平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


人名等の一部において、会議録正本とは表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、核兵器廃絶と平和行政であります。
 ことしは、戦争が終わって71年の年、被爆71年。オバマ米大統領が広島を訪れ、原爆慰霊碑の前で演説したことが大きなニュースになりました。原爆を落としたアメリカの大統領が被爆地を訪れて原爆の悲惨さとしっかり向き合ってほしいということは、被爆者の皆さんの長年の願いでありました。
 アメリカの核兵器保有国としての基本戦略は変わっていませんから、謝罪の言葉はなかったし、核兵器即時廃絶とまでは言わなかった。しかし、短時間ではあったが、原爆資料館を見て核兵器の悲惨さを語ったことは、一歩前進であり、心にしみるものもありました。この前向きの一歩を、核兵器廃絶への確かな一歩にしなくてはならないと思います。そんな中で、戦争被爆国日本国民として、核兵器廃絶を世界に訴えていかなくてはならないと思います。
 ところで、和歌山県議会は、「核兵器廃絶平和宣言」を可決しています。短いものです。「核兵器を廃絶し、恒久平和を実現することは、唯一の被爆国である我が国はもとより人類共通の悲願である。 現在、世界には、地球上のすべてを破壊して余りある核兵器が貯蔵されており、人類は常に核戦争の脅威にさらされている。 和歌山県議会は、人類永遠の平和確立のため、いかなる核兵器も廃絶するよう強く訴え、県民の総意として、ここに核兵器廃絶平和県を宣言する。 平成10年6月24日 和歌山県議会」というものでございます。
 私たちは、この悲願を実現するために一歩一歩進まなくてはならない、この立場から知事の御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(服部 一君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先日のオバマ大統領の広島訪問は、現職大統領として初めての訪問であり、私も恒久平和を望む一国民として、核兵器廃絶を目指す国際的機運を盛り上げる上で大きな機会となったと感じております。
 核兵器廃絶に関しては、議員御指摘のとおり、平成10年6月、和歌山県議会において「核兵器廃絶平和県宣言」が議決されています。この宣言は、核兵器の廃絶と恒久平和の実現を心から希求する全ての県民の願いが込められたものであると認識しております。
 私としては、県政を預かる者として、今後とも県民が平和で安全な暮らしができることを常に念頭に置きながら県政に取り組んでいく所存であります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 では、次に行きます。
 8月には原水爆禁止世界大会が開かれます。この世界大会は、核戦争・核兵器の完全禁止、被爆者援護・連帯の立場を掲げ、世界中の核兵器禁止を求める団体・個人、さらに国連からも代表者が参加します。その世界大会を前にして、全国から広島へ平和行進が行われます。和歌山のコースは5月9日、新宮を出発して、6月8日に三重県に引き継がれました。
 この平和行進に当たって、原水爆禁止和歌山県協議会、核戦争防止県医師の会、非核の政府を求める和歌山県民の会、和歌山県原爆被災者の会が県庁を訪れ、県に協力を申し上げてまいりました。残念ながら、県原爆被災者の会は被爆者の高齢化のために組織を維持することが困難となり、解散されました。
 しかし、3年前にこれらの団体が県庁を訪れた際、被爆者団体が作成した原爆写真パネルを県で購入していただきました。そのとき議長さんからも「私からも声をかけましょう」といって後押しをしていただきました。こうして、県庁本館から北別館への渡り廊下で、8月上旬に原爆写真展が行われるようになりました。原爆資料館を持つ広島、長崎は別として、県庁内で写真展をやっているのは石川県に続いて和歌山県が全国で2番目だそうでございます。県がこうして腰を上げることは影響が大変大きなものがあります。市町村でのパネル展は31カ所から45カ所にふえました。引き続き、写真展をさらに発展させていただきたいと思います。福祉保健部長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県では、広島、長崎での原爆の惨状を伝える写真パネル展を活用し、毎年ふれあい人権フェスタや県庁内において原爆写真展を実施しております。唯一の戦争被爆国として、戦争、原爆の悲惨さについて多くの人に伝えていくことは大切なことであり、今年度も8月に県庁渡り廊下において、また11月にふれあい人権フェスタで原爆写真展を予定しており、平和に対する県民の意識がより一層高まるよう取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 よろしくお願いします。
 この平和行進は、昨年から30の市町村全てを回るようになっています。市町村ごとの出発集会では、市町村長の御挨拶やメッセージがある。募金に協力もいただける。30の市町村長全てが平和首長会に所属し、非核平和宣言をしている市町村は平和宣言自治体として看板やプレートを立て、非核平和への願いを表明しています。新たにアオギリやクスノキを植えるという自治体もあります。
 その中で、和歌山県は、せっかくの平和宣言をしていながら、そのことが県民に余り知られていないように思います。大きな看板を立てるという方法もあるでしょうし、県庁の前にプレートを立ててもいい。核兵器廃絶平和宣言県として、何らかの表示をできないものだろうかと思います。これは、本日は要望としておきたいと思います。
 第2の柱は、熊本地震と地震対策であります。
 熊本の大地震、最初はこんなひどいことになるとは思いませんでした。最初の地震を上回る本震、いつまでも続く余震。多くの皆さんが犠牲になり、被害を受けられた。お亡くなりになった皆さんにお悔やみを、被害を受けられた皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。
 まず、危機管理監にお伺いいたします。
 和歌山県も中央構造線が走り、地震の危険が十分あるだろうと思います。南海トラフにかかわる地震・津波の危険もあります。
 ただ、南海トラフ、南海・東南海地震というものは今後30年間に起こる確率が70%というふうに言われるが、直下型地震のほうはそういうふうには言われない。その危険性をどう考え、どう心構えをすればいいのでしょうか。また、熊本地震の教訓から、どういう対策が必要だとお考えでしょうか。危機管理監にお願いいたします。
○副議長(服部 一君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 今回の熊本地震は、主に布田川断層帯や日奈久断層帯の活動であると言われております。
 文部科学省の地震調査研究推進本部によりますと、平成28年1月1日現在の30年以内の地震発生確率は、同断層帯ではマグニチュード7.0クラスが最大0.9%で、主な活断層の中で「やや高い」と評価されており、一方、中央構造線断層帯の和泉山脈南縁での地震はマグニチュード7.6から7.7クラスが最大14%で「高い」と評価され、また、南海トラフ地震ではマグニチュード8から9クラスが70%程度と評価されております。
 今回の地震では、他の活断層と比較して特別に危険性が高いと考えられていなかった活断層のある地域が震度7の地震に2度も見舞われ、甚大な被害が発生いたしました。改めて直下型地震の恐ろしさを実感するとともに、地震はいつどこで発生しても不思議ではなく、県民一人一人の防災意識を高め、常に準備を怠らず備えることが重要であると考えているところでございます。
 本県では、中央構造線断層帯による直下型地震だけでなく、紀伊半島は南海トラフ地震においても震源域に近く、南海トラフ巨大地震では県内のほぼ全域が震度6弱以上と、直下型と同様の非常に激しい揺れが予想されます。
 そのため、東日本大震災直後から防災・減災対策の総点検を実施し、地震対策として公共施設の耐震化を進めるとともに、住宅や大規模建築物の耐震化について全国でトップクラスの補助制度を用意するとともに、家具固定等についても、わかやま防災力パワーアップ補助金により手厚い支援を行うなど、地震に対する対策に強力に取り組んでまいりました。
 しかしながら、住宅の耐震化や家具固定は他の先進県と比較して決して進んでいるとは言えず、県民減災運動として住宅の耐震化、家具の固定、ブロック塀の安全対策をより一層推進するとともに、あわせて発災後に初期消火や救出・救助等の防災活動を担う自主防災組織の充実による地域防災力の強化などにも取り組み、地震による災害等に備えてまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。今も、公共施設の耐震化は進んだんだけども、一般住宅の耐震化はまだまだかなり残しているというお話でございました。
 それで、まず公共施設の耐震化はこれまでも強調されてきたと思います。どのくらい進んでいるんでしょうか。また、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。
○副議長(服部 一君) 危機管理監。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 公共施設の耐震化についてでございます。
 平成27年3月末現在の「防災拠点となる公共施設等の耐震化推進状況調査」として消防庁に報告した調査では、県及び市町村の公共施設合計5691棟の耐震化率は79.6%、前年度と比較してプラス2.2ポイントとなっております。
 施設区分別では、文教施設が96.7%、庁舎は78.2%、それ以外が71.4%で、うち県有施設1105棟の耐震化率については96.7%と、前年度と比較してプラス0.6ポイントとなっております。
 なお、県有の文教施設の耐震化率は100%となっており、また、未耐震の庁舎等についても、消防学校や海草振興局建設部の移転等の計画、整備を進めているところであり、県有施設については耐震化がおおむね完了しております。
 市町村の役場等の庁舎は災害対応の司令塔として、また公民館等の公共施設は住民の避難施設等として重要であることから、公共施設の耐震化がさらに進むように市町村に対して働きかけてまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 次が、危機管理監も心配をしておられる一般住宅の耐震化の問題でございます。
 このたびの熊本地震で大きな被害を呼んだのが、一般住宅の地震倒壊の問題でした。亡くなった方の7割が家屋の倒壊の下敷きになったと言われています。
 今、皆さんの議席に「あなたの住まいは大丈夫?─住宅耐震改修のすすめ─」というリーフレットを配っていただいています。県で出していただいたものです。
 実は、4月の初めに私は要求運動団体の役員会で県政報告をする機会がありました。そこで私はこんな話をしました。「皆さんから強い要望のある住宅リフォーム助成制度については、県がなかなか受け入れてくれません。それはそれとして、きょうは県が発行している「あなたの住まいは大丈夫?」というリーフレットを持ってきました。使い勝手はよくないかもしれないのですが、国3分の1、県3分の1などという結構有利な補助がある。だから、県は一般的な住宅リフォーム助成をやらないからだめだというふうに言うだけではなくて、この制度があることも県民の皆さんにお知らせをして、利用を研究していただけないだろうか」。
 そこには、大工さんたちも会員に抱えている民商の代表の方もいらっしゃったからです。そのとき、私は担当課から去年のリーフレットを50冊ばかりもらっていってお配りしたわけでございます。
 その10日ばかり後に熊本地震が起こりました。私は、街頭演説で熊本地震へのお見舞いを申し上げながら、このリーフレットを紹介をしました。
 海南市の場合は、回覧板を回してこの制度を紹介しています。後ろのほうに耐震ベッド、耐震シェルターの紹介などがあるんですが、申し込み期間は5月の16日から6月の3日まで、既にその期間は終わっているわけです。応募枠は3件ということになっています。
 そこで、県土整備部長にお伺いしていきたいんですが、まず、住宅耐震化の現状と目標、昨年度の実績をお示しいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 本県の住宅の耐震化率は平成25年度で74%であり、平成32年度までに95%とすることを目標としております。
 県の補助制度を利用した耐震診断等の昨年度の実績は、県全体で耐震診断616件、補強設計169件、耐震改修161件となっております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今お答えいただいたのでは、耐震改修に実際入ったのは1年間に161件ということですから、95%目標に対して言うとなかなか前に進みません。なぜ進まないのか。県民に知られていない、関心が持たれていないためなのか、予算の上限があるためなのか。
 現行制度では耐震設計で負担があり、耐震工事で負担があるということになってるんですが、例えば耐震設計までは全額補助できるとか、もう少し近づきやすいものにできないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 耐震ベッド、耐震シェルターを平成27年度から補助対象に加えるなど、和歌山県の現在の補助制度は全国でもトップクラスの制度になっていると考えております。
 県では、これまでにも住宅の耐震化促進のため、建築関係団体との連携による広く県民の皆様を対象とした住宅相談会の開催や、事業者等を対象とした説明会などを実施してまいりました。今後も、より一層住宅の耐震化の必要性と補助制度の周知を図ることによって耐震化を推進してまいりたいと考えております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 先ほど耐震設計にもお金がかかるという話をしたんですが、この中の耐震ベッドや耐震シェルターについては耐震設計は要らないようです。この耐震ベッド、耐震シェルター、今大変関心が持たれてると思うんですが、どれだけ予算化されているんでしょうか。また、昨年は県下で、また私の関係で言うと海南市で、どれだけの申し込みがあったのでしょうか。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 耐震ベッド、耐震シェルターに関しましては、平成27年度から補助対象に加えておりまして、27年度、28年度ともに合計50個分の予算を計上しております。平成27年度の実績は県全体で耐震ベッド6件となっておりまして、その中に海南市の実績はございません。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 せっかく予算の枠を50個とっていただいているのに、昨年で言うと6件しか申し込みがなかったというわけですね。大変申し込みが少ない。ですから、どうして申し込みが少ないのか。ことしは熊本地震で関心が高くなると思うのですが、海南市の場合は受け付けは終わっていますが、どうだったのでしょうか。
 そして、他の耐震化補助も同じなのですが、耐震ベッド、耐震シェルターについて、補助の申し込みをする前提が耐震診断を受けていることとなっています。熊本地震を見て耐震シェルターをつくろうと思っても、耐震診断を受けている間に申し込み期間が過ぎてしまう。耐震シェルターを申し込めば自動的に耐震診断をしてくれるようにするなど、使いやすい制度にすることが考えられますが、いかがでしょうか。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 耐震ベッド、耐震シェルターの補助制度につきましては、県が市町村を通じて費用を補助する制度となっております。県は昨年度当初から予算化をいたしましたが、多くの市町村におきましては補正予算による対応となってございました。このようなこともありまして、県民の方々にその制度が十分浸透していなかった、このことが申し込みが少なかった主たる要因と考えてございます。
 今年度の海南市における申し込み状況でございますけれども、6月3日までの申し込み期間中に耐震ベッドに対して2件の申し込みがあったと聞いております。
 それから、耐震ベッド、耐震シェルターへの補助を耐震診断をする前にすることができないかというお問い合わせでございましたが、これらの補助は、地震により建物が倒壊した場合においても安全を確保することを目的としたものでございます。建物の耐震性が確保されていないことを前提とさしていただいているものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今御答弁いただきましたように、耐震補強あるいはこの耐震ベッド、耐震シェルターの補助を受けるためには、まず耐震診断をしていて、そして危ない建物であるということが前提だと、これはもう当然のことです。ただ、今のシステムだと、耐震シェルターの補助を受けようと思ったら、ことしまず耐震診断を受けて、そしてシェルターの申し込みは来年の話になってしまう。ぜひともそこのところを考えていただきたいわけです。
 次に、耐震ベッドや耐震シェルターの場合、大手の規格品に限られていて、地元の大工さんの手ではできないものになっていると思います。地元の大工さんが紀州材を使ってでもできるようなものにして、お勧めしてもらうようにしてはどうかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 耐震ベッド、耐震シェルターでございますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、地震により建物が倒壊した場合においても安全を確保することを目的としたものでございます。上層階の倒壊に耐えられる強度を実験等で確認する必要がございます。
 紀州材を用いた製品の開発意欲がある事業者さん、もしいらっしゃいましたら、御相談をいただきましたら、そういった実験等の確認についても御相談をさせていただきたいというふうに思ってございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 そういうことを研究する開発意欲がある業者があればという御答弁ですので、業者の方にも県もそういう意向なんだということで、そんな人がないかということも私も聞いてみたいというふうに思います。
 いろんな形で申し込みがふえるようにしなければならないと思うんですが、特に熊本地震が起こったというのは特別な状況です。こういう状況で、もし本当にこの制度が知られて、やろうという人がふえていったら、予算枠では少な過ぎる場合だって起こってきます。予算が枠が少な過ぎると諦めて申請しないということもある。
 この熊本地震という機会に耐震補強を飛躍的に進められるように、過去3年間ぐらいのおくれを取り戻すぐらいのつもりで必要な補正予算も組むというようなことにしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 先般発生いたしました熊本地震で住宅の耐震改修への県民の皆様の関心も高まっていると考えておりまして、住宅耐震化への補助制度への申し込みが昨年同時期を大幅に上回っているところでございます。
 県としましては、市町村と連携しながら、この機会を捉まえまして、県民の皆様の要請に的確に対応してまいる所存でございますので、よろしくお願いいたします。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今部長がお答えいただきました、この機会を捉まえ的確にという、この言葉を私は重く受けとめたいと思います。
 知事も、この議会中に住宅耐震化のおくれという問題を何度も語っていただきました。それも、非常に熱意を持って語られたというふうに私はお聞き取りいたしました。今起こっている事態というのは、知事がおっしゃるには全国的にも大変高いレベルの補助制度を用意している、それなのになかなか思うように進んでいない、そこへ熊本地震が起こって県民の意識、関心も大きく変わったと思います。
 ところが、海南市の場合で言うと、6月3日で締め切りになってるわけです。県民に十分知らせられないままに市町村で決めた締め切り期日が過ぎてしまう、また、昨年までに耐震診断を受けて耐震化が必要とされた住宅しかことしの耐震化補助の対象にはならないということになります。市町村で再募集できるようにするとか、耐震診断を受けたら直ちにその年のうちにシェルターなどを申請できるようにするとか、制度の組みかえが必要になると思います。
 あるいは、組みかえなくても弾力的な運用でもそれはできるのかもわかりません。それならそれでいいんです。申し込んだら締め切りでしたというようなことにならないようにしてほしい。これ、来年まで待ってくださいでは、この機会を捉えて的確にということにはならないと思います。
 私は、その点で、この制度の枠の中、運用の中ででも十分に市町村と話をして、例えば、耐震診断を受けるんだけども、とにかく耐震診断が7月までかかったんだと、そしてそれを受けて補助を申請する資格ができたら9月であっても補助を申請するんだということのような運用というのはできると思いますので、ぜひともそういうふうにしていただきたいと思うわけです。それが、耐震診断ことし受けなさいよ、そして改修は来年ですよというんでは、やはり今の状況に合わないというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。要望とします。
 最後に1つ要望ですが、使い勝手がいい住宅リフォーム助成制度が経済活性化の観点からも有効だと私たちは主張してきました。高野町で始まったものが海南市でも始まった、さらに幾つかの自治体に広がり、広川町では大変高い補助率の制度が導入されています。この住宅リフォーム助成に国・県の耐震リフォーム助成を組み合わせるような方法はないのかどうか、そういうこともひとつ研究されてはいかがと思いますので、要望としておきたいと思います。
 次に、中学校の運動部の活動についてお伺いいたします。
 実は、早くから質問を準備して、文部科学省でのヒアリングまでしてきたんですが、この議会が始まってからの6月の4日に、「朝日新聞」に「中高の部活 休養日指針」、「文科省作成へ」という報道がなされました。さらに、けさの新聞には、週1日以上の休養日と文部科学大臣の談話が、指針、方針を出すことが載りました。ある面では、ですからこの質問は時宜を得た質問とも言えるんですが、ある意味では大変流動的なので、質問しにくいなというふうに思っています。まあ続けます。
 中学校の教育において、部活動というものは文化部、運動部を問わず大事な役割を果たしています。「中学校時代の一番の思い出は」と聞かれたとき、「部活動に打ち込んだこと」と答える子供が多いでしょう。しかし、この活動が教員に大きな負担になり、行き過ぎると子供の生活のバランスを欠き、子供の心身の発達にゆがみをもたらす場合もあることは問題です。
 まず、教育長にお伺いしますが、教員の負担の問題からお伺いします。
 部活動の指導というのは教員にとって本務なのか勤務なのかという問題があるわけでございますが、教育長、これは勤務というふうに言えるんでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 部活動は、学習指導要領の総則におきまして、「学校教育活動の一環として教育課程との関連が図れるよう留意すること」と明記されており、学校教育の重要な教育活動でございます。
 運動部活動は、生徒の自主的、自発的な参加により成り立っておりますが、顧問の教員の熱心な取り組みに支えられているところが大きいことは認識してございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今、教育長は、運動部活動は顧問の教員の熱心な取り組みに支えられているものですとお答えになりまして、勤務かどうかということについては避けて通られたわけでございます。実は、これをだからどうこうということはきょうはいたしません。
 実は、ここに学校という職場の難しさがあります。教員にとっては本務と言えない仕事もいっぱいある。しかし、誰かがやらなくてはならない。それを子供のためにということで協力して進めているのが学校というもんだと思います。ですから、それを命令や何かだけで教員を動かして学校というものが成り立つわけではない、学校というものはそういう性格を持っている。ですから、私の質問には大変答えにくいことも大変よくわかります。
 次の質問ですが、この部活動で対外試合の付き添いを含めて、長時間勤務を生んでいる実態はないのかどうか、あるとすればどういう補償をしていくのかをお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 土曜日や日曜日等に多くの教職員が運動部活動指導に当たっているという状況は、十分に認識してございます。教職員が土曜日や日曜日等に運動部活動指導を行った場合は、特殊業務手当を支給することとしてございます。さらに、教職員が土曜日や日曜日等に行われる公式試合等に生徒を引率する場合については、別の日に振りかえることができる制度も設けてございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 これも悩ましい問題もありまして、振りかえという制度はあるんですが、振りかえで学校が開かれている日に授業のある日に振りかえ休日をとれば、授業が欠かなくてはならないというような悩ましい問題もあるわけでございます。これをお互いにわかった上で聞いているわけでして、しかし、そういう中でもいろんなことを考えていかなくてはなりません。
 きょうは、中心にしたいのは、一番問題になるのは生徒にとっての生活や心身の発達のバランスの問題です。和歌山県の中学校の運動部活動の実情はいかがでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 運動部活動は、スポーツに興味と関心を持つ生徒がそのスポーツの楽しさや喜びを味わい、豊かな学校生活を経験する活動であるとともに、体力の向上や健康の増進につながる有意義な教育活動でございます。平日の放課後とともに練習試合や大会等で土日等も活動している現状があり、一部に教員の多忙化の要因となっていることや、生徒のバランスのとれた生活と成長の過程に課題があることなどを指摘されてございます。
 このようなことから、昨年、県教育委員会では、中学校運動部活動の在り方に関する有識者会議を立ち上げ、学校の状況をより詳細に把握するため、ことし2月に包括協定を締結した大阪体育大学と共同でさまざまな角度から実態調査を行っており、9月ごろを目途に本県の有識者会議のまとめを出すこととしてございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 土日も活動している現状を承知していると言われた。生徒のバランスをとれた生活と成長の過程に問題があるという意見もあるとも言われた。
 実は、20年近く前に文部科学省がこの調査研究協力者会議というのを開いて、そこの報告というものがあるんですが、実はそこでも全く同じことを言ってるわけですね。だから、20年ほど前に言われたことが今も言われて、そして文部科学省自身もそれについて是正せないかんというふうに言うたけども、是正がされんで、今また新たにそういう調査研究協力者会議のようなものを立ち上げるということになってきています。
 では、適正な運動部活動の時間、日数について、教育長はどういうふうに考えておられるんでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 現在、報道にもありましたように、国においても教員の勤務負担の軽減や生徒の健全な成長を促す面から、運動部活動のあり方について検討が進められているところでございます。今後、これら国の動向や、先ほど申し上げました本県の有識者会議のまとめを踏まえまして、さまざまな観点から運動部活動のあり方を示していきたいというふうに考えてございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 実は、最初に時宜を得た問題だと同時に、どうも聞きにくいと申し上げたのは、今、文部科学省も、それから教育委員会も、いろんなことを検討しているということなので、ですから有識者会議で検討している中で教育長としてはこう思いますというのはなかなか答えにくいということがあるので聞きにくいと、こういうことになってくるわけですが。
 ですから、そういう有識者会議などの意見を受けて改善してもらわなくてはなりませんが、ちょっと先取りして聞くようですが、20年前にそういう報告もあった、御存じと思います。ところが、それが改善されないんだけども、今度こそ改善できるようにやられるつもりはおありでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 多くの教員の熱心な指導が運動部活動を支えてきたことは、十分に認識してございます。このため、これまで県教育委員会では、教員の負担軽減と専門性の確保のため、国の運動部活動指導の工夫・改善支援事業により、外部指導者を派遣するなどしてまいりました。
 また、成長期にある中学生の運動部活動においては、生徒のバランスのとれた心身の成長のために適度な休養をとることが必要であり、これまでも運動部活動指導の手引により、適切な休養日と練習時間を設定するよう指導してまいりました。
 さらに、直接運動部活動の指導に携わる教職員等を対象とした運動部活動指導者研修会やスポーツ医科学に基づく運動部活動指導法研修会を開催し、運動部活動のあり方について指導してきたところです。
 平成26年3月に出しました運動部活動指導の手引につきましては、先ほどから申し上げております国の動向あるいは本県の有識者会議のまとめを踏まえ、今後、改定も含めて検討してまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 文部科学省も20年近くたって腰を上げたわけですし、教育長もそういうふうに言われるわけですから、解決されることを期待したいと思います。
 ただ、その困難さについて少し私見を申し上げておきたいと思います。
 この問題の難しさの1つは、土日も休みなしに運動部活動の指導をなさっているのは真面目で熱心な先生だというところにあります。少し逆説的になりますが、真面目にやっておられるからそれについて校長もどうこう言いにくい。私も、中学校の教諭だったころに野球部の顧問をしたことがあるんですが、若さに任せて土日も出ていったものです。結構強かったんです。
 親も野球熱心な生徒がいました。肩を痛めたんですが、試合の日に痛みどめの注射を打ってきて、「大丈夫です。投げさせてください」と言うんです。その子に投げさせればコントロールもよくて安心なので、「本当に大丈夫か」と言いながら投げさせてしまったことが、今も心に残る反省になっています。
 あるとき、和歌山市の中学校の校長と話をしましたら、前の学校はバレーボールの強い学校だった、余り行き過ぎないようにブレーキかけようとしたら親から叱られた、どうにもできなかったという話をしてくれたこともあります。部活動でチームが強くなると、校長もとめられなくなる場合がある。また、指導するのは実際熱心な熱血先生なんです。そのことは一面の事実なんですが、それが子供の発達のためにどうなのかを考えなくてはならないというのが問題です。
 この問題は、性格は違いますが、私は体罰問題と構図がよく似ていると思います。これまで、学校やスポーツの指導の中で体罰が容認されていた時期がありました。マスコミの取材に、校長は「熱心さの余り」とかばいました。実際、その先生が熱心な熱血先生であった場合が私は多かっただろうと思います。そうでなくて殴りまくってるという、そういうふうなのはまずめったにないので、やっぱり熱心な先生であった場合が多いと思うんです。
 そして、指導者がスポーツの指導で成果を上げれば、他の者が口出しできないという構図があった。それが子供の自殺まであって社会問題になって、体罰は絶対に許されないとなってきたわけです。体罰と運動部活動の行き過ぎは同じ問題ではありませんが、その克服の難しさにはよく似た構図があるということを申し上げて、今度こそ、この難しい問題に教育長がしっかりと立ち向かわれるように期待いたしまして、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時32分散会

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