平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


人名等の一部において、会議録正本とは表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成28年6月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成28年6月14日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第173号から議案第188号まで並びに報第1号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第173号から議案第188号まで並びに報第1号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       市川靖之
 企画部長       高瀬一郎
 環境生活部長     日吉康文
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   岡本圭剛
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       上坊 晃
 次長         西原龍也
 議事課長       中谷政紀
 議事課副課長     浜野幸男
 議事課課長補佐兼議事班長
            長谷哲生
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主査      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第173号から議案第188号まで、並びに知事専決処分報告報第1号を一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 12番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 皆さん、おはようございます。
 3日目のトップバッターを務めさせていただきます。早速ですが、議長のお許しをいただきましたので、一般質問を始めさせていただきます。
 まず、捕鯨文化「鯨とともに生きる」日本遺産認定についてであります。
 まず、日本遺産事業についてお尋ねをいたします。
 去る4月25日、熊野灘沿岸で行われてきた捕鯨文化「鯨とともに生きる」が、平成28年度日本遺産に認定されました。江戸時代初期から始まった、網で鯨の動きをとめ、もりを打つ組織的な古式捕鯨は、地域を支える一大産業に発展しました。そして、現在もなお太地町では捕鯨が続けられ、周辺地域の新宮市、那智勝浦町、串本町、古座川町においても祭りや伝統芸能、食文化が伝承されるなど、鯨とともに生きるという文化が息づいています。
 今回の認定は、こうした歴史的経緯や捕鯨文化が地域の風習に根差し、世代を超えて受け継がれてきたことが評価され、認定に至ったと聞いております。
 さて、お手元に「鯨とともに生きる」を構成している文化財を紹介した資料を配付しております。ストーリーを語る上で欠かせない19の史跡や芸能、祭りなど、今もなお色濃く継承されているものばかりで、いずれもこの地域が鯨とかかわってきたあかしであります。
 その中に、5番の「太地のくじら踊」と14番の「三輪崎の鯨踊」とがそれぞれ入っております。鯨といえば太地町が有名ですが、かつては新宮市の三輪崎でも太地町と同じように捕鯨が盛んに行われておりました。その名残として、太地と三輪崎には踊りの型や歌詞の違った鯨踊りがあります。
 新宮市三輪崎の鯨踊りは約300年前から、当時は大漁の祝い踊りとして船の上や浜で繰り広げられていました。紀州徳川家、新宮領主であった御附家老の水野氏が、京都の公家に鯨の肉を献上した際に鯨踊りとして整えたと言われ、2種類の踊りで構成されています。1つは、網に見立てた日の丸扇を両手に持った大勢の踊り子が大きな円となり、鯨を取り巻くさまをあらわした殿中踊り、もう1つは、鯨をしとめるもりに見立てた竹でつくられた綾棒を手に鯨船からもりを打つ動作が勇壮な綾踊りであります。資料の写真は綾踊りのほうで、終始座ったままで踊るという、全国的にも珍しい踊りと言われています。
 昭和49年12月、県の無形民俗文化財の指定を受け、三輪崎郷土芸能保存会によって伝承されています。毎年9月中旬に行われる三輪崎八幡神社の例大祭を初め、さまざまなイベントで披露され、また、地元の小中学生も運動会などの行事で披露するなど、子供のころから郷土芸能に触れてもらう習慣があり、保存会はその指導にも当たっています。
 ちなみに、三輪崎は私の地元中の地元で、何を隠そう私もこの会の一員で、踊り手の1人です。実はこう見えて、何よりもお祭り大好き男です。郷土芸能を通じた捕鯨とのかかわりもあり、先人から受け継いできた捕鯨文化を後世に継承したいと強く願う1人であります。
 ところで、県が申請したと聞いたときの個人的な感想ですが、日本遺産って余り聞きなれない言葉であったことに加え、本県では既に「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されているのにもかかわらず、名称だけを聞くとスケールが小さいイメージを抱く日本遺産、その認定をなぜ今さら目指すのかという疑問が湧きました。
 しかし、古式捕鯨の文化的価値のアピールとその文化の継承や発信、また誘客への活用に寄与するための事業と伺いました。なるほど、世界の一部から批判されがちな捕鯨について、受け継がれてきた文化、産業であることを理解してもらうための取り組みなんだと認識し、それならみずからもいささかのかかわりもありますし、微力ながら協力をしようと決心いたしました。しかしながら、狭き門とも伺っていたので、認定されたとの一報を受けたときにはとてもうれしく、誇らしく感じました。
 そこで質問ですが、日本遺産事業とは何を目的とした国の事業なのかなど概要について御説明ください。また、認定を受けたことによって地域にどのようなメリットがあるのでしょうか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 日本遺産につきましては、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化、伝統を語るストーリーを文化庁が認定するもので、文化財の保全・保護という従来の文化財行政から転換し、文化財の活用によって地域の活性化を図っていくことを目的に、2年前に創設された事業でございます。
 文化庁では、東京で開催されるオリンピック・パラリンピックに向け、訪日外国人など旅行者が全国を周遊し、地域の活性化に結びつけられるよう、2020年までに日本遺産を100件程度認定する予定と伺っています。
 認定を受けたストーリーに対しては、文化芸術振興費補助金が交付されるというメリットがあるため、議員御発言のとおり申請件数は多く、初年度である平成27年度は83件の申請に対して18件の認定、本年度は67件の申請に対して19件の認定という状況でございます。
 本県が新宮市、那智勝浦町、太地町、串本町とともに申請いたしました捕鯨文化に関するストーリー「鯨とともに生きる」は、去る4月の25日に認定されましたが、引き続き、他の地域においても新たな日本遺産の認定を目指してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 続きまして、「鯨とともに生きる」の誘客促進に向けた事業展開についてお尋ねをいたします。
 文化をアピールするために歴史的ストーリーを認定するという日本遺産事業は、観光や地域学習を目的とした誘客を促進するためには最適な考えだと私も思います。歴史的価値のある建造物や史跡や物的資源が残っているからといって、その価値をみずからが理解できている人は別として、ただ単にそれを見せるだけでは関心を引くことは難しく、ストーリーの持つ重要性は、現在放映中で大好評を博しているNHK大河ドラマ「真田丸」人気に見られるように、まず興味深いストーリーがあって、そしてそれを引き立てる登場人物がいてこそ、舞台となった地域やゆかりのある場所が生きてくるわけで、先人の営みや当時の風景に思いをはせることがだいご味であり、その人物やストーリーに自分も融合したいという心理が働き、その地を訪れたくなるのではないかと考えます。
 鯨とともに生きてきたところは全国各地にも点在しますが、熊野灘沿岸での捕鯨が発展を遂げた背景には、黒潮の流れの影響を受け鯨が陸の近くを頻繁に回遊すること、また、地形的にその鯨をいち早く発見することのできる高台や、とった鯨を引き上げることに適した浜や湾があり、古式捕鯨にとって最も重要な要件を備えていた場所であったからと言えます。もともと陸地の狭い地域にとって、生きる糧を海に求めたという事情もあります。
 加えて、捕鯨という1次産業にとどまらず、解体や加工、鯨船をつくる船大工、もりなどをつくる鍛冶屋など、2次、3次にも及ぶ広い業種がかかわり、地域全体が利益を享受できるシステムが構築されていたことが挙げられます。
 鯨船や道具は使用するものの、人の力だけで巨大な鯨に挑み、時には多くの犠牲者を出したという危険と恐怖が背中合わせの古式捕鯨、当時生きていくために男が命をかけた激しい漁であったことは、そのような環境にさらされていない現代の私たちにとって想像の域を超越した世界であったと思います。また、肉を食すだけでなく、皮や骨、ひげや脂まで余すところなく生活用品として利用できたことから、人々は鯨に対し深い感謝と慰霊の念を欠かさなかったことにも着目すべきであると思います。
 これら先人が築いた文化に対し、今を生きる私たちができることは、捕鯨文化ストーリーを正しく学び、自然と向き合って生きる場所熊野を継承し、それを国内外に発信することではないかと考えます。
 以上、いろいろと申し上げましたが、日本遺産事業を本県への観光客誘客と周遊エリアの拡大や滞在時間延長の促進に向けて活用するために、どのような事業を展開していくのでしょうか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) この日本遺産の認定により、本県の熊野エリアは、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」とあわせて山と海のダブル遺産を有し、さらに日本ジオパークの南紀熊野ジオパークを含めますと3つの観光資源ブランドが存在するエリアとなりました。この強みを最大限に生かし、積極的なプロモーションを展開することで、誘客促進の相乗効果が期待できるものと考えております。
 具体的には、去る5月30日に、県、公益社団法人和歌山県観光連盟、関係市町、観光関連団体、文化保存団体、交通事業者、旅行業者による熊野灘捕鯨文化継承協議会を立ち上げました。協議会では、文化庁から3年間交付される補助金を活用し、ガイドブックやホームページの制作などの情報発信、日本遺産ガイドの養成、シンポジウムの開催、ストーリーを構成する文化財の調査研究、案内板の整備等さまざまな事業を展開し、市町の域を超えた新たな観光ルートを形成することにより、熊野エリアの周遊促進と滞在時間の延長を図ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。答弁にも説明がありましたが、ますます熊野ブランドを確立すべく、世界遺産やジオパークとの合わせわざで大いに活性化につなげていただきたいと期待しております。
 また、2200年前に不老不死の霊薬を求めて中国から渡来した徐福が、熊野の人々に鯨のとり方を伝えたと言われています。徐福が熊野灘沿岸の捕鯨ストーリーの始まりと考えれば、欠かすことのできない存在ではないかと思いますので、今後つけ加えていただくことも検討していただければと思います。これは要望であります。
 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 大学入試センター試験の実施会場についてであります。
 私がこのような問題があることを知ったのは、自分の子供を某国立大学に通わせる父親でもある同級生との会話からでした。毎年保護者同士や子供との間で話題になることだが、センター試験を受験するとき、同じ県内に住む高校生であるにもかかわらず、特に紀南地域の生徒から見れば受験環境や負担に雲泥の差がある、これには大いに不公平感があり、県としてはどのように考えているのだろうかとの内容でした。
 また、この件について、昨年のセンター試験が終了した後の2月13日付「朝日新聞」和歌山版に大きな記事として掲載されていたとのこと、早速読んで確認することといたしました。「センター試験 紀南は損?」という見出しの記事によりますと、県内の大学入試センター試験は、和歌山大学、向陽高校、桐蔭高校の和歌山市内に3カ所と、近畿大学生物理工学部の紀の川市1カ所の計4会場、いずれも紀北地域において実施されています。
 したがって、紀南地域の受験生はかなりの移動時間を要するとともに、泊まりがけで来るケースがほとんどで、金銭的負担も3教科以上で検定料1万8000円がかかることは当然のことでありますが、さらに交通費や宿泊費で約3万5000円程度の負担を強いられる状況にあります。また、一番遠方となる新宮高校の校長先生は、なれない場所で寝泊まりをする肉体面と精神面の負担は生徒にとって損なことであると、紀北地域の受験生と比べての不公平さを訴えています。
 試験会場の数、場所を決定するのは大学や短大で構成される連絡会議であるとのことで、大学から遠方になると問題用紙の管理が難しく、運営スタッフの確保も困難なことから、新たな試験会場をふやす予定はないとの考えを示しているようです。記事には、本県と似た状況での過去の事例として、大学から車で約3時間かかる場所に新たな試験会場を校長会からの強い要望を受け設置した岐阜大学や、車で約2時間の高校で実施した秋田県立大学の取り組みとあわせて、「ハードな仕事だが、受験生に泊まらせるくらいなら私たちが出向く」といった入試担当者のコメントも紹介されており、いずれも受験生のことを第一に考える責任感と熱意を感じるコメントであります。
 また、青森県の弘前大学、新潟大学や長崎大学などが離島の高校で実施していることにも触れていました。逆に、愛媛、佐賀、熊本の3県は本県と同じ実施状況で、県庁所在地の市内の会場だけです。
 「そもそも、地理的条件が違うのはやむを得ないことで、そのことも乗り越えての試験」とは関係者の言葉であります。さまざまな意見や事例にいろいろな考えをめぐらせているところへ、和歌山市内で大学受験予備校を長年営む方からも連絡をいただきました。さきに紹介した新聞記事の情報元でもあるとおっしゃられ、数年前から自身のブログ上でもこのことを訴えているが、一向に改善される気配がないことに不信感を募らせているとのことでした。
 また、ブログには読者からも同調するコメントが寄せられているとのこと、参考にするため、案内いただいたブログの内容を読ませていただきました。そこには紀南との地域格差についてだけでなく、和歌山市内においても、桐蔭高校と向陽高校の生徒がなれた教室で受験できるのと、それ以外の高校からとでは心理的に大きな違いがあることなど、幾つかの見解、あるいは改善案が書きつづられています。本県内の受験環境には他府県の状況と比べても不公平なケースがあり、やる気を出せば改善できることもあると指摘しており、確かにうなずける話も多々ありました。
 さて、今回の質問内容につきましては、全般にわたって意見の集約や調査を行ったわけでなく、これらの情報のみによるものですが、本県におけるセンター入試試験会場の地理的条件の格差を考えたときに、紀南地域の生徒にとって大変な負担が多いことは明白であります。
 よって、試験実施の関係者に対し、受験生の精神的、肉体的なストレスを和らげ、集中して試験に臨める環境をつくる工夫を求め、公平性を意識していただくための問題提起になればと取り上げさせていただきました。
 地元で話を聞く限りでは、紀南地域の生徒や保護者、学校関係者が考える理想の形は、できることなら田辺市と新宮市に試験会場をつくってもらいたいということであります。ただし、いきなり2カ所の設置は無理だろうという発想で、まずは紀南地域内に1カ所だけをふやすという判断に至ったとすれば、それはそれで他の弊害が考えられるのです。
 もし田辺市地域に1カ所となると、新宮市、東牟婁郡からの生徒は通うということは時間的にも無理があり、結局宿泊が伴うことになり、そうなれば従来の和歌山市の会場のほうが宿泊先の手配や会場への移動がスムーズであるとの話もありました。また、新宮市地域に1カ所となると、なおさら多くの不都合が予測されます。したがいまして、紀北・紀中地域の生徒と同じように、自宅から通うことができる距離に試験会場を設置していただくことが望ましいと考えられます。
 確かに、これまで紀南地域で実施されなかった現状から考えて、さまざまな条件に適当ではなく、ハードルの高い話であるとも思うのですが、実際に岐阜県や秋田県のように改善できた事例もあるわけですから、無理だと決めつけずに、遠方の受験生のこともしっかりと考えてあげていただきたいのです。
 そこでお尋ねしますが、これまで県教育委員会としては、このような現状や地域からの声をどのように捉えてきたのでしょうか。また、試験関係者に対し、今後何らかの働きかけをしていただけるかどうか、その可能性についてなど、教育長の御見解をお示しください。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県内で行われている大学入試センター試験は、議員のお話もありましたように、和歌山大学、近畿大学生物理工学部、桐蔭高等学校及び向陽高等学校の4会場で実施されており、紀南地域に試験会場はございません。宿泊等で紀南地域の受験生の負担になっていると、これまでも私は認識してございます。
 試験会場の設置につきましては、大学入試センターと県内の複数の大学等で設置している連絡会議で決められてございます。会場をふやすことは、受験者数、スタッフ人員の確保、試験問題の輸送等を勘案すると困難であるとこれまで聞いてまいりました。
 現在、文部科学省では大学入試制度の改善が検討されているところであり、より多くの受験生ができるだけ負担少なく受験できるよう、高等学校長会等からさまざまな意見を今後聴取しつつ、関係機関に県教育委員会といたしましても働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ただいま御答弁をいただきました。いろいろな意見を、学校や生徒や保護者の意見をお聞きしていただきながら、どのような働きかけをしていくか、いろいろ研究をしていただいて、何とか生徒の負担を軽くしてあげていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、3番目の精神障害者に対する旅客運賃割引制度適用についての質問に入らせていただきます。
 県内における旅客運賃割引制度の適用状況についてお尋ねをいたします。
 平成18年に国連総会で障害者権利条約が採択されたことを契機に、我が国における障害者福祉の取り組みは大きく前進しました。条約締結に向け、障害当事者の意見も聞きながら国内法令の整備を推進する流れが生まれたのです。そして、平成26年2月より我が国も国連障害者権利条約の締結国となりました。
 障害者基本法では、身体、知的、精神の全ての障害者が障害でない者と等しく基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有し、社会を構成する一員として社会、経済、文化、その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されることとされています。
 そして、本年4月に障害者差別解消法、正式には、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が施行されました。この法律は、国や地方公共団体、事業者に対し、不当な差別的取り扱いの禁止や合理的配慮の提供により具体的に取り組むことを定めたものであり、障害のある人への差別をなくす社会を形成することで、障害のある人もない人もともに生きていける社会づくりを目指すものであります。
 さて、以上のことを踏まえて本題に入らせていただきます。お尋ねしたいことは、障害者に対する交通運賃割引制度についてであります。
 身体障害者は昭和25年から、内部障害の身体障害者は平成2年から、知的障害者は平成3年から割引制度の対象となっており、バスや鉄道などの公共交通機関において割引が実施されております。障害者が通勤、通学、通院など日常生活を送る、あるいは社会活動に参加をする上で交通費の負担を軽減し、外出機会をふやすなど、割引制度に基づく関連事業者や自治体の支援が果たす役割は非常に大きなものがあります。
 そこでまず、県内における障害者を対象とした旅客運賃割引制度のうち、バスや鉄道事業者における適用状況について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 精神障害者にとって公共交通機関は、医療機関への通院や障害福祉サービス事業所への通所等に欠かせない移動手段であり、運賃割引は精神障害者の自立と社会参加の促進に大きく寄与するものであると考えます。
 県内のバス事業者における精神障害者の運賃割引制度の適用については、コミュニティーバスを含めた32事業者のうち3事業者を除き既に割引を行っており、その3事業者に対して県からも働きかけを行った結果、そのうち2事業者が準備を進めているところです。
 鉄道事業者については、県内4事業者全てがいまだ割引を実施していない状況にあります。
○議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 身体障害者並びに知的障害者に対しては、JRを初め鉄道事業者の旅客運賃について、障害者とその介護者に対して50%の割引が受けられます。また、障害者本人だけであっても、100キロメートル以上という条件つきですが、割引対象となります。
 しかしながら、国内法令の整備や障害者の自立と社会参加のための環境整備が進む中、答弁にもありましたように、鉄道事業者における精神障害者への運賃割引制度の適用は進んでいない現状にあります。
 精神障害者への割引適用がおくれているのは、身体や知的障害者に交付される手帳と異なり、精神障害者保健福祉手帳には顔写真の添付がなく、本人確認ができないためとされてきました。しかし、平成18年からは精神障害者の手帳にも写真が貼付されるようになったことから、国はそれ以降、鉄道事業者に対して働きかけているものの、障害者に対する割引は各事業者の自主的な判断に基づき実施されるものであるため、先ほどの答弁にありましたように、いまだ実現には至っていない状況にあります。
 平成22年と少し以前の調査結果ですが、ある福祉関係団体がJR6社と私鉄16社に運賃割引に関する質問書を送ったところ、その回答の多くを要約すると、割引による減収分は一般乗客と事業者が負担することになるから、本来は国が行うべき福祉施策だと考えるから、公的助成の道筋が見えない現在、制度拡大は考えていないといった否定的なものであったそうです。
 一方で、全国精神保健福祉連合会が全国の精神障害者本人及び家族を対象にしたアンケート調査を実施しました。その結果、1カ月の平均収入は6万287円と精神障害者の収入の低さが明らかになりました。また、72.9%と大半が家族と同居していますが、本人の平均年齢は45.7歳であるということから、それに伴って支える家族の高齢化も進んでおり、年金生活者も少なくないそうです。つまり、経済的支援力も弱まっていると言えます。このような事情から、交通費の負担が外出や社会参加にブレーキをかけてしまっている、あるいはブレーキをかけざるを得ない現実があるわけです。
 精神障害者を支援する家族会は、精神障害者にも同様の割引制度が受けられるよう、これまでも強く訴えてきたのでありますが、障害者差別解消法が施行されたことを契機とし、改めて要望活動を全国一斉に展開しているところであります。和歌山県からも、国や鉄道事業者に対し強く働きかけを行っていただきたいと考えますが、この件に関しまして知事の御見解をお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、障害者の自立と社会参加を図るために、公共交通を担う者として鉄道事業者において運賃割引制度を適用することが妥当だと考えております。
 しかしながら、精神障害者への運賃割引の適用がされず、身体障害者、知的障害者との不均衡が生じている現状は問題だと思います。しかも、バスについては国交省の指導があるんですけれども、鉄道、航空については目立ったものがないという状態でございます。ということは、鉄道については、精神障害者向け割引制度の適用は、御指摘のように事業者の自主的な判断に委ねているところであると思います。
 大体、国の政策は理由があってやってることが多いので、その辺をよく確かめよと昨日指示を出したところでございまして、それを踏まえて関係機関に対して有効に働きかけをしてまいりたいというふうに考えております。
 こういうことに至ったのも、濱口議員がこれを問題視して御質問いただいたおかげだと思いまして、感謝しております。
○議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 大変ありがたいお言葉をいただきました。
 先ほど、JR各社からの回答の中に、割引による減収分は一般乗客と事業者が負担することになるので制度拡大は考えていないという理由を紹介いたしましたが、精神障害者の方は交通費の負担が重いために外出にブレーキをかけ、利用を控えてきたわけですから、今までの運賃収入が減収するということを懸念するよりも、割引制度が拡大することになれば外出する意欲が芽生え、移動手段に鉄道の利用がふえるのですから、逆に増収につながるのではないかと考えます。
 また、精神障害者の方の外出機会がふえますと、活動の幅が広がり、本来備わっているすぐれた能力を発揮する場面もふえ、社会貢献ができる可能性が広がります。そのことにより御本人にも自信がよみがえり、回復への効果が期待されるのではないでしょうか。
 県にもいろいろと研究をしていただいて、どうか割引制度適用に向けての働きかけを、知事を初め県当局の皆様、そして先輩・同僚議員の皆様、またマスコミ関係の皆様にもお力添えをいただきますよう心よりお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 1つ目に、オランダ調査報告をさせていただきます。
 本年3月19日土曜日より26日土曜日までの間、前芝前議長にお許しをいただいて、オランダへ出張調査に行かせていただきました。
 改新クラブから浦口高典、藤本眞利子両議員と私、そして和歌山大学産学連携・研究支援センター食品科学寄附研究部門特任教授・三谷隆彦先生、特任助教・味村妃紗先生とともに計5名で参らせていただきました。出張中に隣国ベルギーでのテロ事件もあり、帰りのスキポール空港は厳戒態勢でありました。
 個人的には、昭和59年10月から同60年10月まで約1年間、オランダ日本通運で海運部研修員として勤務して以来、31年ぶりにオランダの地を訪れました。当時は、オランダ日通で現地のオランダ人と一緒に働いていても、夕方5時になると仕事が残っていようが家に帰ってしまう、でもそれは何より妻、子供、家庭を大切にしている国民性なのかな、でも日本人からすれば物足りないなと思っておりました。確かに、例年、子供の幸福度調査で世界第1位になっているオランダであります。
 約30年ぶりに訪問してみると、農場や牧場の随所にあったオランダの象徴であった風車がごく一部の観光地にしか見られず、かわりに人工的な風車ポールが畑や牧場に無表情に建っているのには大きな衝撃を受けました。一方で、オランダという国は長年の経験を生かした組織力と集約性、そして効率性で勝負するもろもろの取り組みに日本としても教わるところが少なくない国であったかなと、そういうふうに改めて見直した次第です。
 オランダの面積は九州とほぼ同じで、国土の約4分の1以上が海面下で、人口は約1700万人弱の小国であります。それでも、ヨーロッパ最大の港ロッテルダム港、そしてヨーロッパ第3位の貨物取扱量のスキポール空港を擁するヨーロッパ最大の陸海空の物流拠点であります。当然、貿易等物流サービスが充実しており、貿易のGDP寄与度が高い国であります。13世紀より風車も活用した干拓で国土を広げ、20世紀に入ると北海とアイセル湖の間に締め切り大堤防をつくって陸地、農地を拡大してきました。オランダ人いわく、「世界は神がつくりたもうたが、オランダはオランダ人がつくった」であります。現在、アメリカに次いで世界第2位の農産物生産国であり、世界第2位の同輸出国であります。温室栽培を初めとするICT技術を駆使した生産性の高い農業が特徴です。
 たまたま、かつて日本通運同期入社であったオランダ日通の吉田社長と佐藤引越・旅行部長との懇談に始まって、防災対策調査で、32キロ真っすぐに高速道路が上を走り、高潮を防ぐとともに海水と淡水を隔てる大堤防アフスラウトダイク、生魚を食するオランダの新鮮な魚介類や産地表示のある地元食材を売る食品スーパー・マルクト、オランダ最大のスーパーで日用品、お土産まで購入できる、お菓子類が特に充実しているアルバートハイン、駅を中心に広がるオランダのまちづくり調査として、アムステルダムの駅から扇型に広がった中心街、地域の名産づくりや歴史、伝統を大切にした観光調査として、チーズ生産のエダム、漁村のフォーレンダム、古都のたたずまいと陶器のまちデルフト、風車村ザーンセスカンスを訪れ、チューリップに代表されるオランダの花卉産業調査でキューケンホフも訪ねました。カジノのある海岸リゾート地スフェヴェニンゲン、それに取扱貨物量が欧州でそれぞれ第1位と第3位のロッテルダム港とスキポール空港も調査に参りましたが、時間の都合上、以下、ワーヘニンゲンURとフードバレーの取り組み調査、ケアファームと認知症村の認知症対策とその研究にかかわる病院の調査、そしてAEB社の廃棄物・エネルギー調査の3点に絞って報告させていただきます。
 オランダは、2010年に農林水産省と経済産業省を一本化する省庁再編を行っており、世界で勝てるマーケット開発に取り組んでいます。その中で、農学部のみの単科大学としては世界一のワーヘニンゲン大学とそのリサーチセンター、総称してワーヘニンゲンURを中心に、自国の農水畜産物を活用した産学官の食品産業クラスター、すなわちフードバレーを2004年以降形成しています。
 その司令塔であるワーヘニンゲンURは、農業生産だけでなく農業関係の全てのバリューチェーン、すなわちロジスティクス(物流)も全て含んだ持続可能な農業を目指しています。廃棄物を使った包装材料の研究を初め、ロジスティクス、すなわち物流チェーンの構築、保存に主眼を置いた冷却、包装の研究も行っています。1年たってもリンゴや洋梨の鮮度が変わらない保存・冷却技術を実現していました。ネットショッピングが増加する中、ラストマイルデリバリー、すなわち顧客に品物が届く間際に問題なく、いかに新鮮さを保って顧客に届けられるかという配送研究も進めています。大学では修士と博士課程を全て英語で行い、外国人学生が多く、学生数が増加しています。日本の東京大学、筑波大学、それに宮崎産業経営大学とも科学面で協力関係を持っています。全国に研究施設があり、中国やエチオピアなどにもプロジェクト研究の施設や事務所があります。
 フードバレーには約8000人の科学者と1500近くの食品関連産業、70の化学工業、20の研究機関が集まっています。ワーヘニンゲン市周辺に集中していますが、他地域にも研究所、企業、大学が散在して、シードバレー──種子ですね――炭水化物研究、食品発酵、海洋研究等、それぞれフードバレーの一翼を担っています。加盟企業は160近くあり、うち日本企業もキッコーマン、日本水産、カネカ、サントリー、アサヒグループ、松谷化学工業、味の素の7社、フードバレー加盟企業の90%が中小企業で、外国企業が約半分です。たくさんの研究機関とともに、全国の大学、そして地域自治体が連携しています。
 フードバレーでは、大小の企業が一緒に連携して、ワーヘニンゲンURのネットワーク組織で情報や知識の交換や問題解決を行っていますし、また、地域の自治体がその地域の特性を生かすために予算を投資してプロジェクトを行っています。例えば、ワーヘニンゲン市のあるヘルダーランド州はフードバレー財団の80%の予算を補助金として投入しています。
 食品製造加工、植物育種、それに花卉生産等だけでなく、消費者行動の研究、水・エネルギーの節約の研究、新しい企業設立のためのサポート、それにスポーツと栄養、あるいは高齢者の栄養研究を病院とともに行い、オランダオリンピック委員会もかかわっています。出発点はあくまで企業のニーズから始まっており、一番重要な使命はマッチング、すなわち企業と大学、大企業と小企業、外国企業と大学のマッチング等です。国際的な提携関係の構築も行っています。
 フードバレーに入会するための会費は、小企業で1年当たり200から300ユーロ、大企業で1年当たり2000から3000ユーロ、1ユーロ125円で換算すると小企業が1年当たり2万5000から3万7500円、大企業で1年当たり25万から37万5000円になります。会員にならなくても他国や大学とも協力関係は結べます。
 ワーヘニンゲンURは、フードバレーだけでなくいろんな実証フィールドを有しています。まずは認知症患者や知的障害者のデイケアを行うケアファーム、農場です。ワーヘニンゲンURからケアファーム経営者として委任されたヤン・ハシンク氏のケア農場、フーヴクラインマリエンダールでは、認知症患者や知的障害者の方が外の自然の中で家畜の世話や野菜などの栽培作業を行うことによって、肉体的努力、食物・飲み物の摂取率の向上といった身体の健康増進や、作業を行うことによって社会参加をして役に立っているという意識の醸成が図られていました。
 訪問してみると、通所者の皆さんがスタッフとともに大変アットホームな雰囲気で楽しそうに和気あいあいと鶏を追いかけていたり、木を切ったりしていました。活動は主に散歩、農家の手伝い、木を切る、庭の手入れ、そして収穫です。朝、利用者に来てもらったらまずみんなでコーヒータイム、きょう何をしたいか聞いて、やりたいことをしてもらうのが特徴です。できないことをするよりは、まだできることをやってもらうという方針です。外での作業が多いので、認知症もまだ初期の段階の男性の方が多いです。
 このケアファームには外部の人も利用できるカフェレストランがあり、企業の会議にも利用されますし、ファームでとれた野菜も販売されています。アーンヘムのまちに近くて住民との交流もあり、外へ出ていっての交流も行っています。オランダは全世界に先駆けて認知症国家戦略を打ち立てた国ですが、国家の方針は、自宅でできるだけ長く、多くの高齢者が住み続けることであります。
 ケアファームは、そもそも厚生労働省と農林水産省の協力で立ち上がりました。厚労省は社会復帰によいということ、農林省は農家・農園の新しい収入方法などでそれぞれサポートしています。大学生もケアファームにヘルスケア、農業の研修に来ていて人気があります。このケアファームでは地域の中核病院と連携して、認知症と脳と栄養の研究調査も行っています。
 ワーヘニンゲンUR近郊のヘルデルスバリー病院では、10年前からワーヘニンゲン大学と連携し、患者のケアの焦点を栄養と運動に置いています。脳を動かすために適切な栄養は何かを治験によって研究を行い、その中で130もの検査項目で血液を次から次へ全自動化システムの機械によって分析していました。
 もう1つ訪ねたケアファームは、ワイナリーを経営するデアムステルタウン、アムステル庭園です。やはりワーヘニンゲン大学でワインづくりのためのブドウ栽培を学んだオーナーが営んでいるところです。ここでは、ブドウ栽培には通所者をかかわらせず、専ら朝まず通所者がボランティアの方と一緒にコーヒーを飲んで会話から始まり、新聞を読んだりゲームをしたり、希望者には簡単な作業をしてもらうといった状況で、一番大事なのは昼食を一緒に準備してともに食べることとしています。友人の輪が広がり、ボランティアの方も孤独を癒やしていると言います。外で働く、活動することによって、長く健康を保つ効果があらわれているということです。
 オランダも健康寿命を長く延ばしたいという方針があります。オーナーのヤン・シャンケ氏は、「人々は自分の家で過ごすことが大事と思っている。ここへ通う人以上に家族にとって大事な場所だ」と言っておられました。「認知症の方も徘回で出ていってしまうことはなくて、いつも施設をあけっ放しにしているのは、通所者に楽しい時間を提供しているからだ」と胸を張っていました。この農園でもアルツハイマーの原因の追求調査を行っており、アルツハイマーになってしまったら健康の時間を延ばすことだと言われていました。
 次に、テレビや週刊誌等でもたびたび取り上げられる認知症村ホフヴェイにも行ってまいりました。認知症と証明された入所者がけんかをしないように、7つのライフスタイル、すなわち1つ目に裕福層の人、2つ目に文化的興味のある人、3つ目に都会的活動の人、4番目に伝統的スタイルを好む人、5つ目にインドネシア生まれか育ちの人、6点目に家庭的な生活を好む人、7つ目に熱心なキリスト教信者と、ユニットごとに分けられて生活しています。入所資格に資産の有無は問われません。
 村内には、スーパー、レストラン、カフェ、代理店コーナー、シアター、フィジオセラピーの部屋、理美容店など、生活に必要なものは何でもあって、趣味活動のクラブも30あります。スタッフは2交代制で、まだベッドに入っていない人を夜中1時半までに誘導しています。食事では、ライフスタイルによって提供する食事も異なり、たくさん野菜をとってもらうようにしています。
 私たち一行も1つのユニットを訪問させていただいて、お土産の紀州てまりをお渡ししたら、コーディネーターのハンセン氏も入所者の方も大変喜んでくださいました。「認知症村での生活は、家の状態に近いようにしています。オランダの国のモデル事業でありますが、入所者が日ごろ外部との接触がないところが課題」と言われています。
 次に報告させていただくのは、アフヴァルエナジーベドライフ、すなわちアムステルダム市廃棄物エネルギー社(AEB社)であります。熱プラント施設では世界一、毎日トラックが600台往来します。ロンドン・マンチェスターからも廃棄物が船で運ばれてきます。国内の他の19市町村の廃棄物も受け入れています。廃棄物から30%の電気を生み出しているのはまさしく世界一です。
 AEB社の使命は、未来へもクリーンな社会をつくることです。それも、1950年代から1960年代にごみは捨て放題、汚水垂れ流しでまちがすごく汚くて運河もごみだらけだった、その反動からです。2007年からWFPPと呼ばれる廃棄物発電プラントが稼働しました。最大温度1200度のボイラー等、初期投資は大きく、しかし、ランニングコストを抑えています。国内に埋め立てる場所がないので、なるべく埋め立てを減らし、大規模なごみ処理をしないといけない事情があり、埋め立て処分率は1%を切っています。
 オランダは、投棄より焼却とリサイクルであり、ごみをたくさん受け入れることでリサイクルして製品化して収入が得られるし、大量の熱を回収して各地へ地域暖房として送って収入にしています。大きな廃棄物処理を行って熱へ転換するプロジェクトがオランダの手法であり、日本は200から250トンの処理施設が主体で、効率からすればオランダのほうが上、農業もしかりだとAEB社の戦略マネジャー・リヒテンベルト氏は言われていました。ごみを遠くから集めてきても、AEB社で処理したほうが環境によくて処理効率が高く、年間2億トンのCO2を減らせています。
 暖房も、通常は天然ガス供給によるものでしたが、オランダではたくさんの熱供給によって地域暖房を実現しており、世界初のガス利用ゼロを目指しています。建物が密集し過ぎて地面をもはや掘り返せない旧市街を除き、地域暖房のネットワークは非常に大きく、ところどころに支援基地があります。水処理工場では下水のスラッジ(汚泥)が課題でしたが、そのスラッジからバイオガスを取り出して焼却、バイオガスで熱と電力を生産、それがまた工場で使用され、生産したバイオガスからクリーンガスをつくってトラックを走らせています。全て環境政策からです。新しいフローとして生ごみ分別からバイオガス発生、そしてエンドガスからCO2回収、回収された熱を温室へ利用、CO2も光合成に使用といったぐあいです。
 AEB社を初めオランダの環境政策も、もちろんワーヘニンゲンURとの連携関係を有しております。とにかく、欧州全体の環境対策を見通す中で明確に目標設定を行った将来戦略を持っておられることに感心しました。
 それでは、質問に入ります。
 1つ目、ケアファームは、農場の経営と認知症や障害のある方のデイケアの両面があります。オランダの場合、ケアファームは通常、農場経営は御主人が行って、デイケアのほうをヘルスケアの経験がある奥さんが携わって、スタッフやボランティアに支えられて運営をしていくやり方です。ファーム(農場)というフィールドを活用した、家から外へ出て自然の中で肉体を使いながら農作物をつくり上げ、収穫のときを迎えることによって、人の、そして社会の役に立っているという意識が持てるデイケアは、自宅に帰っても家族の方に歓迎されるケアのあり方ではないかと思います。農家がケアファームに取り組むことによって休耕田畑の利用促進も図られ、農家の収入を補う多角経営にもつながるのではないでしょうか。
 折しも今春、和歌山大学にも文理融合の食農総合研究所が立ち上がりました。ワーヘニンゲン大学のように、ケアファームは学生のフィールド実習の取り組みとしておもしろいですし、当研究所やJA、農業生産者の方にも御協力をいただきながら、和歌山県ならではのケアファームの形を今後検討してみてはいかがでしょうか、農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 議員御提案の農家が農場を活用して認知症の方や障害者のデイケアを行うケアファームの取り組みにつきましては、農家の多角経営や休耕田の利活用につながることから、いい話であると考えてございます。
 しかしながら、ケアファームは、専門性、ノウハウ、人材確保などの面で解決すべき課題も多いのも事実なので、議員御提案のオランダの事例も踏まえて、引き続き研究してまいります。
 一方で、既に介護事業等に取り組む団体が農地を借り受けて農業生産を行い、そこで認知症の方や障害者が農作業に携わる形態は、これまでにも県内で7団体が活動を行っているところで、今後ともそういった取り組みを応援していきたいと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目に、AEB社は対象者が100万人規模の廃棄物処理施設を2つ有していると聞いてまいりましたが、100万人といえば和歌山県の人口とほぼ同じであります。将来的に広域的な廃棄物処理施設を県あるいは近隣府県とともに所有して、埋め立て処分に回すことなく、熱利用、発電、リサイクル製品化、温室への熱暖房とCO2供給といった効率的な循環型社会の構築を進めていってもいいのではないでしょうか、環境生活部長にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 環境生活部長日吉康文君。
  〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 県におきましては、天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減される循環型社会を目指しております。
 議員からお話のありましたオランダにおける広域的かつ大規模な廃棄物処理につきましては、処理過程で発生したエネルギーを利用し電力や熱として地域に供給するなど、環境への配慮にすぐれた手法であると考えております。
 県内におきましても、施設規模では比較になりませんが、紀の川市を初め複数の市町で広域的な一般廃棄物処理を実施しており、収集された廃棄物を焼却して、エネルギーにより発電等を行う取り組みが行われております。
 廃棄物処理の大型化につきましては、一定規模の人口の集積が必要であるといった解決すべき課題が多々あることから、今後その実現可能性を研究してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 まさに、行く行くは埋め立てゼロでリデュース、リサイクル、リユース、この3Rの推進、実践を図っていただきたいなと思います。
 AEB社の戦略アドバイザーのリヒテンベルト氏も、日本の三菱重工や日立といったメーカーをよく訪れるそうです。日本の機械の品質の優秀性は大変評価しており、ビジネスとしてのニーズがあればいつでも和歌山県へ伺うと言っておられました。将来的な広域的循環型社会の構築に向けて、良好な協力関係をお持ちいただければと思います。
 3点目に行きます。
 オランダは、フードバレーによって外国企業の誘致を積極的に行っています。一方、日本の食品クラスターの取り組みは、やはり国内での内向きな連携であります。クラスター内に外国企業をふやせば、イノベーション創出機会、輸出機会、地域内における雇用機会が拡大する可能性が高まります。また、日本の平均寿命を支える健康的食材やうまみ調味料、さまざまな清涼飲料等の世界的な食品開発力は、国際的に強い競争力を発揮できるものです。
 この我が国の強みを吸収したい外国企業は多いはずです。それに、国際的ネットワークを持つ国内の商社、金融機関を食品クラスターへ引き込むことも考えられます。この図式を和歌山県に当てはめてみて、行政、研究機関、企業、そして大学と、フードバレーのような海外の食品クラスターとの連携・協力関係の構築、それに外国企業や商社のような海外とのパイプを持つ企業の誘い込みも考えてみてはと思います。
 また、オランダの施設園芸面積は日本の5分の1ほどですが、施設園芸平均作付面積は我が国の6倍、面積当たりの収量は我が国の7倍となっており、非常に生産性が高くなっています。また、天然ガスの世界第9位の産出国としてエネルギーコストが非常に安くついています。ICTの活用によって、コスト管理、栽培環境制御、栽培作業管理が徹底されています。こうしたオランダの生産性や効率性は日本も学ぶべきですが、オランダの栽培農作物は上位3品目のトマト、パプリカ、キュウリに集中しており、味わいも均一で淡泊。その点、日本の食文化の豊かさや味覚、食感、色合い等、多様性に富んだ点は世界における競争力となり得るものであり、和歌山県においてもしかりであります。
 以上、すぐには実行できるものではありませんが、TPP発効後の本県農業は待ったなしの状況を迎えます。本県の代表的産品である果実を活用したフルーツバレーの構築のため、フードバレーのような海外の食品クラスターとの連携・協力関係の構築、また、海外企業はもちろんのこと、海外とのパイプづくり、それに施設園芸のさらなる強化のもと、生産性、効率性を考慮に入れつつ、本県ならではの食文化と多様性を加味した競争力のある農業を考えてみてはいかがでしょうか、知事の御所見を伺います。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御提案のフルーツバレーや施設園芸の強化については、競争力のある農業を目指す観点から、とてもよい話だというふうに思います。
 かねてから、労賃コストが高いオランダで何ゆえ農業が栄えているのか、大変興味を持っておりまして、いろいろ調べさせてみておるんですけれども、それをもとに和歌山への適用の青写真を描くというまでには至っておりません。
 もっとも県では、これまでも生産性向上による低コスト化、高品質化による価格アップ、異業種連携によるクラスターの形成等に取り組んでまいりました。また、施設園芸についても高品質生産や多収技術、低コスト生産技術の開発や優良なオリジナル品種の育成に取り組んできたところであります。
 競争力のある農業を目指す観点からはまだ十分なものとは言えませんので、オランダ農業などの先進的な農業を学び、できるところから工夫して取り組んでまいりたいと思います。
 とりわけ、御指摘の海外食品企業との連携・協力関係などが競争力のあるオランダ農業とどうかかわっておるのか、すなわちオランダ農業が栄えているからそういう企業が集まってくるのか、あるいはそういう企業がいたからオランダ農業が栄えたのか、そういうようなことも含めて大いに研究して、その結果を農業政策に生かしていきたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 どちらかというと、フードバレーには大きな企業より小さい企業のほうが多いようでしたけどね。
 オランダは、ワーヘニンゲンUR発で、農業・食品関連産業も、ヘルスケア・医療も、エネルギー・環境対策も全て民間の活力を有効に活用しながら、国策で集約的に、効率的に、また組織的に取り組んでいます。全て独立採算の縦割りの日本とは大きな違いがあります。
 国土の約4分の1以上が海面より低く、昔から自然の脅威と闘い、かつて世界の海を制覇した国のしたたかなダッチアカウント、これを実現しています。普通、ダッチアカウントといえば割り勘、けちという意味に使われますが、実は無駄を排した最大効率の実践、それを表現していると私は思います。この辺が日本でも、国であれ地方であれ、行政運営に大変参考になるのではないかと感じました。最小コストによる最大効率で大きな権益を生み出せるよう、知事を初め当局におかれましても、ますますの御奮迅を期待しております。
 そして、私ども一行がワーヘニンゲンURにて2日間説明と総括をいただいたアジア担当マネジャーのアルジョ・ロタウス氏が、3日間、東京へ今出張に来られています。今月6月16日から17日に和歌山県にお越しいただけることになりました。日本にも以前、2~3度、ビジネスで来られています。本県にフルーツバレーを実現するためにも、ロタウス氏の来和の際のミーティングを足がかりに、県職員が1~2年といった長期間でじっくり勉強いただくべく、ワーヘニンゲンURへの県職員の派遣を御検討いただいてもいいのではないかと要望させていただきます。
 2点目に、被災時の外国人向け支援についてであります。
 熊本地震で4月14日の前震から約3時間半後の15日午前1時に、熊本市国際交流会館に避難所が開設されました。初めは利用者が少なかったのですが、16日未明の本震で状況が一変し、最終約150人に及ぶ外国人観光客が会館へ避難してきました。宿泊先の市内のホテルが断水した上、外国語による十分な情報を得られなかったためです。すぐに熊本を離れたくても、空港は麻痺し、閉鎖し、鉄道は不通、高速道路も通行どめで交通は麻痺状態。会館を運営する国際交流振興事業団スタッフが最新の交通事情をインターネットで調べて電車の運行状況を確認したり、希望者にタクシーを手配して目的地まで行けるようにしたそうです。
 また、熊本市には現在約4500人の外国人が住んでいます。地震後、在住外国人から連絡を受けた際は、まず最寄りの避難所を案内し、不便があれば会館に来るように促しました。実際のところ、近くの避難所に一旦は身を寄せたものの、満杯だし日本語がほとんど話せないので、一般の避難所で過ごすのは困難であったようです。会館では、イスラム教の避難者向けに礼拝用の場所を確保したり、市内の国際交流団体にネットで呼びかけてハラルの食事を確保できるよう便宜を図ったそうです。4月20日になると、会館内だけでなく他の避難所の外国人支援を視野に入れ、全国から応援にやってきた多分化共生マネジャーの協力を得て災害多言語支援センターを立ち上げました。避難所は4月30日に閉鎖しましたが、災害情報の多言語化は継続しています。
 一方、震災当初に押し寄せた外国人旅行者に対しては、どんな情報が必要かの支援方法の想定が不十分だったと事業団は反省しておられます。短期滞在の観光客は在住者と違う対応が求められるとして、検討を始めています。それでも混乱をきわめた状況の中、熊本市国際交流振興事業団の迅速かつ冷静な対応は特筆すべきものであったのではないかと思います。地域の避難・防災訓練に際しては、日ごろから地域の自治会から在住外国人への訓練参加の呼びかけを心がけることが肝要かと思います。
 そこで質問ですが、1つ目、外国人に対する避難所の設置と運営体制について、避難所運営マニュアル等の整備と各市町村への指導について、危機管理監にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 県では、東日本大震災や紀伊半島大水害の教訓を踏まえ、平成25年に和歌山県避難所運営マニュアル作成モデルを改訂し、市町村が開設する避難所が適切に運営されるよう取り組んできたところです。
 本マニュアルにおいて、日本語にふなれな外国人の方も区別することなく避難所に受け入れるため、相談窓口の設置や通訳ボランティアによる支援方法を定めております。また、あわせて外国人の方等への具体的な対応方法をわかりやすく記載した災害時要援護者避難支援ハンドブックも作成し、市町村に配布をいたしました。
 さらに、あらかじめ通訳活動等を行う防災ボランティア登録制度を設置するとともに、県国際交流センターに多言語支援センターを設置して、外国人からのさまざまな相談や関係機関との連絡調整に応じるなど、被災時において外国人を支援する体制も構築しているところです。
 現在、和歌山県避難所運営マニュアル作成モデルを参考に、ほとんどの市町村が避難所運営マニュアルを作成済みであり、引き続き外国人を含めた全ての被災者が利用する避難所の運営が適切に実施できるよう、市町村と連携しながら取り組んでいく所存でございます。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 県国際交流センターでは、毎年、和歌山市の国際交流課、市消防局、気象協会、防災士会と、それにNHKにも協力を得て外国人向けの避難訓練を実施しています。センター下の和歌山ビッグ愛の駐車場には起震車も来てくれます。消防局はAEDによる救急救命講習もしてくれます。在住外国人には、できる限りたくさんの皆様にこうした機会に御参加いただくようお声かけいただきたいと思います。
 また、在住外国人も自分の住まいに帰れば地域住民であります。地元自治会による避難・防災訓練には積極的に参加するように、市町村を通じて特に呼びかけていただきたいと思います。
 それと、日本語が不得手な在住外国人にもわかりやすい、易しい日本語の在住外国人向けパンフレットの配布も御検討いただければと思います。
 2点目に、被災時の外国人旅行客への支援について、まず負傷者、特に重傷者への対応はいかがでしょうか、その際の医療通訳についてはいかがでしょうか、福祉保健部長にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 通常、災害医療現場では、医療従事者が傷病者の重症度と緊急度によって分け、治療や搬送先の順位を決定します。
 被災時の外国人旅行客の負傷者への対応につきましては、英語での会話はおおむね医療従事者が対応していますが、その他の言語での会話は翻訳機能ソフトの活用や添乗員の仲介などで対応できるものと考えております。
 一方、医療通訳は、専門的で高度な知識や技術に関しても一定以上の水準が求められ、国においても医療通訳士の養成を促進しているところです。
 被災時における医療通訳の必要性は高まっているものと認識しておりますが、外国人旅行客等への対応については、他府県での取り組みなどの情報収集を行いながら、県内医療関係機関や外国人を支援する団体との勉強会を開催するなど、研究してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 次に、災害時の宿泊・観光施設との連携、情報の提供等、外国人観光客の安全確保に対する取り組みについて、商工観光労働部長にお尋ねします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 災害時における外国人観光客の安全確保についてお答えいたします。
 災害発生時においては、外国人観光客のみならず全ての命を守ることが大切であり、安全な避難先への誘導が最優先となります。特に外国人観光客については、土地勘がなく、また情報収集の手段が制限されています。
 その対応策として、宿泊施設や観光施設に対して、従業員への避難場所や避難ルートの周知徹底、外国人観光客を想定した避難訓練の実施を求めるとともに、多言語コミュニケーションカードの普及なども進めているところです。また、現在県が進めている和歌山県フリーWi-Fiのポータルサイトについては、外国人観光客向け安全情報提供サイトをリンク設定することにより多言語による安全情報の収集が可能になることなどから、被災時には外国人観光客の災害情報収集の手段として活用いただけるものと考えております。
 今後とも、宿泊施設、観光施設及び市町村などとの連絡、連携を強化し、災害時における観光客の安全確保に努めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 それでは、3番目の多文化共生社会の実現に向けてであります。
 平成18年3月27日付で、総務省自治行政局国際室長から各都道府県・指定都市外国人住民施策担当部局長宛てに、「地域における多文化共生プランについて」と題して、地域における多文化共生推進プランの策定の通知と、それを踏まえた地域における多文化共生の推進を計画的かつ総合的に実施するようにという文書が送られています。
 和歌山県は、それを受けて、平成20年2月策定の和歌山県長期総合計画に「多文化共生社会の実現に取り組みます」とうたっておられます。他県では、具体的に多文化共生推進プランをつくっておられるところもあります。
 質問の2点目の項目の中で、熊本地震の際に全国から応援にやってきた多文化共生マネジャーの活躍を取り上げましたが、和歌山県も外国人観光客が増加して国際化が進展する中、防災面はもちろんのこと、観光面など本県の特徴も加味しながら、多文化共生社会の実現に向けて他県に負けない戦略的な取り組みをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか、企画部長にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 総務省が平成18年に策定した地域における多文化共生推進プランでは、多文化共生施策の基本的考え方として、外国人住民へのコミュニケーション支援、生活支援などの重要性が述べられており、現在では外国人住民が多く居住する自治体を中心に17都道府県で多文化共生推進プランが策定されております。
 本県における在留外国人の数は6000人程度と大きな数字ではありませんが、外国人住民への支援や国際交流活動による相互理解を目指して平成10年に和歌山県国際交流センターを設置して以来、外国人住民を対象とする日本語教室や多言語相談窓口の開設、防災講習会、文化理解講座の開催など、外国人住民へのコミュニケーション支援や生活支援、国際相互理解に取り組んできたところです。
 一方、海外から本県を訪れる観光客の数は増加傾向にあり、平成27年の和歌山県内における外国人宿泊者数は42万7594人と史上最高を記録しております。
 このような状況を考えますと、外国人住民に加え、観光客など県内に一時滞在する外国人への対応も重要であり、観光案内や避難誘導の多言語表示の整備などにも引き続き取り組んでまいります。
 加えて、本県では経済交流の活性化を目指して海外諸国と覚書を締結しておりますが、企業商談会やファムトリップの実施、海外からのインターンシップ招聘など、地域や県内企業と海外との関係強化を積極的に支援することにより、企業の国際化や海外との人的交流がより一層進展し、県民の異文化理解に寄与するものと考えております。
 現在策定中の長期総合計画にも多文化共生の理念を反映できるよう検討を行い、和歌山県が外国人が安心して暮らせる、また訪れやすい地域となるよう進めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 次期長期総合計画には、ぜひとも多文化共生社会の実現に向けた具体的な方向性を明示いただきたいと思います。
 そして、被災時に外国人にはなくてはならない存在の、肝心の多文化共生マネジャーは、現在、和歌山県には実質的に誰もいません。以前は確かに2人いましたが、1人は大阪へ、もう1人は退職されています。多文化共生マネジャーの育成は喫緊の課題であります。だからこそ、平成18年から総務省に策定するように言われている多文化共生推進プランが今本県に必要であります。ぜひプラン策定に速やかに取り組んでいただきますよう強く要望させていただきます。
 最後に、時節柄、この際申し上げておきますが、今回の出張では、もちろん日本─オランダ間の航空便は往復エコノミークラスを利用、ホテルはルームキーがあかなくなった人も複数いたくらいのレベルのシングルルームでありましたし、そして事前に国際免許を取得して、レンタカーを何とか事故なく運転して1200キロを走破し、現地の交通費と移動時間の短縮に努めたことを報告させていただきます。
 これで、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時27分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(服部 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)
○中西峰雄君 ただいま議長のお許しを得ましたので、一般質問をさしていただきたいと思います。
 質問に入ります前に、1つ御報告を申し上げたいと思います。
 去る2月議会に、私が和歌山県民歌についての質問をさしていただきましたけれども、新聞に掲載していただいたということもありまして、結構住民の方からお言葉をいただきました。おっしゃるとおりであると、よう頑張ってよという激励と賛同の言葉をいただきましたので、御報告させていただきます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 まず、私の最初の質問は、和歌山県立医科大学附属病院の紀北分院についてであります。
 紀北分院は、平成22年に新築建てかえにより病床数104床で再開院いたしました。この病院は、建てかえ前からずっと赤字でありましたけれども、再開院後も病床利用率がおおよそ6割と低迷し、毎年数億円の赤字が続いているとお聞きしております。経営状態はどうなっているのか、お尋ねいたしたいと思います。
 また、そもそもこの病院の改築計画におきまして、一体どのような経営計画を立てておられたのか。6割余りの低い病床利用率、毎年億単位の赤字の計上を前提としてこの病院を改築されたのか。それとも、もっと高い病床の利用率、そして収支の均衡を前提に改築されたのか、一体どちらなのでしょうか。
 この病院は、改築以前から毎年3億円から4億円の赤字を計上しておりましたけれども、改築のときにはそうならないように改築計画を立てるのが当然のことだと思います。病院を取り巻く環境の変化で当初の目的どおりにいかないことがあるといたしましても、改築は平成22年であり、計画段階から経営環境が劇的に悪化したとは言いがたいはずであります。
 今の経営状態をやむなしとして計画されたのであれば、私はそれを是とすることはできませんし、そうではなく目算が狂ったというのであれば、なぜ狂ったのかということを総括する必要があると考えます。
 明確な御答弁をお願いいたしまして、壇上からの質問を終わらしていただきます。
○副議長(服部 一君) ただいまの中西峰雄君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 和歌山県立医科大学附属病院紀北分院の経営状況についてお答えします。
 平成18年に県立医科大学が法人化されて以降、紀北分院の経営状況は、病院の建てかえによる影響も含まれているものの、平成22年度決算における約5.6億円の赤字をピークに、現在まで赤字経営が継続しています。
 病床利用率が低迷している主な理由につきましては、改築計画における病床数104床のうち4床を感染症病床として運用していること、また、末期がんの患者などの痛みの緩和と看護を行う緩和ケア病棟として計画した20床が看護師等人員体制の整備に課題があり、現時点で開院されていないためであり、これらを除けば一定の病床利用率は確保されていると考えています。
 なお、紀北分院では、現在、緩和ケア病棟の運用開始に向けて、緩和ケア研修を毎月実施するとともに、一般病棟としての運用の中で対象となる患者を受け入れ、緩和ケアチームによるケアの提供を行うなど準備を進めているところです。
 また、紀北分院では、急性期の治療を終了し、在宅復帰に向けての治療等を行う地域包括ケア病床の開設など、これまでさまざまな経営改善に取り組んできた結果、平成27年度決算では赤字額を約1億円程度にまで圧縮できる見込みと聞いております。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 御答弁をお聞きいたしますと、経営は当初より随分と改善されているようでありまして、関係者の御努力に敬意を表さしていただきたいと思います。
 しかしながら、感染症病床の4床につきましては利用率が低いのは理解できますけれども、緩和ケア病床の20床につきましては御説明では全く納得がいたしかねます。改築から丸6年、どうして開設できなかったんでしょうか。看護師等の人員体制の整備に課題があり開設されていないとのことでありますけども、不思議な話だと私は思います。改築計画をお立てになるときには、緩和ケアの需要、すなわち患者数の予測、医師、看護師等の必要な人材の確保、収支の見通しが当然ながら検討されていたものと考えます。
 答弁だけをお聞きしておりますと、例えて言いますれば、必要な技術者や従業員の確保のめどが全くないのに工場だけを先につくってしまって、6年間も設備を遊ばせてしまったのと同じようなことかなというふうに思います。そういう経営者がいたら私は一度お目にかかりたいなあと思いますけれども、全く御説明は理解に苦しむところであります。
 また、緩和ケア病棟ではなく、一般病棟として運用の中で対象となる患者を受け入れてケアの提供を行うという説明でありますけども、当初の計画のままでは病棟を運営できないということでありますから、そうであればますます、なおさら総括していただかなければならないというふうに考えます。納得のいく説明を強く要望させていただきます。要望さしていただいて、次の質問に移らしていただきます。
 この紀北分院の今後のあり方についてでありますけれども、私は、関係者、院長を初め関係する方々が幾ら一生懸命に努力をされましても、この104床という病院の規模で病床の利用率を向上させ、そしてまた収支の均衡をさせるというのは至難のことではないかなというふうに感じております。
 また、たとえそれが可能であるといたしましても、この病床利用率を無理に向上させ、また収支の均衡を図ることが地域全体の医療を考えたときに果たして好ましい結果を生むのかというふうに考えますと、そうではなかろうというふうに思います。
 そのような状態にある分院でありますけれども、今後のあり方についてどのように考えておられるか、お尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 分院の今後のあり方についてですが、県としましては、紀北分院に対して他の医療機関とも連携しながら、救急医療、災害時の対応や感染症対策など、橋本医療圏の医療提供体制を堅持する役割を引き続き求めていくとともに、赤字解消のためのさらなる経営努力を求めていきたいと考えています。
 なお、今回策定した地域医療構想実現のために県が設置する医療関係者などで構成する協議の場において、紀北分院を含む病院の病床機能の役割分担についても検討していきたいと考えています。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 御答弁の中で赤字解消の努力を求めていきたいということを言っていただきましたけれども、今後を考える際には確かにその努力はしていただかなければならないと思うんですけれども、医療に投入できる資金も人材も限られている中で、橋本医療圏、この地域の住民が本当に良質な医療を受けられるようにするためには、地域の中で紀北分院が果たすべき役割は何かということを原点として考えていただきますことを強く要望さしていただいて、この質問を終わらせていただきます。
 次に移らしていただきます。
 次の質問は、地域医療構想についてであります。
 まず最初に、医療圏の見直しについてということをお尋ねいたします。
 現在の高度急性期、急性期の基幹病院は、多くのすぐれた医師、看護師、技師、薬剤師等の人材と、高度医療機器を初め高コストな設備が必須であります。ということは、高コストな病院にならざるを得ないという性格を持っております。そして、その高コストな病院を運営していくためには、それを賄うだけの患者がいなければならないということになるわけです。
 私は、和歌山の現在の医療圏の設定というのは、やはり人口が少な過ぎるんではないかなというふうに感じております。また、医療圏人口の減少や交通事情の変化等もあわせ考えますと、策定された医療圏自体を見直す必要があるように思います。
 今の医療圏を見てみますと、和歌山市はちょっと別といたしまして、各病院は少ない兵力を分散されて、武器も兵力も貧弱なまま苦しい戦いを続けているというふうな状態で、そういう苦しい戦いをしている中では戦果は期待しにくいんではなかろうか、すなわち良質な医療を期待することは難しいんではなかろうかというふうに感じるわけです。
 第6次保健医療計画策定時に、見直しをすべきではないかという議論もあったかのようにお聞きしております。もちろん、本県のような地理的条件、人口規模で理想的な医療圏の設定は困難であるということは重々承知の上でお尋ねするわけですが、見直しについていかがお考えか、お尋ねいたしたいと思います。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 医療圏の見直しにつきましては、次期の計画である第7次保健医療計画の策定時において、患者動向や交通アクセスなどの現状を分析の上、議論する必要があると考えます。その中で、老人福祉圏域との整合性も考慮し、県民誰もが住みなれた地域で安心して医療を受けることができる体制を構築するため、適切な医療圏のあり方を考えてまいります。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 答弁の中で、あるいはこの地域医療構想の中でも、「誰もが住みなれた地域で安心して医療等を受けることができる体制の構築」という言葉が使われておりましたが、全く理想的なことで美しい言葉ではあるんですけれども、現実を見させていただいたときになかなかそうたやすくはないのではなかろうかというふうに思います。
 1つは、やはり切り出すものは切り出す覚悟というのも要るんじゃないかなというふうに思います。そんなことも頭に置いていただきまして、医療圏を考えていただきますことをお願いさせていただきます。要望です。
 次に移らしていただきます。
 次は、この医療圏の協議についてということでございますが、地域医療構想の中で地域に協議の場を設けて進めていくということになっております。つまり、この構想を具現化していくのは協議の場において進めていくんだということをおっしゃっているわけです。
 そうなんですけれども、しかしながら、現実には利害が対立するんですね。各医療機関というのはそれぞれ利害が対立いたします。その利害の対立する者同士が集まって協議の場についても、なかなか協議が円滑に前向いて進むことは困難だろうというふうに私には思われるわけですけども、この構想をどうやって具現化していかれるのか。
 私は、この構想が実現するかどうかというのは、基本的に国が診療報酬を初め医療制度、あるいは福祉制度全般、これをどう設計していくのかということにかかっているように思えてならないんですけども、御所見をお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 地域医療構想は、構想地域ごとに2025年の医療需要を踏まえ、高度急性期、急性期、回復期、慢性期から在宅医療に至るまで、患者の病状に合った効率的で質の高い医療提供体制を構築し、病床機能を再編するものです。
 今後の取り組みは、構想区域ごとに医療関係者などで構成する協議の場を県が設置して進めることとなります。地域医療構想を実現するためには、まずは医療機関相互の自主的な取り組みを進めてもらうことが重要と考えています。
 県としましては、診療報酬を初めとする今後の国の医療政策の動向を注視しながら、急性期病床から回復期病床への転換に係る施設整備などの必要な支援を行い、おおむね10年かけて将来の医療需要に合った医療提供体制の構築に取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 それでは、次の質問に移らしていただきます。
 次の質問は、病床数が減少する、そうするとその受け皿ということが当然問題になってくるわけで、その受け皿についてお尋ねいたします。
 地域医療構想は、病床数を大幅に削減して在宅医療などを推進する計画でありますが、家で療養できないという事情にある人も相当高い割合で現在でも存在いたしますし、また、療養つき介護施設、老人保健施設、特別養護老人ホーム等も大きく不足するものと思われます。今でも病院を出た後の行き先に困っている人が多く発生している中――といいますのは、私どももよろず相談所でよく相談を受けるんですね。今度病院を出やないかんのですけども、どっか行くとこないかなという相談を間々受けます。そういう現実があります。
 そんな中で、患者の受け皿をどうやってつくって、そのコストを誰がどう負担するかと。これも私は国の制度設計にかかわっているように思いますけれども、県としてこの医療・介護難民が発生しないように、病床の減少を補う在宅医療等の受け皿の整備を、県のほうではこういう受け皿の整備を順次進めていくとしか言いようがないのかとも思うわけですけども、御所見をお尋ねいたしたいと思います。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 地域医療構想における必要病床数は、人口減少などを踏まえ、今後10年間でおおむね3000床減少すると推計しているものです。
 将来の適正な医療需要に対応していくためには、病床機能の分化、連携を推進し、あわせて在宅医療の充実などを図ることが重要であると考えています。
 今後、健康づくりや重症化防止対策も推進しながら、医療需要の増加を抑えながら、現在県が進めている在宅医療サポートセンターの設置や後方支援病院の指定など、全県的な在宅医療推進ネットワークの構築とあわせて、特別養護老人ホームなど介護施設の整備を計画的、一体的に進めることで、患者の受け皿を確保してまいります。
 これらの受け皿づくりについては、地域医療介護総合確保基金などを活用しながら、県民誰もが住みなれた地域で安心して適切な医療と介護を受けることができる体制の整備に取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 2025年に向けてということですが、2025年は最も医療需要がふえるときというふうにお聞きしておりますんで、それの受け皿づくりというのは本当に大事といいますか、重要なことだと思います。
 今、受け皿づくりにつきまして、地域医療介護総合確保基金を活用するとの御説明をいただきましたけれども、それはつくるのはそれを使ってつくっていただけるかと思うんですが、つくった後の受け皿の持続可能性といいますか、それについても国の動向等も十分に見定めながら留意していただいて取り組んでいただきたいと要望させていただきます。
 では、この質問を終わらしていただきます。次の質問に移らしていただきます。
 3番目の質問は、農産物の輸出についてであります。
 まず最初に、農産物の国内需給と輸出の必要性についてということでお尋ねいたします。
 政府は、「農業を成長産業に」というかけ声のもとに、農業に力を入れようとしております。和歌山県も力を入れていただいているところでありますけれども、和歌山県を元気にするためには和歌山県の農業も元気にしなければならないというふうに思います。そのために、私はまず国内農産物の今後の国内需要を考えてみたいと思います。
 TPP等の貿易の自由化の流れ、それによります海外農産物の流入及び人口減少で、国内需要は確実に減少が予想されます。輸入農産物がふえれば、限られた国内需要は輸入農産品がふえた分だけ減少いたしますし、人口の減少もまた国内需要を大きく減少させます。このことは誰が見ても自明の理であります。私は専門家ではありませんから、全くの当てずっぽうで申しわけないんですけども、この2つを合わせますと今後10年間でざっと1割ぐらいは需要が減少するのではないかというふうに考えております。
 需要が大きく減少する中、どうやって農業を守り、守るばかりでなくどうやって成長産業にしていくのか、日本の農業は困難な課題に直面していると思います。
 需要の減少に対しまして、供給を減らす縮小均衡では農業振興にはなりません。供給量を減らさず、むしろふやして売価も上げていってこそ、農業従事者を守るばかりでなく、新規就農者を増加させ、農業を成長産業にすることができるものと考えます。
 私は、そのためには、やはり輸出に活路を見出すしかないのではないかというふうに考えます。輸出により、これまでの出荷量の1割でも輸出に回すことができれば、国内需要は締まり、売価を維持することができます。もうかる農業になり、好循環につながります。逆に、国内需要の減少を輸出で補うことができなければ、需給は緩み売価も下落する、売価が下落すればもうからない、もうからないから農業従事者も減少するという負のスパイラルに陥ってしまいます。現状は、その負のスパイラルにもう入っていると言っても過言ではないのではないでしょうか。
 農産物の国内需給と輸出の必要性について、県の御所見をお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 日本の人口は今後10年間で約5%、630万人の減少が見込まれ、これに伴う国内食市場の縮小は必至であります。また、貿易自由化の流れが加速する中で、農産物輸入はますます拡大するものと考えられます。
 しかし、その一方で、安全、安心、高品質の日本産農産物は海外から高い評価を受け、訪日客は過去最高を記録するなど、日本食に対して追い風が吹いております。こうした動きは県産農産物を世界に売り込む大きなチャンスであり、海外市場開拓へのさらなる取り組みの必要があると認識してございます。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 私が先ほど申し上げましたことは、もう誰もがわかっていることでありまして、今さらの感があるわけですね。なぜあえてここでこういうことを申し上げたのかといいますと、やはりもっと危機感を持っていただきたいなということであります。
 需要も供給も減少する縮小均衡では、未来はありません。それを何とかしたい、しなければならない、そのために県に必死になってもらいたいと願うからであります。そのことをお願いいたしまして、次の質問に移らしていただきます。
 次の質問は、農産物輸出の現状と課題及び今後の取り組みについてであります。
 県は、これまでどのような目標を設定され、輸出に取り組んでこられたのか、その現状と課題、それに今後どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。
 それと、まずは品目ごとに、特に本県の主力産品でありますミカン、柿、桃、梅の主力果樹について、予想される国内減少に見合う輸出を早期に実現することを必達の目標として、県にはそれ以上の目標を設定して取り組んでいただきたいと思いますが、数値目標の設定についてのお考えをお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 平成20年に策定した現行の県長期総合計画では、平成29年度に桃、ミカン、柿の3品目で輸出総額10億円を目指しておりましたが、県が県内食品事業者に行った調査によると、昨年度の実績は、桃が117トンで1億1900万円、ミカンが280トンで3600万円、柿が53トンで2300万円の合計1億7800万円となっております。
 また、近年ではこれら3品目のほかにも梅やサンショウの輸出も実現し、新たな可能性も広げつつあります。
 なお、加工食品の輸出にも力を入れ、これを含めると昨年度の輸出額は約9億円程度になります。
 農産物輸出に関する課題を大別すると、まず、中国のように農産物輸入が基本的に禁止されている国があります。次に、台湾やアメリカ向けミカンのように、市場は開かれていても検疫条件や農薬残留基準が厳しく、対応に苦慮している場合があります。また、長期間にわたる輸送を伴うため、鮮度やコスト面で輸出を難しくしている場合もあります。
 こうした課題はありますが、これまでのプロモーションを通じて、桃は台湾、香港、ミカンはシンガポール、マレーシア、柿は香港、タイ、マレーシアというように、品目別のターゲット市場が定まってきております。今後は、この戦略を地元産地と共有し、現地での販売促進活動をより一層強化するなど、現地市場での定着を図ってまいります。
 なお、新たな長期総合計画の目標設定に当たっては、こうした品目別の取り組み実績と今後の市場開拓の可能性を考慮し検討してまいります。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 輸出には本当に難しい課題がたくさんありますけれども、私は、要するに本気で取り組む気があるかどうかにかかっているんかなあというふうに思います。
 国内需要が本当に大きく減少されることが予想されます。輸出をしなければ未来はないんだという危機感と数値目標を持って、なお一層の販売促進に取り組んでいただきたいと思います。数値目標につきましては、先ほど申し上げましたように、最低、需要が減少する見込みに見合うだけの数値を設定して取り組んでいただければなというふうに要望さしていただきたいと思います。
 次に、個別の私ども橋本・伊都地域の主力産品であります柿についてであります。
 柿の輸出の現状と鮮度保持の技術開発、研究を含めた今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 柿は、桃ほどではありませんけれども、時間の経過とともに軟化して品質が劣化いたします。特に橋本・伊都の主力品種であります刀根早生、平核は脱渋後の日持ちが悪いです。ちょっとお聞きいたしますと、北米あるいは東南アジア等へのコンテナ輸送は10日から15日ぐらいかかるというふうにお聞きしています。その間に軟化が進行して、輸出先の店頭での品質は余り日もちもしない、よくないというふうに思います。
 品質のよい、おいしいものを出してこそ、いい値段でたくさん買っていただけるわけでありまして、おいしくなくなった、あるいはおいしくなくなりつつある柿を出しても、なかなか需要の伸びには限界があるのではないかと思います。
 ちょうどこの質問を考えておりましたときに、新鮮で安く船で運ぶということで、CAコンテナということが6月6日付の「朝日新聞」に掲載されました。これは御存じのことかと思いますけども、ちょっと説明させていただきますが、CAコンテナといいますのは通常の冷凍コンテナに室内の空気の成分を調整する機能をつけたもので、室温を下げると同時に窒素9割以上、酸素と二酸化炭素約5%ずつの比率に変えられるコンテナで、青果物の呼吸を抑えて冬眠状態にして、2週間程度は鮮度を保つことができるとされているものであります。それによりまして、運賃は航空便の10分の1程度になるとのことであります。
 実際に、九州のほうであまおうの話が出ておりました。あまおうは、国内の店頭でワンパック700円のものが、航空便で送っておりますと現地店頭2000円で売らなければならなかったけれども、このコンテナ輸送にいたしますと1000円で売ることが可能になったというようなことも報じられておりました。
 このコンテナなんですけども、作物に応じた最適な温度や湿度、酸素濃度の研究が今進められているそうであります。そういった鮮度保持の研究に、県としましてもぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 それと、繰り返しになるんですけれども、柿の輸出の現状、そして今後の取り組みについて再度お尋ねします。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 柿につきましては、先ほどお答えしましたように、昨年度で53トンがタイや香港を中心に輸出されており、10年前の約2倍に増加しております。東南アジアでは日本の柿の食味に人気があり、今後、より一層の拡大が期待できると考えてございます。
 現地での試食販売が非常に効果的であることから、今後、地元生産者による現地活動を後押ししながら、柿のおいしさをPRする販売促進活動を強化してまいりたいと考えております。
 次に、柿の鮮度保持の研究につきましては、果樹試験場かき・もも研究所で刀根早生の果実軟化抑制に関する研究を行い、収穫方法や輸送段ボール箱の改良といった研究成果が香港への輸出における鮮度保持対策として活用されてきました。
 その後、より遠方の国への輸出販売が実施される中で、従来の技術では輸送中の軟化や腐敗への対策が不十分であることが明らかになりました。
 そこで、今年度から、9月に収穫される極わせ柿の輸送管理技術等を開発するため、大学、国立研究開発法人、輸送関係企業等から構成される青果物輸出促進研究コンソーシアムに参画し、3年間にわたって調査研究を行ってまいります。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 御答弁ありがとうございました。
 柿の農家を元気にして、そして後継者や新規就農者が出てくれるということが、この地域、私どもの橋本・伊都地域の人口の減少を抑えて、そしてまたひいては和歌山を元気にすることにつながってまいりますので、何としてでも輸出を成功させる、ふやすんだという気迫を持って取り組んでいただきたいと思いますし、販売促進活動、これもお金も手間も時間もかかるわけですけども、これはやはり力を入れて投資していかざるを得ないのかなあと。投資していってそれに力を入れていただかないことには輸出というのはふえていかないというふうに思いますので、これまで以上に努力していただきますことを要望さしていただきまして、今回の私の一般質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、中西峰雄君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、核兵器廃絶と平和行政であります。
 ことしは、戦争が終わって71年の年、被爆71年。オバマ米大統領が広島を訪れ、原爆慰霊碑の前で演説したことが大きなニュースになりました。原爆を落としたアメリカの大統領が被爆地を訪れて原爆の悲惨さとしっかり向き合ってほしいということは、被爆者の皆さんの長年の願いでありました。
 アメリカの核兵器保有国としての基本戦略は変わっていませんから、謝罪の言葉はなかったし、核兵器即時廃絶とまでは言わなかった。しかし、短時間ではあったが、原爆資料館を見て核兵器の悲惨さを語ったことは、一歩前進であり、心にしみるものもありました。この前向きの一歩を、核兵器廃絶への確かな一歩にしなくてはならないと思います。そんな中で、戦争被爆国日本国民として、核兵器廃絶を世界に訴えていかなくてはならないと思います。
 ところで、和歌山県議会は、「核兵器廃絶平和宣言」を可決しています。短いものです。「核兵器を廃絶し、恒久平和を実現することは、唯一の被爆国である我が国はもとより人類共通の悲願である。 現在、世界には、地球上のすべてを破壊して余りある核兵器が貯蔵されており、人類は常に核戦争の脅威にさらされている。 和歌山県議会は、人類永遠の平和確立のため、いかなる核兵器も廃絶するよう強く訴え、県民の総意として、ここに核兵器廃絶平和県を宣言する。 平成10年6月24日 和歌山県議会」というものでございます。
 私たちは、この悲願を実現するために一歩一歩進まなくてはならない、この立場から知事の御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(服部 一君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先日のオバマ大統領の広島訪問は、現職大統領として初めての訪問であり、私も恒久平和を望む一国民として、核兵器廃絶を目指す国際的機運を盛り上げる上で大きな機会となったと感じております。
 核兵器廃絶に関しては、議員御指摘のとおり、平成10年6月、和歌山県議会において「核兵器廃絶平和県宣言」が議決されています。この宣言は、核兵器の廃絶と恒久平和の実現を心から希求する全ての県民の願いが込められたものであると認識しております。
 私としては、県政を預かる者として、今後とも県民が平和で安全な暮らしができることを常に念頭に置きながら県政に取り組んでいく所存であります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 では、次に行きます。
 8月には原水爆禁止世界大会が開かれます。この世界大会は、核戦争・核兵器の完全禁止、被爆者援護・連帯の立場を掲げ、世界中の核兵器禁止を求める団体・個人、さらに国連からも代表者が参加します。その世界大会を前にして、全国から広島へ平和行進が行われます。和歌山のコースは5月9日、新宮を出発して、6月8日に三重県に引き継がれました。
 この平和行進に当たって、原水爆禁止和歌山県協議会、核戦争防止県医師の会、非核の政府を求める和歌山県民の会、和歌山県原爆被災者の会が県庁を訪れ、県に協力を申し上げてまいりました。残念ながら、県原爆被災者の会は被爆者の高齢化のために組織を維持することが困難となり、解散されました。
 しかし、3年前にこれらの団体が県庁を訪れた際、被爆者団体が作成した原爆写真パネルを県で購入していただきました。そのとき議長さんからも「私からも声をかけましょう」といって後押しをしていただきました。こうして、県庁本館から北別館への渡り廊下で、8月上旬に原爆写真展が行われるようになりました。原爆資料館を持つ広島、長崎は別として、県庁内で写真展をやっているのは石川県に続いて和歌山県が全国で2番目だそうでございます。県がこうして腰を上げることは影響が大変大きなものがあります。市町村でのパネル展は31カ所から45カ所にふえました。引き続き、写真展をさらに発展させていただきたいと思います。福祉保健部長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県では、広島、長崎での原爆の惨状を伝える写真パネル展を活用し、毎年ふれあい人権フェスタや県庁内において原爆写真展を実施しております。唯一の戦争被爆国として、戦争、原爆の悲惨さについて多くの人に伝えていくことは大切なことであり、今年度も8月に県庁渡り廊下において、また11月にふれあい人権フェスタで原爆写真展を予定しており、平和に対する県民の意識がより一層高まるよう取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 よろしくお願いします。
 この平和行進は、昨年から30の市町村全てを回るようになっています。市町村ごとの出発集会では、市町村長の御挨拶やメッセージがある。募金に協力もいただける。30の市町村長全てが平和首長会に所属し、非核平和宣言をしている市町村は平和宣言自治体として看板やプレートを立て、非核平和への願いを表明しています。新たにアオギリやクスノキを植えるという自治体もあります。
 その中で、和歌山県は、せっかくの平和宣言をしていながら、そのことが県民に余り知られていないように思います。大きな看板を立てるという方法もあるでしょうし、県庁の前にプレートを立ててもいい。核兵器廃絶平和宣言県として、何らかの表示をできないものだろうかと思います。これは、本日は要望としておきたいと思います。
 第2の柱は、熊本地震と地震対策であります。
 熊本の大地震、最初はこんなひどいことになるとは思いませんでした。最初の地震を上回る本震、いつまでも続く余震。多くの皆さんが犠牲になり、被害を受けられた。お亡くなりになった皆さんにお悔やみを、被害を受けられた皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。
 まず、危機管理監にお伺いいたします。
 和歌山県も中央構造線が走り、地震の危険が十分あるだろうと思います。南海トラフにかかわる地震・津波の危険もあります。
 ただ、南海トラフ、南海・東南海地震というものは今後30年間に起こる確率が70%というふうに言われるが、直下型地震のほうはそういうふうには言われない。その危険性をどう考え、どう心構えをすればいいのでしょうか。また、熊本地震の教訓から、どういう対策が必要だとお考えでしょうか。危機管理監にお願いいたします。
○副議長(服部 一君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 今回の熊本地震は、主に布田川断層帯や日奈久断層帯の活動であると言われております。
 文部科学省の地震調査研究推進本部によりますと、平成28年1月1日現在の30年以内の地震発生確率は、同断層帯ではマグニチュード7.0クラスが最大0.9%で、主な活断層の中で「やや高い」と評価されており、一方、中央構造線断層帯の和泉山脈南縁での地震はマグニチュード7.6から7.7クラスが最大14%で「高い」と評価され、また、南海トラフ地震ではマグニチュード8から9クラスが70%程度と評価されております。
 今回の地震では、他の活断層と比較して特別に危険性が高いと考えられていなかった活断層のある地域が震度7の地震に2度も見舞われ、甚大な被害が発生いたしました。改めて直下型地震の恐ろしさを実感するとともに、地震はいつどこで発生しても不思議ではなく、県民一人一人の防災意識を高め、常に準備を怠らず備えることが重要であると考えているところでございます。
 本県では、中央構造線断層帯による直下型地震だけでなく、紀伊半島は南海トラフ地震においても震源域に近く、南海トラフ巨大地震では県内のほぼ全域が震度6弱以上と、直下型と同様の非常に激しい揺れが予想されます。
 そのため、東日本大震災直後から防災・減災対策の総点検を実施し、地震対策として公共施設の耐震化を進めるとともに、住宅や大規模建築物の耐震化について全国でトップクラスの補助制度を用意するとともに、家具固定等についても、わかやま防災力パワーアップ補助金により手厚い支援を行うなど、地震に対する対策に強力に取り組んでまいりました。
 しかしながら、住宅の耐震化や家具固定は他の先進県と比較して決して進んでいるとは言えず、県民減災運動として住宅の耐震化、家具の固定、ブロック塀の安全対策をより一層推進するとともに、あわせて発災後に初期消火や救出・救助等の防災活動を担う自主防災組織の充実による地域防災力の強化などにも取り組み、地震による災害等に備えてまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。今も、公共施設の耐震化は進んだんだけども、一般住宅の耐震化はまだまだかなり残しているというお話でございました。
 それで、まず公共施設の耐震化はこれまでも強調されてきたと思います。どのくらい進んでいるんでしょうか。また、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。
○副議長(服部 一君) 危機管理監。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 公共施設の耐震化についてでございます。
 平成27年3月末現在の「防災拠点となる公共施設等の耐震化推進状況調査」として消防庁に報告した調査では、県及び市町村の公共施設合計5691棟の耐震化率は79.6%、前年度と比較してプラス2.2ポイントとなっております。
 施設区分別では、文教施設が96.7%、庁舎は78.2%、それ以外が71.4%で、うち県有施設1105棟の耐震化率については96.7%と、前年度と比較してプラス0.6ポイントとなっております。
 なお、県有の文教施設の耐震化率は100%となっており、また、未耐震の庁舎等についても、消防学校や海草振興局建設部の移転等の計画、整備を進めているところであり、県有施設については耐震化がおおむね完了しております。
 市町村の役場等の庁舎は災害対応の司令塔として、また公民館等の公共施設は住民の避難施設等として重要であることから、公共施設の耐震化がさらに進むように市町村に対して働きかけてまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 次が、危機管理監も心配をしておられる一般住宅の耐震化の問題でございます。
 このたびの熊本地震で大きな被害を呼んだのが、一般住宅の地震倒壊の問題でした。亡くなった方の7割が家屋の倒壊の下敷きになったと言われています。
 今、皆さんの議席に「あなたの住まいは大丈夫?─住宅耐震改修のすすめ─」というリーフレットを配っていただいています。県で出していただいたものです。
 実は、4月の初めに私は要求運動団体の役員会で県政報告をする機会がありました。そこで私はこんな話をしました。「皆さんから強い要望のある住宅リフォーム助成制度については、県がなかなか受け入れてくれません。それはそれとして、きょうは県が発行している「あなたの住まいは大丈夫?」というリーフレットを持ってきました。使い勝手はよくないかもしれないのですが、国3分の1、県3分の1などという結構有利な補助がある。だから、県は一般的な住宅リフォーム助成をやらないからだめだというふうに言うだけではなくて、この制度があることも県民の皆さんにお知らせをして、利用を研究していただけないだろうか」。
 そこには、大工さんたちも会員に抱えている民商の代表の方もいらっしゃったからです。そのとき、私は担当課から去年のリーフレットを50冊ばかりもらっていってお配りしたわけでございます。
 その10日ばかり後に熊本地震が起こりました。私は、街頭演説で熊本地震へのお見舞いを申し上げながら、このリーフレットを紹介をしました。
 海南市の場合は、回覧板を回してこの制度を紹介しています。後ろのほうに耐震ベッド、耐震シェルターの紹介などがあるんですが、申し込み期間は5月の16日から6月の3日まで、既にその期間は終わっているわけです。応募枠は3件ということになっています。
 そこで、県土整備部長にお伺いしていきたいんですが、まず、住宅耐震化の現状と目標、昨年度の実績をお示しいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 本県の住宅の耐震化率は平成25年度で74%であり、平成32年度までに95%とすることを目標としております。
 県の補助制度を利用した耐震診断等の昨年度の実績は、県全体で耐震診断616件、補強設計169件、耐震改修161件となっております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今お答えいただいたのでは、耐震改修に実際入ったのは1年間に161件ということですから、95%目標に対して言うとなかなか前に進みません。なぜ進まないのか。県民に知られていない、関心が持たれていないためなのか、予算の上限があるためなのか。
 現行制度では耐震設計で負担があり、耐震工事で負担があるということになってるんですが、例えば耐震設計までは全額補助できるとか、もう少し近づきやすいものにできないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 耐震ベッド、耐震シェルターを平成27年度から補助対象に加えるなど、和歌山県の現在の補助制度は全国でもトップクラスの制度になっていると考えております。
 県では、これまでにも住宅の耐震化促進のため、建築関係団体との連携による広く県民の皆様を対象とした住宅相談会の開催や、事業者等を対象とした説明会などを実施してまいりました。今後も、より一層住宅の耐震化の必要性と補助制度の周知を図ることによって耐震化を推進してまいりたいと考えております。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 先ほど耐震設計にもお金がかかるという話をしたんですが、この中の耐震ベッドや耐震シェルターについては耐震設計は要らないようです。この耐震ベッド、耐震シェルター、今大変関心が持たれてると思うんですが、どれだけ予算化されているんでしょうか。また、昨年は県下で、また私の関係で言うと海南市で、どれだけの申し込みがあったのでしょうか。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 耐震ベッド、耐震シェルターに関しましては、平成27年度から補助対象に加えておりまして、27年度、28年度ともに合計50個分の予算を計上しております。平成27年度の実績は県全体で耐震ベッド6件となっておりまして、その中に海南市の実績はございません。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 せっかく予算の枠を50個とっていただいているのに、昨年で言うと6件しか申し込みがなかったというわけですね。大変申し込みが少ない。ですから、どうして申し込みが少ないのか。ことしは熊本地震で関心が高くなると思うのですが、海南市の場合は受け付けは終わっていますが、どうだったのでしょうか。
 そして、他の耐震化補助も同じなのですが、耐震ベッド、耐震シェルターについて、補助の申し込みをする前提が耐震診断を受けていることとなっています。熊本地震を見て耐震シェルターをつくろうと思っても、耐震診断を受けている間に申し込み期間が過ぎてしまう。耐震シェルターを申し込めば自動的に耐震診断をしてくれるようにするなど、使いやすい制度にすることが考えられますが、いかがでしょうか。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 耐震ベッド、耐震シェルターの補助制度につきましては、県が市町村を通じて費用を補助する制度となっております。県は昨年度当初から予算化をいたしましたが、多くの市町村におきましては補正予算による対応となってございました。このようなこともありまして、県民の方々にその制度が十分浸透していなかった、このことが申し込みが少なかった主たる要因と考えてございます。
 今年度の海南市における申し込み状況でございますけれども、6月3日までの申し込み期間中に耐震ベッドに対して2件の申し込みがあったと聞いております。
 それから、耐震ベッド、耐震シェルターへの補助を耐震診断をする前にすることができないかというお問い合わせでございましたが、これらの補助は、地震により建物が倒壊した場合においても安全を確保することを目的としたものでございます。建物の耐震性が確保されていないことを前提とさしていただいているものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今御答弁いただきましたように、耐震補強あるいはこの耐震ベッド、耐震シェルターの補助を受けるためには、まず耐震診断をしていて、そして危ない建物であるということが前提だと、これはもう当然のことです。ただ、今のシステムだと、耐震シェルターの補助を受けようと思ったら、ことしまず耐震診断を受けて、そしてシェルターの申し込みは来年の話になってしまう。ぜひともそこのところを考えていただきたいわけです。
 次に、耐震ベッドや耐震シェルターの場合、大手の規格品に限られていて、地元の大工さんの手ではできないものになっていると思います。地元の大工さんが紀州材を使ってでもできるようなものにして、お勧めしてもらうようにしてはどうかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 耐震ベッド、耐震シェルターでございますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、地震により建物が倒壊した場合においても安全を確保することを目的としたものでございます。上層階の倒壊に耐えられる強度を実験等で確認する必要がございます。
 紀州材を用いた製品の開発意欲がある事業者さん、もしいらっしゃいましたら、御相談をいただきましたら、そういった実験等の確認についても御相談をさせていただきたいというふうに思ってございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 そういうことを研究する開発意欲がある業者があればという御答弁ですので、業者の方にも県もそういう意向なんだということで、そんな人がないかということも私も聞いてみたいというふうに思います。
 いろんな形で申し込みがふえるようにしなければならないと思うんですが、特に熊本地震が起こったというのは特別な状況です。こういう状況で、もし本当にこの制度が知られて、やろうという人がふえていったら、予算枠では少な過ぎる場合だって起こってきます。予算が枠が少な過ぎると諦めて申請しないということもある。
 この熊本地震という機会に耐震補強を飛躍的に進められるように、過去3年間ぐらいのおくれを取り戻すぐらいのつもりで必要な補正予算も組むというようなことにしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○副議長(服部 一君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 先般発生いたしました熊本地震で住宅の耐震改修への県民の皆様の関心も高まっていると考えておりまして、住宅耐震化への補助制度への申し込みが昨年同時期を大幅に上回っているところでございます。
 県としましては、市町村と連携しながら、この機会を捉まえまして、県民の皆様の要請に的確に対応してまいる所存でございますので、よろしくお願いいたします。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今部長がお答えいただきました、この機会を捉まえ的確にという、この言葉を私は重く受けとめたいと思います。
 知事も、この議会中に住宅耐震化のおくれという問題を何度も語っていただきました。それも、非常に熱意を持って語られたというふうに私はお聞き取りいたしました。今起こっている事態というのは、知事がおっしゃるには全国的にも大変高いレベルの補助制度を用意している、それなのになかなか思うように進んでいない、そこへ熊本地震が起こって県民の意識、関心も大きく変わったと思います。
 ところが、海南市の場合で言うと、6月3日で締め切りになってるわけです。県民に十分知らせられないままに市町村で決めた締め切り期日が過ぎてしまう、また、昨年までに耐震診断を受けて耐震化が必要とされた住宅しかことしの耐震化補助の対象にはならないということになります。市町村で再募集できるようにするとか、耐震診断を受けたら直ちにその年のうちにシェルターなどを申請できるようにするとか、制度の組みかえが必要になると思います。
 あるいは、組みかえなくても弾力的な運用でもそれはできるのかもわかりません。それならそれでいいんです。申し込んだら締め切りでしたというようなことにならないようにしてほしい。これ、来年まで待ってくださいでは、この機会を捉えて的確にということにはならないと思います。
 私は、その点で、この制度の枠の中、運用の中ででも十分に市町村と話をして、例えば、耐震診断を受けるんだけども、とにかく耐震診断が7月までかかったんだと、そしてそれを受けて補助を申請する資格ができたら9月であっても補助を申請するんだということのような運用というのはできると思いますので、ぜひともそういうふうにしていただきたいと思うわけです。それが、耐震診断ことし受けなさいよ、そして改修は来年ですよというんでは、やはり今の状況に合わないというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。要望とします。
 最後に1つ要望ですが、使い勝手がいい住宅リフォーム助成制度が経済活性化の観点からも有効だと私たちは主張してきました。高野町で始まったものが海南市でも始まった、さらに幾つかの自治体に広がり、広川町では大変高い補助率の制度が導入されています。この住宅リフォーム助成に国・県の耐震リフォーム助成を組み合わせるような方法はないのかどうか、そういうこともひとつ研究されてはいかがと思いますので、要望としておきたいと思います。
 次に、中学校の運動部の活動についてお伺いいたします。
 実は、早くから質問を準備して、文部科学省でのヒアリングまでしてきたんですが、この議会が始まってからの6月の4日に、「朝日新聞」に「中高の部活 休養日指針」、「文科省作成へ」という報道がなされました。さらに、けさの新聞には、週1日以上の休養日と文部科学大臣の談話が、指針、方針を出すことが載りました。ある面では、ですからこの質問は時宜を得た質問とも言えるんですが、ある意味では大変流動的なので、質問しにくいなというふうに思っています。まあ続けます。
 中学校の教育において、部活動というものは文化部、運動部を問わず大事な役割を果たしています。「中学校時代の一番の思い出は」と聞かれたとき、「部活動に打ち込んだこと」と答える子供が多いでしょう。しかし、この活動が教員に大きな負担になり、行き過ぎると子供の生活のバランスを欠き、子供の心身の発達にゆがみをもたらす場合もあることは問題です。
 まず、教育長にお伺いしますが、教員の負担の問題からお伺いします。
 部活動の指導というのは教員にとって本務なのか勤務なのかという問題があるわけでございますが、教育長、これは勤務というふうに言えるんでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 部活動は、学習指導要領の総則におきまして、「学校教育活動の一環として教育課程との関連が図れるよう留意すること」と明記されており、学校教育の重要な教育活動でございます。
 運動部活動は、生徒の自主的、自発的な参加により成り立っておりますが、顧問の教員の熱心な取り組みに支えられているところが大きいことは認識してございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今、教育長は、運動部活動は顧問の教員の熱心な取り組みに支えられているものですとお答えになりまして、勤務かどうかということについては避けて通られたわけでございます。実は、これをだからどうこうということはきょうはいたしません。
 実は、ここに学校という職場の難しさがあります。教員にとっては本務と言えない仕事もいっぱいある。しかし、誰かがやらなくてはならない。それを子供のためにということで協力して進めているのが学校というもんだと思います。ですから、それを命令や何かだけで教員を動かして学校というものが成り立つわけではない、学校というものはそういう性格を持っている。ですから、私の質問には大変答えにくいことも大変よくわかります。
 次の質問ですが、この部活動で対外試合の付き添いを含めて、長時間勤務を生んでいる実態はないのかどうか、あるとすればどういう補償をしていくのかをお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 土曜日や日曜日等に多くの教職員が運動部活動指導に当たっているという状況は、十分に認識してございます。教職員が土曜日や日曜日等に運動部活動指導を行った場合は、特殊業務手当を支給することとしてございます。さらに、教職員が土曜日や日曜日等に行われる公式試合等に生徒を引率する場合については、別の日に振りかえることができる制度も設けてございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 これも悩ましい問題もありまして、振りかえという制度はあるんですが、振りかえで学校が開かれている日に授業のある日に振りかえ休日をとれば、授業が欠かなくてはならないというような悩ましい問題もあるわけでございます。これをお互いにわかった上で聞いているわけでして、しかし、そういう中でもいろんなことを考えていかなくてはなりません。
 きょうは、中心にしたいのは、一番問題になるのは生徒にとっての生活や心身の発達のバランスの問題です。和歌山県の中学校の運動部活動の実情はいかがでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 運動部活動は、スポーツに興味と関心を持つ生徒がそのスポーツの楽しさや喜びを味わい、豊かな学校生活を経験する活動であるとともに、体力の向上や健康の増進につながる有意義な教育活動でございます。平日の放課後とともに練習試合や大会等で土日等も活動している現状があり、一部に教員の多忙化の要因となっていることや、生徒のバランスのとれた生活と成長の過程に課題があることなどを指摘されてございます。
 このようなことから、昨年、県教育委員会では、中学校運動部活動の在り方に関する有識者会議を立ち上げ、学校の状況をより詳細に把握するため、ことし2月に包括協定を締結した大阪体育大学と共同でさまざまな角度から実態調査を行っており、9月ごろを目途に本県の有識者会議のまとめを出すこととしてございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 土日も活動している現状を承知していると言われた。生徒のバランスをとれた生活と成長の過程に問題があるという意見もあるとも言われた。
 実は、20年近く前に文部科学省がこの調査研究協力者会議というのを開いて、そこの報告というものがあるんですが、実はそこでも全く同じことを言ってるわけですね。だから、20年ほど前に言われたことが今も言われて、そして文部科学省自身もそれについて是正せないかんというふうに言うたけども、是正がされんで、今また新たにそういう調査研究協力者会議のようなものを立ち上げるということになってきています。
 では、適正な運動部活動の時間、日数について、教育長はどういうふうに考えておられるんでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 現在、報道にもありましたように、国においても教員の勤務負担の軽減や生徒の健全な成長を促す面から、運動部活動のあり方について検討が進められているところでございます。今後、これら国の動向や、先ほど申し上げました本県の有識者会議のまとめを踏まえまして、さまざまな観点から運動部活動のあり方を示していきたいというふうに考えてございます。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 実は、最初に時宜を得た問題だと同時に、どうも聞きにくいと申し上げたのは、今、文部科学省も、それから教育委員会も、いろんなことを検討しているということなので、ですから有識者会議で検討している中で教育長としてはこう思いますというのはなかなか答えにくいということがあるので聞きにくいと、こういうことになってくるわけですが。
 ですから、そういう有識者会議などの意見を受けて改善してもらわなくてはなりませんが、ちょっと先取りして聞くようですが、20年前にそういう報告もあった、御存じと思います。ところが、それが改善されないんだけども、今度こそ改善できるようにやられるつもりはおありでしょうか。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 多くの教員の熱心な指導が運動部活動を支えてきたことは、十分に認識してございます。このため、これまで県教育委員会では、教員の負担軽減と専門性の確保のため、国の運動部活動指導の工夫・改善支援事業により、外部指導者を派遣するなどしてまいりました。
 また、成長期にある中学生の運動部活動においては、生徒のバランスのとれた心身の成長のために適度な休養をとることが必要であり、これまでも運動部活動指導の手引により、適切な休養日と練習時間を設定するよう指導してまいりました。
 さらに、直接運動部活動の指導に携わる教職員等を対象とした運動部活動指導者研修会やスポーツ医科学に基づく運動部活動指導法研修会を開催し、運動部活動のあり方について指導してきたところです。
 平成26年3月に出しました運動部活動指導の手引につきましては、先ほどから申し上げております国の動向あるいは本県の有識者会議のまとめを踏まえ、今後、改定も含めて検討してまいります。
○副議長(服部 一君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 文部科学省も20年近くたって腰を上げたわけですし、教育長もそういうふうに言われるわけですから、解決されることを期待したいと思います。
 ただ、その困難さについて少し私見を申し上げておきたいと思います。
 この問題の難しさの1つは、土日も休みなしに運動部活動の指導をなさっているのは真面目で熱心な先生だというところにあります。少し逆説的になりますが、真面目にやっておられるからそれについて校長もどうこう言いにくい。私も、中学校の教諭だったころに野球部の顧問をしたことがあるんですが、若さに任せて土日も出ていったものです。結構強かったんです。
 親も野球熱心な生徒がいました。肩を痛めたんですが、試合の日に痛みどめの注射を打ってきて、「大丈夫です。投げさせてください」と言うんです。その子に投げさせればコントロールもよくて安心なので、「本当に大丈夫か」と言いながら投げさせてしまったことが、今も心に残る反省になっています。
 あるとき、和歌山市の中学校の校長と話をしましたら、前の学校はバレーボールの強い学校だった、余り行き過ぎないようにブレーキかけようとしたら親から叱られた、どうにもできなかったという話をしてくれたこともあります。部活動でチームが強くなると、校長もとめられなくなる場合がある。また、指導するのは実際熱心な熱血先生なんです。そのことは一面の事実なんですが、それが子供の発達のためにどうなのかを考えなくてはならないというのが問題です。
 この問題は、性格は違いますが、私は体罰問題と構図がよく似ていると思います。これまで、学校やスポーツの指導の中で体罰が容認されていた時期がありました。マスコミの取材に、校長は「熱心さの余り」とかばいました。実際、その先生が熱心な熱血先生であった場合が私は多かっただろうと思います。そうでなくて殴りまくってるという、そういうふうなのはまずめったにないので、やっぱり熱心な先生であった場合が多いと思うんです。
 そして、指導者がスポーツの指導で成果を上げれば、他の者が口出しできないという構図があった。それが子供の自殺まであって社会問題になって、体罰は絶対に許されないとなってきたわけです。体罰と運動部活動の行き過ぎは同じ問題ではありませんが、その克服の難しさにはよく似た構図があるということを申し上げて、今度こそ、この難しい問題に教育長がしっかりと立ち向かわれるように期待いたしまして、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時32分散会

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