平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(泉 正徳議員の質疑及び一般質問)


平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(泉 正徳議員の質疑及び一般質問)


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正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第119号から議案第147号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 11番泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕(拍手)
○泉 正徳君 皆さん、おはようございます。
 4年ぶりに壇上に立たせていただきますが、4年間温かく御支援いただいた皆様に本当に感謝を申し上げます。その分、頑張ってやってまいりたいと思いますので、同僚、また先輩の皆さん、そして知事初め当局の皆さんに、温かい御指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 超高齢社会を迎える状況を踏まえて、国は、社会保障の安定財源の確保のために消費税率の引き上げが3党合意で取り上げられ、国会審議を経て2014年4月より──昨年の4月ですね──消費税が8%に引き上げられました。最終的には10%に引き上げられることが2012年の法案で成立し、その財源は全て国民に還元し、官の肥大化には使わないことも明言されました。
 また、社会保障制度も、今回の消費税増税により消費税の使途が高齢者3経費(基礎年金・老人医療・介護)から社会保障4経費(年金・医療・介護・子育て)に拡大され、増税分は、社会保障の充実のために1%、社会保障の安定化のために4%に予算配分されることも決まりました。制度上は、国の将来に向けた方向性が示されたものと思います。
 しかし、人が尊厳をもって自立して生きるということは、制度ができただけでは前に進みません。それをどうしていくのかという仕組みが必要となります。そこで、核家族化が進み、少子・超高齢化社会を迎えるこれからの社会では、我が国が今まで経験したことのない、越えなければならない多くの問題を抱えています。
 1970年、私は、ちょうど大阪で万国博覧会が開かれた年に大学に入学をいたしました。ですから、物事の考える基準が1970年。その当時、祖母がいまして、ちょうど70歳でした。面倒を見ていただいてました。その当時の日本の平均寿命は、男性が69.3歳、女性は74.7歳でした。ですから、祖母は70歳ですから、大学卒業まで元気にいられるのかなと、平均寿命から申し上げまして、そういうことを考えていたくらいです。
 当時の日本の医療費は2.5兆円、直近2012年の日本の医療費のデータは39.2兆円であります。42年間で15.7倍に医療費が伸びてるわけなんです。平均寿命も、男性80.5歳、女性は86.8歳と飛躍的に伸び、世界一の長寿国になりました。当時に比べて、男性は11.2歳、女性は12.1歳、女性だけに関していえば、3年半に1歳ずつ寿命が伸びたと、そういうことになります。
 そこで、金の卵と呼ばれ、戦後の日本の高度成長期を支えてきた団塊の世代──正確には、堺屋太一がつくった言葉で、昭和22年、23年、24年に生まれた方を中心に呼ぶらしいんですが──この大きな団塊の世代という塊は、あらゆる面で社会や国の施策にも大きな影響を及ぼしていることは言うまでもありません。我が国の社会保障制度も、団塊の世代とともに推移し、年金、医療に加えて、この世代が高齢者になってもできるだけ自立して暮らせるようにと、介護保険法が2000年にはスタートをしました。
 そこで、社会保障問題をまず医療の面から考えますと、国民1人当たりの医療費は、65歳未満では年間17.7万円、それに対して75歳以上では89.2万円と、後期高齢者の医療費は5倍、65歳以下に比べてかかってるわけなんです。
 また、日本の医療費の特徴とされるのが、病院のベッド数は多いが、医師、看護師の配置が少ない、入院期間が長いなどの問題も抱えています。
 そこで、団塊の世代が75歳以上になる2025年には、およそ3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となり、これに伴い、慢性的な疾病や複数の疾病を抱える患者が中心となるなど、医療・介護サービスを必要とする患者の疾病構造が多様化すると見込まれています。
 このような疾病構造の多様化に対し、患者一人一人の状況に応じた医療提供をするために、医療・介護サービスを充実させ、患者の早期社会復帰を進めるとともに、住みなれた地域で日常生活を営むことができるよう、効率的な医療・介護サービスを一体的、総合的に進めるため保険法の改正も行われていますが、和歌山県の今後の医療、介護の将来像について、知事のお考えをお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの泉正徳君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県では、75歳以上の高齢者の数が2030年にピークを迎えます。そうした状況の中で、高齢者が、可能な限り住みなれた地域で、その有する能力に応じ、自立して安心した生活を営めるような社会をつくっていくということが重要でありまして、これが県の責務と考えております。
 そのために、かなり細かいところまでいろいろ検討いたしまして、今後必要と考えられる介護施設の計画的な整備とあわせて、それぞれの地域において、例えば必要な在宅介護サービスとかを含めて、医療、介護等が一体的に提供される地域包括ケアシステムをつくっていかなきゃいけないというふうに思ってるわけでございます。
 まず、医療分野では、入院から在宅医療に至るまで一連のサービスが提供されるように、地域医療の担い手育成や確保に一層取り組むとともに、病院での医療提供体制の再編を進め、あわせて在宅医療提供体制の充実を図ると。これは御指摘のように、医療介護総合確保推進法の命ずるところでもございます。
 次に、これはむしろ和歌山県は先に進めていたのを今度は統合していかないといけないんですけれども、介護の分野では、退院時も含め、在宅介護を必要とする全ての人を市町村が設置する地域包括支援センターが把握することで、在宅介護サービスや生活支援を漏れなく受けられるような仕組みとする必要がございます。
 これらの取り組みをしっかり行って、医療と介護の連携を図りながら、本県の実情に合った地域包括ケアシステムの実現と、その円滑な運営を目指してまいりたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 知事より、地域包括ケアシステムの充実を図っていくと、地域に合った体制を整えていくという答弁をいただきました。
 それでは、病床も含めて、病床再編について伺います。
 医療、介護の一体的かつ総合的な確保を図る上でポイントとなるのが医療法の改革であります。そして、昨日の奥村議員の地域医療構想の質問の中でも触れられてましたが、病床の再編という問題がございます。2025年に向けた医療供給体制の改革を内容とする医療介護総合確保推進法が、昨年成立しています。この法律では、病床機能の報告制度、地域医療構想、協議の場、新たな基金──財政支援ですね──そして、病床再編に向けた知事の権限強化などが盛り込まれています。
 今後、高齢化が進展していく中で、地域の医療需要、例えば高度急性期でありますとか、急性期でありますとか、回復期でありますとか、慢性期でありますとか、いろんな地域によって需要が違うと思うんですが、その医療供給体制を考える上で重要となるのが病床再編の問題であろうかとも思います。この病床再編に向けた県の取り組みの現状と今後について、福祉保健部長にお尋ねします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 病床再編の現状につきましては、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、高度急性期、急性期・回復期・慢性期の病床機能別に、患者の病状に応じた適切な医療を将来にわたり持続的に受けられるよう、将来の医療需要にふさわしい、バランスのとれた病床再編を行うための分析などを行っているところです。国が地域医療構想ガイドラインにより示す推計方法、データなどに基づいて、2次保健医療圏である構想区域ごとに、県が病床機能別に必要病床数を算定していくことになります。
 今後、病院代表者や医療関係団体、市町村などで構成される県内7つの圏域別検討会を開催し、関係者の意見を十分聞きながら、地域の実情を反映し、県民が安心して暮らすことができるよう、病床再編に取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 病床再編に向けては、十分地域の実情を踏まえてやっていくということでございます。
 じゃ、次の質問に移ります。
 在宅医療体制の取り組みについてお願いします。
 入院をしていましたが、急性期の手術などの医療措置がなされた後、回復期に入り、安定した病状になり、やがて退院を迎える患者の多くは、知人が多く、住みなれた環境である自宅や自宅周辺での生活を送ることを望んでいます。また、何でも診察できるお医者さんが往診に来られ診察を、病気になってもできるだけ安心して自宅に住み、自分らしい生活を送りたいと、こう思っている方が多くあることは間違いありません。
 厚生労働省では、在宅医療を推進するため、モデル事業の実施や体制整備に向けた財政支援などがなされてきていますが、県として在宅医療にどのように取り組まれるのか、いわゆる在宅医療体制の構築に向けてどのように今後取り組んでいかれるのか、福祉保健部長に質問いたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 在宅医療提供体制の構築につきましては、在宅医療の総合相談窓口として在宅医療サポートセンターを2次保健医療圏ごとを基本に設置し、かかりつけ医登録、退院時の紹介制度、急変時受け入れ病院の確保、主治医・副主治医制などかかりつけ医の支援体制、訪問看護ステーションや薬局同士の連携体制などのネットワークづくりを進めることにより、地域で安心して在宅療養を継続できるように取り組んでいるところです。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 できるだけ、何といいましても在宅医療は、医師会とか各関係の方との調整って結構大変だと思いますけども、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、医療と介護の現場の連携に向けた取り組みについてお聞きします。
 病院から退院します。在宅に移行する患者さんは、在宅療養やリハビリ、介護サービスなどを選択しながら在宅生活を送ることになると思われます。
 この場合、重要であるのが、医師、看護師、ケアマネ、そして介護福祉士など、多くの医療・介護関係者の連携です。今後、医療と介護をどのようにつないで取り組んでまいるのか。特に、お医者さんから出るときに、もう一度どっか探してくれ、何かないかという声をちょいちょい聞くような気がするんです。「老老介護」であったり「介護難民」という言葉があったり、お医者さんから退院する、本来喜ぶべきことなんですが、そこで大変だという方もおられるのも事実なんです。ですから、その辺の取り組みをどうされているかということが1点。
 なお、介護保険法が見直されて、これからは市町村が在宅医療、そしてまた介護の連携の事業を進めていくことになりました。いわゆる要支援の部分も含めてですね。市町村の認識に差があるように思います。やはり何といいましても、役所の方が、市町村の担当者がしっかりしているといい方向に進みますが、どうしてもそれがおくれると、地域の皆さんが損をするという言い方は悪いかもわかりませんが、そういうことになるんです。
 できるだけ、そういう意味で市町村の格差をなくすために、ある程度の指導をやっていただきたいというのが願いなんですが、県としての取り組みを福祉保健部長に答えていただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 医療と介護の連携につきましては、平成23年度から2次保健医療圏ごとに県立保健所がコーディネート役となり、各市町村及び地域包括支援センターとも密接に連携しながら、圏域の医療と介護の関係者と連携会議等を組織し、研修会の開催や情報共有を図ることで連携体制の構築を進めてまいりました。
 特に昨年度は、新宮圏域で国モデル事業を活用し、退院調整ルール策定協議にも取り組みました。要介護状態の入院患者が退院する際に、確実、適切に病院からケアマネジャーに引き継がれるためのルールを策定しましたが、今後、新宮圏域以外の全圏域で策定協議を進めていくこととしています。
 これらの県の取り組みを生かし、先般の介護保険法の改正により、遅くとも平成30年4月には全市町村で実施すべきものとされた在宅医療・介護連携推進事業が適切に事業開始され、各地域の医療関係者の連携が円滑に進むよう、各市町村の実情を踏まえながら県として支援してまいりたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 それでは、何といいましても、こういうシステムが今構築されようとしてます。2025年、2030年を目標にしてますが、10年なんてあっという間ですから、市町村にもきっちりとした指導をやっていただければと思います。
 そして、どうしても最後に中心となるのが介護人材の確保です。一番最初に知事の将来像でのコメントにもございましたが、地域包括ケアシステム、これをどう機能させていくかということが大きなポイントになろうかと思うんですが、地域包括ケアシステムとは、ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護、予防のみならず、福祉サービスが日常生活の場で適切に提供できるような地域での体制と定義されています。
 最終的には、市町村が中心となってやるべきことだと思うんですが、このシステムの構築の実現には、医療、介護の連携はもとより、保険や予防、生活支援福祉サービスにどう取り組むかが重要であり、今、県でも取り組みを進めているという回答をいただきました。重度な要介護状態になっても、住みなれた地域で自分らしい暮らしが人生の最期まで続けることができるような地域包括ケアシステムが、いっときも早く構築されることを願うわけであります。
 このシステムの実現や医療と介護の連携には、人材の確保が不可欠です。介護サービス、介護保険法がスタートした2000年には184万人だったサービス受給者は、2012年には458万人となってます。そしてまた、介護保険制度に関する国民の意見募集によりますと、60%を超える人が、いわゆるこの介護保険法はよかったと、こう言ってるわけなんです。そしてまた、自宅での介護を希望する人が70%を超えています。そういうことを踏まえて、地域包括ケアを進めていくためには、何といっても人材の確保、特に介護人材の確保については必要不可欠であろうかと思います。
 そこで、特に介護人材の確保について、県のお考え、福祉保健部長よりお答え願いたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 本年6月に国が2025年に向けた介護人材に係る需給推計を発表し、和歌山県においては4187人の介護人材が不足するという推計が示されているところです。
 これを踏まえつつ、本県の介護職員の確保対策につきましては、本年3月に策定したわかやま長寿プラン2015に基づき、福祉の就職フェア、福祉の仕事相談、職場体験、無料職業紹介などを実施するとともに、介護職員等を対象としたスキルアップのための研修会の開催など、キャリアアップに向けた支援を行っているところです。また、今回の介護報酬改定において、介護職員処遇改善加算についてさらなる上乗せ評価が実施されましたが、県では事業者向け説明会などを実施し、同加算の取得促進に努めているところです。
 今年度からの県の新たな取り組みとしては、就職を希望する高校生や介護現場へ新規就労した介護資格を持たない者を対象に介護資格の取得を支援し、新規参入及び定着促進を進めるとともに、介護事業者、関係団体、養成機関及び教育機関等と介護人材確保に向け、情報共有や各種事業に協力して取り組むための連携の場として本年6月に和歌山県介護職員確保対策支援協議会を設置したところです。介護職員の確保対策につきましては、この協議会を中心に適宜見直しつつ、効果的な実施に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 福祉保健部長より答弁をいただきました。できるだけ、支援協議会を開いてやるということなんで、いろんな御意見を伺って、地域に合った、将来に向けて──もうじきに、10年ってあっという間に過ぎると思うんですね。ですから、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 次の質問に移ります。林業振興についてであります。
 まず、新しい集材機への取り組みと活用についてお伺いします。
 木の国和歌山と呼ばれる和歌山県の森林には、現在1億立米の蓄積があり、毎年92万立米の成長があると言いますが、これらの山の材を出すには、できるだけ低コストで市場に出るようにと各地域で取り組まれ、林道の開設や作業道の拡充を図り、また、高性能林業機械と呼ばれる機械を用いてコスト削減への対策を講じられています。
 しかし、紀州の山は急峻で谷地形が多く、路網の整備だけでは対応できないという課題があります。また、急峻な地形への無理な作業道の開設は、林地の保全という意味からも好ましくありません。そのためには地形の実情に合った林業機械の開発は喫緊の課題でありますが、新しい集材機が開発されていると聞き、和歌山発のすばらしい取り組みだと以前から興味がありました。
 先日、現地に出かけて実際に実物を見せていただきました。操作もさせていただきましたが、集材機の音が従来のものに比べてはるかに静かで、動きが滑らか、何よりも操作が簡単であることに驚きました。私の操作中にも少しトラブルがあったようですが、まだまだ試作段階なので改良の余地が多く残されていると思いますが、現状を農林水産部長よりお聞かせ願いたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 利用期を迎えつつある県内の森林資源を有効活用し、中山間地域の産業振興、森林の多面的機能の発揮を図ることが重要であることから、県では、作業道の整備や高性能林業機械等の導入を支援し、低コスト林業を推進しているところです。
 しかしながら、急峻な地形が多い本県においては、林内路網を活用した集材システムだけではなく、架線集材による低コストで効率的な作業システムの確立も必要であるため、平成24年度に県内の林業関係者や県で組織する架線集材の低コスト化・省力化技術研究会を設立し、全国で初めてとなる油圧式架線集材機の開発、改良に国の補助事業等を活用して取り組んできました。その結果、昨年度までに無線操作による安全性と生産性の向上を図ることができる油圧式架線集材機を開発し、実用化に向けた一定のめどが立ちました。
 なお、今年度も機械の設置や移動を容易に行うことができるよう、改良に取り組んでいるところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 県も協力して開発を手がけてきたこの集材機の普及を図り、低コストで出材するために多くの現場で利用されることが、ひいては機械の製造コストを抑え、作業効率を高めるためのノウハウもたくさん蓄積される、そういうことになろうかと思います。そして、大変作業がしやすい、誰でもできる、今までの熟練度がなくてもできるという、それで音が静かで安全性もはるかに向上してると私は感じました。
 普及促進を図るためには、補助金の活用も含めて後押しすることが必要でないかと思われますが、その辺のことについて部長の答弁を求めます。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) この新たな架線集材システムを普及するため、平成27年2月に、県、林業関係者及び機械開発メーカーとの共催による現地検討会や講演会を開催したところ、県内の主要な林業事業体のほとんどが参加し、県外からも多数の関係者が参加するなど、この油圧式架線集材機に高い関心が寄せられていると感じました。県としましても、引き続き現地講習会を開催するなど、新しい架線集材システムの迅速な普及啓発に取り組んでまいります。
 また、国がこの油圧式架線集材機の性能を認め、高性能林業機械導入に関する補助事業の対象としたため、県としましては、この補助事業を活用し、新しい架線集材機の早期導入を目指してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 それでは、2つ目の質問に移らせていただきます。
 森林の持つ公益的機能、水源の涵養でありますとか土砂の流出防止、生態系の維持等、たくさんあろうかと思いますが、我々は森林から多くの恩恵を受けていることは、皆さんも周知の事実であります。
 山を守り、森の健全な保全の観点からも、また森をなりわいとして利用するということは、地方創生の目的である地方での職場を確保するという意味からも、本県にとって森林は大きな財産であります。
 しかし、山で働く労働者の高齢化は進み、熟練労働力の不足や、伐採や出材と言われる技術の継承も一朝一夕ではいかない現状があります。山林家は長引く材価の低迷にあえぎ、「山持ち金持ち」と言われた時代は遠い昔のような気がしているのは私だけでしょうか。林家や林業関係者は、林業としての経営的な観点から、また森林環境保全という視点からも森林を考えることのできる人材、いわゆる森のリーダーを育成することは、森林県を標榜する我が県にとっては必要なことだと思われます。
 和歌山県の森林林業の将来を担う人材の育成について、現在の状況について部長の答弁を求めます。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 現在、県において、将来の中核的リーダー養成のためにグリーンワーカー育成研修を昭和56年度以降実施しており、修了者は368名となっております。これに加え、平成25年度からは、本県特有の架線集材作業に特化した林業架線作業特別講習も実施しており、修了者は3名となっております。
 また、国の緑の雇用事業を活用し、平成15年度以降、現場管理責任者等を合計80名育成するとともに、林家へ利用間伐等の施業提案を行う森林施業プランナーの育成も行い、現在9名が認定プランナーとして森林組合等で活躍しています。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 部長の答弁をいただきました。作業をする人の今の状況は理解しました。
 私がここで申し上げたいのは、もう少し大きな観点で、森林の将来や経営的な見地から、また森林の保全という観点から、真の森のリーダーを育てる意気込みがあるかということです。
 既に、全国では公立系林業大学校が8校設立されており、人材の育成に取り組まれているようです。木の国和歌山の将来のための人材育成に取り組んでいただきたいと思ってます。
 4年前に「緑の神話 今 そして未来へ 紀州木の国から」とうたわれた植樹祭からまだ4年しか経過していません。このような気持ちを忘れないように、また、現在は全国の林業経営者協会の会長も我が県から出てますし、来年は我が議会から林活議連の谷県議が全国の会長にも就任される予定になっております。木の国和歌山のために林業の復権を目指して期待していますので、再度、林業後継者の育成について部長の答弁を求めます。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 県内の林業関係の学校については、平成18年3月に熊野高等学校森林科学科が廃科になって以降、存在しておりません。一方、全国で公立の林業系大学校等が8校設立されており、さらに来年度には2校の設立が計画されています。
 県としましても、後継者育成の観点から、森の健全な保全や紀州材の増産をさらに進める上で、森林環境や林業・木材産業までの幅広い知識を有し、将来の森林組合や民間事業体の中心を担う人材の確保、育成も必要と考えておりますので、全国の林業大学校の状況なども参考にしながら、さまざまな方面から検討してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 知事と各部長から答弁をいただきました。
 医療、介護にしましても、15年先を見据えた大変な作業になろうかと思います。そしてまた、森というのは、長いサイクルで経営そして保全を考えていかなければならない。それには、今やらなければならないことをきちきちとやっていただくことを私のほうから要望いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、泉正徳君の質問が終了いたしました。

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