平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


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正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成28年2月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成28年3月7日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号、議案第33号、議案第35号、     議案第40号から議案第62号まで、議案第64号から議案第70号まで、議案第     73号から議案第76号まで、議案第78号から議案第82号まで及び議案第84号     から議案第172号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号、議案第33号、議案第35号、     議案第40号から議案第62号まで、議案第64号から議案第70号まで、議案第     73号から議案第76号まで、議案第78号から議案第82号まで及び議案第84号     から議案第172号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       市川靖之
 企画部長       高瀬一郎
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     野尻邦彦
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   溝端莊悟
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾﨑善亮
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課副主査     中尾祐一
 総務課長       西原龍也
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号、議案第33号、議案第35号、議案第40号から議案第62号まで、議案第64号から議案第70号まで、議案第73号から議案第76号まで、議案第78号から議案第82号まで及び議案第84号から議案第172号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 4番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 皆さん、おはようございます。通告に従いまして、一般質問に入らせていただきます。
 まず、南紀白浜空港へのLCC国際便の受け入れについての地域の要望に対し、予算づけをいただきまして前向きな取り組みをいただいておりますこと、この場をおかりいたしまして感謝と御礼を申し上げます。
 さて、グローバル化された時代の世界の動きは速く、今後ともスピード感を持った対策と取り組みが必要だと考えます。
 ことし2月8日、佐賀空港に視察に行ってまいりましたが、南紀白浜空港と同じ2000メートルの滑走路は、有明海を埋め立てた干拓地につくられており、地盤が弱く、お金のかかった難工事だったとのことでありました。また、開設時は国内便数便でしたが、LCCの国際便の乗り入れがうまくいったようで、当初は南紀白浜空港とほぼ似たターミナルビルでしたが、増設し、乗りおりのお客さんで大変にぎわっていました。これからの紀南地方の活性化は、空港を中心に広がると考えています。地域挙げて取り組んでまいりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 さて、1点目の質問に入らしていただきます。
 国道、県道、市町村道等のいわゆる公道上における民有地の存在についての対策についてお伺いをいたします。
 公有地と考えられていた国道、県道、市町村道等の敷地のかなりの部分が、いまだに民有地のままであるという事実がございます。公道状態であるにもかかわらず、大方の地主に固定資産税が課税され、地主はこのことに気づくことなく支払いを続けています。国や地方公共団体の当局は、この現実をキャッチしていながら、長年にわたり有効な是正策を打ち出せていません。
 国民には納税の義務が定められており、わずかでも一定期間の滞納をすれば整理回収機構等に送付されて厳しい執行を受けることになりますが、一般国民には法の前に何ら有効な対応策もなく、甘んじて受け入れざるを得ません。それは、法治国家の名のもとに行われる法律の執行だからです。
 しかし、行政による正しい法律の執行には、全てにおいて正義がなくてはならないと考えます。それは、行政による行政事務の全ての面に100%、当然のこととして求められます。しかるに、今回の私の指摘は、認知しているにもかかわらず、少なくとも戦後ずっと放置し、無作為状態に置いていることに問題があると考えます。このことに対する執行機関である県行政の見解と見識をお尋ねしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 国、県及び市町村が管理する道路の敷地内には民有地が各所に存在しておりますが、その理由は、現在の道路には古くからの街道に由来するものが多く、土地の所有関係が不明確なまま道路として認定されてきたなどの経緯があると考えております。
 県としましては、道路敷地内の民有地を解消し、道路管理者として適切に管理する必要があると考えておりますが、そのためにはまず敷地境界の確定が必要になります。しかしながら、特に地籍調査が進んでいない地域においては、この境界確定のためにその都度地積測量図の作成などに多額の費用と手間が必要となることから、現実にはほとんど対応できていない状況にあります。
 そこで、道路敷地内における民有地の解消のためには、市町村が進めている地籍調査により道路敷地に関する境界を確定することが有効な手段であると考えておりまして、県としましても、境界立ち会いや関連する資料の提供などに協力するとともに、地籍調査の進展について市町村に対し強く働きかけてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 県当局の見解をいただきました。見解いただいたんですが、私は幾つか意見を言わせていただきたいと思います。
 まず1点目ですが、たまたま今回、この質問をさせていただこうとすると、2日前に「産経新聞」がこうした記事を出してます。ほぼ同じような内容の問題提起でありました。
 この新聞の報道が正しいということであるとしたら、まず1点目ですが、今、県土整備部長がおっしゃった「古くからの街道に由来するものが多く」となってますけど、この新聞では「戦後」という表現になってます。
 ちょっと朗読しましたら、「道路内民地は主に、戦後の高度経済成長期の道路建設で生じた。当時すでに所有名義人が死亡していたり、住民が共同管理する土地で権利関係の整理が困難だったりしたが、なし崩し的に道路整備が先行されたとみられる」と、戦後されたと、こんなふうな報道になっています。だとすると、古くからという概念がどの程度までさかのぼった古くか、我々が解決できん古さになるかどうかというあたりもやっぱり少し研究しておいてほしいと思います。
 それから2点目ですが、多額の費用と手間が必要になると。これは、税の執行であったりとか、我々が行政の立場で考えていくときに、費用がかかるとか手間がかかる、こんなことが理由になると私は思いません。きちんとした、厳格な執行すべきが当局の姿勢だと私は思います。
 それから、市町村が進めてる地籍調査に委ねるというふうな話ですが、私は、これは戦後70年もたって、やっぱり新しい時代を迎えようとしてる、測量の技術だったりとかいろんなもんが物すごい日進月歩してる、こうした時代にやっぱり県がもっと市町村にリーダーシップをとって、このことの問題の解決を真剣に考えるべきだと思います。
 この新聞報道では、「行政にだまされ続けてきた」というようなタイトルでこう書いてまして、兵庫県の姫路市のことを引き合いに出して、300万円以上の固定資産税を納めさせられていた、知らなかったと。これで裁判になったんでしょうね。しかし、この報道では、時効というものがあって、過去5年分の固定資産税の還付をされたにすぎなかった、このことに対して納得はできないと、そういうことを主張されておられるという、そんなふうなことも報道されています。
 それから、埼玉県では全県的な調査を実施し──やっぱりこんなことを、大変なことではあるんだけれども、実施をしている県があるということです──17年度に4276筆を確認した、その後、担当者が所有者との連絡をとるなどして、現在は2000筆以下にまで減少することができてるというふうなことも書かれています。
 最後にですが、行政の姿勢として、これ問題やなとちょっと私は思うことがここに書かれていますのは、ある自治体担当者は実務上の問題が起こることは平素少ないと。それは、県民の多くが知らないからですよ。寝た子を起こすことは必要ないと打ち明ける。寝た子を起こさんようにしような、こういう姿勢だとしたら、私は、やっぱり行政は公正、公平、中立、高い倫理観のもとに行政執行を行うべきである。これが県民から信頼を得られる唯一の道だと思うんです。
 そういった意味で、やはり困難なことだから、費用がようけ要りそうだからなかなかできない、それは理屈になっていないと私は思いますので、これからもっともっとこうしたことに真剣に取り組んでいく、そういう姿勢を持っていただきたいと要望させていただきたいと思います。
 それから、今の件で最後に、これ、たしか交付税の対象に入ってるんではないかと思うんです。交付税措置をされるときに、道路の距離であったりとか海岸線の長さであったりとかいろんなもの、それが総合的に計算の書式があって、計算をされて、そして交付税として交付されてるはずなんです。そしたら、民有地の分まで交付税の中に入れて金をもらってるという話になるんではないかと、そんなことの危惧もいたします。一度調査をしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、2点目に入らせていただきます。
 和歌山県の沿岸漁業を支える大きな柱であるカツオ漁業について、前回に続きまして確認をさせていただきたいと思います。
 カツオの不漁が漁師町に与える影響は大変大きく、このまま後何年も続けば、恐らく漁師の、漁から離れる離漁が始まることが現実の問題として大変心配されています。
 和歌山県内だけでも数十年前には2万軒余りの漁師がなりわいとして活動していましたが、今日ではその数は大きく減少して約10分の1の2000軒余りとなってしまいました。もうこれ以上の漁師の減少は、我々和歌山県人の食生活にも、ひいては健康にも大きく影響を与えることになるであろうと大変心配している者の1人でございます。
 そんな中、去る1月19日、すさみ町ですさみカツオ勉強会がありましたので参加をしてきました。会場では、漁師の方々50名ほどが参加をされておられまして、熱心に講師の話に耳を傾けられておられました。講師は、県水産試験場の小林さんと茨城大学客員研究員の二平先生です。二平先生は、カツオの生態を40年余りにわたって研究されてきた、水産業界では大変有名な方です。
 その二平先生の講話では、カツオの不漁に関して、「水温は関係ありません。南方域による乱獲です。判断は科学的ではなかった。マスコミも間違っている。南方で1~2歳魚を8割もとっているからである」等々でありました。
 そして、全国沿岸漁民連絡協議会が結成をされることになり、国へ出した要望書では、「カツオ来遊量の減少の原因は、史上最高となった熱帯域における諸外国の大規模まき網の隻数の増加と漁獲量の増加が原因です。今、国を挙げてこのカツオ資源問題に取り組まないと、日本の黒潮流域の漁村経済を支えてきたひき縄漁、近海一本釣り漁業も消滅してしまいます。カツオが再び釣れるようになりさえすれば、自然に後継者も出てきます。黒潮流域の地域漁業を支えてきたカツオ漁業を守ることなしには、地域再生、地域創生などあり得ません。熱帯域まき網漁業の規制に対しては、国はこれまで以上に強い姿勢で取り組みを行っていただくよう要望します」となっています。
 平成26年6月議会における私の質問に対する当局の答弁は、「カツオ不漁の原因としては、日本近海の海水温が例年になく低目で推移していること、太平洋熱帯域でのまき網によるカツオの漁獲量が急増していることが考えられます」との答弁であり、さらに「真摯にさまざまな対策に取り組んでまいります」となっています。
 そこで、見解の変更があればお聞かせいただきたいことと、その後の取り組み状況を確認させていただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) カツオの不漁につきましては、平成26年は日本近海の海水温が例年になく低目で推移したことの影響も考えられましたが、平成27年はそのような現象が見られなかったにもかかわらず再び不漁となったことから、近年急増している太平洋熱帯域でのまき網によるカツオの漁獲がより大きな原因ではないかと考えられます。
 県としましては、平成24年度から国に対し、熱帯域での資源状況の把握とカツオ漁獲に対する漁期短縮等の国際規制を関係各国で構成される中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)に働きかけるよう要望してまいりました。
 このような中、国は、中西部太平洋まぐろ類委員会において、熱帯域におけるまき網漁の漁獲増加がカツオ来遊の減少原因となっている懸念を強く訴え、その結果、平成25年12月に、平成26年から3年間、集魚装置を用いた操業を年間4カ月禁止する措置が合意され、さらに平成27年12月には資源回復目標を明確にするなどの資源回復管理措置が合意されたところです。
 今後もカツオ資源の確保のため、国に対し、カツオの資源調査と国際的な規制強化について引き続き要望してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 部長のほうからそういう答弁をいただきましたが、ちょっとこれにつきましても意見申し上げたいと思います。
 今の答弁で、はっきりわかりにくいことが1つあります。結局、水温がカツオの不漁に大きく影響があったという答弁が、以前の私に対する答弁の回答がそういうことでありました。それをもって地元の漁師の皆さん方にもお話をすると、それはまるっきり漁師の皆さん方の言葉は反発して違いまして、「水温は関係ないんや」と。長年、何十年と漁師をしている漁師の皆さん方の仕事からくる直感力的なことから、「関係ない。南方洋でとり過ぎてることが問題や。何かおかしいことばっかり言うてくる」と、こんな話を私は言われたことを覚えてるんですが。
 で、今のお話なんですが、僕は、やっぱり何か物を考えていくときに、判断を間違ってたらその間違った延長線上での結論しか出ないので、本質的なことをきちんと科学的に検証した中で、その判断でなければならないと思うわけです。
 そうしたときに、今のお話、確認さしていただきたいんですが、今いただいた答弁というのは、二平先生や漁師の方々が言っていたとおり、水温ではなかったという確認をさせてもらっていいかということを私は確認をさしてもらいたいと思います。
 それから、集魚装置を用いた操業をしていただいたというの、これ、そういう中でも1つの努力をいただいたということは大変大きく評価させていただきたいと思うわけですが、これはカツオの全体の極端な漁獲高の減少に大きな影響を与えてる状況にはなってないと感じています。そういった意味で、これからもそうしたことも含めて、もっともっと総合的にカツオの生息を確保するための対策をこれからも研究をいただきたいなと思います。
 それから、あと1点、国に対して国際的な規制強化を漁師の皆さん方は強く望んでいます。この要望をこれからも国に対して強く求めていただきたいと思います。これが今の現在のカツオの極端な不漁の解決策の唯一の方法でないかなと考えるからであります。
 ちなみに、二平先生がいろいろ論文書かれておりまして、その中で、少し時間をいただきまして朗読させていただこうと思います。
  2014年の不漁要因を春先の冷水現象などの海洋条件や秋に三陸沖を通過した低気圧などの気象要因に求める論調が垣間見える。過去にも冷水現象や低気圧通過などは何度もあったが、だからといってこのような大不漁となったことはない。近年の日本海域におけるカツオの不漁要因は海洋条件や気象要因などカツオの「外部条件」にあるのではなく、資源量減少に伴う日本近海域への北上来遊量の減少というカツオの「内部条件」にある。2014年の日本近海においては史上最悪の不漁現象が起きた反面、公表された熱帯域を中心とした中西部太平洋全体のカツオ漁獲量は増大を続けた。2013年にははじめて史上最高の180万トンを越えた。
  その漁獲を支える熱帯域の大型まき網隻数は2000年の126隻から2014年には283隻にまで増加して歯止めがかからない。
 この「180万トンを超えた」という数字ですが、実は和歌山県ではどんな状態かといいましたら、この間、70万トンから140万トン、カツオがとれた。70万トンから140万トンです。南方域で180万トン、10年ほどの間に100万トンから180万トンも漁獲量がふえてるわけです。当然、南方の皆さん方はこれを生活のなりわいにしているわけですから、我々だけの理屈でならないことは十分理解している上ではございますけど、ぜひそうしたことも踏まえて、「早急な国際的漁獲制限措置がなされることを期待したい」と、そうした論文の締めくくりにもなっています。
 ぜひ、漁師の皆さん方の窮状を、国を通して国際協調のそうしたところまでステージを上げていただきたい。早く助けていただけないか。このままでは漁師町は潰れていってしまうであろうと、私はそのように危惧をしてる者の1人でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 3点目に入らしていただきます。
 3点目は、1807年、旧日置川町の久木集落で生誕し、元服とともに都に出て医学を学び、その後、有史以来人類を最も苦しめた天然痘のワクチンを国内で初めて開発した小山肆成のことは皆さん御存じのとおりかと思います。
 天然痘のワクチンは、1796年、イギリスのエドワード・ジェンナーが既に発明していましたが、当時、江戸幕府は鎖国をしていたことと、イギリスから菌の搬入を試みましたが、イギリスは余りに遠く、赤道を通過するころには菌が傷んでしまっていたことなどから、当時、一日も早く日本独自のワクチンをつくる必要がありました。
 国民の窮状を目の当たりにし、また医家としての無力感を強く思う中、小山肆成は日本独自のワクチンをつくるための研究に着手します。自来、7年余りにわたって私財を投げ出し研究に没頭する中で、ようやくワクチンの創出に成功いたしました。
 治療法のわからなかったその昔は、一度罹患者が出ると、集落全体が全滅することも珍しくないほどのダメージを受け続けてきたのであります。ちなみに、ヨーロッパでは、18世紀の100年間で6000万人が死亡したと言われています。日本においても、天皇家も例外ではなく、敏達天皇、用明天皇、東山天皇等が天然痘で死亡しており、藤原4兄弟や多くの貴族も死亡して、朝廷の政治は機能不全となったとも書かれています。
 小山肆成の生きた時代も全国各地で天然痘が発生し、パンデミックが繰り返され、人々の死体が町中にあふれたと記されています。
 日本独自のワクチンを開発するという大偉業をなし遂げた小山肆成の顕彰会が、10年前に白浜町内で設立されています。そして、1862年、56歳でその生涯を終えた小山肆成が幼少のころに生活した生家跡に長屋門を再建したく、当時協議が重ねられてきましたが、費用の問題で余り進みませんでした。解体して保存していた棟木や柱なども、長い年月の経過とともにシロアリが入りまして、その大部分がもう使えないといった状態にございます。県教育委員会にさらなる御支援をいただきたいが、御見解をお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 医学の進歩に大きな役割を果たした小山肆成は、本県が誇る先人の1人であります。
 本県が独自に作成した小学校用の道徳読み物資料集「心のとびら」でその業績を題材として取り上げており、道徳の時間において、小山肆成が私財を投じてワクチンの開発を行った業績を理解するとともに、自他の命を大切にする心情を育んでおります。
 また、ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」においても小山肆成を和歌山ゆかりの先人の1人として掲載しており、その業績を紹介し、調べ学習など活用できるようにしてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。
 この間、一般質問をお聞きしておりましたら浦口高典さんが9回目の質問であるということがありまして、実はこれ、小山肆成のこと、以前も質問の中に入れさしていただきましたので、2回目だったらまだ許してもらえるかな、そんな思いできょうは話を聞いていただきました。
 私が初めて小山肆成の存在を知ったのは、10数年前の紀南病院の建てかえについての管理者会の席上でありました。議論終盤に、当時の院長でありました山本病院長から、新しい病院の敷地に小山肆成の碑を建立させてほしいとの発議がありました。その後、日置川町と白浜町が合併しましたが、旧日置川町の久木がその生誕地であります。
 公務の合間に調査をしてエッセーを書き、その後、脚本をつくり、一昨年は紙芝居をつくり、また依頼のあった和歌山県立医科大学で講演をさしていただくなど、その認知度を高めるための努力を重ねてまいりました。そして今、絵本づくりに実は入っていますが、地域の方々が口ずさむ「北の華岡青洲、南の小山肆成」と、肩を並べるほどにはまだまだ知られていません。まだまだこれからです。もっともっとイベントなどの節目節目にも取り上げてほしいことを要望さしていただきたいと思います。
 さらに、幼少のころ生活した生家跡に長屋門がありまして、再建に向け、小山肆成の顕彰会で検証、協議を重ねた時期もありましたが、しかし、費用の問題でほとんど本当に進みませんでした。今後も小山肆成の偉業を伝えるために重要な資料の1つと考えていますので、県として、再建も含め、今回上程されている旧紀州藩士邸長屋門のように支援をしていただけないか、要望させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 4点目に入らしていただきます。
 4点目は、胃がんの検診についてお伺いをさしていただきます。
 私の知人や周りの方々にも、がんで亡くなってしまった方、そして闘病中の方がたくさんおられます。一般質問を考えてるさなかの2月の25日の夜、数カ月前からがんの宣告を受けていた大切な友人が、まだ60代という若さで、不本意の中、寿命を終えました。同じ日、県立医大の元学長の板倉徹先生も亡くなられました。先生は胃がんだったそうです。この現実に、言葉も本当にありません。がんとは本当に無慈悲で、医学の発達した今日においても残酷な病だと考えます。
 日本では、がんから命を守る取り組みとしてがん検診が広く普及していますが、それでも突然がんという病に罹患し、理不尽にも命を落とされる方々が後を絶ちません。
 そんな中、近年は、遺伝子治療法や子宮頸がんワクチンが開発されるなど、予防・治療の面での対策も進んできていますが、そうした幾つかの対応策の1つに、胃がん予防対策としてピロリ菌の有無を調べる方法が国会でも取り上げられていると仄聞しているところでございます。
 胃がん検診の方法として、バリウムをのみレントゲン撮影をする方法や、胃カメラで見る方法などがありますが、飲んだバリウムが腸で固まってしまったり、胃カメラで胃に穴をあけてしまったりといった事故も時々発生していると聞いているところでございます。
 一方、近年、ピロリ菌と胃がんの因果関係が大きくクローズアップされています。ピロリ菌のない胃にはがんはほとんど発生しないといったデータが発表されるなど、ピロリ菌の有無の検査が注目を集めています。ピロリ菌は、血液や尿や呼気の検査など、比較的簡単な、簡易な方法でできるため、安心して受けることができます。費用も安価で対応できると考えられ、体の負担も大幅に軽減されます。
 佐賀県では、中学生から検診することを考え、昨年度から予算化をされており、他県でも対策が進んできています。我が県でも、成人病検診のよりよい見直しを含め、合理的で積極的な取り組みを考えるべきと思いますが、当局のお考えをお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 胃がんの予防対策としてのピロリ菌検査についてですが、胃がんの発症にはピロリ菌の感染が大きくかかわっており、世界保健機構はピロリ菌を確実な胃がんの因子であるとし、胃がんの約8割はピロリ菌が原因で、除菌により胃がんの発生を3割から4割減らせると発表しております。
 ピロリ菌検査の費用については、自由診療で実施した場合、尿素呼気検査ではおおむね5000円から8000円、血中・尿中の抗体測定ではおおむね2000円から5000円程度かかると聞いております。
 本県は胃がんによる死亡者数は肺がんに次いで2番目に多く、平成26年度から都道府県としては初めて胃がん予防対策として、ピロリ菌感染の割合が高い40歳以上で、40歳、45歳、50歳の節目年齢の人を対象に、自己負担なしのピロリ菌検査事業を創設したところです。
 平成27年度は14市町において実施しており、今後も積極的に実施市町村の拡大を図ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございました。
 そんなに私もこのピロリ菌のこと詳しいわけではないんですが、ちょっといろいろと調べさしていただきましたけれども、胃がんの発症に大きく影響がある。ピロリ菌検査で除菌、あるいはピロリ菌が体内にないと、こういうふうに宣言をもらえると、かなり胃がんという恐ろしい病気から人々の生活、命を助けることができる。そうだとしたら本当に、今「積極的な対応」という言葉もおっしゃっていただいていましたが、ぜひそのようにお願いしたいなと思います。
 ちょっと脱線した話ですけど、よく、和歌山県も人口が減少して大変や、大変や、都市部から人口の流入をお願いしたいと。そんな施策も発表され、あるいは対策を講じられていますけど、その前に今ある県民の皆さん方の命を守ろうやないか。人口移入というか移住してもらう、このこと以上に、3人や5人の話じゃないですから、年間すごい数の方々が胃がんというそういう病で命を落としていますので、この方々の命を助けられたとしたら、それこそ毎年何百人と、ひょっとしたら1000人の単位かもわかりませんけど、人口をふやしていくことになってると私は思います。そうした視点からも、今ある我々県民の命をもっともっと守ってあげてほしいなと。
 今、部長のほうから答弁いただきましたけど、本当に費用安いんですよね。尿とか、ついでにとった血液、それから呼気──口からどのようにするかは知らないですけど、空気を吐いて何かに、袋にでもとめるんでしょうね、これでわかるというんですよ。これでわかる。そんな簡単なことでピロリ菌の有無がわかる。こんなに簡単な検査法があって、それで大勢の人の命が助かることになるんだとしたら、僕、真っ先にこの作業を行政の仕事の優先度の一番上に置いてもらえないかなと思います。命を助けるほど重要で大切なことない、そんなふうに思うんです。
 そういった意味で、一日でも早く、1人でも多く検査をしていただき、胃がんで死亡するというような話を、こんな悲劇を、もうこれっきり聞くことないような、そういう時代を一日も早くつくり出していただきたい、そんなふうに考えます。
 先ほど、佐賀県の話を少し御紹介しましたが、佐賀県では中学3年生全員に、どうやら1万人は足らんらしいですけど、その予算が2570万てなっています。そんなにして県民の命を胃がんから救おうという作業が進んでいると聞いていますので、和歌山県でも数年前からそういう対策もとってるということですけど、私としたら、どのぐらい果たしてそのことで参加をしてるというか、実際ピロリ菌の検査に応じてくれた方々がどのぐらいあったんかな、そんなふうにも思います。やってる、やってるという話よりは、やっぱり結果を知りたい。そんなふうなことを思います。
 そんなお願いを申し上げまして、一般質問を終わらしていただきます。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)
○岩田弘彦君 皆さん、おはようございます。ただいま議長のお許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。今回の質問は、大項目4つ、全問一問一答方式にてよろしくお願いいたします。
 まず、大項目1、企業立地の推進について、(1)企業立地戦略の成果と今後の展望についてであります。
 本県は、重要な施策の1つとして企業立地に取り組んでおります。
 知事は、和歌山県の雇用をふやすんだ、そういう強い信念のもと、全国最高基準の奨励金制度を創設しております。そしてまた、融資制度の充実、交通アクセスの改善、企業ニーズに合った用地確保と人材確保、総合窓口によるスピーディーな対応など、精力的な取り組みを展開しております。
 一方、私の地元橋本市では、平成17年に企業立地専門部署を設けまして、県のお力添えもいただきながら精力的に取り組んでおります。平成20年には企業立地に頑張る市町村20選に選ばれまして、経済産業大臣から感謝状をいただいております。
 しかし、当初は、橋本市はもともと住宅開発を主にやっておりましたので、住宅開発予定用地はたくさんあるんですが、企業誘致に使える用地が少なくて困っておりました。
 そんな折、知事の英断で、UR都市再生機構の塩漬けになっておりました住宅開発用地を企業立地用地に造成のための投資をしていただきまして、用地が確保されました。用地が確保されてからは、特に県の企業立地課の精力的な取り組みと市企業誘致室の取り組みの相乗効果で、ほぼ完売であると聞いております。私の地元橋本市では、かなりの成果があらわれていると実感しており、感謝しております。
 新年度、平成28年度予算におきましても、和歌山県に安定した雇用を生み出すために、さらなる新しい戦略を示されております。企業立地戦略の成果と今後の展望について、仁坂知事にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの岩田弘彦君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 9年前、知事就任時には、雇用をふやしてほしいとの県民の切実な声を聞きまして、何とか雇用のもとである産業を盛んにしなきゃいかんというふうに思いました。
 また、産業構造が30年前、40年前とほとんど変わらないまま推移してるのが和歌山県の特徴でありましたので、これはやっぱり新しい血を導入しないといかん、そのためには企業誘致も大いに進めないといかんというふうに考えました。
 そこで、企業誘致については、御指摘のような制度も──もともとあった制度もありますけれども──充実をさしまして、さらに企業立地促進法に基づきまして紀の川流域と紀中・紀南の2つの基本計画を策定いたしまして、地域の特色を生かした産業を集積するべく、これに関連する企業の誘致に邁進してまいりました。
 ほんの数件でございますけれども、大きな案件もあったんですけれども、高速道路もない、そんな不便なところは嫌だということで、結構うまくいかなかった例もあります。見ておりますと、よそに行ったんですけど、そのよその知事なんかが一生懸命やっとるかといったら全くやってないというような状況も見るにつけ、大変悔しい思いもいたしました。
 しかし、いずれにしても、こういう話は千三つでございまして、たくさん努力をしてないとうまくはまることもないということで、職員と一生懸命、一丸となって突き進んでまいりました。これによって、これまで数えますと、これは職員が行ってくれた例が圧倒的に多いんですが、1万件を超える企業訪問を積み重ねておりまして、約150社の立地が実現しました。その結果、現在ある県内の企業用地がかなり少なくなっとるということでございます。
 京奈和自動車道や紀勢自動車道の整備が進み、企業から見た和歌山県の相対的価値が高まっておると思います。だんだん悔しい思いをしなくても済むようになっとるんじゃないかと、そういうふうに思うわけでございます。この機会を失することなく、今後、ハード面としては、新しい企業の受け皿となる橋本地域におけるあやの台北部用地の整備を進めていかなければいけないというふうに思っております。やるからには諸般の手続、これができるだけ合理的に早く終わるように精力的に進め、早期の完成を目指していきたいと考えております。
 また、既に投資をいたしました紀の川市の用地とか、さらには和歌山市でまだ残っている用地もどんどん売り出していきたいと思っております。
 一方、オフィス関連施設については、今年度、企業の地方拠点強化に関する地域再生計画が国の認定を受け、白浜における成功例、あるいは既に一部成功している田辺なんかも中心に、さらに大きなものにしていきたいと思っております。
 また、外国人観光客の大幅増という千載一遇のチャンスを逃がさないように、ホテル誘致などサービス産業の誘致も、専門部署を設け、積極的に取り組んでいるところでございます。
 職員に対しては、目まぐるしく変化する産業界の変化に取り残されることなく研さんをすること──これは自分も含めてでございますが──また企業ニーズの課題を解決できるスキルを持つこと、こういうことを強く指示し、私自身も先頭に立って今後も緩みなく企業誘致施策を進めていきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 知事、積極的な、これからも頑張るぞという答弁、ありがとうございました。
 1つお願いがあるんですが、やっぱりトップセールスというのは民間企業さんにとってすごく効くんです。やっぱり知事みずから行っていただきますと、どんな企業さんも、知事さんみずから来たんかいとなると思いますので、どうか、忙しいとは思いますが、その辺もよろしくお願いします。
 次に、(2)誘致企業間の交流、地元企業間の交流についてであります。
 県並びに市町村の担当者とともに企業さんとの交流、そして企業間の交流、そして誘致企業さんと地元企業との交流、これ、推進することで、やっぱり企業さんというのは、もう本当に今の厳しい経済事情の中、必死でやっておりますので、生きた情報をいただけるんではないかな、もう1つ、お互いに交流していただくことで新たなビジネスチャンスをつくるようになるんではないかな、そのように考えますので、現状と今後の取り組みについて、商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 地元企業との連携については、誘致企業が県内で事業を円滑に行い、業績を伸ばすためにも重要であると認識しております。
 誘致企業に対しては、地元金融機関との連携、県の産業別担当者制度の活用や企業へのフォローアップ活動を通じて、常日ごろからそのニーズの把握に努めているところであり、原料、部材や施設整備、物流関連、生活関連物資の調達において新たな取引を創出してございます。
 また、このように誘致企業などと積極的かつきめ細やかに接点を持つことで、新たな立地情報など、有益な情報の入手にもつなげているところです。中には、これまで立地した企業同士の協議会を立ち上げ、企業間の連携を行っている自治体もあり、県としても積極的にかかわっていきます。
 引き続き、地域産業の発展が活発に行われるよう、各自治体とも連携しながら活動してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 積極的な答弁、ありがとうございました。
 私も企業経営者の方とお話しすることがあったんですが、特に地元に企業立地で来ていただいた企業さんとお話しすると、去年の秋ぐらいでしたけれども、やっぱり企業さん同士の交流の機会をつくっていただいたらビジネスチャンスも出るし、そして、新たな10年後の情報とかも私たちも持ってるんで県の力になれたらということをお伺いしましたので、より積極的によろしくお願いいたします。
 次に、(3)あやの台北部用地開発のスピードアップについてであります。
 このあやの台北部用地は、私の地元であります。また、知事の御英断で開発が進むことになったとお聞きしております。まずもって感謝申し上げます。ありがとうございます。
 この用地は、和歌山県全体から見ても諸条件を一番満たしており、私は、地の利があると、その上に追い風が吹いている状況やと思います。一日も早い造成が期待されるんですが、造成までの計画を見てみますと、かなり時間を要するようになっているようです。
 その要因を見てみますと、やはり環境アセスメントなど許認可にあるようですが、この用地は、もともと南海電気鉄道株式会社が住宅開発用地としてゾーニングされており、それを長年ほっとかれたという状態になってるんですけども、ゾーニングをするときに、既に環境アセスメントを実施していると思うんです。住宅開発用地であろうが、工業用地であろうが、山林を造成するということについては何ら同じことなんではないかな。
 だから、環境的に言いますと、造成するんですから、よく考えると、ひょっとしたら、これ、二度手間ではないんかなというのをちょっと心配するんです。このことにつきましては環境省との問題になるとは思うんですが、いろんな問題があるとは理解しておりますが、何にせよ、私といたしましては、一日も早い造成が期待されてるところですので、できる限り早くやっていただきたいと思いますので、あやの台北部用地開発のスピードアップについて商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 議員御承知のとおり、事業の採算性等について調査、検討を続けてきましたが、これまでの企業進出の状況や事業の採算性から、南海電気鉄道株式会社、橋本市、県の3者で合意に至り、去る2月29日には、橋本市あやの台に用地を共同開発するため、3者協定を締結したところです。
 今年度から予算計上しております環境影響評価については、南海電気鉄道株式会社が過去に任意で行った環境影響評価の活用による期間短縮など、既に環境省とも協議を進めているところです。各種法令や地元調整など、多くの課題もあることと思いますが、3者で知恵を出しながら最善の方法を見出し、一日でも早く完成を目指してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 そしたら、一日も早く造成に入れますようによろしくお願いします。
 次に、(4)であります。立地企業の和歌山港の活用についてであります。
 私は、橋本商工会議所の1号議員の一員なんです。中本議員も御一緒やと思うんですが、企業経営者の皆さんと話する機会は多いほうと思います。そのときによく聞くのが、大阪南港からのアクセスの話です。南港からトレーラーとか大型車両がスムーズに来れるようにこれがええでとか、南港から1時間ぐらいになったらもっとええでとか、聞く話は大阪南港の話ばっかりなんです。私といたしましては、言葉は悪いですが、寂しいというか腹立つというか。なぜかというたら、和歌山県に和歌山下津港あるやんと。物理的に見ましても、紀淡海峡を通って大阪湾まで入らんでも、和歌山下津港にすっと来たら。
 今、京奈和自動車道ができて、よくお話はさしてもらうんですが、橋本─根来間、もう30分もあれば来るんです。私、毎日じゃないけど通っておりますんで。そんな状態なのに、何で南港ばっかり言うんかなというところが非常に気になりますんで、できることであれば和歌山下津港をやっぱり使っていただくというのが一番いいんではないかと思いますんで、和歌山下津港を使っていただきたい、そういう思いから、立地企業の和歌山港の活用について、商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 港湾の利活用については、これまでも、誘致活動において港湾振興担当職員とも同行して企業訪問を行うなど、PRしてまいりました。PRの結果、その中には、物流について、大阪港の利用から和歌山県への進出を契機に和歌山下津港の活用へとシフトする誘致企業が出てきております。
 和歌山下津港を利活用する可能性のある企業については、今後とも港湾担当部局と連携をとり、和歌山県の強みの1つとして誘致活動を進めるとともに、和歌山の港湾の利活用に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 今回、私は企業立地のことで質問しておりましたので、企業立地の担当のほうからということになったと思うんですが、本来でしたら、本当にいろいろな話を聞きますと、定期便のかげんとか、チャーター便ばっかり企業さんも使えるわけではないんで、そういうところもあると思うんですけれども、ぜひとも、もうこれきっかけに和歌山下津港の港湾を担当しとる部署の皆さんには、やっぱり大阪南港に私は勝てると思いますんで一生懸命取り組んでいただけたらと思いますので、これは要望ということでよろしくお願いします。
 次に、大項目2、基盤となる幼児教育についてであります。
 昔からよく言われることに、「三つ子の魂百まで」があります。幼児期は、生涯にわたる人間形成の基礎を養う上で極めて重要な時期であり、伸び伸びと遊び、規範意識や規則正しい生活習慣を習得していることが小学校での教科学習の大きな基盤となっていると考えております。
 このことから、2点について質問いたします。
 まず、(1)保幼小連携教育についてであります。
 昨年6月に、小中一貫教育における成果について取り上げさせていただきました。同じ教育委員会が所管する小学校と中学校のことでした。しかし、今回は所管が違う保育園、幼稚園、こども園と小学校の連携についてのことです。
 和歌山県では、小学校は、ほとんど全てと言っていいほど公立であります。そして、公立幼稚園児が減少し続けているのが現状ではないでしょうか。このことを考えると、ほとんどが所管の違う公立・市立保育園、そして私立幼稚園、こども園から入学するのが現状であり、今後も続くと考えます。
 大きな課題の1つに、今よく言われている、小学校に入学したばかりの1年生が集団行動がとれない、授業中に座っていられない、話をちゃんと聞かない、いわゆる小1プロブレムであります。この課題解決には、保幼小連携教育の充実が不可欠であると考えます。
 体力、学力ともに常にトップクラスである福井県教育委員会のように、県独自のカリキュラムに基づく保幼小連携教育を県内全域で推進していただきたいという思いがあります。保幼小連携教育について、本県の取り組みと今後について教育長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な役割を担っております。また、小学校以降の生活や学習を支える基礎を育むことから、幼稚園、保育所、認定こども園と小学校が円滑に接続できるよう連携を深めることは、大変重要なことと考えてございます。そのため、幼稚園、保育所、認定こども園では、日常の活動の中で、幼児と児童が遊びを通して交流を図ることや、幼稚園教員や保育士と小学校教員の意見交換や合同研修の機会を設けてきてございます。
 今後も、市町村教育委員会や福祉保健部と協力して保幼小連携の強化に取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 こういう質問をすると、どうしても連携、連携ということで、そういう話になると思うんです。これ、いたし方ないことです。縦割りなのか、組織のあり方なのか、これはこれからしっかり考えていかなあかんと私は思っておりますけど。
 私は、質問は幼児教育ということでございますが、なぜあえてこれをしたかというと、私は教育委員会に旗を振っていただいて、リーダーシップをとっていただいて、やっぱり小学校に来たときには小1プロブレムのような子がいないと、それまでに解決されているという方向性になってほしいという思いから質問しておりますので、それと同じ思いで次の質問に入らしていただきます。
 次に、(2)3歳児から小学校1年生までの共通した幼児教育カリキュラムの策定・実践についてであります。
 昔から「先進地に学べ」ということをよく言われますので、学力、体力、常にトップクラス、それも常に毎年、小学校も中学校もベスト3に入っております福井県教育委員会の教育振興計画、平成27年から平成31年を調査さしていただきました。
 なぜかというと、福井県、どない考えても東京や大阪みたいな都会ではありません。私は、和歌山県とよく似てるんではないかなというふうに思いましたので、調査しますと、福井型18年教育の基盤となる幼児教育の充実における大きな柱の1つとして、幼児期の遊びを通じた学びを小学校の学習に円滑に接続し、探究心や自己調整力、粘り強さなど、学びに向かう力を育成するために3歳児から小学校1年生までの幼児教育カリキュラムを策定し、県内全ての保育園、幼稚園、こども園に共通した幼児教育を実践する、27年度からやりますと、こういうふうに書いてあるわけです。これ、教育委員会が書いてあるわけです。完全に教育委員会がリードをしながら取り組んでいると、私は教育委員会の熱い思いをこの文章から感じました。和歌山県の場合でしたら、こんな具体的に書いてないと思います、教育委員会の資料には。
 ということで、本県の3歳児から小学校1年生までの共通した幼児教育カリキュラムの策定・実践について、教育長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県におきましては、幼稚園、保育所、認定こども園の全ての子供に質の高い教育や保育を総合的に提供するため、和歌山県就学前教育・保育振興アクションプログラムを作成しており、その中で、幼稚園、保育所、認定こども園と小学校との接続についても、幼児教育や保育に関する推進方針、具体的な取り組みのポイントを示してございます。
 その内容を踏まえ、福祉保健部と県教育委員会が連携いたしまして、教員や保育士の力量の向上についての研修を行うとともに、教育委員会義務教育課の指導主事を併任する子ども未来課職員が幼稚園、保育所、認定こども園を訪問して、教育や保育の内容の充実を図っております。
 今後につきましては、幼児期の子供の豊かな学びと育ちが実現していくよう、幼児教育と小学校教育の連続性や一貫性を保つ取り組みを関係者と協議し、深めながら、公立、私立を問わず全ての幼稚園、保育所、認定こども園に対しまして教育委員会から発信してまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 今の、別に批判してるわけではないんですが、今の体制の中ではもう精いっぱいの教育委員会の答弁やったと思います。
 私、何を言いたいかと言いますと、小学校1年生からは教科学習というのに入っていくと思うんです。そのときに、最低でも教科学習を受けれる──さっきも小1プロブレムでありましたけれども、まあ言うたら座っておれないとか集団活動をとれないとか、いろいろありますよね。でも、1番目の質問は、対症療法的なところの質問をさしてもうたつもりなんです。だから、今の現状を連携してどないか緩和していこうと。
 2番目の質問は、もとをどないかしよう。だから、小学校入ってくるまでには、3歳のときはこれはちゃんとする、4歳のときはこれをちゃんとする、5歳のときはこれをちゃんとする、その結果として、小学校に来たときにはちゃんと座って、少なくとも人の話はちゃんと聞けて、そういう子にまず小学校の前にしておく。そのぐらいの思いのプログラムを組んでいかないと、こんな子がおるさかいに小学校1年生で対応するとなってくると、小学校1年生本来の教科学習が1年ほどずれるわけでしょう。その子が授業を受けれるようにするというのにずれるわけですから、それまでにやっていきたい。
 だから、子供の環境っていろいろあります。家庭状況もいろいろあると思うんです。それはそれで基本線を引いて、その取り組みの仕方に特色を持たす。その中で、カバーの、フォローの必要な子についてはきっちりフォローしていく。けれども、小学校に入っていったときには、私立であろうが公立であろうが、こども園であろうが保育園であろうが、小学校1年生に来たときには、少なくともちゃんと座って、ちゃんと先生の話は聞ける。その状態にすれば、もっと私は学力も上がるし──今は平均もいってません、後ろから数えたほうが早いかわからん──そないなると思うんです。
 福井県の例を出さしていただいてお話しさしていただいたんで、和歌山県は和歌山県の方法でやっていただけたら私はええと思うんですが、私は教育者ではないので、今の話は結局、学力を向上さす、そして体力を向上さす、この2つは和歌山県の重点目標、そのための手法の話ですので、手法の違いは僕はあってもいいと思うんです。私、教育者でもありませんし、自分の一生懸命調べた思いをお伝えさせていただいてますので。
 1個だけ約束してほしいのは、私、福井県と和歌山県とそない変われへんと思うんですよ。福井県は常にワンツースリーですやんか。うちはどっちかいうと平均より下で、学力も体力も──済みません、体力はかなり上がっておりますが──そういう状態でありますので、平均以上、ベストテンぐらいに両方上げていただくと、そういうふうに持っていっていただけたら私としたらいいんで、手法の話でございますので、目的は一緒でございますので、上げていくように頑張りますという、そういう決意を教育長に再度お願いしたいんですが、よろしくお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 私は、やはり子供たちの、議員御指摘のいわゆる知徳体全てにわたって、確かな力として育てていくということは大切かなあというふうに思ってございます。やはり子供たちが和歌山の学校で学んでよかったと言えるような、子供たちが自信と誇りを持てること、それが県民の皆様の信頼に応えることになるかなと思って、和歌山らしい教育の実現にこれからも一心に取り組んでまいりたいというふうに思ってございますので、何とぞ御理解と御支援をいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
  〔「だから、平均以上、ベストテンまで
   頑張りますというのを言うていただき
   たいわけです」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) ちゃんと手を挙げて。
 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 頑張っていただいてるし、まあ言うたら指導主事も送っていただいてやっていただいてんのはようわかってるんです。組織上、そういう方法しかとれないというのもわかってるんです。私、わかって質問してるんですけど、それをどないか変えてほしいなということで、結果、今の再質問というのは、もう間違いなく平均以上でベストテン入るぐらいまで頑張りますということで、それで結構でございますので、それやったら私も納得いきますんで、その答弁を求めたんです。もう一度、済みませんけど、よろしくお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) その順位といいますか、やはり日本の中で和歌山の教育というのはしっかりと基盤をつくっていって、しっかり目標を持って、議員御指摘のように全国水準以上のものを目指してしっかり頑張っていきたいというふうに思ってございます。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 思いは熱いんですが、表現が、照れてはるんかなあというふうに理解さしていただいて、頑張っていただけるものということで、次に行かせていただきます。
 次に大項目3、わかやま結婚支援についてであります。
 (1)人気テレビ番組「ナイナイのお見合い大作戦」についてであります。
 この番組につきましては、平成25年2月議会の予算委員会において、私、取り上げさせていただきまして、何で取り上げたかというたら、私の橋本市でも婚活事業をやっとったんです。ところが、やっぱり県境なんで、知り合って大阪へ住まれたり奈良へ住まれたりしたらあんまりええことないん違うかなと、そういう思いがありまして、この企画でいきますと、県外から来て知り合って結婚すると必ず和歌山県に住むと、花嫁さん募集するということなんで、必ず和歌山県に住むというパターンになるんで、この番組に取り上げてもらえるように県内誘致に取り組んだらどうかという問いをさしていただきました。
 そのときの答弁は、「県内実施については、地域の方々や市町村が熱意を持って特色ある出会いイベントに取り組んでいただく必要があります。そのためにも、県としては各地域の結婚支援事業を盛り上げるとともに、広くテレビ番組でも取り上げていただけるよう、関係の方々に強く働きかけてまいります」ということでした。これ、当時の担当部長さんがお答えになっております。
 話に聞きますと、このたび、有田川町がその熱意を持って取り組んだ結果、有田川町で開催されるということをお聞きしましたんで、私はやっぱり県の方向性のもとに頑張った市町村につきましては大いに応援すべきやと思います。頑張った有田川町にどのような応援を考えているのか、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 結婚支援についてお答えします。
 出会いの機会が少なくなり、お世話をしてくれる人も少なくなった中、県では平成25年度から結婚支援に取り組んでいるところですが、今回の有田川町の取り組みは、地域のPR効果も含めて非常に有意義なものと考えております。また、こうした取り組みが広がることで、結婚や婚活についての前向きな意識がさらに広まることになると期待しております。
 県といたしましては、有田川町で収録されるテレビ番組について、県のホームページ「出会いの広場」で紹介するとともに、収録当日にはスタッフとしてマンパワーを提供するなど、有田川町と相談しながら応援していきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 積極的な答弁ありがとうございます。有田川町さんの事情もあると思いますので、有田川町さんと御相談いただいて、応援していただけたらありがたいと思います。決して有田川のほうから立候補する予定はございませんので、誤解のないようによろしく。
 そして、もう1つあるんです。
 実は、この番組、うちの家内が結構好きでよく見てるんです。家内が見るんで私も一緒に見るんですが、家内がぼそっと言うてんのは、この番組見てますと、市町村長さんというのがテレビに出てくるんです。でも、まだ知事さんが誰も出たことがないんです。私としましては、知事が行って、和歌山県はこないして、皆さん来ていただいたら、花嫁さんどんどん来てくださいよとやっていただけたら一番ええとは思うんですが、有田川町さんの事情とか番組の事情もありますんで、この辺は知事の御判断にお任せいたしますので、よろしくお願いしときます。
 次に大項目4番、世界遺産追加登録・参詣道魅力再発見についてであります。
 (1)追加登録に向けた県の取り組みについてであります。
 平成23年12月議会において、伊都振興局管内の市町村において地元橋本市だけが世界遺産がないということもありまして、世界遺産追加登録の推進について取り上げさせていただきました。そのときの答弁では、まず「国史跡指定を受け、その後、世界遺産追加登録を目指してまいります」でした。昨年、国史跡指定を受け、ことしいよいよ追加登録される見込みとお聞きしております。大変喜んでおります。ありがとうございます。
 私は、既に国史跡指定を受けていること自体が、もうそれでもすばらしい、ですので世界遺産追加登録はもうされるんやと、そういうことで大騒ぎをするべきやと考えます。騒げば騒ぐほど和歌山県が活性化する、そのように思います。追加登録に向けた県の取り組みについて、商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の追加登録については、去る1月27日、政府からユネスコ世界遺産センターへ提案書が提出され、順調にいけば、ことし7月に開催される世界遺産委員会において新たな資産が追加登録される見込みであります。
 追加登録されますと、高野山地域では橋本市を通る黒河道を初め、三谷坂や女人道などが加わり、伊都地域の全市町が世界遺産を持つことになります。
 また、熊野地域では、鬪鶏神社を初めとする大辺路や中辺路に多くの資産が加わり、新たに上富田町と串本町が世界遺産を持つことになり、世界遺産をめぐるルートが飛躍的に拡大し、既に登録されている地域との相乗効果により本県世界遺産の価値と魅力が一層高まることになります。
 県では、この追加登録を当該地域のみならず周辺地域への誘客を図る絶好の機会と捉え、ハード・ソフト両面からさまざまな事業を予定しております。
 具体的には、ハード面として、保全と活用の中核施設である県世界遺産センターのリニューアルや来訪者への情報提供を行う誘導板、解説板等を新たに設置するなど、関係市町村と協力して受け入れ体制の整備を行ってまいります。
 また、ソフト面として、各種パンフレットやウエブサイトといった訪問者向けツールの整備はもとより、雑誌やフリーペーパーなどさまざまなメディアを活用しながら積極的に情報発信を行い、誘客に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 積極的な取り組み、どうかよろしくお願いします。
 最後に、(2)高野山周辺地域の世界遺産、観光資源をつなぐ巡回バスについてであります。これにつきましては、議長のお許しをいただきましたので、参考資料のほうを提出さしていただいております。ちょっと資料のほうを見ていただけたらありがたいと思います。
 この資料2のほうは、地図になっております。赤いのが今提案さしていただいておりますバスルートで、緑が南海高野線のルートになっております。
 このルートを2つ合わせますと、この高野山周辺地域の環状線になるんではないかな。そして、ここに載っているのは基本的に世界遺産。そして、国指定を受けております伝統工芸品のへら竿の里──これは、研究池がここにあるんですが、これは知事も全国大会のときに来ていただいておりますので御理解いただけると思うんですが──そして今話題の真田丸の真田庵でございます。その2つだけを載せさせていただいて、あとは全て登録されますと世界遺産ということになりますので、この周辺には高野山地域のまあ言えば世界遺産が固まっている、この道を行くと皆つながるという、そういうイメージを見ていただきたくてつくりました。
 そして、1の資料は、私がこんなこと違うかなと。県の職員さんみたいに上手にはよう書かしていただきませんが、一生懸命書かしてもうたので。市会議員も県議会議員もさしていただいて、いろいろ高野山周辺地域の伊都振興局地域の課題がこの辺あるん違うかなということで。南海電車の「天空」、「こうや」という特急走ってるんですが、そして今回関空バス、これも直通でということで、これはすばらしいことなんです。すばらしいことなんですが、周りの市町につきましては、やっぱりこんだけの資産が通過せざるを得ない状況になっている。その辺が1個課題かな。
 もう1つは、高野参詣道というのは歩く世界遺産なんです。この中に4本の道があるんです。高野七口のうち4つあるんです。1つ歩こうと思ったら、町石道で片道大体5時間、6時間かかるんで、自動車で来たとしても、歩いたら歩いただけ戻っていってそこの場所へ来ないと自動車で帰れないというわけですので、これ、5時間歩いたとしたら往復10時間かかるわけですので、10時間歩いて自分の車に戻っていってという人ほとんどいないだろう。
 その辺がやっぱり神社仏閣とはちょっと違うところで、道を歩いてもうてこそ高野山の1200年を誇る文化も感じていただけるということやと思いますので、その辺が課題かなということで。
 そして、今まで世界遺産が全市町にそろってなかったということで、今回そろうということになるんですが、数多く、ほかにも高野文化のいろんな観光資源はあるんですが、これ一本にまとまって面的に発信しようというのがどうもやりにくいんではないかなという、そういう課題を感じておりました。
 それを一挙に解決するために、世界遺産追加登録を機に世界遺産、観光資源をつなぐ幹線の巡回バスをつくると、南海高野線と一緒になって大環状道路みたいなのがつくれるということで、これ全体見ますと、私はディズニーランドに負けることないと思うんです。ディズニーランドはお金でつくれますが、この地域全部はお金でつくれません。1200年かかりますから無理です。そのよさがここに集中してるということで、この大環状線をつくれたらええな、これは非常にいいなということで。
 何でこのコースにしたんよと言われたらあきませんので、コース設定の基本方針ということで、世界遺産と観光資源、より効率的につなぐとここになるよ、全市町を通るコースをつくるとここになるよと。もう1つは、やっぱり県土整備部が頑張っていただいて──これは知事が頑張っていただいてですが──川筋ネットワーク、X軸ネットワーク、紀の川左岸農道はでき上がっておりますので、このコースが描ける。ということは、そこを通っていただくと県の整備の恩恵を県民の皆さんに感じていただける。私、回ってきましたが、かなりええ道になってました。局部改良もうまくしてくれておりましたので、観光バスは優に通れます。その状態になってるなということで、そういうことでこの路線をつくらしていただきました。
 期待される効果、先ほども言わしていただきましたけども、南海電車とつなぐことで高野山周辺地域の環状線ができる。そして、環状線ができると、どこかに駐車場を整備すると、これちょっと抜けてるんですが、パーク・アンド・ウオーク・アンド・ライドができる。そういうところがあると思います。そして、伊都振興局管内の全市町が連携しますので、みんなぐるみで魅力の発信力、それが強化される。そして、1つのラインでつながることでいろんな企画考えられますので、よく言われる着地型観光、これを発信していけるんで、その拡大に大きく貢献できるんではないか。
 もう1点は、1つのラインでつながりますと、地元の地域の皆さんがすごくええラインができたということで、地元が非常に盛り上がるんです。そうすると、穴場スポットとか四季折々の魅力なんか、新たな魅力が掘り起こされてくる、そのように思います。そして、豊富な観光資源がつながるんで、1日2日では楽しめません。何回も来ないと楽しめない地域になりますので、私はリピーターの誘客につながるんではないかなて、そのように思っております。
 提案さしていただくときには、このぐらいプレゼンせなあかんと思いましたんで、私としたら精いっぱいのプレゼンでございますので、県当局の皆さんからしますと、ちょっと笑うところもあるかわかりませんが、その辺は許していただいて、この提案を聞いていただけたらなあと思います。
 ただ、現在、協議会を県が支援する形で、ここの丹生都比売神社へのアクセスを中心に、期間限定ではありますが、アクセスバスが運行されております。これもすばらしい取り組みですので、その取り組みを生かすとともに、より発展させると、そういうふうな感覚で、世界遺産追加登録を機に南海高野線とともに、高野山周辺地域の環状線を形成する世界遺産、観光資源をつなぐ観光幹線循環バス、それに取り組んではどうでしょうか。商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 来年度は伊都地域において世界遺産が追加登録される見込みであり、橋本市も世界遺産所在自治体となることから、世界遺産を中心として伊都地域1市3町が結束を深め、相互に各資産の周遊や情報発信を行う基盤が整うことで、地域活性化に向けた効果的な施策の展開ができるものと考えております。
 こうした中で、議員御提言の世界遺産、観光資源をつなぐ巡回バスの運行については、観光客の利便性や周遊意欲が格段に高まることにつながり、誘客対策として重要な要素であると認識しております。
 現在、県では、紀北エリアにおける広域的な観光振興策として、金剛峯寺、丹生都比売神社など紀北の主要12社寺、関係市町、JR西日本、南海電鉄などと協議会を構成し、和歌山・紀北キャンペーンを平成24年度から実施しております。当該キャンペーンにおいて、議員御提言のルートに近似するルートで、期間限定で高野山麓世界遺産アクセスバスの運行を実施しており、こうした実績も踏まえ、関係市町等に主体を置きつつ、議員御提言の巡回バスの運行に向け取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 取り組んでまいりますという答弁、ありがとうございました。これで高野山地域が非常に盛り上がると思いますので、どうかよろしくお願いします。
 以上で、私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時29分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)
○中西峰雄君 議長のお許しをいただきましたので、私の一般質問を始めさしていただきます。
 私のまず最初の質問は、「和歌山県民歌」についてであります。
 1番は、県民全体の象徴としてふさわしいかという、いささか妙な題名をつけておりまして、県民歌としてふさわしいから県民歌になってるわけでして、それが今さら何よというふうに思われるかもしれませんが、話をお聞きいただきたいと思います。
 まず、この県民歌でございますけども、昭和54年制作の「和歌山県民歌」のレコードカードによりますと、「和歌山県民歌」は、戦後間もない社会の混乱が落ちつかない中、後世に残るものを何か考えてほしいという篤志家の資金つきの依頼があり、和歌山フィルハーモニック・ソサエティー委員長の竹中重雄さんが企画いたしまして、佐藤春夫氏が作詞部門の選者、山田耕筰氏が作曲部門の選者となり、公募を行い、昭和51年に県の文化功労賞を受賞されました西川好次郎さんの詩が選ばれました。作曲部門にはふさわしい曲がなく、選者であった山田耕筰氏自身が作曲を行い、完成に至ったとございます。
 また、昭和23年4月18日の「毎日新聞」によりますと、作詞者の西川好次郎氏は、「南国紀州を愛する熱情を傾けて作詞した。まことに胸底から沸き上がる平和へ、希望へ、真心に燃えての作です。郷土くまなく歌声の澄み渡れることを望んでやまない」と語ったと伝えております。
 まことに、作詞者の意図どおり、南国紀州の印象が大変強い歌詞となっております。まず、1番は「ほのぼのとかおる浜木綿 陽に映ゆる緑の起伏 和歌山は常春の国」が前半でありますし、2番は「南国の息吹ゆたかに」で始まり、3番は「くろがねの軌道ゆくところ 黒潮のしぶきはめぐる」で始まっております。
 私は、この「浜木綿」、「常春」、「南国」、「黒潮」、4つの言葉で醸し出されます和歌山のイメージが、果たして和歌山県民全体を象徴するものとしてふさわしいかどうか、いささか疑問に感じるところでございます。
 選者の佐藤春夫は、情緒豊かに明朗で、県民性がよくあらわれていると評しておりますが、佐藤春夫氏自身が新宮出身であり、南国紀州を愛する熱情を傾けてつくった詩に違和感はなかっただろうと推察されます。
 県が紀南地方だけで成り立っているのであれば、私はこれは大変すばらしい曲だと思います。しかし、私、県北部、橋本・伊都の住民でありますけども、そういう自分には、常春の国、南国に住んでいるという感覚はどうしても持つことができません。
 よく、京都の冬は寒いと言われますよね。ところが、世界遺産の高野山はもちろんでございますけども、橋本も冬は寒いです。京都にまさるとも劣らんぐらい寒いですね。そういうところに、そういう地域も含めまして常春、南国と言われますと、ちょっと違うんちゃうかいというふうに言いたくなるわけです。もちろん、京都や奈良を南国、常春と言われる方はないと思いますね。橋本・伊都というのはそれに近い気候かと思います。そこを同じ南国で十把一からげにくくってしまうというのは、いささかどうかなというふうに感じているところであります。
 知事にお尋ねいたします。
 この歌詞は、和歌山県民全体を統合する象徴として、あるいはまた郷土愛を育むべき県民歌としてふさわしいとお考えでしょうか。
 また、県は、広く県民運動としてこれを広めていく方針を打ち出されておりますけれども、私もこの曲は山田耕筰氏という偉大な作曲者の曲で大変すばらしい曲だと思いますけれども、ただ、残念ながら歌いやすさ、親しみやすさという点でいうと、ちょっと難があるのかなというふうに感じるわけです。
 これは、私、県民歌をいろいろ調べてる中で、「長野県民歌」というのは、本当かどうか知りませんけど、8割、9割の人が歌うことができるそうです。酒を飲んだ後なんかでも、ちょっとみんなと一緒に歌ったりするというような親しまれ方をしているそうですけども、この曲は名曲だとは思うんですけども、ちょっとそういう点で難があるんかなというふうに感じております。
 ということで、壇上からの質問をとりあえず終わらしていただきたいと思います。よろしく御答弁のほど、お願いいたします。
○副議長(藤山将材君) ただいまの中西峰雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県民歌の多くは、その県を代表する自然や歴史、偉人などを題材として、県民が希望と誇りを持ち、愛唱することができることを基本としてつくられております。
 本県は、本州最南端に位置し、黒潮洗う温暖な気候風土というイメージが広く全国的に受けられているところであります。
 当県には、議員御指摘のように、中山間地域とか都市地域のよいところがたくさんございます。しかし、そういうイメージがあるということを当県をアピールするのにうまく利用することも大事ではないかというふうに思いまして、私はそういう点を評価したいと思っております。
 また、「和歌山県民歌」の歌詞には「緑の起伏」など山をイメージさせるフレーズなどもありまして、私は違和感がないものと個人的には思っております。ただ、私は和歌山市生まれでございまして、紀北にいるんですけども、海も見えますので、ひょっとしたら違う気持ちを持っておられる人もいるのかなあということを改めて感じました。
 歌いやすさ、親しみやすさについても、いろんな意見はあると思いますけども、私の意見として申し上げますと、2回の国体や各種行事で広く歌われ、最近ではカラオケ配信が始まるなど、県民に親しみ深いものになってもらおうという気持ちをだんだん形にあらわしているわけでございます。歌いやすさ、親しみやすさのある格調高い県民歌であると考えてもいいんじゃないかなというふうに私は思っております。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 これは感覚、感じ方の違いですので、これはどうしようもないんですけども、ただ、この県民歌の歌詞について、私の周辺の方々にお示しをし、感想もお聞きしてみましたが、やはりちょっと橋本、特に橋本の住民にとってはいかがかなという御意見が多かったということだけは御承知おきいただきたいなあというふうに思います。
 それで、本当に全体の曲調は大変格調が高くて立派な曲だと思うわけですけども、1、2、3番とも南国紀州の思い、熱情を表現されているというふうにとれるわけですけども、どっか1つだけでも歌詞を改訂していただいて、この紀北地方の中でもそういう高野山も含めて冬は大変寒いところもありますよと、県民全体がやはり県民歌として愛唱のできるような歌詞に変えていただけないかなと。
 それから、新県民歌ですけども、県民歌、今までずっと愛されてきてる中で、これを変えるということは大変なことだと思うんですね。
 ただ、県民歌、私も調べていく中で、変えておられる県もあります。愛媛県は、戦後に変えておられますね。それから、佐賀県も第二県民歌、準県民歌と言ってもいいようなものをこしらえられたりとかされておりますので、できれば一番いいのは、私としてはありがたいのは、歌詞を一部、1、2、3番までございますから、せめて1つだけでも高野山・伊都地域も含めてそうだなと思えるような歌詞に変えていただけないかということと、もう1つ、新県民歌までいかないとしても、準県民歌というようなものを再度つくっていただければありがたいなと思いますので、ひとつ御答弁をお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほども申し上げましたとおり、これは格調が高くて親しみ深いのではないかと思う県民歌でございまして、長くかつ広く歌い継がれることによって一体感が高まり、郷土愛が育まれるわけでございます。
 現在、これをもっとはやらそうというふうに、今、努力してるところでございまして、そういう中で第二県民歌というのはちょっとつらいという感じがいたします。
 ただ、こういうのは、私一人がちょっと好みも含めて申し上げてるわけでございますんで、議会でも大いに議論していただいたらいいと思いますし、私どもも継続的にいろいろ、そうかなあと思いながら部内で少なくとも議論していきたい、そんなふうに思っております。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 そういう答弁になるのは予想する中で質問さしていただいてるんですけども、ただ、これは私だけではなくて、同じように感じられる方が相当数いてるということは御承知おきいただいて、今後お考えいただきたいなというふうに思います。
 次の質問に移らせていただきたいと思います。
 2番目は、県のというか知事のといいますか、新政策、都市空間の再構築戦略についてであります。
 知事は、28年度新政策の5つの基本目標の1つといたしまして、「時代に合った地域をつくる」ことを掲げられておられます。その中で、「都市空間の再構築戦略の推進」を挙げられまして、既成市街地の活性化によるにぎわいあるまちをつくっていこうとされております。
 まず、「時代に合った」ということでございますけども、一体今の時代をどのように捉えておられるのかということをお尋ねいたしたく思います。
 社会経済環境が激変といいますか、変化しておりますし、人々の生活様式、消費行動もさま変わりに変化しております。1つには、日本国全体が人口減少社会にもう突入をしているということがあります。
 先月26日の速報によりますと、2015年の国勢調査速報ですけども、2010年と比べて全国で94万7000人の減少と。都道府県で減少率の大きいものを言いますと、秋田が5.8%、福島5.7%、青森、高知が同列で4.7%、その次に岩手と和歌山が同列で3.8%の減少となっております。つまり、本県は全国で人口減少率の大きな県の6つの中に入ってございます。
 既成市街地の空洞化、都市のスプロール化、商店街の活性化ということが全国的に政治課題とされてから、もう何十年もたちます。新政策は、簡単に言いますと都市の拡散をとめて既成市街地に集約しようということかと思いますが、既に相当拡散が進んでしまっておりますし、人がどんどん減っていく、そういう時代になっております。人口がふえていく時代に周辺部への拡散をとめるのであれば既成市街地への流入ということは自然に想定されるわけですが、全体が減少していく中で既成市街地以外への拡散をとめたとしても、既成市街地も周辺部も、程度の差こそあれ、ともに縮小を余儀なくされるのではないでしょうか。
 現に、我が橋本市では、旧市街地の衰退のみならず、いわゆるニュータウンにも衰退の気配が感じられるようになってきております。それは、果たして周辺部への拡散を防げば何とかなるものなんでしょうか。大きなトレンドを変えるところまではなかなかいかないんじゃないかというふうに感じます。極めて疑問に感じるところでありますし、橋本のような田舎の地方都市はどうすればいいのかということをずっと思い悩んでいるとこでございます。
 もう1つの大きな変化は、移動交通手段の変化です。昔は、鉄道が人々の交通手段、物流手段として主翼を担っておりましたが、今は自動車に取ってかわられております。自動車というものが、一部富裕層のものから庶民の足、日常のコモディティーとなった現在、人々の行動半径は大変大きくなりました。車で気軽にショッピングやレジャーに出かけます。歩いて、あるいは電車に乗って買い物に行ったり遊びに行ったりするよりも、車で出かけるほうが圧倒的に多いというのが現実であります。
 また、悪いことに、たった1キロ、2キロであっても車で移動してしまうというようなこともあります。いいか悪いかは別にしまして、そういう生活様式になってしまっているわけです。
 また、IT、インターネット環境も人々の行動様式、購買行動に大きな影響を与えております。一昨年、eコマースの売り上げが全国百貨店売り上げを上回りました。そういう中、新政策はどういう時代認識のもとに打ち出されたものなのでしょうか、知事に御説明をお願いしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの御質問にお答えをしたいと思うんですが、今までどんなふうに日本のまちが、こう何というか大きくなってきたかということを考えますと、大体、まちというよりも周辺部がどんどんと宅地化されて、あるいは工場その他も建ちまして、それで旧市街地がどんどん拡大して、それで大きなまちになってきたというようなのが今までの日本の戦後の姿ではないかというふうに思います。
 その中で、御指摘がありますように、みんなが自動車で運転をして移動していると。これは決してぜいたく品でも何でもなくて、もはや生活必需品でありますので、そういう点では割と便利な生活をみんなが享受できてきたというところは十分あると思います。
 一方、旧市街地がどうなったかというと、物すごく廃れて、これを何とかしてくれというような話も結構あって、それで何とかしてくれと言ったって、そんなイベントの1つや2つやったってできませんよねというのがありまして、ヨーロッパなどを見てると、やっぱり利用の秩序化をしとかないとそういうことに必ずなりますね。そういうふうに思っているわけでございます。
 しかも、これから実は人口が減ってまいります。減ってまいりますときに、ふえていくのならば、むしろ外側に拡大しても、中も実は需要が結構あって、それである程度、新陳代謝も盛んになってというのはあり得ると思うんです。例えば東京なんかは、人口がどんどん集まってきてますから、別に中心部が空洞化してるわけでも何でもありません。しかし、もしそうでなければ、ある程度の人たちの需要しかないとすれば、それをどんなふうにまちとして考えていくかというのが、すぐれて市町村の仕事でございますけれども、県としてもどうでもいいというわけにはいきませんので、それはちゃんと考えていかなきゃいけない。
 私は、旧市街地の再興のためには再開発しかないだろうと、新陳代謝を盛んにして再開発をして、それでもう住まなくなったところとか廃れてるところをもう1回魅力のある形にしていかないとしようがないんじゃないか、そんなふうに思ってるわけでございます。そのためには、ある程度、もう広がってしまったところはしようがない、そんなのが間違ってるとか言うわけじゃ決してありませんので、ある程度、外延的に拡大しにくくなるようにしといたほうがいいんじゃないかと、私は思ってるわけでございます。
 橋本市ではどうなっとるかというふうに申し上げますと、これまで旧市街地は割と保全されてきました。だけど、そんなに大発展してるわけではございませんので、やっぱり衰退も見られると思います。一方、計画的にニュータウンが整備されてまいりまして、そのニュータウンと旧市街地の間に残された農地は比較的保全されてきたと、これが橋本市や高野口町の姿ではないかと思います。
 したがって、こういうのをどう考えるかということになるわけでございますけれども、私たちが申し上げてるのは、少し農地の開発は抑制ぎみにというふうな制度を提案してるわけですけれども、県議会の御示唆もございまして、全て行き仰せておりませんけれども、橋本市にも参上いたしまして平木市長とそういう議論をしてまいりました。
 橋本市は、実は農業でもこれから次のまちおこしの材料にしていきたいと考えておるので、残された農地はできるだけ保全していきたいという趣旨のことを言っておられて、そういう意味では割合私どもの言ってることに賛同していただいたと考えています。
 ただ、それを具体的にどうやってやっていくか、そういうことについては市長のほうで、あるいは市役所のほうでこれから具体的に考えていかれると思いますので、できるだけ協力をしていきたいと考えております。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 答弁いただきましてありがとうございます。
 ちょっと、これ、次の2番の質問に移らせていただくわけですけども、言葉の受けとめ方かなと思いますけども、「活性化による賑わいあるまち」という言葉なんですけども、これが一体どんなにぎわいを想定されているんかなあというふうに思います。
 といいますのは、もう既に述べましたように、中心市街地の空洞化であるとか活性化、にぎわいの創出ということは、ずうっと、もう何十年も言われ続けてるわけですね。そんな中で、果たしてこの「賑わいあるまち」というものはどういうまちを想定されているのか。人々が暮らしやすいまちにして人が寄ってくるといいますか集まってくるというだけならいいんですけども、皆さん、この「活性化による賑わいあるまち」といいますと、どんなイメージを想起されるでしょうかね。私は、私の頭の中では繁華街の雑踏みたいなもんが頭に浮かんで、どうしても昔の繁栄を夢見ているんじゃないかなあというふうに思えてならないわけです。
 これ、もうずうっと課題で言われ続けてきましたんでね、私の中ではこの言葉のイメージというのは、旧日本陸軍が効果のない作戦を繰り返してきたというのと同じような悪いイメージというかな、抱いてるわけですね。そういう悪いマイナスのイメージがありますんで、この言葉でどんなことをイメージされているんか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 「賑わいのあるまち」とは、人が暮らし、働き、学び、楽しむなど、人が集い、さまざまな活動が活発に行われているまちであると考えております。既成市街地で「賑わいのあるまち」を実現するためには、商業、医療、福祉、教育・文化など都市機能施設を計画的に誘導し、町なか居住を促進する再開発を進めることが重要であると考えております。その上で、にぎわいのあり方などは各市町でさまざまであると考えられることから、それぞれの地域の実情に応じたまちづくりを進めていただく必要があると考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 この新政策を単純化して表現してみますと、間違っていたらごめんなさいですけども、拡散をとめる、拡散をとめて次に実施計画等の中で都市機能をつくっていって、魅力をつくって、そして居住を進めていくと、こういうことになるんかなというふうに思うわけですけども、大変論理としてはきれいですっきりしていると思うんです。
 ところが、まず再開発しかないんじゃないかなと先ほど答弁いただきましたけども、再開発等により魅力のある都市機能をつくるということ自体がそう簡単なことではないんじゃないかなあというふうに思っております。そこに広い公有地があるとか、あるいは閉鎖した工場跡地があるとか、そういう場合もございますけれども、基本的には細分化した私有地でありまして、それに加えて、特に中心のほうは借地借家関係が絡んで権利関係が大変複雑に入り組んでいるということが多いですし、また、そこに住んでおられる方、権利者個人のそれぞれの事情というようなものも絡まりまして、この再開発なり区画整理なりをするに適した土地というのはなかなか見つけにくいというのが現実ではなかろうかというふうに思うわけです。
 第2に、そもそもどうして利便性の高い市中心部でなくて、周辺に散らばってしまったのかということを考えたときに、一番大きな原因というのは、いろいろ原因はあるにしましても、やはり地価が高い、周辺部に比べると高い、周辺部に行ったら安くなるというのはあるんだろうと思います。もう繰り返しになりますけども、全体が縮小いたします。そうしますと、周辺部も中心部も地価が下落する。だけれども、需要と供給の関係で利便性の高い市街地の部分は比較優位が働いて、周辺部と比べたときにまだ地価が高いということがあって変わらないと。周辺に散らばった住宅地が住宅地として使えなくなるならばともかく、多少利便性が劣るにいたしましても、市中心部に住居を構えるよりも、安くつく周辺部に人は住み続け、費用対便益でつり合うと考えるような地価に下落して、初めて人々が移動し始めるというふうに考えるのが自然なように私には思われます。
 そういういろんなことを考慮いたしますと、都市機能を誘導して都市の魅力をつくって居住を誘導するということ、コンパクトシティー、既成市街地の活性化、にぎわいあるまち、車に乗らなくても暮らせるまちというのは大変すばらしいことであるんですけども、言うはやすく行うはかたしで、極めて難易度の高いことであり、かつ、かなり大きな資本を思い切って投入するのでないとしたら、極めて長い時間軸の取り組みを必要とすることになると思うのですが、県当局の考えを再度お尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 賑わいのあるまちの形成は、幾つかの都市機能施設を誘導したとしても、住民の居住の意思決定を伴うため、議員御指摘のとおり簡単に実現するものではなく、長期間を要するものであると認識してございます。
 ただ一方、現在、町なかにマンションの立地が進むなど、一部ではありますが、都心回帰といいますか町なか回帰の傾向も見られますことから、その実現は決して夢ではなく、長期的視点で計画的に取り組んでいくべき政策であると考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 答弁ありがとうございます。
 この質問をさせていただいた意図は、ちょっと誤解をしてしまうおそれがあるんじゃないかなあということで質問させていただきました。やはり、言うはやすく行うはかたしで、かなり難易度は高いですし、それとすすすっと進む話ではなくて、長期的な視点というのは欠かせないんだろうなというふうに思いますので、その点をよくお考えいただいてやっていただきたいなというふうに思います。
 次に、最後になりますが、県と市町村との役割なんですが、「都市計画の見直しに向けた土地利用案を策定し市町に提案」というふうにありますけども、まちづくりは、先ほども答弁をいただいておりますが、あくまでも市町村が主体でございますので、その中で県がどのような役割を果たしていかれるのか、お尋ねいたしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 都市計画法においては、用途地域の指定など、大半の権限を市町村が有しており、基礎自治体として地域の実情に合ったまちづくりを進めていく役割を担っています。一方、県は、県土全体の発展を見据えた広域的あるいは先導的な視点でのまちづくりを展開する立場であり、できるだけ多くの市町で都市計画の適切な運用と主体的な取り組みを働きかけているところでございます。
 県としましては、今回の提案は、あくまでも各市町が計画を見直したり検討を始めるきっかけとしていただけるよう、一例として土地利用案をお示ししているところでございます。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 それでは、次の質問に移らしていただきます。次の質問は、就農者支援策についてです。
 農業振興は、安倍政権の政治公約でもありますし、本県にとりましても大きな課題です。農業者が高齢化と減少を続けていってる中、担い手をどうふやしていくのかというのが大きな課題です。12月議会での奥村議員の一般質問と重なる点もあるわけですけども、新規就農者支援施策の内容とその成果についてお尋ねいたします。特に、本県の施策が他と比べてすぐれているところを教えていただければというふうに思ってございます。よろしくお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 新規就農支援施策の内容とその成果についてでございますが、農業者が減少する中、県内外から広く担い手を確保することは重要なことであり、県では年間200人を目標にさまざまな施策を実施しており、直近5カ年の新規就農者数は年平均154人となってございます。
 まず、農業に関心のある方へ情報を提供するため、県内外で開催される就農相談会へ参加するとともに、県のホームページを通じて就農支援策の発信を行っております。
 また、平成16年度に他県に先駆けて新規就農者の支援に特化して設置した就農支援センター及び学生教育や社会人研修に取り組む農業大学校において、栽培の基礎技術や農業機械の操作方法など、就農希望者のレベルに応じた幅広い研修を実施しております。
 農地を必要とする方には、農地中間管理機構や本県独自にJA単位に設置した農地活用協議会が農地貸借の相談活動を行い、着実にマッチングの成果を積み上げてきております。
 このような取り組みにより、農業大学校及び就農支援センターの修了生の中から、平成16年度以降422人が県内各地に就農しております。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 それでは次に、今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 今現在、新規就農者をふやしていくために何が今大きな課題で、またそれに対する今後の取り組みはどうなのか、どういうことをお考えいただいてるんかということを尋ねたいと思います。
 それと、これ、うまくお伝えできるかどうかわからないんですけども、行政は大体、基本的には就農者支援でも何でもそうですが、これこれこういう支援をしますから和歌山に来て、あるいは和歌山で農業をしませんかと、こういうことかなあというふうに思うわけです。あくまでも就農者が主体なんですね。それはそうだなとも思うわけですけども、そこには県としてこういう農業を展開したいんだと、そのためにこういうことをするんだという、県としての、あるいは行政としてのと言ってもいいかもしれませんが、主体性が薄いように、私、感じられるんですよ。
 県の農業を県みずからが創出していくという主体性の持ったものにしてほしいなあというふうに思っておりまして、各地域で目指すべき農業はどういうものかということを考えて、そのための条件をいろいろ整えて、それに必要な人材、人を求めていくというような方向は考えられないでしょうか。
 言いかえますと、基本的に、支援はするけど頑張るのはあんたやでというのが方向だと思うんですね。そうじゃなくて、あんたやったらこうすれば未来が開けるはずやから、そのための支援はこうするから頑張ってや、あるいは、県を信じて頑張ってくれたら未来が開ける、だから和歌山で農業をしませんかと、そういうような支援策はできないもんでしょうかというようなことですね。ちょっと答えにくいかもしれませんが、御答弁お願いできますか。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 就農者増加のための課題と今後の取り組みについてでございますが、就農希望者にとって、やはり農地の確保が一番大きな課題となってございます。一方、受け入れる産地側は、求める担い手像に関する情報を現在ではまだ効果的に発信できていないということが課題となってございます。
 農地の確保につきましては、農地活用協議会を通じた優良農地の情報収集をこれまで以上に強化することにより就農希望者が円滑に農地を確保できるよう、継続して取り組んでまいります。
 また、産地の効果的な情報の発信につきましては、これまでの就農相談会では、やはり就農希望者の意向を尊重した形で就農地や品目等のアドバイスを行ってきましたが、議員お話しのこともございますので、今後は市町村が作成している営農モデルをもとに各産地が求める担い手像を積極的にアピールしていきたいと考えてございます。
 具体的に申し上げますと、就農を希望する方々は、栽培品目として果樹、野菜、花等、また栽培方法につきましては有機農業や減農薬栽培など、さまざまな営農形態を考えられております。これらの方々に対して、本人の希望もしっかり聞きながらも、議員お話しのように、県が考える振興品目や産地情報、農地情報についてしっかりと説明し、和歌山県でこんな農業をしませんかというメッセージをこれまで以上により強く伝えてまいりたいと考えてございます。
 今後とも、市町村等と連携をより一層強化しながら、県が主体となって和歌山県農業の魅力や支援策を発信し、本県の農業を担ってもらえるような新規就農者の育成確保に努めてまいりたいと考えてございます。
  〔「終わります」と呼ぶ者あり〕
○副議長(藤山将材君) 以上で、中西峰雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時44分散会

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