平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)


平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第2、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号、議案第33号、議案第35号、議案第40号から議案第62号まで、議案第64号から議案第70号まで、議案第73号から議案第76号まで、議案第78号から議案第82号まで及び議案第84号から議案第172号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 28番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 きょうは3月の3日、ひな祭りの日であります。私の生まれ育ったふるさとでは、ひな流しが行われているかもしれない、今。まだかなというような思いであります。春がそこまで来ているのかなというような思いをさせるきょうこのごろであります。
 議長のお許しをいただきました。トップバッターとして質問に入らせていただきます。
 平成28年度新政策及び当初予算案に関連して質問をいたします。
 昨年を振り返りますと、和歌山県にとっては大変よい年であったと評価できると思います。高野山開創1200年に始まり、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会とあり、世界津波の日の制定や映画「海難1890」、これが封切りをされました。そして、最後の締めくくりは世界農業遺産の認定であります。大きな行事がたくさん続いた活気のある1年であったと思っています。これらの行事には、多くのボランティアの協力をいただきました。県民の大きな力があったればこそ成功できたことを忘れてはならないと思います。
 去年の勢いをことしにつなげていこう、県民と一緒に力を合わせて頑張ろうと新年を迎えたところ、飛び込んできたのが元日の迷惑メール、津波の誤配信メールでありました。
 その問題は後ほど質問するとして、現状を考えたとき、決して楽観できるものではないと考えています。公表されたばかりの国勢調査の速報値では、人口は100万人を切りました。このまま人口減少が続けば、さまざまな面において大きな影響を及ぼすことから、あらゆる分野において対策が必要となります。
 開会冒頭、知事から、新政策として、5つの基本目標を柱としてさまざまな施策を推進していくと説明がありました。私は、5つの目標の施策がうまく組み合わされてこそ効果が出るものと考えています。
 そこで、平成28年度新政策について知事の決意を伺います。
 もう一点は、財政状況であります。
 この財政に関しては、大変気になるところであります。県経済の活性化や地方創生を推進していくために、新年度予算において必要な部署に適切に配分されていると思いますが、一番の問題は、財政の健全性は確保できているのかということであります。知事の考えを伺います。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 平成28年度は、3つの意味で大変重要な年であると考えております。
 1つ目は、紀の国わかやま国体・大会を目標としてさまざまな施策を講じてきた結果、両大会とも大成功をおさめることができましたが、その成果を将来につないでいく必要があると思いますし、この目標、大目標がなくなったときに、次の目標を掲げて、それで県民の方々とともにこれを達成していく必要があると思います。
 2つ目は、超高齢化の進展とか、あるいは経済のグローバル化など社会環境が著しく変化する中で、国の政策も大きな曲がり角というか、たくさんの新しい基軸を打ち出してきてますんで、そういうときに和歌山県がキャッチアップをしたり、あるいはその流れを先取りしたりしていかないと、その変化のスピードに乗りおくれかねないことになると思いますので、これは大変だということでございます。
 3つ目は、昨年6月に全国の中でもいち早く策定いたしました和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略で掲げました目標の達成に向けて、そのいわば第1年度としてスタートダッシュをかける年であるということでございます。
 こういった重要な年でもあります平成28年度において、県政最大の課題であります人口減少対策に一丸となって立ち向かい、誰もが生き生きと暮らせ、元気を持続できる和歌山の創造を目指すべきだと思っております。
 そのためには、より多くの人を産み育むことができる環境を整えるとともに、人の暮らしを支える仕事を確保することで、人の流出を防ぎ、新たな人を呼び込むという好循環と、それを支える安全・安心な社会を構築する必要があると考え、5つの基本目標に沿って新政策をまとめたところでございます。
 具体的には、まず、少子化を食いとめるため、親世代と子供の立場の両面から取り組むべき課題を抽出し、子育てに係る経済的な負担軽減策や社会で子供を育む環境づくりなど、よりさらに踏み込んだ施策を推進したいと思っております。
 次に、安定した雇用を創出するために、従来の産業振興施策に加え、イノベーションや創業の支援、すぐれた経営感覚を持つ事業者の育成など、新たな領域を切り開く取り組みを支援いたしてまいります。
 次に、本県への新しい人の流れを創造するため、徹底的に移住者目線に立った移住・定住施策を推進するとともに、高校生、大学生の県内就職を積極的に支援していきたいと思っております。
 次に、安全・安心な暮らしを実現するため、自然災害による犠牲者ゼロを目指す和歌山県国土強靱化計画に基づく対策を推進するとともに、安心して暮らせる質の高い医療と福祉の充実に取り組んでまいりたいと思います。
 最後に、時代に合った地域をつくるため、地域特有の資源を活用するとともに、人生に潤いや感動を与える文化・芸術に気軽に親しめる機会を創出してまいりたいと思います。また、紀の国わかやま国体・大会によるスポーツへの関心の高まりを次世代につなげる好循環をつくり出したいと考えております。
 先般の国勢調査の結果を目の当たりにし、決意を新たに次の時代の和歌山を創生するステップアップの年となるように、これらの新政策を全力で推進してまいりたいと考えております。
 次に、財政の健全性についてでございます。
 私どもも、いつもそういうことを心配して、それで、放恣にならないようにしていっております。そのために、平成24年3月に策定いたしました新行財政改革推進プラン──これは改定版のほうですが──を着実に実施してまいりました結果、平成28年度当初予算において、財政調整基金及び県債管理基金を取り崩すことなく収支不足額を解消するとともに、同基金残高もプラン想定より119億円改善し、残高219億円を確保したところでございます。
 このように平成28年度当初予算は、新政策の推進を図るとともに、財政の健全性を確保した予算に仕上がったものと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 次の質問に移ります。
 もうすぐ3月11日を迎えます。早いもので5年がたとうとしております。今議会の冒頭、知事からも説明がありました緊急速報メールの誤配信について質問いたします。
 ことしの元日、県内にいた県民を初め、旅行で来られていた方々に大変な御迷惑をおかけしたと思っています。映画を見ていた人は、上映中にもかかわらず携帯電話が鳴り出して驚き、途中まで見ていた会場を後にすることになったとぼやいていました。細かい話ですが、料金は返ってきません。
 私は、新年会等で御挨拶をさせていただくときには、必ず謝ることをしていました。「本当に皆さん、申しわけございませんでした。次にメールが鳴ったときも必ず逃げてください。これも間違いや、そんなふうに絶対に考えないで、必ず逃げてください。よろしくお願いします」と話をしました。
 市町村の消防・防災担当者は、対応に追われたことと察します。本当に御苦労さまでした。これに懲りず、もしものときには必ず対応していただくようによろしくお願いをいたします。
 この件について質問いたします。
 危機管理監、2月12日に再開したと聞いていますが、二度と起こさないために、間違いはどのようにして起こったのか、どう検証したのか、再発防止のための対策は、この2点をお答えください。
○議長(前芝雅嗣君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 1月1日午後2時8分ごろ、津波が発生していないにもかかわらず、和歌山県津波予測システムを通じて県内全域に津波からの避難を呼びかける緊急速報メールを誤って配信いたしました。システムの上では津波を検知し続けていたことから、地震・津波の有無の確認や問い合わせの対応に追われ、午後3時1分ごろ、さらに津波が大きくなっている旨のメールを配信しました。また、誤報であったことをお知らせするメールの配信も初報から1時間以上を要しました。
 議員各位を初め、県民の皆様、県内にお越しの皆様、そして、事業者の皆様や市町村等の防災関係機関の皆様など、多くの方々に、新年早々、大変な御迷惑をおかけいたしましたことに対し、深くおわびを申し上げます。
 今回の誤報の原因究明のため、システム全体の徹底的な検証を行った結果、県において、ことしの理論潮汐データを入力していなかったことが原因であると判明いたしました。
 今回のような誤りを二度と繰り返さないため、データの入力漏れ等、システムに異常があった場合に自動で職員に通知する機能等を追加し、また、管理マニュアル等を見直す中で、運用手順をまとめたマニュアルを作成し、複数の職員によるチェック体制を定めました。その上で、2月12日から運用を再開いたしました。
 津波予測システムの適切な運用管理を行い、信頼回復に努めてまいりますので、今後、津波の発生を知らせる緊急速報等があった場合は、また誤報かと思われることなく、高台等への避難をしていただけるよう、よろしくお願いを申し上げます。
○議長(前芝雅嗣君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 3番目の質問です。民泊ということについてのお尋ねをさせていただきます。
 インターネットを通じて宿泊者を募集する一般住宅や別荘などを活用した宿泊サービスが、外国人旅行者に大変ふえています。この民泊、政府は特区において実施を進めています。私は、宿泊施設というものに対して古くから興味を持っているといいますか、身近に感じています。
 そんな中、外国人旅行者が多くやってきて、都会においては宿泊施設が足りない状況がある。そこで出てきたのが民泊というネットビジネスです。その穴埋めに、空き家を利用したり、マンションの空き室を利用したりして問題になっています。つい先日は、UR、都市整備公団のマンションも民泊に利用しているとの捜査が入りました。
 営利目的で宿泊をさせる場合、旅館業法のように法律があります。これまでの枠におさまらない方法がとられ、宿泊に関することが無秩序に行われています。民宿には民宿の、ホテルにはホテルの法令で定められた基準がありますし、宿泊施設を運営するには、投資産業と言われるほどの投資をして営業しています。
 和歌山県での宿泊施設の稼働率は、最新のデータを見てみますと、47.7%、そういう数字が出ています。昨年よりは数字も随分と上がってきたんですが、これは全国的に見ても決して高い数字ではなく、後ろから数えたほうが早い順位でもあります。
 そのような中において、この旅館業法等をないがしろにして民泊が行われることについて、和歌山県としてどのように考え、今後どう対処していくのかをお答えいただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 民泊についての御質問にお答えをいたします。
 旅館、ホテル等の宿泊施設の衛生水準を確保するため、旅館業法において、その構造設備や衛生措置の基準を定め、厳しく規制を行ってきたところでございます。しかし、近年、外国人旅行者の急増に伴い、宿泊施設が逼迫し、全国的にインターネットを通じて無秩序に民泊が行われている状況にあることから、こうした状況は早急に解消される必要があると考えております。
 現在、厚生労働省では、民泊を旅館業法の簡易宿所として位置づけ、構造設備基準を緩和し、規制の対象内に置くことを検討してございます。本県におきましても、国のこの構造設備基準の改正が行われましたら、それを受けまして、旅館業法施行条例の所要の整備を行いまして、民泊事業者への許可申請の指導及びその管理運営の監督に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 今の答弁で、簡易的に旅館業法を認めていく。私は、旅館業をやってる人たちは、大変な投資をして、旅館業法という縛られた中で営業をやってきた、それが緩和されるとなると、今までの旅館業法は何だったのかという疑問がこれは生じるものだと思っています。
 全国旅館組合の会長さん、京都の北原さんなんですが、この人はこのように言ってます。お客さんをとられるのが嫌だとは言ってないんです。だから、同じ土俵へ来てくれと、来たら我々は歓迎するよと、一緒にやろうやないかという思いを持ってるんやけれども、どうも土俵が違うように思って仕方がないんやということであります。全く、競争関係になっていくことに関しては、異論はないとまで言っています。民泊業者が営業許可を取得し、ルールどおり営業されるよう指導監督をよろしくお願いをいたします。
 4番目の質問に移りたいと思います。
 不幸な猫をなくすプロジェクトのことなんですが、この項目を聞いた誰かが、「人にも不幸な人おるしなあ」、ぽつっと言ったことがぐさっと胸に刺さったのを覚えています。
 和歌山には、今はニタマですね。どちらかというと、今は猫のブームだと言われています。ペットとして、犬よりも家の中で飼える猫のほうが、散歩にも行かなくてよいので、高齢者を中心に多くなってきたという数字も出ています。
 今回、和歌山県において条例改正及び地域猫対策を推進するに当たり、全国的に少ない条例改正であり、マスコミも取り上げるほど注目もされています。ですから、余計によいものでなくてはなりません。和歌山県はよい条例をつくった、いいことをやったなあと言ってもらいましょう。
 そこで、お聞きします。条例改正に至る経緯と目的、そして、内容をお答えください。
 2番目は、今回の件では、地域猫と飼い猫の区別をどうするかという疑問が生じています。手術費用を持つわけですから、きちんと区別をしないと、飼い猫を地域猫だと言って不妊・去勢手術をしていたら、予算がすぐになくなってしまいます。
 以前にも、行政が飼い犬や飼い猫の不妊手術の費用を助成し、実施したことがあります。予算が追いつかなくなったという経緯もあります。同じ間違いをしないためにも、飼い猫と地域猫の区別をどうするのか、大変難しい問題だと思いますが、お答えをいただきたい。
 3番目は、手術した後、その猫が手術した猫か、まだしていない猫か、その区別をどうするのかということであります。
 方法はいろいろあると聞いています。マイクロチップを体内に埋め込む方法や耳先のV字カット、ほかにも方法はあると思いますが、どのような区別をするのですか。
 私は、手術後は必ずマイクロチップを埋め込むことを勧めますし、動物愛護の立場からも、耳先のV字カットは問題が生じるおそれがあるとの否定的な意見もあります。ですから、V字カットのみにこだわらないで、それ以外の方法についても考え、取り入れていただきたい、そのように思います。
 4番目としての質問です。
 今回の条例案については、我が会派にもたくさんの意見が寄せられています。担当部局として県民の意見を集めたと思いますが、動物を扱う獣医師さんの意見は十分に聞けたのでしょうか。
 このような条例の場合、専門家の人たちに十分意見を聞くことが大切と考えます。1人や2人だけで物事を決めるのではなく、その道の人に聞くことが大切と思います。
 例えば、私は野球をやってましたから、野球場をつくるのに、野球選手や関係者の多くの人に意見を聞かずに、建設業者や担当部局の職員だけで話を進めてしまうと、でき上がった野球場には多くの問題点が出る、そんなことが多いのであります。
 特に猫に関する意見については、ペットとして飼ってる人も多いことですし、意見も多様になると思いますが、できる限り多くの意見を集めて、よいものをつくってほしいと考えます。できることなら、さすが和歌山と言わせるような内容のものになることを願っています。
 以上4点、質問いたします。
○議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 不幸な猫をなくすプロジェクトにつきまして、御答弁申し上げます。
 最初に、条例改正に至ります経緯と目的、内容でございますが、県では、飼い猫の不適正な飼養に加え、野良猫への無秩序な給餌等により生活環境に支障が生じる事態がさまざま起こっており、猫の殺処分数も依然として多い状況にございます。
 これらを解決するには、実効性あるルールを設けることが必要と考えました。地域の生活環境を保全し、猫の殺処分数の削減を図ることを目的に、和歌山県動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例を今議会に提案させていただいているところでございます。
 この主な内容は、飼い猫の所有者や野良猫に給餌等を行う者の遵守事項を定めるとともに、地域猫対策の計画を認定する制度を設けるなど、生活環境の保全と動物の愛護との双方のバランスを考慮したものとしてございます。
 2つ目に、飼い猫と地域猫の区別でございますが、飼い猫には名札をつけるなど所有明示措置を義務化するとともに、地域猫については、地域猫対策の実施者が対象とする猫が飼い猫でないことを明確にする、そして、不妊・去勢手術を施すことについて地域の了解を得るような仕組みを考えているところでございます。
 3つ目に、手術を施したことを識別する方法についての見解でございますが、マイクロチップの装着に関しましては、脱落しないという利点がある半面、外見上、見た目には識別ができないなどの難点もございます。一方、耳先V字カットは、環境省のガイドラインにも掲載され、一般的な識別方法として普及しているところでございます。不妊・去勢手術の際に行われるため、苦痛を伴わず、耳の形状から容易に識別できる利点がございます。県では、この方法を基本とすることで、現在、県獣医師会と協議を進めておりますが、あわせて他の有効な方法についても模索してまいりたいと考えてございます。
 最後に、獣医師の御意見をどの程度聞いているかという御質問でございますが、県獣医師会を通じて、開業獣医師の方々から御意見を伺ってきているところでございます。あわせて、愛護団体や県民からいただきました御意見等も十分に反映しながら、今後、地域猫対策を推進してまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 今の質問で少し私の言葉が足りなかった部分があろうかと思います。
 私は、初めて、手術をした猫の耳を切るということをこの問題を通じて知りました。何か考えられないような、麻酔をしてる、手術をするために麻酔をしてるから、その間に耳を切るんだという。何か考えられない、人間の社会ではあり得ないことが動物の世界であるんだなあということを認識しました。それが1つの大きな方法になっているということにも驚愕をいたしました。十分な配慮をお願いしたいと思います。
 最後の質問です。前議会でも質問に出ましたし、我が会派からは同じ質問を3名の方々がされています。同じ内容の質問を同じ会派から3度にわたり質問をする、私で4人目です。
 実効支配、こんな言葉がマスコミに出るようになったのはいつごろでしょうか。世界から見て他国の領域だと思える場所に、自分の国だと言って海域を埋め立て、滑走路をつくり、軍隊を送り込む。人の言うことには耳もかさず、自分の意見が正しいと言い張る。自分に権限があるがごとく。ありとあらゆる手段を使い、自分のものにしてしまう。自分の意見に無理やり従わす。相手は決してすばらしいと思っているものではなく、嫌々でも聞いておかねば、助けてもらうこともあるから言いたいことも言えないなあと思っている。
 一党支配で権力を持った者だけが金を持ち、部下たちを顎で使い、刃向かう者には武力や権力を振りかざし、言うことを聞けと相手をおどしてまでも自分の主張を言い張る。自分の主張が相手にとっておどしととられようとも、時には、言うことを聞かないと、武力とまではいかないまでも実力行使に出たりする。
 また、人を誘拐しておいて、そんなのは知らない、もう話し合いはしない、おまえたちが勝手なことを言っているんだと開き直る。時には相手の話を聞くと言い、話し合うと言って自分の言い分だけを理解させようとするばかりで、相手の意見を真摯な気持ちで聞くことをせず、上下関係で相手に話をする。時には必要なことだと思うのだが、相手の立場に立ち、心を砕き、膝を折り、胸を開いて平等の立場で議論することも必要である。
 日本という国は、世界に類を見ないほど国民の頑張りで成長をしてきました。そこには、お互い助け合い、物を分け合い、お互いに汗をかき、力を合わせて、自分のことばかりを考えず、利他の心で発展をし、成長してきたと私は思っています。
 先日の日曜日の大河「真田丸」の中で、こんなせりふがありました。「人は理屈で固められると心を閉ざす」、このせりふを聞いて、ああ、そのとおりだなあと感じました。私も理屈っぽい人間ですから、気をつけなければなあと心に銘じた次第です。
 ここで、先日、私どもの会派と町村長さんたちと意見を交換する場を持ちました。そのときの意見を報告いたします。
 農産物価格の低迷と鳥獣被害による耕作意欲の低下と、高齢化と後継者不足により耕作放棄地がふえている。
 農地転用厳格化は、農地を確保できるが、農業者を確保できないため耕作放棄地がふえる。
 津波被害等に備えるため高台への移転が必要だが、その多くが農地である。
 農地転用については、町村長並びに町村の判断に任せてほしい。
 隣の土地が農地転用しているのに、あなたの土地は転用ができませんでは説明がつかない。
 県全体に言えるが、あと10年したら今の農家がどれくらい減っているか。恐らく半分であろう。それぐらい農業は厳しい。
 農地を守るのであれば、その前に農家を守る政策が必要である。一緒に農家を守る政策を出してほしい。
 1人の意見が突然だめだということによって、和歌山県全部が変わってしまう。
 農地転用の権限は町村長であり、農地転用を許可しないのは知事の権限ではない。
 県と町村が信頼関係を持っていれば、こんなことにはならない。
 県内の市町村長の意見を全く聞かないで、突然決めてきた。
 本当に民主主義かと支持者は思っている。
 町村のことは町村に任せてほしい。
 高齢になり後継者もない、相続人は大阪や東京に住んでいる。その農地を放棄していると荒れるので、近隣の人にお願いしているのが実情だ。
 上富田、日高、岩出は人口がふえている。農地転用で宅地がふえ、人口がふえた。
 町の施策で人口をふやそうとしたのではなく、地籍調査と下水道事業を完了したためである。
 転用のための立ち会いが不要なので、宅地化が安く進んでいる。
 地方のことは地方で、地元のことは地元に任せてほしい。
 あすの生活をどうするか。家を建てる場所がない。考えてほしい。
 荒れ地になっているから、そこを宅地にしたい。その考えばかりではないことを認識してほしい。
 津波が来る、高台へ行きたい。10ヘクタールのところはだめ?
 50年後の和歌山を守るため実施する。1、資産価値が低下の一途、2、市町村の財政が危機、3、公共交通の利用者が減り、経営が困難、4、車の運転ができない高齢者が大変の4項目ではだめ。それでも住んでいる。
 町にスーパーがない。銀行もない。でも、生活はやっている。車社会で郊外型のスーパーがはやる。
 ぶらくり丁の話は、農地の問題ではない。商店街の人たちの問題である。勘違いをしないように。
 農地の転用については、町村長が全てわかっている。乱開発があるならとめてくれと言う。そういうところを聞いてほしい。
 土地政策は、町の経済の大きなウエートを占める。残った区域も補助事業をいただいて維持管理が必要。
 そのまちを一番知っているのが町村長である。まちの事情を把握し、どう判断するかは町村長に任せてほしい。
 つらいのは土地政策で農振地域を除外するかどうかで、知事が権限を持っているので我々が苦労していることを理解してほしい。
 農地転用の厳格化をしているが、我が町の困っている鳥獣害の補助制度には対応してくれない。
 補助をしてくれるなら厳格化も理解できるが、現時点では、市町村の実情に目が届いていない。
 県下一律に規制することは納得できない。
 定住施策を20年前から行い、その中には、空き家はだめで、土地を買って定住した人もいる。
 規制を厳しくすると、他方のよいほうに逃げてしまい、不公平であるから、一律に厳しくして、その後、原則として町の計画によって緩和していくというが、どう解釈すればよいのかわからない。
 2月にUターンで帰ってくる予定で、農地転用して親元のそばに家を建てる予定であったが、とまっている。今までよかったのに。
 地域のこと、地域の思いを酌んでほしい。
 県議会の皆さんが結束し、町村長のできないことをカバーしてほしい。
 内容のある地域の実情を話できたこと、有意義であった。
 県議会には、今後とも御支援をお願いしたい。
 多くの町村長さんに御参加をいただき、大変貴重な意見を聞かせていただきました。町村長さんは、遠慮しながら、県にはお願いせんならんこともあるしなあという思いの中、このように多くの意見をいただけたことは、この問題で大変困っているのが実情と思います。
 今回、このような会合を持てたことは、私たちにとっても大変有意義であり、今後の県政に生かしていかねばならないと決意を新たにしたところであります。
 しかしながら、私たちの手の届かないところで物事が進んでいくのは、大きな恐怖を心に持つことにつながっていきます。何でも知りたい、何でも意見を言いたいと言ってるのではありません。大事なときには、権限のない人にも意見の言える、意見を聞いてもらえる、そのような地域、町、行政に県民挙げて頑張っていこうではありませんか。
 長々と多弁を弄しました。お聞き苦しい点も多々あったかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。最後まで私の質問を御清聴いただき、心より感謝申し上げます。
 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず第一に、新島議員におかれましては、言いにくいことと言われながら、たくさんの意見を聞いていただいて、それでまた御披露していただいて、私も──ほとんどわかってることなんですけれども──改めてこれは大変なことだということをわかるわけでございまして、そういう意味では、私のほうこそ感謝を申し上げなきゃいけない、そういうふうに思っております。
 それから、冒頭、よくない例が一般論として挙げられましたけれども、私も同感でございまして、これは心してやらなきゃいかんと、そういうふうに思っております。
 私は、これまで県政を進めるに当たりましては、県議会の皆様はもとより、市町村長さんと一緒になって行ってまいらなきゃいかんというふうに思っておりまして、就任以来、その点で昔よりも大分制度的な改善をしたと自負しております。ずっと前からそれぞれのお立場にあられた方は、ひょっとしたらうるさいなと思っておられるかもしれませんが、そういうのがふえたなあということはわかっていただけると思います。これからも、このような基本姿勢で地域のさまざまな課題に対処していく必要があると考えております。
 このようなことから、例えば新政策の策定に当たっては、県民の皆さんの御意見をお聞きすることに加えて、市町村長さんと特に懇談をする場を設けまして、激しい意見交換になることもあるんですが、御意見を聞いたりして、そこで随分、実は原案の修正とか見直しもやってるわけでございます。
 今回の御指摘の要因となりました「守ります、まちと優良農地。」の政策につきましては、12月議会において、県議会への事前の説明が十分でないという御指摘を受けまして、それはそのとおりだと思いまして陳謝申し上げたところでありますが、また、市町村長さんの意見も十分にお聞きしながら進めていくようにという提言をいただきましたんで、そのとおりだと思いまして、その実行をしておるところでございます。
 こうしたことを受けまして、私みずから市町を──全部ではまだありませんが──訪問いたしまして、市長さんとか、あるいは町長さんと文字どおり膝を交えて、都市計画の適切な運用とか優良農地の保全策について話し合いをしているところでございます。
 その中で、特に和歌山が陥ってきた困難、私どもが思っておる困難と、それから、その原因を説明いたしまして、それを食いとめるために今回のようなことを工夫したんですというようなことを御説明して、それで、その中で県に残ってると言ったらおかしいんですけども、県にございます権限として農地の転用を、法律が本来予定してたところを勘案して、従来より厳しい考え方で臨むけれども、もちろんこれは全部農地転用がだめと思われてる節もあるんですが、それは間違いで、その法律違反などはできませんからというようなことも御説明をし、一方、もともとだめであった、もともとの割合緩やかな運用でもだめであったものは、今回はやっぱりだめだし、今回の措置でそうなったわけではないんですと。
 しかし、こういうふうに厳しくするといっても、まちの運用を考えられるのは市町村でございますので、今後のまちのあり方を考えてゾーニングを行うと、実は農地転用も容易にできるということなんですが、また、こういう規制を伴う政策は不公平になってはいかんので、一応県としては1つの考え方を申し上げてるんだけども、まちの特別な事情は実現できないというわけではありませんよというようなことを御説明してきたつもりでございます。
 ただ、これについて、「はい、わかりました。そのとおりです」というふうに言われてるところも少しありますけれども、そうでないところもあって、いろんなことがわかりました。
 そういうお話をしておりますと、我々がわかってなかったことで、なるほどなあと思うようなこともございますし、あれれ、そんな反応しなくてもいいのになあと思うようなこともありました。
 新島県議がたくさん挙げられた、これは全部真実だと思います。そういう御意見があることは私どもも大体わかっておりますが、今回の措置につながって、多くのつらいことがたくさん出てきております。それからまた、利益が侵害されたと感じる人があることも御指摘のとおりでございまして、我々はそういう声に耳を塞いだり無視したりしていいわけではございません。
 しかし、一方、これをしなかった結果、起こるであろう別のもっと広範な不都合を抱えるであろう多くの人々のこともまた考えておかなきゃいけない。理論的にそうなるとわかっていて、目をつぶるとか耳を塞ぐとかいうのは良心の問題としてなかなかできないなと、私はそう思ってるわけですが、新島議員御指摘の市町村の御意見につきましては、これまで以上に真摯に受けとめて、今後もよく話し合いながら、市町村の立場をよく聞いて進めていきたいと思っております。
 全ての人がということになると思いますが、悩みながら県民のために力を合わせて県政を推進してまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。

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