平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


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正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(服部 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、順次、一般質問をさせていただきます。
 まず、和歌山県地域医療構想についてお尋ねをいたしたいと思います。
 このほど、和歌山県の地域医療構想が策定をされました。この地域医療構想というのは、国による医療費抑制の仕組みづくりの一環であり、病床機能の再編としてベッド数を全国で20万床削減する計画となっています。和歌山県でも約3000床ものベッド数を削減するという計画となったわけで、果たして必要な医療が提供できるのかという不安の声が出されております。来年度策定予定の県保健医療計画本体の検討とあわせ、県民にとって必要な医療をどう提供、確保していくのかと、大いに議論が必要だと考えるものです。
 中でも、この地域医療構想で示された数字を見ると、有田保健医療圏の必要病床数は、高度急性期医療のベッドがないなど他の保健医療圏と比べても特徴的なものとなっております。なぜこういう構想になったのか、果たしてそれで大丈夫か、これからどうなっていくのかなど、有田の住民の皆さん、関係者の皆さんとしっかり議論をしていかなければならない課題だと思っています。
 そこで、こうした地域医療構想策定の前提となる困難を抱えた有田保健医療圏の現状と課題についてお伺いをいたします。
 まず第1点目に、救急患者の有田圏域での受け入れ状況についてです。
 有田は救急医療の谷間だ、こういう住民の声をこれまで何度かこの県議会で取り上げてまいりました。急ぐはずの救急車が高速道路の有田インターの入り口でハザードランプをつけてとまっている、そんな状況が頻繁に見られました。これは、救急患者を有田地方の救急病院で受け入れてもらえずに、和歌山市内等の他郡市での受け入れ先をじっと探している姿でした。
 また、一口に圏域外への搬送といっても、1分1秒を争う高度医療が必要な重症患者さんを医大や日赤病院等へ直接救急搬送するのは当然必要な措置なんですが、有田圏域での救急患者受け入れが不十分だったために軽症患者まで圏域外へ搬送されてしまっていたことを、有田の課題として指摘してまいりました。
 その後、医療・行政関係者の皆さんの御努力により救急患者の受け入れが向上しましたが、この間の急激な医師不足により再び悪化している状況だと聞きます。有田圏域内で救急搬送できたケースと、やむなく有田圏域から圏域外へ搬送されたケースの割合について、この間の推移と現状はいかがでしょうか。まず、福祉保健部長より答弁を願います。
○副議長(服部 一君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 有田保健医療圏内への救急搬送患者の受け入れの推移につきましては、平成19年の搬送割合は47.1%であり、圏域内への搬送割合が低かったことから、有田市立病院の救急搬送受け入れ体制の強化を図った結果、その割合は平成24年には52.5%と改善されました。
 しかし、平成25年以降、有田市立病院内科医師の相次ぐ退職により、救急搬送患者の受け入れ体制が維持できなくなり、比較的軽症の患者も和歌山市などに搬送されたことで、圏域内への搬送割合は平成27年では44.6%となっています。
 現在、県では、有田保健医療圏の救急医療を初めとする医療提供体制を確保するため、有田市立病院に内科常勤医を派遣し、圏域内への救急搬送の受け入れ強化に取り組んでいるところです。
○副議長(服部 一君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 答弁いただきました。
 やはり、救急搬送患者の有田圏域内での搬送率が44.6%と50%を切っている、つまり半分以上が和歌山市を初めとする有田圏域以外へ搬送せざるを得ない実態が改めて明らかになったと思います。和歌山市への交通の便がよくなったとはいえ、救急隊にとっては、救急搬送で呼ばれて、受け入れ先の病院を探して搬送して、帰ってくる、これトータルすればやっぱり数時間かかります。複数の救急出動が出てしまえば、非番の職員まで呼び出してスタンバイしなければならないという例も以前に紹介したとおりです。引き続き、この問題の改善に向けて努力をお願いしたいと思います。
 こうした救急医療の問題は、救急指定病院の体制の問題とともに、それ以上に深刻な医師不足が根底にあって、ここを解決していかなければ、かえって医療現場に困難を押しつけることにもなりかねません。
 そこで次に、産科医を初めとする医師不足問題についてお伺いをいたします。
 有田地方では、3年前の秋に有田市立病院の分娩が中止になり、赤ちゃんを産むことができる、そういう医療機関が民間クリニック1カ所となっていて、地元で安心してお産をしたいと、お母さん方からの切実な声が出されています。有田市立病院での産科分娩再開を目指しつつ、関係者の皆さんのさまざまな努力がなされてきたというふうに思いますが、どのような到達となっているのでしょうか。また、現在、有田圏域で生まれる赤ちゃんの出生率のうち、圏域内で分娩できている人数、割合はどうなっていますか。お示しいただきたいと思います。
 加えて、この間、県としても努力をしてきた有田市立病院における内科医、小児科医不足への対応と現状はいかがでしょうか。福祉保健部長より答弁を願います。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 有田保健医療圏における産科医療体制につきましては、平成25年11月以降、分娩取扱医療機関が診療所1カ所となったため、妊婦健診は有田市立病院や近くの診療所で行い、分娩は和歌山医療圏の連携病院で行うなど、安心して出産できる体制を構築してまいりました。
 有田圏域の出生数は平成27年で517人となっており、当該地域で分娩している人数は329人、約6割となっています。
 次に、有田市立病院における内科医につきましては、常勤医師の相次ぐ退職により一時期1名となっていましたが、県が有田市立病院に対し自治医科大学卒業医師の派遣や県立医科大学と連携した医師確保対策を講じたことなどにより、現在5名の体制となっています。
 また、小児科医につきましては、常勤医が確保できない状況が続いており、現在、非常勤医師による外来診療を行っているところです。
 県では、医師不足の抜本的対策として、平成20年度以降、県立医科大学の入学定員を増員しており、現在、定員増の地域医療枠1期生が県内の公立病院で勤務を開始し、その効果があらわれ始めてきたところです。また、不足する産科医を早期に確保するため、今年度新たに県内の産科医療に貢献する医師向けの返還債務の免除つき研修・研究資金の貸与制度を創設しました。
 今後、これらの医師を適正に配置することにより、医師不足の解消に取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 有田市立病院へは、県と県立医大が対応に頑張っていただいてることに敬意を表します。しかし、緊急対応で配置している医師派遣のおかげで何とか持ちこたえてるという実態だと思います。この県としての臨時的、緊急的措置がなくなっても大丈夫なように、常勤医師の配置に向けて一層の御理解と御努力を関係者の皆さんにお願いをするものです。
 以上、お尋ねをいたしました有田医療圏の現状の課題、これを解決していく上でも今回のこの地域医療構想がどうかかわってくるのか、こういう点で地域医療構想における有田保健医療圏の方向性について質問をさせていただきたいと思います。
 議場に配付をしております資料をごらんください。
 左の表が県内各医療機関の現状のベッド数、2014年の現況です。そして、右側が地域医療構想で示された2025年における医療需要及び必要病床数についてという表で、10年後のベッド数目標という関係です。
 まず右の表ですが、ここの有田圏域のところで高度急性期の医療需要と必要病床数を見ていただきますと、どちらもゼロとされています。県内7つの保健医療圏があるわけですが、ほかにこんなところはありません。
 今度は、資料の左の表をごらんください。これを見ていただくと、高度急性期の現状のベッド数というのは、和歌山が1644床、御坊が4床、田辺が36床、そしてあとの4医療圏は全てゼロというのが現状なんですね。この現状からスタートして、たとえ現在は整備されていなくても、地域医療構想で目指すべき目標、必要病床数がそれぞれの医療圏ごとに示されているんです。
 次に、慢性期病床のほうも見てみますと、右の表の下の注釈、米印1にあるように、有田圏域は他の医療圏よりも削減スピードの緩やかな計算方式をどうやら採用しているようです。これらのことは有田圏域の困難な現状、実態を反映したものだと考えますが、この表を見た有田地方の住民からは、なぜ有田はこうなのか、一体どうなるのだろう、こういった疑問や不安の声が出されています。
 そこで、有田医療圏の地域医療構想策定までの経緯においてどんな議論がされてきたのか、また有田圏域の今後の医療提供体制を県はどのように展望しようとしてるのか、福祉保健部長より御答弁を願います。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 有田保健医療圏における地域医療構想の策定に当たっては、地域の医療関係者などで構成する圏域別検討会の開催を重ね、地域の意見を反映させたところです。
 具体的には、重症患者に対応する高度急性期の医療機能に関しては、隣接する和歌山医療圏の救命救急センターなどに今後も引き続き委ね、機能分担を図っていくことになりました。
 また、慢性期の医療機能に関しては、療養病床に係る入院受療率が県内の医療圏の中で最も高い状況にあり、今後、在宅医療の充実などを一体的に進めていく必要があることから、地域医療構想の目標達成年度を本来の2025年度から5年間延長できる国の特例を適用することとなりました。
 有田保健医療圏の今後の医療提供体制につきましては、高度急性期医療は和歌山医療圏に依存するものの、急性期医療やリハビリなどの回復期医療及び慢性期医療は、管内でバランスをとりながら、住みなれた地域で安心して適切な医療を受けることができる体制の構築を目指してまいります。
○副議長(服部 一君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 高度急性期医療のベッドは、現状を追認して10年後も和歌山医療圏に頼るということのようです。機能分担が十分できるか見きわめていく必要があると思います。また、慢性期のベッドについては高齢者の入院が多いというお返事でしたが、裏返すと有田圏域では在宅医療や介護施設もまだまだ十分ではないという、そういう面があるということだと思います。
 また、この構想とは別に、国は近々介護型病床をゼロにせよというのが規定方針です。こうしたことから、この有田地方に限らず和歌山県全体にとって団塊の世代も含めた高齢化が進む中、一体入院患者さんはどうなるのか。また、病院にとっても病院経営が一層厳しさを増すことになるわけです。
 今後は、この構想に基づいた地域の調整会議が重ねられ、一方で県の保健医療計画の策定にも取り組んでいくことになります。県としても、県民とよく議論し、しっかりと県民の立場に立って医療行政に取り組んでいただくよう要望するものです。
 今後とも、この医療介護問題の方向性については、継続的に取り上げていきたいというふうに思っております。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 店舗・住宅リフォーム助成制度をという柱の質問に移ります。
 住宅や店舗のリフォーム助成制度は、地域経済に対する景気対策の効果が大きいとして全国的に広がりを見せています。私どもも、県民の期待の声を紹介し、こうした取り組みをぜひ和歌山県内でもと、かねてより提案をしてまいりました。きょうは、この間の国の動向、県内市町村の動向も踏まえて、改めてこの住宅・店舗リフォーム助成制度について提案をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、国の景気対策補正予算として実施されている小規模事業者持続化補助金という制度についてお尋ねしたいと思います。
 この制度は、個々の個人商店など小規模事業者を対象にして、販路拡大などの取り組みに補助金が出る仕組みです。これまでの商店街アーケード設置補助のような集団的、面的な事業に対する補助から一歩踏み出した事業です。
 この事業では、販路拡大のためのチラシ作成などと並んで、店舗改修、リフォームが補助対象メニューとなっています。私は、国事業の窓口となっている商工会を訪ねて取り組み状況をお聞きしてまいりました。
 お伺いした有田川町商工会では、ことし約30件の採択を得て、その3分の1が店舗リフォームだといいます。和式トイレを洋式にしたり、内装や看板等のリニューアル、店内のバリアフリー化などに活用されていて、商売に取り組む姿勢も前向きになり、喜ばれているそうであります。上限50万円で事業費の3分の2補助という少額の改修補助ですが、こうした小規模工事は地元の業者さんに受けてもらえるので、地元の経済効果も大きくて地に足のついた支援策だと歓迎されておりました。
 県はこれまで、仕事おこしと地域経済活性化のためにぜひ店舗リフォーム助成をと、こういう要望に対しては、個人資産の形成には公的助成はなじまないとか、店舗は営業用資産だから公益性が明確でないと公的助成は適当でない、こんなふうな見解を示されてきました。
 しかし、この国の補助制度は、さきに申し上げましたように、個人の営業用資産である店舗のリフォームを経済対策として補助対象にするという施策に踏み出したんですね。それも25年補正予算、26年補正予算、27年補正とここ3年続けてきて、先月閣議決定された今度の補正予算でも4年目の事業をやることになったと聞いております。まさに、これは国の中小業者向けの経済対策の看板メニューとなっているわけですね。
 こうした既存の商店街振興の枠を超えた国による経済対策としての店舗改修助成のこの取り組みの意義や効果、県としてどのように考えておられますか。商工観光労働部長の答弁を求めます。
○副議長(服部 一君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 小規模事業者持続化補助金につきましては、小規模事業者が売り上げや生産性向上等を目的に経営計画を作成し、その計画に基づく取り組みに対し費用の一部が助成されるもので、販売促進用の広告作成や店舗の改装など、幅広い経費が補助されるのが特徴であると考えています。
 また、ここ3年間で全国で7万144件、うち県内で922件が採択され、店舗リフォームだけでなくさまざまな経費に活用されており、国の経済対策として一定の効果があったものと考えております。
○副議長(服部 一君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 国の経済対策を評価された御答弁でした。
 続けて、2問目の県内市町村における状況について質問をさせていただきます。
 一方で、和歌山県内に目を向けてみますと、3年前には高野町と海南市の2自治体だけであった県内市町村での住宅リフォーム助成制度ですが、今年度では3市3町の計6自治体で取り組まれております。
 私は、この中で地元の広川町と有田市を訪ね、担当者から直接お話を伺ってきました。広川町では、若者定住策を動機として広川町住宅リフォーム補助金を始めたそうですが、1年目は募集開始初日で予算いっぱい、受け付け終了となって、9月に補正予算を組んで再度受け付けをしたが昼までに完了したそうです。こうした経験から、2年目となる今年度は事業費の2分の1補助で上限50万、1000万円の予算を組んで、もう最初から上半期と下半期に分けて募集を行ったそうです。
 そして、公平性の観点から役場会議室で公開の抽せん会を行ったそうでして、「町民向けのこういう補助金で抽せんなんかやったことがなかったので大変でした」と担当者は笑っておられました。リフォームの内容は、住宅内部を対象としていて、トイレの改修や台所、水回りなど、毎日の生活で一番使うところに人気があるようです。
 有田市の住宅リフォーム工事費補助金、これもことしが2年目です。景気対策として1年限定のつもりで試してみたものの、非常に人気があり、今年度も継続しているとのことです。ここでは、事業費の20%補助で上限は20万円、ことしは600万円の予算です。有田市では外装工事も対象で、工事の内容を見ると外壁塗装や屋根防水などの外装工事が48%、システムキッチンやユニットバス、トイレ改修など水回り工事が36%、畳入れかえや床張りかえなど内装工事が16%という状況です。
 また、助成事業による効果という点では、利用者アンケートを見せていただきますと、補助金がなくてもリフォームする予定だったと答えた方が28%だったのに対して、リフォームを検討してたけども、補助制度を知って時期を早めた、こういう方が60%。そして、リフォームまでは考えてなかったが、補助制度を知ってリフォームをした方が11%ということで、合わせて新規顧客の獲得状況が72%という効果が報告されてます。また、昨年の補助金1000万円によって、事業費ベースで合計7760万円の市内の消費喚起額が報告されておりました。
 ほかにも、和歌山県内で一番早くから住宅リフォーム補助制度に着手をした高野町では、住環境向上と定住促進、経済活性化を目的にして使いやすい制度としたため、人口3000人のまちにおいて、この3年間合計で何と町内の16%もの世帯が利用したという計算になるそうです。すごい数だと思います。ここでは店舗リフォームも対象で、高野山開創1200年に向けてお店もきれいにできたと喜ばれております。
 このように、市町村にとっては、安心して住み続けられる地域づくり、人口減少対策、若者定住対策、地元業者支援による地域活性化などの目的が相乗効果をあらわす魅力的な事業となっていて、そして今度、住民にとっては、日ごろ不便を感じていた住宅リフォームに踏み切る機会となって結果にも満足、そして、地元の中小業者にとっては仕事づくりとなって地域の生きた経済対策につながっていると、まさにこの三方よしの形になっていると思うんですね。
 県としては、これまで政策目的のはっきりしない住宅リフォーム助成ではなくて耐震やバリアフリー等を優先したい、こういう姿勢でありました。しかし、こうした市町村での取り組みを見ておりますと、地域活性化、経済対策、これらの目的も効果もはっきりしているというふうに考えますが、いかがでしょうか。また、地域振興の魅力的なツールとして取り組む住宅リフォーム助成の県内市町村でのこういった広がり、これを県としてどう考えておられますか。今度は県土整備部長より答弁を願います。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 議員御紹介のとおり、今年度は海南市、有田市、新宮市、高野町、広川町、日高川町の計3市3町が住宅リフォームに関する助成を実施しておられます。これらは、それぞれの市町が居住環境の向上、定住促進、経済の活性化を目的として制度をつくられたものと聞いておるところでございます。
 今年度、県内の6自治体において住宅リフォームに関する助成が行われておりますのは、それぞれの市町がそれぞれの課題認識のもとで実施が必要と判断された結果であると私どもは考えてございます。
 しかしながら、このリフォームが昭和56年以前の住宅において行われた場合、耐震改修が行われないままになるという懸念もあるというふうに認識をしてございます。
○副議長(服部 一君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 市町村はそれぞれの政策目的を持って取り組んでいるという受けとめ、御答弁だったというふうに思いました。
 また、耐震補強にならないままになるという、そんな懸念もおっしゃっていましたけども、逆に耐震補強の推進になってる工夫もあるということも紹介したいと思います。
 先ほど言った有田市では、耐震補強工事の受け付け期間と住宅リフォームの受け付け期間を少し重ねておいて、耐震補強工事に相談に来て踏み切ろうかどうしようか迷っているその人に対して、「今、耐震補強を申し込めば、住宅リフォームの補助の優先枠もついてきますよ」、こういう勧め方をしたらしいんですね。耐震工事だけではカバーできない内装とかそういった部分もあるので「それなら思い切ろう」ということで、なかなか苦労していたこの耐震補強工事に踏み切ったケースが2件新たにできたということです。こんな知恵や工夫は大変参考になるなというふうに思ったところです。
 それでは、この経済対策の部門と住宅政策の部門のお2人の部長さんから御答弁をいただいたところで、今度は知事にお尋ねをしたいと思います。
 この間、国や市町村による取り組みが広がっているように、県内中小業者と地域経済に効果が期待される経済対策、そして地域振興として、県としても住宅リフォーム助成、店舗リフォーム助成に取り組むことを検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、地域振興という点では、市町村が取り組む住宅・店舗リフォーム助成に県が支援をするという形もいいと思いますが、いかがでしょうか。知事より答弁を願います。
○副議長(服部 一君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私有財産であります住宅、店舗の単なるリフォームへの補助は、慎重に行うべきであると考えていることには変わりはございません。したがって、県がリフォームへの補助や市町村事業への支援を実施することは考えておりません。
 住宅リフォームについて、県では県民の命を救うための住宅の耐震化を、これはぜひ促進させないかんというふうに思っておりまして、耐震診断、設計、改修に対する全国でもトップクラスの補助を実施しております。
 また、安価にそれができますように、耐震ベッド、耐震シェルターを新たに補助対象に加えるなど、補助制度の拡充にも努めてまいりました。
 さらに、耐震改修補助のほか、バリアフリー改修、省エネ改修などの施策目的に応じた補助も、対象が私有財産とはいえ制度化しております。
 店舗リフォームについては、金融機関と協調して低利、長期、固定金利の県中小企業融資制度を実施してるので、店舗部分の改修、増築等の事業活動に必要な資金を利用していただきたいと考えております。なお、小規模な店舗併用住宅でございますと、住宅向けの耐震改修補助の対象としております。
 今後も、各種補助制度の有効な活用を図り、それぞれの施策目的の達成に努めてまいりたいと思いますが、ぜひそれぞれの立場でこのような制度を利用してどんどん目的を達成してもらえるように、御協力を議員諸公にもお願いしたいと思っております。
○副議長(服部 一君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事の御答弁いただきました。つれない答弁のようにも聞こえましたが、いや、実は大事な御答弁をいただいたというふうに思っております。耐震補強のPRもしっかりとしていただきました。
 行政には、やれない理由というのとやらない理由というのとあるというふうによく言われるんですけども、私は今回の質問で、県がこれまでリフォーム助成をやれない理由というふうにしてきたものを取り上げて、個人資産にも景気対策としては集団でなくても補助やってますよね、営業用資産にも補助やってますよね、政策目的がはっきりしないと言っていた住宅リフォーム助成ですが、政策目的も効果もはっきりしてますよね、ぜひやりましょうよと、こういう提案をさせていただいたわけです。
 知事からは、私有財産に対する単なるリフォーム補助は慎重に行うべきだというのには変わりないと、だからやらないという返事だったわけですけども、そのやれない理由はもうおっしゃらなかったと思うんですね。国も市町村もどんどんやってるということですからね。
 また、私、今回取り上げた地域振興という点では、昨年から交付税において地方創生ということで、県と市町村にも交付税算定がされていると思います。それぞれの自治体が特色ある仕事を進めています。今回提案したように、市町村のそれぞれの政策目的で取り組む住宅・店舗リフォーム助成を県が一部支援するという形は、和歌山県の地域振興、地方創生という点では効果が大きいと思います。ぜひ今後とも、こうした県民に身近な経済対策を御検討いただくよう要望をさせていただきたいと思います。
 次に移ります。最後の質問に移ります。
 介護職員養成と人材確保策についてお伺いをいたします。
 今年度の県の新政策の中で、介護職員養成支援策として介護職員等修学資金貸し付けが始まりました。資格を取得して和歌山県内の施設で5年間従事すると、貸付金の返還は免除という制度です。和歌山県は、人口構成と高齢化の状況から見ても、介護人材の養成、確保は他県にも増して喫緊の課題であり、待遇改善策とあわせ、地域を支える雇用の場としても重要な位置づけが求められている課題であることは言うまでもありません。
 この修学資金貸し付けについては、これまでも国予算がついたときには実施されていましたが、国の予算終了とともに和歌山県では休止をされていた制度です。昨年の2月県議会一般質問でも再開を求めたところであり、復活を歓迎するものです。
 一方で、先日、地元の県立有田中央高校でお話を伺う機会がありました。この高校には総合学科の中に福祉系列のカリキュラムがあって、3年間の勉強や実習を経て、卒業時に介護福祉士の国家試験受験資格の得られる県内高校ではただ1つの貴重な介護人材育成コースとなっています。
 ところが、今回スタートしたこの修学資金貸し付けは専門学校が対象であって、高等学校の福祉系列は対象外だということなんですね。何とかこの生徒たちにも支援してほしいとの要望もお聞きいたしました。
 そこで、まず第1点目に、和歌山県として介護職員養成と人材確保に向けてどのような施策に取り組んでいるのか、お伺いをいたします。
 そして、次に、こうした福祉系高校にも支援策をできないかを伺います。
 介護福祉士としての資格を持ち、専門性を高めた介護職員を養成するということは、これからの介護施策にとっても、また介護職員の待遇改善にとっても欠かせない課題だと思います。現状では国の修学資金貸し付けが福祉系高校は対象外となっているということなんですが、有田中央高校のような福祉系高校にも修学資金貸し付けの対象を拡大するなど、介護職員養成確保のための支援策、これを講じるべきではないでしょうか。以上2点、あわせて福祉保健部長より答弁を願います。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 介護人材確保対策につきましては、現在、就職セミナーの開催や職場体験事業などの従来の取り組みに加えて、高校生を対象とした取り組みなどを重点的に進めているところです。
 具体的には、昨年度から高校生が在学中に介護職員初任者研修を取得できるよう支援を行っています。昨年度は有田中央高校の生徒9人、今年度は県内15校の生徒128名が資格取得のために研修を受講しており、卒業後は介護職員として県内で働いてもらうことが期待できます。
 本年6月には、漫画を使った高校生向け介護のイメージアップ冊子「GoGo介護」を作成し、県内の高校に配布するとともに、現在、地域の介護事業所と高校が連携をして、介護職のイメージ改善に向けた取り組みを進めています。
 これに加えて、今年度からは新たに介護福祉士の養成施設等に通う際の修学資金の貸し付けや離職した介護人材の再就職準備金の貸し付けを行うとともに、地域医療介護総合確保基金を活用し、介護事業所内保育所の整備や運営の支援を行っています。
 福祉系高校につきましては、公立高校は授業料を無償化されていること、公立高校での修学に係る奨学金制度があることなどから、介護福祉士等修学資金貸付のようなさらなる支援は困難と考えています。
○副議長(服部 一君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁にありましたように、国のほうは高校には奨学金制度があるからそっちでやってねということだと思うんですが、それは違うと思うんですね。高校生向けの奨学金制度、修学資金は、経済的に困難な生徒の修学を助け保障するための制度です。
 今度のこの介護人材確保のための奨学金というのは、試験に合格して何年か地元に勤めたら立派な社会への貢献になるから返さなくてもいいよという優遇策なんですね。この人材確保の優遇策から福祉系高校の生徒たちが外されているのは、放っておけないというふうに思うんです。
 専門学校で介護福祉士を目指す人には、国の修学資金貸し付けという優遇策があります。また一方で、国の医療介護人材確保基金、こっちの予算を使って、この初任者研修を経て介護の現場へスタートを切る、こういう人たち向けの高校生向けの支援もしている。
 ところが、その真ん中ではないですけども、その高校で介護福祉士を目指して専門性を高めて頑張ろうという福祉系向けの優遇策はない。これは何とか考えてあげようという問題だと思うんですね。
 答弁では、県としての幅広い介護職員養成と確保策の努力、お示しいただきました。高校生にも随分ことし頑張っていただいてます。まさに、和歌山県にとってはここが一番大事なとこだというふうに思うんです。他県よりもっともっと力を入れなければならない分野ですよね。
 特に、介護福祉士という資格を目指す人材育成は、介護の仕組みの骨組みをつくる役割を果たすものです。今回取り上げました福祉系高校の話は、対象が本当に小さいだけに光が当たってない部分だと思うんです。でも、地域にとっては、この生徒たちはかけがえのない、地域に残って地域を支えていく人たちなんです。政治の責任、役割は、こうした人数的には小さいけれども、制度の光が当たっていないところに光を当てるのが仕事だというふうに思います。
 他の県でも、福祉系高校への修学資金貸し付けの対象拡大を願う同じような条件の生徒たちがいるはずです。国にも、ぜひ働きかけていただきたいと思います。また、県としても、介護職員確保策として県は応援してますよという支援策を、教育委員会、学校ともよく相談しながら検討していただくよう強く要望いたしまして、今回の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。

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