平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(岸本 健議員の質疑及び一般質問)


平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(岸本 健議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第193号、議案第199号及び議案第200号は、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 日程第1、議案第214号から議案第216号までを一括して議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました諸議案について御説明申し上げます。
 議案第214号は、国の経済対策を活用し、速やかに事業着手をするため、一般会計で総額48億100万円余の補正予算をお願いするものです。
 防災・減災対策に資する道路、河川及び橋梁の整備に加え、ため池改修や地すべり防止対策等、緊要性の高い事業を追加実施するとともに、新宮港に着岸可能なクルーズ客船の大型化を図るため、岸壁の整備等を行ってまいります。
 また、議案第215号は建設事業施行に伴う市町村負担金について、議案第216号は泉佐野岩出線・岩出橋の上部工事請負契約の締結について、それぞれ議決をお願いするものです。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようにお願い申し上げます。
○議長(浅井修一郎君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 次に日程第2、議案第192号から議案第216号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 26番岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○岸本 健君 おはようございます。9月定例会初日のトップで登壇の機会を与えていただきましたこと、先輩・同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず、和歌山県立医科大学への薬学部開設に関して、知事にお尋ねをいたします。
 2013年3月に国立社会保障・人口問題研究所が発表した日本の地域別将来推計人口によりますと、和歌山県の将来人口が2040年に70万人程度まで減少することが明らかになりました。これを受けて、和歌山県では、何も対策を講じなければさらに人口減少は加速し、2060年にはほぼ人口が半減し、現役世代1人で1人の高齢者を支えなければならない時代が到来する見通しと推計し、持続可能な和歌山県を実現するため、2060年の人口をおおむね70万人確保する目標を定めました。
 昨年6月に、5つの目標から成るまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、当初の5年間の具体的な取り組みと達成すべき目標をまとめられています。
 人口減少を抑制するためには、大きく分けて自然減への対応と社会減への対応の2つの対応が必要と考えます。自然減に関する対応については、子供を産み育てやすい環境を充実、整備することに尽きると思うのですが、県では、子育て世帯の経済的負担の軽減や各種相談事業などにも取り組み、最近では積極的に出会いの場の創出など出生率の向上に向けた取り組みも行っています。
 一方で、社会減に関する対応について考えてみますと、進学や就職の機会を契機として県外へ転出する流出人口に歯どめがかからず、特に15歳から24歳の若年層の転出が他の年代と比べ物にならないぐらい突出しています。
 就職時による転出を抑制するためには、何よりも県内に多くの働く場を確保することが重要であります。知事は企業誘致にも積極的に取り組まれ、本年9月現在で159社の誘致が実現されています。今後も引き続き、県や市町村の積極的な企業誘致によって若者の働く場をつくっていただき、地元で働きたい、地元で暮らしたいという希望をかなえられるよう、従来に増して積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、働く場所がふえれば就業先の選択肢が増加し、既に県外で就職されている方や県外の大学に進学されている方々がUターンやIターン就職を望まれた場合にも、適切かつ効果的な対応が可能になると考えられます。
 そして、もう1つの大きな転出理由に、大学等への進学時における転出が挙げられます。
 和歌山県には、和歌山大学、和歌山県立医科大学、近畿大学、高野山大学、信愛女子短期大学があり、国立大学1校、公立大学1校、私立大学が3校、そのうち1校は短期大学という状況であります。
 なお、文部科学省の学校基本調査によりますと、和歌山県の現役高校生が大学や短期大学等へ進学する割合は45%程度と、比較的進学率が高い一方で、大学等へ進学する者のうち県外へ進学している割合が約87%もあり、全国ワーストワンという状況が昭和62年の統計開始以来、29年間も継続しています。
 県内に大学があれば、県内の大学に進学したいという学生さんもたくさんいらっしゃると思います。また、県内に大学がないため、県外への進学を余儀なくされた学生の保護者の方々は、県外進学による下宿代や生活費など、仕送りに係る経済的負担も大きいものとなっています。和歌山県内で稼いだお金を県外へ流出している状況であります。
 そこで、大学等への県内進学率を向上させるためには、物理的に県内の大学数や学部の定員をふやすよりほかはないと考えます。しかしながら、現下の少子化の時代において、大学の設置や定員の増加が国から容易に認められるとは思えず、また、県立の大学を設置する場合には多額の財政負担も生じることから、開設には相当な困難を伴うことが予想されます。
 そのような状況ではありますが、薬学部や看護系の学部など、卒業後に就職に結びつく専門職業人を育成する学部で、かつ設置に必要な条件が満たされれば、新たな学部の開設は認めないわけではないと文部科学省で確認がとれたということであり、これを受けて和歌山県においては、大学開設の検討や誘致に向けて熱心に取り組まれてこられたものと感じています。
 そして、その第1弾として、東京医療保健大学和歌山看護学部(仮称)が日赤医療センターキャンパスと雄湊キャンパスを活用して入学定員90名で平成30年4月に開設される運びとなったことは、非常に喜ばしく思うところであります。
 さて、かつての和歌山市における大学の配置についてでありますが、現在の県立近代美術館・博物館の場所に和歌山大学教育学部、高松に同大学の経済学部、現在のダイワロイネットの場所に県立医科大学と附属病院、信愛女子短期大学が現在の同中学校・高等学校の敷地と同じ屋形町にあり、いずれの大学も和歌山市の中心市街地ないしはその周辺に位置していたと聞いております。
 大学の都市部から郊外への移転は、和歌山市に限らず全国的な現象でありましたが、中でも都市圏に所在する大学を中心に、既存の大学敷地を売却し、売却した資金を活用して郊外へ土地を取得し、あわせて老朽化した校舎等も建てかえをするスキームを採用して、大学の郊外への移転が積極的に行われてきました。その結果、学生にとっての魅力が損なわれ、募集しても学生が集まりにくくなったりする大学が生じるなど、今では逆に都市回帰する大学もあると聞いています。
 和歌山市に目を戻しますと、和歌山大学は吹上の教育学部と高松の経済学部が統合移転され、栄谷キャンパスへ新たなキャンパスが整備され、南海電鉄によって和歌山大学前駅も設置され、通学も非常に便利になり、周辺の商業施設建設や宅地開発も進んでいます。和歌山大学にとっても、移転統合によって狭隘なキャンパスが解消され、校舎も新しくなるとともに、システム工学部や観光学部など新たな学部も開設されるなど、大学のみならず和歌山県にとっても非常に喜ばしいことであると思っています。
 しかしながら、経済活動の視点から現在の状況を考察してみますと、和歌山大学の学生の皆さんが講義終了後に和歌山市の町なかに集まって飲食をしたり、買い物をしたりする学生がどの程度いらっしゃるのでしょうか。大学周辺でアルバイトをして、終われば大阪へ帰る学生がいるなどとやゆする者も少なからずおられるのではないかと思います。
 同じようなことが、県立医科大学や信愛女子短期大学でも言えることではないでしょうか。特に県立医科大学は、附属病院も中心市街地にあったことから、周辺に与える経済効果はさらに大きいものであったと容易に想像がつきます。
 私は、現在の大学の設置場所がそれぞれの場所に至ったことに対して異論を唱えるつもりは全くありません。それぞれの時代で、与えられた環境の中で最善の選択をした結果だと考えています。しかし、今、大学をつくる、学部を開設するということであれば、町なかへ開設を選択されることは自然の流れであると考えます。
 去る8月9日に和歌山県が公表した薬学部設置基本計画書を見ました。それによりますと、学部の開設場所は、伏虎中学校跡地に薬学部の校舎を配置し、紀三井寺の医学部が所在するキャンパスに医学と薬学の共同研究施設を建設する計画となっています。医科大学にとっては、旧医科大学敷地より少し西側にずれることになりますが、もともと医学部や附属病院のあった場所へ里帰りするようなものであります。
 現在、和歌山市議会では、敷地の広さや薬学部の施設の危険性などについて議論されているとのことでありますが、そもそも旧医科大学が隣接地に所在していた際も、放射線関係や動物実験施設など、薬学部と同様の施設が存在していたにもかかわらず、特段トラブルがあったとは聞いておりません。また、県の説明では、薬学部の施設は現在誘致を受けている敷地内に建設することが可能であり、安全面に関してもさまざまな先進的な対策を取り入れるとともに、ハード面とソフト面の両方から安全に万全を期すと聞いているところであります。
 私は、和歌山県立医科大学に薬学部を開設することによって、薬学部へ進学している学生の県外流出に歯どめをかけていただきたい。また、県外から入学されている学生の皆さんが、卒業後に和歌山県の医療機関や薬局等に就職していただき、ひいては和歌山県へ定着していただくことを期待するものであり、そのために新たな学部の早期開学を求めたいと思います。
 そこで、知事にお尋ねします。
 和歌山県立医科大学に薬学部の開設を決定した背景と、今後の取り組みについてお答えください。
 次に、政府関係機関の地方移転について知事にお伺いいたします。
 東京一極集中の是正と地方創生を目的として実施された政府関係機関の地方移転について、去る9月1日、国において「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」が決定され、総務省統計局と独立行政法人統計センターの和歌山県への一部移転が実現しました。
 県当局は、昨年8月に統計局・統計センターの移転を提案して以降、知事を先頭に各方面に対して、本県の月例経済報告など統計に関する取り組みや、情報セキュリティーに関する強み、交通利便性、さらにはデータサイエンス人材の育成等について発信するなど、移転実現に向け大変な努力をされてきたことを認識しており、このたびの移転実現は非常に喜ばしいことだと考えています。
 そこで、このたびの移転決定について、知事の所感をお伺いいたします。また、本県に移転する規模や場所についてもあわせてお尋ねいたします。
 さて、このたびの決定においては、統計局が統計データ利活用センター(仮称)を設置して、平成30年度から統計ミクロデータ提供等の業務を開始するとされています。
 本年5月に閣議決定された世界最先端IT国家創造宣言では、「更なるデータ流通の円滑化と利活用を促進することで、新たなサービスの開発と提供等を通じ、超少子高齢化社会における諸課題の解決を目指す」とされており、また6月に閣議決定された日本再興戦略2016では、「データ利活用のアイディアによって、誰が競争力を有するかは一夜にして変わる」とうたわれるなど、国においてもデータ利活用の重要性は強く認識されています。そのような折に統計ミクロデータ提供等の業務が本県で実施されることになり、私としては今回の移転に大変期待をしているところであります。
 去る6月議会において山下直也議員が行った一般質問に対して、知事は、この移転による効果について「産学官に対して大きな波及効果が生まれるものと考えている」と答弁されています。
 具体的には、大学においてデータサイエンス人材の育成・輩出が期待される、産業面では企業によるデータ活用が促進され、新たな商品開発や市場開拓が見込まれる、また、行政面でも福祉・医療分野を初めとしてエビデンスに基づいた政策立案への流れがより加速化され、さらなる県政のレベルアップにつながるものと考えるということでありました。
 しかし、私は、せっかく統計局が移転してきても、県が新たな施策を講じず、傍観しているだけでは、そのような効果が十分発揮されないのではないかと考えます。
 そこで、この移転による本県への効果について改めてお伺いするとともに、その効果を確実なものとして地方創生を実現するため、県としてどのような取り組みを行っていくのか、知事の御所見を伺います。
 最後に、桃産地を守るため、せん孔細菌病撲滅に向けた県の支援についてお尋ねをいたします。
 本県の桃は、全国第4位、西日本一の生産量を誇り、和歌山県を代表する農産物の1つであります。和歌山県での桃の栽培の歴史は古く、今から230年前に紀の川市桃山町に導入され、その中でもあら川の桃は全国に名の知れたブランドとしての地位を築いております。
 県の長期総合計画においては、果樹の振興策として、優良品種の導入や老木園の改植、地域の特性に応じた高品質な果実生産に努め、消費者に信頼される銘柄産地づくりを推進していくとしております。また、農業戦略アクションプログラムPartⅡでは、桃については新品種の育成や個性化商品の生産拡大などに取り組むとしております。
 本年産の桃については、開花期までは順調に育成しておりましたが、4月から5月にかけての強風や豪雨によりせん孔細菌病が多発し、収穫期を迎えた果実に多大の被害を及ぼしました。生産者は懸命の防除に努めてまいりましたが、その努力も報われず、被害の拡大に至り、園地によっては出荷できる桃が皆無に近いというところもありました。
 JA紀の里西部流通センターにおけることしのあら川地区の1級品出荷重量は、平成27年に比べて78%、平成26年に比べると53%と大幅に減少しております。特に、あら川地区の基幹品種である清水白桃、白鳳で減少しております。
 農家の皆さんからは、昭和52年のコレラによる風評被害、平成16年のせん孔被害の多発に続いて桃産地の3回目の危機である、ことしは果実への被害が特にひどく、1級品として出せる量が非常に少なかった、防風ネットを設置している園地でも被害が発生していたといった声や、来年以降、桃の木が枯れてしまうのではないのか、また本年のような状況が続くと桃産地の維持発展は難しく、後継者確保にも影響が出るのではないかといった不安の声も出ております。
 このような事態を受け、8月16日には、私も桃農家やJA紀の里桃山支所等で構成するあら川の桃振興協議会の方々に同行し、鎌塚農林水産部長を訪ね、こういった産地の状況を御説明申し上げ、要望を行ったところであります。また、あら川の桃振興協議会では、紀の川市、JA紀の里へも陳情を行っております。
 日ごろより熱心に取り組んでおられる農家の方々の落胆したお顔を見るにつけ、私も少しでも役に立ちたいと思い、8月29日、農林水産省を訪ね、園芸作物課長に今回の和歌山県でのせん孔細菌病の発生状況を説明し、国の支援を求めてまいりました。
 9月8日には、あら川の桃振興協議会主催のせん孔細菌病対策役員集会が開催され、協議会の役員初め、紀の川市、JA紀の里の約40名が出席し、県かき・もも研究所の島津所長を講師に招き、せん孔細菌病の発生と防除対策について研さんを深めるとともに、①春と秋の薬剤防除の徹底、②病斑のついた枝の除去、③防風施設の設置、④果樹共済への加入推進を今後の取り組み方針として决定するなど、地域が一体となった取り組みへの機運が高まっております。
 しかしながら、せん孔細菌病撲滅は地域だけで解決できる問題ではありません。ぜひとも、県の支援をお願いしたいと考えております。
 そこで、農林水産部長にお伺いいたします。
 桃産地を守るため、せん孔細菌病撲滅に向けた県の支援についてどのようにお考えか、御答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの岸本健君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、薬学部開設の問題についてでございます。
 議員御指摘のとおり、私は、和歌山県立医科大学に薬学部を設置することにより、大学進学時における県内進学先の選択肢をふやし、若者の県外への流出を抑制したいと思っております。また、卒業生の県内定着により、地域医療の充実も図っていきたいと思います。何よりも、こうした人材の育成が本県発展の大きな力になるものと考えております。
 また、御指摘のように、大学ができると若い人々が集うので、それも大事なことだというふうに思います。
 薬学部開設を決定した背景として、薬剤師は、医薬分業や在宅医療の進展に伴い、これからも重要な役割を担うこととなることは明らかであります。したがって、今後も需要が確実に見込まれる職業であります。
 しかし、本県には薬学部を有する大学がございませんので、薬剤師になりたい人は必ず県外の大学に行かないといけないということで、毎年100名程度の高校生が全て県外の薬学部に進学している状況でございます。これを勘案して、ぜひ薬剤師を県内で養成しようというふうに考えたものでございます。
 また、県立医科大学といたしましても、医学部、保健看護学部に加え薬学部を有することによって、医療系総合大学としての充実が図られ、本県の地域医療の発展に貢献してくれるものと思っております。
 大学の設置場所については、全国の県庁所在地の中でも特に寂しくなっている和歌山市の町なかの活性化に役立てばという思いで、学部の開設が可能な土地を検討していたところ、和歌山市から伏虎中学校跡地への誘致があったことから、計画を具体化させたものでありまして、完成した暁ですが、1000人からの人々が集うので、周辺で食堂、喫茶店、下宿、駐車場などのさまざまな経済活動の営みも見込まれ、まちのにぎわい創出にもつながるものと考えております。
 なお、学部開設による県財政への影響については、全ての学年がそろった時点で、学部運営に要する県からの交付金は交付税措置される範囲内で賄われると考えておりまして、県財政に悪影響を及ぼすものではないと判断をいたしました。
 このようなさまざまな検討を経て、県は薬学部設置基本計画書を作成し、8月9日に公表を行いました。県立医科大学では、8月23日に薬学部設置準備委員会が設置され、カリキュラムの検討や教員の確保等、学部開設に向けての具体的な検討が行われると聞いております。
 県では、薬学部設置基本計画書の公表後、基本設計等の発注手続に着手したところであり、平成30年度には設計業務を終え、同年度中に建物の建設に着手し、平成32年3月に設置認可申請を行い、平成33年の開学に間に合わせるよう鋭意準備を進めているところであります。
 次に、統計局及び統計センターの和歌山への移転ということでございます。
 このたび、総務省統計局及び独立行政法人統計センターの一部移転が決定し、本県が関西圏の統計データ利活用の拠点と位置づけられたことは、地方創生の観点から喜ばしい限りであります。このような前向きな判断をいただいた政府に対して、深く感謝を申し上げたいと思います。
 これは、実証実験に万全の体制で協力するなど、移転実現に向けた本県の取り組みが実を結んだものと認識しておりまして、平成30年度の業務開始に向け、今後とも引き続き万全の体制で協力していきたいと思います。
 また、このようにすばらしい結果が得られたのは、意見書を提出していただくなど、県議会の皆様から応援をいただいた結果であり、この場をかりてお礼を申し上げます。
 移転の規模については、本県で実施される統計ミクロデータ提供業務は統計局が実施する新たな業務であり、移転準備を進める中で明らかにされるものと考えているところでございます。ただ、これから育っていく新規分野でございますので、少なくとも当初はそんなに大部隊ではないというふうに思います。
 また、移転場所については、交通の利便性、これが大事でございますので、そういうものを考えて和歌山市内を考えていると思われますけれども、具体的な場所についてはこれから統計局と協議してお助けしていくということになると思います。
 次に、移転の効果については、近年、データの価値、重要性がますます高まっている中で、統計ミクロデータの提供を初めとする統計データの利活用業務は非常に注目され、今後大きく伸びていく可能性を秘めた分野だと思っております。そういう意味で、本県の産学官に大きな波及効果がもたらされるだけではなくて、関西圏を初め幅広い地域から多くの研究者などが集い、本県の活性化につながるものと大いに期待しております。
 そのような状況の中、以上申し上げました効果などをさらに高めるために、本県としましても公的統計データを初めとするさまざまなデータの利活用や、それを支えるデータサイエンス人材の育成を推進するため、このたび、本県の取り組み方針や具体的な施策をまとめた和歌山県データ利活用推進プランを策定し、発表したところでございます。
 今後は、このプランに基づき設置いたします和歌山県データ利活用推進センターを拠点といたしまして、データ利活用シンポジウムの開催や企業向けデータ利活用セミナーの実施など、さまざまな施策を展開していく所存でございます。
 また、データサイエンス人材の育成に向けた検討を進めている和歌山大学とも協力をしていきたいと思います。
 本県は、このたびの移転の効果を最大限に生かすため、御指摘のように、これらの施策に統計局と連携して取り組んで、日本のデータ利活用拠点となることを目指していきたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 今年産の桃は、主産地である紀の川市あら川地区を中心にせん孔細菌病が多発し、深刻な状況となっていることは、あら川の桃振興協議会の方々や農家の皆様、JAからもお聞きし、十分承知しております。
 せん孔細菌病対策としては、地域ぐるみでの一斉防除や病斑枝の徹底した除去により園地の菌密度を下げることが有効な手段であり、今後も発生状況により適宜、病害虫発生予察情報を発令し、注意喚起を図ってまいります。
 また、せん孔細菌病は風雨で広がることから、防風対策が重要であると考え、これまで、国の果樹経営支援対策事業を活用し、防風ネットの設置支援を行ってまいりましたが、今後、国庫補助事業を補完するため、県の果樹産地競争力強化総合支援事業でも支援してまいります。
 さらに、今回のような病虫害が発生した際、農家の経営安定を図る果樹共済制度がありますが、現状は加入率が低いことから、加入促進を図るため、個々の農家の被害実態に応じた掛け金率とする新たな制度導入を農業共済組合に対し指導してまいります。
 これらとともに、現在行っているせん孔細菌病に強い優良品種の育成や、国・他県の試験場と実施している防除対策試験を加速し、現場への早急な普及を行ってまいりたいと考えております。
 今後も、紀の川市やJAなど関係団体と協力しながら、せん孔細菌病撲滅に向けた必要な対策を行い、本県農業の基幹品目である桃産地を守ってまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 再質問を許します。
 岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 もう要望であります。
 薬学部の開設につきましては、県議会で2月議会で薬学部開設に関連する予算議案を認めたところであり、県においては8月9日に公表された基本計画書に基づいて、速やかにそれぞれのキャンパスの整備に着手していただいて、開学時期におくれが生じないようにしていただきたいと思います。
 次に、統計局の移転でありますが、知事から、日本のデータ利活用の拠点となることを目指してということでありました。このたびの移転が本県の活性化につながっていくように、引き続き我々も応援をしていきたいと思います。
 先ほど申し上げたとおり、統計データ利活用センターの業務開始時期が平成30年度とされています。当局は、同年度のできる限り早い段階で統計局・統計センターが業務を開始されるように、万全の体制で準備を整えていただきいと思います。
 最後に、農林水産部長から防風ネットの設置について、県の単独事業で支援をしていただけるとの答弁をいただきました。本当にありがとうございます。国庫補助事業を補完するためのよりよい支援になりますように、よろしくお願いをいたします。
 それともう1点、優良品種の開発について、生産者からもう本当に早く、できるだけ早く育成を望む声が多くて、なお一層の取り組みをよろしくお願いいたします。
 以上、要望であります。以上で終わります。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で岸本健君の質問が終了いたしました。

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