行う誘導板、解説板を設置するなど、関係市町と協力して受け入れ体制の準備を進めているところです。
 ソフト面においては、10月24日から10月26日の間で審議が予定されているユネスコ世界遺産委員会直後の10月31日に東京での世界遺産シンポジウムの開催を予定しており、時期的にも、より一層効果的に開催できるものと考えております。
 また、その他の取り組みとして、追加登録が予定されている地域での環境保全トレッキングの開催などについても準備を進めているところです。
 これらの取り組みとあわせて、各種パンフレットやウエブサイトといった来訪者向けのツールの整備はもとより、雑誌などさまざまなメディアを活用しながら積極的に情報発信を行い、誘客に努めてまいります。
○副議長(服部 一君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 不幸なことはあったんですが、考えようで、不幸をチャンスに変えると、それが和歌山県でございますんで、またより一層頑張っていただいて。
 1つ思ったことがありまして。当日、新規登録の部分についてはどんどん報道されておりまして、これは一緒に登録されておったら、東京のことばっかり言うのがどっちかというたらマスコミでございますので、東京の新規登録のことが大きく取り上げられましたので、今度は10月には東京の新規登録はございませんので、どっちかというとこの和歌山のことを思いっ切りマスコミに取り上げていただくように、「不運なことあったけど、10月にこうなりましたよ。和歌山はすごいで」というようになるように、またマスコミのほうにも働きかけていただけたら効果が倍増するんではないかと思いますので、要望のほうをよろしくお願いしときます。
 (3)であります。道路案内標識、世界遺産案内標識についてであります。
 黒河道を初め、22地点もの新たな世界遺産が登録されることになります。そして、先ほどの地図にもありましたが、今年度中には京奈和自動車道が、阪和自動車道、そして南阪奈道路、そして西名阪自動車道と連結される予定になっております。紀の川左岸農道の整備もかなり進んでおります。
 このような状況を踏まえますと、特に京奈和自動車及びその周辺の道路の道路案内標識、世界遺産案内標識になると思うんですが、その設置が重要であると考えます。今、現状でもよく私の地元の皆さんに言われるのは、京奈和自動車の東向き、奈良県に向かって行くほうの看板というのは、かつらぎ町、高野口のあたりにかなりすばらしい看板が設置されておるんですが、奈良県から和歌山県に入ってくるほう、西向きのほうはちょっと手薄いんではないかなという御指摘をよく受けるんです。
 これは私の要望なんですが、奈良県から和歌山県へ入ってくると、もう「世界遺産では日本一の和歌山県」ぐらいの看板があってもいいんではないかなと。これを思うのは、実は富岡製糸場のほうに僕行ったときに、「どちらからお越しになったんですか」と聞かれたんですわ。そのときに「いやあ、私、和歌山県なんです」と言うたら、その人が何とおっしゃったか。「あ、世界遺産の和歌山県ですね。うちら、もうこの間できたところなんで大先輩ですね」と、こういうお話やったんです。ひょっとしたら、全国から見るとやっぱり世界遺産は和歌山県、このようにもう思っていただいてると思いますので、奈良県もいろいろありますが、いや、私は和歌山県のほうが世界遺産にかけては圧倒的に上やと思いますので、どんどんどんどんそのアピールができるような、そういう道路案内標識の工夫とか、世界遺産案内標識の工夫とか、やっていただけたらなあと思います。
 地域の活性化につながる道路案内標識の設置について、県土整備部長にお伺いします。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 道路案内標識の設置について御質問を頂戴いたしました。
 県内の京奈和自動車及び周辺の一般道路に現在設置されております世界遺産を案内する道路標識につきましては、紀北東道路の開通に合わせて、国土交通省、県及び関係市町の道路・観光部局等が連携調整し、設置した経緯がございます。
 今年度内には京奈和自動車が阪和自動車と西名阪自動車道に連結され、近畿圏だけでなく本県と中部圏とを結ぶ高速道路ネットワークが完成いたしますことから、本県を訪れる観光客の増加が予想されていると考えてございます。さらに、黒河道を初めとする資産が世界遺産に追加登録される見込みであることを踏まえまして、県としては、前回と同様に、国土交通省、関係市町と調整を図るべく準備を進めているところでございます。
 今後、世界遺産追加登録予定地に円滑かつ安全に誘導し、観光振興にもつながる道路案内標識の設置が実現できるよう調整してまいりたいと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 設置に向けて検討するということで、活性化につながるような設置に期待しておりますので、どうかよろしくお願いします。
 それでは、大項目3、地域経済の活性化に向けて、(1)県民の期待に応える地域経済の活性化について質問いたします。
 いかにもふわっとした題名になっておるんですが、安倍政権においてローカル・アベノミクス、これを深化させよう、成長戦略を推進しよう──この重要な役割を担っているのが経済産業大臣ではないでしょうか。その重要なポストに、本県選出の世耕参議院議員が就任されました。このことで県民の皆さんからよく聞くことがあるんです。県経済の活性化に向けて県民の期待はかなり大きくて、特に経済界の皆さんからは、県と国がより強烈なタッグを組んで取り組んでほしいなあと。
 そしてまた、私の地元からは、知事の御英断で企業誘致のほうがかなり進んでおります。また今度新しく挑戦していただけるということなんで、その企業誘致にやっぱり、何と言いますか、より一部上場企業の皆さんが来ていただけないかなという、その期待がどうも膨らんでいるようであります。
 先日、大臣が橋本市のほうで国政報告会というのをしたんですが、そのときに私の地元、企業誘致用地があるのが私の地元なんですが、地元の皆さんが何ておっしゃったかといいますと、仁坂知事がこれだけ頑張ってくれとるんで、仁坂知事を応援して一部上場企業が来るように大臣に言うてくれ、この声が一番大きかったんで、もう私、そんなおこがましい、大臣にそんなことよう言わんよと思うてたんですが、県民の思いを反映さすのが私の仕事でございますので、大臣のほうに、どうか仁坂知事を応援していただいて、一部上場企業がこの地に来るようにということでお話はさしていただけたんですが。
 そのぐらいやっぱり企業誘致も知事のおかげで頑張って、今現在、33社が橋本市に来ております。協定しております。そのうち26社がもう創業してるんです。雇用が大体800人近く生まれておりまして、そのうち半分とちょっと多いぐらいが橋本市在住なんです。そして、41人はほかから転出してきてるんです。これは橋本市だけですので、県内になるともうちょっと県内雇用は多いかもわかりませんけど、そのような状態になっておりますので、今はもう何せ知事に頑張っていただいてるんで、大臣、知事を応援してくださいと、そういうふうな状況になっております。
 ここでちょっと、質問の途中なんですが、先日来、企業誘致用地の周辺の県道につきまして特段の御配慮をいただきまして、今回一般質問に立っておりますのは地元県会議員で私だけでございますので、中本議員、中西議員ともども御礼申し上げます。知事の特段の御配慮、ありがとうございました。
 それでは、質問に戻らしていただきます。
 しかし、大臣が誰であっても、和歌山県の発展のために全力を尽くす仁坂知事であり和歌山県議会でありますが、県経済にとって絶好のチャンスといえばチャンスであるんではないでしょうか。こうした状況を踏まえ、県経済の活性化に向け今後どのように産業振興を図っていくのか、県民の期待に応えていくのか、知事にお伺いします。
○副議長(服部 一君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、知事就任以来、積極的な企業誘致、わかやま元気ファンド等による開発支援、技術振興対策、プレミア和歌山等の販路開拓等、産業振興に資するさまざまな施策を講じてきたところであります。地域経済を活性化するためには仕事をつくることが重要でありまして、県内産業の競争力を高め、県内経済の好循環を図っていく必要があると思います。
 まず、企業誘致については、紀北橋本エコヒルズがほぼ完売いたしましたので、あやの台北部用地の開発に着手したところであり、今後も、積極的な企業誘致活動を一層推進してまいりたいと思います。
 次に、県内企業の競争力の強化については、先駆的産業技術開発支援や制度融資等による企業の新商品・新技術の開発支援や、国内外の展示会等への集団出展、商談会の開催等の販路開拓支援などに引き続き注力してまいりたいと思います。
 さらに、県内企業の新陳代謝を促し、産業を活性化するため、これは新しい試みですが、創業、第二創業を支援していくことにしておりまして、今年度よりわかやまスタートアップ創出として、全国からメジャーなベンチャーキャピタルやファンド等を集めて創業支援チームをつくり、これからの県経済の新たな担い手の育成をちょうど始めたところでございます。
 今申し上げましたのは県の政策を中心にして申し上げましたが、議員御指摘のように、何も県の政策だけで産業を助ける必要はないんでございまして、国はもっと強力な政策を持ってる場合も多々ございます。したがって、そういうところもうまく使わしていただきながら県の産業、企業を強化していきたい、そんなふうに思っております。
 そういう意味で、世耕大臣の就任を契機にさらに国としっかり連携しながら、県民の期待に応えられるように和歌山経済の活性化に取り組んでまいりたいんでございます。
 あわせて、実は現在ある企業がさらに元気になり、その企業に勤めておられる方の所得がふえるというためには、かねて私はいつも申し上げてるんですが、輸出採算のある大企業から取引先の中小企業への価格転嫁が進まなけりゃいけないというふうに思っております。実は私はそれが持論でございまして、世耕大臣が官房副長官でいらっしゃったときも官邸によくお邪魔して、そういう御相談をしたり、お願いをしたり、ずっと続けてまいりました。非常に心強いことに、世耕大臣は就任後、事あるごとにこのことについて明言されていらっしゃいます。しかも大臣は、粘り強くしつこくやるとおっしゃってくれておりますので、期待したいと思います。
 これが実現すれば、地方の中小企業の業績が向上しまして賃上げが可能になってまいります。そうすると地方の消費向上につながって景気拡大に一遍に火がつくということになると思いますので、これからの世耕大臣の御活躍にも期待をし、我々も一生懸命頑張っていきたいと考えております。
○副議長(服部 一君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 前向きな答弁、本当にありがとうございました。世耕大臣にも活躍していただき、仁坂知事には和歌山県の経済の活性化に取り組んでいただき、今が一番ええチャンスなんで、この機会を逃さずに、私、議員としてもできることを精いっぱい頑張らしていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、(2)創業支援についてであります。
 経営者の高齢化の進展に伴い、本県におきましても、中小企業、小規模事業者の数は年々減少を続けております。これまで地域経済を支えてきた中小企業、小規模事業者の皆さんが市場から退出することで地域の活力が失われてきております。
 こうした状況の中、先ほど知事も言われておりましたが、創業・第二創業支援など県内企業の新陳代謝を促すとともに、これからの県経済を牽引する新たな地域経済の担い手を創出する必要があると考えます。本県の取り組みについて、商工観光労働部長にお伺いします。
○副議長(服部 一君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 創業につきましては、全国的に創業後10年で3割、20年で半分の企業が撤退している中、開業率は低下傾向にあり、また、創業への参入障壁も高まっております。
 県内におきましても同様の状況であり、これを打破するために、創業が盛んなシリコンバレーやイスラエルでの創業支援のシステムをもとに、県で新たな仕組みを構築いたしました。
 その具体的な事業としてわかやまスタートアップ創出事業を開始し、創業者を育てるベンチャーキャピタルなどから構成するスタートアップ創出支援チームを本年4月に設置したところです。8月には、県内創業者、第二創業者とスタートアップ創出支援チームとのマッチングイベントを開催し、今後、支援チームから創業者に対してハンズオン支援や事業提携・出資などにより、事業の全国展開支援を図ってまいります。
 また、創業、第二創業の掘り起こしとして、創業セミナーを本年6月に和歌山大学と県立情報交流センターで開催し、創業に関心のある方など多数の御参加をいただいたところであり、さらに大阪、東京でもセミナーを開催し、創業者を発掘していく予定です。
 今後とも、創業者への充実した支援策を展開し、「創業するなら和歌山で」といった強い思いで取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 「創業するなら和歌山で」ということで、前向きに答弁いただきまして本当にありがとうございます。なかなか一生懸命取り組んでいただいておるということで、安心しております。より一層活性化するようにお取り組みいただきますように、よろしくお願いします。
 そして、先日、9番議員さんのほうからも継承の部分ということでお話があったと思いますが、それも私も大事なことやと思いますので、それも同様に取り組んでいっていただけたらなあと思いますので、要望さしていただきます。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 4番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 通告に従いまして一般質問を行います。
 8月1日午前9時55分、紀伊半島の牟婁の山並み深い山中で、雑木林の伐採中に作業員の死亡事故が発生した。当時、林業会社から請け負った山で、43歳のお父さん、二十の長男、18歳の次男、そして、ほかに2名の林業作業員とともに朝の仕事がスタートした直後でありました。43歳の父が作業中に木材の搬出のため張りめぐらされていた野猿に当たり、20メートル余り急斜面を滑落した。大量に出血する姿を目の当たりにした長男が近くで作業中の雇用主に一報を入れ、雇用主より田辺消防等を経由して防災ヘリの出動を要請することとなった。
 県の防災ヘリは、救助要請を受けると同時に奈良県の防災ヘリに応援要請を入れ、30分ほどすると県の防災ヘリが上空に到着するが、滑落場所は設置されている索道があるため、そのまま救助体制に入れず、田辺消防署特別救助隊の救急救命士等によるLT挿入などの後、急斜面に倒れてるお父さんをピックアップポイントまで70メートル移動することとなった。そして、事故発生から2時間30分後に奈良県の防災ヘリが到着したときには、既に43歳のお父さんは、長男と次男に見守られる中、帰らぬ人となりました。
 救助活動内容に不満のあった子供たちは、後日、田辺消防に出向き、時系列的に詳細な説明を受けた。その説明と協議の中で納得せざるを得なかった子供たちは「もう山には入らない」と言うだろうと私は思い込んでいましたが、次の子供たちの発言は、同席していた我々の耳を疑うほどでありました。「これからも山仕事を続けたい」と言ったのです。私は心が震える思いでした。この若さで、大けがをして大量出血がとまらず、虫の息の中で死んでいったお父さんを無念のうちに涙で見守った兄弟が、それでもお父さんと一緒に働いたあの厳しい同じ山仕事を続けていくと言ったのです。
 そのとき私は思いました、山仕事のリスクはどの程度なのか。このまま、この兄弟がお父さんのような事故に遭わないで山仕事を続けるためにはどうすればよいのか。初めて山仕事につく場合は、誰が、どこで、どのように指導してくれているのか。
 山に入り、山を守り続けてくれる人々がなければ、木の国和歌山は崩壊してしまいます。これからも山には若い世代の存在が必要です。山の事故を防ぐために、徹底した教えと指導が山に入る人々に必要です。当局の見解をお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 本年8月1日に西牟婁管内で発生しました林業架線による集材作業中の死亡災害につきましては、県といたしましても大変残念に思っているところでございます。
 林業労働は、傾斜した足場の悪い場所で伐倒木などの重量物を扱うことなどから、他の業種と比較して労働災害の発生率が高い状況にあります。平成26年の全国統計によれば、4日以上の休業を要する労働災害発生率は、全産業平均では従業者1000人に対して3.0人であるのに対し、林業では従業者1000人に対して24.4人と約8倍になっております。
 県内で発生した同様の休業労働災害は、10年前には年間100件程度発生していましたが、徐々に減少し、平成27年は51件とほぼ半減しているものの、依然として災害発生率は全国平均を上回っております。
 労働災害防止への県の取り組みとしましては、労働基準監督署などとの共同による県内一斉安全パトロールを実施するとともに、平成26年度からは、労働災害防止対策のための装備品購入補助制度も創設いたしました。
 新規就業者を対象とした研修としましては、国の受託研修として緑の雇用研修を実施しておりますが、これに加え、県独自の研修として、新規就業者及び既従事者を対象とした林業技能作業士育成研修を実施しております。毎年、新規就業者は10名程度、既従事者は40名程度が受講し、安全作業の基本習得と林業作業に必要な資格取得を図っているところでございます。
 今後、戦後植林した森林が伐採期を迎え、増産が求められる中、林業労働災害の防止の取り組み強化は喫緊の課題であります。来年4月の開校に向け準備を進めております農林大学校林業研修部においても、現場に即した実地研修や安全対策研修を充実するとともに、個人事業主を含めた林業事業体への研修参加について、より一層働きかけてまいります。
○副議長(服部 一君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 答弁、ありがとうございます。
 答弁の中でちょっと感じたことをお聞きいただきたいと思います。
 まず、10年前に比べて半減してるという話ですが、私が思いますので、そもそも山仕事に入る人の数が相対的に減ったから半減してるということになってるんじゃないかと。全体を見たときに、減ってるというふうな解釈というよりは、私がちょっとこの事故が起こってから何人かの林業家の方々のおうちまでお伺いして内容をお聞きしましたら、減ってるようには聞こえない、そういうふうに感じましたので、どうぞよろしくお願いします。
 それから、それでお二方の家に、元請的な一緒に山の仕事をされてる方々に、一体全体山の仕事ってどんだけ厳しいんかなということを知りたいのでちょっと行ってきました。そのときの内容を、山仕事って本当にわからない人が多いと思いますので──私も含めてですね──ちょっとお聞きいただきたいと思います。
 上富田にお住まいのTさんとさしていただきます。64歳の方でした。44歳のときに山仕事に入りまして8年間ほどありましたが、御自身もその8年の間に大きな事故に遭いまして、今は車椅子の生活なんですが、それで、その間に4人の死に至る現場を見たと、8年の間にですよ。
 まず1点目ですが、白浜町の市鹿野よりさらに奥の上露の山で、杉、ヒノキの100年生の木を切っていた。伐採は同じ方向に切り倒していくが、先に切り倒した木の上に斜めに重なって落ちたとき、頭が──切り口のことですよね──飛んできた。当人たちは、当然、周りにおる人は2~3メートル逃げたと。それでも吹っ飛んできまして、近くに──その方の住所の近くという意味ですが──住んでいた50歳くらいの方が頭を直撃されて、頭が吹っ飛んで即死したというお話が1つです。
 それで2人目は、木を切り倒した後、枝を切り落としていくんですけれども、枝を落とし過ぎてしまって丸太と一緒になって──つるつるになるわけですね、枝があればまだとまるわけですけど。でも枝を落とさなあかんわけです。枝を落として、その枝と一緒に谷底まで吹っ飛んでいって、当然大けがしますよね。で、その後死亡した。
 3人目は、野猿を張るわけです、搬出するために。その野猿は、1本しっかりした内線を張り、その内側にローラーを置き、アウト線を張ることになっていくわけですけど、その内側に入ったため──この野猿の内側に入ってしまう、仕事の都合で入らざるを得ないときが時々あるようですね。その内側に入るというのは大変危険な行為で、内側に入ったために、40代の働き盛りの男性がアウト線が外れたと同時に100メートルほど吹っ飛ばされて、向かいの山まで飛ばされて、当然、内臓破裂で即死。
 4人目は、田辺市の中辺路町の近露ですけれども、草刈り機で草刈り中に、その日は暑かったらしいので、肩にかけてたベルトを外して刈ってたらしいんです。それで滑った拍子に、どうしても山というのは運動場みたいな面ではないので、傾斜がかかってるというか、それで滑りまして、首を草刈り機ではち切ってしまいまして即死です。そんなことがもう頻繁に起こってると、こういうことです。
 この人の見解は、同じような土木の仕事やから山仕事も似てる、土木しててユンボの運転でもしてたらおいでよと、こんな感じで誘われたらしいんですが、そんなことで入るようなことではない、山仕事は物すごく危険であると、素人は絶対入らしたらあかん、そのようなお話だったことをちょっと記憶にとどめていただきたいと思います。
 もう1人の方も似たようなことをずっと言われてまして、チェーンソーも危険だと。チェーンソーで体を切って死んでしもうたり、足が切断されたりとか、そんなことをもう本当に山の仕事の中でかなり見てきてると、こういうふうに聞きました。
 いや、聞けば聞くほど本当に恐ろしいな。で、恐ろしいからもう山仕事をしなくていいかといったら、そうはいきません。我々、木の国和歌山と言われるほど山の資源に恵まれた県でもありますので、これからもこうしたことを踏まえて、若い世代が、先ほども申し上げましたけれども、やっぱり山へ入って管理をきちんとしていただかないと、それこそ大変なことになってくる。山に管理をする者がなくなれば、この後質問さしてもらうことにもなるんですが、本当に山が荒れて山津波が起こったりとか、下流に住んでる多くの県民がそれこそ生命と財産を危うくされるほどの大きなダメージを受けることになるだろうと思います。
 そういった意味で、先ほどの質問なんですが、当局のほうから答弁いただきましたけれども、教室で勉強したという話にしないで、現場で足を踏みながら、機械を持ってその仕事の作業を指導してほしい、教育をしてほしい。本当に山仕事のプロになるほどの教育を進めていただくことによって山の悲劇というのがなくなるんではないかなと感じましたので、ぜひそんな勝手なことのお願いを申し上げまして、次に入らしていただきます。
 次に、西牟婁郡内を走る県道の整備についてでございます。
 西牟婁郡内においても県道の整備が少しずつ進んでいますが、もうそろそろ完成さしてほしいと思うわけですけれども、現状を見ればまだまだだなと思います。このままでは全線完成は一体いつになるんやろうか、目はずも見えないように私は思います。事業がとまったままの状態に見える県道もございます。
 地域住民の望んでることは、せめて往来している車が安心して対向して走ることのできる道の完成であります。生活や産業の基盤である道の整備は、住んでいる者皆の思いであり、願いでもございます。
 今回、特に、例えば日置川大塔線の宇津木橋から玉伝間の狭隘区間、そしてすさみ町内を走ります5本の県道の現状と残区間の事業化について、現時点の当局の御見解をお伺いしたいと思います。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 日置川大塔線とすさみ町内の県道5路線の現状等について御質問を頂戴いたしました。
 本県では、近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車といった高速道路を初め、これらを補完するX軸や川筋ネットワーク道路など、幹線道路の整備に重点的に取り組むとともに、日常生活に欠かせない生活道路につきましては、防災や交通安全などに配慮して、交通の支障となる箇所の着実な整備に努めているところでございます。
 御質問のありました県道のうち、まず県道日置川大塔線につきましては、これまで、沿道の主な集落から田辺市方面へ直接アクセスする別の路線を重点的に整備してまいりましたことから、御指摘の宇津木橋から玉伝橋の間の狭隘区間を含め、未整備区間が多く残っている状況にございます。
 そのうち、現在、白浜町内の矢田地内及び口ケ谷地内の狭隘区間において2車線整備を進めているところであり、今後とも、御指摘のような交通の支障となる箇所を計画的に解消するよう努めてまいります。
 次に、すさみ町内の県道5路線のうち県道すさみ古座線につきましては、川筋ネットワーク道路に位置づけ、重点的に整備を進めてございます。このうち上戸川地内から小河内地内の約4.9キロにつきましては、平成24年度に事業化しており、上戸川地内の約1.6キロで用地協力が得られた区間の工事に今年度から着手しております。
 残る約3.3キロについては、現在、すさみ町が地籍調査を実施しており、これが完了次第、測量設計に着手していくこととしております。また、佐本深谷地内の約1.7キロについても、早期に地籍調査に着手するよう町に対して働きかけているところです。
 これらの区間については、延長が長く地形が急峻であるため、完成までに期間を要しますが、今後、拡幅工事が完成した箇所から順次供用させるとともに、町内全線の早期完成に向け、引き続き努力してまいります。
 また、県道上富田すさみ線、県道城すさみ線及び県道大附見老津停車場線の3路線につきましては、特に通行の支障となる区間について、1.5車線整備による現道対策を実施しております。今後も、地元の皆様とよく話し合いながら、事業の推進に向け、引き続き努力をしてまいります。
 最後に、県道佐本深谷三尾川線につきましては、一部通行不能区間となっておりますが、並行する県道すさみ古座線及び国道371号の整備を推進しておりまして、これらの事業が完成すれば、当該路線の整備の必要性は低いと現時点では考えてございます。
○副議長(服部 一君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 部長からそのような答弁をいただきましたけれども、まず答弁の中で、宇津木橋から玉伝橋間の狭隘区間のところですが、これは本当にもういつ完成するんか、地元の人の思いと気持ちですけど、私は、2~3年で完成してほしいなんて今さらこの場で言う気はないんですけれども、せめて10年ぐらいの間に完成させるよと、そんな返事が欲しいなと思います。
 もう本当に道路のことというのは、簡単な質問の内容でしたけれども、必死ですよ、皆さん。それをもうそういう言葉だけでは、我々としては本当に、先ほど午前中、森議員の発言がありましたけど、申しわけない思いでいっぱいですと、そんな気分です。ぜひお願いいたします。
 それから、矢田地内及び口ケ谷地内の狭隘区間において云々のところの答弁のくだりですけれども、計画的に解消するよう努めていくという御答弁でしたか、ちょっと聞き取りが難しかったんで、できたら「進めてまいります」ぐらいの言葉を私はいただきたい。
 それから、最後に地元の皆さんとよく話し合いをしながらというくだりを言うていただきましたが、要望として、ぜひ話し合いの機会をつくっていただいて、我々にもそういう情報をいただきたいな、そこにぜひ参加さしてほしいなと、そんな思いであります。
 強く要望さしていただきまして、次の質問に入らしていただきます。
 サイクリングロードの整備と活用策についてでございます。
 サイクリングロードは、紀南地方でもたしか40年近く前の昭和50年代当時に白浜町内から日置川町内にかけて一部整備された県道白浜日置川自転車道線が、その後、ほとんど使われることなく忘れ去られ、道路は放置され、傷んだままとなっています。
 「サイクリングロードの活用促進」のペーパーによりますと、紀南ルートが明記されているが、現在、県において整備を進めている川・山・海のサイクリングロードについて、特に県道白浜日置川自転車道線の具体的ルートの設定、その完成時期についてお伺いいたします。また、活用策はどのように考えられているのかも重ねてお伺いしたいと思います。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) サイクリングロードの整備・活用策について質問を頂戴いたしました。
 川・山・海の3つのサイクリングロードにつきましては、国道、県道などの既存道路や河川敷内の道路、堤防道路などの既存施設を活用し、県が国及び市町村から維持管理の観点も含めた御意見を聞いてルートを設定しております。
 議員から御指摘のありました昭和62年ごろまでに整備がされた一般県道白浜日置川自転車道線につきましては、海のルートとして一部活用するため、今後補修を実施する予定でございます。その後、来年度の概成を目指し、ブルーライン等の路面標示の設置を行ってまいります。
○副議長(服部 一君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 和歌山県には、サイクリングの初心者から上級者まで幅広いニーズに応じて、風光明媚なスポットや観光名所などを散策しながらめぐるポタリングや、絶景のスポットを目指し山道を登るヒルクライムができる魅力的な地域がたくさんあります。そのため、県では、サイクリングロードを活用してこれら魅力的な地域をめぐる紀北、紀中、紀南、海岸ルートの4つの周遊ルートと遊び方を提案しているところです。
 今後、お勧めの周遊方法や駅、駐車場、サイクルステーションなどに加え、飲食店、土産物店、宿泊施設などの情報を商工観光労働部と連携して国内外に広く発信し、多くのサイクリング愛好者を地域に呼び込み、消費拡大につなげてまいります。
○副議長(服部 一君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 まず、今説明をいただいて、ちょっと感じたことを要望としてお願いをしておきたいと思います。
 ブルーラインを引いて、特に新しいサイクリングロードをつくるというよりは、整備をして、今ある道路にブルーラインを引いて、それで、そこをサイクリングロードとして使っていくと、こういうお話でもありましたので、このブルーラインの話ですけど、外側に引いてる白い線が側線ですよね、中央線があって側線。側線と、その後、溝が来るわけですけど、道路の幅として、側線と溝の幅がもう20センチもないようなとこ、いっぱいですよ。その内側にブルーラインひっつけて引くような構想のようなんで、僕は危ないと思う。事故が起こるように思う。
 1人や2人走るんじゃない。こないしてサイクリングロードを設置されたら、やっぱり県がせっかくそういう計画も組んでいただいて──僕、これ悪いと言っていないんです。サイクリングロード自体は時代に受け入れてもらえる要素がすごくあるし、私も走ってみたいなと思うわけですけど、少なくとも紀南に住んでる立場で私がサイクリングロードと位置づけてもらえそうなとこをイメージしたら、危のうてよう行かん。例えば、私は子供3人ありますので、5人で行こうかとなったときに、もう5人も並んで走ったらはね飛ばされそうな気がする。狭過ぎますよ。
 それと、これは歩道の整備の加速化ということでせんだっていただいた、知事のほうからも県政報告の中でも出されてた書類ですけど(資料を示す)、この書類を読んでも、歩道を延ばしていくということで、それで、そこができないとこは最低でも幅員75センチ以上を確保と書いてる、人が歩いていくのに75センチ以上確保と書いてる。そのぐらい要りますよ、人が歩いていくのに。
 大方は、側線と溝っこまでのところが、歩道のないような場合は、1メートルあるようなとこ見たことないですわ。もう10センチか20センチぐらいです。その横に先ほどの御答弁にあったブルーラインを引く、そんなことの幅ではとてもやないけど危ない。僕は、その危険性をちょっとお伝えしておきたいと思う。
 私の言うてることが見当違いのことなんかどうか、一遍職員の皆さん方も20人か30人で、ブルーラインを引くであろうその場所を想定した中でずっと走ってみていただいたらええと思う。どうしても、1人で走ってたらそうでもないような場合でも、団体で10人、20人、30人と走った場合、よく子供たちが集団で登下校するときに大勢の子供たちがはねられてと、あんな現象に近いこと起これへんかなと。それを県民の人らに、ここは今度サイクリングロードだからみんなで行ってねと。50人100人の団体ができたときに、本当に危険はないんかどうかというふうなことを一度検証しておいてほしい。その上で進める、そういう姿であってほしいと思いますので、要望しておきたいと思います。
 それでは、議長、4番目の質問に入らしていただきます。
 障害者がアパートなどの住居に入居時に求められている保証人制度について一考をいただきたく、お伺いをする次第です。
 過日発生した事案を少しお話しさせていただきますと、ことしの春先に、40歳代の精神障害のある青年のアパートから出火をいたしました。当事者の部屋の焼失だけで済みましたので、そのことによって焼死事故であるとか人的事故もなく、それ以上の大事には至りませんでしたけれども、その後、アパートの持ち主から、入居していた当事者の青年に損害賠償を求められることとなりました。
 数年前、たまたまその青年と少し顔見知りだった友人、この友人の方も少し精神不安で障害者手帳を持っている方なんです。この方のお父さんが、85歳ぐらいの年代なんですが、子供に同じ悩みを持つ親として、住居がなければ自立した生活が始まらないふびんを思い、アパート入居時の保証人になってくれていたんです。だから、アパートに住み、自立することができたのです。しかし、火災後、青年には障害年金以外にはほとんど収入がないため、保証人とならざるを得なかった友人の父である85歳の高齢者が、アパートの持ち主の成年後見人から損害金の支払いを求められる事態となったのです。
 当然、日本国の法律に照らせば、保証を引き受けた連帯保証人に請求を求められるわけですが、こうした事態に至ったことを国民の皆さん方が知ることになると、障害者の保証人になってくれる人はいなくなり、ひいては障害者の自立に大きなハードルとなることが必定です。障害者福祉の前進のためには避けて通れない案件です。また、県が管理されてる県営住宅についてはどのように対応されているのか、当局の見解をお伺いいたします。何とぞ、よりよき御教示をいただきたいと、質問とさせていただきます。
○副議長(服部 一君) 立谷さん、分割の申し出があるんですけど、住宅における対応について質問。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 そしたら、申しわけありません。障害福祉の前進のための取り組みにつきまして福祉保健部長より答弁、まず1点目、お願いいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 障害のある人が地域で自立した生活を送るためには、生活の拠点となる住居の場の確保が重要な要素となります。
 市町村は、障害のある人や家族等からの相談に応じ、必要な情報提供や援助を行う障害者相談支援事業を実施しており、住居に関する相談支援も行っておりますが、議員御指摘のとおり、賃貸住宅等の契約時に保証人を求められ、保証人が見つからない場合があります。保証人がいない場合は、連帯保証人にかわるものとして保証会社を利用することも可能ですが、保証料等が発生するため、収入の少ない方にとっては金銭的負担がふえることになります。
 県といたしましては、相談支援が適切に実施されるよう必要な助言を行うとともに、保証人の確保や保証人にかわる支援制度について、他府県の事例も含めて今後研究してまいります。
○副議長(服部 一君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 そしたら、今そういう答弁いただきましたが、お願いをしておきたいと思います。
 これは我々の地域、あるいは我々の県内で発生したというだけでなくて、やはり障害者福祉を前進させるために、保証制度があること自体が、こんだけハンデのある障害者が生活していく中で誰も保証人になってくれないという事態というのは頻繁に起こってるというふうに考えてまして、いろんな形で無理な形で引き受けをしてもろて、たまたまそういう事件・事故がないから何とかなってる、そういうことに救われてる側面もあるんじゃないかなと思います。決してそういう件数が多いわけではありませんけれども、もっと制度として伸び伸びと生活できる、そういう環境づくりに取り組んでいただきたい。
 私の願いは、保証制度なんていうような制度は一日も早く改善をしていただいて、そういうことを障害者に求めることのない時代を迎えさしてほしいと、こう思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
 さっきちょっと変更を求められたんで、そしたら済みませんが、引き続き県営住宅についての御答弁をいただけますか。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 県営住宅の入居に際しましての保証人の取り扱いでございますが、県営住宅の入居に際しましては、入居者の親族の方2名以上を連帯保証人とすることを原則といたしております。
 しかし、少子化や親族関係の希薄化など、社会状況の変化もありまして、連帯保証人を確保することができない場合には親族でない方を保証人としてお認めするなど、入居を希望する方には、それぞれの事情をお聞きして最大限の配慮をすることとしております。
 なお、障害者福祉の観点から、どうしても保証人を確保できない方への対応策につきましては、県土整備部といたしましても、保証人のあり方を含め、今後検討させていただきたいと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 現時点ではいっぱいいっぱいの答弁をいただいたと思うんですが、これもお願いをしておきたいと思います。
 「保証人は求めないことにします」と言ってほしいと思います。保証人を求めないことを前提に、そういった方向性の中での御検討をいただいて、やっぱり和歌山県は違うなと。全国横並びの、どうしても行政の皆さん方というのはほかの県はどうやろかと、こういうふうになりがちですけども、和歌山県がこういう問題に対して率先してそういうことの解決を図ったと、そんな誇れる県にしていただけないかとお願いを申し上げておきたいと思います。
 では、引き続きまして、5つ目の質問でございます。県内の河川の整備についてでございます。
 ことしも台風10号に伴う集中豪雨的大雨により、岩手県から北海道に及ぶ各県が大きな被害を受けることになりました。特に近年、突然発生するゲリラ的豪雨により国民の大切な生命と財産が奪われ続けている現状を思うとき、我々人間は、大自然を前にしては全くの非力であることを痛感させられてるところでございます。
 突然水量を増し、家や橋や道路を襲う。巨大な自然の力である大量の水を前にして、高度な文明を築き上げてきた我々人間といえどもなすすべもなく、長年にわたりつくり上げてきた大切な家屋敷さえも流され、破壊され、あるいは泥まみれとなる。そして、かけがえのない命さえ奪われていく。大切な財産を奪われた方々は、涙さえ枯れ果て、茫然自失で立ちすくんでいます。これはまさに昔の人がよく言っていた山津波であると私はつくづく思いました。
 その昔から、政治の一番は治山・治水対策であると言われています。世界一の災害大国である日本ではあるが、我々この国に住む国民は、自然災害にこれからも負けるわけにはいきません。こうした自然災害に国民の英知を結集して立ち向かわなくてはなりません。
 さて、県民の皆さんの強い訴えの1つに河川の整備があります。その河川の中でも、幅数メートルで延長1キロや2キロほどの小さな河川の整備を今回お願いしようと考えています。「長い年月にわたり管理してきたが、皆年老いてもうようせん」と厳しい言葉をぶつけられます。
 人の手が入らなくなった河川は、豪雨と言われるほど降った雨がオーバーフローし、水害が発生する可能性が極めて高くなると考えられます。思うに河川の整備とは、近年まで台風や豪雨等で傷んだ箇所の補修はその都度行われているが、河川の整備自体はほとんど行われてないと考えられます。
 私たちの生活する紀南地方にも小さな河川がたくさんあり、そのほとんどの住民から、川が怖い、川の中に大きく成長した木やヨシや、長年にわたり堆積した土砂を取ってほしいとの強い要望を受けているが、当局の担当者からは予算に限りがあるのでと言われ続けてまいりました。
 予算がないなどとの言葉で済まされることなんかと私は思います。いつ来るかわからない地震や津波対策に予算をつけていただいてることは評価しているところですが、県内各地で毎年、台風の発生時に伴う大雨洪水警報、あるいは突然発生する集中豪雨等による警報が頻繁に発令され、その都度おびえ、大きな緊張感の中、それこそ夜も眠れない状況が毎日のように続いているのです。きょうも台風16号による大雨洪水警報が出ています。洪水警報ですよ。
 我々には、県民の生命と財産を守る責任があります。県政のトップである知事はこの実情を御存じなのか、知事にお伺いしたいと思います。
○副議長(服部 一君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 河川の維持管理は、増水した河川が氾濫せず安全に流れるという観点から、非常に重要であると認識しております。
 議員御指摘のように、支川などの小規模な河川の維持管理については、草刈りなどについて従前から地元の方々の御協力をいただいてることに感謝をしてるわけでございますが、樹木の伐採や土砂の撤去などについて御要望いただいているところが幾つかあるということも承知しております。
 中小河川が結構危ないということを私は就任後しばらくしてから気がつきまして、改良と維持、双方含めまして、中小河川の予算はそのときから2倍に拡大をいたしました。危険性の高い箇所かどうかを確認した上で順番に対応しているところでありますけれども、十分に応えられていないということはあるなあという点については、大変心苦しく思っております。
 今後とも、こういう事情でございますから、適切な維持管理と必要な予算の確保に努める所存ではございますけれども、どうも専門家に言わせると、草ならば増水しても倒れてしまって流れるけれども、木の場合はひっかかると、そんなようなことを言うております。したがって、そういうところをよく診断して、危ないところから手を入れていきたい、そんなふうに思っております。
○副議長(服部 一君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 きょうは知事のほうにも、それから議員の皆さん方のほうにも、きのう慌てて撮ってきまして、ちょっとこれを見ていただいたらおわかりのようなことです。(写真を示す)
 これは、畑ではないんですよ。道でもなければ、川なんです。これはまだ今の時期なんで、かなり皆さんが苦労して少し刈ってくれたりして草丈が下がっていますが、川の深さほとんどのところが結構あります。
 知事が今おっしゃられたように、現場の担当の職員の人らもそんなことを言いましたわ。「水が来たら倒れていくから大丈夫違うか」とかね。そんなことで大丈夫なんだったら、まちの住んでる人は心配しませんよ。また倒れていくから大丈夫やと、そのうち取ったらまた何とかならと、こうなるんですけど、実はこの川の中の掃除て、もうずっとやっていません。やったて聞いたことありません。傷んだとこ台風で直すようなことをしても、川の整備はいっこもやってないですよ。この中に土砂が堆積して、川というのは肥えてるから、そこに水もあるからすぐに大きなって、警報が出るたびにどないしようどないしようと、こうなってる状況です。
 そもそも、もう刈って済む話ではなくなってると私は思います。基本的にやっぱり川の堆積した土砂も取っていただかんと、上を刈るだけでは、下に地下茎があるからすぐに出てくるんですよ。そのイタチごっこ状態に今はなってまして、知事、そういう御答弁ですけど、私はもうすぐにでもやってあげてほしい、心配事を取ってあげてほしい。もう年老いた皆さん方が床上浸水なんかされたら、津波に遭うたんと一緒ですから。大事な宝物である家族のきずなの記念写真であったり、そんな宝物が全てごみになってしまってなくなってしまうと、記憶がなくなってしまう、それを思うだけでもすごく心が痛い。
 繰り返しですけど、ぜひ川が川の役割を果たしてもらえるような、そういう姿であり続ける。特に今回のような──先ほど家のほうに電話しましたら、きょうも警報が出てて。警報ですよ。危ないから逃げろというのが警報でしょう。大雨洪水警報が出てると、そんな状態が続くわけですから、何とか、ぜひいま一歩前向きな取り組みをお願いしておきたいなと思います。
 それと、先ほどの御答弁いただきながらちょっと考えるのに、本当言ったらこの河川の整備、極端な費用のかかる話だったら別ですが、これは本当に何百万か、1キロも2キロもあれば1000万も2000万も要ることはあるかわかりませんけど、そんなに何十億円も要るような話をお願いしてるわけではありません。そもそも、これは我々議員と当局と交渉事でするとかせんとかの話じゃないと僕は思う。やっぱり安全で安心した生活を提供する、そのことを率先して当局が我々の言う前にやってもらわなあかん話だと私は思います。
 そんな勝手なことのお願いを申し上げまして、次の質問をさしていただきたいと思います。続けさしていただきます。
 最後の質問とさしていただきます。
 陸奥宗光公、元外務大臣の顕彰についてなんですが、陸奥宗光公は、弘化元年(1844年)、和歌山市小松原5丁目で生まれ、紀州藩を脱藩、坂本龍馬と知り合い、海援隊で活躍し、その後、外務大臣となり、欧米列強と交わされていた不平等条約の改正に取り組み、日清戦争の後、日清講和条約をまとめ上げるなど、日本国のためたくさんの業績を残されていることは、御参会の皆さん方御承知のとおりでございます。
 時代は変わりますが、当時志を同じくした坂本龍馬など明治の志士の皆さんは、今日においても国民的人気は高く、当時のヒーローとして我々日本人の心の中に存在してございます。
 さて、その陸奥宗光が他界して来年は120周年となります。大政奉還150年、明治維新150年などの節目の年でもございます。恐らく全国各地でそれぞれの取り組みが進められることでしょう。我々も、我が県の誇りであり先達である陸奥宗光公の遺徳をしのぶとともに、その精神を後世に伝えたく、記念の企画等を考えていただきたいが、当局のお考えをお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 企画部長。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 陸奥宗光は、彼が存在していなければ欧米諸国と対等な近代国家日本が成立するのははるかにおくれていたと言われるほど、我が国外交史上において不滅の名を残す人物であり、偉大な郷土の先人の1人であります。このような先人の功績を知ることは、ふるさとへの愛着や誇りへとつながるものであり、大変意義深いことと考えます。
 陸奥宗光につきましては、平成21年度に開催しました紀の国先人展で取り上げたのを初め、ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」で紹介し、さらには、外務大臣就任120年を記念して平成24年度に東京と和歌山の2カ所でシンポジウムを開催するなど、功績の紹介に努めてまいりました。
 来年は没後120年という節目の年に当たりますので、シンポジウムを開催するなど、改めて偉大な功績を顕彰し、ふるさと和歌山への愛着心の一層の醸成を図ってまいりたいと考えています。
○副議長(服部 一君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いします。
 以前、これは新聞記事なんですが、知事のほうも記事にコメントで、「功績を伝えることは大人の使命。功績を伝える取り組みを実施していく方針を示した」ということで、最後に「郷土の偉人を顕彰する継続的な取り組みは大切なこと。県としてもこれ──シンポのことですね──に限らず、いろいろやっていきたい」と、こうおっしゃっていただいています。ぜひ、今シンポジウム等というお話をいただきましたが、なおざりのシンポジウムを重ねるということ、それもやってほしい大事なことの1つですけど、もっともっとインパクトのある事業等も考えていただけないかと思います。
 例えば、この間、和歌山市議会の広報を読んでましたら、岡公園にある陸奥宗光の銅像をもっと県民の目につきやすい場所、和歌山市役所の近くに設置はできんかというような質問をされたことが載っておりました。僕はそこまでのことを求めるわけではありませんけれども、本当に「シンポジウム、そんなんあったんかい」と、後でこういう話にならないように、できるだけ大勢の皆さん方がそのこと自体に関心を強く持ってもらえる、そんなことも含めて、インパクトのある取り組みをしていただけますことをお願い申し上げまして、終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時27分散会

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