平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(中本浩精議員の質疑及び一般質問)


平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(中本浩精議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕(拍手)
○中本浩精君 皆さん、こんにちは。
 お昼一番、登壇さしていただきました中本浩精です。本日、一般質問の機会を与えていただきましたこと、まことにありがとうございます。
 私は、常日ごろから何をするにしてもやる気が一番大切だと思っております。きょうの一般質問、やる気を持って、元気よく一般質問さしていただきますので、やる気のある前向きな御答弁いただけたらありがたく思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 このたび、大きく3項目、質問さしていただきます。
 まず、1項目め、教育の現状と課題について。
 小項目1、和歌山の子供の学力課題について御質問いたします。
 小学6年生と中学3年生を対象に実施し、国語、算数・数学、理科の学力を見る全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストの今年度の結果によると、県の平均正答率は、小学校の算数Aで全国平均をわずかに上回ったものの、他の教科はいずれも下回っています。全国順位は、各科目とも昨年度から同じか上昇していますが、小学校の理科、中学校の国語、理科は全国40位以下であり、学校での取り組みにはまだまだの感があります。
 また、アンケート調査で、「学校の授業の復習をしていますか」の問いに対し、「している」、「どちらかといえばしている」と答えたのは、小学生で全国平均54.5%に対し県が50.9%、中学生では全国平均52%に対し県40.6%で、全国平均と大きな差があります。
 一方、「平日にテレビゲームを2時間以上する」と答えた中学生は、全国平均36.3%に対し42.3%、「平日にスマートフォン、携帯電話で通話、メール、インターネットを2時間以上する」と答えた中学生は、全国平均31.3%に対し35.7%と、ゲームやメールを長時間する生徒が全国平均より多くなっています。全国の子供たちに比べてテレビゲームや携帯電話に依存した生活がかいま見られます。
 このような傾向は、平成19年に調査が開始されて以来続いており、昨年度よりは幾分改善は見られますが、目指す目標までの道のりはまだまだ遠いという状況ではないでしょうか。子供たちは、ふるさと和歌山の財産であり、郷土の未来を担う人材です。こればかりは、「5年後、10年後に学力回復を目指します」では困ります。
 そこで、県ではどのように改善を進めているのか、教育長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) ただいまの中本浩精君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 子供たちが和歌山で学び、元気な和歌山の未来を切り開く人として成長するためにも、確かな学力を定着させることは私どもの責務でございます。
 本県では、全国学力・学習状況調査の結果を踏まえて策定した和歌山県学力向上対策中期計画の中で、具体的な学力向上対策を整理し、現在、2カ年計画で結果の見える学力向上の取り組みを進めているところでございます。その中では、家庭学習の課題克服に向け、「家庭学習の手引き」の積極的な活用も示しており、主体的に学習する力を向上できるよう努めております。
 各学校では、数値目標や具体的な手だてを盛り込んだ学力向上推進プランを策定し、それに基づき、学力向上対策に取り組んでおります。また、学力の向上を図るためには取り組みの成果を検証することが大切であり、本日、県内小中学校で、学習がどの程度定着できているかを確認する和歌山県学習到達度調査を実施してございます。これに基づいて課題を抽出し、これに対応したきめ細かな指導を行い、学力定着をさらに図ってまいります。
 今年度については、全国学力・学習状況調査において課題のある中学校国語科の学力向上に焦点を当て、授業担当者研修やきのくに教育賞受賞者を講師とした授業づくり講座を行うなど、教員の授業力向上のための新たな取り組みを進めているところでございます。
 今後も、確かな学力を充実させていくとともに、健やかな体、思いやりの心や感謝の心を育むこと、いわゆる知・徳・体を基盤としたこれからの時代をたくましく生き抜く人間としての総合力を育成してまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 続きまして、小項目2、学校内暴力についてお尋ねいたします。
 文部科学省で実施した平成26年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査によると、学校内外における暴力行為の件数は、小学校で、児童生徒1000人当たり全国で1.7件、県の場合──こちらは公立学校の数字ですが──1.0件、また中学校では、全国10.1件に対し県は16.1件、高校では、全国2.0件、県が4.0件と大きく上回っています。
 全国の発生件数には減少傾向が見られますが、本県において、小学校と高等学校では減少傾向にはなく、中学校はここ3年間減少したものの、高い数字には変わりありません。各学校においても、地道な取り組みを行っているところでございますが、十分な成果を上げているとは言えません。
 担任教師が重要な役割を果たすのはもちろんですが、特定の教師だけに負担をかけるのではなく、担任教師を支える人員の強化など、チーム力でもって取り組んでいただきたい。もちろん、そのチームには家庭も入ります。
 そこで、県における学校と家庭との連携の工夫やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の活用状況について教育長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校における暴力行為の背景には、児童生徒を取り巻く家庭、学校、社会環境の変化に伴う多様な問題があるものと考えられ、担任の教員1人で問題を抱え込むことなく、組織的に対応することが重要だと認識してございます。
 各学校においては、教職員が子供の出す小さなサインを見逃さず、生徒指導部会などの校内組織を機能させながら、チームとしてその未然防止や早期発見、早期対応に努めてございます。
 また、さまざまな課題を抱えている児童生徒に対しては、まずは教職員が真摯に向き合うとともに、ケースに応じて児童生徒及び保護者に対するカウンセリングを行うスクールカウンセラーや、学校と家庭、地域とをつなぐ福祉の専門家として悩みや問題の解決に向けた支援を行うスクールソーシャルワーカーなどの専門性を持った外部人材を有効に活用し、学校と家庭、警察等、関係機関が緊密に連携を図りながら問題の解決に組織的に取り組んでいることが大切であると考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 続きまして、小項目3、道徳教育についてお尋ねいたします。
 暴力行為を起こす児童生徒の傾向としては、感情を抑えられず、考えや気持ちを言葉でうまく伝えたり、人の話を聞いたりする力が定着していないことなどが挙げられます。
 また、同じ児童生徒が暴力行為を繰り返す傾向などが指摘されています。その背景には、児童生徒を取り巻く家庭や社会環境の変化に伴う規範意識や倫理観の低下、人間関係の希薄化などが挙げられています。
 こういった状況に対応するためには、豊かな人間性を育む心の教育の着実な推進が、今、求められています。学校における心の教育の中心は道徳教育だと思います。そのため、道徳教育をさらに充実させていくことが大切であると考えています。
 平成30年度からは小学校で、31年度からは中学校で、教科書を手に「特別の教科 道徳」の学習が開始されると聞いております。
 そこで、本県における道徳教育の充実方策について、教育長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 暴力行為等の問題を解決していくための手だての1つとして、児童生徒に、人として守るべき倫理観をしっかりと育て、規範意識を育むことが必要であり、学校における道徳教育の充実を一層進めることが大切であると考えてございます。
 このため、規範意識や友情等を扱っている道徳読み物資料集を本県独自に作成し、小学校4年生から中学校3年生までの道徳の時間で活用することにより、自他の生命の尊重、他者への思いやりなど、児童生徒の豊かな心を育む取り組みの充実を図っているところです。
 また、さらなる充実のため、思いやりの心を育むための内容の教材を読み物資料に新たに加え、各学校で学習することといたしました。
 今後も、一人一人の子供に寄り添い、心に響く道徳教育を充実させるとともに、児童生徒が規律を守り、お互いを高め合う学校づくりがさらに徹底されるよう指導してまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 続いて、小項目4、教員の世代交代の中での学校組織の円滑な運営についてお尋ねいたします。
 第2期和歌山県教育振興基本計画のデータによれば、本県の公立学校に勤務する教員は、25歳から45歳までの年齢層が50歳代の教員数よりも少なくなっており、年齢構成のアンバランスが生じております。ベテラン教員が退職していく中で中堅教員が少なく、若手教員が多くなってきているということでありますが、今後も教員の年齢構成についてこの傾向が続くのでしょうか。
 また、子供の個性や特性は千差万別であり、一人一人の個性に応じた教育を行うためには、教員には一定の経験が必要であると考えます。学校現場がこのような年齢構成になる中にあって、初任者を含めた若手教員をどのように育成していくのか、お伺いいたします。
 そして、最後にもう1点、教員の世界では職人わざとも言うべきベテラン教員の指導技術を伝えていくことは大変重要なことであると考えます。しかしながら、それらはマニュアル化しにくいものであり、ベテラン教員が培った技術や知識がうまく継承されるのかということが心配されます。
 教員の指導力を高めていくには、学校内で教員同士が高め合っていく体制をつくることが大切です。教員同士が切磋琢磨することによって学校全体の指導力を高めていくことにつながると思いますが、そのために県としてどのような具体的な手だてを講じているか。
 以上3点、教育長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 和歌山県の公立学校教員の年齢構成は、50歳代が最も多く、全体の半数近くを占めております。今後数年間は、ベテラン教員の大量退職に伴い新規教員の大量採用を行う必要があり、学校現場では若手教員の割合が多くなることが見込まれるため、できる限り年齢バランスのとれた教職員集団となるよう教員配置に努めているところでございます。
 こうした状況の中、若手教員の育成につきましては、初任の教員を複数年かけて支援することが重要であると考え、23日間の教育センター学びの丘等での研修を3年間にわたり継続して実施するとともに、300時間以上の校内研修を行っているところでございます。
 各学校では、授業や学級経営、生徒指導などについてベテラン教員や管理職が指導するなどの研修を行うことで、若手教員の力量向上に努めているところでございます。
 また、きのくに学力定着フォローアップ事業を実施いたしまして、すぐれた教育実践力を持つ退職教員を県内69校の小中学校へ派遣して、若手教員に直接アドバイスしたり、模範となる授業を見せたりすることで教員の指導力向上を図っているところでございます。
 今後も、若手、中堅、ベテランの教員が各世代で力量を高める機会を設けるとともに、自信を持って教育活動を行い、一致団結して学校づくりに取り組む教員を育成してまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 今、教育長のほうから4項目について、ほんとにやる気のある前向きな御答弁をいただいたと、私は思っております。
 ほんとに、生徒は、学校へ行って先生にいろんなことを教えていただいてると私は思います。最後の4項目めで言わせていただいたんですが、やはりこれらの若手の先生、やる気を持って先生になっていただいた方、しかし、今、教育を取り巻く環境は非常にさま変わりしております。非常に大変な時代で、御尽力いただいているのはもう重々わかっております。
 そういう中で、ほんとに、これから先生方お一人お一人がやる気を持って教鞭をとっていただく、そういう体制づくりをしていただきたいと思います。
 それで、先週の「読売新聞」にも掲載されておりましたが、文部科学省の調査で県内小中学校の不登校児童生徒の割合が全国で下位だったということを受けて、仁坂知事も力強いコメントをいただいております。ほんとに有識者会議を開いて、これから前へ前へと進めていただきたいと思います。
 和歌山の財産である子供たちが自信を持って、そして、一人一人が輝くには、学力の向上とあわせ、子供たち一人一人の心に届く生徒指導両輪で組織的に取り組んでいただきたいと思います。そのためにも、学力向上への取り組みを引き続き着実に行っていただくとともに、スクールソーシャルワーカー等を活用し、子供たち一人一人に寄り添った指導が各学校で行えるように県教育委員会にも引き続きの支援を要望いたしまして、1項目めの質問を終わらしていただきます。
 続きまして、大きな項目の2番、生きがい社会の構築について質問さしていただきます。
 高齢者の社会参加と活躍の場づくりについてお尋ねいたします。
 ことしの6月議会では、買い物弱者対策ということで、高齢者の自立について質問をさしていただきました。また、元気な高齢者は、支える側にもどんどん回っていただきたいとも申し上げました。今回は、高齢者の社会参加や活躍の場づくりについての質問をさしていただきます。
 高齢者にとって、社会参加は健康と生きがいを与えます。また、生きがいのない社会参加では続きません。内閣府では、毎年、高齢社会対策に関する調査を実施しており、平成25年度には、全国の60歳以上の方を対象に高齢者の地域社会への参加に関する意識調査を実施しています。
 その調査によると、何らかの社会活動に参加している人の割合は、60代60%、70代57%、80代以上53%となっています。一方、参加したい人を見ると、60代81%、70代69%、80代以上50%となっており、60代の人の2割が、参加したいのだが実際に参加していないことになります。
 70代、80代以上と、参加している人と参加したい人の差は少なくなってきていますが、言いかえれば参加したくない人がふえたということで、うがった見方をすれば、60代で社会参加したかったが、いいものがなかった、年を重ねて社会参加を諦めたという人もいるのではと思います。
 60代で社会参加しなかった人が、70代、80代になって参加というのもなかなか難しいかもしれません。60代の、社会参加したいがしていない人の2割というのは、少ない数字とは思いません。少しでも減らしていくようにしたいものであります。
 さらに、人口構造の観点からも、元気な高齢者に活躍してもらう必要があります。高齢化率21%を超えると超高齢社会と言うようですが、2015年、県の高齢化率は約3割、今後も高齢化率は上昇するものと予想されます。
 一方、生産活動に従事し得るとされる生産年齢人口、15歳以上65歳未満の比率は、和歌山県では6割を切っており、今後も減少を続け、2040年には50%程度という将来推計もあります。生産年齢人口の中には学生も含まれていることを考えれば、実質半分に満たないということになります。
 そこで、元気高齢者の出番だと私は思います。さまざまな場で御活躍いただきたい。社会的要請でもありますし、社会参加することで高齢者も生きがいを持つことができます。そして、生きがいを持つことで、元気高齢者であり続けることができるとも思います。
 今でも、働く場、活躍の場はあるものの、現役世代に比べ少なく、情報自体も少ないというのが現実であります。人それぞれ得手不得手というものもありますし、適材適所でということもあるので、多くの選択肢があればよりいいなと私は思います。ぜひ高齢者の活躍の場を開拓するとともに、マッチングする仕組みをつくっていただきたいと思います。
 例えば、福岡県大木町では、ふるさと納税のお礼の品として、ふるさとの家お手入れサービスが用意されています。これは、空き家となっている実家や親戚の家の掃除やお手入れをシルバー人材センターが行うものです。空き家対策、高齢者活用、収入増と、一石三鳥のユニークな取り組みです。
 そこで、県では、高齢者の社会参加と活躍の場づくりについてどのように考え、どのような取り組みをしているのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 超高齢社会となり、可能な限り生涯を通じて社会参加し、活躍できる社会をつくっていく必要があると考えております。
 県では、高齢者がこれまで培ってきた経験や知識を生かし、高齢者世帯の買い物や掃除、庭木の剪定、電気器具の点検などの生活支援活動に参加できるよう、わかやまシニアのちから活用推進事業に取り組んでおります。
 この事業は、有償ボランティアに関心のある元気な高齢者を登録し、地域のニーズとマッチングすることで高齢者の生きがいづくりと地域課題の解決を同時に目指そうとするものであり、県外の社会福祉協議会やシルバー人材センターなどの先進的な取り組みを紹介するなどしながら、この事業の活用を市町村に働きかけているところです。
 加えて、高齢者の社会参加を促すため、各市町村で取り組まれている高齢者サロンなどのリーダーとなり得る人材を養成するいきいきシニアリーダーカレッジや高齢者サロン運営アドバイザー養成講座を開催するとともに、グラウンドゴルフなどのスポーツ大会、囲碁・将棋大会、美術展などで構成される喜の国いきいき健康長寿祭を、年間を通じて開催しております。
 県としては、引き続きこれらの各種事業に取り組み、高齢者の社会参加と活躍の場づくりを進めてまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ただいま福祉保健部長から、高齢者の社会参加と活躍の場づくりを進めていくとの答弁がありました。
 他府県の社会福祉協議会やシルバー人材センターの先進事例を市町村に提供いただいているということですが、今後とも市町村が高齢者の社会参加や活躍の場づくりを着実に実施できるよう県としての支援をお願いするとともに、県独自の事業にも引き続き取り組んでいただき、高齢者が活躍できる場を数多くつくっていただくことを要望いたしまして、2項目めの質問を終わらしていただきます。
 続いて、3項目め、県と市町村の連携について。
 まず、小項目1、具体的な取り組みについてお尋ねいたします。
 議員中本浩精ではなく一住民中本浩精として地方行政を考えるとき、県には申しわけないのですが、まず市町村を思い浮かべます。
 地方自治法には、市町村は、基礎的な地方公共団体として地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとされています。都道府県が処理するものとされているものを除くとも書かれていて、この書きぶりからも、まず市町村ありきという気がします。
 地方自治法を素直に読んで思うところを述べますと、住民に近い市町村が基礎的自治体として住民の意思を酌みつつ行政を行う、県は市町村を補完して行政を行う、県プラス市町村で100です。地方行政といえども国がかかわってくるのですが、今回は、県、市町村だけで話を進めさしていただきます。
 議会答弁を初めとして、いろいろな場所や場面、いろいろな分野で県と市町村の連携強化ということを見聞きします。県と市町村は、ともに地方行政を担っているので、地域に関する事務や施策を実施する上で地域の情報や課題を共有し、それぞれの役割分担を踏まえながら十分な連携を図っていくことは必要不可欠であります。
 そこで、お聞きしたいのは、市町村の取り組みに対する連携、支援の具体的な取り組みについてです。
 例えば、和歌山県・和歌山市政策連携会議や県とそれぞれの市町村との人事交流など、課題の共有やその課題解決のための連携、支援策の1つとして挙げることはできますが、県は市町村に対する連携、支援の方策としてどのような体制をとっているのか。また、どのような取り組みをしているのか。その効果もあわせて総務部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 市町村は、住民に最も身近であり、住民の日常生活に直結する事務を幅広く行う基礎的な地方公共団体でございます。
 一方で、県は、市町村を包括する広域の地方公共団体であるため、市町村と連携して地方行政のさまざまな課題に対処していく必要があります。このため、県の各部局においては常日ごろから市町村と十分に連絡調整を行いながら事務を遂行しており、それぞれ担当者に集まっていただいた会議や研修会などを活用した連携が図られているところでございます。
 また、個別の施策ごとの連携に加えまして、首長同士が意見交換を行うための全県市町村長会議や新政策に係る市町村長懇談会を初め、幹部職員レベル、担当者レベルにおいても、行政全般にわたり県と市町村が意見交換を行える場を設けているところでございます。
 このような取り組みによって市町村の現状を的確に把握し、市町村の要望や意見を県の施策や新政策、予算案に反映させているところでございます。
 今後は、以上のような連携を引き続き行っていくとともに、今後ますます進展する人口減少、高齢化社会にあっても、市町村が行政サービスを継続的、効率的に提供できるように、市町村間の事務の共同処理に加えて、県による市町村事務の補完についても検討を行ってまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 続いて、小項目2、振興局の役割について質問いたします。
 知事は、県下各地での和歌山県行政報告会などにより直接情報収集に努めておられますが、各課室ではどうでしょうか。事業として地元住民に調査や現地説明等を行うこともありますが、通常はなかなか住民の意見を直接聞くことは少ないのではないでしょうか。その点、市町村では、住民の意見を聞く機会も多く、いろいろな課題を把握していることと思います。
 先ほど、県と市町村では物事を進めていくためにも情報の共有が重要だと申し上げました。かつては、県が市町村を指導監督する立場であった事務がありましたが、今は、県、市町村は対等、イコールパートナーです。ただ、対等を意識する余り、県、市町村ともに、みずから積極的にアプローチしにくくなったような気もいたします。実際のところはどうでしょうか。
 各振興局では、それぞれでハード・ソフトの事業も直接行っているのですが、所管する地域にある市町村の情報を収集することも大きな役割だと思います。振興局は、市町村役場に距離的に近いですし、市町村と同様とまでは言わないまでも、地域の実情に通じているので話は伝わりやすい。よって、迅速かつきめ細やかな情報収集ができ、連携強化を考えれば振興局をより一層積極的に活用するのが有効だと考えますが、いかがでしょうか。
 現在、振興局では、職員の皆さんが管内の市町村のさまざまな情報を収集して、振興局長に集約し、本庁に報告していただいております。そのあたりも一層の活用が必要であり、市町村においても、それに応えて情報を提供する体制ができていなければいけないと考えます。
 振興局での事業は表に出てわかりやすいのですが、市町村との情報共有や状況、課題の把握への取り組みがいま一つよくわかりません。
 そこで、お聞きします。振興局と市町村との連携、かかわり方について、どのようにお考えでしょうか。また、具体的な連携策としてどのようなことを行っているのでしょうか。振興局と本庁との連携についても、あわせて総務部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 振興局につきましては、地域の最前線で住民と接し、さまざまな行政サービスを提供する役割に加え、管内市町村の地域課題に対して市町村や住民と一緒になって議論し、行動していくための拠点としての役割を果たしていくことが重要であると考えているところでございます。
 このため、各振興局では、商工、観光、農林水産、医療、福祉、建設など、あらゆる分野で市町村との連絡調整を行いながら、地域の意見や要望の収集、県政策の住民への浸透といった役割をしっかり果たせるよう、それぞれに工夫して取り組んでいるところでございます。
 具体的には、自治会、企業などとの情報交換会や地域振興について検討する会議などに市町村職員と一緒に参加するとともに、首長を含めた市町村の幹部と頻繁に意見交換を行うなど、さまざまな形で連携を行っております。
 こうした活動を通じてつかんだ地域の声には県として一体的に対応する必要があり、特に県の施策への反映を検討したり協力のお願いをする場合には、振興局と本庁の連携が不可欠となります。
 このため、本庁各課室の担当者と振興局担当者間で業務ごとに細分化したネットワークを構築し、常に連携を密にするとともに、本庁と振興局が一緒になって市町村と協議を行うことなどにより、本庁と振興局との情報共有を促進し、連携強化を図っているところでございます。
 今後とも、振興局と本庁の職員が一体となって市町村と連携し、地域の課題解決に取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 総務部長より御答弁いただきました。
 国では、まち・ひと・しごと創生法が成立し、まち・ひと・しごと創生総合戦略が閣議決定されました。これを受けて、本県は6月に和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、市町村においては、既に策定したところもあり、現在策定中のところがあると聞いております。
 国の総合戦略では、政策の原則や取り組み体制において、県と市町村間の連携を求めるとともに、都道府県は、市町村レベルの地域課題をみずからの地方版総合戦略にも反映させ、市町村と連携をとり、地方創生を進めるとされています。
 さきにも申し上げましたとおり、県と市町村は地域に関する事務、施策を十分な連携を図って行う必要があり、それには、課題、情報を効果的に収集、集約を図る必要があります。振興局を一層活用して、その課題や情報を収集し、市町村と県及び県の機関で課題を共有して対応することで、元気な和歌山の実現に向けた取り組みを実施していただきたいと思います。
 そのためにも、引き続き市町村に対しても、行財政に対する助言や人的支援、また事務の共同処理や受託等、さまざまな連携や支援をお願いすることを要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時44分散会

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