平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 皆さん、こんにちは。
 議長からお許しいただきましたので、早速、一般質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 国体に関しての質問は、今回で5回目となりました。11日間の紀の国わかやま国体、3日間の紀の国わかやま大会、それぞれお天気に恵まれ、目標としていた総合優勝、天皇杯を獲得でき、大変すばらしい大会となり、和歌山県の感動的な歴史の1ページとなりました。
 12月3日の感謝の集いで、改めてその記憶がよみがえり、選手の皆様と喜びを共有できました。わかやま国体の応援には、開会前の体操、新体操、セーリング、そしてバスケットボール、開会式の後には陸上、サッカー、テニス、ホッケー、ウエートリフティング、ハンドボール、自転車、ソフトテニス、相撲、フェンシング、柔道、ソフトボール、バドミントン、ライフル射撃、剣道、カヌー、ボウリングなど20競技、わかやま大会では車椅子バスケットボールや卓球の2競技を応援に行き、大変楽しまさせていただきました。
 県選手団の活躍はもとより、県外の選手たちもすばらしいプレーで、全国のハイレベルな試合を身近で観戦でき、大いに興奮いたしました。また、どの会場にも観客が大勢おられ、応援にも温かみがあり、これだけスポーツに熱心な方がおられることに驚きを感じたところでございます。
 県民の応援が、不思議なもので、勇気と感動、そして和歌山勢に勢いを与え、思わぬ実力を発揮できた、そんな試合をたくさん見ることができました。
 特に楽しみに応援に行きました国体の終盤に行われました剣道、6月議会でも申し上げましたが、ことし4月に行われました第63回都道府県対抗試合で初優勝した勢いはそのまま続いており、少年男子、少年女子は惜しくも準優勝となりましたが、成年男子、成年女子はどちらも初優勝を飾り、剣道競技で総合優勝、東京勢を突き放し、天皇杯獲得に大いに貢献できたと思います。私の恩師が剣道連盟の責任者として御苦労されておりましたし、関係者の方々にもお世話になっていましたので、毎年の国体も応援に行ってました。格別の感があります。
 全ての競技の選手、監督、大会関係者の方の御苦労に敬意と感謝を申し上げます。また、大会をお支えいただいた大勢のボランティアの方々がいたからこそ成功できたものと、深く感謝申し上げます。
 県民総参加の国体での感動や自信は、きっと和歌山の底力となり、県民の皆様の喜びにつながったはずです。また、感動だけではなく、和歌山に大きな経済効果ももたらしました。国体の経済波及効果につきましては、和歌山社会経済研究所や関西大学の宮本勝浩名誉教授の2カ所から発表されておりました。いずれも大きな効果を予測しておりました。
 最初に、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会、知事としての総括と和歌山県にもたらしたその経済効果について、仁坂知事にお聞きをしたいと思います。
 2点目に、立命館大学産業社会学部ゼミでスポーツ社会を専攻している大学生の方々から取材がありました。開会式の後でお会いし、私なりに彼らの質問についてお答えしましたが、大会規模などの簡素化や効率化に努めたことや、新たな取り組みとして充実化、活性化されたことなど、質問等もありました。この和歌山らしさについて、知事に改めてお答えをいただきたいと思います。
 また、どの会場でも、学校の配慮で小中学生の観客を大勢見かけました。児童生徒に与えた影響も大きかったことを考えると、今後引き続きスポーツ王国和歌山の復活にもつながる施策を講じるべきと考えます。和歌山の競技力は全国レベルになったと証明されました。
 しかし、今後その競技力をどのように維持していけるのか、知事の方針が大きく影響していきます。国体の結果が下位のほうでは、誇りに思えるはずがありません。県民に勇気と誇りを持ってもらえるためにも、今までの施策の継続性が必要です。それはコーチや指導者にかかっていると思います。今後の競技力向上についてのお考えをお示しください。
 国体で大いに盛り上がったわけですが、今後、県民力をどのように維持していかれるおつもりか、その対応についてお尋ねをします。
 かつて、議会で申し上げましたように、スポーツを通じて高齢者も若者も元気になります。施設も充実し、世界大会も開催できる環境も整いました。先ほどにもありましたように、国体・大会を通じて約76万人が参加されたということです。スポーツは、する、見る、支えると、大きなエネルギーやパワーにつながります。スポーツを通じての観光振興、スポーツツーリズムをいかに進めていかれるのか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 以上、最初の質問といたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) さきに開催いたしました紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会は、全国から集まったトップアスリートによる熱戦が県内各地で繰り広げられて、大きな感動とともに閉幕いたしました。議員の御質問の中のお言葉を拝聴しておりますと、あの感動がよみがえってくるということで、目頭が熱くなります。
 国体では県民の悲願であった男女総合優勝、続く大会では史上最多の127個のメダル獲得と、和歌山県の選手たちが大いに躍動し、すばらしい結果を残してくれました。
 また、競技会場には、連日多くの観覧者が詰めかけて熱い声援を送り、和歌山県選手の活躍に歓喜するなど、選手と観覧者が一体となって夢と感動を共有できた大会であったと思います。
 加えて、御指摘のように、会場運営を初めとしたボランティアや開閉会式の出演者など、多くの県民の御参加によりまして、県民総参加で心のこもったおもてなしができた、すばらしい大会であったと考えます。
 両大会では、選手、監督を初め大会関係者も含めて、おおむね見込んでいた規模の76万人の御参加がありました。その経済効果については、選手、監督や大会役員、応援の方々など、県内の宿泊施設が大勢の宿泊客でにぎわったほか、開閉会式会場内に設置したきいちゃん広場というのがあるんですが、そこに出店された業者の皆様からも、総じて売り上げがよかったとのお声をいただくなど、県産品の売り上げ増加や公共交通の利用増加なども含めて、全体として大きな効果があったと考えております。
 また、これは一過性のものでは決してございませんで、大変評判がよく国体・大会を終えられたので、その来られた方々が、本番中は競技に大変熱心で、なかなか観光などというのには関心が回らなかったかもしれませんが、あそこはいいとこだったということで、これは今後の観光につながっていくと思います。
 それから、国体を目指して施設をつくったり、あるいはインフラが格段に進捗いたしましたが、そういうのもまた産業活動とか県民の生活とか、あるいは観光とかに役立っていくので、これをまた利用せないかんというふうに思っているところでございます。
 第2は、和歌山らしさということでございますが、両大会を開催するに当たっては創意工夫を凝らしまして、和歌山らしさを前面に打ち出すことを心がけて取り組んでまいりました。具体的には、簡素で効率的な運営──財政力がそうないところでございますので、そういうこと──それから和歌山らしさを基調とした会場と式典内容、それから県民総参加によるおもてなしの3点を目指したわけでございます。
 簡素で効率的な運営については、競技会場の整備に当たり、県内の既存施設を最大限活用するとともに、県外の施設も有効に活用する方針を決定いたしました。県内に開催基準を満たす施設がない4競技は県外で開催するとともに、競技用備品の共同購入を行うなど、全体として負担の抑制に努めてきたわけでございます。
 会場と式典については、総合開閉会式の会場である紀三井寺運動公園の整備については、会場の緑をそのまま生かしつつ、ミカンの木の植栽とか、和歌山の森や海をイメージさせる会場づくりを行いました。国体の総合開会式における式典前演技や大会の開会式における歓迎演技では、大勢の県民の御参加によりまして「紀の国の“みち”」と題したパフォーマンスを行いまして、来賓の方々からも賞賛の声をお聞きいたしました。
 この最後の場面では、県内では歌を歌ったり楽器を弾いたりする方が大勢いらっしゃる──これは和歌山の特色であると思いますが──そういうところに実は目をつけまして、グラウンドと観客席が一体となってベートーベンの第九交響曲「歓喜の歌」を演じてもらった。これは、みんなびっくりして、とても盛り上がりました。張会長が「我々は県民総参加で心に残る国体をしたい」というふうにずっと言ってきたんですけども、「まさに、心に残る国体になりましたね」というふうに言ってもらったということで、よかったんじゃないかと思います。
 それから、おもてなし、これを随分「お願いをいたします」と県の方々にずっと言ってまいりました。いつまでも心に残る大会運営を目指して県民総参加で力を入れてきたところでございまして、花いっぱい運動やクリーンアップ運動を積極的に展開していただきました。また、運営ボランティアでも、これは物すごくて、延べ4900人の募集を大きく上回る約6000人の応募をいただきました。大勢の県民の皆様の御参加をいただきながら、かつ、まちの方々もおもてなしの心で接していただいて、大変行き届いた大会運営ができたと思っております。
 次に、今後の競技力向上についてでございます。
 今回の紀の国わかやま国体を一過性のものにせず、国体で得られた財産を生かして今後の競技力向上に取り組んでいかなければならないと考えております。先催県を見ると、中には開催年には優勝はしたが、次から見ると急に順位を下げているというような県もございます。スポーツをすることは、それ自体すばらしいことでございますので、国体で盛り上がった火を消してはいけないというふうに思っております。
 そのためには、競技力向上においては、やっぱりジュニアからの育成が必要不可欠で、ジュニアから少年、成年へとつなげる一貫指導体制の構築とか維持、これが非常に重要になってまいります。このために、ジュニアや少年の競技レベルを高める指導者の存在が大変大きいわけでございます。今回の国体で成果を上げたすばらしいコーチや指導者には、今後もその指導力を十分発揮していただきたいと思いますし、それから国体で本番として、自分が選手として活躍してくださった成年の方々も、これを優秀な指導者になってもらうように育成をしていくということで、次世代にまた有力な選手が続々と出てくるということを目指したいと思います。
 スポーツで元気な和歌山の実現に向けて、予算水準は多少落ちるにしても、選手強化とか指導者育成などのために支出をある程度続けたいと思っておりまして、そのために予算を議会に認めていただきたいと考えているところでございます。
 このようにしながら頑張って取り組んで、今後も高いレベルを維持するために頑張りまして、当面は国体10位台を目標に頑張りたいと思っております。
 次に、県民力の維持でございます。
 議員お尋ねの県民力について、私は、今回の国体並びに大会では、挨拶・おもてなし運動、花いっぱい運動、クリーンアップ運動、県民歌の普及の県民運動に多くの県民に参加をいただいたことで国体・大会が成功裏に終わり、県民に自信と誇りが高揚されたと思っております。
 このような県民運動は、今後とも防災とか防犯とか福祉、教育などの幅広い分野で地域を支える重要な基盤ともなると思います。この機運を継続発展させていくことができるように、花いっぱい運動や挨拶運動など、多くの県民が参加する取り組みを応援してまいりたいと思います。
 また、国体を目指して、タクシーの運転手さんとか、あるいは旅館、ホテルの従業員の方々に研修に参加してもらったりいたしました。レベルが随分上がったと思います。これは、今後の例えば観光の振興にも役に立っていくんで、この流れで皆さんにも頑張ってもらいたい、そのように我々も力を用いたいと思っております。
 それから、スポーツツーリズムでございますが、これまで本県はスポーツを核とした観光に取り組んでまいりました。今回、国体が開催されて、各施設及び高速道路などのインフラ整備が進んだことを受けて、さらに条件が整ったと思っております。加えて、御指摘のように国体での県民総出のおもてなし運動によって、受け入れ体制もかなり充実してきたと思います。これらのことを踏まえて、今まで以上にナショナルチームとかあるいはプロチームの本県のキャンプの誘致に取り組んでまいりたいと思っております。
 幸い、国体に向けた施設改修もございまして、ことしは北京世界陸上に出場するオーストラリアナショナルチームが紀三井寺陸上競技場や田辺スポーツパークで事前キャンプを行ってくれたほか、ラグビートップリーグのNTTドコモレッドハリケーンズとか近鉄ライナーズとか、そういうのが上富田スポーツセンターで強化合宿を行ってくれたりもいたしました。今後とも、市町村や競技団体とともに積極的に誘致に取り組んでいきたいと思います。
 次に、国内スポーツ合宿の誘致でございます。
 紀の国わかやま国体における県内開催競技では、1万9000人の監督、選手が県外から訪れ、本県のスポーツ環境や県民のおもてなしを心にとめていただいたというふうに思います。
 このようなきっかけを最大限に生かせるように、合宿等の受け入れ体制の充実を積極的に情報発信しなければならないと考えております。幸い、多くのスポーツ施設が整備されたので、「スポーツ王国わかやま合宿ガイド」──ちょっと名前が強過ぎるかもしれませんが──の一層の内容充実を図っているところでございまして、あわせてPRパンフレットも更新し、合宿等を扱う旅行会社へのセールスも強化してまいりたいと思っております。
 また、スポーツツーリズムの振興による地域活性化は、県のみならず地域も主体的に行う必要がありますが、現在、田辺市など5市町が主体となって南紀エリアスポーツ合宿誘致推進協議会を組織し、合宿誘致事業を展開しておりまして、県では、わがまち元気プロジェクトとしてこれを支援するということでございます。
 こうした動きを民間団体あるいは民間企業も含めて県全体に広げていくことが重要でございまして、国体を成功裏に終えた今がそのときであると考えまして、気を抜かないで県が主導して、より多くの活動を芽吹かしていきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁ありがとうございました。
 スポーツでも県民の夢を与え続けていただきたいと強くお願いをする次第でございますし、今、知事から御答弁いただきましたように、競技力向上を維持していくということで国体で10位以内を目指すと、これ、もう本当にすばらしいことだと思いますんで、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。
 2つ目の質問に移らせていただきたいと思いますけども、2つ目は「教育立県和歌山を目指して」についてお尋ねをしたいと思います。
 経済協力機構(OECD)2013年の調査によりますと、日本の教師は最も多忙であることが明らかになりました。1週間の労働時間は世界平均の38時間を大幅に上回る54時間、しかし、授業や生徒の指導に使った時間はその半分にも満たない20時間、事務事業などに多くの時間が割かれているのが現状です。なぜ、教師が多忙になっているのか。当然、子供たちにも影響が出ているはずです。少し前の学校に比べると、今の学校の現状は、この図を用意しましたのでちょっとごらんいただきたいと思います。(資料を示す)
 これは「チーム学校」のイメージでございますけども、かつては円の中にありますように、教員はこの教科指導、生徒指導、特別活動、いわゆる学級活動や児童会、生徒会などの教科以外の活動、そして学校行事、部活動、それに進路指導などが教員としての仕事でした。それに保護者への対応、地域への対応、教育事務、会計事務、発達障害等への対応、暴力行為等への対応、不登校への対応、いじめへの対応、家庭や友達、それに学校での心のケア、そして新たな課題への対応などがふえて、子供に向き合う時間がどうしても減ってきている現状があります。
 学校も閉鎖性が指摘されてきました。今日の教育改革が示すように、開かれた学校づくり、地域や保護者に信頼される学校づくりが進み、学校運営協議会が設置され、学校と保護者や地域の皆さんがともに知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることで一緒に協働しながら子供たちの豊かな成長を支え、地域とともにある学校づくりを進める仕組みとなりました。
 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなども配置されるようになり、本県では、スクールカウンセラーは小学校87校、配置率35%、市町村立中学校100校、配置率83%となっております。ソーシャルワーカーは22市町、高校3校という現状でございます。
 また、学校支援地域本部として、きのくに共育コミュニティも立ち上げております。また、学習や学校支援のボランティアなどもあります。
 行政でも、消防や警察にも御協力いただいております。特に、暴力行為等の問題もふえている現状です。昨日も中本議員の質問にもありましたけども、平成26年、小学校では47件、中学校では414件、高校では104件となっています。このことへの対応で、もともとがスクールサポーターとして教員OBや青少年指導員などを配置していたものを、現在は学校支援サポーターとして警察OB8名の方の配置になっております。教育現場からの要望も多いと伺っております。
 フリースクールは、不登校の子供たちを対象に学習の支援や体験活動等を行う民間の施設。そのフリースクールにどのような公的な支援ができるのか、文科省は有識者会議を立ち上げ、検討に入っております。安倍総理もフリースクールを視察されたと報道されておりました。学校教育の関係者からは異論のあるところでしょうが、多様な受け皿となるかどうか、文科省の判断が転換点となるかもしれません。
 不登校の公的な教育支援センターとして、適応教室があります。平成26年度、県内には和歌山市こども支援センターや岩出市フレンドなど、12市町13教室で現在123名の児童生徒が学んでおります。
 夜間中学は、さまざまな理由で義務教育を卒業できなかった15歳以上の人を対象にした中学校、設置は各都道府県に任されていますが、和歌山県でも文科省から予算措置があり、現在研究していると9月議会で藤本議員の質問にお答えされておりました。現在、自民党・公明党、与党でチーム学校推進議員連盟で仮称・チーム学校推進法案を検討。教員の指導体制の充実、専門的人材の配置、事務職員の配置などを行い、校長の学校運営への支援などを検討されております。校長がマネジメントを図り、教員は教科指導等に専念できる、子供にもっと向き合える教育現場という点で、今後の国の行方に期待をしたいと考えております。
 教育についての大きな枠組みは国に検討してもらうとして、現状の問題認識についてどのようにお考えになるのか、質問をしてまいりたいと思います。
 まず、学校現場において教員が多忙となっている現状についての認識を教育長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 教員の多忙化につきましては、本県の県立学校の全教員を対象に行いました勤務時間実態調査におきましても、時間外勤務を月45時間以上している教員が約3割程度いる状況でございます。その中には土・日曜日とも勤務している教員もおり、大きな課題であると認識してございます。
 議員御指摘のように、近年、急激な社会の変化に伴いまして、いじめや暴力行為等の問題、特別な支援を必要とする児童生徒数の増加や不登校の児童生徒の割合の増加など、学校現場を取り巻く環境は複雑かつ困難化してございます。
 また、事務処理量の増加あるいは保護者への対応、部活動の指導も加わり、教員一人一人の業務がふえていることもその要因と考えられてございます。教員が子供と向き合い、子供の成長をしっかり支えていくためにも、多忙化の解消に向けた対応策を講じることは必要であると考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今、御答弁にもございましたけども、県立学校の勤務時間実態調査では、月45時間以上の時間外勤務の教員が約3割と、土日も休みなしで働いていらっしゃるという御答弁でございました。これは、県立学校の教員だけの問題ではないと思います。1日平均すると2時間の時間外勤務に相当します。中には、それだけでは終わらず、自宅に仕事を持ち帰っているケースも多いのではないかと推察いたします。
 和歌山県でも、平成21年度からこの問題を捉まえて、学校マネジメント支援に関する調査研究事業を行っております。この事業の狙いとして、教職員の業務負担についての把握を行い、会議や調査などの精選、学校と教育委員会の情報の共有化の推進、校務分掌の適正化を図り、教職員が子供たちと向き合う時間をより確保するとしております。
 現場と向き合えなければ、根本的な取り組みとならないと思います。学校マネジメント支援調査研究事業をどのように生かされているのか、調査研究とその後の対応について教育長にお尋ねしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 教員の多忙の改善が課題となっていることから、本県では平成21年度から4年間、文部科学省の事業を受け、7市町の協力を得て、児童生徒と向き合う時間を確保するために、教育委員会や学校、各教員がそれぞれどのような工夫や取り組みができるのかについて研究を進めてまいりました。
 これらの研究から、会議の精選や事務処理の簡素化等、各学校が組織として取り組める内容について、教員の勤務負担軽減のポイントとしてまとめるとともに、教員がみずからの勤務状況を振り返るためのチェックリストを作成し、多忙化の軽減のための提案をしてきたところでございます。
 また、それらの成果につきましては、各学校現場に応じた工夫や改善と児童生徒のための教育活動の充実に向けて活用できるよう冊子に取りまとめ、県内の全ての公立学校に配布するとともに、ホームページに掲載し、改善に努めてございます。
 しかしながら、先ほど御答弁申し上げましたように、依然として教員の業務は多岐にわたり多忙な状況が続いていることから、この研究の成果と各学校の具体的な取り組みを把握し、多忙の改善につなげてまいりたいと考えてございます。
 また、現在、庁内では、将来に向けて課室を超えて勤務の負担を軽減するための会議や部活動の有識者会議を立ち上げてございまして、多忙化解消に向けた取り組みを進めているところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今の御答弁にございましたけども、平成21年からこの取り組みを始め、解消に向けた形で有識者会議等も立ち上げたというふうにおっしゃっておりましたけども、平成21年からすると、もう7年がたってるわけでございます。この間、教育長は何人か交代されておりますけども、現状は変わらないままだというふうに指摘したいと思います。
 ぜひ、国の出方を見守るだけではなくて、児童生徒、子供への影響ということは少なからず僕はあると思いますので、待ったなしにできることをやっていただきたい、こういう観点から再度、教育長の決意をお伺いしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 先ほど申し上げた中に、庁内の会議の中では、もう既にどのような調査とか文書の発送でありますとかを、早速ことしのものから精選するようにということで作業を進めさしてございます。
 また、部活動の有識者会議におきましても、今後、中学校の部活動のあり方について、結論が出次第、どういうふうなあり方があるのかということも周知していきたいなあというふうに考えてございます。
 私も、校長時代ということもございましたので、先ほどの期間、校長でおりましたので、例えば校務分掌について、私は多分8分掌あったやつを5つに集約してやりましたし、また会議もできるだけ少なくするというようなことも実際取り組んできてございますので、そういうことは私もその都度、各校長にも話をしてございますので、できることから取り組んでいきたいなあというふうに思ってございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 次の質問に移りたいと思います。
 「『教育立県和歌山』をめざして」と、昨年の和歌山県教育広報紙「きこら」、平成26年7月に発行されたこれでございますけども、(資料を示す)この中に、表には「『教育立県和歌山』をめざして」と、こんなふうに書かれておりますし、今後5年間さまざまな取り組みを実施しますと、こんなふうに書かれております。
 ところが、この中を見ますと、1つは「いじめ問題に、県、学校は総力をあげて対応します」、2つ目に「道徳教育を充実し、豊かな心を育みます」、3つ目に「学力の向上をめざします」、「体力・運動能力の向上をめざします」、「世界で活躍できる人材を育てます」、「ふるさと教育を一層進めます」、「高校生の就職状況の改善をめざします」と、7つの項目を挙げておりますけども、この中で不登校への取り組みについて見当たりません。
 ことし報告された不登校児童生徒数では、小学校でワースト1位、中学校でワースト3位となり、大変重い受けとめ方となっております。昨年の不登校の実態は、小学校でワースト2位、中学校でワースト13位と、悪い状況であることに間違いありませんが、取り組むべき課題として取り上げられておりませんでした。要するに、学力やいじめの問題など、最低レベルにならないと取り組む課題から外れてくるんじゃないかと、こんなふうに疑問も思うところでございます。
 不登校の問題でいいますと、ワースト1位になったのは昨年だけではありません。ちょっと調べただけでも過去に3回ありますし、ここ10年見ても取り組みで大きく改善されたとは言いがたいものとなっております。
 不登校は、学校問題の入り口のような感じですが、一人一人を大事にするという点では学校の総合力、教育の総合力にかかわると私は思っております。この問題を解決しないと、教育立県和歌山というのは難しいと言わざるを得ません。
 9月定例議会でも、中拓哉議員の質問に対し、来年度の重要施策として取り組むと知事も御答弁されております。ことし、総合教育会議の議事録を確認いたしましたけども、知事の本気度を感じました。私も議会で何回か質問さしていただいておりますけども、特に平成19年12月には、有田市で開かれた教育セミナーで、「不登校ゼロへの挑戦」というタイトルで──この和歌山で開かれたセミナーですね──このタイトルで講演された宮崎大学・小野昌彦教授の、不登校への初期対応の目標は欠席3日、そして連続でも断続でも欠席が3日になった時点で要注意とし、本人が動き出すまで待っているのじゃなく、早期に手を差し伸べることの重要性を紹介し、学校組織として連携について申し上げてきたつもりでございます。
 学校教育の根幹にかかわる問題、なぜ改善されないのか、不登校対策がなかなか進まない中、教育長としてどのようにお考えか、お伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 不登校につきましては、私も就任時におきまして、学力問題のみならず、いじめや不登校は喫緊の課題であるというようなことでお話をさしていただいてまいりました。不登校につきましては、出現率が全国に比べ高く推移していることから、スクールカウンセラーによる教育相談体制の充実や、スクールソーシャルワーカー等を活用したチームによる組織的な支援体制の整備などをこれまでも図ってまいりました。さらに、本年4月からリーフレット「不登校を生まない集団づくり」を全ての学校で活用し、未然防止に努めてまいりました。
 しかしながら、本年8月に発表された昨年度の不登校出現率が全国平均を大きく上回っておりました。教育委員会としましては、大変憂慮すべき一大事となっていることを厳しく受けとめ、これまでの取り組みを点検し、より正確に児童生徒の状況を把握し、不登校対策に現在取り組んでいるところでございます。
 また、今月、不登校問題の第一人者を招聘した有識者会議を設置いたしまして、第1回会議を開催したところでございます。本会議は月1回、計5回程度開催し、本県の不登校児童生徒の実態や取り組みを分析するとともに、不登校問題の解消に向けた具体的な方策について提言をいただこうとしてございます。この会議においていただいた提言につきましては、取り組めるものは速やかに実施するなど、改善に向けた今後の施策に生かしてまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 本来なら、もう少し話を進めていきたいところでございますけども、来年度の重点施策ということでございますんで、それに期待をして次の質問に移らしていただきたいと思います。
 この不登校の個別な対応として、適応教室やフリースクールなども視野に入れるべきことも検討すべきではないかと思いますけども、この適応教室やフリースクールについてのお考えを教育長にお尋ねしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 不登校になった子供たちにつきましては、まず学校がチームとして対応し、学校への復帰を目指して支援することが重要であると考えてございます。また、不登校には一人一人多様な要因があるため、市町が設置している適応指導教室での相談活動や学習支援、体験活動などを通して、不登校児童生徒が学校生活に復帰できたケースもあります。
 県教育委員会といたしましては、県内にある適応指導教室の関係者を集めた情報交換の場を設けるなど、復帰支援の好事例を市町村に今後広めていきたいと考えてございます。
 また、フリースクールにつきましては、先ほど議員御指摘いただきましたように、現在、国のほうでの議論が進んでございまして、不登校に関する調査研究協力者会議やフリースクール等に関する検討会議において、法制化も含めて議論されておりますので、その動向を注意しながら教育委員会としての役割も研究してまいりたいと思ってございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 次の質問に移りたいと思います。
 学校現場の中で子供と接する教員が一番困るのが、心の問題ではないでしょうか。教科を教えることはマスターしているとしても、家庭や友人関係、学習到達度、さまざまなことの対応について話を聞く力、そしてそれへの対処力についてはもっと研修を進めるべきと考えます。
 和歌山県教育委員会でも、教育研修の1つとして、認知行動療法に係る研修講座として昨年から実施していただいております。
 受講者の感想を少し紹介しますと、「実際に学校で認知行動療法の視点を取り入れて子供たちとかかわることによって、生徒の本心を聞くことができる場合もあるように感じました。参考にして生徒とかかわっていきたい」、また、「どの考え方も悪いことではないが、偏った考え方が児童生徒自身を苦しめてしまわないように、いろいろな考え方を提案してあげることが大切だと感じました」とありました。
 心のケアについて、どのように教育長はお考えか、お聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 児童生徒の心のケアにつきましては、学級担任が中心となり、全ての教職員が児童生徒に正面から向き合い、理解を深めながら対応することが大切であります。その上で、校内の教育相談部会などの校内組織を機能させながら、家庭と連携をとり、児童生徒の心のケアに努めてございます。
 さらに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門性を持った外部人材を活用いたしまして、児童生徒と保護者の支援を行ってございます。
 また、県教育センター学びの丘におきましては、教育相談研修や認知行動療法を取り入れた研修を実施しており、カウンセリングマインドや人間関係づくりの手法を活用することの大切さを学ぶ機会を設けてございます。
 今後とも、実践に生かすことのできる研修の実施や専門性を持った外部人材を有効に活用いたしまして、学校と家庭、関係機関が緊密に連携をとりながら、不登校問題等の解決に組織的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 続いて、総合教育会議についてお尋ねをしたいと思います。
 教育委員会の新しい制度として、今年度、既に2回開催されております。このたびの総合教育会議には、教育長や教育委員はもとより、知事、副知事、総務部長、環境生活部長なども入り、活発な意見交換が行われております。
 議事録を読ませていただきました。それぞれの立場で意見を述べ合い、有意義な会議と受けとめております。不登校をテーマに有識者の意見を伺ったりしておりますが、今後どういう総合教育会議にしていかれるおつもりか、知事にお尋ねをしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 教育制度が変わりまして、知事の権限が強まりまして、総合教育会議ができたわけでございます。
 その前に、この制度が改正の原因になっとるわけですが、よそでは、教育問題は教育委員会の所管なので責任はないとか知らないとか、そういうような態度を示す首長も、報道などではよく目にいたしました。
 しかし、私は、教育は県政の最重要課題だと思っておりますので、これまでも教育委員会と必要に応じて協議を深め、もっと露骨に言うとうるさいことも言い、一緒に教育行政を進めてきたつもりでございます。
 しかし、考えてみますと、それは教育長とかあるいは教育委員会の幹部職員、そういう人たちを通じてやってきたわけでございまして、教育委員会の方と直接議論する機会は正直言って余りなかったなあというふうに思っております。今回、そういうのができました。
 第1回総合教育会議では、御指摘のように教育をめぐる諸課題についていろいろ議論をして、第2回会議では、喫緊の課題である不登校対策について一緒に話を聞き、協議を行いました。出席者というかメンバーからは率直で忌憚のない意見が出されたと思いますし、私は大変有意義な会議であったと思っております。
 これからも、日ごろから教育委員会との関係を一層緊密にもちろんするわけですが、総合教育会議も活用して、そこでいろんな意見を出してもらってレベルを上げて、それでそれぞれ責任のある、今度は行動部隊が行動していくということで、実効性のある対策を立てるべくやっていきたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 大きな3項目めの質問に移らせていただきたいと思います。
 まち・ひと・しごと、地方創生についてお伺いをいたします。
 移住定住大作戦として、ふるさと回帰支援と田舎暮らし対策を進めておられます。
 先日、東京の認定NPO法人ふるさと回帰支援センターを視察してまいりました。当日は火曜日でしたけども、東日本エリアにも西日本エリアにも若者の相談者が目立っておりました。また、行政関係者の視察もあり、「土日はもっと大勢なんですよ」と係の方がおっしゃっておられました。
 ふるさと回帰支援センターに訪れる方は、2008年からずっと右肩上がりで、昨年2014年度には1万人を突破したそうでございます。来訪者は、ここで開催されているセミナーや面談などに参加しております。発行誌「100万人のふるさと」早春号に仁坂知事の記事が載っておりましたし、「潮」9月号にも和歌山県の移住定住大作戦が取り上げられておりました。私の年齢では想像がつかないほど、若者の思考の中で田舎の田舎を望んでいる方がふえているそうでございます。
 移住定住推進に向けた取り組みの現状について、田舎暮らし先進県として、仁坂知事にお聞きいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県では、さきに策定いたしました和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略において、人口減少に対応して、和歌山県への新しい人の流れを創造するための施策の1つとして、移住定住大作戦により、30市町村全体で移住を推進するということを目標としております。
 今年度は、若年移住者の受け入れを特に進めていくということが重要であると考えまして、暮らし、住まい、仕事の視点から多様な支援を行っております。
 まず、暮らしの支援では、全国トップレベルの若年移住者暮らし奨励金や年間30回を超える現地体験会の開催、さらに現地を訪問した際の滞在費用の助成を行っております。
 住まいの支援では、県統一版の空き家バンクを設置いたしまして、県内各地域の空き家情報を集約して提供するほか、空き家改修費用及び家財道具撤去費用を支援しております。
 仕事支援につきましては、移住者起業補助金や農林水産就業補助金のほか、先月和歌山市内に開所したわかやま定住サポートセンターでは、同じ建物内にハローワークと県のジョブカフェわかやまが入り、暮らし、仕事、住まいの情報を一元的に集約し提供できるほか、東京、大阪で受け付けた相談を県内で引き続きサポートする体制を整えたところでございます。
 東京の相談窓口に県職員を相談員として配置したことに加え、セミナーや移住相談会を毎月開催したところ、上半期で約400件の移住相談がありまして、さらに県内で開催する現地体験会に首都圏から約140人が参加してくれました。
 これらの施策に総合的に取り組んできた結果、今年度上半期の移住実績は60世帯108人と前年同時期の約3倍になっておりまして、施策効果の手応えを感じておりますが、まだまだこんなもんじゃという気持ちも一方ではございます。
 今後、移住に関する地域間競争がますます激化しておりまして、さらにすごくなると予想されることから、移住定住大作戦の取り組みを、これで安心するということはなくて、さらに積み重ねていくことが肝要でございまして、市町村及び地域受入協議会とともに腰を据えて政策を進めていかなきゃいけないというふうに思っているところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 先日も、那智勝浦町色川地域振興推進委員会の原会長にお話をお聞きしましたし、またその後、田辺市中辺路での移住・定住の課題などについてもお聞きしてきました。原さん自身もIターンされた方ですので、地域に定着されるまで、これまでの御苦労があったことや、地元の方が受け入れしていただいたことで40年間暮らし続け、今や移住者の方を熱心に受け入れて、既に170人近く色川で暮らしているようです。山村の土地ですが、小学校、中学校の建てかえ工事が着工されていたのが印象的でした。また、中辺路では移住者は多いものの、その地からUターンされる方も多いと伺いました。定着するまでには、いかに生活の糧を見つけるかが改めて問われると思います。
 定住者を呼び込む田舎暮らし、田舎の田舎こそ人口減をとめられる、その名も「田園回帰1%戦略」、藤山浩島根県立大学連携大学院教授が提唱する人口減少歯どめ策についても注目しました。毎年人口の1%に当たる定住者をふやす、人口5000人の村なら毎年50人の移住者を受け入れることで人口減に歯どめがかかり始め、30年後の時点では、総人口と14歳以下の子供の数はいずれも少なくとも現在の9割以上は保つことができ、高齢化率も現在より低くなります。持続可能な地域を取り戻すため1%ずつの定住増を目指すことに説得力がありますし、島根県では人口が社会増に転じたことのある地域がこの5年間で7市町に上るとありました。
 そこで、企画部長にお尋ねをいたします。
 移住を推進する市町村の取り組みについてどうお考えか、お聞かせいただきたい。それとあわせて、田舎暮らし応援移住定住大作戦を今後どのように展開されるおつもりなのか、お尋ねをしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) まず、県では、平成18年度から市町村や地域住民と連携して移住推進に取り組み、いわゆる和歌山方式の受け入れ体制が功を奏し、約7割の方が過疎の地域に定住している状況でございます。
 しかしながら、地域になじめない、また仕事や生活面の悩みを相談できないなどにより、都市部へ戻るケースも見受けられます。
 課題としましては、受入協議会の移住者に寄り添った、その方々を受け入れるんだという対応が不十分であると思われる地域があることや仕事が継続できないことなどが考えられます。
 移住者に対して仕事や生活面でのさまざまな悩み事を気軽に相談してもらえるようにその体制を周知し、ワンストップパーソンと受入協議会に対しては、その機能を十分に発揮させるため、定期的に移住・交流担当者研修会や情報交換会等を開催しているところではありますが、さらに県内の先進的な、また効果的な市町村の取り組みを共有する機会を設けるなど、しっかりと移住者をサポートできる体制づくりを行ってまいります。
 続いて、県では、持続可能な地域をつくるために、特に少子高齢化が進む過疎の市町村においては若い世代の受け入れが重要と考え、若年移住者暮らし奨励金や移住者起業補助金などの制度により、若年層を積極的に受け入れる戦略に取り組んでいるところでございます。
 また、いまだ移住推進に取り組んでいない市町村に対しても、ワンストップパーソン及び受入協議会の設置などの体制整備に取り組むよう、引き続き働きかけているところでございます。
 今後、地域間競争がさらに激しくなると予想される中で、都市住民に対してセミナーや相談会、現地体験会などを開催するほか、テレビ、雑誌、SNSなど、さまざまな媒体を活用して情報発信するとともに、特に関心の高い方には、その人に合わせた情報を提供して和歌山暮らしの魅力を訴えてまいります。
 移住者の定住促進のためには、地域主体のサポート体制が不可欠であることから、県、市町村及び受入協議会が一体となって、移住前から定住までをきめ細かくフォローする万全の体制で取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 次に、和歌山版政労使会議の開催について質問いたします。
 政労使会議は、政府、労働界、経済界の各代表で雇用環境の改善などを話し合う場となっております。その地方版政労使会議を設置する動きが出てきております。国レベルでは、2013年に設置されて以来、着実に企業の賃上げを促してきた成果が、春闘で2年連続前年同期を上回ったことがわかっております。
 ことし1月から、各都道府県労働局に設けられた働き方改革推進本部は、関係者と協力し、進めていくことになっております。例えば、テレワークなど働く場所の見直しや短時間勤務制度など、働く時間の見直しなどを進めていかなければなりません。働き方改革推進本部の取り組みの現状、そして今後、和歌山経済の好循環の実現に向けての政労使の3者が意見を述べ合い、若者を含めた多様な労働力確保を目指す和歌山版政労使会議を開催すべきと考えますけども、そのお考えについてお聞きしたい。商工労働観光部長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県、和歌山労働局、和歌山市の3者で構成する和歌山働き方改革推進本部を本年1月に和歌山労働局内に立ち上げ、あわせて本部に和歌山働き方改革会議を設け、経済団体や労働組合の代表者などを交えて、より働きやすい職場環境づくりについて意見交換を行っております。
 働き方改革推進本部の取り組みとして、企業のトップを訪問し、長時間労働の削減や年次休暇取得促進等、企業の実情に応じた働き方の見直しに取り組むよう要請するとともに、本年11月には働き方改革シンポジウムを開催し、機運の醸成を図っております。
 また、県では、経済団体や労働組合と企業振興や雇用の問題について意見交換、議論をし、政策に反映しているところです。
 こうした中、人口が減少し、労働力の確保が大変大きな課題であることから、経済の好循環の実現に向けて、議員御提案の公労使が意見交換を行うための和歌山版政労使会議については、和歌山労働局を中心に、年度内の開催に向けて経済団体、労働組合と調整を進めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 和歌山版政労使会議を早急にお願いしたいと思います。
 最後の質問に移らしていただきます。
 地方創生と教育についてお伺いしたいと思います。
 和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略をいま一度読み返してみると、教育と地方創生との関連をそこに見出すことはできませんでした。教育振興計画の簡略版としか見えません。
 そこで、まず教育長に伺います。
 学校教育と地方創生の関係について、どのような見解をお持ちでしょうか。そして、本県の地方創生に対して教育はどのようにかかわろうとするのか、お考えをお伺いいたしたい。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 将来の和歌山県の発展を支えるためには、卒業後、県内にとどまって本県の発展に貢献する人材を育てることはもとより、進学等で本県を一旦離れても、将来はふるさとに戻り、本県の発展に貢献するような人材の育成が重要と考えております。
 そのため、高等学校でのキャリア教育や職業教育を充実するとともに、県内就職への意識を高めるための取り組み、さまざまな資格取得、ミスマッチによる離職を防ぐための職場見学などをこれまで以上に推進し、地域産業の担い手を育成してまいります。
 また、学校在学中に地域と連携しながら自然や伝統文化、芸術等を生かした教育を実践し、地域貢献の意識を醸成するため、ふるさと教育をより一層推進し、和歌山県への愛着を高めていきたいと考えております。
 次に、人が地域に定着するためには安心して暮らせるまちづくりが重要であり、学校は地域にとって不可欠であります。教育環境の整備に努め、県内どこにいても同じ教育を受けられるという教育の質を確保し、教育の機会均等及び教育水準の維持向上を図ることで、和歌山の学校で学びたい、和歌山の学校で学んでよかったと言える教育の実現を目指し、和歌山の教育の充実を図ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) この際、申し上げます。
 多田議員、項目3の2と3、一問一答にはなっておりませんでしたので、時間がなかったのかと思いますが、これからは注意していただけるようにお願いいたします。
 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後0時1分休憩
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