平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(泉 正徳議員の質疑及び一般質問)


平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録

第7号(泉 正徳議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号、議案第33号、議案第35号、議案第40号から議案第62号まで、議案第64号から議案第70号まで、議案第73号から議案第76号まで、議案第78号から議案第82号まで及び議案第84号から議案第172号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 11番泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕(拍手)
○泉 正徳君 皆さん、おはようございます。一般質問もいよいよ最終日となりました。もう1日、皆さん大変でしょうが、おつき合いをいただきたいと思います。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 28年度の予算ということで、これぐらいの厚い冊子をいただきました。後ろのほうに本当にひっそりと、新年度の予算の中に生物多様性和歌山戦略の推進という1項目がありました。地球規模から見るとほんの小さな一歩かもしれませんが、その新政策に期待している1人であります。
 我々和歌山県人は、山あり、里あり、川あり、海ありのすばらしい自然の中に住んで、そこで多様な生態系で機能されている生態系サービスと呼ばれる自然の恵みから多くの有形無形の恩恵を受けています。しかしながら、日ごろの生活ではついついその恵みを忘れて、人間は、自分たちの利便性だけを追求する余り、環境に思いも寄らぬ負荷をかけて生活しているのが現状です。「地球は人間だけのものじゃない」と多くの生物が嘆いているような気がいたします。
 地球環境は、もろい側面もあり、一旦失われると二度と戻らないこともあります。本県でも、かつて紀伊山地にニホンオオカミがすみ、闊歩していた時代がありましたが、明治には絶滅したとされています。もしニホンオオカミが今生息したらと考えますと、鳥獣被害のことであるとか、生態系がどうであったのかとか、いろんなことを思い浮かべるわけでございます。
 数多くの生物が、この自然豊かな和歌山でも絶滅危惧種として指定されています。何万年とも言われる長い年月を重ねて形成されたこの森、里、川、海の水の物質循環が生み出す恵みをこれからも永遠に子孫に引き継いでいかなければならない義務は、時の流れが速い今こそ、しっかりとした意識で私たちが取り組んでいかなければならない重要な課題です。
 この生態系サービスの価値について、国の中央環境審議会意見具申のデータによると、二酸化炭素の吸収や水源涵養など、森林の持つ価値が年間で約70兆円、農業・農村の洪水防止や地下水涵養など、多面的機能の価値は同じく約8兆円、サンゴ礁や干潟の持つ漁業や観光面での価値が合わせて9000億円程度と報告され、自然の多くの恵みに支えられ、私たちは豊かに暮らしています。
 一方、我々日本人は、精神面においても、大自然の中にやおよろずの神と呼ばれる神を祭り、自然に対して畏敬の念を持って接してきた歴史があり、宗教観や地域の文化の中に大きな影響を与え、鎮守の森を守り、山の神や海の神をあがめて先祖は暮らしてきました。その山の神、海の神を祭り、生活してきた田舎の集落や、そこで育まれた生活や文化が、人口減少により集落維持が困難となり、今、1つ、2つと消えつつあるという大きな問題があります。そこには今回触れませんが、私たちの祖先は、この豊かな自然と、そこから生まれた地域文化を享受し、引き継いで生活をしてきたということを決して忘れてはなりません。
 現在、和歌山県は、いまだ多くの自然を有し、その豊かな自然があるからこそ、多くの生物が生存しています。ラムサール条約に登録された彩り豊かなサンゴの海や、日本ジオパークに認定されたすばらしい数々の地形・地質、昨年、国立公園指定80周年を迎えた吉野熊野国立公園には、大幅に拡張された誇るべき景観があります。その中で世界に誇れる文化を育み、生活をしてきました。高野・熊野を含む世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」や、昨年、世界農業遺産に登録された「みなべ・田辺の梅システム」は、その地域に住む先人たちが、豊かで、畏敬の念さえも持つ自然を前提にしてつくり上げてきた財産であり、これからも、これらを全ての子孫に引き継いでいかなければなりません。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 1つ、今回の新政策における生物多様性和歌山戦略の目指すものは何ですか。
 2つ目、自然との共生を目指した国づくり、環境をベースにした「環境立県わかやま」と銘打って、県のあらゆる施策の基本に入れて政策を進めていかれてはどうかと思います。きっと後世の人々が知事の功績を認めてくれると確信いたしますが、知事のお考えを伺います。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの泉正徳君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県には、南方熊楠が研究のフィールドに選んだ緑豊かな森林や清らかな水など、すばらしい自然が随所に存在し、その自然は、多種多様な生物と、それを支える大気、水、土壌などで構成される生態系から成り立っております。ただ、その後、経済発展とともに、この南方熊楠の世界というようなものがかなり失われていった面も否定はできません。
 こういう点については、長い歴史の中で、この地域ならではの文化や信仰を生み育んできました。その頂点が世界文化遺産であり、世界農業遺産であると思っております。このような貴重な生態系は、現在に残された貴重な我々としての資産でございますので、ぜひ守っていきたいと考えております。このため、生物多様性和歌山戦略を策定することにいたしました。
 策定中の戦略では、世界に誇る資産を生んだ本県の生態系を徹底的に保護しつつ、生態系が与えてくれる自然の恵みと経済活動などとの調和を目指していきたいと思います。さらには、戦略を推進することで、県民の暮らしや文化によい影響が生まれることを期待しております。
 次に、「環境立県わかやま」を県のあらゆる施策の基本に入れることについては、これまでも、環境基本条例にうたわれた環境の維持、自然との共生、環境への負荷の少ない健全な経済発展など、基本理念を踏まえ、県政に取り組んでまいりました。今回、新たに生物多様性和歌山戦略を策定し、この考え方を進めまして、一層の自然の保護と活用について調和のとれた政策を進めてまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 昨年の12月に、皆さんの御尽力のおかげで世界農業遺産に登録されましたみなべ・田辺の梅システムは、この地域に住む先人たちが400年以上も続けてきた梅栽培が、自然との共生により守られてきた地域の営みそのものが世界に認められ、すばらしい財産をいただいたものと喜んでいます。
 世界農業遺産については、次の3つのことが指摘されています。
 世界農業遺産は農業のさまざまな役割を重視し、農業は単に必要なものを生産する場だけではなく、豊かな水と緑の風景をつくり、生物の多様性を育み、風土に根差した文化を創出・継承する場であり、農業の多面的機能、生態系サービスを忘れてはならないこと。
 また、次は、農業遺産は変えていく遺産であること。農業は、新しい知識や技術を取り入れて変わってきました。あるべき農業の実現に向けて、今ある問題を解決していく姿勢が大事です。変えてはならないものもあります。それは、例えば、地域の人々が代々培ってきた、その土地で生きるためのその土地の規範であり、倫理であります。
 そしてまた、農業遺産はつなげていく遺産であることです。生産地と消費地をつなぐ、農村と都市が密接につながり、認定を受けた地域の経験もつなげていくことが活性化につながり、地域の農業の振興や経済の活性化を目指すのも重要な目的であると、総合地球環境学研究所・阿部教授は述べられています。
 これらの指摘をもとに、我々は、先人から引き継いだ誇るべき農業遺産を守り、後世に残して、また伝えていく必要があります。しかしながら、過疎化、高齢化による耕作放棄地の増加や後継者の問題、薪炭林の確保や鳥獣害対策、梅の消費拡大への取り組み等、地域の抱える問題は少なくありません。
 これらの課題を克服するには、しっかりとしたアクションプランとそれに対応できる体制づくり、そのためには、研究機関や農業関係者、地域住民の協力なしには、今後の保全と活用を図っていくことは容易なことではありません。世界に誇るべき農業遺産の今後の保全と活用にどう取り組んでいかれるのか、知事にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 約400年にわたり自然と共生し、高品質な梅を持続的に生産してきたみなべ・田辺地域の伝統的な農業システムが、世界的に高く評価されました。このことは、このシステムを守り、発展さしてきた地域の人々の自信と誇りにもなっております。
 今後は、これをエネルギーに変えて、世界農業遺産を活用し、農林業の振興や経済の発展につなげることで、後世に伝えていくことが重要であります。そのためには、3つのことを中心にアクションプランを作成し、重点的に取り組む必要があると考えております。
 1つは、農林業自体の振興であります。世界農業遺産のイメージを最大限活用したPRや梅の健康機能性をPRすることで梅製品の付加価値をさらに高め、国内外での梅の需要拡大を図ってまいりたいと思います。また、システムを引き継ぐには、農業や林業、製炭業の担い手育成が不可欠であることから、地元での後継者育成のみならず、広く県内外からこの地域で農林業を希望する方々の参入を図っていきたいと思います。
 2つ目は、観光の振興でございます。都市住民や外国人などに対して、みなべ・田辺の梅システムの重要性や魅力を広く情報発信し、農家民泊や梅収穫・加工体験などのグリーンツーリズムの推進や、熊野古道や和歌山のヒット商品であるほんまもん体験と世界農業遺産を組み合わせることで、新しい観光の展開が図られると考えております。さらに、観光客に梅システムを説明し、魅力を伝えることのできる語り部などの養成にも力を入れたいと思います。
 3つ目は、システムを支える若い人の人づくりでございます。地元小中学校での郷土愛を育むためのふるさと教育や、高等学校での環境学習や地域学習及び梅加工品開発の実践学習等により、子供たちの地域に対する理解を深め、将来、地域の魅力発信者として地域振興の一翼を担う人材の育成に努めてまいりたいと思います。
 県としても、世界に認められたこの農業システムを活用し、次世代に引き継ぐため、みなべ・田辺地域の生産者を初め、関係団体の方々と一緒になって保全と活用に取り組むとともに、積極的な支援を行ってまいりたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 農業遺産に指定され、大変喜んでおります。ただ、これからこれをどうして保全と活用を図っていくか、大変な大きな問題かと思いますんで、今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。
 次の質問に入ります。移住・定住大作戦についてであります。
 人口減少が進み、先日の新聞紙上に、大阪府においてさえ68年ぶりの人口減と掲載されていました。関西圏でも京都府や兵庫県でも減少し、東京一極集中が加速し、関西圏のさらなる経済の沈下を危惧するのは、私だけではないと思います。和歌山県内でも、3市町を除いて27市町村全ての自治体で人口が減少し、予想していたものの、現実の数字を目の当たりにすると寂しいものでした。
 平成27年6月公表の和歌山県長期人口ビジョンでは、国立社会保障・人口問題研究所の本県の2060年の将来推計人口52万5000人とされるのに対して、和歌山県のあるべき将来人口は、同時点で70万人の確保が必要としています。そのために、出生率の向上のほか、人口流出に歯どめをかけ、転出を減少させ転入を増加させるということを強力に推進するという施策の方向性が示されています。
 人口減少は、地域での生活や経済活動、医療、福祉、文化など、あらゆる側面に大きな影響を与え、集落や、あるいはもっと大きな単位である基礎自治体の維持についても影響を与えます。
 今年度の新政策では、基本的な考え方の1番目に、少子化を食いとめることを挙げています。子供を持ちたい人が容易に子供を産み、そして育てられる環境の整備をすることなどにより出生率の向上を図ることは、喫緊の課題であることは言うまでもありません。そこに加えて、和歌山県が生活に適した土地柄であることを発信し、転入者をふやすことも重要な取り組みです。
 そこで、知事の新政策の柱の1つである、「人の流れ」をつくる移住・定住大作戦について伺います。
 私も、何人かの移住者や地域の受け入れに協力をしている皆さん、また、市町村の担当者のお話を伺いました。何よりも、私自身が過疎地に身を置いてますから、実体験とともにいろいろな情報が入ってきます。
 また、先月は、半島振興・地方創生対策特別委員会の県内調査で、過疎地への移住・定住の取り組みについて、2日間かけてお話を伺ってきました。
 どの地域でも、移住・定住の課題として聞かれるのが、まず住居の確保、次に職場の確保の順でしたが、受け入れ施策として進められている住宅改修費用補助金や家財道具処分補助金などは、空き家を借りるためには効果があると喜ばれていました。改修の多くがトイレやお風呂などの水回りなので、改修費用がかさむという現実はありました。
 そんな中で、和歌山モデルと呼ばれるワンストップパーソン制度は、移住・定住を図る上で重要な点だと理解をしますが、1番のポイントはその立場にある人のやる気であるということは言うまでもありません。やる気のある人が地域にいるかいないかが、移住・定住大作戦について一番重要なポイントだと思います。特に、小規模自治体の職員は、多くの仕事を抱え、この事業だけに専念できないジレンマも感じられます。
 そこで、地域で移住経験のある先輩移住者のネットワークや情報などの利用、また、地域で受け入れ活動に取り組んでいるNPOなどの民間の力を活用できる仕組みを考えていくべきだと考えます。移住を考えている人は実際に経験のある生の声を求めていますし、先輩移住者の目で地域のトラブルを防ぐ効果も期待できると思います。
 そこで、先輩移住者やNPOを初め民間の情報の利活用と、これらの団体が活躍できる支援について、知事にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県では、昨年策定いたしました和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略において、人口減少に対応し、和歌山県への新しい「人の流れ」を創造するための施策の1つとして、県全体で移住を推進することを目標に、移住・定住大作戦を展開しているところでございます。
 大作戦では、若年移住者の受け入れを進めていくことが重要であると考え、全国トップクラスの若年移住者暮らし奨励金制度などにより、「くらし」「しごと」「住まい」の視点から多様な取り組みを行ってきたところでございます。今年度の移住実績は前年同時期の約2倍となりまして、効果もあらわれてきていると思いますけれども、和歌山県の潜在性から考えますと、まだまだもっと上を目指さなければいけない、そういうふうに思っております。
 現在、県内18の移住推進市町村では、役場にワンストップパーソンと地域に受入協議会を設置する和歌山モデルの受け入れ体制を整え、都市部での情報発信や移住者の受け入れから定住支援まで、精力的に取り組んでいただいているところでございます。
 議員御指摘のとおり、先輩移住者などの民間の力で情報を発信していただくことは大変重要と考えます。こうしたことから、幾つかの市町村の受入協議会は、地域住民に加えて、地域のNPO、地域おこし協力隊、先輩移住者にも参加していただいており、県は、受入協議会に対して必要な経費を支援しております。
 また、先輩移住者に対しては、移住希望者と地域住民とのつなぎ役となり、地域にスムーズに溶け込むための重要な役割を担っており、県が主催するセミナーや相談会へのゲストスピーカーとしての参加や、ホームページや情報誌などにおいて、移住者目線で暮らしぶりを発信していただいております。
 県は、引き続き、受入協議会へNPOや先輩移住者などの参画を働きかけ、受け入れ体制をさらに強化するとともに、相談会や現地体験会などで民間の持つ情報を発信していただける機会を提供してまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 次に、新年度における農林水産業振興対策等についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず、TPP関連でございますが、TPPに関しては、昨年10月、参加12カ国が大筋合意に至っていますし、また、ちょうど昨日、TPPの承認案と関連法案を政府で閣議決定をいたしました。しかし、発効までにはまだまだ時間を要すると思われます。
 政府は、TPPについて、昨年11月に総合的なTPP関連政策大綱を公表いたしました。このTPPによって、世界のGDPの4割という、かつてない規模の経済圏をカバーした経済連携、人口8億人という巨大な市場が創出され、アベノミクスのもとで、我が国のさらなる経済発展の切り札になるとしております。
 政策大綱では、TPPの効果を真に我が国の経済再生、地方創生に直結させるために必要な政策及びTPPの影響に関する国民の不安を払拭する政策の目標を明らかにするものであるとし、本大綱に掲げた主要政策については、既存施策を含め、不断の点検・見直しを行い、また、農林水産業の成長産業化を一層進めるために必要な戦略、さらに、我が国産業の海外展開、事業拡大や生産性向上を一層進めるために必要となる政策については、28年秋をめどに政策の具体的内容を詰めると書かれています。
 そして、大綱とあわせ、TPPに関する国民に対する正確かつ丁寧な説明、情報発信に努め、TPPの影響に関する国民の不安・懸念を払拭することに万全を期すと政策に掲げています。
 昨年12月の本県議会におきましても、TPP関連予算について、我が会派の岸本議員がTPPによる県内農林水産業への影響とその対応について質問され、知事は、TPPには入って──参加してという意味です──悪影響をこうむる産業もあるし、入らないために不公平、不利益をこうむる産業もあるが、農林水産業への影響は悪影響のほうが大きいであろうと答えられています。
 そこで、農林水産部長にお伺いします。
 政府が、TPP関連大綱実現に向けた施策の中で、攻めの農林水産業への転換という名目で多額の補正予算を繰り越しや基金化をして施策を進めており、県でも、これらの政府予算を活用し、28年度当初予算においてTPP関連で7億円余りの予算を計上していますが、攻めの農林水産業への転換に向けて県は具体的にどのように取り組みを進めるのか、お答えください。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) TPPについては、何も対策が講じられなければ農林水産業分野へのマイナス影響が懸念されることから、県では、昨年11月、本県の主要農産物であるかんきつについて、生産性向上や高品質化に向けた競争力強化対策を講じるよう、国に政策提案を行いました。
 こうした中、国は、農林水産業の体質強化対策として平成27年度補正予算にTPP関連対策を計上し、その中で、特に本県で有効に活用できる事業として、生産施設の導入等を支援する産地パワーアップ事業や革新的技術体系の実証研究・普及を支援する革新的技術開発・緊急展開事業、間伐材生産や路網整備を支援する合板・製材生産性強化対策事業等が創設されたところです。
 県では、農林水産物の品質や生産性の向上、それを利用した加工食品の開発、また販売面では、特に海外市場の開拓など、攻めの農林水産業への展開に向けて、こうした国の補正予算活用や県独自の取り組みを積極的に進めているところです。
 国の補正予算の活用としては、農業分野では、野菜のハウス整備や果樹の優良品種への改植支援、梅の加工品開発等の研究、林業では、搬出間伐や作業道整備のより一層の推進に取り組むため、積極的な予算獲得に努めているところです。
 また、県独自の取り組みとして、農水産物、加工食品の販売促進戦略に基づいた輸出の促進、農業大学校の再編によるアグリビジネス学科や林業経営コースの新設、グリーン・ブルーツーリズム推進等の施策を実施し、TPP協定の発効いかんにかかわらず、将来にわたり農林漁業者が希望を持って経営に打ち込めるよう、国際競争力のあるたくましい農林水産業の実現に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 大変いい、これからの目標を聞かせていただきました。ぜひとも農林水産業、TPPの発効までにはまだまだ時間があろうかと思いますが、できるだけ体力をつけるために頑張っていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 ナラ枯れ対策です。カシノナガキクイムシによる森林被害、いわゆるナラ枯れ被害について質問をいたします。
 ナラ枯れは、カシノナガキクイムシによって病原菌が媒介される樹木の伝染病で、ナラ類にとどまらず、シイ・カシ類での被害も多数発生しているようでございます。和歌山県内でも、熊野古道や里山の景観、鎮守の森の巨木の保持、さらには、大変大切な備長炭の原料である薪炭林の資源保全などの観点から、大きな影響が懸念されます。
 本県におけるナラ枯れ被害は、まず平成11年に東牟婁地域で確認されたと聞きますが、その後の被害状況及びその対策についての取り組みは、現在、どうされているのでしょうか。
 また、ナラ枯れの対象となる樹木が県内の広範囲に分布していることを考慮すると、行政が主導する取り組みだけでなく、地域住民や活動団体等が自発的に参画する取り組みを促進し、協力を仰ぐことも、効率的、効果的に被害対策を進める上では重要だと思います。
 そこで、比較的簡便に実施できる被害対策については、例えば、森林保全活動に意欲的に取り組んでいる地域や団体などから申し出があった場合、資材を提供することで自主的に被害対策に取り組んでもらうよう仕組みを検討してはいかがでしょうか。啓発にもつながることだと思います。農林水産部長にお聞きいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) ナラ枯れ被害につきましては、平成11年に旧熊野川町等で被害が確認され、その後、小康状態が続いておりましたが、平成19年ごろから被害が目立つようになり、主に紀南から紀中にかけて広がっている状況です。
 県では、被害が確認された平成11年から調査を継続して実施するとともに、防除方法や注意喚起に関するパンフレットの作成、配布、製炭者などを対象にした研修会での啓発に取り組んできたところです。
 特に平成23年に被害が急増したことにより、平成24年度から、被害を予防するための薬剤樹幹注入や被害木の伐倒処分、カシノナガキクイムシの侵入防止及び捕殺のための粘着シートの設置などの対策に取り組んでいます。実施に当たっては、市町村等と連携しながら、地域において価値が高く重要な森林を優先実施するなど、地域の実情に合った被害対策に努めています。
 また、広範に及ぶナラ枯れ被害の対策を進めるためには、取り組みの裾野を拡大することが重要であり、議員御提案の資材の配布による地域住民等の自発的な取り組みは、啓発の観点からも有効と考えます。今後は、御提案の内容を含め、簡便性や安全性を考慮し、より効率的、効果的なナラ枯れ対策を検討してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 御答弁ありがとうございました。ぜひとも、皆さんの啓発、そしてまた、ナラ枯れ対策を前に進めるようによろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、鳥獣害対策について御質問いたします。
 鳥獣害対策は、以前から、市町村との協力のもと、全県下で対策を講じられていますが、鳥獣害の被害は減少の兆しが見えません。特に過疎地域では、耕作放棄地が増加し、野生鳥獣のすみかが拡大し、繁殖も容易になり、個体数がふえていると想定されます。
 また、和歌山県内では、狩猟者の75%が65歳以上となり、狩猟者が年々高齢化し、実際に狩猟を行う方が減少していると言われています。そのために、思うように有害捕獲や管理捕獲が進まないのが現状のようです。結果、農産物や森林への被害は言うに及ばず、過疎地に住むお年寄りの家の裏手にまで野生鳥獣が出没し、野菜づくりなどの小さな楽しみまでも奪われているというのが現状です。
 県でも、捕獲に対する研究なども進めているとのことで、私も、先日、研究発表の場で、鹿の捕獲とわなの効果に関する事例発表を聞かせてもらいましたが、鹿の餌づけによる捕獲対策は、実践をもとにしたすばらしい事例発表だと思いました。現場での普及をぜひ図っていただきたいと思います。
 今後も市町村や猟友会との連携を進めていかなければならないが、被害の減少に向けて、今後、どのような対策をとられていくのか、農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 野生鳥獣による農作物の被害額は、平成26年度で約3億2000万円と、5カ年連続して3億円を上回り、依然として深刻な状況にあります。
 このような中で、県では、有害鳥獣の捕獲、侵入防止柵の設置、狩猟者の人材育成、また、獣肉の有効活用を図る環境整備を柱に、市町村、猟友会等の関係団体や効率的な捕獲技術の開発を行う研究機関と連携し、総合的な鳥獣害対策に取り組んでいるところです。
 特に捕獲は、加害する野生鳥獣の生息数を直接減少させることから、これまで、市町村が行う有害捕獲への支援を初め、鹿、猿の管理捕獲の実施や、ネットワークカメラや侵入センサーなどの通信技術を活用したICT捕獲わな22基の設置、さらに、本年度は全国初となる鹿の夜間銃猟にも取り組むなど、捕獲頭数の増加に努めてきました。こうした取り組みにより、狩猟を除くイノシシ、鹿、猿、アライグマの捕獲数は、平成26年度には約1万9600頭と、5年前の約3.1倍に増加しているところです。
 新年度につきましても、有害捕獲の支援、ICT捕獲わなの設置や鹿の夜間銃猟をさらに拡大するとともに、近年激減する銃猟者の育成、確保を図るため、猟友会と連携して新たに狩猟体験ツアーを開催するなど、農作物被害の軽減に向け、積極的に取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 次に、ジビエの消費拡大についてお伺いいたします。
 有害捕獲や管理捕獲で捕らえられたイノシシや鹿をジビエとして流通を図り、わかやまジビエの名のもとに地域の特産品として売り出されています。この取り組みは、鳥獣害を裏返しにして利益を生み出すものにしようという取り組みで、一層の取り組みを図るべきだと考えます。
 県や関係者の数年来の取り組みによるPR効果もあり、徐々に知名度が高まってきていますが、野生だけに、季節による不安定な肉質の問題、また、加工施設やマンパワーなどの問題を抱えていると思います。実際、何カ所かの施設にも出向き、加工施設の従事者や管理者の方々の生の声を聞かせてもらい、先日は、中学生と一緒にジビエバーガーも食べさせていただきました。
 わかやまジビエの知名度が上がり、消費の拡大が図られることにより、加工施設の増加や規模の拡大で少しでも地域での雇用につながらないかと期待をしています。本県でのジビエ消費拡大の取り組みは、一層の鳥獣被害捕獲の呼び水にもなり、地域での雇用が生まれる、うまく機能すれば、捕獲、加工、雇用と、一挙三得の事業になると思われますが、今後の取り組みを農林水産部長からお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) ジビエの消費拡大にはジビエを牛肉や豚肉と同じ食肉という商品に仕上げることが必要であり、県では、これまで、安全・安心対策、品質の確保、需要の拡大を重点に取り組みを進めてまいりました。
 安全・安心及び品質の確保対策では、平成21年3月に、捕獲から解体処理、流通に至るまでの基本的な衛生対策をまとめたわかやまジビエ衛生管理ガイドラインを策定、また、平成26年1月には、一定の衛生管理等の基準を満たす施設を県が認証する処理施設衛生管理認証制度と、全国初となる肉の格付を行う肉質等級制度を創設し、これまで、県内5施設を認証するとともに格付員を26名認定するなど、安全で高品質なわかやまジビエの供給に努めているところです。
 次に、需要拡大につきましては、平成23年度より、東京、大阪での試食・商談会、県内ではジビエフェスタ、レシピコンテスト、料理講習会等を開催するとともに、手軽に食べていただけるよう、ソーセージ等加工品の開発、販売にも取り組んでいます。
 その結果、わかやまジビエの認知度は、平成23年度には49%であったものが、平成26年度には77%にふえ、取り扱い店舗数も、59店舗から100店舗に、うち53店舗が通年での取り扱いを行うなど、取り組みの成果が見られているところです。
 新年度につきましては、これらの取り組みに加え、第3回日本ジビエサミットを県内で開催し、わかやまジビエの魅力を県内外に広くPRするとともに、さらなる需要拡大を図るため、学校給食でのジビエ利用を働きかけることとしています。
 また、雇用につきましては、議員御指摘のとおり、ジビエの振興により一定の雇用が生まれるものと考えておりますが、さらなる雇用拡大にはジビエの処理販売頭数をふやすことが必要であり、より一層、ジビエの消費拡大に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 御答弁をいただきましてありがとうございました。
 一番、私、今回申し上げたかったことは、我々は、株価の毎日の変動に心を痛めたり気をつけてみたりはするんですが、地球環境が自然のうちに侵されていったり、そういうことというのは余り気がつかないわけなんですね。知事の先ほどの答弁にもありましたが、どうかその辺をきちんとベースに置いておかないと、和歌山県の将来にきっと──きょうは言わなかったんですが、精神的な文化でありますとか、宗教でありますとか、そういう日本にはすばらしいもんがありますから、そういう意味で、和歌山県も、これからそういう地球環境、そしまた和歌山県の環境ということに力を入れて、ベースに置いて政策を進めていただきたいと御要望しまして、私の質問を終わります。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、泉正徳君の質問が終了いたしました。

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