平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(全文)


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平成28年9月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成28年9月16日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第192号から議案第216号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第192号から議案第216号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     日吉康文
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   岡本圭剛
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   大桑いく嗣
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       上坊 晃
 議事課長       中谷政紀
 議事課副課長     浜野幸男
 議事課課長補佐兼議事班長
            長谷哲生
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主査      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第192号から議案第216号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 9番秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)
○秋月史成君 おはようございます。議長の許可を得ましたので、通告に従い、一般質問に入らせていただきます。
 まず最初に、公用車の交通事故についてお尋ねいたします。
 県議会議員となり、2回目の9月議会となりますが、毎議会ごと感じることがございます。知事専決処分報告のことでございます。中身を見ますと、その大半が公用車の交通事故の専決処分報告です。今議会でも2件上程されております。今回は、少し支払い金額が多いものも含まれております。私の感覚では事故が多いなと感じております。
 少し調べましたところ、平成25年度が加害事故16件発生、うち専決事項案件15件、被害事故13件、双方過失事故7件、うち専決事項案件4件、自損事故12件、合計48件の事故。平成26年度が加害事故13件発生、うち専決事項案件9件、被害事故13件、双方過失事故9件、うち専決事項案件6件、自損事故15件の計50件。平成27年度、加害事故15件発生、うち専決事項案件10件、被害事故8件、双方過失事故6件、うち専決事項案件4件、自損事故18件、合計47件の公用車の事故が発生しております。
 ここ3年間の1年の平均事故発生件数は約48件、その中には被害事故も含まれてはいます。被害事故、例えば追突事故の場合などは、後続車が十分車間距離をとらずに走行し追突する場合が事故原因でありますが、前方の車の急ブレーキ、ブレーキのタイミングの遅さも、過失はないものの、事故原因の1つと言われております。
 まあ専決事項案件の金額を見ますと数万円から数十万円と、現在の事故車修理は部品交換が主となっておりますから部品代金がほとんどで、内板骨格まで損傷が及ぶような中破事故、大破事故は少ないように金額から見れば思われます。主に小破事故が大半と推測されます。事故件数は私の感覚では多いものの、安全運転教育の成果もあり、比較的軽微な事故が多いと思っております。
 教育委員会、警察を除く職員数3779人、これもまた教育委員会、警察を除く公用車数839台。職員数も多いですし、公用車数も確かに多いです。また、公用車の車種もさまざまで、自家用車とは違い、なれない車種、それにどの部局ともさまざまな比較的なれない場所に出向くわけです。部署によっては人数も少なく、業務も多忙と思われます。事故が多いのも仕方ないのかもしれません。人間は、私も含め、当然ながら誰でも失敗やミスを犯します。私自身も事故を起こしたこともあります。でも、私の感覚から見れば少し多いように思うのです。
 県当局も、近年の事故発生件数は少なくはないと御認識のようで、これまでもさまざまな安全運転教育や取り組みをされてはいるようです。事故当事者の職員から事故原因を細部にわたり聴取し、事故原因を究明しているそうでございます。しかし、ここ3年間の事故発生件数を見ますときに、一向に減少の方向にないように思います。
 私に以前教えてくれた人がいました。問題が起こることは決して悪いことではない、最も悪いのは問題を解決する能力がないことであると教えていただいたことがあります。安全運転教育やさまざまな取り組みをしていながら、一向に事故が減少しない事実があります。事故が起こってから原因を究明し、今後の事故防止に努めることも大切だと思いますが、それよりも先に、事故を未然に防ぐため、新入職員研修の際、車両運転適性検査を実施するとか、新入職員に対し運転技能講習などを行い、一定の運転技能を身につけた者が公用車の運転を許可されるなど、公用車運転に際し、一定の技能を習熟させることが必要と私は考えます。
 また、事故原因をさらに詳細に掌握するため、公用車全車とは言いませんが、ドライブレコーダーを搭載する方法もございます。昨今、運送会社やタクシー会社でも多く、ドライブレコーダーを搭載する会社がふえております。また、一般の自家用車でもドライブレコーダーを搭載する方もふえております。
 私は、事故を起こした職員に厳罰をさらに求めるという発想は一切持っておりません。人間はミスを犯す動物ですから、処罰を厳重に行うことで公用車の運転をしたくない職員がふえることは、職務を遂行するための妨げとなる可能性もあります。それより、公用車の無事故者に対して表彰する制度などを創設する必要もあるかと思います。
 そこで、今後、公用車の事故減少に向けた新たな取り組み、もう少し突っ込んだ安全運転教育が必要だと思いますが、今後どのような取り組みをされるか、県当局の御見解をお答えください。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。
 総務部長浦上哲朗君。
  〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) 公用車の事故減少に向けた取り組みについてでございますけれども、そもそも我々県職員は、現場重視の行政を遂行するため公用車を使用することが多くございますが、その際、県職員としての職責を自覚し、県民からの信頼を損ねることのないよう安全運転を実践し、交通事故の防止に努めることが求められているものと認識しております。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、公用車による交通事故の発生件数は、残念ながらここ数年横ばいの状態で推移しております。これまでも、職場研修や新規採用職員研修等におきまして交通ルールの遵守や安全運転を徹底することに加えまして、県交通センターにおきまして交通安全実技研修を実施するなど、交通事故を防止するための研修に取り組んできたところでございます。
 今後も、公用車による事故の実例を題材に取り上げるなど、さらに効果の上がる研修の充実に努めるとともに、議員御提案のドライブレコーダーの活用も含めまして、さまざまな観点から交通事故防止策について検討し、職員の事故件数減少に向けて鋭意取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 公用車の交通事故減少を目指し、今後、力強い対策をさらに御検討いただきますようよろしくお願いいたします。
 次の質問に参ります。
 学校教育における儀礼に関する教育についてお尋ねいたします。
 リオオリンピックでは、金メダル12個、銀メダル8個、銅メダル21個と、日本選手は大活躍でした。また、夏の甲子園、全国高等学校野球選手県大会では、和歌山県代表・和歌山市立和歌山高校は白熱した試合を展開し、残念ながら2回戦敗退とはなりましたが、和歌山県代表としてよく戦っていただいたと思っております。優勝いたしました栃木県代表・作新学院高校は54年ぶりの優勝ということもあり、大いに盛り上がった大会だったと思っております。
 昨年は、当県和歌山では紀の国わかやま国体が開催され、選手団の皆様、県民一丸となって頑張った成果もあり、男女総合優勝の栄冠を手に入れました。
 オリンピック、高校野球、国体と、選手の闘志あふれる競技に固唾をのんで観戦していた私でしたが、私は少し違った目で選手や観戦者の姿勢に注目しておりました。国旗掲揚、国歌斉唱時の選手や観客の姿勢、また高校野球では、試合終了時に行われる勝利をおさめた勝者の高校の校旗掲揚と校歌斉唱の選手の姿勢でした。
 まず、オリンピックでは、メダルを獲得した選手は、どの選手も日の丸を背負った自覚を持ち、背筋をぴんと伸ばし、直立不動の姿勢をとり、ある選手は右手を胸に当て、国旗に対し敬意をあらわす姿勢を行っておりました。また、高校野球では、どの高校、どの選手も、私の見る限り、試合後の疲れを物ともせず、これもまた背筋をぴんと伸ばし、校旗や校歌に敬意をあらわす姿勢をとっていたように思います。
 昨年の紀の国わかやま国体での開会式の際、仁坂知事の国旗掲揚、国歌斉唱時の姿勢のすばらしさをいまだに忘れることができません。背筋をぴんと伸ばし、手を体側にきちんとつけ、気をつけの姿勢をきちんととり、国旗や国歌に敬意をあらわす姿勢に深い感銘を覚えた瞬間でもありました。さすがブルネイ大使として国際舞台にも立たれた仁坂知事ですので、当然のことながら儀礼もきちんと身につけているのだと私は思いました。
 ここまではよかったのですが、残念なことも多々ありました。観客席の中では、手を前に組み、また後ろ手に組み、休めの姿勢で国旗掲揚、国歌斉唱を行っている方も散見されました。私の感覚では非常に残念なことだと思っております。起立、脱帽は当然のことながら、国旗、国歌に敬意をあらわす意味でも、姿勢を正し、気をつけの姿勢をとるのが儀礼であると私は思っております。
 儀礼とは、慣習によって形式が整えられる礼式のことであります。私、振り返りますと、学校教育の中では余り儀礼に関する教育を受けていなかったように思います。私の記憶が正しければ、私の小・中学校のころは、入学式、卒業式の際には国旗掲揚、国歌斉唱はなかったと記憶しております。国歌「君が代」も、出だしの部分は知っていてもあとは知らなかったものです。私に近い年代の方にお聞きしましたところ、同じようなことを言う方が大半でした。
 国旗及び国歌に関する法律は、日本の国旗、国歌を定める日本の法律であり、1999年(平成11年)8月13日に公布、即日施行されました。その後、紆余曲折はありましたが、学校での入学式、卒業式等の学校行事、式典でも国旗掲揚、国歌斉唱が行われることとなっております。
 国体時の国旗掲揚、国歌斉唱の際に休めの姿勢をとられていた方は、子供より大人の方がほとんどだったと記憶しております。本来は、家庭教育で儀礼やマナーについての教育がなされるものであるとは思いますが、儀礼に関する教育を余り受けていない大人が多いことから、未来の日本を背負い、和歌山を背負う和歌山県の子供には、儀礼に関する教育を教育現場で教える必要があると私は考えております。県内学校における国旗、国歌の指導について、県教育委員会のお考えをお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 国旗及び国歌の指導においては、日本人としての自覚を養い、国を愛する心を育てるとともに、児童生徒が将来、国際社会において尊敬され、信頼される日本人として成長していくため、それらを尊重する態度を育てることが大切でございます。
 社会科では、小・中学校においては国旗と国歌がそれぞれの国の象徴であることを学び、中学校では、それらを相互に尊重することが国際的な儀礼として定着していることを理解させることとしてございます。また、小学校音楽科においては、国歌「君が代」を全ての学年で歌えるよう指導してございます。
 特別活動では、小・中・高・特別支援学校を通じて、学校行事等において国旗及び国歌を尊重する態度を育成するとともに、入学式や卒業式での国旗の掲揚及び国歌の斉唱を指導してございます。
 今後とも、さまざまな機会を捉えて、国旗及び国歌を尊重する態度の育成に努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 県議会議員となり、学校の式典に参加させていただくことが多くなっております。国旗、国歌を尊重する姿勢は、子供より大人のほうができていないように思われます。ちょうど保護者である父母の方々と同じ年代の私です。儀礼に関する教育を受けていない年代です。私と同年代の多数の大人は、儀礼に関する教育を受けておりません。現在の子供たちが大人になった暁には、国旗及び国歌を尊重する態度が一般的になることを願いたいと思います。
 次の質問に参ります。
 零細企業の事業承継施策についてお尋ねいたします。
 本年4月1日に中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等が一部改正されました。近年、事業承継の形態が多様化し、20年前は親族内承継が9割でしたが、近年は親族外承継が4割と増加となっております。親族内の後継者不足が推測されます。
 平成28年4月26日、中小企業庁財務課が公表いたしました事業承継の支援施策の中では、事業承継税制、遺留分に係る民法の特例、金融支援の3本の施策が示されております。
 県議会議員となり、県議会から毎週、茶封筒に入れられた資料が多数送られてきます。その中には、新規起業・創業希望者に対するさまざまな支援策が用意されておりますが、事業承継にかかわる支援策は、私の知る限り皆無に等しいと思っております。もしあったとしても余り世間に周知されていない事実もあることから、いま一歩力強さが足りないと感じております。
 一説には、起業してから10年以内に8割が消えていくと言われております。上場企業でも、50年以内にその半数が消えていくと言われております。日本の産業構造を見ますときに、日本の産業を支えてきたのは大企業だけではなく、それよりも中小零細企業が支えてきたと言っても過言ではありません。ここ和歌山でも同じ状況と言えるでしょう。紀南地域には上場企業が1社もない状況を考えるとき、和歌山の経済、産業を支えてきたのは、中小零細企業が支えてきたと言っても過言ではありません。新たにやる気のある起業家の健全育成も大切なことだと思います。
 しかし、もう一方で、今まで地域の経済、産業を支え、雇用を支えてきた中小零細企業の事業承継を円滑にする力強い支援策をもう1つの柱として創設し、位置づける必要があると私は考えます。
 皆様も御存じのとおり、現在も私、零細企業の──零細企業と言えば聞こえはいいのですが、町工場の経営者です。さまざまな経済団体の役員も以前は拝命させていただき、経営者、商店主の悩みの声を数々聞いてまいりました。
 零細企業の経営者には、基本的に定年退職はありません。よくサラリーマンをしている友人に言われます、経営者は定年がなくていいなと。しかし、死ぬまで働くのか、いつまで働かなくてはならないのか、経営者の無言の重圧からいつか解放され、ハッピーリタイアを望む経営者は多いものです。
 団塊の世代という言葉が使われ出して久しいものですが、第1次ベビーブームが起きた時期に生まれた世代の方です。第二次世界大戦直後の1947年(昭和22年)から1949年(昭和24年)に生まれた方々です。その団塊の世代の経営者の方々も67歳から69歳になられ、個人差はありますが、後継者問題をうまく解消し、引退をなされた方も多いと思います。引退を望まれている方も多いと感じております。団塊の世代、その子弟は団塊の世代ジュニアと言われ、比較的高学歴で、和歌山のような田舎への定着者は多くないかなと思われます。田舎の家業である商店の後継ぎを選ぶより、選ばせるより、都会の企業に就職し、その職場で地位や立場を築き、また家庭を持ち、地盤を築かれた方、現在都会で活躍されている方も多く、後継者不足の時代の到来を感じております。
 零細企業の経営者が引退を考えたとき、次期経営者としてその先を見出すとき、イの一番に浮かぶのは親族間の後継者です。しかし、先ほども述べたとおり、親族間の後継者を選択できないときに次に浮かぶのは、長年仕えてくれた社員の中から、従業員の中から次期経営者を選びたいのが至極当然のことだと思います。その選択肢も閉ざされた場合は、第三者に、他者に経営譲渡を望むかもしれません。前項で述べた選択肢が全て閉ざされた場合は、廃業をやむなく行うこととなるでしょう。まちを歩くとわかります。廃業した商店や事業所が何と多いこと。
 企業は、無形の資産をたくさん持っております。固定資産や償却資産ばかりでなく、顧客や人脈、技術力、仕事の進め方、長年培ってきた企業理念等々、帳簿にはあわられない、また、肉眼では決して見えない無形の資産がたくさんあります。その無形の資産を一番容易に引き継げるのは親族間の承継です。次には、長年一緒に働いてこられた、昔の言葉でいいますと番頭さんではないかと思います。新規企業を創業なされる方に支援を行うことも大切だと思います。しかし、起業して10年以内に8割が消えていくという説に鑑みますと、今まで地元に根づいて頑張ってきた企業を存続させるほうが効率的だと私は考えます。
 そこで、私が言いたいのは、親族間以外の従業員に継がせたい場合の問題点です。長年従業員できた社員には、その企業の引き継ぎに必要な資金調達が困難となる可能性が高いのです。給与所得者でずっときた社員に、例えば倉庫にある在庫商品を簿価で買い取る資金すら用意することは困難だと考えます。
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねいたします。今後増加が見込まれる親族間以外の承継を円滑に進めるためにも、事業承継の支援を目的とした県融資制度の創設が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 議員御指摘のとおり、中小零細企業の経営者の高齢化が進む中、地域経済の活力を維持向上させるためには、企業がこれまで培ってきた有形無形の財産を円滑に引き継ぐことが重要であると認識しております。
 県内中小零細企業の事業承継に対する支援につきまして、県では、関係機関とともに、事業承継の具体的手法をテーマにしたセミナーを実施しています。また、国の支援事業として事業引継ぎ支援センターが和歌山商工会議所内に設置され、ワンストップ相談窓口として課題解決に向けた助言や情報提供、マッチング等の支援を実施するとともに、金融支援として政府系金融機関に融資制度が設けられているところです。
 県融資制度につきましては、現在のところ事業承継を目的とした融資制度は設けておりませんが、汎用資金である振興対策資金を活用いただけるものと考えております。
 議員御提案の融資制度につきましては、今後、県内企業のニーズや金融機関の意見等を踏まえながら、創設に向けて検討してまいります。
 県内中小零細企業の事業承継は、今後ますます重要な課題になると認識しております。県としましては、引き続き関係団体と連携しながら、事業承継の重要性についてさらなる周知を図ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 私の友人である経営者の方々も、50歳代の方が多くなっております。そろそろ事業承継の方向性について考える方もふえてまいりました。今後は、親族以外の事業承継がふえてくるのではないかと感じております。
 県当局、金融機関は、今のところ余りニーズが少ないとの認識をお持ちかもしれませんが、零細企業の経営者として地域経済を肌身で知る私ですので、潜在需要は結構存在すると感じておりますし、今後ますます需要はふえる傾向にあると思っております。今後、和歌山県の中小零細企業、事業承継の円滑化を行うことは重要な課題になると考えております。創業支援策までとは言いませんが、もう1つの柱としてお考えください。
 次の質問に参ります。
 先ほどの質問にもありましたとおり、県議会議員となり、毎週、和歌山県議会から分厚い角2の茶封筒が送られてきます。その資料1つ1つに目を通していくのが日課となっております。私にとりまして興味のある資料もあれば、そうでないものもあります。その中で最近目にとまり、熟読したのが高速道路等の沿道における屋外広告物対策についてであります。
 和歌山県では、良好な景観形成を目的とした和歌山県屋外広告物条例が昭和36年に制定施行、昭和59年に新条例施行に基づき、昭和49年、阪和自動車道の開通を契機とし、高速道路、自動車専用道路の沿道300メートルの範囲に屋外広告物の設置を原則として禁止してきたそうでございます。私も全く知りませんでしたし、一般的な県民も知らない方が大半だと思います。
 しかしながら、こうした規制は必ずしも周知されず、和歌山県もこれに対して十分な措置を講じてこなかったことから、和歌山市内を除く区間に約70枚から80枚の看板が現在設置されております。
 昨年、紀勢自動車道が紀伊田辺からすさみ南まで開通し、私も自宅近くの上富田インターチェンジから高速道路に乗り、県庁との往復の日々を送っているところでございます。運転中、安全に支障のない程度に高速道路沿道の景観を楽しみながら、また、沿道の屋外広告物を楽しみに見ながら走っております。私の感覚では、屋外広告物が景観をそんなに悪くしているのかなと感じております。
 今回の対策が、建築基準で屋外広告物の強度に問題があれば、また、屋外広告物の構造物の経年変化における劣化、腐食が生じる場合や金属疲労により強度が保たれていないとか、看板のデザイン、文字に使われる色の彩度が運転に支障を来すのならいざ知らず、景観と県民目線から見れば違和感を覚える声が私の耳にも多数寄せられております。私の感覚では、特別景観を阻害しているようには思われません。それに、長い期間放置しておいて今さら言うなよというのが広告物を設置している方の言葉だと思います。余りにも唐突で、横暴な感覚さえ覚えております。
 法令遵守、コンプライアンスという言葉が一般的に使われるようになり、随分長い年月がたちます。法令を守る義務が日本国民にはあると私は考えております。しかし、広告物を出している経営者は、法令違反をしているという認識さえ一切持たずにこれまで過ごしてまいりました。
 広告物の表示、設置が許可されております1種地域、2種地域、3種地域でも、違反広告物は一切ないとは言えないと思います。景観を守るという観点から高速道路沿道の広告物規制を強化するなら、また一部緩和するなら、全ての広告物を厳正に規制する、緩和するのがフェアでないかと考えます。それに、今後の屋外広告物見直しのスケジュールも非常にタイトな予定に感じられます。長い間放置していた割には丁寧さを欠くように思われますが、県当局の御所見をお答えください。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 高速道路沿道等の屋外広告物対策について御質問いただきました。
 本県では、良好な景観形成等を目的とした屋外広告物法に基づき、和歌山県屋外広告物条例を定め、他府県と同様に、高速道路等の沿道における広告物の設置を原則として規制してまいりました。しかしながら、こうした規制は必ずしも遵守されず、また、県もこれに対して十分な措置を講じてこなかったことなどから、高速道路等の沿道において無秩序に広告物が設置されている箇所が存在しており、県といたしましては、この点を真摯に反省をしているところでございます。
 国土強靱化や地域振興等の観点から、現在、紀伊半島一周高速道路等の整備を推進しているところですが、今回の取り組みは、高速道路等の沿道に周辺景観と調和しつつ、わかりやすく統一感のある案内広告物を設置することで、本県の観光振興を一層推進するとともに、高速道路等の整備効果を最大化しようとするものでございます。
 このため、京奈和自動車道や紀勢自動車道の整備が進められ、今年度末にはこれらが和歌山ジャンクションで接続し、和歌山と中部圏が高速道路等で直結されることとなるこのタイミングを捉えて、高速道路等の沿道における屋外広告物規制の見直し及び現行の規制に違反する広告物の是正に向けた取り組みを進めることとしたところでございます。
 こうした取り組みを進めるに際し、県では、この6月から、関係する県議会議員の皆様初め関係市町長に現状と今後の取り組みの方針について御説明した後、広告主、広告業者の団体、広告業者等に土地を貸している地権者の方々など、関係の皆様に対しても個別訪問するなど、その内容を御説明させていただき、御意見を伺ったところです。
 そうした説明を終え、この8月には和歌山県景観審議会の御意見を聞いた上で、今回の取り組みの方針についてパブリックコメントを開始しております。現在は、このパブリックコメントと並行して、屋外広告物規制の見直しに向けた検討を進めるため、有識者等から構成される専門委員会において、掲出を認める広告の内容及びその規格などについて議論を深めております。今後、新しい設置基準案がまとまり次第、パブリックコメントなどを通じて、改めて広く県民の皆様の御意見を伺う予定でございます。
 今回の取り組みを実効あるものとするとともに地域経済の発展につなげていくためには、何より広告主等の御協力が不可欠であると考えてございます。県としましては、今後、広告主等の関係者の皆様に対し丁寧に御説明し、本取り組みに対する御理解を得ていきたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 原則禁止だった区域に、ある一定の要件を設けて規制を緩和する方向という御答弁だったと理解いたしました。御答弁にもありましたように、地域経済の衰退を招かないように広告主等に丁寧に説明していただきたいと思います。
 次の質問に参ります。
 南紀白浜空港の民間運営についてです。
 平成28年度の新政策として、南紀白浜空港の活性化に向け、施設拡充や運営のあり方について和歌山県は検討を開始していただいております。私、以前、経営者の先輩から言われた言葉がございます。「現状維持は衰退である」と。
 平成8年、新空港開港時、事業費518億円、平成12年9月、滑走路を2000メートルに延長、36億円、総事業費約554億円を投じ建設した南紀白浜空港であります。現在、東京国際空港・羽田と1日3便、往復6便の計6回、近隣の方には大変申しわけない言い方になりますが、離発着の少ない静かな空港となっております。554億円の大枚を投じながら十分な利活用ができていなかった状況を認識し、未来を見据え、仁坂知事の打ち出した新政策には大いに期待しているところであります。それも、コンセッションを含めた民間活力導入とのこと、大いに期待しております。また、あわせて国際線ターミナルビル建設とのこと。
 政府は、訪日客を2020年には4000万人、30年には6000万人まで引き上げるという目標を打ち出しております。少し前、無駄な公共事業の代表格の1つで批判の的の1つに挙げられていた地方空港ですが、政府がインバウンドを成長戦略の柱に据えたことをきっかけに活用推進の機運が高まっております。
 南紀白浜空港も例外ではなく、平成28年度から国際ターミナルビルの基本設計、実施設計に着手し、国際線に対応したターミナルビルの建設、空港内の機能再配置の検討がなされていることと思いますが、コンセッションを含めた民間運営についての現在の進捗状況、現在の国際ターミナルビル建設の進捗状況についてあわせてお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港におけるコンセッション方式の導入に向けた取り組みにつきましては、現在、国の補助金を活用して進めている南紀白浜空港民間事業等活用推進調査の中で、参画が想定される事業者へのヒアリング、具体的な事業手法の検討などを行っているところでございます。
 また、国際線ターミナルビルの建設につきましては、空港施設と現在の空港ビルを一体とした効率的な運営を図ることが有効と考え、コンセッションの導入を念頭に置いて、新たな運営事業者の意向を反映した形で設計を行うこととしております。
 今後、早期に事業手法を確定し、その後、速やかに国際線ターミナルビルの設計に着手できるよう取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 最後の質問となります。
 和歌山県の南部地域は、温暖な気候のもと、豊かな農林水産資源や風光明媚な海岸線を初めとするすぐれた観光資源に恵まれた地域でありながら、半島南部に位置する地理的条件から道路網の整備が立ちおくれ、また、首都圏からの輸送力は特に乏しさをなかなか解消しにくい地域であります。
 現在、先ほどの質問にもありましたとおり、南紀白浜空港は、東京国際空港・羽田と1日3便、計6回の離発着しかない静かな空港です。現在、県当局の御努力、日本航空の格段の御配慮により、1日3便の就航が確保されております。搭乗率もまずまずの状況の様子で、昨年度の搭乗率は68.1%、約12万7000人が利用いたしました。また、本年7月の搭乗率は72.8%、8月は好天に恵まれたこともあり、過去最高の88.2%を記録いたしました。
 本年11月3日から20日までの18日間、エンブラエル170(76席)からボーイング737(165席)へ、1日6便中2便が大型化されます。また、高いと言われる料金も、特便割引3が今年度さらにお求めやすくなり、昨年度下期最安値の1万9000円から1万7000円と、さらなる料金低減が発表されております。まことに喜ばしいことでありますが、利用者からすればさらなる料金低減を望む声が多いのも事実です。
 9月5日、白浜町内某ホテルにおいて行われた行政報告会で仁坂知事は、ICT企業の誘致の成果に触れ、東京からの航空運賃低減を望む発言がございました。また、9月6日には、新たなICT企業が白浜町のITビジネスオフィスに拠点を置くことが発表されました。ビジネスライフも多様化し、白浜のような田舎にも進出する、また興味を持っていただいている企業はふえているようです。現在、白浜町のITビジネスオフィスは満室となっております。
 ネット回線でつながれていればどこでも仕事ができるICT企業ですが、そんな企業でも、首都圏の本社とビジネスマンの往来が皆無であるとは決して言えません。県も日本航空も互いに努力はしていますものの、いま一歩、もう一歩、利用者が満足する料金体系とはなっておりません。特にビジネス目的の利用者は、航空運賃の高さが、今後、白浜進出の妨げになる可能性もあると私は懸念しておりますし、1日3便、往復6便の便数の少なさも大きな懸念材料の1つになると思われます。
 さらなるICT企業を含めた企業誘致、観光客増を望むなら、また、今後ますます白浜空港の発展を考えるとき、首都圏からの輸送力の強化を考えますと、現状の1社では、いま一歩力強さが感じられません。日本航空独占の状態では競争原理が働かなくなり、輸送力の強化、料金低減も図れないのではないかと考えるのは至極当たり前のことと考えます。競争の原理を働かせるためにも、競争原理を刺激する上でも、他の航空会社への誘致活動が望まれることと思われますが、仁坂知事の他航空会社の誘致へのお考えをお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 日本航空株式会社に対しては、従来から運賃値下げを初め、さまざまな働きかけを行ってきました結果、機材の大型化、特便割引3や特便割引7、乗り継ぎ割引を実施していただいてきたところであります。また、重ねて働きかけてきたことによりまして、10月末からは特便割引3のさらなる値下げに加え、その適用便数、年末年始への期間拡大などの実施について発表されるなど、これまでにもある程度の利便性の向上が図られてきたと思っております。
 しかしながら、いまだ日本航空株式会社の1社独占状態にあることで価格競争が生じないため、新たな航空会社が入ってくることによる競争状態となることのほうが望ましいというのは、理論的には、御指摘のとおり、至極当たり前のことであると承知しております。
 そこで、就任以来、他の航空会社にも鋭意就航を働きかけてきたところでありますが、はっきり言うとうまくいきませんでした。需要の規模が小さく、搭乗率にもまだ余裕があるなどなどのために、現状はその実現に至っていないのかなというふうに思っておりますが、いずれにしても成功しておりません。
 そのような現状でありますが、県としては日本航空株式会社に対して、例えば新たな特便割引1の導入による料金低減をさらに働きかけていくなど、そういうふうに日本航空にもお願いをしてまいりますが、まだまだしぶとく他の航空会社の就航についても引き続き取り組んでいく所存でございます。
○議長(浅井修一郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 私も、経営者の1人として、他の航空会社が参入するためには諸条件が整うことが必要であると以前から理解しているところではあります。
 私も利用者の1人ですし、料金が高いとの声がよく聞かれます。すぐに実現することはたやすくないと理解しておりますが、今後、南紀白浜空港の搭乗者数が確実に期待できるとの環境が整えば、タイミングを逃すことなく他の航空会社に対して就航について働きかけていただくことをお願いして、私の要望といたします。あわせて、知事には、より一層の料金低減、利便性の向上への取り組みをしていただくことをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
 最後までおつき合いいただきましてありがとうございました。これで質問を終わります。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、早速、4点にわたりまして一般質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、特別史跡岩橋千塚古墳群についてお聞きをしたいと思います。
 「古墳女子」という存在を御存じでしょうか。ここ数年前から若い女性の間で古墳が静かなブームになり、古墳めぐりを楽しむだけではなく、前方後円墳や埴輪などを形どったかわいらしいアクセサリーや雑貨などを愛好する考古ファンが多くなっているようです。古墳のシンプルなデザインがいいのかもしれません。
 先月の8月17日に、大日山35号墳の出土品がこのたび国の重要文化財として指定されました。写真を資料として用意をいたしました。全体の一部しか写っていませんけども、この中には動物、ハトや鳥、そして家、また力士などが確認できると思います。本当に何となくかわいらしくて、癒やしを感じるのは私1人ではないと思います。
 手前に写っている頭部の表裏に顔面がある人物埴輪、両面人物埴輪でございます。奥の翼を広げた鳥の動物埴輪は、全国でもこの大日山35号墳からしか発見されていない大変貴重な出土品として評価されてきましたが、それ以外の出土品も合わせて全部で43点が重要文化財として指定されました。岩橋千塚古墳群出土品では初めての重要文化財となります。
 今回の国の重要文化財の指定により、県内の重要文化財の数は388件で全国第7位、そして考古資料としての重要文化財はこれで7点目となりました。古墳の規模が当時の権力者の力を誇示していると言われ、埋葬品の埴輪はその証明にもなっています。
 出土品の中で写真の左側の3つの部材を重ね合わせた家形埴輪は、継体天皇陵墓と有力視される大阪府高槻市の今城塚古墳から出土した家形埴輪に類似していると言われております。大きさは約130センチあります。重要文化財に指定した文化庁の説明では、「家形埴輪など一部の形象埴輪やその配置状況に大阪府今城塚古墳に類似した要素がうかがえる一方、本墳にのみ存在する独特な埴輪を含むなど、古墳時代における畿内隣接地域との関係を考える上でも価値が高い」としております。時の権力者との関係を物語る資料として評価していただいております。
 和歌山県文化財保護条例には、「文化財のうち重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって県民の文化的向上に資すること」となっております。大日山35号墳出土品が重要文化財の指定を受け、今後の保存及び活用をどのようにしていかれるのか、教育長にお尋ねをします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 大日山35号墳出土品の保存につきましては、重要文化財の指定によって修復のために国の補助が適用されるなど、より質の高い保存を図ることができます。
 活用につきましては、紀伊風土記の丘資料館において、この指定と特別史跡の追加指定を記念した特別展「岩橋千塚とその時代─紀ノ川流域の古墳文化─」を10月1日から開催し、あわせて記念講演会やセミナーを開催することとしてございます。
 また、指定された埴輪類につきましては、常設展においても展示するとともに、埴輪の解説リーフレットの配布やテレビなどメディアを使った広報など、さまざまな方法で、より多くの県民の皆様にその価値を知っていただけるよう取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 それでは、2点目の資料館等の課題についてお聞きをしたいと思います。
 重要文化財指定ということで改めて文化財としての価値が認められ、今まで以上に注目されるはずです。資料館は、昭和46年開園と同時に開設された施設です。建物だけでなく、設備全体が老朽化も激しく、陳列ケースもすき間ができ、傷んできております。全体の延べ床面積は1687.3平米、そのうち常設展示室385.2平米、企画展示室132.4平米、それに事務室となっております。ちょっと狭過ぎると言わざるを得ません。
 また、文化財保護法に基づく「重要文化財の所有者及び管理団体以外の者による公開に係る博物館その他の施設の承認に関する規程」によると、建物及び設備の要件を満たしておらず、重要文化財の公開承認施設として認められていないことになっています。自前の文化財は展示できても他の施設から文化財は借りられない、そういう資料館ということでございます。また、現在の駐車場においても今のままでは狭いし、今後検討も必要だと思います。
 今回重要文化財に指定されたことにより、展示品を楽しく、わかりやすく説明する音声ガイドや、和歌山県の考古・歴史を学ぶ映像コーナーや、出土品を再生するバックヤードなども兼ね備えた考古博物館として検討していく機会ではないでしょうか。
 平成25年6月定例議会での私の質問に対し、当時の教育長は「資料館建てかえについては総合的に検討していく」と答弁がございました。考古資料重文指定に伴い、昭和46年以来45年がたち、建てかえを視野に入れて検討すべき時期に来ているのではないかと考えますが、教育長のお考えをお示しください。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 資料館では、課題でありましたエントランス部の床面や照明施設の改修を行い、体験学習や展示などに使いやすい空間といたしました。また、展示室では、今年度、新たに免震台を備えた気密性の高い展示ケースを設置するなど、重要文化財に指定された古墳出土品の適切な保存管理に努めてまいります。
 駐車場につきましては、普通車80台が駐車可能ですが、大型バスが来園する場合は、事前に連絡を受けて駐車スペースを確保してございます。さらに、イベント開催等により駐車場が満車になると予想される場合は、必要に応じて近隣の公共施設等をお借りし、適切に対応してまいります。
 県教育委員会といたしましては、こうしたさまざまな措置を講じながら、資料館の整備も含めた紀伊風土記の丘全体のあり方について検討を進めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁をいただきました。「資料館の整備も含めた紀伊風土記の丘全体のあり方について検討を進めてまいります」との答弁でございました。前向きな取り組みを期待しておりますので、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
 3点目に移ります。
 特別史跡の追加指定の答申を受けて、大谷山22号墳と天王塚古墳の調査、発掘、今後の取り組みについてお尋ねをいたします。
 ことし6月17日に国の文化審議会は、特別史跡岩橋千塚古墳群に新たに2カ所の前方後円墳を追加指定するよう文部科学大臣に答申されました。今回追加指定されるのは、市内鳴神に位置する大谷山22号墳と下和佐と西にまたがる天王塚古墳で、いずれも古墳時代後期、今から1500年近く前につくられた前方後円墳です。
 大谷山22号墳は、標高132メートルの大谷山山頂に位置し、おととし行われた発掘調査で人や動物、家などの埴輪や須恵器などの土器が出土したほか、後円部には全長7.8メートル、高さ3.15メートルの横穴式石室があります。
 天王塚古墳は、標高155メートルの岩橋丘陵の最も高い地点につくられ、長さ88メートルで2段式のつくりは和歌山県内最大の前方後円墳です。後円部には全長10.95メートル、高さ5.9メートルの横穴式石室が設けられ、中から金や銅で飾られた金具片や土師器、漆製品などが出土しているほか、ガラス玉やこはくの玉など、装飾品も出土しております。
 大谷山22号墳と天王塚古墳は東西に分かれていて、いずれの古墳も、今から1500年ほど前の古墳時代後期の歴史を知る上で貴重なものとして高く評価されております。特別史跡への追加が答申されることになりました。日本でおよそ60ある特別史跡のうち古墳群は、宮崎県の西都原古墳群と岩橋千塚古墳群の2つです。
 8月28日、岩橋千塚を守る会主催で天王塚の発掘状況及び和歌山県の古墳文化についての学習会が開催されました。44人が参加され、会場がいっぱいになりました。改めて市民、県民の方々の関心の高さに驚かされました。
 答申を受け、来月にも官報告示と期待するところでございますけども、これで平成25年9月定例県議会に岩橋千塚を守る会から提出された請願が実現し、和歌山県の大事な特別史跡が拡充されることになります。今後の整備計画について、教育長にお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 今回の特別史跡の追加指定地につきましては、議員の御指摘に加え、天王塚古墳には岩橋千塚古墳群においてのみ確認されている石はりを8本持つ石室があり、山頂部の岩盤を深くくりぬいて築かれていることから、全国でも類を見ない石室としてその学術的価値が認められました。
 今後の整備計画としては、今年度に指定地の土地購入、平成29年度以降に石室と墳丘の発掘調査や連絡道路を建設するなど、本格的な整備を進める予定です。
 このような取り組みを通じて、特別史跡である岩橋千塚古墳群が和歌山が誇る貴重な遺跡として県民の皆さんに周知され、親しみを持って来ていただけるように一層努力してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁いただきました。
 いよいよ土地の購入を行い、その後、発掘調査や連絡道路の建設などを経て、数年かかるものと思いますけども、新しい文化財が発掘されるかもという、そういう期待がいっぱいでございます。ぜひ早急に取り組んでいただきますようにお願い申し上げたいと思います。
 大きな2番目の項目に移りたいと思います。
 相模原市の障害者施設における殺傷事件についてお伺いをいたします。
 7月26日、神奈川県相模原市障害者施設・津久井やまゆり園において、同園の元職員が施設の1階窓ガラスを割って侵入し、施設の入所者男女が刃物で刺され、男女19人が死亡、男女26人──うち2名は職員──が負傷し、戦後最大級の犠牲者を出した殺人事件となりました。犠牲になられた方や負傷された関係者の方々に心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。
 1人の人間がここまで多くの人間を死に至らしめる事件として、戦後最悪な事件となりました。
 事件後、さまざまなことがわかってきました。容疑者がことし2月19日まで常勤職員として3年2カ月もの間、この施設に勤務していたという事実。さらに驚くべきなのは、この容疑者は障害者が大嫌いで、「障害者は社会的に不要な存在だから死ぬべきだ」と知人や近所の人に公言していたこと。また、衆議院議長宛てに事件の犯行予告ともとれる内容の手紙を届けていたこと。重度の障害者について安楽死を容認する発言をし、施設側から「ナチス・ドイツの考え方と同じだ」と批判されるも、その主張を変えなかったことから措置入院がとられ、その後、大麻の陽性反応も出て、大麻精神病、妄想性障害などと診断されていました。しかし、この大麻の陽性反応が警察当局に報告されていなかったことも報道されておりました。安倍総理や菅官房長官の談話だけでなく、海外からも反響があり、大きな社会問題となっております。
 驚くべきことは、障害者に対する偏見や容疑者の考えに同調や共感するなど、ネット上で書き込みがあることです。障害者はいなくなったほうがいいという主張は、障害者へのヘイトクライムに当たります。ヘイトクライムはメッセージ犯罪とも言われ、決して許されるものではありません。また、社会は自分がやったことに理解を示すはずだと信じていることにも驚きを隠せません。
 全国各地の障害者団体などからは、障害者の人権を否定する犯罪を非難する緊急声明や共生社会の確立を求める訴えが相次いでいます。私も、障害者団体にかかわりがあり、さまざまな声を聞かせていただいております。一生懸命生きている障害者、またその家族の方々をできる限り応援していくことは人間として当たり前だという社会を目指すべきです。
 障害者に対する偏見や差別をなくすため、県はどのような施策を講じておられるのか、お考えをお示しください。仁坂知事にお尋ねいたします。
 また、2点目として、事件を受けてどのように進めていかれるのか、お聞きしたいと思います。
 県は、「指定障害福祉サービス事業所等の安全管理対策の徹底について」の文書を7月26日に早速通知されております。素早い対応だったと思います。障害者福祉施設306事業所、障害児福祉施設148事業所、グループホーム66事業所に通知されたわけですが、安全管理対策上、今後どのように進めていかれるのか、お考えを福祉保健部長にお聞かせいただきたいと思います。
 3点目として、障害者差別解消支援地域協議会の設置についてお伺いします。
 本年4月、障害者差別解消法が施行されました。障害があっても社会の中にあるバリアがなければ、障害のない人と同じように生活し、社会で力を発揮できる。差別解消法は、バリアを取り除くため、こうした合理的配慮を求めております。
 障害者から申し出があった場合には、公的機関には、負担が重過ぎない範囲で対応する法的義務があります。地域のさまざまな関係機関など参加した障害者差別解消支援地域協議会の設置ができることとされています。設置について努力義務とされておりますけども、県の取り組み状況を福祉保健部長にお聞きします。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 神奈川県相模原市の障害者施設・津久井やまゆり園において、多くの方々が命を奪われるという痛ましい事件が発生しました。お亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、御家族、関係者の方々に深く哀悼の意を表します。
 この事件の容疑者である同園の元職員は、障害者の人権を否定する発言や、差別や偏見を助長する言動を繰り返し行ってきましたが、これは決して許されることではないと思います。
 障害の有無にかかわらず、県民が互いに助け、支え合い、尊重し合いながらともに生きる社会を築き、障害のある人が障害のない人と同じように社会参加できることが重要であります。そのためには、県民の理解、共感、協力が不可欠であります。
 県では、これまでも、障害に対する県民の理解を促進するため、12月の障害者週間を中心とした街頭啓発やイベント、「県民の友」などによる広報のほか、さまざまな機会を通じて啓発に努めているところでございます。
 また、つい最近でございますが、本年8月には、県民が多様な障害の特性を理解し、障害のある人に温かく接するとともに、障害のある人が困っているときに声をかけ手助けを行う「あいサポート運動」に取り組むことにいたしました。これに加えて、もとより県では、ヘルプマークの普及や障害者等用の駐車区画の適正利用促進など、障害のある方々の支援を行ってまいりました。
 県としては、障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、差別の解消に一層取り組むとともに、障害のある人の社会参加の促進、共生社会の実現に努めてまいりたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 安全管理対策についてお答えいたします。
 7月26日に発生した相模原市での障害者施設における殺傷事件を受け、県が実施している障害者支援施設等の実地指導において、施設における安全管理対策を重点事項に位置づけ、その状況を確認し、安全管理対策の徹底を指導しております。
 また、障害のある人が入所している施設32カ所に対し、施設における防犯対策について調査を行い、その結果を踏まえ、8月18日に障害者支援施設等に、さすまた等の防犯用具の購入、防犯マニュアルの作成、警察と連携した防犯訓練の実施、自治会や近隣住民等との連携協力体制の構築などの安全管理対策の徹底を再度指導したところです。
 一方、国においては、第2次補正予算において、障害者支援施設等の防犯対策を強化するため、非常通報装置や防犯カメラの設置など、必要な安全対策に係る費用についての補助金が予算化されるとともに、検証チームを発足し、事件の検証が行われているところですが、9月14日に中間取りまとめが示され、昨日、国から「社会福祉施設等における防犯に係る安全の確保について」の通知があり、施設における防犯対策等の点検項目が示されました。これを受けて、直ちに国からの通知を障害者支援施設を初めとする社会福祉施設等に周知し、取り組みを図るよう指導してまいります。
 県としましては、今後も、施設の安全管理対策のさらなる強化、施設職員のメンタルヘルスケアの実施、人権擁護研修の実施などを指導し、障害のある人の安全確保に努めてまいります。
 続いて、障害者差別解消支援地域協議会の設置についてお答えします。
 本年4月から障害者差別解消法が施行され、障害を理由とする不当な差別的取り扱いが禁止されました。また、障害のある方等から社会的障壁の除去について申し出があった場合、行政機関は、必要かつ合理的な配慮の提供が義務づけられています。
 法律の目的である障害者差別の解消が推進されるためには、市町村や一般相談支援事業者など、地域におけるさまざまな相談機関等が、それぞれの役割に応じて障害者差別に関する事案の解決や発生防止のための取り組み等を行うことが必要であると考えています。
 県としましては、障害者差別解消支援地域協議会を今年度内に設置し、関係機関と相談等についての情報共有や事例を踏まえた協議等を行い、その結果を地域の相談機関へフィードバックをするなど、障害を理由とする差別の解消に向け取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 再質問を行いたいと思います。
 まず、この事件が特異な事件として片づけられてしまってはならないと考えております。5歳の重い障害のある息子を持つ野田聖子衆議院議員のコメントで、「私は意外性を感じなかった。いつかこんなことが起きる。本音を言えば、私も息子も、いつ襲われるかわからないジャングルの中を歩いている気分です」と答えられております。障害者を持つ家族の本音かもしれません。障害者への差別や偏見の解消に取り組むことで、二度とこういう事件を起こさないという決意が抑止力への一歩と考えます。
 今月14日、厚労省の再発防止に向けた検討チームが中間報告を発表いたしました。容疑者が大麻精神病などと診断され、措置入院の手続がとられていたが、しばらくして退院していたことから、報告書では、1つ、薬物の再使用防止を含めた継続的な医療支援が不十分だった、2つ、患者への対応で関係機関の連携の不備があった、その上で、患者が措置入院から解除後まで医療や生活面での支援を継続的に受け、地域で孤立せず安心して生活できることが事件の再発防止につながると提言をしております。
 この提言を受けて、本県での対応について、再度、福祉保健部長のお考えをお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 中間取りまとめにおいて提起されておりますが、措置入院患者については、入院時から退院後まで、関係機関が緊密に連携し支援することが重要であると考えます。
 県では、従来、入院患者の居住地の精神保健福祉相談員や保健師が病院を訪問して患者の状況を把握するとともに、退院前に関係機関によるケース会議を開催し、退院後の支援体制を構築するなどの取り組みを行っており、今回の事件を受けて、今後、退院後の支援体制をより一層緊密に行ってまいります。
 あわせて、精神障害のある方に対する偏見が強まり、地域生活移行が妨げられることのないよう啓発に取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁、ありがとうございました。
 じゃ、3点目に移りたいと思います。
 成年後見制度について質問さしていただきます。
 成年後見制度は、医療技術の進歩などにより長寿社会になった日本において、認知症や知的障害、精神障害など、判断能力が十分でない方が利用できる制度として2000年から始まった制度です。
 最高裁判所が発表しております成年後見関係事件の概況によりますと、成年後見制度の利用者は増加傾向にあります。2015年12月末時点の利用者は19万人を超え、この5年間で36%増になっております。
 県内における裁判所への申し立て件数は、昨年は213件。成年後見人等と本人との関係を見ると、配偶者、子供、きょうだいなど、親族が選任されたものが全体の約29.9%、これは前年に比べると5%減っております。親族以外の第三者として弁護士や司法書士等を選任するケースがふえており、昨年で全体の70%を超える状況となっております。認知症や独居高齢者が増加する中、判断の能力が不十分な人を支える成年後見制度の担い手育成が喫緊の課題となっております。
 また、このたび、成年後見制度において、後見人等が高齢者の介護サービスの利用契約等を中心に後見等の業務を行うことが多く想定され、成年後見制度の諸課題に対応するためには、弁護士などの専門職後見人がその役割を担うだけでなく、専門職後見人以外の市民後見人を中心とした支援体制を構築する必要があります。
 そのような社会的背景があり、平成23年度から、市町村において市民後見人を確保できる体制を整備、強化するため、市民後見育成事業が始まっております。市民後見人の現状について、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 市民後見人の現状についてですが、まず、本県の成年後見、保佐、補助等を含む成年後見関係の家庭裁判所への申し立て件数は、平成25年が243件、平成26年が214件、平成27年が213件と、最近の3カ年では毎年200件を超えています。
 県では、制度利用者の増加に伴う後見人の不足に備え、平成20年度から和歌山県社会福祉協議会に設置している和歌山県成年後見支援センターにおいて市民後見人の養成講座を開催しており、講座修了者数は現在220名となっております。
 講座を修了された形に対してはフォローアップ研修なども実施しておりますが、実際に後見業務に携わった経験のない講座修了者が家庭裁判所から後見人として選任されることは難しく、現時点で選任された実績はありません。
○議長(浅井修一郎君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 講座修了者数は現時点で200人を超えているが、後見人として選任された方はいないというお答えでございました。今後、実務経験をいかにつけていくかということが課題だと思います。
 本年4月、成年後見制度の関係法として成年後見制度利用促進法が議員立法で成立いたしました。首相を会長とした成年後見制度利用促進会議と有識者委員会が設置され、制度の利用普及に向けた基本計画や、制限されている被後見人の権利の見直しや、後見人の不正防止策といった制度の改善、後見人を育成するための措置、市民後見人の支援体制の整備等がうたわれております。
 後見人の必要性が高まると、まことに残念なことではありますけども、高齢者などを狙った悪徳商法の横行により財産を奪われる事件や、社会的弱者を守る重要な成年後見制度であるにもかかわらず、成年後見人になった者が財産を横領する事件なども起きてきております。報告やチェック機能の強化、これは制度の問題として国が検討すべき課題です。
 一方、介護サービスの基盤強化のための介護保険法の一部を改正する法律が平成23年6月15日に可決成立し、平成24年4月1日に施行されました。
 今回の改正により、老人福祉法第32条の2、後見等に係る体制の整備等が新設され、第1項では、市町村は、後見、保佐及び補助の業務を適正に行うことができる人材の育成及び活用を図るために必要な措置を講ずるよう努めることとされております。
 また、第2項では、都道府県は、市町村と協力して後見等の業務を適正に行うことができる人材の育成及び活用を図るため、研修の実施、後見等の業務を適正に行うことができる者の家庭裁判所への推薦その他の必要な措置の実施に関し助言その他の援助を行うように努めなければならないと規定されました。
 今後、後見人は、認知症やひとり暮らしの高齢者の増加に伴い、高齢者の介護サービスの利用契約などを中心に業務を行うことが多くなると想定されます。弁護士など専門職や親族による後見人だけではなく、市民後見人の育成が鍵を握ると言われております。本県の責務として、市民後見人の育成と制度の普及について今後どのように進めていかれるおつもりか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 市民後見人の育成と制度の普及につきましては、財産の管理や日常生活に支援が必要な認知症、知的障害、精神障害の方々が安心して住みなれた地域で生活を送れるよう、まずは成年後見制度を周知し、その利用促進を図ってまいります。
 また、後見人につきましては、かつては「家族の問題は家族が引き受ける」といった家族に対する意識が高かったことや同居世帯が多かったことなどの理由により、親族による後見人が多数を占めていましたが、現在はその割合が減少してきております。そのため、親族にかわって地域で御本人に寄り添い、介護サービスの利用契約の支援や日常的な金銭管理等を行う後見ニーズが高まっており、その役割を果たすことのできる市民後見人の育成が必要であると考えております。
 市町村社会福祉協議会は、さきに述べましたニーズを中心に法人として後見業務を行っておりますので、養成講座修了者がそのスタッフとなって業務に携わり、実務経験を積むことで市民後見人として選任されるよう、今年度から和歌山県成年後見支援センターが市町村社協に対し、養成講座修了者の受け入れについて協力依頼を行っているところです。
 今後、国において成年後見制度利用促進基本計画が策定されることとなっておりますが、選任された市民後見人が安心して後見業務を行えるよう、後見人に対する相談支援等を行う体制を整備するなど必要な施策について、和歌山県社会福祉協議会と協力し検討してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 最後の4項目めに移りたいと思います。
 和歌山県・和歌山市政策連携についてお尋ねしたいと思います。
 和歌山県・和歌山市政策連携会議が、平成26年10月、12月、そして平成27年3月と3回開催されております。最初は和歌山市から13項目、県が5項目、3回合計で和歌山市が21項目、県が20項目の議題項目となりました。
 万機公論の場として捉えると知事が会議の冒頭に話されたように、県市のトップが双方の課題を率直に話し合う機会として注目され、マスコミも取り上げておりました。仁坂知事、尾花市長以前にも県市連絡会議はあったようです。それは副知事、副市長といった方が中心に行っていたケースもありましたが、行政のトップ同士が課題や情報交換しながら問題解決していくというのは、課題先進県として大変意義あると考えます。
 今後の会議の方向性について、仁坂知事にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県・和歌山市政策連携会議は、県と和歌山市が連携して解決を図るべき重要な政策課題について直接意見交換を行うためのものでございます。実は背景にはいろいろ──特に何ということはないんですけども、職員同士がお互いにぼんやりとした不信感があるなあというようなことがございまして、直接会って話したほうがいいんじゃないかというようなことで考えたというところもございます。
 平成26年度には尾花市長が新たに就任されたということもございまして、いわばこれまでたまっていた案件を一遍に全部出して、つまり棚卸し的にそれぞれの課題をお互いに出して、忌憚なく意見交換を行うということをやりました。
 その結果、県市においてさまざまな課題が共通に認識され、共有されるということとともに、会議の開催後は、それぞれの事務レベルで連絡調整を行いながらともに課題解決に向けて取り組んでいて、そういう点ではかなり成果があったんじゃないかなというふうに思っております。
 こうしたことから、当会議については、定期的に開催してもちょっとマンネリ化いたしますので、必要に応じて、そろそろたまってきたなというときには今後も開催を検討してまいりたいと、そんなふうに思っております。
○議長(浅井修一郎君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 いろいろとお答えいただきました。
 県と市とのいろんな課題、それを棚卸しというふうなお話もございましたけども、私も民間におりましたんで、棚卸しというのは、もう必ず年に1回は行わなきゃいけないんですね。本決算と仮決算と年に2回やるときもありますけども、そういう意味ではもう定期的、それぞれの発案の中で課題を感じてお話し合いされるんでしょうけども、双方が見える形でやっていただければと心からお願いする次第でございます。
 2点目に、尾花和歌山市長は、中央卸売市場建てかえ計画と、この中央卸売市場の観光市場化を図り、道の駅の併設構想を発表しております。実現すると、和歌山市では初の道の駅となってまいります。平成26年10月に行われました県市政策連携会議の中で最初にこの計画を提案し、県との連携協力を求めています。
 国土交通省によると、道の駅とは、市町村等と道路管理者が連携して設置し、国土交通省に登録された、駐車場、休憩施設、地域振興施設が一体となった道路施設となっております。ことし5月現在で全国に1093カ所、そのうち和歌山県内には、ことしできた紀の川市・青洲の里と現在建設中の太地町・たいじを入れて32カ所にあります。
 道の駅は、1つ、安全で快適に道路を利用するための道路交通環境の提供、2つ、地域のにぎわい創出を目的とした施設などが基本となっておりますけども、道路や観光情報など、地域の文化や名所、特産物などを活用した農産物直売所、売店、レストランなど、特色や個性を生かし、また、さまざまなイベントを開催することで利用者が楽しめるサービスも提供しております。
 平成27年3月の政策連携会議後、道の駅設置に係る基本計画に関する懇談会ができ、県も参加しておられると伺っております。しかし、今計画中の道路は港湾道路で、港湾道路には道の駅はできません。道の駅設置に向けた現在の進捗状況と県のかかわりについてどのようにお考えか。
 また、道の駅を実現しただけではにぎわい創出にはなりません。周辺は西浜工業団地となっております。例えば南インター供用開始と同時に、そのアクセス道路の県道と南港山東線西浜から水軒口までの拡幅工事や、港湾道路をサイクリング道路として活用する計画などの見通し。今議会に提案されておりますが、今までも大型クルーズ船が下津港に寄港しております。これまで以上の大型クルーズ船が寄港できることを目的とした計画など、道の駅、そして周辺整備にかかわる県の連携協力について、そのお考えを県土整備部長にお聞きしたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 中央卸売市場に併設して計画されております道の駅とその周辺整備に関する進捗状況と、県のかかわりなどについて御質問を頂戴いたしました。
 まず、道の駅の設置についてですが、平成26年10月に開催された和歌山県・和歌山市政策連携会議におきまして、和歌山市中央卸売市場の観光市場としての整備の中で、道の駅を設置したいという御提案を受けたところでございます。
 現在、和歌山市が、国、県、関係団体、事業者及び地元関係者によります道の駅の地域振興施設整備に向けた懇談会を設置され、既に2回の会議が開催されておりまして、今年度中に事業内容をまとめる予定と聞いてございます。
 和歌山県としては、臨港道路を道路法上の道路に位置づける手続や駐車場及びトイレ等の整備について、和歌山市が実施する中央卸売市場としての整備と道の駅の地域振興施設の整備にあわせて実施するよう取り組んでまいります。
 続きまして、道の駅周辺のインフラ整備についてですが、まず、和歌山下津港と阪和自動車道(仮称)和歌山南スマートインターチェンジを結ぶ都市計画道路南港山東線につきましては、県と市で役割分担し、整備を進めております。このうち西浜交差点から水軒口交差点までの区間につきましては、県において平成27年度に事業化し、現在、測量設計や地元調整を進めており、早期に用地取得や工事に着手できるよう取り組んでまいります。
 また、水軒口交差点付近から塩屋2丁目までの区間につきましては、和歌山市が平成27年8月に一部暫定供用を行っており、平成30年度の完成を目標に、引き続き事業を進めていると聞いております。
 さらに、和歌山市和田から(仮称)和歌山南スマートインターチェンジまでの区間につきましては、平成30年度にインターチェンジの同時供用ができるよう、現在、県において用地取得や工事を進めているところでございます。
 次に、川・山・海のサイクリングロードの整備の状況ですが、和歌山市内においては、加太周辺から道の駅を経由して和歌山マリーナシティに至る海岸線を通過するルートを設定しており、平成29年度の概成を目指し、ブルーライン等の路面標示の設置を進めてまいります。
 さらに、和歌山下津港においては、14万トン級のクルーズ客船が入出港時に安全に航行できることを検証するための調査に係る費用について、今議会で上程させていただいているところでございます。これは、海の玄関口である和歌山下津港には、現在7万トン級のクルーズ客船までの入港が可能でありますが、日本に寄港する外航クルーズ客船が大型化している状況を踏まえ、これに対応することを目指すものであります。
 県としましても、市と連携調整を図り、道の駅とともに周辺整備を行い、観光振興や産業振興につながるよう取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 いろいろお答えをいただきました。
 ぜひ、道の駅、そして周辺整備、県市で連携協力していただき、和歌山市の新しい観光地になりますよう期待をして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時40分休憩
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  午後1時0分再開
○副議長(服部 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、順次、一般質問をさせていただきます。
 まず、和歌山県地域医療構想についてお尋ねをいたしたいと思います。
 このほど、和歌山県の地域医療構想が策定をされました。この地域医療構想というのは、国による医療費抑制の仕組みづくりの一環であり、病床機能の再編としてベッド数を全国で20万床削減する計画となっています。和歌山県でも約3000床ものベッド数を削減するという計画となったわけで、果たして必要な医療が提供できるのかという不安の声が出されております。来年度策定予定の県保健医療計画本体の検討とあわせ、県民にとって必要な医療をどう提供、確保していくのかと、大いに議論が必要だと考えるものです。
 中でも、この地域医療構想で示された数字を見ると、有田保健医療圏の必要病床数は、高度急性期医療のベッドがないなど他の保健医療圏と比べても特徴的なものとなっております。なぜこういう構想になったのか、果たしてそれで大丈夫か、これからどうなっていくのかなど、有田の住民の皆さん、関係者の皆さんとしっかり議論をしていかなければならない課題だと思っています。
 そこで、こうした地域医療構想策定の前提となる困難を抱えた有田保健医療圏の現状と課題についてお伺いをいたします。
 まず第1点目に、救急患者の有田圏域での受け入れ状況についてです。
 有田は救急医療の谷間だ、こういう住民の声をこれまで何度かこの県議会で取り上げてまいりました。急ぐはずの救急車が高速道路の有田インターの入り口でハザードランプをつけてとまっている、そんな状況が頻繁に見られました。これは、救急患者を有田地方の救急病院で受け入れてもらえずに、和歌山市内等の他郡市での受け入れ先をじっと探している姿でした。
 また、一口に圏域外への搬送といっても、1分1秒を争う高度医療が必要な重症患者さんを医大や日赤病院等へ直接救急搬送するのは当然必要な措置なんですが、有田圏域での救急患者受け入れが不十分だったために軽症患者まで圏域外へ搬送されてしまっていたことを、有田の課題として指摘してまいりました。
 その後、医療・行政関係者の皆さんの御努力により救急患者の受け入れが向上しましたが、この間の急激な医師不足により再び悪化している状況だと聞きます。有田圏域内で救急搬送できたケースと、やむなく有田圏域から圏域外へ搬送されたケースの割合について、この間の推移と現状はいかがでしょうか。まず、福祉保健部長より答弁を願います。
○副議長(服部 一君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 有田保健医療圏内への救急搬送患者の受け入れの推移につきましては、平成19年の搬送割合は47.1%であり、圏域内への搬送割合が低かったことから、有田市立病院の救急搬送受け入れ体制の強化を図った結果、その割合は平成24年には52.5%と改善されました。
 しかし、平成25年以降、有田市立病院内科医師の相次ぐ退職により、救急搬送患者の受け入れ体制が維持できなくなり、比較的軽症の患者も和歌山市などに搬送されたことで、圏域内への搬送割合は平成27年では44.6%となっています。
 現在、県では、有田保健医療圏の救急医療を初めとする医療提供体制を確保するため、有田市立病院に内科常勤医を派遣し、圏域内への救急搬送の受け入れ強化に取り組んでいるところです。
○副議長(服部 一君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 答弁いただきました。
 やはり、救急搬送患者の有田圏域内での搬送率が44.6%と50%を切っている、つまり半分以上が和歌山市を初めとする有田圏域以外へ搬送せざるを得ない実態が改めて明らかになったと思います。和歌山市への交通の便がよくなったとはいえ、救急隊にとっては、救急搬送で呼ばれて、受け入れ先の病院を探して搬送して、帰ってくる、これトータルすればやっぱり数時間かかります。複数の救急出動が出てしまえば、非番の職員まで呼び出してスタンバイしなければならないという例も以前に紹介したとおりです。引き続き、この問題の改善に向けて努力をお願いしたいと思います。
 こうした救急医療の問題は、救急指定病院の体制の問題とともに、それ以上に深刻な医師不足が根底にあって、ここを解決していかなければ、かえって医療現場に困難を押しつけることにもなりかねません。
 そこで次に、産科医を初めとする医師不足問題についてお伺いをいたします。
 有田地方では、3年前の秋に有田市立病院の分娩が中止になり、赤ちゃんを産むことができる、そういう医療機関が民間クリニック1カ所となっていて、地元で安心してお産をしたいと、お母さん方からの切実な声が出されています。有田市立病院での産科分娩再開を目指しつつ、関係者の皆さんのさまざまな努力がなされてきたというふうに思いますが、どのような到達となっているのでしょうか。また、現在、有田圏域で生まれる赤ちゃんの出生率のうち、圏域内で分娩できている人数、割合はどうなっていますか。お示しいただきたいと思います。
 加えて、この間、県としても努力をしてきた有田市立病院における内科医、小児科医不足への対応と現状はいかがでしょうか。福祉保健部長より答弁を願います。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 有田保健医療圏における産科医療体制につきましては、平成25年11月以降、分娩取扱医療機関が診療所1カ所となったため、妊婦健診は有田市立病院や近くの診療所で行い、分娩は和歌山医療圏の連携病院で行うなど、安心して出産できる体制を構築してまいりました。
 有田圏域の出生数は平成27年で517人となっており、当該地域で分娩している人数は329人、約6割となっています。
 次に、有田市立病院における内科医につきましては、常勤医師の相次ぐ退職により一時期1名となっていましたが、県が有田市立病院に対し自治医科大学卒業医師の派遣や県立医科大学と連携した医師確保対策を講じたことなどにより、現在5名の体制となっています。
 また、小児科医につきましては、常勤医が確保できない状況が続いており、現在、非常勤医師による外来診療を行っているところです。
 県では、医師不足の抜本的対策として、平成20年度以降、県立医科大学の入学定員を増員しており、現在、定員増の地域医療枠1期生が県内の公立病院で勤務を開始し、その効果があらわれ始めてきたところです。また、不足する産科医を早期に確保するため、今年度新たに県内の産科医療に貢献する医師向けの返還債務の免除つき研修・研究資金の貸与制度を創設しました。
 今後、これらの医師を適正に配置することにより、医師不足の解消に取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 有田市立病院へは、県と県立医大が対応に頑張っていただいてることに敬意を表します。しかし、緊急対応で配置している医師派遣のおかげで何とか持ちこたえてるという実態だと思います。この県としての臨時的、緊急的措置がなくなっても大丈夫なように、常勤医師の配置に向けて一層の御理解と御努力を関係者の皆さんにお願いをするものです。
 以上、お尋ねをいたしました有田医療圏の現状の課題、これを解決していく上でも今回のこの地域医療構想がどうかかわってくるのか、こういう点で地域医療構想における有田保健医療圏の方向性について質問をさせていただきたいと思います。
 議場に配付をしております資料をごらんください。
 左の表が県内各医療機関の現状のベッド数、2014年の現況です。そして、右側が地域医療構想で示された2025年における医療需要及び必要病床数についてという表で、10年後のベッド数目標という関係です。
 まず右の表ですが、ここの有田圏域のところで高度急性期の医療需要と必要病床数を見ていただきますと、どちらもゼロとされています。県内7つの保健医療圏があるわけですが、ほかにこんなところはありません。
 今度は、資料の左の表をごらんください。これを見ていただくと、高度急性期の現状のベッド数というのは、和歌山が1644床、御坊が4床、田辺が36床、そしてあとの4医療圏は全てゼロというのが現状なんですね。この現状からスタートして、たとえ現在は整備されていなくても、地域医療構想で目指すべき目標、必要病床数がそれぞれの医療圏ごとに示されているんです。
 次に、慢性期病床のほうも見てみますと、右の表の下の注釈、米印1にあるように、有田圏域は他の医療圏よりも削減スピードの緩やかな計算方式をどうやら採用しているようです。これらのことは有田圏域の困難な現状、実態を反映したものだと考えますが、この表を見た有田地方の住民からは、なぜ有田はこうなのか、一体どうなるのだろう、こういった疑問や不安の声が出されています。
 そこで、有田医療圏の地域医療構想策定までの経緯においてどんな議論がされてきたのか、また有田圏域の今後の医療提供体制を県はどのように展望しようとしてるのか、福祉保健部長より御答弁を願います。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 有田保健医療圏における地域医療構想の策定に当たっては、地域の医療関係者などで構成する圏域別検討会の開催を重ね、地域の意見を反映させたところです。
 具体的には、重症患者に対応する高度急性期の医療機能に関しては、隣接する和歌山医療圏の救命救急センターなどに今後も引き続き委ね、機能分担を図っていくことになりました。
 また、慢性期の医療機能に関しては、療養病床に係る入院受療率が県内の医療圏の中で最も高い状況にあり、今後、在宅医療の充実などを一体的に進めていく必要があることから、地域医療構想の目標達成年度を本来の2025年度から5年間延長できる国の特例を適用することとなりました。
 有田保健医療圏の今後の医療提供体制につきましては、高度急性期医療は和歌山医療圏に依存するものの、急性期医療やリハビリなどの回復期医療及び慢性期医療は、管内でバランスをとりながら、住みなれた地域で安心して適切な医療を受けることができる体制の構築を目指してまいります。
○副議長(服部 一君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 高度急性期医療のベッドは、現状を追認して10年後も和歌山医療圏に頼るということのようです。機能分担が十分できるか見きわめていく必要があると思います。また、慢性期のベッドについては高齢者の入院が多いというお返事でしたが、裏返すと有田圏域では在宅医療や介護施設もまだまだ十分ではないという、そういう面があるということだと思います。
 また、この構想とは別に、国は近々介護型病床をゼロにせよというのが規定方針です。こうしたことから、この有田地方に限らず和歌山県全体にとって団塊の世代も含めた高齢化が進む中、一体入院患者さんはどうなるのか。また、病院にとっても病院経営が一層厳しさを増すことになるわけです。
 今後は、この構想に基づいた地域の調整会議が重ねられ、一方で県の保健医療計画の策定にも取り組んでいくことになります。県としても、県民とよく議論し、しっかりと県民の立場に立って医療行政に取り組んでいただくよう要望するものです。
 今後とも、この医療介護問題の方向性については、継続的に取り上げていきたいというふうに思っております。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 店舗・住宅リフォーム助成制度をという柱の質問に移ります。
 住宅や店舗のリフォーム助成制度は、地域経済に対する景気対策の効果が大きいとして全国的に広がりを見せています。私どもも、県民の期待の声を紹介し、こうした取り組みをぜひ和歌山県内でもと、かねてより提案をしてまいりました。きょうは、この間の国の動向、県内市町村の動向も踏まえて、改めてこの住宅・店舗リフォーム助成制度について提案をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、国の景気対策補正予算として実施されている小規模事業者持続化補助金という制度についてお尋ねしたいと思います。
 この制度は、個々の個人商店など小規模事業者を対象にして、販路拡大などの取り組みに補助金が出る仕組みです。これまでの商店街アーケード設置補助のような集団的、面的な事業に対する補助から一歩踏み出した事業です。
 この事業では、販路拡大のためのチラシ作成などと並んで、店舗改修、リフォームが補助対象メニューとなっています。私は、国事業の窓口となっている商工会を訪ねて取り組み状況をお聞きしてまいりました。
 お伺いした有田川町商工会では、ことし約30件の採択を得て、その3分の1が店舗リフォームだといいます。和式トイレを洋式にしたり、内装や看板等のリニューアル、店内のバリアフリー化などに活用されていて、商売に取り組む姿勢も前向きになり、喜ばれているそうであります。上限50万円で事業費の3分の2補助という少額の改修補助ですが、こうした小規模工事は地元の業者さんに受けてもらえるので、地元の経済効果も大きくて地に足のついた支援策だと歓迎されておりました。
 県はこれまで、仕事おこしと地域経済活性化のためにぜひ店舗リフォーム助成をと、こういう要望に対しては、個人資産の形成には公的助成はなじまないとか、店舗は営業用資産だから公益性が明確でないと公的助成は適当でない、こんなふうな見解を示されてきました。
 しかし、この国の補助制度は、さきに申し上げましたように、個人の営業用資産である店舗のリフォームを経済対策として補助対象にするという施策に踏み出したんですね。それも25年補正予算、26年補正予算、27年補正とここ3年続けてきて、先月閣議決定された今度の補正予算でも4年目の事業をやることになったと聞いております。まさに、これは国の中小業者向けの経済対策の看板メニューとなっているわけですね。
 こうした既存の商店街振興の枠を超えた国による経済対策としての店舗改修助成のこの取り組みの意義や効果、県としてどのように考えておられますか。商工観光労働部長の答弁を求めます。
○副議長(服部 一君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 小規模事業者持続化補助金につきましては、小規模事業者が売り上げや生産性向上等を目的に経営計画を作成し、その計画に基づく取り組みに対し費用の一部が助成されるもので、販売促進用の広告作成や店舗の改装など、幅広い経費が補助されるのが特徴であると考えています。
 また、ここ3年間で全国で7万144件、うち県内で922件が採択され、店舗リフォームだけでなくさまざまな経費に活用されており、国の経済対策として一定の効果があったものと考えております。
○副議長(服部 一君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 国の経済対策を評価された御答弁でした。
 続けて、2問目の県内市町村における状況について質問をさせていただきます。
 一方で、和歌山県内に目を向けてみますと、3年前には高野町と海南市の2自治体だけであった県内市町村での住宅リフォーム助成制度ですが、今年度では3市3町の計6自治体で取り組まれております。
 私は、この中で地元の広川町と有田市を訪ね、担当者から直接お話を伺ってきました。広川町では、若者定住策を動機として広川町住宅リフォーム補助金を始めたそうですが、1年目は募集開始初日で予算いっぱい、受け付け終了となって、9月に補正予算を組んで再度受け付けをしたが昼までに完了したそうです。こうした経験から、2年目となる今年度は事業費の2分の1補助で上限50万、1000万円の予算を組んで、もう最初から上半期と下半期に分けて募集を行ったそうです。
 そして、公平性の観点から役場会議室で公開の抽せん会を行ったそうでして、「町民向けのこういう補助金で抽せんなんかやったことがなかったので大変でした」と担当者は笑っておられました。リフォームの内容は、住宅内部を対象としていて、トイレの改修や台所、水回りなど、毎日の生活で一番使うところに人気があるようです。
 有田市の住宅リフォーム工事費補助金、これもことしが2年目です。景気対策として1年限定のつもりで試してみたものの、非常に人気があり、今年度も継続しているとのことです。ここでは、事業費の20%補助で上限は20万円、ことしは600万円の予算です。有田市では外装工事も対象で、工事の内容を見ると外壁塗装や屋根防水などの外装工事が48%、システムキッチンやユニットバス、トイレ改修など水回り工事が36%、畳入れかえや床張りかえなど内装工事が16%という状況です。
 また、助成事業による効果という点では、利用者アンケートを見せていただきますと、補助金がなくてもリフォームする予定だったと答えた方が28%だったのに対して、リフォームを検討してたけども、補助制度を知って時期を早めた、こういう方が60%。そして、リフォームまでは考えてなかったが、補助制度を知ってリフォームをした方が11%ということで、合わせて新規顧客の獲得状況が72%という効果が報告されてます。また、昨年の補助金1000万円によって、事業費ベースで合計7760万円の市内の消費喚起額が報告されておりました。
 ほかにも、和歌山県内で一番早くから住宅リフォーム補助制度に着手をした高野町では、住環境向上と定住促進、経済活性化を目的にして使いやすい制度としたため、人口3000人のまちにおいて、この3年間合計で何と町内の16%もの世帯が利用したという計算になるそうです。すごい数だと思います。ここでは店舗リフォームも対象で、高野山開創1200年に向けてお店もきれいにできたと喜ばれております。
 このように、市町村にとっては、安心して住み続けられる地域づくり、人口減少対策、若者定住対策、地元業者支援による地域活性化などの目的が相乗効果をあらわす魅力的な事業となっていて、そして今度、住民にとっては、日ごろ不便を感じていた住宅リフォームに踏み切る機会となって結果にも満足、そして、地元の中小業者にとっては仕事づくりとなって地域の生きた経済対策につながっていると、まさにこの三方よしの形になっていると思うんですね。
 県としては、これまで政策目的のはっきりしない住宅リフォーム助成ではなくて耐震やバリアフリー等を優先したい、こういう姿勢でありました。しかし、こうした市町村での取り組みを見ておりますと、地域活性化、経済対策、これらの目的も効果もはっきりしているというふうに考えますが、いかがでしょうか。また、地域振興の魅力的なツールとして取り組む住宅リフォーム助成の県内市町村でのこういった広がり、これを県としてどう考えておられますか。今度は県土整備部長より答弁を願います。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 議員御紹介のとおり、今年度は海南市、有田市、新宮市、高野町、広川町、日高川町の計3市3町が住宅リフォームに関する助成を実施しておられます。これらは、それぞれの市町が居住環境の向上、定住促進、経済の活性化を目的として制度をつくられたものと聞いておるところでございます。
 今年度、県内の6自治体において住宅リフォームに関する助成が行われておりますのは、それぞれの市町がそれぞれの課題認識のもとで実施が必要と判断された結果であると私どもは考えてございます。
 しかしながら、このリフォームが昭和56年以前の住宅において行われた場合、耐震改修が行われないままになるという懸念もあるというふうに認識をしてございます。
○副議長(服部 一君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 市町村はそれぞれの政策目的を持って取り組んでいるという受けとめ、御答弁だったというふうに思いました。
 また、耐震補強にならないままになるという、そんな懸念もおっしゃっていましたけども、逆に耐震補強の推進になってる工夫もあるということも紹介したいと思います。
 先ほど言った有田市では、耐震補強工事の受け付け期間と住宅リフォームの受け付け期間を少し重ねておいて、耐震補強工事に相談に来て踏み切ろうかどうしようか迷っているその人に対して、「今、耐震補強を申し込めば、住宅リフォームの補助の優先枠もついてきますよ」、こういう勧め方をしたらしいんですね。耐震工事だけではカバーできない内装とかそういった部分もあるので「それなら思い切ろう」ということで、なかなか苦労していたこの耐震補強工事に踏み切ったケースが2件新たにできたということです。こんな知恵や工夫は大変参考になるなというふうに思ったところです。
 それでは、この経済対策の部門と住宅政策の部門のお2人の部長さんから御答弁をいただいたところで、今度は知事にお尋ねをしたいと思います。
 この間、国や市町村による取り組みが広がっているように、県内中小業者と地域経済に効果が期待される経済対策、そして地域振興として、県としても住宅リフォーム助成、店舗リフォーム助成に取り組むことを検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、地域振興という点では、市町村が取り組む住宅・店舗リフォーム助成に県が支援をするという形もいいと思いますが、いかがでしょうか。知事より答弁を願います。
○副議長(服部 一君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私有財産であります住宅、店舗の単なるリフォームへの補助は、慎重に行うべきであると考えていることには変わりはございません。したがって、県がリフォームへの補助や市町村事業への支援を実施することは考えておりません。
 住宅リフォームについて、県では県民の命を救うための住宅の耐震化を、これはぜひ促進させないかんというふうに思っておりまして、耐震診断、設計、改修に対する全国でもトップクラスの補助を実施しております。
 また、安価にそれができますように、耐震ベッド、耐震シェルターを新たに補助対象に加えるなど、補助制度の拡充にも努めてまいりました。
 さらに、耐震改修補助のほか、バリアフリー改修、省エネ改修などの施策目的に応じた補助も、対象が私有財産とはいえ制度化しております。
 店舗リフォームについては、金融機関と協調して低利、長期、固定金利の県中小企業融資制度を実施してるので、店舗部分の改修、増築等の事業活動に必要な資金を利用していただきたいと考えております。なお、小規模な店舗併用住宅でございますと、住宅向けの耐震改修補助の対象としております。
 今後も、各種補助制度の有効な活用を図り、それぞれの施策目的の達成に努めてまいりたいと思いますが、ぜひそれぞれの立場でこのような制度を利用してどんどん目的を達成してもらえるように、御協力を議員諸公にもお願いしたいと思っております。
○副議長(服部 一君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事の御答弁いただきました。つれない答弁のようにも聞こえましたが、いや、実は大事な御答弁をいただいたというふうに思っております。耐震補強のPRもしっかりとしていただきました。
 行政には、やれない理由というのとやらない理由というのとあるというふうによく言われるんですけども、私は今回の質問で、県がこれまでリフォーム助成をやれない理由というふうにしてきたものを取り上げて、個人資産にも景気対策としては集団でなくても補助やってますよね、営業用資産にも補助やってますよね、政策目的がはっきりしないと言っていた住宅リフォーム助成ですが、政策目的も効果もはっきりしてますよね、ぜひやりましょうよと、こういう提案をさせていただいたわけです。
 知事からは、私有財産に対する単なるリフォーム補助は慎重に行うべきだというのには変わりないと、だからやらないという返事だったわけですけども、そのやれない理由はもうおっしゃらなかったと思うんですね。国も市町村もどんどんやってるということですからね。
 また、私、今回取り上げた地域振興という点では、昨年から交付税において地方創生ということで、県と市町村にも交付税算定がされていると思います。それぞれの自治体が特色ある仕事を進めています。今回提案したように、市町村のそれぞれの政策目的で取り組む住宅・店舗リフォーム助成を県が一部支援するという形は、和歌山県の地域振興、地方創生という点では効果が大きいと思います。ぜひ今後とも、こうした県民に身近な経済対策を御検討いただくよう要望をさせていただきたいと思います。
 次に移ります。最後の質問に移ります。
 介護職員養成と人材確保策についてお伺いをいたします。
 今年度の県の新政策の中で、介護職員養成支援策として介護職員等修学資金貸し付けが始まりました。資格を取得して和歌山県内の施設で5年間従事すると、貸付金の返還は免除という制度です。和歌山県は、人口構成と高齢化の状況から見ても、介護人材の養成、確保は他県にも増して喫緊の課題であり、待遇改善策とあわせ、地域を支える雇用の場としても重要な位置づけが求められている課題であることは言うまでもありません。
 この修学資金貸し付けについては、これまでも国予算がついたときには実施されていましたが、国の予算終了とともに和歌山県では休止をされていた制度です。昨年の2月県議会一般質問でも再開を求めたところであり、復活を歓迎するものです。
 一方で、先日、地元の県立有田中央高校でお話を伺う機会がありました。この高校には総合学科の中に福祉系列のカリキュラムがあって、3年間の勉強や実習を経て、卒業時に介護福祉士の国家試験受験資格の得られる県内高校ではただ1つの貴重な介護人材育成コースとなっています。
 ところが、今回スタートしたこの修学資金貸し付けは専門学校が対象であって、高等学校の福祉系列は対象外だということなんですね。何とかこの生徒たちにも支援してほしいとの要望もお聞きいたしました。
 そこで、まず第1点目に、和歌山県として介護職員養成と人材確保に向けてどのような施策に取り組んでいるのか、お伺いをいたします。
 そして、次に、こうした福祉系高校にも支援策をできないかを伺います。
 介護福祉士としての資格を持ち、専門性を高めた介護職員を養成するということは、これからの介護施策にとっても、また介護職員の待遇改善にとっても欠かせない課題だと思います。現状では国の修学資金貸し付けが福祉系高校は対象外となっているということなんですが、有田中央高校のような福祉系高校にも修学資金貸し付けの対象を拡大するなど、介護職員養成確保のための支援策、これを講じるべきではないでしょうか。以上2点、あわせて福祉保健部長より答弁を願います。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 介護人材確保対策につきましては、現在、就職セミナーの開催や職場体験事業などの従来の取り組みに加えて、高校生を対象とした取り組みなどを重点的に進めているところです。
 具体的には、昨年度から高校生が在学中に介護職員初任者研修を取得できるよう支援を行っています。昨年度は有田中央高校の生徒9人、今年度は県内15校の生徒128名が資格取得のために研修を受講しており、卒業後は介護職員として県内で働いてもらうことが期待できます。
 本年6月には、漫画を使った高校生向け介護のイメージアップ冊子「GoGo介護」を作成し、県内の高校に配布するとともに、現在、地域の介護事業所と高校が連携をして、介護職のイメージ改善に向けた取り組みを進めています。
 これに加えて、今年度からは新たに介護福祉士の養成施設等に通う際の修学資金の貸し付けや離職した介護人材の再就職準備金の貸し付けを行うとともに、地域医療介護総合確保基金を活用し、介護事業所内保育所の整備や運営の支援を行っています。
 福祉系高校につきましては、公立高校は授業料を無償化されていること、公立高校での修学に係る奨学金制度があることなどから、介護福祉士等修学資金貸付のようなさらなる支援は困難と考えています。
○副議長(服部 一君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁にありましたように、国のほうは高校には奨学金制度があるからそっちでやってねということだと思うんですが、それは違うと思うんですね。高校生向けの奨学金制度、修学資金は、経済的に困難な生徒の修学を助け保障するための制度です。
 今度のこの介護人材確保のための奨学金というのは、試験に合格して何年か地元に勤めたら立派な社会への貢献になるから返さなくてもいいよという優遇策なんですね。この人材確保の優遇策から福祉系高校の生徒たちが外されているのは、放っておけないというふうに思うんです。
 専門学校で介護福祉士を目指す人には、国の修学資金貸し付けという優遇策があります。また一方で、国の医療介護人材確保基金、こっちの予算を使って、この初任者研修を経て介護の現場へスタートを切る、こういう人たち向けの高校生向けの支援もしている。
 ところが、その真ん中ではないですけども、その高校で介護福祉士を目指して専門性を高めて頑張ろうという福祉系向けの優遇策はない。これは何とか考えてあげようという問題だと思うんですね。
 答弁では、県としての幅広い介護職員養成と確保策の努力、お示しいただきました。高校生にも随分ことし頑張っていただいてます。まさに、和歌山県にとってはここが一番大事なとこだというふうに思うんです。他県よりもっともっと力を入れなければならない分野ですよね。
 特に、介護福祉士という資格を目指す人材育成は、介護の仕組みの骨組みをつくる役割を果たすものです。今回取り上げました福祉系高校の話は、対象が本当に小さいだけに光が当たってない部分だと思うんです。でも、地域にとっては、この生徒たちはかけがえのない、地域に残って地域を支えていく人たちなんです。政治の責任、役割は、こうした人数的には小さいけれども、制度の光が当たっていないところに光を当てるのが仕事だというふうに思います。
 他の県でも、福祉系高校への修学資金貸し付けの対象拡大を願う同じような条件の生徒たちがいるはずです。国にも、ぜひ働きかけていただきたいと思います。また、県としても、介護職員確保策として県は応援してますよという支援策を、教育委員会、学校ともよく相談しながら検討していただくよう強く要望いたしまして、今回の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 皆さん、こんにちは。午後の最後の一般質問、よろしくお願いいたします。
 せんだっての台風10号、豪雨で大変な被害に遭われました東北、北海道の皆様方には謹んでお見舞いを申し上げます。
 そんな中で、和歌山選手団も参加しての10月からの希望郷いわて国体・いわて大会ですが、本当に大変な中での開催であります。後につながる大会、無事に開催されますことを心より御祈念申し上げるところでございます。
 昨年の紀の国わかやま国体・わかやま大会の活躍から和歌山選手団には大きな期待がかかるところですが、ことしのリオでも大活躍でした女子レスリングが、岩手から正式競技に採用されます。和歌山県からは、和歌山北高校1年・三輪柚奈選手が初エントリーされます。同時に、男子少年の部には兄で次男・三輪優翔選手が高校3冠に王手をかけます。男子成年の部には長男・大珠選手が出場し、ともに三輪3きょうだいでの出場ということで大きな期待がかかるところでございます。三輪3きょうだいと和歌山レスリング14選手及び和歌山県選手団全競技全選手の健闘と躍動を御祈念いたしまして、一般質問に入らせていただきます。
 まず1つ目、田辺・西牟婁地方における地域再生へのビジョンということで、小項目の1、田辺・西牟婁地方の地域再生に向けての可能性を求めて集う仕組みづくりについて質問させていただきます。
 和歌山県長期人口ビジョン、和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略にもありますように、和歌山県は全国でも有数の若者流出人口の多い県であり、現在の若い世代の流出は人口減少、少子高齢化、地域の活力低下の一因であります。
 将来の人口減少によるダメージを減らすためには若い世代の減少をとめなければなりませんが、かといって、可能性を求めて挑戦していく若い者たちの行く足を鈍らせることにはなりませんので、大事なことは、むしろ力強く挑戦していく若者たちの後押しをしつつ、和歌山県には全国から若者が可能性を求めて集う仕組みをつくって、出入りの均衡を図っていく試みが必要だと考えます。
 今回、和歌山市には薬学部や看護学部、大学誘致の計画があり、まさしく全国から若者が可能性を求めて集う、そういう仕組みづくりであると思います。
 一方、田辺・西牟婁地域においても、昨年、白浜に海外に本社を置くIT企業がサテライトオフィスを設置したのを契機に続々とIT企業が誘致され、クリエーターやその家族が移り住んでこられているという明るい話題もありますが、今後の田辺・西牟婁地域において、地域再生に向けて若者が可能性を求めて集う仕組みづくりをどのように描いているか、知事にお聞きをいたします。
○副議長(服部 一君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 谷口議員御提案の若者が集い定着するためには、産業政策やインフラ等の条件整備を行って働く場をふやすとともに、暮らしやすさや環境のよさをアピールすることが重要であると考えております。
 県といたしましては、働く場をふやすため積極的な企業誘致活動を推進するとともに、県内企業の新陳代謝を促し、産業を活性化するための創業、第二創業の支援などに取り組んでおります。
 特に白浜町では、快適なオフィス環境をセールスポイントとして働きかけた結果、御指摘のようにIT企業の立地が進み始めております。先日、10社目となるNECソリューションイノベータの進出により、ITビジネスオフィス、これは白浜町が用意されているものでございますが、これが完全に満室となりました。さらにIT企業誘致に取り組んでいくため、県では白浜町と連携し、新オフィスの準備を進めているところであります。
 最近、ICT技術者の中で、仕事と休暇が一体となったワーケーションというライフスタイル、これがちょっとトレンディーになってるんだそうでございます。
 そういう意味では、紀南地域においては豊かな自然の中でのアウトドアスポーツだけではなく、国体を契機としたスポーツ合宿の誘致やイベントの開催、またプロ野球独立リーグに加盟する新球団の立ち上げなどもありまして、新しいライフスタイルに合った魅力的な環境が整ってきていると思います。もちろん、温泉、あるいは自然、歴史、アミューズメントなどもたっぷりそろっているところだと考えておりまして、そういう意味では観光地としての魅力があるわけでございます。
 そういうところをアピールいたしまして、IT企業等、働く若い人たちの誘致を行うとともに、観光産業や農林水産業の振興によりまして、紀南地方に将来性のある魅力的な働く場を提供し、若者を呼び込み定着する地域づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(服部 一君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 知事並びに当局の皆様方には、人口減少の激しい紀南地方、田辺・西牟婁地域において、今後なお一層の若い世代の集まるそういう仕組みづくりに、なお一層またこれからもよろしくお願い申し上げまして、次の質問に入ります。
 2つ目です。国道311号栗栖川─近露間など、過疎地域における路線バスの廃止等による交通確保について質問さしていただきます。
 国道311号栗栖川─近露間は、民間事業者における夜間の路線バスが平成26年10月から栗栖川で終点になってしまい、近露の高校生はクラブ活動や補習などに参加すると栗栖川より先は迎えに来てもらうしかないようになりました。
 和歌山県に移住の推進をする一方で、国道を通る唯一の公共交通が廃線して、また再移住を余儀なくされるのではないか、こういうのは政策として矛盾しているのではないか、そういう声もいただきました。今後も移住を推進していくならば、考えていくべき課題ではないかと考えます。
 元来、地域の生活交通は市町村でということですが、特別広い中辺路町において、同じ区域内での交通路線に対する市町村への助成はないことから厳しい状況であります。通学帰路で欠けた部分の補完、国道311号栗栖川─近露間など過疎地域における路線バス廃止等による交通確保について、企画部長にお聞きをいたします。
○副議長(服部 一君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 栗栖川から近露間の路線バスについては、地元住民代表も入った田辺市地域公共交通会議において議論した上で、平成26年4月1日以降の再編に伴い路線廃止となったものでありますが、田辺市からバス事業者に要請し、授業を終えて帰宅する田辺市等に通学する高校生にも近露まで路線バスを利用できるように、田辺駅の発車時刻をおくらせる対応をしてもらうとともに、さらに遅い時間帯での当該路線の交通の確保についても、バス事業者に対し申し入れを行っていると聞いております。
 県としましては、廃止路線等の代替手段の確保については、地元自治体に対し、事業者や地域住民等を交えてしっかり検討していただくよう助言しているところであります。
○副議長(服部 一君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 今後とも、地域の事情なんかを鑑みていただいて、移住政策等、過疎地域のこともまたこれからもよろしくお願いいたします。
 2つ目の質問に入らさしていただきます。
 紀三井寺球場客席への日陰づくりについて質問させていただきます。
 ことしの夏の全国高校野球和歌山県大会も熱戦が繰り広げられ、多くの県民が感動に包まれました。近所の子がけがで苦労しながらも力投する姿や、地域の龍神分校が奮闘する姿、母校が躍動する姿を見て、自分も頑張らなあかんなと、そういうことを感じたところでございます。少なからず、自分と同じように、よし、あの子らに負けんように頑張ろうか、そのように思った県民の方も多数いたかと思います。
 そういう意味では、和歌山県の夏の高校野球県大会は、昨年の紀の国わかやま国体・わかやま大会同様、県民に元気と勇気を与える大きなイベントでありました。ちなみに、和歌山県のように高校野球県予選の1回戦から全試合放送している都道府県は珍しいとのことで、テレビを見て応援する人、支える人がたくさんおられるということも野球王国たるゆえんでもあるかと思います。
 その高校球児3年生にとっては、最後の夏である甲子園への切符をかけた戦いに大きな力を与えるのが、ずっと選手を支えてきた家族や同じ高校の生徒たちのスタンドからの熱い応援であります。多くの生徒、父兄が紀三井寺球場に駆けつけるわけですが、元来、野球の応援とは、選手が炎天下懸命にプレーする中、せめて同じ炎天下での環境で応援することで、選手が「あんなに懸命に応援してくれてるのだから自分ももっと頑張らなければ」と、実力以上のものを発揮して勝利に結びつけてもらおう、そういった願いもあってか、客席にも日陰がありません。
 都市公園法や荷重計算上または費用の面から大規模なアーチ型の屋根や骨組みの設置ができないのはいたし方ないにしても、やはりスタンドの応援団に対する日陰づくりは、熱中症対策や学校の生徒の安全管理からも必要ではないかと考えます。
 ことしの県予選開催中は最高気温が30度を下回ったのは29度が3日のみで、以外の日は30度を上回っており、スタンドの体感温度は予想以上に厳しいものであったと思います。応援する側の攻撃中が炎天下なのは仕方ないとしても、守備中も炎天下では、水分補給の飲み物も熱くなり、体温も上がりっ放しであります。
 例えば、学校には大体校名の入った組み立て式のテントがあると思いますので、これを風に飛ばぬようにスタンドに設置用のジョイントを取りつけ、駆けつけた生徒、父兄の熱中症対策、あるいは祖父母、高齢の方の応援席に組み立てテントを持ち込み日陰をつくれるようにしていただけないか、県土整備部長にお聞きをいたします。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 紀三井寺野球場の客席に日陰ができないかという御質問を頂戴しました。
 紀三井寺野球場を管理する県といたしましても、熱中症対策の必要性は十分に認識しているところでございます。特に夏場の施設利用に際しましては、大会主催者等に対して熱中症への対策を求めるよう注意喚起をしているほか、球場内に設置したミストシャワーを稼働させるなど、可能な対策を講じているところでございます。
 こうした取り組みに加えて、さらにどのような熱中症対策を講じていくべきかにつきましては、他府県における取り組み状況や大会主催者、あるいは施設利用者の意見等を考慮しつつ、議員から御提案のありましたテントの設置可能性なども含めて総合的に検討してまいりたいと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 よろしくお願いします。
 次に、3つ目の質問に入ります。
 関西ワールドマスターズゲームズ2021に向けて。関西ワールドマスターズゲームズ2021に向けた機運醸成について質問いたします。
 まちおこしで来春から紀南を拠点に始動する独立リーグの球団、この球団を軸にして、球団以外に2つのアマチュアのクラブチームを運営する予定になっています。1つは、小学生の少年野球で野球をやっていたが、卒業すると野球をする場所が極端に少なくなる女子の中高校生対象の硬式の野球クラブ。もう1つが、高校、大学と硬式野球をやっていたが、社会人になってなかなか硬式野球ができる場所がない、そういう人のために成人のアマチュアのクラブチームを運営する予定になっています。
 この成人のクラブチームの目標というのが、関西ワールドマスターズゲームズ2021で優勝する、世界一になるであります。これからスタートをしていくところでありますが、やはり30歳以上でチームをつくっていくには大変時間もかかりますし、ましてやせっかくアジア初開催、関西開催でありますから、レクリエーション性の高いグループではなく競技性の高いグループで上位を目指すとなれば、準備もかなり要ると今回感じているところでございます。
 来春には、オークランドでワールドマスターズゲームズ2017が開催されます。野球に限らず、団体競技の競技性が高いグループに出場するチームづくりには時間を要することや、生涯スポーツに親しむ方々に幅広く知らせていくには早くからの広報が必要と考えます。オークランド大会を参考に、2021大会の開催を準備していくこととなると思いますが、両大会の概要について現時点で把握している状況を御説明ください。
 また、2021大会の成功に向けてメダル獲得を目指す選手やチームがふえることが全体の機運醸成につながると考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いをいたします。
○副議長(服部 一君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) ワールドマスターズゲームズ2017オークランド大会の概要でございますが、来年4月21日から10日間の日程で開催され、28競技2万5000人の参加が想定されています。競技によっては高い競技性が求められるレベルとレクリエーション的要素を含む生涯スポーツレベルの区分があり、それぞれ年齢別のクラスが設けられてございます。関西ワールドマスターズゲームズ2021でも同様の区分が設定され、5万人の参加が見込まれます。
 本年10月26日に開催競技種目及び会場地が決定する見込みであり、来年度には実行委員会を立ち上げる予定でございます。今後、詳細が決まり次第お知らせしてまいります。
 次に、参加者への機運醸成でございますが、ワールドマスターズゲームズはおおむね30歳以上であれば誰でも参加できる生涯スポーツの国際大会であり、スポーツを楽しむ人々の交流の場と位置づけられてございます。その中で優勝を目指すチームがふえてくることは、大会の盛り上がりの要因になるものと考えてございます。
 県といたしましては、1人でも多くの人に参加していただけるよう、生涯スポーツを楽しむマスターズ層への周知のため、県内各地でのポスター掲示に加え、本年度、関西マスターズスポーツフェスティバルとして約40の大会を冠大会として開催しております。今後も、ワールドマスターズゲームズのより一層の周知に努めてまいります。
○副議長(服部 一君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。ぜひ、これだけのスーパーイベントですので、多くの方に出場の権利、参加する権利がございます。せっかくですので、たくさん盛り上がって、和歌山にはたくさんメダルを持って帰ってきてもらって、今後のスポーツ振興につなげていただけたらなと、いきたいなと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 2つ目に入ります。
 関西ワールドマスターズゲームズ2021に向けてのハラル環境の整備と推進ということで質問をさせていただきます。
 ハラルとは、アラビア語で「許された」などの意味を持つ、イスラム法で合法とされた健全な商品や活動の総称であります。
 イスラム教徒──以降「ムスリムの方」──が口にできない食料品では、豚肉とアルコールがよく知られています。
 現在、19億人とも言われていますムスリムを対象に、世界的な市場規模は約300兆円、食だけでも約60兆円と言われております。それがさまざまな産業分野に広がっています。日本国内でも、2020年東京オリンピック開催を控え、飲食、ホテルなどのサービス業は大きなビジネスチャンスとして、地方自治体などでは地域再生の起爆剤として取り組みが活発になっています。
 ムスリムの方が海外を旅行する場合や生活を送る場合に一番困るのは食事と言われています。ただし、彼らの宗教の戒律に関する考え方や受けとめ方は人それぞれであり、国によってもさまざまのようです。ハラル認証食材でつくられたものしか食べられない方から、豚肉やアルコールが入っていなければとりあえず問題がないという方まで、特に旅行期間中はおのおのの人の判断が尊重されているのが実際のようでございます。ハラル認証はイスラム教の戒律を全てクリアしたということですが、認証を出す組織が多数あったりする中、ムスリム調理師の有無、ハラル専門厨房の有無など、提供と表示にハードルが高いと言われています。
 そのような中、ハラル認証は全てのイスラム教の戒律を満たすのに対して、ユーザーに部分的にクリアした情報を開示する、お店側のハラルへの対応レベルは利用する側のイスラム教徒自身が判断するムスリムフレンドリーというのも進められつつあります。
 一方、関西ワールドマスターズゲームズ2021は、スポーツコミッション関西の試算では経済波及効果は約140億円。このスポーツコミッション関西のシドニー大会の1人当たりの域内消費額約28万3000円を競技者、同行者などを含めた予測3万人で単純計算すると、海外からの訪問客による経済効果は推定約85億円となります。このうちムスリムの方の訪問がどれくらい予想されているかはわかりませんが、ある程度の人数が予測されますし、経済効果も考えられます。
 関西国際空港からのアクセスからも和歌山県は来訪候補地になる可能性はあるにしても、つまるところムスリム観光客の受け入れ、その環境の広がりが求められます。
 いずれ国際的な観光都市として外国人観光客を受け入れていく中で、今回は県内での認識やビジネスチャンスの拡大に向け、よい機会であると考えますが、ムスリム参加者の観光周遊取り込みのための環境整備について、商工観光労働部長にお聞きをいたします。
○副議長(服部 一君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) ムスリム旅行者の受け入れについてでございますけども、県では、マレーシア、インドネシアを初めとする東南アジア諸国をインバウンド観光客誘致の重点市場と捉え、積極的にプロモーション活動に取り組んでおります。
 こうしたマレーシア、インドネシアなどから訪れるムスリム旅行者の受け入れ環境を向上させるため、県では飲食店、宿泊施設等の観光事業者に対し、受け入れ対策に関するセミナーを開催しております。
 議員御指摘のとおり、イスラム教の解釈やその実践については、宗教、国・地域、文化、個人によってその内容や程度に差があるため、各事業者がまず取り組めることとして、食事を提供する場合には料理に使用されている食材やその成分を表示する、また、お祈り用マットやお祈りスペースの貸し出しの有無など礼拝環境を表示するといったことなどの情報表示を行い、ムスリム旅行者が飲食や施設利用の判断ができる環境を整えることを推奨しています。
 引き続き、セミナーの開催を通じて受け入れ体制の充実に取り組むとともに、メディアやウエブサイトを活用しつつ、あらゆる機会を捉えてムスリム旅行者向けの情報発信を行ってまいります。
○副議長(服部 一君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひお取り組み、よろしくお願いします。
 ムスリムフレンドリーとハラル、よく混同されそうなんですけども、こちらのほうはくれぐれも事業者さんに受け入れの間違いのないように、その点は強く気をつけていただきたいと思います。よく中東やイスラム圏のイメージと混同されることもありますけれども、アジアのムスリム人口は7.5億人とも言われてまして、全体の大体40%強と言われています。
 今後の和歌山県の取り組みにも期待を申し上げて、次の質問に移ります。
 同じく関西ワールドマスターズゲームズ2021、そしてパラリンピックナショナルトレーニングセンター指定に伴う周辺交通のバリアフリーの推進について質問をさせていただきます。
 田辺スポーツパークが、パラリンピック陸上競技のナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点施設に指定されました。東京パラリンピックまで続けていくということですが、今回のナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点施設指定の機会、関西ワールドマスターズゲームズ2021を契機に、障害者スポーツへの理解とともに一層のバリアフリー推進のまたとない契機として取り組んでほしい、こういう思いから、周辺交通バリアフリー推進について質問をさせていただきます。
 競技場へ来られる方、見に来られる方、見られる方、利用する方々にとって、公共交通に乏しい地域から周辺のスポーツパークまで来る交通手段、滞在時の移動手段では、バス、タクシーの重要性というのが特に増してきます。そのような中で、タクシー、バスの民間事業者、周辺交通機関への啓発も含めた交通のバリアフリー化への取り組みについて、福祉保健部長にお聞きをいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 田辺スポーツパーク陸上競技場がパラリンピック陸上競技ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点施設に指定されたことにより、今後、強化合宿等が行われることが予想されるとともに、多くの方々の来場が見込まれます。
 県としましては、競技場を利用される方々が公共交通機関を利用して安全かつ円滑に移動できるようバリアフリー化を推進する必要があると考えており、路線バスにおけるノンステップバスやタクシー輸送における福祉車両の導入、心のバリアフリーの推進などを、関係部局と連携して各事業者に働きかけてまいります。
○副議長(服部 一君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 今までも、県そして市町村、バリアフリー等について一生懸命取り組んできていただいておりますけども、やはり一層の推進となると、きっかけというのが大事かと思います。今回の指定というのはよいきっかけになるとも思いますし、きっかけにしていきたい、そのようにも思わせる機会でもあると思います。ぜひとも、皆さんのこれからの頑張りに、よろしくお願いいたします。
 最後になります。4番の質問に入ります。
 紀伊半島大水害の教訓から、迂回路としての県道近露平瀬線の拡幅について質問さしていただきます。
 紀伊半島大水害からはや5年がたち、その間も熊本、大分を襲った大地震や、せんだっての台風10号、岩手、北海道を襲った大豪雨、そして、今なお10万人以上が家に帰れず、復旧・復興道半ばの東日本大震災で被災された方々には、謹んでお見舞いを申し上げるところでございます。
 あわせて、我々の地域を襲った紀伊半島大水害の記憶も風化させることなく教訓として生かしていくことが、被災された方々、命を落とされた方々に対して我々がしなければならないことであります。
 そんな中で繰り返しお聞きをいたしますが、県道近露平瀬線、ここは紀伊半島大水害被災時に国道311号線が何カ所も崩落しまして長期間通行どめになっていた中、災害代替道路として近露、本宮、熊野川への唯一のライフラインとして活用をされました。
 しかしながら、車幅が1車線の狭隘な県道近露平瀬線、近露─平瀬間は、4トン車以上の通行というのが制限され、ガソリンや生活物資を運搬するのに大変困難をきわめました。
 その教訓から、何としても再度、万が一の災害に備え、この区間の拡幅のお願いをしてきたわけですが、重ねて早期の改良のお願いと今後の見通しについて県土整備部長にお聞きをいたします。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 県道近露平瀬線につきましては、平成23年台風12号による紀伊半島大水害において、議員御指摘のとおり4トン以上の車両は離合が困難であったことを踏まえ、災害時において国道311号の迂回路としての機能を果たすことができるよう10カ所で待避所の整備を計画し、平成25年度から事業を進めております。
 現在、その10カ所のうち特に狭隘な3カ所について事業着手し、うち1カ所について一部区間を暫定供用しており、引き続き整備を推進していくこととしています。
 残る7カ所につきましても、これらの整備状況を踏まえて順次整備していきたいと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 答弁ありがとうございます。今後、なお一層、できれば早くお願いをしたいところでございます。
 この時期になりますと5年前の記憶がすごくよみがえってきて、私の生まれたところは田辺市の大塔村三川というとこでございます。熊野というところに土砂ダムができまして、当時、本当に住民の皆さんと大変な思い、悲しい思いをしたところでございます。時期的に思い出すところでございますけれども、これからもなお一層早目にできましたらよろしくお願いいたします。
 今、田辺市では、7月の世界遺産の追加登録がちょっと延びたということで、10月24日から26日のパリでの世界遺産追加登録に向けて、啓発のポロシャツを皆さんでおそろいでつくっております。機運を高めています。
 田辺市では、闘鶏神社や中辺路、北郡越、潮見峠越、長尾坂、赤木越を追加登録でユネスコ世界遺産センターに認められれば、エリア周辺が地域の活性化のきっかけになると心待ちにしておりますので、当局には登録まで、そして無事に登録されたならば後の取り組みにも重ねてよろしくお願いを申し上げまして、私の一般質問とかえさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、谷口和樹君の質問は終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は9月20日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時17分散会

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