平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(立谷誠一議員の質疑及び一般質問)


平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(立谷誠一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号、議案第33号、議案第35号、議案第40号から議案第62号まで、議案第64号から議案第70号まで、議案第73号から議案第76号まで、議案第78号から議案第82号まで及び議案第84号から議案第172号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 4番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 皆さん、おはようございます。通告に従いまして、一般質問に入らせていただきます。
 まず、南紀白浜空港へのLCC国際便の受け入れについての地域の要望に対し、予算づけをいただきまして前向きな取り組みをいただいておりますこと、この場をおかりいたしまして感謝と御礼を申し上げます。
 さて、グローバル化された時代の世界の動きは速く、今後ともスピード感を持った対策と取り組みが必要だと考えます。
 ことし2月8日、佐賀空港に視察に行ってまいりましたが、南紀白浜空港と同じ2000メートルの滑走路は、有明海を埋め立てた干拓地につくられており、地盤が弱く、お金のかかった難工事だったとのことでありました。また、開設時は国内便数便でしたが、LCCの国際便の乗り入れがうまくいったようで、当初は南紀白浜空港とほぼ似たターミナルビルでしたが、増設し、乗りおりのお客さんで大変にぎわっていました。これからの紀南地方の活性化は、空港を中心に広がると考えています。地域挙げて取り組んでまいりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 さて、1点目の質問に入らしていただきます。
 国道、県道、市町村道等のいわゆる公道上における民有地の存在についての対策についてお伺いをいたします。
 公有地と考えられていた国道、県道、市町村道等の敷地のかなりの部分が、いまだに民有地のままであるという事実がございます。公道状態であるにもかかわらず、大方の地主に固定資産税が課税され、地主はこのことに気づくことなく支払いを続けています。国や地方公共団体の当局は、この現実をキャッチしていながら、長年にわたり有効な是正策を打ち出せていません。
 国民には納税の義務が定められており、わずかでも一定期間の滞納をすれば整理回収機構等に送付されて厳しい執行を受けることになりますが、一般国民には法の前に何ら有効な対応策もなく、甘んじて受け入れざるを得ません。それは、法治国家の名のもとに行われる法律の執行だからです。
 しかし、行政による正しい法律の執行には、全てにおいて正義がなくてはならないと考えます。それは、行政による行政事務の全ての面に100%、当然のこととして求められます。しかるに、今回の私の指摘は、認知しているにもかかわらず、少なくとも戦後ずっと放置し、無作為状態に置いていることに問題があると考えます。このことに対する執行機関である県行政の見解と見識をお尋ねしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 国、県及び市町村が管理する道路の敷地内には民有地が各所に存在しておりますが、その理由は、現在の道路には古くからの街道に由来するものが多く、土地の所有関係が不明確なまま道路として認定されてきたなどの経緯があると考えております。
 県としましては、道路敷地内の民有地を解消し、道路管理者として適切に管理する必要があると考えておりますが、そのためにはまず敷地境界の確定が必要になります。しかしながら、特に地籍調査が進んでいない地域においては、この境界確定のためにその都度地積測量図の作成などに多額の費用と手間が必要となることから、現実にはほとんど対応できていない状況にあります。
 そこで、道路敷地内における民有地の解消のためには、市町村が進めている地籍調査により道路敷地に関する境界を確定することが有効な手段であると考えておりまして、県としましても、境界立ち会いや関連する資料の提供などに協力するとともに、地籍調査の進展について市町村に対し強く働きかけてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 県当局の見解をいただきました。見解いただいたんですが、私は幾つか意見を言わせていただきたいと思います。
 まず1点目ですが、たまたま今回、この質問をさせていただこうとすると、2日前に「産経新聞」がこうした記事を出してます。ほぼ同じような内容の問題提起でありました。
 この新聞の報道が正しいということであるとしたら、まず1点目ですが、今、県土整備部長がおっしゃった「古くからの街道に由来するものが多く」となってますけど、この新聞では「戦後」という表現になってます。
 ちょっと朗読しましたら、「道路内民地は主に、戦後の高度経済成長期の道路建設で生じた。当時すでに所有名義人が死亡していたり、住民が共同管理する土地で権利関係の整理が困難だったりしたが、なし崩し的に道路整備が先行されたとみられる」と、戦後されたと、こんなふうな報道になっています。だとすると、古くからという概念がどの程度までさかのぼった古くか、我々が解決できん古さになるかどうかというあたりもやっぱり少し研究しておいてほしいと思います。
 それから2点目ですが、多額の費用と手間が必要になると。これは、税の執行であったりとか、我々が行政の立場で考えていくときに、費用がかかるとか手間がかかる、こんなことが理由になると私は思いません。きちんとした、厳格な執行すべきが当局の姿勢だと私は思います。
 それから、市町村が進めてる地籍調査に委ねるというふうな話ですが、私は、これは戦後70年もたって、やっぱり新しい時代を迎えようとしてる、測量の技術だったりとかいろんなもんが物すごい日進月歩してる、こうした時代にやっぱり県がもっと市町村にリーダーシップをとって、このことの問題の解決を真剣に考えるべきだと思います。
 この新聞報道では、「行政にだまされ続けてきた」というようなタイトルでこう書いてまして、兵庫県の姫路市のことを引き合いに出して、300万円以上の固定資産税を納めさせられていた、知らなかったと。これで裁判になったんでしょうね。しかし、この報道では、時効というものがあって、過去5年分の固定資産税の還付をされたにすぎなかった、このことに対して納得はできないと、そういうことを主張されておられるという、そんなふうなことも報道されています。
 それから、埼玉県では全県的な調査を実施し──やっぱりこんなことを、大変なことではあるんだけれども、実施をしている県があるということです──17年度に4276筆を確認した、その後、担当者が所有者との連絡をとるなどして、現在は2000筆以下にまで減少することができてるというふうなことも書かれています。
 最後にですが、行政の姿勢として、これ問題やなとちょっと私は思うことがここに書かれていますのは、ある自治体担当者は実務上の問題が起こることは平素少ないと。それは、県民の多くが知らないからですよ。寝た子を起こすことは必要ないと打ち明ける。寝た子を起こさんようにしような、こういう姿勢だとしたら、私は、やっぱり行政は公正、公平、中立、高い倫理観のもとに行政執行を行うべきである。これが県民から信頼を得られる唯一の道だと思うんです。
 そういった意味で、やはり困難なことだから、費用がようけ要りそうだからなかなかできない、それは理屈になっていないと私は思いますので、これからもっともっとこうしたことに真剣に取り組んでいく、そういう姿勢を持っていただきたいと要望させていただきたいと思います。
 それから、今の件で最後に、これ、たしか交付税の対象に入ってるんではないかと思うんです。交付税措置をされるときに、道路の距離であったりとか海岸線の長さであったりとかいろんなもの、それが総合的に計算の書式があって、計算をされて、そして交付税として交付されてるはずなんです。そしたら、民有地の分まで交付税の中に入れて金をもらってるという話になるんではないかと、そんなことの危惧もいたします。一度調査をしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、2点目に入らせていただきます。
 和歌山県の沿岸漁業を支える大きな柱であるカツオ漁業について、前回に続きまして確認をさせていただきたいと思います。
 カツオの不漁が漁師町に与える影響は大変大きく、このまま後何年も続けば、恐らく漁師の、漁から離れる離漁が始まることが現実の問題として大変心配されています。
 和歌山県内だけでも数十年前には2万軒余りの漁師がなりわいとして活動していましたが、今日ではその数は大きく減少して約10分の1の2000軒余りとなってしまいました。もうこれ以上の漁師の減少は、我々和歌山県人の食生活にも、ひいては健康にも大きく影響を与えることになるであろうと大変心配している者の1人でございます。
 そんな中、去る1月19日、すさみ町ですさみカツオ勉強会がありましたので参加をしてきました。会場では、漁師の方々50名ほどが参加をされておられまして、熱心に講師の話に耳を傾けられておられました。講師は、県水産試験場の小林さんと茨城大学客員研究員の二平先生です。二平先生は、カツオの生態を40年余りにわたって研究されてきた、水産業界では大変有名な方です。
 その二平先生の講話では、カツオの不漁に関して、「水温は関係ありません。南方域による乱獲です。判断は科学的ではなかった。マスコミも間違っている。南方で1~2歳魚を8割もとっているからである」等々でありました。
 そして、全国沿岸漁民連絡協議会が結成をされることになり、国へ出した要望書では、「カツオ来遊量の減少の原因は、史上最高となった熱帯域における諸外国の大規模まき網の隻数の増加と漁獲量の増加が原因です。今、国を挙げてこのカツオ資源問題に取り組まないと、日本の黒潮流域の漁村経済を支えてきたひき縄漁、近海一本釣り漁業も消滅してしまいます。カツオが再び釣れるようになりさえすれば、自然に後継者も出てきます。黒潮流域の地域漁業を支えてきたカツオ漁業を守ることなしには、地域再生、地域創生などあり得ません。熱帯域まき網漁業の規制に対しては、国はこれまで以上に強い姿勢で取り組みを行っていただくよう要望します」となっています。
 平成26年6月議会における私の質問に対する当局の答弁は、「カツオ不漁の原因としては、日本近海の海水温が例年になく低目で推移していること、太平洋熱帯域でのまき網によるカツオの漁獲量が急増していることが考えられます」との答弁であり、さらに「真摯にさまざまな対策に取り組んでまいります」となっています。
 そこで、見解の変更があればお聞かせいただきたいことと、その後の取り組み状況を確認させていただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) カツオの不漁につきましては、平成26年は日本近海の海水温が例年になく低目で推移したことの影響も考えられましたが、平成27年はそのような現象が見られなかったにもかかわらず再び不漁となったことから、近年急増している太平洋熱帯域でのまき網によるカツオの漁獲がより大きな原因ではないかと考えられます。
 県としましては、平成24年度から国に対し、熱帯域での資源状況の把握とカツオ漁獲に対する漁期短縮等の国際規制を関係各国で構成される中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)に働きかけるよう要望してまいりました。
 このような中、国は、中西部太平洋まぐろ類委員会において、熱帯域におけるまき網漁の漁獲増加がカツオ来遊の減少原因となっている懸念を強く訴え、その結果、平成25年12月に、平成26年から3年間、集魚装置を用いた操業を年間4カ月禁止する措置が合意され、さらに平成27年12月には資源回復目標を明確にするなどの資源回復管理措置が合意されたところです。
 今後もカツオ資源の確保のため、国に対し、カツオの資源調査と国際的な規制強化について引き続き要望してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 部長のほうからそういう答弁をいただきましたが、ちょっとこれにつきましても意見申し上げたいと思います。
 今の答弁で、はっきりわかりにくいことが1つあります。結局、水温がカツオの不漁に大きく影響があったという答弁が、以前の私に対する答弁の回答がそういうことでありました。それをもって地元の漁師の皆さん方にもお話をすると、それはまるっきり漁師の皆さん方の言葉は反発して違いまして、「水温は関係ないんや」と。長年、何十年と漁師をしている漁師の皆さん方の仕事からくる直感力的なことから、「関係ない。南方洋でとり過ぎてることが問題や。何かおかしいことばっかり言うてくる」と、こんな話を私は言われたことを覚えてるんですが。
 で、今のお話なんですが、僕は、やっぱり何か物を考えていくときに、判断を間違ってたらその間違った延長線上での結論しか出ないので、本質的なことをきちんと科学的に検証した中で、その判断でなければならないと思うわけです。
 そうしたときに、今のお話、確認さしていただきたいんですが、今いただいた答弁というのは、二平先生や漁師の方々が言っていたとおり、水温ではなかったという確認をさせてもらっていいかということを私は確認をさしてもらいたいと思います。
 それから、集魚装置を用いた操業をしていただいたというの、これ、そういう中でも1つの努力をいただいたということは大変大きく評価させていただきたいと思うわけですが、これはカツオの全体の極端な漁獲高の減少に大きな影響を与えてる状況にはなってないと感じています。そういった意味で、これからもそうしたことも含めて、もっともっと総合的にカツオの生息を確保するための対策をこれからも研究をいただきたいなと思います。
 それから、あと1点、国に対して国際的な規制強化を漁師の皆さん方は強く望んでいます。この要望をこれからも国に対して強く求めていただきたいと思います。これが今の現在のカツオの極端な不漁の解決策の唯一の方法でないかなと考えるからであります。
 ちなみに、二平先生がいろいろ論文書かれておりまして、その中で、少し時間をいただきまして朗読させていただこうと思います。
  2014年の不漁要因を春先の冷水現象などの海洋条件や秋に三陸沖を通過した低気圧などの気象要因に求める論調が垣間見える。過去にも冷水現象や低気圧通過などは何度もあったが、だからといってこのような大不漁となったことはない。近年の日本海域におけるカツオの不漁要因は海洋条件や気象要因などカツオの「外部条件」にあるのではなく、資源量減少に伴う日本近海域への北上来遊量の減少というカツオの「内部条件」にある。2014年の日本近海においては史上最悪の不漁現象が起きた反面、公表された熱帯域を中心とした中西部太平洋全体のカツオ漁獲量は増大を続けた。2013年にははじめて史上最高の180万トンを越えた。
  その漁獲を支える熱帯域の大型まき網隻数は2000年の126隻から2014年には283隻にまで増加して歯止めがかからない。
 この「180万トンを超えた」という数字ですが、実は和歌山県ではどんな状態かといいましたら、この間、70万トンから140万トン、カツオがとれた。70万トンから140万トンです。南方域で180万トン、10年ほどの間に100万トンから180万トンも漁獲量がふえてるわけです。当然、南方の皆さん方はこれを生活のなりわいにしているわけですから、我々だけの理屈でならないことは十分理解している上ではございますけど、ぜひそうしたことも踏まえて、「早急な国際的漁獲制限措置がなされることを期待したい」と、そうした論文の締めくくりにもなっています。
 ぜひ、漁師の皆さん方の窮状を、国を通して国際協調のそうしたところまでステージを上げていただきたい。早く助けていただけないか。このままでは漁師町は潰れていってしまうであろうと、私はそのように危惧をしてる者の1人でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 3点目に入らしていただきます。
 3点目は、1807年、旧日置川町の久木集落で生誕し、元服とともに都に出て医学を学び、その後、有史以来人類を最も苦しめた天然痘のワクチンを国内で初めて開発した小山肆成のことは皆さん御存じのとおりかと思います。
 天然痘のワクチンは、1796年、イギリスのエドワード・ジェンナーが既に発明していましたが、当時、江戸幕府は鎖国をしていたことと、イギリスから菌の搬入を試みましたが、イギリスは余りに遠く、赤道を通過するころには菌が傷んでしまっていたことなどから、当時、一日も早く日本独自のワクチンをつくる必要がありました。
 国民の窮状を目の当たりにし、また医家としての無力感を強く思う中、小山肆成は日本独自のワクチンをつくるための研究に着手します。自来、7年余りにわたって私財を投げ出し研究に没頭する中で、ようやくワクチンの創出に成功いたしました。
 治療法のわからなかったその昔は、一度罹患者が出ると、集落全体が全滅することも珍しくないほどのダメージを受け続けてきたのであります。ちなみに、ヨーロッパでは、18世紀の100年間で6000万人が死亡したと言われています。日本においても、天皇家も例外ではなく、敏達天皇、用明天皇、東山天皇等が天然痘で死亡しており、藤原4兄弟や多くの貴族も死亡して、朝廷の政治は機能不全となったとも書かれています。
 小山肆成の生きた時代も全国各地で天然痘が発生し、パンデミックが繰り返され、人々の死体が町中にあふれたと記されています。
 日本独自のワクチンを開発するという大偉業をなし遂げた小山肆成の顕彰会が、10年前に白浜町内で設立されています。そして、1862年、56歳でその生涯を終えた小山肆成が幼少のころに生活した生家跡に長屋門を再建したく、当時協議が重ねられてきましたが、費用の問題で余り進みませんでした。解体して保存していた棟木や柱なども、長い年月の経過とともにシロアリが入りまして、その大部分がもう使えないといった状態にございます。県教育委員会にさらなる御支援をいただきたいが、御見解をお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 医学の進歩に大きな役割を果たした小山肆成は、本県が誇る先人の1人であります。
 本県が独自に作成した小学校用の道徳読み物資料集「心のとびら」でその業績を題材として取り上げており、道徳の時間において、小山肆成が私財を投じてワクチンの開発を行った業績を理解するとともに、自他の命を大切にする心情を育んでおります。
 また、ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」においても小山肆成を和歌山ゆかりの先人の1人として掲載しており、その業績を紹介し、調べ学習など活用できるようにしてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。
 この間、一般質問をお聞きしておりましたら浦口高典さんが9回目の質問であるということがありまして、実はこれ、小山肆成のこと、以前も質問の中に入れさしていただきましたので、2回目だったらまだ許してもらえるかな、そんな思いできょうは話を聞いていただきました。
 私が初めて小山肆成の存在を知ったのは、10数年前の紀南病院の建てかえについての管理者会の席上でありました。議論終盤に、当時の院長でありました山本病院長から、新しい病院の敷地に小山肆成の碑を建立させてほしいとの発議がありました。その後、日置川町と白浜町が合併しましたが、旧日置川町の久木がその生誕地であります。
 公務の合間に調査をしてエッセーを書き、その後、脚本をつくり、一昨年は紙芝居をつくり、また依頼のあった和歌山県立医科大学で講演をさしていただくなど、その認知度を高めるための努力を重ねてまいりました。そして今、絵本づくりに実は入っていますが、地域の方々が口ずさむ「北の華岡青洲、南の小山肆成」と、肩を並べるほどにはまだまだ知られていません。まだまだこれからです。もっともっとイベントなどの節目節目にも取り上げてほしいことを要望さしていただきたいと思います。
 さらに、幼少のころ生活した生家跡に長屋門がありまして、再建に向け、小山肆成の顕彰会で検証、協議を重ねた時期もありましたが、しかし、費用の問題でほとんど本当に進みませんでした。今後も小山肆成の偉業を伝えるために重要な資料の1つと考えていますので、県として、再建も含め、今回上程されている旧紀州藩士邸長屋門のように支援をしていただけないか、要望させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 4点目に入らしていただきます。
 4点目は、胃がんの検診についてお伺いをさしていただきます。
 私の知人や周りの方々にも、がんで亡くなってしまった方、そして闘病中の方がたくさんおられます。一般質問を考えてるさなかの2月の25日の夜、数カ月前からがんの宣告を受けていた大切な友人が、まだ60代という若さで、不本意の中、寿命を終えました。同じ日、県立医大の元学長の板倉徹先生も亡くなられました。先生は胃がんだったそうです。この現実に、言葉も本当にありません。がんとは本当に無慈悲で、医学の発達した今日においても残酷な病だと考えます。
 日本では、がんから命を守る取り組みとしてがん検診が広く普及していますが、それでも突然がんという病に罹患し、理不尽にも命を落とされる方々が後を絶ちません。
 そんな中、近年は、遺伝子治療法や子宮頸がんワクチンが開発されるなど、予防・治療の面での対策も進んできていますが、そうした幾つかの対応策の1つに、胃がん予防対策としてピロリ菌の有無を調べる方法が国会でも取り上げられていると仄聞しているところでございます。
 胃がん検診の方法として、バリウムをのみレントゲン撮影をする方法や、胃カメラで見る方法などがありますが、飲んだバリウムが腸で固まってしまったり、胃カメラで胃に穴をあけてしまったりといった事故も時々発生していると聞いているところでございます。
 一方、近年、ピロリ菌と胃がんの因果関係が大きくクローズアップされています。ピロリ菌のない胃にはがんはほとんど発生しないといったデータが発表されるなど、ピロリ菌の有無の検査が注目を集めています。ピロリ菌は、血液や尿や呼気の検査など、比較的簡単な、簡易な方法でできるため、安心して受けることができます。費用も安価で対応できると考えられ、体の負担も大幅に軽減されます。
 佐賀県では、中学生から検診することを考え、昨年度から予算化をされており、他県でも対策が進んできています。我が県でも、成人病検診のよりよい見直しを含め、合理的で積極的な取り組みを考えるべきと思いますが、当局のお考えをお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 胃がんの予防対策としてのピロリ菌検査についてですが、胃がんの発症にはピロリ菌の感染が大きくかかわっており、世界保健機構はピロリ菌を確実な胃がんの因子であるとし、胃がんの約8割はピロリ菌が原因で、除菌により胃がんの発生を3割から4割減らせると発表しております。
 ピロリ菌検査の費用については、自由診療で実施した場合、尿素呼気検査ではおおむね5000円から8000円、血中・尿中の抗体測定ではおおむね2000円から5000円程度かかると聞いております。
 本県は胃がんによる死亡者数は肺がんに次いで2番目に多く、平成26年度から都道府県としては初めて胃がん予防対策として、ピロリ菌感染の割合が高い40歳以上で、40歳、45歳、50歳の節目年齢の人を対象に、自己負担なしのピロリ菌検査事業を創設したところです。
 平成27年度は14市町において実施しており、今後も積極的に実施市町村の拡大を図ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございました。
 そんなに私もこのピロリ菌のこと詳しいわけではないんですが、ちょっといろいろと調べさしていただきましたけれども、胃がんの発症に大きく影響がある。ピロリ菌検査で除菌、あるいはピロリ菌が体内にないと、こういうふうに宣言をもらえると、かなり胃がんという恐ろしい病気から人々の生活、命を助けることができる。そうだとしたら本当に、今「積極的な対応」という言葉もおっしゃっていただいていましたが、ぜひそのようにお願いしたいなと思います。
 ちょっと脱線した話ですけど、よく、和歌山県も人口が減少して大変や、大変や、都市部から人口の流入をお願いしたいと。そんな施策も発表され、あるいは対策を講じられていますけど、その前に今ある県民の皆さん方の命を守ろうやないか。人口移入というか移住してもらう、このこと以上に、3人や5人の話じゃないですから、年間すごい数の方々が胃がんというそういう病で命を落としていますので、この方々の命を助けられたとしたら、それこそ毎年何百人と、ひょっとしたら1000人の単位かもわかりませんけど、人口をふやしていくことになってると私は思います。そうした視点からも、今ある我々県民の命をもっともっと守ってあげてほしいなと。
 今、部長のほうから答弁いただきましたけど、本当に費用安いんですよね。尿とか、ついでにとった血液、それから呼気──口からどのようにするかは知らないですけど、空気を吐いて何かに、袋にでもとめるんでしょうね、これでわかるというんですよ。これでわかる。そんな簡単なことでピロリ菌の有無がわかる。こんなに簡単な検査法があって、それで大勢の人の命が助かることになるんだとしたら、僕、真っ先にこの作業を行政の仕事の優先度の一番上に置いてもらえないかなと思います。命を助けるほど重要で大切なことない、そんなふうに思うんです。
 そういった意味で、一日でも早く、1人でも多く検査をしていただき、胃がんで死亡するというような話を、こんな悲劇を、もうこれっきり聞くことないような、そういう時代を一日も早くつくり出していただきたい、そんなふうに考えます。
 先ほど、佐賀県の話を少し御紹介しましたが、佐賀県では中学3年生全員に、どうやら1万人は足らんらしいですけど、その予算が2570万てなっています。そんなにして県民の命を胃がんから救おうという作業が進んでいると聞いていますので、和歌山県でも数年前からそういう対策もとってるということですけど、私としたら、どのぐらい果たしてそのことで参加をしてるというか、実際ピロリ菌の検査に応じてくれた方々がどのぐらいあったんかな、そんなふうにも思います。やってる、やってるという話よりは、やっぱり結果を知りたい。そんなふうなことを思います。
 そんなお願いを申し上げまして、一般質問を終わらしていただきます。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。

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