平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第152号から議案第186号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 ただいま議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。どうかよろしくお願いしたいと思います。
 さて、今週日曜日、鹿児島の知覧に行ってまいりまして、少年飛行兵、いわゆる特攻隊のみたまに触れてまいりました。
 我が国を命をかけて守った若き特攻隊の言葉、魂に触れ、せめて和歌山県議会においては命をかけれるようにしっかりと頑張りたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。(「ええなあ、頑張れ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 それでは、通告に従いまして、まず第1問でございます。
 貴志川線の支援について質問をさせていただきたいと思います。
 最初は貴志川線のこの問題ですが、南海電鉄から事業を継承した和歌山電鐵、この貴志川線は、その後、この10年間でいちご電車、おもちゃ電車、そういったものを走らせること、また、猫の「たま」を貴志駅の駅長にするなど、ユニークな取り組みで地域に欠かせない鉄道となっております。
 貴志駅と和歌山駅をつなぐ通勤と通学の電車としての役割、これは従来からの役割ですが、それに加えまして、近年は観光電車としての機能も付加されているように思います。鉄道を単なる移動手段だけではなく、電車に乗ること自体を目的としている極めてユニークな鉄道へと進化し続けているというふうに思います。
 貴志川線に乗ることが和歌山県を訪れる観光目的になっている、こういうこともあるようで、この地方鉄道が存続してくれて本当によかったなあと今は思っているところであります。
 ことしの夏、台湾からの留学生、大学生をお世話さしていただきました。そのとき、その彼女に「和歌山県でどこか行きたいとこありますか」と尋ねたところ、幾つかの答えが返ってきたわけですが、その中で最初に行きたいところは、意外といえば意外だったんですが、たま駅長に会いに行きたいと、こういう話がありました。
 なぜこういうことを知っていたかといいますと、台湾の観光のサイト、これで見ると貴志川線のたま駅長が非常な人気になっておりまして、日本で最も訪れたい観光地、観光名所の1つになっている、こういうことだったそうです。
 参考までに、この台湾で人気の、留学生が行きたいと答えてくれた和歌山県の観光地なんですが、友ヶ島、本宮大社、高野山、こういったところがございました。なぜ友ヶ島かなという話をしますと、あの砲台跡が宮崎駿監督の作品「天空の城ラピュタ」、これに似ていると話題になっていることから、ここでも台湾での人気の観光地ということで、和歌山県が台湾から観光したい国の1つに、しかも和歌山県が数えられている、こういうことを話していただきました。
 さて、本題に戻して貴志川線であります。
 和歌山県と和歌山市、紀の川市では、存続のために支援を発表し、今議会定例会で議案として提案されているところであります。さきに発表した内容では、平成28年度から新たな10年間、和歌山市、紀の川市及び和歌山県で財政的な支援を行い、和歌山電鐵が貴志川線の運行を継続していくことで基本的な合意に達しました、こういうことがあります。
 支援は、貴志川線が安全に継続運行できるように、老朽化した設備を整備する費用に対して和歌山県、和歌山市、紀の川市が支援する、こういう形になっております。
 具体的な支援といたしましては、国の補助制度が対象としている設備の更新及び修繕で、設備例としてレールや枕木、踏切保安設備、こういったものが対象になるとされております。
 支援の上限額は12億4790万円で、和歌山県が10年間で4億5466万円、和歌山市は5億1561万円、紀の川市が2億7763万円となっております。貴志川線の設備更新費用など全体事業料は10年間で18億7000万円であり、そのうち3分の2をこの3者で行い、残りの3分の1は国の補助金を活用する支援体制、こういうことをとることになっております。
 この支援があることで、貴志川線は向こう10年間の存続が確定することになります。これまでも存続のための活動を続けている「貴志川線の未来を”つくる”会」は、支援を全て行政頼みではなく、沿線では赤字解消のためさまざまなイベント、そして乗降客をふやすためにチャレンジ250万人、こういう取り組みをしております。これは、沿線の方、約7万人ですが、年間あと4回、1人が往復すると2回ということになりますが、乗車することで赤字が解消される、こういうことを訴えるなど、いろいろな取り組みを地域としてもしているところでありまして、今回の支援については大いに期待をしているところであります。
 そこで、この問題に関して質問をさしていただきます。
 貴志川線の利用客の増減にもよりますが、この支援によって和歌山電鐵の経営は安定することにつながるのでしょうか。知事の答弁をお願いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 貴志川線は、地域の方々が通勤・通学などに利用する地域の鉄道だけにとどまらず、最近は特に国内外の多くのメディアに取り上げられることによりまして県の認知度が向上するなど、観光振興にとっても重要な路線でございまして、地域のより一層の活性化のためにも貴志川線の存続はとても大事であると考えております。
 貴志川線への支援につきましては、平成18年度から10年間、和歌山市、紀の川市及び和歌山県で、基本合意書に基づき財政的な支援を行ってまいりましたが、平成28年3月末に支援の期限が来るということになっております。
 貴志川線の年間利用者数は、平成17年度に約192万人まで減少しておりましたけれども、和歌山電鐵による運行が開始した平成18年度から徐々に増加いたしまして、26年度では約230万人となりました。しかしながら、まだまだ小嶋社長の企画力とかたまちゃん人気で観光客がふえるという要素が多くて、あれほど存続と訴えた住民の利用が、それほどまだ伸びておりません。そこで、こういうことを主因として、まだ赤字が解消されていないわけでございます。
 せっかく上向いた貴志川線をぜひ残したいんですが、まだ自立運営が困難であるために、県としては財政的な支援が必要であると判断をいたしまして、平成28年度からの新たな10年間、貴志川線が安全に継続運行するため、老朽化に伴う修繕や設備更新に対する費用を和歌山市、紀の川市とともに支援し、和歌山電鐵が貴志川線の運行を継続していくということで合意したところでございます。
 この際、小嶋社長がこの分野における日本のリーダーとして唱えてきた公設民営方式の考え方を取り込みまして、設備投資見込みに対しては補助をするけれども、日常の運営は独力でやってもらおうというような形にしようとしております。
 この支援により、今後10年間は貴志川線は安全に運行することになりますけれども、現在よりさらに利用者数をふやすということが必要でございまして、何よりも沿線住民の方々が貴志川線を利用することが大切でございます。
 御指摘にありましたように、これまでも、あと4回多く乗って永続させようとか、あるいは「チャレンジ250万人」を合い言葉にさまざまな利用促進に取り組んできてもらったのですが、これからも乗って残すんだという行動を日々実践することにより貴志川線が永続的に運行できることを私としては大いに期待しております。
 しかし、「乗れ、乗れ」と言っても、不便なら難しいんでございます。今は、駅の直近は田んぼで、ずっと離れたところにばっかり家がどんどん建っていると。これじゃ乗客としては大変不便なんですね。こういうことを許す制度を残しておけば、永久に我々県民は補助を続けなきゃいけないということになると思います。
 そこで、その駅の周りに新しく住宅開発を誘導するような都市計画制度の改革をして、それで鉄道を利用しやすくするためのまちづくりを進めるということが重要であると思うわけであります。
 そういう考え方に立って、和歌山市当局が今都市計画の改革をやろうとしてるんですが、これに反対して貴志川線を存続せえと言ってるのは、これはちょっとなかなか大変やなあというふうに思っている次第でございます。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事から答弁をいただきまして──実はこの問題に関しましてはもう少し掘り下げようと思ってて、貴志川線の核となる施設と地域を結ぶ、例えば交通ネットワークとかを含めて話を深めようと思ったんですが、市の施策とかいうところに触れることになりますので、今回は少し見合わしてもらったところでございます。
 ただ、小嶋社長が両備グループとしてこの和歌山電鐵の存在をいい言葉で「両備グループのフラッグシップだ」というふうな言葉で表現していただきまして、単なるグループの一員じゃなくて、両備グループを象徴するような地方鉄道という格付というふうな意識を持って取り組んでくれてる。このことから、ぜひ我々沿線の住民も、そして県も、この10年間、乗降客が上向くようにしっかりと支援をしていきたいなというふうに思っているところであります。
 続いて、2番目の項目に入ります。海洋再生可能エネルギーについてであります。
 この件に関しましては、平成25年に和歌山海洋再生エネルギー検討委員会が設けられ、2度の検討委員会が開催されています。目的は、海洋エネルギーの実証フィールドの申請に当たり県内候補地を選定することにあったことから、その後は開催はされていないと思います。
 同検討委員会では、潮岬沖を流れる黒潮を活用した海洋発電の優位性が高い、このように評価し、海洋再生可能エネルギー実証フィールドの提案書を内閣官房に提出しましたが、平成26年7月、このときは採択はされませんでした。そのときに、海洋再生可能エネルギー実証フィールドに選定されているのは6つの海域で、平成27年4月、岩手県の釜石沖で「波力、浮体式洋上風力」が追加選定をされているところでありますから、現在7つの海域が実証フィールドとして実証が進められている、こういうことになっているところであります。
 現在のところ、政府の事業支援を受けた事業者が個別に実証フィールドを整備してきたことから、漁業権の調整が難しく、開発に時間を要することから、設備投資コストが高くて参入企業が限られている。こういった問題があり、なかなか進展が難しい状況にあるようでございます。
 そこで、将来は政府主導で実証フィールドを整備することを検討しているように聞いております。それによって、事業者は実証実験に専念できるようになる、こういうわけであります。ですから、将来は実証までの期間が短縮できること、開発コスト低減による中小企業の参入が見込めること、関連産業集積における地域活性化が見込まれる、こういった効果が期待できると思います。
 また、潮流発電システムの開発に関しては、潮流発電技術実用化推進事業として、平成27年度、これを実施している場所に関しては10億円の予算で導入に向けた技術開発が進められているようです。和歌山県の海洋再生可能エネルギーの取り組みが少しおくれているのかなあというふうに思っているところであります。
 内閣官房の選定から漏れた当時、「環境を調え次第、採択されるように取り組みます」、こういう話も伺いましたが、和歌山海洋再生エネルギー検討委員会も消え去ってしまっているようですし、やはり採択された地域と採択されなかった地域とでは意識の差や開発事業者の意欲、こういったところに差が出ているのではないのかなあというふうに思っているところであります。
 そこで、これも知事に質問でございます。
 2010年のエネルギー基本計画によると、海洋の持つエネルギーを利用した発電は発電出力の予測可能性が高いことから、安定した電源として期待が持たれていると示されております。和歌山県の海洋資源を生かすことが県土発展のために必要だと思いますが、海流発電に関しての現状と事業推進の見通しについてお答えをいただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) エネルギー資源を活用することは、地域の活性化にとって重要でございます。本県は海洋エネルギーに適したフィールドでありまして、特に潮岬沖を流れる黒潮を活用した海流発電はその実現の可能性が高いと、こう考えております。
 このことから、平成26年2月に国の海洋再生エネルギーの実証フィールドに申請しましたが、本県が申請していた潮岬沖の海流発電については、同海域で実験する事業者が確認された時点で実証フィールドとするというふうに選定されることになりました。
 県では、海流発電に対する地元の理解促進や機運醸成を図るために、平成26年10月に串本町におきまして約200名が参加した海洋再生可能エネルギーシンポジウムを行うとともに、平成27年6月に、国に対して海流発電プロジェクトを推進するよう提案したところであります。
 また、海洋再生可能エネルギー実証フィールドの選定要件であります実証実験を行う事業者を誘致するため、複数の重工系メーカーに対し、潮岬沖での実証実験を働きかけてきたところであります。
 このような取り組みを行っているところでありますけれども、海流発電は世界でも実用化、全くされておりませんで、その開発に当たってはさまざまな技術的課題があると考えられております。そのため、他の海洋再生エネルギーと比べ、実証実験を行える段階に至るまでいろいろな問題をクリアしていく、その時間を要するものと考えております。
 県としては、国の選定を受けるために、発電装置の開発状況も踏まえながら、引き続きメーカーに対して「潮岬沖でやれ、やれ」というふうに実験を働きかけて海流発電の推進を図ることによりまして──もう1つはメタンハイドレートもあるんですが──本県の特性を生かした海洋エネルギーの活用に取り組んでいきたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、和歌山市中心市街地の再生について質問をさしていただきたいと思います。
 和歌山市では、町なか公共施設の再整備、これについて計画案をまとめております。南海和歌山市駅に市民図書館を移転させるなどの再開発、市民会館を伏虎中学校用地へ移転する計画、中央卸売市場を再整備する、そういったものが主な計画になっております。まちが動くというのは非常に魅力的で、これらの再生の動きに関して和歌山市民の期待が高まっていますから、公共施設の再整備に続いて民間事業者がこれに続いてくれるものと、こういうことが期待できる状況になってまいりました。
 この計画案は、和歌山市がコンパクトシティーを目指すことを示しております。市街地のにぎわい創出、居住空間を設けることで人口拡散による中心市街地の空洞化を防ぎ、将来の行政コストを低減させ、持続可能な行政サービスを図る、これを目的にしていることになっております。多くの地方都市では、人口減少と高齢化が進展していることから活力が低下しておりますし、住宅や商業施設などの郊外立地が進展していることから市街地が拡散、低密度な市街地を形成している、こういう状況にあります。このまま推移すると、拡散した市民の方々の生活を支える行政サービスが将来困難になることも考えられる状況であり、都市全体、和歌山市全体の将来のあり方を考える時期に差しかかっていることは承知をしているところであります。
 そのために、郊外に開発許可規制について理解できることもありますが、そのために拡散してしまったエリアを、先ほど触れましたが公共交通で結ぶなど、コンパクトシティーとあわせて公共交通ネットワーク、こういったものの形成が必要になってくると思います。
 コンパクトシティーはターミナル駅周辺に一極集中させる、そういうものではなくて、例えば貴志川線の駅周辺など、生活拠点として既に形成されている地域に居住し続けることができる環境を整えるような多極型を目指すことも必要だというふうに思います。
 中心市街地を核としたコンパクトシティーの推進に関しては賛同するものですが、これに呼応して開発許可基準の見直しについても触れている点に関しては、今言いました公共交通の問題等々があることから、これは必ずしも賛成できないという意見が多数、県や市に寄せられているところかなというふうに思っております。
 今回、和歌山市に関して見直ししようとするこの案は、郊外エリアの規制の強化と地域拠点への誘導を促進するために既存集落の基準、指定集落基準を廃止する、このことで集落の拡散を防ぐこと、鉄道駅周辺300メートルの基準を原則100メートル内へと縮小すること、こういうことが見直しの方向性になっているかと思います。これは、先ほどの貴志川線の沿線の駅に集約すると、そういうところには呼応してるのかなというふうには思うところであります。
 ただ、和歌山市では、平成27年12月市議会で市街化調整区域の開発基準の見直しに関する条例改正案の上程を目指していたところでありますが、さまざまな意見があったため上程を見合わせたというふうに認識しております。
 主な反対理由として聞いているのは、開発基準を規制することにより、和歌山市から県外も含めて周辺都市への開発に向かうおそれがある、こういうことが1点、開発事業者の仕事量が減少することで地域経済への影響を及ぼすこと、和歌山市市街化区域の土地価格が高くなることで若い世代が住居を構えられないことから現状のままでは人口の集約につながらないこと、農業従事者の高齢化と後継者不足の問題から農家が現状の農地を維持しようとしてもできないこと、こういうことが主な理由だというふうに思います。
 平成26年から和歌山県は、市や町の都市計画により一層の支援や協力をしているところでありますが、和歌山市の都市の現状をどのように捉えているのか、それから、その上で今後の和歌山市の中心市街地の再生を果たすためにはどのような施策を講じていくべきとお考えになっているのか。
 また、和歌山市が検討している郊外抑制型の土地利用のあり方については、郊外立地の抑制を厳格化し過ぎると、例えば企業や工場、物流の拠点などの進出の意向があっても和歌山市に進出を見合わせるケース、こういったことも発生すると思いますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山市では、都市計画法の運用だけではなくて、独自の緩和条例でも開発基準を緩和したこともございまして、人口集中地区、これはDIDで調べますが、45年間で既に約3倍に拡大をしておりまして、これがどんどんどんどんさらに拡大しつつあるという状況でございます。これによる都市の拡散と、それによる既成市街地の空洞化が問題ではないかというふうに思われるわけでございます。
 これは、外縁部で土地が供給されますと、供給がふえるわけですから、中のほうがすかすかになるというのは、需要がふえなければ当たり前の話、経済の論理から当然であります。同じく、土地の需要がそれほど変わらない中で供給がふえ続ければ地価が下がるというのも、これも自明の理であります。そのために、市民の資産価値も減少してしまっているというのが現状であります。
 本来ならば、他県なんかよく言われるんですけども、県内の一極集中がむしろ問題だというふうに言われるはずの和歌山市で地価が県内で一番下落してるというのは、私も大変びっくりしました現象でございました。
 こうした状況を放置すれば、中心市街地のみならず、今まで開発したところ──これは新興であるところも多いんですが──既成市街地のほうも何年かたってまいりますと、今度は空洞化が始まり、とまらなくなります。そういうところではにぎわいが喪失し、簡単には人が戻らないということになりますので、再生が困難になってまいります。また、今まで以上に不動産価格が下落して市民の資産価値がじわじわと減っていくと。さらに、都市部の拡大によりまして、インフラ整備や維持管理費の増加で、今議論になってるのは和歌山市でございますが、和歌山市の財政はまた危なくなる可能性があるということだと思います。
 あるいは、「早くやってよ」と言って頼んでおる、市民の方々が待ち望んでいるいろんな都市施設の整備がなかなかばらけてしまってできない、そういうふうにもなっているのがよく見られることでございます。また、車の運転ができなくなったお年寄りについては、郊外にお住みになっておられる、離れてばらばらお住みになっておられると、これはちょっと大変だろうなというふうに思うわけであります。
 このため、都市の再生に当たっては、都市計画の適切な運用と農地転用の厳格化により、都市の外縁部や郊外部での新しい開発──もうやってしまったところはしようがない──これを抑制するとともに、既成市街地では再開発の手法を導入したりして町なかを再生することが重要だと思います。再開発というのは、大規模な国の補助金なんかもらえるやつもありますけれども、ディベロッパーの方々がチャンスを見て、そこでまた何軒かのうちを建てていくとか、利用するとかいうこともあり得ると思っております。
 しかし、再開発がうまくいくと、またまちに活気が、にぎわいが戻ってくるんですが、しかし大事なことは、再開発のお客さんがいるかなあということでありまして、テナントとか中に入る住民とか、そういう方がいっぱい「まだ外側でもいいわ」ということになると、そっちへどんどん移ってしまって、結局お客さんがつかないので、再開発をしようとする人たちがみんな逃げてしまうということになるわけであります。したがって、そういうことを考えておかないといけない。
 再開発を進める際には、居住区域・施設に加えて、教育文化施設とか医療施設とか福祉施設とか子育て支援施設とか商業施設とかいう、固まってあると便利だというようなものを、都市機能施設を計画的に立地させて、それで魅力のあるところもつくっていくということも大事だと思っております。
 例えば、南海和歌山市駅前の再開発、これは和歌山市と南海が発表いたしました。市民図書館とか商業施設、駅前広場の再整備による交通結節点の機能強化などが計画されておって、こうした再開発による再生としては、県としても支援を検討していきたいと思っております。
 さらに、和歌山市においては都市機能や居住機能を計画的に誘導するための立地適正化計画の策定に既に着手しているなど、コンパクトなまちづくりに向けた取り組みが進められており、県としても必要な支援を行っているところであります。
 ただ、きのうも御答弁申し上げましたように、未来永劫、一切農地は転用してはいかんとか、あるいは山林は開発してはいかんと、そういうことを言うと不都合なこともたくさん生じます。だから、郊外開発を一般的には抑制するとしても、工場とか流通施設の集積が必要だなあと、まちづくりのためにやろうと思う場合は、和歌山市がそういう計画を立てて、県としてもその場合は農地の転用とかについて協力をし、それからインフラ整備なども協力をし、そういうことによって和歌山市がさらに発展するようにすればいいというふうに思うわけです。
 実は、工場の立地とか流通施設とかの立地、そういうことを考えても、自由な開発で、どこでもいろんなものを建てていいですよというと、何か虫食い状態になって、一団の土地というのは出にくいんですね。そうすると、かえって一定規模以上の開発とか立地とか、そういうものが物すごく不便になるというのがございまして、これは工場立地とか企業立地とかいろいろ一生懸命やってる我々が一番よく知ってることなんでございます。
 したがって、郊外部も含めて和歌山市全体で適切なゾーニングを行っていくことが重要でありまして、こういったことも含めて、市民の方々が自分たちの資産保全とか納税負担の問題として、これは真剣にいろいろ考えなきゃいけない。人ごとのように思ってると、自分たちのまちがむちゃくちゃになってしまうというようなことを、結論はともかくとして、真剣にこれから考えていかなきゃいけない、そういう時代だと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁をいただきまして。この問題に関しては、議論を呼んでるということは僕はいいことだというふうに思っています。賛成もあります、反対もあります。
 事業者の方とかいろんなとこを回っていただいた中で、中心市街地の再生については、いろんな問題もほかにもあるようなんですけど、またおいおい、ぜひ議論をさしていただけたらというふうに思います。
 続きまして、県内中小企業向けの金融についての項目に入りたいと思います。
 和歌山県信用保証協会の役割、この問題に関しては非常に重要だというふうに考えておりますが、その保証債務残高が最近減少傾向にあるようでございます。
 その主な理由は、県内の中小企業の数が減少していること、金利競争が始まっていること、そして、国は経営者保証に過度な依存をしないで企業の成長などの目ききをして貸し出しするように、こういうことを指導している、こういったことが主な原因だというふうに思います。
 和歌山県内で中小企業が減少していることは残念なことで、このことによって働く場所、雇用機会が減少する、こういう問題も一方で起こってきています。保証債務残高が減少しているのは、地元企業が減少していることが直接響いている、これが大きな原因かなというふうに思います。
 一方、金利競争に関しましては、大阪府を中心に激しさを増しております。金融機関が優良な貸出先を確保またはふやすために低金利、長期契約で融資する競争が始まっていまして、金融機関が貸し出したいと思う企業に対しては保証を外してプロパー融資をしている、こういった状況になっております。保証協会を通さなければ、当然のことですが保証料が不要となり、負担軽減となりますから、借り受ける企業にとっては保証を外してもらうほうがありがたい、こういうことです。
 和歌山県信用保証協会では、保証料として責任共有制度では0.45%から1.9%の間、責任共有制度対象外では0.5%から2.2%、こういった保証料を設けているところであります。責任共有保証制度とは、信用保証協会が80%、金融機関が20%の割合で責任を共有する中小企業への支援制度のことであります。貸し倒しが発生した場合には、金融機関は不良債権を抱えることになりますから、信用保証によって金融機関の負担が軽減されるとはいえ、責任共有制度を活用するにしても、どうしても慎重な審査をすることになります。
 金融機関は、融資をすれば資金を回収しなければなりません。業績のよくない企業に対しては、融資のリスクが高いため、慎重になるのはやむを得ないというのも理解できます。
 和歌山県の場合は、金融機関から持ち込まれる保証申し込みに対しての保証承諾率がふえているのは、保証協会がその役割を果たそうとしてくれているからだというふうに思います。ただ、保証債務残高は、先ほど述べましたように減少傾向にありますが、全国と比較すると急激に低下している、そういうものでもありません。この保証承諾率が伸びていることと、保証債務残高の減少率が全国一少ない取り組みが和歌山県信用保証協会の努力のあらわれだというふうに思います。これは、言いかえれば借りかえ需要に対応しているということであり、しっかりと中小企業の資金繰りを支えてくれている、こういうことが言えようかと思います。
 また、和歌山県の制度として、信用保証料については県が一部負担をすることによって中小企業の応援をしている、これは継続した取り組みとして実行してくれているところであります。
 一方、地方において金融機関の役割の1つに地元企業の育成、こういったものがあろうかと思います。地元企業を成長させることで域内経済は伸びていきますから、地域は元気になり、企業が元気であることが地域の活性化につながる、こういう循環に発展するわけであります。金融機関の役割の1つは地域経済を支えることですから、そのために資金提供によって企業活動の支援を積極的に行ってほしいと思っておるところであります。
 和歌山県として、中小企業支援のために金融機関に依頼をして、もっと和歌山県信用保証協会を活用すべきだというふうに思いますし、中小企業振興条例にも金融支援がうたわれていることから、県として金融機関に対して中小企業の支援を依頼してほしいと思います。
 そこで、商工観光労働部長の答弁をお願いしたいと思います。
 質問です。和歌山県信用保証協会の中小企業への保証債務残高が年々減少していることについて、どのような要因分析をしていますか。
 また、保証承諾率が高いことは評価できると思いますが、金額で見ると保証債務残高は減少しております。和歌山県信用保証協会の中小企業金融に関する役割は大きく、保証審査を甘くしろとは言いませんが、可能な限り中小企業への保証を拡大していただきたいと思いますので、答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県信用保証協会の保証債務残高が減少していますが、全国に比べると微減にとどまっており、その減少率は全国一小さくなっています。これは、県信用保証協会独自の保証商品の開発等、協会の経営努力によるものと考えております。
 減少傾向にある要因としては、平成20年のリーマンショックに伴うセーフティネット保証に係る返済額が近年多額になっていることや、経済の先行きへの不透明感から新規の資金需要が低調になっていることが要因であると分析しています。
 県経済が元気になるためには中小企業者が積極的に事業展開を行うことが大切であり、その際に必要となる資金ニーズに応えるため、県は低利、固定、長期の県中小企業融資制度を実施し、信用保証料の一部を負担するなど、中小企業者が利用しやすい制度としています。
 また、県信用保証協会では、保証商品の開発のほか、専門家派遣による企業の経営改善に向けた取り組みを実施するなどしております。
 中小企業者の円滑な資金調達に当たって県信用保証協会の役割は大きく、今後とも県信用保証協会及び金融機関と協力を行い、信用保証制度の利用促進に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 和歌山県信用保証協会は、積極的な行動を積み重ねて、金融機関に対して中小企業の経営改善などの依頼を行っているところであります。金融機関からの声が、信用保証協会、すごく動きがあるというか、動いてくれてるという評価がございまして、今までになかったとは言いませんけども、しっかり金融機関と連携してくれているようであります。
 リーマンショック以降の中小企業を支えてきた最近の金融事情の変化もありまして、金融機関は中小企業への融資を積極的に行っている傾向にあろうかというふうに思います。企業活動をこのように支えてくれている地元の金融機関も含めて、融資を希望する中小企業に対しての支援を可能な限り行ってほしいと願っているところであります。
 和歌山県信用保証協会への保証申し込みがふえている金融機関であれば、当然のことですが、金融機関独自の融資、プロパー融資も含めて増加していると推測できますから、保証承諾額以上の資金が中小企業に貸し出されているのかなあというふうに、現状、思っているところであります。
 この項目について、2つ目の質問であります。
 和歌山県の中小企業融資制度をもっと積極的に活用してほしいと思いますから、金融機関は中小企業からの融資申し込みがあった場合は、極力、県信用保証協会と連携するように働きかけてほしいと思いますが、この点について商工観光労働部長の答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県信用保証協会と各金融機関の間では、例えば、新規案件の審査に当たって事前協議等を頻繁に行っており、常日ごろから円滑かつスピーディーに対応し、中小企業者の資金ニーズに応えていただいております。
 このような県信用保証協会と金融機関との協力体制は重要であるため、県としても県内金融機関と連携協定を結び、金融機関への直接訪問や各支店長等を集めた説明会などの場を通じて信用保証制度、融資制度についての情報提供や県信用保証協会の活用についての協力要請を行っています。
 今後とも、県信用保証協会及び金融機関とともに中小企業者の経営を強力に支援し、元気な和歌山県経済の創造に取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 金融機関といいますか、いろんな方と、経営者の方と話をすると、和歌山県は卵をふ化さすための金融政策はあるんだけども、ひよこを鶏にするところが弱いんではないかと、こんなこともちょっと言われることもあります。ぜひ、その辺も含めてサポートしていただけたらというふうに思います。
 それでは、一般質問最後の項目になります。ペットとの共生社会の実現について質問をさせていただきたいと思います。
 他府県からでありますが、和歌山県がペットとの共生社会を目指すことはすばらしいことであり、ぜひとも推進すべきであると、こういう話を聞いております。この理由は、大きく2つあります。1つが、紀伊半島大水害のとき、動物を愛する人たちが被災犬の救助を行い、発見し、全ての犬たちの命を助けてくれたこと。その後、里親を見つけ、1匹残らず引き取ってくれております。この取り組みは、命を大切に考える和歌山県であることを決定づけるものであり、和歌山県はペットの命を大切に考え、動物愛護を推進している県であることを全国に発信できたというふうに考えております。
 もう1つの理由として、和歌山県内で発生した中学生のいじめ事件にも関係があります。いじめをなくすための取り組みを和歌山県も市町村も積極的に実施しているところですが、残念なことに、いじめのなくなる傾向にはあるとは言いがたいところであります。いじめ防止の条例を策定することや学校での指導、これも重要な活動ですが、それに加えて子供たちに命の大切さを体験してもらうことも大切だというふうに思っております。
 命の大切さを守るために、ペットとの触れ合いや世話をする機会をつくること、そしてペットの寿命が尽きるまで見届けることで、子供たちは命の大切さを学習します。命はたった1つのものであることを学び、命あるものには優しい気持ちで接すること、いじめは情けない行為であることをペットと触れ合うことで学ばせてくれていることは、ペットとの共生を図ろうとする地域や団体の取り組みからもわかることであります。
 各市におけるいじめ防止条例などに基づく取り組みとペットとの触れ合い体験、こういったもので命の大切さを子供たちは学んでおります。ペットとの共生社会は、人もペットも暮らしやすい和歌山県を築くことに加えて、命を大切にする心を強く意識させ、いじめの撲滅にもつなげることを目的としているわけです。
 この考え方は、ペットとの共生社会を地方創生の取り組みとして考えているほかの県にはないものだと思っております。被災犬を救助した命を大切にする和歌山県、いじめ対策として命の大切さを学んでいる和歌山県であることを目指すことが、県が目指しているペットとの共生社会の理念だというふうに思います。
 また、紀の国わかやま国体のメーン会場で大川小学校のヒマワリを飾ったように、命を大切にする和歌山県だからこそ、真に命を大切にするペットとの共生社会を宣言できるというふうに考えています。
 小さい子供のときからペットと暮らすことにより他人に優しく思いやりのある大人に育つ、こういうことは欧米では報告されていますし、イギリスにおいては不登校が減るという報告もあります。健康面では、小さな子供のときから動物と接することでアレルギー疾患や感染症の予防につながる、こういうこともアメリカの小児学会で発表されております。
 ところで、一般社団法人ペットフード協会が平成27年1月にまとめた全国犬・猫飼育実態調査の結果報告書というものがあります。動物の飼育を始めたきっかけは、生活に安らぎが得られること、以前飼育していた動物を亡くして新しい動物を迎えたこと、家族のコミュニケーションに役立つこと、こういったものがこの報告書では掲げられております。このように、動物飼育は私たちの生活に喜びや潤いを与えるものであることがわかります。
 これらの動物飼育の効果、特に高齢者の健康管理や生きがい、健康寿命を伸ばす、こういった効果を地域社会に導入し、動物飼育の認知向上運動に展開することがペットとの共生社会のもとになります。一般社団法人ペットフード協会の先ほどの調査によりますと、犬を連れて歩く、散歩する人は、ペットと暮らしていない人と比較して健康寿命で男性が0.44歳、女性では2.79歳、3歳程度延伸する、こういうことが報告されております。
 また、日本の医療費は40兆円を超えましたが、ペットと暮らすことにより、ドイツでは以前7500億円、オーストラリアでは3000億円の医療費削減効果があったと、このように発表されております。
 このようにペット産業は健康産業でもあり、突き詰めれば、一般社団法人人とペットの幸せ創造協会の越村義雄会長の言葉をかりれば「幸せ創造産業」であるとも言えます。特に高齢化率26.7%の高齢化社会において、ペットは高齢者の生活を豊かにしてくれるものと思います。
 既に、東京にある青梅慶友病院、それからよみうりランド慶友病院では患者さんとペットとの面談を可能にしていますし、高齢者施設でもアメリカのタイガープレイスのようにペットと共生できる仕組みも考えている、こういう団体もあります。
 ペット関連11団体で組織しているペットとの共生推進協議会、こういうものが全国組織であります。この団体が主催したシンポジウムがことし11月14日、大阪で開催されましたが、この中で和歌山県のペットとの共生に関する考え方はすばらしいと実は評価をされております。
 そして、同協会シンポジウム実行委員長で一般社団法人のペットの幸せ創造協会の越村会長が、白浜町まで視察に訪れてくれました。白浜町を視察した越村さんは、「和歌山県は気候も食べ物も人の温かさも感じられ、ペットとの共生社会実現にふさわしい県だと思います」、このような感想も述べてくれました。
 また、東京の建築家・前田敦さん、この方は和歌山県も大変都市づくり等々でお世話になっている方なんですが、このシンポジウムにパネリストとして出席し、愛犬と暮らせる住まいや地域について話をしていただいております。
 地域創生のテーマとして、ペットとの共生社会の取り組みを目指している複数の県があります。ペットとの共生社会は、高齢者の幸せな生活、和歌山県への移住誘導施策、白浜空港を活用した首都圏からの誘客などに資することも考えられます。アメリカでは、機内にペットを連れて乗る飛行機会社もありますが、JALと交渉すること、こういったことも可能かというふうに思いますし、ペットともにお客様が白浜空港を訪れるようになれば、空港遊休地をドッグランや犬と遊べる施設、こういったことでお迎えすることも可能だというふうに思います。
 また、和歌山電鐵で人気だったたま駅長にちなんで、車両の例えば2両目は猫と乗れるようにするだとか犬と乗れるようにするだとか、そういう人とペットの共生を推進する和歌山ならではのユニークな試みも、この地ならできようかというふうに思います。
 また、犬のしつけに関しては、和歌山県が例えば試験制度を立ち上げ、認可したペットは公共機関に入れるようにすること、人とペットの真の共生社会をつくるリード役を和歌山県が担い、日本、それから世界に注目されるようになればと思います。
 そして、11月1日、津波防災の日にちなんで実施された和歌山市の総合防災訓練において、和歌山市内の市立の福島小学校では、飼い主がペットを連れて逃げる同行避難訓練を行っております。これは和歌山県内では初めての取り組みかなあというふうに思いますが、このようにペットと暮らしている人が災害発生時に避難所生活で共生できる仕組みも必要な時代になっております。
 何よりも、環境省は、平成25年11月、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト、これを立ち上げております。このプロジェクトは、動物の殺処分をできる限りゼロにしたい、そして、人と動物がともに幸せに暮らし、優しさあふれる人と動物の共生する社会の実現を目指すことを目的としてスタートさしたものです。ここでは全国の活動事例やモデル事業などが紹介されております。
 例えば、埼玉県ではイオンと連携した寄附金──これは電子マネーによる売り上げの一定割合の寄附ですが──これを活用して動物愛護推進事業を行っておりますし、神奈川県では犬の殺処分ゼロの達成──これは地元のボランティア団体と協働したものですが──達成しております。千葉県の動物愛護ボランティア制度、こういったものの取り組みなどの紹介があります。神奈川県や千葉県は、ペットとの共生社会の実現に積極的に取り組んでいる県であり、環境省の狙いに沿った活動で全国をリードしている、このように思います。
 そこで、質問です。
 まず最初は、危機管理監にお願いしたいんですが、和歌山市ではことし、総合防災訓練でペットを伴った避難訓練を行っています。ペットを家族同様に思っている家族にとって、避難や避難所での生活にペットは欠かせないものだというふうに思います。県内でこれらを意識した避難訓練が計画されていくことになろうかと思いますが、ペットを伴った避難訓練について見解をお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 和歌山市では、津波防災の日にちなんで11月1日に行われた総合防災訓練において、ペットを連れて逃げる避難訓練と避難所運営訓練が実施されたところです。
 避難所生活においてペットは被災者の心の支えにつながるものであり、このような訓練において災害時のペットの取り扱いについて検討することは有意義なものと考えております。
 県では、東日本大震災や紀伊半島大水害の教訓を踏まえ、平成25年1月に避難所運営マニュアル作成モデルを改定し、避難所におけるペットの取り扱いについて原則居住スペースへのペットの持ち込みを禁止しておりますが、施設に余裕がある場合には、避難者とペットが一緒に居住できる専用スペースの設置について、避難所運営本部等で検討を行うよう定めております。
 今後とも、さまざまな価値観を持つ人が可能な限り快適に避難所生活ができるように取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、環境省が提唱している人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトに基づいた和歌山県の取り組み事例と今後の活動の考え方について、環境生活部長の答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 和歌山県では、平成12年に動物の愛護及び管理に関する条例を制定いたしました。あわせて動物愛護センターを開設いたしまして、そのセンターを拠点に命の大切さや思いやりの心を育み、愛護の精神を涵養することを目的に、動物愛護教室や適正な飼養に関する普及啓発事業など、各種の施策に取り組んでまいりました。
 こうした施策の1つの成果の例といたしまして、動物愛護センターから犬や猫の譲渡を受けた方々が「わうくらぶ」というクラブを組織し、インストラクターを招いてしつけ方や適正な飼養について勉強会を行っていただいております。
 この仕組みは、犬や猫の譲渡を受けた方が地域の模範的な飼い主となって、適正飼養の普及啓発に寄与していただいているものでございます。また、愛護センターが行う出張授業やイベントにもボランティアとして協力していただいてございます。こうした取り組みにつきまして、環境省のプロジェクトの中でも事例として紹介されているところでございます。
 しかしながら、県民がペットに対して抱く思いや意識は千差万別であることも事実でございまして、県民の皆さんが同じ意識を持って進めていくには、まだ道半ばであるというふうにも考えてございます。
 今後、こうした取り組みを通じまして、動物と共生する社会に近づいていくような取り組みを一層進めてまいりたいと、そのように考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは最後に、ペットとの共生社会の実現は、全ての命を大切に考える和歌山県こそ提唱するにふさわしい県だと思います。既に地方創生の取り組みの1つとして検討している県もありますから、和歌山県もこの問題の検討に着手してほしいと思いますが、知事の見解をお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県は、ただいま部長が答弁申し上げましたように、動物の命を大切にする心豊かな人づくりと共生社会の実現を県政の基本方針として取り組んでおります。
 いわゆるペットと呼ばれる愛玩動物は、私たちの生活をさまざまな形で豊かにし、時には家族と同じようにかけがえのない存在となっております。このような動物と人が共生する社会を実現するために、飼い主等に動物愛護とペットの飼養に対するルールの遵守を働きかけていくとともに、動物愛護教室や新たな飼い主への譲渡などの取り組みをしているところでございます。
 御指摘のように、国レベルでも動きがありますように、殺処分というのは最悪だというふうに思います。こういうのをなくそうとして猫条例を企画したりしたんですが、今度はそれがまた、そこから始まった話なんですが、反対に動物をいじめてるというような批判もまたございます。いろいろ難しいんですけども、いろんな方面から考えて制度もつくるし、それから議員御指摘のようにさまざまな企画をしてペットと共生し仲よくするような、そういう和歌山をつくってまいりたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今回触れさしていただきましたが、高齢者の健康寿命につながることの研究、ペット連れの観光客の増加、ペット産業やペットとの共生を目指している企業との連携などが実現すれば、ペットに端を発して和歌山県の地域振興にもつながるというふうに思いますし、動物との共生が図れる和歌山県を築けるというふうに思います。
 日本一の人とペットの共生社会の実現を図る幸せ創造県を目指してほしいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。

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