平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(全文)


人名等の一部において、会議録正本とは表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成28年6月
和歌山県議会定例会会議録
第6号
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議事日程 第6号
 平成28年6月15日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第173号から議案第188号まで並びに報第1号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第173号から議案第188号まで並びに報第1号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
 第4 休会決定の件
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       市川靖之
 企画部長       高瀬一郎
 環境生活部長     日吉康文
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   岡本圭剛
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    竹田純久
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       上坊 晃
 次長         西原龍也
 議事課長       中谷政紀
 議事課副課長     浜野幸男
 議事課課長補佐兼議事班長
            長谷哲生
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主査      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第173号から議案第188号まで、並びに知事専決処分報告報第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 19番藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 おはようございます。久しぶりに一般質問をさしていただきます。
 おかげさまで、県議会に送っていただいて13年がたちました。この間、お支えをいただいた全ての皆さんに感謝であります。来週には41歳の誕生日を迎えて、どうやら世帯を持つ前に本厄のおはらいを受けることになろうとは、議会に来さしてもうたときには思いもしませんでした。孤独死におびえ始めているきょうこのごろでありますが、質問に入る前に2つばかり苦言を呈しておきたいと思います。
 まず1つ目は、あの元旦の津波緊急速報メールの誤配信がきっかけで気づいたことでありますが、あの日は揺れも感じなかったので、いぶかしく思い、テレわかのデータ放送、県が情報を提供しているデータ放送、確認したんですが、その中に河川課と砂防課の番号が表示されておりました。片方にかけると、もうパンク状態だったのか、どなたも出られませんでしたし、もう片方にかけると、「お客様のおかけになった電話番号は現在使われておりません」ということでありました。
 4日の日に当局に電話をして対応していただきましたが、今後はこういったことないようにお願いしたいというふうに思います。
 そしてもう1つは、国体の花いっぱい運動についてであります。
 延べ9万人の方が参加されたということで、事業報告見さしていただきましたが、皆さんに花を植えていただいて育てていただいたプランターを国道沿いに並べておられましたが、国体が終わるや否や、私見たのは海南ですが、42号線のプランターは、もう昼間パッカー車にごみをほり込むようにどんどんどんどん投げ込んでいるのを見るにつけ、大変心が痛みました。
 せめて枯れるぐらいまで置いといて、その後撤去するならまだしも、まだきれいに咲いてる花をそういうごみ扱いでするというのは大変胸が痛みましたし、それを通行人や、また車から見ていた人の気持ちを思うと大変心苦しく思いましたし、第一に、そういう花いっぱい運動に御協力していただいて、おもてなしに御協力をいただいた皆さんの心を踏みにじるものですから、これからはこういうこと、これからも県でイベントもされるでしょうし、また国民文化祭も開催されますが、そういったことがないように御配慮をしていただきたいというふうに思います。
 ちょっと前段お話長くなりましたが、質問のほうに入らしていただきたいと思います。
 まず、ICTを活用した取り組みと対策について。
 まず初めに、外国人観光客向けの情報提供について伺います。
 政府では平成32年に訪日外国人観光客数を4000万人とする目標を上げており、本県でも外国人観光客を積極的に受け入れていく方針を表明しています。
 外国人観光客をふやしていくためには、1度来県してもらうだけではなく、いかにしてリピーターをふやしていくかが鍵となります。リピーター客の獲得には、世界遺産やみそ、しょうゆ、温泉、グルメのように、本県らしい文化や自然のすばらしさに加えて、おもてなしの心遣いや交通の利便性を実感して、また来たいと思ってもらう必要があり、それらの情報を外国人観光客にうまく伝える方法としてICTを活用すべきと考えています。
 見知らぬ土地、言葉が通じない外国を訪問することは旅のだいご味ですが、まず、自分がいる場所の情報がわからないと誰でも不安になるものです。せっかくの歴史遺跡や観光地も、説明がわからなければ楽しくありません。ICTは、こうした情報を容易に入手できるツールであることは言うまでもありません。外国人観光客が訪れた施設や史跡、土地の情報を、不便に感じることなく容易にかつ多言語で入手できる体制が整っていることが、本県に好印象を持っていただく上で大変重要な条件になるかと思います。
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 ICTを活用した外国人観光客向けの情報提供について、本県ではどのように取り組んでいるのかお答え願います。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの藤山将材君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 県では、外国人観光客向けの情報提供体制を充実させるため、和歌山フリーWi-Fiの整備に取り組んでおります。
 県有施設へのアクセスポイントの整備に加えて、市町村や観光関係事業者にも整備を呼びかけた結果、平成27年度末には約1200アクセスポイントに達しております。
 この接続環境を生かし、新たに構築しました多言語Wi-Fiポータルサイトには、観光関係施設の基本情報を表示する機能を持たせ、県の多言語観光ウエブサイトや防災・安全情報サイトにもリンクさせることで利便性の向上を図っております。
 また、県の多言語観光ウエブサイト「Visit Wakayama」を全面的にリニューアルし、5月17日に公開いたしました。新しいサイトは、「新・観光立国論」などの著者、デービッド・アトキンソン氏の監修により、写真や映像を多用するなど、外国人にわかりやすいサイトデザインとなり、またスマートフォンなどモバイル端末にも対応するなど、和歌山の魅力を世界に向けて発信しています。
 今後は、アクセスポイントのさらなる拡大を目指すとともに、Wi-Fiポータルサイト、県の多言語観光ウエブサイトの内容を一層充実させ、外国人観光客への情報発信力の向上に努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 Wi-Fi大作戦も1200カ所を突破したということで、予想以上にWi-Fi環境の整備が進んで利便性が向上してるのは大変うれしいことであります。私も、随分昔になりますが、県の観光のサイトの充実を、もう少し音を出してはどうかとか、行ってみたいと思わすような気分を醸成させるような何か仕掛けというか工夫、必要ではないかというような質問もさしていただきましたが、この「Visit Wakayama」拝見さしていただいて、本当にすばらしいものになってるなというふうに思ってます。
 ただ、ちょっとまだ、コンテンツは物すごくすばらしいですけども、もう少し内容を充実していけるように、これからもしっかり頑張っていただきたいというふうに思います。
 次に移ります。
 災害情報収集のあり方について伺います。
 冒頭で、津波誤報メールに関する苦言を呈しました。情報機器は、運用を誤ったり情報の正確性を欠くと大変な混乱を生む危険性をはらんでいます。しかし、危険性を恐れて情報機器の運用に消極的になると、人力だけでは到底処理できない多方面からの大量のデータを短時間で収集、分析できず、災害時の対応にみずから限界をつくってしまうことになりかねません。
 東日本大震災や紀伊半島大水害で証明されたように、大規模災害時に被害を最小限にするためには、初期段階で災害情報を迅速に、かつ正確に収集、分析し、的確に対応することが何より重要で、このような観点から、県当局では正月のような件を奇貨として、これからも情報機器を積極的に活用していただきたいと考えております。
 そこで、本県のICTを活用した災害情報の収集のあり方について、どのように考え取り組んでいるのか、危機管理監にお答え願います。
○議長(浅井修一郎君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) あらゆる災害から県民の生命、財産を守るためには、災害情報をより早く正確に収集、伝達することが必要であり、そのためには、議員御指摘のとおりICTの活用が重要であると考えております。
 県では、東日本大震災や紀伊半島大水害を教訓として、防災関係機関が緊密に連携して、速やかな災害情報の収集、共有、伝達ができるように、平成27年度に総合防災情報システムの再構築を行いました。
 具体的には、スマートフォンやタブレット端末を用いた災害現場の写真や位置情報が報告できる機能の実装、GISを用いた情報の収集、共有により、これまでの被害報告型システムから災害対応活用型システムに転換し、迅速かつ的確な災害対応に資する新たなシステムとして整備したところです。
 また、和歌山県ホームページの防災わかやまにおいて、避難勧告等の発令や避難所の開設状況等の災害情報を、防災GISでリアルタイムに詳細な地図情報を提供することを初め、防災わかやまメール配信サービスや緊急速報メールにより県民の皆さんに直接配信を行うとともに、Lアラート等によりテレビ等のメディアに提供することで、正確かつ迅速な災害情報の伝達に努めているところでございます。
 さらに、大規模災害発生時に県職員が被災地等で直接情報収集や調整を行うため、移動県庁としてパソコンやタブレット端末を準備して、災害時緊急機動支援隊として720名、広域防災拠点要員として200名の県職員をあらかじめ定めております。
 具体的には、被災地への通行可能ルートや建物倒壊等の被害状況、被災者の避難状況や物資等の状況等、多岐にわたって収集するとともに、救援物資については、広域防災拠点での保管、入出庫を管理する等、さまざまな災害情報の収集及び整理を行い、災害対策本部において迅速な判断を行う重要な情報として取り扱えるようにしております。
 なお、構築したシステムについては、津波災害対応実践訓練や、物資輸送・災害情報収集伝達訓練等を繰り返し実施しているところでございまして、災害時にシステムを適切に活用できるよう、一層、習熟度を高めていくことが必要不可欠であると考えております。
 今後とも、災害時の災害情報の迅速かつ的確な収集等を行うため、適切なICTの活用に取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 今、我々対応しているのは、アナログ面が多いというふうに思います。今後は、デジタル情報、十分に活用しながら一層進めていただきたいというふうに思います。
 それと1点要望ですけども、他県で行政の限られた人数でそういう対応をするために、そして情報を広く集めるために、住民参加型で情報収集するような今研究を九州と和歌山大学のほうでもやっていただいてるように聞いております。
 データの正確性の問題をクリアする必要はありますが、集落が孤立し、行政が介入できない場合の補完の役割を補えるかというふうにも思いますので、制度の熟成を図られた上で、活用なんかをまた研究していただきたいというふうに思います。
 次に、3点目として、ネット通販を活用した鯨肉販売の促進についてお伺いをいたします。
 今や、国内のネット通販市場は約14兆円にまで成長しました。2021年度には、ほぼ倍増の約25兆円に達する見込みです。携帯端末の普及に伴い、時間や場所を問わずに利用できるようになったことが市場の成長を後押ししていると言われています。
 本県におきましても、県産品の販売促進に向け、県独自に「ふるさと和歌山わいわい市場」を展開してきましたが、大手ネットサイトの情報発信力で販売力を強化しようと、ことしの1月に「ふるさと和歌山わいわい市場ヤフーショッピング店」としてリスタートを切りました。今回の引っ越しサイトはネット販売の寡占状態の時代にかなった見直しで、ぜひ成功してもらいたいと期待をしております。
 さて、ネット販売についてはこんなこともありました。
 2014年3月、国際司法裁判所において、南氷洋における日本の調査捕鯨が残念ながら条約違反との判決を受けました。すると、直後の4月から国内最大手の楽天市場が鯨肉の取り扱いを中止することを決めたのです。
 御存じのように、判決は調査捕鯨自体を禁じるものではありません。しかし、楽天市場が取り扱いを中止したことで、調査捕鯨について知識のない国民、特に若者に、捕鯨そのものを悪いことだというイメージを植えつけました。
 国内最大規模の楽天市場の鯨肉の取り扱いを再開してもらうことは、販売促進に加え、捕鯨に対する正しい理解の普及にもつながると思います。南氷洋での調査捕鯨も計画を見直した上で再開しており、2年前と状況も変わっていますので、楽天市場に対して、この際、こちらから働きかけていくことが肝要だと思いますが、どうでしょうか。農林水産部長にお答え願います。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) ネット通販における鯨肉の販売につきましては、議員御指摘のとおり、約2年前から取り扱いを中止しているサイトがあることは事実で、まことに残念でございます。
 他のサイトでは、例えば「ふるさと和歌山わいわい市場」があるヤフーショッピングは鯨肉の取り扱いが行われており、それぞれの企業の経営判断によるところがあると考えられますが、その背景には近年の捕鯨に対するさまざまな意見、考え方があるものと思われます。
 県としましては、捕鯨に対する偏見の払拭に努めてきたところであり、平成19年度以降、国に対して商業捕鯨再開に向けた取り組みの推進等を要望するとともに、県ホームページ上におきましても「イルカ漁業等に対する和歌山県の見解」を掲載するなど、捕鯨の正当性を積極的に発信してまいりました。
 今後も、引き続き捕鯨の正当性を訴えていくとともに、議員御指摘のとおり、調査捕鯨につきましては捕鯨頭数の見直しや新たな調査方法を取り入れて計画を見直し、昨年12月には再開されるなど状況も変化してきておりますので、改めて理解が得られるよう、国、関係者と連携をとりながら事業者に対し働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 次に4番目、青少年のSNS利用について。
 まず初めに、情報モラル教育の取り組みについて伺います。これまではICTの活用について伺いましたが、以下2点については、懸念してることに対して伺ってまいります。
 ネット社会になって、首をかしげたくなるようなニュースをよく見ます。コンビニでお菓子の袋に爪ようじを混入する動画を投稿したり、ファミリーレストランのアルバイト店員が冷凍庫に入った写真をツイッターに投稿したことで閉店に追い込まれ、2人に対し高額の損害賠償を求めた一件や、最近では、地下鉄の線路に立ち入った女子高生を仲間の女子高生が動画で撮影、ツイッターに投稿したところ炎上し、警察が捜査することになったケースなどは記憶に新しいところです。
 その場にいる仲間だけで悪ふざけのスリルを味わうだけなら私も今まで心当たりは幾らでもありますが、その様子をネット上にアップするというような感覚は到底理解することはできません。
 言うまでもなく、一度ネット上にアップされた書き込みや画像、動画といった情報は、一度拡散してしまうと完全に消去することは不可能です。それがデジタルタトゥーと言われるゆえんであり、最近では、企業が採用においてその過去の書き込みなどをチェックするという話も耳にいたします。
 そこで、環境生活部長にお尋ねいたします。
 ネット社会で広がる罪の意識の薄さや、その後の社会や自分に与える影響を想像できない人がふえてきています。避けて通れないネット社会で、子供たちが正しい知識を持ち、トラブルを回避することの重要性をどのように指導しているのかお答えください。
○議長(浅井修一郎君) 環境生活部長日吉康文君。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 情報モラル教育の取り組みについてお答えいたします。
 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境を整備するため、県では平成21年度からネットパトロールを実施し、県内の青少年がインターネット上に公開している不適正画像等の抽出を行い、県警察本部や教育委員会と連携して指導を行うなど、その対処に当たっております。
 また、平成27年度から、県内全ての小・中・高等学校及び特別支援学校の教員を対象に、ネット指導教員養成講座を開催し、ネット依存防止と情報モラル教育を行う教員の養成を行っております。
 昨年度は、県内各地で30回講座を開催し、県内全ての小・中・高等学校及び特別支援学校の教員のほか、青少年育成機関の職員、合わせて702名が受講しております。
 今後も、引き続き情報モラル教育の向上に取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 次に、LINEなどのSNSの利用について伺ってまいります。
 先ほども申し上げましたが、ネット社会になって携帯電話やスマートフォンを持つ子供がふえる中で、インターネットを通じて性犯罪などに巻き込まれる事例がふえており、その場合の多くは交流サイトを通じて知り合った相手によるものと言われています。
 交流サイトとは、無料通話アプリのLINEやツイッター、フェイスブックなどのSNSや、共通の趣味を持つ人が投稿できる掲示板などの全ての総称です。かつて出会い系サイトが社会問題化して規制法ができましたが、今主流の交流サイトは規制法の対象外になっていて、その中にはかつての出会い系サイトのように、ID交換サイトやお友達募集サイトとして、利用者が勝手に連絡を取り合ってるという建前で規制をすり抜けているものがあります。
 子供を守る有効な方法はフィルタリングですが、購入時にせっかく設定しても、子供にねだられた親が後日外してしまうことが多いようで、効果が上がっていません。しかも、スマホはWi-Fiの環境下ではフィルタリングは機能しません。
 先ほどWi-Fi大作戦の話が出ましたが、3年ほど前にこういうことがありました。立ち寄ったコンビニで知り合いのお子さんを見つけたので、キャッキャ、キャッキャ遊んでるんで何してんのかと思ったら、そのお店から提供されてる無料Wi-Fiを通じて小学校3年生が不適切な動画を見てみんなで喜んでおったと。それで「みんな見てる」と言うんですね。やっぱり親御さんは、そういうことも気づかれない方も多いでしょうし。
 私も、観光の面からいえばWi-Fi大作戦は大賛成ですけれども、その大作戦を進めていく中で、子供の立場に立つべき環境生活部として、ちょっと観光さん待ってくださいよと、今フィルタリングの欠陥が指摘されてる中で、ちょっとこういう――海外へ行けば外国人観光客しか使えないような、そういう仕組みのWi-Fiなんかもあったりするわけで、そういう形で環境生活部として連携を図りに行ったのか、そういうのは今回もう伺いませんけれども、やはり県でも今、平成29年度の政府提案で、Wi-Fiに対応したフィルタリングアプリをスマートフォンへ導入することを国に対して要望しています。
 しかし、規制が現実に追いついていない現状では、子供を守るためには当面は自衛の手段に頼るほかありません。
 また、今日の情報化社会にあってスマートフォンを利用しないことは不可能で、ちゃんとルールを守った上で安全に使わせることが必要であり、その教育が重要と考えます。
 そこで、SNSを利用するに当たってどのような教育を行っているのか、教育長にお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) SNSについては、利便性が高い反面、個人情報が漏えいしたり犯罪等に巻き込まれたりするなどの危険をはらんでおり、本県でもSNS等を悪用したいじめや問題行動が発生してございます。
 こうしたことから、昨年10月、各学校に、保護者や関係機関との連携を密にし、情報モラルの向上に努めるとともに、インターネット上の問題行動に適切に対応するよう具体的に指示いたしました。
 これまでも、小中学校では、県が作成した道徳読み物資料集に情報モラルについて考えさせる教材を掲載するなど、児童生徒の規範意識の向上に努めてまいりました。また、中学生が携帯電話の使い方について議論を重ね、携帯電話を使用する際の4カ条を示した「ケータイ『和歌山宣言』」を全県に広め、注意を促しているところでございます。
 また、高等学校では、全ての高校生が学習する教科「情報」において、SNSを初めネットワーク上のルールやマナー、人権侵害、個人情報や著作権等の保護について指導するとともに、特別な時間を設け、ネットに潜む危険についての講演会を開催するなどし、情報モラルを高める取り組みを進めてございます。
 議員御指摘のSNSを利用することによって起こるトラブルや犯罪に巻き込まれる危険性、さらには被害に遭わないための方法等については、今後も青少年関係部局と連携し、小・中・高・特別支援学校全ての生徒指導担当教員を対象とした研修会を実施し、各学校での指導の中核となる教員を育成してまいります。さらに、指導用資料を作成し、全ての教員が子供たちに正しい知識と安全な利用を指導できるよう支援してまいります。
 また、保護者に対しても、入学説明会や学級懇談会、PTAの研修会等において、SNS等に関する理解を深め、学校と家庭が一致協力して子供たちを守る取り組みを進めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 小・中・高と成長に合わせて指導されているということでありますが、やはりどの年代でも個人情報の取り扱いに注意を促されております。
 そこで、SNSについて、私個人、矛盾に思ってるところがあるんですけれども、SNSというのは、アプリを使うと、いろいろ書いてる規約に同意をするというボタンをクリックすると同時に、携帯電話の中に入っている個人情報が吸い上げられるようになってるんですよね。私も電話帳お預かりサービスという携帯電話会社のサービスを使ってありますが、これは、同じようにキャリアのサーバーと同期するにしてもセキュリティーもしっかりしてますし、もちろん有料ですから、各キャリアの責任においてしっかり個人情報を保存しております。ただ、違うのは、SNSというのは営利目的のことでありますので、その辺大変危惧をしております。
 その個人情報についてですが、学校現場でその個人情報、人の名前やの住所やの写真やの、そういうのはネット上にアップしてはいけないですよ、だからやめましょうというような教え方されてると思いますけれども、そうすると、そのSNSに限っては、その指導と矛盾するんではないかというふうに思っております。
 一般質問が始まる前日に、自民党県議団で「子供をネットトラブルから守る勉強会」というのを立ち上げて、今、座長を務めさせていただいておりますが、そのときの講師の先生が、兵庫県の情報セキュリティサポーターや兵庫県警のサイバー犯罪のアドバイザーもされてるNIT情報技術推進ネットワーク株式会社の篠原嘉一さんにお願いしました。
 参加していただいた方はもちろんよくわかっていただいておりますけれども、その皆さん持ってる携帯端末がどれだけ個人情報をさらしてるかというのを、実演して見せていただきました。ほとんどの方、9割以上の方は情報を出している状態でありました。
 当局からは教育委員会、そして環境生活部からも担当の職員の方に来ていただいて一緒に研修に参加していただきましたけれども、あの状況、そんだけ現場で先生に指導する、また子供に指導する立場にある人がその程度の認識なのかと。SNSが世に出てもう大分たつわけですけども、その認識の低さに大変不安になりましたし、まあいえば、自動車教習所に行って運転できない教官に教えてもらってるのと子供は変わりないです。逆に言えば、子供に免許も与えずに車持たせて外走らすような、そういう状況にあるんではないかと大変危惧しております。
 この問題、なかなか難しいと思いますけども、この辺のその矛盾はやっぱり正していかなあきません。やっぱりその子供に――確かにSNSはまだ法規制も何もされてない、そういうアプリでありますけれども、規制はされてない、でも、あなたが使うことによって人の情報を拡散さしてるんだよと、そういうことも踏まえて教えて、ちゃんとしたモラル教育、正しい使い方につながっていくというふうに思いますので、しっかりと対応していっていただきたいというふうに思っております。
 次に行きます。最後の項目であります。
 和歌山─海南間の道路整備について。
 まず初めに、阪井交差点周辺の渋滞対策について伺います。
 国体の開催に合わせて県内の道路整備も随分進み、地元でも国道370号小畑─下佐々間が開通し、松島本渡線も竈山神社付近まで進み、大変利便性がよくなりました。それは大変ありがたいことでありますが、一方で、車の流れが変わったために、海南市阪井の紀陽銀行海南東支店前の交差点を起点に、海南市中心部、紀美野町、紀の川市、和歌山市の各方面から交通が集中し、大変混雑が発生をしております。
 国道370号の阪井バイパスや国道424号の木津バイパスは少しずつ形が見えつつあるが、平成29年度の完成までまだしばらくかかります。一日も早い開通を願ってやまないところであり、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 それによって東西の渋滞は解消に向かうはずですが、仮にこれら2つのバイパスが完成したとしても、和歌山方面から秋月海南線を利用して海南市東部へ入ってくる車の流れは、今後も増加するものと思います。だからこそ、早急に何らかの渋滞対策が望まれますし、それは現在の渋滞の緩和につながり、バイパスの完成後にも生かされると思いますが、警察本部長の考えを伺います。
○議長(浅井修一郎君) 警察本部長直江利克君。
  〔直江利克君、登壇〕
○警察本部長(直江利克君) 当該交差点は、議員御指摘のとおり、これまでの周辺道路の整備に加え、昨年中は和歌山市内の都市計画道路の新設や当該交差点以東の国道370号バイパスが開通し、交通状況が大きく変化いたしました。そのため、交通量の多い朝夕の通勤時間帯等に、最長1キロメートルほどの渋滞が生じているものと承知しております。
 警察といたしましては、交通状況変化を踏まえた信号の制御の見直しを不断に行い、渋滞の軽減を図るとともに、VICS、ラジオ放送等により当該交差点における混雑の状況をリアルタイムでドライバーの皆様にお知らせするために、車両感知器を設置してまいります。また、バイパス完成等の交通体系の変化への対応については、実態を十分に把握した上で、道路管理者と緊密な連携を図りながら、安全・安心な交通環境の構築に努めてまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、松島本渡線南伸に伴う将来の渋滞を見越した対策について、知事に伺います。
 平成25年9月の一般質問で知事に答弁していただきましたように、平成30年度には、和歌山南インターが整備されるに合わせて、南港山東線は和歌山南インター付近まで、そして松島本渡線は現在より約1キロ南に延長されて、三田海南線に接続することになっています。
 先ほど申し上げましたが、道路ができると、利便性の向上とともに車の流れが変わることによって、海南市阪井の事例のように混雑が生じることが十分想定されます。今後は、和歌山南インター方面からの交通量の増加が見込まれるので、なおさらかと思います。
 そこで、既存の道路の状況を見てみますと、三田海南線と亀の川沿いの小野田内原線の交差点、海南市多田の紺屋橋の交差点とその南側は今でも渋滞を引き起こしているので、さらにひどくなることは容易に想像ができます。
 松島本渡線南伸の効果が十分に発揮できるよう、平成30年度の開通に合わせて、これらの箇所を1つのルートとして、今から地元との調整や改修を進めておく必要があると考えますが、考え方を知事にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山─海南間の道路整備につきましては、国道42号に集中している交通の分散を図るべく、かねてから都市計画道路松島本渡線の整備を進めているところであります。
 ただし、御指摘のように、最後、海南のところまで都市計画ができておりませんで、途中でやめるともとの道につながるというのが現在の計画でございます。これだとやっぱりなかなか大変だということで、やっぱり2本、和歌山市と海南市の間をきちっとつなごうというふうに決めておりまして、それでそのようにしていきたいと思っておるんです。
 現在供用している区間につきまして、今の究極のところのもう1個前ですけれども、御指摘のように県道三田海南線に接続するまでの間についても、和歌山南スマートインターチェンジと同時に供用できるよう、事業を推進していることは御指摘のとおりであります。
 引き続きそれはやっていかないといけないということなんでございますが、現在事業中の区間と海南市までの区間を同時に供用すると、究極の姿まで同時にやっちまうというのはちょっと難しいと思いますので、議員から御指摘のあったような箇所での混雑が途中段階で課題となるという可能性があると考えておりますし、現在もそういう傾向が出ております。
 こうしたことから、平成30年度の供用を目指している和歌山南スマートインターチェンジの整備と、松島本渡線の県道三田海南線への接続がなされるまでに、議員御指摘のような箇所においても、現在着手している現道拡幅などを順次進めて、当面の円滑な交通が確保できるように努めてまいる所存であります。既に始めてまして、一番ひどい交差点なんかちょっと直りましたけど、まだまだもう少しやらないとぐあい悪いんじゃないかと思っておりますので、引き続き努力をしたいと思います。
 現道対策の用地取得というのは特に大変でございまして、特に地権者の御協力をいただくことが前提となりますので、関係者の御協力をお願いするとともに、海南市方面に向けた整備の実現に向けて検討してまいりたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 ぜひともよろしくお願いします。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、一般質問に入らせていただきます。
 まず、地域公共交通の課題と展望について、以下4項目、順次お尋ねをいたします。
 1点目に、地域における公共交通の現状について企画部長に伺います。
 和歌山県内では、人口減と高齢化、また過疎の進行によって、買い物や通院などに、その交通手段に難儀する県民がふえてまいりました。いわゆる買い物弱者や通院弱者などと言われる交通弱者の増大です。国交省の調査でも、現在住んでいる地域の不便な点を尋ねると、「日常の買い物に不便」が17%、「医院や病院への通院に不便」が13%、「交通機関が高齢者には使いにくい、または整備されていない」が12%と、これらが回答の上位3項目となっています。私の地元有田郡でもそうですが、和歌山県内では、これらの声は全国と比較してもずっと高いと考えます。
 この公共交通というものは、県民が生活を営む上で、電気や水道、電話など通信網、道路などと並んで、県民の重要なライフラインだと位置づけることが大変大事になっていると考えます。
 鉄道とともに地域の公共交通の骨格となっている路線バスですが、この間、利用者減による減便や撤退が相次いでいます。国の資料によると、全国的にはこの10年間で輸送人員が86%に落ち込んでいるのですが、その中身を見ると、都市部では92%であるのに対し、地方部では76%にまで落ち込んでいます。こうした環境のもと、この間6年間で1万1160キロものバス路線が廃止されたとお聞きします。
 そこで、県内のバス利用者とバス路線の状況はどうなっているのでしょうか。あわせて、県としての路線維持のためどう努力してきたかお示しください。
 また、県内の市町村では、地域住民の切実な要望に応え、既存の公共交通を補完する目的で、コミュニティーバスやデマンドタクシーなどによって住民の交通手段確保の努力がなされています。その現状についても答弁を願います。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 本県の乗り合いバス利用者は、人口の減少、過疎化の進展及び自家用車の普及などにより著しく減少しており、平成26年度の利用者数は年間1330万6000人で、ピークであった昭和46年度の7136万3000人の18.6%となっております。
 次に、バス路線の廃止数は、平成25年度から平成27年度で34路線となっております。県としましては、バス路線維持のため、複数の市町村をまたぐ広域的、幹線的なバス路線に対し、国と協調し、補助を行っているところです。
 また、コミュニティーバスは、交通空白地域、不便地域の解消等を図るため、市町村が主体的に計画し運行しており、平成28年4月現在、紀の川市等県内20市町村において運行されております。そのうち6市町では、事前に予約を受けるデマンド運行が実施されているところです。
○議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 県内のバス路線の利用者減、廃止数が、いずれも大変深刻な状況になっているということが示されたというふうに思います。
 現在、バス路線の廃止は許認可制ではなく、6カ月前の届け出だけで通ってしまいます。今後も、こうした状況が続くことが予想されます。地域交通の骨格となるバス路線の維持のために、行政は果たす役割は大変重要です。
 しかし一方で、一昔前とは社会的環境も異なり、人口や人の流れも変わった中で、既存のバス路線の維持だけを求めることは現実的ではありません。事業者も行政も住民のニーズや課題をよくつかんで、コミュニティーバスやデマンドタクシーなどを初めとする新たな対応も強化していかなければなりません。県と市町村でさらなる努力を要望するものです。
 続いて、次に福祉有償運送についてお伺いをいたします。
 こうした公共交通であるバスやタクシー、鉄道が利用しにくい人たち、交通弱者対策として、この間、自家用有償旅客運送という取り組みが進んできました。非営利の団体による運営で、会員登録することにより実費程度、タクシーの半額程度の運賃で利用することができ、全国的には約7割の市町村で実施をされています。大きく分けて、市町村運営の有償運送として交通空白輸送と市町村福祉輸送の2種類。これに加えて、NPO法人などボランティア団体による公共交通空白地有償運送と、そして福祉有償運送のこの2種類があります。
 今回、まず福祉有償運送についてお伺いをいたしますが、いわゆる介護タクシーや福祉タクシーの利用が随分進んでまいりましたが、介護保険の移動支援では利用できない、例えば墓参りであるとか理美容への付き添いとか友人宅の訪問などでも利用でき、病院内への付き添いも可能であったり、介護保険の介護度がぎりぎりつかない方でも利用できるなど、介護タクシーを補完する、そういう役割も果たしています。
 この福祉有償運送の和歌山県内における状況と、これに対する県の取り組みはどうなっているのか、今度は福祉保健部長より御答弁願います。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 福祉有償運送の県内における状況ですが、県内7市町村において、17事業者が福祉有償運送事業に取り組んでおり、事業者の内訳は、特定非営利活動法人が7、社会福祉法人が9、生活協同組合が1となっています。
 次に、県の取り組みについては、平成27年度から福祉有償運送事業のより一層の普及促進を図るため、福祉有償運送を実施しようとする事業者に対し、新規車両の購入や福祉車両への改造経費の助成事業を開始しています。
 これまで、県内市町村や社会福祉協議会などに対し、県の助成事業の説明を行うとともに、福祉有償運送事業を実施する上で必要となるタクシー事業者、地域住民などで構成される運営協議会を設置していない市町村に対しては、支援ツールとして事務処理マニュアルを作成するなどし、運営協議会の設置を働きかけてきたところです。
 また、県内の社会福祉法人、医療法人、福祉関係の特定非営利活動法人等に対して事業実施意向調査を行い、事業実施主体の掘り起こしをしてきたところです。
 今後とも、事業を実施しようとする事業者と運営協議会未設置の市町村の両者への支援、働きかけを行い、福祉有償運送事業の普及促進を図ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 次に、もう1つの公共交通空白地有償運送についてお伺いをいたします。
 過疎地などタクシーの営業所もなくなった地域や、市街地でも公共交通の使いづらい空白地などのために、公共交通空白地有償運送という制度ができました。この間、有田川町の旧清水に位置する西八幡地域では、県の過疎集落支援総合対策に取り組む中で、住民の強い要望に基づき、当時の過疎地有償運送、現在のこの公共交通空白地有償運送が計画されました。寄り合い会で話し合い、地域のボランティアによる計画が進み、運行開始直前まで行ったのですが、地域の交通会議運営協議会において、一部タクシー業者の合意が得られず実現に至りませんでした。限界集落とならないよう、自分たちのできることから動いていこうとした役員さんたちの熱い思いもありましたし、地域の住民の期待も大きかっただけに、大変残念なことでした。
 県内における公共交通空白地有償運送の状況はいかがでしょうか。あわせて、今後の取り組みを支援する事業についてはどうなっていますか。企画部長の答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 過疎地域などバスやタクシーによる輸送サービスが十分提供されていない地域の住民等をNPO法人や商工会等がその市町村の区域内で運送する公共交通空白地有償運送については、現在、県内で実施している市町村はありませんが、北山村が実施に向けた取り組みを進めております。
 なお、過疎集落支援総合対策のメニューの1つに生活交通の確保があり、地域の合意による事業計画が採択されれば、初期投資に係る支援を受けることができます。国の事業では車両の購入等、県事業ではバス停やベンチの整備等に対して事業を活用することが可能です。
○議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 以上2つの有償運送、福祉有償運送と公共交通空白地有償運送にスポットを当てたわけですが、そのいずれもが運営協議会においてタクシーなど運送事業者の理解と合意を得ることが課題となります。全国的にも、運営協議会において合意を得るまでに要した開催回数は、1回というのが6割であるのに対し、2回以上開催される場合、合意を得るまで6カ月以上かかるケースが約半数あるというふうに、国のほうも資料をつくっております。
 福祉有償運送の場合、交通弱者への支援、住民の移動する権利の保障という観点から、エリアや利用者を限定することにより、誰でもいつでもどこへでも利用できる一般のタクシーとのすみ分けというのが可能になります。そして、その運営が、自治体や社会福祉協議会によるケースが私はもっともっとあってもいいというふうに思うんですね。NPOやボランティアだけに頼るのではなく、自治体も住民ニーズをよくつかんで交通弱者対策に乗り出すべきです。
 車両の運行も、タクシー事業者に運営を委託することも現実的です。委託費も入札によるたたき合いじゃなくて必要経費を支払う方法にすれば、事業者にとってもメリットもあり競合も避けられると思います。高齢者、介護の必要な方、障害のある方、免許を返納した方などの人数が年々増加していくことを考えれば、自家用車に乗らなくてもできる移動がもっと楽になれば、地域の活力のベースとなり得るというふうに思います。
 この項目の最後に4つ目ですが、地域での公共交通を守り豊かにする議論を求めての質問に移らせていただきます。
 国会での交通基本法、交通政策基本法の法案審議においては、国民の移動する権利の保障、交通権というものをどう認識するのか、位置づけるのかということが議論されました。まさにこの観点が、地方行政の交通政策にも求められているというふうに私は考えます。
 ところが、今の国の公共交通政策の中には、地域公共交通の規制緩和、民間委託・民営化を推し進めようとしていることや、白タク合法化につながる動きなど、さまざまな懸念もあります。この間のスキーバス事故などに見られるように、安全性や乗客、運転手を犠牲にして進められてきたこの規制緩和は、公共交通の未来像とは逆行するものです。
 人口減少や高齢化、過疎化が進む県内の地域社会においてこそ、しっかりとしたまちづくりとあわせた地域公共交通をつくり出していくことが大切ではないでしょうか。
 昨年施行された改正地域公共交通活性化法の基本方針においても、ともすれば民間事業者の事業運営に任せっきりであった従来の枠組みから脱却し、地域の総合行政を担う地方公共団体が先頭に立って、この地域公共交通の問題に取り組むことをうたっております。今回の法律では県も市町村とともに計画を立てることのできる側に位置づけられましたし、和歌山県としても現在策定中の新長期総合計画においても、どう地域交通を位置づけるのかをしっかりと議論しなければならないタイミングです。県として、地域交通をめぐる今後の議論と計画づくりに向け、県内市町村とともにどう取り組み、どう役割を発揮していくのかお示しください。
 また、地方自治体が地域の公共交通を支え取り組もうとすれば、国の地域公共交通の確保維持改善事業の予算を拡充することがどうしても必要です。国に対してこの予算拡充を要望すべきだと考えますが、いかがでしょうか、企画部長より御答弁願います。
○議長(浅井修一郎君) 企画部長。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) これまでの公共交通については民間事業者の事業運営に依存しがちでしたが、交通政策基本法、地域公共交通活性化及び再生に関する法律の一部改正等により、地域の総合行政を担う地方公共団体が先頭に立ち、関係者の合意のもとに、地域づくりと一体となった持続可能な地域公共交通ネットワークを再構築する枠組みとなりました。
 これに基づき、地域公共交通網形成計画を策定の上、その具体的内容を実現するための地域公共交通再編実施計画を策定し、国の認定を受けることにより、デマンド運行に用いる小型車両や予約システムの導入などが補助対象になることとされています。
 県としましては、市町村に対し、まちづくりと一体となった持続可能な地域公共交通ネットワーク再構築のための両計画策定を働きかけているところであり、市町村ごとに路線バスやコミュニティーバス、乗り合いタクシー等をどのように組み合わせたらいいかについて助言するなど、取り組んでいきたいと考えております。
 なお、国の地域公共交通確保維持改善事業の予算確保についてですが、地域公共交通の確保維持を図る上で非常に重要であると考えており、全国知事会などからも要望しているところであり、今後とも、あらゆる機会を捉えて国に対して働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。
 これまで地域交通の問題は、ともすれば市町村の仕事ということになってました。市町村は、コミュニティーバスの費用なども交付税措置があるだけで、財政的な負担がネックになりながらも頑張ってます。県は、どちらかというと国からの予算を右から左へお渡しするだけの仕事、地域の交通会議でも、お客さんのような立場であることがあるんじゃないでしょうか。
 基本的には、基礎自治体が地域課題をしっかりとつかむこと、国がきっちりと予算措置をすることが必要不可欠ですが、県としても県民の実態やニーズを市町村とともによくつかみ、地域交通をデザインする仕事に汗をかき、県としてのしっかりとした予算措置を伴う支援策を準備すべきときだと思います。このことを新しい長計を初めとする各種計画に位置づけ、今後予算化していくよう強く要望をさせていただきます。
 次の質問に移ります。
 次に、第2の柱として森林・林業総合戦略についての質問に移ります。
 昨年の12月県議会でも森林・林業政策について質問をさせていただき、山を生かして和歌山の森林と地域経済を守ろう、和歌山らしい林業モデルをと提案させていただきました。県は、今年度からの新政策として森林・林業総合戦略を打ち出しましたが、この新たな林業政策について、以下3点にわたって質問をさせていただきます。
 まず第1に、素材生産目標について伺います。
 昨年の地方創生総合戦略でも位置づけたように、木材の素材生産目標については、この間16万立米程度で横ばいだったものを約1.5倍化する目標を持ち、生産量と需要の拡大を進めようとしています。
 この目標は、単なる数値目標、お題目であっては意味がないわけで、この総合戦略で掲げた23万立米という数字は何を目指したどういう目標なのでしょうか、農林水産部長より答弁を願います。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 林野庁では、林業の成長産業化をキーワードに、新たな建築工法や木質バイオマスのエネルギー利用等、木材の多面的な利用による需要の拡大に向けて、さまざまな取り組みを進めているところです。
 そのような流れの中で、本県におきましても、今後、本格的に利用期を迎える森林資源を継続的に循環利用していくことが必要となっています。
 このことを踏まえ、和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略において、県内需要に対する県産材シェアの回復と新たなバイオマス利用の動きへの対応を目指し、平成25年に16.6万立米であった素材生産量を、平成31年に23万立米にまで引き上げることを目標として掲げたところです。
 素材生産量の増大を通じて木材の販売規模を拡大することにより、林業従事者の雇用の確保と待遇改善を図り、ひいては地域の林業が活性化するという好循環を目指してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 次に、ゾーニングによる選択と集中について伺います。
 総合戦略では、県内の森林を傾斜角度や道路からの距離によってゾーニングをして、事業の選択と集中を進めるとされています。
 ゾーニングという仕分けをするということなのですが、1つ1つの山には、その木を育ててきた山主さんの思いもありますし、その山主さんの意向や、その山で育っている木材の状況を考慮しないで県が勝手に上から押しつけるようなことがあってもいけませんし、また、ここはマル、ここはバツと、このゾーニングされた山林以外を機械的に切り捨てるような制度設計ではいけないと考えますが、このゾーニングによる選択と集中というものをどのように進めようとしているのか、農林水産部長に御答弁を願います。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 現在、林業を取り巻く環境は、全国的な競争が激化しているため、林業生産に係る生産性の向上が強く求められています。
 そのためには、個々の林業事業体の技術力を高め、低コスト化を推し進めていくことも必要ですが、地形的に有利なエリアに絞って重点投資することで、他産地に負けない効率的な林業が行える場所をふやしていくことも必要となります。
 そこで、本県では森林ゾーニングという考え方を取り入れ、選択と集中の強化を図ることとしました。森林を地形条件などにより経済林と環境林の2つに大きく分け、経済林の中でも特に有利な場所については重点エリアと位置づけて、当面の間ここに支援を集中することとしました。
 森林ゾーニングのエリア分けの基準については、客観性や公平性を担保するために、議員御指摘のとおり、山腹傾斜角40度未満であったり4トントラック走行可能の道路から500メーター以内などといった、数値の把握が容易で林業生産性との関連性が強いものを使用しています。
 エリア分けの具体的な手順については、5月中旬から6月初旬にかけて県内5カ所において説明会を開催したところでありますが、今後は参加者から出された意見を踏まえて、県内森林組合や林業事業体等の皆様と議論を進め、より実効性のあるものにしてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 最後に、皆伐、間伐、環境林化のバランスのとれた森林林業政策をという点でお伺いをします。
 県が掲げた素材生産目標を達成する林業振興を進めるには、これからは皆伐をうんとふやさなければなりません。二酸化炭素の吸収量という環境面から見ても、伐期を迎えた木から皆伐により若い木に更新していくことが有効です。また、森林組合の作業班の皆さんからも、「森林組合の今後を考えても、間伐など補助事業頼みではモチベーションが上がらない。計画的な皆伐で山の更新が必要」との声も数多く聞かせていただきました。
 また、皆伐と再造林の取り組みを大きく伸ばすと同時に、間伐、環境林化をバランスよく進めることも大切であると考えます。
 県内急傾斜地での皆伐や搬出間伐を進めるため、架線集材技術の活用、継承と鹿害対策など再造林への支援、そして、計画的な伐採を進めるとともに、環境や災害対策として環境林への誘導などを、県内森林組合や事業者との間でよく相談しながら事業推進を図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。農林水産部長より御答弁願います。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 主伐や搬出間伐のような木材生産については、森林ゾーニングに基づいて設定する重点エリアに素材生産のための支援を集中させることにより、生産量の増大を図ります。
 将来、木材生産に必要となる木を育てるための間伐につきましては、重点エリアを含む経済林全体において継続的に切り捨て間伐等により支援してまいります。
 また、森林の公益的機能の維持増進のために行う環境林化につきましては、環境林内において手入れのおくれている人工林を対象に針広混交林化や広葉樹林化を支援し、健全な森林へ誘導してまいります。
 これらの支援を森林の総合的なバランスを勘案しながら実施することで、本県の林業・木材産業の成長産業化と、多様で健全な森林づくりを推進してまいります。
 また、森林ゾーニングのエリア分けについては、本県の地形条件や自然環境の特性に合わせた最適な事業を推進し、その効果が最大限発揮できるような形にする必要がありますので、議員御指摘のとおり、県内森林組合・林業事業体等の皆様と十分な意見交換をしながら作業を進めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 ぜひ県内の関係者の皆さんと膝を突き合わせ、しっかりと議論を重ねていただき、この1年間、よりよい計画を練り上げていただくよう要望しておきます。
 次に、3つ目の柱であるヒートポンプ給湯機による低周波音健康被害についての質問に移らせていただきます。
 昨年2月県議会において、由良町における特別養護老人ホームに設置されたヒートポンプ給湯機による近隣住民への低周波音健康被害について取り上げました。健康被害に対する丁寧な対応を求めるとともに、消費者庁の意見に基づく関係者への対応も求めました。
 その後、県は、低周波音健康被害を予防するため、県内関係団体に対し、消費者庁の意見や業界団体が作成した据えつけガイドブックの周知徹底を行うとともに、県のヒートポンプ給湯機設置補助事業においてもガイドブックに沿った据えつけを要綱に明記するなどの素早い対応をしていただいたことは、評価をし、お礼を申し上げたいと思います。
 ところが、県は、設置施設側に改善指導を続けたものの、翌4月には、設置施設側がお金をかけてまでこれ以上の改善をするつもりがないと意思表示されたとして、県としての行政指導を打ち切ってしまいました。このことについては、昨年9月県議会の雑賀議員の質問で、指導は強化すべきで打ち切りは逆だと指摘されたところです。県は事業所への行政指導をやめたと言いますが、低周波音による健康被害は改善されたわけではなく、健康被害を訴えている住民の方の体の状況は、むしろ時間を積み重ねて悪化をしているのです。行政指導打ち切り、その判断は非常に残念でした。
 私は、前回の質問でも申し上げましたが、このような個別案件への問題解決には、健康被害を受けている県民と設置施設との間での交渉と努力だけでは技術的にも費用負担の面でも限界があり、大きな低周波音を発生しているヒートポンプ給湯機を製造したメーカー並びにその機械の設置場所や設置方法を設計・施工した業者にも、改善方法の検討はもちろん、費用負担も含め、しっかりと対応を求める必要があると考えております。
 そのことから、私は、こうしたメーカー、設計・施工業者への指導においては国の果たすべき役割が大きいと考え、その後、9月には消費者庁、11月には経済産業省の担当者ともお会いして、この問題への対応強化を求めてまいりました。
 この4月に消費者庁が開いた会議では、改めて国から各方面に対し、健康被害未然防止のための周知徹底とともに行政の健康被害への丁寧な対応を求めていて、消費者庁が意見を出した後の各省庁の取り組みを追いかけているということが、そのホームページの資料からも見てとれます。
 今後の取り組みとしても、低周波音健康被害の未然防止と個別問題解決のため、こうした粘り強い取り組みを通じて、この低周波音健康被害がどういうものなのかという理解を、国民、業界、行政の中に広げていくことが大切であると考えるところです。
 消費者庁からは、本年4月14日付でこの低周波音問題への対応について県・市町村に対して改めて依頼文書が出されるなど、リスク低減のための努力と個別案件への行政の丁寧な対応を求められていますが、これらを受け、県として低周波音健康被害に対する認識と姿勢はいかがでしょうか。環境生活部長の答弁を求めるものです。
 次に、低周波音の発生源を特定するためのオンオフテストについてお伺いをいたします。
 私、これまで2回にわたって今回の由良町の件で情報公開開示請求をして、施設側の姿勢とかメーカーからの対応、こういったものをつぶさに目を通させていただきました。この中で県は、これまで由良町の施設に設置されたヒートポンプ給湯機が低周波音被害の原因であるというふうに特定ができればメーカーに対策を求めることは可能であり、すべきだということも検討されてきたということがわかります。
 行政指導を打ち切る前の段階では、県から遮音壁などの対策検討とともに、低周波音の発生源を特定するための方法として、国も示しているオンオフテストの実施を提案していました。なぜ発生源の特定が大切かといいますと、この開示された資料によりますと、このヒートポンプ給湯機の製造メーカーである三菱電機からは、低周波音が施設以外からもいろいろ出ているし、施設内にもさまざまな機械があるので特定が難しい、異常を感じる事例がほかにない、これ以上改善する方法を思いつかない、こういう見解が返ってきていたということがわかります。責任回避と言わざるを得ないような、こういう後ろ向きの返事だというふうに思います。
 今回のケースにおいては、発生源の特定が、メーカーや設置業者も含めた問題解決の糸口となることが期待できます。しかし、当時このオンオフテストの実施には、原因が特定された場合は施設側が対策実行を約束するということが条件のようになっていて、これでは合意のハードルは高かったというふうに思います。結果として、行政指導を打ち切ることとなってしまいました。
 今回の案件においては、今後の対応を進めるためにもハードルを設けずに、低周波音の発生源特定のためにオンオフテストを実施すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 以上2点、環境生活部長より御答弁を願います。
○議長(浅井修一郎君) 環境生活部長日吉康文君。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 家庭用ヒートポンプ給湯機は、電力消費量の平準化に有効な深夜電力を使う給湯システムです。普及に伴い、機器から生じる運転音や低周波音により不眠等の健康症状が生じたとの相談事例が全国的に増加しています。
 平成26年12月に、消費者安全委員会から経済産業大臣、環境大臣等に、家庭用ヒートポンプ給湯機の運転音による不眠等の健康症状の発生のリスクをできるだけ低減するとともに、より根本的な再発防止策の検討と発生時の取り組みを進めるよう意見が出されております。
 県といたしましても、この意見に基づき、家庭用ヒートポンプ給湯機の設置について、建築設計関係者や給湯機の施工業者に対して、寝室のそばを避けるなど適切に設置するよう家庭用ヒートポンプ給湯機の据えつけガイドブックを周知し、健康症状の発生のリスク低減の対策を行っているところでございます。
 また、健康症状発生時の対応につきましては、環境省が作成しました低周波音問題対応の手引に基づき、低周波音と健康症状の対応関係を調査し、個々の事案に対応した発生源対策、伝搬経路対策、受音点対策等の対策を行うよう、発生源の施設設置者に対して働きかけを行っているところです。
 また、この発生源を特定するためのオンオフテストをすべきとのことですが、本件につきましては、これまでにもヒートポンプ給湯機の製造者により低周波音の測定が行われておりますが、健康症状を訴えている方からの要望があれば、ヒートポンプ給湯機設置事業者の了解を得た上でテストを実施してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長から御答弁いただきました。
 低周波音による相談事例が全国的に増加しているという認識、そして、発生リスク低減と健康症状発生時の対応の姿勢もお答えいただき、オンオフテストをやろうよという提案に対しては、関係者の了承を得てやっていきたいという姿勢が示されました。
 私は、この由良町の案件では、なぜ途中で指導をやめるんだ、なぜオンオフテストができないんだと、答弁によっては言いたいことがいっぱいあったんですが、やらない言いわけではなくて、やるという方向で前に向いた答弁であったと、そう受けとめております。
 低周波音の健康被害は、聞こえないからつらいんですね。うるさくないんです。苦しいんです。痛いんです。うるさい音なら対策はいろいろとれるんです。見えないし聞こえない低周波音、これは健康被害を感じない人にとっては理解されにくいんですね。そして、一たび問題が起これば、その解決は移設や撤去というような方法でないとなかなか有効な対策はとれないという大変なものです。
 先ほど紹介もしましたが、国のほうでは指導して、こういうヒートポンプ給湯機の据えつけガイドブックというのも協会のほうはつくりましたし、チラシもつくりました。そして、今はカタログにも設置方法は十分気をつけましょうということまで、販売のときのカタログまで書いている。そうしないと、一旦つけてしまえば、後からもう本当に大変なことになるということになるわけですね。
 この低周波音健康被害の問題では、製造メーカー、施工業者、国も県も市町村も、その姿勢、取り組みには不十分なところが山積みだと考えます。しかし、多くの人に知らせ、きょうのように議会で取り上げたりすることによって、県民の皆さんの理解を広げ、社会としての対応、行政としての対応を築き上げていく、切り開いていく、このことが大切だと考えています。
 和歌山県として、これまで以上に県民の立場に立った丁寧な対応を要望し、次の質問に移らせていただきます。
 最後の柱であるモササウルスの化石についての質問に移らせていただきます。
 議場には、配付資料として自然博物館のパンフレットをお配りいたしておりますので御参照ください。
 このたび、有田川町の鳥屋城山で発見されたモササウルス化石のクリーニングが完了し、5月の連休中に県立自然博物館での展示と行事が行われ、私も参加してまいりました。
 基調講演での解説、研究者やレプリカ作成者などを交えたシンポジウムで、この化石の貴重な価値について改めて学ぶとともに、著名なサックス奏者も参加して行われたミニコンサートではモササウルスの楽曲まで披露され、この化石が学術的魅力だけでなく、多くの人の心を引きつけるものを持ってるなとの感想を持ちました。
 モササウルス類と見られるこの化石は、ほぼ半身がそろっているという日本一のもの、アジアでもトップのものであるそうで、今後、さらなる研究の成果が期待されています。
 昨年公開された映画「ジュラシック・ワールド」でも、恐竜をも食べてしまう海の王者として、海の最強の王者としてモササウルスが登場し、主役級の扱いです。
 ところが、どうもうな海の王者というイメージは、サメとかシャチに近いイメージなんですが、海の爬虫類というふうに言われると、ウミガメとかウミヘビとかという仲間ということになって、余りなじみがありませんし、イメージしにくいんですね。子供たちからも大人からも、「モササウルスって聞いたことない」とか「何だ、恐竜と違うんか」、こういう声も聞こえてきます。
 もっとこの化石の大発見を話題にしてマスコミなんかでも取り上げてもらうことが、「和歌山ってすげえな」、こういう声を広げ、和歌山だけでなく有田川町とか鳥屋城山、この注目度も上げ、地域資源としての価値を高めていくと考えます。
 今回、クリーニングが完了したモササウルス化石について、その学術的価値及び地域資源としての価値についてどう考えているのか御答弁を願います。
 また、2つ目に今後の活用についてですが、クリーニングが完了したことにより、これまで以上にこのモササウルス化石の研究と活用を展開、継続することが求められていると考えます。いろんな模型とか想像図とか、そういったものもつくられるんじゃないかと思うんですね。
 モササウルス化石の活用については、普及啓発施設としての自然博物館はもとより、各種研究機関や地元自治体などとも連携して、さらに価値を高める、地域おこしにもつながるようなさまざまな取り組みを広げていくことが大切だと考えますが、今後の活用についてどう考えておられるのか、以上2点、教育長より御答弁願います。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) モササウルス化石について、一括してお答え申し上げます。
 モササウルス類は、恐竜が繁栄していた中生代の白亜紀後期に生きていた爬虫類であり、海中で生活をしていました。ひれ状に進化した足と鋭い歯が特徴で、魚類以外にウミガメや小型の首長竜なども捕食していたとされております。
 本県の有田川町で発見されたモササウルス類の化石については、平成18年2月に発見された後、発掘調査を行い、化石のクリーニング作業が本年2月に完了いたしました。
 モササウルス類の化石は国内において40例近く発見されていますが、本県で発見されたものほど多くの部位がそろっている例はございません。特に注目すべきは前足と後ろ足の部位がそろって発掘されたということで、これはアジアでは他に例がなく、極めて学術的価値が高いものであると認識しております。
 また、今後始まる本格的な研究の結果によっては新たな学術的価値も期待でき、発見された場所が広く注目をされることで新たな取り組みに活用できる可能性もあり、地域資源としての価値も期待できると考えてございます。
 県では、県立自然博物館において化石を公開する企画展を開催するとともに、地元中学校を初め県内外においてPR活動をするなど、積極的にその活用を図ってまいりました。今後は、自然博物館において常設展示を行うとともに、有田川町において7月の16日から8月の31日まで化石の展示公開を予定してございます。加えて、研究の成果を踏まえ、国内外への情報提供や新たな情報を盛り込んだ展示を行うなど、有田川町や関係機関とともに積極的に学術的価値と魅力を伝えてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 教育長からは、あしたから始まる地元での公開展示も御案内いただき、今後も関係機関と一緒に値打ちと魅力を広げていくと答弁をいただきました。
 化石を通じてロマンを語ると言えば大げさかもしれませんが、夢がある仕事だと思います。また、このモササウルスにかかわる人の魅力も半端ではないものを感じました。発見をしたり発掘する研究者のこだわり、レプリカをつくる物づくりの人のこだわり、テレビの特集番組なんかもどんどんつくれるんじゃないかと思うほどでした。
 和歌山の魅力をアピールする、また1つ大きな素材となることでしょう。県や市町村、関係機関としっかり力を合わせて取り組まれるよう要望し、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時31分休憩
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  午後1時0分再開
○議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 13番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 こんにちは。お昼も済みまして少しほっとしてるところですが、もう今議会の最後の質問者として登壇させていただくことになりました。議員各位には、連日御精励、お疲れさまでございます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問をさしていただきます。
 最初に、森林環境保全整備についてお尋ねをいたします。
 和歌山県は、県土の大半が森林に占められています。私たちの祖先は、森とともに暮らしてきました。特に昭和40年半ばまで、私たちの生活にとって木材はなくてはならない必需品でした。現在のようにガスや電気が普及していなかった時代でしたので、食事をつくるにも風呂を沸かすにも全て木材に頼っていました。
 しかし、高度経済成長が始まると急速に生活様式が変化し、私たちの生活の中にガス器具や電気器具が普及いたしました。都会には人口が集中し、住宅の建設ラッシュが始まり、木材需要が急速に伸び、杉、ヒノキの供給が追いつかなくなり、外材を輸入するようになりました。
 国は、全国各地に杉、ヒノキの植樹を奨励し、我が県においても例外ではなく、至るところの自然林が人工林化していきました。しかし、このとき私たちは将来の自然環境に及ぼす影響をほとんど考慮せず、半世紀の時が経過いたしました。現在においても身に迫る危機感を持っている方は少ないと感じますが、私は、旧美山村に生まれ育ちましたので、当時の山と現在の山の違いがはっきりとわかります。
 私たちの幼少のころは、学校から帰るとすぐに友達と山に入り、いろんな遊びをしたものでした。竹を使って紙鉄砲をつくったり、秋にはシイの実、アケビとりや山芋掘り、冬にかけて野鳥をとる仕掛けをたくさんつくって、その仕掛けを見て回るのが日課でした。また、台所のかまどや風呂で使うまきを、土・日曜日になると家族で山から木材を切り出し、まき割りをしたものでした。
 我が国の森林の自然再生は、伐採から約30年から40年で復元されるという世界でも有数の早さであり、山林は、生活必需品のまきを伐採、利活用することにより、老木から若木へと再生される中で健全に管理されていました。しかし、時代の変化とともに私たちは、森との暮らしから離れていったのでした。
 私たちが山に入らなくなり、人工林が成長していく過程で山の環境は劇的に変化していきます。杉、ヒノキの人工林は、成長するに従い、下刈り、間伐・枝打ちをして育成管理をしていますが、落葉樹や花木は育たず、山肌は昼でも薄暗く、土や石がむき出しになっています。
 また、自然林も、木材需要がなくなったため伐採のために山に入らなくなり、シイやカシの木などの常緑樹の高木が鬱蒼と生い茂り、落葉樹などの中低木が育ちません。冬になっても青々と生い茂った山には枯れ葉が落ちず、人工林の山と同じように山肌は荒れ、急峻な地形の多い紀伊山脈は石や岩がむき出しになっており、下の人家や通行する車が大変危険な状態にあります。
 また、イノシシや鹿、猿等、山中に食べ物が減少し、人里近くまで出没するようになり、農作物等に大きな被害が出ています。
 また、山は、降った雨を涵養する力が弱まり、昨今頻発する集中豪雨にも耐え切れず、深層崩壊の危険が高まり、一旦土石流が発生すると下流に甚大な被害をもたらす事例も多くなってきました。
 さらに、落葉樹の減少で落ち葉が少なく腐葉土を形成しなくなることで栄養分を醸成することができず、結果、河川に養分を供給することができなくなり、むき出しになった表土は少しの雨でも河川に流れ込み赤茶色に濁り汚泥化する等、環境も劣悪化しました。
 そして、河川が養分をもたらさなくなったため、海の、特に沿岸の生態系も変化しました。藻が育たず、プランクトンの減少は近海の魚類や貝類、イセエビ等の減少にもつながり、沿岸漁業にも大きな影響を与えています。
 蒸発した水分が大気中で雲になり、雨となって地上に戻るという水の循環が山林という自然のフィルターをくぐることで絶妙に環境保全や災害防止の機能を有していましたが、現在の山林はその機能が著しく低下し、まさに負の連鎖が起こっていると言っても過言ではありません。
 最近、大変悲しい出来事がありました。5月の連休に島根県で道路を走っていた自動車に落石が激突し、助手席に乗っていた女子大生が亡くなりました。彼女は、今春大学に合格し、前途洋々の人生を歩み始めたばかりでした。突然の不慮の事故に遭われた彼女や御遺族の皆様にかける言葉も見つかりません。心から哀悼の誠をささげ、御冥福をお祈り申し上げます。
 当時の報道によりますと、全国各地で落石事故が最近多くなっていると告げられていました。今なお余震が続く熊本地震でも、南阿蘇村で幅10メートルほどの岩石が落下しました。途中、奇跡的に樹木にひっかかって200メートル下の集落まで落ちることなく、奇跡的に大惨事を免れました。和歌山県も、南海トラフに起因する大地震が起こったとき、各地で山崩れや落石による被害が心配です。
 私の友人で地積の仕事をしている方がいます。彼らの話を聞くと、今の山は本当に危険な状態にある、山に登ると今にも落ちそうな大きな石や岩がむき出しになっており、台風や豪雨で木が揺すられたり山肌が崩れたりすると、とまっている岩石は下の道路や人家に真っ逆さまに落ちていく、そんな山がたくさんあると教えてくれました。また、シイやカシの木も老木となり、枯れて倒木のおそれがある大木が多くなってきたとも聞いています。一見、緑豊かな山々は、その実、山肌は大変危険な状況にあるのです。
 先ほども述べた島根県の事故を受けて、国は落石危険箇所の調査を各都道府県に通達したと聞きましたが、我が県の道路への落石危険箇所の調査及び整備状況はどのようになっていますか。県土整備部長にお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 県管理道路における落石危険箇所につきましては、平成8年度に点検を行ったところ、3461カ所が抽出され、このうち対策が必要な箇所が1908カ所となっていました。
 その中から、重点的な対策として、緊急輸送道路における対策が必要な箇所491カ所の対策を進め、平成27年度末までに350カ所の対策が完了しています。それ以外の箇所についても、落石が発生するなど緊急を要した箇所は、必要に応じて対策を行ってきました。
 また、平成25年度には、緊急輸送道路を対象に、平成8年度の点検において「対策が必要」や「観察が必要」とされた箇所について再度点検を行い、危険箇所の変状等を把握しております。
○議長(浅井修一郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 次に、道路法第44条の規定についてであります。
 御承知のように、道路法では、道路管理者は、道路の構造に及ぼすべき損害を予防し、または道路に及ぼすべき危険を防止するため、条例で定める基準に従い、道路に接続する区域の一側につき20メートル以内について沿道区域として指定することができ、この沿道区域における土地、竹林または工作物の管理者には、これらの土地等からの損害及び危険を防止する義務が課せられるとともに、道路管理者は、当該土地等の管理者に、施設を設ける等必要な措置を講ずるべきことを命ずることができるとあります。
 道路管理者が措置命令をしたにもかかわらずこれに従わない場合には、行政代執行もできるとなっていますが、全国的には道路条例を設置してない都道府県もあると聞いています。本県はいかがですか。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 御質問のありました道路法第44条に規定されている条例を本県で制定しているかとの御質問でございますが、本県では現在制定をしておりません。
○議長(浅井修一郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 していないということなんで、現在の森林所有者は、地元に住んでる場合でも高齢化が進み、その多くの子供たちは都会に出てしまい、自分が管理しなければならない山の現状を知らないし、知っていても経費のかかることだからどうすることもできない状況にあるのではないかと推察をいたします。
 森林所有者に山林の現況をいま一度御認識いただき、今後の対策を考えていかなくてはならないときに来てると思います。道路管理者として、通行の安全確保のために沿道条例を制定し、所有者に啓発し、その責務を自覚していただくことも必要な時期に来ていると考えますが、県土整備部長、いかがですか。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 道路法第44条に規定されている条例につきましては、先進自治体の事例の調査及び条例制定により得られる効果の検証にまずは着手させていただきたいと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 よく先進県のというか、条例を制定してる県の実情等、お調べいただいて、もし我が県にもできるようであればお願いしたいと思います。
 次に、知事は、県民の生命を守るという重要な責務を課せられてることは申すまでもないことですが、危険な山林の管理責任についてお尋ねをいたします。
 落石はもちろん、樹木が朽ちて道路に落ちてきそうなところも多く見受けられるようになりましたし、また、道路に覆いかぶさる樹木を避けるため、センターラインを越えなくてはならないような箇所もたくさんあります。このような危険な状況にある山のほとんどが個人の所有によるものと考えられますが、もし私たちが道路を通行中、落石事故の被害に遭った場合、その損害賠償責任は誰にあるのでしょうか。
 島根県の場合は、危険箇所の通報を受けていたにもかかわらず改修していなかったということで県の賠償責任が追及されたようですが、一般的には、落石事故があった場合、損害賠償責任は誰にあるとお考えですか。知事、お答えください。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 落石事故の損害賠償責任については、道路管理上の瑕疵が認められる、そういう場合は道路管理者がその責任を負うことになるわけでございます。
 ただ、事故にはさまざまなケースがあって、それで瑕疵があるとかないとかいうのもいろいろな議論があると思います。その状況把握と原因究明がなされないと、一義的にその責任が誰にあるのか明確にすることはなかなか難しいのが実情ではないか、そんなふうに思います。
○議長(浅井修一郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 当局としてはそういう答弁だろうと思うんですけども、じゃあ、もし被害に遭った方の立場からすれば、山の管理者に責任があるのか、道路管理者に責任があるのか、その損害賠償は誰がしてくれるのか。僕は、被害者救済ということであれば、その道路を通すときに用地を取得して道路をつくったという道路をつくった段階の話もあると思いますけども、地主からすれば、用地協力をして道路をつくって、その上から落ちてきた石で私が何でそんな責任とらんならんねと森林所有者は思うかもしれませんし、道路管理者にすれば、あなたの財産の管理がちゃんとできてなかったからじゃないかという、そんな投げ合いをしてる間に、当の被害に遭われた被害者はそっちのけでその議論になってしまうとどうかなというとこもあるんで、だから僕は沿道条例という話を今したんです。きちっと所有者にも管理意識を持ってもらうこと、そして当局もやはり日ごろからそういう危険箇所を把握して事前に対応しとくこと、これが大事だと思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、農林水産部長に森林所有者の管理意識の啓発についてお尋ねいたします。
 今も申し上げましたが、県が定めた和歌山の森林及び樹木を守り育てる条例第15条に広報や啓発に努めるとありますが、森林所有者の管理意識は進んでいますか。農林水産部長、お答えください。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 農林水産省が平成23年に実施した林業経営に関する意向調査によると、5割を超える森林所有者が「山林は保有するが林業経営を行うつもりはない」と回答しております。これをもって直ちに本県においても管理意識を持たない森林所有者が5割を超えると言うことはできないものの、県内の森林組合等からの情報を勘案すると、相当な割合になるのではないかと考えております。
 森林所有者の管理意識の啓発については、これまでも、森林整備地域活動支援交付金などを活用し、計画的かつ一体的な森林の施業に必要な現況調査や各種の地域活動を支援することにより、市町村、林業事業体と連携して進めてきたところであります。加えて、平成24年度に施行された和歌山の森林及び樹木を守り育てる条例に基づき管理意識の啓発を図ってきたところでもあり、これらの取り組みにより一定の成果があったものと考えております。
 今後は、森林所有者の森林管理意識の醸成がより一層図られるよう、さまざまな機会を捉え、啓発に努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 もう何年前でしたかね、自民の森というのも我々自民党和歌山県連で主催しましたし、企業の森ということで、それぞれの企業も森林に大変関心を持っていただいて、いろんな森林整備にお力をいただいてるということは私もよく知っておりますんで、まるっきし森林管理者が、また県も含めて山を放置してるというのではないのは私もよくわかってますが、やはりもう少し所有者の管理意識を持っていただきたいなというのを思いまして、今回質問した次第です。
 次に、仁坂知事は、景観条例や災害時の避難道の確保のために老朽化した家屋の撤去ができるよう条例を制定し、県民の生命と美化を守る政策を進めておられます。
 町なかにある倒壊寸前の家屋も台風や地震の際は大変危険でありますが、森林も危険な箇所がふえてきました。仁坂知事も、先ほど述べた和歌山の森林及び樹木を守り育てる条例を全国植樹祭を記念して制定されておられますし、今年度も森林環境保全整備事業として7億余の予算を計上していることからも、その危険性と整備の必要性は十分に御理解いただいてると考えます。
 一方で、森林整備の促進に欠かせないのは経済観念ではないでしょうか。自分の所有する森林が財産として評価され、利活用され、収入につながるとなれば、結果、自然と森林整備が進んでいくと考えられますが、搬出してくる木材の利活用についてどのようなことが期待されますか、お答えください。あわせて、今後一層荒廃が進むと考えられる森林の環境保全について、対策をお答えください。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、中山間地域では、生活様式の変化、林業の衰退等に伴い、人々は森林から遠のき、適正な管理が行われない森林が増加しております。これにより森林の荒廃が進み、それに伴って落石や倒木に起因する被害がふえてくることを議員御懸念ですが、私も同感でございます。
 このような状況を改善していくためには、適切な時期に刈って出荷して、また植えて育てるという森林の循環利用を進めることが必要でございますが、それには森林から生産された木材を有効に活用して、森林所有者を含む地域全体にお金が残る仕組みが必要であります。
 このために、県では、限られた予算の中でより効果的、集中的な素材生産支援を実施するために、ことしから林業生産を主とする経済林と保全を目的とする環境林に新たに分けて、森林ゾーニングを行って、そして経済林を対象に林業の生産性を高めて増産につなげるという取り組みを実施しようとしているところでございます。
 具体的には、素材生産目標として、平成25年度実績16.6万立米を、平成31年までの5年間で23万立米まで増産する計画であります。このため、新たに経済林の中の重点エリアを設定して、作業道開設や高性能林業機械導入など、基盤整備支援を行うことで低コスト林業を目指してまいりたいと思います。
 あわせて、これは間接的な手段になりますが、林業経営のノウハウを学んだ、あるいは林業技術のすぐれたものを持った人を育成する農林大学校林業研修部を新たに設置するというふうにしたいと思っております。
 これまでも森林組合と民間事業体の連携強化にも取り組んできましたが、とりわけ紀州材の販路開拓が重要でありまして、集成材とか合板への活用もさらに進めてまいりたいと思います。
 また、さらに、森林から生産された木材が資源として適正に評価され、それがまた森林整備への原資となるよう、近年注目されている木質バイオマスのエネルギー利用等も含め、さまざまな用途への拡大を進め、木材需要の拡大を図るということをやりたいと思います。あわせて、木質バイオマス関連企業の誘致にも取り組んでいるところであります。
 このような取り組みにより木材の生産と需要が拡大すれば、人々が森林に向け手入れが進み適正な森林管理が図られるため、森林・林業の好循環が生まれるような取り組みを、そういうふうなものを狙って一層進めてまいりたいと思います。
 また、ちょっと違いますけれども、今、保存林、生物多様性の観点も含めて、あるいは環境の保全ということも含めて、安全も含めて保全する森林を残していこうというふうに思っとるんですが、そのときに、和歌山県は民有林が物すごく多いもんですから、今は無理をしてそういう方々に自然林として置いといていただいてるんですが、やっぱりこれはちょっと無理があるだろうというんで、紀の国森づくり基金などを活用さしていただいて、今までも市町村が行う保全事業なんかに補助金を出してまいりましたが、県も自分でできるようにしていって、林業経営者が無駄な資産を持ってるというのはやめていただいて、それで、今度は林業経営に専心していただくというふうにしたらいいんじゃないかというふうなことも考えております。
○議長(浅井修一郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 次、議案第182号、農業大学を農林大学に改編するということでお尋ねしようと思ったんですが、一部ちょっと今もう答弁のほうをしていただいた部分もありますが、せっかく議案第182号が上程されておりますので、これについて、少し重複するかもわかりませんが、御質問させていただきたいと思います。
 林業は時代とともに激変し、森林経営は今現在、大変厳しい状況に置かれてるということは御承知のとおりであります。中でも、林業従事者の高齢化に伴う後継者不足と、それに伴う伐採技術の継承が心配されます。
 農林業は、工場で機械を使って作業し、製品を生産するのとは違います。テキストやマニュアル本で習得できるものでもありません。自然の影響を強く受けるため、先人の経験則が大変重要なスキルと考えます。特に林業は危険な作業も多く、それゆえに、現在従事している林業従事者の積み上げてきた経験が必要不可欠であります。経験に裏づけられた伐採技術はそう簡単に習得できるものではありませんが、まだ林業従事者が健全な現在、できるだけ早くその技術を継承する体制を構築するべきであると考えます。
 そこで、知事に再度、重複するかもわかりませんが、お尋ねいたします。
 このたびの農業大学から農林大学への改編の趣旨とその目的をお答えください。また、この農林大学林業研修部の修了生の進路、就職先についてどのようにお考えですか、お答えください。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の豊富な森林資源を適切に管理し、また有効活用することは、安全で豊かな県民生活を実現するためにぜひ必要なことであります。しかし、一方では、現実の問題として、なかなか林業も苦しいもんですから、林業従事者の減少と高齢化が進んでおり、森林資源を適正に管理、活用できる担い手の確保と技術の継承が喫緊の課題であるというふうに思います。
 これまでは、林業経営者がなかなか力があった場合がありまして、特に技術的には企業の中で勉強してもらうということが多かったんではないか、森林組合も同じだと思いますが。しかし、なかなかそれも大変だろうということで、この状況を解消するため、このたび農業大学を改編し、新たに農林大学校林業研修部を開設することにしたいと思っております。林業研修部には、主に新規就業希望者を対象とした林業経営コースと、それから、既に林業に従事している者を対象としたスキルアップコースの2コースを設置する予定であります。
 林業経営コースでは、森林・林業経営学の基礎を身につけ、将来林業経営を担える人材、実践的な技術や知識を身につけて第一線で活躍できる人材、多面的でかつ幅広い視野を持った人材を育成し、後継者不足の解消を目指していきたいと思います。
 スキルアップコースは、本県特有の急峻な地形に応じた林業架線技術を身につけ継承できる林業架線技術者と、林業事業体の中核としてオールラウンドに活躍できる林業技能作業士になるためのもので、すぐれた技術を継承できる基盤づくりを行ってまいりたいと思っております。
 これらの研修を通じて有能な人材を継続的に育成することによりまして、新たな林業の担い手を確保し、林業生産活動を活発化させ、活力ある山村地域の創出を図ってまいりたいと思っております。
 卒業生の問題でございますが、一部は林業企業から派遣されてくるということも期待しておりますが、そうでない場合もあると思います。林業経営コースの特徴は、1つは、優良経営体の協力により、実践的な森林・林業経営を教えることでございます。2つ目は、現場経験豊富な林業事業体の協力により、講義やインターンシップを受けさせること、3つ目は、林業の現場で必要となる機械等の運転に必要な15の資格を取得させるということであります。
 1年間の研修修了後は、研修で得た知識、技能を生かして、林業家の後継者としてもうかる林業経営を目指す者、それから、県内民間林業事業体に就職して事業体の幹部として経営の中核を担う者、県内森林組合に就職して活躍する者、それぞれ就職先事業体の将来を支える中核的人材として大いに活躍してもらいたいと期待しとるところでございます。
 スキルアップコースについては、研修修了後は、所属事業体──多分、もともとどこかに所属してる人が多いと思いますので、そういうところで林業架線を活用した素材生産の中核を担い、架線技術を継承する人材、あるいは林業事業体におけるオールラウンダーとして現場班長なんかになってもらえるような、そういう人材を期待しております。
○議長(浅井修一郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 御答弁ありがとうございました。
 ことしの予算のあれをずっと見せていただいて、知事はことしは林業にかなり力が入ってる、そのように私は感じまして、大変うれしく思ってます。
 農業大学とか水産試験場とか、いろんなところで、案外、特に農業なんかは自分の土地で作物をつくるというようなことがありまして、非常に後継者を育成するという意味でも農業大学というのは一定の役割を果たしてきたんだろうと思うんですけども、林業は今までどういうことだったんだろうと。
 今回、この182号議案を見て、ちょっと私は驚きました。初めて林のほうに目を向けていただいたんかなあと。そしてまた、バイオマス発電のこともことしは企業誘致の枠組みの中にも入れていただいておりますし、大変一貫して、先ほど申し上げましたように、ただ何か施策を打つだけではなくて、やはりそこには経済という循環するものがないと、なかなか技術を継承していったり後継者をつくっていくということは難しいと。その中で、そういう総合的に知事が考えていただいて、今の条例の改編やら木質バイオマスへの施策を打っていただいてるんだなあというのを思って、これは1つのサイクルとして一貫性があるなあということで非常に私も心強く思ってるところなんで、ぜひ林業政策について今後もお力をいただきたいと思います。
 私の知り合いで、全国のモノラック協会というのがありまして会長さんがいらっしゃるんですが、大阪の方ですけども、その方と前に一度お話しする機会がありました。その方のお話を聞くと、九州地方ではもう既にモノラックを用いて、山林にモノラックを引いて──この辺やったらミカンとかの畑にはモノラックを敷設してるんですけども、九州のほうでは、もう木材用のモノラックも敷設して運んでる例もあるというのをお聞きしました。
 架線技術とか――路網をつくって搬出するという方法が主流だと思うんですけども、路網の場合は山をぐるっとS字に切っていきますんで、たくさんの集中豪雨のような雨が降ったときにその路網自体がまた危険な状況になるとも聞いてるんで、このモノラックというのは、まさしくもうすうっと縫っていくような、で、枝葉を張って現地へ──1つのあれは、林業は、朝起きて、ほんで弁当と機械を提げて現場へ行くまでで2時間ぐらいかかると。向こうで一服して作業をすると。暗くなると今度は帰ってくるのが危険なんで、もう4時ぐらいには仕事を終えて帰ると。じゃあ、現場で実際仕事をしてる就労時間というのは大変限られてるというのを聞くんですけども、こういう路網も車で運搬できるのは物すごくいいんですけども、このモノラックも、人とそういう機材を持っていく、そしてまた搬出にも使える、帰りもまたそれで帰ってこれるということで、山での就労時間がかなり長くとれるというようなこともありますんで、これもひとつ御研究をいただいて、この農林大学の1つの――モノラックの敷設整備の技術なんかも今後取り入れられたらいかがかなあというように感じましたんで、これは提案として申し述べておきます。
 次に、県道御坊美山線の株井峠の改修についてお尋ねをいたします。
 日高川沿いに御坊市から観光地龍神温泉まで延びる当路線は、まさしく日高地方の背骨とも言える路線で、中山間地域の経済や生活を支え、御坊市に集中する病院への緊急搬送のための重要な命の道でもあります。知事は、この路線の重要性を御理解いただき、御坊美山線の道路改修が飛躍的に進み、大変利便性が向上いたしました。
 しかし、最近多発する集中豪雨により株井トンネルの両出入り口が通行どめになり、仮復旧による片側通行で長い間、大変通行者に御迷惑をおかけいたしておりました。また、この区間は毎年冬になると降雪により通行できなくなることもありますし、凍結によるスリップ事故が懸念され、危険な状況にあります。さらに、船津側は急勾配、急カーブが続き、接触事故の危険性も高く、とても日高地方の重要路線の形態とは言えません。
 この株井峠の改修は、昭和43年にされたと聞いております。約半世紀前ですから、自動車の保有数や交通量も少なく、車もそんなに大型化していない時代でした。当時、株井峠の改修は日高地方の最重要課題でしたので、いち早く取り組んでいただき、大変な難工事の末、見違えるような道路となりました。
 しかし、時代は変わりました。現在は、ほかの路線のトンネルと比べ、重要路線であるにもかかわらず、照明が暗く、道路幅が狭く感じられ、大型車と対向するとき恐怖を感じます。今日まで、トンネルの水漏れ補修や照明器具の取りかえ等、改修工事をしていただいておりますが、バスやトラックと対向すれば徐行しなくてはならないほど狭く感じられます。
 また、トンネルまでの道路も、急勾配のため急カーブが続き、鋭く歪曲しているため見通しが悪く、普通車は、トラック等の大型車の後ろにつくと追い越すことができません。20キロメートル程度のスピードに減速しなくてはならず、運転者のストレスになり、過去に事故も起こっております。
 最近は、御坊市に通勤・通学する路線バスが運行されており、また、美山にある工場から製品を搬送する大型トラックが頻繁に往来し、その工場に通勤する方もかなりおりますので、朝晩はかなりの交通量になります。
 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 県道御坊美山線の株井峠のトンネル及び登坂道路の現状認識についてお答えください。また、県道御坊美山線の株井峠の改修の必要性についてお答えください。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) まず、県道御坊美山線の県道たかの金屋線との交差点から県道御坊中津線との交差点に至る株井峠の約4キロ区間についての現状認識でございますが、この区間は、全区間にわたり車道幅員5.5メートルで2車線が確保されております。その中央部にある株井トンネルは、昭和43年に建設された延長215メートル、車道幅員5.5メートルとなっており、また、この株井峠では、先ほど先生からの御指摘にもありましたように、御坊側に最急勾配が11.9%の箇所があるとともに、最小曲線半径が45メートルの区間が3カ所ございます。
 また、株井峠における通行規制の状況ですが、平成23年度から27年度までの過去5年間で、のり面崩壊により2回の通行どめを行っております。いずれの場合も全面通行どめは約半日で解除しましたが、本格的な復旧ができるまでの片側通行規制の期間として、それぞれ約9カ月、約5カ月を要しており、地域の皆様方に御迷惑をおかけしたと認識してございます。
 続きまして、株井峠の改修の必要性についてでございます。
 現在、県では、各生活圏の背骨に当たる県内の主要河川沿いの道路を川筋ネットワーク道路として重点的に整備を進めております。県道御坊美山線は、これを補完し、国道42号と日高川沿いの内陸部の集落を結び、地域の経済や生活を支える主要な幹線道路として重要な路線と認識しております。
 当該路線の整備につきましては、川筋ネットワーク道路の整備推進に取り組む平成23年度以前から2車線化に着手しており、平成24年度までにおおむね2車線化が完了しております。さらに、災害時における株井峠の代替路の確保を図るという観点で、県が市町村道改良代行事業として整備し、平成13年度に開通した蟷螂トンネルを活用し、県道御坊中津線の下田原から上田原間の整備に平成27年度より取り組んでいるところです。
 そうしたことから、現時点におきまして株井峠の抜本的な改修を行う予定はなく、引き続きのり面やトンネルの点検を行いながら、適切な維持管理に努めることとさせていただいてございます。
○議長(浅井修一郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 うーん。今言う、その代替道路ということであれば、そら僕も、上田原から下田原、また上田原から三十木の間も大変狭いんで、あそこもそうかなと。ただ、右岸、左岸のどちらかちょっと私は専門的にわかりませんけども、その川向かいには、もう既に三十木─下田原間の代替道路が通ってるというのは御存じだと思うんです。あの株井峠の子十浦という地域からちょっと左側に入っていくと、そのままずうっと蟷螂トンネルまで、大体1.5車線の道がもうできてます。これは、多分、町道だと思うんですけども。その代替道路ということであれば、もう既に僕はあるんじゃないかなというふうに今思って、ほんで、実際あそこがこうなったときに、三十木から下田原路線を通るんじゃなくて、その対岸の道路を皆通って御坊のほうへ通っておりましたんで、代替道路というのでは、もう既にできてるんじゃないかなと思うんです。
 また、下田原から三十木間の、これは住民の皆さんのために一刻も早く道路改修はしていただきたいと思ってます。しかし、それとは全く議論が違うと僕は思うんですよね、株井峠の改修というのは。
 私が生まれた美山地区も、美山の熊野川というとこなんですけども、そこは昭和40年ぐらいですかね、もっと早いかもしれませんね、約2車線に近いような道路改修が、当時びっくりするぐらい、こんな道路つくってどうすんのよというような道路をつくっていただきました。私、小学校1年か2年のころでしたんで毎日通ってたんですけども、大変自慢の道路であったというふうに記憶しておりますし、その沿道には、その当時、地域の人が皆喜んで桜の木を植えて、長い間桜通りになっていました。今回の424号線の改修で一番最後の区間になってしまったんですけども、そこも改修していただいて、その桜は残念ながら切ってしまいましたけども、2車線の立派な道路に改修していただきました。
 この株井峠も、当時大変難所でしたんで、地域の強い要望で多分一番最初に、半世紀近く前ですから、半世紀近くも前にあんな立派な道路をつくったんですから、よほどの要望があったんだろうと思うんですけども、当時のやっぱり技術とか交通量、いろんな条件でああいう急勾配の、急カーブの──そしてまた、あのトンネルは、聞けば25センチ、25センチ、普通の今の県道のトンネルよりも狭いらしいです。両方で言うたら50センチ狭いということなんですけども、やっぱりトンネルの中ですから、バスとか大型車はどうしてもセンターラインに寄って走るんですよね。そうすると、対向するときに普通車は物すごく圧迫感を感じますし、大型同士だったら本当にもう徐行せんとなかなか、すうっと走って通れるようなトンネルではありません。
 まあ、でも通れるんだからいいじゃないかと、2車線あるんだからいいじゃないかという今のお言葉ではありますけども、私は、今言うたように、そこを通行する人、その道路を利用してる人からすれば、もう少し改修していただく余地があるんじゃないかなと。
 それまでに、なかなかまだ2車線の幅員がとれていないところがたくさん御坊─美山間でもありましたんで、私はあえてずっと質問もしなかったし、県にも要望もしませんでした。しかし、全てもう2車線化していただきまして、ほとんど時速60キロで走れる道になっておりますけども、残念ながら今の株井峠だけはそんな道ではありません。
 特に、中津から美山のほうへ抜けるところは急カーブが続きますし、トラックやバスが前を走ると、もう約20キロぐらいに減速してその後をついていかなくてはならないというような状況にありますんで、走ってる地域の人からすれば、もうちょっと何とか改修してもらいたいなあというのが皆さんの気持ちだろうと思うんで、今すぐにしろとは言いませんけども、いろんな地域で抱える、川筋でもまだ未改修の地区もあると思いますんで、そういうところは優先してやっていただいても結構ですけども、この株井トンネルも改修区間の1つだということは、知事、ひとつ御認識をいただきたいと思います。
 最後に、小中学生の不登校児童と生徒の学力保障についてお伺いをいたします。
 平成26年度、我が県の小学生1000人当たりの不登校児童の出現率が、岩田議員の話にもありましたけども、全国ワーストワンであり、中学生はワーストスリーであることがわかり、県民に衝撃を与えました。
 不登校の児童生徒は、都会のほうが圧倒的に多く、和歌山のような田舎では少ないのではないかと思っていたのは私ばかりではないと思います。原因はそれぞれ異なると思いますが、不登校児や生徒を抱える御家族の心情を思うとき、大変胸が痛みます。
 県教育委員会や学校関係者は、日々、彼らのために御尽力をいただいてることはよく存じ上げております。しかし、そこで問題となってくるのが不登校の児童生徒の学力保障の問題です。
 学校に通えない児童生徒は、家庭学習を余儀なくされ、1人で勉強してる子供たちがほとんどではないでしょうか。学校から与えられた課題や宿題を家庭学習でこなしていくことは、不登校の生徒にとって大変なことであります。担任の教師にとっても、他の多くの児童生徒も指導しなければならず、不登校児童や生徒の学力の習熟度を把握し、適切に対処することは、時間的にも体力的にも困難だと考えます。
 しかし、このような不登校生徒も、15歳になると中学校の義務教育課程が終了し、進学を考える時期が来ます。保護者の方も、子供の将来に大きな期待を寄せます。
 しかし、残念なことですが、毎年、県内の高校では450人前後の生徒が退学しています。私が当選したころは大体500人規模だったんですけども、多分、生徒が今は少なくなってきたんで450人前後になってるんだと思います。せっかく進学したのに退学しなければならない理由として、4割以上の生徒が学業不振となっていますが、小中学校時代に不登校になってしまい、十分な学力がついていなかったのが原因ではないでしょうか。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 不登校児童生徒の学力を今後どのように保障していくのか、お答えください。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 不登校の問題は、本県の喫緊の課題であり、学校教育の根幹にかかわる最重要課題であると考えてございます。
 不登校児童生徒の学力保障につきましては、欠席が多くなってきた児童生徒に対して、放課後等を活用し、授業のおくれ等を取り戻すための補充学習を行ったり、欠席時には教員が家庭訪問を行い、個々の状況に応じた学習支援を行ったりしています。
 また、不登校の児童生徒を対象に、学習の援助をしながら学校に復帰できるよう、県内では14市町15カ所に市町村が設置している適応指導教室で学校と連携した学習の支援を行っております。
 確かな学力を身につけることは、児童生徒の生きる力の基盤となるものであり、学校教育の大きな使命の1つであると考えてございます。県教育委員会では、昨年来、和歌山県不登校対策に係る有識者会議を設置し、本県の不登校対策についてさまざまな意見をいただいているところでございます。今後、いただいた意見を、不登校児童生徒の学力の保障を初め、さまざまな施策に反映してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ありがとうございました。
 教育委員会とか、また現場の先生の今の御努力に対して、私は何も思うことはないんです。よくやっていただいてるんだろうと思ってます。
 しかし、現実として、学校に行けない子供たちの学力はどうなんだろうかと単純に私も心配をしておりまして、そしていろんなデータを見ますと、やはり今言うたように、学力がついていけないというのも1つあるでしょうし、そしてまた、進路変更というのも4割ぐらいあるように聞いてるんですけども、この中にもそういう学力に起因するようなことで退学してる子がいてるんじゃないかなと思うときに、私ももう13年になりますし、毎年500人ペースで高校を中退してた、もう6500人ぐらいの方が私がこの県議会へ足を運んでる間に高校を中退されて、ですから、中学校卒業の資格で社会に出て職場につかれたり、いろんなところで活躍はしていただいてるんだろうと思うんですけども、大変な本人の努力されてる現状なんだろうなというのを推察したときに、もう少し義務教育下で、憲法で学力を保障してるんであれば、義務教育下の小学校、中学校で、不登校になってる児童生徒のためにもう一歩踏み込んだ学力保障に対して何かできないだろうかというのを、私は常々心配もしてますし考えてます。
 私は、次の議会に立つときにはそのことについてもう一度提案なり一般質問させていただきたいと思ってるんですけども、こんなにインターネットが発達した時代ですから、そういういろんな先進技術も組み入れた、ことしは──ちょっと議員の方の名前を忘れましたけど、PFIのほうのあれで民間のそういうノウハウも入れながら、家に引きこもってる子供たちに登校してる子供たちと同じような学習環境を与えることも今の時代であればできるんじゃないかなあというようなこともひとつ考えてみたらどうかと思っておりまして、それはひとつお互い勉強課題として、またいろんな御意見を、また御提案をそちらからもいただきたいと思いますけども、ぜひそういう家から出れない、もちろん社会に出ていけないその子供たちを思うときに、ぜひ私たち、今行政や政治に携わる我々が責任を持ってその子供たちに学力を保障していくということは必要なことだと思いますので、お互い力を合わせてやっていこうではありませんか。
 それを提案させていただいて、一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第173号から議案第188号まで並びに知事専決処分報告報第1号は所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。6月16日及び17日は、常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 御異議なしと認めます。よって、6月16日及び17日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、6月20日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時54分散会

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