平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(堀 龍雄議員の質疑及び一般質問)


平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(堀 龍雄議員の質疑及び一般質問)


人名等の一部において、会議録正本とは表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(服部 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕(拍手)
○堀 龍雄君 一般質問に先立ちまして、輸出交渉の報告をさせていただきます。和歌山県産柿の輸出振興に向けた大連訪問についてという課題で報告をさせていただきます。
 和歌山県産柿の輸出振興交渉訪問団は第4回目となりますが、今回、かつらぎ町長・井本泰造町長を団長に総勢20人の参加のもと、大連市へ、5月20日から23日まで3泊4日の行程で行われました。
 参加者は、県議会側から最高顧問の井手益弘議員、顧問の岸本健議員、同じく顧問の鈴木太雄議員、副団長ということで、私、堀龍雄の4名が派遣されました。また、かつらぎ町から、井本町長を初め、かつらぎ町議会議員・総務産業常任委員長・新堀行雄議員、産業観光課長の斉藤浩治課長と通訳として職員2名、橋本市から、経済推進部長の笠原英治部長と農林振興課長の北岡慶久課長の2名が、九度山町から、総括参事・増井浩参事と桝谷優産業振興課長が参加されました。紀北川上農業協同組合からは、副団長の紀北川上農業協同組合長・下林茂文組合長、理事専務の亀井憲一理事と北本順久販売部直販課長の3名が参加され、和歌山県農販売部長の藏道部長と株式会社渡辺産業運輸からは松村和夫営業部長、紀勝物流事業協同組合からリ礼云氏と、ほか事務員の濱本由賀さんを含めた一行で大連に訪問させていただきました。
 到着してすぐに、1時30分より、中山ホテルロビーにおいて中日友好書道展開幕式に参加し、午後3時から1回目の大連市中日友好協会・于健軍会長と和歌山県産柿の輸出のために会見を行いました。
 以前の商談会の際には、李省長時代に各幹部の方々に柿の試食をしていただき、好評を得ており、柿の売り込みのきっかけとなりました。日本の柿はおいしくて安全・安心である、大連市だけでも約700万人の人口があり、たくさんの消費が見込まれるが、今すぐに輸入することはできないとのことであった。
 そこで、我々訪問団は、民間レベルで見た場合、和歌山県産の農産物である柿は買ってもらうことは可能なのかとの問いかけに、そのことは政治にある、政治問題が強まる前は、青森県産のリンゴ、鳥取県産の梨は検疫なしのフリーで輸出ができていた。現在は政治問題が影響し、青森県産のリンゴも鳥取県産の梨も、フリーで輸出ができない状況にあります。こうした状況のもとで、目前であった柿の輸出交渉が頓挫してしまった背景があります。
 こうした状況から、この事態を打開するには民間同士の交流が大事である、大連市からも訪日してもらい、どういう状態で柿を栽培しているのか、その目で見て体験してもらうということも大事なことかなと感じました。また、観光も取り入れて、1年1年の計画を立てて交流を密にして今の難関を打開しなければいけない、また私たちも、日本の中央政府のほうにたびたび出向いて、中国に交渉していただけるようにお願いしなければいけないとも感じました。
 また、于健軍会長にも、中断している輸出交渉を再開して早急に輸出できるよう、中国側中央政府に働きかけていただきたいとお願いをしてきました。于健軍会長は、国家間の問題であるため今すぐには解決することは難しいが、民間同士の交流を含め、農作物の輸入を中央政府に働きかけをし、徐々にでも実現することを期待すると言っていました。
 2回目の交渉は、午後4時から行われました。ジェトロ大連事務所・安藤勇生所長、高山博市場開拓部長、辛薇・市場開拓部の方々と、地元バイヤーの大連海英貿易有限公司の陳冬梅総経理、管理部長の林秋さんと会見をいたしました。過去からジェトロ大連は和歌山県庁に出向者を派遣しており、関心が深いことから、このような訪問団が来てくれて大変うれしいと歓迎を受けました。
 安藤所長から大連事務所としての説明があり、根本的には石油の輸出が底辺にあるのですが、輸入の拡大も目指している、今の中国の状況から見れば生果の輸入はしていない、加工商品は輸入している、和歌山県からも輸入している事実がある、加工の梅を輸入しているとのことでした。
 加工食品の輸入の実績があるのであれば、柿を加工したあんぽ柿のことを説明いたしました。現地バイヤーから興味があるようで、どのように保存しているのか、冷凍して日もちはどのくらいあるのかなど、また、解凍してからの日もちはどのくらいかという質問もありました。バイヤーさんの企業で取り扱っているのは調味料や梅酒などで、果物は取り扱っていない、果物の加工品ならば輸入できる可能性がある、また、日本の有機栽培品や果物は人気があり、日本の柿は中国の柿と全く違う、大変おいしい、高級品としてプレゼント用に販売したい、需要があるが、政府により今は禁止されている、私たちは非常に残念ですとのことでした。
 ジェトロ側からは、あんぽ柿は加工食品として扱えそうであるため、ジェトロ検査局に持ち込んで確認するとのこと。また、中国の果物輸入推進品目の中で柿の優先度は第3番目の状況にあります。加工品から始めるほうが有利であるため、柿の真空パックにすれば加工品扱いになる可能性はあるので試してみる、また、中国は各港によって許可基準が異なるので、トライしてみないとわからないため確認するとのことを約束いたしました。
 私たちの目的は生柿の輸出が目的なので、以前できていた青森県産のリンゴ、鳥取県産の梨のように、検疫なしで和歌山産の柿も輸出できないものかをお願いいたしました。私たちも、農林水産省管轄になるので、たびたび出向いて要望活動をして、輸出できるように努めたい。
 5月21日11時から、中国国際貿易促進委員会大連市分会・崔鐡会長を含め、4人の方と会談を行いました。
 「毎年9月に商談会を行っています。参加してほしい」との要望があったが、「この時期では柿の現物の持参は難しい。1カ月後なら可能です。その時期に合わせてほしい」とお願いをしたのですが、ことしは決まっているので変更できないとのことでした。柿の現物がなくても、9月に参加して文化の交流や観光の促進を推し進め、柿の宣伝を行い、展示即売のみでなく、パンフレットなどで商談に持っていけるように考えることも可能である、また、輸入関係の会社の方が5000社集まるので、人気が世界一であるとのことでした。
 中国国際貿易促進委員会から、「日本での観光のときでも中国人観光客が土産として買って帰ると思います。中国で周知するためにも参加してください。政府同士が決定するために、すぐに輸入というわけにはいきませんが、民間同士の個々の交流から機運を高めるとともに、並行して加工品販売から実施しましょう」と確認をいたしました。
 5月22日朝8時、アカシア祭りに参加し、アカシア公園を3キロ余り歩き、アカシアの花を満喫しました。1000人余り参加しており、各県からの多くの日本人と接することができました。
 午後7時からアカシア祭り親善歓迎パーティーに参加し、午後8時から中日友好協会セレモニーに参加し、その席上において、過去4回の柿の見本販売商談会に参加と今回の訪問により、中日友好団体として、和歌山県柿輸出振興会20名を代表して訪問団長の井本泰造かつらぎ町長が表彰を受けました。また、井出益弘最高顧問も、大連市友好使者の称号を授与されました。
 5月23日帰国。帰国後、ジェトロ及び紹介をいただいていたバイヤーから、あんぽ柿が検疫通過の確認を得たからと連絡があり、紀北川上農業協同組合との商談会を開始しているところでございます。
 また、ジェトロ大連・安藤勇生所長から、前回、県議会の鈴木太雄団長の訪問時に、観光ポスターが北海道と京都だけ張ってあるが、持参したら展示しますとのことで、今回持参の和歌山県の観光ポスターをよいところに展示しましたのでと写真を送ってくれました。また、皆様と一緒に目標のために努力したいと連絡がありました。
 総括といたしまして、おおむね輸出品は、日本で販売する金額の2倍から3倍程度の価格で販売されているが、売れ行きは悪くないとのこと。富裕層をターゲットとした高級フルーツの需要はある。背景には、中国人の購買意欲の高さと食に対する安全・安心な志向が強いと思われる。高級フルーツの需要がまだ伸びると思われます。
 今回、和歌山県産柿輸出交渉に参加させていただき、生柿の輸出は今すぐにとはいかないが、あんぽ柿のような加工品であれば、すぐにでも輸出は可能だと感じました。あわせて、ほかの果樹加工品も、ジェトロやバイヤーに情報を伝えることで可能性が大いに膨らみ、可能性が広がると思います。今後も継続して連絡、情報収集し、働きかければ、さらなる可能性があると確信いたしました。
 市場を見学して、バイヤーも言っていたとおり、日本からの輸出は富裕層を狙わなくてはならないと感じました。私たち生産者は、先輩が培ってきてくれたことを踏まえ、よりよい物づくりに徹し、より安心できると皆様から認められる農産物の生産に努めなければならないと改めて感じました。また、中国の輸出に関しては、たびたび上京して、国同士の関係を改善していただき、一日も早く柿の輸出が可能になるように努めたいと思います。
 以上で、和歌山県産柿輸出に向けた大連訪問についての報告とさせていただきます。
 要望といたしまして、仁坂知事さんには、和歌山県産柿を一日も早く中国に輸出が実現できますように御尽力のほどお願い申し上げます。私たちより上京する回数も多いと思いますし、また、多くの知り合いの中でお願いしていただける方々があると思いますので、重ねてお願いを申し上げます。
 報告を終わりまして、次、質問させていただきます。農業共済制度についてという項目で行わせていただきます。
 農業は、地域経済や地方の雇用を支える上で重要な産業であります。その上、豊かな自然を守る重要な役割を担っています。しかし、農業を取り巻く環境は大変厳しくなってきております。少子高齢化が進み、その上、農産物の価格低迷により兼業農家にならざるを得ない状況になっております。
 そんな中でも、先祖代々引き継いできた土地に対して執着する気持ちが強く、手放すことができないのも事実であります。収益を上げるそのためにも、その土地に合った作物への転換や価格の高い品種に改植するなど、高品質な作物を生産するように努めていると思います。私の周りでも見受けられますが、省力化や生産効率を上げるために、園内道の整備や、それに伴い老木園の改植をするなど、適地適作に努めてきています。また、消費者ニーズに対応した品種も見逃さず栽培しております。みんな一生懸命です。
 農業は、自然を相手にする大変難しい産業で、人の力ではどうにもならない、想像もつかないことが発生します。私の住んでいるかつらぎ町も、平成22年に遅霜による凍霜害で種なし柿の新芽が凍りつき、枯れてしまうという壊滅的な状況になりました。ことしも、3月27日にひょうによって田辺市やみなべ町の梅に対する被害が10億8710万円と発表されました。1年手塩にかけて栽培してきて、収穫まであと少しというところでの災害です。慰めの言葉も口に出せないぐらい悲しいことです。
 ここで、質問に入らしていただきます。農業共済制度についての項目です。
 「農業共済制度における県と共済組合の役割は」についてお尋ねします。
 先ほども申し上げましたが、よく言われる、想像もつかない出来事が起きると思います。異常気象による干ばつや、それとは対照的な豪雨など、考えれば切りがないぐらい不安材料が浮かんできます。農業をしていく上で農家の方々の不安を取り除き、安心して農業に従事していただけるための農業共済制度と考えますが、県と共済組合のそれぞれの役割はどのようになっているのですか。農林水産部長にお考えをお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) ただいまの堀龍雄君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 農業共済制度につきましては、議員御承知のとおり、農業者が台風や冷害、干害などによる自然災害に備え、農業者と国が掛金を出し合い、災害があった際に共済金の支払いを受ける農業災害補償法に基づく制度であります。
 農業共済制度における県と共済組合のそれぞれの役割につきましては、組合は、農業共済制度の普及・加入推進活動や共済掛金の徴収並びに被害園地の損害程度の調査や共済金の支払いなどの業務を担っており、これに対して県は、同組合の行う事業が適正かつ効率的に運営されるよう積極的なかかわりを持つ指導機関として位置づけられております。
○副議長(服部 一君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 「現況での和歌山北部・中部・南部農業協同組合の引受率は」の項目に入らしていただきます。
 和歌山県は、南北に長く、高低差もあり、地理条件、気象条件も違っています。それによって栽培する品種の違いが生じ、危険度と危機感も変わってくると思います。各組合の引受率でどのような違いがあるのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 農業共済制度を担う組合としましては、和歌山・那賀・伊都地域を管内とする和歌山北部農業共済組合、海草・有田地域を管内とする和歌山中部農業共済組合、日高・西牟婁・東牟婁地域を管内とする和歌山南部農業共済組合の3組合がございます。
 平成27年度の果樹共済の引受率は、北部組合が14.9%、中部組合が35.8%、南部組合が38.0%で、県全体としては29.7%となっており、主な果樹品目の引受率については、北部組合の柿で17.0%、桃で24.2%、中部組合の温州ミカンで38.2%、南部組合の梅で42.7%となっております。
○副議長(服部 一君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 「共済引受率を上げるための現在の県の取り組みは」に入らしていただきます。
 地域では、栽培している作物別に部会を構成し、担当の係を決めて、その部会ごとに加入者を募り、多くの農家が加入するように努力しています。共済組合の職員さんも、各部会で説明会や各戸ごとに説明に回るなど、引受率の向上に努めています。
 そこで、県としての取り組みはどのようになっているのですか、農林水産部長にお尋ねをいたします。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 共済引受率を上げるための現在の県の取り組みについてでございますが、「県民の友」への掲載、テレビやラジオを通じた広報活動により、農業共済制度の周知や加入推進に努めているところです。
 また、各組合が策定する引受計画に対しましては、より実効性のある計画となるよう助言を行い、全ての農業共済未加入農業者に対し戸別訪問を実施し、農業共済制度の有用性の周知を徹底するような指導もあわせて行ってございます。
 このような県と農業共済組合が一体となった取り組みにより、減少傾向にあった果樹共済の引受率が平成25年度から増加傾向に転じてございます。
○副議長(服部 一君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 「共済加入促進に向けた県のさらなる取り組みについて」に移らせていただきます。
 加入すれば安心なのはわかっているんですが、うちの畑は今余り被害に遭っていないとか、また、掛金が経営に重くのしかかって負担増になっているといった声も多く聞きました。農家の皆さんの負担を軽くすることを考えれば加入促進にもつながるのではと考えます。農林水産部長のお考えはいかがですか。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 農業共済制度は、農業者の自主的な相互救済を基本とし、国が掛金の2分の1を負担している公的な保険制度となってございます。
 共済加入促進に向けた県の今後のさらなる取り組みについてでございますが、県下の各組合の果樹共済は旧市町村を1つの単位として掛金率を算定する地域単位の共済掛金率方式を採用しておりますが、県としては、個々の農業者の被害実態に応じた掛金率とすることで被害の少ない農業者がより加入しやすい農業者単位の共済掛金率方式に改めるよう従来から指導してきたところであり、今年度、南部組合において初めて梅で新方式を導入した結果、引受率が向上したところです。今後も引き続いて、全組合、全樹種で新方式を導入するよう指導してまいります。
 農業共済制度は本県農業行政にとって農業経営の安定を図る重要な施策の1つであり、今後とも農業共済の加入促進に努めてまいります。
○副議長(服部 一君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 地域単位の掛金率から個人の被害状況に応じた農業者単位の共済掛金率方式と説明がありました。南部組合で初めて梅に導入して引受率も上昇したとのことで、よい方法だと思います。
 農園も立地条件のよいところばかりではなく、逆に立地条件の悪さから掛金が高い園地もあります。個人全体の掛金が上がると考えられます。どんな条件であってもこの農業共済に加入しやすいように、掛金の軽減も含めて加入しやすい御指導を重ねてお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、堀龍雄君の質問が終了いたしました。

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