平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、通告に従い一般質問に入らせていただきます。
 最初の1つ目の項目です。県民の暮らしと医療・介護の充実についてお尋ねいたします。
 安倍政権は、社会保障の予算の増加が財政悪化の原因であるかのように言いますが、社会保障を削減しながら軍事費の拡大や大型公共事業へのばらまきを続けています。しかし、日本の社会保障支出は、国民1人当たりはOECD加盟34カ国中17位です。
 政権発足後、4年間で1兆3200億円もの社会保障予算の自然増を削減し、年金支給の連続削減、70歳から74歳の医療費窓口負担の引き上げ、要支援者のヘルパー・デイサービスの保険給付外し、介護報酬の大幅削減、生活保護費の切り下げなど、社会保障の連続改悪を行ってきました。このような中で、社会保障の負担が生活を圧迫する事態が起こっています。
 また、保険料を払えないことで国保の資格証の発行、介護保険サービスの給付制限など行われ、本来低所得者の人ほど必要な医療や介護サービスから締め出されるという深刻な事態も起こっています。さらに、滞納による差し押さえが急増しています。医療、介護について、まずこの高過ぎる保険料負担と滞納への対応の問題を福祉保健部長にお尋ねいたします。
 1つ目は、国保料・税滞納による差し押さえの状況と対策についてです。
 国保料・税は高過ぎると問題になっており、滞納者は平成26年度で県平均で14%に上っています。低所得の方が滞納になっている方が多いように見受けられます。滞納者に対し、納付のためにどういった対策を行われていますか、また差し押さえの状況はどうなっていますか、お尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 国保料・税滞納による差し押さえの状況と対策についてですが、市町村では、滞納者の収入や生活状況を把握し、必要に応じて保険料・税の分割納付など、それぞれに応じたきめ細かな納付相談を行っていると認識しています。
 このような取り組みを行った上で、所得や資産があるにもかかわらず、保険料・税を納付する誠実な意思が認められない者については滞納処分を行っており、平成27年度中の差し押さえは2154件、約6億7000万円となっています。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 きめ細かな納付相談ということが言われました。しかし、差し押さえの状況は市町村によってかなり違っていると思います。極めて少ない市町村もありますが、例えば岩出市では47.5%の差し押さえ、そして紀の川市では35.3%で、白浜町では滞納世帯の差し押さえが25.7%、これは平成26年度の結果の数字です。こういったことは、差し押さえられたことは異常な数ではないかと考えます。県の差し押さえ件数合計も先ほど答弁にありましたが、一昨年よりふえている数です。
 ある市の資格証発行状況の所得階層別を見ると、ゼロ円が最も多く、所得200万円以下が大半を占めています。保険料が高くて払えないことを示しています。滞納と差し押さえについても、ぜひ所得階層別に調べて対策をとるべきだと考えます。
 飲食業を経営されていて、営業不振で税と国保料を滞納している人や、売り上げのお金から仕入れの材料のお金を払わなければならない、そのお金まで差し押さえられた、保険料を納めるのが精いっぱいで窓口負担が払えず治療を中断している方、そして手おくれで手術もできない、そういったことが医療現場の中からも声が聞かれます。また、子供の被害の弁償金を預かっていたお母さんが通帳を差し押さえられた、こういった相談が続いています。
 そもそも保険料が高い。これは和歌山市の場合の試算なんですが、夫婦と子供1人の世帯で、世帯主の賦課対象所得金額150万円であれば、年額37万円余りも負担をしなければなりません。こういった、そもそもの大きな問題があります。県としても、このような中で、今までにも質問させていただいた中でも、国庫負担をふやすように国に働きかけていかれている答弁もいただきました。今回、特に私は、そういった国への働きかけとともに特に申し上げたいことは、この高い保険料を払う見通しが困難と思われる場合、また、年間の保険料の通知が来たときにすぐに気軽に相談できるような、そういった体制を含めて積極的に相談活動に取り組んでいただきたいことを要望をさせていただきます。
 次に、後期高齢者医療保険料の滞納と差し押さえについて質問をさせていただきます。
 後期高齢者医療保険料、介護保険料については、いずれも高齢者への賦課となります。後期高齢者医療保険制度の保険料は年金天引きが基本であり、滞納する方は、年金が年18万円以下なので普通徴収──納付書で納付するやり方ですが、普通徴収の方となると考えられます。こうした低年金の方の滞納は、実際上、払いたくても払えない状況で滞納が起こっているのではないかと考えますが、滞納者の率やその状況についてお聞かせください。また、この滞納者への差し押さえ状況についてもお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 後期高齢者医療保険料の滞納と差し押さえについてですが、平成27年6月1日現在の滞納者数は1839人で、被保険者に占める割合は1.2%であり、滞納額は約1億円となっています。
 また、平成27年度中の差し押さえは55件、約440万円となっています。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 先ほども申し上げたように、75歳以上で年金が年18万円しかない人の生活は、生活保護基準にもほど遠い状況の方に差し押さえをするようなことがあってよいのでしょうか。そういう人にはすべきではないと考えます。
 次に、介護保険料の滞納処分等の状況についてお尋ねいたします。
 介護保険では、保険料の滞納が1年以上になると、サービスの利用の際、一旦サービス費用の全額を自己負担し、後から払い戻しを受ける償還払いとなります。1年半以上では、滞納分の保険料を納めるまで払い戻しがとめられ、保険給付の一時差しとめになります。滞納2年以上では、利用料の自己負担が1割から3割に引き上げられることになっています。
 厚生労働省の調査では、2014年度で介護保険料の滞納により差し押さえ処分を受けた高齢者が1万人を超えています。給付制限を受けた人も、延べ1万3263人いたことがわかりました。県内ではどのようになっていますか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 介護保険料の滞納処分等の状況についてですが、本県における第1号介護保険料の未納者の状況につきましては、平成26年度保険料の未納者数は6774人で、これは普通徴収の第1号被保険者3万2870人の20.6%に当たります。
 滞納処分の状況につきましては、同年度の差し押さえ決定人数は67人で、そのうち滞納保険料充当人数は61人、充当額は287万5785円となっています。
 滞納者に対する保険給付の制限につきましては、同年度の償還払い化は49人、給付の一時差しとめは該当者なし、自己負担が3割に引き上げられる給付の減額等は110人となっています。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再度質問をさせていただきますが、介護保険も同様に年18万円以下の人が差し押さえとなっています。給付制限やペナルティーが生じ、サービスを受けられない事態に追い込んでしまう、こういったやり方について福祉保健部長はどのようにお考えでしょうか。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 介護保険料については、高所得者に対しては標準的な保険料額の2倍以上の負担をお願いするとともに、低所得者に対しては公費を投入して標準的な保険料額の100分の45まで軽減するなど、負担能力に応じた保険料額に設定されています。
 多くの高齢者が負担能力に応じた保険料を納付していただいている状況において、負担の公平性を確保し、介護保険制度を維持するためにも、滞納者に対しては給付の償還払い化や一時差しとめ等を行うことはやむを得ないものと考えています。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、低所得者等への対応についてお尋ねします。
 こうした高齢で無年金を含む極めて低所得等の方々の滞納に対しては、生活そのものが成り立つ相談体制が必要だと考えます。生活保護制度、生活困窮者自立支援制度の活用や処遇困難な場合に関係者が支援策を検討することができるような仕組みをつくるべきではないかと考えますが、この点について県としてどのように対応されているのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 滞納者を含む低所得者や生活困窮者に対しては、平成27年4月から生活困窮者自立支援法の施行に伴い、生活保護を行う振興局や市の福祉事務所に相談員を配置し、生活や就労などさまざまな相談の対応を行っています。
 また、相談の中で就労支援を希望する方には、就労支援員がハローワークに同行し、求職支援を行うとともに、個々の事情に応じて専門機関への紹介を行っています。
 なお、生活が逼迫されている方には生活保護を適用するよう、保護の実施機関を指導しているところです。
 今後とも、生活困窮者の自立を図るため、必要に応じて市町村の国保や介護保険担当者と支援調整会議を開催するなど、関係機関との連携を密にしながら、きめの細かい支援を行ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 これまでに滞納の問題について質問をしてまいりましたが、先ほどの答弁の中でも、低所得者に対しての国の支援も含めて対応しているというお話でした。
 そういった状況の中でも、やはり大変な厳しい生活保護基準以下で生活されている人、そういった方へのきめ細かな相談活動を今後もぜひしていただきたいということと、滞納の問題では差し押さえの件も申し上げましたが、県民にいろいろと社会保障の負担の負荷をかけ、それを一生懸命納入すると、そういった中で、やはり差し押さえのあり方というのが、市町村で窓口で対応していくんですけど、それができないときには回収機構へ税も含めて回され、そしていろいろと財産が、なかなか納める財産がないということがわかったときには、また市町村に戻されるという仕組みになっているんですが、そういったときには本当に生活全般、総合的に厳しい問題を、国保の問題だけじゃなくて税が納められない、そして仕事がなかなかない、また営業が困難になってる、さまざまな問題を抱えた方がいらっしゃいます。
 そういった方に、ぜひともきめ細かな、国保課だけの対応とかどこかの対応だけでなくて、総合的にその方の生活を支援する、そういう体制が私は必要だと。それは、体制にはお金もかかるし、そういったことを含めて回収機構は収納率を上げるということでやる機関なんですが、一方では、収納を強めるということだけでなくて、生活を支援して再び税やいろんなものが負担ができるような生活に戻っていくような、そういったシステムが大変必要だということを強調させていただきます。
 2つ目の国保の県単位化について進ませていただきます。
 国は、2018年、平成30年度から都道府県が保険財政の運営主体となる国保の広域化を決めました。新制度では、都道府県が医療費実績などをもとに市町村ごとに納付金を割り当て、市町村が徴収して都道府県に納めるものです。市町村が独自に決めていた保険料・税を平準化させることなどを通じて、住民に保険料の負担増や保険料徴収の強化をもたらすことになるのではないかと思います。
 そこで、福祉保健部長にお伺いいたします。
 納付金制度により、どう変わるのでしょうか。現在は医療費1円から共同化されているため、市町村からの拠出金と国保連からの交付金で国保会計が運営されてると思います。拠出金については医療費実績50、被保険者割50で市町村の額が決められており、これによって拠出が大きくなるところには県の調整交付金を多くして、負担が大きくならないような対応がされていると思います。これが県単位化になることでどのように変わっていくのか、県単位化した際の納付金とどう変わるのか、お聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 国保の納付金制度によりどう変わるかについてですが、平成30年度以降、市町村が県に納付金を納付し、県が市町村に対し、医療給付費として必要な額を交付することとなります。
 納付金の案分方法については、現在、県財政共同安定化事業で採用されている医療費実績と被保険者数に加え、所得水準も加味することが原則とされており、現在、市町村とその方法について協議を行っているところです。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 市町村との協議の進め方について、県単位化に向けて市町村とはどういう協議を進めていくのか、お答えください。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 市町村との協議の進め方についてですが、現在、市町村担当課長の代表者との協議の場として、和歌山県国保運営方針連携協議会を設置し、納付金や標準保険料率の算定方法を含む国民健康保険運営方針について協議を行っており、その後、全市町村に意見聴取を行うこととなります。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 現在の市町村独自の減免制度及び市町村の法定外繰り入れの状況はどのようになっていますか。県単位化に移行しても、市町村独自の減免制度や市町村の法定外繰り入れが継続されていくことが必要だと考えますが、どうでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 市町村独自の減免制度、法定外繰り入れについてですが、現在、全ての市町村において保険料の減免制度があり、平成30年度以降も継続されるものと考えています。
 また、赤字補填や保健事業などの法定外繰り入れは全ての市町村で行われており、平成26年度は約12億円となっています。
 本来、保険制度で運営している国民健康保険では、赤字補填のための法定外繰り入れは解消すべきものであり、今回の制度改革により公費の拡充が図られるため、赤字補填を行っている市町村については、それを活用し、赤字解消に取り組んでいくものと考えています。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 市町村の法定外繰り入れは、保険料が高騰するために抑制をするということに使ったり、また保健・健康事業に使ったり、赤字補填というようなこと、今さまざまな使われ方を各市町村独自でされてきたかと思うんですが、こういう県の単一化になるということで、先ほどは国としてはそういった赤字補填にするというようなことは会計上解消していく、国保会計として解消していくような方向でと言われたんですけども、市町村独自のそういった減免制度とか、また一般会計からの繰り入れ、そういったことは市町村独自がやっぱり考え、やっていくということで、県は強制するものではないというように受けとめたらよろしいんでしょうか。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 現在、市町村独自で減免制度、それから赤字補填等されておりますけれども、今現在、国保運営方針連絡会議で国保運営方針に市町村ごとの赤字解消とか削減の取り組み、目標年次等を記載する方向で協議を行っています。平成30年度以降は、新たに策定された国保運営方針に基づいて、市町村が赤字補填のための法定外繰り入れの解消に取り組んでいくことになると考えています。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 私としては、先ほども申し上げたように、国保の保険料が非常に負担が重くなって、高齢者が多くなれば医療を受ける方も多くなって、ふえていくということがあるんですけど、やはり根本的に、先ほども申し上げたように、国からの国庫負担をふやすことと、そしてやっぱり県がしっかり支援して、保険料が上がっていかない、そういった状況にぜひしていってもらいたいなということを要望して、次の3つ目の介護保険制度についてお尋ねしたいと思います。
 低所得者等への減免についてお尋ねします。
 先に滞納問題はお聞きしましたが、保険料の低所得者の減免について、県の考えをお聞きします。
 県は、国への要望で介護保険の国庫負担を30%にふやすよう求めています。これは、保険料がこのままでいけば、2030年度には県平均の保険料が9179円──現在は6243円──にも上がり、到底高齢者の負担には耐えられないということからです。また、国が平成29年度に行おうとしていた低所得者の減免の実施が先送りされる心配もあります。
 このことについて、現在での県の考えはどうですか。国が打ち出した低所得者の減免の実施を求める考えはありますか。高過ぎる保険料引き下げのために、国に求めるとともに、県としても対策を講じる考えはありませんか。福祉保健部長、よろしくお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 低所得者の介護保険料軽減につきましては、平成27年4月に所得階層区分の中で最も低い第1段階の第1号被保険者を対象として実施されており、平成29年4月に消費税が引き上げられたときには、この第1段階から第3段階までの者を対象としてさらなる軽減措置が行われる予定でしたが、消費税引き上げが延期されたため、今後の対応については国の予算編成過程において検討されることとなっています。
 県といたしましては、これまでも国の責任おいて恒久的な保険料の軽減措置を講ずるよう要望してきており、引き続き国の対応を注視していきます。県としての独自の対策は今のところ考えておりません。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 国の対応を注視するだけでなくて、積極的に働きかけていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、要支援1・2の方への地域支援事業について、来年度からは全市町村で移行しなければならないことになっています。市町村の取り組み状況と課題はどうなっているか、お聞きいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 平成26年度の法改正により、介護保険の要支援1と要支援2の方向けの予防給付のうち、訪問介護と通所介護を、遅くとも平成29年4月までに市町村の地域支援事業へ移行させる必要があります。
 また、この地域支援事業では、訪問介護、通所介護の現行相当のサービスだけでなく、地域の実情に応じて国の定める事業者の設備、人員基準よりも緩和した基準によるサービス、有償・無償のボランティア等により提供される住民主体による支援、保健・医療の専門職により3カ月から6カ月の短期間提供される短期集中予防サービスなど、さまざまな事業を実施することが可能とされています。
 県内では、訪問介護、通所介護の現行相当のサービスは全ての市町村で実施する予定で準備しており、橋本市では本年10月から実施する予定と聞いてます。また、他の緩和基準によるサービスなどは、現在検討作業中でございます。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、要望させていただきます。
 現行相当のサービスを希望すれば受けられるようにし、サービスを提供する事業所の運営もできるように報酬の切り下げをしないこと、これまでどおり介護認定を受けられるように市町村に働きかけることなどを要望いたします。
 この1項目で国保、後期高齢者医療、介護保険にかかわって質問してまいりましたが、社会保障の負担軽減で暮らしを支えて暮らしの底上げをしていく、こういった施策を県政としても充実させていっていただきたい、そのことを申し上げて2項目めの質問に入らせていただきます。
 南海市駅前周辺整備と関連して、市堀川の浄化について、県土整備部長にお尋ねいたします。
 南海市駅前再開発整備計画が公表され、関係者の議論が行われています。また、昨年から取り組まれているグリーングリーンプロジェクトにより、市駅前ににぎわいを取り戻すための社会実験が行われています。ことしも昨年以上にさまざまな取り組みが計画されています。
 その1つとして、市堀川クルーズという企画で、寄合橋付近から小舟で周遊する企画があります。私も昨年は初めて乗船し、川から眺める景観を楽しみました。その際に改めて感じたのは、子供のころには真っ黒に汚染された川も、きれいになってきていることです。市堀川においてはしゅんせつがなされ、水質も基準内に維持されているということです。河川の水質がさらによくなることで、人が集まり、人々のつながりが深まっていくと思います。今後、市堀川の浄化を進められる取り組みの考えはないでしょうか、県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 市堀川の水質に関してお尋ねをいただきました。
 和歌山市の市街地では、戦後の急激な工場の規模拡大や人口増加に伴い、工場排水や生活排水が増加し、河川の水質が著しく悪化しました。
 このため、昭和44年度以降、和歌川や市堀川の底泥のしゅんせつを行い、さらに昭和53年度には和歌山市塩屋に和歌川ポンプ場を整備し、和歌浦から導水することにより、水質改善に取り組んできたところであります。
 現在、その効果もあり、市堀川での環境基準点であります住吉橋では水質基準を満足している状況となっており、引き続き水質の保全に努めるべく、現状の水質を注視してまいりたいと、このように考えてございます。
 御指摘のありました市堀川のさらなる浄化に取り組むためには、河川等に流れ込む生活排水等の対策が有効と考えてございます。
 南海和歌山市駅前周辺は、既に和歌山市において下水道の整備が完了しておりまして、引き続き接続率の向上が望まれます。このため、市堀川の浄化を進める観点からも、今後とも和歌山市と連携し、下水道への接続率の向上を図るべく啓発等を行ってまいりたいと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁をいただき、課題が明確になったように受けとめました。
 和歌山市の中心部を流れる市堀川は、和歌山城の北外堀に当たります。市堀川を含めた和歌山市内を流れる5つの河川、和歌川、大門川、真田堀川、有本川は、県としても観光資源や地域活性化に寄与できるようにと取り組みが行われています。こういったことを踏まえ、市堀川だけではなく、市内を流れる川を、透明までいきませんが、やはりきれいな川にしていっていただきたく、取り組みを一層強めていただきたいと思います。
 最後に、防災の取り組みについてお尋ねいたします。
 1つ目には、防災アセスメントについてお尋ねいたします。
 9月1日は防災の日でした。10万人以上が犠牲となった93年前、1923年の関東大震災発生の日に当たり、災害に備える認識を深める取り組みが各地で行われました。
 東日本大震災、紀伊半島の豪雨災害から5年です。ことし4月に発生した中央構造線活断層系の西端で起こった熊本地震は、阪神・淡路大震災級、震度7で、その後2000回以上の余震が続くという前例のないものになっています。複数の活断層が連動して地震が起こりました。和歌山県では、中央構造線の活断層は和泉山脈の南麓に沿って東西に伸びています。この活断層は近い将来、直下型の災害が予想されています。南海トラフ地震とともに、この直下型地震への対策が必要かと思います。
 最近では、北海道、東北、関東などに次々と台風が上陸し、被害が広がりました。災害多発国・日本の国民の命と財産を守るという防災の原点を貫く政治の役割が、ますます日々求められていると思います。
 県においても、災害が発生した後の応急対策や復旧・復興対策、減災・予防対策が取り組まれていますが、地震や台風などの災害に関して、急傾斜地や軟弱地盤、災害の履歴等を考慮して、どのような被害があるかを事前に調べる防災アセスメントが重要となると考えます。その点で、危機管理監にお聞きいたします。
○議長(浅井修一郎君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 地震や台風等、想定される災害に対応した人的被害、構造物被害等を算出する被害想定を作成するため、地震、台風等の災害誘因、地盤や危険物施設の立地状況などの災害素因、災害履歴などを考慮し、総合的かつ科学的に地域の災害危険性を把握するいわゆる防災アセスメントを事前に実施することが必要とされております。
 県では、南海トラフ地震や中央構造線断層帯による地震の被害想定を実施するに当たり、従前から詳細な地形や津波の履歴、地盤調査などの防災アセスメントを行い、「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」を策定するなど、実効性のある防災・減災対策に取り組んでいるところでございます。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 続いて、中央構造線直下型地震対策についてお尋ねいたします。
 わかっているだけで全国2000もの活断層があるとされています。どこで大地震が起きてもおかしくない状況です。
 そこで、和歌山県北部を横切る中央構造線直下型地震対策も強める必要があると思いますが、どのような取り組みをされていますか、危機管理監にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 危機管理監。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 地盤調査等をもとにした防災アセスメントの結果、中央構造線断層帯による直下型地震だけでなく、紀伊半島は南海トラフ地震においても震源域に近く、南海トラフ巨大地震で県内のほぼ全域において震度6弱以上と、直下型地震と同様に非常に激しい揺れが想定されております。
 そのため、東日本大震災直後から防災・減災対策の総点検を実施して公共施設の耐震化を進めるとともに、住宅や大規模建築物の耐震化について全国トップクラスの助成制度を用意するなど、地震に備える対策に強力に取り組んでまいりました。
 しかしながら、住宅の耐震化や家具固定は決して進んでいるとは言えず、行政報告会、各種メディア、県庁のルートなどを通じ、あらゆる機会を捉えて必要性を訴えるなど、住宅の耐震化、家具固定、ブロック塀の安全対策をより一層推進してまいります。
 また、議員各位におかれましても、このような趣旨から県民の皆様方に呼びかけていただきますようにお願いをいたしたいと存じます。
 あわせて、発災後の救出・救助等の防災活動や初期消火、避難所の運営等を担う自主防災組織の充実による地域防災力の強化などに取り組み、直下型地震などの災害に備えてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、要望をさせていただきます。
 中央構造線活断層のこの地域には、災害を素因とする被害が潜在的に存在します。これが地震の発生や台風、豪雨によって被害が顕在化するというものです。
 このようにして、県内ではしばしば大きな災害が起こってきました。そのために、県民の命や財産が失われる大きな被害を受けました。公共の施設や産業施設、農地でも突然大きな損失を受けます。2014年に起きた広島での土砂災害では、多くの住宅が被害を受け、たくさんの死者が出ました。また、ことし岩手県では、台風10号により高齢者グループホームに入所されていた方9名が亡くなりました。
 これらの被害は、建物を建てる事前の段階で防災アセスメントを行っていれば、防げた部分があるのではないかと考えます。特に、自然災害により広範囲にわたって被害を与える施設、例えば原発や放射性廃棄物処理施設、産業廃棄物処理施設など、自然災害の後に2次災害が予想される施設については、建設計画の事前にきちんとした防災アセスメントを厳重にする必要があると思います。この防災アセスメントによって大きな被害が予想される場合は、建設計画の中止もあり得るのではないでしょうか。広範囲に被害を与える施設をつくる場合には、現在実施されている環境アセスメントに加え、防災アセスメントとの2つの視点で慎重に対応することを県独自で検討する必要があると指摘しておきたいと思います。
 現在、県は、市町村に対してハザードマップの作成を支援しています。現状で災害を受けた場合の防災アセスメントもされています。これらは評価できるものですが、災害県である和歌山県として、さらに進んだ事前の防災アセスメントを実施することを検討していただきたいと要望して、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時26分休憩
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