平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


平成27年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(全文)


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平成27年12月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成27年12月8日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第152号から議案第186号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第152号から議案第186号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(1人)
 13番 花田健吉
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       市川靖之
 企画部長       高瀬一郎
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     野尻邦彦
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   溝端莊悟
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾﨑善亮
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課副主査     中尾祐一
 総務課長       西原龍也
 政策調査課長     中口 匠
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○議長(前芝雅嗣君) 開議に先立ち、申し上げます。
 現職議員が逮捕されましたが、県議会は県民の負託に応えるべく粛々と議事を進行してまいりたいと思います。議員各位には、円滑な議会運営に御協力をお願いいたします。
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  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第152号から議案第186号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 26番岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○岸本 健君 おはようございます。
 12月定例会、一般質問の初日、トップバッターで質問に立つ機会をお与えいただきましたことに感謝を申し上げ、議長のお許しをいただきましたので一般質問を行います。
 開会冒頭、知事が提案説明の中でも触れられました平成28年度新政策と予算編成の方針についてお伺いします。
 去る11月26日、安倍総理が掲げる1億総活躍社会実現への具体策として、緊急対策が取りまとめられました。アベノミクスの第2ステージは、子育てや社会保障の基盤を強化し、それがさらに経済を強くするという、成長の分配の好循環の構築を目指しています。
 緊急対策で掲げられた新3本の矢のうち第1の矢は、金融政策、財政政策、成長戦略という従来の3本の矢をさらに強化することによってGDP600兆円を目指す「希望を生み出す強い経済」、第2の矢は、人口1億人維持のため、出生率1.8を達成するための「夢を紡ぐ子育て支援」、第3の矢は、介護を理由とする離職者ゼロを目指す「安心につながる社会保障」です。いずれも一朝一夕にはなし得ない高い目標ではありますが、内閣の総力を挙げて、経済成長、少子高齢化に立ち向かおうとする強い意気込みを感じます。
 和歌山県では、全国に先んじて少子高齢化が進み、人口減少が深刻な問題となっております。仁坂知事は、就任以来、産業振興、移住・定住促進、少子化対策など、鋭意取り組んでこられたことは承知しております。本年6月には、全国でもいち早く和歌山県長期人口ビジョン並びに和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、これからもあらゆる政策を駆使して元気な和歌山を創造していく決意を示されたところです。
 長期人口ビジョンでは、社会を何とか持続していくために、2010年と同水準の高齢者1人を現役世代2人で支える人口形態が必要との考えに基づき、2060年の人口をおおむね70万人確保する目標を掲げています。また、総合戦略では、5年間で4000人の雇用の場を確保や、直近5カ年の転出超過累計数を今後5カ年で半減、合計特殊出生率を平成31年に1.80といった具体的な目標が設定されています。
 既に公表されている平成28年度新政策と予算編成の方針でも、総合戦略で掲げた5つの基本目標を柱として取り組んでいくとのことですが、改めて、来年度の新政策に対する知事の意気込みと重点的に取り組もうとされる政策についてお伺いいたします。
 次に、財政運営についてお伺いします。
 和歌山県の財政構造は、地方交付税に多くの財源を依存し、財源確保は非常に重要であります。また、新政策を進めていくためには、持続可能な県政を心がけ、財政の健全性を損なわないように財政運営を行っていく必要があります。
 そこで、知事にお尋ねします。
 元気な和歌山の実現、地方創生を実現するための新政策を推進しながら県財政の健全性を確保するため、新年度予算においてどのように財政運営をされようとしているのか、お伺いをいたします。
 次に、国体後のスポーツ振興と国体成果の継承についてお尋ねいたします。
 和歌山県では、44年ぶり2回目となる紀の国わかやま国体が去る10月6日に、また初めての開催となる紀の国わかやま大会が10月26日に閉幕しました。選手団全員の頑張りはもとより、県民挙げての応援もあって、紀の国わかやま国体と紀の国わかやま大会では、目標とした国体での男女総合優勝を果たし、見事天皇杯を獲得するなど、大成功で終えられたものと思っております。
 知事を初め県関係、市町村職員の皆さん、ボランティアいただいた県民の皆さん、応援いただいた多くの県民の皆さん、本当にありがとうございました。お疲れさまでございました。県民に勇気と感動を与える大変すばらしい大会だと思っております。
 さて、国民体育大会は、昭和36年制定のスポーツ振興法──この法律は平成23年に全面改正され、現在はスポーツ基本法となっておりますが──この法律に位置づけられている国民的なスポーツの祭典であります。
 そして、スポーツ基本法には、スポーツの意義が次のように記されています。
 総括的には、「スポーツは、人の心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得、自律心の涵養等のために行われる運動であり、人が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠なものとなっている」。次に、青少年にとってのスポーツは、「次代を担う青少年の体力を向上させるとともに、他者を尊重しこれと協同する精神や公正さと規律を尊ぶ態度や克己心を培い、実践的な思考力や判断力を育む等人格の形成に大きな影響を及ぼすものである」と記されています。
 このように、青少年にとってスポーツは有意義なものであって、積極的にこれを推進すべきものであると考えます。
 そこで、教育長にお尋ねします。
 まず初めに、文部科学省が実施した昨年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査によりますと、本県における小学校5年生は、男子15位、女子16位と健闘しておりますが、中学校2年生になりますと、昨今、徐々に順位を上げていますが、男子33位、女子39位に甘んじている状況が見られます。
 このように中学生が伸び悩んでいる原因は、一体どこにあるのでしょうか。和歌山県の次代を担う子供たちの体力の低下は、個人レベルでは公共心の低下や学力の低下につながり、それが社会全体としては県勢の低下につながりかねないという危機感を感じております。
 例えば、文部科学省が行った全国学力調査の中学校における正解率のランキングを見ましても、福井県や秋田県、石川県が上位に入っていますが、本県は低迷しています。これを体力テストの順位で見ますと、やはり福井県や秋田県、石川県が上位に入るなど、体力と学力には一定の相関関係があるように思います。
 このことから、学力の向上を図るには、単に学力に焦点を当てるだけでなく、体力の向上を図ることも重要であると思います。体力と学力の関係についての御所見と、今後の体力の向上に関する対応方針について教育長にお尋ねします。
 次に、国体を通じて整備された施設は、紀三井寺公園陸上競技場や野球場、あきばさんプール、和歌山ビッグウエーブ、田辺市の三四六のスポーツパークなど、数十億円を投じた施設が多数あります。このような施設は、プロスポーツや企業、大学等の合宿にも活用できるとともに、県民が広く利用することができ、県民全体の体力づくりに貢献するものであります。
 5年後に日本で開催されるオリンピックを控え、和歌山から日本代表を多く育成したいと県民なら誰もが思っております。ロンドンオリンピックでは、田中3きょうだいが大活躍し、日本国民に勇気と感動を与えてくれました。第2、第3の田中3きょうだいを本県から輩出すべく、教育委員会ではゴールデンキッズ発掘プロジェクトと命名し、オリンピック候補者を含む優秀なスポーツ選手の輩出を目指した取り組みを平成18年度から行っておりますが、その成果のほどはどうでしょうか。また、今後の対策についてどう取り組んでいるのか、教育長にお尋ねいたします。
 次に、観光客の増加を見据えた県の対応策について、商工観光労働部長にお尋ねします。
 国体開催前には、県内各地で道路の竣工式が次々と行われました。高速道路では、近畿自動車道紀勢線がすさみまで、京奈和自動車道が岩出まで、一般国道では第二阪和道がふじと台の手前までと、そのほかにも多くの道路が整備されました。国体開催中は、県内や全国各地から詰めかけた人々のスムーズな受け入れに大いに役立ったと思います。
 しかし、未整備区間もあります。一日も早い完成が望まれます。道路網の整備は、企業誘致や防災はもちろん、観光振興に重要な役割を持っています。
 本年の訪日外国人旅行者数は、9月には早くも昨年1年間の合計である1341万人を超え、10月には1631万人に達しております。また、訪日客の旅行消費額は、昨年、約2兆円に達しました。このような状況を受け、政府は、2020年に向けて訪日外国人旅行者数2000万人の高みを目指すとしていた目標の達成が視野に入ってきたものとし、新たな目標設定と、そのために必要な対応の検討に入っています。
 現在、外国人の観光は、東京や京都、大阪など大都市が中心となっておりますが、本県には日本有数の文化財が存在し、高野山や白浜を初めとする観光地も多く、海の幸、山の幸にも恵まれています。
 このように、観光資源の豊富な本県において、県内の道路網はもちろん、府県間道路等のインフラ整備が整えば、外国人観光客は爆増し、消費は爆買いとなると考えます。
 昨年2月の定例会におきまして、外国人観光客の誘客向けのソフトなインフラである無料Wi-Fiの整備状況について質問するとともに、さらなる整備を要望したところであります。
 訪日外国人旅行者数も、その消費額も、今後さらに増大することが見込まれ、さらには、大都市中心となっている外国人の流れが、これからは地方にも及ぶことが期待されます。道路等インフラ整備の整いつつある本県においては、これを地域活性化の奇貨とすべきですが、この急激な観光行政を取り巻く状況変化への対応について本県として見逃すことのないよう、県としての対応策について商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 次に、県民運動の継承についてお尋ねいたします。
 国体では、県民総参加として大会を盛り上げるため、各開催県はいずれも各種の県民運動を推進しております。本県でも、県民運動アクションプログラムに基づき、挨拶・おもてなし運動、花いっぱい運動、クリーンアップ運動、県民歌の普及などの運動に積極的に取り組まれました。
 もちろん、その中には、大会ボランティアへの参加など、国体の終了に合わせて終わるものもありますが、今申し上げた運動は、長く続けてこそ意味のあるものではないかと考えます。今日行われている花いっぱい運動は、前回の国体を契機とするものであり、細々ながらも脈々と地域に根づいて受け継がれております。
 クリーンアップ運動は、河川や道路の清掃ですから、本来は行政がすべき業務だと思いますが、運動に参加した県民であれば、拾う手間の大変さや地域がきれいになることより、ごみを捨てないという意識が高まると思います。
 地元紀の川市では、ことし2月に小学生が近所の住民によってナイフで刺殺されるというショッキングな事件がありました。県では、6月定例会において安全・安心まちづくり条例が改正され、不審者情報の提供を県民の努力義務とするとともに、9月定例会において青少年健全育成条例が改正され、青少年による有害刃物の所持は禁止されました。このように、県として迅速な対応がなされたところです。
 犯罪の撲滅に限らず、住みよいまちづくりは、このような法による規制と地域住民による見守り活動などの助け合いとが相まって、初めて確保できるのではないかと思っております。戦後の日本は経済的、文化的豊かさを享受しましたが、地域での助け合いは姿を消しつつあり、行き過ぎた個人主義による弊害も見られます。人口は減少する一方で、高齢化はさらに高まると見込まれています。社会保障費の増嵩を考慮すれば、自分たちのことはまず自分たちで解決するという地域住民の意識改革が必要と考えます。この地域力を高めるためには、地域、コミュニティーと語源を一にするコミュニケーションが重要でありますし、地域での共同作業は地域のきずなを強める活動だと考えます。
 国体における県民運動は、まさに地域力を高める運動であり、今後ますます重要となるのではないでしょうか。今後、これら運動への取り組みについて、知事の御所見をお伺いします。
 国体に関する最後の質問です。
 昨年のゆるキャラグランプリにて、わかやま国体・わかやま大会のマスコットでありますきいちゃんが、全国1727キャラのうち、堂々の59位でありました。今後も引き続き、きいちゃんを県民の皆様が自由に使い、またきいちゃんにさまざまな場面で活躍してもらえれば、和歌山県の認知度、好感度がさらに高まるのではないかと思います。
 国体に貢献し、県民から絶大なる人気のあるきいちゃんの今後の進退について、知事の御所見をお伺いします。
 次に、TPPによる県内農林水産業への影響とその対応についてお尋ねします。
 2013年に日本が参加したTPP交渉については、本年10月5日、米国アトランタで開催された閣僚会合において、参加12カ国により大筋合意されました。
 TPPは、21世紀のアジア太平洋に自由で公正な経済圏を構築する挑戦的な試みであり、世界のGDPの約4割、人口の1割強を占める巨大な経済圏において、物の関税の削減・撤廃だけでなく、サービス、投資の自由化を進め、さらには知的財産、国有企業など幅広い分野で新しいルールを構築するものでありますが、メリットを受ける分野、デメリットを受ける分野があります。
 メリットを受ける分野としては、世界に誇る技術力や企画力を有する企業などが考えられますが、高品質な農林水産物・加工食品の生産者にとっても、積極的に世界に打って出るチャンスになると思っております。
 一方で、これまで関税で守られてきた農林水産物の生産者にとってはデメリットとなり、今回の大筋合意では重要5品目以外の農林水産物ではかなりの品目の関税が撤廃されることがわかり、その影響を非常に心配するとともに、マイナスの影響を受ける分野には十分な対策を講じる必要があると考えております。
 和歌山県の農林水産業は地域経済や雇用を支える重要産業であり、温州ミカンを初めとする果樹や野菜、花卉の施設園芸、熊野牛など、多様な農林水産物が生産される中で、特にオレンジやグレープフルーツの関税撤廃によるかんきつ産地へのマイナス影響が懸念されます。
 このため、去る11月14日には、本県議会の尾崎要二議員、浅井修一郎議員と私が、農林水産省堺田園芸作物課長とTPPに関して生産対策を初め需給調整や加工対策などについていろいろと協議を行いました。
 11月16日には、全国のミカン主産県の議員で構成する全国みかん生産県議会議員対策協議会において、TPP対策を含めたかんきつ産地の体質強化について、尾崎要二顧問、浅井修一郎副会長とともに、森山農林水産大臣、自民党谷垣幹事長ら政府や関係省庁に対して要望を行ったところであります。
 しかし、果樹への影響に対しては過小評価されている気がします。我々は一致団結して危機感を持って対応していかなければならない、そのように思います。
 また、県では、11月17日に知事が定例記者会見においてTPPによる県内農林水産業への影響と県の取り組みについて発表され、それによると、何も対策が講じられない場合、県の農林水産業の産出額は年間54億8000万円減少し、うち35億7000万円を占めるかんきつ類を中心に、米や畜産など幅広い農林水産物への影響が出ると分析されております。
 これを乗り切るためには、生産者、JA、和歌山県が一丸となって、産地の強化に取り組む必要があると考えます。
 そこで、TPPに対する農林漁業者の不安を払拭し、今後とも生産者が意欲を持って経営に取り組めるよう、県はどのように対応していくのか、知事の御所見をお伺いします。
 最後の質問に入ります。
 県は、本年8月、「守ります、まちと優良農地。」を発表しました。その経緯は、少子高齢化、市街地の空洞化等が進む中、国の将来に向けた都市計画の見直しの関係や和歌山市のコンパクトシティーの取り組みとの連携にあると聞いております。都市の機能の維持と優良農地の確保のために、適切な都市計画の運用と農地転用の厳格化をするということであります。
 今回の運用基準の厳格化で議論されているのが、農振法における農用地区域内農地からの除外の厳格化、農地法による転用許可の厳格化、また、それに関連する第1種農地の要件となる10ヘクタール以上の農地の道路等の分断要因に明確な基準がないこと等であります。
 現在、県内において市街化区域と市街化調整区域があるのは和歌山市の1市だけで、その和歌山市においても、本年8月、「コンパクトで便利なまちづくりに向けて!!~市街化調整区域の開発基準を見直します~」との発表を行い、開発基準の改正を示し、パブコメを実施、広く市民の意見を聞き、12月議会に上程するとの方針でありましたが、現時点で12月議会への上程には至っていないというのが実情であります。
 県の発表後、我々自民党県議団には多くの首長や住民の皆様から農地転用許可の運用見直しに対する反対の意見が寄せられており、県議団においても勉強会を何度も繰り返し行ってきた中、賛成の声は出ることがなく、反対の意見が大多数を占めました。
 こういった中、県内市町に今回の県内一律による農地転用許可の運用の厳格化に対する御意見を、自民党県議団として聞き取りを行ってまいりました。
 「中山間果樹地帯では、農地の集団化・規模拡大が必ずしも収益の増加につながらず、優良農地の捉え方に違いがある」、「旧中心市街地は、大部分が津波浸水地域にあり、都市計画用途地域内の宅地に逃げようにも、その適地は非常に少なく、また、津波浸水地域へ集約させるわけにもいかないとなれば大いに問題があり、ある程度の農地転用はやむを得ないので考慮してほしい」、「農地の担い手減少は、今後さらに加速するであろう。厳格化で転用を規制するとなると、利用されない耕作放棄地がさらに増大し、住環境への悪化が懸念される。また、今後も市街地周辺の土地需要として、農家住宅、津波浸水地域からの移転等、今後ますます住宅需要は伸びると見込まれる。今回の運用の厳格化は土地開発の規制にしかならず、財産権の制限となる懸念があり、適当ではない」、「分断要件を厳格化した場合、農地は守っても農家を守ることはできない。農村部でも、既に住宅化が広がり、農地との混在状態にあり、分断要因を厳格化しても、本来の整然とした優良な集団農地とはならない」、「農家の高齢化、後継者不足、厳しい農業経営で農地の担い手が減少している今日、条件不利地、不採算園地の整理等、経営の質を高める時期であり、農地は整理縮小の段階である。現実問題として、農地造成地等の優良農地でも継承が難しくなってきている場所もある」、「沿岸部と山間部の市町でも考え方が違うので、現時点で市町が一本化して動くことはできないが、県議会で市町の代弁者として本問題を提起してもらえるのはまことにありがたい。県に一石を投じてもらいたい」とおっしゃっている首長さんもいらっしゃいます。
 これら以外にも多くの意見が出ていますが、首長さん方の意見は、「県は、各市町によって事情が違うのだから、個々の市町の事情をもっと聞いた上で、県内一律にするのではなく、各市町ごとに柔軟な姿勢をもって考えてほしい」ということです。「市町の実情を聞いてくださいよ。その上で、基準を定めたらいいんじゃないですか」ということを言っています。
 例を挙げて恐縮ですが、もし和歌山市で条例改正案が上程され、それが否決された場合も、知事は、市街化調整区域における農地転用の厳格化の考え方を変えるつもりはないのでしょうか。
 農業にとって一番の問題は、農地の問題ではなく、農業所得と担い手不足の問題であり、大事なことは、日本や世界でも戦える高品質な果樹等の品種改良、安定生産や生産性向上のための研究を進め、農業をなりわいとできる産業に推し進める施策を行うことが若者の定住、後継者の確保、また所得向上につながっていくのではないでしょうか。
 農地のことを言うのであれば、圃場整備を推進していくことが重要であって、農転の運用を厳しくするのとは少し違うと思います。
 知事は、今まで市町がしてきたまちづくりを否定して、市町はまちづくりを考えていない、だから県が誘導していくというお考えなのでしょうか。
 今回の知事の今後のまちづくりの提案が全くだめと言っているのではありません。今後のまちづくりの方向を県が示し、各市町村長が各自治体の置かれている海岸部、山間部などの地理的条件、集落の点在状況、産業構造、人口規模等を考慮しながら進めていく、これこそが地方創生、地方自治の根幹であると思います。
 まちづくりと農業は密接に関連しています。そのまちづくりのビジョンは、各市町村、各自治体にあると考えます。市町村の職員は、農地のこと、まちづくりのこと、両方を担当している方が多くおり、住民の多くの声を直接聞いています。その人たちは、農転問題とまちづくりの両方の視点から、まちがどうすれば発展していくのか、住みやすいまちづくりは何かなど、首長さん方と一緒になって懸命に考え、努力しています。
 農地を守ることも、コンパクトなまちをつくることも両方重要で、密接に関連しています。やはり、自分のまちのことは自分が一番知っています。その中で、住民と役所がともに語り、未来のふるさとをどうしていくのかを考えていく、これこそが地方自治であります。
 最後に、何度も申し上げてきましたが、地方分権が進み、地方への権限移譲が叫ばれる今日において、県で一律に運用を厳格化することは、時代の逆行であると言わざるを得ません。今回の運用の見直しは、たとえ農地が守られることがあっても、農業を守ることはできません。
 私たち自民党県議団として、改めて農業の発展なくして和歌山県の発展なしという決意を申し上げ、今回の運用の見直しについては、各市町の状況をしっかりと聞いた上、各市町ごとの実情に沿った運用の見直しをしていただくように強く要請しながら、知事の御所見を伺います。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの岸本健君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 新政策についてお答え申し上げます。
 和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略に掲げた目標は、相当の覚悟を持って明示したものでございまして、達成することが大変厳しい目標であると認識しております。
 しかしながら、将来の和歌山県のために、その高い目標の達成に向けて避けては通れない課題に対する政策をしっかりと議論した上で、着実に実行していく必要があるわけであります。平成28年度は、その第一歩を踏み出す重要な年でございまして、総合戦略に掲げた5つの基本目標を柱として、強力かつ大胆な新政策を展開してまいりたいと考えております。
 5つのうちの1つ目でありますが、まず、「安定した雇用を創出する」ということにつきましては、県内企業の競争力のさらなる強化に加え、新産業の創出に向けて、志高い創業者や新事業展開を目指す企業の発掘、技術面、資金調達面でのサポート充実による県内開業率の引き上げを図るとともに、ICT企業の誘致や木質バイオマス発電の実現に向けた支援などに取り組んでまいりたいと考えております。
 農林水産業では、経営感覚にすぐれた担い手を育成することが重要でございます。そのため、林業分野も含めて農業大学校の教育課程の見直しを行うとともに、攻めの農業として、海外市場開拓に意欲的な産地主導の取り組みを徹底的にサポートしてまいりたいと考えております。
 観光振興では、世界遺産と水にまつわる観光資源を組み合わせた「水の国、わかやま。」キャンペーンを実施するとともに、世界遺産の追加登録や日本遺産の認定を目指すなど、引き続き本県の魅力発信に努めてまいります。
 次に2番目、「和歌山県への新しい『人の流れ』を創造する」につきましては、先般、県と労働局が連携し、暮らし、住まい、仕事の相談をワンストップで受ける全国初の取り組み、わかやま定住サポートセンターを開設したところであり、今後も移住・定住大作戦を一層推進いたします。
 また、就職指導にたけた人材を高校に派遣するなど、高校生の県内就職を促進するとともに、県立医科大学への薬学部新設や看護大学の誘致により、大学進学時の県外転出に歯どめをかけていきたいと思っております。
 加えて、県内企業の研究開発を担う優秀な人材を確保するため、理工系学生の県内就職を特に促進する取り組みを検討していきたいと思います。
 次に3番目、「少子化をくい止める」につきましては、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで、切れ目のない対策を引き続き実施していくとともに、第3子以降の保育や幼児教育の無料化を検討するなど、子育て世代の経済的負担のさらなる軽減を図りたいと思います。
 また、社会で子供を育む環境をつくるため、里親制度の啓発やリレー式の青少年の健全育成などにも取り組んでまいりたいと思います。
 4番目は「安全・安心な暮らしを実現する」でございますが、和歌山県国土強靱化計画に基づき、あらゆる自然災害から県民の命を守るための対策をソフト・ハードの両面で進めていきたいと思います。
 また、質の高い医療の充実に向けて、地域医療構想に基づいた病床再編や切れ目のない医療・介護サービスを提供する地域包括ケアシステムを構築するため、急性期から回復期への病床機能の転換等を促進するとともに、かかりつけ医の後方支援を行う病院の整備に取り組んでまいります。
 さらに、がん対策では、従来の取り組みに加えて市町村のがん検診の実施状況の評価・公表を検討するなど、がん検診の質の向上に取り組みたいと思います。
 5番目の「時代に合った地域をつくる」につきましては、県内の幹線道路ネットワークの強化として、命の道でありチャンスの道である紀伊半島一周高速道路などに引き続き取り組んでまいります。
 まちの再生では、農地転用の抑制により都市の拡散や空洞化に歯どめをかけるとともに、市町への総合的な都市計画見直し案の提案や既成市街地の再開発、中古住宅の利活用、廃墟の撤去と跡地の緑化推進などにより、コンパクトで快適なまちづくりに取り組んでまいります。
 学校教育の充実では、大きな課題である不登校に関して、今月4日に立ち上げた有識者会議の議論をもとに対策を推進いたします。
 また、児童生徒の学力向上のため、実践力のある教員が中堅・若手教員に授業ノウハウを伝授するなど、未来を支える子供たちの確かな学力を育んでまいりたいと思います。
 現在も施策の具体化に向けた検討を重ねているところでございまして、議員の皆様からの御意見も踏まえ、総合戦略の目標達成につながる新政策を打ち出してまいりたいと考えております。
 次に、財政運営につきましては、先ほど申し上げた新政策を着実に実施していくため、財政の健全性を確保していく必要がございます。そのために、平成24年3月に策定した新行財政改革推進プラン(改訂版)に基づきまして、限りある行政資源を効率的、効果的に配分するため、既存事業についてはマイナス5%のシーリングを実施するとともに、選択と集中及びスクラップ・アンド・ビルドの視点を徹底し、全ての事業について一層の見直しに取り組んでまいります。
 また、歳入面においては、引き続き県税の徴収確保の強化に努めるとともに、国の予算編成の動向等に留意し、さまざまな財源の確保策を講じてまいります。
 また、国に対しては、地方税財源の充実・確保とともに、県の財政運営に大きな影響を及ぼします地方交付税の総額の確保について、強く働きかけてまいりたいと思います。
 このように、来年度の新政策を着実に実行しながらも、行財政改革プランに基づき、財政の健全性を確保し、財政運営を行ってまいります。
 次に、国体における県民運動の継承でございますが、県民運動は、あいさつ運動や花いっぱい運動など、県民が主体になり、他府県から訪れた方々にとって和歌山がよき思い出の地となるよう、おもてなしの心を持って総参加で取り組んでまいったものでございます。
 これからの地域づくりについては、このような県民総参加での地域での活動が重要と考えております。あいさつ運動を通じ、子供たちへの規範意識の育成や、議員御指摘の地域見守り活動などにより、希薄化した地域コミュニティーを補うものとして、地域の安全・安心を回復させる大きな力となります。
 県としては、国体を契機として醸成されました県民運動の機運が継続して発展していくことができるように応援してまいりたいと思っております。
 きいちゃんでございますが、これは、これまで紀の国わかやま国体・大会のPR活動を初め、さまざまな活動に奮闘していただきました。子供からお年寄りまで幅広く県民に愛されるとともに、県外でも認知度が高まってまいりました。
 私は、国体が終わったからといって、県民の皆さんに愛されてるきいちゃんをお役御免にするということは到底できないと考えておりまして、進退というお話でございましたが、今後も県のマスコットとして存続させまして、和歌山をPRするキャラクターとして、県民の皆さんや企業の方々にもできる限り自由に御活用いただいて、さらに活躍してもらえるようにしてまいりたいと思っております。
 次に、TPPによる県内農林水産業への影響とその対応についてでございますが、TPPは、入ることによって悪影響をこうむる産業もありますし、入らなかったら逆にこのブロック経済から排除されて、不公平、不利益をこうむって輸出産業なんかがひどい目に遭って雇用が減っちゃうという問題もございます。したがって、両方大変なんですが、総合的に国がお考えになって、これは入ろうというふうにお決めになったからには、今度は悪影響の出る産業についてはちゃんとした手当てをするというのが正しいやり方だと考えております。
 和歌山県でもいろいろ考えておりますが、農林水産業に対する影響、これはやっぱり悪影響が大きいというふうに思います。特に本県はかんきつ産地のリーダーでございますんで、全国の先頭に立って行動する必要があると考えまして、先日、県選出の国会議員と農林水産省に対し、かんきつへのマイナスの影響をカバーするために、生産性の向上とか高品質化、あるいは輸出拡大等に向けて万全の対策を講じてほしいというような政策提案を実施してまいりました。
 県の取り組みとしては、農業戦略アクションプログラムpartⅡで農地、担い手、生産に関する具体的な行動計画とか数値目標を定めておりまして、農地の流動化や農業法人、新規就農者の育成、それから果樹産地の強化とか、施設園芸の拡大とか、競争力の強化を進めているところでございます。
 今後は、TPPにより外国産農林水産物との競争が激しくなるのに備え、引き続き国に対して必要な対策の実施を働きかけるとともに、国が打ち出す施策を積極的に活用しながら、温州ミカンの厳選出荷とか、あるいは樹園地の改良、米や畜産についても個性的な商品づくりを進めるなど、生産者、JA、県が一丸となってさらなる産地の強化を図ってまいりたいと思います。
 また、来年度の新政策では、議員御指摘のようにTPPを海外市場開拓のチャンスとして捉え、輸出促進に向けて生産、流通、販売での支援を強化するとともに、経営感覚にすぐれた農業者を育成するため、農業大学校にアグリビジネス学科を追加するなど、将来にわたり意欲ある農林漁業者が希望を持って経営に打ち込めるように、国際競争力のあるたくましい農林水産業の実現に努めてまいります。
 次に、農地転用の厳格化でございます。
 議員は、さまざまな方面から寄せられた心配とか懸念とか、あるいは要望に真摯に対応しておられます。我々にも、同じような意見が実は参っております。そういう意味で、議員の御配慮に深い敬意を表するものであります。それに応える意味で、少し丁寧に御答弁申し上げたいというふうに思っております。
 現在、これはもう皆さん考えておられると思いますが、市街地が徐々に拡大し、農地がどんどん転用されておりますが、一方では、既存の市街地が廃れて人通りが少なくなり、シャッター店舗や空き家が増加しているという状態でございます。これは、中心市街地と言われている昔からのところもそうでございますし、少し前に新しく開発されたところでも同じような状況が起こりつつあるということだと思います。これはどうしてこうなったかというと、都市を外側にうんと拡大したからだというふうに思います。
 和歌山市では、DIDという人口密集地の概念があるんですが、それが3倍になっております。さらに拡大しつつあります。本来は、これは都市計画法と農地法、農振法で規制がある。都市計画法では市街化区域と市街化調整区域を設けて、あんまり広がらないようにしなきゃいかんというふうなのが法の定めなんですが、運用はかなり緩やかにやってきたなというふうに思うわけです。
 一方、農地転用もかなり緩やかに運用して、どんどん転用が進んで、これによりますます外縁的に拡大中だというふうに思います。特に和歌山市では、都市計画法の緩和条例、例外をつくる緩和条例、これはもちろん合法ですが、これによってさらにこれが加速しているという状態だと思っております。
 こうした既成市街地の空洞化をほっときますと、まちににぎわいを取り戻せとか、あるいは市街地をもっと元気にせえと、これはなかなかできないということだと思います。
 第2に、不動産の価格が下がります。市民の資産価値が減少するということになります。これは、土地需要と供給ということを考えると自明であります。爪に火をともしておうちを買ったと。その買った不動産の価格が下がってしまったというと、これはせっかくためた貯金が減ってしまったようなもんでございまして、なかなか大変なことになりつつあります。
 次に、3番目に都市施設の整備費と維持費が増大いたしまして、市町村の財政が圧迫されることになります。都市施設というのは、これは市町村が提供しなきゃいけないということになってるわけですが、広いところで提供するのと狭いところで提供するのと、コストが全く違うわけです。したがって、これは将来考えておかないといけない。和歌山市は、下水道料金でもうちょっとで大変なことになるとこだったんですが、これをうんと上げまして、それで全国でも有数の高価格の下水道料金を我々は払ってるんですが、それで何とか今助かっている。この傾向を、やっぱりどっかでとめないといけないということだと思います。
 それから、公共交通の利用者が減って大変だ、経営が苦しいという話がありますが、散らばってしまったところで公共交通を発展させるというのはとても難しいということでございます。そうすると、ますます市町村からの補助金の負担があって、これは市民の負担になってまいります。
 それから、5番目に、車が運転できなくなったら、ちょっと広がり過ぎたら大変ということになるかなというふうに思うわけであります。
 さらに、6番目に、郊外部の宅地化の進行によって、農地がいわば虫食い状態になっております。一定規模のまとまりのある優良農地が失われつつあるというのが現状だというふうに思います。
 こうしたことを踏まえて、まず今後のまちづくりについて、議員御指摘のように市町村がそれぞれ考えていただいて、都市計画を適切に運用して、市街化をすべき区域と抑制すべき区域のゾーニングを行うことが必要だろうと思います。どこでもいいですよというんじゃなくて、そろそろ広がるのは抑制して、その抑制の仕方はそれぞれで考えようということではないかと。それだけだと余りおもしろくありませんので、既存の市街地、これを弱ってるところを再開発していくということが大変大事なことだと思います。
 ただ、この再開発をしようと思うと、どうしても、例えばそこに入ってくれる人というのがいないといけません。入ってくれる人が外に幾らでも出ていってもいいんだよということになると再開発もできないということになってしまうので、そういうためにもある程度抑制していかないといけないな。
 こういうことに対して、県では、市町村のまちづくりに対してマスタープランの作成とか、あるいは再開発の推進とか、それからゾーニングがきれいにできたところは都市計画道路、こういうものを肩がわりするとか、そういうことで助けていくべきかなというふうに思います。
 それから、農業のほうから見ても、これから農業のためには、これまで以上に経営感覚がすぐれた農家の育成を行って、意欲的な農家への農地の集約と活用が必要であると思います。そのためには、やっぱり優良農地を置いとかないといけない。したがって、農地の転用についてはこれまでよりも厳格に運用して、優良農地を守っていく必要があるんじゃないかと思った次第でございます。
 この際、ある市町村で厳しくいたします。そうすると、幾らでもいいんですよという隣の市町村にみんな需要が逃げてしまうということになるわけでございます。そうするとこれは不公平だということになりますので、したがって、各市町村が、やっぱり県と相談しながらみんなが協力しようよと言ってもらわないと困るなあと思うわけです。そのときに、都市計画法の権限は市町村のほうが強いんです。一方、農地の転用の権限は県のほうが割合多いんですね。したがって、とりあえず一般に、いわば一律に厳し目に運用するよということを原則としようと思っているわけです。
 しかしながら、議員御指摘のことは全く正しいわけでございまして、市街地の大部分が、例えば津波浸水地域に含まれ、高台にある農地に移らないといけないまちもあるかもしれない。そういうところとか、あるいは、既成市街地を再開発するためには新しい替え地が必要だというまちもあるかもしれない。あるいは、もう少しこのまちは発展したいんだというふうにまちの人たちが思っていて、もうちょっと拡大したいと思っておられるところもあるかもしれない。市町村ごとにそれぞれの課題があることはよく認識しているわけで、御指摘のとおりであります。
 こうした場合、まさに市町村がそれぞれの地域の実情に応じて都市計画のゾーニングをする必要があると考えておりまして、まさにそういう相談を市町村としたいと思っております。そういう場合には、都市計画法上のゾーニングをちゃんとやってくださった方には、県が今度は協力をして、例えばそのゾーニングの中でまちにすべきだと思うところについては農地転用は緩やかに運用していくという工夫をしなきゃいけないんじゃないかと、そんなふうに思います。ただし、ゾーニングなしにどこでもいいですよと、御自由にと言った瞬間に、今までのような状況がどんどんと再生産されていくんで、これはちょっとまずいなあということでございます。
 今申し上げましたような意味で、議員御指摘のように、市町村とよく相談をしながら実情に応じたまちづくりと農地の保全をしていかないといけない。地方分権は大事なんでございますが、皆さんが勝手にやると全体がむちゃくちゃになるときには、このように全体に網をかけるということも必要かなというふうに思います。
 その上で、農業について言われたことで論理的にどうかなというのがちょっとありますので申し上げますと、農地を守っても農家を守ることはできないとおっしゃいました。しかし、私は、農家を守るために、それももうかる農家を守るために農地を保全しないといかんと思ってるわけでございます。農地を転用して宅地などにしてしまって売ってしまった人は、これは農家とは言えない。言葉の定義です。それから、農業だけとっても、農地面積が広過ぎて過剰生産ということなら、農地をやっぱりどんどん狭めて、農地転用を進めて農地を少なくするというのが正しい政策だと思うんですが、どうもそんなことは誰もおっしゃっていないと思います。
 現に、営農農家は実は収入がふえてるんでございまして、ここはやっぱり営農農家に集約化を図って農業を振興してみようと、そういうことにかけてみようというふうに考えて、農業政策を大いにやろうと思っているわけでございます。
 それから、圃場整備を推進することのほうが大事というお話がありましたが、圃場整備を推進することは大事なんですが、虫食いになった農地では、圃場整備することはまあ多分できないということではないかというふうに思うわけです。
 ただし、今申し上げてまいりましたが、こういう政策をやるとお気の毒だと思ってることも実はあるんです。というのは、近々農業をやめて、それで自分の持っている農地を転用して宅地にして、それを高く売ってもうけようという方は、もうけの道を閉ざすということに、これは本当になってしまいます。もうけをするということは別に悪いことではなくて、できればこういう方々の利益もお守りしたいと私は思いますが、ただ、この方々の利益を全部守ってしまうと圧倒的に多数の方々の利益を失わせることになり、郷土の発展ができないなあということで、まちのにぎわいももうかる農業も夢のまた夢となるわけでございます。
 地価がえらく高くて、それで人口もふえているときは、これまでの政策でよかったというふうに思います。ただ、今後このメカニズムをわかっていてもっとやるというのは、やっぱりちょっといろいろ考えなきゃいけないことがあるんじゃないかなあということで、今そういう提案をさしていただいてる次第でございます。
 長々と御説明申し上げて済みませんでございました。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 観光客の増加を見据えた県の対応策についてお答えします。
 外国人観光客の誘致につきましては、東アジア、東南アジアの皆様には、四季の自然、温泉、食などを魅力として発信し、また、日本の歴史や精神文化に強い関心を持つ欧米豪の皆様には、世界遺産「高野山・熊野」の魅力を積極的に情報発信するなど、ターゲットとする各国、地域の嗜好を捉えたプロモーションを実施してきたところです。特に、今年度は、個人旅行化の流れを踏まえ、一般消費者への和歌山への露出を高めるため、映像、ウエブサイト及び雑誌等のメディアを有効に組み合わせた情報発信を重点的に行っております。
 また、本県を訪れる外国人観光客の皆様が個人旅行でも安心して楽しく周遊していただけるよう、多言語案内表示の充実や免税店の拡充等に努めてまいりました。とりわけ、今年度は、かねてから外国人観光客等から強く要望されておりましたWi-Fi環境の整備について、和歌山フリーWi-Fi大作戦として重点的に取り組んでおります。
 紀三井寺公園陸上競技場や和歌山ビッグホエールなど12の県有施設でWi-Fiを整備し、運用を開始する一方、市町村の施設やホテル、旅館や飲食店等の民間の観光関係施設等においても、新たに創設した補助制度を活用して整備されたWi-Fiの運用が順次スタートしており、現在500カ所以上のアクセスポイントが整備済み、または整備中となっているところです。
 加えて、議員御指摘のとおり、県内の道路網の整備が進んだことにより、観光客の皆様の利便性が大きく向上し、観光動態にもよい影響が生じております。地元観光関係者からは、例えばレンタカーで周遊する外国人観光客に出会う機会が多くなったとの声をいただくほか、日本人観光客についても、高速道路の延伸等により、大阪からのお客様が白浜を越えて勝浦までお越しいただけるようになったとの声や、また、名古屋からのお客様が勝浦を越えて白浜までお越しいただけるようになったとの声が寄せられているところです。
 今後も引き続き、対象市場ごとに嗜好を踏まえた効果的なプロモーションに取り組むとともに、多言語案内表示やWi-Fi環境の充実を初めとする受け入れ環境整備に取り組み、さらなる観光客の誘致を図ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
 時間がございませんので、教育長、早口で済みません。スピーディーによろしくお願いします。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 体力と学力の関係でございますが、体力は人間のあらゆる活動の源であり、健康な生活を営む上で大変重要であります。一般的には、体を動かすことにより健康的で生活習慣が身につきやすく、学習全般において粘り強く取り組めたり、運動が脳を活性化し、学習意欲を高めたりするなど、運動が学習に効果があると考えられております。また、全国体力調査及び全国学力調査結果においても、生活習慣の改善と体力・学力には因果関係があるとされています。
 本県の児童生徒の体力状況につきましては、小学生に運動習慣をつけさせることを目指したきのくにチャレンジランキングや、女子の運動離れに歯どめをかけるため制作した紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスの全校実施等により、近年、小学生、中学生の男女ともに、全国体力調査においても成果が上がってきているところでございます。
 今後も引き続きこれらの取り組みを実施することで、体力の向上とともに学力の向上に努めてまいります。
 次に、ゴールデンキッズ発掘プロジェクトについてでございますが、本県から世界で活躍する競技者を輩出することは、県民に夢と感動を与え、元気な和歌山の実現に向けて大変重要だと考えてございます。
 平成18年度からスタートした本プロジェクトは、県内のすぐれた素質を有する子供たちを早期に見出し、関係団体と連携協力を図りながら育成を図っています。
 紀の国わかやま国体には、ゴールデンキッズの1期生から4期生までの23名が出場し、優勝者3名を含む13名が入賞を果たすなど、すばらしい活躍を見せてくれました。また、修了生の中には、レスリングの年代別世界選手権を初め、国際大会に8名が出場し、世界の舞台で活躍してございます。
 これからも、国際大会や国体で活躍する競技者を育成するため、日本オリンピック委員会や日本スポーツ振興センター等、中央の関係機関や競技団体との連携による指導者の派遣など、ゴールデンキッズの育成プログラムの内容をさらに充実させてまいります。
 今後とも、修了生たちが競技者として活躍し、そして、将来、指導者として次世代のすぐれた競技者を育てるという好循環を生み出すことで本県の競技力向上を図っていきたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、岸本健君の質問が終了いたしました。(拍手)
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
○川畑哲哉君 皆さん、おはようございます。私、川畑哲哉と申します。この伝統と格式ある和歌山県議会へ送っていただきましたふるさと岩出市の皆様並びに応援していただきました全ての皆様に、心より感謝申し上げます。
 また、議員の諸先輩方にも、日ごろより温かく、時に厳しく御指導いただき、本日の登壇の機会を与えていただきましたことに深く感謝申し上げます。和歌山県勢発展のために、全力で取り組んでまいります。本日は新人らしく理想を求めて質問させていただきたいと思いますので、仁坂知事初め当局の皆様には、誠意ある御答弁をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長よりお許しをいただきましたので、私の人生初の一般質問へと入らせていただきます。
 2015年という年は、戦後70年となる意義深い年であります。そんな意義深い年の12月8日という意義深い日に登壇させていただき、万感胸に去来するものがあります。
 国政におきましては、平和安全法制の制定につき、賛否入り乱れての大激論が交わされ、先月のパリにおきましては、史上まれに見る凄惨なテロ事件が発生しました。また、夏にはタイでも観光地のど真ん中で爆発事件が発生するなど、まさに平和と安全について深く考えさせられる年となりました。
 そんな2015年もいよいよ12月となりましたが、1年を振り返りまして、仁坂吉伸知事に、県民の平和と安全を守るということにつき、どのような御所感をお持ちか、お伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 幾多のとうとい命が失われましたさきの大戦の終結から70年の節目に当たる本年、多くの県民、国民の皆様が万感胸に迫る思いをされたことと思っております。今日、私たちが享受している平和と繁栄は、苛烈な戦争により心ならずも命を落とされた多くの方々のとうとい犠牲の上にあることを、決して忘れてはならないと強く思っております。
 県は、以前から県主催の戦没者追悼式を行っておりましたが、その後、宗教的儀式に当たるのではないかなどという議論が出て、そういうことへの配慮から中止をしていたわけでございます。その後は、遺族会が中心になって戦没者の追悼をそれぞれの立場で行ってこられたところでございますけれども、それでは申しわけないというふうに思いまして、さきに述べたような理由で申しわけないと思いまして、県では、平成25年度から宗教色はなくして、戦没者追悼式を和歌山市内で、沖縄や南方諸地域で亡くなられた県出身の方々の追悼式を沖縄県内で主催することにいたしました。戦争の犠牲になられた方々のみたまにこうべを垂れ、心から悼むとともに平和を祈念することは極めて大切であるというふうに思っておりまして、県民の皆様にも広く参加を呼びかけているところでございます。
 我が国が戦後70年の長きにわたり平和と繁栄を享受することができたのは、平和主義をうたった現憲法や日米安全保障条約を初めとする外交的立ち位置も大いに効果を発揮したと考えておりますが、何よりも、戦争の焼け跡から立ち上がり、心から平和を希求し続けてきた国民の不断の取り組みがあったからこそであると思っております。
 本年9月には、集団的自衛権の限定行使容認や後方支援の拡大を含む平和安全保障法制が整備されました。さまざまな意見がありましたが、いずれの意見も、戦争をしないようにするにはどうしたらいいかということではなかったかなというふうに思っております。
 しかし、現状を見ると、自衛権とか抑止力とか、あるいは防衛力とか戦略を語るというようなことについては軍国主義であって忌まわしいことだと、法は、例の法律は戦争法だと言ってレッテル張りをしている人がまだまだいっぱいいるということは、嘆かわしいことだというふうに思っております。
 幸い──戦争の時代を生き抜いてこられた世代の方は随分少なくなってきておりますが、二度と戦争の惨禍を繰り返さぬように、その悲惨さ、平和のとうとさを後世に伝え、恒久平和の実現に努めることが現代を生きる私たちの責務であると思っております。そのためにどういうふうにしたら一番効果的かということを考えるのが国民の責務だと思います。
 私は、戦後70年の節目に当たり、先人が懸命に築いてこられた郷土和歌山を、県民の誰もが将来に夢と希望の持てるすばらしいふるさとにしていかなければならないと、戦没者慰霊祭などでも、いつも決意を新たにしてるところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 知事より力強い御所感をいただきました。私も、議員の立場から精いっぱい努めてまいりたいと思います。
 次の質問に入らせていただきます。
 フィリピンはルソン島バターン半島にあるサマット山の中腹には、95メートルの十字架が建設されています。首都マニラからおよそ100キロメートルのこの地は、第2次世界大戦中、日本軍とアメリカ・フィリピン連合軍とが激戦を繰り広げた地であり、私の父方の祖父が戦死をした地でもあります。この十字架の横棒の部分は展望室となっていまして、当時の激戦の様子が壁面一体に描かれています。その麓にある戦没者慰霊館を訪れ、日本、アメリカ、フィリピン各国のみたまに祈りをささげたのが2007年のことでした。
 昨年には靖国神社を参拝し、遊就館を訪れました。そして、先月、沖縄を諸先輩方と訪問し、今、知事からも御答弁いただきましたが、紀乃国之塔にて催行されました和歌山県出身沖縄並びに南方諸地域戦没者追悼式に参列をさせていただきました。
 私の父は、自分の父の顔を知りません。もちろん、私も祖父の顔は知りません。母1人子1人で育った父は随分苦労したと思いますが、私はその苦労を知りません。ただ、これらの地を訪問して祈りをささげるたびに、祖父の霊に触れたような気がします。そして、現代の繁栄に感謝し、不戦の誓いを新たにするのです。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 私たちの子や孫、優秀なる地元人から世界を渡る企業戦士まで、自分たちのルーツに誇りと気概を持って活躍していただくためにも、先人たちのとうとい意志や恒久平和を願う気持ちを若い世代にも丁寧に伝えていくことが大切だと私は考えていますが、平和学習について本県の取り組みと今後の方針をお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 平和学習につきましては、教育基本法に「国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」とあり、平和について学び考える教育は極めて重要であると考えてございます。
 各学校においては、学習指導要領に基づいて、児童生徒の発達の段階に応じて教科等において平和に関する教育が行われてございます。例えば中学校社会科では、日本国憲法の平和主義について理解を深め、我が国の安全と防衛及び国際貢献について考えさせることや、戦争を防止し、世界平和を確立するための熱意と協力の態度を育てることなどについて指導することとしてございます。
 また、平和に関する映画や朗読劇の鑑賞をしたり、修学旅行や地域で戦争を体験された方々から話を聞いたりするなどの取り組みを行っている学校もございます。戦争体験者の方々の高齢化が進み、このような学習の実施が困難となることが予想される中、今後、さまざまな工夫をしながら、児童生徒が平和のとうとさなどについて学べるよう、平和に関する学習の充実を図ってまいりたいと思ってございます。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 歴史的事実を正しく認識することが重要であり、何ら否定することも卑下することも必要ないと私も考えています。若い世代が自分たちのルーツに誇りと気概を持って活躍していただけるように、我が国や本県の歴史を風化させないよう、あらゆる御努力を今後も続けていただきますよう要望申し上げます。
 それでは、次の質問へと入らせていただきます。
 我が日本の母国語であります日本語についてお尋ねいたします。
 日本語は、平仮名、片仮名、漢字をもとに、四字熟語や慣用表現、ことわざを巧みに組み合わせた文章構成を可能とする非常に表現方法の豊かな言語であります。それだけに習熟が困難な反面、美しく使いこなすことで、その人をより魅力的に見せます。
 字句の1字1字に意味があることも特徴です。例えば、「都」という字には全てという意味があり、「京の都」と書くだけで、京には全てのものがそろっているというイメージが膨らみます。
 四字熟語の場合は、4つの字を並べるだけで世界観が飛躍的に広がります。とある採用試験の面接で、試験官から今の心境を尋ねられた受験者が「四面楚歌」と答えたり、採用試験の合格を目指して必死に努力してきた心境を「臥薪嘗胆」と答えたり、文字数の何倍もの世界を表現することができます。
 また、「根掘り葉掘り」という言葉があります。根は掘っても葉は掘りませんが、言葉一団となってなす動作のイメージから、根元から枝葉に至るまで残らずという意味になります。
 さらに、「うんともすんとも」という言葉もあります。「うん」には肯定の意味がありますが、「すん」に意味はなく、「うん」に語呂を合わせたものです。
 これらの伝統的な日本語だけでなく、今日では略語や造語も活躍しています。
 「KY」が、空気を読まない、空気を読めないの意味であることは広く知られてきましたが、先日、テレビで取り上げられていたはやりの言葉に「クリぼっち」という言葉があります。これは、クリスマスにひとりぼっちの意味であるとのことです。
 時代に応じて人々の生活も変わり、生活が変われば考え方や言葉も変わるものですが、何事も根本をきちんと理解することが重要であると私は考えています。
 現在、日本は、冷戦の終結以来四半世紀を経て、今後30年から40年を形づくる新しい時代の入り口に立っていると言われています。自由民主党国家戦略本部による「2030年の日本」検討・対策プロジェクト中間報告では、2020年代には多言語翻訳機が実用化し普及すると書かれています。この多言語翻訳機は、2020年代で10カ国語の日常会話が可能となり、2030年代には27カ国語の同時翻訳が可能になるとも言われています。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 急激に進むグローバリゼーションの中で多言語翻訳機が普及することで、いわゆる言語の壁をクリアすることが可能となりますが、反面、いかに母国語を美しく使いこなせるかということが重要になってくると考えています。言語の教育としての国語教育の一層の充実を図るために実施されている本県の取り組みと今後の方針をお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 言葉遣いや語彙、文章をつくる力を初め、言葉の乱れや誤った使い方など、子供たちの言葉の力をめぐってはさまざまな問題点が指摘されてございます。
 国語科においては、一人一人の子供が言語の主体的な使い手として適切に表現したり、正確に理解する力を育成することを目的としています。例えば、報告文や手紙などを書く活動、インタビューやスピーチなどの話す活動、短歌や俳句、古文や漢文などを読む活動などを通して、言葉の決まりや語彙、表記など、正しい言語の使い方が子供たちに身につくよう、授業を工夫して取り組んでございます。
 また、指導する教師の力量の向上はもちろんのこと、言葉遣いなどの言葉に対する意識を高めることについても、学校訪問などを通して指導していきたいと考えてございます。
 今後とも、国語科における指導はもとより、学校における教育活動全体を通しまして、これからの国際社会を生きる子供たちが正しい日本語の力を身につけるよう努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 前向きな御答弁、ありがとうございました。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 ことし5月、千葉市の熊谷俊人市長が、ツイッターで「『障害者』とは『社会の障害』でも『身体に障害を持つ者』でも無く、『社会との関わりの中で障害に直面している者』という意味であり、私たちはその障害を一つひとつ解消していくことが求められている、と理解しています」とつぶやかれ、「障害者」の表記を平仮名まじりで表記することに反対の意を示され、議論を呼び、話題となりました。
 また、以前には、乙武洋匡氏が、「『障がい者』と平仮名まじり表記するメディアの方々、またそれに違和感を持たない方へ質問です。なぜ、障害の『害』はNGで、障害の『障』はOKなのですか?『障』だって、『差し障り』というマイナス要素を含む漢字だと思うのですが…」とつぶやかれています。
 同様の議論に、「子供」の表記があります。子供の「供」が漢字なのか平仮名なのか。
 そこで、まず教育長にお尋ねいたします。
 このような議論に対しまして教育の立場からどのような御所見をお持ちでしょうか、お聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) さまざまな議論があることにつきましては承知してございますが、「障害」の表記につきましては、文部科学省において、障害者基本法を初めとする法令等の表記に準じて現状の漢字の「障害」を用いており、定着してございます。教育委員会では、これまでどおり、当面これに準じた対応を行ってまいりたいと考えてございます。
 「子供」の表記につきましては、文部科学省において、常用漢字表にのっとり基本的に漢字で表記していることを踏まえ、原則、公文書はこれに準じた対応を行ってまいりたいと考えてございます。その上で、「子供」の表記については、国の機関におきましてもさまざまな表記が存在しており、また、日本語には表現の豊かさもあることから、目的や対象等に応じて平仮名を用いる使い方もあるものと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 続きまして、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 私も熊谷市長と同じく、表記の仕方ではなくて、障害者の障害を解消していく施策や子供の人権、人格を守る施策の内容がいかにあるべきということの議論が重要であると考えています。時間を施策の内容を議論するために費やすべきという観点から、表記の仕方については統一を図り、表記の仕方についての議論には幕をおろすべき時期に来ていると考えていますが、「障害者」、「子供」の表記について、本県の使用基準をお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 「障害」の表記につきましては、昭和24年の身体障害者福祉法の制定を機に一般的に使用されておりますが、「害」という漢字が持つ負のイメージから、近年、平仮名表記に改める自治体や事業所等があらわれてきております。
 本県におきましても、平成19年度に表記の変更について関係機関や団体等に意見をお伺いし、検討を行っております。その結果、変更に賛成の意見は少数であり、「害」のみではなく「障」にも「さわり」という意味があり障害そのものの表記を見直すべきという意見や、表記にはこだわらず、啓発の充実が大事である等の意見が寄せられたところです。
 このようなさまざまな意見がある状況ですので、現行どおりの漢字を使用することとしております。
 なお、国におきましては、法令等における「障害」の表記について、当面、現状の漢字の「障害」を用いることとしておりますが、表記については今後も継続的に検討されると伺っており、その動向等を注視してまいりたいと考えております。
 一方、「子供」の表記につきましては、「子」が漢字、「ども」が平仮名の子ども・子育て支援法や就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に規定する平仮名表記の認定こども園など、既にある名称で平仮名が使用されているものは、法律等の規定に基づき、継続して使用することとなります。
 また、平仮名によるやわらかい印象の表記がふさわしいと判断される場合には、平仮名を使用することとなります。
 しかし、通常使用する言葉としての「子供」の表記につきましては、文部科学省が漢字2字表記の「子供」に統一しており、特に事情のない限り、漢字2字表記の「子供」を使用してまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 それでは、次に紀の川流域の観光振興についてお尋ねいたします。
 豊かな水に恵まれた紀の川流域は、古代より人が集まり、すぐれた歴史、文化を形成してきました。歴史的、文化的な資産はもちろん、ロマンやドラマの宝庫でもあります。先人たちが築いた礎をもって私たちの豊かな生活が成り立っていることを思いますと、私たちは、それらを正しく理解し、活用し、そして次の世代へと受け継いでいく責任を担っています。
 歴史は私たちに知恵を与えてくれますし、文化は私たちに器量をもたらしてくれます。また、ロマンは私たちを感動させ、ドラマは私たちを高揚させます。いずれも私たちの生活をより豊かにする要素であり、現代社会におきまして、もはや必要不可欠な要素となっています。その基幹となるのは文化財であると私は考えています。
 本県におきましても、文化財の保存と活用は以前より精力的に取り組まれてきました。平成24年2月定例会で山本茂博議員が御指摘された緑の歴史回廊事業や、平成15年に始まりました旧県会議事堂保存活用事業、特別史跡岩橋千塚古墳群保存整備事業を核とした紀の川緑の歴史回廊事業などです。
 文化財をうまく活用し、発信することで、地域活性化はもちろん、人材育成や文化レベルの向上、ひいては県勢発展へとつながっていきます。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 紀の川流域にある数多くの文化財の価値を高め、さらなる活用を推進し発信していく取り組みと、今後の方針をお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 文化財は、歴史や文化を理解する上で欠くことのできない貴重な財産でございます。文化財を適切に保存し活用することは、これらを次の世代へ確実に継承していくためにも、また、県民の文化的向上という観点からも重要であると考えてございます。
 紀の川流域には、県が整備を行ってきた特別史跡岩橋千塚古墳群を初め、古代の紀伊国分寺跡、中世に大きな勢力を誇った根来寺、世界遺産の丹生都比売神社や金剛峯寺など、多くの貴重な文化財が残されてございます。
 また、明治31年に完成した旧和歌山県会議事堂は、木造和風の県会議事堂としては我が国で最も古い建造物であり、県政史にとって重要な文化財であることから、岩出市で移築工事を行ってまいりました。
 この旧県会議事堂の整備を機に、文化財をエリアやテーマごとに紹介している県教育委員会のホームページをより充実させ、文化財の価値や魅力をわかりやすく発信してまいります。
 近年、歴史や文化への関心の高まりとともに、文化財を観光や地域振興の資源として生かす取り組みが進められてございます。今後も、本来の文化財的価値に加え、これらの視点も踏まえて、文化財の保存や活用により一層努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 前向きな力強い御答弁、ありがとうございました。
 ただいまお話にもございました旧県会議事堂「一乗閣」についてお尋ねいたします。
 和歌山県の近代史と県政史の象徴として、明治31年(1898年)、和歌山市一番丁に建築された旧和歌山県議会議事堂は、昭和13年(1938年)、県庁舎の和歌山市小松原通への移転を機にJR和歌山駅前に移築され、その後、昭和37年(1962年)には、現在の岩出市となります旧那賀郡岩出町の根来寺境内への2度目の移築を経て、根来寺の山号にちなみ「一乗閣」と呼ばれ、今日に至っています。
 また、2016年が没後100年となり、2017年が生誕150年となる夏目漱石先生が、明治44年に「現代日本の開化」と題した御講演をされた場所でもあります。
 平成15年より、緑のサポーター募金として、当時の尾崎要二和歌山県議会議長を筆頭に、和歌山県内の著名な行財界人が発起人に名を連ねられた募金運動も大きく展開されました。亡くなられました川口文章先生が平成20年9月定例会にて、また山本茂博議員も平成24年2月定例会にて、御質問されています。
 この旧県会議事堂修復保存活用事業に関しましては、県当局の多大なる御理解、御尽力と岩出市の熱意あふれる御協力により、いよいよ完成が近づいてまいりました。
 そこで、企画部長にお尋ねいたします。
 紀の川流域の一大文化資産であり、また観光振興の重要拠点となるこの旧県会議事堂「一乗閣」の開館に向けて本県としてはどのように取り組まれているでしょうか、お聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 旧県会議事堂につきましては、これまで岩出市と連絡調整を密に図りながら、建物の復元に加え、開館後の利活用がしやすいよう設備を整えているところであり、来年3月に完成、4月に開館する予定でございます。
 また、岩出市では根来地域の魅力を発信する施設として旧県会議事堂の隣接地に資料展示館をオープンすることとなっており、これらの施設が相乗して活用されるよう、合同で開館セレモニーを行うことも検討しているところでございます。
 県では、旧県会議事堂が県議会の軌跡を後世に伝える施設として、またこれら施設が一体となって地域の魅力を発信する観光の拠点として活用されるよう、岩出市と連携しながら開館に向け取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 すばらしい施設の開館を多くの皆様が楽しみにされています。引き続きの御尽力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、具体的な観光振興施策についてお尋ねいたします。
 文化財には、文化的な利活用だけでなく、重要なる観光資源という価値を認めることができます。星野リゾートの星野佳路社長も、とあるセミナーの中でおっしゃっていましたが、1年を通じて観光産業で売っていくための資源は季節に左右されない歴史であり文化であると私も考えています。
 本県におきましては、昨年の和歌山デスティネーションキャンペーンから、本年の高野山開創1200年祭及び国体開催、さらに来年はNHK大河ドラマ「真田丸」上映と、右肩上がりの集客機運にあります。また、関西国際空港はいよいよ成田空港を抜いてアジアからの集客全国一となりましたことも、さらなる追い風となります。
 私の地元岩出市が誇る根来寺は、最盛期となる室町時代末期には一大宗教都市として栄え、その寺域は南大阪にまで及びました。結果、今でも泉南市やその周辺地域とは交流が活発で、生活文化や言葉にも近しいものを感じます。何より、古代より泉州と紀州とを結んできた根来街道及び沿道を利活用した根来街道グリーンツーリズムの活発化により、関西国際空港を経由地として、県外、国外から本県へのますますの集客が期待される今こそ、紀の川と根来街道との交差点となる根来寺及び旧県会議事堂「一乗閣」を拠点とした、新たな観光振興施策を繰り出す絶好の機会であると考えています。
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 本県の県勢発展のため、紀の川流域の歴史的及び文化的資産を活用した観光振興施策について、現在の取り組みと今後の方針をお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 本県には、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録資産を初め、多くの歴史的、文化的資産があります。こうした資産は、観光資源として訪問の目的となるばかりでなく、シーズンを問わない観光資源であることから、本県の観光振興において果たす役割は大きいと認識しております。特に高野山を含む紀の川流域エリアは、こうした資産の宝庫であり、同地域の観光振興施策の中核をなす要素であります。
 現在、県においては、紀の川流域エリアにおける広域観光振興の柱として、金剛峯寺、丹生都比売神社、根来寺、紀州東照宮など、主要12社寺、関係市町村、JR西日本、南海電鉄などと連携した和歌山・紀北キャンペーンを平成24年度から実施しており、歴史的、文化的資産や特別企画を中心に据えた誘客施策を展開し、多くのお客様に来訪いただき、リピーター化につなげております。
 今後とも、同キャンペーンにおける取り組みを継続、発展させることで、より多くのお客様の訪問と地域での消費促進を図ってまいります。
 また、来年度は、清流、滝、温泉など、水にまつわる観光資源と世界遺産ブランドを絡ませた「水の国、わかやま。」キャンペーンの実施を予定しており、こうした中での展開も考えてまいります。
 加えて、議員御指摘の旧県会議事堂につきましては、来年4月から公開が予定されており、岩出市と連携して、根来寺などの周辺の資産や観光スポットとあわせた面的な情報発信を行ってまいりたいと考えております。
 また、紀の川流域エリアの文化財やモデルコースなど、県観光情報サイトにおいても情報発信し、歴史的、文化的資産を目的としたお客様の訪問につなげてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 前向きな御答弁、大変心強い限りです。私たちも精いっぱい取り組んでまいりますことをお誓い申し上げます。
 仁坂知事初め県当局の皆様方の誠意ある御答弁に心より感謝申し上げまして、私の人生初の一般質問を終了させていただきます。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時38分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕(拍手)
○中本浩精君 皆さん、こんにちは。
 お昼一番、登壇さしていただきました中本浩精です。本日、一般質問の機会を与えていただきましたこと、まことにありがとうございます。
 私は、常日ごろから何をするにしてもやる気が一番大切だと思っております。きょうの一般質問、やる気を持って、元気よく一般質問さしていただきますので、やる気のある前向きな御答弁いただけたらありがたく思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 このたび、大きく3項目、質問さしていただきます。
 まず、1項目め、教育の現状と課題について。
 小項目1、和歌山の子供の学力課題について御質問いたします。
 小学6年生と中学3年生を対象に実施し、国語、算数・数学、理科の学力を見る全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストの今年度の結果によると、県の平均正答率は、小学校の算数Aで全国平均をわずかに上回ったものの、他の教科はいずれも下回っています。全国順位は、各科目とも昨年度から同じか上昇していますが、小学校の理科、中学校の国語、理科は全国40位以下であり、学校での取り組みにはまだまだの感があります。
 また、アンケート調査で、「学校の授業の復習をしていますか」の問いに対し、「している」、「どちらかといえばしている」と答えたのは、小学生で全国平均54.5%に対し県が50.9%、中学生では全国平均52%に対し県40.6%で、全国平均と大きな差があります。
 一方、「平日にテレビゲームを2時間以上する」と答えた中学生は、全国平均36.3%に対し42.3%、「平日にスマートフォン、携帯電話で通話、メール、インターネットを2時間以上する」と答えた中学生は、全国平均31.3%に対し35.7%と、ゲームやメールを長時間する生徒が全国平均より多くなっています。全国の子供たちに比べてテレビゲームや携帯電話に依存した生活がかいま見られます。
 このような傾向は、平成19年に調査が開始されて以来続いており、昨年度よりは幾分改善は見られますが、目指す目標までの道のりはまだまだ遠いという状況ではないでしょうか。子供たちは、ふるさと和歌山の財産であり、郷土の未来を担う人材です。こればかりは、「5年後、10年後に学力回復を目指します」では困ります。
 そこで、県ではどのように改善を進めているのか、教育長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) ただいまの中本浩精君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 子供たちが和歌山で学び、元気な和歌山の未来を切り開く人として成長するためにも、確かな学力を定着させることは私どもの責務でございます。
 本県では、全国学力・学習状況調査の結果を踏まえて策定した和歌山県学力向上対策中期計画の中で、具体的な学力向上対策を整理し、現在、2カ年計画で結果の見える学力向上の取り組みを進めているところでございます。その中では、家庭学習の課題克服に向け、「家庭学習の手引き」の積極的な活用も示しており、主体的に学習する力を向上できるよう努めております。
 各学校では、数値目標や具体的な手だてを盛り込んだ学力向上推進プランを策定し、それに基づき、学力向上対策に取り組んでおります。また、学力の向上を図るためには取り組みの成果を検証することが大切であり、本日、県内小中学校で、学習がどの程度定着できているかを確認する和歌山県学習到達度調査を実施してございます。これに基づいて課題を抽出し、これに対応したきめ細かな指導を行い、学力定着をさらに図ってまいります。
 今年度については、全国学力・学習状況調査において課題のある中学校国語科の学力向上に焦点を当て、授業担当者研修やきのくに教育賞受賞者を講師とした授業づくり講座を行うなど、教員の授業力向上のための新たな取り組みを進めているところでございます。
 今後も、確かな学力を充実させていくとともに、健やかな体、思いやりの心や感謝の心を育むこと、いわゆる知・徳・体を基盤としたこれからの時代をたくましく生き抜く人間としての総合力を育成してまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 続きまして、小項目2、学校内暴力についてお尋ねいたします。
 文部科学省で実施した平成26年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査によると、学校内外における暴力行為の件数は、小学校で、児童生徒1000人当たり全国で1.7件、県の場合──こちらは公立学校の数字ですが──1.0件、また中学校では、全国10.1件に対し県は16.1件、高校では、全国2.0件、県が4.0件と大きく上回っています。
 全国の発生件数には減少傾向が見られますが、本県において、小学校と高等学校では減少傾向にはなく、中学校はここ3年間減少したものの、高い数字には変わりありません。各学校においても、地道な取り組みを行っているところでございますが、十分な成果を上げているとは言えません。
 担任教師が重要な役割を果たすのはもちろんですが、特定の教師だけに負担をかけるのではなく、担任教師を支える人員の強化など、チーム力でもって取り組んでいただきたい。もちろん、そのチームには家庭も入ります。
 そこで、県における学校と家庭との連携の工夫やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の活用状況について教育長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校における暴力行為の背景には、児童生徒を取り巻く家庭、学校、社会環境の変化に伴う多様な問題があるものと考えられ、担任の教員1人で問題を抱え込むことなく、組織的に対応することが重要だと認識してございます。
 各学校においては、教職員が子供の出す小さなサインを見逃さず、生徒指導部会などの校内組織を機能させながら、チームとしてその未然防止や早期発見、早期対応に努めてございます。
 また、さまざまな課題を抱えている児童生徒に対しては、まずは教職員が真摯に向き合うとともに、ケースに応じて児童生徒及び保護者に対するカウンセリングを行うスクールカウンセラーや、学校と家庭、地域とをつなぐ福祉の専門家として悩みや問題の解決に向けた支援を行うスクールソーシャルワーカーなどの専門性を持った外部人材を有効に活用し、学校と家庭、警察等、関係機関が緊密に連携を図りながら問題の解決に組織的に取り組んでいることが大切であると考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 続きまして、小項目3、道徳教育についてお尋ねいたします。
 暴力行為を起こす児童生徒の傾向としては、感情を抑えられず、考えや気持ちを言葉でうまく伝えたり、人の話を聞いたりする力が定着していないことなどが挙げられます。
 また、同じ児童生徒が暴力行為を繰り返す傾向などが指摘されています。その背景には、児童生徒を取り巻く家庭や社会環境の変化に伴う規範意識や倫理観の低下、人間関係の希薄化などが挙げられています。
 こういった状況に対応するためには、豊かな人間性を育む心の教育の着実な推進が、今、求められています。学校における心の教育の中心は道徳教育だと思います。そのため、道徳教育をさらに充実させていくことが大切であると考えています。
 平成30年度からは小学校で、31年度からは中学校で、教科書を手に「特別の教科 道徳」の学習が開始されると聞いております。
 そこで、本県における道徳教育の充実方策について、教育長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 暴力行為等の問題を解決していくための手だての1つとして、児童生徒に、人として守るべき倫理観をしっかりと育て、規範意識を育むことが必要であり、学校における道徳教育の充実を一層進めることが大切であると考えてございます。
 このため、規範意識や友情等を扱っている道徳読み物資料集を本県独自に作成し、小学校4年生から中学校3年生までの道徳の時間で活用することにより、自他の生命の尊重、他者への思いやりなど、児童生徒の豊かな心を育む取り組みの充実を図っているところです。
 また、さらなる充実のため、思いやりの心を育むための内容の教材を読み物資料に新たに加え、各学校で学習することといたしました。
 今後も、一人一人の子供に寄り添い、心に響く道徳教育を充実させるとともに、児童生徒が規律を守り、お互いを高め合う学校づくりがさらに徹底されるよう指導してまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 続いて、小項目4、教員の世代交代の中での学校組織の円滑な運営についてお尋ねいたします。
 第2期和歌山県教育振興基本計画のデータによれば、本県の公立学校に勤務する教員は、25歳から45歳までの年齢層が50歳代の教員数よりも少なくなっており、年齢構成のアンバランスが生じております。ベテラン教員が退職していく中で中堅教員が少なく、若手教員が多くなってきているということでありますが、今後も教員の年齢構成についてこの傾向が続くのでしょうか。
 また、子供の個性や特性は千差万別であり、一人一人の個性に応じた教育を行うためには、教員には一定の経験が必要であると考えます。学校現場がこのような年齢構成になる中にあって、初任者を含めた若手教員をどのように育成していくのか、お伺いいたします。
 そして、最後にもう1点、教員の世界では職人わざとも言うべきベテラン教員の指導技術を伝えていくことは大変重要なことであると考えます。しかしながら、それらはマニュアル化しにくいものであり、ベテラン教員が培った技術や知識がうまく継承されるのかということが心配されます。
 教員の指導力を高めていくには、学校内で教員同士が高め合っていく体制をつくることが大切です。教員同士が切磋琢磨することによって学校全体の指導力を高めていくことにつながると思いますが、そのために県としてどのような具体的な手だてを講じているか。
 以上3点、教育長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 和歌山県の公立学校教員の年齢構成は、50歳代が最も多く、全体の半数近くを占めております。今後数年間は、ベテラン教員の大量退職に伴い新規教員の大量採用を行う必要があり、学校現場では若手教員の割合が多くなることが見込まれるため、できる限り年齢バランスのとれた教職員集団となるよう教員配置に努めているところでございます。
 こうした状況の中、若手教員の育成につきましては、初任の教員を複数年かけて支援することが重要であると考え、23日間の教育センター学びの丘等での研修を3年間にわたり継続して実施するとともに、300時間以上の校内研修を行っているところでございます。
 各学校では、授業や学級経営、生徒指導などについてベテラン教員や管理職が指導するなどの研修を行うことで、若手教員の力量向上に努めているところでございます。
 また、きのくに学力定着フォローアップ事業を実施いたしまして、すぐれた教育実践力を持つ退職教員を県内69校の小中学校へ派遣して、若手教員に直接アドバイスしたり、模範となる授業を見せたりすることで教員の指導力向上を図っているところでございます。
 今後も、若手、中堅、ベテランの教員が各世代で力量を高める機会を設けるとともに、自信を持って教育活動を行い、一致団結して学校づくりに取り組む教員を育成してまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 今、教育長のほうから4項目について、ほんとにやる気のある前向きな御答弁をいただいたと、私は思っております。
 ほんとに、生徒は、学校へ行って先生にいろんなことを教えていただいてると私は思います。最後の4項目めで言わせていただいたんですが、やはりこれらの若手の先生、やる気を持って先生になっていただいた方、しかし、今、教育を取り巻く環境は非常にさま変わりしております。非常に大変な時代で、御尽力いただいているのはもう重々わかっております。
 そういう中で、ほんとに、これから先生方お一人お一人がやる気を持って教鞭をとっていただく、そういう体制づくりをしていただきたいと思います。
 それで、先週の「読売新聞」にも掲載されておりましたが、文部科学省の調査で県内小中学校の不登校児童生徒の割合が全国で下位だったということを受けて、仁坂知事も力強いコメントをいただいております。ほんとに有識者会議を開いて、これから前へ前へと進めていただきたいと思います。
 和歌山の財産である子供たちが自信を持って、そして、一人一人が輝くには、学力の向上とあわせ、子供たち一人一人の心に届く生徒指導両輪で組織的に取り組んでいただきたいと思います。そのためにも、学力向上への取り組みを引き続き着実に行っていただくとともに、スクールソーシャルワーカー等を活用し、子供たち一人一人に寄り添った指導が各学校で行えるように県教育委員会にも引き続きの支援を要望いたしまして、1項目めの質問を終わらしていただきます。
 続きまして、大きな項目の2番、生きがい社会の構築について質問さしていただきます。
 高齢者の社会参加と活躍の場づくりについてお尋ねいたします。
 ことしの6月議会では、買い物弱者対策ということで、高齢者の自立について質問をさしていただきました。また、元気な高齢者は、支える側にもどんどん回っていただきたいとも申し上げました。今回は、高齢者の社会参加や活躍の場づくりについての質問をさしていただきます。
 高齢者にとって、社会参加は健康と生きがいを与えます。また、生きがいのない社会参加では続きません。内閣府では、毎年、高齢社会対策に関する調査を実施しており、平成25年度には、全国の60歳以上の方を対象に高齢者の地域社会への参加に関する意識調査を実施しています。
 その調査によると、何らかの社会活動に参加している人の割合は、60代60%、70代57%、80代以上53%となっています。一方、参加したい人を見ると、60代81%、70代69%、80代以上50%となっており、60代の人の2割が、参加したいのだが実際に参加していないことになります。
 70代、80代以上と、参加している人と参加したい人の差は少なくなってきていますが、言いかえれば参加したくない人がふえたということで、うがった見方をすれば、60代で社会参加したかったが、いいものがなかった、年を重ねて社会参加を諦めたという人もいるのではと思います。
 60代で社会参加しなかった人が、70代、80代になって参加というのもなかなか難しいかもしれません。60代の、社会参加したいがしていない人の2割というのは、少ない数字とは思いません。少しでも減らしていくようにしたいものであります。
 さらに、人口構造の観点からも、元気な高齢者に活躍してもらう必要があります。高齢化率21%を超えると超高齢社会と言うようですが、2015年、県の高齢化率は約3割、今後も高齢化率は上昇するものと予想されます。
 一方、生産活動に従事し得るとされる生産年齢人口、15歳以上65歳未満の比率は、和歌山県では6割を切っており、今後も減少を続け、2040年には50%程度という将来推計もあります。生産年齢人口の中には学生も含まれていることを考えれば、実質半分に満たないということになります。
 そこで、元気高齢者の出番だと私は思います。さまざまな場で御活躍いただきたい。社会的要請でもありますし、社会参加することで高齢者も生きがいを持つことができます。そして、生きがいを持つことで、元気高齢者であり続けることができるとも思います。
 今でも、働く場、活躍の場はあるものの、現役世代に比べ少なく、情報自体も少ないというのが現実であります。人それぞれ得手不得手というものもありますし、適材適所でということもあるので、多くの選択肢があればよりいいなと私は思います。ぜひ高齢者の活躍の場を開拓するとともに、マッチングする仕組みをつくっていただきたいと思います。
 例えば、福岡県大木町では、ふるさと納税のお礼の品として、ふるさとの家お手入れサービスが用意されています。これは、空き家となっている実家や親戚の家の掃除やお手入れをシルバー人材センターが行うものです。空き家対策、高齢者活用、収入増と、一石三鳥のユニークな取り組みです。
 そこで、県では、高齢者の社会参加と活躍の場づくりについてどのように考え、どのような取り組みをしているのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 超高齢社会となり、可能な限り生涯を通じて社会参加し、活躍できる社会をつくっていく必要があると考えております。
 県では、高齢者がこれまで培ってきた経験や知識を生かし、高齢者世帯の買い物や掃除、庭木の剪定、電気器具の点検などの生活支援活動に参加できるよう、わかやまシニアのちから活用推進事業に取り組んでおります。
 この事業は、有償ボランティアに関心のある元気な高齢者を登録し、地域のニーズとマッチングすることで高齢者の生きがいづくりと地域課題の解決を同時に目指そうとするものであり、県外の社会福祉協議会やシルバー人材センターなどの先進的な取り組みを紹介するなどしながら、この事業の活用を市町村に働きかけているところです。
 加えて、高齢者の社会参加を促すため、各市町村で取り組まれている高齢者サロンなどのリーダーとなり得る人材を養成するいきいきシニアリーダーカレッジや高齢者サロン運営アドバイザー養成講座を開催するとともに、グラウンドゴルフなどのスポーツ大会、囲碁・将棋大会、美術展などで構成される喜の国いきいき健康長寿祭を、年間を通じて開催しております。
 県としては、引き続きこれらの各種事業に取り組み、高齢者の社会参加と活躍の場づくりを進めてまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ただいま福祉保健部長から、高齢者の社会参加と活躍の場づくりを進めていくとの答弁がありました。
 他府県の社会福祉協議会やシルバー人材センターの先進事例を市町村に提供いただいているということですが、今後とも市町村が高齢者の社会参加や活躍の場づくりを着実に実施できるよう県としての支援をお願いするとともに、県独自の事業にも引き続き取り組んでいただき、高齢者が活躍できる場を数多くつくっていただくことを要望いたしまして、2項目めの質問を終わらしていただきます。
 続いて、3項目め、県と市町村の連携について。
 まず、小項目1、具体的な取り組みについてお尋ねいたします。
 議員中本浩精ではなく一住民中本浩精として地方行政を考えるとき、県には申しわけないのですが、まず市町村を思い浮かべます。
 地方自治法には、市町村は、基礎的な地方公共団体として地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとされています。都道府県が処理するものとされているものを除くとも書かれていて、この書きぶりからも、まず市町村ありきという気がします。
 地方自治法を素直に読んで思うところを述べますと、住民に近い市町村が基礎的自治体として住民の意思を酌みつつ行政を行う、県は市町村を補完して行政を行う、県プラス市町村で100です。地方行政といえども国がかかわってくるのですが、今回は、県、市町村だけで話を進めさしていただきます。
 議会答弁を初めとして、いろいろな場所や場面、いろいろな分野で県と市町村の連携強化ということを見聞きします。県と市町村は、ともに地方行政を担っているので、地域に関する事務や施策を実施する上で地域の情報や課題を共有し、それぞれの役割分担を踏まえながら十分な連携を図っていくことは必要不可欠であります。
 そこで、お聞きしたいのは、市町村の取り組みに対する連携、支援の具体的な取り組みについてです。
 例えば、和歌山県・和歌山市政策連携会議や県とそれぞれの市町村との人事交流など、課題の共有やその課題解決のための連携、支援策の1つとして挙げることはできますが、県は市町村に対する連携、支援の方策としてどのような体制をとっているのか。また、どのような取り組みをしているのか。その効果もあわせて総務部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 市町村は、住民に最も身近であり、住民の日常生活に直結する事務を幅広く行う基礎的な地方公共団体でございます。
 一方で、県は、市町村を包括する広域の地方公共団体であるため、市町村と連携して地方行政のさまざまな課題に対処していく必要があります。このため、県の各部局においては常日ごろから市町村と十分に連絡調整を行いながら事務を遂行しており、それぞれ担当者に集まっていただいた会議や研修会などを活用した連携が図られているところでございます。
 また、個別の施策ごとの連携に加えまして、首長同士が意見交換を行うための全県市町村長会議や新政策に係る市町村長懇談会を初め、幹部職員レベル、担当者レベルにおいても、行政全般にわたり県と市町村が意見交換を行える場を設けているところでございます。
 このような取り組みによって市町村の現状を的確に把握し、市町村の要望や意見を県の施策や新政策、予算案に反映させているところでございます。
 今後は、以上のような連携を引き続き行っていくとともに、今後ますます進展する人口減少、高齢化社会にあっても、市町村が行政サービスを継続的、効率的に提供できるように、市町村間の事務の共同処理に加えて、県による市町村事務の補完についても検討を行ってまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 続いて、小項目2、振興局の役割について質問いたします。
 知事は、県下各地での和歌山県行政報告会などにより直接情報収集に努めておられますが、各課室ではどうでしょうか。事業として地元住民に調査や現地説明等を行うこともありますが、通常はなかなか住民の意見を直接聞くことは少ないのではないでしょうか。その点、市町村では、住民の意見を聞く機会も多く、いろいろな課題を把握していることと思います。
 先ほど、県と市町村では物事を進めていくためにも情報の共有が重要だと申し上げました。かつては、県が市町村を指導監督する立場であった事務がありましたが、今は、県、市町村は対等、イコールパートナーです。ただ、対等を意識する余り、県、市町村ともに、みずから積極的にアプローチしにくくなったような気もいたします。実際のところはどうでしょうか。
 各振興局では、それぞれでハード・ソフトの事業も直接行っているのですが、所管する地域にある市町村の情報を収集することも大きな役割だと思います。振興局は、市町村役場に距離的に近いですし、市町村と同様とまでは言わないまでも、地域の実情に通じているので話は伝わりやすい。よって、迅速かつきめ細やかな情報収集ができ、連携強化を考えれば振興局をより一層積極的に活用するのが有効だと考えますが、いかがでしょうか。
 現在、振興局では、職員の皆さんが管内の市町村のさまざまな情報を収集して、振興局長に集約し、本庁に報告していただいております。そのあたりも一層の活用が必要であり、市町村においても、それに応えて情報を提供する体制ができていなければいけないと考えます。
 振興局での事業は表に出てわかりやすいのですが、市町村との情報共有や状況、課題の把握への取り組みがいま一つよくわかりません。
 そこで、お聞きします。振興局と市町村との連携、かかわり方について、どのようにお考えでしょうか。また、具体的な連携策としてどのようなことを行っているのでしょうか。振興局と本庁との連携についても、あわせて総務部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 振興局につきましては、地域の最前線で住民と接し、さまざまな行政サービスを提供する役割に加え、管内市町村の地域課題に対して市町村や住民と一緒になって議論し、行動していくための拠点としての役割を果たしていくことが重要であると考えているところでございます。
 このため、各振興局では、商工、観光、農林水産、医療、福祉、建設など、あらゆる分野で市町村との連絡調整を行いながら、地域の意見や要望の収集、県政策の住民への浸透といった役割をしっかり果たせるよう、それぞれに工夫して取り組んでいるところでございます。
 具体的には、自治会、企業などとの情報交換会や地域振興について検討する会議などに市町村職員と一緒に参加するとともに、首長を含めた市町村の幹部と頻繁に意見交換を行うなど、さまざまな形で連携を行っております。
 こうした活動を通じてつかんだ地域の声には県として一体的に対応する必要があり、特に県の施策への反映を検討したり協力のお願いをする場合には、振興局と本庁の連携が不可欠となります。
 このため、本庁各課室の担当者と振興局担当者間で業務ごとに細分化したネットワークを構築し、常に連携を密にするとともに、本庁と振興局が一緒になって市町村と協議を行うことなどにより、本庁と振興局との情報共有を促進し、連携強化を図っているところでございます。
 今後とも、振興局と本庁の職員が一体となって市町村と連携し、地域の課題解決に取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 総務部長より御答弁いただきました。
 国では、まち・ひと・しごと創生法が成立し、まち・ひと・しごと創生総合戦略が閣議決定されました。これを受けて、本県は6月に和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、市町村においては、既に策定したところもあり、現在策定中のところがあると聞いております。
 国の総合戦略では、政策の原則や取り組み体制において、県と市町村間の連携を求めるとともに、都道府県は、市町村レベルの地域課題をみずからの地方版総合戦略にも反映させ、市町村と連携をとり、地方創生を進めるとされています。
 さきにも申し上げましたとおり、県と市町村は地域に関する事務、施策を十分な連携を図って行う必要があり、それには、課題、情報を効果的に収集、集約を図る必要があります。振興局を一層活用して、その課題や情報を収集し、市町村と県及び県の機関で課題を共有して対応することで、元気な和歌山の実現に向けた取り組みを実施していただきたいと思います。
 そのためにも、引き続き市町村に対しても、行財政に対する助言や人的支援、また事務の共同処理や受託等、さまざまな連携や支援をお願いすることを要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時44分散会

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