平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(中西峰雄議員の質疑及び一般質問)


平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(中西峰雄議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)
○中西峰雄君 議長のお許しをいただきましたので、私の一般質問を始めさしていただきます。
 私のまず最初の質問は、「和歌山県民歌」についてであります。
 1番は、県民全体の象徴としてふさわしいかという、いささか妙な題名をつけておりまして、県民歌としてふさわしいから県民歌になってるわけでして、それが今さら何よというふうに思われるかもしれませんが、話をお聞きいただきたいと思います。
 まず、この県民歌でございますけども、昭和54年制作の「和歌山県民歌」のレコードカードによりますと、「和歌山県民歌」は、戦後間もない社会の混乱が落ちつかない中、後世に残るものを何か考えてほしいという篤志家の資金つきの依頼があり、和歌山フィルハーモニック・ソサエティー委員長の竹中重雄さんが企画いたしまして、佐藤春夫氏が作詞部門の選者、山田耕筰氏が作曲部門の選者となり、公募を行い、昭和51年に県の文化功労賞を受賞されました西川好次郎さんの詩が選ばれました。作曲部門にはふさわしい曲がなく、選者であった山田耕筰氏自身が作曲を行い、完成に至ったとございます。
 また、昭和23年4月18日の「毎日新聞」によりますと、作詞者の西川好次郎氏は、「南国紀州を愛する熱情を傾けて作詞した。まことに胸底から沸き上がる平和へ、希望へ、真心に燃えての作です。郷土くまなく歌声の澄み渡れることを望んでやまない」と語ったと伝えております。
 まことに、作詞者の意図どおり、南国紀州の印象が大変強い歌詞となっております。まず、1番は「ほのぼのとかおる浜木綿 陽に映ゆる緑の起伏 和歌山は常春の国」が前半でありますし、2番は「南国の息吹ゆたかに」で始まり、3番は「くろがねの軌道ゆくところ 黒潮のしぶきはめぐる」で始まっております。
 私は、この「浜木綿」、「常春」、「南国」、「黒潮」、4つの言葉で醸し出されます和歌山のイメージが、果たして和歌山県民全体を象徴するものとしてふさわしいかどうか、いささか疑問に感じるところでございます。
 選者の佐藤春夫は、情緒豊かに明朗で、県民性がよくあらわれていると評しておりますが、佐藤春夫氏自身が新宮出身であり、南国紀州を愛する熱情を傾けてつくった詩に違和感はなかっただろうと推察されます。
 県が紀南地方だけで成り立っているのであれば、私はこれは大変すばらしい曲だと思います。しかし、私、県北部、橋本・伊都の住民でありますけども、そういう自分には、常春の国、南国に住んでいるという感覚はどうしても持つことができません。
 よく、京都の冬は寒いと言われますよね。ところが、世界遺産の高野山はもちろんでございますけども、橋本も冬は寒いです。京都にまさるとも劣らんぐらい寒いですね。そういうところに、そういう地域も含めまして常春、南国と言われますと、ちょっと違うんちゃうかいというふうに言いたくなるわけです。もちろん、京都や奈良を南国、常春と言われる方はないと思いますね。橋本・伊都というのはそれに近い気候かと思います。そこを同じ南国で十把一からげにくくってしまうというのは、いささかどうかなというふうに感じているところであります。
 知事にお尋ねいたします。
 この歌詞は、和歌山県民全体を統合する象徴として、あるいはまた郷土愛を育むべき県民歌としてふさわしいとお考えでしょうか。
 また、県は、広く県民運動としてこれを広めていく方針を打ち出されておりますけれども、私もこの曲は山田耕筰氏という偉大な作曲者の曲で大変すばらしい曲だと思いますけれども、ただ、残念ながら歌いやすさ、親しみやすさという点でいうと、ちょっと難があるのかなというふうに感じるわけです。
 これは、私、県民歌をいろいろ調べてる中で、「長野県民歌」というのは、本当かどうか知りませんけど、8割、9割の人が歌うことができるそうです。酒を飲んだ後なんかでも、ちょっとみんなと一緒に歌ったりするというような親しまれ方をしているそうですけども、この曲は名曲だとは思うんですけども、ちょっとそういう点で難があるんかなというふうに感じております。
 ということで、壇上からの質問をとりあえず終わらしていただきたいと思います。よろしく御答弁のほど、お願いいたします。
○副議長(藤山将材君) ただいまの中西峰雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県民歌の多くは、その県を代表する自然や歴史、偉人などを題材として、県民が希望と誇りを持ち、愛唱することができることを基本としてつくられております。
 本県は、本州最南端に位置し、黒潮洗う温暖な気候風土というイメージが広く全国的に受けられているところであります。
 当県には、議員御指摘のように、中山間地域とか都市地域のよいところがたくさんございます。しかし、そういうイメージがあるということを当県をアピールするのにうまく利用することも大事ではないかというふうに思いまして、私はそういう点を評価したいと思っております。
 また、「和歌山県民歌」の歌詞には「緑の起伏」など山をイメージさせるフレーズなどもありまして、私は違和感がないものと個人的には思っております。ただ、私は和歌山市生まれでございまして、紀北にいるんですけども、海も見えますので、ひょっとしたら違う気持ちを持っておられる人もいるのかなあということを改めて感じました。
 歌いやすさ、親しみやすさについても、いろんな意見はあると思いますけども、私の意見として申し上げますと、2回の国体や各種行事で広く歌われ、最近ではカラオケ配信が始まるなど、県民に親しみ深いものになってもらおうという気持ちをだんだん形にあらわしているわけでございます。歌いやすさ、親しみやすさのある格調高い県民歌であると考えてもいいんじゃないかなというふうに私は思っております。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 これは感覚、感じ方の違いですので、これはどうしようもないんですけども、ただ、この県民歌の歌詞について、私の周辺の方々にお示しをし、感想もお聞きしてみましたが、やはりちょっと橋本、特に橋本の住民にとってはいかがかなという御意見が多かったということだけは御承知おきいただきたいなあというふうに思います。
 それで、本当に全体の曲調は大変格調が高くて立派な曲だと思うわけですけども、1、2、3番とも南国紀州の思い、熱情を表現されているというふうにとれるわけですけども、どっか1つだけでも歌詞を改訂していただいて、この紀北地方の中でもそういう高野山も含めて冬は大変寒いところもありますよと、県民全体がやはり県民歌として愛唱のできるような歌詞に変えていただけないかなと。
 それから、新県民歌ですけども、県民歌、今までずっと愛されてきてる中で、これを変えるということは大変なことだと思うんですね。
 ただ、県民歌、私も調べていく中で、変えておられる県もあります。愛媛県は、戦後に変えておられますね。それから、佐賀県も第二県民歌、準県民歌と言ってもいいようなものをこしらえられたりとかされておりますので、できれば一番いいのは、私としてはありがたいのは、歌詞を一部、1、2、3番までございますから、せめて1つだけでも高野山・伊都地域も含めてそうだなと思えるような歌詞に変えていただけないかということと、もう1つ、新県民歌までいかないとしても、準県民歌というようなものを再度つくっていただければありがたいなと思いますので、ひとつ御答弁をお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほども申し上げましたとおり、これは格調が高くて親しみ深いのではないかと思う県民歌でございまして、長くかつ広く歌い継がれることによって一体感が高まり、郷土愛が育まれるわけでございます。
 現在、これをもっとはやらそうというふうに、今、努力してるところでございまして、そういう中で第二県民歌というのはちょっとつらいという感じがいたします。
 ただ、こういうのは、私一人がちょっと好みも含めて申し上げてるわけでございますんで、議会でも大いに議論していただいたらいいと思いますし、私どもも継続的にいろいろ、そうかなあと思いながら部内で少なくとも議論していきたい、そんなふうに思っております。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 そういう答弁になるのは予想する中で質問さしていただいてるんですけども、ただ、これは私だけではなくて、同じように感じられる方が相当数いてるということは御承知おきいただいて、今後お考えいただきたいなというふうに思います。
 次の質問に移らせていただきたいと思います。
 2番目は、県のというか知事のといいますか、新政策、都市空間の再構築戦略についてであります。
 知事は、28年度新政策の5つの基本目標の1つといたしまして、「時代に合った地域をつくる」ことを掲げられておられます。その中で、「都市空間の再構築戦略の推進」を挙げられまして、既成市街地の活性化によるにぎわいあるまちをつくっていこうとされております。
 まず、「時代に合った」ということでございますけども、一体今の時代をどのように捉えておられるのかということをお尋ねいたしたく思います。
 社会経済環境が激変といいますか、変化しておりますし、人々の生活様式、消費行動もさま変わりに変化しております。1つには、日本国全体が人口減少社会にもう突入をしているということがあります。
 先月26日の速報によりますと、2015年の国勢調査速報ですけども、2010年と比べて全国で94万7000人の減少と。都道府県で減少率の大きいものを言いますと、秋田が5.8%、福島5.7%、青森、高知が同列で4.7%、その次に岩手と和歌山が同列で3.8%の減少となっております。つまり、本県は全国で人口減少率の大きな県の6つの中に入ってございます。
 既成市街地の空洞化、都市のスプロール化、商店街の活性化ということが全国的に政治課題とされてから、もう何十年もたちます。新政策は、簡単に言いますと都市の拡散をとめて既成市街地に集約しようということかと思いますが、既に相当拡散が進んでしまっておりますし、人がどんどん減っていく、そういう時代になっております。人口がふえていく時代に周辺部への拡散をとめるのであれば既成市街地への流入ということは自然に想定されるわけですが、全体が減少していく中で既成市街地以外への拡散をとめたとしても、既成市街地も周辺部も、程度の差こそあれ、ともに縮小を余儀なくされるのではないでしょうか。
 現に、我が橋本市では、旧市街地の衰退のみならず、いわゆるニュータウンにも衰退の気配が感じられるようになってきております。それは、果たして周辺部への拡散を防げば何とかなるものなんでしょうか。大きなトレンドを変えるところまではなかなかいかないんじゃないかというふうに感じます。極めて疑問に感じるところでありますし、橋本のような田舎の地方都市はどうすればいいのかということをずっと思い悩んでいるとこでございます。
 もう1つの大きな変化は、移動交通手段の変化です。昔は、鉄道が人々の交通手段、物流手段として主翼を担っておりましたが、今は自動車に取ってかわられております。自動車というものが、一部富裕層のものから庶民の足、日常のコモディティーとなった現在、人々の行動半径は大変大きくなりました。車で気軽にショッピングやレジャーに出かけます。歩いて、あるいは電車に乗って買い物に行ったり遊びに行ったりするよりも、車で出かけるほうが圧倒的に多いというのが現実であります。
 また、悪いことに、たった1キロ、2キロであっても車で移動してしまうというようなこともあります。いいか悪いかは別にしまして、そういう生活様式になってしまっているわけです。
 また、IT、インターネット環境も人々の行動様式、購買行動に大きな影響を与えております。一昨年、eコマースの売り上げが全国百貨店売り上げを上回りました。そういう中、新政策はどういう時代認識のもとに打ち出されたものなのでしょうか、知事に御説明をお願いしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの御質問にお答えをしたいと思うんですが、今までどんなふうに日本のまちが、こう何というか大きくなってきたかということを考えますと、大体、まちというよりも周辺部がどんどんと宅地化されて、あるいは工場その他も建ちまして、それで旧市街地がどんどん拡大して、それで大きなまちになってきたというようなのが今までの日本の戦後の姿ではないかというふうに思います。
 その中で、御指摘がありますように、みんなが自動車で運転をして移動していると。これは決してぜいたく品でも何でもなくて、もはや生活必需品でありますので、そういう点では割と便利な生活をみんなが享受できてきたというところは十分あると思います。
 一方、旧市街地がどうなったかというと、物すごく廃れて、これを何とかしてくれというような話も結構あって、それで何とかしてくれと言ったって、そんなイベントの1つや2つやったってできませんよねというのがありまして、ヨーロッパなどを見てると、やっぱり利用の秩序化をしとかないとそういうことに必ずなりますね。そういうふうに思っているわけでございます。
 しかも、これから実は人口が減ってまいります。減ってまいりますときに、ふえていくのならば、むしろ外側に拡大しても、中も実は需要が結構あって、それである程度、新陳代謝も盛んになってというのはあり得ると思うんです。例えば東京なんかは、人口がどんどん集まってきてますから、別に中心部が空洞化してるわけでも何でもありません。しかし、もしそうでなければ、ある程度の人たちの需要しかないとすれば、それをどんなふうにまちとして考えていくかというのが、すぐれて市町村の仕事でございますけれども、県としてもどうでもいいというわけにはいきませんので、それはちゃんと考えていかなきゃいけない。
 私は、旧市街地の再興のためには再開発しかないだろうと、新陳代謝を盛んにして再開発をして、それでもう住まなくなったところとか廃れてるところをもう1回魅力のある形にしていかないとしようがないんじゃないか、そんなふうに思ってるわけでございます。そのためには、ある程度、もう広がってしまったところはしようがない、そんなのが間違ってるとか言うわけじゃ決してありませんので、ある程度、外延的に拡大しにくくなるようにしといたほうがいいんじゃないかと、私は思ってるわけでございます。
 橋本市ではどうなっとるかというふうに申し上げますと、これまで旧市街地は割と保全されてきました。だけど、そんなに大発展してるわけではございませんので、やっぱり衰退も見られると思います。一方、計画的にニュータウンが整備されてまいりまして、そのニュータウンと旧市街地の間に残された農地は比較的保全されてきたと、これが橋本市や高野口町の姿ではないかと思います。
 したがって、こういうのをどう考えるかということになるわけでございますけれども、私たちが申し上げてるのは、少し農地の開発は抑制ぎみにというふうな制度を提案してるわけですけれども、県議会の御示唆もございまして、全て行き仰せておりませんけれども、橋本市にも参上いたしまして平木市長とそういう議論をしてまいりました。
 橋本市は、実は農業でもこれから次のまちおこしの材料にしていきたいと考えておるので、残された農地はできるだけ保全していきたいという趣旨のことを言っておられて、そういう意味では割合私どもの言ってることに賛同していただいたと考えています。
 ただ、それを具体的にどうやってやっていくか、そういうことについては市長のほうで、あるいは市役所のほうでこれから具体的に考えていかれると思いますので、できるだけ協力をしていきたいと考えております。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 答弁いただきましてありがとうございます。
 ちょっと、これ、次の2番の質問に移らせていただくわけですけども、言葉の受けとめ方かなと思いますけども、「活性化による賑わいあるまち」という言葉なんですけども、これが一体どんなにぎわいを想定されているんかなあというふうに思います。
 といいますのは、もう既に述べましたように、中心市街地の空洞化であるとか活性化、にぎわいの創出ということは、ずうっと、もう何十年も言われ続けてるわけですね。そんな中で、果たしてこの「賑わいあるまち」というものはどういうまちを想定されているのか。人々が暮らしやすいまちにして人が寄ってくるといいますか集まってくるというだけならいいんですけども、皆さん、この「活性化による賑わいあるまち」といいますと、どんなイメージを想起されるでしょうかね。私は、私の頭の中では繁華街の雑踏みたいなもんが頭に浮かんで、どうしても昔の繁栄を夢見ているんじゃないかなあというふうに思えてならないわけです。
 これ、もうずうっと課題で言われ続けてきましたんでね、私の中ではこの言葉のイメージというのは、旧日本陸軍が効果のない作戦を繰り返してきたというのと同じような悪いイメージというかな、抱いてるわけですね。そういう悪いマイナスのイメージがありますんで、この言葉でどんなことをイメージされているんか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 「賑わいのあるまち」とは、人が暮らし、働き、学び、楽しむなど、人が集い、さまざまな活動が活発に行われているまちであると考えております。既成市街地で「賑わいのあるまち」を実現するためには、商業、医療、福祉、教育・文化など都市機能施設を計画的に誘導し、町なか居住を促進する再開発を進めることが重要であると考えております。その上で、にぎわいのあり方などは各市町でさまざまであると考えられることから、それぞれの地域の実情に応じたまちづくりを進めていただく必要があると考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 この新政策を単純化して表現してみますと、間違っていたらごめんなさいですけども、拡散をとめる、拡散をとめて次に実施計画等の中で都市機能をつくっていって、魅力をつくって、そして居住を進めていくと、こういうことになるんかなというふうに思うわけですけども、大変論理としてはきれいですっきりしていると思うんです。
 ところが、まず再開発しかないんじゃないかなと先ほど答弁いただきましたけども、再開発等により魅力のある都市機能をつくるということ自体がそう簡単なことではないんじゃないかなあというふうに思っております。そこに広い公有地があるとか、あるいは閉鎖した工場跡地があるとか、そういう場合もございますけれども、基本的には細分化した私有地でありまして、それに加えて、特に中心のほうは借地借家関係が絡んで権利関係が大変複雑に入り組んでいるということが多いですし、また、そこに住んでおられる方、権利者個人のそれぞれの事情というようなものも絡まりまして、この再開発なり区画整理なりをするに適した土地というのはなかなか見つけにくいというのが現実ではなかろうかというふうに思うわけです。
 第2に、そもそもどうして利便性の高い市中心部でなくて、周辺に散らばってしまったのかということを考えたときに、一番大きな原因というのは、いろいろ原因はあるにしましても、やはり地価が高い、周辺部に比べると高い、周辺部に行ったら安くなるというのはあるんだろうと思います。もう繰り返しになりますけども、全体が縮小いたします。そうしますと、周辺部も中心部も地価が下落する。だけれども、需要と供給の関係で利便性の高い市街地の部分は比較優位が働いて、周辺部と比べたときにまだ地価が高いということがあって変わらないと。周辺に散らばった住宅地が住宅地として使えなくなるならばともかく、多少利便性が劣るにいたしましても、市中心部に住居を構えるよりも、安くつく周辺部に人は住み続け、費用対便益でつり合うと考えるような地価に下落して、初めて人々が移動し始めるというふうに考えるのが自然なように私には思われます。
 そういういろんなことを考慮いたしますと、都市機能を誘導して都市の魅力をつくって居住を誘導するということ、コンパクトシティー、既成市街地の活性化、にぎわいあるまち、車に乗らなくても暮らせるまちというのは大変すばらしいことであるんですけども、言うはやすく行うはかたしで、極めて難易度の高いことであり、かつ、かなり大きな資本を思い切って投入するのでないとしたら、極めて長い時間軸の取り組みを必要とすることになると思うのですが、県当局の考えを再度お尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 賑わいのあるまちの形成は、幾つかの都市機能施設を誘導したとしても、住民の居住の意思決定を伴うため、議員御指摘のとおり簡単に実現するものではなく、長期間を要するものであると認識してございます。
 ただ一方、現在、町なかにマンションの立地が進むなど、一部ではありますが、都心回帰といいますか町なか回帰の傾向も見られますことから、その実現は決して夢ではなく、長期的視点で計画的に取り組んでいくべき政策であると考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 答弁ありがとうございます。
 この質問をさせていただいた意図は、ちょっと誤解をしてしまうおそれがあるんじゃないかなあということで質問させていただきました。やはり、言うはやすく行うはかたしで、かなり難易度は高いですし、それとすすすっと進む話ではなくて、長期的な視点というのは欠かせないんだろうなというふうに思いますので、その点をよくお考えいただいてやっていただきたいなというふうに思います。
 次に、最後になりますが、県と市町村との役割なんですが、「都市計画の見直しに向けた土地利用案を策定し市町に提案」というふうにありますけども、まちづくりは、先ほども答弁をいただいておりますが、あくまでも市町村が主体でございますので、その中で県がどのような役割を果たしていかれるのか、お尋ねいたしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 都市計画法においては、用途地域の指定など、大半の権限を市町村が有しており、基礎自治体として地域の実情に合ったまちづくりを進めていく役割を担っています。一方、県は、県土全体の発展を見据えた広域的あるいは先導的な視点でのまちづくりを展開する立場であり、できるだけ多くの市町で都市計画の適切な運用と主体的な取り組みを働きかけているところでございます。
 県としましては、今回の提案は、あくまでも各市町が計画を見直したり検討を始めるきっかけとしていただけるよう、一例として土地利用案をお示ししているところでございます。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 それでは、次の質問に移らしていただきます。次の質問は、就農者支援策についてです。
 農業振興は、安倍政権の政治公約でもありますし、本県にとりましても大きな課題です。農業者が高齢化と減少を続けていってる中、担い手をどうふやしていくのかというのが大きな課題です。12月議会での奥村議員の一般質問と重なる点もあるわけですけども、新規就農者支援施策の内容とその成果についてお尋ねいたします。特に、本県の施策が他と比べてすぐれているところを教えていただければというふうに思ってございます。よろしくお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 新規就農支援施策の内容とその成果についてでございますが、農業者が減少する中、県内外から広く担い手を確保することは重要なことであり、県では年間200人を目標にさまざまな施策を実施しており、直近5カ年の新規就農者数は年平均154人となってございます。
 まず、農業に関心のある方へ情報を提供するため、県内外で開催される就農相談会へ参加するとともに、県のホームページを通じて就農支援策の発信を行っております。
 また、平成16年度に他県に先駆けて新規就農者の支援に特化して設置した就農支援センター及び学生教育や社会人研修に取り組む農業大学校において、栽培の基礎技術や農業機械の操作方法など、就農希望者のレベルに応じた幅広い研修を実施しております。
 農地を必要とする方には、農地中間管理機構や本県独自にJA単位に設置した農地活用協議会が農地貸借の相談活動を行い、着実にマッチングの成果を積み上げてきております。
 このような取り組みにより、農業大学校及び就農支援センターの修了生の中から、平成16年度以降422人が県内各地に就農しております。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 それでは次に、今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 今現在、新規就農者をふやしていくために何が今大きな課題で、またそれに対する今後の取り組みはどうなのか、どういうことをお考えいただいてるんかということを尋ねたいと思います。
 それと、これ、うまくお伝えできるかどうかわからないんですけども、行政は大体、基本的には就農者支援でも何でもそうですが、これこれこういう支援をしますから和歌山に来て、あるいは和歌山で農業をしませんかと、こういうことかなあというふうに思うわけです。あくまでも就農者が主体なんですね。それはそうだなとも思うわけですけども、そこには県としてこういう農業を展開したいんだと、そのためにこういうことをするんだという、県としての、あるいは行政としてのと言ってもいいかもしれませんが、主体性が薄いように、私、感じられるんですよ。
 県の農業を県みずからが創出していくという主体性の持ったものにしてほしいなあというふうに思っておりまして、各地域で目指すべき農業はどういうものかということを考えて、そのための条件をいろいろ整えて、それに必要な人材、人を求めていくというような方向は考えられないでしょうか。
 言いかえますと、基本的に、支援はするけど頑張るのはあんたやでというのが方向だと思うんですね。そうじゃなくて、あんたやったらこうすれば未来が開けるはずやから、そのための支援はこうするから頑張ってや、あるいは、県を信じて頑張ってくれたら未来が開ける、だから和歌山で農業をしませんかと、そういうような支援策はできないもんでしょうかというようなことですね。ちょっと答えにくいかもしれませんが、御答弁お願いできますか。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 就農者増加のための課題と今後の取り組みについてでございますが、就農希望者にとって、やはり農地の確保が一番大きな課題となってございます。一方、受け入れる産地側は、求める担い手像に関する情報を現在ではまだ効果的に発信できていないということが課題となってございます。
 農地の確保につきましては、農地活用協議会を通じた優良農地の情報収集をこれまで以上に強化することにより就農希望者が円滑に農地を確保できるよう、継続して取り組んでまいります。
 また、産地の効果的な情報の発信につきましては、これまでの就農相談会では、やはり就農希望者の意向を尊重した形で就農地や品目等のアドバイスを行ってきましたが、議員お話しのこともございますので、今後は市町村が作成している営農モデルをもとに各産地が求める担い手像を積極的にアピールしていきたいと考えてございます。
 具体的に申し上げますと、就農を希望する方々は、栽培品目として果樹、野菜、花等、また栽培方法につきましては有機農業や減農薬栽培など、さまざまな営農形態を考えられております。これらの方々に対して、本人の希望もしっかり聞きながらも、議員お話しのように、県が考える振興品目や産地情報、農地情報についてしっかりと説明し、和歌山県でこんな農業をしませんかというメッセージをこれまで以上により強く伝えてまいりたいと考えてございます。
 今後とも、市町村等と連携をより一層強化しながら、県が主体となって和歌山県農業の魅力や支援策を発信し、本県の農業を担ってもらえるような新規就農者の育成確保に努めてまいりたいと考えてございます。
  〔「終わります」と呼ぶ者あり〕
○副議長(藤山将材君) 以上で、中西峰雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時44分散会

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