平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


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平成27年12月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成27年12月10日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第152号から議案第186号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第152号から議案第186号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(2人)
 13番 花田健吉
 22番 吉井和視
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       市川靖之
 企画部長       高瀬一郎
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     野尻邦彦
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾﨑善亮
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課副主査     中尾祐一
 総務課長       西原龍也
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第152号から議案第186号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 42番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、登壇させていただいて、以下4点について質問させていただきます。
 1つ目に、都市計画道路南港山東線の整備についてであります。
 都市計画道路南港山東線、和歌山市秋葉町地内から塩屋2丁目地内までの延長520メートルが、暫定2車線ではありますが、和歌山市の事業で紀の国わかやま国体前、ことし8月31日に供用されました。私ども近隣住民にとっては、おかげさまで見通しもよくなって、すんなり対向できるようになりました。交通量もふえてきているので、近々の4車線供用が待たれるところであります。
 さらに、水軒口交差点付近から西浜交差点までの約900メートル区間が、仁坂知事と尾花市長の県市協調のもと、平成27年度より和歌山市から和歌山県へ事業が移管されました。昨日、地元説明会に行ってまいりましたが、あと2日間開催されるということで、沿道の地域住民に対する御理解を求める取り組みも始まりました。事業認可に至れば、私が幼少のころ水軒の浜に海水浴に出かけるのに通ったこの道路もようやく拡幅されるということで、長年の夢が実現されそうであることに大きく胸が躍る思いです。
 ましてや、この地域には、雑賀小学校、西浜中学校、和歌山工業高校、星林高校と学校が集中しておりまして、登下校時は徒歩や自転車通学の生徒であふれ返り、交通渋滞の原因にもなっています。絶えず交通事故の危険にさらされている区間であります。今回拡幅されますと、和歌山市の外環状道路に位置づけられた重要幹線路線となり、西側の臨港道路沿いには和歌山下津港湾も中央市場もありますから、大型トラック、コンテナトレーラー、さらには、新日鉄住金さんの鋼材を掲載した大型トレーラーも頻繁に走行することになり、左端を走行する原付2輪車や交通ルールを遵守する自転車等との接触のおそれがないよう、十分側方に余裕のある車道幅が確保されなければなりません。
 また、沿道は、商業施設などが建築可能な第2種住居地域が両側10メートル程度の幅で設定されていますので、道路整備後も現在と同じような中小規模の商店や医院、銀行や郵便局などの金融機関などが建ち並ぶものと予想されます。これらの中小商店などには停車需要があり、路側停車による交通障害や交通公害を発生させないためにも、停車帯の設置が必要かと考えます。加えて、路線バスや宅配便トラック等の一時停車需要もあることからも、せめて1.5メートル幅の停車帯の設置が必要と考えます。
 また、現道は中央分離帯がないので、沿線や数多くのT字型交差点からたくさんの地域住民の方々の一般車両の右折は、センターラインをまたいで現在では自由に行えますが、整備後は中央分離帯が設置されますので、これらの車両の右折対策が死活にかかわる重要な問題となります。
 この南港山東線の沿線の背後地域は、住宅密集地であり、区画整理がなされておらず、これらの右折車を一旦左折させて、最寄りの信号交差点に導く背後の並行道路が十分ではありません。このため、これら車両の右折は、整備後の南港山東線本線の右折車線や右折ポケットを利用したUターンをせざるを得ず、安全、円滑に行うことができる十分な車道幅の確保が必要であり、この観点からも停車帯の設置は極めて重要と考えます。
 銀行や郵便局への行き帰りに信号交差点で切り返し運転しなくても、1回でUターンできる道路幅が確保されなければなりません。交通安全、円滑の点のみならず、沿道の中小商店等の活性化、沿道やその背後地域住民のUターンによる普通乗用車の右折対策にも、停車帯を設けた十分な道路幅を確保いただきたいと思います。
 そこで、質問ですが、西浜交差点から臨港道路までの区間は幅員27メートル、水軒口から塩屋、国体道路までの区間は、暫定2車線区間が完成すれば交差点付近は幅員27メートル、高くなった切り通し付近が幅員25メートル、それ以降は幅員30メートルと伺っておりますが、南港山東線全線の中でも最も交通量が多くなると予想され、今後の産業道路であり、また生活道路でもある水軒口交差点付近から西浜交差点の事業を進める上で、計画総幅員、車道幅員、停車帯幅員、歩道幅員、さらには右折車線など、交通安全、円滑な交通確保の観点から利便性等をどのように確保されるおつもりか、県土整備部長に伺います。
 また、特に背後地域住民の利便性確保のため、普通乗用車がUターンできる道路幅の確保とともに、Uターンが規制されないよう改めて要望させていただきます。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 都市計画道路南港山東線の水軒口交差点付近から西浜交差点までの区間につきましては、今年度から事業化し、道路構造令及び和歌山県が管理する県道の構造の技術的基準を定める条例に基づき、幅員構成や交差点形状などの検討を進めてきたところでございます。
 議員御質問の各種幅員につきましては、この区間の特徴としまして、既存交差道路が多く、右折車線をほぼ連続して確保する必要があること、歩道がないため現道の利用を避けている付近の小中学校や高等学校の生徒が、整備後には当該道路を利用することが見込まれることなどを踏まえて検討をいたしました。
 その結果、安全で円滑な交通処理ができるよう、基本的な道路総幅員を26メートル、4車線で1車線当たりの車道幅員を3メートル、自転車や歩行者の通行空間として、施設帯を含め4.5メートルの自転車歩行者道を両側に設置し、さらに、現在信号が設置されている交差点には幅員2.75メートルの右折車線を確保する計画として、現在、地元関係者等へ説明を行っているところでございます。
 なお、停車帯につきましては、接続する道路が多く停車可能な区域が限定されること、所要の幅を確保するとすれば既都市計画道路幅を超えた用地取得が必要となることから、設置しないこととしております。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 通常、車の軌跡図で半径6メートルが確保されるから大丈夫と捉えられますが、右折車線で目いっぱいハンドルを切ったところからUターンが始まることが原則になっているわけで、車が動いている状態からUターンとなると、どうしてももう少し余裕のある半径が必要になるのではないでしょうか。
 同じ26メートル幅員の都市計画道路西脇山口線の園部─六十谷間でも、反対車線のブロック縁石にタイヤが乗り上げたり、こすっている跡が見られるわけであります。右折Uターンとなると、必ずしも理論と現実は違ってくるということも認識いただきたいと思います。とにかく、たくさんのT字型交差点に依存する地域住民がいらっしゃる地域であるということを御理解いただきたいと思います。
 西浜交差点の特に朝夕の渋滞は、大きなものがあります。水軒口交差点付近から西浜交差点付近の工事の際は、ぜひとも西浜交差点側から行ってほしいと思いますが、県土整備部長、いかがですか。
○議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 南港山東線の西浜交差点付近につきましては、議員御指摘のとおり、慢性的な渋滞が発生しております。また、交通安全を確保する観点からも、地元の御了解が得られるのであれば、西浜交差点側から整備を進めていきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 3点目に、知事の御英断で南港山東線水軒口交差点付近から西浜区間が県の事業区間となり、いよいよ拡幅されるという、地域住民、近隣住民の悲願が現実化してまいりました。本当に感謝申し上げます。
 ぜひ早期完成を待ち望んでおりますが、今後の当該区間の事業予定と完成目標をどれくらいに置かれているのか、あわせて、同じく県の事業区間として南港山東線の和田─吉礼区間も今後工事が進められ、阪和自動車道の仮称・和歌山南スマートインターチェンジの完成に合わせてリンクされると伺っておりますが、今後の工事予定を知事にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘のように、都市計画道路南港山東線は、和歌山下津港から市街地を通過いたしまして、阪和自動車道のこれからできる和歌山南スマートインターチェンジにつながる主要幹線道路であります。
 この路線の重要性に鑑みまして、新しい東のほうのスマートインターチェンジにつながる路線をつくろうということと、それから、これは時期的には大分後なんですけども、先ほど御英断というお話がありましたが、県市の役割分担を見直すということにいたそうと思っております。
 これだけ言いますと、何か県の負担で和歌山市だけ大事にして、それで、何かほかの市町村からすると損をするというふうに聞こえるのではないかというふうに思いますので、ちょっと一言申し上げておきますと、実は、そもそも都市計画道路が和歌山市にございますのは40年前ぐらいに決まった話で、20年前ぐらいに、これは和歌山市なんかが都市計画税を取っているので本来ならば全部やらなきゃいけないんだけど、ちょっと財政力の問題もあるから県市で分担をしましょうということで分けたわけです。
 私が就任以来、県のほうが熱心に一生懸命やりまして、国体までというかけ声もあって、かなりできてきました。ところが、市のほうがなかなかまだいっぱい残っておると、こういう状態でございます。
 市のほうも、こんなに大きな都市計画道路をいっぱいつくるというのはもうやめて、これは我々もそうしたんですけども、大いに縮小しつつ、ほかのところは一生懸命やるので、県のほうはもう1つやってくれませんかと、コンパクトなまちづくりをする一環でやりたいのでお願いしますと、こんなことでございます。
 ほかのまちでも実は同じように考えておりまして、都市計画道路をつくってもらって、それをやっぱり市もちゃんとやってもらうけれども、県のほうも一部お助けしないとなかなかでき上がらないんじゃないか、こういうことで、ほかの市といろいろ相談をさしていただいてるところでございます。
 そんなことを前提にいたしまして、ここはまず肩がわりをしたところ、これは沿道に家屋等が連檐をしている、密集しておるところで、立ち退きなど大いにやっていただかないとなかなかできないわけですので、用地協力をいただくことを前提に、早ければ7年程度で完成させたいと思っております。
 また、和田から吉礼の区間は、これも用地取得をこれからせないかんわけですが、既にしたところは今年度から工事に着手しておりまして、引き続き地元の御協力をいただきながら推進したいと思っておりまして、平成30年度に、和歌山南スマートインターチェンジの供用を国交省の御協力で実現したいと思っておりますので、そのときに受け皿の道がないとどうしようもないから、それに合わせて頑張っていきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2年前まで、南港山東線にさほど遠くない高松交差点を中心に東西の都市計画道路が計画として残っていましたが、パブリックコメント募集の後、廃止されました。その際、和歌山市の担当課と話したときに、「この車線も廃止されるということになると、いよいよ南港山東線の水軒口から西浜区間を早く拡幅してもらわんと困りまっせ。10年以内でできますか」と尋ねたことがありました。そのとき、当時は市の事業区間でしたから、担当課は「それまでにはやらないといけないと思っています」とお答えいただきました。それがこのたび事業が市から県へ移管されたわけですから、それ以内の期間の供用を我々近隣住民は期待しております。
 ぜひ我々も、近隣住民の1人として用地確保のためにできる限りお手伝いしたいと思いますんで、住民合意が得られれば、どうか知事におかれましても、よろしく御推進、お願いいたします。
 2点目に、和歌山大学食農総合研究所(仮称)設置についてであります。
 和歌山大学も、生き残りをかけて、ことし10月、学内に来年4月開学予定で、地方創生に資する新たな地域資源の創造拠点の形成を図るべく、学部横断、文理融合の食農総合研究所(仮称)が設置されることになりました。
 和歌山大学にもともと10人以上の農学博士もいらっしゃって、教育学部には附属農場もあり、理系の要素を加えるため、10月より早速教職員の公募も始まっていて、既に何十人からの応募もあって、選考に入っておられるようです。国との予算折衝も順調のことと伺っております。
 前学長時代から和歌山大学内にアグリバイオ分野の研究拠点を設置いただくよう、民間の立場から呼びかけさせていただくとともに、昨年11月には、和歌山大学産学連携・研究支援センター内に和歌山大学で初めての寄附講座「食品科学寄附研究部門」もスタートしていただいております。
 寄附講座では、梅酢ポリフェノールのうがい液開発、インフルエンザ、風邪予防に関する臨床試験開始、抗菌作用に関する特許対応等、サンショウでは辛み成分の安定化法の開発や塩味増強効果に関する臨床試験など、その他、梅の露茜からの製品具現化や文献データベースの構築等、短時間で実績も急ピッチでつくられていますが、そうした研究を核に地域資源を活用した食と農の総合研究所が本格的に動き出せば、数年後には、梅、柿、ミカン等、本県の日本一の果樹等の資源を活用すべく、農林水産分野の知、学の拠点となるような充実した組織体になることが大きく期待されます。
 県が今まで県下の公設試で研究してきた大きな実績と成果をさらに具体的に商品化に生かすべく、今後、和歌山大学に設置される食農総合研究所(仮称)や食品産業企業と連携をさらに深めていただきたいと思います。
 他地域の大学の農学系学部設置と連動するかのように、折しも、地元の和歌山大学では食農総合研究所が来年スタッフを増強してスタートするわけであります。
 国も、オランダのフードバレーを参考に、世界市場を見据えた日本の食と農の産業競争力強化を行って、世界有数の農産物輸出国への展開を目指して、まず日本版フードバレー調査推進事業を実施しようとしています。和歌山大学の当該研究所も食と農というからには、当然、機能性、栄養あるいは食の安全・安心という研究テーマも入ってくるはずです。和歌山県においても、第2次産業技術基本計画において、重点分野の1つ、バイオ・食品分野において、生果重視から脱却して食品加工技術を生かした6次産業化の推進をうたっておられます。
 この際、知事におかれましても、今後の大学内の最終調整がつけば──当然つくと思いますが、この研究所が数年後、和歌山県の農林水産業の特徴と農山漁村の地域資源を生かして、本県に日本一の果樹資源をさらに活用した産学官が集積するフルーツバレーを構築しての飛躍的な産業振興、そして、地域貢献のための知、学の拠点として結実できますよう、県からの格段の御理解、御協力をいただきますよう、現時点で切に御要望申し上げます。
 3点目に、神話教育についてであります。
 安保法案をめぐる一連のてんまつを見ていて不安に感じたのは、特に若い世代の方々が日本という自分の国のことをどう思っているんだろうかということでした。外国に行って自国のことを聞かれて、日本のよさを伝えることが日本人は今なかなかできていないのではという意見もよく聞かれます。
 私が幼少のころは、童話の絵本とともに日本の神話の絵本が身近にありましたし、アマテラスオオミカミやスサノオノミコト、ヤマタノオロチが登場するテレビアニメを再放送でも何度となく見ることができました。イザナギノミコトとイザナミノミコトが日本列島をつくったことや、スサノオノミコトが乱暴ろうぜきをはかったためにアマテラスオオミカミが天の岩戸を閉じてしまって、スサノオノミコトが反省してヤマタノオロチを退治して、お姫様と結婚して、後に大黒様と言われるオオクニヌシノミコトが産まれたことなど、わくわくしながら──今でもわくわくしますね──絵本を読み、アニメを放映するテレビにかじりついたことを覚えています。
 他の国々の神話のように、子供たち、それも幼少のころから自分たちの住む国や自然、社会の成り立ちを学ぶ。そして、文字もなかったころに、人々の長年の言い伝えから編さんされた「古事記」や「日本書紀」の中にある神話から学ぶ。それは、たとえフィクションがあっても、子供たちが神話の物語を読むことによって自分の国の建国の成り立ちを知って、自分の住む郷土や国が好きになって、これから大人になって自分の国のために頑張ろうという気持ちにおのずとなるものだと思います。
 さらに、聖徳太子の十七条の憲法にある「和をもってとうとしとなす」、この精神は、まさに神話の中のアマテラスオオミカミの使者とオオクニヌシノミコトとの話し合いによって国を譲ったという、日本人は争いでなく平和のうちに解決を行う民族であるということを世に示したものではないでしょうか。
 ですから、平成23年4月から使用されている小学校1・2年の国語の教科書に神話が復活したことは、大変大きな意義があると思います。国の成り立ちやその時代の人の考えを知る手がかりになって、正義や勧善懲悪がそれとなくわかるように書かれている神話は、いじめ、虐待、あるいはインターネットによる情報の氾濫など、昨今深刻な社会問題の中で生きている子供たちにとって、必ずや新鮮な印象を与えてくれるものだと思います。
 自国の伝統文化を大切にしようという気持ちがおのずと子供たちの心に生まれてくるものです。それは、他国の文化を理解し、とうとぶということにもつながります。また、日のもとにある国という日本という国名のいわれも認識することも必要かと思います。
 いずれの教科書にも、優しい心で困っている者を助ける因幡の白ウサギか、正義と勇気を伝えてくれるヤマタノオロチの話が掲載されていて、ほっとしました。さらに、イザナギとイザナミ、天の岩戸、海幸彦と山幸彦、それにヤマトタケルの話なんかも積極的に掲載いただきたいなと思います。
 そこで質問ですが、1つ目、熊野三山の本宮大社、速玉大社、新宮大社の主祭神は、それぞれスサノオノミコト、イザナギノミコト、イザナミノミコトとされ、神武天皇は熊野のヤタガラスによって大和へ導かれたとされています。小学校児童生徒に対して、日本という国の成り立ちにまつわる神話や和歌山県内が題材の神話をストーリー性を持って示してくれる神話、あるいは故郷にまつわる伝承教育をさらに充実いただくような和歌山県ならではの取り組みを御検討いただきたいと思いますが、教育長、いかがですか。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 小学校での神話や伝承に関する学習につきましては、低学年の国語では、学習指導要領に「昔話や神話・伝承などの本や文章の読み聞かせを聞いたり、発表し合ったりすること」と記されてございます。その中で、因幡の白ウサギなどの神話を題材として学習を行ってございます。また、6年生の社会では、国の成り立ちに関心を持たせるため、神話や伝承を取り扱ってございます。
 子供たちが神話やふるさとにまつわる伝承などについて学ぶことは、伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛する態度を育むとともに、日本人としての自覚を持たせるために大切であると考えてございます。
 県教育委員会といたしましても、神話や伝承を初め、和歌山、地域のさまざまな教育資料を活用した学習活動は、各学校でも積極的に行い、ふるさとへの愛着を高め、郷土を誇りに思う心や態度を育成してまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 今般、質問するに当たって、小学校1・2年の教科書、さらには小学校の社会、中学校の歴史、そして高校の日本史の教科書をそろえて、全部を読み返すことはかないませんでしたが、日本国の成り立ちの部分に焦点を当てて自分なりにチェックさせていただきました。今回は、小中の義務教育期間に絞って質問をさせていただいております。
 まず、小学校でありますが、3・4年の下には、史跡や神社から昔のよさを学ぶ記載が出てきます。ある教科書には、地域の発展に尽くした人々ということで、広村の濱口梧陵の「稲むらの火」が掲載されていました。5年になると、日本固有の領土、すなわち北方領土、竹島、尖閣諸島の記載が出てきます。6年上には日本の歴史が登場して、縄文、弥生時代の国づくりの歩み、そして、村から国の統一で3世紀の卑弥呼の邪馬台国、その後、豪族連合の大王を中心とする大和政権が出てきて、8世紀初めの古事記、日本書紀という歴史本の中で神話が紹介され、ヤマトタケルノミコトの物語が短くも示されています。
 中学校になると、教科書ごとに特徴や違いがあらわれてきます。ちなみに和歌山県は、7つある教科書のうち、東京書籍、日本文教出版、帝国書院のものが採用されており、県立中学校は全て東京書籍であります。採用されているいずれの教科書も中国の書物からの記載が重きをなしていて、自国の神話の記載が薄いと思います。私は、個人的には、大和朝廷の始まりにつながる神話、伝承の物語が一連のストーリーとして紹介されている自由社や育鵬社の教科書が好ましいと思っております。
 神話を学ぶことは、我々の先祖の理想とするものや価値観を知って、そこから自分たちが今の世の中をどう生きていくべきかを考えさせてくれます。もちろんフィクションはあるでしょうが、歴史教育としては神話を無視してはいけない、すなわち歴史を単なる暗記科目にしてはいけないと思います。建国記念日にしても現実に国民の祝日として認められており、2月11日の根拠は、言うまでもなくカムヤマトイワレヒコノミコト、神武天皇が橿原宮で即位した日であります。その神武天皇東征の折、紀の国和歌山県に立ち寄って女性首長の名草戸畔と戦い、戸畔は戦死して遺体が3つに分断されて、3つの神社に埋められたという伝説もあります。神話は、郷土の歴史にも大いにかかわってくるものであります。
 そこで質問ですが、教科書採択は、まず都道府県教育委員会と教科用図書選定審議会との諮問、答申後、市町村教育委員会が採択という手順になりますが、義務教育課程においては、まさに公平を期する意味で、中学校において全部の歴史教科書に生徒が触れる機会があれば、生徒の学習の幅も広がる端緒になると思います。
 また、神話教育について言えば、「古事記」や「日本書紀」あるいは風土記の生徒向けのわかりやすい文章本を学校図書館等に配置してもいいかもしれません。日本の歴史についていろんな角度から中学生が学習できる手だてをつくることについて、教育長にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 教科書は、教科の主たる教材として位置づけられ、子供たちが学習を進める上で極めて重要な役割を果たしてございます。そのため、採択を初め、日ごろから教科書に興味、関心を持っていただくことは極めて重要であると考えてございます。
 県教育委員会では、教科書採択への関心や教科書、教科学習に対する理解を深めることを目的として、県内の公立図書館や公民館、教育センターなど25カ所に教科書センターを設置し、さまざまな種類の教科書を閲覧できるようにしてございます。
 今後も、保護者や教員、子供たちが常に教科書を広く閲覧できるよう、機会をできる限り設けるよう努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 よろしくお願いします。
 3点目に、和歌山県庁を正面から入って階段を上りますと、昭和13年に庁舎が完成した翌年に飾られた、まさに神話の世界であるアマテラスオオミカミの妹と言われるニウツヒメノミコトのレリーフ、そして、さらに階段を上りますと、神武天皇に霊剣を献上して病からよみがえっていただいたタカクラジノミコトのレリーフがそれぞれ重厚な存在感を持って拝見することができます。
 また、オリンピック、ワールドカップ、それに世界選手権大会等での日本人選手の活躍を見ていると、日本人として誰でも心は躍ります。日本の若い選手も、表彰台で、国旗の前で国歌を歌っています。まして、本年開催されました紀の国わかやま国体・わかやま大会、これでも和歌山県民が和歌山県選手団の活躍、一挙手一投足に目が離せず、一喜一憂しながら熱い声援と拍手を送り続けました。これは、人としての健全な郷土愛からくる気持ちのあらわれであります。
 この気持ちの原点は、日本国の成り立ちにさかのぼることにあると思います。神話教育は、子供に日本人としてのアイデンティティーを認識させるものです。神話こそ道徳教育の原点であります。知事におかれましては、神話教育の必要性についてどのような御所見をお持ちか、お聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 神話や伝承は、国の成り立ちや遠い先祖の暮らしぶりなどを伝えるもので、私たちにとって興味深いものであり、日本人としてそれを知っていることは意義のあるものだと思います。
 県内には、熊野地方など神話とゆかりのある場所もあり、神話や伝承を学ぶことは国や郷土を愛する心を育むもので、本県が推進しているふるさと教育にもつながるものと考えております。このようなことから、私は、神話や伝承を学ぶことは子供たちにとってよいことだと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 これからも神話教育のすばらしさというものを折に触れ、訴えさせていただきます。よろしくお願いします。
 4点目、外国にルーツのある子供たちへの日本語教育及び外国人住民に対する医療体制についてであります。
 昨今、外国人住民の日本への定住化も進み、外国人観光客の訪問も飛躍的に増加しています。和歌山県では、平成26年末、69カ国・地域、5934人の在留外国人がいて、平成25年末から若干の上昇傾向が見られます。しかるに、教育現場あるいは医療現場において、日本語がわからなくて、それぞれコミュニケーションがうまくとれていない現状があります。
 公立学校に在籍している外国人児童生徒数は、平成26年現在で7万3289人、そのうち日本語指導が必要な外国人児童生徒数は2万9198人で、本県は15校で16人、日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒数は、本県で14校、17人います。通常は、担任を含め複数の教員及びボランティアが対応しています。ボランティア支援といっても、週に1回1時間程度で不十分、それに子供の日本語能力が極めて低く、母国語で指導対応できる人材に乏しいのが現状です。第一、家庭との連絡が難しく、家庭では母国語ばかり使って日本語がなかなか上達しませんし、いざ高校入試を考えると不安が大きいものがあります。人権問題には当然外国人の人権もあって、日本語指導が必要な子供たちの学ぶ権利は保障されなければなりません。
 大人は、YMCA等外国語学校または県国際交流センターで学べます。問題は子供です。先進的な日本語教育を実践している府県もあるようです。例えば、愛知県知多市立つつじが丘小学校の事例を御紹介したいと思います。
 名鉄名古屋駅から特急で20分ほどという交通の便のよさと海に面した環境が魅力の学校ですが、1973年に開校し、平成26年度は全校児童数387人に対し約14%、54人がブラジル、フィリピン、ボリビアなどから来た外国人の児童です。日本人の児童にとったら、小学生のうちから多言語、異国文化あるいは日本以外にも国が存在することを実体験の中で触れる機会を持つわけですが、外国人児童の多くは、言葉だけでなく日本の文化、習慣にも戸惑います。
 そこで、19年前、つつじが丘小学校は、さくら教室と呼ばれる日本語の支援教室を立ち上げました。体育など日本語の理解を必ずしも必要としない教科は自分のクラスで受け、国語や算数等、日本語が必要な授業に関しては、子供たちをさくら教室に移動させて、言葉から教えるようにしました。7年前には2クラス、6年前には3クラスへふえたさくら教室は、今では2月、3月にかけて、4月に入学してくる新1年生の外国人親子を対象としてプレスクールを実施しています。
 クラスでは、日本語を学び始めた時期がばらばら、習熟度も差があるので、1人の先生が5人の児童に個別対応しています。語学相談員も教育事務所から派遣されていますが、語学指導だけでなく日本の習慣も教えています。2~3年たってもまだまだの児童もいるし、逆に早い子だと1年もしないうちに日常会話ができるようになるとのこと。何かを考えるのに、もとになる言語になる母国語がしっかりしている子は早いと先生は言っています。
 そこで質問ですが、1つ目、県教育委員会におかれましては、外国にルーツのある子供たちへの日本語の学習支援について、推進方針はどのようなものですか。
 2点目に、実際の就学状況、日本語指導状況はどのように把握されていますか。
 3点目、文科省においても、外国人児童生徒の指導に当たる教員や支援員等の配置の推進や人材の育成、養成、確保をうたっておりますが、本県では、日本語指導のための教員、ボランティア等支援員の確保、配置はどのようになっていますか。また、研修はどのように行われていますか。
 4点目に、実際の現場と県、市町村教育委員会、それに関連支援団体との意見交換や連携はどのように行われていますか。
 5点目に、日本語が不得手な外国にルーツのある子供たちが、いざ高校受験をするとなると大変な困難を伴うと予想されますが、漢字にルビを振ったり時間を延長するなど、配慮はなされているのでしょうか。文科省も進路指導の充実をうたっておりますが、本県においては高校入試についてどのような施策がとられていますか。
 6点目に、同様に外国人児童生徒について、暴力行為やいじめ、不登校などの生徒指導との諸問題や発達障害の問題についての実態と対応を聞かせていただきます。
 7点目に、そのような児童生徒や保護者の教育に関する相談体制はどのようになっていますか。
 以上7点を一括して教育長にお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 日本語指導が必要な児童生徒に関する御質問につきまして、一括してお答え申し上げます。
 外国人児童生徒の就学については、国際人権規約等の規定を踏まえ、就学の機会を適切に確保できるよう、各市町村において小中学校に入学を希望する外国人児童生徒を無償で受け入れるなどの措置を講じており、県としても、そ の状況を調査により把握してございます。
 また、高校入試において日本語の理解が十分でない外国人受験者への対応につきましては、まず、中学校長から特別措置願を提出していただくことになってございます。そして、他の受験生との公平性を保ちながら、受験生の能力が十分発揮できるよう、学力検査問題の漢字にルビを振るなど、個々の状況に応じた対応を行ってございます。
 外国人児童生徒が学校生活を送る上では、言語や文化的な背景が違うため、周囲から理解されにくい場合があり、学級や学校で孤立するおそれもございます。それぞれの学校では、このようなことがないよう、人権教育とともに周囲の児童生徒により広い物の考え方や互いを尊重し合う姿勢が育つよう指導してございます。
 また、外国人児童生徒の個々の状況に応じて、外国語ボランティアなどの協力を得ながら、学習支援を行ったり日本語指導を行ったりしてございます。一部の学校には、日本語指導のための教員も配置してございます。
 しかしながら、来日する外国人の方々の多様化に伴い、来日する時期や学年、場所もさまざまな上に、母国語の言語の種類によっては児童生徒や保護者とのコミュニケーションが難しいなどの課題がございます。そのため、研修会や協議会を開催している和歌山県国際交流センターと連携を図るなど、個々のケースの対応に努めてございます。
 今後も引き続き、外国人児童生徒の就学等に関する相談や各学校の状況について、市町村教育委員会とともに対応してまいりたいと思ってございます。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 外国人児童生徒への日本語学習支援推進方針、そういうものを新年度でも策定いただくような御検討をいただけたらなと思います。
 実際の就学状況、日本語指導状況については、県教育委員会としても、ぜひ当該学校に出向いて実態をつぶさに見てきていただきたいと思います。また、外国人児童生徒が入校してくることになって急に慌てふためいた対応にならないように、新年度からでも教員や管理職を対象に研修を実施しておいてもいいのではないかなと思います。
 外国人児童への対応の充実は、居心地のよい学校づくり、ひいてはいじめや不登校などの解決につながると思います。真の国際化のために多文化共生社会の推進、これは重要なものだと思います。以上、要望させていただきます。
 次に、8点目、医療体制についてでありますが、外国人住民にとって、医療現場では日常生活以上に医師や看護師などとのコミュニケーションはとりにくいものであります。特に救急の場合や手術の説明を行うときに、言語の関係で即座に対応できないケースが間々あるでしょう。
 三重県では、9つの公的医療機関等に医療通訳が派遣されています。茨城県救急医療情報システムを検索すると、救急医療情報のコーナーに「Search for a doctor」と外国人向けの検索ができて、地域、診療科を選べますし、大阪府医療機関情報システムのサイトでは、言語を選べるようになっています。
 本県において、現在、ある大きな病院で勉強会が立ち上がっているということですが、和歌山県立医科大学附属病院を初めとして、本県の公的病院においては、外国人で日本語が得意でない患者に、医療従事者はもちろんのこと、事務方もちゃんと対応できているのでしょうか。
 9点目に、また、参考までに、増加している外国人観光客も含めて、外国人に対する医療保険制度はどのようになっておりますか。
 以上2点を一括して福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 外国人患者への対応についてでありますが、県内の公的病院では、英語には医師が対応し、その他言語の外国人患者には、患者が通訳できる知人等と同伴で受診しているのが通例であり、医療機関によっては、翻訳機能ソフトを活用するなどの工夫をしていると聞いてございます。
 また、県では、医療機関の診察状況を県のホームページ上で検索できるわかやま医療情報ネットにおいて英語による表示を行い、県内在住の外国人の言語に対応できる医療機関を検索できるようにしております。
 今後、外国人患者が救急等で医療機関に搬送される場合であってもスムーズに対応できるよう、多言語に対応した救急時情報収集シートの普及など、効果的な取り組みを県内の医療関係機関や在留外国人を支援する団体等とも連携しながら研究してまいります。
 次に、外国人に対する医療保険制度の仕組みについてでありますが、外国人の方で会社などの事業所に勤めている74歳未満の方については、その事業所の健康保険に加入することになります。それ以外の方で3カ月を超えて在留し、住所を有する方については、国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入することになります。
 観光などの目的で3カ月以下の短期滞在となる外国人の方は、日本の医療保険の対象とはなりません。しかし、日本人が外国へ短期旅行中に医療を受け、全額を支払った場合には、帰国後、保険者へ請求することで保険者が負担すべき額が払い戻されるように、短期滞在の外国人の方については、帰国後、それぞれの国の制度で対応することになります。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 以上4点、一般質問、これで終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、久しぶりの登壇であります。25回目の質問になると思いますが、今回は結構ボリュームがありまして、かなり時間を要しますが、しばらくの間、御協力をいただきますようによろしくお願い申し上げたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 慌ただしく動くまちの中で美しく輝く和歌山駅前の、さらにはけやき大通りのイルミネーションの光を見ますと、ことしも年の瀬が迫ってきたことを実感する、そういうきょうこのごろであります。ことしの1年を振り返ってみて、本県における一番大きな出来事、うれしかった出来事の1つといえば、やはり第70回国民体育大会「紀の国わかやま国体」、そして第15回全国障害者スポーツ大会「紀の国わかやま大会」の開催であったと思います。
 本県で44年ぶり2回目の開催となった紀の国わかやま国体は、県内各地で熱戦が展開され、本県選手団は、日ごろの練習の成果を存分に発揮し、見事、男女総合優勝を果たし、天皇杯を獲得いたしました。また、本県で初めて開催となった紀の国わかやま大会は、本県から延べ281名の選手が出場し、金メダル56個、銀メダル33個、銅メダル38個という輝かしい成績をおさめられました。
 私自身も、先輩また同僚議員とともに、大会役員の1人として両大会の開会式・閉会式に参加させていただくとともに、水泳、アーチェリー、バレーボール、陸上等の競技を観戦さしていただきました。県民の皆さんが披露された見事な式典前の演技、和歌山県の大選手団が堂々と行進する光景、「和歌山、頑張れ」という大声援に包まれた競技会場、そして秋篠宮殿下から天皇杯を授与される吉田隆起選手の姿、障害者の選手たちが全力を振り絞って自分の限界に挑む姿など、今思い出しても、どれも胸が熱くなる場面ばかりでありました。両大会を通じて、多くの方々と夢や希望、そして感動を分かち合うことができたと思います。
 思い起こせば、本県での両大会の開催に向けて動き出したのは、仁坂知事が就任された直後の平成19年1月の臨時議会における国体招致議決からであります。当時は、財政事情も厳しく、一部には国体の開催を危ぶむ声もあった中で、知事の決断、英断によって本県での開催が決まったわけでありますから、両大会にかける知事の意気込みは並々ならぬものであったと思いますが、今、両大会を振り返って知事はどのような感想を持たれているのか、お伺いをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会は、好天にも恵まれ、県内各地で連日熱戦が繰り広げられ、大きな感動を残して閉幕いたしました。来賓の方々からすばらしい大会だったとの称賛の声が多数寄せられるなど、参加された方の心に残るすばらしい大会にすることができたと思っております。
 まず、私の所感でございますが、1点目に、「躍動と歓喜、そして絆」のスローガンのごとく、両大会に出場された選手がそれこそ躍動し、国体では悲願の男女総合優勝、大会では史上最多の127個のメダル獲得と、ともに立派な成績を残してくれたことで、これは、全力で戦ってくれた選手はもとより、寝食を忘れて選手強化に取り組んでこられた競技団体の皆さん、あるいは監督、コーチ、さらには選手たちをサポートしてくださったチームドクターとかトレーナーとか、関係者の長年にわたる御努力に敬意を表するとともに、心から感謝を申し上げたいと思っております。
 2点目は、国体を契機に、県内各地の競技施設ができましたし、県内の主要道路が格段に整備されました。おもてなしトイレなどもどんどんできてまいりましたし、そういうことで本県の発展の礎となるインフラが整ったことで、スポーツ振興はもとより、観光振興や企業誘致などの面で今後の発展に寄与すると思っております。
 3点目は、両大会を成功させるために多くの県民の皆様が参加、協力し、みんなで力を合わせたということで、特に天皇皇后両陛下にごらんいただいた国体の総合開会式の式典前演技では、フィールドで演技した方、これもすばらしかったんですが、合唱や楽器演奏でスタンドからも出演していただいて、全体としてすばらしい演技を披露してくれたおかげで、いつまでも心に残る感動的な式典となりました。
 また、たくさんの県民の御参加があったボランティアの皆さんが会場で来場者を温かくお迎えするとともに、花いっぱい運動やクリーンアップ運動、笑顔で声かけ運動など、まちでも温かく接してくれて、まさに県民総参加で心のこもった温かいおもてなしができたことが、和歌山の大会がよかったと言われる要因の1つだと思っております。
 半世紀に1度の国体・大会を大成功に導けたことについて、両大会の選手、各競技の関係者、ボランティアの皆様並びに全ての関係者、県民の皆様に改めて感謝を申し上げたいと思いますし、県議会の議員の方々におかれましても、お支えいただきまして本当にありがとうございました。
 そして、県民の皆様に自信と誇りを持っていただくことができて、和歌山の名を全国にとどろかせることができたということは大変意義があったと考えますので、今後は、これをうまいこと利用して、県民総参加で取り組んだこの盛り上がりをこれからの県勢発展につなげていきたい、そんなふうに思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次の質問に移ります。
 さて、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会の競技会場となったスポーツ施設が各地で整備されており、今後、これらの施設の有効活用を図り、あわせて本県のスポーツ振興の推進に取り組んでいただけるものと期待申し上げるところであります。
 5年後の2020年には、東京都においてオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。先月、国は、両大会を推進していくための基本的な方針として、国民総参加による夢と希望を分かち合う大会にしていくことを決めました。私自身、先ほど申し上げましたとおり、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会において多くの方々と夢や希望、そして感動を分かち合うことができました。スポーツには感動があります。感動は、人を元気にする、地域を元気にする大きな力があると思います。和歌山県も、さまざまな方法で、ぜひ2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会に参加していくべきだと考えます。
 前年には、ラグビーワールドカップ2019が日本各地で開催されます。そして、翌年には、私も大会役員をさしていただいております関西ワールドマスターズゲームズがここ関西で開催されますが、マスターズ陸上発祥の地と言われている和歌山において、いわゆる生涯スポーツという観点から考えてみても、1つでも多くの競技を実施していただきたいと思います。
 これらスポーツの祭典の開催に先立ち、県においても準備を進めておられるようでありますが、その進捗状況について知事にお伺いをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会のために整備した競技施設の有効活用を図るためにも、また、両大会によって高まった県民のスポーツに対する関心や期待に応えるためにも、ラグビーワールドカップ2019や2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会の事前キャンプ誘致は、ぜひ実現させたいと思っております。
 具体的な活動としては、8月に北京世界陸上に出場するため本県で事前キャンプを行ったオーストラリアナショナルチームとは、現在、2020東京オリンピック競技大会の事前キャンプに向けて最終段階の協議をしております。また、10月には、トルコのオリンピック委員会やレスリング協会を訪問いたしまして、事前キャンプにおける本県のすぐれたトレーニング環境をアピールしてまいりました。
 関西ワールドマスターズゲームズに関しましては、2021年の開催までに、和歌山県においては、2017年に全日本マスターズ陸上競技選手権大会、2019年にはねんりんピック──これは全国健康福祉祭というのが正式な名前なんですが、これが本県で開催される予定になっております。これを、いわゆる──いわゆるというか、ホップ・ステップ・ジャンプで例えまして生涯スポーツの大会を盛り上げていきたいと思いますので、多くの県民の皆さんに参加をしていただきたいと思います。
 このマスターズゲームズ系というのは、全部そうではありませんが、比較的、予選の縛りが緩いものでございます。ワールドマスターズゲームズなどは、世界からちょっとお年を召した選手が家族あるいはお孫さんなんかも引き連れて、結構、観光半分で来られるというようなことがよく言われております。そういうことで、こういうものをうまいこと、利用してと言うと言葉に少し行き過ぎがございますが、これを機会に、そういう和歌山県の県勢発展も図っていきたいと思います。
 そのように、ナショナルチーム等のキャンプ地誘致や国際的な競技大会などの開催によって生涯スポーツ愛好の機運を盛り上げて、県内でも、誰もがスポーツを楽しみ、元気で活力ある生活ができるようにしてまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 国体とともに、もう1つ大きな出来事、注目すべき出来事がありました。去る12月5日、ニューヨーク時間12月4日ということでございますが、国連総会第2委員会において、毎年11月5日を世界津波の日とする決議案が採択されました。仁坂知事もすぐに今回の採択を非常に喜ばしく思っている旨のコメントを出されておりますし、この世界津波の日を提唱されました二階俊博自由民主党総務会長も和歌山市内で記者会見を行い、「地球規模で津波からの犠牲を減らすよう取り組みたい」と表明されました。また、安倍総理大臣からも歓迎のメッセージが出されるなど、日本中で大きな話題となりました。
 皆さん御承知のとおり、11月5日という日は、1854年の安政南海地震による津波が本県を襲った際、本県の偉人であります濱口梧陵翁が貴重な稲わらに火をつけて村人を安全な場所に導き命を救ったという「稲むらの火」の故事にちなんだ日であります。我が国では、この11月5日は津波対策の推進に関する法律により津波防災の日として定められており、この趣旨にふさわしい行事を実施するよう努めることとされております。南海トラフ地震への対策を重点的に進めている和歌山県においても、県や市町村で、避難訓練を初めとした防災訓練の実施や有識者を招いた講演会など、各種の行事を実施していると聞いております。
 そこで、今回の国連総会第2委員会において世界津波の日決議案が採択されたことについて、知事の所感をお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 世界津波の日が国連総会第2委員会で採択されましたが、これほど和歌山県にとって名誉なことはないと私は思っております。大変喜んでおります。
 津波の恐ろしさ、それに対する対策の重要性というのは、あのアチェの物すごい被害、それからその後の東日本大震災、それからチリでも同じようなことが起こっておりますが、そういうことを考えますと、世界にとって物すごく大変な重要な問題だというふうに思うわけですが、その津波が、世界津波の日として、毎年11月5日、濱口梧陵さんによる「稲むらの火」と、私財を投じて広村堤防を築堤するということによって村の復旧・復興につなげたということにちなんでつけられたということは、本当にありがたいことだというか、すばらしいことだと思っております。
 本県選出の二階代議士が日本の津波の日、津波防災の日──これは法律によるところの指定なんですが、この法律の制定にもかかわられましたが、これをさらに進めて第3回国連世界防災会議で世界の方に向かって提唱された、そこから始まっているわけでございます。その後、政府・与党一体となって努力をして、今回の採択につながったものと考えております。
 本県も、当然のことながら制定の趣旨に賛同し、例えば私も、トルコで根回しをしたり、来県された海外要人などに対して、これはぜひ頼むということで津波防災の日の意義を説明しておりまして、今回の採択を非常に喜ばしく思っております。
 世界津波の日の制定によりまして濱口梧陵さんの功績が世界中に広まるということは、本県にとってもちろん非常に名誉なことなんですが、一方、観光等にも好影響があるものだというふうに思っております。和歌山の名前が広がりますし、その本拠地広川町の名前とか、あるいは稲むらの火の館の存在とか、そういうものがこれをきっかけにより人々の頭に浮かんでくるようになると確信しておりますし、そのようにしていかないといけないということだと思います。
 国連総会そのものについても近く決議案が採択されるものと確信しておりまして、世界津波の日制定が津波に対する国際社会の意識を高め、津波による犠牲者をなくすものとなることを期待するとともに、今申し上げましたように、世界に向けてそれを発信していく所存でございます。
○議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま知事から答弁をいただきました。
 私も、きょう、実は、県の方にいただいたこのバッジをつけてまいりました。今回の採択により、「稲むらの火」の故事による本県の偉人の功績が世界中に広まる契機となるとともに、これにより世界中で防災対策が進み、津波による犠牲者を減らしていくものと期待してやみません。
 次に、教育長にお伺いいたします。
 二階総務会長は、「世界津波の日制定の意義を1人でも多くの人に知ってもらい、世界の皆さんと一緒に自然災害に対抗しないといけない」と述べるとともに、小学校から高校まで徹底した津波防災教育を行うべきだとして、文部科学大臣などに関係教育の強化を求める考えを示されました。
 今後、本県の防災教育にどのように取り組んでいかれるのでしょうか。教育長にお伺いをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県では、中学生道徳読み物資料集「希望へのかけはし」の中に濱口梧陵翁の逸話を題材にした教材を掲載し、その偉業をこれまでも学習してきてございます。このたびの世界津波の日の制定に関する決議案の委員会採択を受け、この濱口梧陵翁の逸話や、世界津波の日、津波防災の日の意義を全ての児童生徒に改めてしっかりと伝えていくとともに、和歌山から発信していくことが大切であると考えてございます。
 これまでも、小中学生については、「防災教育指導の手引き」を活用した防災学習を実施するとともに、全ての県立学校において高校生防災スクールを実施し、実践的な訓練を行うなど、津波に対する防災教育に取り組んでまいりました。
 来年度以降は、この11月5日に合わせ、学校と地域が連携した避難訓練を実施するなど、防災学習の徹底を図ることにより、まず逃げること、自分の命は自分で守るという意識を持ち、行動することができる子供たちを育て、1人の犠牲者も出さない防災教育をこれからまた改めて推進してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次の質問に移ります。
 去る11月26日に第3回一億総活躍国民会議が開催され、一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策が取りまとめられました。この国民会議の席上で、安倍総理は、「これまでの3本の矢の政策によって経済の好循環をつくり出してきましたが、アベノミクスの第2ステージにおいては、子育てや社会保障の基盤を強化し、それがさらに経済を強くするという『成長と分配の好循環』を構築していきたい。デフレ脱却が見えてきた今こそ、少子高齢化という構造的な問題の解決に向けて動き出すべきときで、政府としてこの緊急対策を、内閣の総力を挙げ、直ちに実行に移していく」と述べられました。
 緊急対策では、希望出生率1.8の実現、介護離職ゼロという2つの目的達成に直結する対策に重点的に取り組むこととされています。少子高齢化が全国平均より早いペースで進行している本県にとっては、この緊急対策の流れをつかみ、積極的な対策を講じる必要があるのではないでしょうか。緊急対策のうち、結婚、妊娠から子育てに至る各段階の負担、悩み、不安を切れ目なく解消するための支援として、不妊で悩む夫婦の妊娠、出産の希望を実現するため、不妊治療への助成を拡充することについてが特に緊急対策を必要としています。
 子供が欲しくてもなかなかできない、こうした御夫婦の悩みをよく相談されます。不妊に悩み、不妊についての検査や治療を受けている夫婦は増加しております。平成22年の国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によりますと、不妊に悩む夫婦の割合は、平成17年の25.8%から平成22年には31.1%に上昇、不妊検査や治療を受けた割合は13.4%から16.4%に上昇しており、6組に1組の夫婦が受診している状況であります。
 しかし、不妊に係る治療は、保険適用外の治療が多く高額で、治療されている方にとって非常に重い経済的負担となっております。体外受精や顕微授精などの治療を行う場合は保険適用外となるため、1回につき30万円から50万円程度かかります。現行の助成制度では、人工授精などの一般不妊治療が1年度当たり上限3万円、体外受精や顕微授精などの特定不妊治療が1回につき上限15万円の助成を受けることができます。ただし、所得制限があり、夫婦の前年度所得が730万円以上の場合は助成を受けることができません。不妊治療は、治療回数を重ねると高額な費用負担を伴い、不妊に悩む夫婦にとっては大きな経済的負担となっています。そのため、経済的理由により治療を諦めざるを得ないケースもあると聞いております。
 また、県内には体外受精や顕微授精の治療を行う施設が、和歌山市に3カ所、橋本市に1カ所と、合計4カ所であります。そのため、県外に治療に行かれている方も多いと聞いており、交通費など治療に係る費用以外の経済的負担の問題も大きいと言えます。
 本県では、不妊治療助成の利用者がふえており、平成22年度では一般不妊治療が392件、特定不妊治療が492件であったものが、平成26年度では一般不妊治療が522件、特定不妊治療が737件と大幅に増加しております。
 不妊治療を受ける女性には、精神的、肉体的に大きな負担がかかりますが、それでも子供が欲しいと願う御夫婦はたくさんおられます。せめて治療費の負担が軽ければ、不妊治療を続けるための後押しになるのではないかと考えます。出産を希望する方に対して不妊治療の精神的、経済的な負担の軽減を図り、その希望をかなえられるよう支援することは、重要な少子化対策として取り組むべき課題であると考えます。
 また、一方、晩婚化が進んでおり、それに伴い子供を産む年齢が高くなっており、平成23年には第1子を産む年齢が30歳を超え、さらに年齢が上がってきております。晩婚化により不妊で悩む人の増加、晩産化による妊娠、出産のリスクが増加しています。女性が高齢になるほど治療の成功率が下がり、妊娠、出産のリスクが上昇することなど、男女ともに妊娠、出産に適した年齢があると聞いております。また、妊娠、出産に関する男女それぞれの体のことについても、正しい知識の普及啓発を若い世代を対象に行うことが重要であると考えております。
 そこで、県として不妊治療についてどのように取り組まれているのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県においては、不妊に悩む夫婦への精神面での支援対策として、保健所に不妊専門相談窓口を設置し、専門医師による面接相談や保健師等による電話・メール相談を実施しております。また、治療に係る経済面での支援対策として、不妊検査や人工授精などを対象とする一般不妊治療費助成を県単独で実施し、さらに、体外受精や顕微授精を対象とした国制度の特定不妊治療費助成を実施しております。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、体外受精や顕微授精については、この特定不妊治療費助成の制度を利用しても個人の自己負担額が大きいことから、子供を切望する夫婦が経済的理由により治療を諦めることがないよう、国に対して不妊治療の医療保険適用と助成限度額の拡充を提案しているところです。
 次に、若い世代に対する妊娠、出産に関する知識の啓発についてですが、若い世代がライフプランの中で妊娠、出産に関する正しい知識を得ることは、人生設計を考える上でも大変重要であります。このため、これまで保健所の出前講座を通じて、高校生に対し、妊娠と年齢の関係、喫煙や過度の飲酒の影響など、妊娠、出産の正しい知識の普及に努めているところですが、今後は、成人式等においても冊子を配布するなど、若い世代に啓発してまいります。
 県としましては、今後も引き続き、子供を産み育てることを切望する夫婦が安心して治療を続けられるよう、経済面、精神面の両面から総合的に支援してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次の質問に移ります。
 一億総活躍社会実現のためには、個々人が多様な能力を発揮することが重要であります。女性が働きやすい環境づくりが今後一層進んでいく中、フルタイムで働く女性や共働きの家庭がふえていくことは必然であると考えられます。
 共働き家庭の子育てにおいては、仕事の都合や急病等で一時的に子供を預かってほしい状況になることも多いと思われます。また、保育所のお迎えの時間に間に合わない場合の延長保育や学校の就業時間後も子供を見守ってくれる学童保育、休日も子供を預かってくれる休日保育なども、これからの子育ての大きな支えになることでありましょう。
 これまで、少子化や子育ての問題は、高齢化問題と比較して大きな社会問題として取り扱われてこなかったような気がいたしますが、一億総活躍社会を目指してこれからの少子化問題を考えたとき、子育て支援は今や大きな社会基盤の1つであると言えるのではないでしょうか。子育ては単に若い世代の問題だけではなく、社会全体で子育てを見守る、あるいは支えるべき時代ではないかと考えます。
 今年度からスタートした子ども・子育て新制度では、幼児教育、保育、子育て支援の質、量の拡充を図る費用を社会全体で負担するべく、消費税率の引き上げ分から7000億が確保されたところでもあります。和歌山県では、一億総活躍社会を実現できるような仕事と子育てが両立できる子育て支援が十分整っているのか、課題があるとすれば、せっかくの財源を活用し、今後どのように子育て施設を充実させようとしているのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 誰もが活躍できる社会を目指し、多様な働き方を支えるためには、これまで以上に仕事と子育てを両立できる仕組みの整備が重要です。県では、今年度から始まった子ども・子育て新制度を活用しながら、各市町村が実施主体となり子育て施策の充実に取り組んでいるところでありますが、現状では、全ての市町村が地域のニーズに対応する多種多様な子育て施策を全て実施できているとは言えないのが現状です。
 保育の需要に見合った定員の確保は当然のことながら、多様な就労形態に対応するための延長保育や休日保育を拡充することも重要です。また、放課後の安全な居場所として、希望する小学生全てが放課後児童クラブを利用できる状況にない現状を解消することも必要です。さらに、保護者にかわって保育所等の送迎を行うなど、援助を受けることを希望する方と援助を行うことを希望する方との相互援助活動であるファミリー・サポート・センター事業も、県内全域では実施できていない現状にあります。
 県としましては、和歌山県全体の子育て支援策をより一層充実させ、子育て中の誰もが必要な支援を活用することができるよう、今年度から5カ年の計画として策定した紀州っ子健やかプランにおける目標の早期達成を目指し、さまざまな国の補助メニューを活用しながら、直接の実施主体である市町村に対して、より一層積極的に働きかけを行ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま、部長から答弁をいただきました。
 県内どこに住んでいても安心して子育ても仕事も両立ができ、皆が活躍できる和歌山県であってほしい。そうするためには、市町村のばらつきがないよう、しっかり県が指導していっていただきたいということを、福祉保健部長に改めて要望さしていただきたいと思います。
 実は、もう随分前のことになりますが、私自身のことを考えますと、子育てに関しては反省すべきところは大であります。今回の質問をきっかけに、子育て支援策の充実を図るだけでなく、家庭内や会社内などにおける皆の意識改革が非常に大事だということに気づかされました。これからの少子化社会に向けては、社会全体の共通理解として子育てに関する意識改革を図っていかなくてはならないと考えており、そのための努力は今からでも惜しまないというつもりでおりますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 次の質問に移ります。
 先ほどから申し上げている一億総活躍社会とは、「一人ひとりが、個性と多様性を尊重され、家庭で、地域で、また職場において、それぞれの希望がかない、それぞれの能力が発揮でき、それぞれが生きがいを感じることができる社会」と定義されています。それぞれの能力が発揮できることにより、新たな着想によるイノベーションの創出が促され、経済成長等の好循環が生まれます。
 一方で、それぞれの多様な能力を引き出すためには教育の充実を図ることが重要であると考えます。本年8月25日に文部科学省が公表した平成27年度の全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストで、和歌山県内の公立小学校の正答率は、小学算数Aを除いて全国平均以下でしたが、昨年度と比較すると全国平均との差が小さくなり、改善傾向が見受けられます。
 県教育委員会では、昨年度の全国学力テスト結果を受けて、昨年、学力向上対策短期計画を発表、学力向上推進プランを作成して取り組んでこられました。また、和歌山県学力向上対策中期計画を策定し、平成27年度及び平成28年度において、県教育委員会、市町村教育委員会及び小中学校が一体となって、学校の構えを整える、質の高い授業づくりを組織的に進める、力のある授業をつくる、学力調査を生かし切る、学びのセーフティーネットを充実する、県教育委員会として責任ある体制を整えると、この6つの視点から学力向上のための取り組みを進めています。
 中期計画では、成果指標を平成29年度の全国学力テストの調査結果とし、小中学校全ての調査で県平均が全国平均を上回ることと、児童生徒質問紙調査において、「授業の内容がよくわかる」、「どちらかといえばよくわかる」と思う生徒の割合を平成26年度調査より3ポイント以上向上させるという2つの目的を挙げられております。
 今年度の学力テストの結果を受け、短期計画及び中期計画での成果、課題及び今後の取り組みについて、教育長にお伺いをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 昨年度の全国学力・学習状況調査の結果を受け、各学校では、子供たちに学習意欲を向上させる取り組みやわかる授業づくり、補充学習の徹底等をこれまで以上に進めてまいりました。その結果、本年度の全国調査では、小学校の全ての調査、中学校の3つの調査で全国平均との差が改善しました。また、「授業の内容がよくわかる」と回答した子供の割合が、小学校の全ての教科、中学校の数学と理科では全国平均を上回りました。
 本年度は、新たな取り組みとして、県外で学力向上の成果を上げている学校に教員を派遣し、研修してきたことを所属校の授業改善に生かすとともに、県内の各地域で研修会を開催し、その成果を県全体に普及しているところでございます。
 また、現在、基礎・基本を確実に身につけさせるために、繰り返し学習をする国語科のドリル教材を作成しており、順次、学校に配布し、授業や補充学習等で活用することとしてございます。
 さらに、学力と相関がある読書の時間が全国平均を下回っているという課題があることから、読書活動の推進や学校図書館を活用した学習活動の充実を図るよう、研修会等を通じて指導しているところでございます。
 今後も、12月8日に実施しました和歌山県学習到達度調査の結果を生かすなど、学力向上対策中期計画に基づき、市町村教育委員会や学校と一体となって、組織的、継続的な取り組みを進めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次の質問に移ります。
 全国学力テストの正答率が高い要因の1つとして、子供たちの読書活動が挙げられると思います。文部科学省と子どもの読書サポーターズ会議では、どの学校にもある学校図書館の充実というものを提唱しております。ことしの4月、学校図書館法が改正、施行されてから半年が経過いたしました。改正後の法律においては、学校図書館の諸事務に当たる学校司書の配置が努力義務として規定されております。
 去る11月中旬に、私は、岸本議員、中本議員の3人で金沢市立長田町小学校と金沢市立玉川こども図書館を訪問する機会を得、司書の重要性や先進地としての今日までの取り組み、課題を調査し、子供たちの基礎的な知識の習得はもとより、本との出会いを通じて子供の心の成長に資するための学校図書館の重要性と専門職員の必要性を感じたところであります。
 学校司書の配置は、市町村が主体となることを認識はしておりますが、学力向上に資する取り組みとして市町村へのさらなる働きかけが必要ではないかと考えます。学校図書館の積極的な活用と司書の重要性について、教育長にそのお考えをお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校図書館は、子供の豊かな感性や想像力を育むとともに、調べ学習などの自発的な学習活動を行う重要な場であります。また、全国学力・学習状況調査の結果では読書と学力の相関関係が明らかなことから、しっかりとした学力を定着させるためには、学校司書を配置し、学校図書館の機能を充実させることが重要であると考えてございます。
 このため、県教育委員会では、市町村教育委員会に学校司書の配置の促進について指導してきたところでございます。現在、学校司書は9市町に配置されておりますが、全国に比べて少ない状況にあるため、各市町村にボランティアの積極的な活用も働きかけ、現在、26市町において読み聞かせや貸し出しなどを行っています。
 また、市町村の教育委員や管理職の方々の研修会等において学校司書の配置や学校図書館の活用を内容に取り入れ、その効果について周知するとともに、来年1月には、県内に配置されている学校司書を対象に、先進的に取り組んできた学校図書館アドバイザーを招き、研修することとしてございます。
 今後とも、学校司書の配置やボランティアの活用により、学校図書館が子供にとって居心地のよい場所であり、また、学びを支える拠点として効果的に活用されるよう取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 教育長、どうかよろしくお願いいたします。
 では、がん対策の推進についての質問に移ります。
 一億総活躍社会の実現を検討する中で、それぞれが生きがいを感じることができる社会を維持するためには、安心につながる社会保障の整備は重要な検討事項であります。特に、個々人の多様な能力を発揮し続けていくためには、健康寿命の延伸に向けた取り組みを強化していく必要があります。そのためには、本県の死亡原因の第1位であるがんの対策を充実させなければならないと考えます。
 過去、座長を務めさしていただき、超党派にて平成24年12月議会に議員提案さしていただいた和歌山県がん対策推進条例が施行されてから、今月28日で丸3年を迎えます。この条例検討の中で、がん対策について、できることは全て行うという理念のもとで検討作業を行いました。また、条例の第6条では、県議会の役割を、議会活動を通じて、がん対策についての基本的な政策決定を行うとともに、がん患者を初めとする県民の声を施策に反映するよう、執行機関の事務の評価等を行うことと規定されております。
 こうした観点から、昨年の12月議会に引き続き、がん対策の推進について、予防と早期発見、がん医療、緩和ケア、がん登録、先進医療の5点についてお伺いしたいと思います。
 まず、がんの予防・早期発見についてお伺いをいたします。
 和歌山県では、毎年約8000人ががんに罹患し、約3500人ががんで亡くなっております。がんで亡くなる方を減らすには、がんの予防や早期発見が重要であります。条例第12条ではがん予防の推進、第13条ではがんの早期発見の推進を規定しております。
 がんの原因には、運動、食生活や喫煙などの生活習慣などが大きくかかわり、がんの予防のためには、生活習慣の改善やたばこ対策に努めることが重要であります。また、がんを早期に発見し、早期に治療するためには、県民一人一人に積極的に、定期的にがん検診を受けてもらうことが何よりも重要であります。
 県においては、がん検診の個別受診勧奨を実施する市町村に対する支援や、胃がん対策として有効なピロリ菌検査や、肺がん対策としてがん発見率が高い低線量肺がんCT検診について実施していただいているところであります。
 そこで、がんの予防と早期発見について、改めて現在の県の取り組みを福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) がんの予防につきましては、運動や食生活など、生活習慣の改善が重要です。県では、県民が参加する健康づくりに取り組んでおり、紀の国わかやま1万人健康リレーウォークを全市町村で実施するとともに、草の根的な健康づくり活動である健康推進員の養成を、これまで28市町村、来年度は全市町村で実施することとしております。
 また、たばこ対策として、5月31日の世界禁煙デーや各イベント等において、喫煙による健康への影響や受動喫煙防止のための分煙対策などの啓発に取り組むとともに、各保健所で出前講座を28回実施し、約1400名に参加いただいております。
 次に、がんの早期発見でございますが、検診の精度を高めるためのデジタル撮影を備えたがん検診車3台を更新整備しております。また、がん検診の受診率の向上を目指し、検診対象者全員に受診を呼びかける個別通知による受診勧奨を全市町村で実施するとともに、がん検診と健康診断の同時実施や土日開催など、働き盛り世代や主婦層が検診を受けやすい環境づくりについて市町村に働きかけを行い、受診率については、5がん全てにおいて全国平均を上回っている状況であります。
 また、平成25年12月議会において議員から御提案のあったピロリ菌検査と肺がんCT検査についてですが、ピロリ菌検査につきましては14市町に拡大するとともに、低線量肺がんCT検診につきましても、現状では4市町での実施ですが、CT検診を実施できる医療機関の拡充を進めることにより、実施する市町村の拡大を図っているところです。
 今後も、さまざまな施策を展開することにより、がんの予防や早期発見の取り組みを一層進めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 時間が気になってきました。
 要望さしていただきます。
 がんの死亡率減少のためには、がんにかかった方をどれだけ早く見つけることができるかが大切であります。がんの早期発見には、がん検診体制の強化が必要と考えます。検診体制強化における3つのポイントは、国が推奨しております有効な検診を、受診率を向上させ、多くの人に検診精度のよい適切な実施がされることであります。
 条例第13条では、がん検診に係る精密検査体制の確立する施策を実施することを規定しております。
 県では、平成25年度から個別通知による受診勧奨など積極的に取り組まれておりますが、さらなるがん検診体制の強化を図るため、受診率の向上の取り組みとともに、検診機関の技術力を向上していただき、検診の精度を上げる取り組みも重要であり、県として、今後、十分検討していただきますよう要望さしていただきます。
 また、肝がんの多くは、肝炎ウイルスの感染による慢性肝炎、肝硬変から起こります。条例第24条では、肝炎、肝がん対策の推進について規定をしております。
 C型肝炎は、これまで、インターフェロン治療など治療期間も長期にわたり、副作用に苦しむ患者も多数でありましたが、最近では、インターフェロンを使わず、治療効果が96%と高い新薬が登場し、投薬のみで期間も3カ月と短い上、副作用も少なく、働きながら治療できるとともに、医療費助成制度により患者負担も軽減されていると聞いております。
 県では、肝炎ウイルス陽性者発見のため肝炎ウイルス検査を実施されておりますが、今後、肝がん対策として、職場健診においても肝炎ウイルス検査が実施できるなど、受診しやすい体制の構築に取り組まれますよう要望させていただきます。
 がん医療についてお伺いいたします。
 医療の進歩により、がんにかかっても治る時代になってきています。がん医療の充実は、本県においても重視すべき課題であります。
 条例第14条では、県は、がん患者が、居住地域にかかわらず、ひとしくがんの状況に応じた適切かつ質の高い医療を受けることができるようにするための施策を実施することを規定しております。がん検診を受診することにより早期にがんを発見し、がんの状況に応じて手術療法、放射線治療、化学療法などの治療を受けることができるがん診療連携拠点病院などの体制をさらに充実させる必要があると考えます。
 現在、皆様方のお手元に配付をさせていただいていると思いますが、「新たながん診療提供体制の概要」は、先般、がん診療連携拠点病院に関して、質の向上などのため、人員配置要件など制度が強化されたことを示す資料であり、またお時間のあるときに御参照いただきたいと思います。
 また、さらなるがん医療の充実のためには、がん医療の専門的な知識と技能を有する医療従事者の育成と確保、人材育成もしっかり取り組んでいただかなくてはなりません。県のがん医療の推進に対する取り組みについて、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 本県のがん医療体制については、県がん診療連携拠点病院である和歌山県立医科大学附属病院や各地域の中核となる8カ所の地域がん診療連携拠点病院等を中心に質の高いがん医療の提供に取り組んでおり、特に手術療法、放射線療法、化学療法などを効果的に組み合わせた集学的治療とチーム医療体制の整備に努めております。
 がん診療連携拠点病院については、先般、国の指定要件が厳格化されたところですが、県内の全ての拠点病院は要件を満たしており、今年度の指定更新が認められたところです。
 また、和歌山県立医科大学大学院においては、がん医療に携わる専門的な看護師の養成のため、がん看護専門看護師博士課程に学生を受け入れるとともに、がん診療連携拠点病院等においては、国立がん研究センターが開催する指導者養成研修に医師等を派遣しております。
 県としましては、今後も、がん診療連携拠点病院等における人材育成、チーム医療の推進などのがん医療体制の充実に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次に、緩和ケアについてお伺いをいたします。
 がん患者や家族は、がんと診断されたとき、治療の経過、あるいは再発や転移がわかったときなど、さまざまな場面でつらさやストレスを感じます。また、がんの療養中は、痛みや吐き気、食欲低下、息苦しさ、だるさなどの体の不調、気分の落ち込みや絶望感などの心の問題が患者の日常生活を妨げることがあります。これらの問題は、がんの療養の経過中、程度の差はあっても多くの患者が経験することでありますので、がんを治すこととあわせて、患者のつらさに対して十分な対応をすることが必要となっています。
 条例第16条では、県は、がん告知の段階から行う緩和ケアの充実を図るため、緩和ケアに関する専門的な知識及び技能を有する医療従事者の育成などの施策を実施することを規定しております。患者を「がんの患者さん」と病気の側から捉えるのではなく、その人らしさを大切にし、患者と家族の社会生活を含めて支える緩和ケアの充実について、県の取り組み状況を福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 病気に伴う心と体の痛みを和らげる緩和ケアにつきましては、患者とその家族ががんと診断されたときから、身体的、精神的苦痛などに対して切れ目なく受けられるよう、体制を整備することが重要であります。
 そのため、県においてはがん診療連携拠点病院等を中心に緩和ケア体制の充実に努めているところであり、各がん診療連携拠点病院等においては、緩和ケアに関する専門的な知識や技術を有する医療従事者を育成するため、がん診療に携わる医師等を対象とした緩和ケア研修会を開催するとともに、和歌山県立医科大学附属病院においては、本年4月に緩和ケアセンターが開設されたところです。また、がん診療連携拠点病院等には相談支援センターが設置され、患者やその家族のがんに対する不安や疑問に対応するとともに、心の悩みや体験を語り合う交流の場であるがんサロンが開催されています。
 今後も、がん診療に携わる医療従事者が基本的な緩和ケアを理解し、患者やその家族の立場に立った緩和ケアの充実に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次に、がん登録についてお伺いをいたします。
 現在、日本人の2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで亡くなると言われております。そのため、がん対策を効果的に推進するためには、がんにかかる人を減らす対策とがんで死亡する人を減らす対策を総合的に推進する必要がありますが、毎年どのくらいの人が新たにがんと診断されているのか、その数字を正しく知る必要があり、その罹患数を計測する唯一の方法ががん登録制度であります。
 条例第18条では、県は、総合的かつ効果的ながん対策の実現に向け、がん登録の推進を図ると規定しておりますが、このたび、平成28年1月から、がんにかかった方を登録する全国がん登録が開始されます。
 去る10月8日に、福祉環境委員会の県外視察で国立がん研究センターを訪問し、がん登録について調査されているとお聞きをしておりますが、これまでの取り組みや全国がん登録の制度開始に向けた準備状況、その活用についてどのように考えているか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) がん登録につきましては、がんの罹患数や診断情報等を把握することで罹患率や生存率などを算出する仕組みであり、がん対策の推進の基礎資料として、予防対策の充実や医療水準の向上を図るために活用するものであります。
 県では、平成23年度から地域がん登録事業を実施しており、年間8000名を超える方ががんに新たに罹患している状況を把握しております。さらに、平成28年1月1日のがん登録等の推進に関する法律の施行に伴い、県内の全病院等が参加する国レベルでのがん登録が一元的に開始され、より精度の高い情報が把握できることとなります。
 県といたしましては、これまで、医療機関向けの説明会の開催や、県医師会、病院協会、学識経験者等で構成するがん対策推進委員会の中にがん登録運営部会を設置するなど、準備を進めており、引き続きがん登録を推進し、本県のがん医療の向上に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 最後に、がんの先進医療についてお伺いいたします。
 がんの治療法につきましては、日進月歩で技術革新が行われております。最近、テレビにおいて、日本発の免疫療法が紹介されました。免疫チェックポイント阻害剤という、これまでの抗がん剤とは全く違う仕組みの新しい薬であります。
 従来の免疫療法は、免疫細胞を活性化させる、いわゆるアクセルを踏むことを考えていましたが、どんなに活性化させても、免疫細胞には攻撃をとめるブレーキボタンがあり、攻撃を受けたがん細胞は、このボタンを押すのであります。すると、免疫細胞は攻撃をやめてしまい、がん細胞がふえ、がんが進行していくということになります。研究によりブレーキを踏むというメカニズムがわかって、この新しい免疫療法は、ブレーキを外してしまうという、これまでの免疫療法と全く異なる逆転の発想から研究開発され、がん治療を大きく変えると世界中から期待をされているようであります。
 このような免疫療法につきましては第4の治療法として期待されているところでありますが、現在広く行われているがんの標準的治療法は、手術療法、放射線療法や化学療法があります。
 放射線療法につきましては、エックス線の治療機器や、最近、国内でも建設計画が各地で発表されております重粒子線治療や陽子線治療、新たな治療法として昨年の12月議会で取り上げさせていただきましたBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)が挙げられます。
 重粒子線治療につきましては、全国で千葉市や兵庫県、群馬県、佐賀県で行っており、今後、横浜市や大阪市、山形県、沖縄県で計画があると伺っております。近隣では、大阪市で平成29年度に治療を開始する予定で建設が進められております。
 また、陽子線治療につきましては、全国で17カ所が稼働中、計画中であり、近いところでは、大阪や神戸、京都、奈良などに設置予定となっております。
 BNCTにつきましては、昨年12月の議会において導入について提案をさしていただきましたが、現在、国内4カ所で設置計画が進められており、研究の段階で病院等に設置し、研究が進んでおるというふうに感じております。
 私は、本年4月に東京都の国立がん研究センターを視察、放射線治療科の荒井先生、伊丹先生からBNCTシステムについて説明をお聞きしました。また、茨城県のいばらき中性子医療研究センターも視察、筑波大学の熊田先生から、BNCTの現状、そして今後についてお話をお伺いしてまいりました。
 時間がありませんので割愛しますが、このような形で、こういう機械は、どんどんどんどん日進月歩で進んでおります。それぞれが一長一短があるようでございまして、なかなかこれがいいという決定には至っておりません。
 そこで、今日まで知事にいろいろとお伺いをしてきたわけでありますが、今、改めてこのBNCTについて、その後、県の検討状況はいかになっておるかということをお伺いいたしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)につきましては、新たな放射線治療法として注目をしているところでございまして、施設の導入が進められている南東北BNCT研究センターと国立がん研究センター中央病院に職員を派遣し、設置状況について調査をしております。また、当治療法の最重要テーマの1つとされるホウ素薬剤について研究を行っている大阪府立大学BNCT研究センターにも職員を派遣し、開発状況の調査を行っております。
 しかし、現状では両施設とも医学的な治療実績等の蓄積を行うため機器調整中であるという報告を受けておりまして、これを実現あるいは誘致するというのはちょっとまだ少し早いということで、今後とも調査をしながら、技術革新が目覚ましい領域でございますので、タイミングを失することなく対応していきたいと思っております。
 これまでも、私は、がんの最新治療設備・施設に対してはとりわけ積極的でございまして、ずっと陽子線、重粒子線など、何度も可能性を検討してきました。いずれも採算上の見通しが立たずに、後々県の財政上のお荷物に残すという結果が出てまいりましたんで実現してないんですけれども、申し上げましたとおり、技術がどんどん進んでまいりまして、チャンスはまだあるかもしれません。逃すことなく頑張っていきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事、ありがとうございます。議会も、これからまだまだ勉強を積んでいくと思います。県も、知事を先頭に、どうかこの課題につきましてはよろしくお願い申し上げ、一般質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時50分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従って3項目にわたって質問をさせていただきます。
 まず最初に、農業における後継者養成についてお伺いをいたします。
 私は、農業は県民の命を支える食料を安定的に供給する土台そのものだと思っています。また、国土や環境の保全にとってかけがえのない役割を果たしています。
 しかし、農業就業者の減少や担い手不足により、耕作放棄、農地の荒廃が進行している様子を見て、消費者の立場から大変不安を感じています。子育て中の御家庭の方からも、「子供たちに安全・安心の食べ物を」と切実な声が聞こえてきます。こういった中で、農業に転職した方から相談を受ける機会がありました。1人でも多く農業を担う人がふえてくれればという思いで、質問をさせていただきます。
 42歳の彼は、1人で柿や桃の果樹栽培を手がけています。農業を始めて4年目、今まで働いてきた貯蓄も底をつきかけ、先行きの不安を感じながら毎日頑張っています。県は、年間新規就農者の確保を200人目指すとしています。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 1つは新規就農者の現状、2つ目には新規就農者への支援策、3つ目には後継者対策の強化についてお尋ねをいたします。御答弁よろしくお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 新規就農者の現状についてでございますが、平成26年度までの3カ年の平均新規就農者数は年間147名で、品目別には、約6割がミカンや梅、柿等の果樹、約3割が野菜の栽培に取り組んでおります。また、形態別に見ますと、Uターン就農者が約5割、非農家出身の新規参入者が2割、農業法人等への雇用就農が2割、農家出身の新規学卒者が1割となっております。
 新規就農者への支援策としては、青年就農給付金制度があります。この制度には、農業技術を学ぶ研修期間に最長2年間、安心して研修を受けられるよう所得の確保を目的とした準備型と、農業経営を開始して経営が軌道に乗るまでの最長5年間、所得を補うことを目的とした経営開始型の2つのタイプがあります。平成26年度の給付実績は、準備型が22名、経営開始型が249名で、この制度は新規就農者の確保に大きな効果があると考えており、引き続きこの事業の活用推進に努めてまいります。
 また、農業大学校や就農支援センター、さらにJAが実施するトレーニングファームにおいて、新規就農希望者や経営改善に意欲的な農業後継者等を対象に、収益性の高いもうかる農業の実現に向け、取り組む品目の栽培技術や特性等を学べる体制を整えております。
 今後、就農者の経営が早期に安定するように、各振興局の普及指導員が中心となって、就農に際して必要となる農業経営計画の作成や技術指導、補助事業の活用助言など、引き続き農業委員会やJA等の関係機関とも連携しながら、農業後継者に対する支援を強化してまいりたいと考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 御答弁をいただきました。
 青年就農給付金の制度は、新規就農者の確保に大きな効果があるということでした。その予算と実績はどうなっていますか。
 また、目標達成のためにさらに活用を広げる必要があると思いますが、どういった取り組みをお考えでしょうか。
 農家出身の新規学卒者など、親元農業の支援の拡充も必要と考えますが、制度の要件が改善されたと聞きましたが、効果はいかがでしょうか。
 また、田辺市やかつらぎ町、湯浅町、次いで紀の川市の受給者が多くなっていると聞いています。それは、どのようなことでそのように多くなっているのでしょうか。市町村によって審査の基準が違うように思うのですが、県はどのように考えられているのか、再度お伺いをいたします。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 青年就農給付金の予算と実績についてでございますが、平成26年度の予算は補正を含め5億5727万円で、給付実績は5億3093万円となっており、平成27年度の当初予算は2億8597万円を計上しております。
 新規就農者200名確保の目標達成に向けた取り組みですが、東京、大阪など、県内外において就農相談会を年間10回程度開催しております。また、就農支援センターや各振興局においては、随時相談者の状況に応じた対応を行うことで、就農に向けて着実に進めるような支援を引き続き行ってまいります。
 農家子弟の就農支援についてですが、先ほど申し上げた青年就農給付金制度も平成26年2月に要件が緩和され、5年以内の経営移譲を前提に親とは違う新たな品目に取り組むなどした場合、また、親と別に農地を借りるなどして経営を異にして独立する場合には給付対象となり、現在156名が本事業を活用しております。
 田辺市等で給付金の活用が多い理由は、田辺市、かつらぎ町、湯浅町ではミカンや梅、柿などの果樹農業が盛んな地域であり、紀の川市では多様な品目で特に新規参入者が多かったものと考えております。
 市町による給付金の採択ですが、それぞれの市町において実施されている青年就農給付金に係る審査会において本人との面接を行い、就農計画実現の妥当性等を審査し、適正に決定されているものと考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 先ほども相談があった42歳の方を御紹介したんですけども、やはり和歌山市から、また市外でそうやって畑を借りて始めたと。そういったところで、始めていく上でのいろんな情報とか、そういったことを本当に身近にもっともっと知れるような普及をどんどんしていただきたいなというふうに思っています。
 そういったことを、先ほども教育委員会さんとも連携してとかいろんな機関とということで言われてたので、若い人たちにも農業の魅力とかいろいろなことをぜひとも御紹介とか、どんどん連携を強めていただいて、農業を志す若い人がもっともっとふえていってほしいなということを感想とか──お願いしたいと思います。
 最後ですけど、要望として、戦後日本の農業を中心に支えてきた世代の方が引退すると、そういったことが加速しているような状況で、農家や農業就業人口の減少になってきています。農業就業者の超高齢化も進んで、担い手の面から農業と農村が崩壊しかねないというこの事態を、やっぱり何とかしていかないといけないと、そういう思いで当局も取り組んでくださっているんだと思うんですけども、日本の国の食料生産を誰が担うのか、国土や環境を誰が守るのか。農村地域にとどまらず、日本社会が真剣に向き合っていくべき待ったなしの課題であると考えています。国や自治体、関係団体が、営農や暮らしの条件の根本的な改善と一体で、農業、農村の現在と将来の担い手の確保、育成に特別な力を注いでいく、このことが求められているのではないかと思うんです。
 引き続き、この制度が効果があると──5年たって、その後どんなふうにということも含めて、支援とかいろいろ政策考えていかないといけないことだと思うんですけども。今のこの国の制度をやはり継続し強めていくということで、しっかりと国に働きかけていっていただくことをお願いいたしまして、次の質問をさせていただきます。
 次は、子育て支援について質問をさせていただきます。
 県の長期計画では、保育を必要とする家庭が子供を預けることができないというようなことがない育児環境を引き続き市町村とともに確保するとあります。午前中にも、山下議員のほうから子育て支援についての県の取り組み、そういったことが質問され、お話をいただきました。
 そういう中で、特に私は待機児童の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 この育児環境をつくる、長期総合計画の中では待機児童ゼロというふうに書いていただいてるんですけど、出産後、働きにいこうと思っても預かってもらえないとか、そういった声もお聞きします。そもそも、この待機児童とはどのような状況のことを言うということに、県としては考えられているのでしょうか。
 また、市町村ごとの待機児童の数はどうなっているのか、そしてその原因と解消をどのように考えているのか、福祉保健部長にお尋ねします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 待機児童とは、保育を必要としており、保育所や認定こども園への利用申し込みをしているにもかからず利用できていない児童をいいますが、保護者の私的な理由により待機している場合等は、待機児童には含めないこととなっております。
 ここ数年の傾向として、4月1日時点での待機児童はそれほど発生していないにもかかわらず、10月1日時点ではゼロ歳から2歳の待機児童が発生する傾向にあり、特に、ことしの10月1日時点では県全体の待機児童数が215人と、昨年の倍近くに増加しました。待機児童が発生した市町村は8市町で、多いところでは、和歌山市が152人、岩出市が31人、橋本市が13人となっております。
 出産後、早期に就労を開始することを希望する女性がふえていることや、昔でいうところの孫守りの役割を担ってきた親世代も就労しているケースが増加していることなども、3歳未満の待機児童がふえている要因であると考えています。
 待機児童の解消につきましては、子ども・子育て新制度における直接の実施主体である市町村が、それぞれの地域のニーズを把握の上、計画的な保育所整備等に取り組んでいるところですが、県としては、保育所や認定こども園の整備補助や保育士人材の確保に取り組むとともに、市町村に対し待機児童が生じないよう、強く要請してまいりたいと考えております。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 午前中にも質問の中でおっしゃられていました子ども・子育て新制度がこの4月から実施されて、多様な保育を提供すると、そういったことだったと思うんですけども、先ほど、認定して保育が必要やというようなことがあったにもかかわらず、年度途中でこのような形で215人ということでは、やはり大変な状況だと思うんです。
 私は1人、2人の方からしかお聞きできていないんですけど、本当にごくごく一部の声なんですけども、看護師さんでお勤めして、育休も1年──3年までということでとれますが、3年丸々とると経済的な問題や、母子家庭の方だったので、そういった点で早くお仕事をしたいと。育休を中断して復帰したいということになっても、預けるところでは受け入れてもらえなかったとか、そういうことで、県の担当の方にもそういう状況をお話しして後には改善はしたんですけども、やはりそれはごく一部なので、この215人の方で本当に困られている方が、実際、私は大変な思いをされてるんじゃないかと思うんです。
 また、ある人は、子供さんを出産後、求職でハローワークに行かれるときに、保育所へ預けて、それでしっかりと求職活動したいとか、そういうようなことでされてる方もなかなか保育所で預かってもらいにくいとか、そういうようなこともありました。
 そういう働き続ける、働くためのいろんな環境が、まだまだもう少し目の詰んだ形でもっと支援や保育体制、ぜひやっていかないといけないんじゃないかなというふうに思っています。
 新制度になって、いろいろな状況の変化の途中かもわかりませんけども、一気に倍々になってこの10月途中にふえるということで、この途中からの保育というのを想定した体制とかいうようなことがどうなってるんかなあというふうに思ったんです。
 4月になると子供さんが小学校へ上がられるとかいうことで、また一定受け入れができると、それはわかるんですけども、やはり出産や保育というのは、いつ子供さんを預けたいというようなことになったり、いろんな事情が生じてきたりとかいうようなこともありますし、そういった途中からの保育を想定した体制がとられなくなってきているのかなあというふうには思うんですけど、やっぱりそういったことについての対策を、先ほども積極的にまた──これは市町村の役割が大きい、市町村が進めていくんだということを言われたんですけど、県としてそういったあたりを──先ほど子ども・子育てというか、少子化という面でよく言われるんですが、そういった面での施策をもっともっと切れ目なくということを言われてる中で、ぜひ、目の詰んだ取り組みをしていただきたいと思いますので、そういう点でもう一度、対策など何か考えられてるというのか、対策をぜひ一度、お考えがあれば、ぜひ御答弁お願いします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 年度途中で待機になるという状況の大きな要因の1つに、保育士の不足ということがあります。
 全般的に保育士が不足してる中で、年度途中に保育士を確保するということが非常に難しい、日数も要するということで、そういうことで保育士を確保するということが重要になってます。
 そういうことで、県では、平成26年度から保育士の人材確保事業を始めたところであります。そういったことに力を入れながら、待機児童が生じないように、しっかりと体制づくりを進めていきたいと考えています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 保育士の人材が不足してるというところでは、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいというのと、私は、もう1つは、やはりそういう状況があるというのは──保育所の側が、ゼロ歳の場合は3人のお子さんに1人の保育士さんという基準がありますね。それで、もう1人ゼロ歳の方が保育していただきたいとなったときに、保育所側が保育士さんを1人採用するということは、やっぱり経営的にも大変な面があるんじゃないかなあと。そういった事情や仕組みという制度の中で、やはり保育所も経営もやれるし、子供も受け入れていけるという、やはりそういう実情もぜひもっともっとつかんでいただいて対応していただきたいなということで、最後に要望だけさせていただきます。
 本来、保育・子育て支援政策は、将来を見据えて誰もが子育てをしながら安心して働き続けられる社会条件の整備を目指すものではないでしょうか。いつでも利用できる保育所の整備とともに、安心・安全で、子供たちが健やかに育つ豊かな保育環境の保障が不可欠だと思います。子供の最善の利益を掲げる子どもの権利条約から見ても当然です。「育児休業からの復帰期限が迫っているが入所できない」、「共働きでないと生活できないのに、子供を預けられなくて困っている」など、子育て世代の暮らしを脅かしています。
 年度途中も、ぜひ待機児童が発生することのないように、市町村に対し、県も一緒になって取り組んでいただきたいことを強くお願いして、次の質問に行かせていただきます。
 次は、母子生活支援施設と児童発達支援センターについてお尋ねをいたします。
 この母子生活支援というのは、配偶者のいない母と子が安心して自立に向けて生活ができ、児童が心身ともに健やかに成長することを目的としている施設です。
 児童発達支援センターについては、若竹園というところが県下で唯一、医療型児童発達支援センターというのがあるんですが、就学前児童で通園可能な児童を対象とした総合療育を実施している施設です。
 このことで、今議会において、県の児童福祉施設設置及び管理条例の一部を改正する条例と建物の譲与に関する議案が出されています。その中身は、和歌山すみれホームと白浜なぎさホーム、若竹園の施設を譲渡し、これまで指定管理者制度のもと運営されてきたそれぞれの運営主体の団体に移管するというものです。もともと、これは自治体が本来担うべき公共サービスや公的責任を放棄することにつながると考えます。
 そこでお聞きします。
 今後、施設に対して県の役割はどうなりますか。また、若竹園については譲与に伴い支援内容が医療型から福祉型に変わるということですが、その理由と、医療型から福祉型へ変わるこの違い、また、リハビリ訓練と保育を一体的に実施されてきた医療型の児童発達支援センターが和歌山県からなくなるということについてどのようにお考えなのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 今議会に提出しています母子生活支援施設及び児童発達支援センターの建物の譲与につきましては、運営主体を民間法人に移管することにより施設利用者のニーズに柔軟に対応することができ、提供サービスの向上が期待できること、また、移管先法人の職員の雇用が安定することなどのメリットがあります。
 県としましては、移管後においても適正な施設運営が行われるよう、移管先法人から事業報告や会計報告を提出させるなど指導監督を行うとともに、将来にわたり不安が生じないよう、譲与先と県の責務を明確にした取り決めを契約条項に盛り込むこととしております。
 次に、譲与に伴い、若竹園が事業種別を変更する理由等についてお答えします。
 若竹園が現在実施している医療型児童発達支援の事業については、全国的にも利用者が減少しており、このまま医療型を継続した場合、さらなる経営状況の悪化が予想されます。こうした中で、現在の利用者の支援を継続するため、医療型から福祉型へ変更することで、利用者へのサービスの向上と収支の安定を図ることができると考えております。
 なお、医療型と福祉型の違いについてですが、医療型は機能訓練等の医療サービスと保育サービスを両方提供する施設であり、福祉型は障害児に対する保育サービスのみを提供する施設となります。
 また、若竹園においては、医療型児童発達支援センターとして提供していた医療サービスは、福祉型に移行後も併設する琴の浦リハビリテーション付属病院がこれまでどおり同一建物内で実施することになりますので、利用者へのサービスは低下せず、医療型児童発達支援センターが本県からなくなる影響はないと考えております。
 県においては、児童相談所や県立保健所において児童の発達相談に応じており、その児童にとって適切な福祉サービスにつなげられるよう、市町村や関係機関と連携を図りながら、引き続き支援をしてまいります。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 御答弁いただきました。
 そして、部長の答弁を聞いていますと、ニーズがそういう中で福祉型になってもやっていける、余り変わりないというようなことをおっしゃったんで、今いらっしゃる子供さんはそうかもわからないですけど、本当に一体的に福祉と保育が提供できると、この「一体」というところが、私はやっぱり──例えば肢体のほうでリハビリ訓練するとかいうようなことであれば、今回も病院のほうへ行かれて訓練を受けるとか福祉型のところで保育をされるというようなことであるんですけども、やはり心配するのは、どうしてもこれは通園施設ですし、入院するまでもなくって、ただ食べ物を、食事をするときに嚥下困難で飲み込みがなかなか難しいとか、そういったときに、やはりそこに居合わせた医療スタッフと保育者が一緒になって、子供の安全と、またリハビリをやっていくという、そういう場面が必要な子供もいると思うんです。そういったときに、今度、県下の中でこの医療型発達支援センターがなくなるということでは、そういう県民の皆さんのニーズに応えられないんではないかというふうに思うんです。
 そういった点では、なぜそうなったのかというのは、今のお話を聞いてる中ではやはり経営がなかなか成り立たないというか、国の制度の影響が大きいんだと思うんですが、医療型で続けられないということなのかなあというふうに印象を持ったんです。そういう意味では、ぜひとも保育と医療が一体的に提供できる体制の確保を、ぜひ県の責任で提供できるようにしていってほしいと思いますので、そういうお子さんがあったときにはどのように県が対応しようとされるのかという点、1点だけお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 今後、新たに支援が必要な児童が出てきた場合も、今までと何ら変わることなく、保育が必要な児童に対して若竹園がサービスを提供できると考えてます。ということは、同じ建物内でリハビリ等の訓練が受けられるという体制を今後もとっていきますので、そういう面は安心して受けていただけるというふうに思います。
 それから経営の問題ですけれども、医療型は福祉型に比べて単価が低かったということと、それから利用する児童数が年々減少してきたということが経営が悪化してきた原因でありますので、それが今回の変更によって改善されるというふうに考えております。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 これも子育てをする安心につながる問題だと思うので、やはり障害を持たれて療育や保育する場合の御苦労というのは大変で、そういった中で、子供さん小さいということは保護者の皆さんが若いということですし、やはり生活が給与も大変厳しい中でこういう子供さんを育てられるという中で、しっかりと安心できるような療育環境とかつくっていくということも子育ての大きな役割だと思うので、私としては保育と医療が一体的に提供できるということが非常に大事やと思います。ぜひ存続を考えていただきたいなというふうに思います。
 次に、高齢者医療と医療提供体制についてのところでお伺いをしたいと思います。後期高齢者医療の保険料についてお伺いします。
 後期高齢者医療制度を廃止し、老人保健制度に戻して医療差別をなくすという立場ですが、これ以上、保険料を引き上げないようにということからお尋ねをいたします。
 昨年の4月から、70から74歳の窓口負担が1割から2割へ引き上げられています。また、毎年の年金の引き下げ、ことしの4月から消費税5%から8%になり、介護保険料も引き上げられました。生活が苦しく、生きづらくなっていると言われています。今までも申し上げてきましたが、県の後期高齢者医療財政安定化基金を活用して保険料の増加抑制の措置をとるべきではないかと考えますが、福祉保健部長、お答えください。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 平成28年度、29年度の和歌山県後期高齢者医療の保険料は、現在、和歌山県後期高齢者医療広域連合で試算中であります。和歌山県後期高齢者医療財政安定化基金は、原則として医療費の急増による財源不足など短期的な変動に対応するためのものであり、保険料の増加抑制に活用することは特例であるため、まずは、和歌山県後期高齢者医療広域連合が剰余金を活用することになります。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 剰余金を活用して保険料引き下げに充てていくかどうかは広域が決めることになってくるかと思うんですが、広域のあり方ということでいえば、剰余金というのは保険料を皆さんから医療給付の見込みを入れて集められたお金ということで、この間、広域連合のを見ますと20億以上の剰余金があるかと思うので、そういった面では、今の県民の生活、特に後期高齢者の皆さんの生活状況を見ながら、やっぱり保険料の引き下げをしていくべきと思います。県として下げなさいよみたいなことは言えないのはわかっていますが、そういった中で、ぜひ協議をしていっていただきたいなあと思います。
 もう1つは、今、国からの通知で平成28年、29年度、保険料率の試算についてというのが来てる中で、広域連合において保険料増加抑制のために財政安定化基金からの交付を見込む場合には各都道府県と協議を行っていただきたいと書かれていることから、取り崩しをできないということではないというように受けとめてよろしいんですか。負担が重くのしかかる暮らしを考えて引き下げを検討していただきたいと思うんですが、そういった面では、この取り崩しの問題では絶対だめだということではないということでよろしいんですかね。この点について、もう一度だけ再質問させていただきます。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 和歌山県後期高齢者医療広域連合が剰余金を活用しても、なお保険料が大幅に上昇する場合には、和歌山県後期高齢者医療財政安定化基金の活用を検討することになります。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 広域のほうも、医療の給付費をかなり見込んで、そのことを想定して保険料をかなり集められて、実際は剰余金ができてるという中で、本当に介護保険料やこの後期高齢者医療保険、いろんな負担がふえて、消費税増税の問題でも、ひとり暮らしのある女性の方は、もう年間やっぱり10万円消費税でふえたというぐらいに言われている中で、生活がやっぱり非常に大変やというところにぜひ心を寄せていただいて、保険料をぜひ考えていただきたいということで要望させていただきます。
 引き続いて、次は、地域医療構想策定の進め方についてお尋ねいたします。
 昨年成立した医療介護総合確保法に基づき、都道府県は来年度までに地域医療構想を策定することが義務づけられました。全国で43万床、県内で3000床の病床削減指標が示されて、地域からは不安の声が上がっています。
 地域医療構想とは、病床機能を高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つに分類して、国が示した指針に基づいて2次医療圏ごとに2025年における機能別の必要病床数を明らかにしたもので、病床機能の再編を進めることを目的にされています。県内7つの医療圏ごとに、地域の医療、介護、福祉、自治体関係者で構成する圏域別検討会で、今年度までに各圏域の案を策定予定です。その後、県は、各圏域の案をもとに県地域医療構想を策定します。策定の根拠となるのが、国によって示された地域医療構想策定ガイドラインです。ガイドラインでは、2025年における病床区分ごとの医療需要を推計し、これをもとに都道府県が推計値を出すことを定めています。この推計値をもとに、検討会で圏域ごとの必要病床数が議論されることになります。
 そこで、福祉保健部長にお伺いします。
 医療需要の推計の仕方をどう考えられていますか。実情に合わせた医療構想を具体的にどう進めていこうとされていますか。また、その間の議論の公開をすべきと考えますが、いかがでしょうか。この点について御質問します。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 地域医療構想は、急性期、回復期、慢性期から在宅に至るまで、将来の医療需要を2次保健医療圏ごとに推計し、病床機能別の必要病床数など必要な医療提供体制の構築を目指すものです。
 医療需要の推計の方法は、今後の推計人口、現在の患者の受療状況や保健医療圏域間の入院患者の流入、流出などの状況を踏まえて、国が示す地域医療構想策定ガイドラインに沿って算定されるものです。
 県としましては、県民が将来にわたり必要な医療を受けることができるように、現在、保健医療圏ごとに圏域別検討会を開催し、地域の実情を反映するため、市町村や医療関係者等の現場の意見を十分聞きながら、丁寧に策定作業を進めているところです。
 今後、地域医療構想を取りまとめるに当たり、県民の皆様にパブリックコメントを実施するなど、それから医療審議会でも公開ですることを考えてまいりたいと考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今のこの推計していくということが、どれをもとにして医療ビジョンを考えていくかというのが非常に大事なことやと思うんです。それが先ほど言うたように、レセプトをもとに推計したり必要病床数を出すということで、私が非常に思うのは、地域の実態をどうやって、潜在的な医療需要とか、そういったことが全く──どう考慮されていくんか。それも含めてやっていかないと、機械的な当てはめになってしまうのを危惧してるわけです。
 そういったところをぜひとも、今でも医療費の支払いができなくて、病院には毎月行くとこを2カ月に1回行くとか、毎週行かなあかんとこを2週間に1回にするとか、そういったことで変わってきますよね、医療推計も。そういうこととか、無保険の人とか通院がなかなか困難やというようなことで病院に行きたくても行けないという、そういった実態なんかもどう反映されていくんかというようなことも含めて、今、やっぱりしっかりと必要病床数を考えていくようにしてほしいということを思うんです。
 国は、この許可病床数に対して稼働病床が少ないことを理由にして病床削減の正当性を強調しているように私は思うんです。こういったやり方をすれば、本来の必要とされる病床の利用率が低いことを理由に、もう限りなく病床が減らされると、そういった仕組みになっていくんじゃないかということを指摘させていただきたいと思います。
 先ほど、パブリックコメントということもおっしゃられたんですけど、やっぱりちゃんと各7つの医療圏域の──2次医療圏域の保健医療圏計画ってありますよね。あそこの中には、きちっとかなり各圏域ごとの医療需要なんかが分析されてると思うんです。そういったことをぜひしっかりと反映させて検討していただきたいなということを要望させていただきます。
 最後でございます。
 在宅医療の推進と訪問看護に携わる看護師の人材育成ということで、地域医療を守り、全ての患者さんに安全で行き届いた治療を保障することを基本の上、本人が希望すれば在宅での医療が受けられる十分な体制が必要です。そのためには、今後ますます訪問看護の役割が大きく求められると思います。人材育成をどのように考えていますか。福祉保健部長、よろしくお願いします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 居宅、介護施設や高齢者住宅などを含めた在宅医療提供体制の構築につきましては、在宅医療の総合相談窓口として、在宅医療サポートセンターを2次保健医療圏ごとを基本に設置し、かかりつけ医登録・退院時の紹介制度、急変時受け入れ病院の確保、主治医・副主治医制などかかりつけ医の支援体制、訪問看護ステーションや薬局同士の連携体制などのネットワークづくりを進めることにより、地域で安心して在宅療養を継続できるように取り組んでいるところです。
 とりわけ、在宅医療を推進する上では、かかりつけ医の指示のもと、直接在宅療養者の支援を行う訪問看護に携わる看護師の役割が大変重要と考えております。そのため、訪問看護ステーションと医療機関に勤務する看護師の相互理解を深める研修や、訪問看護ステーション等の看護職に専門的な知識を習得してもらうための出前講座を実施してきたところです。
 今後、訪問看護ステーションの管理者の資質向上と、新たに訪問看護に参画する看護師に必要な知識と技術を習得させるための研修などを実施し、人材育成に取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、御要望させていただきます。
 今、在宅医療ということが、よく入院医療と対比して言われたりする面があると思うんですけども、在宅医療ということについては、やはり患者さん自身が希望すればというようなことで、よく病院から在宅へということで非常に困られてるとか、また、ある病院で入院されてて次が行き場がないとか、そういったこともしばしば聞いたりとかもしますし、そういう中で、やはり在宅医療というのは、その人自身が人間らしく過ごしていけるということが基本にあって、その医療をやっていくということが大事だと思うんです。
 それを支えていくスタッフということになれば、やはり在宅で過ごされる中では、御家族の条件やらいろんなことにかかわってきますし、また、介護でいえば仕事を介護のために離職しなければいけないとか、さまざまなことになってくると思います。こういったことは本当に県民的な議論をしながら、最後どこで人生を閉じるかという問題も含めて、県民みんなが十分議論ができるようなことの中で、在宅医療がどうあるべきかということもまずしっかりと考えていく上で取り組んでいっていただきたいなということを強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○浅井修一郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず、質問に入る前に、先般「おもてなしの心で県民総参加」を合い言葉に開催されました紀の国わかやま国体・わかやま大会が、目標でありました男女総合優勝、天皇杯を獲得するなど、盛会裏のうちに閉会されました。これもひとえに、知事を先頭に国体推進監、推進局を初め、全職員、そして、競技開催市町村の皆さん、大会運営に御協力くださいました多くのボランティアの方々に、議員の1人として心から感謝を申し上げます。
 そして、何よりも、これらの大会を1つの目標として日々頑張ってこられた選手の皆様方に心から敬意を表しますとともに、今後より一層の御活躍を心から御期待を申し上げたいと思います。本当に御苦労さまでございました。
 さて、本日の一般質問でありますが、河川や道路の問題、また防災・減災対策や医療、福祉、教育の問題等々、たくさん質問させていただきたいところでありますけれども、私の今の心境は、それどころではありません。したがって、今回は、元気な和歌山の実現に向けて、「守ります、まちと優良農地。」についての1本に絞り、質問をさせていただきたいと思います。
 それでは、当局のお顔が見える対面式のほうへ移動させていただきたいと思います。
 まず、本題に入る前に、知事の議員、議会に対するスタンスについてお尋ねいたします。
 仁坂知事は、前知事の官製談合事件で県政が大混乱の中、経産省の官僚をやめられ、知事選に立候補されました。当時、私は、「和歌山県人とはいえ、また官僚か」と思いながらも、二階代議士の「よろしく」の一言で応援をさせていただきました。
 当選後の仁坂知事は、入札制度改革を初めあらゆる問題、課題に向かって積極果敢に取り組まれ、数々の政策を迅速かつ的確に進めてこられたと思っています。そうした知事の判断力、そして決断力と行動力に、心から敬意を表する次第であります。
 そのきわめつけは、平成23年9月の台風12号による紀伊半島大水害に対する対応の速さで、驚くほど感心をいたしました。被災された県民をしっかり守っていくといった心のあらわれではないでしょうか。知事は、職員に対して暴言を吐くとか、厳しいとか、きついとか時々耳にしますが、決して暴君ではないと思います。なぜなら、私自身も口は悪いですが、決して冷淡な人間ではありません。私が心から尊敬している知事であり、今後も微力ながら応援団員の1人でありたいと思っているところであります。
 昨年暮れの知事選では、地元有田市がミカンの収穫、出荷で猛烈に忙しい時期での選挙戦でありましたが、寒風吹きすさぶ中、一生懸命、仁坂知事の支援を訴えてまいりました。その訴えに対し、多くのミカン農家の皆さん方も「仁坂知事、頑張れ」と棄権することもなく、忙しい合間を縫って投票されました。知事、どうかそのことも忘れないでほしいと思います。
 そこで、今回改めて知事のスタンスを尋ねる理由について申し上げます。
 まず、8月11日の13時から「守ります、まちと優良農地。」という内容で記者発表がありました。この日は、国体の関係から9月定例会の日程を早めるため、午前中、議会運営委員会が開かれています。そして、1週間後の盆明けの8月18日に9月定例会が開かれました。その翌日には、有田市へ県職員10数名が徒党を組むかのごとく押し寄せ、説明に行ったそうであります。その中で、議事録に残りますので言えませんけれども、農家の皆さんが聞けば激怒するような発言もあったそうであります。
 当局がそのような大がかりな説明を必要とするほど重要な内容であるならば、地元に説明する前に、まずその代表であるそれぞれの議員に説明があってしかるべきではないでしょうか。当局は、議会運営委員会、定例会と説明する機会があったにもかかわらず、何の説明もないため、自民党県議団新島会長に依頼し、当局を呼んでの勉強会が10月23日にやっと開かれ、説明を受けたところであります。
 今、この手元に8月11日、「守ります、まちと優良農地。」についての記者発表がありますけれども、その記者発表後の質疑応答において、読売新聞の記者の「これは、今始まったのか。もう既に始まっているのか」との質問に、知事は「もう既に始まっていますね。各首長さんとお会いするごとに『これは大事ですから、県も本気になってやりますからね』と言っていきます」と答えられています。
 知事は、大事だ、本気になってというような重要な施策にもかかわらず、我々議員に何の説明もなく、議会との話し合いもない。これは、条例でもなく運用の問題なので一々説明したり相談する必要もないということでしょうか。あるいは、盆前の多忙な時期に記者発表し、定例会、国体、わかやま大会といった大イベントが続くそのどたばたの中で、地元選出議員に何の説明もなく各市町村に説明して回り、議員から何か言ってくれば説明すればよい、そういったようにも思いますが、私の考え過ぎでしょうか。
 知事は、初当選された平成19年1月臨時議会の冒頭、当時の向井議長を背に、「県民から選ばれた県議会議員の皆様は、それぞれの有権者の願いを受けておられることから、十分に意思の疎通を図り、車の両輪として、ともに県政を進めてまいりたいと考えております」と発言されております。その後、2期目当選時、平成22年12月定例会、谷議長、同3期目、昨年12月定例会、坂本議長の前で、やはり「県当局と県議会が車の両輪となって」云々と述べられております。
 今回のことを見ていると、本当にそう思っておられるのか疑いたくなってしまいます。私から言わせれば、車の両輪というよりか、子供が自転車に乗れるまでの後輪の両サイドにつける補助輪といった感じで、うまく乗れるようになると必要もなく、かえって煩わしい、そういった子供用自転車の補助輪程度ぐらいしか思っていただいていないのではないかと思ってしまいます。何とも残念で寂しい限りであります。
 改めて、我々議員に対するスタンスをお聞かせください。
○副議長(藤山将材君) ただいまの浅井修一郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、県当局と県議会は車の両輪として協力して、ともに県政を推進していくものと考えております。これは決して口先だけではございませんで、本当にそう思っております。就任してから、新政策、予算、基本的な計画の策定に当たっては、県議会の皆さんや市町村長懇談会等において事前に説明をさしていただいたり、意見を十分に聞いてきたつもりでございます。
 就任したとき、今から考えますと、県のそれまでの流儀をたっぷり経験いたしました。これは、県議会の皆さんにお知らせするのは大体発表の直前、それも県議会でオーケーを出していただかないといけない案件だけというような感じでございました。これはいかんということで、例えば、そのときに部下が言ったことは、新聞などに漏れてはいけませんのでというような話がありましたが、そんなものは別に構わんということで変えてきた──これもつもりでございます。ただ、多少は実感をしていただいているんではないかというふうに思います。
 最近でも、例えば、これは県議の方々からもお寄せいただいた意見をもとにということなんですが、公共調達の方法を業者さんのために少し変更しようとしています。その中には、年度末に工事が集中してぐあい悪いというようなことを解消する方法も入っております。
 しかし、発表しようと予定していた日に、実はその前に「ちゃんと県議の先生に言うときなさいよ」と言ったら、それが間に合わないということになったもんですから、ちょっと発表を控えてるというような事態もあります──ということでございます。
 今回の施策は、本年2月に公表いたしました平成27年度の新政策においてその基本方針を明らかにさしていただいて、それで県議会に対しても御議論をいただいた、その流れの政策なんですけれども、具体策の検討をその後ずうっと行いまして、取りまとめができたので、「事前に県議会筋に説明しておけよ」と、それから「市町村長さんも同じだよ」というふうに言って、私も忙しかったものですから、それができてると、はっきり言うと、思っておりました。
 しかし、後から聞くと、これは直前かつ一部の方だけというのが議会に対する説明であったということで、これは事前の議会に対する説明が不十分であるという議員の御指摘は、まことにそのとおりであります。心から陳謝をいたしたいというふうに思っております。
 その上で、今後は重要政策の推進に当たりましては、従来以上に丁寧な説明を心がけてまいりたいと思っております。
○副議長(藤山将材君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 少しちょっと行き違いがあったかもしれませんけれども、これからも相談し合いながらというあれを聞きましたので、1つの安心はしましたけれども。
 当局からうちの事務所に電話が入りまして、どうしても説明したいことがあると言って、わざわざ県庁から有田まで押しかけくることもたびたびありますけれども、内容を聞きますと、何もこんなん有田まで来て説明するほどのこともないやないかということがたくさんあります。書類に関しても、毎日のように県議会の事務局のほうから封筒で送られてきますけれども、ほとんど見てもさほど影響はないような書類ばかり、たくさんあります。私は、もったいないから裏紙としてコピー用紙として再利用をさしていただいておりますけれども、その面ではありがたいなというふうに思っているところであります。
 それでは、本題に入りたいと思いますが、一般質問の冒頭、自民党県議団を代表して、岸本議員からこの点についてあらゆる観点から質問されております。全くそのとおりであるというふうに思います。
 そこで、同じような質問をしても同じ答弁しか返ってこないと思いますので、私は地元有田市に視点を置いて質問をさせていただきます。
 まず、有田市におけるかんきつ栽培のこれまでの概要について、少し述べさせていただきたいというように思います。
 有田市では、農業産出額の約8割を温州ミカンが占めておりますので、ミカン農家に元気がないと、市内の飲食店初め各商店などの売り上げも落ち込み、まち全体の活気がなくなってしまいます。
 これまでのミカン生産を振り返りますと、全国的には、統計が残る昭和25年以降、生産量は徐々に増加し、昭和50年に約360万トンとピークを迎えます。その間、我が国の経済がかつてない高度成長期を迎え、果樹の需要が急増したことや稲作転換対策事業など、国の施策で米の生産調整が行われたことから、水田転換園、いわゆる地畑でのミカン栽培が進みました。
 しかし、昭和47年になり、生産が需要を大きく上回る状況に転じたことから価格が暴落し、以降、価格低迷が続きました。このため、昭和50年代にはミカンから他の品目への転換を促進する種々の事業が実施され、その後も昭和60年の需給調整の強化や園地再編対策、ウルグアイ・ラウンド関連施策などによりミカンの生産量は減少し続け、平成26年の全国生産量は87万トンと、ピーク時の3割未満となりました。
 一方、本県の状況を見ると、全国と同様に水田転換園でのミカン栽培が進み、昭和38年には新植面積1155ヘクタールのうち水田転換園が652ヘクタールと、全体の56%を占めるといった状況でした。
 生産量がピークの約38万トンとなった昭和54年以降、全国と同様に減少傾向をたどってきております。その減少割合は、県全体で5割程度、有田市に限れば約4割程度にとどまっております。これは、ミカンの需給不均衡やオレンジの輸入自由化など、ミカンを取り巻く情勢が厳しくなる中にあっても、たゆまぬ努力により生産性の向上を図りつつ、産地の競争力を維持してきたことによるものと考えられます。この間、県もその時々の産地の課題に向き合い、生産基盤の整備、隔年結果の是正、高品質化のためのマルチ栽培の導入、品種改良といった面で大変努力されてきたことを十分承知しております。
 しかし、生産効率向上のために植栽された水田転換園がミカン栽培にとって優良農地と考えるかどうかということにつきましては、少し考える必要があります。もともと、ミカンは水はけや日当たりのよい傾斜地で栽培されてきており、それが品質の高いミカンづくりの基盤となっていることは言うまでもありません。傾斜地は、生産性が低いという課題もありますけれども、糖度の高いミカンを生産することができます。
 一方、水田転換園は、生産性が高いものの、高品質なミカンをつくるためには、マルチ栽培や排水対策など技術や経費が必要となる上、園地によっては傾斜地に比べてどうしても品質を高める上での限界があります。
 私は、今、ミカン栽培に求められているのは、量ではなく質であり、消費者の求める品質の高いものを届けることだと思います。県では、高品質化のためにおいしい極わせ品種「YN26」を育成するとともに、有田市の宮原地区で発見されました浮き皮になりにくい「きゅうき」を、県のオリジナル品種として導入を推進していただいております。
 一方で、ミカン農家の高齢化や後継者不足などにより耕作放棄地が増加してきていることからも、品質のよいミカンを栽培できる本当の意味での優良園地に再編していくべきではないかと考えています。
 こうした思いをさらに強くしたのが、今回のTPP協定交渉の大筋合意であります。県では、TPP協定発効後の8年間で、何も対策を講じなければ温州ミカンの生産量が10%減少、中晩柑の価格が32%減少すると想定し、かんきつ産出額が35.7億円減少すると試算している状況において、合意を境にミカン農家の将来への不安が大きくなっていることを肌で感じており、今後、ミカンづくりをやめる人がふえてくることを懸念しております。
 一般的には、農業経営を次世代に円滑に継承するためには優良農地の確保は極めて重要であると思いますけれども、有田市においては、これまでミカンづくりで生きてきた方々に他品目への転換を進めることは容易ではありません。また、将来に対する不安から、平たんで農業以外でも利用価値が高い水田転換園の他の用途への転用を望む声も聞きます。
 以上が我が有田市のかんきつ栽培の現状であり、農地を守ることも大事でありますけれども、まず第一に、農家を守ることが何より重要ではないでしょうか。
 知事の記者発表の内容を見る限り、おおむね和歌山市の市街化調整区域の乱開発を防ぎ、優良農地の保全対策を進め、中心市街地の空洞化を食いとめようとすることが主に書かれているように思います。それで果たして、ぶらくり丁のシャッター街が再興できるでしょうか。
 もし私が和歌山市で買い物をするとすれば、高い駐車料金を払って、衣料品、食料品、日用品と各店舗を歩き回りながら買い物をするでしょうか。何かどこにもない特別な品物が売っているなら別でありますが、それよりも無料駐車場完備の大型店舗へ行くでしょう。そのようなことだけでは、中心市街地の活性化は図れないと思います。人が足を運ぶためには、何か珍しいものが、あるいは興味や魅力があるか、また、何かのメリットがあるのか、そういった目的がなければ行くことはないでしょう。
 話をもとに戻しますけれども、地元有田市は、初島、箕島、宮原とJR3駅があるものの、高速道路から外れ、陸の孤島と言われており、本当に悔しいかな市全体が空洞化と言っても過言ではありません。
 しかしながら、おいしいかんきつや新鮮な魚介類、豊富な文化財、風光明媚な自然に恵まれ、すばらしいまちであります。市内3駅の周辺ではそれぞれのまちが形成され、広さも県内唯一の村であります北山村さんより11平方キロメートル少ない37平方キロメートルと狭く、まさにコンパクトなまちであります。
 一方、農地については、農家の方々は先ほど申し上げたように利用価値が高い水田転換園の転用ができるものと信じ、厳しい条件の中、ミカン経営に頑張っておられます。
 以上のようなことから、本市においてはまちづくりと農地転用の厳格化とは何ら関係ないものと思います。
 そこで、知事にお尋ねします。有田市における「守ります、まちと優良農地。」についてどのようなお考えでしょうか、お聞かせください。
○副議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 有田市を愛し、ミカン農家と苦労をともにされ、ミカン農家の今後とミカン産業の振興を思いやる浅井議員の御発言とその背後にある情熱は、まことに胸を打たれるものがあります。私も、言われたことの多くの部分は同感でありまして同じ意見なので、その意味で、実は大変心苦しいところがあるわけであります。
 私も、農業や農家のためにこれまでも尽くしてまいりましたし、今後もそうしていきたいというふうに思っております。さらに、この政策、すなわち「守ります、まちと優良農地。」の政策によって損をするかもしれない方々には気の毒だという気持ちは持っておりまして、この間、岸本議員の御質問で申し上げましたように、できることなら宅地転用をしてもうけるなどということもさしてさしあげたい、ところが、それができないので悩ましいというようなことを申し上げたとおりなんでございます。
 その上で、お答えを申し上げることで2点申し上げたいと思います。
 まず、ミカン農家と農業の将来、あるいは農業政策という問題であります。2つ目は、なぜその提案しているような政策が必要かということでございます。
 第1に、平地にあるミカンがあんまり生産性がよくないということは、そのとおりだというふうに思います。お話にありましたように、今は赤字だけれども、あるいは赤字でないのかもしれないが苦しいけれども、後で転用して売るということを楽しみに今はやっているということでは寂しいというふうに思うわけです。その人が寂しいと言っても、その人が悪いというわけではなくて、何とかその事態を改善しなきゃいけないというふうに考えてるということであります。
 それには、我々は、より効率的に生産でき、もうけも見込まれる、例えば果樹にふさわしくない地域については、野菜、花卉に転用し、それも安定した経営の望まれる施設園芸への転換を1つの選択肢とし、それをお助けするということで手厚い政策手段を用意しております。
 次に、岸本議員に御答弁申し上げたように、やはりなろうことなら虫食いではなくて一団の優良農地を確保して、営農農家に効率的な経営をしてもらおうというふうに思っております。そのため、農家の都合でもう耕作はできない、自分の年齢等々で耕作はできないという人の農地の貸し借りをもっと盛んにして、その貸した人から地代を取ってもらおうというふうに考えておりまして、これは国の政策でもございますが、農地中間管理機構や、それをサポートするような協議会、そういうものを用意して、今、頑張ろうとしておるところでございます。
 先ほども申し上げましたように、転用すべき土地で、転用することができる土地であれば、そうできたらそれにこしたことはないのですけれども、それはなぜ自由に転用していただいたら困るのかということについて、次に申し上げたいと思います。
 第1に、農業もそんなに諦めていいのかという問題がございます。優良農地を一団で残したいということは、残さなきゃいけないというのはそもそも法の精神でもございますし、我々もそのように思って、まだ諦めていないということであります。
 2つ目は、1つのまちで、実はこの辺の土地利用について厳しくした、都市計画と農地規制を厳しくしたときに、より自由な、隣のまちは自由であるからということで逃げてしまうという問題があります。これは不公平だと、自分たちが損するだけでまちの活性化にはならないという議論が出て、それで結局はやろうと考えたまちも何もできないということになるというのが予想されます。そこで、一応は県の権限が強い農地規制を一律にかけておいて、まちのそれぞれの計画で抜いていくべきだというふうに思っているわけでございます。
 第3は、有田市自体の問題であります。有田市は、伝統のある古いまちであります。また、津波、水害も予想される。したがって、それもあわせてまちの再編も考えて、より高いところへの移転も考えなきゃいけない。そのために外縁部での拡大もある程度必要であるということは、私たちもよく、そう承知しております。
 しかし、どこでもいいやということになりますと、有田市自体がいずれ、かつて和歌山市が経験したようなさまざまな問題点が出てくるし、現に今でも、例えば有田市中心市街地の空洞化とか、あるいは衰退とか、そういうのが現に起こってるということは明らかであると思います。
 したがって、ゾーニングを市と県で相談してやって、農地規制をそれに合わせて緩くしていくというのがより合理的ではないか、そんなふうに思っているわけでございます。現実の問題として、有田市もそうであろうかと思いますが、そう人口はふえない中、どこへでも行ってよいと言ったら、町なかの衰退はとまらないと思います。
 有田市の再生のためには、再開発とか再編とか、これは私は絶対必要だと思っておりますが、そのための再開発でやるミニ開発も含めて、そういうときの住宅あるいはオフィスが、どこへでもオーケーですよと言ったら、そういうプロジェクトのところへ集まってこない。だから、いつまでたってもプロジェクトができないということになるのではないかというふうに思います。
 すなわち、外側でどこでもいいよということになると、今市街地である地域に活気とかにぎわいとか、そういうことを期待するのは無理であります。また、資産価値が下がって、例えば売って老人ホームへ入ろうというような人が、随分資産が下がってしまって困るというようなこともあります。
 しかも、こちらには大勢の人が現に住んでいるわけでありまして、その大勢のこの辺の方々のことをやはり考えないといけないんじゃないか、こういう人を見捨てることになってはいけないというふうにも思います。また、財政が悪くなる。なぜならば、その市道とか下水道とか水道といった都市施設を広いところにつくらなければならないということになったら、将来の有田市の負担、それはひいては市民の負担ですが、それがなかなかとまらなくなるというのは自明の理だと思います。
 そこで、御説明申し上げてるように、まずゾーニングを有田市で相談しながらやっていただいて、それに合わせて農地規制を緩くして再開発を町なかでやると。それは、大都市でできるような大きなものだけではなくて、今まで農地を潰してどんどん行われていたミニ開発なども既成市街地へ向ければいいんじゃないか、そんなふうに思います。
 市長が言われるように、まちをこれから改造していかないかん。その際に、まちの真ん中のインフラもよくしていかなきゃいけない。そうすると、代替地も確保して、津波や水害に弱いところから強いところへ移ってもらわないかん。そのために、外側へもある程度拡大をする必要がある。そういうときは、そのとおりだと思いますので、それにあわせて農地転用も協力をする。そうすれば、市の財政もそんなに悪化させないでうまくいくんではないか、そんなふうに思います。
 ゾーニングをして、やはり農地とした残りのところは、農地として農業を一生懸命やろうということで農業振興するわけですが、そこでどうしてもやめたいんだと、もう年だからやめたいんだという人は、やる気のある人に借りてもらって収入を得る。その際に、ゾーニング内にいた人、つまり宅地化してもいいといったところにいた人でやる気のある人は、どんどんその外側で営農してもらって参入してもらったらいいんじゃないか。
 これでも、実は一部の農家の方でもくろんでいたもうけが減ったという人も絶対出てくるんでございます、一部。それは物すごく気の毒でございますけども、この人たちのことだけ考えて、ほかの大勢の人の将来はどうでもよいと、知らんというわけにもいかんし、知らないふりをするということも、少なくとも私はできない、これが悩ましい今の状況でございます。
 こうしたとしても、有田市は、まだ具体的に話は進んでおりませんけれども、かなり外へ広げないといけないまちの1つであろうということは明らかであろうと私は思います。
 今後、なろうことなら、浅井議員の御協力も得て、有田市とよく話し合ってこの辺を解決してまいりたいと、ここの中では思っております。
○副議長(藤山将材君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 言葉は非常にまろやかなんですが、内容は余り進んでないようにも思うわけでありますけれども。
 また箕島駅周辺の実情については後ほど述べさしていただきますけれども、先日、紀の川筋のある首長さんとお会いする機会がありまして話をしまして、今度一般質問しますからと言いますと、「浅井さん、知事と幾ら議論やってもかみ合わないと思うし、勝ち目がないからやめといたほうがいいんと違う」というふうに言われたわけですけども、私は知事ほど頭はよくありませんし、浅学非才な私でありますから、知事に議論で勝とうとは決して思っておりません。
 しかし、やはり農家の本当の気持ちを伝える、これをどうしても伝えたい、この一心だけでございますので、これ以上深く議論はいたしませんけれども、事情はまた後ほど追ってしたいというふうに思います。
 それでは、次にこのことについて県土整備部長にお尋ねをしたいと思います。コンパクトなまちづくりとはどういうことなのでしょうか。教えてください。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) コンパクトなまちづくりとは、人口減少や高齢化が急速に進展する中、地域の活力を維持していくため、地域の拠点となる既成市街地において一定の人口密度を維持しつつ、高齢者を含む全ての住民が公共交通により多様なサービスにアクセスできるなど、日常生活に必要なサービスが住まいの身近に存在するまちづくりのことを指すと考えてございます。
 このため、郊外部における一定の開発を抑制するとともに、既成市街地に教育文化施設、医療施設、子育て支援施設、商業施設等の都市機能施設を集積させた中心拠点を整備し、居住を中心とした他の生活拠点との間を公共交通で結ぶことにより、高齢者を含む全ての住民が生活に必要なサービスによりアクセスしやすいまちづくりを行っていくことが必要であると考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 すばらしい答弁であり、すばらしいまちだというふうに思います。
 それでは、有田市におけるコンパクトなまちづくりとは、部長の考えで結構ですからお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 有田市においても、人口減少や高齢化が進む中、中心市街地の活性化が重要な課題となっていると認識しています。
 平成15年に策定されました有田市都市計画マスタープランにおいても、宅地開発などによる市街地の拡大で既成市街地周辺部に人口の集積が進んでいることから、既成市街地の活性化と周辺地の計画的な市街化の誘導が、都市整備上の課題とされております。
 このため、計画的な市街化を誘導するとともに、このマスタープランにも示されているように、箕島駅周辺を中心拠点として都市機能を整備することにより活性化させ、例えば初島地区、宮崎地区など、既存の集落を生活拠点として一定の整備を行い、これらの拠点間を公共交通で結んでいくことで有田市におけるコンパクトなまちづくりにつながっていくものと考えております。
 なお、既に有田市においては、既成市街地におけるにぎわい創出の核とすべく、箕島駅周辺に市民会館や図書館の建設を計画しております。さらに、都市機能や居住機能を計画的に誘導するための立地適正化計画の策定にも、今年度から着手したところであります。
 こうした取り組みは、まさに有田市におけるコンパクトなまちづくりを実現しようとする取り組みであり、県としても必要な支援を行っているところでございます。
○副議長(藤山将材君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 部長の答弁で、今、箕島駅周辺を中心拠点として都市機能を整備することにより活性化──例えば、初島、宮崎というふうな形であれしたわけですけれども、実際に、高速道路のインターチェンジに近いのは宮原、糸我地区のほうが近くて、今そちらのほうが便利だということで寄っていってるわけですね。
 だから、その箕島駅周辺はもちろん大事なんですが、じゃ、その箕島駅周辺の現状はどうかというと──旧箕島市街地ですね──町なかというのは大地主さんがおられまして、箕島の町なかの約25%ぐらいは5軒の家で所有されてるんです。その1軒に県の職員さんの御子息もおられます。
 私が子供のころから、自分のうちから箕島駅へ歩いていくのに、よその土地を踏まなくても行けるんだというふうな話を聞いたことがあるぐらい、箕島の町なかというのはそういった大地主さんがおって、借地、借家が多い。そういう中で、今それが郊外へ出ていってる。
 それが、今、虫食い状態だというふうに言われてますけれども、かえって虫食い状態が進んでくれるほうが──今、消防車も救急車も入りません。二輪車だけの路地がほとんどです。市長も、幹線道路をつけたくて南北道路をつけたいと思っても、そういった事情からなかなか、地権者の関係とか物すごく狭い路地が多いために立ち退きの件数が多い、そういったことからなかなかその道路の整備ができない、防災面でも非常に今苦慮してる、そういった現状なんです。
 だから、すかすかになってもらって初めて区画整理ができるような状況。それを、逆にまだ市も我々も、早くもうちょっとすかすかになってくれれば、今現在すかすかになってるところは駐車場になったり、道路がちょっと拡幅されたりして対向できるようになったりなっています。まだまだそれが進んでいただきたいと願ってるような状況なんで、そこら辺もちょっと御理解をいただきたい。
 先日、知事も出席していただきましたけれども、桜ヶ丘病院の成川先生も、わざわざ山の上から箕島の駅前へ桜ヶ丘病院を新築移転していただきました。これは、箕島駅前の活性化を図ろうという狙いもありますし、患者さんが非常に便利だと言って喜んでいる、そういったところもあって、これから市民会館の建設とか図書館とかいろいろやっていきますので、それはそれで有田市としては箕島駅前周辺の整備を進めていってる。そういうような中でまちづくりをやっている。だから、あえて今そのほかのところを農地転用の規制を厳粛化してやっていく必要はないのではないかというのが、今私の心境であります。
 それでは、次に同じようなことで農林水産部長にお尋ねいたします。
 優良農地とはどういう農地をいうのでしょうか、教えてください。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 優良農地とは何かということでございますが、優良農地についてはさまざまな要素が考えられます。
 例えば、1つ、高品質な農作物が生産できる農地、2つ目として土地基盤整備が進んでいる農地、3つ目として集団性があるなど良好な営農環境を有する農地がございます。
 そのような中で、今回の「守ります、まちと優良農地。」という施策で守ろうとしている優良農地とは、将来の農業の再活性化につながるポテンシャルを有する農地と考えており、具体的には、農業振興地域の整備に関する法律で定められている農用地区域内農地、農地法でおおむね10ヘクタール以上の一団の農地や、土地改良事業等の施行に係る区域内にある農地等の第1種農地と考えております。
○副議長(藤山将材君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 では、有田市における優良農地とはどういうことでしょうか、教えてください。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 議員御指摘のとおり、有田市の主要な農業であるミカン生産において、傾斜地は、生産性は低いものの、高品質な果実が生産される優良な農地です。一方、水田転換園である平たん地は、省力化や低コストが図られ、作業効率や生産性が高い上に、近年は園地改良や技術革新、高糖度系品種の導入など、品質の高いミカンが生産できる優良な農地も多く存在します。
 さらに、区画整理された水田転換園は、ミカンだけでなく中晩柑や野菜、花卉などの施設栽培にも適しており、意欲ある担い手農家にとって魅力的な生産基盤で、優良農地であると考えております。
○副議長(藤山将材君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 水田転換園は、ミカンだけでなく中晩柑や野菜、花卉などの施設栽培にも適しており、意欲ある担い手農家にというふうな今答弁いただきましたけれども、じゃ、中晩柑、晩柑類で今和歌山でどういったものが推奨できるかというと、愛媛県なんかの場合だったら媛まどんな、甘平、そういった晩柑類がたくさんありますけれども、和歌山ではもう清見も既に限界が来てるような状況だし、ほかにこれかというようなあれもないと思うんです。
 それから、その野菜とか花卉にかえろというのは、これはこじつけじゃないかと、私に言わせれば。それで、意欲ある担い手農家にとって魅力的な生産基盤、優良農地。そしたら、今農家やってる人は意欲が全然ないのかというような言い方に聞こえます、これでいくと。意欲ある担い手農家にとっては魅力的な生産基盤で優良農地であると。今やってる農家の人は、何か意欲がなさそうなような、意欲なくつくってるような言い方で、非常に失礼だというふうに思いますよ。まあそれはそれでいいでしょう。
 じゃあ、本市で、その有田市の優良農地を守るために、農地転用許可の厳粛化の必要性についてちょっと教えてください。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 農地が虫食い状に蚕食されることを防ぎ、優良農地を保全し、将来的に引き継ぐために農地の転用を厳格化していくことは、有田市においても必要と考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 部長、農家が県行政の中でどこを頼って一生懸命農業をやってられるんですか。農林水産部じゃないんですか。農家を守るための農林水産部でしょう。農家は、農林水産部がこういうふうにして財産を吸収するようなことをすれば、農家は県行政のどこを頼ったらいいのよ。福祉保健部で──どないして生きていったらいいのかって、福祉保健部を頼ったらいいのですか。情けないですよ、農林水産部としては。農林水産部が農家を守らなくて、何を守るんですか。もうこれ以上、答弁を求めても仕方ないですから。
 今回の「守ります、まちと優良農地。」、これは、決して間違っているとか悪いとか思いません。むしろ、すばらしい内容であると思います。しかし、その内容が県内全ての市町村にマッチしているか否かということであると思います。記者発表の内容を見ましても、明らかに和歌山市の市街化調整区域の乱開発をさせないよう規制し、外縁的な拡大を防ぐことによって中心市街地の再興を図り、コンパクトシティーを構築しようというのが狙いであると思われます。
 そのために、農地転用許可の厳粛化を図る必要がある。しかしながら、これは和歌山市だけを厳しくするのは不公平だから、県下一律にしなければならない。何かそのあおりで、県内各市町村の農地転用許可の厳粛化に結びつけられているような気がしてなりません。
 先日、那賀総合庁舎でありました新政策に係る市町村長懇談会の席上、望月有田市長がこの件について知事に訴えたとおりであります。また、九度山町長さんの意見に対して、知事は「それは農家ではなく、農業をやっていた人の老後を守るという話ではないか」と答えられております。
 知事、農業をやっていた人の老後を守ってはいけないんでしょうか。長年、農業で一生懸命頑張って農地を守ってこられ、退職金もなく、年金だけで固定資産税や電気、ガス、水道等の生活に必要な諸経費を払い続けていけるでしょうか。また、高齢になれば、病気になったり足腰が弱くなりやすく、医療費や高齢者施設への入所費用等を確保するために、必要に応じて畑の一部を売却し、その費用に充てることができるようにしてあげるのが人の道ではないでしょうか。ましてや、我々議員や県当局は、全ての県民をあらゆることから守っていかなければならない立場ではないでしょうか。
 知事は、いかなる災害に対しても県民の生命や財産をしっかり守るとおっしゃっております。このままでは、災害が起こる前に農家の財産が失われてしまいます。どうか知事、知事の権限、判断基準で農家の財産を取り上げないでやっていただきたい。切に切にお願いを申し上げる次第であります。
 我々、地元の声を県政に反映させるべく、代弁者としての役割を担っている議員の意見が聞き入れられるまで、機会あるごとに申し上げ続けてまいりたいと思います。
 以上、強く要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、浅井修一郎君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時49分散会

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