平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(川畑哲哉議員の質疑及び一般質問)


平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(川畑哲哉議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
○川畑哲哉君 皆さん、おはようございます。私、川畑哲哉と申します。この伝統と格式ある和歌山県議会へ送っていただきましたふるさと岩出市の皆様並びに応援していただきました全ての皆様に、心より感謝申し上げます。
 また、議員の諸先輩方にも、日ごろより温かく、時に厳しく御指導いただき、本日の登壇の機会を与えていただきましたことに深く感謝申し上げます。和歌山県勢発展のために、全力で取り組んでまいります。本日は新人らしく理想を求めて質問させていただきたいと思いますので、仁坂知事初め当局の皆様には、誠意ある御答弁をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長よりお許しをいただきましたので、私の人生初の一般質問へと入らせていただきます。
 2015年という年は、戦後70年となる意義深い年であります。そんな意義深い年の12月8日という意義深い日に登壇させていただき、万感胸に去来するものがあります。
 国政におきましては、平和安全法制の制定につき、賛否入り乱れての大激論が交わされ、先月のパリにおきましては、史上まれに見る凄惨なテロ事件が発生しました。また、夏にはタイでも観光地のど真ん中で爆発事件が発生するなど、まさに平和と安全について深く考えさせられる年となりました。
 そんな2015年もいよいよ12月となりましたが、1年を振り返りまして、仁坂吉伸知事に、県民の平和と安全を守るということにつき、どのような御所感をお持ちか、お伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 幾多のとうとい命が失われましたさきの大戦の終結から70年の節目に当たる本年、多くの県民、国民の皆様が万感胸に迫る思いをされたことと思っております。今日、私たちが享受している平和と繁栄は、苛烈な戦争により心ならずも命を落とされた多くの方々のとうとい犠牲の上にあることを、決して忘れてはならないと強く思っております。
 県は、以前から県主催の戦没者追悼式を行っておりましたが、その後、宗教的儀式に当たるのではないかなどという議論が出て、そういうことへの配慮から中止をしていたわけでございます。その後は、遺族会が中心になって戦没者の追悼をそれぞれの立場で行ってこられたところでございますけれども、それでは申しわけないというふうに思いまして、さきに述べたような理由で申しわけないと思いまして、県では、平成25年度から宗教色はなくして、戦没者追悼式を和歌山市内で、沖縄や南方諸地域で亡くなられた県出身の方々の追悼式を沖縄県内で主催することにいたしました。戦争の犠牲になられた方々のみたまにこうべを垂れ、心から悼むとともに平和を祈念することは極めて大切であるというふうに思っておりまして、県民の皆様にも広く参加を呼びかけているところでございます。
 我が国が戦後70年の長きにわたり平和と繁栄を享受することができたのは、平和主義をうたった現憲法や日米安全保障条約を初めとする外交的立ち位置も大いに効果を発揮したと考えておりますが、何よりも、戦争の焼け跡から立ち上がり、心から平和を希求し続けてきた国民の不断の取り組みがあったからこそであると思っております。
 本年9月には、集団的自衛権の限定行使容認や後方支援の拡大を含む平和安全保障法制が整備されました。さまざまな意見がありましたが、いずれの意見も、戦争をしないようにするにはどうしたらいいかということではなかったかなというふうに思っております。
 しかし、現状を見ると、自衛権とか抑止力とか、あるいは防衛力とか戦略を語るというようなことについては軍国主義であって忌まわしいことだと、法は、例の法律は戦争法だと言ってレッテル張りをしている人がまだまだいっぱいいるということは、嘆かわしいことだというふうに思っております。
 幸い──戦争の時代を生き抜いてこられた世代の方は随分少なくなってきておりますが、二度と戦争の惨禍を繰り返さぬように、その悲惨さ、平和のとうとさを後世に伝え、恒久平和の実現に努めることが現代を生きる私たちの責務であると思っております。そのためにどういうふうにしたら一番効果的かということを考えるのが国民の責務だと思います。
 私は、戦後70年の節目に当たり、先人が懸命に築いてこられた郷土和歌山を、県民の誰もが将来に夢と希望の持てるすばらしいふるさとにしていかなければならないと、戦没者慰霊祭などでも、いつも決意を新たにしてるところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 知事より力強い御所感をいただきました。私も、議員の立場から精いっぱい努めてまいりたいと思います。
 次の質問に入らせていただきます。
 フィリピンはルソン島バターン半島にあるサマット山の中腹には、95メートルの十字架が建設されています。首都マニラからおよそ100キロメートルのこの地は、第2次世界大戦中、日本軍とアメリカ・フィリピン連合軍とが激戦を繰り広げた地であり、私の父方の祖父が戦死をした地でもあります。この十字架の横棒の部分は展望室となっていまして、当時の激戦の様子が壁面一体に描かれています。その麓にある戦没者慰霊館を訪れ、日本、アメリカ、フィリピン各国のみたまに祈りをささげたのが2007年のことでした。
 昨年には靖国神社を参拝し、遊就館を訪れました。そして、先月、沖縄を諸先輩方と訪問し、今、知事からも御答弁いただきましたが、紀乃国之塔にて催行されました和歌山県出身沖縄並びに南方諸地域戦没者追悼式に参列をさせていただきました。
 私の父は、自分の父の顔を知りません。もちろん、私も祖父の顔は知りません。母1人子1人で育った父は随分苦労したと思いますが、私はその苦労を知りません。ただ、これらの地を訪問して祈りをささげるたびに、祖父の霊に触れたような気がします。そして、現代の繁栄に感謝し、不戦の誓いを新たにするのです。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 私たちの子や孫、優秀なる地元人から世界を渡る企業戦士まで、自分たちのルーツに誇りと気概を持って活躍していただくためにも、先人たちのとうとい意志や恒久平和を願う気持ちを若い世代にも丁寧に伝えていくことが大切だと私は考えていますが、平和学習について本県の取り組みと今後の方針をお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 平和学習につきましては、教育基本法に「国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」とあり、平和について学び考える教育は極めて重要であると考えてございます。
 各学校においては、学習指導要領に基づいて、児童生徒の発達の段階に応じて教科等において平和に関する教育が行われてございます。例えば中学校社会科では、日本国憲法の平和主義について理解を深め、我が国の安全と防衛及び国際貢献について考えさせることや、戦争を防止し、世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育てることなどについて指導することとしてございます。
 また、平和に関する映画や朗読劇の鑑賞をしたり、修学旅行や地域で戦争を体験された方々から話を聞いたりするなどの取り組みを行っている学校もございます。戦争体験者の方々の高齢化が進み、このような学習の実施が困難となることが予想される中、今後、さまざまな工夫をしながら、児童生徒が平和のとうとさなどについて学べるよう、平和に関する学習の充実を図ってまいりたいと思ってございます。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 歴史的事実を正しく認識することが重要であり、何ら否定することも卑下することも必要ないと私も考えています。若い世代が自分たちのルーツに誇りと気概を持って活躍していただけるように、我が国や本県の歴史を風化させないよう、あらゆる御努力を今後も続けていただきますよう要望申し上げます。
 それでは、次の質問へと入らせていただきます。
 我が日本の母国語であります日本語についてお尋ねいたします。
 日本語は、平仮名、片仮名、漢字をもとに、四字熟語や慣用表現、ことわざを巧みに組み合わせた文章構成を可能とする非常に表現方法の豊かな言語であります。それだけに習熟が困難な反面、美しく使いこなすことで、その人をより魅力的に見せます。
 字句の1字1字に意味があることも特徴です。例えば、「都」という字には全てという意味があり、「京の都」と書くだけで、京には全てのものがそろっているというイメージが膨らみます。
 四字熟語の場合は、4つの字を並べるだけで世界観が飛躍的に広がります。とある採用試験の面接で、試験官から今の心境を尋ねられた受験者が「四面楚歌」と答えたり、採用試験の合格を目指して必死に努力してきた心境を「臥薪嘗胆」と答えたり、文字数の何倍もの世界を表現することができます。
 また、「根掘り葉掘り」という言葉があります。根は掘っても葉は掘りませんが、言葉一団となってなす動作のイメージから、根元から枝葉に至るまで残らずという意味になります。
 さらに、「うんともすんとも」という言葉もあります。「うん」には肯定の意味がありますが、「すん」に意味はなく、「うん」に語呂を合わせたものです。
 これらの伝統的な日本語だけでなく、今日では略語や造語も活躍しています。
 「KY」が、空気を読まない、空気を読めないの意味であることは広く知られてきましたが、先日、テレビで取り上げられていたはやりの言葉に「クリぼっち」という言葉があります。これは、クリスマスにひとりぼっちの意味であるとのことです。
 時代に応じて人々の生活も変わり、生活が変われば考え方や言葉も変わるものですが、何事も根本をきちんと理解することが重要であると私は考えています。
 現在、日本は、冷戦の終結以来四半世紀を経て、今後30年から40年を形づくる新しい時代の入り口に立っていると言われています。自由民主党国家戦略本部による「2030年の日本」検討・対策プロジェクト中間報告では、2020年代には多言語翻訳機が実用化し普及すると書かれています。この多言語翻訳機は、2020年代で10カ国語の日常会話が可能となり、2030年代には27カ国語の同時翻訳が可能になるとも言われています。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 急激に進むグローバリゼーションの中で多言語翻訳機が普及することで、いわゆる言語の壁をクリアすることが可能となりますが、反面、いかに母国語を美しく使いこなせるかということが重要になってくると考えています。言語の教育としての国語教育の一層の充実を図るために実施されている本県の取り組みと今後の方針をお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 言葉遣いや語彙、文章をつくる力を初め、言葉の乱れや誤った使い方など、子供たちの言葉の力をめぐってはさまざまな問題点が指摘されてございます。
 国語科においては、一人一人の子供が言語の主体的な使い手として適切に表現したり、正確に理解する力を育成することを目的としています。例えば、報告文や手紙などを書く活動、インタビューやスピーチなどの話す活動、短歌や俳句、古文や漢文などを読む活動などを通して、言葉の決まりや語彙、表記など、正しい言語の使い方が子供たちに身につくよう、授業を工夫して取り組んでございます。
 また、指導する教師の力量の向上はもちろんのこと、言葉遣いなどの言葉に対する意識を高めることについても、学校訪問などを通して指導していきたいと考えてございます。
 今後とも、国語科における指導はもとより、学校における教育活動全体を通しまして、これからの国際社会を生きる子供たちが正しい日本語の力を身につけるよう努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 前向きな御答弁、ありがとうございました。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 ことし5月、千葉市の熊谷俊人市長が、ツイッターで「『障害者』とは『社会の障害』でも『身体に障害を持つ者』でも無く、『社会との関わりの中で障害に直面している者』という意味であり、私たちはその障害を一つひとつ解消していくことが求められている、と理解しています」とつぶやかれ、「障害者」の表記を平仮名まじりで表記することに反対の意を示され、議論を呼び、話題となりました。
 また、以前には、乙武洋匡氏が、「『障がい者』と平仮名まじり表記するメディアの方々、またそれに違和感を持たない方へ質問です。なぜ、障害の『害』はNGで、障害の『障』はOKなのですか?『障』だって、『差し障り』というマイナス要素を含む漢字だと思うのですが…」とつぶやかれています。
 同様の議論に、「子供」の表記があります。子供の「供」が漢字なのか平仮名なのか。
 そこで、まず教育長にお尋ねいたします。
 このような議論に対しまして教育の立場からどのような御所見をお持ちでしょうか、お聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) さまざまな議論があることにつきましては承知してございますが、「障害」の表記につきましては、文部科学省において、障害者基本法を初めとする法令等の表記に準じて現状の漢字の「障害」を用いており、定着してございます。教育委員会では、これまでどおり、当面これに準じた対応を行ってまいりたいと考えてございます。
 「子供」の表記につきましては、文部科学省において、常用漢字表にのっとり基本的に漢字で表記していることを踏まえ、原則、公文書はこれに準じた対応を行ってまいりたいと考えてございます。その上で、「子供」の表記については、国の機関におきましてもさまざまな表記が存在しており、また、日本語には表現の豊かさもあることから、目的や対象等に応じて平仮名を用いる使い方もあるものと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 続きまして、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 私も熊谷市長と同じく、表記の仕方ではなくて、障害者の障害を解消していく施策や子供の人権、人格を守る施策の内容がいかにあるべきということの議論が重要であると考えています。時間を施策の内容を議論するために費やすべきという観点から、表記の仕方については統一を図り、表記の仕方についての議論には幕をおろすべき時期に来ていると考えていますが、「障害者」、「子供」の表記について、本県の使用基準をお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 「障害」の表記につきましては、昭和24年の身体障害者福祉法の制定を機に一般的に使用されておりますが、「害」という漢字が持つ負のイメージから、近年、平仮名表記に改める自治体や事業所等があらわれてきております。
 本県におきましても、平成19年度に表記の変更について関係機関や団体等に意見をお伺いし、検討を行っております。その結果、変更に賛成の意見は少数であり、「害」のみではなく「障」にも「さわり」という意味があり障害そのものの表記を見直すべきという意見や、表記にはこだわらず、啓発の充実が大事である等の意見が寄せられたところです。
 このようなさまざまな意見がある状況ですので、現行どおりの漢字を使用することとしております。
 なお、国におきましては、法令等における「障害」の表記について、当面、現状の漢字の「障害」を用いることとしておりますが、表記については今後も継続的に検討されると伺っており、その動向等を注視してまいりたいと考えております。
 一方、「子供」の表記につきましては、「子」が漢字、「ども」が平仮名の子ども・子育て支援法や就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に規定する平仮名表記の認定こども園など、既にある名称で平仮名が使用されているものは、法律等の規定に基づき、継続して使用することとなります。
 また、平仮名によるやわらかい印象の表記がふさわしいと判断される場合には、平仮名を使用することとなります。
 しかし、通常使用する言葉としての「子供」の表記につきましては、文部科学省が漢字2字表記の「子供」に統一しており、特に事情のない限り、漢字2字表記の「子供」を使用してまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 それでは、次に紀の川流域の観光振興についてお尋ねいたします。
 豊かな水に恵まれた紀の川流域は、古代より人が集まり、すぐれた歴史、文化を形成してきました。歴史的、文化的な資産はもちろん、ロマンやドラマの宝庫でもあります。先人たちが築いた礎をもって私たちの豊かな生活が成り立っていることを思いますと、私たちは、それらを正しく理解し、活用し、そして次の世代へと受け継いでいく責任を担っています。
 歴史は私たちに知恵を与えてくれますし、文化は私たちに器量をもたらしてくれます。また、ロマンは私たちを感動させ、ドラマは私たちを高揚させます。いずれも私たちの生活をより豊かにする要素であり、現代社会におきまして、もはや必要不可欠な要素となっています。その基幹となるのは文化財であると私は考えています。
 本県におきましても、文化財の保存と活用は以前より精力的に取り組まれてきました。平成24年2月定例会で山本茂博議員が御指摘された緑の歴史回廊事業や、平成15年に始まりました旧県会議事堂保存活用事業、特別史跡岩橋千塚古墳群保存整備事業を核とした紀の川緑の歴史回廊事業などです。
 文化財をうまく活用し、発信することで、地域活性化はもちろん、人材育成や文化レベルの向上、ひいては県勢発展へとつながっていきます。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 紀の川流域にある数多くの文化財の価値を高め、さらなる活用を推進し発信していく取り組みと、今後の方針をお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 文化財は、歴史や文化を理解する上で欠くことのできない貴重な財産でございます。文化財を適切に保存し活用することは、これらを次の世代へ確実に継承していくためにも、また、県民の文化的向上という観点からも重要であると考えてございます。
 紀の川流域には、県が整備を行ってきた特別史跡岩橋千塚古墳群を初め、古代の紀伊国分寺跡、中世に大きな勢力を誇った根来寺、世界遺産の丹生都比売神社や金剛峯寺など、多くの貴重な文化財が残されてございます。
 また、明治31年に完成した旧和歌山県会議事堂は、木造和風の県会議事堂としては我が国で最も古い建造物であり、県政史にとって重要な文化財であることから、岩出市で移築工事を行ってまいりました。
 この旧県会議事堂の整備を機に、文化財をエリアやテーマごとに紹介している県教育委員会のホームページをより充実させ、文化財の価値や魅力をわかりやすく発信してまいります。
 近年、歴史や文化への関心の高まりとともに、文化財を観光や地域振興の資源として生かす取り組みが進められてございます。今後も、本来の文化財的価値に加え、これらの視点も踏まえて、文化財の保存や活用により一層努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 前向きな力強い御答弁、ありがとうございました。
 ただいまお話にもございました旧県会議事堂「一乗閣」についてお尋ねいたします。
 和歌山県の近代史と県政史の象徴として、明治31年(1898年)、和歌山市一番丁に建築された旧和歌山県議会議事堂は、昭和13年(1938年)、県庁舎の和歌山市小松原通への移転を機にJR和歌山駅前に移築され、その後、昭和37年(1962年)には、現在の岩出市となります旧那賀郡岩出町の根来寺境内への2度目の移築を経て、根来寺の山号にちなみ「一乗閣」と呼ばれ、今日に至っています。
 また、2016年が没後100年となり、2017年が生誕150年となる夏目漱石先生が、明治44年に「現代日本の開化」と題した御講演をされた場所でもあります。
 平成15年より、緑のサポーター募金として、当時の尾崎要二和歌山県議会議長を筆頭に、和歌山県内の著名な行財界人が発起人に名を連ねられた募金運動も大きく展開されました。亡くなられました川口文章先生が平成20年9月定例会にて、また山本茂博議員も平成24年2月定例会にて、御質問されています。
 この旧県会議事堂修復保存活用事業に関しましては、県当局の多大なる御理解、御尽力と岩出市の熱意あふれる御協力により、いよいよ完成が近づいてまいりました。
 そこで、企画部長にお尋ねいたします。
 紀の川流域の一大文化資産であり、また観光振興の重要拠点となるこの旧県会議事堂「一乗閣」の開館に向けて本県としてはどのように取り組まれているでしょうか、お聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 旧県会議事堂につきましては、これまで岩出市と連絡調整を密に図りながら、建物の復元に加え、開館後の利活用がしやすいよう設備を整えているところであり、来年3月に完成、4月に開館する予定でございます。
 また、岩出市では根来地域の魅力を発信する施設として旧県会議事堂の隣接地に資料展示館をオープンすることとなっており、これらの施設が相乗して活用されるよう、合同で開館セレモニーを行うことも検討しているところでございます。
 県では、旧県会議事堂が県議会の軌跡を後世に伝える施設として、またこれら施設が一体となって地域の魅力を発信する観光の拠点として活用されるよう、岩出市と連携しながら開館に向け取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 すばらしい施設の開館を多くの皆様が楽しみにされています。引き続きの御尽力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、具体的な観光振興施策についてお尋ねいたします。
 文化財には、文化的な利活用だけでなく、重要なる観光資源という価値を認めることができます。星野リゾートの星野佳路社長も、とあるセミナーの中でおっしゃっていましたが、1年を通じて観光産業で売っていくための資源は季節に左右されない歴史であり文化であると私も考えています。
 本県におきましては、昨年の和歌山デスティネーションキャンペーンから、本年の高野山開創1200年祭及び国体開催、さらに来年はNHK大河ドラマ「真田丸」上映と、右肩上がりの集客機運にあります。また、関西国際空港はいよいよ成田空港を抜いてアジアからの集客全国一となりましたことも、さらなる追い風となります。
 私の地元岩出市が誇る根来寺は、最盛期となる室町時代末期には一大宗教都市として栄え、その寺域は南大阪にまで及びました。結果、今でも泉南市やその周辺地域とは交流が活発で、生活文化や言葉にも近しいものを感じます。何より、古代より泉州と紀州とを結んできた根来街道及び沿道を利活用した根来街道グリーンツーリズムの活発化により、関西国際空港を経由地として、県外、国外から本県へのますますの集客が期待される今こそ、紀の川と根来街道との交差点となる根来寺及び旧県会議事堂「一乗閣」を拠点とした、新たな観光振興施策を繰り出す絶好の機会であると考えています。
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 本県の県勢発展のため、紀の川流域の歴史的及び文化的資産を活用した観光振興施策について、現在の取り組みと今後の方針をお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 本県には、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録資産を初め、多くの歴史的、文化的資産があります。こうした資産は、観光資源として訪問の目的となるばかりでなく、シーズンを問わない観光資源であることから、本県の観光振興において果たす役割は大きいと認識しております。特に高野山を含む紀の川流域エリアは、こうした資産の宝庫であり、同地域の観光振興施策の中核をなす要素であります。
 現在、県においては、紀の川流域エリアにおける広域観光振興の柱として、金剛峯寺、丹生都比売神社、根来寺、紀州東照宮など、主要12社寺、関係市町村、JR西日本、南海電鉄などと連携した和歌山・紀北キャンペーンを平成24年度から実施しており、歴史的、文化的資産や特別企画を中心に据えた誘客施策を展開し、多くのお客様に来訪いただき、リピーター化につなげております。
 今後とも、同キャンペーンにおける取り組みを継続、発展させることで、より多くのお客様の訪問と地域での消費促進を図ってまいります。
 また、来年度は、清流、滝、温泉など、水にまつわる観光資源と世界遺産ブランドを絡ませた「水の国、わかやま。」キャンペーンの実施を予定しており、こうした中での展開も考えてまいります。
 加えて、議員御指摘の旧県会議事堂につきましては、来年4月から公開が予定されており、岩出市と連携して、根来寺などの周辺の資産や観光スポットとあわせた面的な情報発信を行ってまいりたいと考えております。
 また、紀の川流域エリアの文化財やモデルコースなど、県観光情報サイトにおいても情報発信し、歴史的、文化的資産を目的としたお客様の訪問につなげてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 前向きな御答弁、大変心強い限りです。私たちも精いっぱい取り組んでまいりますことをお誓い申し上げます。
 仁坂知事初め県当局の皆様方の誠意ある御答弁に心より感謝申し上げまして、私の人生初の一般質問を終了させていただきます。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時38分休憩
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