平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録

第7号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、通告に従って一般質問させていただきます。
 まず1点目、医療問題について。県単独の福祉医療制度の拡充について、知事にお尋ねいたします。
 ひとり親家庭、老人医療、重度心身障害児(者)医療、乳幼児医療助成は、県独自の福祉施策であり、県の福祉への姿勢を具体的に示すものと言えます。
 老人医療は、所得制限を厳しくして以来、対象者が極端に減りました。かつてはおおむね10億円の助成事業であったのが、2016年度予算案では772万円となっています。
 重度心身障害児(者)医療は、65歳以上の新規障害者を対象外として以来、年々対象者が減り、同じく予算案では、今年度より約1億円減額されています。
 乳幼児医療については、市町村が独自に対象拡大し、新年度では、和歌山市、海南市、紀の川市も通院も中学校卒業まで拡大、有田市では高校卒業まで拡大する計画となっています。しかし、県制度は就学前にとどまったままです。
 こうしたことから、福祉・医療4制度の合計では、今年度より約1億2000万円もの減額の予算案となっており、2013年度予算と比べれば3億2000万円もの減額になっています。それだけ、県から県民への助成が減っているということになるわけです。
 消費税増税により、地方消費税が1.7%に上がりました。増税前に比べ、新年度予算は71億円の増収になるということで、それは社会保障に使うということです。それを財源に、今こそ、県単独福祉施策である福祉医療制度をさらに拡充を図るべきではないでしょうか。
 これは、市町村からの要望でもあります。県予算編成等に関する要望書で、9市から、重度心身障害児(者)医療補助制度について障害認定の年齢制限を撤廃されたい、また、乳幼児医療費助成制度の所得制限を撤廃するとともに、対象年齢を小学校卒業まで拡大することが求められています。町村会の要望では、乳幼児医療費について、小学校卒業前まで対象年齢を引き上げること、また、重度心身障害児(者)医療助成に精神障害者に対する助成を適用することを求めています。子供の医療費助成など上乗せをしている市町村が、県制度の拡充を切実に求めていると言えます。
 こうした市町村の要望に応え、特に重度障害者の65歳新規の制限をなくすことや精神障害を加えること、また、子供医療費の年齢拡大を行うなど、福祉・医療拡充を図る考えはありませんか。知事にお尋ねをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県単独の医療費助成については、奥村議員からも、しばしば御質問、御意見を賜っておりますし、市町村からも要望もございます。
 重度心身障害児(者)医療費助成制度は、若年期から重度心身障害者である者は生活基盤が脆弱な場合が多く、これらの者が安心して医療を受けることができるようにするための制度であります。65歳以降に加齢により重度障害になった方は、それまで職業等につき生活をしてきたということで、若年期から重度障害である方とは生活基盤が異なることから、対象外としております。
 また、精神障害者については、自立支援医療公費負担制度の活用が可能でございますので、そっちをお願いしますということで対象外としております。
 乳幼児医療費助成については、免疫が少ないため病気にかかりやすく、また、病気にかかった場合に重症化しやすい乳幼児を対象に、これは、早期にとにかく医療機関で受診してもらえるように自己負担分を無料にしております。乳幼児のこのような特殊性に鑑みて、これは、市町村の意向にかかわらず、県が手当てをしておくべきだということで乗り出しているわけでございます。
 市町村それぞれのお考えで対象年齢を拡充していることは、県も承知しているところでございますが、ベースになる部分は県が下支えをし、対象年齢拡大等の上乗せの部分については、市町村がそれぞれの地域の実情と、それから、それぞれの政策のアピールに従って施策の特色を出すために実施しているものと考えております。
 これらの県単独医療費助成については、現行制度のままでお願いしたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今までにもお尋ねしてきたことの中での答弁だったかなあとは思ってるんですけども、予算編成の審議をする議会なので、再度──やはり今、特に子供の医療費の問題でいいますと、子どもの貧困対策の推進に関する法律というのが2014年1月17日から施行されてきてるわけで、そういった中でぜひとも市町村が独自で厚い支援をずっとしているという中で、市町村の要望にもぜひ積極的に応えていっていただきたいなあというふうに思っています。
 今、消費税増税分を社会保障に活用するということで言われているので、県のその単独の施策のところ、県として福祉施策をやはり拡充していくことは財政的にはやっていけるんではないかというふうに思うんですが、ここが、年々、今、福祉の予算で減っているということに対して、やはり再度、この県単独の福祉医療制度を充実するという方向でぜひ考えていただきたいと思います。
 先ほどの答弁で今のままでということだったんですが、1つ、子供の健康の問題でいいますと、貧困が健康に与える影響とかいうことで、貧困と子供の健康、外来診療での子育て世代の実情調査というちょっと資料があるんですが、日本では、なかなか貧困と子供の健康についての国内での調査が少ないんです。そういった点で、まず、せめて──今、子供のいろいろな健康をめぐる環境、いろんな問題がある中で、また、少子化に対して厚い対策を取り組んでいこうということと、また取り組まれている中で、健康の問題についても、ぜひとも実態を県としても調査をしていただきたいなあというふうに思います。
 ある調査をされた中で、自由な記載欄ということでアンケートの紹介をしたいんですけども、156件の自由記載欄があったわけですが、そのうち48件が、やはり医療費にかかわることの意見が多かったという報告があります。子供の医療費助成制度があってよかったというようなことも書かれています。「医療費が高いので、民間療法などで様子を見ることがある」、「慢性疾患のため、医療費の負担が大変」、このように述べられています。
 あるお母さんですけども、「3人の子供のうち長男は障害があることもあり、少しの体調変化があるとすぐに病院に連れていってしまいます。アトピーや花粉症、毎月のリハビリなど、医療費は結構大変です。月に1万円程度戻ってくるといっても、結局、毎月、窓口での支払いは発生するので、その分は用意しないといけない。給料日前だと、受診しても、薬は後日にしてしまうこともあります」ということや、ほかの子は「1日休めば元気になるかなと安静にしているだけだったり、市販の薬で済ませてしまう」とか、そういったようなことで、やはり子供を安心して育てていくというところでは、安心してお医者さんに診てもらえる、こういった環境をつくっていくことこそ大事だと思いますので、ぜひともこの検討をこれからもしていただけるように切にお願いいたしまして、次に行かせていただきます。
 次は、国民健康保険料の引き下げについてお尋ねします。
 次に、国民健康保険の問題です。国保は、他の協会けんぽなど公的医療保険に比べ、高齢者や低所得者層が多く加入しているという構造的な問題を抱え、結果、保険料が高過ぎることや財政悪化につながっています。
 国は、公費拡充による財政基盤の強化策として、2015年度から毎年、消費税増税分を財源に、低所得者対策として保険者支援制度を拡充し、国4分の2、県4分の1、市町村4分の1の負担割合で公費を投入します。
 15年度では県負担分で約6億円が交付されていますので、合計で24億円が市町村国保に投入されたことになります。これは、被保険者1人当たり5000円の財政改善効果ということですが、平成27年度の保険料を見ると、余り下がったようには思えませんが、これを活用して保険料引き下げにつなげることはできないのでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 国民健康保険につきましては、平成27年度から、低所得者が多い自治体に対する財政支援として、保険者支援制度の拡充が図られております。平成27年度では、拡充分も含め、約24億円が県内市町村国保に交付されることになります。
 保険料は、1人当たりの医療費の伸びなどから必要となる費用を算出し、そこから公費負担などの収入を控除するなどして計算されますが、その際、今回拡充された公費も勘案し、保険者である市町村において適切に設定されるものと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁をいただきました。
 答弁では、低所得者対策の強化のための財政支援であると言われたと思います。この24億円が投入されるということで、各市町村が適切に試算して保険料の引き下げにつながるよう、そういったことで、ぜひ県としても──指導という立場ではないかと思うんですが、助言なり、そういった形で、今、国民健康保険料負担が非常に重いという中で、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次、地域医療構想の策定についてお尋ねします。
 この問題は、9月、12月議会でもお聞きしました。各医療圏ごとに圏域別検討会を行い、圏域別の構想案を県地域保健医療協議会で協議して県全体の構想案を取りまとめる、その後、県医療審議会で構想案を審議するということでしたが、議論はどのようになっているでしょうか。
 9月議会で、知事は、政府が示した病床削減の推計値はあくまで参考値であること、将来の医療需要を推計し必要病床数等を県が定めていくもので、地域の実情を踏まえ、市町村や医療関係者等の意見を十分聞きながら、地域医療構想を策定していくと答えられています。
 12月議会でも、部長は、医療需要の推計や国が示す地域医療構想策定ガイドラインに沿って算定されるものだが、県としては、県民が将来にわたり必要な医療を受けることができるように、市町村や医療関係者等の現場の意見を十分聞きながら、丁寧に策定作業を進めているところだと答えられています。また、取りまとめにはパブリックコメントを求め、医療審議会では公開で議論するとされました。
 今、既に圏域別検討会は終わっている段階だと思いますが、どのような議論が行われているのでしょうか。現場の意見を十分聞きながら丁寧に策定作業を進めるということですが、今はどういう段階になっているのでしょうか。また、県としてはどういう地域医療構想をつくろうとしているのか、そのことで医療提供体制はどうなるのか、お答えください。福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) これまでの圏域別検討会においては、今後の人口推計、患者の受療動向、圏域間の入院患者の流入・流出の状況を踏まえ、適切な医療提供体制について議論してきたところです。
 現在、第3回目の圏域別検討会で、県下全域の高度急性期病床のあり方や回復期医療などの施策について議論しているところであり、今後、パブリックコメントで県民からの意見を求め、医療審議会の諮問を経て、地域医療構想を定めることとなります。
 地域医療構想の内容は、地域保健医療圏ごとに、将来の医療需要に見合ったバランスのとれた病床機能別の必要病床数やリハビリ機能の充実、在宅医療の推進といった施策等を盛り込んだものになります。
 地域医療構想を策定することで、限られた医療資源等を効率的に活用し、各医療機関の機能分化と連携を図り、県民が住みなれた地域で将来にわたり必要な医療を安心して受けることができる医療提供体制を促進してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 2025年の必要病床数の推計は、回復期病床をふやすというもので、急性期や慢性期は大きく減らして、全体としては3000床削減となっているかと思います。3500人程度は、介護施設、サービスつき高齢者住宅、自宅など、在宅に移行することになります。
 こういう中で必要な医療が受けられるのか。先ほども安心できる医療体制をということで言われていますが、この推計値に対して現場から出される意見はどう反映して構想づくりに生かされているのか。再度、その点をお尋ねしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) さまざまな御意見をいただいてるところですけれども、多くの急性期の病床に必ずしも手厚い医療を必要としない患者が入院していたり、慢性期病床においても医療をさほど必要としない患者が入院しているといった意見があります。
 県全体で病床数を3000床削減し、介護施設や在宅などに3000人程度移行するとの御指摘ですが、現状の病床数の中には現在稼働していない病床が含まれており、病床削減により直ちに病院から患者が出されるというものではありません。
 一方、3500人は推計した人数ですけれども、このうち約半数は、将来、介護療養病床等に入院する医療必要度の低い患者であり、当該介護療養病床等は、平成29年度末の廃止をにらみ、現在、国において新たな類型の施設への移行が検討されています。また、残り半数は、高齢化の進展により今後新たに在宅での訪問診療が必要となる人であり、県では、在宅医療サポートセンターの設置など、全県的な在宅医療推進ネットワークの構築を図っているところです。
 このような状況を踏まえた上で、患者の病状に応じた切れ目のない医療提供体制を構築できるよう、地域医療構想の策定を進めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ぜひとも、県民の皆さんがどこに住んでても──必要な医療というのは何なのかということもあるかと思うんですが、そういった必要な医療をやっぱり適切に皆が受けられると、そういった体制のもとで、ぜひともこの地域医療構想を練り上げていく必要があると思っています。
 そういった中で、やはりこのことと介護との連携というのは必要なことだと思うんですけど、やはり在宅でということになれば、今、介護の分野でも特別養護老人ホームが要介護3以上が対象になってきてる中で、今までの要介護1、2の方がどんなふうになっていくのか、そういった懸念もあるんですけど、そういう中で、医療の必要度ということについては、明らかにやっぱり県民の中にコンセンサスを積み上げていくというようなことをぜひやっていただきたいなあというふうにお願いをして、次の介護問題に行かせていただきます。
 介護報酬引き下げの影響についてお尋ねいたします。
 昨年4月に介護報酬が改定され、基本報酬が4.48%という大幅な引き下げとなりました。和歌山県社会保障推進協議会が行った介護事業所アンケートでは、報酬引き下げで75%の事業所が減収、小規模通所介護では81%が減収となり、最も大きいところは減収幅が40%という回答もありました。また、介護職員は51%の事業所が不足していると答えています。その一番の理由は、賃金水準が低いからです。しかし、処遇改善加算をとれない事業所は、大きな減収となり、賃上げはできない状況です。
 この介護報酬引き下げの影響をどのように県として把握しているか、福祉保健部長より御答弁、よろしくお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 平成27年度介護報酬改定は、全体としてマイナス2.27%の引き下げとなりましたが、その一方で、重中度の要介護者や認知症高齢者への対応のさらなる強化に係る加算の拡充や介護職員の処遇改善に係る加算の拡充がなされております。
 県としましては、事業者に対しこれらの加算の取得を促すべく、集団指導や実地指導を通じ、関係事業者に対して、今回の報酬改定の趣旨、各種加算の説明などを行ってまいりました。また、介護職員処遇改善加算の未取得事業所に対しては、県内7カ所で研修会を実施するとともに、研修会を受講していない事業所に対し研修会資料を送付するなど、処遇改善加算の取得の促進に努めてきました。
 この上で、平成28年1月時点の指定事業所件数は7463件であり、平成27年4月から12月までの指定事業所の新規指定件数は387件、廃止届け出件数は166件となっています。廃止届け出件数については、平成26年度の255件、平成25年度の274件と比較すると、今のところは例年を上回るとは言い切れない状況にはありますが、県としましては、引き続き、事業者の経営状況に注視してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 処遇改善加算をとっている事業所の実際の賃上げの実態、また経営状況について、先ほどもおっしゃってくださってましたが、県として、やはりこの実態を十分把握をしていただきたいと思います。
 次、介護離職ゼロに向けての問題についてお尋ねいたします。
 安倍政権は、年間10万人超に上る介護離職をゼロにするための緊急対策を打ち出しましたが、実際は介護サービスの改悪を連続させています。介護現場が深刻な人手不足になっています。全産業平均より約10万円低い介護職員の平均賃金の引き上げなくして人手不足の解消はできませんが、逆に大幅に介護報酬を引き下げました。また、特別養護老人ホーム入所を要介護3以上に制限し、年金収入280万円以上の人の利用料負担を2割に、補足給付を縮小するなど、昨年から改悪を行っています。介護離職ゼロとは全く逆行する改悪です。
 さらに、今後も、利用料を全員2割負担にする、要介護1、2の人の在宅サービスは原則自己負担にするなど、一層の負担増と給付の削減が検討されています。これでは、介護離職ゼロどころか、さらに介護離職をふやさざるを得ないのではないでしょうか。
 福祉保健部長に、このような状況の中で県として介護離職ゼロに向けての課題と対策をどう考えているのか、お尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 介護離職ゼロに向けた介護保険施策における課題としては、将来を見据えた介護サービスの整備、介護サービスを支える介護人材の確保、介護する家族の不安や悩みに対する相談支援体制の整備の3点が挙げられます。
 このうち介護サービスの整備については、75歳以上の高齢者がピークを迎える2030年を見据えて必要な介護サービスを計画的に整備するため、昨年3月にわかやま長寿プラン2015を策定したところです。平成27年度補正予算で前倒しもできるように措置された基金も活用しつつ、引き続き、同プランに基づき必要な整備を進めてまいります。
 介護人材の確保については、就職を希望する高校生等を対象に介護資格の取得を支援する事業など、必要な対策を進めているところであり、来年度には、介護福祉士の修学資金等の貸し付け、介護事業所内保育所の整備など、介護人材確保対策のさらなる充実を図っていきたいと考えています。
 相談支援体制の整備に関しては、現在、各市町村に設置された地域包括支援センターが相談窓口として機能しており、引き続き同センターの周知に努めていきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 県としては、今部長がお答えしてくれたさまざまな施策をしていくと、また、されているというお話でした。
 2015年の長寿プランの介護人材需要・供給推計では、今のままでは介護職員の需給差が広がるばかりという予測がされています。平成29年度では、2380人が不足する予測になっているかと思うんです。
 そういった中で、さまざまな施策とともに、やはり最も必要なのは賃上げなどの処遇改善を行っていくこと。これは、国でやはりしっかりと財源を充てていくという、そういう施策にしていくよう、県としてもぜひとも国にも要望を上げていただきたいと思います。
 次に、商工観光労働部長にお尋ねしたいんですが、平成24年の就業構造基本調査によると、和歌山県内の介護を理由とする離職者は、平成23年10月から24年9月までの1年間で1100人となっていると聞いています。
 県内の介護離職の状況を踏まえて、その解消のためどのように対策など考えられているのか、介護離職ゼロに向けての取り組みについて商工観光労働部長にお尋ねしたいと思います。親とかの介護が必要な人のうちで介護休業制度等を利用している人は14%にとどまっていると聞いているんですが、そういった点も含めて、県としての取り組み、その点について御答弁をよろしくお願いしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 介護離職をなくすため、国においては、介護の状況に柔軟に対応できるよう、介護休業の分割取得、所定外労働の免除制度の創設、介護休業給付金の給付率の引き上げなど、介護をしやすくするための育児・介護休業法等の改正が今国会に提出されております。また、介護休業の取得促進に取り組む企業や実際に介護休業を取得させた中小企業に対して、一定の条件のもとで助成金を交付する制度も設けられる予定です。
 県におきましては、これまで主に仕事と育児が両立できる職場環境づくりを進めてまいりましたが、今後は、介護についても、経営者の意識改革を図るセミナーや経済団体等への出前講座、就業規則の見直し等を助言・指導するための専門家派遣、支援制度の周知啓発などを行い、仕事と介護が両立できる職場環境づくりに取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 介護離職の問題では、やはり働く環境づくりという点で、今度、国会に提出されている法改正、そのことが、今までよりも一層、介護休業がとりやすくなる方向になってるかと思うんですが、じゃ、それが実際に職場で活用されていくかという、その職場環境づくりをぜひとも公務職場でも進めていけるように、県としても指導なり、県の職場でもそういったことができるようにしていただきたいなあというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 最後に、障害者問題について、昨日も藤本議員から質問されていましたが、私も、障害者差別解消法の取り組みについてお伺いをさせていただきます。
 4月から施行される障害者差別解消法について、この法律は、障害のある人への差別をなくすことで、障害のある人もない人も、ともに生きる社会を目指すという法律です。
 例えば、障害があるという理由だけでスポーツクラブに入れないことやアパートを貸してもらえないなど、障害のない人と違う扱いを受けているので、不当な差別的取り扱いになります。また、聴覚障害のある人に声だけで話すことや視覚障害のある人に書類を渡すだけで読み上げない、知的障害のある人にわかりやすく説明しないことは、障害のない人にはきちんと情報を伝えているのに、障害のある人には情報を伝えていないことになります。
 障害のある人が困っているときに、その人の障害に合った必要な工夫ややり方を相手に伝えて、それを相手にしてもらうことを合理的配慮といい、役所や会社、お店などが障害のある人に合理的配慮をしないことも差別となります。
 これは、内閣府から出されている、わかりやすい、「障害者差別解消法ができました」というリーフレットがあるんですが、そこに書かれている内容です。
 この法施行に向けて必要な対応を県としてどのようにお考えなのか、また、県条例制定の必要性があると私は思うんですが、その点について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県としましては、障害や障害のある方について一層理解を深める必要があると考えており、県が事業や事務を実施するに当たり、障害のある方の社会参加が促進できるよう、具体的な配慮事例やそれぞれの障害特性に応じた配慮事項を盛り込んだ職員対応要領を策定したところであり、今後、研修等を通じて職員に周知徹底を図ってまいります。
 また、市町村や民間事業者における取り組みも重要であると考えており、各省庁が策定した事業分野ごとの指針に基づき、適切な対応が図られるよう、所管する各部局から周知してまいります。
 なお、条例の制定につきましては、障害を理由とする差別の解消を推進し、障害のある方の権利擁護を一層図るため、法律の円滑な施行に取り組むことが必要であると考えており、法律の施行後の状況を踏まえ、関係の皆様の御意見を伺いながら、その必要性も含めて検討してまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 県職員の対応要領ができたということなんですが、1点だけお尋ねしたいんですけど、例えば、不当な差別的取り扱いや合理的配慮をしない事例が起きた場合、県として相談体制をつくり、個別の事例に対応できるようにすべきだと思うんですが、そういった点での窓口というのはあるのでしょうか。また、窓口の体制というのは考えられているのか、その点についてお尋ねします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) これまでも、障害者の人権に関する相談については、障害福祉課や振興局の健康福祉部で受けてきたところです。
 障害者を差別するなどの事案が生じた場合、障害者差別解消法を所管する障害福祉課が主になって対応するとともに、関係者で協議する場を設け、意見を伺いながら差別の解消に取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 障害福祉課が窓口になってということですので、その点で、ぜひとも県民の相談の窓口として周知徹底をしていただきたいと思います。
 その際に、やはり個別の相談に適切に対応するために、その相談やあっせんに弁護士とか弁護士会がきちんとかかわる体制をつくっていただければなあと考えます。単に法律相談を要する事案は弁護士会に振ると、そういうことではなくて、この差別解消法にのっとって、やはり一人一人の個別の事案について、先ほども部長もおっしゃっていただいたように、親身な相談と、やはり解消に向けての対応はできるように、ぜひとも相談体制を充実させていっていただき、どういう合理的配慮があればいいのかという点についても、当事者や企業と一緒になって考えていくような、そういった、弁護士のかかわりもできるような形で、ぜひともこの解消法に沿って、安心して障害のある人もない人も暮らせていける、そういう和歌山県にしていくためにも、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 以上で、要望して、一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時32分休憩

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