平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(岸本 健議員の質疑及び一般質問)


平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(岸本 健議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第152号から議案第186号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 26番岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○岸本 健君 おはようございます。
 12月定例会、一般質問の初日、トップバッターで質問に立つ機会をお与えいただきましたことに感謝を申し上げ、議長のお許しをいただきましたので一般質問を行います。
 開会冒頭、知事が提案説明の中でも触れられました平成28年度新政策と予算編成の方針についてお伺いします。
 去る11月26日、安倍総理が掲げる1億総活躍社会実現への具体策として、緊急対策が取りまとめられました。アベノミクスの第2ステージは、子育てや社会保障の基盤を強化し、それがさらに経済を強くするという、成長の分配の好循環の構築を目指しています。
 緊急対策で掲げられた新3本の矢のうち第1の矢は、金融政策、財政政策、成長戦略という従来の3本の矢をさらに強化することによってGDP600兆円を目指す「希望を生み出す強い経済」、第2の矢は、人口1億人維持のため、出生率1.8を達成するための「夢を紡ぐ子育て支援」、第3の矢は、介護を理由とする離職者ゼロを目指す「安心につながる社会保障」です。いずれも一朝一夕にはなし得ない高い目標ではありますが、内閣の総力を挙げて、経済成長、少子高齢化に立ち向かおうとする強い意気込みを感じます。
 和歌山県では、全国に先んじて少子高齢化が進み、人口減少が深刻な問題となっております。仁坂知事は、就任以来、産業振興、移住・定住促進、少子化対策など、鋭意取り組んでこられたことは承知しております。本年6月には、全国でもいち早く和歌山県長期人口ビジョン並びに和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、これからもあらゆる政策を駆使して元気な和歌山を創造していく決意を示されたところです。
 長期人口ビジョンでは、社会を何とか持続していくために、2010年と同水準の高齢者1人を現役世代2人で支える人口形態が必要との考えに基づき、2060年の人口をおおむね70万人確保する目標を掲げています。また、総合戦略では、5年間で4000人の雇用の場を確保や、直近5カ年の転出超過累計数を今後5カ年で半減、合計特殊出生率を平成31年に1.80といった具体的な目標が設定されています。
 既に公表されている平成28年度新政策と予算編成の方針でも、総合戦略で掲げた5つの基本目標を柱として取り組んでいくとのことですが、改めて、来年度の新政策に対する知事の意気込みと重点的に取り組もうとされる政策についてお伺いいたします。
 次に、財政運営についてお伺いします。
 和歌山県の財政構造は、地方交付税に多くの財源を依存し、財源確保は非常に重要であります。また、新政策を進めていくためには、持続可能な県政を心がけ、財政の健全性を損なわないように財政運営を行っていく必要があります。
 そこで、知事にお尋ねします。
 元気な和歌山の実現、地方創生を実現するための新政策を推進しながら県財政の健全性を確保するため、新年度予算においてどのように財政運営をされようとしているのか、お伺いをいたします。
 次に、国体後のスポーツ振興と国体成果の継承についてお尋ねいたします。
 和歌山県では、44年ぶり2回目となる紀の国わかやま国体が去る10月6日に、また初めての開催となる紀の国わかやま大会が10月26日に閉幕しました。選手団全員の頑張りはもとより、県民挙げての応援もあって、紀の国わかやま国体と紀の国わかやま大会では、目標とした国体での男女総合優勝を果たし、見事天皇杯を獲得するなど、大成功で終えられたものと思っております。
 知事を初め県関係、市町村職員の皆さん、ボランティアいただいた県民の皆さん、応援いただいた多くの県民の皆さん、本当にありがとうございました。お疲れさまでございました。県民に勇気と感動を与える大変すばらしい大会だと思っております。
 さて、国民体育大会は、昭和36年制定のスポーツ振興法──この法律は平成23年に全面改正され、現在はスポーツ基本法となっておりますが──この法律に位置づけられている国民的なスポーツの祭典であります。
 そして、スポーツ基本法には、スポーツの意義が次のように記されています。
 総括的には、「スポーツは、人の心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得、自律心の涵養等のために行われる運動であり、人が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠なものとなっている」。次に、青少年にとってのスポーツは、「次代を担う青少年の体力を向上させるとともに、他者を尊重しこれと協同する精神や公正さと規律を尊ぶ態度や克己心を培い、実践的な思考力や判断力を育む等人格の形成に大きな影響を及ぼすものである」と記されています。
 このように、青少年にとってスポーツは有意義なものであって、積極的にこれを推進すべきものであると考えます。
 そこで、教育長にお尋ねします。
 まず初めに、文部科学省が実施した昨年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査によりますと、本県における小学校5年生は、男子15位、女子16位と健闘しておりますが、中学校2年生になりますと、昨今、徐々に順位を上げていますが、男子33位、女子39位に甘んじている状況が見られます。
 このように中学生が伸び悩んでいる原因は、一体どこにあるのでしょうか。和歌山県の次代を担う子供たちの体力の低下は、個人レベルでは公共心の低下や学力の低下につながり、それが社会全体としては県勢の低下につながりかねないという危機感を感じております。
 例えば、文部科学省が行った全国学力調査の中学校における正解率のランキングを見ましても、福井県や秋田県、石川県が上位に入っていますが、本県は低迷しています。これを体力テストの順位で見ますと、やはり福井県や秋田県、石川県が上位に入るなど、体力と学力には一定の相関関係があるように思います。
 このことから、学力の向上を図るには、単に学力に焦点を当てるだけでなく、体力の向上を図ることも重要であると思います。体力と学力の関係についての御所見と、今後の体力の向上に関する対応方針について教育長にお尋ねします。
 次に、国体を通じて整備された施設は、紀三井寺公園陸上競技場や野球場、あきばさんプール、和歌山ビッグウエーブ、田辺市の三四六のスポーツパークなど、数十億円を投じた施設が多数あります。このような施設は、プロスポーツや企業、大学等の合宿にも活用できるとともに、県民が広く利用することができ、県民全体の体力づくりに貢献するものであります。
 5年後に日本で開催されるオリンピックを控え、和歌山から日本代表を多く育成したいと県民なら誰もが思っております。ロンドンオリンピックでは、田中3きょうだいが大活躍し、日本国民に勇気と感動を与えてくれました。第2、第3の田中3きょうだいを本県から輩出すべく、教育委員会ではゴールデンキッズ発掘プロジェクトと命名し、オリンピック候補者を含む優秀なスポーツ選手の輩出を目指した取り組みを平成18年度から行っておりますが、その成果のほどはどうでしょうか。また、今後の対策についてどう取り組んでいるのか、教育長にお尋ねいたします。
 次に、観光客の増加を見据えた県の対応策について、商工観光労働部長にお尋ねします。
 国体開催前には、県内各地で道路の竣工式が次々と行われました。高速道路では、近畿自動車道紀勢線がすさみまで、京奈和自動車道が岩出まで、一般国道では第二阪和道がふじと台の手前までと、そのほかにも多くの道路が整備されました。国体開催中は、県内や全国各地から詰めかけた人々のスムーズな受け入れに大いに役立ったと思います。
 しかし、未整備区間もあります。一日も早い完成が望まれます。道路網の整備は、企業誘致や防災はもちろん、観光振興に重要な役割を持っています。
 本年の訪日外国人旅行者数は、9月には早くも昨年1年間の合計である1341万人を超え、10月には1631万人に達しております。また、訪日客の旅行消費額は、昨年、約2兆円に達しました。このような状況を受け、政府は、2020年に向けて訪日外国人旅行者数2000万人の高みを目指すとしていた目標の達成が視野に入ってきたものとし、新たな目標設定と、そのために必要な対応の検討に入っています。
 現在、外国人の観光は、東京や京都、大阪など大都市が中心となっておりますが、本県には日本有数の文化財が存在し、高野山や白浜を初めとする観光地も多く、海の幸、山の幸にも恵まれています。
 このように、観光資源の豊富な本県において、県内の道路網はもちろん、府県間道路等のインフラ整備が整えば、外国人観光客は爆増し、消費は爆買いとなると考えます。
 昨年2月の定例会におきまして、外国人観光客の誘客向けのソフトなインフラである無料Wi-Fiの整備状況について質問するとともに、さらなる整備を要望したところであります。
 訪日外国人旅行者数も、その消費額も、今後さらに増大することが見込まれ、さらには、大都市中心となっている外国人の流れが、これからは地方にも及ぶことが期待されます。道路等インフラ整備の整いつつある本県においては、これを地域活性化の奇貨とすべきですが、この急激な観光行政を取り巻く状況変化への対応について本県として見逃すことのないよう、県としての対応策について商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 次に、県民運動の継承についてお尋ねいたします。
 国体では、県民総参加として大会を盛り上げるため、各開催県はいずれも各種の県民運動を推進しております。本県でも、県民運動アクションプログラムに基づき、挨拶・おもてなし運動、花いっぱい運動、クリーンアップ運動、県民歌の普及などの運動に積極的に取り組まれました。
 もちろん、その中には、大会ボランティアへの参加など、国体の終了に合わせて終わるものもありますが、今申し上げた運動は、長く続けてこそ意味のあるものではないかと考えます。今日行われている花いっぱい運動は、前回の国体を契機とするものであり、細々ながらも脈々と地域に根づいて受け継がれております。
 クリーンアップ運動は、河川や道路の清掃ですから、本来は行政がすべき業務だと思いますが、運動に参加した県民であれば、拾う手間の大変さや地域がきれいになることより、ごみを捨てないという意識が高まると思います。
 地元紀の川市では、ことし2月に小学生が近所の住民によってナイフで刺殺されるというショッキングな事件がありました。県では、6月定例会において安全・安心まちづくり条例が改正され、不審者情報の提供を県民の努力義務とするとともに、9月定例会において青少年健全育成条例が改正され、青少年による有害刃物の所持は禁止されました。このように、県として迅速な対応がなされたところです。
 犯罪の撲滅に限らず、住みよいまちづくりは、このような法による規制と地域住民による見守り活動などの助け合いとが相まって、初めて確保できるのではないかと思っております。戦後の日本は経済的、文化的豊かさを享受しましたが、地域での助け合いは姿を消しつつあり、行き過ぎた個人主義による弊害も見られます。人口は減少する一方で、高齢化はさらに高まると見込まれています。社会保障費の増嵩を考慮すれば、自分たちのことはまず自分たちで解決するという地域住民の意識改革が必要と考えます。この地域力を高めるためには、地域、コミュニティーと語源を一にするコミュニケーションが重要でありますし、地域での共同作業は地域のきずなを強める活動だと考えます。
 国体における県民運動は、まさに地域力を高める運動であり、今後ますます重要となるのではないでしょうか。今後、これら運動への取り組みについて、知事の御所見をお伺いします。
 国体に関する最後の質問です。
 昨年のゆるキャラグランプリにて、わかやま国体・わかやま大会のマスコットでありますきいちゃんが、全国1727キャラのうち、堂々の59位でありました。今後も引き続き、きいちゃんを県民の皆様が自由に使い、またきいちゃんにさまざまな場面で活躍してもらえれば、和歌山県の認知度、好感度がさらに高まるのではないかと思います。
 国体に貢献し、県民から絶大なる人気のあるきいちゃんの今後の進退について、知事の御所見をお伺いします。
 次に、TPPによる県内農林水産業への影響とその対応についてお尋ねします。
 2013年に日本が参加したTPP交渉については、本年10月5日、米国アトランタで開催された閣僚会合において、参加12カ国により大筋合意されました。
 TPPは、21世紀のアジア太平洋に自由で公正な経済圏を構築する挑戦的な試みであり、世界のGDPの約4割、人口の1割強を占める巨大な経済圏において、物の関税の削減・撤廃だけでなく、サービス、投資の自由化を進め、さらには知的財産、国有企業など幅広い分野で新しいルールを構築するものでありますが、メリットを受ける分野、デメリットを受ける分野があります。
 メリットを受ける分野としては、世界に誇る技術力や企画力を有する企業などが考えられますが、高品質な農林水産物・加工食品の生産者にとっても、積極的に世界に打って出るチャンスになると思っております。
 一方で、これまで関税で守られてきた農林水産物の生産者にとってはデメリットとなり、今回の大筋合意では重要5品目以外の農林水産物ではかなりの品目の関税が撤廃されることがわかり、その影響を非常に心配するとともに、マイナスの影響を受ける分野には十分な対策を講じる必要があると考えております。
 和歌山県の農林水産業は地域経済や雇用を支える重要産業であり、温州ミカンを初めとする果樹や野菜、花卉の施設園芸、熊野牛など、多様な農林水産物が生産される中で、特にオレンジやグレープフルーツの関税撤廃によるかんきつ産地へのマイナス影響が懸念されます。
 このため、去る11月14日には、本県議会の尾崎要二議員、浅井修一郎議員と私が、農林水産省堺田園芸作物課長とTPPに関して生産対策を初め需給調整や加工対策などについていろいろと協議を行いました。
 11月16日には、全国のミカン主産県の議員で構成する全国みかん生産県議会議員対策協議会において、TPP対策を含めたかんきつ産地の体質強化について、尾崎要二顧問、浅井修一郎副会長とともに、森山農林水産大臣、自民党谷垣幹事長ら政府や関係省庁に対して要望を行ったところであります。
 しかし、果樹への影響に対しては過小評価されている気がします。我々は一致団結して危機感を持って対応していかなければならない、そのように思います。
 また、県では、11月17日に知事が定例記者会見においてTPPによる県内農林水産業への影響と県の取り組みについて発表され、それによると、何も対策が講じられない場合、県の農林水産業の産出額は年間54億8000万円減少し、うち35億7000万円を占めるかんきつ類を中心に、米や畜産など幅広い農林水産物への影響が出ると分析されております。
 これを乗り切るためには、生産者、JA、和歌山県が一丸となって、産地の強化に取り組む必要があると考えます。
 そこで、TPPに対する農林漁業者の不安を払拭し、今後とも生産者が意欲を持って経営に取り組めるよう、県はどのように対応していくのか、知事の御所見をお伺いします。
 最後の質問に入ります。
 県は、本年8月、「守ります、まちと優良農地。」を発表しました。その経緯は、少子高齢化、市街地の空洞化等が進む中、国の将来に向けた都市計画の見直しの関係や和歌山市のコンパクトシティーの取り組みとの連携にあると聞いております。都市の機能の維持と優良農地の確保のために、適切な都市計画の運用と農地転用の厳格化をするということであります。
 今回の運用基準の厳格化で議論されているのが、農振法における農用地区域内農地からの除外の厳格化、農地法による転用許可の厳格化、また、それに関連する第1種農地の要件となる10ヘクタール以上の農地の道路等の分断要因に明確な基準がないこと等であります。
 現在、県内において市街化区域と市街化調整区域があるのは和歌山市の1市だけで、その和歌山市においても、本年8月、「コンパクトで便利なまちづくりに向けて!!~市街化調整区域の開発基準を見直します~」との発表を行い、開発基準の改正を示し、パブコメを実施、広く市民の意見を聞き、12月議会に上程するとの方針でありましたが、現時点で12月議会への上程には至っていないというのが実情であります。
 県の発表後、我々自民党県議団には多くの首長や住民の皆様から農地転用許可の運用見直しに対する反対の意見が寄せられており、県議団においても勉強会を何度も繰り返し行ってきた中、賛成の声は出ることがなく、反対の意見が大多数を占めました。
 こういった中、県内市町に今回の県内一律による農地転用許可の運用の厳格化に対する御意見を、自民党県議団として聞き取りを行ってまいりました。
 「中山間果樹地帯では、農地の集団化・規模拡大が必ずしも収益の増加につながらず、優良農地の捉え方に違いがある」、「旧中心市街地は、大部分が津波浸水地域にあり、都市計画用途地域内の宅地に逃げようにも、その適地は非常に少なく、また、津波浸水地域へ集約させるわけにもいかないとなれば大いに問題があり、ある程度の農地転用はやむを得ないので考慮してほしい」、「農地の担い手減少は、今後さらに加速するであろう。厳格化で転用を規制するとなると、利用されない耕作放棄地がさらに増大し、住環境への悪化が懸念される。また、今後も市街地周辺の土地需要として、農家住宅、津波浸水地域からの移転等、今後ますます住宅需要は伸びると見込まれる。今回の運用の厳格化は土地開発の規制にしかならず、財産権の制限となる懸念があり、適当ではない」、「分断要件を厳格化した場合、農地は守っても農家を守ることはできない。農村部でも、既に住宅化が広がり、農地との混在状態にあり、分断要因を厳格化しても、本来の整然とした優良な集団農地とはならない」、「農家の高齢化、後継者不足、厳しい農業経営で農地の担い手が減少している今日、条件不利地、不採算園地の整理等、経営の質を高める時期であり、農地は整理縮小の段階である。現実問題として、農地造成地等の優良農地でも継承が難しくなってきている場所もある」、「沿岸部と山間部の市町でも考え方が違うので、現時点で市町が一本化して動くことはできないが、県議会で市町の代弁者として本問題を提起してもらえるのはまことにありがたい。県に一石を投じてもらいたい」とおっしゃっている首長さんもいらっしゃいます。
 これら以外にも多くの意見が出ていますが、首長さん方の意見は、「県は、各市町によって事情が違うのだから、個々の市町の事情をもっと聞いた上で、県内一律にするのではなく、各市町ごとに柔軟な姿勢をもって考えてほしい」ということです。「市町の実情を聞いてくださいよ。その上で、基準を定めたらいいんじゃないですか」ということを言っています。
 例を挙げて恐縮ですが、もし和歌山市で条例改正案が上程され、それが否決された場合も、知事は、市街化調整区域における農地転用の厳格化の考え方を変えるつもりはないのでしょうか。
 農業にとって一番の問題は、農地の問題ではなく、農業所得と担い手不足の問題であり、大事なことは、日本や世界でも戦える高品質な果樹等の品種改良、安定生産や生産性向上のための研究を進め、農業をなりわいとできる産業に推し進める施策を行うことが若者の定住、後継者の確保、また所得向上につながっていくのではないでしょうか。
 農地のことを言うのであれば、圃場整備を推進していくことが重要であって、農転の運用を厳しくするのとは少し違うと思います。
 知事は、今まで市町がしてきたまちづくりを否定して、市町はまちづくりを考えていない、だから県が誘導していくというお考えなのでしょうか。
 今回の知事の今後のまちづくりの提案が全くだめと言っているのではありません。今後のまちづくりの方向を県が示し、各市町村長が各自治体の置かれている海岸部、山間部などの地理的条件、集落の点在状況、産業構造、人口規模等を考慮しながら進めていく、これこそが地方創生、地方自治の根幹であると思います。
 まちづくりと農業は密接に関連しています。そのまちづくりのビジョンは、各市町村、各自治体にあると考えます。市町村の職員は、農地のこと、まちづくりのこと、両方を担当している方が多くおり、住民の多くの声を直接聞いています。その人たちは、農転問題とまちづくりの両方の視点から、まちがどうすれば発展していくのか、住みやすいまちづくりは何かなど、首長さん方と一緒になって懸命に考え、努力しています。
 農地を守ることも、コンパクトなまちをつくることも両方重要で、密接に関連しています。やはり、自分のまちのことは自分が一番知っています。その中で、住民と役所がともに語り、未来のふるさとをどうしていくのかを考えていく、これこそが地方自治であります。
 最後に、何度も申し上げてきましたが、地方分権が進み、地方への権限移譲が叫ばれる今日において、県で一律に運用を厳格化することは、時代の逆行であると言わざるを得ません。今回の運用の見直しは、たとえ農地が守られることがあっても、農業を守ることはできません。
 私たち自民党県議団として、改めて農業の発展なくして和歌山県の発展なしという決意を申し上げ、今回の運用の見直しについては、各市町の状況をしっかりと聞いた上、各市町ごとの実情に沿った運用の見直しをしていただくように強く要請しながら、知事の御所見を伺います。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの岸本健君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 新政策についてお答え申し上げます。
 和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略に掲げた目標は、相当の覚悟を持って明示したものでございまして、達成することが大変厳しい目標であると認識しております。
 しかしながら、将来の和歌山県のために、その高い目標の達成に向けて避けては通れない課題に対する政策をしっかりと議論した上で、着実に実行していく必要があるわけであります。平成28年度は、その第一歩を踏み出す重要な年でございまして、総合戦略に掲げた5つの基本目標を柱として、強力かつ大胆な新政策を展開してまいりたいと考えております。
 5つのうちの1つ目でありますが、まず、「安定した雇用を創出する」ということにつきましては、県内企業の競争力のさらなる強化に加え、新産業の創出に向けて、志高い創業者や新事業展開を目指す企業の発掘、技術面、資金調達面でのサポート充実による県内開業率の引き上げを図るとともに、ICT企業の誘致や木質バイオマス発電の実現に向けた支援などに取り組んでまいりたいと考えております。
 農林水産業では、経営感覚にすぐれた担い手を育成することが重要でございます。そのため、林業分野も含めて農業大学校の教育課程の見直しを行うとともに、攻めの農業として、海外市場開拓に意欲的な産地主導の取り組みを徹底的にサポートしてまいりたいと考えております。
 観光振興では、世界遺産と水にまつわる観光資源を組み合わせた「水の国、わかやま。」キャンペーンを実施するとともに、世界遺産の追加登録や日本遺産の認定を目指すなど、引き続き本県の魅力発信に努めてまいります。
 次に2番目、「和歌山県への新しい『人の流れ』を創造する」につきましては、先般、県と労働局が連携し、暮らし、住まい、仕事の相談をワンストップで受ける全国初の取り組み、わかやま定住サポートセンターを開設したところであり、今後も移住・定住大作戦を一層推進いたします。
 また、就職指導にたけた人材を高校に派遣するなど、高校生の県内就職を促進するとともに、県立医科大学への薬学部新設や看護大学の誘致により、大学進学時の県外転出に歯どめをかけていきたいと思っております。
 加えて、県内企業の研究開発を担う優秀な人材を確保するため、理工系学生の県内就職を特に促進する取り組みを検討していきたいと思います。
 次に3番目、「少子化をくい止める」につきましては、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで、切れ目のない対策を引き続き実施していくとともに、第3子以降の保育や幼児教育の無料化を検討するなど、子育て世代の経済的負担のさらなる軽減を図りたいと思います。
 また、社会で子供を育む環境をつくるため、里親制度の啓発やリレー式の青少年の健全育成などにも取り組んでまいりたいと思います。
 4番目は「安全・安心な暮らしを実現する」でございますが、和歌山県国土強靱化計画に基づき、あらゆる自然災害から県民の命を守るための対策をソフト・ハードの両面で進めていきたいと思います。
 また、質の高い医療の充実に向けて、地域医療構想に基づいた病床再編や切れ目のない医療・介護サービスを提供する地域包括ケアシステムを構築するため、急性期から回復期への病床機能の転換等を促進するとともに、かかりつけ医の後方支援を行う病院の整備に取り組んでまいります。
 さらに、がん対策では、従来の取り組みに加えて市町村のがん検診の実施状況の評価・公表を検討するなど、がん検診の質の向上に取り組みたいと思います。
 5番目の「時代に合った地域をつくる」につきましては、県内の幹線道路ネットワークの強化として、命の道でありチャンスの道である紀伊半島一周高速道路などに引き続き取り組んでまいります。
 まちの再生では、農地転用の抑制により都市の拡散や空洞化に歯どめをかけるとともに、市町への総合的な都市計画見直し案の提案や既成市街地の再開発、中古住宅の利活用、廃墟の撤去と跡地の緑化推進などにより、コンパクトで快適なまちづくりに取り組んでまいります。
 学校教育の充実では、大きな課題である不登校に関して、今月4日に立ち上げた有識者会議の議論をもとに対策を推進いたします。
 また、児童生徒の学力向上のため、実践力のある教員が中堅・若手教員に授業ノウハウを伝授するなど、未来を支える子供たちの確かな学力を育んでまいりたいと思います。
 現在も施策の具体化に向けた検討を重ねているところでございまして、議員の皆様からの御意見も踏まえ、総合戦略の目標達成につながる新政策を打ち出してまいりたいと考えております。
 次に、財政運営につきましては、先ほど申し上げた新政策を着実に実施していくため、財政の健全性を確保していく必要がございます。そのために、平成24年3月に策定した新行財政改革推進プラン(改訂版)に基づきまして、限りある行政資源を効率的、効果的に配分するため、既存事業についてはマイナス5%のシーリングを実施するとともに、選択と集中及びスクラップ・アンド・ビルドの視点を徹底し、全ての事業について一層の見直しに取り組んでまいります。
 また、歳入面においては、引き続き県税の徴収確保の強化に努めるとともに、国の予算編成の動向等に留意し、さまざまな財源の確保策を講じてまいります。
 また、国に対しては、地方税財源の充実・確保とともに、県の財政運営に大きな影響を及ぼします地方交付税の総額の確保について、強く働きかけてまいりたいと思います。
 このように、来年度の新政策を着実に実行しながらも、行財政改革プランに基づき、財政の健全性を確保し、財政運営を行ってまいります。
 次に、国体における県民運動の継承でございますが、県民運動は、あいさつ運動や花いっぱい運動など、県民が主体になり、他府県から訪れた方々にとって和歌山がよき思い出の地となるよう、おもてなしの心を持って総参加で取り組んでまいったものでございます。
 これからの地域づくりについては、このような県民総参加での地域での活動が重要と考えております。あいさつ運動を通じ、子供たちへの規範意識の育成や、議員御指摘の地域見守り活動などにより、希薄化した地域コミュニティーを補うものとして、地域の安全・安心を回復させる大きな力となります。
 県としては、国体を契機として醸成されました県民運動の機運が継続して発展していくことができるように応援してまいりたいと思っております。
 きいちゃんでございますが、これは、これまで紀の国わかやま国体・大会のPR活動を初め、さまざまな活動に奮闘していただきました。子供からお年寄りまで幅広く県民に愛されるとともに、県外でも認知度が高まってまいりました。
 私は、国体が終わったからといって、県民の皆さんに愛されてるきいちゃんをお役御免にするということは到底できないと考えておりまして、進退というお話でございましたが、今後も県のマスコットとして存続させまして、和歌山をPRするキャラクターとして、県民の皆さんや企業の方々にもできる限り自由に御活用いただいて、さらに活躍してもらえるようにしてまいりたいと思っております。
 次に、TPPによる県内農林水産業への影響とその対応についてでございますが、TPPは、入ることによって悪影響をこうむる産業もありますし、入らなかったら逆にこのブロック経済から排除されて、不公平、不利益をこうむって輸出産業なんかがひどい目に遭って雇用が減っちゃうという問題もございます。したがって、両方大変なんですが、総合的に国がお考えになって、これは入ろうというふうにお決めになったからには、今度は悪影響の出る産業についてはちゃんとした手当てをするというのが正しいやり方だと考えております。
 和歌山県でもいろいろ考えておりますが、農林水産業に対する影響、これはやっぱり悪影響が大きいというふうに思います。特に本県はかんきつ産地のリーダーでございますんで、全国の先頭に立って行動する必要があると考えまして、先日、県選出の国会議員と農林水産省に対し、かんきつへのマイナスの影響をカバーするために、生産性の向上とか高品質化、あるいは輸出拡大等に向けて万全の対策を講じてほしいというような政策提案を実施してまいりました。
 県の取り組みとしては、農業戦略アクションプログラムpartⅡで農地、担い手、生産に関する具体的な行動計画とか数値目標を定めておりまして、農地の流動化や農業法人、新規就農者の育成、それから果樹産地の強化とか、施設園芸の拡大とか、競争力の強化を進めているところでございます。
 今後は、TPPにより外国産農林水産物との競争が激しくなるのに備え、引き続き国に対して必要な対策の実施を働きかけるとともに、国が打ち出す施策を積極的に活用しながら、温州ミカンの厳選出荷とか、あるいは樹園地の改良、米や畜産についても個性的な商品づくりを進めるなど、生産者、JA、県が一丸となってさらなる産地の強化を図ってまいりたいと思います。
 また、来年度の新政策では、議員御指摘のようにTPPを海外市場開拓のチャンスとして捉え、輸出促進に向けて生産、流通、販売での支援を強化するとともに、経営感覚にすぐれた農業者を育成するため、農業大学校にアグリビジネス学科を追加するなど、将来にわたり意欲ある農林漁業者が希望を持って経営に打ち込めるように、国際競争力のあるたくましい農林水産業の実現に努めてまいります。
 次に、農地転用の厳格化でございます。
 議員は、さまざまな方面から寄せられた心配とか懸念とか、あるいは要望に真摯に対応しておられます。我々にも、同じような意見が実は参っております。そういう意味で、議員の御配慮に深い敬意を表するものであります。それに応える意味で、少し丁寧に御答弁申し上げたいというふうに思っております。
 現在、これはもう皆さん考えておられると思いますが、市街地が徐々に拡大し、農地がどんどん転用されておりますが、一方では、既存の市街地が廃れて人通りが少なくなり、シャッター店舗や空き家が増加しているという状態でございます。これは、中心市街地と言われている昔からのところもそうでございますし、少し前に新しく開発されたところでも同じような状況が起こりつつあるということだと思います。これはどうしてこうなったかというと、都市を外側にうんと拡大したからだというふうに思います。
 和歌山市では、DIDという人口密集地の概念があるんですが、それが3倍になっております。さらに拡大しつつあります。本来は、これは都市計画法と農地法、農振法で規制がある。都市計画法では市街化区域と市街化調整区域を設けて、あんまり広がらないようにしなきゃいかんというふうなのが法の定めなんですが、運用はかなり緩やかにやってきたなというふうに思うわけです。
 一方、農地転用もかなり緩やかに運用して、どんどん転用が進んで、これによりますます外縁的に拡大中だというふうに思います。特に和歌山市では、都市計画法の緩和条例、例外をつくる緩和条例、これはもちろん合法ですが、これによってさらにこれが加速しているという状態だと思っております。
 こうした既成市街地の空洞化をほっときますと、まちににぎわいを取り戻せとか、あるいは市街地をもっと元気にせえと、これはなかなかできないということだと思います。
 第2に、不動産の価格が下がります。市民の資産価値が減少するということになります。これは、土地需要と供給ということを考えると自明であります。爪に火をともしておうちを買ったと。その買った不動産の価格が下がってしまったというと、これはせっかくためた貯金が減ってしまったようなもんでございまして、なかなか大変なことになりつつあります。
 次に、3番目に都市施設の整備費と維持費が増大いたしまして、市町村の財政が圧迫されることになります。都市施設というのは、これは市町村が提供しなきゃいけないということになってるわけですが、広いところで提供するのと狭いところで提供するのと、コストが全く違うわけです。したがって、これは将来考えておかないといけない。和歌山市は、下水道料金でもうちょっとで大変なことになるとこだったんですが、これをうんと上げまして、それで全国でも有数の高価格の下水道料金を我々は払ってるんですが、それで何とか今助かっている。この傾向を、やっぱりどっかでとめないといけないということだと思います。
 それから、公共交通の利用者が減って大変だ、経営が苦しいという話がありますが、散らばってしまったところで公共交通を発展させるというのはとても難しいということでございます。そうすると、ますます市町村からの補助金の負担があって、これは市民の負担になってまいります。
 それから、5番目に、車が運転できなくなったら、ちょっと広がり過ぎたら大変ということになるかなというふうに思うわけであります。
 さらに、6番目に、郊外部の宅地化の進行によって、農地がいわば虫食い状態になっております。一定規模のまとまりのある優良農地が失われつつあるというのが現状だというふうに思います。
 こうしたことを踏まえて、まず今後のまちづくりについて、議員御指摘のように市町村がそれぞれ考えていただいて、都市計画を適切に運用して、市街化をすべき区域と抑制すべき区域のゾーニングを行うことが必要だろうと思います。どこでもいいですよというんじゃなくて、そろそろ広がるのは抑制して、その抑制の仕方はそれぞれで考えようということではないかと。それだけだと余りおもしろくありませんので、既存の市街地、これを弱ってるところを再開発していくということが大変大事なことだと思います。
 ただ、この再開発をしようと思うと、どうしても、例えばそこに入ってくれる人というのがいないといけません。入ってくれる人が外に幾らでも出ていってもいいんだよということになると再開発もできないということになってしまうので、そういうためにもある程度抑制していかないといけないな。
 こういうことに対して、県では、市町村のまちづくりに対してマスタープランの作成とか、あるいは再開発の推進とか、それからゾーニングがきれいにできたところは都市計画道路、こういうものを肩がわりするとか、そういうことで助けていくべきかなというふうに思います。
 それから、農業のほうから見ても、これから農業のためには、これまで以上に経営感覚がすぐれた農家の育成を行って、意欲的な農家への農地の集約と活用が必要であると思います。そのためには、やっぱり優良農地を置いとかないといけない。したがって、農地の転用についてはこれまでよりも厳格に運用して、優良農地を守っていく必要があるんじゃないかと思った次第でございます。
 この際、ある市町村で厳しくいたします。そうすると、幾らでもいいんですよという隣の市町村にみんな需要が逃げてしまうということになるわけでございます。そうするとこれは不公平だということになりますので、したがって、各市町村が、やっぱり県と相談しながらみんなが協力しようよと言ってもらわないと困るなあと思うわけです。そのときに、都市計画法の権限は市町村のほうが強いんです。一方、農地の転用の権限は県のほうが割合多いんですね。したがって、とりあえず一般に、いわば一律に厳し目に運用するよということを原則としようと思っているわけです。
 しかしながら、議員御指摘のことは全く正しいわけでございまして、市街地の大部分が、例えば津波浸水地域に含まれ、高台にある農地に移らないといけないまちもあるかもしれない。そういうところとか、あるいは、既成市街地を再開発するためには新しい替え地が必要だというまちもあるかもしれない。あるいは、もう少しこのまちは発展したいんだというふうにまちの人たちが思っていて、もうちょっと拡大したいと思っておられるところもあるかもしれない。市町村ごとにそれぞれの課題があることはよく認識しているわけで、御指摘のとおりであります。
 こうした場合、まさに市町村がそれぞれの地域の実情に応じて都市計画のゾーニングをする必要があると考えておりまして、まさにそういう相談を市町村としたいと思っております。そういう場合には、都市計画法上のゾーニングをちゃんとやってくださった方には、県が今度は協力をして、例えばそのゾーニングの中でまちにすべきだと思うところについては農地転用は緩やかに運用していくという工夫をしなきゃいけないんじゃないかと、そんなふうに思います。ただし、ゾーニングなしにどこでもいいですよと、御自由にと言った瞬間に、今までのような状況がどんどんと再生産されていくんで、これはちょっとまずいなあということでございます。
 今申し上げましたような意味で、議員御指摘のように、市町村とよく相談をしながら実情に応じたまちづくりと農地の保全をしていかないといけない。地方分権は大事なんでございますが、皆さんが勝手にやると全体がむちゃくちゃになるときには、このように全体に網をかけるということも必要かなというふうに思います。
 その上で、農業について言われたことで論理的にどうかなというのがちょっとありますので申し上げますと、農地を守っても農家を守ることはできないとおっしゃいました。しかし、私は、農家を守るために、それももうかる農家を守るために農地を保全しないといかんと思ってるわけでございます。農地を転用して宅地などにしてしまって売ってしまった人は、これは農家とは言えない。言葉の定義です。それから、農業だけとっても、農地面積が広過ぎて過剰生産ということなら、農地をやっぱりどんどん狭めて、農地転用を進めて農地を少なくするというのが正しい政策だと思うんですが、どうもそんなことは誰もおっしゃっていないと思います。
 現に、営農農家は実は収入がふえてるんでございまして、ここはやっぱり営農農家に集約化を図って農業を振興してみようと、そういうことにかけてみようというふうに考えて、農業政策を大いにやろうと思っているわけでございます。
 それから、圃場整備を推進することのほうが大事というお話がありましたが、圃場整備を推進することは大事なんですが、虫食いになった農地では、圃場整備することはまあ多分できないということではないかというふうに思うわけです。
 ただし、今申し上げてまいりましたが、こういう政策をやるとお気の毒だと思ってることも実はあるんです。というのは、近々農業をやめて、それで自分の持っている農地を転用して宅地にして、それを高く売ってもうけようという方は、もうけの道を閉ざすということに、これは本当になってしまいます。もうけをするということは別に悪いことではなくて、できればこういう方々の利益もお守りしたいと私は思いますが、ただ、この方々の利益を全部守ってしまうと圧倒的に多数の方々の利益を失わせることになり、郷土の発展ができないなあということで、まちのにぎわいももうかる農業も夢のまた夢となるわけでございます。
 地価がえらく高くて、それで人口もふえているときは、これまでの政策でよかったというふうに思います。ただ、今後このメカニズムをわかっていてもっとやるというのは、やっぱりちょっといろいろ考えなきゃいけないことがあるんじゃないかなあということで、今そういう提案をさしていただいてる次第でございます。
 長々と御説明申し上げて済みませんでございました。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 観光客の増加を見据えた県の対応策についてお答えします。
 外国人観光客の誘致につきましては、東アジア、東南アジアの皆様には、四季の自然、温泉、食などを魅力として発信し、また、日本の歴史や精神文化に強い関心を持つ欧米豪の皆様には、世界遺産「高野山・熊野」の魅力を積極的に情報発信するなど、ターゲットとする各国、地域の嗜好を捉えたプロモーションを実施してきたところです。特に、今年度は、個人旅行化の流れを踏まえ、一般消費者への和歌山への露出を高めるため、映像、ウエブサイト及び雑誌等のメディアを有効に組み合わせた情報発信を重点的に行っております。
 また、本県を訪れる外国人観光客の皆様が個人旅行でも安心して楽しく周遊していただけるよう、多言語案内表示の充実や免税店の拡充等に努めてまいりました。とりわけ、今年度は、かねてから外国人観光客等から強く要望されておりましたWi-Fi環境の整備について、和歌山フリーWi-Fi大作戦として重点的に取り組んでおります。
 紀三井寺公園陸上競技場や和歌山ビッグホエールなど12の県有施設でWi-Fiを整備し、運用を開始する一方、市町村の施設やホテル、旅館や飲食店等の民間の観光関係施設等においても、新たに創設した補助制度を活用して整備されたWi-Fiの運用が順次スタートしており、現在500カ所以上のアクセスポイントが整備済み、または整備中となっているところです。
 加えて、議員御指摘のとおり、県内の道路網の整備が進んだことにより、観光客の皆様の利便性が大きく向上し、観光動態にもよい影響が生じております。地元観光関係者からは、例えばレンタカーで周遊する外国人観光客に出会う機会が多くなったとの声をいただくほか、日本人観光客についても、高速道路の延伸等により、大阪からのお客様が白浜を越えて勝浦までお越しいただけるようになったとの声や、また、名古屋からのお客様が勝浦を越えて白浜までお越しいただけるようになったとの声が寄せられているところです。
 今後も引き続き、対象市場ごとに嗜好を踏まえた効果的なプロモーションに取り組むとともに、多言語案内表示やWi-Fi環境の充実を初めとする受け入れ環境整備に取り組み、さらなる観光客の誘致を図ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
 時間がございませんので、教育長、早口で済みません。スピーディーによろしくお願いします。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 体力と学力の関係でございますが、体力は人間のあらゆる活動の源であり、健康な生活を営む上で大変重要であります。一般的には、体を動かすことにより健康的で生活習慣が身につきやすく、学習全般において粘り強く取り組めたり、運動が脳を活性化し、学習意欲を高めたりするなど、運動が学習に効果があると考えられております。また、全国体力調査及び全国学力調査結果においても、生活習慣の改善と体力・学力には因果関係があるとされています。
 本県の児童生徒の体力状況につきましては、小学生に運動習慣をつけさせることを目指したきのくにチャレンジランキングや、女子の運動離れに歯どめをかけるため制作した紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスの全校実施等により、近年、小学生、中学生の男女ともに、全国体力調査においても成果が上がってきているところでございます。
 今後も引き続きこれらの取り組みを実施することで、体力の向上とともに学力の向上に努めてまいります。
 次に、ゴールデンキッズ発掘プロジェクトについてでございますが、本県から世界で活躍する競技者を輩出することは、県民に夢と感動を与え、元気な和歌山の実現に向けて大変重要だと考えてございます。
 平成18年度からスタートした本プロジェクトは、県内のすぐれた素質を有する子供たちを早期に見出し、関係団体と連携協力を図りながら育成を図っています。
 紀の国わかやま国体には、ゴールデンキッズの1期生から4期生までの23名が出場し、優勝者3名を含む13名が入賞を果たすなど、すばらしい活躍を見せてくれました。また、修了生の中には、レスリングの年代別世界選手権を初め、国際大会に8名が出場し、世界の舞台で活躍してございます。
 これからも、国際大会や国体で活躍する競技者を育成するため、日本オリンピック委員会や日本スポーツ振興センター等、中央の関係機関や競技団体との連携による指導者の派遣など、ゴールデンキッズの育成プログラムの内容をさらに充実させてまいります。
 今後とも、修了生たちが競技者として活躍し、そして、将来、指導者として次世代のすぐれた競技者を育てるという好循環を生み出すことで本県の競技力向上を図っていきたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、岸本健君の質問が終了いたしました。(拍手)

このページの先頭へ