平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(全文)


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平成27年12月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成27年12月9日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第152号から議案第186号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第152号から議案第186号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(2人)
 13番 花田健吉
 22番 吉井和視
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       市川靖之
 企画部長       高瀬一郎
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     野尻邦彦
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   溝端莊悟
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾﨑善亮
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課副主査     中尾祐一
 総務課長       西原龍也
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第152号から議案第186号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 ただいま議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。どうかよろしくお願いしたいと思います。
 さて、今週日曜日、鹿児島の知覧に行ってまいりまして、少年飛行兵、いわゆる特攻隊のみたまに触れてまいりました。
 我が国を命をかけて守った若き特攻隊の言葉、魂に触れ、せめて和歌山県議会においては命をかけれるようにしっかりと頑張りたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。(「ええなあ、頑張れ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 それでは、通告に従いまして、まず第1問でございます。
 貴志川線の支援について質問をさせていただきたいと思います。
 最初は貴志川線のこの問題ですが、南海電鉄から事業を継承した和歌山電鐵、この貴志川線は、その後、この10年間でいちご電車、おもちゃ電車、そういったものを走らせること、また、猫の「たま」を貴志駅の駅長にするなど、ユニークな取り組みで地域に欠かせない鉄道となっております。
 貴志駅と和歌山駅をつなぐ通勤と通学の電車としての役割、これは従来からの役割ですが、それに加えまして、近年は観光電車としての機能も付加されているように思います。鉄道を単なる移動手段だけではなく、電車に乗ること自体を目的としている極めてユニークな鉄道へと進化し続けているというふうに思います。
 貴志川線に乗ることが和歌山県を訪れる観光目的になっている、こういうこともあるようで、この地方鉄道が存続してくれて本当によかったなあと今は思っているところであります。
 ことしの夏、台湾からの留学生、大学生をお世話さしていただきました。そのとき、その彼女に「和歌山県でどこか行きたいとこありますか」と尋ねたところ、幾つかの答えが返ってきたわけですが、その中で最初に行きたいところは、意外といえば意外だったんですが、たま駅長に会いに行きたいと、こういう話がありました。
 なぜこういうことを知っていたかといいますと、台湾の観光のサイト、これで見ると貴志川線のたま駅長が非常な人気になっておりまして、日本で最も訪れたい観光地、観光名所の1つになっている、こういうことだったそうです。
 参考までに、この台湾で人気の、留学生が行きたいと答えてくれた和歌山県の観光地なんですが、友ヶ島、本宮大社、高野山、こういったところがございました。なぜ友ヶ島かなという話をしますと、あの砲台跡が宮崎駿監督の作品「天空の城ラピュタ」、これに似ていると話題になっていることから、ここでも台湾での人気の観光地ということで、和歌山県が台湾から観光したい国の1つに、しかも和歌山県が数えられている、こういうことを話していただきました。
 さて、本題に戻して貴志川線であります。
 和歌山県と和歌山市、紀の川市では、存続のために支援を発表し、今議会定例会で議案として提案されているところであります。さきに発表した内容では、平成28年度から新たな10年間、和歌山市、紀の川市及び和歌山県で財政的な支援を行い、和歌山電鐵が貴志川線の運行を継続していくことで基本的な合意に達しました、こういうことがあります。
 支援は、貴志川線が安全に継続運行できるように、老朽化した設備を整備する費用に対して和歌山県、和歌山市、紀の川市が支援する、こういう形になっております。
 具体的な支援といたしましては、国の補助制度が対象としている設備の更新及び修繕で、設備例としてレールや枕木、踏切保安設備、こういったものが対象になるとされております。
 支援の上限額は12億4790万円で、和歌山県が10年間で4億5466万円、和歌山市は5億1561万円、紀の川市が2億7763万円となっております。貴志川線の設備更新費用など全体事業料は10年間で18億7000万円であり、そのうち3分の2をこの3者で行い、残りの3分の1は国の補助金を活用する支援体制、こういうことをとることになっております。
 この支援があることで、貴志川線は向こう10年間の存続が確定することになります。これまでも存続のための活動を続けている「貴志川線の未来を”つくる”会」は、支援を全て行政頼みではなく、沿線では赤字解消のためさまざまなイベント、そして乗降客をふやすためにチャレンジ250万人、こういう取り組みをしております。これは、沿線の方、約7万人ですが、年間あと4回、1人が往復すると2回ということになりますが、乗車することで赤字が解消される、こういうことを訴えるなど、いろいろな取り組みを地域としてもしているところでありまして、今回の支援については大いに期待をしているところであります。
 そこで、この問題に関して質問をさしていただきます。
 貴志川線の利用客の増減にもよりますが、この支援によって和歌山電鐵の経営は安定することにつながるのでしょうか。知事の答弁をお願いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 貴志川線は、地域の方々が通勤・通学などに利用する地域の鉄道だけにとどまらず、最近は特に国内外の多くのメディアに取り上げられることによりまして県の認知度が向上するなど、観光振興にとっても重要な路線でございまして、地域のより一層の活性化のためにも貴志川線の存続はとても大事であると考えております。
 貴志川線への支援につきましては、平成18年度から10年間、和歌山市、紀の川市及び和歌山県で、基本合意書に基づき財政的な支援を行ってまいりましたが、平成28年3月末に支援の期限が来るということになっております。
 貴志川線の年間利用者数は、平成17年度に約192万人まで減少しておりましたけれども、和歌山電鐵による運行が開始した平成18年度から徐々に増加いたしまして、26年度では約230万人となりました。しかしながら、まだまだ小嶋社長の企画力とかたまちゃん人気で観光客がふえるという要素が多くて、あれほど存続と訴えた住民の利用が、それほどまだ伸びておりません。そこで、こういうことを主因として、まだ赤字が解消されていないわけでございます。
 せっかく上向いた貴志川線をぜひ残したいんですが、まだ自立運営が困難であるために、県としては財政的な支援が必要であると判断をいたしまして、平成28年度からの新たな10年間、貴志川線が安全に継続運行するため、老朽化に伴う修繕や設備更新に対する費用を和歌山市、紀の川市とともに支援し、和歌山電鐵が貴志川線の運行を継続していくということで合意したところでございます。
 この際、小嶋社長がこの分野における日本のリーダーとして唱えてきた公設民営方式の考え方を取り込みまして、設備投資見込みに対しては補助をするけれども、日常の運営は独力でやってもらおうというような形にしようとしております。
 この支援により、今後10年間は貴志川線は安全に運行することになりますけれども、現在よりさらに利用者数をふやすということが必要でございまして、何よりも沿線住民の方々が貴志川線を利用することが大切でございます。
 御指摘にありましたように、これまでも、あと4回多く乗って永続させようとか、あるいは「チャレンジ250万人」を合い言葉にさまざまな利用促進に取り組んできてもらったのですが、これからも乗って残すんだという行動を日々実践することにより貴志川線が永続的に運行できることを私としては大いに期待しております。
 しかし、「乗れ、乗れ」と言っても、不便なら難しいんでございます。今は、駅の直近は田んぼで、ずっと離れたところにばっかり家がどんどん建っていると。これじゃ乗客としては大変不便なんですね。こういうことを許す制度を残しておけば、永久に我々県民は補助を続けなきゃいけないということになると思います。
 そこで、その駅の周りに新しく住宅開発を誘導するような都市計画制度の改革をして、それで鉄道を利用しやすくするためのまちづくりを進めるということが重要であると思うわけであります。
 そういう考え方に立って、和歌山市当局が今都市計画の改革をやろうとしてるんですが、これに反対して貴志川線を存続せえと言ってるのは、これはちょっとなかなか大変やなあというふうに思っている次第でございます。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事から答弁をいただきまして──実はこの問題に関しましてはもう少し掘り下げようと思ってて、貴志川線の核となる施設と地域を結ぶ、例えば交通ネットワークとかを含めて話を深めようと思ったんですが、市の施策とかいうところに触れることになりますので、今回は少し見合わしてもらったところでございます。
 ただ、小嶋社長が両備グループとしてこの和歌山電鐵の存在をいい言葉で「両備グループのフラッグシップだ」というふうな言葉で表現していただきまして、単なるグループの一員じゃなくて、両備グループを象徴するような地方鉄道という格付というふうな意識を持って取り組んでくれてる。このことから、ぜひ我々沿線の住民も、そして県も、この10年間、乗降客が上向くようにしっかりと支援をしていきたいなというふうに思っているところであります。
 続いて、2番目の項目に入ります。海洋再生可能エネルギーについてであります。
 この件に関しましては、平成25年に和歌山海洋再生エネルギー検討委員会が設けられ、2度の検討委員会が開催されています。目的は、海洋エネルギーの実証フィールドの申請に当たり県内候補地を選定することにあったことから、その後は開催はされていないと思います。
 同検討委員会では、潮岬沖を流れる黒潮を活用した海洋発電の優位性が高い、このように評価し、海洋再生可能エネルギー実証フィールドの提案書を内閣官房に提出しましたが、平成26年7月、このときは採択はされませんでした。そのときに、海洋再生可能エネルギー実証フィールドに選定されているのは6つの海域で、平成27年4月、岩手県の釜石沖で「波力、浮体式洋上風力」が追加選定をされているところでありますから、現在7つの海域が実証フィールドとして実証が進められている、こういうことになっているところであります。
 現在のところ、政府の事業支援を受けた事業者が個別に実証フィールドを整備してきたことから、漁業権の調整が難しく、開発に時間を要することから、設備投資コストが高くて参入企業が限られている。こういった問題があり、なかなか進展が難しい状況にあるようでございます。
 そこで、将来は政府主導で実証フィールドを整備することを検討しているように聞いております。それによって、事業者は実証実験に専念できるようになる、こういうわけであります。ですから、将来は実証までの期間が短縮できること、開発コスト低減による中小企業の参入が見込めること、関連産業集積における地域活性化が見込まれる、こういった効果が期待できると思います。
 また、潮流発電システムの開発に関しては、潮流発電技術実用化推進事業として、平成27年度、これを実施している場所に関しては10億円の予算で導入に向けた技術開発が進められているようです。和歌山県の海洋再生可能エネルギーの取り組みが少しおくれているのかなあというふうに思っているところであります。
 内閣官房の選定から漏れた当時、「環境を調え次第、採択されるように取り組みます」、こういう話も伺いましたが、和歌山海洋再生エネルギー検討委員会も消え去ってしまっているようですし、やはり採択された地域と採択されなかった地域とでは意識の差や開発事業者の意欲、こういったところに差が出ているのではないのかなあというふうに思っているところであります。
 そこで、これも知事に質問でございます。
 2010年のエネルギー基本計画によると、海洋の持つエネルギーを利用した発電は発電出力の予測可能性が高いことから、安定した電源として期待が持たれていると示されております。和歌山県の海洋資源を生かすことが県土発展のために必要だと思いますが、海流発電に関しての現状と事業推進の見通しについてお答えをいただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) エネルギー資源を活用することは、地域の活性化にとって重要でございます。本県は海洋エネルギーに適したフィールドでありまして、特に潮岬沖を流れる黒潮を活用した海流発電はその実現の可能性が高いと、こう考えております。
 このことから、平成26年2月に国の海洋再生エネルギーの実証フィールドに申請しましたが、本県が申請していた潮岬沖の海流発電については、同海域で実験する事業者が確認された時点で実証フィールドとするというふうに選定されることになりました。
 県では、海流発電に対する地元の理解促進や機運醸成を図るために、平成26年10月に串本町におきまして約200名が参加した海洋再生可能エネルギーシンポジウムを行うとともに、平成27年6月に、国に対して海流発電プロジェクトを推進するよう提案したところであります。
 また、海洋再生可能エネルギー実証フィールドの選定要件であります実証実験を行う事業者を誘致するため、複数の重工系メーカーに対し、潮岬沖での実証実験を働きかけてきたところであります。
 このような取り組みを行っているところでありますけれども、海流発電は世界でも実用化、全くされておりませんで、その開発に当たってはさまざまな技術的課題があると考えられております。そのため、他の海洋再生エネルギーと比べ、実証実験を行える段階に至るまでいろいろな問題をクリアしていく、その時間を要するものと考えております。
 県としては、国の選定を受けるために、発電装置の開発状況も踏まえながら、引き続きメーカーに対して「潮岬沖でやれ、やれ」というふうに実験を働きかけて海流発電の推進を図ることによりまして──もう1つはメタンハイドレートもあるんですが──本県の特性を生かした海洋エネルギーの活用に取り組んでいきたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、和歌山市中心市街地の再生について質問をさしていただきたいと思います。
 和歌山市では、町なか公共施設の再整備、これについて計画案をまとめております。南海和歌山市駅に市民図書館を移転させるなどの再開発、市民会館を伏虎中学校用地へ移転する計画、中央卸売市場を再整備する、そういったものが主な計画になっております。まちが動くというのは非常に魅力的で、これらの再生の動きに関して和歌山市民の期待が高まっていますから、公共施設の再整備に続いて民間事業者がこれに続いてくれるものと、こういうことが期待できる状況になってまいりました。
 この計画案は、和歌山市がコンパクトシティーを目指すことを示しております。市街地のにぎわい創出、居住空間を設けることで人口拡散による中心市街地の空洞化を防ぎ、将来の行政コストを低減させ、持続可能な行政サービスを図る、これを目的にしていることになっております。多くの地方都市では、人口減少と高齢化が進展していることから活力が低下しておりますし、住宅や商業施設などの郊外立地が進展していることから市街地が拡散、低密度な市街地を形成している、こういう状況にあります。このまま推移すると、拡散した市民の方々の生活を支える行政サービスが将来困難になることも考えられる状況であり、都市全体、和歌山市全体の将来のあり方を考える時期に差しかかっていることは承知をしているところであります。
 そのために、郊外に開発許可規制について理解できることもありますが、そのために拡散してしまったエリアを、先ほど触れましたが公共交通で結ぶなど、コンパクトシティーとあわせて公共交通ネットワーク、こういったものの形成が必要になってくると思います。
 コンパクトシティーはターミナル駅周辺に一極集中させる、そういうものではなくて、例えば貴志川線の駅周辺など、生活拠点として既に形成されている地域に居住し続けることができる環境を整えるような多極型を目指すことも必要だというふうに思います。
 中心市街地を核としたコンパクトシティーの推進に関しては賛同するものですが、これに呼応して開発許可基準の見直しについても触れている点に関しては、今言いました公共交通の問題等々があることから、これは必ずしも賛成できないという意見が多数、県や市に寄せられているところかなというふうに思っております。
 今回、和歌山市に関して見直ししようとするこの案は、郊外エリアの規制の強化と地域拠点への誘導を促進するために既存集落の基準、指定集落基準を廃止する、このことで集落の拡散を防ぐこと、鉄道駅周辺300メートルの基準を原則100メートル内へと縮小すること、こういうことが見直しの方向性になっているかと思います。これは、先ほどの貴志川線の沿線の駅に集約すると、そういうところには呼応してるのかなというふうには思うところであります。
 ただ、和歌山市では、平成27年12月市議会で市街化調整区域の開発基準の見直しに関する条例改正案の上程を目指していたところでありますが、さまざまな意見があったため上程を見合わせたというふうに認識しております。
 主な反対理由として聞いているのは、開発基準を規制することにより、和歌山市から県外も含めて周辺都市への開発に向かうおそれがある、こういうことが1点、開発事業者の仕事量が減少することで地域経済への影響を及ぼすこと、和歌山市市街化区域の土地価格が高くなることで若い世代が住居を構えられないことから現状のままでは人口の集約につながらないこと、農業従事者の高齢化と後継者不足の問題から農家が現状の農地を維持しようとしてもできないこと、こういうことが主な理由だというふうに思います。
 平成26年から和歌山県は、市や町の都市計画により一層の支援や協力をしているところでありますが、和歌山市の都市の現状をどのように捉えているのか、それから、その上で今後の和歌山市の中心市街地の再生を果たすためにはどのような施策を講じていくべきとお考えになっているのか。
 また、和歌山市が検討している郊外抑制型の土地利用のあり方については、郊外立地の抑制を厳格化し過ぎると、例えば企業や工場、物流の拠点などの進出の意向があっても和歌山市に進出を見合わせるケース、こういったことも発生すると思いますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山市では、都市計画法の運用だけではなくて、独自の緩和条例でも開発基準を緩和したこともございまして、人口集中地区、これはDIDで調べますが、45年間で既に約3倍に拡大をしておりまして、これがどんどんどんどんさらに拡大しつつあるという状況でございます。これによる都市の拡散と、それによる既成市街地の空洞化が問題ではないかというふうに思われるわけでございます。
 これは、外縁部で土地が供給されますと、供給がふえるわけですから、中のほうがすかすかになるというのは、需要がふえなければ当たり前の話、経済の論理から当然であります。同じく、土地の需要がそれほど変わらない中で供給がふえ続ければ地価が下がるというのも、これも自明の理であります。そのために、市民の資産価値も減少してしまっているというのが現状であります。
 本来ならば、他県なんかよく言われるんですけども、県内の一極集中がむしろ問題だというふうに言われるはずの和歌山市で地価が県内で一番下落してるというのは、私も大変びっくりしました現象でございました。
 こうした状況を放置すれば、中心市街地のみならず、今まで開発したところ──これは新興であるところも多いんですが──既成市街地のほうも何年かたってまいりますと、今度は空洞化が始まり、とまらなくなります。そういうところではにぎわいが喪失し、簡単には人が戻らないということになりますので、再生が困難になってまいります。また、今まで以上に不動産価格が下落して市民の資産価値がじわじわと減っていくと。さらに、都市部の拡大によりまして、インフラ整備や維持管理費の増加で、今議論になってるのは和歌山市でございますが、和歌山市の財政はまた危なくなる可能性があるということだと思います。
 あるいは、「早くやってよ」と言って頼んでおる、市民の方々が待ち望んでいるいろんな都市施設の整備がなかなかばらけてしまってできない、そういうふうにもなっているのがよく見られることでございます。また、車の運転ができなくなったお年寄りについては、郊外にお住みになっておられる、離れてばらばらお住みになっておられると、これはちょっと大変だろうなというふうに思うわけであります。
 このため、都市の再生に当たっては、都市計画の適切な運用と農地転用の厳格化により、都市の外縁部や郊外部での新しい開発──もうやってしまったところはしようがない──これを抑制するとともに、既成市街地では再開発の手法を導入したりして町なかを再生することが重要だと思います。再開発というのは、大規模な国の補助金なんかもらえるやつもありますけれども、ディベロッパーの方々がチャンスを見て、そこでまた何軒かのうちを建てていくとか、利用するとかいうこともあり得ると思っております。
 しかし、再開発がうまくいくと、またまちに活気が、にぎわいが戻ってくるんですが、しかし大事なことは、再開発のお客さんがいるかなあということでありまして、テナントとか中に入る住民とか、そういう方がいっぱい「まだ外側でもいいわ」ということになると、そっちへどんどん移ってしまって、結局お客さんがつかないので、再開発をしようとする人たちがみんな逃げてしまうということになるわけであります。したがって、そういうことを考えておかないといけない。
 再開発を進める際には、居住区域・施設に加えて、教育文化施設とか医療施設とか福祉施設とか子育て支援施設とか商業施設とかいう、固まってあると便利だというようなものを、都市機能施設を計画的に立地させて、それで魅力のあるところもつくっていくということも大事だと思っております。
 例えば、南海和歌山市駅前の再開発、これは和歌山市と南海が発表いたしました。市民図書館とか商業施設、駅前広場の再整備による交通結節点の機能強化などが計画されておって、こうした再開発による再生としては、県としても支援を検討していきたいと思っております。
 さらに、和歌山市においては都市機能や居住機能を計画的に誘導するための立地適正化計画の策定に既に着手しているなど、コンパクトなまちづくりに向けた取り組みが進められており、県としても必要な支援を行っているところであります。
 ただ、きのうも御答弁申し上げましたように、未来永劫、一切農地は転用してはいかんとか、あるいは山林は開発してはいかんと、そういうことを言うと不都合なこともたくさん生じます。だから、郊外開発を一般的には抑制するとしても、工場とか流通施設の集積が必要だなあと、まちづくりのためにやろうと思う場合は、和歌山市がそういう計画を立てて、県としてもその場合は農地の転用とかについて協力をし、それからインフラ整備なども協力をし、そういうことによって和歌山市がさらに発展するようにすればいいというふうに思うわけです。
 実は、工場の立地とか流通施設とかの立地、そういうことを考えても、自由な開発で、どこでもいろんなものを建てていいですよというと、何か虫食い状態になって、一団の土地というのは出にくいんですね。そうすると、かえって一定規模以上の開発とか立地とか、そういうものが物すごく不便になるというのがございまして、これは工場立地とか企業立地とかいろいろ一生懸命やってる我々が一番よく知ってることなんでございます。
 したがって、郊外部も含めて和歌山市全体で適切なゾーニングを行っていくことが重要でありまして、こういったことも含めて、市民の方々が自分たちの資産保全とか納税負担の問題として、これは真剣にいろいろ考えなきゃいけない。人ごとのように思ってると、自分たちのまちがむちゃくちゃになってしまうというようなことを、結論はともかくとして、真剣にこれから考えていかなきゃいけない、そういう時代だと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁をいただきまして。この問題に関しては、議論を呼んでるということは僕はいいことだというふうに思っています。賛成もあります、反対もあります。
 事業者の方とかいろんなとこを回っていただいた中で、中心市街地の再生については、いろんな問題もほかにもあるようなんですけど、またおいおい、ぜひ議論をさしていただけたらというふうに思います。
 続きまして、県内中小企業向けの金融についての項目に入りたいと思います。
 和歌山県信用保証協会の役割、この問題に関しては非常に重要だというふうに考えておりますが、その保証債務残高が最近減少傾向にあるようでございます。
 その主な理由は、県内の中小企業の数が減少していること、金利競争が始まっていること、そして、国は経営者保証に過度な依存をしないで企業の成長などの目ききをして貸し出しするように、こういうことを指導している、こういったことが主な原因だというふうに思います。
 和歌山県内で中小企業が減少していることは残念なことで、このことによって働く場所、雇用機会が減少する、こういう問題も一方で起こってきています。保証債務残高が減少しているのは、地元企業が減少していることが直接響いている、これが大きな原因かなというふうに思います。
 一方、金利競争に関しましては、大阪府を中心に激しさを増しております。金融機関が優良な貸出先を確保またはふやすために低金利、長期契約で融資する競争が始まっていまして、金融機関が貸し出したいと思う企業に対しては保証を外してプロパー融資をしている、こういった状況になっております。保証協会を通さなければ、当然のことですが保証料が不要となり、負担軽減となりますから、借り受ける企業にとっては保証を外してもらうほうがありがたい、こういうことです。
 和歌山県信用保証協会では、保証料として責任共有制度では0.45%から1.9%の間、責任共有制度対象外では0.5%から2.2%、こういった保証料を設けているところであります。責任共有保証制度とは、信用保証協会が80%、金融機関が20%の割合で責任を共有する中小企業への支援制度のことであります。貸し倒しが発生した場合には、金融機関は不良債権を抱えることになりますから、信用保証によって金融機関の負担が軽減されるとはいえ、責任共有制度を活用するにしても、どうしても慎重な審査をすることになります。
 金融機関は、融資をすれば資金を回収しなければなりません。業績のよくない企業に対しては、融資のリスクが高いため、慎重になるのはやむを得ないというのも理解できます。
 和歌山県の場合は、金融機関から持ち込まれる保証申し込みに対しての保証承諾率がふえているのは、保証協会がその役割を果たそうとしてくれているからだというふうに思います。ただ、保証債務残高は、先ほど述べましたように減少傾向にありますが、全国と比較すると急激に低下している、そういうものでもありません。この保証承諾率が伸びていることと、保証債務残高の減少率が全国一少ない取り組みが和歌山県信用保証協会の努力のあらわれだというふうに思います。これは、言いかえれば借りかえ需要に対応しているということであり、しっかりと中小企業の資金繰りを支えてくれている、こういうことが言えようかと思います。
 また、和歌山県の制度として、信用保証料については県が一部負担をすることによって中小企業の応援をしている、これは継続した取り組みとして実行してくれているところであります。
 一方、地方において金融機関の役割の1つに地元企業の育成、こういったものがあろうかと思います。地元企業を成長させることで域内経済は伸びていきますから、地域は元気になり、企業が元気であることが地域の活性化につながる、こういう循環に発展するわけであります。金融機関の役割の1つは地域経済を支えることですから、そのために資金提供によって企業活動の支援を積極的に行ってほしいと思っておるところであります。
 和歌山県として、中小企業支援のために金融機関に依頼をして、もっと和歌山県信用保証協会を活用すべきだというふうに思いますし、中小企業振興条例にも金融支援がうたわれていることから、県として金融機関に対して中小企業の支援を依頼してほしいと思います。
 そこで、商工観光労働部長の答弁をお願いしたいと思います。
 質問です。和歌山県信用保証協会の中小企業への保証債務残高が年々減少していることについて、どのような要因分析をしていますか。
 また、保証承諾率が高いことは評価できると思いますが、金額で見ると保証債務残高は減少しております。和歌山県信用保証協会の中小企業金融に関する役割は大きく、保証審査を甘くしろとは言いませんが、可能な限り中小企業への保証を拡大していただきたいと思いますので、答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県信用保証協会の保証債務残高が減少していますが、全国に比べると微減にとどまっており、その減少率は全国一小さくなっています。これは、県信用保証協会独自の保証商品の開発等、協会の経営努力によるものと考えております。
 減少傾向にある要因としては、平成20年のリーマンショックに伴うセーフティネット保証に係る返済額が近年多額になっていることや、経済の先行きへの不透明感から新規の資金需要が低調になっていることが要因であると分析しています。
 県経済が元気になるためには中小企業者が積極的に事業展開を行うことが大切であり、その際に必要となる資金ニーズに応えるため、県は低利、固定、長期の県中小企業融資制度を実施し、信用保証料の一部を負担するなど、中小企業者が利用しやすい制度としています。
 また、県信用保証協会では、保証商品の開発のほか、専門家派遣による企業の経営改善に向けた取り組みを実施するなどしております。
 中小企業者の円滑な資金調達に当たって県信用保証協会の役割は大きく、今後とも県信用保証協会及び金融機関と協力を行い、信用保証制度の利用促進に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 和歌山県信用保証協会は、積極的な行動を積み重ねて、金融機関に対して中小企業の経営改善などの依頼を行っているところであります。金融機関からの声が、信用保証協会、すごく動きがあるというか、動いてくれてるという評価がございまして、今までになかったとは言いませんけども、しっかり金融機関と連携してくれているようであります。
 リーマンショック以降の中小企業を支えてきた最近の金融事情の変化もありまして、金融機関は中小企業への融資を積極的に行っている傾向にあろうかというふうに思います。企業活動をこのように支えてくれている地元の金融機関も含めて、融資を希望する中小企業に対しての支援を可能な限り行ってほしいと願っているところであります。
 和歌山県信用保証協会への保証申し込みがふえている金融機関であれば、当然のことですが、金融機関独自の融資、プロパー融資も含めて増加していると推測できますから、保証承諾額以上の資金が中小企業に貸し出されているのかなあというふうに、現状、思っているところであります。
 この項目について、2つ目の質問であります。
 和歌山県の中小企業融資制度をもっと積極的に活用してほしいと思いますから、金融機関は中小企業からの融資申し込みがあった場合は、極力、県信用保証協会と連携するように働きかけてほしいと思いますが、この点について商工観光労働部長の答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県信用保証協会と各金融機関の間では、例えば、新規案件の審査に当たって事前協議等を頻繁に行っており、常日ごろから円滑かつスピーディーに対応し、中小企業者の資金ニーズに応えていただいております。
 このような県信用保証協会と金融機関との協力体制は重要であるため、県としても県内金融機関と連携協定を結び、金融機関への直接訪問や各支店長等を集めた説明会などの場を通じて信用保証制度、融資制度についての情報提供や県信用保証協会の活用についての協力要請を行っています。
 今後とも、県信用保証協会及び金融機関とともに中小企業者の経営を強力に支援し、元気な和歌山県経済の創造に取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 金融機関といいますか、いろんな方と、経営者の方と話をすると、和歌山県は卵をふ化さすための金融政策はあるんだけども、ひよこを鶏にするところが弱いんではないかと、こんなこともちょっと言われることもあります。ぜひ、その辺も含めてサポートしていただけたらというふうに思います。
 それでは、一般質問最後の項目になります。ペットとの共生社会の実現について質問をさせていただきたいと思います。
 他府県からでありますが、和歌山県がペットとの共生社会を目指すことはすばらしいことであり、ぜひとも推進すべきであると、こういう話を聞いております。この理由は、大きく2つあります。1つが、紀伊半島大水害のとき、動物を愛する人たちが被災犬の救助を行い、発見し、全ての犬たちの命を助けてくれたこと。その後、里親を見つけ、1匹残らず引き取ってくれております。この取り組みは、命を大切に考える和歌山県であることを決定づけるものであり、和歌山県はペットの命を大切に考え、動物愛護を推進している県であることを全国に発信できたというふうに考えております。
 もう1つの理由として、和歌山県内で発生した中学生のいじめ事件にも関係があります。いじめをなくすための取り組みを和歌山県も市町村も積極的に実施しているところですが、残念なことに、いじめのなくなる傾向にはあるとは言いがたいところであります。いじめ防止の条例を策定することや学校での指導、これも重要な活動ですが、それに加えて子供たちに命の大切さを体験してもらうことも大切だというふうに思っております。
 命の大切さを守るために、ペットとの触れ合いや世話をする機会をつくること、そしてペットの寿命が尽きるまで見届けることで、子供たちは命の大切さを学習します。命はたった1つのものであることを学び、命あるものには優しい気持ちで接すること、いじめは情けない行為であることをペットと触れ合うことで学ばせてくれていることは、ペットとの共生を図ろうとする地域や団体の取り組みからもわかることであります。
 各市におけるいじめ防止条例などに基づく取り組みとペットとの触れ合い体験、こういったもので命の大切さを子供たちは学んでおります。ペットとの共生社会は、人もペットも暮らしやすい和歌山県を築くことに加えて、命を大切にする心を強く意識させ、いじめの撲滅にもつなげることを目的としているわけです。
 この考え方は、ペットとの共生社会を地方創生の取り組みとして考えているほかの県にはないものだと思っております。被災犬を救助した命を大切にする和歌山県、いじめ対策として命の大切さを学んでいる和歌山県であることを目指すことが、県が目指しているペットとの共生社会の理念だというふうに思います。
 また、紀の国わかやま国体のメーン会場で大川小学校のヒマワリを飾ったように、命を大切にする和歌山県だからこそ、真に命を大切にするペットとの共生社会を宣言できるというふうに考えています。
 小さい子供のときからペットと暮らすことにより他人に優しく思いやりのある大人に育つ、こういうことは欧米では報告されていますし、イギリスにおいては不登校が減るという報告もあります。健康面では、小さな子供のときから動物と接することでアレルギー疾患や感染症の予防につながる、こういうこともアメリカの小児学会で発表されております。
 ところで、一般社団法人ペットフード協会が平成27年1月にまとめた全国犬・猫飼育実態調査の結果報告書というものがあります。動物の飼育を始めたきっかけは、生活に安らぎが得られること、以前飼育していた動物を亡くして新しい動物を迎えたこと、家族のコミュニケーションに役立つこと、こういったものがこの報告書では掲げられております。このように、動物飼育は私たちの生活に喜びや潤いを与えるものであることがわかります。
 これらの動物飼育の効果、特に高齢者の健康管理や生きがい、健康寿命を伸ばす、こういった効果を地域社会に導入し、動物飼育の認知向上運動に展開することがペットとの共生社会のもとになります。一般社団法人ペットフード協会の先ほどの調査によりますと、犬を連れて歩く、散歩する人は、ペットと暮らしていない人と比較して健康寿命で男性が0.44歳、女性では2.79歳、3歳程度延伸する、こういうことが報告されております。
 また、日本の医療費は40兆円を超えましたが、ペットと暮らすことにより、ドイツでは以前7500億円、オーストラリアでは3000億円の医療費削減効果があったと、このように発表されております。
 このようにペット産業は健康産業でもあり、突き詰めれば、一般社団法人人とペットの幸せ創造協会の越村義雄会長の言葉をかりれば「幸せ創造産業」であるとも言えます。特に高齢化率26.7%の高齢化社会において、ペットは高齢者の生活を豊かにしてくれるものと思います。
 既に、東京にある青梅慶友病院、それからよみうりランド慶友病院では患者さんとペットとの面談を可能にしていますし、高齢者施設でもアメリカのタイガープレイスのようにペットと共生できる仕組みも考えている、こういう団体もあります。
 ペット関連11団体で組織しているペットとの共生推進協議会、こういうものが全国組織であります。この団体が主催したシンポジウムがことし11月14日、大阪で開催されましたが、この中で和歌山県のペットとの共生に関する考え方はすばらしいと実は評価をされております。
 そして、同協会シンポジウム実行委員長で一般社団法人のペットの幸せ創造協会の越村会長が、白浜町まで視察に訪れてくれました。白浜町を視察した越村さんは、「和歌山県は気候も食べ物も人の温かさも感じられ、ペットとの共生社会実現にふさわしい県だと思います」、このような感想も述べてくれました。
 また、東京の建築家・前田敦さん、この方は和歌山県も大変都市づくり等々でお世話になっている方なんですが、このシンポジウムにパネリストとして出席し、愛犬と暮らせる住まいや地域について話をしていただいております。
 地域創生のテーマとして、ペットとの共生社会の取り組みを目指している複数の県があります。ペットとの共生社会は、高齢者の幸せな生活、和歌山県への移住誘導施策、白浜空港を活用した首都圏からの誘客などに資することも考えられます。アメリカでは、機内にペットを連れて乗る飛行機会社もありますが、JALと交渉すること、こういったことも可能かというふうに思いますし、ペットともにお客様が白浜空港を訪れるようになれば、空港遊休地をドッグランや犬と遊べる施設、こういったことでお迎えすることも可能だというふうに思います。
 また、和歌山電鐵で人気だったたま駅長にちなんで、車両の例えば2両目は猫と乗れるようにするだとか犬と乗れるようにするだとか、そういう人とペットの共生を推進する和歌山ならではのユニークな試みも、この地ならできようかというふうに思います。
 また、犬のしつけに関しては、和歌山県が例えば試験制度を立ち上げ、認可したペットは公共機関に入れるようにすること、人とペットの真の共生社会をつくるリード役を和歌山県が担い、日本、それから世界に注目されるようになればと思います。
 そして、11月1日、津波防災の日にちなんで実施された和歌山市の総合防災訓練において、和歌山市内の市立の福島小学校では、飼い主がペットを連れて逃げる同行避難訓練を行っております。これは和歌山県内では初めての取り組みかなあというふうに思いますが、このようにペットと暮らしている人が災害発生時に避難所生活で共生できる仕組みも必要な時代になっております。
 何よりも、環境省は、平成25年11月、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト、これを立ち上げております。このプロジェクトは、動物の殺処分をできる限りゼロにしたい、そして、人と動物がともに幸せに暮らし、優しさあふれる人と動物の共生する社会の実現を目指すことを目的としてスタートさしたものです。ここでは全国の活動事例やモデル事業などが紹介されております。
 例えば、埼玉県ではイオンと連携した寄附金──これは電子マネーによる売り上げの一定割合の寄附ですが──これを活用して動物愛護推進事業を行っておりますし、神奈川県では犬の殺処分ゼロの達成──これは地元のボランティア団体と協働したものですが──達成しております。千葉県の動物愛護ボランティア制度、こういったものの取り組みなどの紹介があります。神奈川県や千葉県は、ペットとの共生社会の実現に積極的に取り組んでいる県であり、環境省の狙いに沿った活動で全国をリードしている、このように思います。
 そこで、質問です。
 まず最初は、危機管理監にお願いしたいんですが、和歌山市ではことし、総合防災訓練でペットを伴った避難訓練を行っています。ペットを家族同様に思っている家族にとって、避難や避難所での生活にペットは欠かせないものだというふうに思います。県内でこれらを意識した避難訓練が計画されていくことになろうかと思いますが、ペットを伴った避難訓練について見解をお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 和歌山市では、津波防災の日にちなんで11月1日に行われた総合防災訓練において、ペットを連れて逃げる避難訓練と避難所運営訓練が実施されたところです。
 避難所生活においてペットは被災者の心の支えにつながるものであり、このような訓練において災害時のペットの取り扱いについて検討することは有意義なものと考えております。
 県では、東日本大震災や紀伊半島大水害の教訓を踏まえ、平成25年1月に避難所運営マニュアル作成モデルを改定し、避難所におけるペットの取り扱いについて原則居住スペースへのペットの持ち込みを禁止しておりますが、施設に余裕がある場合には、避難者とペットが一緒に居住できる専用スペースの設置について、避難所運営本部等で検討を行うよう定めております。
 今後とも、さまざまな価値観を持つ人が可能な限り快適に避難所生活ができるように取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、環境省が提唱している人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトに基づいた和歌山県の取り組み事例と今後の活動の考え方について、環境生活部長の答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 和歌山県では、平成12年に動物の愛護及び管理に関する条例を制定いたしました。あわせて動物愛護センターを開設いたしまして、そのセンターを拠点に命の大切さや思いやりの心を育み、愛護の精神を涵養することを目的に、動物愛護教室や適正な飼養に関する普及啓発事業など、各種の施策に取り組んでまいりました。
 こうした施策の1つの成果の例といたしまして、動物愛護センターから犬や猫の譲渡を受けた方々が「わうくらぶ」というクラブを組織し、インストラクターを招いてしつけ方や適正な飼養について勉強会を行っていただいております。
 この仕組みは、犬や猫の譲渡を受けた方が地域の模範的な飼い主となって、適正飼養の普及啓発に寄与していただいているものでございます。また、愛護センターが行う出張授業やイベントにもボランティアとして協力していただいてございます。こうした取り組みにつきまして、環境省のプロジェクトの中でも事例として紹介されているところでございます。
 しかしながら、県民がペットに対して抱く思いや意識は千差万別であることも事実でございまして、県民の皆さんが同じ意識を持って進めていくには、まだ道半ばであるというふうにも考えてございます。
 今後、こうした取り組みを通じまして、動物と共生する社会に近づいていくような取り組みを一層進めてまいりたいと、そのように考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは最後に、ペットとの共生社会の実現は、全ての命を大切に考える和歌山県こそ提唱するにふさわしい県だと思います。既に地方創生の取り組みの1つとして検討している県もありますから、和歌山県もこの問題の検討に着手してほしいと思いますが、知事の見解をお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県は、ただいま部長が答弁申し上げましたように、動物の命を大切にする心豊かな人づくりと共生社会の実現を県政の基本方針として取り組んでおります。
 いわゆるペットと呼ばれる愛玩動物は、私たちの生活をさまざまな形で豊かにし、時には家族と同じようにかけがえのない存在となっております。このような動物と人が共生する社会を実現するために、飼い主等に動物愛護とペットの飼養に対するルールの遵守を働きかけていくとともに、動物愛護教室や新たな飼い主への譲渡などの取り組みをしているところでございます。
 御指摘のように、国レベルでも動きがありますように、殺処分というのは最悪だというふうに思います。こういうのをなくそうとして猫条例を企画したりしたんですが、今度はそれがまた、そこから始まった話なんですが、反対に動物をいじめてるというような批判もまたございます。いろいろ難しいんですけども、いろんな方面から考えて制度もつくるし、それから議員御指摘のようにさまざまな企画をしてペットと共生し仲よくするような、そういう和歌山をつくってまいりたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今回触れさしていただきましたが、高齢者の健康寿命につながることの研究、ペット連れの観光客の増加、ペット産業やペットとの共生を目指している企業との連携などが実現すれば、ペットに端を発して和歌山県の地域振興にもつながるというふうに思いますし、動物との共生が図れる和歌山県を築けるというふうに思います。
 日本一の人とペットの共生社会の実現を図る幸せ創造県を目指してほしいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 皆さん、こんにちは。
 議長からお許しいただきましたので、早速、一般質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 国体に関しての質問は、今回で5回目となりました。11日間の紀の国わかやま国体、3日間の紀の国わかやま大会、それぞれお天気に恵まれ、目標としていた総合優勝、天皇杯を獲得でき、大変すばらしい大会となり、和歌山県の感動的な歴史の1ページとなりました。
 12月3日の感謝の集いで、改めてその記憶がよみがえり、選手の皆様と喜びを共有できました。わかやま国体の応援には、開会前の体操、新体操、セーリング、そしてバスケットボール、開会式の後には陸上、サッカー、テニス、ホッケー、ウエートリフティング、ハンドボール、自転車、ソフトテニス、相撲、フェンシング、柔道、ソフトボール、バドミントン、ライフル射撃、剣道、カヌー、ボウリングなど20競技、わかやま大会では車椅子バスケットボールや卓球の2競技を応援に行き、大変楽しまさせていただきました。
 県選手団の活躍はもとより、県外の選手たちもすばらしいプレーで、全国のハイレベルな試合を身近で観戦でき、大いに興奮いたしました。また、どの会場にも観客が大勢おられ、応援にも温かみがあり、これだけスポーツに熱心な方がおられることに驚きを感じたところでございます。
 県民の応援が、不思議なもので、勇気と感動、そして和歌山勢に勢いを与え、思わぬ実力を発揮できた、そんな試合をたくさん見ることができました。
 特に楽しみに応援に行きました国体の終盤に行われました剣道、6月議会でも申し上げましたが、ことし4月に行われました第63回都道府県対抗試合で初優勝した勢いはそのまま続いており、少年男子、少年女子は惜しくも準優勝となりましたが、成年男子、成年女子はどちらも初優勝を飾り、剣道競技で総合優勝、東京勢を突き放し、天皇杯獲得に大いに貢献できたと思います。私の恩師が剣道連盟の責任者として御苦労されておりましたし、関係者の方々にもお世話になっていましたので、毎年の国体も応援に行ってました。格別の感があります。
 全ての競技の選手、監督、大会関係者の方の御苦労に敬意と感謝を申し上げます。また、大会をお支えいただいた大勢のボランティアの方々がいたからこそ成功できたものと、深く感謝申し上げます。
 県民総参加の国体での感動や自信は、きっと和歌山の底力となり、県民の皆様の喜びにつながったはずです。また、感動だけではなく、和歌山に大きな経済効果ももたらしました。国体の経済波及効果につきましては、和歌山社会経済研究所や関西大学の宮本勝浩名誉教授の2カ所から発表されておりました。いずれも大きな効果を予測しておりました。
 最初に、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会、知事としての総括と和歌山県にもたらしたその経済効果について、仁坂知事にお聞きをしたいと思います。
 2点目に、立命館大学産業社会学部ゼミでスポーツ社会を専攻している大学生の方々から取材がありました。開会式の後でお会いし、私なりに彼らの質問についてお答えしましたが、大会規模などの簡素化や効率化に努めたことや、新たな取り組みとして充実化、活性化されたことなど、質問等もありました。この和歌山らしさについて、知事に改めてお答えをいただきたいと思います。
 また、どの会場でも、学校の配慮で小中学生の観客を大勢見かけました。児童生徒に与えた影響も大きかったことを考えると、今後引き続きスポーツ王国和歌山の復活にもつながる施策を講じるべきと考えます。和歌山の競技力は全国レベルになったと証明されました。
 しかし、今後その競技力をどのように維持していけるのか、知事の方針が大きく影響していきます。国体の結果が下位のほうでは、誇りに思えるはずがありません。県民に勇気と誇りを持ってもらえるためにも、今までの施策の継続性が必要です。それはコーチや指導者にかかっていると思います。今後の競技力向上についてのお考えをお示しください。
 国体で大いに盛り上がったわけですが、今後、県民力をどのように維持していかれるおつもりか、その対応についてお尋ねをします。
 かつて、議会で申し上げましたように、スポーツを通じて高齢者も若者も元気になります。施設も充実し、世界大会も開催できる環境も整いました。先ほどにもありましたように、国体・大会を通じて約76万人が参加されたということです。スポーツは、する、見る、支えると、大きなエネルギーやパワーにつながります。スポーツを通じての観光振興、スポーツツーリズムをいかに進めていかれるのか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 以上、最初の質問といたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) さきに開催いたしました紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会は、全国から集まったトップアスリートによる熱戦が県内各地で繰り広げられて、大きな感動とともに閉幕いたしました。議員の御質問の中のお言葉を拝聴しておりますと、あの感動がよみがえってくるということで、目頭が熱くなります。
 国体では県民の悲願であった男女総合優勝、続く大会では史上最多の127個のメダル獲得と、和歌山県の選手たちが大いに躍動し、すばらしい結果を残してくれました。
 また、競技会場には、連日多くの観覧者が詰めかけて熱い声援を送り、和歌山県選手の活躍に歓喜するなど、選手と観覧者が一体となって夢と感動を共有できた大会であったと思います。
 加えて、御指摘のように、会場運営を初めとしたボランティアや開閉会式の出演者など、多くの県民の御参加によりまして、県民総参加で心のこもったおもてなしができた、すばらしい大会であったと考えます。
 両大会では、選手、監督を初め大会関係者も含めて、おおむね見込んでいた規模の76万人の御参加がありました。その経済効果については、選手、監督や大会役員、応援の方々など、県内の宿泊施設が大勢の宿泊客でにぎわったほか、開閉会式会場内に設置したきいちゃん広場というのがあるんですが、そこに出店された業者の皆様からも、総じて売り上げがよかったとのお声をいただくなど、県産品の売り上げ増加や公共交通の利用増加なども含めて、全体として大きな効果があったと考えております。
 また、これは一過性のものでは決してございませんで、大変評判がよく国体・大会を終えられたので、その来られた方々が、本番中は競技に大変熱心で、なかなか観光などというのには関心が回らなかったかもしれませんが、あそこはいいとこだったということで、これは今後の観光につながっていくと思います。
 それから、国体を目指して施設をつくったり、あるいはインフラが格段に進捗いたしましたが、そういうのもまた産業活動とか県民の生活とか、あるいは観光とかに役立っていくので、これをまた利用せないかんというふうに思っているところでございます。
 第2は、和歌山らしさということでございますが、両大会を開催するに当たっては創意工夫を凝らしまして、和歌山らしさを前面に打ち出すことを心がけて取り組んでまいりました。具体的には、簡素で効率的な運営──財政力がそうないところでございますので、そういうこと──それから和歌山らしさを基調とした会場と式典内容、それから県民総参加によるおもてなしの3点を目指したわけでございます。
 簡素で効率的な運営については、競技会場の整備に当たり、県内の既存施設を最大限活用するとともに、県外の施設も有効に活用する方針を決定いたしました。県内に開催基準を満たす施設がない4競技は県外で開催するとともに、競技用備品の共同購入を行うなど、全体として負担の抑制に努めてきたわけでございます。
 会場と式典については、総合開閉会式の会場である紀三井寺運動公園の整備については、会場の緑をそのまま生かしつつ、ミカンの木の植栽とか、和歌山の森や海をイメージさせる会場づくりを行いました。国体の総合開会式における式典前演技や大会の開会式における歓迎演技では、大勢の県民の御参加によりまして「紀の国の“みち”」と題したパフォーマンスを行いまして、来賓の方々からも賞賛の声をお聞きいたしました。
 この最後の場面では、県内では歌を歌ったり楽器を弾いたりする方が大勢いらっしゃる──これは和歌山の特色であると思いますが──そういうところに実は目をつけまして、グラウンドと観客席が一体となってベートーベンの第九交響曲「歓喜の歌」を演じてもらった。これは、みんなびっくりして、とても盛り上がりました。張会長が「我々は県民総参加で心に残る国体をしたい」というふうにずっと言ってきたんですけども、「まさに、心に残る国体になりましたね」というふうに言ってもらったということで、よかったんじゃないかと思います。
 それから、おもてなし、これを随分「お願いをいたします」と県の方々にずっと言ってまいりました。いつまでも心に残る大会運営を目指して県民総参加で力を入れてきたところでございまして、花いっぱい運動やクリーンアップ運動を積極的に展開していただきました。また、運営ボランティアでも、これは物すごくて、延べ4900人の募集を大きく上回る約6000人の応募をいただきました。大勢の県民の皆様の御参加をいただきながら、かつ、まちの方々もおもてなしの心で接していただいて、大変行き届いた大会運営ができたと思っております。
 次に、今後の競技力向上についてでございます。
 今回の紀の国わかやま国体を一過性のものにせず、国体で得られた財産を生かして今後の競技力向上に取り組んでいかなければならないと考えております。先催県を見ると、中には開催年には優勝はしたが、次から見ると急に順位を下げているというような県もございます。スポーツをすることは、それ自体すばらしいことでございますので、国体で盛り上がった火を消してはいけないというふうに思っております。
 そのためには、競技力向上においては、やっぱりジュニアからの育成が必要不可欠で、ジュニアから少年、成年へとつなげる一貫指導体制の構築とか維持、これが非常に重要になってまいります。このために、ジュニアや少年の競技レベルを高める指導者の存在が大変大きいわけでございます。今回の国体で成果を上げたすばらしいコーチや指導者には、今後もその指導力を十分発揮していただきたいと思いますし、それから国体で本番として、自分が選手として活躍してくださった成年の方々も、これを優秀な指導者になってもらうように育成をしていくということで、次世代にまた有力な選手が続々と出てくるということを目指したいと思います。
 スポーツで元気な和歌山の実現に向けて、予算水準は多少落ちるにしても、選手強化とか指導者育成などのために支出をある程度続けたいと思っておりまして、そのために予算を議会に認めていただきたいと考えているところでございます。
 このようにしながら頑張って取り組んで、今後も高いレベルを維持するために頑張りまして、当面は国体10位台を目標に頑張りたいと思っております。
 次に、県民力の維持でございます。
 議員お尋ねの県民力について、私は、今回の国体並びに大会では、挨拶・おもてなし運動、花いっぱい運動、クリーンアップ運動、県民歌の普及の県民運動に多くの県民に参加をいただいたことで国体・大会が成功裏に終わり、県民に自信と誇りが高揚されたと思っております。
 このような県民運動は、今後とも防災とか防犯とか福祉、教育などの幅広い分野で地域を支える重要な基盤ともなると思います。この機運を継続発展させていくことができるように、花いっぱい運動や挨拶運動など、多くの県民が参加する取り組みを応援してまいりたいと思います。
 また、国体を目指して、タクシーの運転手さんとか、あるいは旅館、ホテルの従業員の方々に研修に参加してもらったりいたしました。レベルが随分上がったと思います。これは、今後の例えば観光の振興にも役に立っていくんで、この流れで皆さんにも頑張ってもらいたい、そのように我々も力を用いたいと思っております。
 それから、スポーツツーリズムでございますが、これまで本県はスポーツを核とした観光に取り組んでまいりました。今回、国体が開催されて、各施設及び高速道路などのインフラ整備が進んだことを受けて、さらに条件が整ったと思っております。加えて、御指摘のように国体での県民総出のおもてなし運動によって、受け入れ体制もかなり充実してきたと思います。これらのことを踏まえて、今まで以上にナショナルチームとかあるいはプロチームの本県のキャンプの誘致に取り組んでまいりたいと思っております。
 幸い、国体に向けた施設改修もございまして、ことしは北京世界陸上に出場するオーストラリアナショナルチームが紀三井寺陸上競技場や田辺スポーツパークで事前キャンプを行ってくれたほか、ラグビートップリーグのNTTドコモレッドハリケーンズとか近鉄ライナーズとか、そういうのが上富田スポーツセンターで強化合宿を行ってくれたりもいたしました。今後とも、市町村や競技団体とともに積極的に誘致に取り組んでいきたいと思います。
 次に、国内スポーツ合宿の誘致でございます。
 紀の国わかやま国体における県内開催競技では、1万9000人の監督、選手が県外から訪れ、本県のスポーツ環境や県民のおもてなしを心にとめていただいたというふうに思います。
 このようなきっかけを最大限に生かせるように、合宿等の受け入れ体制の充実を積極的に情報発信しなければならないと考えております。幸い、多くのスポーツ施設が整備されたので、「スポーツ王国わかやま合宿ガイド」──ちょっと名前が強過ぎるかもしれませんが──の一層の内容充実を図っているところでございまして、あわせてPRパンフレットも更新し、合宿等を扱う旅行会社へのセールスも強化してまいりたいと思っております。
 また、スポーツツーリズムの振興による地域活性化は、県のみならず地域も主体的に行う必要がありますが、現在、田辺市など5市町が主体となって南紀エリアスポーツ合宿誘致推進協議会を組織し、合宿誘致事業を展開しておりまして、県では、わがまち元気プロジェクトとしてこれを支援するということでございます。
 こうした動きを民間団体あるいは民間企業も含めて県全体に広げていくことが重要でございまして、国体を成功裏に終えた今がそのときであると考えまして、気を抜かないで県が主導して、より多くの活動を芽吹かしていきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁ありがとうございました。
 スポーツでも県民の夢を与え続けていただきたいと強くお願いをする次第でございますし、今、知事から御答弁いただきましたように、競技力向上を維持していくということで国体で10位以内を目指すと、これ、もう本当にすばらしいことだと思いますんで、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。
 2つ目の質問に移らせていただきたいと思いますけども、2つ目は「教育立県和歌山を目指して」についてお尋ねをしたいと思います。
 経済協力機構(OECD)2013年の調査によりますと、日本の教師は最も多忙であることが明らかになりました。1週間の労働時間は世界平均の38時間を大幅に上回る54時間、しかし、授業や生徒の指導に使った時間はその半分にも満たない20時間、事務事業などに多くの時間が割かれているのが現状です。なぜ、教師が多忙になっているのか。当然、子供たちにも影響が出ているはずです。少し前の学校に比べると、今の学校の現状は、この図を用意しましたのでちょっとごらんいただきたいと思います。(資料を示す)
 これは「チーム学校」のイメージでございますけども、かつては円の中にありますように、教員はこの教科指導、生徒指導、特別活動、いわゆる学級活動や児童会、生徒会などの教科以外の活動、そして学校行事、部活動、それに進路指導などが教員としての仕事でした。それに保護者への対応、地域への対応、教育事務、会計事務、発達障害等への対応、暴力行為等への対応、不登校への対応、いじめへの対応、家庭や友達、それに学校での心のケア、そして新たな課題への対応などがふえて、子供に向き合う時間がどうしても減ってきている現状があります。
 学校も閉鎖性が指摘されてきました。今日の教育改革が示すように、開かれた学校づくり、地域や保護者に信頼される学校づくりが進み、学校運営協議会が設置され、学校と保護者や地域の皆さんがともに知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることで一緒に協働しながら子供たちの豊かな成長を支え、地域とともにある学校づくりを進める仕組みとなりました。
 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなども配置されるようになり、本県では、スクールカウンセラーは小学校87校、配置率35%、市町村立中学校100校、配置率83%となっております。ソーシャルワーカーは22市町、高校3校という現状でございます。
 また、学校支援地域本部として、きのくに共育コミュニティも立ち上げております。また、学習や学校支援のボランティアなどもあります。
 行政でも、消防や警察にも御協力いただいております。特に、暴力行為等の問題もふえている現状です。昨日も中本議員の質問にもありましたけども、平成26年、小学校では47件、中学校では414件、高校では104件となっています。このことへの対応で、もともとがスクールサポーターとして教員OBや青少年指導員などを配置していたものを、現在は学校支援サポーターとして警察OB8名の方の配置になっております。教育現場からの要望も多いと伺っております。
 フリースクールは、不登校の子供たちを対象に学習の支援や体験活動等を行う民間の施設。そのフリースクールにどのような公的な支援ができるのか、文科省は有識者会議を立ち上げ、検討に入っております。安倍総理もフリースクールを視察されたと報道されておりました。学校教育の関係者からは異論のあるところでしょうが、多様な受け皿となるかどうか、文科省の判断が転換点となるかもしれません。
 不登校の公的な教育支援センターとして、適応教室があります。平成26年度、県内には和歌山市こども支援センターや岩出市フレンドなど、12市町13教室で現在123名の児童生徒が学んでおります。
 夜間中学は、さまざまな理由で義務教育を卒業できなかった15歳以上の人を対象にした中学校、設置は各都道府県に任されていますが、和歌山県でも文科省から予算措置があり、現在研究していると9月議会で藤本議員の質問にお答えされておりました。現在、自民党・公明党、与党でチーム学校推進議員連盟で仮称・チーム学校推進法案を検討。教員の指導体制の充実、専門的人材の配置、事務職員の配置などを行い、校長の学校運営への支援などを検討されております。校長がマネジメントを図り、教員は教科指導等に専念できる、子供にもっと向き合える教育現場という点で、今後の国の行方に期待をしたいと考えております。
 教育についての大きな枠組みは国に検討してもらうとして、現状の問題認識についてどのようにお考えになるのか、質問をしてまいりたいと思います。
 まず、学校現場において教員が多忙となっている現状についての認識を教育長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 教員の多忙化につきましては、本県の県立学校の全教員を対象に行いました勤務時間実態調査におきましても、時間外勤務を月45時間以上している教員が約3割程度いる状況でございます。その中には土・日曜日とも勤務している教員もおり、大きな課題であると認識してございます。
 議員御指摘のように、近年、急激な社会の変化に伴いまして、いじめや暴力行為等の問題、特別な支援を必要とする児童生徒数の増加や不登校の児童生徒の割合の増加など、学校現場を取り巻く環境は複雑かつ困難化してございます。
 また、事務処理量の増加あるいは保護者への対応、部活動の指導も加わり、教員一人一人の業務がふえていることもその要因と考えられてございます。教員が子供と向き合い、子供の成長をしっかり支えていくためにも、多忙化の解消に向けた対応策を講じることは必要であると考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今、御答弁にもございましたけども、県立学校の勤務時間実態調査では、月45時間以上の時間外勤務の教員が約3割と、土日も休みなしで働いていらっしゃるという御答弁でございました。これは、県立学校の教員だけの問題ではないと思います。1日平均すると2時間の時間外勤務に相当します。中には、それだけでは終わらず、自宅に仕事を持ち帰っているケースも多いのではないかと推察いたします。
 和歌山県でも、平成21年度からこの問題を捉まえて、学校マネジメント支援に関する調査研究事業を行っております。この事業の狙いとして、教職員の業務負担についての把握を行い、会議や調査などの精選、学校と教育委員会の情報の共有化の推進、校務分掌の適正化を図り、教職員が子供たちと向き合う時間をより確保するとしております。
 現場と向き合えなければ、根本的な取り組みとならないと思います。学校マネジメント支援調査研究事業をどのように生かされているのか、調査研究とその後の対応について教育長にお尋ねしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 教員の多忙の改善が課題となっていることから、本県では平成21年度から4年間、文部科学省の事業を受け、7市町の協力を得て、児童生徒と向き合う時間を確保するために、教育委員会や学校、各教員がそれぞれどのような工夫や取り組みができるのかについて研究を進めてまいりました。
 これらの研究から、会議の精選や事務処理の簡素化等、各学校が組織として取り組める内容について、教員の勤務負担軽減のポイントとしてまとめるとともに、教員がみずからの勤務状況を振り返るためのチェックリストを作成し、多忙化の軽減のための提案をしてきたところでございます。
 また、それらの成果につきましては、各学校現場に応じた工夫や改善と児童生徒のための教育活動の充実に向けて活用できるよう冊子に取りまとめ、県内の全ての公立学校に配布するとともに、ホームページに掲載し、改善に努めてございます。
 しかしながら、先ほど御答弁申し上げましたように、依然として教員の業務は多岐にわたり多忙な状況が続いていることから、この研究の成果と各学校の具体的な取り組みを把握し、多忙の改善につなげてまいりたいと考えてございます。
 また、現在、庁内では、将来に向けて課室を超えて勤務の負担を軽減するための会議や部活動の有識者会議を立ち上げてございまして、多忙化解消に向けた取り組みを進めているところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今の御答弁にございましたけども、平成21年からこの取り組みを始め、解消に向けた形で有識者会議等も立ち上げたというふうにおっしゃっておりましたけども、平成21年からすると、もう7年がたってるわけでございます。この間、教育長は何人か交代されておりますけども、現状は変わらないままだというふうに指摘したいと思います。
 ぜひ、国の出方を見守るだけではなくて、児童生徒、子供への影響ということは少なからず僕はあると思いますので、待ったなしにできることをやっていただきたい、こういう観点から再度、教育長の決意をお伺いしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 先ほど申し上げた中に、庁内の会議の中では、もう既にどのような調査とか文書の発送でありますとかを、早速ことしのものから精選するようにということで作業を進めさしてございます。
 また、部活動の有識者会議におきましても、今後、中学校の部活動のあり方について、結論が出次第、どういうふうなあり方があるのかということも周知していきたいなあというふうに考えてございます。
 私も、校長時代ということもございましたので、先ほどの期間、校長でおりましたので、例えば校務分掌について、私は多分8分掌あったやつを5つに集約してやりましたし、また会議もできるだけ少なくするというようなことも実際取り組んできてございますので、そういうことは私もその都度、各校長にも話をしてございますので、できることから取り組んでいきたいなあというふうに思ってございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 次の質問に移りたいと思います。
 「『教育立県和歌山』をめざして」と、昨年の和歌山県教育広報紙「きこら」、平成26年7月に発行されたこれでございますけども、(資料を示す)この中に、表には「『教育立県和歌山』をめざして」と、こんなふうに書かれておりますし、今後5年間さまざまな取り組みを実施しますと、こんなふうに書かれております。
 ところが、この中を見ますと、1つは「いじめ問題に、県、学校は総力をあげて対応します」、2つ目に「道徳教育を充実し、豊かな心を育みます」、3つ目に「学力の向上をめざします」、「体力・運動能力の向上をめざします」、「世界で活躍できる人材を育てます」、「ふるさと教育を一層進めます」、「高校生の就職状況の改善をめざします」と、7つの項目を挙げておりますけども、この中で不登校への取り組みについて見当たりません。
 ことし報告された不登校児童生徒数では、小学校でワースト1位、中学校でワースト3位となり、大変重い受けとめ方となっております。昨年の不登校の実態は、小学校でワースト2位、中学校でワースト13位と、悪い状況であることに間違いありませんが、取り組むべき課題として取り上げられておりませんでした。要するに、学力やいじめの問題など、最低レベルにならないと取り組む課題から外れてくるんじゃないかと、こんなふうに疑問も思うところでございます。
 不登校の問題でいいますと、ワースト1位になったのは昨年だけではありません。ちょっと調べただけでも過去に3回ありますし、ここ10年見ても取り組みで大きく改善されたとは言いがたいものとなっております。
 不登校は、学校問題の入り口のような感じですが、一人一人を大事にするという点では学校の総合力、教育の総合力にかかわると私は思っております。この問題を解決しないと、教育立県和歌山というのは難しいと言わざるを得ません。
 9月定例議会でも、中拓哉議員の質問に対し、来年度の重要施策として取り組むと知事も御答弁されております。ことし、総合教育会議の議事録を確認いたしましたけども、知事の本気度を感じました。私も議会で何回か質問さしていただいておりますけども、特に平成19年12月には、有田市で開かれた教育セミナーで、「不登校ゼロへの挑戦」というタイトルで──この和歌山で開かれたセミナーですね──このタイトルで講演された宮崎大学・小野昌彦教授の、不登校への初期対応の目標は欠席3日、そして連続でも断続でも欠席が3日になった時点で要注意とし、本人が動き出すまで待っているのじゃなく、早期に手を差し伸べることの重要性を紹介し、学校組織として連携について申し上げてきたつもりでございます。
 学校教育の根幹にかかわる問題、なぜ改善されないのか、不登校対策がなかなか進まない中、教育長としてどのようにお考えか、お伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 不登校につきましては、私も就任時におきまして、学力問題のみならず、いじめや不登校は喫緊の課題であるというようなことでお話をさしていただいてまいりました。不登校につきましては、出現率が全国に比べ高く推移していることから、スクールカウンセラーによる教育相談体制の充実や、スクールソーシャルワーカー等を活用したチームによる組織的な支援体制の整備などをこれまでも図ってまいりました。さらに、本年4月からリーフレット「不登校を生まない集団づくり」を全ての学校で活用し、未然防止に努めてまいりました。
 しかしながら、本年8月に発表された昨年度の不登校出現率が全国平均を大きく上回っておりました。教育委員会としましては、大変憂慮すべき一大事となっていることを厳しく受けとめ、これまでの取り組みを点検し、より正確に児童生徒の状況を把握し、不登校対策に現在取り組んでいるところでございます。
 また、今月、不登校問題の第一人者を招聘した有識者会議を設置いたしまして、第1回会議を開催したところでございます。本会議は月1回、計5回程度開催し、本県の不登校児童生徒の実態や取り組みを分析するとともに、不登校問題の解消に向けた具体的な方策について提言をいただこうとしてございます。この会議においていただいた提言につきましては、取り組めるものは速やかに実施するなど、改善に向けた今後の施策に生かしてまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 本来なら、もう少し話を進めていきたいところでございますけども、来年度の重点施策ということでございますんで、それに期待をして次の質問に移らしていただきたいと思います。
 この不登校の個別な対応として、適応教室やフリースクールなども視野に入れるべきことも検討すべきではないかと思いますけども、この適応教室やフリースクールについてのお考えを教育長にお尋ねしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 不登校になった子供たちにつきましては、まず学校がチームとして対応し、学校への復帰を目指して支援することが重要であると考えてございます。また、不登校には一人一人多様な要因があるため、市町が設置している適応指導教室での相談活動や学習支援、体験活動などを通して、不登校児童生徒が学校生活に復帰できたケースもあります。
 県教育委員会といたしましては、県内にある適応指導教室の関係者を集めた情報交換の場を設けるなど、復帰支援の好事例を市町村に今後広めていきたいと考えてございます。
 また、フリースクールにつきましては、先ほど議員御指摘いただきましたように、現在、国のほうでの議論が進んでございまして、不登校に関する調査研究協力者会議やフリースクール等に関する検討会議において、法制化も含めて議論されておりますので、その動向を注意しながら教育委員会としての役割も研究してまいりたいと思ってございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 次の質問に移りたいと思います。
 学校現場の中で子供と接する教員が一番困るのが、心の問題ではないでしょうか。教科を教えることはマスターしているとしても、家庭や友人関係、学習到達度、さまざまなことの対応について話を聞く力、そしてそれへの対処力についてはもっと研修を進めるべきと考えます。
 和歌山県教育委員会でも、教育研修の1つとして、認知行動療法に係る研修講座として昨年から実施していただいております。
 受講者の感想を少し紹介しますと、「実際に学校で認知行動療法の視点を取り入れて子供たちとかかわることによって、生徒の本心を聞くことができる場合もあるように感じました。参考にして生徒とかかわっていきたい」、また、「どの考え方も悪いことではないが、偏った考え方が児童生徒自身を苦しめてしまわないように、いろいろな考え方を提案してあげることが大切だと感じました」とありました。
 心のケアについて、どのように教育長はお考えか、お聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 児童生徒の心のケアにつきましては、学級担任が中心となり、全ての教職員が児童生徒に正面から向き合い、理解を深めながら対応することが大切であります。その上で、校内の教育相談部会などの校内組織を機能させながら、家庭と連携をとり、児童生徒の心のケアに努めてございます。
 さらに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門性を持った外部人材を活用いたしまして、児童生徒と保護者の支援を行ってございます。
 また、県教育センター学びの丘におきましては、教育相談研修や認知行動療法を取り入れた研修を実施しており、カウンセリングマインドや人間関係づくりの手法を活用することの大切さを学ぶ機会を設けてございます。
 今後とも、実践に生かすことのできる研修の実施や専門性を持った外部人材を有効に活用いたしまして、学校と家庭、関係機関が緊密に連携をとりながら、不登校問題等の解決に組織的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 続いて、総合教育会議についてお尋ねをしたいと思います。
 教育委員会の新しい制度として、今年度、既に2回開催されております。このたびの総合教育会議には、教育長や教育委員はもとより、知事、副知事、総務部長、環境生活部長なども入り、活発な意見交換が行われております。
 議事録を読ませていただきました。それぞれの立場で意見を述べ合い、有意義な会議と受けとめております。不登校をテーマに有識者の意見を伺ったりしておりますが、今後どういう総合教育会議にしていかれるおつもりか、知事にお尋ねをしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 教育制度が変わりまして、知事の権限が強まりまして、総合教育会議ができたわけでございます。
 その前に、この制度が改正の原因になっとるわけですが、よそでは、教育問題は教育委員会の所管なので責任はないとか知らないとか、そういうような態度を示す首長も、報道などではよく目にいたしました。
 しかし、私は、教育は県政の最重要課題だと思っておりますので、これまでも教育委員会と必要に応じて協議を深め、もっと露骨に言うとうるさいことも言い、一緒に教育行政を進めてきたつもりでございます。
 しかし、考えてみますと、それは教育長とかあるいは教育委員会の幹部職員、そういう人たちを通じてやってきたわけでございまして、教育委員会の方と直接議論する機会は正直言って余りなかったなあというふうに思っております。今回、そういうのができました。
 第1回総合教育会議では、御指摘のように教育をめぐる諸課題についていろいろ議論をして、第2回会議では、喫緊の課題である不登校対策について一緒に話を聞き、協議を行いました。出席者というかメンバーからは率直で忌憚のない意見が出されたと思いますし、私は大変有意義な会議であったと思っております。
 これからも、日ごろから教育委員会との関係を一層緊密にもちろんするわけですが、総合教育会議も活用して、そこでいろんな意見を出してもらってレベルを上げて、それでそれぞれ責任のある、今度は行動部隊が行動していくということで、実効性のある対策を立てるべくやっていきたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 大きな3項目めの質問に移らせていただきたいと思います。
 まち・ひと・しごと、地方創生についてお伺いをいたします。
 移住定住大作戦として、ふるさと回帰支援と田舎暮らし対策を進めておられます。
 先日、東京の認定NPO法人ふるさと回帰支援センターを視察してまいりました。当日は火曜日でしたけども、東日本エリアにも西日本エリアにも若者の相談者が目立っておりました。また、行政関係者の視察もあり、「土日はもっと大勢なんですよ」と係の方がおっしゃっておられました。
 ふるさと回帰支援センターに訪れる方は、2008年からずっと右肩上がりで、昨年2014年度には1万人を突破したそうでございます。来訪者は、ここで開催されているセミナーや面談などに参加しております。発行誌「100万人のふるさと」早春号に仁坂知事の記事が載っておりましたし、「潮」9月号にも和歌山県の移住定住大作戦が取り上げられておりました。私の年齢では想像がつかないほど、若者の思考の中で田舎の田舎を望んでいる方がふえているそうでございます。
 移住定住推進に向けた取り組みの現状について、田舎暮らし先進県として、仁坂知事にお聞きいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県では、さきに策定いたしました和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略において、人口減少に対応して、和歌山県への新しい人の流れを創造するための施策の1つとして、移住定住大作戦により、30市町村全体で移住を推進するということを目標としております。
 今年度は、若年移住者の受け入れを特に進めていくということが重要であると考えまして、暮らし、住まい、仕事の視点から多様な支援を行っております。
 まず、暮らしの支援では、全国トップレベルの若年移住者暮らし奨励金や年間30回を超える現地体験会の開催、さらに現地を訪問した際の滞在費用の助成を行っております。
 住まいの支援では、県統一版の空き家バンクを設置いたしまして、県内各地域の空き家情報を集約して提供するほか、空き家改修費用及び家財道具撤去費用を支援しております。
 仕事支援につきましては、移住者起業補助金や農林水産就業補助金のほか、先月和歌山市内に開所したわかやま定住サポートセンターでは、同じ建物内にハローワークと県のジョブカフェわかやまが入り、暮らし、仕事、住まいの情報を一元的に集約し提供できるほか、東京、大阪で受け付けた相談を県内で引き続きサポートする体制を整えたところでございます。
 東京の相談窓口に県職員を相談員として配置したことに加え、セミナーや移住相談会を毎月開催したところ、上半期で約400件の移住相談がありまして、さらに県内で開催する現地体験会に首都圏から約140人が参加してくれました。
 これらの施策に総合的に取り組んできた結果、今年度上半期の移住実績は60世帯108人と前年同時期の約3倍になっておりまして、施策効果の手応えを感じておりますが、まだまだこんなもんじゃという気持ちも一方ではございます。
 今後、移住に関する地域間競争がますます激化しておりまして、さらにすごくなると予想されることから、移住定住大作戦の取り組みを、これで安心するということはなくて、さらに積み重ねていくことが肝要でございまして、市町村及び地域受入協議会とともに腰を据えて政策を進めていかなきゃいけないというふうに思っているところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 先日も、那智勝浦町色川地域振興推進委員会の原会長にお話をお聞きしましたし、またその後、田辺市中辺路での移住・定住の課題などについてもお聞きしてきました。原さん自身もIターンされた方ですので、地域に定着されるまで、これまでの御苦労があったことや、地元の方が受け入れしていただいたことで40年間暮らし続け、今や移住者の方を熱心に受け入れて、既に170人近く色川で暮らしているようです。山村の土地ですが、小学校、中学校の建てかえ工事が着工されていたのが印象的でした。また、中辺路では移住者は多いものの、その地からUターンされる方も多いと伺いました。定着するまでには、いかに生活の糧を見つけるかが改めて問われると思います。
 定住者を呼び込む田舎暮らし、田舎の田舎こそ人口減をとめられる、その名も「田園回帰1%戦略」、藤山浩島根県立大学連携大学院教授が提唱する人口減少歯どめ策についても注目しました。毎年人口の1%に当たる定住者をふやす、人口5000人の村なら毎年50人の移住者を受け入れることで人口減に歯どめがかかり始め、30年後の時点では、総人口と14歳以下の子供の数はいずれも少なくとも現在の9割以上は保つことができ、高齢化率も現在より低くなります。持続可能な地域を取り戻すため1%ずつの定住増を目指すことに説得力がありますし、島根県では人口が社会増に転じたことのある地域がこの5年間で7市町に上るとありました。
 そこで、企画部長にお尋ねをいたします。
 移住を推進する市町村の取り組みについてどうお考えか、お聞かせいただきたい。それとあわせて、田舎暮らし応援移住定住大作戦を今後どのように展開されるおつもりなのか、お尋ねをしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) まず、県では、平成18年度から市町村や地域住民と連携して移住推進に取り組み、いわゆる和歌山方式の受け入れ体制が功を奏し、約7割の方が過疎の地域に定住している状況でございます。
 しかしながら、地域になじめない、また仕事や生活面の悩みを相談できないなどにより、都市部へ戻るケースも見受けられます。
 課題としましては、受入協議会の移住者に寄り添った、その方々を受け入れるんだという対応が不十分であると思われる地域があることや仕事が継続できないことなどが考えられます。
 移住者に対して仕事や生活面でのさまざまな悩み事を気軽に相談してもらえるようにその体制を周知し、ワンストップパーソンと受入協議会に対しては、その機能を十分に発揮させるため、定期的に移住・交流担当者研修会や情報交換会等を開催しているところではありますが、さらに県内の先進的な、また効果的な市町村の取り組みを共有する機会を設けるなど、しっかりと移住者をサポートできる体制づくりを行ってまいります。
 続いて、県では、持続可能な地域をつくるために、特に少子高齢化が進む過疎の市町村においては若い世代の受け入れが重要と考え、若年移住者暮らし奨励金や移住者起業補助金などの制度により、若年層を積極的に受け入れる戦略に取り組んでいるところでございます。
 また、いまだ移住推進に取り組んでいない市町村に対しても、ワンストップパーソン及び受入協議会の設置などの体制整備に取り組むよう、引き続き働きかけているところでございます。
 今後、地域間競争がさらに激しくなると予想される中で、都市住民に対してセミナーや相談会、現地体験会などを開催するほか、テレビ、雑誌、SNSなど、さまざまな媒体を活用して情報発信するとともに、特に関心の高い方には、その人に合わせた情報を提供して和歌山暮らしの魅力を訴えてまいります。
 移住者の定住促進のためには、地域主体のサポート体制が不可欠であることから、県、市町村及び受入協議会が一体となって、移住前から定住までをきめ細かくフォローする万全の体制で取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 次に、和歌山版政労使会議の開催について質問いたします。
 政労使会議は、政府、労働界、経済界の各代表で雇用環境の改善などを話し合う場となっております。その地方版政労使会議を設置する動きが出てきております。国レベルでは、2013年に設置されて以来、着実に企業の賃上げを促してきた成果が、春闘で2年連続前年同期を上回ったことがわかっております。
 ことし1月から、各都道府県労働局に設けられた働き方改革推進本部は、関係者と協力し、進めていくことになっております。例えば、テレワークなど働く場所の見直しや短時間勤務制度など、働く時間の見直しなどを進めていかなければなりません。働き方改革推進本部の取り組みの現状、そして今後、和歌山経済の好循環の実現に向けての政労使の3者が意見を述べ合い、若者を含めた多様な労働力確保を目指す和歌山版政労使会議を開催すべきと考えますけども、そのお考えについてお聞きしたい。商工労働観光部長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県、和歌山労働局、和歌山市の3者で構成する和歌山働き方改革推進本部を本年1月に和歌山労働局内に立ち上げ、あわせて本部に和歌山働き方改革会議を設け、経済団体や労働組合の代表者などを交えて、より働きやすい職場環境づくりについて意見交換を行っております。
 働き方改革推進本部の取り組みとして、企業のトップを訪問し、長時間労働の削減や年次休暇取得促進等、企業の実情に応じた働き方の見直しに取り組むよう要請するとともに、本年11月には働き方改革シンポジウムを開催し、機運の醸成を図っております。
 また、県では、経済団体や労働組合と企業振興や雇用の問題について意見交換、議論をし、政策に反映しているところです。
 こうした中、人口が減少し、労働力の確保が大変大きな課題であることから、経済の好循環の実現に向けて、議員御提案の公労使が意見交換を行うための和歌山版政労使会議については、和歌山労働局を中心に、年度内の開催に向けて経済団体、労働組合と調整を進めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 和歌山版政労使会議を早急にお願いしたいと思います。
 最後の質問に移らしていただきます。
 地方創生と教育についてお伺いしたいと思います。
 和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略をいま一度読み返してみると、教育と地方創生との関連をそこに見出すことはできませんでした。教育振興計画の簡略版としか見えません。
 そこで、まず教育長に伺います。
 学校教育と地方創生の関係について、どのような見解をお持ちでしょうか。そして、本県の地方創生に対して教育はどのようにかかわろうとするのか、お考えをお伺いいたしたい。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 将来の和歌山県の発展を支えるためには、卒業後、県内にとどまって本県の発展に貢献する人材を育てることはもとより、進学等で本県を一旦離れても、将来はふるさとに戻り、本県の発展に貢献するような人材の育成が重要と考えております。
 そのため、高等学校でのキャリア教育や職業教育を充実するとともに、県内就職への意識を高めるための取り組み、さまざまな資格取得、ミスマッチによる離職を防ぐための職場見学などをこれまで以上に推進し、地域産業の担い手を育成してまいります。
 また、学校在学中に地域と連携しながら自然や伝統文化、芸術等を生かした教育を実践し、地域貢献の意識を醸成するため、ふるさと教育をより一層推進し、和歌山県への愛着を高めていきたいと考えております。
 次に、人が地域に定着するためには安心して暮らせるまちづくりが重要であり、学校は地域にとって不可欠であります。教育環境の整備に努め、県内どこにいても同じ教育を受けられるという教育の質を確保し、教育の機会均等及び教育水準の維持向上を図ることで、和歌山の学校で学びたい、和歌山の学校で学んでよかったと言える教育の実現を目指し、和歌山の教育の充実を図ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) この際、申し上げます。
 多田議員、項目3の2と3、一問一答にはなっておりませんでしたので、時間がなかったのかと思いますが、これからは注意していただけるようにお願いいたします。
 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後0時1分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕(拍手)
○菅原博之君 菅原博之でございます。議長のお許しをいただいて、立たしていただきます。
 まず、このたびの県議会議員逮捕に至ったことについては、まことに遺憾であり、残念なことであります。県議会は、開会中、閉会中にかかわらず、必要に応じ捜査に全面協力するとともに、真実の全容解明が進むことを希望いたしたいと存じます。
 では、項目の1番に入らせていただきます。
 1つ目は在宅就労の推進についてでありますが、これは現在の在宅就労であるテレワークというものについてであります。
 パソコンなどの情報通信機器を活用して、時間や場所の制約を受けずに柔軟に働くことができる勤務形態のことであります。ITやデザインなどの部門だけにかかわらず、対面で接客が必要な営業部門でさえ、顧客に出向いた後、その結果をすぐにパソコン入力することで現状を瞬時に部門内で共有し、一々会社に戻る時間を他のことに利用できるため、週に2日は出社し、3日は出社不要にするなど、いろいろな利用が進んでおります。企画部門、管理部門、開発部門など、あらゆる部門で対象になる働き方であります。
 また、政府においても、平成25年6月には世界最先端IT国家創造宣言が閣議決定され、その工程表においてテレワーク導入企業数を2012年比3倍、雇用型在宅型テレワーカー数10%以上の政府目標が掲げられたところで、総務省職員自身を対象としたテレワーク制度も導入され、国家公務員テレワークも率先実施されております。
 最近では、東京本社の会社に在籍しながら、新潟県の自宅で第一線の管理職として愛知県の部下や北海道の部下たちとインターネットを利用したチャット機能でいつでも自由に連絡をとり合いながら仕事をこなし、東京の本社に出勤するのは月に一度という、そんな働き方を選ぶ人たちがふえております。
 その背景には、インターネット回線で大容量のデータをやりとりしやすくなったことから、一定の技量を持ちながら一度は仕事を諦めて子育てなどで家庭に入っている方や、インターネットを利用して地方の親元などでの在宅勤務を希望する人たちがふえているということが挙げられます。
 そんな中で、自治体が在宅で働きたいという女性たちと企業を結びつける取り組みを始めている事業がございます。今回は、私が政務調査にお伺いさせていただいた愛媛県松山市の事例を御紹介させていただきます。お手元に資料をお配りさせていただいておりますので、ごらんいただけますと幸いです。
 まず、親子のカラー写真が載った面をごらんください。
 松山市在住の女性に、仕事と家庭の両立を図っていただきやすい働き方を浸透、拡大させるのがこの事業の目的であるということであります。
 その裏面をごらんいただきますと、事業内容が載っておりますが、松山市の指定事業者さんが就業者の募集、管理、業務の開拓、業務に関する情報提供、納品品質の管理を行う。例えば、発注先の企業が無理な要求をしないか、きちんと代金を支払うかや、受注した個人が納期までに完成させられるか、あるいは納品品質が発注企業の要求を満たしたものであるかをチェックし、その間のトラブルにも対処する。そして、さらにスキルアップしたい希望を持つ女性にはセミナーを開催し、さらにレベルの高い仕事もこなせるよう支援や確定申告等の知識もつけさせる。
 一方、もう1枚の資料をごらんいただくと、行政側の松山市は、この事業に発注した企業に対して、納品を完了した後、事業額の1割を発注奨励金として支払う、つまり発注者は通常より1割引でその発注物を手に入れることができる仕組みであります。本年6月から事業の募集が始まり、私が政務調査に行かせていただいた9月時点で既に150社以上から発注があり、また応募の情勢も1回目で定員の200名が埋まり、予算が確保できれば追加募集の準備に入りたいということでございました。
 今、特にIT企業は、人手不足の影響が顕著に出てきていることから、どう人手を確保するかが大きな課題となってきておりますが、働き方を柔軟にしていけば人も集まり、業績も上がるということが企業にも労働者にも理解が進んできたということと、特に子育て中の女性が気持ちよく働き続けることができる環境を用意できれば企業にとっては労働力の確保ができ、地方の自治体としては東京の企業からの税収がふえる、またさらに移住希望者の注目度も上がることになるという狙いで行われている政策であります。
 当県の在宅就労、テレワークの推進についていかがお考えでしょうか。商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) ただいまの菅原博之君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 労働力の確保のためには、企業と働く者それぞれのニーズに応じた多様で柔軟な働き方と、よりよい職場環境づくりが重要であると認識しております。
 多様な働き方の1つであるテレワークについては、厚生労働省がテレワーク用通信機器の導入や社会保険労務士による導入のためのコンサルティングなどに対する支援制度を設けており、県としましては、企業に対してリーフレット等を使って周知を行っております。また、女性の就労については、希望する女性が安定した収入を得られる仕事につけるよう、保育所の整備や長時間労働の抑制、育児・介護休業制度の整備など、働きやすい職場環境づくりに取り組んでいるところです。
 議員御提案の松山市の取り組みについては、行政が民間事業者と連携して、在宅で働きたいという女性にパソコンを使ってできる仕事を提供する仕組みであり、この事業を施策の参考にするかについては、今年度から始められたものなので、利用者の状況や得られる収入、仕事の内容を見きわめていくことが必要であると考えております。
 しかしながら、こうした取り組みは、民間事業者同士の競争原理に委ねることによりさまざまな展開が期待されますし、行政が公費を使って特定の業者に委託することについても、民業圧迫などの観点から課題があるのではないかと思われます。
○副議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。どういう形になろうと、ひとつ前向きに御検討いただければありがたいと思っております。
 また、これを実施するとすれば、主体は基礎自治体であろうと考えておりますが、まず県が基礎自治体に対して推進役を果たされることと、この政策の次の段階の検討をぜひ要望させていただきたいと思っております。
 それは、県がさらに県全体で、例えばこの事業管理をすればA市とB市で提携する事業者が異なる場合も連携がとれ、またこの枠組みに中小企業を入れることも可能だと思うからであります。個人と中小企業をマッチングさせることによって、より大都会の企業からの大きな受注をふやし、税収アップにつなげることが可能になるからであります。
 実は、松山市でも、今の1件当たりの事業規模を拡大して税収アップにつなげたいという課題、問題意識を持っていて、私から、それならこの枠組みに中小企業も入れて事業組合をつくってはどうかと提案いたしました。担当の方は、ぜひそのアイデアをいただきたい、うちでもそれを検討させていただきたいというお話でしたので、これはより広域で県が検討されたほうが効果も上がるのではないかと思います。ぜひ御検討いただきたいと要望いたします。
 また、人口85万2300人の佐賀県では、佐賀県と鳥栖市、パソナテックの3者によるコンソーシアムが総務省のふるさとテレワーク推進のための地域実証事業に採択され、テレワークによる新たな働き方の普及や大都市圏企業の地方移転の促進や、県外からの転入者に対する生活直結サービスの提供などを行うという発表が7月7日にございました。このこともぜひ積極果敢に研究していただき、移住者アップ、若年労働力減少の歯どめの一助にしていただきますよう要望させていただきます。
 さて、次に先端技術活用農業の推進についてお尋ねいたします。
 先ごろ、環太平洋経済連携協定が大筋合意に至り、貿易の一層の自由化時代がやってこようとしております。
 我が県としても、農家経営を強化し、攻めの農業に転換することが急務、大変重要でございますが、今回の質問は、将来の農業を担う若い世代の方に農業の将来像の一端を知っていただくということで、現在の先進技術が農業にどう生かされようとしているのか、その技術の可能性を含めてお知らせいただければと考えておりますので、農林水産部長、どうぞよろしくお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 議員御指摘のとおり、TPPへの対応として本県農業の競争力を強化することは不可欠であると考えており、中でもICT(情報通信技術)等を活用した先端技術の導入に向けた取り組みが重要であると認識しております。
 このため、県試験研究機関では、企業や大学と共同で先端技術の実用化に向けた研究開発を実施しているところです。
 幾つか具体例を挙げますと、かんきつ農家がこれまで勘や経験に頼ってきた農作業を経験のない者でも容易に管理できるように、園地での生育データや環境データ、生産活動履歴を一括管理し、園地ごとのきめ細やかな生産活動を支援するためのシステムの研究開発に取り組んできました。
 また、果樹園での作業軽労化を図るため、農業用アシストスーツの研究開発に和歌山大学とともに取り組み、コンパクトで軽量な装置が完成し、来年度には販売される予定であると聞いております。
 花では、夜間に光を照らし、開花を促進する電照栽培において電気のコストが課題となっていましたが、光源に開花促進に適した波長を持つ農業用LED電球を利用することで、消費電力を10分の1に節約しながら高品質の花を生産する技術を開発したところです。
 こうした事例以外にも、国などの研究機関では、衛星データを活用し、生育を監視するシステムや高精度のGPSを活用した農作業機器の開発なども研究されており、県ではこうした先端技術について情報を集め、本県の生産現場に活用できるのか調査を行っております。
 今後も、ICTの活用等、先端技術の導入、展開を推進し、農産物の高品質化と省力化、低コスト化を図り、本県農業の競争力強化に取り組んでまいる所存でございます。
○副議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 今後の研究進展の状況も見て、大学の研究機関の拡充や企業の研究部門の誘致など、技術開発が和歌山県の農産物に適合した方向に優先的に向かうような働きかけも、どうかよろしくお願い申し上げます。
 さて、次に農産物輸出の推進についてでありますが、日本の果物は外国で大変高評価であります。特にアジアの国では、柿や桃などはプレゼント用に大変喜ばれております。ただ、値段が高いので、そう簡単に手が出ないというのが現実でございます。
 先ほど御説明いただいた先端技術などから、コストダウンにつながり、さらに例えばロボットなどがひとりでに農作業を行うような時代が来ればと願っているのですが、とりあえずは本県の職員の皆さんの御努力もいただいて、農産物の輸出推進を進めることが重要でございます。本日は、その取り組みについて、再度、農林水産部長よりお知らせください。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 先般のTPP交渉合意を受けて、海外からの農産物輸入増大も予想され、県内産地では農業経営の将来に向けた懸念や不安の声も聞かれます。今後は、生産性の向上や高品質化などへの対応はもとより、これを好機と捉えた県産品の海外への積極的な販路開拓が今まで以上に重要になってくると考えております。
 和歌山県では、これまで高品質で安心・安全な果実を輸出するため、和歌山県農水産物・加工食品の販売促進戦略を策定し、アジア諸国を中心に、JA等県内事業者とともに積極的に販売促進に取り組んでまいりました。
 桃については、台湾の高級量販店で店頭での販売促進活動を実施し、ギフト需要にマッチした果実としての評価が定着し、また香港においては、店頭のみならず、ネット通販へも販路を開拓し、人気商品となっています。
 ミカンについては、いち早くシンガポールの現地高級百貨店などに売り込みを行い、平成20年から毎年、和歌山フェアを開催し、定番商品となっています。
 柿については、甘さとさくさくとした食感が広く受け入れられ、タイや香港で人気が高まっており、今後、現地での店頭販売促進を強化すれば、さらなる輸出拡大が期待できる状況にまで来ております。
 さらに、海外への輸出が難しいと思われていた梅についても、香港の高級量販店での梅酒、梅ジュースつくり体験が人気を得て、青梅の輸出が実現するなど、さらなる事業の拡大に向けた産地の意欲的な取り組みが始まってございます。
 今後は、TPP加盟国もターゲットに見据え、海外市場開拓が一層促進されるよう、セミナーの開催やさまざまな方面との商談機会の創出等、県内事業者への支援をさらに強化してまいります。
○副議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 まず、何といっても輸送費の低減が大きな課題であると思っておりますので、船便でも鮮度が落ちにくい輸送技術のさらなる研究とともに、輸送費の削減につながる努力もお願いしたいと考えております。
 さて、次に行政改革についてお尋ねしたいと思います。
 本年6月、県から和歌山県長期人口ビジョンが発表されました。その内容は、少子高齢化と人口流出によって、本県の人口は何も対策を講じなければ2040年に70万人、2060年に50万人まで減少するが、適切に対策を講じたとしても、今からでは2060年に70万人で減少をとめるのがぎりぎりであるという予測であります。約3割の人口が減っていくわけであります。当然、人口が減れば税収も減少するわけでありますから、行政組織の適正な縮小をどうするのかという問題になってまいります。
 私は、2060年までに3割人口が減るのであれば、県議会定数も、今後4年ごとの選挙のたびごとに1議席ずつ減らせば、ちょうどこの人口減に応じたペースで、2060年付近で3割の定数減が達成できると機会があるたびに提案させていただいているところでありますが、行政組織としては、県面積や、部署によっては人口減にかかわらず仕事の量は変化しないという部署もあるのが事実であります。
 そこで、一部の部署に過重が集中することがないよう、単純な削減ではなく、さきに質問させていただいたテレワークなどIT技術をフルに活用し、相互に連携のとれた負担の偏らない工夫が必要と考えております。
 効率よく連携のとれた組織に縮小移行させることについてどうお考えか、総務部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 県では、これまで、新行財政改革推進プランを通じまして8年間で1170人の人員削減に取り組んでおり、その中で、その時々の行政需要に適切に対処するための組織体制の構築を図ってまいりました。
 このため、毎年度の組織再編に当たっては、新たな行政需要に対応した組織見直しの必要性や一部の部署に業務が集中しないかなどを細かく精査するなど、行政需要を勘案して限られた人員の中で最も効率的な組織編成を行えるよう努めております。
 さらに、部局をまたがる特定課題の解決に向けた臨機応変の対応ができるよう、主担当となる課の担当局長などが責任者となりまして、部局を超えて関係課に指示などをするヘッドクオーター制の活用など、組織の枠を超えた連携促進にも取り組んでいるところでございます。
 また、IT技術を活用して職員の連携促進や業務効率化を図るため、行政パソコンにスケジュール共同管理機能や情報共有機能を付加するなど、こういった環境整備を行うほか、現在、全部局にかかわります総務事務を中心とした情報処理システムを、より業務効率化に資するよう改良に取り組んでいるところでございます。
 この先の本格的な人口減社会を迎えまして、社会経済状況が大きく変わっていく中でも、今後ともIT技術を積極的に活用し、きめ細かな組織体制を構築することで、急速に変わりゆく時代に応じた最適規模で連携のとれた効率的な組織づくりができるよう取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。ぜひ知恵を絞って、よい組織の設計をお願いいたします。
 ここで要望させていただきますが、本日、農林水産部の御報告にもあったように、今後、農業に限らず、あらゆる分野でITやロボット、さらには人工知能などの研究も飛躍的に進み、いろいろな利用が進んでまいります。和歌山県の実情に合った普及を研究し、その中には障害者の方も能力を発揮して活躍いただける分野もきっとあるはずです。つまり、これから未知の分野で部門が多岐にわたる事項が出てまいります。
 さきに質問させていただいたテレワーク事業も、なぜ松山市が実現できたのかと申しますと、以前、全国的に行われていたひとり親の就労支援事業に行き着くわけであります。この事業で在宅就労支援が行われていた時期がございました。この在宅就労支援を所管するに当たり、本県も含め全国のほとんどの自治体では福祉部門の所管となった事業ですが、松山市では最初から、やるからには市民の皆さんにしっかりもうけてもらおう、そうすれば税収も上がるということで、産業経済部の地域経済課が所管となってスタートし、その結果、自然の成り行きでこの事業がここまで進展したのだという担当者のお話がございました。
 私は、以前、和歌山市内の職場にいさせていただいた際に、このひとり親の在宅就労支援事業は、福祉部門より産業部門でやったほうがおもしろいのだがといった声を聞いたことがございます。もうどなたがおっしゃった言葉なのか忘れてしまいましたが、本県職員の皆さんは優秀で、政策の勉強も相当されていると感じておりますので、県の中でもそういう気づきがきっとあったのだと思います。
 その結果、やはり福祉部門が適任と判断されたのでしょうが、それでも商工部門にうまく引き継がれるべき課題はあったのだろうと考えるわけでございます。
 このひとり親の在宅就労支援事業も、数年前の初期の段階では苦労の連続であったでありましょう。しかし、その事業の遺産を有効利用し、新政策に結びつける努力も必要です。プロとアマチュアを分ける境は当事者意識を持っているかどうかだという言葉もございます。今後の行政改革で組織が縮小しようとも、ぜひ各部門間で政策連携が一層緊密に行われるよう、他部署の政策も当事者の目で見詰めていただきますようお願いさしていただきたいと思っております。
 そして、企画部さんなんでしょうか、ぜひともそういう政策連携も一層チェックしていただいて、人口減少社会に適応していただきたいと要望させていただきます。
 さて、次に沖縄問題に移らしていただきます。
 我が国が戦後70年、平和が保たれてまいりましたのは、平和憲法の理念のもと、国民が真剣に平和を望んできたことが大きな土台でありますが、対外的には自衛隊と日米安全保障条約による米軍の抑止という恩恵のもとに保たれていたという事実を抜きに語れません。
 そして、忘れてならないことは、70年前の悲惨な戦争で、唯一県土が戦場となり、つらい過去を持ちながら、現在も沖縄に32の米軍施設があり、その土地面積は国内の米軍施設──これは基地だけではありません。米軍が常時使用できる専用施設であります──が全国の74%が沖縄県に集中しております。
 そういう状況であるにもかかわらず、私が今回、政務調査で沖縄県庁にお伺いした際に対応いただいた沖縄県の方がおっしゃったことは、「よく全国の会議で他の自治体の方とお話しすれば、『いや、いいですね。沖縄県さんは基地があって、それで食えるんですから』と言われる。もうばかばかしくて一々反論はしませんけど」というお話であります。実際には、現在、米軍基地関連での経済効果は沖縄県全体の県民所得の5%にすぎない、仮に米軍がいなくなってその土地を有効利用すれば5%以上の経済効果はあり、それより、米軍がいることによって、一々報道されないが、いろいろな問題が月に30件も起こるのですよとおっしゃっておられました。
 また、国からの補助金についても、全国7番、8番目の額をいただいているが、長い米国の統治期間中、インフラ整備がほとんど行われなかった分を今になって他の自治体並みに追いつこうとしていることでいただいている金額が今の順位の結果であるということでございました。
 私は、今回、沖縄県糸満市で行われた和歌山県出身沖縄並びに南方諸地域戦没者追悼式に参列させていただきましたが、その際には沖縄県議会議長さんを初め、沖縄県知事の代理の方も御参列いただき、献花もしていただいておりました。聞けば毎年そうしてくださるとのことで、恐らく他府県主催の慰霊祭にもずっとそうされているのだろうと思います。
 今回の普天間、辺野古問題を別問題としても、沖縄県に対する過度な基地負担に対し、たとえ実質的な基地負担の軽減につながらなくても、せめて沖縄県に寄り添うという視点で何かできることはないのか、知事の御見解をお伺いしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 在日米軍基地は、日米両政府が合意して、日本と極東の平和と安全を確保するため、安全保障上の観点から配備されているものだというふうに考えられます。沖縄における米軍基地も、このような安全保障上、地政学上の観点から配備されているものだと思います。
 現状では、沖縄に基地が集中しておりまして、沖縄県民に多大な負担をおかけして、その負担のもとで日本の安全が何とか保たれているということでございますので、日本国民の1人として、沖縄の方に対して頭の下がる思いでございます。
 しかしながら、安全保障上の要請も余り考えないで、とにかく気の毒だから自分の地域で負担の肩がわりをしてあげるということは──そういうことを言った人も、それがちょっとはやりの時期がありましたんで、はやりの時期にはそういう方が何人か登場したんですが、これはやっぱり単なるスタンドプレーで、それで先ほどのような論理とか必要性を考えると、到底実現しないということだと思います。
 沖縄の米軍基地の移設とか訓練の分散は、日本の安全保障全体にかかわる問題であって、沖縄の負担の問題も考慮しながら国が責任を持って解決していかなきゃならない問題だというふうに思います。
 ただ、頭の下がる思いで感謝を申し上げているということだけは申し上げておきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 次に、和歌山県立医科大学薬学部新設についてお伺いしたいと思います。
 県の若年人口の減少という観点からは歓迎するべきなのでしょうが、薬剤師が将来過剰になるという見方も出ております。結局、県財政の負担となり、将来にわたって禍根を残すことになってはなりません。
 そういう観点から、次の2点についてお尋ねいたします。
 まず、なぜ薬学部設置なのか、薬学部を選択した理由についてと、薬学部新設に伴う運営費が県財政に与える影響についてを知事にお伺いしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県は、県内の高校から県外への大学等へ進学する学生の割合が全国で最も高い数字となっております。大学に入った後、その方々にもう1回和歌山へ戻ってきていただきたいということで、これは就職のお世話とか和歌山のよさのPRとか、そういうことで今頑張ってるところでございますけれども、一方では、できれば和歌山で大学生活を送ってくれる人をふやせばよろしいということになると思うんです。そういう声はたくさん出ておりますが、随分昔であればかなり可能性があった話だと思いますが、その後、若者の人口が特に減ってまいりまして、一般的に大学の経営難が言われるという時代になっておるときに、公的大学にしても私立大学にしてもなかなか立地が難しい、公的の場合は経営が大変だし、私立の場合はそもそも来てくれないということでございます。
 ただ、専門的な資格を持つことができる学部とか、そういう点についてはまだまだ需要があるということだろうというふうに思っておりまして、そんなことで和歌山県のまち・ひと・しごと創生総合戦略において、県立医科大学による薬学部の新設を位置づけたわけでございます。
 薬学部の新設を選択した理由は、1つには和歌山県立医科大学があって、現在、医学部と、それから保健看護学部があります。そういう意味では、薬学部ができるとさらに立派な総合医科大学になっていくと。お互いに学問的には共通のものがとっても多いもんですから、そういう点でよろしいということと、一定の技術的な知識を身につけたいというような薬学部志望生、そういう方が結構たくさんいるということで選択をした次第でございます。
 本県は、薬剤師の平均年齢が全国で最も高くて、医薬分業も進展の余地があることや、地域偏在の解消、在宅医療の進展など、薬剤師の需要は今後も増加はすると思います。薬学部ができた分だけ、その分だけそっくり増加するかというとそんなことはなくて、多分他県の大学に行ってる人たちがより帰ってくるし、それから公立大学というのは、一般的に薬剤師養成のためにある私立大学とちょっと様相が違いまして、実は他にも公立の薬学部があるんですけども、かなり倍率が高い状態になってるんです。ですから、ひょっとしたら他県にある薬学大学についてはなかなか脅威かもしれないけれども、和歌山県でこの大学をつくって、それで人が来なくなるとか、出た人が困るとか、そんなことは全くないということでございますし、医大の発展のためにも役立つなあというふうに思っておるわけでございます。
 財政の負担の話も申し上げますと、そうはいっても、一般的に言うとこれはそうなんですが、ちゃんと計算をしてみないといけません。初期投資や運営経費が県の財政に与える影響については、かなり慎重に検討を行ってまいりました。
 薬学部を新設した場合は、大学の運営経費には、学生納付金のほか、外部資金等を充当した上で、不足する経費は県から運営費交付金を交付することになる。これは医学部の場合も同じでございます。
 一方、認められた公立大学の運営に要する経費については、地方交付税で措置されることになっていて、基準財政需要の中にカウントをしてくれるということになります。したがって、欠員が生じなければ論理的には県の財政をむちゃくちゃ悪化させるものではないということになるわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、県内の高等学校から毎年100人ぐらい県外の薬学部に進学している、公立大学薬学部の一般入学試験の実質試験倍率は4倍を超える、定員を満たしているというようなことから考えると、まず学生は集まるし、それからよそからもかなり来てくれる可能性もあるし、それから先ほど言ったように恒常的に、これ、6年ぐらいかかるんですけども、実際に1年生から6年生までびしっとそろった状態になりますと、そんなに財政負担が大きくなることはないというような試算をいろいろしておりまして、県の負担には耐えられるんじゃないかなというふうに思ってる次第でございます。
○副議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。知事におかれましては、今会期中御多忙の中、寸暇を惜しんで世界農業遺産の認定登録のためイタリアに向かわれ、すぐにまた帰られるという中で、真摯に議会質問に向き合っていただいておりますが、どうか、現地でも県議会、みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会会長の坂本登議員とともにお力を発揮いただきますようお願い申し上げます。
 これで、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、菅原博之君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時43分散会

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