平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(川畑哲哉議員の質疑及び一般質問)


平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(川畑哲哉議員の質疑及び一般質問)


人名等の一部において、会議録正本とは表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
○川畑哲哉君 皆様、こんにちは。議長よりお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、今期定例会が私の地元岩出市は旧県議会議事堂・一乗閣にて開会されたことにつきまして、御尽力を賜りました前芝前議長、山下県議団会長初め議員の先輩諸兄、そして仁坂知事初め当局の皆様方に、改めて心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
 旧県議会議事堂・一乗閣は、議事堂としては現存する最古の木造和風意匠の建造物であり、重厚な議場には、まさに近代のロマンがあふれています。歴史的な価値も高く、傍聴に来られていた県民の方々からも感嘆の声が上がるほどのすばらしい建物であり、和歌山県の誇りでございます。この議事堂内で和歌山県政界の偉大なる諸先輩方が和歌山県勢の発展を願って熱く議論を闘わされたことを思いますと、議事堂内に踏み入るだけで身の引き締まる思いがいたしました。
 今思いますことは、この旧県議会議事堂・一乗閣をお一人でも多くの方に知っていただき、訪れていただきたいということと、重要な文化遺産として、また貴重な文化施設として有効的な利活用をしていただきたいということです。
 12月定例会で質問させていただいた際にも申し上げましたが、この建物は、ことし2016年が没後100年となり、来年2017年が生誕150年となる夏目漱石先生が、明治44年に「現代日本の開化」と題した御講演をされた場所でもあります。この講演は、和歌山講演と呼ばれ、文明発達の根にある人間の横着心を鋭く指摘し、その後の日本を的確に見抜いた内容で、非常に高い評価を受けられているとのことです。
 私が思いますに、夏目漱石先生にゆかりの深いこの旧県議会議事堂・一乗閣において、夏目漱石先生にゆかりの深い年に夏目漱石先生にちなんだ文化事業が漱石ファンや各種団体、地元自治体等により開催されることが予想されます。また、それ以外にも、今後、多くの文化事業がこの建物で開催されるでしょう。それがこの建物の本意にかない、ひいては本県の文化レベル向上につながり、そして県勢発展につながるものと考えております。
 そこで、企画部長にお尋ねいたします。
 旧県議会議事堂・一乗閣で民間団体や各種団体、地元自治体等が開催する文化事業について、県としてはどのような協力をされるのでしょうか。また、県として、旧県議会議事堂・一乗閣の利活用について今後どのような取り組みをされるでしょうか。お考えをお聞かせください。
○副議長(服部 一君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。
 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 旧県会議事堂につきましては、民主主義の歴史を刻む県政の殿堂として貴重な文化財でありますので、その保全を図るとともに、当該施設を情報誌に掲載するなど、歴史文化の拠点としての魅力を発信しているところでございます。
 議員御質問の当該施設で開催される文化事業への協力につきましては、積極的に情報発信してまいります。
 なお、文化団体が行う文化事業への支援につきましては、内容にもよりますが、助成事業も用意しておりますので、御活用いただければ幸いだと思っております。
 当該施設につきましては、みずから利活用を図りたいとの岩出市からの申し出により、岩出市が管理運営を行うこととなっております。よって、その利活用については、基本的に岩出市が主体的に検討し、取り組むこととなります。しかしながら、県の施設でもあり、県が何もしないというのではなく、手すりの設置など活用のために必要な改修は県で行っていく考えであり、また文化事業につきましても、岩出市と連携を十分に図りながら情報発信に努めるとともに、文化団体等の自主イベント開催実現に向けて積極的な情報提供など協力してまいります。
○副議長(服部 一君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 部長より御答弁をいただきました。岩出市が管理運営を行うということですけれども、それは県独自の文化事業を実施できないということにはならないと思いますので、県独自の文化事業開催もぜひとも御検討いただき、そして、本施設の利活用が促進されるような情報発信も含めてしっかりと取り組んでいただきますようお願いを申し上げます。
 次に、教育長にお尋ねいたします。
 旧県議会議事堂・一乗閣は、風情があるだけではなく、歴史の重みと開放感とを同時に感じることができる本県指定の有形文化財でございます。私は、ぜひとも感受性の強い子供たちにも訪れていただき、主権者教育を初めとしたさまざまな学びが得られる場として利活用していくべきと考えておりますが、教育長はいかがお考えでしょうか。今後の取り組みについてお聞かせください。
○副議長(服部 一君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 旧県議会議事堂は、本県の先人が築いてきた歴史を肌で感じながら学べる大変貴重な文化遺産だと考えてございます。県政史を象徴する建造物であり、現存する最古の木造和風意匠の県議会議事堂として高い価値がある県指定文化財であるとともに、さまざまな講演会や集会が行われ、多くの方々に親しまれてまいりました。
 今後、本議事堂において、主権者意識を高める講演会や児童会・生徒会活動の活性化に向けた研修会の開催を検討するとともに、社会見学等においても、この風格と歴史を感じる旧県議会議事堂を多くの子供たちが訪れ、本県の歴史などについて見識を深められるよう、各市町村教育委員会とともに有効に活用してまいります。
○副議長(服部 一君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 前向きな御答弁、ありがとうございました。
 この旧県議会議事堂・一乗閣がお一人でも多くの方に知っていただき、訪れていただけますように、県内外へ積極的に情報発信していただきますよう強く要望を申し上げます。
 それから、「旧県議会議事堂」という呼び方と文化登録名としての「旧県会議事堂」という呼び方とが県庁内でも混在しているようです。世の皆様を混乱させる前に統一していただきますよう御検討をお願い申し上げます。
 次の質問へ入らせていただきます。
 まずは御報告ですが、去る5月15日の深夜に関西国際空港を出発し、私は、地元の事業者の方々と中国は浙江省の義烏というまちを訪れました。この義烏市は、杭州から南へ100キロほど入ったところにある、総面積1105平方キロメートル、総人口123万人という規模のまちでございます。
 私たちは、日程の都合上、上海浦東空港へ入り、虹橋駅へと移動した後、新幹線で約1時間30分ほどの乗車を経て義烏駅へ到着しました。義烏駅周辺は、アジアのどのまちでも見られるような熱気と喧騒に包まれていて、列をなしているタクシーは、客をつかまえるのに必死の様相を呈していました。
 義烏駅からタクシーで走ること約20分、義烏国際博覧センターに到着しました。そこで開催されていた2016中国義烏輸入商品博覧会の最終日を調査いたしました。アジアだけでなく、ヨーロッパやアフリカからもブース出展され、さながら万国博覧会のような壮大さを誇る博覧会となっていました。
 会場内では、世界各国の食品や日用品を初めとしたさまざまな商品が売られていましたが、中でもワインがよく目につきました。中国国内でもワイン市場が発達してきているようです。ほかにも、希少なコーヒーや蜂蜜、アドリア海の岩塩や地域性の高いお菓子等、驚きや発見の連続でありました。
 本博覧会にお招きをいただきました日本館ブースは、日中の両企業が合同で出展をされていたわけでございますが、会場内でその中国企業側の責任者と意見交換を行い、和歌山より持ち込んだ県産品のプレゼンをさせていただきました。その際に最も興味を引かれた商品の1つは炭商品でございました。特に炭シャンプーや炭リンスには質問や提案が集中し、炭ボディーシャンプーも欲しいとリクエストを受けたほどでございました。加えて、CFDA(中国国家食品薬品監督管理総局)認証というものですが、これを取得するならすぐにでも扱いたいと熱烈なオファーを受けました。
 また、中国語の和歌山観光パンフレットを何種類かお見せところ、風光明媚な和歌山の自然や果樹の収穫体験プログラム等にいたく御興味を持たれ、近々必ず和歌山へ行くとお約束をいただきました。
 その後に日本企業側の担当者チームや出品企業・メーカーの皆様とも意見交換をさせていただき、私自身、中国市場について、また中国企業の熱意、日本企業の思いや狙いを随分勉強させていただきました。
 2013年、中国の輸出入総額は4兆ドルを超えました。中国政府は、今後5年内に10兆ドルの輸入額の目標を提出しました。その中で義烏市場は活発化し、世界の商品の重要な集積地となっています。義烏には世界最大の日用雑貨市場があり、1.3万人余りの国外バイヤーが駐在し、義烏を訪れるバイヤーは1日に約20万人と言われています。中国国内外に物流ネットワークが形成され、国際コンテナの専用列車はスペイン・マドリードまで開通し、まさに世界の貿易交流プラットホームへと成長を遂げています。2002年に開業した福田市場と呼ばれる義烏国際商貿城、中国小商品城、賓王市場の3つの大規模日用品の卸売市場が立地していて、日本の100円ショップ等の商品のうち中国産のものは、多くがここを通過しているとのことです。
 義烏市訪問の2日目は、そのうちの福田市場を現地調査いたしました。
 福田市場は、1区から5区までの5棟の大きな建物から成り、広さは東京ドーム30個分、店舗数は6万軒、商品取り扱い数は170万種類以上という世界最大の日用雑貨卸売市場です。その1区と5区を訪れましたが、5区は今も増設工事中とのことでした。市場内では、例えば一般市場では15元、日本円で約270円で売られる宝飾品が、8角つまり約20分の1弱で売られていましたが、高価な骨とう品や工芸品も売られ、日本人形専門店までありました。
 そこで、お尋ねいたします。
 この義烏だけでなく、中国市場は今後、より品質の高いものが好まれて、相応の値段で取引される市場へと急激に成長していく可能性が多分にあると考えられます。そして、皆様御存じのように、安心・安全が担保された日本製の商品は海外で高い人気を誇ります。そこで、高品質な和歌山県産品の将来的な販路拡大先として中国市場について一層の研究をしていくべきと考えますが、県の考えはいかがでしょうか。商工観光労働部長及び農林水産部長からの御答弁、よろしくお願いいたします。
○副議長(服部 一君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 県内企業の販路開拓につきましては、わかやま産品販路開拓アクションプログラム2016に基づき進めているところであり、中国に関しては、ことしで12年目となる山東省との経済交流や、MOUを締結した香港でのハウスウェア・フェアへの出展などの取り組みを行っているところです。
 中国は、世界第1位の人口を背景とする消費市場としての魅力を有していることから、県内企業の中には既に中国での販路を確保し取引を行っているところもあり、県もこれらの企業を支援してきたところです。
 県といたしましては、浙江省寧波市でクールジャパン機構の出資のもと整備中であるジャパンモールや、議員御案内の同省義烏市の義烏国際商貿城など、中国全体を消費市場として注視しながら、さらなる販路開拓に向けた研究を行ってまいります。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 食品分野についてお答えします。
 中国は、人口規模が大きく富裕層もあり、日本の農産物に関心も高いことから、有望市場であると考えております。しかしながら、本県主力産品であるミカン、柿、桃などは植物検疫の問題により輸出できないため、国に対しては、中国政府との協議を早期に開始するよう継続的に要望しているところでございます。
 その上で、県では、MOUを締結した香港貿易発展局とのつながりを核に、加工食品を含め、まずは中国圏経済のゲートウエーとして香港市場の開拓に注力しているところでございます。そこで開催される見本市での商談活動、百貨店でのフェアや本県へのバイヤー招聘などを通じて、香港のみならず、中国本土への人的ネットワーク構築などに引き続き努めてまいります。
 また、先月国が発表した農林水産業の輸出力強化戦略を踏まえ、中国市場における販路開拓についても研究してまいります。
○副議長(服部 一君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 商工観光労働部長、それから農林水産部長より力強い御答弁をいただきました。引き続き、本県へのバイヤー招聘も含め、販路拡大に向けた取り組みに御尽力いただきますようお願い申し上げます。
 次の質問へ入らせていただきます。
 紀州備長炭についてお尋ねいたします。
 紀州備長炭は、プレミア和歌山にも認定されている本県を代表する県産品の1つでございます。国内では最高級の炭として重宝され、高い値段で取引がされています。しかし、その生産量は、国内需要にもまだまだ追いつけていない状況にあります。
 とはいえ、盲目的に紀州備長炭の増産を奨励すると、値崩れや原木枯渇の危機に直面する心配が出てまいります。和歌山県勢発展のためには、紀州備長炭のブランド力と原木林を守りながら生産量をふやしていく必要があるのではないでしょうか。
 紀州備長炭の有力な原木には、和歌山県の県木であり、代表的な馬目規格のウバメガシ以外に、備長規格となるアラカシやシラカシ等のカシの木があります。カシは製炭するのに高い技術が必要とされることから、原木としては専らウバメガシが使用されています。つまり、紀州備長炭のブランド力と原木林を守りながら生産量を上げるためには、ウバメガシだけでなくカシも製炭できるように製炭士の技術力を向上させることが効果的だと考えられます。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 紀州備長炭の増産及び人材育成について、本県としてどのような取り組みをされているでしょうか、お聞かせください。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 紀州備長炭の生産量については、平成23年の台風12号の影響で原木の調達が困難となり、生産量が減少していましたが、平成26年からは緩やかな回復傾向にあります。しかしながら、生産者の約30%が70歳以上と高齢化しており、後継者対策が重要な課題と考えております。
 後継者対策として、市町村と連携しながら受け入れ可能な窯元との調整を図り、新規参入者の受け入れを行うとともに、起業時の製炭窯の整備等には県の単独事業により支援しているところでございます。
 また、昨年度、紀州備長炭指導製炭士を3名、新規に認定し、合計11名の有資格者を中心に、太い木を伐採し細い木を残す、いわゆる択伐技術の習得、製炭技術と品質の向上のため技術指導を行い、生産体制の強化を図り、増産に努めているところです。
 さらに、現在、県木炭協同組合との共催により開催している紀州備長炭「やまづくり塾」において、原木の調達方法を皆伐から択伐へ転換する取り組みとともに、議員御指摘のウバメガシ以外のカシ類の製炭についても啓発しているところですが、今後、同塾の研修内容をさらに充実させることにより、製炭者の技術向上に取り組んでまいります。
 今後とも引き続き、市町村及び県木炭協同組合と連携しながら後継者の育成に取り組み、紀州備長炭の増産に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(服部 一君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 前向きな御答弁、ありがとうございました。
 ブランド力を守りつつ、そして原木林を守りつつ増産していくということは、なかなかの難題でございますが、高知の土佐備長炭に譲ってしまった備長炭生産量日本一を目指してじっくりとお取り組みいただきますようお願い申し上げます。
 それでは、次に、統計教育の推進について質問させていただきます。
 午前中、山下直也議員も、総務省統計局及び独立行政法人統計センターの一部業務移転について御質問されていました。和歌山県勢発展のためには、ぜひとも移転をなし遂げていただきたいと思いますし、私も全力で御協力申し上げます。
 さて、2013年に、若き西内啓氏は、その著書「統計学が最強の学問である」の中で「統計学によって得られる最善の道を使えば、お金を儲けることも、自分の知性を磨くことも、健康になることもずいぶんと楽になるだろう。だがそれはあくまで副産物である。統計リテラシーによって手に入る最も大きな価値は、自分の人生を自分がいつでも最善にコントロールできるという幸福な実感なのだ」と書かれています。
 現実に、野球の世界でも、10数年以上も前から統計データが活用され、データをうまく利活用できているチームや選手は、プロの世界でも活躍をされています。つまり、現代社会において、統計学は、至るところでそれぞれの活動や思考のベースとなっているわけでございます。統計学は、汎用性が高いために、政治であれ、教育であれ、経営であれ、スポーツであれ、そして趣味であれ、その利活用により最速で最善の答えを導けるツールと言えるでしょう。
 もう1例挙げさせていただきます。
 先日、メディプラス研究所が全国の二十から69歳の女性約7万人を対象に、ココロの体力測定(ストレス指数チェック)というものを実施し、ストレスオフ、つまりストレス指数の低い都道府県ランキングなるデータを発表されました。結果、2016年に1位を獲得したのは鳥取県でありました。
 鳥取県女性は、メディプラス研究所が掲げた主なストレス要因の全54項目中41項目に「当てはまらない」と回答し、全体的にストレスを感じにくい傾向にあることがわかったそうです。中でも、特にママ友関係、友人関係、SNSなど、対人関係においては、他県と比較すると友好的な傾向にあることが要因とのことです。その理由としては、整備された育児環境や豊かな自然環境、睡眠時間への満足度などが推測され、お金や時間など、自分への投資がある程度自由になる生活環境を確保できているとされています。
 このデータから、例えば移住施策の勝負キーワードとして活用することができますし、また、生涯現役社会実現を掲げてPRすることもできるでしょう。
 また、鳥取県鳥取市は、朝日新聞出版発行の「AERA」2015年9月14日号にて、移住しやすい街110にも選ばれています。
 ちなみに、この女性のストレスオフ、ストレス指数の低い都道府県ランキングの2位は、何と和歌山県でございます。しかも、「AERA」の移住しやすい街110には、本県より田辺市、紀の川市、岩出市が選ばれています。
 これらのデータは、科学的な根拠に基づいていますので説得力があります。しかし、1つのデータを聞いてただただ納得し、うなずくだけで終わってしまうと何も始まりません。知事も先ほどおっしゃっておられましたが、それをいかに利活用するかが大切だと私も考えます。
 総務省が主催する統計グラフ全国コンクールという大会がございます。この大会は、全国の小中学校等を対象に開催されていますが、昨年の第63回大会には本県より87点の作品が応募されました。一昨年の54点と比べると60%増となっています。ちなみに、人口69万人の島根県では249点、人口143万人の沖縄県では532点、人口291万人の茨城県では4017点もの作品が応募されています。
 統計の利活用力を身につけるためには、子供のころから統計に興味・関心を持たせることが重要であるとの観点から、この統計グラフ全国コンクールにも本県の小中学生はもっと積極的に取り組むべきだと私は考えています。また、そのためには、御指導いただく先生方や学校現場でも統計への意識をより高めていただくべきでありますし、和歌山県統計教育研究会ともより密接に連携をしていただくことが重要です。
 本県では、統計局及び独立行政法人統計センターの一部業務を移転させようという取り組みから、統計についての機運が急激に高まりつつあります。今こそ、全国に先駆けた取り組みをすることにより、和歌山の子供は統計に強いと言われるような基盤づくりに着手するべきだと考えています。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 本県では、統計教育についてどのような御認識をお持ちでしょうか。また、統計教育の推進について、今後どのような取り組みをお考えでしょうか。御答弁、よろしくお願いいたします。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 現在、グローバル化、情報化が進む中で、さまざまなデータから傾向を分析、把握し、それに基づき意思決定を行う力を身につけることが求められており、統計教育は、その基盤を培う大変重要なものと考えてございます。
 小・中・高等学校では、算数・数学科の中で統計に興味・関心を持たせ、学んだ知識を活用することができるよう、発達の段階に即し、系統立てて指導してございます。また、算数・数学科以外の教科においても、表やグラフを活用し、統計的に分析する学習を幅広く取り入れているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、関係部局や県統計教育研究会と連携し、子供たちの興味・関心とその能力をより高めるため、統計に関するコンクールや各種大会に積極的に参加するよう取り組んでいるところでございます。
 今後も、こうした取り組みを広げるとともに、教員研修においても統計に関する内容を取り入れるなど、統計教育の一層の充実に努めてまいります。
○副議長(服部 一君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 今後、学習指導要領改編後の際に統計分野が拡充されるとお聞きしております。先生方や学校現場での意識啓発も含め、全力で取り組んでいただきますよう強く要望申し上げます。
 それでは、次に企画部長にお尋ねいたします。
 小中学生に統計への興味を持っていただく取り組みとして、出前授業が実施されているとお聞きしています。この出前授業とはどのような取り組みになっているでしょうか、また、授業を受けられた子供たちからはどのような感想が聞かれているでしょうか、お聞かせください。
○副議長(服部 一君) 企画部長。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 今回の統計局の誘致に当たり、次代を担う子供たちにも統計に興味を持ってもらうことが大切であると考え、従来、高校生以上を対象としていた「出張!県政おはなし講座」について、その対象を小中学生まで拡大し、教育委員会と協議した上で出前授業として行うこととしたところです。
 先般、和歌山市の2つの小学校で実施したところ、「数字をグラフ化するとすごくわかりやすくなった」、「日本一の果物がたくさんあって、和歌山はすごいと思った」という児童の感想などから、統計に関心を持ってもらういい機会となったと考えております。
 今後、実際行ってほしいとの要望も出てきており、かつらぎ町や岩出市など、県内各学校での出前授業を予定しているところであり、児童生徒が学校教育の場で統計と接する機会をふやし、統計への関心と理解を深めるよう取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 企画部長より御答弁をいただきました。
 和歌山の子供は統計に強いと言われるような基盤づくりに向けて、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、最後の項目に入らせていただきます。
 見えない資本への投資についてお話をさせていただきます。
 世の中には、貨幣や数値ではあらわせないとうとい要素がございます。文化、芸術、郷土愛、道徳、義理、誇り、愛情、友情、また人間関係や評判、信用、信頼、そして感動や興奮、痛みや悲しみの大きさ等々でございます。21世紀に入ってはや16年目となり、文明は目覚ましいスピードで進化していますが、そんな時代であるからこそ、見えない資本がより重要性を増してくるものと確信しております。
 4月に宇治田議員、尾崎要二議員、山下議員、前芝議員、藤山議員、岸本議員、濱口議員、鈴木議員と金沢市を訪れました。
 初日は、日本版CCRC、これはコンティニュイング・ケア・リタイアメント・コミュニティーの略でございますが、その実践モデルと評されている施設を訪問させていただきました。
 この施設内では、多世代の多様なニーズを持つ人々がごちゃまぜになって魅力的なコミュニティーを構築しています。年配の方々は子供たちに歴史や昔話を語り、子供たちは施設内に夢や希望をもたらし、学生は子供たちに学業を教え、職人はその専門技術を提供し、まさに老若男女が共存共栄し、お互いに協力して応援し合いながら健やかに生活をされていました。私も、和歌山版CCRCについて真剣に検討していくべきであると考える契機となりました。
 2日目は、金沢市民芸術村及び金沢職人大学校と金沢海みらい図書館を訪問しました。
 金沢市民芸術村では、ドラマ工房、ミュージック工房、アート工房と、3つの工房にそれぞれ民間のディレクターが委託されて運営に当たることで、多彩なイベントやワークショップが開催され、文化・芸術の発信地として大いににぎわっています。また、ありとあらゆる芸術が、練習し発表できる設備が整えられ、それが安価に利用できるということで、利用者数は増加傾向にあるとのことでした。
 金沢職人大学校は、金沢に残る木造建築の伝統的で高度な職人のわざの伝承と人材の育成を行う目的として設置された施設です。各業種組合の方々と連携し、職人の技術向上のための指導や稽古場を提供されていました。
 金沢海みらい図書館では、自然光を活用したエコロジー設計や児童図書コーナーの設置、自動貸出機の導入など、市民の読書意欲が刺激され、図書館に通いたくなるような先進的な工夫がふんだんにされていて、入館者数が年間65万人を超えるほど多くの市民が利用されていました。
 3日目は、金沢ふるさと偉人館を訪問しました。
 金沢市御出身の世界に誇れる偉人が年表とともに詳しい実績紹介がされ、ゆかりの作品や愛用品も展示された極めて質の高い施設でございました。次代を担う子供たちが、見学や体験などを通じ、ふるさとの先人たちの偉業と生き方を知ることで、郷土愛は一層育まれるものと考えます。訪問を終え、和歌山が輩出した多くのすばらしい先人たちに思いをはせました。
 この金沢市訪問の各施設に共通しますのは、見えない資本に対して多大な投資がなされているということです。共感であったり、文化・芸術であったり、技術や誇りの向上であったり、学習意欲であったり、そして郷土愛であったりするわけでございます。
 見えない資本は、投資をしても直ちに結果が出ることが少なく、結果が出たとしてもわかりにくいことが多いわけでございますが、和歌山県勢のさらなる発展のためには、この見えない資本力強化が必須であると確信しております。予算は限られておりますし、費用対効果の実証も必要ではありますが、仁坂知事初め当局の皆様方には、この見えない資本への投資についても、今後、より前向きな施策立案をぜひとも御検討いただきますよう心から御要望申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で川畑哲哉君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は6月13日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時22分散会

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