平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(浅井修一郎議員の質疑及び一般質問)


平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(浅井修一郎議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○浅井修一郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず、質問に入る前に、先般「おもてなしの心で県民総参加」を合い言葉に開催されました紀の国わかやま国体・わかやま大会が、目標でありました男女総合優勝、天皇杯を獲得するなど、盛会裏のうちに閉会されました。これもひとえに、知事を先頭に国体推進監、推進局を初め、全職員、そして、競技開催市町村の皆さん、大会運営に御協力くださいました多くのボランティアの方々に、議員の1人として心から感謝を申し上げます。
 そして、何よりも、これらの大会を1つの目標として日々頑張ってこられた選手の皆様方に心から敬意を表しますとともに、今後より一層の御活躍を心から御期待を申し上げたいと思います。本当に御苦労さまでございました。
 さて、本日の一般質問でありますが、河川や道路の問題、また防災・減災対策や医療、福祉、教育の問題等々、たくさん質問させていただきたいところでありますけれども、私の今の心境は、それどころではありません。したがって、今回は、元気な和歌山の実現に向けて、「守ります、まちと優良農地。」についての1本に絞り、質問をさせていただきたいと思います。
 それでは、当局のお顔が見える対面式のほうへ移動させていただきたいと思います。
 まず、本題に入る前に、知事の議員、議会に対するスタンスについてお尋ねいたします。
 仁坂知事は、前知事の官製談合事件で県政が大混乱の中、経産省の官僚をやめられ、知事選に立候補されました。当時、私は、「和歌山県人とはいえ、また官僚か」と思いながらも、二階代議士の「よろしく」の一言で応援をさせていただきました。
 当選後の仁坂知事は、入札制度改革を初めあらゆる問題、課題に向かって積極果敢に取り組まれ、数々の政策を迅速かつ的確に進めてこられたと思っています。そうした知事の判断力、そして決断力と行動力に、心から敬意を表する次第であります。
 そのきわめつけは、平成23年9月の台風12号による紀伊半島大水害に対する対応の速さで、驚くほど感心をいたしました。被災された県民をしっかり守っていくといった心のあらわれではないでしょうか。知事は、職員に対して暴言を吐くとか、厳しいとか、きついとか時々耳にしますが、決して暴君ではないと思います。なぜなら、私自身も口は悪いですが、決して冷淡な人間ではありません。私が心から尊敬している知事であり、今後も微力ながら応援団員の1人でありたいと思っているところであります。
 昨年暮れの知事選では、地元有田市がミカンの収穫、出荷で猛烈に忙しい時期での選挙戦でありましたが、寒風吹きすさぶ中、一生懸命、仁坂知事の支援を訴えてまいりました。その訴えに対し、多くのミカン農家の皆さん方も「仁坂知事、頑張れ」と棄権することもなく、忙しい合間を縫って投票されました。知事、どうかそのことも忘れないでほしいと思います。
 そこで、今回改めて知事のスタンスを尋ねる理由について申し上げます。
 まず、8月11日の13時から「守ります、まちと優良農地。」という内容で記者発表がありました。この日は、国体の関係から9月定例会の日程を早めるため、午前中、議会運営委員会が開かれています。そして、1週間後の盆明けの8月18日に9月定例会が開かれました。その翌日には、有田市へ県職員10数名が徒党を組むかのごとく押し寄せ、説明に行ったそうであります。その中で、議事録に残りますので言えませんけれども、農家の皆さんが聞けば激怒するような発言もあったそうであります。
 当局がそのような大がかりな説明を必要とするほど重要な内容であるならば、地元に説明する前に、まずその代表であるそれぞれの議員に説明があってしかるべきではないでしょうか。当局は、議会運営委員会、定例会と説明する機会があったにもかかわらず、何の説明もないため、自民党県議団新島会長に依頼し、当局を呼んでの勉強会が10月23日にやっと開かれ、説明を受けたところであります。
 今、この手元に8月11日、「守ります、まちと優良農地。」についての記者発表がありますけれども、その記者発表後の質疑応答において、読売新聞の記者の「これは、今始まったのか。もう既に始まっているのか」との質問に、知事は「もう既に始まっていますね。各首長さんとお会いするごとに『これは大事ですから、県も本気になってやりますからね』と言っていきます」と答えられています。
 知事は、大事だ、本気になってというような重要な施策にもかかわらず、我々議員に何の説明もなく、議会との話し合いもない。これは、条例でもなく運用の問題なので一々説明したり相談する必要もないということでしょうか。あるいは、盆前の多忙な時期に記者発表し、定例会、国体、わかやま大会といった大イベントが続くそのどたばたの中で、地元選出議員に何の説明もなく各市町村に説明して回り、議員から何か言ってくれば説明すればよい、そういったようにも思いますが、私の考え過ぎでしょうか。
 知事は、初当選された平成19年1月臨時議会の冒頭、当時の向井議長を背に、「県民から選ばれた県議会議員の皆様は、それぞれの有権者の願いを受けておられることから、十分に意思の疎通を図り、車の両輪として、ともに県政を進めてまいりたいと考えております」と発言されております。その後、2期目当選時、平成22年12月定例会、谷議長、同3期目、昨年12月定例会、坂本議長の前で、やはり「県当局と県議会が車の両輪となって」云々と述べられております。
 今回のことを見ていると、本当にそう思っておられるのか疑いたくなってしまいます。私から言わせれば、車の両輪というよりか、子供が自転車に乗れるまでの後輪の両サイドにつける補助輪といった感じで、うまく乗れるようになると必要もなく、かえって煩わしい、そういった子供用自転車の補助輪程度ぐらいしか思っていただいていないのではないかと思ってしまいます。何とも残念で寂しい限りであります。
 改めて、我々議員に対するスタンスをお聞かせください。
○副議長(藤山将材君) ただいまの浅井修一郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、県当局と県議会は車の両輪として協力して、ともに県政を推進していくものと考えております。これは決して口先だけではございませんで、本当にそう思っております。就任してから、新政策、予算、基本的な計画の策定に当たっては、県議会の皆さんや市町村長懇談会等において事前に説明をさしていただいたり、意見を十分に聞いてきたつもりでございます。
 就任したとき、今から考えますと、県のそれまでの流儀をたっぷり経験いたしました。これは、県議会の皆さんにお知らせするのは大体発表の直前、それも県議会でオーケーを出していただかないといけない案件だけというような感じでございました。これはいかんということで、例えば、そのときに部下が言ったことは、新聞などに漏れてはいけませんのでというような話がありましたが、そんなものは別に構わんということで変えてきた──これもつもりでございます。ただ、多少は実感をしていただいているんではないかというふうに思います。
 最近でも、例えば、これは県議の方々からもお寄せいただいた意見をもとにということなんですが、公共調達の方法を業者さんのために少し変更しようとしています。その中には、年度末に工事が集中してぐあい悪いというようなことを解消する方法も入っております。
 しかし、発表しようと予定していた日に、実はその前に「ちゃんと県議の先生に言うときなさいよ」と言ったら、それが間に合わないということになったもんですから、ちょっと発表を控えてるというような事態もあります──ということでございます。
 今回の施策は、本年2月に公表いたしました平成27年度の新政策においてその基本方針を明らかにさしていただいて、それで県議会に対しても御議論をいただいた、その流れの政策なんですけれども、具体策の検討をその後ずうっと行いまして、取りまとめができたので、「事前に県議会筋に説明しておけよ」と、それから「市町村長さんも同じだよ」というふうに言って、私も忙しかったものですから、それができてると、はっきり言うと、思っておりました。
 しかし、後から聞くと、これは直前かつ一部の方だけというのが議会に対する説明であったということで、これは事前の議会に対する説明が不十分であるという議員の御指摘は、まことにそのとおりであります。心から陳謝をいたしたいというふうに思っております。
 その上で、今後は重要政策の推進に当たりましては、従来以上に丁寧な説明を心がけてまいりたいと思っております。
○副議長(藤山将材君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 少しちょっと行き違いがあったかもしれませんけれども、これからも相談し合いながらというあれを聞きましたので、1つの安心はしましたけれども。
 当局からうちの事務所に電話が入りまして、どうしても説明したいことがあると言って、わざわざ県庁から有田まで押しかけくることもたびたびありますけれども、内容を聞きますと、何もこんなん有田まで来て説明するほどのこともないやないかということがたくさんあります。書類に関しても、毎日のように県議会の事務局のほうから封筒で送られてきますけれども、ほとんど見てもさほど影響はないような書類ばかり、たくさんあります。私は、もったいないから裏紙としてコピー用紙として再利用をさしていただいておりますけれども、その面ではありがたいなというふうに思っているところであります。
 それでは、本題に入りたいと思いますが、一般質問の冒頭、自民党県議団を代表して、岸本議員からこの点についてあらゆる観点から質問されております。全くそのとおりであるというふうに思います。
 そこで、同じような質問をしても同じ答弁しか返ってこないと思いますので、私は地元有田市に視点を置いて質問をさせていただきます。
 まず、有田市におけるかんきつ栽培のこれまでの概要について、少し述べさせていただきたいというように思います。
 有田市では、農業産出額の約8割を温州ミカンが占めておりますので、ミカン農家に元気がないと、市内の飲食店初め各商店などの売り上げも落ち込み、まち全体の活気がなくなってしまいます。
 これまでのミカン生産を振り返りますと、全国的には、統計が残る昭和25年以降、生産量は徐々に増加し、昭和50年に約360万トンとピークを迎えます。その間、我が国の経済がかつてない高度成長期を迎え、果樹の需要が急増したことや稲作転換対策事業など、国の施策で米の生産調整が行われたことから、水田転換園、いわゆる地畑でのミカン栽培が進みました。
 しかし、昭和47年になり、生産が需要を大きく上回る状況に転じたことから価格が暴落し、以降、価格低迷が続きました。このため、昭和50年代にはミカンから他の品目への転換を促進する種々の事業が実施され、その後も昭和60年の需給調整の強化や園地再編対策、ウルグアイ・ラウンド関連施策などによりミカンの生産量は減少し続け、平成26年の全国生産量は87万トンと、ピーク時の3割未満となりました。
 一方、本県の状況を見ると、全国と同様に水田転換園でのミカン栽培が進み、昭和38年には新植面積1155ヘクタールのうち水田転換園が652ヘクタールと、全体の56%を占めるといった状況でした。
 生産量がピークの約38万トンとなった昭和54年以降、全国と同様に減少傾向をたどってきております。その減少割合は、県全体で5割程度、有田市に限れば約4割程度にとどまっております。これは、ミカンの需給不均衡やオレンジの輸入自由化など、ミカンを取り巻く情勢が厳しくなる中にあっても、たゆまぬ努力により生産性の向上を図りつつ、産地の競争力を維持してきたことによるものと考えられます。この間、県もその時々の産地の課題に向き合い、生産基盤の整備、隔年結果の是正、高品質化のためのマルチ栽培の導入、品種改良といった面で大変努力されてきたことを十分承知しております。
 しかし、生産効率向上のために植栽された水田転換園がミカン栽培にとって優良農地と考えるかどうかということにつきましては、少し考える必要があります。もともと、ミカンは水はけや日当たりのよい傾斜地で栽培されてきており、それが品質の高いミカンづくりの基盤となっていることは言うまでもありません。傾斜地は、生産性が低いという課題もありますけれども、糖度の高いミカンを生産することができます。
 一方、水田転換園は、生産性が高いものの、高品質なミカンをつくるためには、マルチ栽培や排水対策など技術や経費が必要となる上、園地によっては傾斜地に比べてどうしても品質を高める上での限界があります。
 私は、今、ミカン栽培に求められているのは、量ではなく質であり、消費者の求める品質の高いものを届けることだと思います。県では、高品質化のためにおいしい極わせ品種「YN26」を育成するとともに、有田市の宮原地区で発見されました浮き皮になりにくい「きゅうき」を、県のオリジナル品種として導入を推進していただいております。
 一方で、ミカン農家の高齢化や後継者不足などにより耕作放棄地が増加してきていることからも、品質のよいミカンを栽培できる本当の意味での優良園地に再編していくべきではないかと考えています。
 こうした思いをさらに強くしたのが、今回のTPP協定交渉の大筋合意であります。県では、TPP協定発効後の8年間で、何も対策を講じなければ温州ミカンの生産量が10%減少、中晩柑の価格が32%減少すると想定し、かんきつ産出額が35.7億円減少すると試算している状況において、合意を境にミカン農家の将来への不安が大きくなっていることを肌で感じており、今後、ミカンづくりをやめる人がふえてくることを懸念しております。
 一般的には、農業経営を次世代に円滑に継承するためには優良農地の確保は極めて重要であると思いますけれども、有田市においては、これまでミカンづくりで生きてきた方々に他品目への転換を進めることは容易ではありません。また、将来に対する不安から、平たんで農業以外でも利用価値が高い水田転換園の他の用途への転用を望む声も聞きます。
 以上が我が有田市のかんきつ栽培の現状であり、農地を守ることも大事でありますけれども、まず第一に、農家を守ることが何より重要ではないでしょうか。
 知事の記者発表の内容を見る限り、おおむね和歌山市の市街化調整区域の乱開発を防ぎ、優良農地の保全対策を進め、中心市街地の空洞化を食いとめようとすることが主に書かれているように思います。それで果たして、ぶらくり丁のシャッター街が再興できるでしょうか。
 もし私が和歌山市で買い物をするとすれば、高い駐車料金を払って、衣料品、食料品、日用品と各店舗を歩き回りながら買い物をするでしょうか。何かどこにもない特別な品物が売っているなら別でありますが、それよりも無料駐車場完備の大型店舗へ行くでしょう。そのようなことだけでは、中心市街地の活性化は図れないと思います。人が足を運ぶためには、何か珍しいものが、あるいは興味や魅力があるか、また、何かのメリットがあるのか、そういった目的がなければ行くことはないでしょう。
 話をもとに戻しますけれども、地元有田市は、初島、箕島、宮原とJR3駅があるものの、高速道路から外れ、陸の孤島と言われており、本当に悔しいかな市全体が空洞化と言っても過言ではありません。
 しかしながら、おいしいかんきつや新鮮な魚介類、豊富な文化財、風光明媚な自然に恵まれ、すばらしいまちであります。市内3駅の周辺ではそれぞれのまちが形成され、広さも県内唯一の村であります北山村さんより11平方キロメートル少ない37平方キロメートルと狭く、まさにコンパクトなまちであります。
 一方、農地については、農家の方々は先ほど申し上げたように利用価値が高い水田転換園の転用ができるものと信じ、厳しい条件の中、ミカン経営に頑張っておられます。
 以上のようなことから、本市においてはまちづくりと農地転用の厳格化とは何ら関係ないものと思います。
 そこで、知事にお尋ねします。有田市における「守ります、まちと優良農地。」についてどのようなお考えでしょうか、お聞かせください。
○副議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 有田市を愛し、ミカン農家と苦労をともにされ、ミカン農家の今後とミカン産業の振興を思いやる浅井議員の御発言とその背後にある情熱は、まことに胸を打たれるものがあります。私も、言われたことの多くの部分は同感でありまして同じ意見なので、その意味で、実は大変心苦しいところがあるわけであります。
 私も、農業や農家のためにこれまでも尽くしてまいりましたし、今後もそうしていきたいというふうに思っております。さらに、この政策、すなわち「守ります、まちと優良農地。」の政策によって損をするかもしれない方々には気の毒だという気持ちは持っておりまして、この間、岸本議員の御質問で申し上げましたように、できることなら宅地転用をしてもうけるなどということもさしてさしあげたい、ところが、それができないので悩ましいというようなことを申し上げたとおりなんでございます。
 その上で、お答えを申し上げることで2点申し上げたいと思います。
 まず、ミカン農家と農業の将来、あるいは農業政策という問題であります。2つ目は、なぜその提案しているような政策が必要かということでございます。
 第1に、平地にあるミカンがあんまり生産性がよくないということは、そのとおりだというふうに思います。お話にありましたように、今は赤字だけれども、あるいは赤字でないのかもしれないが苦しいけれども、後で転用して売るということを楽しみに今はやっているということでは寂しいというふうに思うわけです。その人が寂しいと言っても、その人が悪いというわけではなくて、何とかその事態を改善しなきゃいけないというふうに考えてるということであります。
 それには、我々は、より効率的に生産でき、もうけも見込まれる、例えば果樹にふさわしくない地域については、野菜、花卉に転用し、それも安定した経営の望まれる施設園芸への転換を1つの選択肢とし、それをお助けするということで手厚い政策手段を用意しております。
 次に、岸本議員に御答弁申し上げたように、やはりなろうことなら虫食いではなくて一団の優良農地を確保して、営農農家に効率的な経営をしてもらおうというふうに思っております。そのため、農家の都合でもう耕作はできない、自分の年齢等々で耕作はできないという人の農地の貸し借りをもっと盛んにして、その貸した人から地代を取ってもらおうというふうに考えておりまして、これは国の政策でもございますが、農地中間管理機構や、それをサポートするような協議会、そういうものを用意して、今、頑張ろうとしておるところでございます。
 先ほども申し上げましたように、転用すべき土地で、転用することができる土地であれば、そうできたらそれにこしたことはないのですけれども、それはなぜ自由に転用していただいたら困るのかということについて、次に申し上げたいと思います。
 第1に、農業もそんなに諦めていいのかという問題がございます。優良農地を一団で残したいということは、残さなきゃいけないというのはそもそも法の精神でもございますし、我々もそのように思って、まだ諦めていないということであります。
 2つ目は、1つのまちで、実はこの辺の土地利用について厳しくした、都市計画と農地規制を厳しくしたときに、より自由な、隣のまちは自由であるからということで逃げてしまうという問題があります。これは不公平だと、自分たちが損するだけでまちの活性化にはならないという議論が出て、それで結局はやろうと考えたまちも何もできないということになるというのが予想されます。そこで、一応は県の権限が強い農地規制を一律にかけておいて、まちのそれぞれの計画で抜いていくべきだというふうに思っているわけでございます。
 第3は、有田市自体の問題であります。有田市は、伝統のある古いまちであります。また、津波、水害も予想される。したがって、それもあわせてまちの再編も考えて、より高いところへの移転も考えなきゃいけない。そのために外縁部での拡大もある程度必要であるということは、私たちもよく、そう承知しております。
 しかし、どこでもいいやということになりますと、有田市自体がいずれ、かつて和歌山市が経験したようなさまざまな問題点が出てくるし、現に今でも、例えば有田市中心市街地の空洞化とか、あるいは衰退とか、そういうのが現に起こってるということは明らかであると思います。
 したがって、ゾーニングを市と県で相談してやって、農地規制をそれに合わせて緩くしていくというのがより合理的ではないか、そんなふうに思っているわけでございます。現実の問題として、有田市もそうであろうかと思いますが、そう人口はふえない中、どこへでも行ってよいと言ったら、町なかの衰退はとまらないと思います。
 有田市の再生のためには、再開発とか再編とか、これは私は絶対必要だと思っておりますが、そのための再開発でやるミニ開発も含めて、そういうときの住宅あるいはオフィスが、どこへでもオーケーですよと言ったら、そういうプロジェクトのところへ集まってこない。だから、いつまでたってもプロジェクトができないということになるのではないかというふうに思います。
 すなわち、外側でどこでもいいよということになると、今市街地である地域に活気とかにぎわいとか、そういうことを期待するのは無理であります。また、資産価値が下がって、例えば売って老人ホームへ入ろうというような人が、随分資産が下がってしまって困るというようなこともあります。
 しかも、こちらには大勢の人が現に住んでいるわけでありまして、その大勢のこの辺の方々のことをやはり考えないといけないんじゃないか、こういう人を見捨てることになってはいけないというふうにも思います。また、財政が悪くなる。なぜならば、その市道とか下水道とか水道といった都市施設を広いところにつくらなければならないということになったら、将来の有田市の負担、それはひいては市民の負担ですが、それがなかなかとまらなくなるというのは自明の理だと思います。
 そこで、御説明申し上げてるように、まずゾーニングを有田市で相談しながらやっていただいて、それに合わせて農地規制を緩くして再開発を町なかでやると。それは、大都市でできるような大きなものだけではなくて、今まで農地を潰してどんどん行われていたミニ開発なども既成市街地へ向ければいいんじゃないか、そんなふうに思います。
 市長が言われるように、まちをこれから改造していかないかん。その際に、まちの真ん中のインフラもよくしていかなきゃいけない。そうすると、代替地も確保して、津波や水害に弱いところから強いところへ移ってもらわないかん。そのために、外側へもある程度拡大をする必要がある。そういうときは、そのとおりだと思いますので、それにあわせて農地転用も協力をする。そうすれば、市の財政もそんなに悪化させないでうまくいくんではないか、そんなふうに思います。
 ゾーニングをして、やはり農地とした残りのところは、農地として農業を一生懸命やろうということで農業振興するわけですが、そこでどうしてもやめたいんだと、もう年だからやめたいんだという人は、やる気のある人に借りてもらって収入を得る。その際に、ゾーニング内にいた人、つまり宅地化してもいいといったところにいた人でやる気のある人は、どんどんその外側で営農してもらって参入してもらったらいいんじゃないか。
 これでも、実は一部の農家の方でもくろんでいたもうけが減ったという人も絶対出てくるんでございます、一部。それは物すごく気の毒でございますけども、この人たちのことだけ考えて、ほかの大勢の人の将来はどうでもよいと、知らんというわけにもいかんし、知らないふりをするということも、少なくとも私はできない、これが悩ましい今の状況でございます。
 こうしたとしても、有田市は、まだ具体的に話は進んでおりませんけれども、かなり外へ広げないといけないまちの1つであろうということは明らかであろうと私は思います。
 今後、なろうことなら、浅井議員の御協力も得て、有田市とよく話し合ってこの辺を解決してまいりたいと、ここの中では思っております。
○副議長(藤山将材君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 言葉は非常にまろやかなんですが、内容は余り進んでないようにも思うわけでありますけれども。
 また箕島駅周辺の実情については後ほど述べさしていただきますけれども、先日、紀の川筋のある首長さんとお会いする機会がありまして話をしまして、今度一般質問しますからと言いますと、「浅井さん、知事と幾ら議論やってもかみ合わないと思うし、勝ち目がないからやめといたほうがいいんと違う」というふうに言われたわけですけども、私は知事ほど頭はよくありませんし、浅学非才な私でありますから、知事に議論で勝とうとは決して思っておりません。
 しかし、やはり農家の本当の気持ちを伝える、これをどうしても伝えたい、この一心だけでございますので、これ以上深く議論はいたしませんけれども、事情はまた後ほど追ってしたいというふうに思います。
 それでは、次にこのことについて県土整備部長にお尋ねをしたいと思います。コンパクトなまちづくりとはどういうことなのでしょうか。教えてください。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) コンパクトなまちづくりとは、人口減少や高齢化が急速に進展する中、地域の活力を維持していくため、地域の拠点となる既成市街地において一定の人口密度を維持しつつ、高齢者を含む全ての住民が公共交通により多様なサービスにアクセスできるなど、日常生活に必要なサービスが住まいの身近に存在するまちづくりのことを指すと考えてございます。
 このため、郊外部における一定の開発を抑制するとともに、既成市街地に教育文化施設、医療施設、子育て支援施設、商業施設等の都市機能施設を集積させた中心拠点を整備し、居住を中心とした他の生活拠点との間を公共交通で結ぶことにより、高齢者を含む全ての住民が生活に必要なサービスによりアクセスしやすいまちづくりを行っていくことが必要であると考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 すばらしい答弁であり、すばらしいまちだというふうに思います。
 それでは、有田市におけるコンパクトなまちづくりとは、部長の考えで結構ですからお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 有田市においても、人口減少や高齢化が進む中、中心市街地の活性化が重要な課題となっていると認識しています。
 平成15年に策定されました有田市都市計画マスタープランにおいても、宅地開発などによる市街地の拡大で既成市街地周辺部に人口の集積が進んでいることから、既成市街地の活性化と周辺地の計画的な市街化の誘導が、都市整備上の課題とされております。
 このため、計画的な市街化を誘導するとともに、このマスタープランにも示されているように、箕島駅周辺を中心拠点として都市機能を整備することにより活性化させ、例えば初島地区、宮崎地区など、既存の集落を生活拠点として一定の整備を行い、これらの拠点間を公共交通で結んでいくことで有田市におけるコンパクトなまちづくりにつながっていくものと考えております。
 なお、既に有田市においては、既成市街地におけるにぎわい創出の核とすべく、箕島駅周辺に市民会館や図書館の建設を計画しております。さらに、都市機能や居住機能を計画的に誘導するための立地適正化計画の策定にも、今年度から着手したところであります。
 こうした取り組みは、まさに有田市におけるコンパクトなまちづくりを実現しようとする取り組みであり、県としても必要な支援を行っているところでございます。
○副議長(藤山将材君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 部長の答弁で、今、箕島駅周辺を中心拠点として都市機能を整備することにより活性化──例えば、初島、宮崎というふうな形であれしたわけですけれども、実際に、高速道路のインターチェンジに近いのは宮原、糸我地区のほうが近くて、今そちらのほうが便利だということで寄っていってるわけですね。
 だから、その箕島駅周辺はもちろん大事なんですが、じゃ、その箕島駅周辺の現状はどうかというと──旧箕島市街地ですね──町なかというのは大地主さんがおられまして、箕島の町なかの約25%ぐらいは5軒の家で所有されてるんです。その1軒に県の職員さんの御子息もおられます。
 私が子供のころから、自分のうちから箕島駅へ歩いていくのに、よその土地を踏まなくても行けるんだというふうな話を聞いたことがあるぐらい、箕島の町なかというのはそういった大地主さんがおって、借地、借家が多い。そういう中で、今それが郊外へ出ていってる。
 それが、今、虫食い状態だというふうに言われてますけれども、かえって虫食い状態が進んでくれるほうが──今、消防車も救急車も入りません。二輪車だけの路地がほとんどです。市長も、幹線道路をつけたくて南北道路をつけたいと思っても、そういった事情からなかなか、地権者の関係とか物すごく狭い路地が多いために立ち退きの件数が多い、そういったことからなかなかその道路の整備ができない、防災面でも非常に今苦慮してる、そういった現状なんです。
 だから、すかすかになってもらって初めて区画整理ができるような状況。それを、逆にまだ市も我々も、早くもうちょっとすかすかになってくれれば、今現在すかすかになってるところは駐車場になったり、道路がちょっと拡幅されたりして対向できるようになったりなっています。まだまだそれが進んでいただきたいと願ってるような状況なんで、そこら辺もちょっと御理解をいただきたい。
 先日、知事も出席していただきましたけれども、桜ヶ丘病院の成川先生も、わざわざ山の上から箕島の駅前へ桜ヶ丘病院を新築移転していただきました。これは、箕島駅前の活性化を図ろうという狙いもありますし、患者さんが非常に便利だと言って喜んでいる、そういったところもあって、これから市民会館の建設とか図書館とかいろいろやっていきますので、それはそれで有田市としては箕島駅前周辺の整備を進めていってる。そういうような中でまちづくりをやっている。だから、あえて今そのほかのところを農地転用の規制を厳粛化してやっていく必要はないのではないかというのが、今私の心境であります。
 それでは、次に同じようなことで農林水産部長にお尋ねいたします。
 優良農地とはどういう農地をいうのでしょうか、教えてください。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 優良農地とは何かということでございますが、優良農地についてはさまざまな要素が考えられます。
 例えば、1つ、高品質な農作物が生産できる農地、2つ目として土地基盤整備が進んでいる農地、3つ目として集団性があるなど良好な営農環境を有する農地がございます。
 そのような中で、今回の「守ります、まちと優良農地。」という施策で守ろうとしている優良農地とは、将来の農業の再活性化につながるポテンシャルを有する農地と考えており、具体的には、農業振興地域の整備に関する法律で定められている農用地区域内農地、農地法でおおむね10ヘクタール以上の一団の農地や、土地改良事業等の施行に係る区域内にある農地等の第1種農地と考えております。
○副議長(藤山将材君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 では、有田市における優良農地とはどういうことでしょうか、教えてください。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 議員御指摘のとおり、有田市の主要な農業であるミカン生産において、傾斜地は、生産性は低いものの、高品質な果実が生産される優良な農地です。一方、水田転換園である平たん地は、省力化や低コストが図られ、作業効率や生産性が高い上に、近年は園地改良や技術革新、高糖度系品種の導入など、品質の高いミカンが生産できる優良な農地も多く存在します。
 さらに、区画整理された水田転換園は、ミカンだけでなく中晩柑や野菜、花卉などの施設栽培にも適しており、意欲ある担い手農家にとって魅力的な生産基盤で、優良農地であると考えております。
○副議長(藤山将材君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 水田転換園は、ミカンだけでなく中晩柑や野菜、花卉などの施設栽培にも適しており、意欲ある担い手農家にというふうな今答弁いただきましたけれども、じゃ、中晩柑、晩柑類で今和歌山でどういったものが推奨できるかというと、愛媛県なんかの場合だったら媛まどんな、甘平、そういった晩柑類がたくさんありますけれども、和歌山ではもう清見も既に限界が来てるような状況だし、ほかにこれかというようなあれもないと思うんです。
 それから、その野菜とか花卉にかえろというのは、これはこじつけじゃないかと、私に言わせれば。それで、意欲ある担い手農家にとって魅力的な生産基盤、優良農地。そしたら、今農家やってる人は意欲が全然ないのかというような言い方に聞こえます、これでいくと。意欲ある担い手農家にとっては魅力的な生産基盤で優良農地であると。今やってる農家の人は、何か意欲がなさそうなような、意欲なくつくってるような言い方で、非常に失礼だというふうに思いますよ。まあそれはそれでいいでしょう。
 じゃあ、本市で、その有田市の優良農地を守るために、農地転用許可の厳粛化の必要性についてちょっと教えてください。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 農地が虫食い状に蚕食されることを防ぎ、優良農地を保全し、将来的に引き継ぐために農地の転用を厳格化していくことは、有田市においても必要と考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 部長、農家が県行政の中でどこを頼って一生懸命農業をやってられるんですか。農林水産部じゃないんですか。農家を守るための農林水産部でしょう。農家は、農林水産部がこういうふうにして財産を吸収するようなことをすれば、農家は県行政のどこを頼ったらいいのよ。福祉保健部で──どないして生きていったらいいのかって、福祉保健部を頼ったらいいのですか。情けないですよ、農林水産部としては。農林水産部が農家を守らなくて、何を守るんですか。もうこれ以上、答弁を求めても仕方ないですから。
 今回の「守ります、まちと優良農地。」、これは、決して間違っているとか悪いとか思いません。むしろ、すばらしい内容であると思います。しかし、その内容が県内全ての市町村にマッチしているか否かということであると思います。記者発表の内容を見ましても、明らかに和歌山市の市街化調整区域の乱開発をさせないよう規制し、外縁的な拡大を防ぐことによって中心市街地の再興を図り、コンパクトシティーを構築しようというのが狙いであると思われます。
 そのために、農地転用許可の厳粛化を図る必要がある。しかしながら、これは和歌山市だけを厳しくするのは不公平だから、県下一律にしなければならない。何かそのあおりで、県内各市町村の農地転用許可の厳粛化に結びつけられているような気がしてなりません。
 先日、那賀総合庁舎でありました新政策に係る市町村長懇談会の席上、望月有田市長がこの件について知事に訴えたとおりであります。また、九度山町長さんの意見に対して、知事は「それは農家ではなく、農業をやっていた人の老後を守るという話ではないか」と答えられております。
 知事、農業をやっていた人の老後を守ってはいけないんでしょうか。長年、農業で一生懸命頑張って農地を守ってこられ、退職金もなく、年金だけで固定資産税や電気、ガス、水道等の生活に必要な諸経費を払い続けていけるでしょうか。また、高齢になれば、病気になったり足腰が弱くなりやすく、医療費や高齢者施設への入所費用等を確保するために、必要に応じて畑の一部を売却し、その費用に充てることができるようにしてあげるのが人の道ではないでしょうか。ましてや、我々議員や県当局は、全ての県民をあらゆることから守っていかなければならない立場ではないでしょうか。
 知事は、いかなる災害に対しても県民の生命や財産をしっかり守るとおっしゃっております。このままでは、災害が起こる前に農家の財産が失われてしまいます。どうか知事、知事の権限、判断基準で農家の財産を取り上げないでやっていただきたい。切に切にお願いを申し上げる次第であります。
 我々、地元の声を県政に反映させるべく、代弁者としての役割を担っている議員の意見が聞き入れられるまで、機会あるごとに申し上げ続けてまいりたいと思います。
 以上、強く要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、浅井修一郎君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時49分散会

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