平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(全文)


人名等の一部において、会議録正本とは表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成28年6月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成28年6月10日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第173号から議案第188号まで並びに報第1号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第173号から議案第188号まで並びに報第1号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       市川靖之
 企画部長       高瀬一郎
 環境生活部長     日吉康文
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   岡本圭剛
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   溝端莊悟
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       上坊 晃
 次長         西原龍也
 議事課長       中谷政紀
 議事課副課長     浜野幸男
 議事課課長補佐兼議事班長
            長谷哲生
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主査      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第173号から議案第188号まで、並びに知事専決処分報告報第1号を一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 34番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。
 平成28年6月定例会が開会いたしました。いよいよ、本日から4日間にわたり一般質問が行われます。初日のトップで登壇の機会を与えていただきましたことに対しまして、議長初め先輩・同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げる次第であります。
 それでは、ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきたいと思います。
 去る4月1日、岩出市におきまして旧和歌山県議会議事堂の開館式典が盛大に開催され、私も参加させていただいた次第であります。その折に、諸先輩方から、この県議会を旧議事堂で開催してはいかがかというお声をいただきました。そのお声を受け、また、知事、議長、先輩・同僚議員、岩出市長を初め多くの方々の御理解と御協力のもと、6月定例会の初日が旧議事堂で開催されたわけであります。
 皆さん御承知のとおり、旧議事堂で県議会が開催されたのは、昭和13年以降78年ぶりのことでありました。明治31年春の建物竣工後、昭和13年までの40年間にわたり旧議事堂において県議会が開催されていたわけでありますが、先人たちが和歌山県の発展のため旧議事堂で激論を交わし合っていたであろう情景に思いをはせますと、非常に感慨深く、かつ身が引き締まる思いでありました。
 そこで今回、私は、いわゆる言論の府、この歴史の重みをかみしめながら今この場に立たせていただき、和歌山県の目指す将来像を示すであろう長期総合計画に関連した項目を中心としたその質問をさせていただき、次に、議案に関する項目1点についてお尋ねさせていただきたいと思います。
 まず最初に、新たな和歌山県長期総合計画の策定についてお尋ねをいたします。
 仁坂知事が初当選されたのは平成18年12月であり、その翌年度早々から現行の長期総合計画の策定に取り組まれました。最新の「県民の友」6月号の知事メッセージ「地方創生総合戦略と長期総合計画」を読みますと、当時のことにも触れておられまして、長期総合計画を県庁の皆で議論したときの熱気は今でも思い出す、そう述べられております。思い起こせば、県議会といたしましても大いに意見を述べさせていただき、平成20年2月議会において、この計画を議決したものであります。
 知事は、これまで長期総合計画に掲げた将来像「未来に羽ばたく愛着ある郷土 元気な和歌山」を実現するため、計画で示された施策の基本的な方針に基づき、本年度の新政策や予算編成を通じて具体的な手だてを講じてこられ、長期総合計画に基づいた体系立てたマネジメントを確立されていると感じております。
 また、この間、平成23年に発生した紀伊半島大水害からの早期復興、昨年の紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会の大成功など、県政のかじ取り役として大いに力を発揮されたことは、県民の誰もが知るところであります。
 このように着実に県政を運営してこられた一方で、全国的な地方創生の動きに対応するため、昨年6月に人口減少の克服と持続可能な地域づくりを目指し、県長期人口ビジョンと県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定するとともに、本年の2月県議会において、あらゆる分野について、これまでの施策のラインナップを総点検し、新たな長期総合計画策定の取り組みをスタートする旨、説明がなされました。
 4月早々には、知事を本部長とする新長期総合計画策定本部を設置されたということであり、4月7日に開催された第1回新長期総合計画策定本部会議に諮られた策定方針を読みますと、計画策定の趣旨や計画の内容、今後の進め方など、計画策定に係る骨格が記載されておりました。県当局において、新たな長期総合計画策定の取り組みが今着々と進められている状況にあります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 現行の長期総合計画の期間は平成29年度末までとなっている中、1年前倒しして平成28年度中に新たな計画を策定するに至った、その知事の考えをお聞かせいただきたいと思います。
 また、長期総合計画は、県政を進める上での総合的な指針であるため、その策定に当たっては、県民の皆様の声を反映するとともに、県議会との意思疎通や意見交換が重要であると考えております。今後、計画をつくり上げていく上で県議会とどのように議論をしていくおつもりなのか、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 2点目の質問に入ります。
 総務省統計局の移転についてお尋ねをいたします。
 昨年3月、国が東京一極集中の是正と地方創生の観点から政府関係機関の地方移転について提案を募集し、本県からは、総務省統計局と独立行政法人統計センターが提案をされました。
 私は、常々統計というものに非常に大きな可能性を感じておりまして、国等が保有する膨大な統計データを分析、解析する力を養うことで、和歌山県の今後の施策の検討に大いに役立つもの、例えば、少子化問題であったり医療・福祉の問題や県内就職率、そんな問題等々を初めとする和歌山県長期総合計画に掲げる各種課題の解決に向けた、その突破口を見出す可能性を大きく高めることにつながるものと考えていたところであります。そのような折に統計を扱っている機関がここ和歌山に来ることになるかもしれないというお話は、大変御期待を申し上げるところであります。
 そこで、改めて知事にお伺いをいたします。
 数ある省庁の中で、なぜ総務省統計局の移転を提案したのか、またどのような効果があると考えられているのか、あわせて移転の実現に向けた知事の決意をお聞かせください。
 次に、本年3月22日にまち・ひと・しごと創生本部が決定した政府関係機関移転基本方針によると、総務省統計局及び独立行政法人統計センターが実施する実証実験は、ICTの活用等を図りつつ、地域のユーザー、研究者、データサイエンスに関する蓄積との連携、人材確保、利便性等を検証することを目的として、本年5月から7月の間に4回にわたって行うこととなっております。
 その第1弾といたしまして、統計データ利活用に関する有識者会議が去る5月27日に和歌山県民文化会館で開催されたところであります。
 そこで、企画部長にお伺いをいたします。
 統計データ利活用に関する有識者会議の内容はどういったものであったのか、企画部長はそれをどう受けとめられたのか、また今後の実証実験の予定はどうなっているのか、さらに、総務省統計局の移転実現に向けた本県としての取り組みはあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 3点目の質問に入ります。
 平成28年熊本地震に関係した和歌山県の地震対策について、お尋ねをいたします。
 去る4月14日夜、熊本県を震源とする最大震度7、マグニチュード6.5の地震が発生いたしました。その28時間後、16日未明に再び震度7の揺れが熊本県を襲いました。後に本震とされるこの地震の規模はマグニチュード7.3で、これは阪神・淡路大震災と同じ規模の大地震でありました。
 一夜明け、テレビを通じ、熊本の象徴である熊本城の深く傷ついた姿、多くの家屋の倒壊、橋梁の落下、多くの救助事案の発生など、被災の状況がつかめるようになってまいりました。そして、時間を重ねるうちに、被害がさらに大きなものであることがわかりました。
 これは人ごとではない。南海トラフを震源とする地震・津波の発生が想定される本県にとって、これはいつ私たちの身に起きるかわからないことだと、身を引き締める思いでテレビに映し出される光景を見続けました。
 昨日の熊本県の発表によりますと、犠牲になられた方は、災害関連死と疑われる方を含め69人、行方不明1人、重軽傷者1736人、全半壊・一部破損など被害を受けた住家は13万6154棟、避難所で避難生活を送っている方は6701人という状況であります。
 改めまして、今回の熊本地震により犠牲になられた方々に対し、心より哀悼の意を表し、お悔やみ申し上げます。また、多くの負傷された皆様、住居等財産の損害を受けた皆様、今なお避難生活を余儀なくされた不自由な生活を送られている皆様に心よりお見舞いを申し上げますとともに、被災地域の早期の復興を願うものであります。また、義援金による支援や現地でボランティア活動など被災地支援をされている皆様にも、改めて敬意を表する次第であります。
 過日、私たち県議会といたしましても、各会派の合意のもと、熊本県に見舞金をお贈りいたしました。
 また、自民党和歌山県連といたしましても、公益社団法人和歌山県トラック協会の御協力をいただき、ペットボトル入りの2リットルの水1800本、そして県民の皆様から街頭募金でいただいた義援金をお届けするため、本震発生の4日後、4月20日の夜、当時の藤山副議長、岸本議員、濱口議員の3人を熊本に向け派遣したところであります。
 また、私が顧問を務めます和歌山市管工事業協同組合も、給水管漏水調査及び修繕作業を実施すべく、4月26日から5月10日にかけて、組合員延べ14名を熊本に派遣したところであります。
 私のところにも、熊本のことを思う県民の皆様の声が多く寄せられています。私も、皆様とともに被災地の復興をお支えしていく、その決意を持って支援に当たってまいる所存でございます。
 そこで、地震が発生し、2カ月が経過しようとしておりますが、熊本地震に関連して3項目にわたり質問をさせていただきたいと思います。
 災害により住家に被害を受けた被災者は、まず市町村が開設する避難所に身を寄せます。命からがらたどり着いた方、傷ついた方、家族の安否が不明な方、そこに避難してくる方それぞれが不安に包まれていることでありましょう。避難所は、快適な環境が確保されていることにこしたことはありませんが、災害時であり、それが難しいことであることは理解するところであります。一日も早く復旧・復興をなし遂げられ、平穏な生活を取り戻されることを痛切に願うところであります。
 被災地では、今後、復興に向かうため、インフラの復旧、避難所から仮設住宅への移行、大量の災害廃棄物の処理等、さまざまな問題を解決していかなくてはなりません。今、熊本県、被災市町村、熊本県民は、オール熊本としてこれらの問題に立ち向かっています。国におきましては、熊本地震を激甚災害として指定し、災害復旧事業の補助率のかさ上げ措置を講じるなど、支援していくこととしております。そして、国による支援に加え、本県を含む地方、そして国民も、みんなが一体となってさまざまな形で支援をしていくことが、熊本の早期復旧・復興につながっていくものであると考えます。
 現在、和歌山県、そして県内の市町村の職員の皆さんが、被災自治体の支援に汗を流されています。県から派遣されている職員の皆さんは、主に最も地震の揺れが激しかった、また最も被害が大きい益城町において、避難所運営や家屋被害認定、災害廃棄物の処理等の災害時業務の支援に携わっておられると伺っております。
 特に、瓦れきなどの災害廃棄物は、今後、壊れた家屋の解体が本格化するに伴い大量に発生することが想定されます。熊本県では2年以内に災害廃棄物の処理を完了するという方針を立てておられますが、特に被害の大きかった益城町にとっては困難な道のりとなるのではないかと心配をしているところであります。
 南海トラフを震源とする地震・津波の発生という大災害が想定されている本県としては、この益城町当局及び町民の皆さんと気持ちを共有し、支援を続けていかなくてはならないと考えます。その支援の経験が、本県の防災力の向上に資するものであると考えるところであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 これまで本県が熊本地震の被災地に対し、どのような支援をしてきたのか、また今後どのように支援していくのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、このたびの熊本地震は、日奈久断層帯、布田川断層帯の活動により引き起こされた直下型地震であると言われております。また、一部報道では未知の活断層の発見も指摘されております。
 そして、本県に目を向けますと、県北部には活断層である中央構造線断層帯が横断しており、また県南部には南海トラフ地震の想定震源域が広がっております。この震源域におけるプレートのひずみの蓄積につきましては、従来から指摘されていたところでありますが、過日、海上保安庁の実測データにより、ひずみの分布状況が明らかになったとの報道がありました。
 熊本地震本震の原因となった布田川断層帯における今後30年以内の地震の発生確率は、マグニチュード7程度の地震がゼロから0.9%と評価されておりました。一方、和泉山脈南側に位置する中央構造線断層帯における地震の発生確率は、マグニチュード7.6から7.7程度の地震が0.07から14%と評価されております。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 これまで和歌山県は、南海トラフを震源とする地震・津波及び中央構造線断層帯の活動による直下型地震にどのように備えてきたのか、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
 次に、熊本地震の被害の大きさを目の当たりにした今、南海トラフを震源とする地震・津波対策とあわせて、内陸部で起こる直下型地震への対策を強化していく必要があることは明らかであります。そして、さらに本県の防災力を向上させるためには、4月14日の熊本地震前震の発生、16日の本震の発生以降、熊本県で起きていることを本県に重ね合わせて考えることが必要ではないでしょうか。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 熊本地震の被災状況や今回の被災地支援から得た経験などを今後どのように本県の防災対策に生かしていくのか、お聞かせをください。
 4点目の質問に入ります。わかやま版PFIの推進についてお尋ねをいたします。
 本年2月に発表された県の平成28年度当初予算・新政策を改めて見直してみますと、5つの基本目標の1つである「安定した雇用を創出する」の中に、「『わかやま版PFI』を活用した民間企業等の誘致を検討」というものがあります。
 このわかやま版PFIの考え方についてお尋ねする前に、いわゆるPFI法に基づくPFIに関連する国の動きを見てみますと、去る6月2日に閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針2016、いわゆる骨太の方針において、「公共施設等の整備・運営への民間のビジネス機会を拡大するため、国及び人口20万人以上の地方公共団体等における実効ある優先的検討の枠組みの構築・運用、地域の民間事業者の案件形成力を高めるための地域プラットフォームの形成・活用、民間資金等活用事業推進機構の活用等により具体的な案件形成を図り、地域経済の好循環を促していく」とされるなど、国は、地方公共団体に対してPFIの積極的な推進を求めております。
 一方で、国が推進するPFIは、行政のコスト縮減も大きなメリットとされていますが、施設の設計、建設から後年度の維持管理、運営まで一括して発注することとなるため、大手ゼネコンなど、PFIの実績やノウハウを有する全国規模の企業に仕事をとられてしまい、これまで受注していた地元の中小企業が受注できなくなるのではないかとの懸念があります。
 さらに、他府県で取り組まれた過去のPFI事業には、破綻事例も数多く見受けられるとともに、中には発注者である地方自治体が違約金を払って契約を解除した、そんな事例もあると聞いており、発注までの事前の手続の煩雑さも含め、行財政改革の観点から見ても万能の特効薬ではないように思えます。
 私は、決して民間活力の活用や官民連携の推進を否定するものではなく、むしろ積極的に推進していただきたいと考えておりますが、結果的に地元中小企業の受注機会を奪い、地域の活力を弱めてしまうことになっては意味がないと考えます。この点を踏まえ、県としてPFI法に基づくPFIをどのように進めていくのか、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、本題のわかやま版PFIについてでありますが、PFI法に基づくPFIは、公共施設等の整備に当たり、民間の資金やノウハウを活用する手法であると理解をいたしておりますが、県が取り組みを進めようとしておられるわかやま版PFIとはどのようなものであるか、改めて知事に御説明をお願いいたします。
 また、わかやま版PFIにつきましては、ことし4月から商工観光労働部商工労働政策局内に新たにPFI推進室を設置し、検討を行っていると聞いております。組織発足からまだ2カ月しか経過していない状況ではありますが、現在の進捗状況について商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
 最後の質問に入ります。
 議案第173号の補正予算の中で、勝浦漁業協同組合への株式会社地域経済活性化支援機構の再生支援決定に伴う損失補償の実行に要する経費があります。また、議案第187号で同機構に対する債権の減額譲渡というものがありましたが、これらに関連してお尋ねをいたします。
 去る5月18日の新聞各紙に、勝浦漁業協同組合に対して、政府系ファンドの同機構が再生支援決定を行い、市場を引き継ぐ和歌山県漁業協同組合連合会や那智勝浦町とともに記者会見が行われたとの記事が掲載されておりました。
 勝浦といえば全国有数の生マグロの水揚げがある漁協として有名でありますが、報道によると、かつて186億円あった水揚げは近年では60億円台まで落ち込んでおり、過去のマグロ漁業者の経営破綻で漁協がこうむった負債の完済にはいまだ20年以上必要であるとのことで、漁協の組合長は、「今ある漁協の再建よりも、漁業者の負託に応えられる生マグロの市場を早期に活性化、発展させる道が最善と判断した」、そう語っておられました。
 私は、この市場は観光産業と車の両輪をなし、那智勝浦町を中心とした地域経済を支える上で大変重要なものであり、また、県内水産業にとっても非常に大切なものであると考えます。
 そこで、農林水産部長にお伺いをいたします。
 先ほど申し上げたとおり、今議会にはこのことに関連する予算案や議案が提案されているところでありますが、その具体的な内容と県としての対応についてお聞かせください。
 以上、和歌山県長期総合計画に関連し、大きく4項目について、また、議案に関連した1項目について質問を進めてまいりました。知事初め担当部長の前向きかつ心ある御答弁を御期待申し上げ、私の1回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 近年、我が国を取り巻く状況は大きく変動しております。
 まず、長期総合計画の策定についてでございます。今後、加速度的に進む人口減少の克服に向けた地方創生の取り組みや、大規模災害の相次ぐ発生に伴う国土強靱化の流れに加え、急速な高齢化の進展やTPPの大筋合意、訪日外国人観光客の大幅増加など、新たな諸課題への速やかな対応が求めてられております。
 このような状況の中、本県では、昨年度、和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略や和歌山県国土強靱化計画をいち早く策定し、平成28年度新政策において、これらの計画に掲げた目標を達成するための新たな施策を具現化し実行しております。
 一方、現行の長期総合計画は9年目を迎えておりますけれども、こうした状況変化に対応するため、今ここで改めてこの先10年間の戦略を一から練り直し、県民の皆様にその総合的な指針を早期に示すことが重要であると考えて、計画の策定を1年前倒しをしたいと思っているところでございます。
 現在、県民や市町村の意見を広く伺いながら、新たな計画を策定するための課題整理を行っているところでございます。私はここが一番大事だと思っておりまして、県民の方々、各団体を初め、皆さんに意見をそれぞれの部局が聞いていらっしゃいというふうに言っとりますけれども、聞きにこないぞという方がいらっしゃれば、ぜひ御一報していただきたい。初めにいろいろたくさん掘り起こすというのが大事だというふうに思っとるんです。
 今後、県外で活躍されている有識者の意見もあわせて踏まえながら、誰もが生き生きと暮らせ、元気を持続できる和歌山の創造に向け、強い熱意と覚悟をもって取り組む所存でございます。
 御指摘のように、県の長期総合計画は、和歌山県行政に係る基本的な計画の議決等に関する条例に基づき、手続上は、県当局で作成した計画案を県議会に上程し、審議いただくことになります。今後10年間にわたる県政の重要な総合的指針であることを踏まえれば、計画案の策定段階から県議会の皆様とともにつくり上げていくことが重要であるというふうに認識しております。
 今後、議員各位の意見を伺いつつ、最終的には2月議会に原案をつくって御審議、御議決をいただきたいと思っとるんですが、この一発だけでは、ちょっと言葉は悪いんですけども、いかがかなと思いますので、9月議会には、それまでの検討状況を素案という形でまとめて御議論いただき、12月議会では──原案の原案ですね──原案を提示して御議論いただき、こうして策定の各段階において県議会との活発な議論を踏まえた上で、最終的には議決していただくべき原案をまとめて2月議会に上程したいと考えておりまして、ぜひよろしくお願い申し上げます。
 統計局の移転についてでございます。
 御指摘のように、議員と同じく私も、かねてから統計は近代国家の礎であり、非常に重要なものであると認識しております。
 このため、県庁においても統計の利活用に取り組んでまいりました。県庁では、県が統計を作成する部分というのがこれまで重要であったんですけれども、それに加えて、統計指標をもとに県内の経済を分析いたしまして、さらに企業ヒアリングなど生の情報も入れて、県内の景気動向を独自に分析して、月例経済報告をつくらせて県の施策に反映をさせています。このように利活用を重視するという観点から、庁内の統計担当課の名称を、「統計課」から「調査統計課」に変更したところでありました。
 さらに、統計データの秘密保持に必須であるセキュリティーについては、本県は実は20年前からサイバー犯罪に関する白浜シンポジウムの開催にかかわっておりまして、情報セキュリティーに関する実績や人脈の蓄積は全国トップであると自負しております。
 また、統計の利活用を支えるには情報システムが必要でございます。これには2つ要素があって、1つは光ファイバーネットワーク、これがきちんとできているということが大事なんですが、もう1つは、システムの技術を持ってる人たちがたくさんいて、これを企画したり支えたりするということなんですが、例えば防災面の応用など、これも全国トップクラスだと思いますし、食品流通クラウドでは日本を代表する企業もございます。
 このようなことから、総務省統計局と独立行政法人統計センターについては、本県に移転しても政府機関としての大切な機能が失われることがなくて十分対応できるから、ぜひ来てくださいというふうに提案した次第です。
 この提案に対して、国においてはさまざまな議論がありました。結果は、全部ではないけれども、統計データの利活用部分について移転の実証実験が行われると、それで実験結果がよければ行こうという、そういうふうになったと認識しております。
 実証実験の対象となった統計データの利活用業務については、今後大きく伸びていく分野だと思っております。本県への移転が実現すれば、産学官に対して大きな波及効果が生まれるものと考えております。
 例えば、大学においては、データサイエンス人材の育成・輩出が期待されますし、また産業面では、企業によるデータ活用が促進されることによりまして新たな商品開発や市場開拓が見込まれますし、また行政面においても、福祉・医療分野を初めとして、エビデンスに基づいた政策立案への流れがより加速化され、さらなる県政のレベルアップにつながるものと考えております。
 このため、現在、県では、総務省統計局と緊密に連絡、連携をとりつつ、実証実験について最大限のサポートを行ってるということでございますので、実験がうまいこといって総務省統計局の統計データ利活用業務の移転が実現してもらえないかなあというふうに思っておりまして、全力で取り組んでおります。
 次に、熊本地震の関係でございますが、現状を少し長くなりますが御説明しますと、4月16日未明の本震発生後、直ちに緊急派遣チームを現地に派遣いたしました。被災状況の調査とともに、熊本県庁や益城町役場において、災害対応の助言、支援を行っております。また、発災直後より救助・救急のため警察災害派遣隊やDMAT等医療関係者を派遣するとともに、災害応急対策のため、建築物や宅地の危険度判定士を派遣いたしました。
 今回、特に被害が大きく、関西広域連合がカウンターパートとして支援を行っております益城町に、災害廃棄物の処理対策支援のため、紀伊半島大水害の経験を有する環境関係の専門職員や、あるいは避難所運営の支援のための職員を継続的に派遣してまいっております。特に、災害廃棄物処理の和歌山ノウハウを持ち込みましたので、東日本大震災のときのような瓦れきが未分化の山となるというようなことが防がれておりまして、熊本県知事とも連絡をとっておりますが、大変感謝をされております。
 また、復旧・復興に向けて道路、河川等の公共土木施設復旧事業を支援するため、少し後になりまして土木技術職員を熊本県に派遣するなど、これまで県・市町村職員に加え、各種民間団体など、和歌山から延べ1900人を超える人たちが被災地で支援活動を行ってまいりました。
 さらに、アルファ化米2万食の提供、あるいは義援金の募集、見舞金の贈呈、公営住宅等への被災者受け入れ、ボランティアバスの運行など、人的・物的両面からさまざまな支援に取り組んでまいっております。
 現在、益城町では、全壊・半壊家屋等の公費解体の申請や仮設住宅への入居が始まろうとしております。ようやく復旧・復興の入り口に立ったところと認識しております。
 県といたしましては、今後も復旧・復興に向けて、その時々の状況や被災地の要請に応じ、適時適切に息の長い支援を行っていく所存です。
 このように支援をしておりますが、和歌山自身が地震・津波で大変なことになるということ、これは確実でございますので、それに対して被害を少なくし、復旧・復興を早くするということを一生懸命やっていかないといけません。そのために、まずやってまいりましたのは、避難先の安全レベルの設定を実施いたしまして、時間の許す限り、より安全な避難先に逃げてもらうようにするとともに、家族で事前に話し合った避難先を記載する避難カード、これを作成し、全世帯や全小中高校に配布いたしております。これは、主として津波の問題です。
 また、避難所や被災地における情報の収集・伝達・通信機能を確保するためのパソコン、タブレットを用いた移動県庁の整備や、長期保存が困難な粉ミルクや紙おむつ等を、社会福祉施設と連携したいわゆるところてん方式で、備蓄をちょっと多目に行っております。
 さらに、住宅や大規模施設の耐震化を進めるため、全国でもトップクラスの補助制度を用意し、加えて耐震ベッドや耐震シェルターを補助対象とするなど、制度の充実に努めてまいりました。
 また、津波対策については、平成26年10月に策定した「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」において、津波が到達するまでに安全な場所に避難できない地域を津波避難困難地域として、これはかなりもう赤裸々に抽出しております。東海・東南海・南海3連動の地震に備え、避難路、避難施設の整備による避難先の確保や堤防の整備を優先的に行い、昨年度からおおむね10年間で津波避難困難地域の解消を図るとともに、南海トラフ巨大地震の対策については、市町の協議会で具体的に検討、早期実行を進めることとしております。
 さらに、紀伊半島大水害を教訓として、発災後、迅速な復旧・復興を進めるため、災害時緊急機動支援隊の創設による被災市町村の支援や産業廃棄物協会の協力による廃棄物処理支援体制の構築、住家被害認定士の養成による迅速な認定など、防災対策を大幅に見直して実行してるところでございまして、これらの対策はいずれも大規模地震発生時において有効に機能するものと考えております。
 以上の取り組みに加え、初期消火、早期避難、救出・救助など、特に災害発生直後は自助、共助が大変重要と考えております。「出張!減災教室」等の実施によりまして防災意識の向上に取り組むとともに、紀の国防災人づくり塾や避難所運営リーダー養成講座の開催等により、避難、防災の担い手である自主防災組織の充実強化にも努めております。
 これらハード、ソフト両面であらゆる対策を講じ、地震・津波対策に備えているところでございます。
 ただしでございますが、今回の熊本地震を見ると、これはまだまだ油断はできないというふうに思っております。
 熊本地震は、マグニチュード7.3ですから、南海トラフの大地震なんかに比べると大したことはないわけですが、直下型の地震でありまして、益城町では住宅の半数以上に上る約1万棟が全半壊や一部損壊し、家屋の倒壊で亡くなった方が多かったと報道されております。
 南海トラフは紀伊半島に極めて近いものですから、南海トラフの巨大地震が発生した場合は、紀伊半島全体が直下型地震に匹敵する揺れとなるというふうに言われております。
 このたびの熊本地震で被害が大きかったのは、家が古かったり耐震化が十分にできていなかった建物でございました。このため、津波も怖いけれども、その前に地震によって命を奪われないようにする必要がございます。
 県では、先ほどもちょっと申し上げましたが、住宅や大規模建築物の耐震化については、従来からも全国でトップクラスの補助制度を用意しております。また、家具固定についても、県でわかやま防災力パワーアップ補助金により手厚い支援を行っております。
 しかしながら、制度があるのにあんまり使われていないのが課題でございます。平成25年現在で住宅の耐震化率が、先進県の静岡県が82%であるんですけれども、本県は74%です。また、補助金の使用額なども随分差があります。また、家具固定率も静岡県の69.1%に対し、本県は43.8%と大きな差がございます。
 こういうことから、私は、現在やっております行政報告会とか各種メディア、県庁のルートなどを通じまして、あらゆる機会を通じて耐震化の必要性について訴えておりますが、議員各位におかれましても、このような趣旨から県民の皆さんに呼びかけていただきますようにお願い申し上げたいと思います。
 さらには、熊本地震を踏まえた今後の県の防災対策については、現在、熊本県に職員を派遣し、紀伊半島大水害での災害廃棄物処理の経験や和歌山県が策定した避難所運営マニュアルなどを活用して被災地支援の任務に当たってるところでありまして、これらの職員が帰ってまいりますと報告に参りますんで、それらをまた総合して、欠けてるところを補っていきたいと思っております。
 次に、わかやま版のPFIの推進です。
 議員御指摘のとおり、PFI法に基づくPFIは、民間の資金とノウハウの活用により、安価で良質な行政サービスを提供することが大きなメリットとされております。これは、行政側のコストを平準化できるということで、今お金がない、特に財政状況が厳しく財源の調達に支障を来している自治体が何かやりたいとき、こういうときはメリットが大変大きい手法であると考えております。
 本県の場合は、これまで行財政改革に真摯に取り組んできた結果、厳しいんですけれども、どうしてもやりたいというときは、資金調達ができないというわけではありません。民間資金に頼らずとも施設整備に必要な財源の調達が可能な財政状況にありますので、必ずしもPFIをやったからといって国の支援が手厚くなるわけでもありませんし、発注に至るまでの手続が煩雑で時間がかかることなどを総合的に考慮すると、現時点では、このようなオーソドックスなPFIを積極的に推進する必要はあんまりないんじゃないか、そんなふうに思っております。
 もちろん、行政や県民、さらには地元の事業者にとってもメリットがあるような場合には、PFIという手法を選択することを否定するものではございません。ただ、議員御指摘のように、地元企業の受注機会が奪われるおそれがあるというような欠点が予想される場合は、あえてPFIの手法をとる必要はないと思っております。
 一方、こういうオーソドックスな従来のPFIが民間の資金やノウハウを活用して公共施設等を整備する手法であるというのに対しまして、わかやま版PFIは、産業振興や観光振興といった民間の積極的な投資を期待する分野において、例えば、土地の先行取得とかイニシャルコストの軽減など、行政も一定の関与をすることによって民間企業の参入を促し、投資を促して、地域の振興に寄与する新たな官民連携の仕組みづくりがないかなあというふうに目指すところでございます。
 本県の発展のためには民間活力の活用は不可欠であると考えておりまして、こういうのも1つの方法として、あらゆる手法を駆使して民間企業の参入を促してまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 統計局移転に係る実証実験と本県の取り組みについてお答えいたします。
 実証実験の第1弾として、去る5月27日に統計データ利活用に関する有識者会議が和歌山県民文化会館で開催されました。会議では、本県を含む近畿圏の有識者により、データの利活用を通じた近畿圏の発展のあり方などについて活発な議論が行われ、データの利活用が地域の発展にとっていかに重要であるかというコンセンサスを得るとともに、近畿圏における有識者層の厚さも総務省統計局に対して示したところであります。
 なお、会議には、総務大臣政務官が出席され、さらには、東京都新宿区の総務省第2庁舎から統計局長等もウエブ会議システムを通じて参加されましたが、全く問題なく運営できたと考えております。
 次に、今後の実証実験につきましては、6月24日に全国から本県へのアクセスの利便性を検証する全国規模の研修会が開催されることとなっており、また、7月4日から8日にかけましては、総務省統計局が持つ膨大なミクロデータを遠隔地で高度解析する実験が全国で初めて実施されることとなっております。さらに、7月7日には、最終の実証実験として、総務省統計局と本県との共催で統計データ利活用シンポジウムを開催することになっております。
 最後に、和歌山県としての取り組みにつきましては、去る5月16日に、統計調査業務などで功績のあった方々をたたえるため、和歌山県統計大会を開催したところであります。大会には統計局長や独立行政法人統計センター理事長にも御出席をいただくとともに、「社会に役立つ統計の力」と題した講演会を開催し、盛会のうちに大会を終えることができました。
 また、「出張!県政おはなし講座」に小中学校向けの統計に関するメニューを追加し、6月から順次実施しているほか、7月には一般財団法人和歌山社会経済研究所が企業関係者向けにデータ利活用に関する講演会を、さらに、8月には県職員向けの新たな研修会を予定しており、県全体として統計思想の普及啓発に向け取り組んでいるところであります。
 以上です。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) わかやま版PFIの進捗状況についてお答えします。
 現在、PFI推進室において、民間事業者が本県に進出する際に、どのような関与、支援を求めるのか、また県としてどのような対応ができるのかについて、国や関係団体からの情報収集に努めながら、市町村や民間事業者などと意見交換を行い、民間事業者が進出しやすい仕組みづくりについて検討を進めているところであり、早期に事業スキームを固めてお示ししてまいりたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 勝浦漁業協同組合への再生支援の具体的内容と県としての対応についてお答え申し上げます。
 去る5月17日に、株式会社地域経済活性化支援機構が再生支援決定した勝浦漁業協同組合の事業再生計画の主眼は市場の事業再生であり、和歌山県漁業協同組合連合会と那智勝浦町とが市場を引き継ぐことで、関係者の経済活動を滞りなく維持、発展させようとするものです。
 再生支援の枠組みについては、同機構が金融機関などが持つ漁協に対する債権を調整価格で買い取り、漁協から市場を譲渡した代金をもって弁済を受けた後、同機構が残額を債権放棄するなどの金融調整を行うものです。
 同機構から県に対しては、この計画で金融調整の対象となっている和歌山県信用漁業協同組合連合会への損失補償の実行と、これにより県が取得する債権を同機構に減額譲渡するよう求められており、今議会に関連予算と議案をお願いしているところです。
 県としましても、一定の財政負担を伴いますが、今回の事業再生が円滑に進むよう、町や関係者とともに頑張ってまいりたいと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 再質問を許します。
 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま、知事並びに担当部長からそれぞれ御答弁をいただきました。
 3点申し上げたいと思います。
 まず、総務省統計局の移転についてであります。
 5月16日に開催された県の統計大会に前後して、総務省統計局と独立行政法人統計センターの県内移転に関連する報道がよく、連日新聞等で取り上げられております。直近では6月4日の「読売新聞」、先ほど部長の答弁の一部にもありましたが、昨年度までは高校生らが対象であった統計調査に関する県の出張事業、これが中学生以下にも拡大され、小学5年生を対象に行われたという記事が掲載されておりました。
 統計の重要さは、県当局の御努力により着実に浸透し始めると受けとめております。今議会中において、これはこれから先輩、また同僚議員の御理解と御協力をいただいた上でということでありますが、総務省統計局及び独立行政法人統計センターの本県への移転に関する例えば意見書案、こういうものを可決すべく提案をさせていただきたいと考えておりますので、知事におかれましては、ぜひとも移転を実現さしていただきますようよろしくお願いを申し上げます。
 次に、勝浦漁業協同組合の再生支援決定についてであります。
 先ほども申し上げましたとおり、県内最大の水揚げを誇る勝浦の市場、紀南地域の地域経済にとって、また県内の水産業にとって大変重要なところであります。今回の事業再生をうまく進めるよう、県としましても最大限の支援、努力を行っていただきたい、再度要望させていただきます。
 最後であります。地震対策、これは知事の被害者を出さんぞという決意は、もう本当によくわかるわけであります。
 1つだけちょっと提案というか。実は知事、昨年5月13日の定例記者会見で、災害対策用のドローンの導入というのを明言されました。その後、県はドローン1機を購入、昨年11月29日に津波災害対策実践訓練において、そのドローンを活用した土砂災害情報収集訓練を実施しております。
 残念ながら大きな災害、この和歌山で発生してしまったというときには、私もそのドローンの活用に大きな期待を寄せる1人であります。
 また、安倍首相は、昨年11月5日、閣僚と経済団体代表らが意見交換する官民対話の場で、早ければ3年以内にドローンを使った荷物配送を可能とすることを目指す、そう宣言し、障害となっている規制の見直しなどを進めるよう指示されました。今後、このドローンを扱う民間企業等の活躍に大きな期待が寄せられると思います。
 一方、ドローンに関する他県の事例といたしまして、神奈川県横浜市の瀬谷警察署、大規模災害時の捜索、救助等の警察活動を迅速かつ的確に行うため、ことしの1月と5月に民間企業2社とドローンを活用した大規模災害発生の際の支援に関する協定、これを締結しております。また、秋田県仙北市におきましても、去る5月27日、市内の無線操縦機の愛好者団体2団体と災害時におけるドローンによる情報収集等に関する協定、これを締結しております。
 和歌山県のように、みずからがドローンを保有することで災害時にドローンを迅速に現場に投入できるということは、非常に心強く感じるところであります。その一方で、維持管理費の発生、操縦者の確保、また、その操縦技術の向上への対応というのがこれから課題になってくると思います。私は、今後、ドローンをより効果的に活用するためにも、この横浜市や仙北市の事例のような官民が連携した取り組みも必要ではないかと考えておりまして、今後、県当局におきましても、ドローンの活用の官民連携についてあわせて御検討いただきたく、よろしくお願いを申し上げます。
 以上3点について要望を申し上げました。
 最後であります。一言申し上げたいと思います。
 最近、現場へ行っての帰り道、大体2週間ぐらいのことでありますけど、和歌山市郊外の至るところで田んぼに順次、水が張られました。田植えが進められております。その田植えの進行に合わせ、カエルの鳴き声も日増しに大きくなってきております。毎年繰り返されるこの何げない情景でありますが、その情景に触れますと、なぜか心が和みます。その何げなさを、私は、ことしもこういう季節になったんだなということを感じるというのは、そこで安らぎを感じるのかもしれません。
 本日、私は、和歌山県の将来を目指すその姿、いわゆる長期総合計画に関連した項目を中心に質問をさせていただきました。もちろん答弁はそのとおりだと思います。私がここで一番申し上げたかったこと、それは、今、田やカエルの田植えの話をさしていただきましたが、将来にわたって和歌山県民の皆さん方が、その安らぎや安心というものの中で、いいふるさと和歌山をつくっていただきたい、そう願っております。そのもとになる長期総合計画を、これから知事を中心に県当局の皆さん方の創意と工夫でつくっていかれるわけであります。
 どうか県民の皆さん方が期待の持てる、そういうすばらしい長期総合計画をつくっていただきますよう要望を申し上げ、私の一般質問を終わりにさしていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕(拍手)
○菅原博之君 皆様、おはようございます。菅原博之でございます。議長のお許しをいただき、登壇させていただきます。
 まず、このたび会派名を「無所属議員の会」とさせていただきました。県勢発展のため一層全力で取り組みますので、これまで同様、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 では、早速質問に入らせていただきます。
 まず、昨年の6月議会でも質問させていただきました、がんという病に対する県の取り組みについてであります。
 がんは、精神的にも経済的にも、また日常生活における時間という財産においても、患者や家族に重大な負担をかけるものであります。医学界においても、がん撲滅に向けた努力は全力で取り組まれておりまして、この1年でも長年の研究成果の一端が明らかになってまいりました。
 まずは、本年度最初の議会で、本県のがん対策への取り組みについて、改めて福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの菅原博之君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県では、第2次和歌山県がん対策推進計画に基づき、総合的にがん対策に取り組んでいるところです。
 がんの予防につきましては、健康推進員を通じた健康づくりやたばこ対策の取り組み等のほか、肝炎ウイルス検査やピロリ菌検査を実施し、感染に起因するがんへの対策を推進しております。
 また、がんの早期発見のために、がん検診の受診率向上を目指し、検診対象者全員に受診を呼びかける個別通知について、わかりやすく効果的な受診勧奨を進めるとともに、デジタル撮影機器を備えたがん検診車の計画的な更新整備や検診従事者への研修を行い、検診の精度も高めてまいります。
 次に、がん医療につきましては、県がん診療連携拠点病院である和歌山県立医科大学附属病院や、各地域の中核となる地域がん診療連携拠点病院等を中心に、手術療法、放射線療養、化学療法などを効果的に組み合わせた集学的治療や、がんと診断されたときから切れ目なく迅速かつ適切な緩和ケアを受けることができる体制整備に取り組んでおります。
 また、拠点病院等にがん相談支援センターを設置し、がん患者やその家族の不安の解消に対応しております。
 県としましては、今後もがんの予防・検診の啓発に努め、がん医療や緩和ケアの推進に取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 昨年に質問させていただいてから、医学界での研究の成果として、これは研究途中での途中経過と申すべき成果でありますけど、目覚ましい出来事がございました。
 1つは、新しいがん免疫療法であります。これは免疫チェックポイント阻害剤というもので、本来、がん細胞というものは、免疫によって攻撃され、攻撃がきいている間はがん細胞は負けるんですね。しかし、がん細胞の恐ろしさは、我々の体内の免疫細胞のブレーキボタンを勝手に押して、免疫からの攻撃をとめさしてしまうということがわかってまいりました。
 そこで、開発に取り組まれた免疫チェックポイント阻害剤は、ブレーキボタンを押しに来るがん細胞の腕を外す働きのある薬であります。まだこれは臨床研究段階の薬ですが、例えばオプジーボと言われる薬剤は、皮膚がんの一種であるメラノーマに既に承認されて使用が始まっているとのことであります。
 今まで免疫療法は研究し尽されたと思われておりましたが、この免疫チェックポイント阻害剤はコロンブスの卵であります。従来の免疫療法は免疫のアクセルを踏むことばかり考えて研究されてきましたが、免疫のブレーキの研究、そして、がん細胞がそのブレーキを勝手に押すというメカニズムの解明が進んだことで考え出された薬であります。
 これは、手術の難しいがんに対しても、これまで全く治療方法がなかったがんにも有効で、現在2割から4割ぐらいの患者さんで効果があり、効果が出る場合は病が劇的に改善するということであります。ただ、重篤な副作用が出る場合もあり、現在研究段階であります。今後も一層研究が進み、広く服用ができる時代が来るように願っております。
 また、粒子線治療においては、治療装置の小型化にめどがついたということであります。これによって、導入に別途専用の広大な敷地を用意したり大型の専用建屋を用意する必要がなくなり、病院の改築で導入できるめどがついた、つまり、コストダウンが今後進むということになります。
 さらに、現在、先進医療ということで重粒子線治療で300万円程度の治療費が必要ですが、これは1つの腫瘍に対して何回重粒子線を照射しても必要な経費は最初の300万円のみということですので、民間保険会社の先進医療特約などでカバーできる範囲でありますが、それも小児がんや一部の腫瘍に公的な保険適用が始まり、今後も厚生労働省は粒子線治療に高い関心を寄せているということでございます。
 こういったことから、昨年の質問から1年経過した現時点で、改めて粒子線治療について、また新たな免疫療法などの新技術への対応について、福祉保健部長にお尋ねしたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 粒子線治療につきましては、これまで適宜、新しい技術についての情報収集を行うとともに、さまざまな角度から導入の検討を行ってまいりました。
 現在、先進医療を行っている粒子線治療施設は、全国に14施設あります。このうち近畿府県では、兵庫県、福井県の2施設が稼働しており、今後、平成30年ごろまでに、京都府、大阪府、奈良県などで新たに5施設の設置が予定されています。
 このことから、現状では採算性や対象患者数などの面から粒子線治療施設の設置は困難と考えておりますが、今後、運営コストや放射線治療における技術革新など、状況が変われば改めて検討してまいります。
 次に、免疫療法につきましては、手術療法、放射線療法、化学療法に続く新しい治療法として期待されており、オプジーボのように一部の患者に治療効果が認められているものもありますが、現在ではまだ多くは研究段階にあり、今後の状況を注視してまいります。
 県としましては、がん治療は日進月歩、新しい治療方法が研究されていますので、常にアンテナを高くして情報収集に努め、適宜対応できるよう取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 私は、ことし2月に佐賀県さんで設立されている佐賀国際重粒子線がん治療財団の重粒子線がん治療センター、通称・サガハイマットに政務調査にお邪魔し、県の健康福祉本部副本部長さんのお話を伺ってまいりました。
 配付資料02面の中ほどに、重粒子線治療の特徴という線量分布のイメージ図が載っておりますが、これは、腫瘍が存在する場所で一気に重粒子のエネルギーがピークになり、その後、一気にエネルギーが消えるということを意味しております。
 ビームの銃口と腫瘍の距離を正確にとることによって調整できるわけですが、その上、ビームの照射口には患者の腫瘍からとった型枠の下半分が取りつけられ、患者の体内で型枠どおりに粒子線は消える仕組みになっております。したがって、粒子線の届く範囲は患者の腫瘍の形どおりで、その誤差は1ミリ以内ということでございます。つまり、腫瘍以外のその他の臓器を傷つけることなく治療できる、副作用が少ない。
 ですので、通院で治療が行え、副本部長さんのお話では、来られる方の中には、社員に内緒でゴルフに行ってくると言ってお忍びで治療に来られる方もいらっしゃるとのことでございました。治療の30分前に施設に入れば、準備と、その後、治療に30分、合計1時間程度で1回の治療ができるということであり、ほとんどの方が日常生活を送りながら治療に来られるということであります。
 ですので、これは、県土の広い和歌山県民の皆さんが日常生活を送りながら治療できるためには、やはり和歌山県内に欲しい施設であります。
 佐賀県では、この重粒子線治療施設をつくるに当たり、100社以上の民間企業から御寄附を募り、鳥栖市から敷地の提供を受け、お隣の福岡県さんからも、完成すれば福岡県民のほうが利用が多いだろうからと補助金も出していただき、完成したとお聞きしました。
 これは、平成25年5月に完成された当時はまだ日本でも珍しく、広範囲の関係者を協力者にできた結果でありますが、福祉保健部長のただいまの御答弁のとおり、今後、近隣府県に続々と設置される現状を考え、また和歌山県の実情を考えたときに、私は、要望として、情報収集とともに分析に力を入れて、その情報収集、分析にもぜひ専門医の方も入れ、これがコストや効果など、今後の治療方法として方向が見えたと判断できる時点で、和歌山県で素早く実現するための基金の検討を要望させていただきたいと思います。
 ランニングコストの問題もございますが、例えば、免疫療法など新しい治療法の場合、専門医を育てることや何らかの施設を用意する場合もあると思います。
 配付資料03面に重粒子線治療の対象となるがんが載っておりますが、対象となるのは、1つの部位にとどまっている固形のがんに対して極めて有効です。一方で、血液のがんや広範囲に転移のあるがん、不規則に動く臓器の胃がんや大腸がんなどは対象になりません。
 そこで、医学界には免疫療法との併用が有効だという考えも出ております。免疫療法で転移を抑えつつ、粒子線治療で腫瘍を撃破する、両方を併用することで治療期間を縮めることができ、社会生活を続けながら完治できる可能性が高まるのではないかと、これらの研究が待ち遠しい限りであります。
 基金を設立し、新しい医療技術をいち早く県民に提供できる取り組みをぜひ御検討いただきたいと要望いたします。
 続いて、認知症対策に移りたいと思います。
 認知症についても、近年、医療や予防の研究が進んでおりますが、今回は、予防に絞ってお尋ねいたします。
 県としても、県民の健康寿命はさまざまな点で重要なことでありますので、福祉保健部長に認知症予防のための取り組みについてお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 認知症とは、さまざまな病気が原因で脳の動きに不都合が生じている状態を指し、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、脳血管性認知症の3つが認知症を引き起こす病気の約80%以上を占めると言われています。
 議員御質問の認知症予防に関しては、アルツハイマー病などの認知症を引き起こす大半の病気は、いまだ根本的治療薬や予防法は十分には確立されていませんが、認知機能低下予防の観点からは、認知症を正しく理解し、認知機能低下の予防に効果があるとされる運動やパズルなど、脳によい刺激を与える取り組みを習慣づけることが大切であるとされています。
 このため、県では、平成16年度、17年度の2年間で、県立医科大学と共同して独自の認知症予防教室プログラムを開発し、現在まで市町村で実施する介護予防事業の1つとして開催されるよう普及に取り組んできた結果、平成27年度では、17市町村でプログラムを活用した脳トレ教室などの認知症予防教室が開催されています。また、他の市町村においても、高齢者の集うサロン活動などでレクリエーションとして、脳トレドリルなど認知症予防の内容が取り入れられています。
 県としましては、今後ともより多くの市町村で認知症予防教室などの認知機能低下予防の活動が行われるよう支援していきます。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 いずれにしましても、認知症が進行してしまってからでは効果が少なく、本人が自分は健康だと思っているときから取り組まなければなりません。
 県民の声として切実に伝わってくるのですが、予防の教室があるなら、ぜひ母を連れていきたかった、父親を連れていきたかった、自分自身も大変関心があるといった声をお聞きします。
 病としてのアルツハイマー病や特殊な認知症とは別に、普通の認知症の前段階というべき認知機能の低下の段階、つまりエピソード記憶や何かをしながら別の何かをするといった機能、やりなれたことでなく新しいことを計画する機能の低下が少し見られる段階で、適切な指導とトレーニングを行う、そうすることでまた完全にもとに戻すことができるとお聞きしますので、認知症予防教室プログラムは、ぜひ活発に普及させていただきたい取り組みだと思っております。
 ぜひ普及に一層力を入れて、教室の開催が今も実施されていない地域にも広げる、そして、たとえ実費程度の有料となっても、開催回数を多くするといった取り組みを要望したいと思います。
 続きまして、ひとり親家庭への支援について進みたいと思います。
 子供にとって、両親の離婚や親の死亡などで突然ひとり親家庭となった場合はもちろん、物心ついたときからひとり親家庭で育つ場合においても、子供の不安は大きいものであります。
 特に、1人だけの親が悩みや心配を心に抱えている場合など、子供心に敏感に感じ取るわけでありますが、子供への支援という観点からも、ひとり親家庭への支援は、私は家族に直接な経済支援を行うとともに、家庭の自立を支援することが大変重要であると考えております。
 親がたくましく生き抜いている姿を子供に見せることは、子供にとっては自分自身の将来に自信を持てる原動力であります。その意味で、子供を抱えるひとり親に対しての就業支援や、仕事を続けるに当たっての障害があれば、それを手助けできないか等、本県のひとり親家庭への支援内容について、現状と今後の取り組みを福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) ひとり親の方は、子育てと生計の維持を1人で担うなどの困難を抱えております。
 県におきましては、ひとり親家庭の方を支援するため、児童扶養手当による支援に加え、就業支援として、和歌山県母子家庭等就業・自立支援センターの設置や、就職に有利な資格取得を支援するため、高等職業訓練促進給付金の支給などを実施してまいりました。
 また、平成27年度からは、わかやまひとり親家庭アシスト事業として、就業時にファミリーサポートセンターなどの養育サービス料に対する補助制度と、公益社団法人和歌山県母子寡婦福祉連合会等と連携したひとり親家庭見守り支援員制度を整備しました。
 現在、県下で63名の見守り支援員が、子育ての相談や各世帯に合った給付や貸し付けなどの各種制度を組み合わせたプログラムを作成し、各世帯に寄り添いながら支援制度の活用を助言しております。
 県としましては、今後もひとり親家庭の生活実態や実情に応じ、子育てと仕事の両立を図り、生活の安定と自立を支援する取り組みを実施してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 私たちの子育て世代とは雲泥の差の感があるほど、制度が充実していると感じております。また、長い活動の歴史をお持ちの和歌山県母子寡婦連合会さんの熱心な取り組みと高い社会的意識があってのことと推察いたします。ぜひ周知にも力を入れていただきたい。現状は、児童扶養手当の申請時にパンフレットや窓口での説明で周知をされているようですが、私は、もっと一般の方にも、例えば、移住希望者の窓口でもアピールしてよいと思っております。
 和歌山県は、ひとり親家庭にもこういうセーフティネットがある、こんなに優しい県なんだと、一般の方にもぜひわかっていただくべきだと考えております。
 続きまして、企業誘致の質問に移りたいと存じます。
 白浜のIT拠点の企業誘致が好調とお聞きしておりますが、IT企業は、グループのリーダー的存在が地域に進出すると他の企業も続いて進出する、あるいは師匠と仰いでいる方が進出すると慕っている経営者の企業も進出する、そういったパターンが多く、誘致の好循環が生まれることが多いとお聞きいたします。
 この勢いを継続して、さらにIT企業を呼び込まなければなりませんが、好立地の誘致スペースの余裕はあるのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 白浜町へのIT企業の誘致拠点でありましたITビジネスオフィスは、昨年、総務省のふるさとテレワーク推進のための地域実証事業を契機に、株式会社セールスフォース・ドットコムとパートナー企業4社が進出し、満室の状況でございます。
 同事業では、先日、総務大臣や自民党のテレワーク特命委員会の視察が行われたところですが、白浜地域におけるテレワークの生産性の向上が実証されるとともに、進出企業へのUターン就職や小学生を対象としたプログラミング教育等の地域交流活動が行われるなど、地元への効果があらわれております。
 県としましては、この機を逃すことなく、情報関連産業の集積を図るため、民間オフィスを活用しながら早急に誘致スペースを確保し、白浜町と連携してさらなるIT企業の誘致を図ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。白浜が日本のシリコンバレーになればと願っておりますので、さらに御奮闘いただけますようお願いいたします。
 続きまして、テレワークについてでございます。これも佐賀県で政務調査させていただいてまいりましたので、その御報告から始めさしていただきます。
 佐賀県では、介護世代というべき50代の職員が最も多く、30代以下の子育て世代の職員の半数は女性であるということであります。本県と同じく、少子高齢化の問題に直面しており、大変深刻に受けとめておられます。
 県庁で業務に精通し、人間関係も築き上げてきた有能な女性職員さんが、親の介護や子育てのためにやむなく職を去っていくという状況ですね。その数は、今後もふえ続けるだろうということは、明らかだったということであります。
 そして、宮崎県の鳥インフルエンザの発生で気づいたことは、人の感染症のパンデミック、危機が起こった場合、このままでは県庁の機能が麻痺してしまうということでありました。
 そこで、当時、佐賀県が総務省御出身の古川知事のもとでとった方向は、職員の能力を生かしてもらうためには、柔軟で働きやすい環境が不可欠であるということと、在宅勤務のような働き方を選択できる環境の整備が重要だという考え方で、テレワークを導入するべきだという結論であったわけであります。
 そして、これは女性の子育て支援につながり、男性の育休を促進する上でも有効な取り組みであります。
 先ほど申しました佐賀県のパンデミックへの対応でございますが、実は、私は、井出益弘委員長を先頭に、県議会の行政改革・基本計画等に関する特別委員会の県外視察で、本年1月25日にも福岡県に入らしていただきました。
 しかし、その際には、観測史上最悪という大変な大雪で、沖縄県にも100年ぶりに雪が降ったという、全国版のテレビニュースでも報道される異常気象に見舞われました。当時、交通機関は全面麻痺し、道は車の長蛇の列がとまったままで、我々も立ち往生を余儀なくされてしまったわけですが、佐賀県庁に出社できた職員さんは3分の1であったそうです。しかし、テレワークのおかげで、残りの職員さんも在宅で職務を果たすことができ、業務には全く支障が出なかったということであります。
 そして、私は、和歌山県にとってIT企業を誘致し、ITを基盤とするイノベーションを起こすことは、本県発展に死活的に重要であると思っております。そういう意味で、県組織もITの積極活用とIT企業に見られる柔軟な働き方の導入を率先するべきだと考えております。
 人口減少に際して、人材の確保という観点からも、テレワーク導入に取り組まなければなりません。民間に導入を勧め、市町と連携し、まず県みずからも率先して推進する必要のある政策であります。
 市町の話ですが、平成の大合併が一段落し、経過を見たところ、全国的にその合併効果は費用の面では出ていないではないかと言われております。そういう問題にも、テレワークはモバイルで連携でき、移動の無駄を省くことから有効であります。
 また、全く昨日9日、「日本経済新聞」朝刊の1面トップに「トヨタ、総合職に在宅勤務 8月めど2万5000人対象」という見出しの記事が掲載されておりました。内容は、やはり介護離職で業務知識の豊富な社員を失うリスクの高まり、男性による育児を後押しする必要、女性が働き続けやすい環境を整える狙いなどが主なポイントでございますが、社会が大きく変化しようとしていると思っております。
 そこで、知事に、本県職員へのテレワーク導入について御所見をお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) テレワークの意義については、まことに同感でございます。
 議員御提案の県庁職員に関する在宅勤務の件につきましては、職員のワーク・ライフ・バランスを促進する観点からは大変有用であると思いますし、介護とか子育てとかいう面でなかなか魅力的であるというふうに思うんですが、県職員の仕事というのは、どうも企画的とか非定型的とか、あるいは対人対応的なものが多くて、切り出しにくいというか、そういうところもありました。また、情報保護とか、それから業務管理、機器整備など、解決すべき課題もあるというふうに認識しております。
 一方、行政事務用パソコンやタブレットを活用した、いわゆるモバイルワークにつきましては、これは、実は機動支援隊のときにも全部常備させることにしておりまして、大規模災害発生時の災害情報の収集分析などに、既に活用を始めているところでございます。
 これもテレワークなのだと宣伝している県もあるようでございまして、やれることはどんどんやっていきたいというふうに考えております。業務の効率化や多様な働き方の観点からテレワークの導入は大変魅力的でございますので、さらに調査研究を進めていきたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 大変難しい問題を含んでおると思います。県の職員さんの業務というのは特殊なことも理解しております。ただ、まず環境を整えることと第一歩を踏み出すことが大変重要なんではないかと思っておりますので、できるところから始めるということで、ぜひ御検討いただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。これで、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、菅原博之君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時29分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(服部 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕(拍手)
○中本浩精君 皆さん、こんにちは。一般質問初日3番目に登壇さしていただきました中本浩精です。よろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 まず1項目め、前畑秀子NHK朝ドラ誘致と橋本・伊都地域の観光振興についてお尋ねいたします。
 「紀州 紀ノ川 橋本あたり 筏流しは唄でゆく」、「名さえなつかし 妻の浦 夏が来たなら 紀の川筋の 鮎は若鮎 瀬をのぼる」、これは野口雨情作詩の「橋本小唄」の一部ですが、皆さん御存じの日本人女性で初の金メダリスト、前畑秀子さんが少女時代に泳いだ紀の川の妻の浦の様子がよくわかる唄です。
 スポーツでも、学問でも、何でもそうですが、栄光の陰には想像を絶する努力というものが隠されています。清流紀の川が育んだ前畑秀子さんも努力の人であります。私の住んでいる橋本市は、前畑秀子さんの努力する姿に橋本市を重ね合わせ、全国はもとより世界各地から「ガンバレ!のまち橋本市」と応援していただけるようなまちを目指して取り組んでいます。
 私も、橋本市議会議員のときに前畑秀子氏生誕100年イベント等の開催についてを質問させていただきました。橋本市名誉市民である前畑秀子さんの生誕100年を記念して、一昨年、前畑秀子生誕100年展や講演会が橋本市や名古屋市で盛大に開催されました。
 前畑秀子生誕100年で盛り上がりを見せる中、昨年の6月に前畑秀子朝ドラ誘致実行委員会が公募で選ばれた市民を中心に結成されました。現在、36名が「前畑頑張れ!次のゴールは『NHK朝ドラ』だ!」を合い言葉に、署名活動や情報収集、関係者との連携など、多くのことにボランティアで取り組んでいただいております。
 朝ドラ誘致実行委員会の設立の趣意書を読みますと、次のように書かれています。紹介させていただきます。
  2020年(平成32年)、56年ぶりに東京で2度目となるオリンピックが開催されます。世界を代表するアスリートたちの活躍を目のあたりにすることができます。日本選手の大活躍でメダルの獲得数も伸びるのではと、わくわくしてきます。
  オリンピックで活躍するアスリートたちの勇姿は、想像を絶する努力の積み重ねとその努力を支える多くの人とのかかわりの中から生まれてきます。
  大正から昭和初期、日本がまだ貧しかった時代、学校や地域にプールもなかった時代、身近に水をたたえた紀ノ川が流れていただけの環境の中で、泳ぐことが大好きになった少女が、両親や家族、恩師や多くの人に支えられながら、目標を掲げ、目標に向かって、また、期待に応えるため、すさまじい努力の結果、日本人女性として、初めてオリンピックで金メダルを獲得します。そんな少女が日本にいたことを、志を持つことのすばらしさや努力の価値を再認識するとともに、日本中の大きな話題にして欲しいのです。
  80年前、「前畑がんばれ!」で日本中が感動に沸いた前畑秀子を是非「NHK朝ドラ」で再現していただき、東京オリンピックを最高に盛り上げたいと願っています。
 以上が設立の趣意です。
 「前畑、頑張れ」を20回以上連呼したNHK・河西アナウンサーの歴史に残る実況放送は、余りにも有名です。1936年(昭和11年)ベルリンオリンピックで、200メートル平泳ぎで日本人女性として初めて金メダルを獲得された前畑秀子さんは、トップアスリートというだけではなく、女性がスポーツ界に進出する黎明期のシンボル的存在でもありました。また、現役引退後も、幼児、母親、シニアの水泳教室など生涯スポーツに貢献されました。69歳のとき脳溢血に倒れるも懸命のリハビリで克服し、プールに戻るという不屈の精神と努力をもって、80歳で亡くなるまで水泳一筋の人生を歩まれました。前畑秀子さんの波乱万丈の人生とその偉大さを、NHK朝の連続テレビ小説で全国に伝えていきたいのです。
 そこで、誘致に向けての活動ですが、市内のイベント会場での署名活動や署名用紙の全戸配布などを行い、この半年間で、橋本市だけで3月末現在で約1万2000筆を超す署名が集まったと聞いております。これからは名古屋市、岐阜市、日本水泳連盟でも署名活動が本格的に行われますので、賛同者が飛躍的にふえるかと思います。知事を初め多くの県職員の皆様、そして議員の皆様にも御賛同いただきました。この場をおかりいたしまして厚く御礼申し上げます。
 また、3月には朝ドラ誘致に関するホームページを立ち上げ、4月から橋本市役所内に朝ドラ誘致プロジェクトチームがつくられました。平木哲朗橋本市長も精力的に活動し、昨年度、和歌山2区選出の石田真敏代議士とNHK東京放送センターを訪れ、趣意書の提出をしております。岐阜市水泳協会前会長の野田聖子代議士も、岐阜の市議会議員の方々とNHK東京放送センターを訪問され、朝ドラ誘致に向け、積極的に働きかけてくれているようにお聞きしています。
 また、平木市長は、前畑さんと深いかかわりのある岐阜市や名古屋市との連携を重視し、昨年度に2市を表敬訪問されました。細江茂光岐阜市長や河村たかし名古屋市長にこの誘致活動についての協力を依頼し、お互いが協力していくことを確認しています。市議会議員の皆様も積極的に活動され、名古屋市、岐阜市、橋本市3市の市議会議員有志の方々が、4月14日にはNHK大阪放送局、4月21日にはNHK東京放送センターへ要望活動を行い、その足で遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣にもお会いして、要望書を大臣に手渡しております。
 このように、行政間においても連携を密にし、積極的な取り組みを進めているところでございます。
 行政機関以外でも、尾崎要二県議会議員が会長を務める和歌山県水泳連盟を初めとして、各地域の県人会、前畑さんが編入学した名古屋市の椙山女学園と、関係者一丸となってまさに頑張っています。
 NHKの朝ドラ、大河ドラマは、放送されるとかなりの経済効果が期待できることもあり、各地で誘致活動が繰り広げられております。経済効果だけではなく、郷土の偉人が取り上げられることは誇りであり、子供たちに夢と希望、大人たちには力を与えてくれるものと私は思います。和歌山県としても、前畑秀子NHK朝ドラ誘致を全面的にバックアップしていただけたらと思いますが、知事室長、いかがですか。
 また、橋本市がこの機会に全国的に知名度を上げていかなければならないと思いますが、朝ドラの誘致が実現したとしても、なかなか橋本市単独でお客さんを呼び込んでくるのは難しいのではないかと思います。伊都地域には高野山がありますし、大河ドラマ「真田丸」でも今後大いに盛り上がってまいります。また、7月には橋本市初の世界遺産として黒河道の追加登録が期待されています。
 橋本・伊都地域の観光振興についてどのようにお考えか、商工観光労働部長にお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) ただいまの中本浩精君の質問に対する答弁を求めます。
 知事室長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事室長(宮﨑 泉君) 議員お話しのとおり、橋本市の名誉市民である前畑秀子さんの輝かしい功績は、誰もが認めるところでございます。NHKの朝ドラで前畑さんを取り上げてもらうことは、この功績を世の中に知ってもらうだけでなく、前畑さんを育て上げた橋本市のみならず、県民がふるさとに自信と誇りを持つことにつながるため、非常に有意義なものであります。
 県といたしましても、これまでNHKに対して、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、番組化されるよう働きかけを行ってまいりました。先日、知事みずからNHKの籾井会長を訪れ、要請をしたところでございます。
 今後とも、橋本市など地元の熱意を後押しすべく、前畑さんの人生とその偉大さについてメディアへの露出をさらに高めるなど、誘致活動の支援に、関係機関と連携し、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(服部 一君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 橋本・伊都地域の観光振興についてお答えいたします。
 昨年の高野山開創1200年記念大法会以降、大幅に増加しました観光客に周遊していただくため、大河ドラマ「真田丸」・戦国わかやま誘客キャンペーンや、広域観光として紀の川沿いの寺社をめぐる「いのりとみのりの旅」紀北キャンペーンの実施により、橋本・伊都地域はもちろん、紀の川沿いのエリアでの波及効果も狙った活動を行っているところであります。
 橋本市は、議員御発言の高野参詣道黒河道や歴史的建造物の文化財のほか、柿や卵などの特産物といった豊富な観光資源を有しております。それらを活用し、県・市町村や地域が一体となって実施するこういった面的な取り組みを通して地域全体の経済効果を高めていけるよう、他府県の事例も参考にしながら、市とも連携して取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 知事室長、商工観光労働部長より答弁をいただきました。
 今、答弁を聞かせていただきまして、前畑秀子NHK朝ドラ誘致と橋本・伊都地方の観光振興については、和歌山県をもっともっと元気にしていくためには重要なことだという認識をしていただいたと、私は今、答弁を聞いて確信しました。
 そこで、最後にもう一度、要望、お願いをさせていただきたいと思います。
 平成26年の世界遺産登録10周年、平成27年の紀の国わかやま国体・わかやま大会、高野山開創1200年、そして、ことしは「真田丸」と吉宗将軍就任300年、和歌山県に今フォローの風が吹いています。このフォローの風に乗って、昨年、本県を訪れた観光客は3300万人を超えて史上最高、某宿泊予約サイトでは人気上昇率ランキング2年連続2位、秋の季節に限っては2年連続の1位となっています。
 もちろん風だけではありません。知事を筆頭に行った観光PR、そしておもてなしトイレ大作戦、フリーWi-Fi大作戦といった観光客の視点に立った積極的な環境整備も功を奏した結果だと思います。
 この勢いを一過性とすることなく、持続的なものとするために、今まで以上に観光資源を活用して多くの観光客を誘致していただきたいと思います。今はまだ全国区までいかないような観光資源も掘り起こし、売り出していただき、県内の多くの地域のよさを発信していただきたいと思います。
 橋本市には、NHK朝ドラのロケで使用された日本最大級の木造校舎を有する高野口小学校があります。前畑秀子さんの朝ドラとなれば、きっとロケに使われるでしょう。また、葛城館という立派な施設もございます。新たな観光資源として活用するようなストーリーも描けると思います。
 NHK朝の連続テレビ小説、通称朝ドラは、今、企業の創始者をモデルにした作品が続いています。企業の宣伝効果は非常に大きいと思います。朝ドラに取り上げてもらうことにより、橋本市や和歌山県の知名度アップや経済効果が期待できます。それぞれの市町村が元気になれば和歌山県も元気になる。ことしは、前畑秀子さんが日本人女性として初めて金メダルを獲得して80年、同じく橋本市出身の古川勝さんがあの有名な潜水泳法でメルボルンオリンピック200メートル平泳ぎで金メダルを獲得して60年という記念すべき年に当たります。
 2020年、東京オリンピックが開催されます。前年の2019年に和歌山県の存在を前畑秀子NHK朝ドラを通して大きく国内外へPRしていただきたいと思います。どうか県におかれましても、この朝ドラ誘致活動に対しまして、橋本市と連携をとりながら強力な御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げまして、1項目めを終わらしていただきます。
 続きまして、2項目め、防災対策についてお尋ねいたします。
 ことし4月14日、16日と、震度7を観測する地震が立て続けに発生した熊本地震、亡くなられた方に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。また、県もさまざまな支援を行っていただいておりますが、多くの方々の支援をもって一刻も早く復興が進み、被災者の皆様がいつもどおりの生活に戻られることを願っております。
 その熊本地震は直下型または断層型地震と言われていますが、和歌山でも、北部の紀の川流域沿いに活断層である中央構造線があり、この断層による巨大地震も想定されます。南海トラフを震源とする地震による津波の大きな被害が懸念される沿岸部に比べ、それ以外の地域では、幾分、防災意識が低いのではないかと過去の議会で申し上げました。
 確かに数字だけ見ると、県北部の断層型地震の発生確率は南海トラフ地震より低く、県のホームページには30年発生確率0.07%から14%とあります。しかし、危機管理の観点からは14%を念頭に置くべきであり、この14%は決して低い確率だとは思いません。それに、南海トラフより発生確率の低かった熊本地震が先に発生したという現実もあります。
 事あるごとに南海トラフ地震が取り上げられる中、中央構造線による断層型地震は取り上げられることは少なく、「南海トラフ地震に対しては十分な備えが必要だが、断層型は余り心配ないか」と言う人が少なからずいるのではないかと思ったりもします。もちろん、南海トラフ地震への対応は今まで以上の取り組みを望みますが、断層型地震もあわせ、ともに喫緊の課題であるという認識で防災対策に取り組んでいただきたいと思います。
 先に要望を述べる形になりましたが、本来の質問のほうを続けさしていただきます。
 防災対策のうち、まず情報伝達についてです。
 東日本大震災の際は、メールや携帯を含む電話など、通信手段が途絶え、連絡がとれない状況となりました。熊本地震でも利用しづらい状況があったようです。
 南海トラフを震源とする地震では、津波の第1波が最も早いところだと地震発生後わずか3分で到達するなど、県下における到達時間は非常に短いです。高台あるいは津波避難ビルなどに逃げるのですが、全住民が対応できるのか。内閣府の調査では、東日本大震災の際に津波に関する情報を見聞きした人は約半数という結果も出ております。
 災害時に情報が届かないというのも問題ですが、もう1つ考えられる問題は、正しい情報が届くかどうかです。残念ながら、正しい情報のみが伝わるというのはあり得ないでしょう。いわゆるデマ情報も飛び交います。正しい情報を判断できる仕組みが必要だと私は思います。迅速かつ確実な情報伝達、通信手段は、防災対策の根幹をなすものです。震災による停電も考慮すれば、情報伝達の手段は少なくなります。最近よく言われるところのリダンダンシー、冗長性ですが、確実な情報伝達のためには、伝達手段の多重化、多様化が必要だと考えます。
 石巻市では、高台などへ避難する際に通る可能性が高い道路を「避難のみち」に設定、各地点の震災時の浸水高や避難所までの距離と方向を図で示す識別防災サインを設け、浸水域は青色、域外は緑色など、色彩の変化で危険性が一目でわかり、色をたどって浸水域から域外へ迅速避難できるようになっています。これなどは、旅行者にもわかりやすい情報伝達の一例です。
 そこで、防災情報の伝達における県の対応状況について、危機管理監にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 災害時には、議員御指摘のとおり、県民の生命、財産を守るために必要な情報をできるだけ早く正確に伝えることが重要であり、あらゆる手段をとって情報伝達を行うことが必要不可欠であると考えております。
 市町村において防災行政無線や広報車等により災害情報の伝達は行われ、県においても、防災わかやまメール配信サービスや緊急速報メールによる災害情報の配信を県民に直接行うとともに、和歌山県のホームページ「防災わかやま」において、地図機能を用いた防災GISにより詳細な災害情報の提供を行う等、情報伝達の多重化に積極的に取り組んでおります。
 また、平成22年から、テレビにおいて地上デジタル放送を活用した県民への情報提供を行ってきました。さらに、本年2月からは、全国的な取り組みである災害情報等をテレビ等のメディアにリアルタイムに提供する災害情報共有システム、いわゆるL-ALERTについても運用を開始いたしました。
 このほか、ラジオは災害時における重要な情報収集ツールであることから、防災・減災FMラジオ中継局の送信ネットワークの整備を行っております。
 今後とも、情報伝達の確実性を高めるため、災害情報の伝達手段の多重化に積極的に取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ありがとうございました。
 引き続き、自助、共助、公助についてお尋ねいたします。
 防災対策では、行政での対応、公助にも限界があり、やはり住民一人一人がきちんと対応していくこと、いわゆる自助が基本となります。もちろん、自分1人でできることにも限界があり、家族で、あるいは地域単位で対応していく共助の部分もしっかりしていかないといけません。自助、共助、公助は、どれかが突出したからよいというのではなく、それぞれの役割を連携、補完し合って効果があるものと考えます。
 災害時に行政との連絡が困難な状況に陥ることも考えられ、まず自分で行動と、自治会などで防災対策に取り組まれています。自助、共助の取り組みが、公助も含め、三位一体で被害を少しでも軽減できるような体制を確立し強化する、これは行政主導であるべきです。
 県は、災害対策において、自助、共助、公助の役割分担についてどのように考え、連携を進めていくのか、危機管理監にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 危機管理監。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 自助、共助、公助についてでございますが、議員御指摘のとおり、災害時には自助、共助の役割は非常に重要です。阪神・淡路大震災では、生き埋め、または閉じ込められた方々のうち公的機関により救出された方はわずか2%程度にすぎず、大多数が自力脱出、もしくは近隣住民などにより救出されました。このことは、大規模災害に際して自助や共助がいかに重要であるかを物語っていると考えております。
 県では、自助の力を高めるため、「出張!減災教室」の開催などを通じ防災意識の向上に取り組むとともに、住宅の耐震化、家具の固定、ブロック塀の安全対策等を家庭で取り組む県民減災運動として推進し、補助制度の充実や啓発等に努めているところです。
 また、共助では、自主防災組織が災害発生時における初期消火、避難誘導、救出・救助など、地域防災活動の担い手として大切な役割を果たしていることから、県では、その組織率の向上や活動の活性化に取り組んでおります。
 具体的には、自主防災組織が使用する資機材整備等について、わかやま防災力パワーアップ補助金により支援するとともに、紀の国防災人づくり塾などの研修機会を提供することにより、自主防災組織で活躍する人材の育成に取り組んでおります。
 さらに、自主防災活動の活性化を図るため、今年度より、出水期を控えた6月1日を自主防災組織の活動の日と定め、前後の週間を集中活動期間として、防災学習や防災訓練などに取り組む活動を推進しております。これまで活動実績が乏しかった地域の自主防災組織も参加いただくなど、16市町39団体で実施をしていただきました。
 引き続き、市町村や自主防災組織等と連携しながら自助、共助の強化に努め、県全体の防災力の向上につなげてまいります。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 答弁をいただき、災害情報の伝達手段の多重化や自助、共助を充実させるための取り組みについて、県がさまざまな対策を実施していることは十分理解できました。
 さて、先ほども申し上げましたが、これまで南海トラフ地震の脅威が注目される一方で、直下型地震への危機感が薄いように感じていました。しかし、熊本地震の発生を目の当たりにした以降、私の地元において、地震対策に関する問い合わせや相談が多く寄せられており、県民の直下型地震に対する関心が大変高まっていることを実感しております。
 今後、この流れを県民の防災意識の向上につなげていくことが大変重要であると思います。県において、啓発や防災学習の充実強化などに努めることを通じ、地震対策を進めていただくことをお願い申し上げまして、2項目めを終わらしていただきます。
 続きまして、最後の項目に入らせていただきます。
 国体・大会施設の活用とスポーツの振興についてお尋ねいたします。
 感動の紀の国わかやま国体・わかやま大会を終えて、次は2019年にラグビーワールドカップ、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。海外ナショナルチーム等のキャンプの誘致については全国各地で誘致活動が行われており、もちろん県でも誘致活動を進め、カナダ競泳チームが、東京オリンピック・パラリンピックと2018年に東京で開催されるパンパシフィック水泳選手権の事前キャンプを秋葉山公園水泳場で行うことが決定しました。また、同じ秋葉山公園水泳場では、この6月6日からリオデジャネイロ五輪の競泳日本代表の強化合宿が行われました。関係者の皆様の御尽力に心から敬意を表します。
 そのほかの新設・改修した施設も、ナショナルチームをお迎えするのに十分な施設も多く、また、すばらしいおもてなしの心を県民の皆様が持っていただいております。自信を持って「和歌山へお越しください」と言えます。迎える側の施設と心の用意はできております。誘致活動の結果、よい報告を期待しております。
 そこで、期待を込めつつ、県におけるナショナルチーム誘致の活動状況とその結果、途中経過、見込みも含めて知事にお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会のために整備いたしました競技施設の有効活用を図るため、また、両大会によって高まりました県民のスポーツに対する関心や期待に応えるため、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会などの事前キャンプ誘致に積極的に取り組んでいるところでございます。
 昨年8月には、北京世界陸上に出場するオーストラリア陸上チームが紀三井寺競技場で事前キャンプを実施してくれました。関空からのアクセスのよさや練習環境、ボランティアスタッフのおもてなしなどが高く評価されたことから、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会に参加するオーストラリア陸上チームが紀三井寺競技場で事前キャンプを実施することが決定いたしました。
 また、秋葉山公園県民水泳場がすぐれた競技施設であることをアピールして誘致活動を進めてきました結果、カナダの競技チームも、2018年に東京で開催されるパンパシフィック水泳選手権と2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会の事前キャンプを同水泳場で行うことを決定いたしました。
 さらに、カナダ競技チームの事前キャンプ決定もありまして、今月6日から12日まで、リオデジャネイロオリンピックに出場する競泳日本代表選手が強化合宿を行っているところでございます。
 今後は、両国ナショナルチームの事前キャンプの受け入れの準備に万全を期してまいりたいと思います。
 また、そのほかにもまだまだ余地があると思いますので、今いろいろ努力をしておるところでございます。
 また、田辺スポーツパークは、本年3月にパラリンピック陸上競技のナショナルトレーニングセンターに指定されました。リオデジャネイロパラリンピック日本代表候補選手の決定後、初めての強化合宿が14日から行われる予定となっておりまして、世界で戦うトップアスリートをサポートできることは本県にとって誇らしいことであるとともに、県民の皆さんにパラリンピックについてよく知っていただく絶好の機会を提供できると考えております。
 県内にはまだまだすばらしい施設がありますので、今後も、本県とつながりの深い国などに対して積極的に事前キャンプの誘致活動を行ってまいりたいと考えております。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 知事、どうもありがとうございます。ナショナルチームなどのキャンプ誘致について、計画的、戦略的に取り組まれていることがよくわかりました。
 知事の御答弁にもあったように、県内にはすばらしいスポーツ施設がたくさんあります。ナショナルトレーニングセンターに指定された田辺スポーツパークでは、野球場も実業団や大学の強豪チームの強化合宿に利用され、好評を得ていると聞いております。
 橋本市にも県立体育館というすばらしい施設があります。2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて和歌山県全体が盛り上がっていくよう、ぜひともこうした県内各地のスポーツ施設について、ナショナルチーム等のキャンプ誘致を推進していただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 続きまして、スポーツを楽しめる環境づくりについてお尋ねいたします。
 紀の国わかやま国体・大会が残したのは、施設だけではありません。実際に競技を見た県民は、やっぱりスポーツは楽しいんだという思いを強く心に刻んだことだと思います。この国体・大会で盛り上がったスポーツ振興の機運がしぼむことのないようにしたいという思いでいっぱいです。
 私が国体・大会を通して改めて思ったのは、スポーツへの直接参加だけではなく、応援という参加も大いにあるんだなということです。どんなハードなスポーツでも、応援という形で参加は可能です。ぜひスポーツを楽しめる環境づくり、何らかの形で誰もがスポーツに参加できる環境づくりをお願いしたいと思います。
 そこで、このスポーツ機運の盛り上がりを一過性のものとせず、どのような形でスポーツ振興を進めていくのか。2021年には関西ワールドマスターズゲームズが開催されます。生涯スポーツ立県を目指す本県にとって、ビッグイベントは好機と考えます。誰もが、年齢や体力、興味に応じて気軽にスポーツを楽しむための環境づくり、特にスポーツから遠ざかった御高齢の皆様が生涯スポーツの観点もあわせてスポーツに参加できるようどのようにお考えか、知事の御答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(服部 一君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 幸福で豊かな生活を実現するには、スポーツは欠かせないものと私は考えております。そのためには、トップアスリートも大事でございますけれども、裾野を広げるということも大事でございます。それには、年をとってもスポーツに親しむ機運をつくることがとっても大事だと思っておりまして、そこで和歌山県においては、2017年に国際・全日本マスターズ陸上競技選手権大会、2019年に全国健康福祉祭、これはねんりんピックというふうに俗に言うておりますが、それから、2021年には関西ワールドマスターズゲームズといった大きなスポーツイベントを2年置きにホップ・ステップ・ジャンプと弾みをつけながら開催していく予定でございます。
 特に関西ワールドマスターズゲームズは、30歳以上なら誰でも予選なしに参加できる国際大会なわけでございます。関西一円で開催され、参加選手は5万人を超えると見込まれます。もっと多いんじゃないかなと思っております。海外からも多くのスポーツ愛好家が参加するため、スポーツを通じた国際交流の絶好の機会であると同時に、地域活性化の面でも大いに期待されるところでございます。
 本県でも、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会の競技会場などを活用し、できる限り多くの競技大会を開催したいと考えておりまして、現在、関西ワールドマスターズゲームズは選定に入ってるところでございます。ぜひとも、多くの県民の皆さんに、参加し、観戦し、スタッフ・ボランティア等としてこれらの大会も支えていただきたいと思っております。
 これらの大会を通じて生涯スポーツに対する機運をさらに盛り上げて、県民誰もがスポーツを楽しみ、元気で活力ある生活ができるように取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○副議長(服部 一君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 知事の答弁をお聞きしまして、スポーツを通して和歌山県をもっともっと元気にしていこうという強い気持ちを私自身はよく感じました。
 2017年国際・全日本マスターズ陸上競技選手権大会をホップ、2019年のねんりんピックをステップ、そして2021年の関西ワールドマスターズゲームズで大きくジャンプするという生涯スポーツの推進は、すばらしいことだと思います。
 スポーツには大きな力があります。希望と勇気を与え、人々を明るく元気にします。ホップ・ステップ・ジャンプで1人でも多くの県民の皆様が参加する、いわゆるスポーツをする喜び、そして前述のキャンプ誘致などによるスポーツを見る楽しさやスポーツを支える充実感を享受できるようなさらなる取り組みをお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
○川畑哲哉君 皆様、こんにちは。議長よりお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、今期定例会が私の地元岩出市は旧県議会議事堂・一乗閣にて開会されたことにつきまして、御尽力を賜りました前芝前議長、山下県議団会長初め議員の先輩諸兄、そして仁坂知事初め当局の皆様方に、改めて心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
 旧県議会議事堂・一乗閣は、議事堂としては現存する最古の木造和風意匠の建造物であり、重厚な議場には、まさに近代のロマンがあふれています。歴史的な価値も高く、傍聴に来られていた県民の方々からも感嘆の声が上がるほどのすばらしい建物であり、和歌山県の誇りでございます。この議事堂内で和歌山県政界の偉大なる諸先輩方が和歌山県勢の発展を願って熱く議論を闘わされたことを思いますと、議事堂内に踏み入るだけで身の引き締まる思いがいたしました。
 今思いますことは、この旧県議会議事堂・一乗閣をお一人でも多くの方に知っていただき、訪れていただきたいということと、重要な文化遺産として、また貴重な文化施設として有効的な利活用をしていただきたいということです。
 12月定例会で質問させていただいた際にも申し上げましたが、この建物は、ことし2016年が没後100年となり、来年2017年が生誕150年となる夏目漱石先生が、明治44年に「現代日本の開化」と題した御講演をされた場所でもあります。この講演は、和歌山講演と呼ばれ、文明発達の根にある人間の横着心を鋭く指摘し、その後の日本を的確に見抜いた内容で、非常に高い評価を受けられているとのことです。
 私が思いますに、夏目漱石先生にゆかりの深いこの旧県議会議事堂・一乗閣において、夏目漱石先生にゆかりの深い年に夏目漱石先生にちなんだ文化事業が漱石ファンや各種団体、地元自治体等により開催されることが予想されます。また、それ以外にも、今後、多くの文化事業がこの建物で開催されるでしょう。それがこの建物の本意にかない、ひいては本県の文化レベル向上につながり、そして県勢発展につながるものと考えております。
 そこで、企画部長にお尋ねいたします。
 旧県議会議事堂・一乗閣で民間団体や各種団体、地元自治体等が開催する文化事業について、県としてはどのような協力をされるのでしょうか。また、県として、旧県議会議事堂・一乗閣の利活用について今後どのような取り組みをされるでしょうか。お考えをお聞かせください。
○副議長(服部 一君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。
 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 旧県会議事堂につきましては、民主主義の歴史を刻む県政の殿堂として貴重な文化財でありますので、その保全を図るとともに、当該施設を情報誌に掲載するなど、歴史文化の拠点としての魅力を発信しているところでございます。
 議員御質問の当該施設で開催される文化事業への協力につきましては、積極的に情報発信してまいります。
 なお、文化団体が行う文化事業への支援につきましては、内容にもよりますが、助成事業も用意しておりますので、御活用いただければ幸いだと思っております。
 当該施設につきましては、みずから利活用を図りたいとの岩出市からの申し出により、岩出市が管理運営を行うこととなっております。よって、その利活用については、基本的に岩出市が主体的に検討し、取り組むこととなります。しかしながら、県の施設でもあり、県が何もしないというのではなく、手すりの設置など活用のために必要な改修は県で行っていく考えであり、また文化事業につきましても、岩出市と連携を十分に図りながら情報発信に努めるとともに、文化団体等の自主イベント開催実現に向けて積極的な情報提供など協力してまいります。
○副議長(服部 一君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 部長より御答弁をいただきました。岩出市が管理運営を行うということですけれども、それは県独自の文化事業を実施できないということにはならないと思いますので、県独自の文化事業開催もぜひとも御検討いただき、そして、本施設の利活用が促進されるような情報発信も含めてしっかりと取り組んでいただきますようお願いを申し上げます。
 次に、教育長にお尋ねいたします。
 旧県議会議事堂・一乗閣は、風情があるだけではなく、歴史の重みと開放感とを同時に感じることができる本県指定の有形文化財でございます。私は、ぜひとも感受性の強い子供たちにも訪れていただき、主権者教育を初めとしたさまざまな学びが得られる場として利活用していくべきと考えておりますが、教育長はいかがお考えでしょうか。今後の取り組みについてお聞かせください。
○副議長(服部 一君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 旧県議会議事堂は、本県の先人が築いてきた歴史を肌で感じながら学べる大変貴重な文化遺産だと考えてございます。県政史を象徴する建造物であり、現存する最古の木造和風意匠の県議会議事堂として高い価値がある県指定文化財であるとともに、さまざまな講演会や集会が行われ、多くの方々に親しまれてまいりました。
 今後、本議事堂において、主権者意識を高める講演会や児童会・生徒会活動の活性化に向けた研修会の開催を検討するとともに、社会見学等においても、この風格と歴史を感じる旧県議会議事堂を多くの子供たちが訪れ、本県の歴史などについて見識を深められるよう、各市町村教育委員会とともに有効に活用してまいります。
○副議長(服部 一君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 前向きな御答弁、ありがとうございました。
 この旧県議会議事堂・一乗閣がお一人でも多くの方に知っていただき、訪れていただけますように、県内外へ積極的に情報発信していただきますよう強く要望を申し上げます。
 それから、「旧県議会議事堂」という呼び方と文化登録名としての「旧県会議事堂」という呼び方とが県庁内でも混在しているようです。世の皆様を混乱させる前に統一していただきますよう御検討をお願い申し上げます。
 次の質問へ入らせていただきます。
 まずは御報告ですが、去る5月15日の深夜に関西国際空港を出発し、私は、地元の事業者の方々と中国は浙江省の義烏というまちを訪れました。この義烏市は、杭州から南へ100キロほど入ったところにある、総面積1105平方キロメートル、総人口123万人という規模のまちでございます。
 私たちは、日程の都合上、上海浦東空港へ入り、虹橋駅へと移動した後、新幹線で約1時間30分ほどの乗車を経て義烏駅へ到着しました。義烏駅周辺は、アジアのどのまちでも見られるような熱気と喧騒に包まれていて、列をなしているタクシーは、客をつかまえるのに必死の様相を呈していました。
 義烏駅からタクシーで走ること約20分、義烏国際博覧センターに到着しました。そこで開催されていた2016中国義烏輸入商品博覧会の最終日を調査いたしました。アジアだけでなく、ヨーロッパやアフリカからもブース出展され、さながら万国博覧会のような壮大さを誇る博覧会となっていました。
 会場内では、世界各国の食品や日用品を初めとしたさまざまな商品が売られていましたが、中でもワインがよく目につきました。中国国内でもワイン市場が発達してきているようです。ほかにも、希少なコーヒーや蜂蜜、アドリア海の岩塩や地域性の高いお菓子等、驚きや発見の連続でありました。
 本博覧会にお招きをいただきました日本館ブースは、日中の両企業が合同で出展をされていたわけでございますが、会場内でその中国企業側の責任者と意見交換を行い、和歌山より持ち込んだ県産品のプレゼンをさせていただきました。その際に最も興味を引かれた商品の1つは炭商品でございました。特に炭シャンプーや炭リンスには質問や提案が集中し、炭ボディーシャンプーも欲しいとリクエストを受けたほどでございました。加えて、CFDA(中国国家食品薬品監督管理総局)認証というものですが、これを取得するならすぐにでも扱いたいと熱烈なオファーを受けました。
 また、中国語の和歌山観光パンフレットを何種類かお見せところ、風光明媚な和歌山の自然や果樹の収穫体験プログラム等にいたく御興味を持たれ、近々必ず和歌山へ行くとお約束をいただきました。
 その後に日本企業側の担当者チームや出品企業・メーカーの皆様とも意見交換をさせていただき、私自身、中国市場について、また中国企業の熱意、日本企業の思いや狙いを随分勉強させていただきました。
 2013年、中国の輸出入総額は4兆ドルを超えました。中国政府は、今後5年内に10兆ドルの輸入額の目標を提出しました。その中で義烏市場は活発化し、世界の商品の重要な集積地となっています。義烏には世界最大の日用雑貨市場があり、1.3万人余りの国外バイヤーが駐在し、義烏を訪れるバイヤーは1日に約20万人と言われています。中国国内外に物流ネットワークが形成され、国際コンテナの専用列車はスペイン・マドリードまで開通し、まさに世界の貿易交流プラットホームへと成長を遂げています。2002年に開業した福田市場と呼ばれる義烏国際商貿城、中国小商品城、賓王市場の3つの大規模日用品の卸売市場が立地していて、日本の100円ショップ等の商品のうち中国産のものは、多くがここを通過しているとのことです。
 義烏市訪問の2日目は、そのうちの福田市場を現地調査いたしました。
 福田市場は、1区から5区までの5棟の大きな建物から成り、広さは東京ドーム30個分、店舗数は6万軒、商品取り扱い数は170万種類以上という世界最大の日用雑貨卸売市場です。その1区と5区を訪れましたが、5区は今も増設工事中とのことでした。市場内では、例えば一般市場では15元、日本円で約270円で売られる宝飾品が、8角つまり約20分の1弱で売られていましたが、高価な骨とう品や工芸品も売られ、日本人形専門店までありました。
 そこで、お尋ねいたします。
 この義烏だけでなく、中国市場は今後、より品質の高いものが好まれて、相応の値段で取引される市場へと急激に成長していく可能性が多分にあると考えられます。そして、皆様御存じのように、安心・安全が担保された日本製の商品は海外で高い人気を誇ります。そこで、高品質な和歌山県産品の将来的な販路拡大先として中国市場について一層の研究をしていくべきと考えますが、県の考えはいかがでしょうか。商工観光労働部長及び農林水産部長からの御答弁、よろしくお願いいたします。
○副議長(服部 一君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 県内企業の販路開拓につきましては、わかやま産品販路開拓アクションプログラム2016に基づき進めているところであり、中国に関しては、ことしで12年目となる山東省との経済交流や、MOUを締結した香港でのハウスウェア・フェアへの出展などの取り組みを行っているところです。
 中国は、世界第1位の人口を背景とする消費市場としての魅力を有していることから、県内企業の中には既に中国での販路を確保し取引を行っているところもあり、県もこれらの企業を支援してきたところです。
 県といたしましては、浙江省寧波市でクールジャパン機構の出資のもと整備中であるジャパンモールや、議員御案内の同省義烏市の義烏国際商貿城など、中国全体を消費市場として注視しながら、さらなる販路開拓に向けた研究を行ってまいります。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 食品分野についてお答えします。
 中国は、人口規模が大きく富裕層もあり、日本の農産物に関心も高いことから、有望市場であると考えております。しかしながら、本県主力産品であるミカン、柿、桃などは植物検疫の問題により輸出できないため、国に対しては、中国政府との協議を早期に開始するよう継続的に要望しているところでございます。
 その上で、県では、MOUを締結した香港貿易発展局とのつながりを核に、加工食品を含め、まずは中国圏経済のゲートウエーとして香港市場の開拓に注力しているところでございます。そこで開催される見本市での商談活動、百貨店でのフェアや本県へのバイヤー招聘などを通じて、香港のみならず、中国本土への人的ネットワーク構築などに引き続き努めてまいります。
 また、先月国が発表した農林水産業の輸出力強化戦略を踏まえ、中国市場における販路開拓についても研究してまいります。
○副議長(服部 一君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 商工観光労働部長、それから農林水産部長より力強い御答弁をいただきました。引き続き、本県へのバイヤー招聘も含め、販路拡大に向けた取り組みに御尽力いただきますようお願い申し上げます。
 次の質問へ入らせていただきます。
 紀州備長炭についてお尋ねいたします。
 紀州備長炭は、プレミア和歌山にも認定されている本県を代表する県産品の1つでございます。国内では最高級の炭として重宝され、高い値段で取引がされています。しかし、その生産量は、国内需要にもまだまだ追いつけていない状況にあります。
 とはいえ、盲目的に紀州備長炭の増産を奨励すると、値崩れや原木枯渇の危機に直面する心配が出てまいります。和歌山県勢発展のためには、紀州備長炭のブランド力と原木林を守りながら生産量をふやしていく必要があるのではないでしょうか。
 紀州備長炭の有力な原木には、和歌山県の県木であり、代表的な馬目規格のウバメガシ以外に、備長規格となるアラカシやシラカシ等のカシの木があります。カシは製炭するのに高い技術が必要とされることから、原木としては専らウバメガシが使用されています。つまり、紀州備長炭のブランド力と原木林を守りながら生産量を上げるためには、ウバメガシだけでなくカシも製炭できるように製炭士の技術力を向上させることが効果的だと考えられます。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 紀州備長炭の増産及び人材育成について、本県としてどのような取り組みをされているでしょうか、お聞かせください。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 紀州備長炭の生産量については、平成23年の台風12号の影響で原木の調達が困難となり、生産量が減少していましたが、平成26年からは緩やかな回復傾向にあります。しかしながら、生産者の約30%が70歳以上と高齢化しており、後継者対策が重要な課題と考えております。
 後継者対策として、市町村と連携しながら受け入れ可能な窯元との調整を図り、新規参入者の受け入れを行うとともに、起業時の製炭窯の整備等には県の単独事業により支援しているところでございます。
 また、昨年度、紀州備長炭指導製炭士を3名、新規に認定し、合計11名の有資格者を中心に、太い木を伐採し細い木を残す、いわゆる択伐技術の習得、製炭技術と品質の向上のため技術指導を行い、生産体制の強化を図り、増産に努めているところです。
 さらに、現在、県木炭協同組合との共催により開催している紀州備長炭「やまづくり塾」において、原木の調達方法を皆伐から択伐へ転換する取り組みとともに、議員御指摘のウバメガシ以外のカシ類の製炭についても啓発しているところですが、今後、同塾の研修内容をさらに充実させることにより、製炭者の技術向上に取り組んでまいります。
 今後とも引き続き、市町村及び県木炭協同組合と連携しながら後継者の育成に取り組み、紀州備長炭の増産に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(服部 一君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 前向きな御答弁、ありがとうございました。
 ブランド力を守りつつ、そして原木林を守りつつ増産していくということは、なかなかの難題でございますが、高知の土佐備長炭に譲ってしまった備長炭生産量日本一を目指してじっくりとお取り組みいただきますようお願い申し上げます。
 それでは、次に、統計教育の推進について質問させていただきます。
 午前中、山下直也議員も、総務省統計局及び独立行政法人統計センターの一部業務移転について御質問されていました。和歌山県勢発展のためには、ぜひとも移転をなし遂げていただきたいと思いますし、私も全力で御協力申し上げます。
 さて、2013年に、若き西内啓氏は、その著書「統計学が最強の学問である」の中で「統計学によって得られる最善の道を使えば、お金を儲けることも、自分の知性を磨くことも、健康になることもずいぶんと楽になるだろう。だがそれはあくまで副産物である。統計リテラシーによって手に入る最も大きな価値は、自分の人生を自分がいつでも最善にコントロールできるという幸福な実感なのだ」と書かれています。
 現実に、野球の世界でも、10数年以上も前から統計データが活用され、データをうまく利活用できているチームや選手は、プロの世界でも活躍をされています。つまり、現代社会において、統計学は、至るところでそれぞれの活動や思考のベースとなっているわけでございます。統計学は、汎用性が高いために、政治であれ、教育であれ、経営であれ、スポーツであれ、そして趣味であれ、その利活用により最速で最善の答えを導けるツールと言えるでしょう。
 もう1例挙げさせていただきます。
 先日、メディプラス研究所が全国の二十から69歳の女性約7万人を対象に、ココロの体力測定(ストレス指数チェック)というものを実施し、ストレスオフ、つまりストレス指数の低い都道府県ランキングなるデータを発表されました。結果、2016年に1位を獲得したのは鳥取県でありました。
 鳥取県女性は、メディプラス研究所が掲げた主なストレス要因の全54項目中41項目に「当てはまらない」と回答し、全体的にストレスを感じにくい傾向にあることがわかったそうです。中でも、特にママ友関係、友人関係、SNSなど、対人関係においては、他県と比較すると友好的な傾向にあることが要因とのことです。その理由としては、整備された育児環境や豊かな自然環境、睡眠時間への満足度などが推測され、お金や時間など、自分への投資がある程度自由になる生活環境を確保できているとされています。
 このデータから、例えば移住施策の勝負キーワードとして活用することができますし、また、生涯現役社会実現を掲げてPRすることもできるでしょう。
 また、鳥取県鳥取市は、朝日新聞出版発行の「AERA」2015年9月14日号にて、移住しやすい街110にも選ばれています。
 ちなみに、この女性のストレスオフ、ストレス指数の低い都道府県ランキングの2位は、何と和歌山県でございます。しかも、「AERA」の移住しやすい街110には、本県より田辺市、紀の川市、岩出市が選ばれています。
 これらのデータは、科学的な根拠に基づいていますので説得力があります。しかし、1つのデータを聞いてただただ納得し、うなずくだけで終わってしまうと何も始まりません。知事も先ほどおっしゃっておられましたが、それをいかに利活用するかが大切だと私も考えます。
 総務省が主催する統計グラフ全国コンクールという大会がございます。この大会は、全国の小中学校等を対象に開催されていますが、昨年の第63回大会には本県より87点の作品が応募されました。一昨年の54点と比べると60%増となっています。ちなみに、人口69万人の島根県では249点、人口143万人の沖縄県では532点、人口291万人の茨城県では4017点もの作品が応募されています。
 統計の利活用力を身につけるためには、子供のころから統計に興味・関心を持たせることが重要であるとの観点から、この統計グラフ全国コンクールにも本県の小中学生はもっと積極的に取り組むべきだと私は考えています。また、そのためには、御指導いただく先生方や学校現場でも統計への意識をより高めていただくべきでありますし、和歌山県統計教育研究会ともより密接に連携をしていただくことが重要です。
 本県では、統計局及び独立行政法人統計センターの一部業務を移転させようという取り組みから、統計についての機運が急激に高まりつつあります。今こそ、全国に先駆けた取り組みをすることにより、和歌山の子供は統計に強いと言われるような基盤づくりに着手するべきだと考えています。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 本県では、統計教育についてどのような御認識をお持ちでしょうか。また、統計教育の推進について、今後どのような取り組みをお考えでしょうか。御答弁、よろしくお願いいたします。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 現在、グローバル化、情報化が進む中で、さまざまなデータから傾向を分析、把握し、それに基づき意思決定を行う力を身につけることが求められており、統計教育は、その基盤を培う大変重要なものと考えてございます。
 小・中・高等学校では、算数・数学科の中で統計に興味・関心を持たせ、学んだ知識を活用することができるよう、発達の段階に即し、系統立てて指導してございます。また、算数・数学科以外の教科においても、表やグラフを活用し、統計的に分析する学習を幅広く取り入れているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、関係部局や県統計教育研究会と連携し、子供たちの興味・関心とその能力をより高めるため、統計に関するコンクールや各種大会に積極的に参加するよう取り組んでいるところでございます。
 今後も、こうした取り組みを広げるとともに、教員研修においても統計に関する内容を取り入れるなど、統計教育の一層の充実に努めてまいります。
○副議長(服部 一君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 今後、学習指導要領改編後の際に統計分野が拡充されるとお聞きしております。先生方や学校現場での意識啓発も含め、全力で取り組んでいただきますよう強く要望申し上げます。
 それでは、次に企画部長にお尋ねいたします。
 小中学生に統計への興味を持っていただく取り組みとして、出前授業が実施されているとお聞きしています。この出前授業とはどのような取り組みになっているでしょうか、また、授業を受けられた子供たちからはどのような感想が聞かれているでしょうか、お聞かせください。
○副議長(服部 一君) 企画部長。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 今回の統計局の誘致に当たり、次代を担う子供たちにも統計に興味を持ってもらうことが大切であると考え、従来、高校生以上を対象としていた「出張!県政おはなし講座」について、その対象を小中学生まで拡大し、教育委員会と協議した上で出前授業として行うこととしたところです。
 先般、和歌山市の2つの小学校で実施したところ、「数字をグラフ化するとすごくわかりやすくなった」、「日本一の果物がたくさんあって、和歌山はすごいと思った」という児童の感想などから、統計に関心を持ってもらういい機会となったと考えております。
 今後、実際行ってほしいとの要望も出てきており、かつらぎ町や岩出市など、県内各学校での出前授業を予定しているところであり、児童生徒が学校教育の場で統計と接する機会をふやし、統計への関心と理解を深めるよう取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 企画部長より御答弁をいただきました。
 和歌山の子供は統計に強いと言われるような基盤づくりに向けて、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、最後の項目に入らせていただきます。
 見えない資本への投資についてお話をさせていただきます。
 世の中には、貨幣や数値ではあらわせないとうとい要素がございます。文化、芸術、郷土愛、道徳、義理、誇り、愛情、友情、また人間関係や評判、信用、信頼、そして感動や興奮、痛みや悲しみの大きさ等々でございます。21世紀に入ってはや16年目となり、文明は目覚ましいスピードで進化していますが、そんな時代であるからこそ、見えない資本がより重要性を増してくるものと確信しております。
 4月に宇治田議員、尾崎要二議員、山下議員、前芝議員、藤山議員、岸本議員、濱口議員、鈴木議員と金沢市を訪れました。
 初日は、日本版CCRC、これはコンティニュイング・ケア・リタイアメント・コミュニティーの略でございますが、その実践モデルと評されている施設を訪問させていただきました。
 この施設内では、多世代の多様なニーズを持つ人々がごちゃまぜになって魅力的なコミュニティーを構築しています。年配の方々は子供たちに歴史や昔話を語り、子供たちは施設内に夢や希望をもたらし、学生は子供たちに学業を教え、職人はその専門技術を提供し、まさに老若男女が共存共栄し、お互いに協力して応援し合いながら健やかに生活をされていました。私も、和歌山版CCRCについて真剣に検討していくべきであると考える契機となりました。
 2日目は、金沢市民芸術村及び金沢職人大学校と金沢海みらい図書館を訪問しました。
 金沢市民芸術村では、ドラマ工房、ミュージック工房、アート工房と、3つの工房にそれぞれ民間のディレクターが委託されて運営に当たることで、多彩なイベントやワークショップが開催され、文化・芸術の発信地として大いににぎわっています。また、ありとあらゆる芸術が、練習し発表できる設備が整えられ、それが安価に利用できるということで、利用者数は増加傾向にあるとのことでした。
 金沢職人大学校は、金沢に残る木造建築の伝統的で高度な職人のわざの伝承と人材の育成を行う目的として設置された施設です。各業種組合の方々と連携し、職人の技術向上のための指導や稽古場を提供されていました。
 金沢海みらい図書館では、自然光を活用したエコロジー設計や児童図書コーナーの設置、自動貸出機の導入など、市民の読書意欲が刺激され、図書館に通いたくなるような先進的な工夫がふんだんにされていて、入館者数が年間65万人を超えるほど多くの市民が利用されていました。
 3日目は、金沢ふるさと偉人館を訪問しました。
 金沢市御出身の世界に誇れる偉人が年表とともに詳しい実績紹介がされ、ゆかりの作品や愛用品も展示された極めて質の高い施設でございました。次代を担う子供たちが、見学や体験などを通じ、ふるさとの先人たちの偉業と生き方を知ることで、郷土愛は一層育まれるものと考えます。訪問を終え、和歌山が輩出した多くのすばらしい先人たちに思いをはせました。
 この金沢市訪問の各施設に共通しますのは、見えない資本に対して多大な投資がなされているということです。共感であったり、文化・芸術であったり、技術や誇りの向上であったり、学習意欲であったり、そして郷土愛であったりするわけでございます。
 見えない資本は、投資をしても直ちに結果が出ることが少なく、結果が出たとしてもわかりにくいことが多いわけでございますが、和歌山県勢のさらなる発展のためには、この見えない資本力強化が必須であると確信しております。予算は限られておりますし、費用対効果の実証も必要ではありますが、仁坂知事初め当局の皆様方には、この見えない資本への投資についても、今後、より前向きな施策立案をぜひとも御検討いただきますよう心から御要望申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で川畑哲哉君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は6月13日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時22分散会

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