平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(菅原博之議員の質疑及び一般質問)


平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(菅原博之議員の質疑及び一般質問)


人名等の一部において、会議録正本とは表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕(拍手)
○菅原博之君 皆様、おはようございます。菅原博之でございます。議長のお許しをいただき、登壇させていただきます。
 まず、このたび会派名を「無所属議員の会」とさせていただきました。県勢発展のため一層全力で取り組みますので、これまで同様、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 では、早速質問に入らせていただきます。
 まず、昨年の6月議会でも質問させていただきました、がんという病に対する県の取り組みについてであります。
 がんは、精神的にも経済的にも、また日常生活における時間という財産においても、患者や家族に重大な負担をかけるものであります。医学界においても、がん撲滅に向けた努力は全力で取り組まれておりまして、この1年でも長年の研究成果の一端が明らかになってまいりました。
 まずは、本年度最初の議会で、本県のがん対策への取り組みについて、改めて福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの菅原博之君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県では、第2次和歌山県がん対策推進計画に基づき、総合的にがん対策に取り組んでいるところです。
 がんの予防につきましては、健康推進員を通じた健康づくりやたばこ対策の取り組み等のほか、肝炎ウイルス検査やピロリ菌検査を実施し、感染に起因するがんへの対策を推進しております。
 また、がんの早期発見のために、がん検診の受診率向上を目指し、検診対象者全員に受診を呼びかける個別通知について、わかりやすく効果的な受診勧奨を進めるとともに、デジタル撮影機器を備えたがん検診車の計画的な更新整備や検診従事者への研修を行い、検診の精度も高めてまいります。
 次に、がん医療につきましては、県がん診療連携拠点病院である和歌山県立医科大学附属病院や、各地域の中核となる地域がん診療連携拠点病院等を中心に、手術療法、放射線療養、化学療法などを効果的に組み合わせた集学的治療や、がんと診断されたときから切れ目なく迅速かつ適切な緩和ケアを受けることができる体制整備に取り組んでおります。
 また、拠点病院等にがん相談支援センターを設置し、がん患者やその家族の不安の解消に対応しております。
 県としましては、今後もがんの予防・検診の啓発に努め、がん医療や緩和ケアの推進に取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 昨年に質問させていただいてから、医学界での研究の成果として、これは研究途中での途中経過と申すべき成果でありますけど、目覚ましい出来事がございました。
 1つは、新しいがん免疫療法であります。これは免疫チェックポイント阻害剤というもので、本来、がん細胞というものは、免疫によって攻撃され、攻撃がきいている間はがん細胞は負けるんですね。しかし、がん細胞の恐ろしさは、我々の体内の免疫細胞のブレーキボタンを勝手に押して、免疫からの攻撃をとめさしてしまうということがわかってまいりました。
 そこで、開発に取り組まれた免疫チェックポイント阻害剤は、ブレーキボタンを押しに来るがん細胞の腕を外す働きのある薬であります。まだこれは臨床研究段階の薬ですが、例えばオプジーボと言われる薬剤は、皮膚がんの一種であるメラノーマに既に承認されて使用が始まっているとのことであります。
 今まで免疫療法は研究し尽されたと思われておりましたが、この免疫チェックポイント阻害剤はコロンブスの卵であります。従来の免疫療法は免疫のアクセルを踏むことばかり考えて研究されてきましたが、免疫のブレーキの研究、そして、がん細胞がそのブレーキを勝手に押すというメカニズムの解明が進んだことで考え出された薬であります。
 これは、手術の難しいがんに対しても、これまで全く治療方法がなかったがんにも有効で、現在2割から4割ぐらいの患者さんで効果があり、効果が出る場合は病が劇的に改善するということであります。ただ、重篤な副作用が出る場合もあり、現在研究段階であります。今後も一層研究が進み、広く服用ができる時代が来るように願っております。
 また、粒子線治療においては、治療装置の小型化にめどがついたということであります。これによって、導入に別途専用の広大な敷地を用意したり大型の専用建屋を用意する必要がなくなり、病院の改築で導入できるめどがついた、つまり、コストダウンが今後進むということになります。
 さらに、現在、先進医療ということで重粒子線治療で300万円程度の治療費が必要ですが、これは1つの腫瘍に対して何回重粒子線を照射しても必要な経費は最初の300万円のみということですので、民間保険会社の先進医療特約などでカバーできる範囲でありますが、それも小児がんや一部の腫瘍に公的な保険適用が始まり、今後も厚生労働省は粒子線治療に高い関心を寄せているということでございます。
 こういったことから、昨年の質問から1年経過した現時点で、改めて粒子線治療について、また新たな免疫療法などの新技術への対応について、福祉保健部長にお尋ねしたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 粒子線治療につきましては、これまで適宜、新しい技術についての情報収集を行うとともに、さまざまな角度から導入の検討を行ってまいりました。
 現在、先進医療を行っている粒子線治療施設は、全国に14施設あります。このうち近畿府県では、兵庫県、福井県の2施設が稼働しており、今後、平成30年ごろまでに、京都府、大阪府、奈良県などで新たに5施設の設置が予定されています。
 このことから、現状では採算性や対象患者数などの面から粒子線治療施設の設置は困難と考えておりますが、今後、運営コストや放射線治療における技術革新など、状況が変われば改めて検討してまいります。
 次に、免疫療法につきましては、手術療法、放射線療法、化学療法に続く新しい治療法として期待されており、オプジーボのように一部の患者に治療効果が認められているものもありますが、現在ではまだ多くは研究段階にあり、今後の状況を注視してまいります。
 県としましては、がん治療は日進月歩、新しい治療方法が研究されていますので、常にアンテナを高くして情報収集に努め、適宜対応できるよう取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 私は、ことし2月に佐賀県さんで設立されている佐賀国際重粒子線がん治療財団の重粒子線がん治療センター、通称・サガハイマットに政務調査にお邪魔し、県の健康福祉本部副本部長さんのお話を伺ってまいりました。
 配付資料02面の中ほどに、重粒子線治療の特徴という線量分布のイメージ図が載っておりますが、これは、腫瘍が存在する場所で一気に重粒子のエネルギーがピークになり、その後、一気にエネルギーが消えるということを意味しております。
 ビームの銃口と腫瘍の距離を正確にとることによって調整できるわけですが、その上、ビームの照射口には患者の腫瘍からとった型枠の下半分が取りつけられ、患者の体内で型枠どおりに粒子線は消える仕組みになっております。したがって、粒子線の届く範囲は患者の腫瘍の形どおりで、その誤差は1ミリ以内ということでございます。つまり、腫瘍以外のその他の臓器を傷つけることなく治療できる、副作用が少ない。
 ですので、通院で治療が行え、副本部長さんのお話では、来られる方の中には、社員に内緒でゴルフに行ってくると言ってお忍びで治療に来られる方もいらっしゃるとのことでございました。治療の30分前に施設に入れば、準備と、その後、治療に30分、合計1時間程度で1回の治療ができるということであり、ほとんどの方が日常生活を送りながら治療に来られるということであります。
 ですので、これは、県土の広い和歌山県民の皆さんが日常生活を送りながら治療できるためには、やはり和歌山県内に欲しい施設であります。
 佐賀県では、この重粒子線治療施設をつくるに当たり、100社以上の民間企業から御寄附を募り、鳥栖市から敷地の提供を受け、お隣の福岡県さんからも、完成すれば福岡県民のほうが利用が多いだろうからと補助金も出していただき、完成したとお聞きしました。
 これは、平成25年5月に完成された当時はまだ日本でも珍しく、広範囲の関係者を協力者にできた結果でありますが、福祉保健部長のただいまの御答弁のとおり、今後、近隣府県に続々と設置される現状を考え、また和歌山県の実情を考えたときに、私は、要望として、情報収集とともに分析に力を入れて、その情報収集、分析にもぜひ専門医の方も入れ、これがコストや効果など、今後の治療方法として方向が見えたと判断できる時点で、和歌山県で素早く実現するための基金の検討を要望させていただきたいと思います。
 ランニングコストの問題もございますが、例えば、免疫療法など新しい治療法の場合、専門医を育てることや何らかの施設を用意する場合もあると思います。
 配付資料03面に重粒子線治療の対象となるがんが載っておりますが、対象となるのは、1つの部位にとどまっている固形のがんに対して極めて有効です。一方で、血液のがんや広範囲に転移のあるがん、不規則に動く臓器の胃がんや大腸がんなどは対象になりません。
 そこで、医学界には免疫療法との併用が有効だという考えも出ております。免疫療法で転移を抑えつつ、粒子線治療で腫瘍を撃破する、両方を併用することで治療期間を縮めることができ、社会生活を続けながら完治できる可能性が高まるのではないかと、これらの研究が待ち遠しい限りであります。
 基金を設立し、新しい医療技術をいち早く県民に提供できる取り組みをぜひ御検討いただきたいと要望いたします。
 続いて、認知症対策に移りたいと思います。
 認知症についても、近年、医療や予防の研究が進んでおりますが、今回は、予防に絞ってお尋ねいたします。
 県としても、県民の健康寿命はさまざまな点で重要なことでありますので、福祉保健部長に認知症予防のための取り組みについてお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 認知症とは、さまざまな病気が原因で脳の動きに不都合が生じている状態を指し、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、脳血管性認知症の3つが認知症を引き起こす病気の約80%以上を占めると言われています。
 議員御質問の認知症予防に関しては、アルツハイマー病などの認知症を引き起こす大半の病気は、いまだ根本的治療薬や予防法は十分には確立されていませんが、認知機能低下予防の観点からは、認知症を正しく理解し、認知機能低下の予防に効果があるとされる運動やパズルなど、脳によい刺激を与える取り組みを習慣づけることが大切であるとされています。
 このため、県では、平成16年度、17年度の2年間で、県立医科大学と共同して独自の認知症予防教室プログラムを開発し、現在まで市町村で実施する介護予防事業の1つとして開催されるよう普及に取り組んできた結果、平成27年度では、17市町村でプログラムを活用した脳トレ教室などの認知症予防教室が開催されています。また、他の市町村においても、高齢者の集うサロン活動などでレクリエーションとして、脳トレドリルなど認知症予防の内容が取り入れられています。
 県としましては、今後ともより多くの市町村で認知症予防教室などの認知機能低下予防の活動が行われるよう支援していきます。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 いずれにしましても、認知症が進行してしまってからでは効果が少なく、本人が自分は健康だと思っているときから取り組まなければなりません。
 県民の声として切実に伝わってくるのですが、予防の教室があるなら、ぜひ母を連れていきたかった、父親を連れていきたかった、自分自身も大変関心があるといった声をお聞きします。
 病としてのアルツハイマー病や特殊な認知症とは別に、普通の認知症の前段階というべき認知機能の低下の段階、つまりエピソード記憶や何かをしながら別の何かをするといった機能、やりなれたことでなく新しいことを計画する機能の低下が少し見られる段階で、適切な指導とトレーニングを行う、そうすることでまた完全にもとに戻すことができるとお聞きしますので、認知症予防教室プログラムは、ぜひ活発に普及させていただきたい取り組みだと思っております。
 ぜひ普及に一層力を入れて、教室の開催が今も実施されていない地域にも広げる、そして、たとえ実費程度の有料となっても、開催回数を多くするといった取り組みを要望したいと思います。
 続きまして、ひとり親家庭への支援について進みたいと思います。
 子供にとって、両親の離婚や親の死亡などで突然ひとり親家庭となった場合はもちろん、物心ついたときからひとり親家庭で育つ場合においても、子供の不安は大きいものであります。
 特に、1人だけの親が悩みや心配を心に抱えている場合など、子供心に敏感に感じ取るわけでありますが、子供への支援という観点からも、ひとり親家庭への支援は、私は家族に直接な経済支援を行うとともに、家庭の自立を支援することが大変重要であると考えております。
 親がたくましく生き抜いている姿を子供に見せることは、子供にとっては自分自身の将来に自信を持てる原動力であります。その意味で、子供を抱えるひとり親に対しての就業支援や、仕事を続けるに当たっての障害があれば、それを手助けできないか等、本県のひとり親家庭への支援内容について、現状と今後の取り組みを福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) ひとり親の方は、子育てと生計の維持を1人で担うなどの困難を抱えております。
 県におきましては、ひとり親家庭の方を支援するため、児童扶養手当による支援に加え、就業支援として、和歌山県母子家庭等就業・自立支援センターの設置や、就職に有利な資格取得を支援するため、高等職業訓練促進給付金の支給などを実施してまいりました。
 また、平成27年度からは、わかやまひとり親家庭アシスト事業として、就業時にファミリーサポートセンターなどの養育サービス料に対する補助制度と、公益社団法人和歌山県母子寡婦福祉連合会等と連携したひとり親家庭見守り支援員制度を整備しました。
 現在、県下で63名の見守り支援員が、子育ての相談や各世帯に合った給付や貸し付けなどの各種制度を組み合わせたプログラムを作成し、各世帯に寄り添いながら支援制度の活用を助言しております。
 県としましては、今後もひとり親家庭の生活実態や実情に応じ、子育てと仕事の両立を図り、生活の安定と自立を支援する取り組みを実施してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 私たちの子育て世代とは雲泥の差の感があるほど、制度が充実していると感じております。また、長い活動の歴史をお持ちの和歌山県母子寡婦連合会さんの熱心な取り組みと高い社会的意識があってのことと推察いたします。ぜひ周知にも力を入れていただきたい。現状は、児童扶養手当の申請時にパンフレットや窓口での説明で周知をされているようですが、私は、もっと一般の方にも、例えば、移住希望者の窓口でもアピールしてよいと思っております。
 和歌山県は、ひとり親家庭にもこういうセーフティネットがある、こんなに優しい県なんだと、一般の方にもぜひわかっていただくべきだと考えております。
 続きまして、企業誘致の質問に移りたいと存じます。
 白浜のIT拠点の企業誘致が好調とお聞きしておりますが、IT企業は、グループのリーダー的存在が地域に進出すると他の企業も続いて進出する、あるいは師匠と仰いでいる方が進出すると慕っている経営者の企業も進出する、そういったパターンが多く、誘致の好循環が生まれることが多いとお聞きいたします。
 この勢いを継続して、さらにIT企業を呼び込まなければなりませんが、好立地の誘致スペースの余裕はあるのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 白浜町へのIT企業の誘致拠点でありましたITビジネスオフィスは、昨年、総務省のふるさとテレワーク推進のための地域実証事業を契機に、株式会社セールスフォース・ドットコムとパートナー企業4社が進出し、満室の状況でございます。
 同事業では、先日、総務大臣や自民党のテレワーク特命委員会の視察が行われたところですが、白浜地域におけるテレワークの生産性の向上が実証されるとともに、進出企業へのUターン就職や小学生を対象としたプログラミング教育等の地域交流活動が行われるなど、地元への効果があらわれております。
 県としましては、この機を逃すことなく、情報関連産業の集積を図るため、民間オフィスを活用しながら早急に誘致スペースを確保し、白浜町と連携してさらなるIT企業の誘致を図ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。白浜が日本のシリコンバレーになればと願っておりますので、さらに御奮闘いただけますようお願いいたします。
 続きまして、テレワークについてでございます。これも佐賀県で政務調査させていただいてまいりましたので、その御報告から始めさしていただきます。
 佐賀県では、介護世代というべき50代の職員が最も多く、30代以下の子育て世代の職員の半数は女性であるということであります。本県と同じく、少子高齢化の問題に直面しており、大変深刻に受けとめておられます。
 県庁で業務に精通し、人間関係も築き上げてきた有能な女性職員さんが、親の介護や子育てのためにやむなく職を去っていくという状況ですね。その数は、今後もふえ続けるだろうということは、明らかだったということであります。
 そして、宮崎県の鳥インフルエンザの発生で気づいたことは、人の感染症のパンデミック、危機が起こった場合、このままでは県庁の機能が麻痺してしまうということでありました。
 そこで、当時、佐賀県が総務省御出身の古川知事のもとでとった方向は、職員の能力を生かしてもらうためには、柔軟で働きやすい環境が不可欠であるということと、在宅勤務のような働き方を選択できる環境の整備が重要だという考え方で、テレワークを導入するべきだという結論であったわけであります。
 そして、これは女性の子育て支援につながり、男性の育休を促進する上でも有効な取り組みであります。
 先ほど申しました佐賀県のパンデミックへの対応でございますが、実は、私は、井出益弘委員長を先頭に、県議会の行政改革・基本計画等に関する特別委員会の県外視察で、本年1月25日にも福岡県に入らしていただきました。
 しかし、その際には、観測史上最悪という大変な大雪で、沖縄県にも100年ぶりに雪が降ったという、全国版のテレビニュースでも報道される異常気象に見舞われました。当時、交通機関は全面麻痺し、道は車の長蛇の列がとまったままで、我々も立ち往生を余儀なくされてしまったわけですが、佐賀県庁に出社できた職員さんは3分の1であったそうです。しかし、テレワークのおかげで、残りの職員さんも在宅で職務を果たすことができ、業務には全く支障が出なかったということであります。
 そして、私は、和歌山県にとってIT企業を誘致し、ITを基盤とするイノベーションを起こすことは、本県発展に死活的に重要であると思っております。そういう意味で、県組織もITの積極活用とIT企業に見られる柔軟な働き方の導入を率先するべきだと考えております。
 人口減少に際して、人材の確保という観点からも、テレワーク導入に取り組まなければなりません。民間に導入を勧め、市町と連携し、まず県みずからも率先して推進する必要のある政策であります。
 市町の話ですが、平成の大合併が一段落し、経過を見たところ、全国的にその合併効果は費用の面では出ていないではないかと言われております。そういう問題にも、テレワークはモバイルで連携でき、移動の無駄を省くことから有効であります。
 また、全く昨日9日、「日本経済新聞」朝刊の1面トップに「トヨタ、総合職に在宅勤務 8月めど2万5000人対象」という見出しの記事が掲載されておりました。内容は、やはり介護離職で業務知識の豊富な社員を失うリスクの高まり、男性による育児を後押しする必要、女性が働き続けやすい環境を整える狙いなどが主なポイントでございますが、社会が大きく変化しようとしていると思っております。
 そこで、知事に、本県職員へのテレワーク導入について御所見をお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) テレワークの意義については、まことに同感でございます。
 議員御提案の県庁職員に関する在宅勤務の件につきましては、職員のワーク・ライフ・バランスを促進する観点からは大変有用であると思いますし、介護とか子育てとかいう面でなかなか魅力的であるというふうに思うんですが、県職員の仕事というのは、どうも企画的とか非定型的とか、あるいは対人対応的なものが多くて、切り出しにくいというか、そういうところもありました。また、情報保護とか、それから業務管理、機器整備など、解決すべき課題もあるというふうに認識しております。
 一方、行政事務用パソコンやタブレットを活用した、いわゆるモバイルワークにつきましては、これは、実は機動支援隊のときにも全部常備させることにしておりまして、大規模災害発生時の災害情報の収集分析などに、既に活用を始めているところでございます。
 これもテレワークなのだと宣伝している県もあるようでございまして、やれることはどんどんやっていきたいというふうに考えております。業務の効率化や多様な働き方の観点からテレワークの導入は大変魅力的でございますので、さらに調査研究を進めていきたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 大変難しい問題を含んでおると思います。県の職員さんの業務というのは特殊なことも理解しております。ただ、まず環境を整えることと第一歩を踏み出すことが大変重要なんではないかと思っておりますので、できるところから始めるということで、ぜひ御検討いただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。これで、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、菅原博之君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時29分休憩
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