平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


平成28年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(全文)


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平成28年9月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成28年9月15日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第214号から議案第216号まで(当局説明)
 第2 議案第192号から議案第216号まで(質疑)
 第3 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第214号から議案第216号まで(当局説明)
 第2 議案第192号から議案第216号まで(質疑)
 第3 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     日吉康文
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   岡本圭剛
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   大桑いく嗣
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       上坊 晃
 議事課長       中谷政紀
 議事課副課長     浜野幸男
 議事課課長補佐兼議事班長
            長谷哲生
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主査      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第193号、議案第199号及び議案第200号は、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 日程第1、議案第214号から議案第216号までを一括して議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました諸議案について御説明申し上げます。
 議案第214号は、国の経済対策を活用し、速やかに事業着手をするため、一般会計で総額48億100万円余の補正予算をお願いするものです。
 防災・減災対策に資する道路、河川及び橋梁の整備に加え、ため池改修や地すべり防止対策等、緊要性の高い事業を追加実施するとともに、新宮港に着岸可能なクルーズ客船の大型化を図るため、岸壁の整備等を行ってまいります。
 また、議案第215号は建設事業施行に伴う市町村負担金について、議案第216号は泉佐野岩出線・岩出橋の上部工事請負契約の締結について、それぞれ議決をお願いするものです。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようにお願い申し上げます。
○議長(浅井修一郎君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 次に日程第2、議案第192号から議案第216号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 26番岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○岸本 健君 おはようございます。9月定例会初日のトップで登壇の機会を与えていただきましたこと、先輩・同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず、和歌山県立医科大学への薬学部開設に関して、知事にお尋ねをいたします。
 2013年3月に国立社会保障・人口問題研究所が発表した日本の地域別将来推計人口によりますと、和歌山県の将来人口が2040年に70万人程度まで減少することが明らかになりました。これを受けて、和歌山県では、何も対策を講じなければさらに人口減少は加速し、2060年にはほぼ人口が半減し、現役世代1人で1人の高齢者を支えなければならない時代が到来する見通しと推計し、持続可能な和歌山県を実現するため、2060年の人口をおおむね70万人確保する目標を定めました。
 昨年6月に、5つの目標から成るまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、当初の5年間の具体的な取り組みと達成すべき目標をまとめられています。
 人口減少を抑制するためには、大きく分けて自然減への対応と社会減への対応の2つの対応が必要と考えます。自然減に関する対応については、子供を産み育てやすい環境を充実、整備することに尽きると思うのですが、県では、子育て世帯の経済的負担の軽減や各種相談事業などにも取り組み、最近では積極的に出会いの場の創出など出生率の向上に向けた取り組みも行っています。
 一方で、社会減に関する対応について考えてみますと、進学や就職の機会を契機として県外へ転出する流出人口に歯どめがかからず、特に15歳から24歳の若年層の転出が他の年代と比べ物にならないぐらい突出しています。
 就職時による転出を抑制するためには、何よりも県内に多くの働く場を確保することが重要であります。知事は企業誘致にも積極的に取り組まれ、本年9月現在で159社の誘致が実現されています。今後も引き続き、県や市町村の積極的な企業誘致によって若者の働く場をつくっていただき、地元で働きたい、地元で暮らしたいという希望をかなえられるよう、従来に増して積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、働く場所がふえれば就業先の選択肢が増加し、既に県外で就職されている方や県外の大学に進学されている方々がUターンやIターン就職を望まれた場合にも、適切かつ効果的な対応が可能になると考えられます。
 そして、もう1つの大きな転出理由に、大学等への進学時における転出が挙げられます。
 和歌山県には、和歌山大学、和歌山県立医科大学、近畿大学、高野山大学、信愛女子短期大学があり、国立大学1校、公立大学1校、私立大学が3校、そのうち1校は短期大学という状況であります。
 なお、文部科学省の学校基本調査によりますと、和歌山県の現役高校生が大学や短期大学等へ進学する割合は45%程度と、比較的進学率が高い一方で、大学等へ進学する者のうち県外へ進学している割合が約87%もあり、全国ワーストワンという状況が昭和62年の統計開始以来、29年間も継続しています。
 県内に大学があれば、県内の大学に進学したいという学生さんもたくさんいらっしゃると思います。また、県内に大学がないため、県外への進学を余儀なくされた学生の保護者の方々は、県外進学による下宿代や生活費など、仕送りに係る経済的負担も大きいものとなっています。和歌山県内で稼いだお金を県外へ流出している状況であります。
 そこで、大学等への県内進学率を向上させるためには、物理的に県内の大学数や学部の定員をふやすよりほかはないと考えます。しかしながら、現下の少子化の時代において、大学の設置や定員の増加が国から容易に認められるとは思えず、また、県立の大学を設置する場合には多額の財政負担も生じることから、開設には相当な困難を伴うことが予想されます。
 そのような状況ではありますが、薬学部や看護系の学部など、卒業後に就職に結びつく専門職業人を育成する学部で、かつ設置に必要な条件が満たされれば、新たな学部の開設は認めないわけではないと文部科学省で確認がとれたということであり、これを受けて和歌山県においては、大学開設の検討や誘致に向けて熱心に取り組まれてこられたものと感じています。
 そして、その第1弾として、東京医療保健大学和歌山看護学部(仮称)が日赤医療センターキャンパスと雄湊キャンパスを活用して入学定員90名で平成30年4月に開設される運びとなったことは、非常に喜ばしく思うところであります。
 さて、かつての和歌山市における大学の配置についてでありますが、現在の県立近代美術館・博物館の場所に和歌山大学教育学部、高松に同大学の経済学部、現在のダイワロイネットの場所に県立医科大学と附属病院、信愛女子短期大学が現在の同中学校・高等学校の敷地と同じ屋形町にあり、いずれの大学も和歌山市の中心市街地ないしはその周辺に位置していたと聞いております。
 大学の都市部から郊外への移転は、和歌山市に限らず全国的な現象でありましたが、中でも都市圏に所在する大学を中心に、既存の大学敷地を売却し、売却した資金を活用して郊外へ土地を取得し、あわせて老朽化した校舎等も建てかえをするスキームを採用して、大学の郊外への移転が積極的に行われてきました。その結果、学生にとっての魅力が損なわれ、募集しても学生が集まりにくくなったりする大学が生じるなど、今では逆に都市回帰する大学もあると聞いています。
 和歌山市に目を戻しますと、和歌山大学は吹上の教育学部と高松の経済学部が統合移転され、栄谷キャンパスへ新たなキャンパスが整備され、南海電鉄によって和歌山大学前駅も設置され、通学も非常に便利になり、周辺の商業施設建設や宅地開発も進んでいます。和歌山大学にとっても、移転統合によって狭隘なキャンパスが解消され、校舎も新しくなるとともに、システム工学部や観光学部など新たな学部も開設されるなど、大学のみならず和歌山県にとっても非常に喜ばしいことであると思っています。
 しかしながら、経済活動の視点から現在の状況を考察してみますと、和歌山大学の学生の皆さんが講義終了後に和歌山市の町なかに集まって飲食をしたり、買い物をしたりする学生がどの程度いらっしゃるのでしょうか。大学周辺でアルバイトをして、終われば大阪へ帰る学生がいるなどとやゆする者も少なからずおられるのではないかと思います。
 同じようなことが、県立医科大学や信愛女子短期大学でも言えることではないでしょうか。特に県立医科大学は、附属病院も中心市街地にあったことから、周辺に与える経済効果はさらに大きいものであったと容易に想像がつきます。
 私は、現在の大学の設置場所がそれぞれの場所に至ったことに対して異論を唱えるつもりは全くありません。それぞれの時代で、与えられた環境の中で最善の選択をした結果だと考えています。しかし、今、大学をつくる、学部を開設するということであれば、町なかへ開設を選択されることは自然の流れであると考えます。
 去る8月9日に和歌山県が公表した薬学部設置基本計画書を見ました。それによりますと、学部の開設場所は、伏虎中学校跡地に薬学部の校舎を配置し、紀三井寺の医学部が所在するキャンパスに医学と薬学の共同研究施設を建設する計画となっています。医科大学にとっては、旧医科大学敷地より少し西側にずれることになりますが、もともと医学部や附属病院のあった場所へ里帰りするようなものであります。
 現在、和歌山市議会では、敷地の広さや薬学部の施設の危険性などについて議論されているとのことでありますが、そもそも旧医科大学が隣接地に所在していた際も、放射線関係や動物実験施設など、薬学部と同様の施設が存在していたにもかかわらず、特段トラブルがあったとは聞いておりません。また、県の説明では、薬学部の施設は現在誘致を受けている敷地内に建設することが可能であり、安全面に関してもさまざまな先進的な対策を取り入れるとともに、ハード面とソフト面の両方から安全に万全を期すと聞いているところであります。
 私は、和歌山県立医科大学に薬学部を開設することによって、薬学部へ進学している学生の県外流出に歯どめをかけていただきたい。また、県外から入学されている学生の皆さんが、卒業後に和歌山県の医療機関や薬局等に就職していただき、ひいては和歌山県へ定着していただくことを期待するものであり、そのために新たな学部の早期開学を求めたいと思います。
 そこで、知事にお尋ねします。
 和歌山県立医科大学に薬学部の開設を決定した背景と、今後の取り組みについてお答えください。
 次に、政府関係機関の地方移転について知事にお伺いいたします。
 東京一極集中の是正と地方創生を目的として実施された政府関係機関の地方移転について、去る9月1日、国において「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」が決定され、総務省統計局と独立行政法人統計センターの和歌山県への一部移転が実現しました。
 県当局は、昨年8月に統計局・統計センターの移転を提案して以降、知事を先頭に各方面に対して、本県の月例経済報告など統計に関する取り組みや、情報セキュリティーに関する強み、交通利便性、さらにはデータサイエンス人材の育成等について発信するなど、移転実現に向け大変な努力をされてきたことを認識しており、このたびの移転実現は非常に喜ばしいことだと考えています。
 そこで、このたびの移転決定について、知事の所感をお伺いいたします。また、本県に移転する規模や場所についてもあわせてお尋ねいたします。
 さて、このたびの決定においては、統計局が統計データ利活用センター(仮称)を設置して、平成30年度から統計ミクロデータ提供等の業務を開始するとされています。
 本年5月に閣議決定された世界最先端IT国家創造宣言では、「更なるデータ流通の円滑化と利活用を促進することで、新たなサービスの開発と提供等を通じ、超少子高齢化社会における諸課題の解決を目指す」とされており、また6月に閣議決定された日本再興戦略2016では、「データ利活用のアイディアによって、誰が競争力を有するかは一夜にして変わる」とうたわれるなど、国においてもデータ利活用の重要性は強く認識されています。そのような折に統計ミクロデータ提供等の業務が本県で実施されることになり、私としては今回の移転に大変期待をしているところであります。
 去る6月議会において山下直也議員が行った一般質問に対して、知事は、この移転による効果について「産学官に対して大きな波及効果が生まれるものと考えている」と答弁されています。
 具体的には、大学においてデータサイエンス人材の育成・輩出が期待される、産業面では企業によるデータ活用が促進され、新たな商品開発や市場開拓が見込まれる、また、行政面でも福祉・医療分野を初めとしてエビデンスに基づいた政策立案への流れがより加速化され、さらなる県政のレベルアップにつながるものと考えるということでありました。
 しかし、私は、せっかく統計局が移転してきても、県が新たな施策を講じず、傍観しているだけでは、そのような効果が十分発揮されないのではないかと考えます。
 そこで、この移転による本県への効果について改めてお伺いするとともに、その効果を確実なものとして地方創生を実現するため、県としてどのような取り組みを行っていくのか、知事の御所見を伺います。
 最後に、桃産地を守るため、せん孔細菌病撲滅に向けた県の支援についてお尋ねをいたします。
 本県の桃は、全国第4位、西日本一の生産量を誇り、和歌山県を代表する農産物の1つであります。和歌山県での桃の栽培の歴史は古く、今から230年前に紀の川市桃山町に導入され、その中でもあら川の桃は全国に名の知れたブランドとしての地位を築いております。
 県の長期総合計画においては、果樹の振興策として、優良品種の導入や老木園の改植、地域の特性に応じた高品質な果実生産に努め、消費者に信頼される銘柄産地づくりを推進していくとしております。また、農業戦略アクションプログラムPartⅡでは、桃については新品種の育成や個性化商品の生産拡大などに取り組むとしております。
 本年産の桃については、開花期までは順調に育成しておりましたが、4月から5月にかけての強風や豪雨によりせん孔細菌病が多発し、収穫期を迎えた果実に多大の被害を及ぼしました。生産者は懸命の防除に努めてまいりましたが、その努力も報われず、被害の拡大に至り、園地によっては出荷できる桃が皆無に近いというところもありました。
 JA紀の里西部流通センターにおけることしのあら川地区の1級品出荷重量は、平成27年に比べて78%、平成26年に比べると53%と大幅に減少しております。特に、あら川地区の基幹品種である清水白桃、白鳳で減少しております。
 農家の皆さんからは、昭和52年のコレラによる風評被害、平成16年のせん孔被害の多発に続いて桃産地の3回目の危機である、ことしは果実への被害が特にひどく、1級品として出せる量が非常に少なかった、防風ネットを設置している園地でも被害が発生していたといった声や、来年以降、桃の木が枯れてしまうのではないのか、また本年のような状況が続くと桃産地の維持発展は難しく、後継者確保にも影響が出るのではないかといった不安の声も出ております。
 このような事態を受け、8月16日には、私も桃農家やJA紀の里桃山支所等で構成するあら川の桃振興協議会の方々に同行し、鎌塚農林水産部長を訪ね、こういった産地の状況を御説明申し上げ、要望を行ったところであります。また、あら川の桃振興協議会では、紀の川市、JA紀の里へも陳情を行っております。
 日ごろより熱心に取り組んでおられる農家の方々の落胆したお顔を見るにつけ、私も少しでも役に立ちたいと思い、8月29日、農林水産省を訪ね、園芸作物課長に今回の和歌山県でのせん孔細菌病の発生状況を説明し、国の支援を求めてまいりました。
 9月8日には、あら川の桃振興協議会主催のせん孔細菌病対策役員集会が開催され、協議会の役員初め、紀の川市、JA紀の里の約40名が出席し、県かき・もも研究所の島津所長を講師に招き、せん孔細菌病の発生と防除対策について研さんを深めるとともに、①春と秋の薬剤防除の徹底、②病斑のついた枝の除去、③防風施設の設置、④果樹共済への加入推進を今後の取り組み方針として决定するなど、地域が一体となった取り組みへの機運が高まっております。
 しかしながら、せん孔細菌病撲滅は地域だけで解決できる問題ではありません。ぜひとも、県の支援をお願いしたいと考えております。
 そこで、農林水産部長にお伺いいたします。
 桃産地を守るため、せん孔細菌病撲滅に向けた県の支援についてどのようにお考えか、御答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの岸本健君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、薬学部開設の問題についてでございます。
 議員御指摘のとおり、私は、和歌山県立医科大学に薬学部を設置することにより、大学進学時における県内進学先の選択肢をふやし、若者の県外への流出を抑制したいと思っております。また、卒業生の県内定着により、地域医療の充実も図っていきたいと思います。何よりも、こうした人材の育成が本県発展の大きな力になるものと考えております。
 また、御指摘のように、大学ができると若い人々が集うので、それも大事なことだというふうに思います。
 薬学部開設を決定した背景として、薬剤師は、医薬分業や在宅医療の進展に伴い、これからも重要な役割を担うこととなることは明らかであります。したがって、今後も需要が確実に見込まれる職業であります。
 しかし、本県には薬学部を有する大学がございませんので、薬剤師になりたい人は必ず県外の大学に行かないといけないということで、毎年100名程度の高校生が全て県外の薬学部に進学している状況でございます。これを勘案して、ぜひ薬剤師を県内で養成しようというふうに考えたものでございます。
 また、県立医科大学といたしましても、医学部、保健看護学部に加え薬学部を有することによって、医療系総合大学としての充実が図られ、本県の地域医療の発展に貢献してくれるものと思っております。
 大学の設置場所については、全国の県庁所在地の中でも特に寂しくなっている和歌山市の町なかの活性化に役立てばという思いで、学部の開設が可能な土地を検討していたところ、和歌山市から伏虎中学校跡地への誘致があったことから、計画を具体化させたものでありまして、完成した暁ですが、1000人からの人々が集うので、周辺で食堂、喫茶店、下宿、駐車場などのさまざまな経済活動の営みも見込まれ、まちのにぎわい創出にもつながるものと考えております。
 なお、学部開設による県財政への影響については、全ての学年がそろった時点で、学部運営に要する県からの交付金は交付税措置される範囲内で賄われると考えておりまして、県財政に悪影響を及ぼすものではないと判断をいたしました。
 このようなさまざまな検討を経て、県は薬学部設置基本計画書を作成し、8月9日に公表を行いました。県立医科大学では、8月23日に薬学部設置準備委員会が設置され、カリキュラムの検討や教員の確保等、学部開設に向けての具体的な検討が行われると聞いております。
 県では、薬学部設置基本計画書の公表後、基本設計等の発注手続に着手したところであり、平成30年度には設計業務を終え、同年度中に建物の建設に着手し、平成32年3月に設置認可申請を行い、平成33年の開学に間に合わせるよう鋭意準備を進めているところであります。
 次に、統計局及び統計センターの和歌山への移転ということでございます。
 このたび、総務省統計局及び独立行政法人統計センターの一部移転が決定し、本県が関西圏の統計データ利活用の拠点と位置づけられたことは、地方創生の観点から喜ばしい限りであります。このような前向きな判断をいただいた政府に対して、深く感謝を申し上げたいと思います。
 これは、実証実験に万全の体制で協力するなど、移転実現に向けた本県の取り組みが実を結んだものと認識しておりまして、平成30年度の業務開始に向け、今後とも引き続き万全の体制で協力していきたいと思います。
 また、このようにすばらしい結果が得られたのは、意見書を提出していただくなど、県議会の皆様から応援をいただいた結果であり、この場をかりてお礼を申し上げます。
 移転の規模については、本県で実施される統計ミクロデータ提供業務は統計局が実施する新たな業務であり、移転準備を進める中で明らかにされるものと考えているところでございます。ただ、これから育っていく新規分野でございますので、少なくとも当初はそんなに大部隊ではないというふうに思います。
 また、移転場所については、交通の利便性、これが大事でございますので、そういうものを考えて和歌山市内を考えていると思われますけれども、具体的な場所についてはこれから統計局と協議してお助けしていくということになると思います。
 次に、移転の効果については、近年、データの価値、重要性がますます高まっている中で、統計ミクロデータの提供を初めとする統計データの利活用業務は非常に注目され、今後大きく伸びていく可能性を秘めた分野だと思っております。そういう意味で、本県の産学官に大きな波及効果がもたらされるだけではなくて、関西圏を初め幅広い地域から多くの研究者などが集い、本県の活性化につながるものと大いに期待しております。
 そのような状況の中、以上申し上げました効果などをさらに高めるために、本県としましても公的統計データを初めとするさまざまなデータの利活用や、それを支えるデータサイエンス人材の育成を推進するため、このたび、本県の取り組み方針や具体的な施策をまとめた和歌山県データ利活用推進プランを策定し、発表したところでございます。
 今後は、このプランに基づき設置いたします和歌山県データ利活用推進センターを拠点といたしまして、データ利活用シンポジウムの開催や企業向けデータ利活用セミナーの実施など、さまざまな施策を展開していく所存でございます。
 また、データサイエンス人材の育成に向けた検討を進めている和歌山大学とも協力をしていきたいと思います。
 本県は、このたびの移転の効果を最大限に生かすため、御指摘のように、これらの施策に統計局と連携して取り組んで、日本のデータ利活用拠点となることを目指していきたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 今年産の桃は、主産地である紀の川市あら川地区を中心にせん孔細菌病が多発し、深刻な状況となっていることは、あら川の桃振興協議会の方々や農家の皆様、JAからもお聞きし、十分承知しております。
 せん孔細菌病対策としては、地域ぐるみでの一斉防除や病斑枝の徹底した除去により園地の菌密度を下げることが有効な手段であり、今後も発生状況により適宜、病害虫発生予察情報を発令し、注意喚起を図ってまいります。
 また、せん孔細菌病は風雨で広がることから、防風対策が重要であると考え、これまで、国の果樹経営支援対策事業を活用し、防風ネットの設置支援を行ってまいりましたが、今後、国庫補助事業を補完するため、県の果樹産地競争力強化総合支援事業でも支援してまいります。
 さらに、今回のような病虫害が発生した際、農家の経営安定を図る果樹共済制度がありますが、現状は加入率が低いことから、加入促進を図るため、個々の農家の被害実態に応じた掛け金率とする新たな制度導入を農業共済組合に対し指導してまいります。
 これらとともに、現在行っているせん孔細菌病に強い優良品種の育成や、国・他県の試験場と実施している防除対策試験を加速し、現場への早急な普及を行ってまいりたいと考えております。
 今後も、紀の川市やJAなど関係団体と協力しながら、せん孔細菌病撲滅に向けた必要な対策を行い、本県農業の基幹品目である桃産地を守ってまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 再質問を許します。
 岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 もう要望であります。
 薬学部の開設につきましては、県議会で2月議会で薬学部開設に関連する予算議案を認めたところであり、県においては8月9日に公表された基本計画書に基づいて、速やかにそれぞれのキャンパスの整備に着手していただいて、開学時期におくれが生じないようにしていただきたいと思います。
 次に、統計局の移転でありますが、知事から、日本のデータ利活用の拠点となることを目指してということでありました。このたびの移転が本県の活性化につながっていくように、引き続き我々も応援をしていきたいと思います。
 先ほど申し上げたとおり、統計データ利活用センターの業務開始時期が平成30年度とされています。当局は、同年度のできる限り早い段階で統計局・統計センターが業務を開始されるように、万全の体制で準備を整えていただきいと思います。
 最後に、農林水産部長から防風ネットの設置について、県の単独事業で支援をしていただけるとの答弁をいただきました。本当にありがとうございます。国庫補助事業を補完するためのよりよい支援になりますように、よろしくお願いをいたします。
 それともう1点、優良品種の開発について、生産者からもう本当に早く、できるだけ早く育成を望む声が多くて、なお一層の取り組みをよろしくお願いいたします。
 以上、要望であります。以上で終わります。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で岸本健君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、通告に従い一般質問に入らせていただきます。
 最初の1つ目の項目です。県民の暮らしと医療・介護の充実についてお尋ねいたします。
 安倍政権は、社会保障の予算の増加が財政悪化の原因であるかのように言いますが、社会保障を削減しながら軍事費の拡大や大型公共事業へのばらまきを続けています。しかし、日本の社会保障支出は、国民1人当たりはOECD加盟34カ国中17位です。
 政権発足後、4年間で1兆3200億円もの社会保障予算の自然増を削減し、年金支給の連続削減、70歳から74歳の医療費窓口負担の引き上げ、要支援者のヘルパー・デイサービスの保険給付外し、介護報酬の大幅削減、生活保護費の切り下げなど、社会保障の連続改悪を行ってきました。このような中で、社会保障の負担が生活を圧迫する事態が起こっています。
 また、保険料を払えないことで国保の資格証の発行、介護保険サービスの給付制限など行われ、本来低所得者の人ほど必要な医療や介護サービスから締め出されるという深刻な事態も起こっています。さらに、滞納による差し押さえが急増しています。医療、介護について、まずこの高過ぎる保険料負担と滞納への対応の問題を福祉保健部長にお尋ねいたします。
 1つ目は、国保料・税滞納による差し押さえの状況と対策についてです。
 国保料・税は高過ぎると問題になっており、滞納者は平成26年度で県平均で14%に上っています。低所得の方が滞納になっている方が多いように見受けられます。滞納者に対し、納付のためにどういった対策を行われていますか、また差し押さえの状況はどうなっていますか、お尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 国保料・税滞納による差し押さえの状況と対策についてですが、市町村では、滞納者の収入や生活状況を把握し、必要に応じて保険料・税の分割納付など、それぞれに応じたきめ細かな納付相談を行っていると認識しています。
 このような取り組みを行った上で、所得や資産があるにもかかわらず、保険料・税を納付する誠実な意思が認められない者については滞納処分を行っており、平成27年度中の差し押さえは2154件、約6億7000万円となっています。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 きめ細かな納付相談ということが言われました。しかし、差し押さえの状況は市町村によってかなり違っていると思います。極めて少ない市町村もありますが、例えば岩出市では47.5%の差し押さえ、そして紀の川市では35.3%で、白浜町では滞納世帯の差し押さえが25.7%、これは平成26年度の結果の数字です。こういったことは、差し押さえられたことは異常な数ではないかと考えます。県の差し押さえ件数合計も先ほど答弁にありましたが、一昨年よりふえている数です。
 ある市の資格証発行状況の所得階層別を見ると、ゼロ円が最も多く、所得200万円以下が大半を占めています。保険料が高くて払えないことを示しています。滞納と差し押さえについても、ぜひ所得階層別に調べて対策をとるべきだと考えます。
 飲食業を経営されていて、営業不振で税と国保料を滞納している人や、売り上げのお金から仕入れの材料のお金を払わなければならない、そのお金まで差し押さえられた、保険料を納めるのが精いっぱいで窓口負担が払えず治療を中断している方、そして手おくれで手術もできない、そういったことが医療現場の中からも声が聞かれます。また、子供の被害の弁償金を預かっていたお母さんが通帳を差し押さえられた、こういった相談が続いています。
 そもそも保険料が高い。これは和歌山市の場合の試算なんですが、夫婦と子供1人の世帯で、世帯主の賦課対象所得金額150万円であれば、年額37万円余りも負担をしなければなりません。こういった、そもそもの大きな問題があります。県としても、このような中で、今までにも質問させていただいた中でも、国庫負担をふやすように国に働きかけていかれている答弁もいただきました。今回、特に私は、そういった国への働きかけとともに特に申し上げたいことは、この高い保険料を払う見通しが困難と思われる場合、また、年間の保険料の通知が来たときにすぐに気軽に相談できるような、そういった体制を含めて積極的に相談活動に取り組んでいただきたいことを要望をさせていただきます。
 次に、後期高齢者医療保険料の滞納と差し押さえについて質問をさせていただきます。
 後期高齢者医療保険料、介護保険料については、いずれも高齢者への賦課となります。後期高齢者医療保険制度の保険料は年金天引きが基本であり、滞納する方は、年金が年18万円以下なので普通徴収──納付書で納付するやり方ですが、普通徴収の方となると考えられます。こうした低年金の方の滞納は、実際上、払いたくても払えない状況で滞納が起こっているのではないかと考えますが、滞納者の率やその状況についてお聞かせください。また、この滞納者への差し押さえ状況についてもお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 後期高齢者医療保険料の滞納と差し押さえについてですが、平成27年6月1日現在の滞納者数は1839人で、被保険者に占める割合は1.2%であり、滞納額は約1億円となっています。
 また、平成27年度中の差し押さえは55件、約440万円となっています。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 先ほども申し上げたように、75歳以上で年金が年18万円しかない人の生活は、生活保護基準にもほど遠い状況の方に差し押さえをするようなことがあってよいのでしょうか。そういう人にはすべきではないと考えます。
 次に、介護保険料の滞納処分等の状況についてお尋ねいたします。
 介護保険では、保険料の滞納が1年以上になると、サービスの利用の際、一旦サービス費用の全額を自己負担し、後から払い戻しを受ける償還払いとなります。1年半以上では、滞納分の保険料を納めるまで払い戻しがとめられ、保険給付の一時差しとめになります。滞納2年以上では、利用料の自己負担が1割から3割に引き上げられることになっています。
 厚生労働省の調査では、2014年度で介護保険料の滞納により差し押さえ処分を受けた高齢者が1万人を超えています。給付制限を受けた人も、延べ1万3263人いたことがわかりました。県内ではどのようになっていますか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 介護保険料の滞納処分等の状況についてですが、本県における第1号介護保険料の未納者の状況につきましては、平成26年度保険料の未納者数は6774人で、これは普通徴収の第1号被保険者3万2870人の20.6%に当たります。
 滞納処分の状況につきましては、同年度の差し押さえ決定人数は67人で、そのうち滞納保険料充当人数は61人、充当額は287万5785円となっています。
 滞納者に対する保険給付の制限につきましては、同年度の償還払い化は49人、給付の一時差しとめは該当者なし、自己負担が3割に引き上げられる給付の減額等は110人となっています。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再度質問をさせていただきますが、介護保険も同様に年18万円以下の人が差し押さえとなっています。給付制限やペナルティーが生じ、サービスを受けられない事態に追い込んでしまう、こういったやり方について福祉保健部長はどのようにお考えでしょうか。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 介護保険料については、高所得者に対しては標準的な保険料額の2倍以上の負担をお願いするとともに、低所得者に対しては公費を投入して標準的な保険料額の100分の45まで軽減するなど、負担能力に応じた保険料額に設定されています。
 多くの高齢者が負担能力に応じた保険料を納付していただいている状況において、負担の公平性を確保し、介護保険制度を維持するためにも、滞納者に対しては給付の償還払い化や一時差しとめ等を行うことはやむを得ないものと考えています。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、低所得者等への対応についてお尋ねします。
 こうした高齢で無年金を含む極めて低所得等の方々の滞納に対しては、生活そのものが成り立つ相談体制が必要だと考えます。生活保護制度、生活困窮者自立支援制度の活用や処遇困難な場合に関係者が支援策を検討することができるような仕組みをつくるべきではないかと考えますが、この点について県としてどのように対応されているのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 滞納者を含む低所得者や生活困窮者に対しては、平成27年4月から生活困窮者自立支援法の施行に伴い、生活保護を行う振興局や市の福祉事務所に相談員を配置し、生活や就労などさまざまな相談の対応を行っています。
 また、相談の中で就労支援を希望する方には、就労支援員がハローワークに同行し、求職支援を行うとともに、個々の事情に応じて専門機関への紹介を行っています。
 なお、生活が逼迫されている方には生活保護を適用するよう、保護の実施機関を指導しているところです。
 今後とも、生活困窮者の自立を図るため、必要に応じて市町村の国保や介護保険担当者と支援調整会議を開催するなど、関係機関との連携を密にしながら、きめの細かい支援を行ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 これまでに滞納の問題について質問をしてまいりましたが、先ほどの答弁の中でも、低所得者に対しての国の支援も含めて対応しているというお話でした。
 そういった状況の中でも、やはり大変な厳しい生活保護基準以下で生活されている人、そういった方へのきめ細かな相談活動を今後もぜひしていただきたいということと、滞納の問題では差し押さえの件も申し上げましたが、県民にいろいろと社会保障の負担の負荷をかけ、それを一生懸命納入すると、そういった中で、やはり差し押さえのあり方というのが、市町村で窓口で対応していくんですけど、それができないときには回収機構へ税も含めて回され、そしていろいろと財産が、なかなか納める財産がないということがわかったときには、また市町村に戻されるという仕組みになっているんですが、そういったときには本当に生活全般、総合的に厳しい問題を、国保の問題だけじゃなくて税が納められない、そして仕事がなかなかない、また営業が困難になってる、さまざまな問題を抱えた方がいらっしゃいます。
 そういった方に、ぜひともきめ細かな、国保課だけの対応とかどこかの対応だけでなくて、総合的にその方の生活を支援する、そういう体制が私は必要だと。それは、体制にはお金もかかるし、そういったことを含めて回収機構は収納率を上げるということでやる機関なんですが、一方では、収納を強めるということだけでなくて、生活を支援して再び税やいろんなものが負担ができるような生活に戻っていくような、そういったシステムが大変必要だということを強調させていただきます。
 2つ目の国保の県単位化について進ませていただきます。
 国は、2018年、平成30年度から都道府県が保険財政の運営主体となる国保の広域化を決めました。新制度では、都道府県が医療費実績などをもとに市町村ごとに納付金を割り当て、市町村が徴収して都道府県に納めるものです。市町村が独自に決めていた保険料・税を平準化させることなどを通じて、住民に保険料の負担増や保険料徴収の強化をもたらすことになるのではないかと思います。
 そこで、福祉保健部長にお伺いいたします。
 納付金制度により、どう変わるのでしょうか。現在は医療費1円から共同化されているため、市町村からの拠出金と国保連からの交付金で国保会計が運営されてると思います。拠出金については医療費実績50、被保険者割50で市町村の額が決められており、これによって拠出が大きくなるところには県の調整交付金を多くして、負担が大きくならないような対応がされていると思います。これが県単位化になることでどのように変わっていくのか、県単位化した際の納付金とどう変わるのか、お聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 国保の納付金制度によりどう変わるかについてですが、平成30年度以降、市町村が県に納付金を納付し、県が市町村に対し、医療給付費として必要な額を交付することとなります。
 納付金の案分方法については、現在、県財政共同安定化事業で採用されている医療費実績と被保険者数に加え、所得水準も加味することが原則とされており、現在、市町村とその方法について協議を行っているところです。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 市町村との協議の進め方について、県単位化に向けて市町村とはどういう協議を進めていくのか、お答えください。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 市町村との協議の進め方についてですが、現在、市町村担当課長の代表者との協議の場として、和歌山県国保運営方針連携協議会を設置し、納付金や標準保険料率の算定方法を含む国民健康保険運営方針について協議を行っており、その後、全市町村に意見聴取を行うこととなります。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 現在の市町村独自の減免制度及び市町村の法定外繰り入れの状況はどのようになっていますか。県単位化に移行しても、市町村独自の減免制度や市町村の法定外繰り入れが継続されていくことが必要だと考えますが、どうでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 市町村独自の減免制度、法定外繰り入れについてですが、現在、全ての市町村において保険料の減免制度があり、平成30年度以降も継続されるものと考えています。
 また、赤字補填や保健事業などの法定外繰り入れは全ての市町村で行われており、平成26年度は約12億円となっています。
 本来、保険制度で運営している国民健康保険では、赤字補填のための法定外繰り入れは解消すべきものであり、今回の制度改革により公費の拡充が図られるため、赤字補填を行っている市町村については、それを活用し、赤字解消に取り組んでいくものと考えています。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 市町村の法定外繰り入れは、保険料が高騰するために抑制をするということに使ったり、また保健・健康事業に使ったり、赤字補填というようなこと、今さまざまな使われ方を各市町村独自でされてきたかと思うんですが、こういう県の単一化になるということで、先ほどは国としてはそういった赤字補填にするというようなことは会計上解消していく、国保会計として解消していくような方向でと言われたんですけども、市町村独自のそういった減免制度とか、また一般会計からの繰り入れ、そういったことは市町村独自がやっぱり考え、やっていくということで、県は強制するものではないというように受けとめたらよろしいんでしょうか。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 現在、市町村独自で減免制度、それから赤字補填等されておりますけれども、今現在、国保運営方針連絡会議で国保運営方針に市町村ごとの赤字解消とか削減の取り組み、目標年次等を記載する方向で協議を行っています。平成30年度以降は、新たに策定された国保運営方針に基づいて、市町村が赤字補填のための法定外繰り入れの解消に取り組んでいくことになると考えています。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 私としては、先ほども申し上げたように、国保の保険料が非常に負担が重くなって、高齢者が多くなれば医療を受ける方も多くなって、ふえていくということがあるんですけど、やはり根本的に、先ほども申し上げたように、国からの国庫負担をふやすことと、そしてやっぱり県がしっかり支援して、保険料が上がっていかない、そういった状況にぜひしていってもらいたいなということを要望して、次の3つ目の介護保険制度についてお尋ねしたいと思います。
 低所得者等への減免についてお尋ねします。
 先に滞納問題はお聞きしましたが、保険料の低所得者の減免について、県の考えをお聞きします。
 県は、国への要望で介護保険の国庫負担を30%にふやすよう求めています。これは、保険料がこのままでいけば、2030年度には県平均の保険料が9179円──現在は6243円──にも上がり、到底高齢者の負担には耐えられないということからです。また、国が平成29年度に行おうとしていた低所得者の減免の実施が先送りされる心配もあります。
 このことについて、現在での県の考えはどうですか。国が打ち出した低所得者の減免の実施を求める考えはありますか。高過ぎる保険料引き下げのために、国に求めるとともに、県としても対策を講じる考えはありませんか。福祉保健部長、よろしくお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 低所得者の介護保険料軽減につきましては、平成27年4月に所得階層区分の中で最も低い第1段階の第1号被保険者を対象として実施されており、平成29年4月に消費税が引き上げられたときには、この第1段階から第3段階までの者を対象としてさらなる軽減措置が行われる予定でしたが、消費税引き上げが延期されたため、今後の対応については国の予算編成過程において検討されることとなっています。
 県といたしましては、これまでも国の責任おいて恒久的な保険料の軽減措置を講ずるよう要望してきており、引き続き国の対応を注視していきます。県としての独自の対策は今のところ考えておりません。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 国の対応を注視するだけでなくて、積極的に働きかけていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、要支援1・2の方への地域支援事業について、来年度からは全市町村で移行しなければならないことになっています。市町村の取り組み状況と課題はどうなっているか、お聞きいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 平成26年度の法改正により、介護保険の要支援1と要支援2の方向けの予防給付のうち、訪問介護と通所介護を、遅くとも平成29年4月までに市町村の地域支援事業へ移行させる必要があります。
 また、この地域支援事業では、訪問介護、通所介護の現行相当のサービスだけでなく、地域の実情に応じて国の定める事業者の設備、人員基準よりも緩和した基準によるサービス、有償・無償のボランティア等により提供される住民主体による支援、保健・医療の専門職により3カ月から6カ月の短期間提供される短期集中予防サービスなど、さまざまな事業を実施することが可能とされています。
 県内では、訪問介護、通所介護の現行相当のサービスは全ての市町村で実施する予定で準備しており、橋本市では本年10月から実施する予定と聞いてます。また、他の緩和基準によるサービスなどは、現在検討作業中でございます。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、要望させていただきます。
 現行相当のサービスを希望すれば受けられるようにし、サービスを提供する事業所の運営もできるように報酬の切り下げをしないこと、これまでどおり介護認定を受けられるように市町村に働きかけることなどを要望いたします。
 この1項目で国保、後期高齢者医療、介護保険にかかわって質問してまいりましたが、社会保障の負担軽減で暮らしを支えて暮らしの底上げをしていく、こういった施策を県政としても充実させていっていただきたい、そのことを申し上げて2項目めの質問に入らせていただきます。
 南海市駅前周辺整備と関連して、市堀川の浄化について、県土整備部長にお尋ねいたします。
 南海市駅前再開発整備計画が公表され、関係者の議論が行われています。また、昨年から取り組まれているグリーングリーンプロジェクトにより、市駅前ににぎわいを取り戻すための社会実験が行われています。ことしも昨年以上にさまざまな取り組みが計画されています。
 その1つとして、市堀川クルーズという企画で、寄合橋付近から小舟で周遊する企画があります。私も昨年は初めて乗船し、川から眺める景観を楽しみました。その際に改めて感じたのは、子供のころには真っ黒に汚染された川も、きれいになってきていることです。市堀川においてはしゅんせつがなされ、水質も基準内に維持されているということです。河川の水質がさらによくなることで、人が集まり、人々のつながりが深まっていくと思います。今後、市堀川の浄化を進められる取り組みの考えはないでしょうか、県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 市堀川の水質に関してお尋ねをいただきました。
 和歌山市の市街地では、戦後の急激な工場の規模拡大や人口増加に伴い、工場排水や生活排水が増加し、河川の水質が著しく悪化しました。
 このため、昭和44年度以降、和歌川や市堀川の底泥のしゅんせつを行い、さらに昭和53年度には和歌山市塩屋に和歌川ポンプ場を整備し、和歌浦から導水することにより、水質改善に取り組んできたところであります。
 現在、その効果もあり、市堀川での環境基準点であります住吉橋では水質基準を満足している状況となっており、引き続き水質の保全に努めるべく、現状の水質を注視してまいりたいと、このように考えてございます。
 御指摘のありました市堀川のさらなる浄化に取り組むためには、河川等に流れ込む生活排水等の対策が有効と考えてございます。
 南海和歌山市駅前周辺は、既に和歌山市において下水道の整備が完了しておりまして、引き続き接続率の向上が望まれます。このため、市堀川の浄化を進める観点からも、今後とも和歌山市と連携し、下水道への接続率の向上を図るべく啓発等を行ってまいりたいと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁をいただき、課題が明確になったように受けとめました。
 和歌山市の中心部を流れる市堀川は、和歌山城の北外堀に当たります。市堀川を含めた和歌山市内を流れる5つの河川、和歌川、大門川、真田堀川、有本川は、県としても観光資源や地域活性化に寄与できるようにと取り組みが行われています。こういったことを踏まえ、市堀川だけではなく、市内を流れる川を、透明までいきませんが、やはりきれいな川にしていっていただきたく、取り組みを一層強めていただきたいと思います。
 最後に、防災の取り組みについてお尋ねいたします。
 1つ目には、防災アセスメントについてお尋ねいたします。
 9月1日は防災の日でした。10万人以上が犠牲となった93年前、1923年の関東大震災発生の日に当たり、災害に備える認識を深める取り組みが各地で行われました。
 東日本大震災、紀伊半島の豪雨災害から5年です。ことし4月に発生した中央構造線活断層系の西端で起こった熊本地震は、阪神・淡路大震災級、震度7で、その後2000回以上の余震が続くという前例のないものになっています。複数の活断層が連動して地震が起こりました。和歌山県では、中央構造線の活断層は和泉山脈の南麓に沿って東西に伸びています。この活断層は近い将来、直下型の災害が予想されています。南海トラフ地震とともに、この直下型地震への対策が必要かと思います。
 最近では、北海道、東北、関東などに次々と台風が上陸し、被害が広がりました。災害多発国・日本の国民の命と財産を守るという防災の原点を貫く政治の役割が、ますます日々求められていると思います。
 県においても、災害が発生した後の応急対策や復旧・復興対策、減災・予防対策が取り組まれていますが、地震や台風などの災害に関して、急傾斜地や軟弱地盤、災害の履歴等を考慮して、どのような被害があるかを事前に調べる防災アセスメントが重要となると考えます。その点で、危機管理監にお聞きいたします。
○議長(浅井修一郎君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 地震や台風等、想定される災害に対応した人的被害、構造物被害等を算出する被害想定を作成するため、地震、台風等の災害誘因、地盤や危険物施設の立地状況などの災害素因、災害履歴などを考慮し、総合的かつ科学的に地域の災害危険性を把握するいわゆる防災アセスメントを事前に実施することが必要とされております。
 県では、南海トラフ地震や中央構造線断層帯による地震の被害想定を実施するに当たり、従前から詳細な地形や津波の履歴、地盤調査などの防災アセスメントを行い、「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」を策定するなど、実効性のある防災・減災対策に取り組んでいるところでございます。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 続いて、中央構造線直下型地震対策についてお尋ねいたします。
 わかっているだけで全国2000もの活断層があるとされています。どこで大地震が起きてもおかしくない状況です。
 そこで、和歌山県北部を横切る中央構造線直下型地震対策も強める必要があると思いますが、どのような取り組みをされていますか、危機管理監にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 危機管理監。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 地盤調査等をもとにした防災アセスメントの結果、中央構造線断層帯による直下型地震だけでなく、紀伊半島は南海トラフ地震においても震源域に近く、南海トラフ巨大地震で県内のほぼ全域において震度6弱以上と、直下型地震と同様に非常に激しい揺れが想定されております。
 そのため、東日本大震災直後から防災・減災対策の総点検を実施して公共施設の耐震化を進めるとともに、住宅や大規模建築物の耐震化について全国トップクラスの助成制度を用意するなど、地震に備える対策に強力に取り組んでまいりました。
 しかしながら、住宅の耐震化や家具固定は決して進んでいるとは言えず、行政報告会、各種メディア、県庁のルートなどを通じ、あらゆる機会を捉えて必要性を訴えるなど、住宅の耐震化、家具固定、ブロック塀の安全対策をより一層推進してまいります。
 また、議員各位におかれましても、このような趣旨から県民の皆様方に呼びかけていただきますようにお願いをいたしたいと存じます。
 あわせて、発災後の救出・救助等の防災活動や初期消火、避難所の運営等を担う自主防災組織の充実による地域防災力の強化などに取り組み、直下型地震などの災害に備えてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、要望をさせていただきます。
 中央構造線活断層のこの地域には、災害を素因とする被害が潜在的に存在します。これが地震の発生や台風、豪雨によって被害が顕在化するというものです。
 このようにして、県内ではしばしば大きな災害が起こってきました。そのために、県民の命や財産が失われる大きな被害を受けました。公共の施設や産業施設、農地でも突然大きな損失を受けます。2014年に起きた広島での土砂災害では、多くの住宅が被害を受け、たくさんの死者が出ました。また、ことし岩手県では、台風10号により高齢者グループホームに入所されていた方9名が亡くなりました。
 これらの被害は、建物を建てる事前の段階で防災アセスメントを行っていれば、防げた部分があるのではないかと考えます。特に、自然災害により広範囲にわたって被害を与える施設、例えば原発や放射性廃棄物処理施設、産業廃棄物処理施設など、自然災害の後に2次災害が予想される施設については、建設計画の事前にきちんとした防災アセスメントを厳重にする必要があると思います。この防災アセスメントによって大きな被害が予想される場合は、建設計画の中止もあり得るのではないでしょうか。広範囲に被害を与える施設をつくる場合には、現在実施されている環境アセスメントに加え、防災アセスメントとの2つの視点で慎重に対応することを県独自で検討する必要があると指摘しておきたいと思います。
 現在、県は、市町村に対してハザードマップの作成を支援しています。現状で災害を受けた場合の防災アセスメントもされています。これらは評価できるものですが、災害県である和歌山県として、さらに進んだ事前の防災アセスメントを実施することを検討していただきたいと要望して、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時26分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕(拍手)
○鈴木太雄君 皆さん、こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。
 まず、大項目の1、観光振興について。
 その小項目の1点目として、サイクリングロードを活用した観光振興の意義と推進のあり方について質問をいたします。
 現在、我が国経済は緩やかな回復基調が続いているものの、地方においてはその経済の好循環はいまだ十分に実現できていない状況にあります。特に、少子高齢化や急速な人口減少に伴う地域内消費の減少で地域経済は縮小すると予測されており、これまで以上の地域間格差の拡大が懸念されているところでもあります。
 そういった状況下において、国では2010年6月から、成長戦略の1つとして観光立国・地域活性化戦略を掲げ、観光がもたらす地域への高い経済波及効果や雇用創出効果を求めるとともに、交流人口の増大を図る取り組みを続けております。
 もとより、観光に寄せる期待が高い本県においては、和歌山ブランドの拡大と持続可能な観光地づくりを基本に置き、メディアや旅行会社に対し、継続的な企画提案活動を展開するなど、和歌山の魅力の発信に取り組んできています。
 とりわけ、平成25年から平成27年までの3カ年においては、本県観光のゴールデンイヤーと位置づけ、集中的な情報発信と観光商品の開発を行うとともに、急増する外国人観光客の受け入れ対策についても急ピッチで取り組みが進められ、その結果として平成27年には観光入り込み客総数で3300万人以上、外国人宿泊客数で約43万人と、過去最高の記録になりました。
 ちなみに、民間機関の各種データでは、楽天トラベルの人気上昇率ランキングで本県は2年連続全国第2位、グーグルの検索ワード、夏・観光部門では上昇率全国第1位、都道府県別魅力度ランキングにおいても前年の37位から26位に急上昇するなど、和歌山の魅力は、関係各位の御努力により広く多くの方々に認知されてきております。
 和歌山の認知度が上昇している今、これまでの取り組みをさらに発展・深化させ、より効果的な誘客促進を図るため、本年度から新たに「水の国、わかやま。」キャンペーンと名づけた事業がスタートをいたしました。世界遺産ブランドを初め、和歌山が持つポテンシャルに水という意外性のあるテーマをつけることにより、観光資源の発掘、開発、整備を行うなど、将来へもつながるキャンペーンとしております。
 そういった中でも、数ある観光振興あるいは地域振興策の1つとして、今回あえて私が期待を寄せ、取り上げるのが、サイクリングロードを活用して観光振興へつなげようとする取り組みであります。
 本県は、世界遺産や温泉以外にも川、山、海など魅力ある豊かな地域資源を有しており、サイクリングロードの設置には非常に適した地域であります。また、近年の健康志向や環境意識の高まり等を背景にサイクリング需要が伸びていることから、その地に自転車の周遊ルートの整備を図ることは、本県への誘客を促進する上で非常に効果的であると考えてございます。
 今回、本県が計画中のサイクリングロードは、周遊ルートとして紀北、紀中、紀南、海岸の4つのルートが検討されていますが、いずれも自転車愛好者において魅力あるルートでなければなりません。そうしたことから、数多く点在する地域資源をつなぐ周遊ルート、あるいは長期滞在を誘発できるルートのつくり込みが重要であり、また、そのルートを選定していく上においては地域の意見を幅広く取り入れていくことが何よりも大切であります。ある地域では、若い方々が地域おこしの一環として県が示した周遊ルート案を基本としながら、そのルートから外れた場所にある風光明媚な見どころへの誘導や地域の観光資源の洗い出しを行うなど、さまざまな取り組みを考え、そして協議をしていると聞いております。
 周遊ルート案は国道、県道、そして市町村道で構成されていくと思いますので、各道路管理者や関係機関はもとより、各市町村の観光部局との連携を図ることが必要不可欠であります。
 そこで、小項目の1点目、サイクリングロードを活用した観光振興の意義について、また先ほど申し上げた地域にある積極的な意見の集約などを含め、今後どのように推進していくのか、商工観光労働部長の御見解をお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの鈴木太雄君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) サイクリングロードを活用した観光振興の意義でございますが、高額なロードバイク等のスポーツ自転車の国内年間販売台数が2015年には60万台と急増しています。全国でも、しまなみ海道や琵琶湖など多くのルートが国内外の自転車愛好家も含め人気を集めており、今後さらに需要が伸びていくことが予想され、その活用は重要であると認識しております。
 こういった中、議員御提言のとおり、従来の交通手段だけでは訪れることができないような地域の魅力をサイクリングロードにより新たな周遊ルートとして形成することは、従来と異なる客層やリピーターの獲得につながると考えております。
 川、山、海の各ルートを県全域で整備されることは、全国でも唯一の取り組みであり、交流人口の増加、消費拡大につながるものと考えております。
 県としましては、地域の皆さんと情報を共有しながら、全国唯一の魅力的なサイクリングエリアであるという強みを雑誌、テレビ、ウエブ等、メディアをフル活用して国内外に強力に発信してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 御答弁をいただきました。サイクリングロードの活用により多くの自転車愛好者を誘客するためには、やはり全国への情報発信が何よりも大変重要となります。これからの積極的な取り組みに期待を申し上げたいと思います。
 また、その情報発信ツールの1つとして、今後、周遊ルートマップを企画部のほうで作成すると聞いていますが、特にこのマップの作成に当たっては、ルート周辺の地域お勧めの見どころも掲載することはもちろんのこと、スタンプラリーによる特産品の提供や、地域の宿泊施設等と連携をし、送迎等の特典を盛り込むなど、いわゆる地域との連携ツールとなり得るものを作成していくことが必要ではないかと私は考えております。
 そこで、自転車愛好者に伝えるべき地域の魅力など、観光的な要素を今後どのようにマップに反映していくのか、またその活用について商工労働観光部長に再質問をいたします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 多くの自転車愛好者を誘客する情報発信ツールの1つとして、議員御提言の周遊ルートマップの作成は重要であると認識しております。
 周遊ルートマップにつきましては、多くの自転車愛好者にお越しいただき、地域の人との接点をふやし、地域での消費拡大につなげるため、駅、駐車場、サイクルステーションなどに加え、地域の見どころ、飲食店、お土産店、宿泊施設やアクティビティーなどの情報を盛り込めるよう、企画部と連携してまいります。
 また、その活用については、サイクリストの利便性を高めるため、ウエブでの情報提供なども検討してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 次に、小項目の2点目として、サイクリングロードの整備状況と今後の取り組みについて質問をいたします。
 先ほど4つのルート案があると申し上げましたが、それを構成する川、山、海のサイクリングロードの整備に当たり、紀の川沿いの自転車道を活用した紀北ルートと山間部を走る紀中・紀南ルート及び海岸ルート、さらにルート上の都市とではラインの引き方や誘導方法等、おのずと違ってくるものと思われます。
 周遊ルート案のほとんどが自転車専用道路や自転車・歩行者道ではない一般道を活用したものであり、特に山間部ルートは道路が狭隘なため見通しの悪いところが多く、自動車との接触事故の確率が高くなります。このような場所では、最寄りの医療機関まで距離があるため、ドクターヘリの出動も想定しなくてはなりませんし、事実、過去にはドクターヘリが出動した自転車による事故も発生をいたしております。
 自転車愛好者の安全・安心を確保するために、自動車交通量の少ない道を活用したルート選定の検討もされているとは思いますが、このような道路には山間部での落石が懸念をされたり、舗装の劣化が激しいなど、危険な箇所もあることから、やはりその解消に向けた取り組みも重要であります。
 これらのことを踏まえ、小項目の2点目として、サイクリングロードの整備状況と今後の予定について、またサイクリングロードに活用する市町村道を含めた道路の危険箇所解消への取り組みについて、県土整備部長の御見解をお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 議員御質問の川、山、海の3つのサイクリングロード整備の考え方といたしましては、県が国及び市町村から維持管理の観点も含めた御意見をお聞きしてルートを設定するとともに、ブルーライン等の路面標示、ルート案内看板について規格統一を図った上で、各道路管理者が整備をすることを基本としております。
 現在の整備状況につきましては、先行して着手した紀の川沿いの川のルート整備が約9割完了してございます。山、海のルートにつきましては既に整備に着手しているところもありますが、残っている一部の詳細なルートや整備の時期について、国や市町村並びに関係機関と調整を行っているところです。
 今後の予定といたしましては、早急にこれらの調整を終え、来年度の概成を目指し、ブルーライン等の路面標示の設置を行っていきたいと考えてございます。
 さらに、危険箇所の解消につきましては、各道路管理者が取り組むことを基本としておりまして、必要に応じて落石対策や舗装・補修などに取り組んでいただきたいと考えてございます。
 なお、市町村道における必要な費用については、国の交付金予算の確保を積極的に支援したいと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 次に、小項目の3点目として、サイクルステーションについて端的に質問をいたします。
 サイクルステーションとは、自転車愛好者がサイクリングの途中でトイレや食事、水分補給などのために気軽に立ち寄ることのできるスポットのことで、通常、個々のステーションにはバイクラック、空気入れ、修理道具等も備えつけられております。周遊ルートの利便性を向上する上で非常に大切な場所であり、ステーション間の距離等を踏まえた適正配置、つまり自転車愛好者にとってより利便性が高いステーションの設置が求められます。
 そこで、小項目の3点目、サイクルステーションの設置については市町村の役割として位置づけておりますが、県内全体のステーション設置数及び設置場所は、具体的にどのような配置で今後どう整備していくのか、企画部長の御見解をお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) サイクルステーションにつきましては、自転車愛好者の受け入れ環境として非常に大切であります。
 県では、自転車愛好者が休息をとりやすいなど、利便性を考えた適正な配置に配慮するとともに、地域での消費拡大につなげられるよう、サイクルステーションの設置を推進しているところでございます。今後、さらに拡充に向け、市町村とともに取り組んでまいります。
 なお、平成28年度につきましては、設置促進のため、道の駅や観光案内所などへの必要物品の配置に対し支援を行い、各市町村に1カ所以上を選定し、県全体では30カ所以上にサイクルステーションを設置することとしています。
○議長(浅井修一郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 次に、小項目の4点目として、紀州材を活用したバイクラックについて、これも端的に質問をいたします。
 サイクルステーションへ備えつける物品等の整備については、県から市町村に対して1カ所につき上限3万円を補助することとなっています。当然、バイクラックにつきましてもその物品等に含まれているわけですが、自転車愛好者の間では、特に紀州材を活用したバイクラックが木の国和歌山らしいと好評であるとのことであります。
 この際、備えつける物品等の整備費とは別に、私は、何よりも本県特産品のPRといった観点から、よくあるスチール製等のものよりも紀州材を活用した県内統一のものをできれば県において製作し、県内各ステーションに配備することがいいのではないかと考えますが、小項目の4点目、紀州材を活用したバイクラックの設置について、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 紀州材を活用したバイクラックの設置についてでございますが、紀州材の需要を拡大するためには、紀州材をさまざまな用途に使用していくことが重要と認識しております。
 議員のお話にもありましたように、近年の健康志向や環境意識の高まり等を背景にサイクリング需要が伸びてきていることから、サイクルステーションに紀州材を活用したバイクラックを設置することで自転車愛好者の方々に紀州材のよさをアピールしていくことも、有効な施策の1つと考えております。
 今後、サイクリング関係者の御意見も伺いながら、庁内関係各課や市町村とも連携の上、木の国和歌山らしい取り組みを検討してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
 最後に、サイクリングロード整備後には、県内各地域でサイクリングイベントが開催をされ、交流人口の増大により地域が活性することを期待し、この項での質問を終わります。
 次に、大項目の2として、森林保全についての質問に移ります。
 まず、小項目の1、森林環境整備のあり方と課題について質問をいたします。
 本県は、古くから木の国とうたわれ、山地面積が県土面積の約4分の3を占めております。全国における山地面積ランキングは25位でありますが、面積割合におきましては7位となっております。
 言うまでもなく、森林は、地球温暖化の原因になっている二酸化炭素の吸収・蓄積や酸素の供給、蒸発散作用により地球環境を調節するといった地球環境保全の大きな一翼を担っているとともに、土砂災害の防止や土壌の保全及び水源涵養等、多種多様な機能も有しております。
 しかし、現在の森林を取り巻く状況は、木材価格の低迷により森林を守る機能を有する林業の経営が非常に困難で、人工林の手入れが行き届かなくなってきているばかりか、そのために荒廃した森林が増加をし、我々の日常生活にも悪い影響をもたらしているところでもあります。
 このような中、県民一人一人が森林による恩恵を受けるとの観点から、まず平成15年、高知県がこれらの森林や里山などの自然環境を維持・回復するために森林環境税を地方税として創設したのを皮切りに次々と各府県で導入され、平成28年現在、本県を含む37府県において施行されている状況であります。森林環境税を創設した自治体では、県民税の超過課税としており、県民税に森林環境税を上乗せした形で徴収をしています。
 本県においても、2005年に策定した紀の国森づくり税条例及び紀の国森づくり基金条例に基づき、平成19年度から各年度分の個人の県民税に500円を紀の国森づくり税として加算し、法人の県民税への加算分を含め、その徴収を紀の国森づくり基金に積み立て、森林環境の保全及び森林と共生する文化の創造に関する施策へと活用をいたしております。
 平成27年度までの9年間で、総額19億1000万円を費やし、緑育推進や景観づくりなど数多くの事業を実施してきたことは皆さんも御承知のとおりであります。
 ちなみに、公募事業あるいは県事業による森林環境整備は、さきに申し上げた施策どおり、森林環境保全や森林と共生する文化の創造に大きく貢献している事業であると思いますし、また、森林への理解の深化、森林への愛着心の醸成につながっているなど、事業実施団体からも好評いただいているとも聞いております。これらの事業は、産業、防災、教育に寄与するものであり、永久的に継続して行うことが必要かつ非常に重要であります。
 そこで、小項目の1点目として、これまでの本県における森林環境整備の成果とこれからのあり方について、また、この紀の国森づくり税条例の施行期間は平成28年度までとされておりますので、財源確保を含めた今後のさまざまな課題について、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 紀の国森づくり税を財源とした紀の国森づくり基金活用事業につきましては、平成19年度の開始以来、森林環境の保全及び森林と共生する文化の創造に関する施策に取り組んできております。
 開始から5年間は公募事業を中心に取り組んでまいりましたが、平成24年度以降は森林環境整備に重点的に取り組み、採算が合わずに整備が進まない人工林の切り捨て間伐を中心に約5700ヘクタールの整備を行うとともに、公募事業や里山における放置竹林の整備、ナラ枯れの被害対策などを含め、約6300ヘクタールの整備を行い、森林の公益的機能の高度発揮に努めてまいりました。
 このほか、緑育推進事業では延べ617校、約2万9000人、公募事業では延べ382件、約6万7000人、合わせて約9万6000人の県民の方々に森林・林業に関する体験学習や森に親しむ活動などに参加いただき、森林を守り育てる意識の醸成に役立ったと考えております。
 議員御指摘のとおり、山地災害の防止及び水源の涵養などに寄与する森林環境整備や、森林を守り育てる意識を醸成するための教育等は継続して行うことが必要かつ重要です。しかし、こうした施策を継続して行うには、整備が進まない人工林の所有者の特定が困難になってきたことや、緑育推進事業の指導者の育成など幾つかの課題はありますが、安定した財源の確保が最も重要であると考えています。
○議長(浅井修一郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 次に、小項目の2として森林環境税の創設に向けた県の取り組みについて質問をいたします。
 世界各国において地球環境問題への取り組みが求められている中、我が国の地球温暖化対策については、2020年度及び2020年以降の温室効果ガス削減目標が国際的に約束されており、その達成のためには森林吸収源対策の推進が重要かつ不可欠であります。こういった意味から、森林の維持や回復への対策は、本来国家レベルにおいて扱うべき課題であるとも言えます。
 また、森林の整備や木材利用を推進することは、国土の保全や地方創生、快適な生活環境の創出などにつながり、ひいては広く国民一人一人が恩恵を受けるものであることから、森林を抱える山村地域の市町村だけでなく、国民全体が森林のあり方、そしてその整備への意識や意義をしっかりと持つことが必要であります。
 これまでも森林の公益的機能の維持を目的に、国においては幾度となく税の導入が検討されてきました。1986年に林野庁が森林の涵養機能を確保するため、10年間の限定措置として水源税の導入を提案したことに始まり、近年では市町村長で組織する全国森林環境税創設促進連盟や、市町村議会議員による全国森林環境税創設促進議員連盟を中心に、全国森林環境税の創設を目指し、現在まで活動されています。
 そして、その活動のかいあって、平成28年度与党税制改正大綱に、森林吸収源対策として、「森林整備等に関する市町村の役割の強化や、地域の森林・林業を支える人材の育成確保について必要な策を講じた上で、市町村が主体となった森林・林業施策を推進することとし、これに必要な財源として、都市・地方を通じて国民に等しく負担を求め、市町村による継続的かつ安定的な森林整備等の財源に充てる税制『森林環境税』等の新たな仕組みを検討し、その時期については、適切に判断する」という文言が明記をされました。
 国での森林環境税の導入を要望してきた本県を初めとする各自治体においては、ようやく一歩前進であります。この与党税制改正大綱には、森林・林業施策の推進は市町村が主体と位置づけられているものの、森林を保有するそれらの自治体のみでその森林保全の役割を担うことは、財政面や人材面のみならず、あらゆる面において非常に厳しい状況であると言えます。
 本県の平成29年度国の施策及び予算に関する県の提案・要望での認識どおり、やはり適切な地域間調整を図るためには県の積極的な取り組みが重要であり、また県独自で森林環境税を課税していることからも、国との調整が必要となります。
 本県では、森林環境税等の新たな仕組みの検討においては、具体的な措置として都道府県・市町村それぞれの役割を考慮し、税源配分について十分配慮することや、府県を中心に先行して独自に課税している森林環境税との関係について、地方の意見を踏まえ、十分調整すること、また既存の森林整備事業の振りかえ財源としないことなどを要望しているところであります。
 そこで、小項目の2点目として、今後当局は、森林保全並びに国における森林環境税創設へ向けた動きに対し、具体的にどう取り組むのか、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 地球温暖化対策には、森林の整備や木材利用の促進といった森林吸収源対策が重要かつ不可欠であることは言うまでもございません。
 このため、県といたしましても、森林吸収源対策を積極的に進めるべく、その財源の確保に向けて、政府提案を初め、さまざまな機会を通じて関係省庁への働きかけを行ってきたところであり、また、全国知事会や関西広域連合においても同様の趣旨の決議や意見書の提出が行われているところです。
 こうした中、議員御指摘のとおり、平成28年度与党税制改正大綱において、森林環境税(仮称)の創設が盛り込まれ、一歩前進しました。その実現に当たっては、本県を初め全国37府県を中心に先行して独自課税している税との調整等、解決すべき課題もありますが、当該税の創設は、森林吸収源対策を進めるための財源の確保を図る上で必要不可欠と考えております。
 しかしながら、平成28年度与党税制改正大綱での、「その時期については、適切に判断する」との表記にとどまっていることから、一日も早い実現に向けて、県選出国会議員の皆様にも御協力をいただきながら、関係省庁への働きかけをこれまで以上に強めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 最後に、大項目の3であります文里湾横断道路について質問をいたします。
 まず、(仮称)文里湾横断道路は、一般県道文里湊線より文里港をまたぎ、新庄方面に接続する架橋を含めた道路のことで、紀南地域の中心である田辺市街地と白浜町、上富田町を結ぶ地域間幹線道路等として位置づけられている整備要望路線のことであり、地元では一般的に文里湾架橋とも呼ばれております。
 その横断道路建設に向けた取り組みは、今から約40年前の昭和53年に民間から構想が持ち上がり、昭和57年には田辺商工会議所を中心として市内各地域の有志を含めた文里湾架橋促進協議会が発足され、本構想実現のため協議を続けてこられました。
 とりわけ、平成8年には、市民の機運醸成を図るべく、商工会議所及び文里湾架橋促進協議会、そして田辺市観光協会の3者で費用負担をし、建設推進に向けた大きな看板を文里港入り口付近に設置した経過もございます。
 さらに、平成9年には、より実現に近づけようと商工会議所に加え、文里、磯間、神子浜等の沿岸部や市街地に位置する町内会及び商店街振興組合連合会、観光協会など各種団体も参画をし、文里湾架橋建設推進協議会が以前の協議会にかわり新たに組織され、県と市に対してその要望活動を続けてこられました。
 その後、経済情勢や環境の変化などさまざまな要因から一時的に活動の中断を余儀なくされた時期もありましたが、平成22年より商工会議所から知事へ架橋の建設要望が再開をされ、その活動は形を変えながらも現在まで続けられているところであります。
 一方、田辺市におきましては、昭和63年3月策定の第2次総合計画に、文里湾架橋を初めとする田辺湾岸域の交通整備が明記されていましたし、平成8年3月策定の第3次総合計画でも、南紀白浜空港や周辺自治体との連携を強化する地域間道路ネットワークづくりのため、この架橋の建設を推し進めることが位置づけられてきました。それは合併後も一貫して変わることなく、その実現に向けた取り組みに努めるとされております。
 この道路構想が実現をしますと、主要地方道南紀白浜空港線と田辺市街地が結ばれ、新庄地域の渋滞緩和も含めて交通の円滑化が図られるなど、近隣町との地域間を結ぶ道路として交流人口の増大にも大きな役割を果たすことが期待をされております。
 さらに、3次救急医療機関である南和歌山医療センターと市街地を結ぶ非常に効果的な緊急搬送ルートが確立されるとともに、災害時においても防災拠点ネットワーク港湾に位置づけられた新文里港からの輸送道路として重要な路線になると考えられています。
 こういった期待から市を挙げて取り組みを続けていましたが、平成26年、田辺市において道路状況等の環境変化を踏まえ、新たにその事業効果等を見きわめるための調査が実施されました。その調査結果は、いずれも以前と変わらず、整備効果が期待されるとのことで、改めてその必要性の認識を深めたところでもあります。
 こうした取り組みが行われている中、平成23年に社会情勢を一変させた東日本大震災が発生し、国民の地震・津波等防災に対する意識がより高まることとなりました。本年4月に発生した熊本地震もそうであります。今まさに、本県や県下の沿岸市町において、近い将来、高い確率で発生すると想定されている3連動地震、あるいは南海トラフ巨大地震に起因する大規模災害への対策や、避難困難地域の解消を含めた津波対策への取り組みが積極的に推し進められています。
 田辺市では、昨年3月に設立された南海トラフ地震津波対策検討協議会において議論が重ねられ、この横断道路について、津波から逃げ切るためには「文里地区の避難困難地域のみならず、周辺に存在する要配慮者施設利用者等の避難路、避難場所として必要である」と答申が示されるとともに、津波避難困難地域解消計画にも位置づけされたところであります。
 また、先ほどから申し上げているように、これまで熱心に取り組んできた経緯もあり、地元では世界遺産に追加登録される見込みの闘鶏神社等を生かした観光振興や南和歌山医療センターへの搬送時間短縮などの効果を期待する声が根強くあるのも、これも事実であります。無論、地域振興におきましても、この道を生かした魅力あるまちづくりを進めていかなければなりません。
 本当に今申し上げたような、以前からさまざまな思いや期待のある道でありますが、私はまず、今回の津波に備え命を守るために必要であるとされたことを何よりも重く受けとめて、今後、命を守る道として取り組みを進めていく必要があると考えますが、知事におかれましては、この津波避難困難地域解消計画を受けて、文里湾横断道路の整備についてどのようなお考えを持っておられるのか、御見解をお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 文里湾架橋については、議員の話にもありましたように、長年にわたり御要望などをいただいていた経緯もありまして、これまでにも必要性や位置づけなどについて検討してきたところであります。
 御指摘のように、もともとの発想は田辺─白浜をつなぐもう一本の便利な道路をつくって全体として観光の振興をというようなものであったと思いますが、これもなかなかいい考えだと思っておりました。
 一方、これまた御指摘のように、県が対策を進める3連動地震や南海トラフ巨大地震への備えとして、県民の命を守り、津波から逃げ切る方法を考えていく中で、この橋の存在が考えられる避難の方法と矛盾していたら困るという問題も出てきたわけでございます。したがって、文里湾架橋が周辺住民を含め、県民の命を救うために必要であるという整理を、これは田辺市が中心になってやっていただくんですが、そういうことをできるならば取り組んでいくというような結論にしておりました。
 田辺市では、南海トラフ巨大地震津波対策検討協議会を設置し、津波避難困難地域の解消に向けた計画について検討を重ねてきましたが、去る7月、計画が策定されました。この計画では、これを使って逃げるという方向が明らかにされておりまして、津波避難対策と文里湾架橋が矛盾がなくなりました。田辺市長からも、避難路、避難場所としても文里湾架橋が必要だとのお話があって、ぜひこれは頼むということでございましたんで、もう懸念は一切なくなりましたから、実現に向けて取り組もうというふうに思いまして、よく田辺市と連携して進めていくよう県土整備部長に指示をしたところであります。
 今後は、田辺市と連携し、関係機関との調整やルートの詳細な検討など、文里湾架橋の実現に向けて必要となる取り組みを進めていく所存でございます。
○議長(浅井修一郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 御答弁をいただきました。本当にありがとうございます。
 避難困難地域の解消策の1つとして、今回改めて文里湾横断道路に寄せる期待がさらに大きく増しました。地元である我々もしっかりとともに手を携えて、これから汗をかいてまいりたい、またこれから出てくるであろう諸課題についても精いっぱいの努力と行動をもって汗をしっかりかいてまいりたいなと、このように考えてございますので、どうぞ最後までよろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、鈴木太雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時40分散会

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