平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録

第7号(全文)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成28年2月
和歌山県議会定例会会議録
第7号
────────────────────
議事日程 第7号
 平成28年3月9日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号、議案第33号、議案第35号、     議案第40号から議案第62号まで、議案第64号から議案第70号まで、議案第     73号から議案第76号まで、議案第78号から議案第82号まで及び議案第84号     から議案第172号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
────────────────────
会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号、議案第33号、議案第35号、     議案第40号から議案第62号まで、議案第64号から議案第70号まで、議案第     73号から議案第76号まで、議案第78号から議案第82号まで及び議案第84号     から議案第172号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 休会決定の件
────────────────────
出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
────────────────────
説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       市川靖之
 企画部長       高瀬一郎
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     野尻邦彦
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   溝端莊悟
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾﨑善亮
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課副主査     中尾祐一
 総務課長       西原龍也
 政策調査課長     中口 匠
────────────────────


  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号、議案第33号、議案第35号、議案第40号から議案第62号まで、議案第64号から議案第70号まで、議案第73号から議案第76号まで、議案第78号から議案第82号まで及び議案第84号から議案第172号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 11番泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕(拍手)
○泉 正徳君 皆さん、おはようございます。一般質問もいよいよ最終日となりました。もう1日、皆さん大変でしょうが、おつき合いをいただきたいと思います。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 28年度の予算ということで、これぐらいの厚い冊子をいただきました。後ろのほうに本当にひっそりと、新年度の予算の中に生物多様性和歌山戦略の推進という1項目がありました。地球規模から見るとほんの小さな一歩かもしれませんが、その新政策に期待している1人であります。
 我々和歌山県人は、山あり、里あり、川あり、海ありのすばらしい自然の中に住んで、そこで多様な生態系で機能されている生態系サービスと呼ばれる自然の恵みから多くの有形無形の恩恵を受けています。しかしながら、日ごろの生活ではついついその恵みを忘れて、人間は、自分たちの利便性だけを追求する余り、環境に思いも寄らぬ負荷をかけて生活しているのが現状です。「地球は人間だけのものじゃない」と多くの生物が嘆いているような気がいたします。
 地球環境は、もろい側面もあり、一旦失われると二度と戻らないこともあります。本県でも、かつて紀伊山地にニホンオオカミがすみ、闊歩していた時代がありましたが、明治には絶滅したとされています。もしニホンオオカミが今生息したらと考えますと、鳥獣被害のことであるとか、生態系がどうであったのかとか、いろんなことを思い浮かべるわけでございます。
 数多くの生物が、この自然豊かな和歌山でも絶滅危惧種として指定されています。何万年とも言われる長い年月を重ねて形成されたこの森、里、川、海の水の物質循環が生み出す恵みをこれからも永遠に子孫に引き継いでいかなければならない義務は、時の流れが速い今こそ、しっかりとした意識で私たちが取り組んでいかなければならない重要な課題です。
 この生態系サービスの価値について、国の中央環境審議会意見具申のデータによると、二酸化炭素の吸収や水源涵養など、森林の持つ価値が年間で約70兆円、農業・農村の洪水防止や地下水涵養など、多面的機能の価値は同じく約8兆円、サンゴ礁や干潟の持つ漁業や観光面での価値が合わせて9000億円程度と報告され、自然の多くの恵みに支えられ、私たちは豊かに暮らしています。
 一方、我々日本人は、精神面においても、大自然の中にやおよろずの神と呼ばれる神を祭り、自然に対して畏敬の念を持って接してきた歴史があり、宗教観や地域の文化の中に大きな影響を与え、鎮守の森を守り、山の神や海の神をあがめて先祖は暮らしてきました。その山の神、海の神を祭り、生活してきた田舎の集落や、そこで育まれた生活や文化が、人口減少により集落維持が困難となり、今、1つ、2つと消えつつあるという大きな問題があります。そこには今回触れませんが、私たちの祖先は、この豊かな自然と、そこから生まれた地域文化を享受し、引き継いで生活をしてきたということを決して忘れてはなりません。
 現在、和歌山県は、いまだ多くの自然を有し、その豊かな自然があるからこそ、多くの生物が生存しています。ラムサール条約に登録された彩り豊かなサンゴの海や、日本ジオパークに認定されたすばらしい数々の地形・地質、昨年、国立公園指定80周年を迎えた吉野熊野国立公園には、大幅に拡張された誇るべき景観があります。その中で世界に誇れる文化を育み、生活をしてきました。高野・熊野を含む世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」や、昨年、世界農業遺産に登録された「みなべ・田辺の梅システム」は、その地域に住む先人たちが、豊かで、畏敬の念さえも持つ自然を前提にしてつくり上げてきた財産であり、これからも、これらを全ての子孫に引き継いでいかなければなりません。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 1つ、今回の新政策における生物多様性和歌山戦略の目指すものは何ですか。
 2つ目、自然との共生を目指した国づくり、環境をベースにした「環境立県わかやま」と銘打って、県のあらゆる施策の基本に入れて政策を進めていかれてはどうかと思います。きっと後世の人々が知事の功績を認めてくれると確信いたしますが、知事のお考えを伺います。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの泉正徳君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県には、南方熊楠が研究のフィールドに選んだ緑豊かな森林や清らかな水など、すばらしい自然が随所に存在し、その自然は、多種多様な生物と、それを支える大気、水、土壌などで構成される生態系から成り立っております。ただ、その後、経済発展とともに、この南方熊楠の世界というようなものがかなり失われていった面も否定はできません。
 こういう点については、長い歴史の中で、この地域ならではの文化や信仰を生み育んできました。その頂点が世界文化遺産であり、世界農業遺産であると思っております。このような貴重な生態系は、現在に残された貴重な我々としての資産でございますので、ぜひ守っていきたいと考えております。このため、生物多様性和歌山戦略を策定することにいたしました。
 策定中の戦略では、世界に誇る資産を生んだ本県の生態系を徹底的に保護しつつ、生態系が与えてくれる自然の恵みと経済活動などとの調和を目指していきたいと思います。さらには、戦略を推進することで、県民の暮らしや文化によい影響が生まれることを期待しております。
 次に、「環境立県わかやま」を県のあらゆる施策の基本に入れることについては、これまでも、環境基本条例にうたわれた環境の維持、自然との共生、環境への負荷の少ない健全な経済発展など、基本理念を踏まえ、県政に取り組んでまいりました。今回、新たに生物多様性和歌山戦略を策定し、この考え方を進めまして、一層の自然の保護と活用について調和のとれた政策を進めてまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 昨年の12月に、皆さんの御尽力のおかげで世界農業遺産に登録されましたみなべ・田辺の梅システムは、この地域に住む先人たちが400年以上も続けてきた梅栽培が、自然との共生により守られてきた地域の営みそのものが世界に認められ、すばらしい財産をいただいたものと喜んでいます。
 世界農業遺産については、次の3つのことが指摘されています。
 世界農業遺産は農業のさまざまな役割を重視し、農業は単に必要なものを生産する場だけではなく、豊かな水と緑の風景をつくり、生物の多様性を育み、風土に根差した文化を創出・継承する場であり、農業の多面的機能、生態系サービスを忘れてはならないこと。
 また、次は、農業遺産は変えていく遺産であること。農業は、新しい知識や技術を取り入れて変わってきました。あるべき農業の実現に向けて、今ある問題を解決していく姿勢が大事です。変えてはならないものもあります。それは、例えば、地域の人々が代々培ってきた、その土地で生きるためのその土地の規範であり、倫理であります。
 そしてまた、農業遺産はつなげていく遺産であることです。生産地と消費地をつなぐ、農村と都市が密接につながり、認定を受けた地域の経験もつなげていくことが活性化につながり、地域の農業の振興や経済の活性化を目指すのも重要な目的であると、総合地球環境学研究所・阿部教授は述べられています。
 これらの指摘をもとに、我々は、先人から引き継いだ誇るべき農業遺産を守り、後世に残して、また伝えていく必要があります。しかしながら、過疎化、高齢化による耕作放棄地の増加や後継者の問題、薪炭林の確保や鳥獣害対策、梅の消費拡大への取り組み等、地域の抱える問題は少なくありません。
 これらの課題を克服するには、しっかりとしたアクションプランとそれに対応できる体制づくり、そのためには、研究機関や農業関係者、地域住民の協力なしには、今後の保全と活用を図っていくことは容易なことではありません。世界に誇るべき農業遺産の今後の保全と活用にどう取り組んでいかれるのか、知事にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 約400年にわたり自然と共生し、高品質な梅を持続的に生産してきたみなべ・田辺地域の伝統的な農業システムが、世界的に高く評価されました。このことは、このシステムを守り、発展さしてきた地域の人々の自信と誇りにもなっております。
 今後は、これをエネルギーに変えて、世界農業遺産を活用し、農林業の振興や経済の発展につなげることで、後世に伝えていくことが重要であります。そのためには、3つのことを中心にアクションプランを作成し、重点的に取り組む必要があると考えております。
 1つは、農林業自体の振興であります。世界農業遺産のイメージを最大限活用したPRや梅の健康機能性をPRすることで梅製品の付加価値をさらに高め、国内外での梅の需要拡大を図ってまいりたいと思います。また、システムを引き継ぐには、農業や林業、製炭業の担い手育成が不可欠であることから、地元での後継者育成のみならず、広く県内外からこの地域で農林業を希望する方々の参入を図っていきたいと思います。
 2つ目は、観光の振興でございます。都市住民や外国人などに対して、みなべ・田辺の梅システムの重要性や魅力を広く情報発信し、農家民泊や梅収穫・加工体験などのグリーンツーリズムの推進や、熊野古道や和歌山のヒット商品であるほんまもん体験と世界農業遺産を組み合わせることで、新しい観光の展開が図られると考えております。さらに、観光客に梅システムを説明し、魅力を伝えることのできる語り部などの養成にも力を入れたいと思います。
 3つ目は、システムを支える若い人の人づくりでございます。地元小中学校での郷土愛を育むためのふるさと教育や、高等学校での環境学習や地域学習及び梅加工品開発の実践学習等により、子供たちの地域に対する理解を深め、将来、地域の魅力発信者として地域振興の一翼を担う人材の育成に努めてまいりたいと思います。
 県としても、世界に認められたこの農業システムを活用し、次世代に引き継ぐため、みなべ・田辺地域の生産者を初め、関係団体の方々と一緒になって保全と活用に取り組むとともに、積極的な支援を行ってまいりたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 農業遺産に指定され、大変喜んでおります。ただ、これからこれをどうして保全と活用を図っていくか、大変な大きな問題かと思いますんで、今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。
 次の質問に入ります。移住・定住大作戦についてであります。
 人口減少が進み、先日の新聞紙上に、大阪府においてさえ68年ぶりの人口減と掲載されていました。関西圏でも京都府や兵庫県でも減少し、東京一極集中が加速し、関西圏のさらなる経済の沈下を危惧するのは、私だけではないと思います。和歌山県内でも、3市町を除いて27市町村全ての自治体で人口が減少し、予想していたものの、現実の数字を目の当たりにすると寂しいものでした。
 平成27年6月公表の和歌山県長期人口ビジョンでは、国立社会保障・人口問題研究所の本県の2060年の将来推計人口52万5000人とされるのに対して、和歌山県のあるべき将来人口は、同時点で70万人の確保が必要としています。そのために、出生率の向上のほか、人口流出に歯どめをかけ、転出を減少させ転入を増加させるということを強力に推進するという施策の方向性が示されています。
 人口減少は、地域での生活や経済活動、医療、福祉、文化など、あらゆる側面に大きな影響を与え、集落や、あるいはもっと大きな単位である基礎自治体の維持についても影響を与えます。
 今年度の新政策では、基本的な考え方の1番目に、少子化を食いとめることを挙げています。子供を持ちたい人が容易に子供を産み、そして育てられる環境の整備をすることなどにより出生率の向上を図ることは、喫緊の課題であることは言うまでもありません。そこに加えて、和歌山県が生活に適した土地柄であることを発信し、転入者をふやすことも重要な取り組みです。
 そこで、知事の新政策の柱の1つである、「人の流れ」をつくる移住・定住大作戦について伺います。
 私も、何人かの移住者や地域の受け入れに協力をしている皆さん、また、市町村の担当者のお話を伺いました。何よりも、私自身が過疎地に身を置いてますから、実体験とともにいろいろな情報が入ってきます。
 また、先月は、半島振興・地方創生対策特別委員会の県内調査で、過疎地への移住・定住の取り組みについて、2日間かけてお話を伺ってきました。
 どの地域でも、移住・定住の課題として聞かれるのが、まず住居の確保、次に職場の確保の順でしたが、受け入れ施策として進められている住宅改修費用補助金や家財道具処分補助金などは、空き家を借りるためには効果があると喜ばれていました。改修の多くがトイレやお風呂などの水回りなので、改修費用がかさむという現実はありました。
 そんな中で、和歌山モデルと呼ばれるワンストップパーソン制度は、移住・定住を図る上で重要な点だと理解をしますが、1番のポイントはその立場にある人のやる気であるということは言うまでもありません。やる気のある人が地域にいるかいないかが、移住・定住大作戦について一番重要なポイントだと思います。特に、小規模自治体の職員は、多くの仕事を抱え、この事業だけに専念できないジレンマも感じられます。
 そこで、地域で移住経験のある先輩移住者のネットワークや情報などの利用、また、地域で受け入れ活動に取り組んでいるNPOなどの民間の力を活用できる仕組みを考えていくべきだと考えます。移住を考えている人は実際に経験のある生の声を求めていますし、先輩移住者の目で地域のトラブルを防ぐ効果も期待できると思います。
 そこで、先輩移住者やNPOを初め民間の情報の利活用と、これらの団体が活躍できる支援について、知事にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県では、昨年策定いたしました和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略において、人口減少に対応し、和歌山県への新しい「人の流れ」を創造するための施策の1つとして、県全体で移住を推進することを目標に、移住・定住大作戦を展開しているところでございます。
 大作戦では、若年移住者の受け入れを進めていくことが重要であると考え、全国トップクラスの若年移住者暮らし奨励金制度などにより、「くらし」「しごと」「住まい」の視点から多様な取り組みを行ってきたところでございます。今年度の移住実績は前年同時期の約2倍となりまして、効果もあらわれてきていると思いますけれども、和歌山県の潜在性から考えますと、まだまだもっと上を目指さなければいけない、そういうふうに思っております。
 現在、県内18の移住推進市町村では、役場にワンストップパーソンと地域に受入協議会を設置する和歌山モデルの受け入れ体制を整え、都市部での情報発信や移住者の受け入れから定住支援まで、精力的に取り組んでいただいているところでございます。
 議員御指摘のとおり、先輩移住者などの民間の力で情報を発信していただくことは大変重要と考えます。こうしたことから、幾つかの市町村の受入協議会は、地域住民に加えて、地域のNPO、地域おこし協力隊、先輩移住者にも参加していただいており、県は、受入協議会に対して必要な経費を支援しております。
 また、先輩移住者に対しては、移住希望者と地域住民とのつなぎ役となり、地域にスムーズに溶け込むための重要な役割を担っており、県が主催するセミナーや相談会へのゲストスピーカーとしての参加や、ホームページや情報誌などにおいて、移住者目線で暮らしぶりを発信していただいております。
 県は、引き続き、受入協議会へNPOや先輩移住者などの参画を働きかけ、受け入れ体制をさらに強化するとともに、相談会や現地体験会などで民間の持つ情報を発信していただける機会を提供してまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 次に、新年度における農林水産業振興対策等についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず、TPP関連でございますが、TPPに関しては、昨年10月、参加12カ国が大筋合意に至っていますし、また、ちょうど昨日、TPPの承認案と関連法案を政府で閣議決定をいたしました。しかし、発効までにはまだまだ時間を要すると思われます。
 政府は、TPPについて、昨年11月に総合的なTPP関連政策大綱を公表いたしました。このTPPによって、世界のGDPの4割という、かつてない規模の経済圏をカバーした経済連携、人口8億人という巨大な市場が創出され、アベノミクスのもとで、我が国のさらなる経済発展の切り札になるとしております。
 政策大綱では、TPPの効果を真に我が国の経済再生、地方創生に直結させるために必要な政策及びTPPの影響に関する国民の不安を払拭する政策の目標を明らかにするものであるとし、本大綱に掲げた主要政策については、既存施策を含め、不断の点検・見直しを行い、また、農林水産業の成長産業化を一層進めるために必要な戦略、さらに、我が国産業の海外展開、事業拡大や生産性向上を一層進めるために必要となる政策については、28年秋をめどに政策の具体的内容を詰めると書かれています。
 そして、大綱とあわせ、TPPに関する国民に対する正確かつ丁寧な説明、情報発信に努め、TPPの影響に関する国民の不安・懸念を払拭することに万全を期すと政策に掲げています。
 昨年12月の本県議会におきましても、TPP関連予算について、我が会派の岸本議員がTPPによる県内農林水産業への影響とその対応について質問され、知事は、TPPには入って──参加してという意味です──悪影響をこうむる産業もあるし、入らないために不公平、不利益をこうむる産業もあるが、農林水産業への影響は悪影響のほうが大きいであろうと答えられています。
 そこで、農林水産部長にお伺いします。
 政府が、TPP関連大綱実現に向けた施策の中で、攻めの農林水産業への転換という名目で多額の補正予算を繰り越しや基金化をして施策を進めており、県でも、これらの政府予算を活用し、28年度当初予算においてTPP関連で7億円余りの予算を計上していますが、攻めの農林水産業への転換に向けて県は具体的にどのように取り組みを進めるのか、お答えください。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) TPPについては、何も対策が講じられなければ農林水産業分野へのマイナス影響が懸念されることから、県では、昨年11月、本県の主要農産物であるかんきつについて、生産性向上や高品質化に向けた競争力強化対策を講じるよう、国に政策提案を行いました。
 こうした中、国は、農林水産業の体質強化対策として平成27年度補正予算にTPP関連対策を計上し、その中で、特に本県で有効に活用できる事業として、生産施設の導入等を支援する産地パワーアップ事業や革新的技術体系の実証研究・普及を支援する革新的技術開発・緊急展開事業、間伐材生産や路網整備を支援する合板・製材生産性強化対策事業等が創設されたところです。
 県では、農林水産物の品質や生産性の向上、それを利用した加工食品の開発、また販売面では、特に海外市場の開拓など、攻めの農林水産業への展開に向けて、こうした国の補正予算活用や県独自の取り組みを積極的に進めているところです。
 国の補正予算の活用としては、農業分野では、野菜のハウス整備や果樹の優良品種への改植支援、梅の加工品開発等の研究、林業では、搬出間伐や作業道整備のより一層の推進に取り組むため、積極的な予算獲得に努めているところです。
 また、県独自の取り組みとして、農水産物、加工食品の販売促進戦略に基づいた輸出の促進、農業大学校の再編によるアグリビジネス学科や林業経営コースの新設、グリーン・ブルーツーリズム推進等の施策を実施し、TPP協定の発効いかんにかかわらず、将来にわたり農林漁業者が希望を持って経営に打ち込めるよう、国際競争力のあるたくましい農林水産業の実現に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 大変いい、これからの目標を聞かせていただきました。ぜひとも農林水産業、TPPの発効までにはまだまだ時間があろうかと思いますが、できるだけ体力をつけるために頑張っていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 ナラ枯れ対策です。カシノナガキクイムシによる森林被害、いわゆるナラ枯れ被害について質問をいたします。
 ナラ枯れは、カシノナガキクイムシによって病原菌が媒介される樹木の伝染病で、ナラ類にとどまらず、シイ・カシ類での被害も多数発生しているようでございます。和歌山県内でも、熊野古道や里山の景観、鎮守の森の巨木の保持、さらには、大変大切な備長炭の原料である薪炭林の資源保全などの観点から、大きな影響が懸念されます。
 本県におけるナラ枯れ被害は、まず平成11年に東牟婁地域で確認されたと聞きますが、その後の被害状況及びその対策についての取り組みは、現在、どうされているのでしょうか。
 また、ナラ枯れの対象となる樹木が県内の広範囲に分布していることを考慮すると、行政が主導する取り組みだけでなく、地域住民や活動団体等が自発的に参画する取り組みを促進し、協力を仰ぐことも、効率的、効果的に被害対策を進める上では重要だと思います。
 そこで、比較的簡便に実施できる被害対策については、例えば、森林保全活動に意欲的に取り組んでいる地域や団体などから申し出があった場合、資材を提供することで自主的に被害対策に取り組んでもらうよう仕組みを検討してはいかがでしょうか。啓発にもつながることだと思います。農林水産部長にお聞きいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) ナラ枯れ被害につきましては、平成11年に旧熊野川町等で被害が確認され、その後、小康状態が続いておりましたが、平成19年ごろから被害が目立つようになり、主に紀南から紀中にかけて広がっている状況です。
 県では、被害が確認された平成11年から調査を継続して実施するとともに、防除方法や注意喚起に関するパンフレットの作成、配布、製炭者などを対象にした研修会での啓発に取り組んできたところです。
 特に平成23年に被害が急増したことにより、平成24年度から、被害を予防するための薬剤樹幹注入や被害木の伐倒処分、カシノナガキクイムシの侵入防止及び捕殺のための粘着シートの設置などの対策に取り組んでいます。実施に当たっては、市町村等と連携しながら、地域において価値が高く重要な森林を優先実施するなど、地域の実情に合った被害対策に努めています。
 また、広範に及ぶナラ枯れ被害の対策を進めるためには、取り組みの裾野を拡大することが重要であり、議員御提案の資材の配布による地域住民等の自発的な取り組みは、啓発の観点からも有効と考えます。今後は、御提案の内容を含め、簡便性や安全性を考慮し、より効率的、効果的なナラ枯れ対策を検討してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 御答弁ありがとうございました。ぜひとも、皆さんの啓発、そしてまた、ナラ枯れ対策を前に進めるようによろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、鳥獣害対策について御質問いたします。
 鳥獣害対策は、以前から、市町村との協力のもと、全県下で対策を講じられていますが、鳥獣害の被害は減少の兆しが見えません。特に過疎地域では、耕作放棄地が増加し、野生鳥獣のすみかが拡大し、繁殖も容易になり、個体数がふえていると想定されます。
 また、和歌山県内では、狩猟者の75%が65歳以上となり、狩猟者が年々高齢化し、実際に狩猟を行う方が減少していると言われています。そのために、思うように有害捕獲や管理捕獲が進まないのが現状のようです。結果、農産物や森林への被害は言うに及ばず、過疎地に住むお年寄りの家の裏手にまで野生鳥獣が出没し、野菜づくりなどの小さな楽しみまでも奪われているというのが現状です。
 県でも、捕獲に対する研究なども進めているとのことで、私も、先日、研究発表の場で、鹿の捕獲とわなの効果に関する事例発表を聞かせてもらいましたが、鹿の餌づけによる捕獲対策は、実践をもとにしたすばらしい事例発表だと思いました。現場での普及をぜひ図っていただきたいと思います。
 今後も市町村や猟友会との連携を進めていかなければならないが、被害の減少に向けて、今後、どのような対策をとられていくのか、農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 野生鳥獣による農作物の被害額は、平成26年度で約3億2000万円と、5カ年連続して3億円を上回り、依然として深刻な状況にあります。
 このような中で、県では、有害鳥獣の捕獲、侵入防止柵の設置、狩猟者の人材育成、また、獣肉の有効活用を図る環境整備を柱に、市町村、猟友会等の関係団体や効率的な捕獲技術の開発を行う研究機関と連携し、総合的な鳥獣害対策に取り組んでいるところです。
 特に捕獲は、加害する野生鳥獣の生息数を直接減少させることから、これまで、市町村が行う有害捕獲への支援を初め、鹿、猿の管理捕獲の実施や、ネットワークカメラや侵入センサーなどの通信技術を活用したICT捕獲わな22基の設置、さらに、本年度は全国初となる鹿の夜間銃猟にも取り組むなど、捕獲頭数の増加に努めてきました。こうした取り組みにより、狩猟を除くイノシシ、鹿、猿、アライグマの捕獲数は、平成26年度には約1万9600頭と、5年前の約3.1倍に増加しているところです。
 新年度につきましても、有害捕獲の支援、ICT捕獲わなの設置や鹿の夜間銃猟をさらに拡大するとともに、近年激減する銃猟者の育成、確保を図るため、猟友会と連携して新たに狩猟体験ツアーを開催するなど、農作物被害の軽減に向け、積極的に取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 次に、ジビエの消費拡大についてお伺いいたします。
 有害捕獲や管理捕獲で捕らえられたイノシシや鹿をジビエとして流通を図り、わかやまジビエの名のもとに地域の特産品として売り出されています。この取り組みは、鳥獣害を裏返しにして利益を生み出すものにしようという取り組みで、一層の取り組みを図るべきだと考えます。
 県や関係者の数年来の取り組みによるPR効果もあり、徐々に知名度が高まってきていますが、野生だけに、季節による不安定な肉質の問題、また、加工施設やマンパワーなどの問題を抱えていると思います。実際、何カ所かの施設にも出向き、加工施設の従事者や管理者の方々の生の声を聞かせてもらい、先日は、中学生と一緒にジビエバーガーも食べさせていただきました。
 わかやまジビエの知名度が上がり、消費の拡大が図られることにより、加工施設の増加や規模の拡大で少しでも地域での雇用につながらないかと期待をしています。本県でのジビエ消費拡大の取り組みは、一層の鳥獣被害捕獲の呼び水にもなり、地域での雇用が生まれる、うまく機能すれば、捕獲、加工、雇用と、一挙三得の事業になると思われますが、今後の取り組みを農林水産部長からお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) ジビエの消費拡大にはジビエを牛肉や豚肉と同じ食肉という商品に仕上げることが必要であり、県では、これまで、安全・安心対策、品質の確保、需要の拡大を重点に取り組みを進めてまいりました。
 安全・安心及び品質の確保対策では、平成21年3月に、捕獲から解体処理、流通に至るまでの基本的な衛生対策をまとめたわかやまジビエ衛生管理ガイドラインを策定、また、平成26年1月には、一定の衛生管理等の基準を満たす施設を県が認証する処理施設衛生管理認証制度と、全国初となる肉の格付を行う肉質等級制度を創設し、これまで、県内5施設を認証するとともに格付員を26名認定するなど、安全で高品質なわかやまジビエの供給に努めているところです。
 次に、需要拡大につきましては、平成23年度より、東京、大阪での試食・商談会、県内ではジビエフェスタ、レシピコンテスト、料理講習会等を開催するとともに、手軽に食べていただけるよう、ソーセージ等加工品の開発、販売にも取り組んでいます。
 その結果、わかやまジビエの認知度は、平成23年度には49%であったものが、平成26年度には77%にふえ、取り扱い店舗数も、59店舗から100店舗に、うち53店舗が通年での取り扱いを行うなど、取り組みの成果が見られているところです。
 新年度につきましては、これらの取り組みに加え、第3回日本ジビエサミットを県内で開催し、わかやまジビエの魅力を県内外に広くPRするとともに、さらなる需要拡大を図るため、学校給食でのジビエ利用を働きかけることとしています。
 また、雇用につきましては、議員御指摘のとおり、ジビエの振興により一定の雇用が生まれるものと考えておりますが、さらなる雇用拡大にはジビエの処理販売頭数をふやすことが必要であり、より一層、ジビエの消費拡大に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 御答弁をいただきましてありがとうございました。
 一番、私、今回申し上げたかったことは、我々は、株価の毎日の変動に心を痛めたり気をつけてみたりはするんですが、地球環境が自然のうちに侵されていったり、そういうことというのは余り気がつかないわけなんですね。知事の先ほどの答弁にもありましたが、どうかその辺をきちんとベースに置いておかないと、和歌山県の将来にきっと──きょうは言わなかったんですが、精神的な文化でありますとか、宗教でありますとか、そういう日本にはすばらしいもんがありますから、そういう意味で、和歌山県も、これからそういう地球環境、そしまた和歌山県の環境ということに力を入れて、ベースに置いて政策を進めていただきたいと御要望しまして、私の質問を終わります。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、泉正徳君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、通告に従って一般質問させていただきます。
 まず1点目、医療問題について。県単独の福祉医療制度の拡充について、知事にお尋ねいたします。
 ひとり親家庭、老人医療、重度心身障害児(者)医療、乳幼児医療助成は、県独自の福祉施策であり、県の福祉への姿勢を具体的に示すものと言えます。
 老人医療は、所得制限を厳しくして以来、対象者が極端に減りました。かつてはおおむね10億円の助成事業であったのが、2016年度予算案では772万円となっています。
 重度心身障害児(者)医療は、65歳以上の新規障害者を対象外として以来、年々対象者が減り、同じく予算案では、今年度より約1億円減額されています。
 乳幼児医療については、市町村が独自に対象拡大し、新年度では、和歌山市、海南市、紀の川市も通院も中学校卒業まで拡大、有田市では高校卒業まで拡大する計画となっています。しかし、県制度は就学前にとどまったままです。
 こうしたことから、福祉・医療4制度の合計では、今年度より約1億2000万円もの減額の予算案となっており、2013年度予算と比べれば3億2000万円もの減額になっています。それだけ、県から県民への助成が減っているということになるわけです。
 消費税増税により、地方消費税が1.7%に上がりました。増税前に比べ、新年度予算は71億円の増収になるということで、それは社会保障に使うということです。それを財源に、今こそ、県単独福祉施策である福祉医療制度をさらに拡充を図るべきではないでしょうか。
 これは、市町村からの要望でもあります。県予算編成等に関する要望書で、9市から、重度心身障害児(者)医療補助制度について障害認定の年齢制限を撤廃されたい、また、乳幼児医療費助成制度の所得制限を撤廃するとともに、対象年齢を小学校卒業まで拡大することが求められています。町村会の要望では、乳幼児医療費について、小学校卒業前まで対象年齢を引き上げること、また、重度心身障害児(者)医療助成に精神障害者に対する助成を適用することを求めています。子供の医療費助成など上乗せをしている市町村が、県制度の拡充を切実に求めていると言えます。
 こうした市町村の要望に応え、特に重度障害者の65歳新規の制限をなくすことや精神障害を加えること、また、子供医療費の年齢拡大を行うなど、福祉・医療拡充を図る考えはありませんか。知事にお尋ねをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県単独の医療費助成については、奥村議員からも、しばしば御質問、御意見を賜っておりますし、市町村からも要望もございます。
 重度心身障害児(者)医療費助成制度は、若年期から重度心身障害者である者は生活基盤が脆弱な場合が多く、これらの者が安心して医療を受けることができるようにするための制度であります。65歳以降に加齢により重度障害になった方は、それまで職業等につき生活をしてきたということで、若年期から重度障害である方とは生活基盤が異なることから、対象外としております。
 また、精神障害者については、自立支援医療公費負担制度の活用が可能でございますので、そっちをお願いしますということで対象外としております。
 乳幼児医療費助成については、免疫が少ないため病気にかかりやすく、また、病気にかかった場合に重症化しやすい乳幼児を対象に、これは、早期にとにかく医療機関で受診してもらえるように自己負担分を無料にしております。乳幼児のこのような特殊性に鑑みて、これは、市町村の意向にかかわらず、県が手当てをしておくべきだということで乗り出しているわけでございます。
 市町村それぞれのお考えで対象年齢を拡充していることは、県も承知しているところでございますが、ベースになる部分は県が下支えをし、対象年齢拡大等の上乗せの部分については、市町村がそれぞれの地域の実情と、それから、それぞれの政策のアピールに従って施策の特色を出すために実施しているものと考えております。
 これらの県単独医療費助成については、現行制度のままでお願いしたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今までにもお尋ねしてきたことの中での答弁だったかなあとは思ってるんですけども、予算編成の審議をする議会なので、再度──やはり今、特に子供の医療費の問題でいいますと、子どもの貧困対策の推進に関する法律というのが2014年1月17日から施行されてきてるわけで、そういった中でぜひとも市町村が独自で厚い支援をずっとしているという中で、市町村の要望にもぜひ積極的に応えていっていただきたいなあというふうに思っています。
 今、消費税増税分を社会保障に活用するということで言われているので、県のその単独の施策のところ、県として福祉施策をやはり拡充していくことは財政的にはやっていけるんではないかというふうに思うんですが、ここが、年々、今、福祉の予算で減っているということに対して、やはり再度、この県単独の福祉医療制度を充実するという方向でぜひ考えていただきたいと思います。
 先ほどの答弁で今のままでということだったんですが、1つ、子供の健康の問題でいいますと、貧困が健康に与える影響とかいうことで、貧困と子供の健康、外来診療での子育て世代の実情調査というちょっと資料があるんですが、日本では、なかなか貧困と子供の健康についての国内での調査が少ないんです。そういった点で、まず、せめて──今、子供のいろいろな健康をめぐる環境、いろんな問題がある中で、また、少子化に対して厚い対策を取り組んでいこうということと、また取り組まれている中で、健康の問題についても、ぜひとも実態を県としても調査をしていただきたいなあというふうに思います。
 ある調査をされた中で、自由な記載欄ということでアンケートの紹介をしたいんですけども、156件の自由記載欄があったわけですが、そのうち48件が、やはり医療費にかかわることの意見が多かったという報告があります。子供の医療費助成制度があってよかったというようなことも書かれています。「医療費が高いので、民間療法などで様子を見ることがある」、「慢性疾患のため、医療費の負担が大変」、このように述べられています。
 あるお母さんですけども、「3人の子供のうち長男は障害があることもあり、少しの体調変化があるとすぐに病院に連れていってしまいます。アトピーや花粉症、毎月のリハビリなど、医療費は結構大変です。月に1万円程度戻ってくるといっても、結局、毎月、窓口での支払いは発生するので、その分は用意しないといけない。給料日前だと、受診しても、薬は後日にしてしまうこともあります」ということや、ほかの子は「1日休めば元気になるかなと安静にしているだけだったり、市販の薬で済ませてしまう」とか、そういったようなことで、やはり子供を安心して育てていくというところでは、安心してお医者さんに診てもらえる、こういった環境をつくっていくことこそ大事だと思いますので、ぜひともこの検討をこれからもしていただけるように切にお願いいたしまして、次に行かせていただきます。
 次は、国民健康保険料の引き下げについてお尋ねします。
 次に、国民健康保険の問題です。国保は、他の協会けんぽなど公的医療保険に比べ、高齢者や低所得者層が多く加入しているという構造的な問題を抱え、結果、保険料が高過ぎることや財政悪化につながっています。
 国は、公費拡充による財政基盤の強化策として、2015年度から毎年、消費税増税分を財源に、低所得者対策として保険者支援制度を拡充し、国4分の2、県4分の1、市町村4分の1の負担割合で公費を投入します。
 15年度では県負担分で約6億円が交付されていますので、合計で24億円が市町村国保に投入されたことになります。これは、被保険者1人当たり5000円の財政改善効果ということですが、平成27年度の保険料を見ると、余り下がったようには思えませんが、これを活用して保険料引き下げにつなげることはできないのでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 国民健康保険につきましては、平成27年度から、低所得者が多い自治体に対する財政支援として、保険者支援制度の拡充が図られております。平成27年度では、拡充分も含め、約24億円が県内市町村国保に交付されることになります。
 保険料は、1人当たりの医療費の伸びなどから必要となる費用を算出し、そこから公費負担などの収入を控除するなどして計算されますが、その際、今回拡充された公費も勘案し、保険者である市町村において適切に設定されるものと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁をいただきました。
 答弁では、低所得者対策の強化のための財政支援であると言われたと思います。この24億円が投入されるということで、各市町村が適切に試算して保険料の引き下げにつながるよう、そういったことで、ぜひ県としても──指導という立場ではないかと思うんですが、助言なり、そういった形で、今、国民健康保険料負担が非常に重いという中で、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次、地域医療構想の策定についてお尋ねします。
 この問題は、9月、12月議会でもお聞きしました。各医療圏ごとに圏域別検討会を行い、圏域別の構想案を県地域保健医療協議会で協議して県全体の構想案を取りまとめる、その後、県医療審議会で構想案を審議するということでしたが、議論はどのようになっているでしょうか。
 9月議会で、知事は、政府が示した病床削減の推計値はあくまで参考値であること、将来の医療需要を推計し必要病床数等を県が定めていくもので、地域の実情を踏まえ、市町村や医療関係者等の意見を十分聞きながら、地域医療構想を策定していくと答えられています。
 12月議会でも、部長は、医療需要の推計や国が示す地域医療構想策定ガイドラインに沿って算定されるものだが、県としては、県民が将来にわたり必要な医療を受けることができるように、市町村や医療関係者等の現場の意見を十分聞きながら、丁寧に策定作業を進めているところだと答えられています。また、取りまとめにはパブリックコメントを求め、医療審議会では公開で議論するとされました。
 今、既に圏域別検討会は終わっている段階だと思いますが、どのような議論が行われているのでしょうか。現場の意見を十分聞きながら丁寧に策定作業を進めるということですが、今はどういう段階になっているのでしょうか。また、県としてはどういう地域医療構想をつくろうとしているのか、そのことで医療提供体制はどうなるのか、お答えください。福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) これまでの圏域別検討会においては、今後の人口推計、患者の受療動向、圏域間の入院患者の流入・流出の状況を踏まえ、適切な医療提供体制について議論してきたところです。
 現在、第3回目の圏域別検討会で、県下全域の高度急性期病床のあり方や回復期医療などの施策について議論しているところであり、今後、パブリックコメントで県民からの意見を求め、医療審議会の諮問を経て、地域医療構想を定めることとなります。
 地域医療構想の内容は、地域保健医療圏ごとに、将来の医療需要に見合ったバランスのとれた病床機能別の必要病床数やリハビリ機能の充実、在宅医療の推進といった施策等を盛り込んだものになります。
 地域医療構想を策定することで、限られた医療資源等を効率的に活用し、各医療機関の機能分化と連携を図り、県民が住みなれた地域で将来にわたり必要な医療を安心して受けることができる医療提供体制を促進してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 2025年の必要病床数の推計は、回復期病床をふやすというもので、急性期や慢性期は大きく減らして、全体としては3000床削減となっているかと思います。3500人程度は、介護施設、サービスつき高齢者住宅、自宅など、在宅に移行することになります。
 こういう中で必要な医療が受けられるのか。先ほども安心できる医療体制をということで言われていますが、この推計値に対して現場から出される意見はどう反映して構想づくりに生かされているのか。再度、その点をお尋ねしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) さまざまな御意見をいただいてるところですけれども、多くの急性期の病床に必ずしも手厚い医療を必要としない患者が入院していたり、慢性期病床においても医療をさほど必要としない患者が入院しているといった意見があります。
 県全体で病床数を3000床削減し、介護施設や在宅などに3000人程度移行するとの御指摘ですが、現状の病床数の中には現在稼働していない病床が含まれており、病床削減により直ちに病院から患者が出されるというものではありません。
 一方、3500人は推計した人数ですけれども、このうち約半数は、将来、介護療養病床等に入院する医療必要度の低い患者であり、当該介護療養病床等は、平成29年度末の廃止をにらみ、現在、国において新たな類型の施設への移行が検討されています。また、残り半数は、高齢化の進展により今後新たに在宅での訪問診療が必要となる人であり、県では、在宅医療サポートセンターの設置など、全県的な在宅医療推進ネットワークの構築を図っているところです。
 このような状況を踏まえた上で、患者の病状に応じた切れ目のない医療提供体制を構築できるよう、地域医療構想の策定を進めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ぜひとも、県民の皆さんがどこに住んでても──必要な医療というのは何なのかということもあるかと思うんですが、そういった必要な医療をやっぱり適切に皆が受けられると、そういった体制のもとで、ぜひともこの地域医療構想を練り上げていく必要があると思っています。
 そういった中で、やはりこのことと介護との連携というのは必要なことだと思うんですけど、やはり在宅でということになれば、今、介護の分野でも特別養護老人ホームが要介護3以上が対象になってきてる中で、今までの要介護1、2の方がどんなふうになっていくのか、そういった懸念もあるんですけど、そういう中で、医療の必要度ということについては、明らかにやっぱり県民の中にコンセンサスを積み上げていくというようなことをぜひやっていただきたいなあというふうにお願いをして、次の介護問題に行かせていただきます。
 介護報酬引き下げの影響についてお尋ねいたします。
 昨年4月に介護報酬が改定され、基本報酬が4.48%という大幅な引き下げとなりました。和歌山県社会保障推進協議会が行った介護事業所アンケートでは、報酬引き下げで75%の事業所が減収、小規模通所介護では81%が減収となり、最も大きいところは減収幅が40%という回答もありました。また、介護職員は51%の事業所が不足していると答えています。その一番の理由は、賃金水準が低いからです。しかし、処遇改善加算をとれない事業所は、大きな減収となり、賃上げはできない状況です。
 この介護報酬引き下げの影響をどのように県として把握しているか、福祉保健部長より御答弁、よろしくお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 平成27年度介護報酬改定は、全体としてマイナス2.27%の引き下げとなりましたが、その一方で、重中度の要介護者や認知症高齢者への対応のさらなる強化に係る加算の拡充や介護職員の処遇改善に係る加算の拡充がなされております。
 県としましては、事業者に対しこれらの加算の取得を促すべく、集団指導や実地指導を通じ、関係事業者に対して、今回の報酬改定の趣旨、各種加算の説明などを行ってまいりました。また、介護職員処遇改善加算の未取得事業所に対しては、県内7カ所で研修会を実施するとともに、研修会を受講していない事業所に対し研修会資料を送付するなど、処遇改善加算の取得の促進に努めてきました。
 この上で、平成28年1月時点の指定事業所件数は7463件であり、平成27年4月から12月までの指定事業所の新規指定件数は387件、廃止届け出件数は166件となっています。廃止届け出件数については、平成26年度の255件、平成25年度の274件と比較すると、今のところは例年を上回るとは言い切れない状況にはありますが、県としましては、引き続き、事業者の経営状況に注視してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 処遇改善加算をとっている事業所の実際の賃上げの実態、また経営状況について、先ほどもおっしゃってくださってましたが、県として、やはりこの実態を十分把握をしていただきたいと思います。
 次、介護離職ゼロに向けての問題についてお尋ねいたします。
 安倍政権は、年間10万人超に上る介護離職をゼロにするための緊急対策を打ち出しましたが、実際は介護サービスの改悪を連続させています。介護現場が深刻な人手不足になっています。全産業平均より約10万円低い介護職員の平均賃金の引き上げなくして人手不足の解消はできませんが、逆に大幅に介護報酬を引き下げました。また、特別養護老人ホーム入所を要介護3以上に制限し、年金収入280万円以上の人の利用料負担を2割に、補足給付を縮小するなど、昨年から改悪を行っています。介護離職ゼロとは全く逆行する改悪です。
 さらに、今後も、利用料を全員2割負担にする、要介護1、2の人の在宅サービスは原則自己負担にするなど、一層の負担増と給付の削減が検討されています。これでは、介護離職ゼロどころか、さらに介護離職をふやさざるを得ないのではないでしょうか。
 福祉保健部長に、このような状況の中で県として介護離職ゼロに向けての課題と対策をどう考えているのか、お尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 介護離職ゼロに向けた介護保険施策における課題としては、将来を見据えた介護サービスの整備、介護サービスを支える介護人材の確保、介護する家族の不安や悩みに対する相談支援体制の整備の3点が挙げられます。
 このうち介護サービスの整備については、75歳以上の高齢者がピークを迎える2030年を見据えて必要な介護サービスを計画的に整備するため、昨年3月にわかやま長寿プラン2015を策定したところです。平成27年度補正予算で前倒しもできるように措置された基金も活用しつつ、引き続き、同プランに基づき必要な整備を進めてまいります。
 介護人材の確保については、就職を希望する高校生等を対象に介護資格の取得を支援する事業など、必要な対策を進めているところであり、来年度には、介護福祉士の修学資金等の貸し付け、介護事業所内保育所の整備など、介護人材確保対策のさらなる充実を図っていきたいと考えています。
 相談支援体制の整備に関しては、現在、各市町村に設置された地域包括支援センターが相談窓口として機能しており、引き続き同センターの周知に努めていきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 県としては、今部長がお答えしてくれたさまざまな施策をしていくと、また、されているというお話でした。
 2015年の長寿プランの介護人材需要・供給推計では、今のままでは介護職員の需給差が広がるばかりという予測がされています。平成29年度では、2380人が不足する予測になっているかと思うんです。
 そういった中で、さまざまな施策とともに、やはり最も必要なのは賃上げなどの処遇改善を行っていくこと。これは、国でやはりしっかりと財源を充てていくという、そういう施策にしていくよう、県としてもぜひとも国にも要望を上げていただきたいと思います。
 次に、商工観光労働部長にお尋ねしたいんですが、平成24年の就業構造基本調査によると、和歌山県内の介護を理由とする離職者は、平成23年10月から24年9月までの1年間で1100人となっていると聞いています。
 県内の介護離職の状況を踏まえて、その解消のためどのように対策など考えられているのか、介護離職ゼロに向けての取り組みについて商工観光労働部長にお尋ねしたいと思います。親とかの介護が必要な人のうちで介護休業制度等を利用している人は14%にとどまっていると聞いているんですが、そういった点も含めて、県としての取り組み、その点について御答弁をよろしくお願いしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 介護離職をなくすため、国においては、介護の状況に柔軟に対応できるよう、介護休業の分割取得、所定外労働の免除制度の創設、介護休業給付金の給付率の引き上げなど、介護をしやすくするための育児・介護休業法等の改正が今国会に提出されております。また、介護休業の取得促進に取り組む企業や実際に介護休業を取得させた中小企業に対して、一定の条件のもとで助成金を交付する制度も設けられる予定です。
 県におきましては、これまで主に仕事と育児が両立できる職場環境づくりを進めてまいりましたが、今後は、介護についても、経営者の意識改革を図るセミナーや経済団体等への出前講座、就業規則の見直し等を助言・指導するための専門家派遣、支援制度の周知啓発などを行い、仕事と介護が両立できる職場環境づくりに取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 介護離職の問題では、やはり働く環境づくりという点で、今度、国会に提出されている法改正、そのことが、今までよりも一層、介護休業がとりやすくなる方向になってるかと思うんですが、じゃ、それが実際に職場で活用されていくかという、その職場環境づくりをぜひとも公務職場でも進めていけるように、県としても指導なり、県の職場でもそういったことができるようにしていただきたいなあというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 最後に、障害者問題について、昨日も藤本議員から質問されていましたが、私も、障害者差別解消法の取り組みについてお伺いをさせていただきます。
 4月から施行される障害者差別解消法について、この法律は、障害のある人への差別をなくすことで、障害のある人もない人も、ともに生きる社会を目指すという法律です。
 例えば、障害があるという理由だけでスポーツクラブに入れないことやアパートを貸してもらえないなど、障害のない人と違う扱いを受けているので、不当な差別的取り扱いになります。また、聴覚障害のある人に声だけで話すことや視覚障害のある人に書類を渡すだけで読み上げない、知的障害のある人にわかりやすく説明しないことは、障害のない人にはきちんと情報を伝えているのに、障害のある人には情報を伝えていないことになります。
 障害のある人が困っているときに、その人の障害に合った必要な工夫ややり方を相手に伝えて、それを相手にしてもらうことを合理的配慮といい、役所や会社、お店などが障害のある人に合理的配慮をしないことも差別となります。
 これは、内閣府から出されている、わかりやすい、「障害者差別解消法ができました」というリーフレットがあるんですが、そこに書かれている内容です。
 この法施行に向けて必要な対応を県としてどのようにお考えなのか、また、県条例制定の必要性があると私は思うんですが、その点について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県としましては、障害や障害のある方について一層理解を深める必要があると考えており、県が事業や事務を実施するに当たり、障害のある方の社会参加が促進できるよう、具体的な配慮事例やそれぞれの障害特性に応じた配慮事項を盛り込んだ職員対応要領を策定したところであり、今後、研修等を通じて職員に周知徹底を図ってまいります。
 また、市町村や民間事業者における取り組みも重要であると考えており、各省庁が策定した事業分野ごとの指針に基づき、適切な対応が図られるよう、所管する各部局から周知してまいります。
 なお、条例の制定につきましては、障害を理由とする差別の解消を推進し、障害のある方の権利擁護を一層図るため、法律の円滑な施行に取り組むことが必要であると考えており、法律の施行後の状況を踏まえ、関係の皆様の御意見を伺いながら、その必要性も含めて検討してまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 県職員の対応要領ができたということなんですが、1点だけお尋ねしたいんですけど、例えば、不当な差別的取り扱いや合理的配慮をしない事例が起きた場合、県として相談体制をつくり、個別の事例に対応できるようにすべきだと思うんですが、そういった点での窓口というのはあるのでしょうか。また、窓口の体制というのは考えられているのか、その点についてお尋ねします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) これまでも、障害者の人権に関する相談については、障害福祉課や振興局の健康福祉部で受けてきたところです。
 障害者を差別するなどの事案が生じた場合、障害者差別解消法を所管する障害福祉課が主になって対応するとともに、関係者で協議する場を設け、意見を伺いながら差別の解消に取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 障害福祉課が窓口になってということですので、その点で、ぜひとも県民の相談の窓口として周知徹底をしていただきたいと思います。
 その際に、やはり個別の相談に適切に対応するために、その相談やあっせんに弁護士とか弁護士会がきちんとかかわる体制をつくっていただければなあと考えます。単に法律相談を要する事案は弁護士会に振ると、そういうことではなくて、この差別解消法にのっとって、やはり一人一人の個別の事案について、先ほども部長もおっしゃっていただいたように、親身な相談と、やはり解消に向けての対応はできるように、ぜひとも相談体制を充実させていっていただき、どういう合理的配慮があればいいのかという点についても、当事者や企業と一緒になって考えていくような、そういった、弁護士のかかわりもできるような形で、ぜひともこの解消法に沿って、安心して障害のある人もない人も暮らせていける、そういう和歌山県にしていくためにも、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 以上で、要望して、一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時32分休憩
────────────────────
  午後0時59分再開
○議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 16番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 私が最後になりました。どうぞ御清聴をお願い申し上げます。
 まず最初に、県立医科大学薬学部設置について伺います。
 平成28年度の新政策として、いよいよ県立医科大学薬学部設置の調査費が計上されました。本県では、平成12年10月の航空工科大学中止という、今にして思えば大失策ともいうべき出来事以来の大学に関する知事の英断であり、大いに敬意を表するとともに心から感謝を申し上げます。
 薬学部設置は、本県の薬剤師不足解消など県民医療への貢献はもとより、創薬などの経済効果、地元大学進学率向上、コンパクトシティーの中核施設など、たくさんの効果が期待されています。
 さらに、医科大学としては、医学、薬学、看護学の医療3学部がそろった全国有数の医療総合大学になります。
 そこで、改めて薬学部に対する知事の期待を聞かせてください。よろしくお願いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県立医科大学に薬学部を設置することにより大学進学時における県内進学先の選択肢をふやし、若者の都市部への流出を抑制したいと思っております。また、卒業生の県内定着により地域医療の充実も図っていきたいと思います。
 和歌山県立医科大学は、医学部、保健看護学部に加えまして薬学部を有することにより医療系の総合大学になることで、大学教育や研究、地域医療の発展に大きく貢献していってもらえると思っております。
 これまで薬学部の新設に当たっては、財政面や薬剤師の需給見通しなど、さまざまな角度から検討を重ね、ようやく予算の審議をお願いするに至ったところでございます。今後は、薬学教育の中心となる教員を採用し、平成33年4月の開学を目指し、滞りなく準備を進めてまいりたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、医、薬、看3学部連携について伺います。
 県立医大同様に医療3学部がそろう慶応義塾大学では、平成23年度より医療系3学部合同教育が行われています。このカリキュラムを通して、学生のうちから交流を深め、将来、患者中心のチーム医療が実践できる医療人を育成することを目指しています。慶応の医療系3学部は、信濃町、湘南藤沢、芝共立とキャンパスが互いに離れているというハンディキャップを乗り越え、充実したプログラムにしたいと言っています。
 また、医療3学部に歯学部を加えた昭和大学では、昭和40年から山梨県富士吉田キャンパスで初年次全寮制教育が行われており、学生寮は医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部混合の部屋割りとし、1年間の寮生活において他人を思いやる協調性、人の痛みのわかる人間性を養います。
 このシステムは、将来、医療人として欠かせない問題解決能力の育成と、全人的医療の実践に大きな成果をおさめています。現在、このような合同カリキュラムは、私学だけではなく国公立の医療系学部でも行われております。
 さて、県立医科大学では、紀三井寺、三葛、七番丁にキャンパスが分散する地理的条件の中で、大学教育や研究、地域医療のために、医、薬、看護の3学部はどのような連携ができるのでしょうか。知事の御所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、3学部の設置により、専門職の連携教育や医学と薬学の連携による創薬研究、あるいは地域医療におけるチーム医療の推進などが可能となると考えております。
 今後、御指摘の他大学のカリキュラムなども参考としながら、3学部設置の相乗効果を最大限に発揮できるような大学のあり方を、和歌山県立医科大学と一緒に考えていきたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうぞ大いなる発展を期待いたしております。よろしくお願いいたします。
 次に、水素社会について質問いたします。
 先般上京した際に、国会議事堂に燃料電池車MIRAIが駐車されていました。同行した皆も初めて見たというので、国会とMIRAIを背景に記念写真を撮ってきました。最近、水素社会という言葉をよく耳にしますが、水素社会の到来をちょっぴり感じた瞬間でありました。
 平成26年4月、第4次エネルギー基本計画が閣議決定され、新たなエネルギー政策が示されました。その中で、水素はさまざまな方法で製造できること、気体、液体、固体のどの形態でも貯蔵・輸送が可能であること、高いエネルギー効率、低い環境負荷、非常時対応などの効果があることから、将来の二次エネルギーの中心的役割を担うことが期待されるので、水素を本格的に利活用する水素社会の実現に向けた取り組みを加速するとうたっています。
 続いて、同年6月、経済産業省は水素社会の実現に向けたロードマップを策定し、これまで取り組んできた家庭用燃料電池──エネファームといいますが──これの普及拡大、燃料電池自動車市場の整備に加え、水素発電の本格導入といった水素需要の拡大や、その需要に対応するための水素供給体制の構築など、今後の取り組みの道筋を示しました。そして、日本再興戦略2014において、政府はロードマップに基づき必要な措置を着実に進めることとしています。
 また、昨年10月にはトヨタ自動車が、2050年までにエンジンだけで走る自動車の販売をほぼゼロにする長期目標を発表しました。ハイブリッド車や燃料電池車の比率を高めて、新車の走行時のCO2排出量を2010年比で9割削減するそうであります。同時に、2020年に燃料電池車を年間3万台以上販売するという目標も掲げました。
 昨年末に販売を開始したMIRAIは、注文が殺到し、納入まで数年待ちの状態だそうでありますが、現段階での生産能力である年間700台を本年には2000台、2017年には3000台にまで拡張する計画であります。
 先週3月4日、政府はCOP21の目標達成のため、地球温暖化対策計画を策定することが報道されました。次世代自動車や家庭用燃料電池の普及目標も示されるそうであります。
 以上のように、近い将来、水素社会の到来を強く感じますが、本県ではその時代を迎えるに当たっていかに取り組むのでしょうか。知事の御所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国内に資源が乏しく、エネルギーの大部分を海外の化石燃料に依存している日本にとって、水素の利活用はエネルギー供給源の多様化につながります。また、利用段階ではCO2を排出せず、高いエネルギー効率を有する燃料電池技術を活用することにより、環境負荷の低減にも大きく貢献し得るものと考えております。
 一方で、燃料電池の耐久性や信頼性などの技術面を初め、水素の製造面、輸送面、貯蔵面について、安価で安定的な供給システムが確立できていないなど、多くの課題が存在しております。
 県としては、水素は、燃料電池自動車や定置用燃料電池などで広く社会で利活用されることが期待できると考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 既に燃料電池車が発売され、近畿各地にも水素ステーションが設置されると聞いております。和歌山には残念ながらありませんけども。公用車に燃料電池車を購入することや、水素ステーションの設置について、県の取り組みを知事に伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 水素を燃料とする燃料電池車は、これまで経済産業省と国内自動車メーカーが中心となり研究・開発を行ってまいりましたが、2014年12月にようやく市販化されたところでございます。また、水素ステーションの整備も、国はいち早く需要が高くなると予想される4大都市圏を優先的に進めております。
 私は、水素の製造から輸送・貯蔵の技術進展並びにコストの低減が進むことにより全国に水素ステーションの整備が進展すれば、燃料電池車の普及につながると考えております。
 和歌山県も、将来のことを見越して公用車に燃料電池車を導入することについては、よいことであり、積極的に進めてまいりたいと考え、いろいろ検討してみたんでございますが、県内に水素ステーションがありませんので、これをつくってくれる人がいないかどうか。ちなみに、県でつくろうとすると物すごいお金がかかりまして、これはどうしたもんかと思ってるところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 公用車を買おうと思ったら、今のところ関空にできるということですから、関空まで一々入れに行かなあかんので、これはまあ難しいと思います。
 しかし、将来、和歌山県に何百台か車を買おうとするような時代になれば、それこそそういう人たちで分散をして水素ステーションを設置する。水素ステーションも、そのまま置くだけじゃなくて、移動型というのもあるようでありますから、そういうことも研究できると思いますし、それと、和歌山県は海に面しております。この水素は国内で生産するだけじゃなくて、世界中の、例えば太陽熱、太陽光、自然エネルギー、また海外の石炭、そういうようなものから電池ではなくて水素で輸入をして国内にそれを運んでいくという、そういう流通を考えれば、和歌山県の海岸線に土地の余ってるところ、それから石油精製施設でタンクが回収されるようなところ、こういうところに水素輸入基地というのを誘致するようなことを目指していけばいいんじゃないかと。
 さらに、水素発電をするということでありますから、和歌山県は京阪神に近く、しかも深い海があって大きな船が着く、すごくいい好位置だと思いますので、そういう大きな取り組みの中でステーションなんかも考えられるんではないか。ぜひ、すぐにできなくても、今から研究をしておくことは将来の飛躍発展につながると思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 3番目に、和歌山の文化について質問いたします。
 平成16年、紀伊半島の霊場と参詣道が世界文化遺産に登録されました。和歌山の歴史や自然が世界に誇れるすばらしいものであることがわかり、私たちも改めて自信を持ちました。
 しかし、和歌山のもっとすごいところは、世界遺産以外にも世界遺産級のものがたくさんあることです。例えば、有間皇子や宮子姫、安珍清姫などに彩られた紀伊路、万葉集や記紀の世界、紀州徳川家、みそ、しょうゆ、かつおぶしといった和食の味のルーツ、すしの原形と言われるめはりずし、なれずし、桃、柿、鯨、モチガツオ、和歌山ラーメンなど枚挙にいとまがありません。
 しかし、和歌山県を代表するようなすばらしいものでも、世界遺産や文化財保護法の指定を受けていなかったり、制度になじまないものもあり、一部は消滅の危機に瀕しています。
 例えば、御坊市の寺内町は、文化庁や県教委が歴史的価値を評価していただき、毎年2件ペースで登録有形文化財を登録するなど、古い町並み保存運動に取り組んでいます。しかし、保存以上に空き家、更地が進んでおり、重伝建地区になる前にまちが消滅しないかと心配しています。
 2年ほど前のことですが、古い町並みの八幡筋に残るSさん宅を取り壊すという話を聞きました。何とか保存してもらいたいと早速所有者にかけ合ったところ、古い町並みの価値については理解していただいたのですが、近隣でぼや騒ぎが続発していたこともあり、空き家を維持していくのは大変だとのお話でした。
 何とかお願いした結果、借りたい人がいれば壊さないでおくということになりました。すぐに近所の古民家で文化活動をする人が友人を紹介してくださり、子育て支援で利用できないか見に来てくれました。しかし、座敷が、床が高いので子供が落ちればけがをするとの理由で契約に至らず、結局Sさん宅は半年後に取り壊されました。その後も、八幡筋を含む寺内町では、空き家、更地が増加しています。さらに、津波浸水予想区域であることが追い打ちをかけています。
 このような次世代に受け継ぐ前に消失する危機に対して県ではどのような取り組みをしているのか、教育長に伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 生活様式の多様化や少子高齢化などにより、文化遺産を守り伝えることは難しい状況にあると認識してございます。
 御坊市の町並みも例外ではなく、このため県教育委員会は、御坊市教育委員会が進める歴史的建造物を国の登録有形文化財とするための調査に全面的に協力してまいりました。
 今後も、本県の文化遺産の発掘や把握に努め、新たな指定や登録に向けて文化財的価値を明確にするなど、市町村に対し、より一層の指導・助言を行ってまいります。また、伝統的建造物群保存地区を視野に入れた取り組みにおいても、課題の解決に向け積極的に協力していきたいと考えております。
 さらに、市町村はもとより関係団体とも連携し、歴史講座などさまざまな機会を捉えて、和歌山の多様な文化遺産の魅力や保存の重要性について、広く県民の皆様の意識向上に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 教育長から力強い御答弁をいただいたんですが、残念ながら既に和歌山県にはすばらしい町並みが消えてしまったところもあります。このような失敗を繰り返さないために、保存と活用がうまくできる本県独自の制度が創設できないものでしょうか。
 滋賀県長浜市では、御坊市のS邸のような古民家が名物・のっぺいうどん屋として立派に活用されています。年間120万人の観光客が訪れることで古民家が活用、維持され、結果的に町並みが保存されています。保存と活用がうまく連動したよい例であります。
 そこで、私は、文化を保存し観光客を呼び込む新たな仕組みとして、和歌山遺産の創設を提案します。
 同趣旨のものとしては、既に北海道遺産があります。平成9年4月に、当時の堀達也北海道知事が提唱し、平成13年、15年の2回にわたる公募約2万5000件の中から52件の北海道の宝物が誕生しました。摩周湖や雨竜沼湿原といった自然や景観、空知の炭鉱関連施設、江別のれんがなどの産業、ラーメンやジンギスカンという食文化まで、多様な有形無形の財産が道民参加により選ばれました。
 自然や文化では決して引けをとらない本県も地域振興のため独自の制度が必要と考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県には、世界に誇れる魅力的な自然・歴史・文化や、我々の暮らしを支えてきた伝統的な地域資源が豊富にあり、これらの保存と活用のためには、日本中や世界中の方々に大変よく知られている名称に登録・認定されることが特に効果があると思われます。
 そのために、紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録や、みなべ・田辺の梅システムの世界農業遺産の認定を目指しました。現在も、世界ジオパークの認定や、それから日本遺産登録、これを目指しているところでございます。
 議員御指摘の多様な有形無形の財産による地域振興の必要性には同感いたしますし、そのためのタイトルということも有用だと思いますが、大事なことは、少なくとも日本全国の人々が、できれば世界中の人々が価値があるとすぐ直感するような、そういうタイトルを取りに行くことであると私は思います。
 その意味で、和歌山遺産というタイトルが果たして有効かどうか、考えてみなければいけないと思います。
 御指摘の北海道では、北海道遺産という名称をつけたんですけども、実は余りはやっておりませんで、それよりも中身の摩周湖とか北海道ラーメンとかジンギスカンなどの個々のブランドが、随分イメージがよく、知名度も高くなっております。
 現在のところ、和歌山遺産といった新たな登録制度の創設はどうかなと思うんですけれども、地域資源のさらなる保全と活用を行うとともに、紀州南高梅や和歌山ラーメンといった個々のブランドイメージを高めるために、全国の事例も参考にしながら、さまざまな地域振興に取り組んでまいりたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ただいま知事からお答えいただいた内容というのは、やるのかやらないのか、よくわからないことでありましたが、私は今あるものに救われないものをどうやって残していくかということが必要だと思っておりまして、私もぜひ研究していきたいと思いますし、今の北海道のまねではなくて、新しい切り口があれば提案をさしていただきたいと思っております。
 次に4番目、松下幸之助さんについて質問いたしたいと思います。
 ふるさとの松下幸之助さん、別に知り合いではありませんけど、親しみを込めて幸之助さんと呼ばせていただきます。
 さて、本県が直面する危機は南海地震と人口減少でありますが、人口減少の根本的解決には、本県経済を背負って立つ経済人、起業家の出現が必要と考えています。そのためには、大学はもちろんですが、子供たちにも小さいころから偉人物語を学んでもらって、大きな夢を持ってもらいたいと思います。
 その方法として、ぜひ教育委員会には偉人教育の取り組みをお願いし、その教材として本県出身の経営の神様、松下幸之助さんを提案するものであります。
 幸之助さんのことは県民なら誰でも知っていると思っていましたが、もう今の高校生は、どうやら郷土の英雄は知らないようであります。私も確認のため、先般、大阪門真市の松下幸之助歴史館へ行ってまいりました。
 門を入るとすぐに幸之助さんの銅像があり、終生和歌山弁だったという幸之助さんが、「よう来たなあ」と出迎えてくれました。ちょうどどこかの団体が、寒い中、コートも脱いで記念撮影を行っていました。
 広い工場の一角にある昭和8年当時の本社を再現した歴史館は、入場料無料で写真撮影も個人保存する分には可能でした。玄関を入ってすぐの壁に、幸之助さんの人生がイラスト入りの年表で紹介されています。これだけでも十分おもしろいのですが、館内はさらに詳しく、誕生から創業まで、創業から終戦まで、終戦から社長退任まで、そして、その後亡くなるまでの4つのパートに分けて紹介されています。
 また、幸之助さんの考え方やエピソードが、出版物、動画などであらゆるところにたくさん残されています。
 ここで、幸之助さんの人生を御紹介したいのですが、本日は時間の都合でパナソニックのホームページからの写しを資料配付させていただいております。
 3年前、半沢直樹という銀行員のドラマが視聴率42%と記録的な人気を博しました。一介の銀行員の一生には一度も起こらない出来事が毎週起こるのですから、おもしろくないはずはありません。しかし、現実の幸之助さんの人生は半沢直樹ばりです。
 4歳で家が破産し、9歳からでっち奉公を重ね、16歳で電車を見て電気の時代の到来を予感し、電灯会社に転職するも安住することなくソケット開発に精を出し、早くも22歳のときに家族3人で創業しました。しかし、順風満帆ではなく、幾つもの危機をくぐり抜け、人生の大半を過ぎてようやく世界的大企業を築き上げたという波乱万丈の人生であります。実際に小説やドラマにも取り上げられた大変興味深い人生です。しかも、ふるさと和歌山への愛情は並々ならぬものがあります。
 私は、幸之助さんの人生を詳細に分析することで、子供たちの格好の教材になると考えています。
 幸之助さんのお孫さんの夫である関根恒雄氏と仕事をしたことのある門博文代議士によると、幸之助さんの人生の特徴は、父の投機による破産、貧乏、無学、病弱に加えて、家族に恵まれなかったという強烈な逆境からの脱出にあるそうです。そのつらい経験から、人の話を聞くという姿勢や、産業人の使命は貧乏を克服することなどの企業の社会的責任、社員教育や大学への寄附、政経塾設立など教育への注力、人に任せる事業部制、社員や販売店を大切に扱う家族経営、正価販売運動など、誠実な経営姿勢が生まれたそうであります。
 知事も、平成8年にお孫さんの松下正幸パナソニック副会長と対談され、「幸之助さんたち先輩を見習って人づくりをしていきたい。そして、幸之助さんの『人はダイヤモンドの原石』、『公に尽くす』を心に、ひたむきに一生懸命に好奇心を持って新しいことに挑戦すれば、和歌山県はこれから伸びていく」とおっしゃっています。
 幸い、今秋には県が幸之助さんのシンポジウムを東京で開催すると聞いています。ぜひシンポジウムの成果を教材に活用できるようお願いします。そして、県教育委員会には、偉人教育を教育の柱に位置づけるとともに、松下幸之助さんの人生に学ぶべきと考えますが、教育長の御所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) ふるさとの先人のすぐれた業績と、それを生み出した精神を学ぶことは、みずからを向上させ、よりよく生きたいという願いを実現することにつながる大切な教育活動であり、ふるさと教育の重要な柱として位置づけています。
 議員御指摘の松下幸之助氏につきましては、出身地である和歌山市において、小学校社会科副読本「かがやく和歌山市」にその功績について学べる教材が掲載されており、活用することとしてございます。
 また、県教育委員会では、ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」に松下幸之助を含めた先人を掲載しています。今後、この本の具体的な活用方法を各中学校に示すことで、先人についても子供たちがより深く学ぶことができるよう、取り組みを充実させてまいります。
 さらに、来年度、中学校3年生に、県内の産業等を紹介し、将来の地域を担う人材の育成等を目的とした冊子の配布を予定とさせていただいております。この中で、生徒がみずからの進路を考える指針となるよう、松下幸之助氏を初め、ふるさとの先人の業績や精神等について盛り込むことを検討してまいりたいと考えてございます。
 また、知事部局においては、郷土の偉人の功績を広く全国に発信する偉人顕彰シンポジウムを毎年実施しており、議員御指摘のとおり、本年12月には松下幸之助氏をテーマに東京で開催することとなってございます。
 教育委員会といたしましては、知事部局とも連携し、郷土の先人を学ぶふるさと教育を引き続き取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後に、御坊市内の県道の改修について質問します。
 日高地方の大動脈とも言うべき主要県道御坊美山線は、御坊市藤井地区を除いてほぼ全線で改修が完了しています。問題の藤井地区の改修については、私から地元に呼びかけ、地元自治会も熱心に事業推進に取り組んでくれましたが、現在も拡幅を集落側か日高川へするかで揺れ続けています。
 最初は7.18水害の経験から集落側へ取り組みましたが、合意に至らず、次は日高川を一部埋め立てる方法で取り組みましたが、対岸の同意が得られず、その後、約10年近く停滞していました。
 しかし、5年ほど前に藤井地区を除く御坊美山線の全線完了が近づいたので、何とか事態を打開するため、改めて私が対岸の同意が得られそうな川側に差しかける案を提示し、修正案を検討していただいたちょうどそのころ、平成23年9月4日未明、紀伊半島には歴史的な豪雨が降り、紀伊半島大水害が発生したのであります。
 紀伊半島大水害では大きな被害が発生しましたが、幸い日高川の御坊市流域は越流することはなく、大きな被害はありませんでした。しかし、水位は一時堤防の天端に迫る勢いで、皆が肝を冷やしました。そのとき、誰もが、日高川は公共性が高い道路整備においても1ミリたりとも狭めることはかなわないことだと痛感いたしました。
 ところが、御坊市や地元区の役員は、県から正式に計画変更を聞いてないことを理由に事業がとまったままです。藤井地区の道路拡幅は堤防補強にもなることから、事業停滞を心配する住民有志が、河川に影響のない集落側へ拡幅した場合に地権者になる関係者を回ってくれたところ、ほとんどの人が協力を約束してくれたと聞いています。
 ぜひ道路管理者として集落側に拡幅すべきと考えますが、県土整備部長の御所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 県道御坊美山線は、日高川沿いの主要幹線道路であり、全線でおおむね2車線が確保されていますが、御指摘の御坊市藤井地内の区間約900メートルだけが未整備の状況となっています。幅員が狭く、交通量が多いことから、県としては、かねてから整備の必要性は高いと考えていたところでございます。
 この区間の整備につきましては、平成15年当時、御坊市を通じて地元藤井区から堤内は住宅が密集しているため河川側へ拡幅するよう要望を受け、それに即した計画案を検討し、御坊市とともに関係する対岸の地区などとも話し合いを重ねましたが、洪水に対する影響を懸念する声があり、調整がつかなかった経緯がございます。
 加えて、平成23年の紀伊半島大水害のときには、日高川の水位が計画高水位を大きく超え、御坊市内でも堤防天端近くまで達したことから、周辺の方々に多大な不安を与え、洪水に対する懸念がさらに高まったものと認識しております。
 そうしたことから、現時点において、これ以上河川側への拡幅案で地元調整を進めることは難しい状況であると考えており、県としては、議員の御提案を受け、改めて堤内側への拡幅案について、人家等への影響を整理した上で、地元の意向を確認し、調整に入っていきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ありがとうございました。
 ぜひとも、道路管理者である県が主体的に事業を進めていただくよう心からお願い申し上げ、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 この際、申し上げます。
 知事から発言を求められておりますので、許可いたします。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県議会の議論を踏まえ、平成27年8月11日付で発表いたしました「守ります、まちと優良農地。」は撤回いたします。優良農地の転用は原則として認めないという表現を含むものであります。
 計画的なまちづくりと次代の農業のための優良農地の保全については重要なことなので、これを想起しつつ、上記にかわるものとして次のような希望の表明を行います。
 1、それぞれの業務に従事する各地農業委員会及び市町村当局は、改めて法の趣旨に照らしてその運用を行ってもらいたいこと。
 2、特に市街化調整区域内の農地転用については、法の趣旨に照らして細心の注意を持って行ってもらいたいこと。
 3、市町村当局は、旧市街地の改造のために代替地を必要とする場合、津波避難対策としての高台への移転誘導として適地を必要とする場合等、都市計画法の用途地域の利用によって優良農地を含む一団の地域をこれに充てることができることを想起してもらいたいこと。
 4、これから人口減少下でまちづくりを担っていかなければならない市町村当局は、今まで以上に都市計画の手法を利用して計画的にこれを行ってもらいたいこと。
 なお、以上の各主体の業務に伴い、県が行うべき業務については、迅速に処理することとしたいと思っております。
 議会の質疑を通じまして、議員諸氏におかれましては、有意義な議論を展開され、御指導いただきましたことを心からお礼を申し上げます。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第1号から議案第16号までは予算特別委員会に、また、議案第84号は行政改革・基本計画等に関する特別委員会に付託したいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第32号、議案第33号、議案第35号、議案第40号から議案第62号まで、議案第64号から議案第70号まで、議案第73号から議案第76号まで、議案第78号から議案第82号まで及び議案第85号から議案第172号までは所管の常任委員会に付託をいたします。
 お諮りいたします。3月10日、11日、14日及び15日は、委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) 御異議なしと認めます。よって、3月10日、11日、14日及び15日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、3月16日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時39分散会

このページの先頭へ