平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


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  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 皆さん、こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、質疑並びに一般質問を行います。
 アベノミクス3年間の成果として、内閣府が示した資料があります。これは、本年1月に行われました平成28年第1回経済財政諮問会議の席上で確認された資料です。GDP・GNI2015年第3・四半期の名目は、GDPは、500兆7000億で2008年4月─6月期以来の500兆円を超え、GNI、すなわち国民総所得は、国民が受け取った所得の総額ですが、実質では2012年10月─12月期と比べて約21兆円増加しており、リーマンショック前の水準を上回っております。物価動向につきましては、15年以上続いたデフレ状況を転換し、脱却に向け着実に前進をしている状況だとしております。
 雇用・賃金におきましては、総雇用者所得は、すなわち我が国の雇用者全体が受け取る賃金の総額ですが、2012年12月に比べて名目で5%、実質で2%以上増加しております。失業者数については、2012年11月時点と比較して53万人減少、正規雇用者数は2012年7月─9月期と比較して2万人増加していますし、地域経済として非常に大事な有効求人倍率は全都道府県で上昇、女性の活躍では、女性の就業者数は、同じく2012年7月─9月期と比べて102万人増、女性の正規雇用者数は約31万人増などとする報告内容です。大きな成果と言えます。しかも、国民、特に地方にとってその実感が伴っていないと言われる中で、少しずつですが、地方にも景気回復の兆しも見え始めてきております。
 47都道府県の2016年度一般会計当初予算案が出そろい、時事通信社の集計によると、32都道府県が15年度を上回る予算規模となっております。特徴的な傾向として、保育料の軽減や地元に就職する大学生向けの奨学金返還支援など、子供や若者に予算を重点配分する傾向や、それぞれの自治体で人口減少対策により力を入れていることがわかります。
 経済的に恵まれないものの、勉学への意識が強い学生を給付金で支援する取り組みとして、和歌山県の施策も紹介をされております。この施策は県単独事業として評価されたものでしょうが、それ以外にも、企業にも支援をいただき、大学生などの給付型奨学金を利用した和歌山県Uターン人材確保や、待機児童解消を目指す保育人材確保のための保育士修学資金貸付制度の創設など、和歌山県で育った人材が戻ってこれるような施策に重点的な予算をつけたことにことしの特徴があると思われます。地方版総合戦略におよそ4分の1の歳出となりました。
 和歌山県は、20年以上、連続人口流出に歯どめがかからない状況が続いております。先日発表されました国勢調査速報値でも、昭和30年以降実施した調査で初めて100万人を割り込み、昨年10月1日現在で96万3850人、しかも、前回の調査と比べ、人口減少数は3万8348人、減少率は3.8%で、ともに過去最大になりました。
 あらゆる施策を講じ、少子化を食いとめ、若者を呼び戻す流れをつくる大事な時期と考えます。どのように少子化を食いとめ、どのように若者を呼び戻すのか、その施策について、知事のお考えをお示しください。
 2点目に、和歌山県立医科大学薬学部新設についてお聞きします。
 これまでも、議会の中で、薬学部設置の目的や薬剤師養成についての将来見通しなど、構想を説明されております。平成28年度当初予算案に1129万円を計上、調査、設計、建設、申請、そして、2021年度4月開学を予定しております。今年度から、構想段階から準備段階に入ったことになります。
 そこで、何点かお聞きをしたいと思います。
 まず、公立大学法人和歌山県立医科大学理事会の議決は得られているのでしょうか。
 次に、開設までの経費と開設後の経常経費については、どのようにお考えか。
 和歌山市立伏虎中学の跡地を利用となっておりますけども、和歌山市も、新市民会館を建設する計画を発表しております。跡地利用については、市が行ったアンケートの中では、大学の場所としてどうかや土地の広さを心配する声があるように思われます。どのような計画をお考えか、お聞かせください。また、今後の開設までのスケジュールについてお答えをください。
 以上、福祉保健部長にお尋ねします。
 薬剤師養成に関して、今後の薬事行政とのかかわりについてお聞きをしたいと思います。
 平成26年、薬事法が改正され、名称が医薬品医療機器法になり、1年に3回も改正されるほど薬事行政が変わってきております。インターネット販売、また販売規制の見直し、医薬品・医療機器等にかかわる安全対策の強化、健康情報拠点としての薬局の今後のあり方など、まだ大きく変わろうとしております。県内薬局や薬剤師の現状と薬事行政とのかかわりについて、国の動向を踏まえ、どのようにお考えか、福祉保健部長にお尋ねをしたいと思います。
 子育て支援についてお伺いします。
 安心して産み育てる環境づくりが必要です。和歌山県では、昨年10月時点で待機児童が前年に比べ1.7倍にふえております。ますますふえる傾向にもあります。新政策で保育所の整備、保育人材の確保、在宅就労支援などを掲げておりますが、まず、保育人材の把握について、県としてどう取り組んでいるのでしょうか。
 また、従来の紀州3人っこ施策をバージョンアップして、第3子以降の幼児教育・保育の無料化にも一層強力に取り組むこととなっています。この施策は、市町村と協力して進めていかなければなりません。どのように進めていこうとしているのでしょうか。あわせて福祉保健部長にお尋ねをします。
 総合就労支援についてお聞きします。
 平成26年6月議会で京都府の取り組み事例を紹介、京都府が中心となり、京都市や労働局が協力し、企業の人材研修や求職者の就労支援、求職者の生活支援などを含めた総合就労支援をしておられました。その後、当局の方が京都へ視察に行かれたとも伺っております。
 働きたいと希望する皆さんのニーズに応じたきめ細かな総合支援が、これからもっと求められていると思います。若手の人材、これまでのキャリアを生かして再就職を目指す中核人材、熟練人材、留学生、そして、子育て中の女性やひとり親家庭の一人一人の実情に応じて、就業に伴う保育に関する相談や情報提供は、保育と就活が同時に支援できる一体型が必要ですし、ワンストップ型の総合就労支援の拠点づくりについて、改めてお聞きしたいと思います。
 また、安定した雇用を創出するとして、5年間で4000人の雇用の場を確保と目標を掲げておられます。その中で、女性の雇用をどのように考えておられるのか。また、和歌山版政労使会議として開催している和歌山働き方改革会議での共通の認識として女性の雇用の創出がテーマになっているのか、これについてもお伺いをしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県では、これまでも、出会い、結婚から妊娠、出産、子育てまで切れ目のない支援を行ってきた結果、平成17年に1.32であった合計特殊出生率が平成26年には近畿でトップの1.55まで上昇いたしましたが、これをさらに人口が均衡する水準2.07に引き上げる必要があり、少子化対策を新政策の1番目の柱としたところでございます。
 まず、少子化対策については、これまでの施策を総点検して徹底的に議論を行いましたが、親世代や子供、それぞれの立場から、何に新たに取り組むべきかという課題を抽出いたしまして、効果的な施策を平成28年度新政策に盛り込んだ所存でございます。
 親世代への支援といたしましては、出産、子育てに係る経済的負担を、これが問題だということで、軽減するために、高額な不妊治療を受ける夫婦への助成や、3人以上の子供を育てる世帯の保育料等の無料化を大幅に拡充することにいたしました。また、保育所等の整備支援、保育士確保のための修学資金や再就職準備金の貸し付けなどにより、増加傾向にある待機児童を解消し、多子化の流れを後押ししたいと思っております。
 子供への支援といたしましては、子供の健やかな成長を促すため、帰宅しても1人で過ごさざるを得ない子供たちの居場所をつくる民間団体あるいは市町村を支援するなど、社会で子供を育む環境づくりに積極的に取り組んでいく所存であります。さらに、進学意欲や学力が高いにもかかわらず、経済的な理由で大学進学を諦めざるを得ない子供を助ける給付金制度を創設したいと思っております。
 次に、本県に若者を呼び戻すためには、働く場の確保が最重要であり、企業誘致に全力を注ぎ、安定した雇用を確保することが大事だと思います。その上で、和歌山の暮らしやすさの魅力と県内企業情報の発信強化や、本県の製造業やIT産業を支える優秀な人材を確保するための奨学金返還助成を行う所存であります。また、高校生を対象に、県内企業の理解を深める長期就業体験の実施などにより、将来の和歌山を担う若者の県内就職を積極的に促進してまいりたいと思います。
 新政策を中心にさまざまな施策に全力で取り組み、安心して子供を産み育てることができ、若者が希望する仕事につきながらはつらつと暮らせる和歌山にしていきたいと考えております。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 和歌山県立医科大学薬学部新設についてお答えします。
 まず、第1点目の理事会の議決についてですが、公立大学法人和歌山県立医科大学では、平成26年12月の理事会で薬学部設置の前向きな検討を決定して以来、1年以上にわたり、学内説明会、教授会、理事会等で薬学部の設置に関する検討が行われております。
 その後、本年1月に開催された同大学の審議機関である教育研究審議会及び経営審議会の審議を経て、2月に開催された理事会において薬学部の設置が議決されたと報告を受けております。
 次に、2点目の開設までの経費と開設後の経費についてですが、薬学部の新設を検討する上で、初期投資や運営経費については、将来の県財政への影響を勘案し、慎重に検討を行ってきたところです。
 初期投資については、薬学部を設置している他大学の施設面積や建設費を参考として試算したところ、校舎等の建設費で約150億円、設備・備品及び図書等の整備費として約20億円、その他の費用で約6億円と見込んでおります。
 開設後の運営経費については、学生納付金のほか、外部資金等を充当した上で、不足する経費は県から運営費交付金を交付することとなります。
 なお、公立大学の運営に要する経費については学生数に応じて地方交付税措置されることとなっており、他大学の調査結果等から、定員が充足すれば交付税措置額の範囲内の運営交付金で学部の運営は可能と考えております。
 次に、3点目の和歌山市立伏虎中学校の跡地利用についてですが、和歌山市の伏虎中学校跡地活用基本構想において、伏虎中学校跡地の北側部分7000平方メートル程度が薬学部を誘致する敷地として示されていることから、同敷地を活用して、公立大学法人和歌山県立医科大学と協議しながら、薬学部の教育、研究に必要な施設整備を進めてまいります。
 なお、和歌山市が実施した伏虎中学校跡地への薬学部立地に関するアンケート結果では、否定的な意見が36.0%となっているものの、反面、「大変よいと思う」など肯定的な意見も40.6%あり、否定的な意見を超えています。
 伏虎中学校周辺には和歌山城公園もあり、交通利便性も高く、学生就学環境は大変よいと考えています。
 次に、4点目の開学までのスケジュールについてですが、ハード面では、平成28年度に地質調査を実施するとともに、基本設計及び実施設計に着手、平成29年度に和歌山市が既存校舎を撤去し、平成30年度には建物の建設に着手する予定です。
 一方、ソフト面では、薬学部の教員確保を段階的に進め、教育内容の検討など、平成32年3月の設置認可申請に必要な準備を滞りなく行い、平成33年4月開学を目指します。
 続きまして、今後の薬事行政についてお答えします。
 県内の薬剤師数は、平成26年度に実施した調査によると2163人で、人口10万人当たりでは222.8人と全国平均を若干下回っており、また、男女ともに、薬剤師の平均年齢が全国一高い状況となっています。さらに、紀南地方では、人口10万人当たりの薬剤師数が少なく、地域偏在が見られます。
 議員御指摘のとおり、薬局や薬剤師を取り巻く環境は大きく変化してきており、このような中、まちの薬局を、服薬情報の一元的管理や在宅医療等、24時間対応が可能となる患者本位のかかりつけ薬局としていくため、平成27年10月、国において患者のための薬局ビジョンが策定されたところです。その中で、かかりつけ薬局としての機能に加えて、地域住民の健康増進を支える健康サポート薬局の制度が平成28年度から始まることとされており、住民に身近な薬局が地域包括ケアの一翼を担うことが期待されています。
 今後、薬局や薬剤師に求められる業務内容や役割はますます拡大が見込まれ、県といたしましても、かかりつけ薬局の機能強化や薬剤師の人材養成に資する各種施策に取り組んでまいります。
 次に、子育て支援についてお答えします。
 保育士人材の確保は待機児童の解消を図る上で重要度を増しており、県では平成26年度から保育士人材確保事業を開始し、和歌山県社会福祉協議会にコーディネーターを配置の上、在宅保育士の掘り起こしなど、保育士人材確保対策を行っております。
 保育士人材の把握については、約5000人に対してアンケートを実施し、将来、保育所で働きたい意思があると回答した潜在保育士など約400人に対し、求人情報や復職支援研修などの情報提供を継続して行っております。来年度からは、新たにハローワークの求職者情報の閲覧が可能となり、保育所の求人情報を直接求職者に提供することで効果的にマッチングを行うことができるものと期待しております。
 紀州3人っこ施策のバージョンアップにつきましては、多子世帯の経済的負担を軽減するため、従来、保育所の3歳未満児を対象に実施してきた第3子以降の保育料無料化を、親の所得や兄、姉の年齢に関係なく、また保育所や幼稚園にかかわらず、就学前まで大幅に拡充し、安心して3人以上産み育てられる環境を整えることで少子化を食いとめようとするものです。
 市町村に対しては、円滑な施策推進を目指し、施策の内容や県の考え方について説明を重ねてきた結果、ほとんどの市町村で来年度から実施できることとなっております。今後も働きかけを続け、県下全域、どこに住んでいても施策が利用できるよう取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 総合就労支援についてお答えします。
 昨年11月にジョブカフェわかやまとハローワークは、和歌山市本町通りに移転し、移住希望者への暮らしと仕事を総合的に支援する体制を整備しました。それにあわせて、これまで主に若年者に対して行ってきた就労支援を高齢者を含む全ての求職者に拡大し、年齢を問わず、より多くの方に対して支援を行っているところです。さらに、女性専用窓口や子供が遊ぶスペースの設置、保育・子育て情報の提供など、支援内容も充実したところです。
 今後も引き続き、利用者のニーズに合わせて総合的な就労支援を充実してまいります。
 また、女性の雇用につきましては、和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略において、女性の就業率を68.5%から75%に引き上げる目標を掲げ、企業の経営者の意識改革を促す出前講座や就業規則の見直し等に助言・指導する専門家派遣など、働くことを希望する女性が個性と能力を十分発揮して活躍できる職場環境づくりに取り組んでおります。
 なお、和歌山労働局が和歌山版政労使会議として2月に開催した和歌山働き方改革会議におきましても、女性の活躍促進に向けた職場環境づくりや企業への働きかけ方などについて議論を行ったところです。
○副議長(藤山将材君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 それぞれ御答弁いただきました。
 特に薬学部の新設について要望したいと思うんですけども、先日、和歌山市が発表したお城の前の伏虎中学のイメージがいろいろ話題になっておりますけども、今御答弁いただきましたように、校舎などの建設費で約150億円、設備や備品などの整備費で約20億円、その他費用で約6億円、既存の公立薬科大学における学生1人当たりの経常費予算は250万ということですんで、これはわかりませんけども、大体600人で完成年次には15億から20億ぐらいの運営経費がかかるのかなあと、こんなふうに個人的には考えてるんですけども。
 敷地の問題ですね。伏虎中学の跡地は、約1万3000平米あるというふうに和歌山市のほうで発表しております。それで、その中に市の新市民会館の建設をするということで、6000から7000平米が必要とされております。
 薬学部の定員、6年制で600人ということで、これも、文科省が決めた1つの設置基準の中に、1人大体10平米ということですんで、600人とすると6000平米が必要になってくると思うんです。これに薬草園とか附属の研究所用地などということも別途必要になってくると思いますんで、先ほど申し上げましたように、構想段階からいよいよ準備段階に入ってくるに当たり、それぞれ市民のアンケートに基づいた、いろんな懸念材料もあるようでございますんで、しっかりその県民の声にお答えをしていくということが大事じゃないかと思いますので、特に知事にはその件をお願い申し上げたいと思います。
 じゃ、大きな2つ目に入りたいと思います。
 ふるさと納税についてお聞きしたいと思います。
 「ふるさとに対する納税者の貢献とか、かかわりの深い地域への応援を真摯に生かすとともに、地域間の税収格差を是正する仕組みとして、私は有益であると考えております」、これは、平成19年6月議会での私の質問に対する知事の答弁です。ふるさと納税について、制度がスタートする前の知事の御見解です。
 ふるさと納税は、平成20年からスタートしました。当時、導入に積極的だった菅官房長官は、こう語っておられます。「秋田出身の私は、地方分権のためにふるさと意識を高めたいという思いが強かった。高校卒業まで自治体が負担する公費が1人当たり約1600万円、自分の好きな土地に還元するのはおかしくないと、そういう発想で始めたら、官僚は、税の根幹を揺るがすと反対しました。しかし、私は動揺しなかった」と。
 今や、ふるさと納税は大人気です。昨年度上半期実績集計では約228万件、前年同期で約3.7倍、金額では約453億円、前年同期で約3.9倍、始まった平成20年度が5万4000件、約81億3000万円ですから、非常に驚くべき伸び率になっております。なぜかというと、それは2000円で日本全国の絶品の特産品を楽しめるからです。住民税の控除額が2倍になり、もらえる特典もふえ、納税効果も上がります。
 ふるさと納税は、個人住民税の寄附金税制が拡充されたもので、地方自治体に対する寄附金のうち2000円を超える部分について、個人住民税所得割のおおむね2割を上限とする金額が所得税と合わせて控除される。2015年4月よりふるさと納税ワンストップ特例制度が創設され、ふるさと納税がさらに注目を浴びるようになってきました。
 しかし、ふるさと納税はメリットばかりではありません。デメリットもあります。寄附を受けるだけでなく、納税を受け取る立場からすると、市民・県民税を控除されるというデメリットも一方でついて回ります。それゆえに、大都市からは反対や慎重意見が多数出てるようです。
 また、都道府県は、ふるさととしての愛着が持たれにくく、寄附が集まりにくい可能性があるとも言われております。行政サービスを受ける住民が税を負担するという受益者負担の原則を唱える方もいらっしゃいます。自治体の税務が煩雑になる、特に収入にならない分の業務負担があり、根本的な地域活性化や地方間格差を是正するための対策になっていない、税収の少ない地域が受けている地方交付税を合わせると人口当たりでは現状でも都市部の税収と大差がないなどと、反対する側の意見も出てるようです。
 ふるさと納税の活用についてどのように考えていらっしゃるのか、総務部長にお尋ねをします。
○副議長(藤山将材君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) ふるさと納税は、地方と都会の税収格差を少しでも是正し、自分を育んでくれたふるさとへの感謝や恩返しへの気持ちを具体化させるもので、県にとっても、元気なふるさと和歌山実現のために役立てることができる有意義な制度であると考えております。
 県では、この制度を活用するため、ふるさと和歌山応援寄附制度を創設し、これまで、県にゆかりのある方々への直接訪問や県人会などへの働きかけのほか、ふるさと納税専用ホームページを利用した広報などにも積極的に取り組んでいるところでございます。
○副議長(藤山将材君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 お答えいただきました。
 ここ数年、和歌山県は非常に注目を集めてるところでございます。昨年は特に国体もあり、県内、県外からの応援もあったと思われますけども、和歌山県、そして県内市町村のふるさと納税の今年度の見込みについて、また県内の取り組みの特色について、総務部長にお尋ねをしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 県では、ふるさと和歌山を応援したいという寄附者の思いや共感が今まで以上に得られるように、平成27年度から、新たにがん対策の充実など4つの活用予定事業を加えるとともに、これまでの県議会における御提案などを踏まえまして、より県産品を知ってもらえるよう、プレミア和歌山のうち35品目の中から寄附者が選択した2品をお礼の品としてお送りすることといたしました。
 ふるさと和歌山応援寄附金の受け入れ状況は、このような見直しなどの効果もあり、平成28年2月末現在で1442件、2967万円と、昨年同時期と比較して、件数で約7.5倍、金額で約1.4倍の増加となっております。こうした受け入れ状況を踏まえ、平成27年度においては3480万円の収入を見込み、2月補正予算で所要の増額をしたところでございます。
 次に、県内市町村への寄附金の状況につきましては、平成27年度上半期の実績は、約2万4000件、約4億1000万円であり、昨年同時期と比較して、件数で約2倍、金額で約3倍となっております。
 このように件数や金額が増加している背景としては、各市町村がそれぞれの考えのもと、返礼品の充実、収納環境の整備、ホームページなどによる広報の充実などを図り、より多くの寄附をしていただけるよう努力している成果であると考えております。
○副議長(藤山将材君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今お話しいただきましたように、昨年、このふるさと納税のメニューの見直しをされております。その中で、「わかやま国体」開催に向けての準備というメニューをやめて、お話がありましたように、がん対策の充実や奨学金返還支援制度の創設などということで、メニューを変えておられます。
 ここに、昨年6月というふうに私は聞いておりますけども、「ふるさと和歌山応援寄附、ふるさと納税のご案内」ということで新しいパンフレットもできて、全国に発信をされているわけでございますけども、特にこの中で気になるのは3番ですね。
 地元企業への就職を促進する奨学金返還支援制度の創設ということで、新しいメニューに、昨年の6月からこのメニューを加えて、このふるさと納税を新しく見直しをしてやってるわけでございますけども、今御紹介したこの奨学金の制度は非常にいいものだと思いますけども、残念ながら今年度の新政策なんですね。寄附として受け取って、この平成28年度からその寄附を使うという、こういうことはわかりますけども、この新政策そのものは、今、議会にかけられてる最中でございます。要するに、この議会で通るか通らないかという問題もあるやに思います。
 その中で、既にそういう制度を創設したいということで書いてらっしゃるんでしょうけども、私は、いささか勇み足ではないでしょうかと、こういうふうに申し上げるところでございます。もしそれが許されるんであれば、和歌山県立医科大学薬学部新設応援寄附というのも考えていけるんじゃないかなあと、こんなふうに思うわけでございます。
 この寄附金のメニュー作成や見直しについてのルールについてお聞きしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) ふるさと納税の寄附金の活用予定事業につきましては、ふるさと和歌山を応援したいとの思いや共感が得られるような事業を選定するとともに、和歌山の魅力を県外に発信していく絶好の機会でもありますので、和歌山の歴史や自然を生かした事業など、和歌山ならではの事業を選定しております。その選定に当たりましては、他の事業との整合性やその効果などについて、事業担当課を含めた庁内協議を経て決定しており、新年度の寄附の募集を始めるに当たり、適宜、見直しを行っているところでございます。
 また、御指摘いただきました奨学金返還支援制度につきましては、地方公共団体が地元産業界と協力して、将来の地域産業の担い手となる学生の奨学金返還を支援するために要する経費の一部に対し、平成27年度から地方財政措置が講じられることとなりました。このような国の動きや、昨年2月議会において、しっかり取り組むようにと、そういった御提案もいただいたこともあり、本県としても、この制度を速やかに創設したいと検討していたところでございます。
 制度設計に当たりまして地元産業界の求める人材の把握などを行っていたため、支援対象などの具体的な制度案の御提示が今議会となり、御指摘の点も否めないところでございますけれども、大きな方向性としまして、ふるさと和歌山の地域経済を支える人材を県と一緒に支援していただきたいと、そういった思いから活用予定事業の1つとさせていただいたところでございます。
 いただいた寄附金につきましては、基金に積み立て、今後、他の活用事業と同様に、歳出予算として議会にお諮りし、御賛同をいただければ基金から繰り出し、奨学金返還支援として助成していくこととしております。
 今後とも、より多くの方々に和歌山県を応援したいと思ってもらえるよう検討してまいりたいと考えております。
○副議長(藤山将材君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今、総務部長からお答えいただきました。指摘は否めないということでございますけども、しっかり、議会を軽視なさらずに、今年度、決まってから寄附金を集めるということも必要だったんじゃないかなということを御指摘させていただいて、次の質問に移りたいと思います。
 このふるさと納税について、最後の質問なんですけども、母校愛に応える寄附金メニューということで質問させていただきたいと思います。
 教育委員会関係で寄附金のメニューに上がっているのは、今、学校図書館や図書の充実とか、また、和歌山文化財の保護となっています。私が東京で暮らしていたときに、ふるさとといえば、親兄弟もそうですけども、仲間と過ごした母校もふるさとの一部でした。ふるさと納税の寄附金メニューに母校を取り入れていただけないか、お答えをいただきたいと思います。
 数年前まで、PTA会費流用ということが和歌山県内で行われておりました。必要な経費は教育費として見直すとされましたけども、まだまだ潤沢とは申せません。郷土愛の中に母校愛があり、その思いにどのように応えていただけるのか、教育長にお答えいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校に関するふるさと納税についてでございますが、いただいた寄附相当額を特定の学校に配分する仕組みを考えますと、どうしても、寄附がある学校、ない学校、寄附があっても寄附が多い学校、少ない学校といったケースが予想され、結果として学校間で不公平や格差が生じてしまうと考えられます。
 教育委員会といたしましては、全ての県立学校に責任を負うということから予算配分を行っているところでございますので、学校間の格差が生じることは避けなければならないと考えてございます。
 ふるさと納税を活用した制度を創設することは困難でありますけども、卒業生の方々には、これまでと同様、母校を愛し、さまざまな形で応援していただければと思ってございます。
○副議長(藤山将材君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 現在、ふるさと納税の寄附金メニューに母校を設けてる県は、私が調べた感じでは4県あります。平成28年度から開始する県もあるように聞いております。
 平成21年から取り組んでいる神奈川県や平成27年から始めた福井県などにお聞きしましたけども、確かに対象の学校数のうち寄附を受けた学校数は、全体のおよそ半分ぐらいになっているそうでございます。しかし、これが偏在というふうには思っていないと思われます。ある県では、寄附額の半分だけ指定校で受け入れて、あとは全体の高等学校で活用しているそうです。
 また、今年度スタートするところでは、各学校に、寄附金でこんな学校にしたい、こういう備品を買いたい、こんな伝統的なものを保存したいというテーマ性や特色づくりをはっきり打ち出して工夫させて、県のホームページや各学校のチラシ等に載せてアピールしているそうでございます。そして、学校機能向上のため活用するとしております。
 偏在性の話が出ました。確かに公平、公正、均等にという言葉は大事な面ですけども、各学校の努力、そして、そこにかかわる同窓会やOB、また、学校だけでなく、地域を活性化させたいというそれぞれの思いに応えていくのも大切な判断ではないでしょうか。
 昨年7月、和歌山県立高等学校のあり方について、第2期きのくに教育審議会の報告が出ました。その報告によりますと、中学校卒業生徒数は、平成元年の約1万8000人をピークに減少を続けます。平成17年が約1万1000人、それが平成26年には9700人、平成34年には約8000人となり、現在よりも1700人程度減っていくというふうに見込みを立てております。
 地方別の見込みでは、有田地方の減少率が一番高く、平成26年が755人から34年には577人、23.6%の減としております。地方の中では、一番深刻な減少を予測しております。有田地方には3校ありますが、4割が流出し、2割が流入してるという状況だというふうにお聞きしております。
 生徒が魅力を感じる学校づくり、地域おこし、学校の責任だけでなく、地域として、また学校関係者を、全ての人を後押しするような、そんな思いにぜひお応えいただきたい。ふるさと納税を活用し、母校に貢献したいという思いに応えていただけるようなことを期待したいと思いますけども、教育長に、再度、御答弁をいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 寄附相当額につきましては、学校に配分することについて偏りが生じるということにつきまして、少額であったとしても何年か続きますと、やはり不公平な格差が重なってくるのではないかなというふうに思ってございます。
 確かに、お気持ちはありがたく、それから、議員御指摘のように、私どもの課題は、各学校の特色化、あるいは予算の問題も多々あるということは十分承知しておりますけれども、それにつきましては、私どもも、しっかり、もちろんやっていかなければならないというふうに思ってございます。
 ただ、県として、県学校全体を応援していくということについて、私ども、課題と思っておりますことを施策としてこの中に載せさせていただいて、例えば学校図書館のことも含めてお願いをしているところでございますので、まずその辺のところから応援をいただければなあというふうに思ってございます。
○副議長(藤山将材君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 やはり、もう少し僕は努力したほうがええと思います。制度設計ということをしっかりやれば、その偏在性は緩和できますし、解消もできるんじゃないかなと思います。その偏在性にこだわってたら何もできないと、こんなふうに申し上げたいと思います。
 和歌山県のホームページの中に、ふるさと和歌山応援サイトということで、知事みずから出演し、ふるさと納税について訴えていらっしゃいますね。そのバックに流れる映像が、ふるさと和歌山を想像させるものとなってるんです。最初に和歌山城が出て、で、川──多分、紀の川でしょうけども、ミカン畑、そして2人の女子生徒が古い校舎の廊下を歩くシーンがあるんです。で、漁船が出漁して、最後に老夫婦が笑顔で迎えてくれる、こういうシーンで終わってるんです。
 「ふるさとが、ここにある」と字幕が表示され、知事は呼びかけられております。「和歌山の自然は、今でも美しい。皆さんと同じ心を持った、今、和歌山にいる我々は、頑張って生活をしています」と話し、和歌山は、なかなか財政上つらいところもあります、ふるさと納税を使っていろんなものを守るため、寄附をして応援してほしいと。
 母校を愛し、協力したい、それは自然な真心ではありませんか。制度設計さえしっかりやれば、懸念されることは払拭していくと思います。どうぞ、知事、一度検討してみていただけないでしょうか。これは、要望にさせていただきたいと思います。
 続いて、質問に移ります。
 最後に、脳脊髄液減少症、ブラッドパッチ療法が保険適用ということで質問させていただきたいと思います。
 悲願のブラッドパッチ療法の保険適用が承認され、この4月から実施される運びとなりました。あわせて、16年度から小児の脳脊髄液漏出症の研究も開始される予定となります。
 2月18日、NHK「あさイチ」で、「保険適用“ブラパ”で劇的回復」と題して、和歌山市出身の仮認定「特定非営利活動法人脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」・中井宏代表理事が紹介されておりました。御自身も、滑って転倒したことが原因で、激しい頭痛や目まいで3時間ほどしか働けない状況に、どうやって生きていけばよいのかと悩む10年間だったそうでございます。よい医者にめぐり会え、脳脊髄液減少症と診断され、ブラッドパッチ療法で治療してもらうことで劇的に改善。MRIや画像診断だけではわかりにくいため放置されてきたこれまでの患者を救おうと立ち上がったようです。1回で3万円から5万円かかる治療費を、その3分の1に抑えられる保険適用の運動を開始。ことし1月20日、中央社会保険医療協議会で保険適用の承認が決定され、4月からの実施ということになりました。
 ブラッドパッチ療法というのは、交通事故や過激なスポーツによる強い衝撃で脳髄液が漏れ、頭痛や目まい、倦怠感などの症状に見舞われることから、髄液が漏れている脳と脊髄を覆っている硬膜の外側に患者自身の血液を注入し、漏れをとめる治療法です。
 それまでは、低髄液圧症候群からむち打ち症、慢性疲労症候群、鬱病など、さまざまな症状として苦しんでいたものです。誰でもが起こり得る症状で、気がつかないことも多いとされています。目まい、吐き気、だるさ、ひどい物忘れゆえに、怠け者症候群だと思われてきました。
 患者が全国に約30万いるだろうと推定されるのに対し、これを理解し、患者を受け入れてくれる医師、病院がたったの7人だけという現状でございました。そこから、患者自身がメディアや全国ネットによる運動を展開。患者が立ち上がり、積極的に活動し、保険適用実現までこぎつけたすばらしい実例となりました。
 和歌山県議会でも、昨年勇退されました角田秀樹議員が、2004年(平成16年)から一昨年の2014年まで、都合8回、県議会で一般質問として取り上げてこられました。国への意見書として、平成16年9月、平成25年3月、全会一致で可決していただきました。お世話になりました皆様にお礼を申し上げたいと思います。
 この間、その患者の会の代表理事として活躍してきたのが、先ほど御紹介しました和歌山市出身の中井宏代表理事であります。もとは特定非営利活動法人鞭打ち症患者支援協会代表理事として活動していましたが、なかなか無理解の壁を前に打つ手のない状況だったところを、千葉県でいち早く同症の治療推進を求める意見書を全国に先駆けて採択していただき、その後、意見書採択が公明党の推進により全都道府県に広がってまいりました。
 国民、県民に御賛同いただいた署名人数も、2004年12月に全国展開し、10万2051筆、当時の厚労省・西副大臣に提出したのを皮切りに47都道府県で実施し、全国の皆様の御賛同と御協力をいただき、合計135万筆超の署名となりました。この間、地方議会で周知啓発など対策を要請し、各首長らに治療のための施策の推進を求め、啓発を図る勉強会なども各地で活発に開催されてきました。
 2006年には、脳脊髄液減少症患者支援の会子ども支援チームの代表らが文科省に学校現場における対策を求める約2万人の署名と要望書を提出し、全国に対応と学校現場への啓発が進んできたところでございます。
 このような患者さんたちの声が地方から国に届けられ、同症が外傷で発症する可能性やブラッドパッチ療法の有効性が科学的に立証される契機となり、厚労省の研究となりました。2011年には、研究班が画像による診断基準を発表。2012年には、公的医療保険の対象にするか評価する先進医療に承認。これで入院費など保険が適用され、さらに、先進医療で同症を治療する医療機関を対象にした研究班の調査により、ブラッドパッチ療法は9割で有効との報告がなされ、16年1月に先進医療会議が「保険適用が妥当」と結論、厚労省の諮問機関が保険適用承認に至りました。
 かつては医学界であり得ないとされた常識が、患者団体と全国の支援により覆された瞬間となりました。この14年間、先頭に立って闘ってこられた中井宏代表理事に敬意を表します。
 まず最初に、知事にお尋ねをしたいと思います。
 知事にも、この件で大変お世話になったと思います。直接、中井宏代表理事からも陳情を受けていただいたりしてきたわけですけども、保険適用が実現したこのことに対し、どのように受けとめておられるのか、お聞きしたいと思います。
 2点目に、脳脊髄液減少症の医療現場への周知と適正な治療法、ブラッドパッチ療法についての啓発について、正しい病態の把握をお願いするために、和歌山県でも、医師会とも連携し、医師対象の勉強会を県主催で進めるべきであると思います。福祉保健部長にお考えをお尋ねしたいと思います。
 このことは画期的な第一歩と言えますが、まだまだ課題は残っております。先日、脳脊髄液減少症患者支援の会子ども支援チーム代表・鈴木裕子さんと公明党同症対策プロジェクトチーム事務局長・國重徹衆議院議員との対談が「公明新聞」に掲載されました。
 鈴木さんの話によると、中学校に入学したばかりの娘さんが、突然、頭痛や吐き気といった症状に襲われたそうです。幾つもの病院へ行きましたが、ことごとく異常なしの診断。原因不明の状態が5年も続き、「学校に行きたくないだけで、要するに不登校ではないのか」、「親の育て方が悪い」などと言われたそうです。
 吹奏楽部で金管楽器を演奏していたそうで、後でわかったことですが、楽器を強く吹くことで脊髄を囲む膜に穴があき、髄液が漏れ出すということがあるようです。日常生活の中で誰にでも起こり得る病気と言えます。学校現場で該当すると思われる児童がいる場合、現場の先生や養護教諭の理解が大変重要になります。
 学校現場への周知について、教育長にお尋ねをしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 脳脊髄液減少症の治療に有効とされる硬膜外自家血注入療法、いわゆるブラッドパッチ療法がことし4月から保険適用となるということは、患者の方の長年の願いがかなったものと大変喜ばしく思っております。
 御指摘のように、私も、角田元県会議員と御一緒にいらっしゃった中井宏さんなどからお話をお伺いいたしましたけれども、非常にわかりやすいお話で、なるほどというふうにそのときは思いました。そういうことが一刻も早く保険適用など助成を受けられて、簡単に皆さんが治るようになればいいというふうに思いまして、県からの要望もさせていただくようにしたところでございます。
 ただ、何といっても、この点について運動を起こされた、そして、その運動を助けられた先駆者の方々がやっぱり一番偉いというふうに思いますんで、敬意を表するとともに、感謝を申し上げたいと思っております。
 かくなる上は、県としては、脳脊髄液減少症について、医療関係者の皆さんや、あるいは患者の皆さんに情報発信を行って、安心して適切な治療を受けられるように努めていくべきだと思っております。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 医療現場への周知や啓発についてお答えします。
 県では、平成20年からホームページで脳脊髄液減少症に関する情報発信を行っているところです。今般、硬膜外自家血注入療法いわゆるブラッドパッチ療法が保険適用されることから、この機会を捉え、医療関係者に対して、関係団体と連携して研修会を積極的に開催するなど、脳脊髄液減少症とその治療の啓発に努めてまいります。
○副議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 脳脊髄液減少症につきましては、通常の学校生活を送ることに支障が生じても十分な理解が得られない事例があることから、毎年実施する学校保健の担当者を集めた研修会において、養護教諭などに正しい理解が促進されるよう周知を図ってきてございます。
 また、平成24年には、県立学校及び市町村教育委員会に通知を出しまして、同疾患に対する認識を深めるとともに、適切に配慮するよう求めてきてございます。
 今後も、脳脊髄液減少症について教職員の理解を深めるとともに、外傷等の既往歴があり体調不良を訴える児童生徒などについては本疾患を疑うなど、早期発見に努めるよう指導してまいります。
○副議長(藤山将材君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 ありがとうございました。
 これからの取り組みを切にお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきたいと思います。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。

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