平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


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  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、一般質問に入らせていただきます。
 まず最初に、1項目めは、県民の医療費負担の軽減についてお尋ねをいたします。
 県民の暮らしにとって、健康に対する不安が一番大きく、病気になったらどうしよう、体の心配の前にお金の心配で眠れないなどと、よく聞かれます。しかし、今、安心して療養できる環境にあるでしょうか。
 ことしの6月30日に閣議決定された財政・経済政策の基本方針、骨太の方針2015は、今後の社会保障の伸びを毎年5000億円に抑制するとしています。高齢化などに伴う社会保障費の自然増は毎年8000億円から1兆円と言われており、削減幅は3000から5000億円に上ります。
 また、厚生労働省が7月2日に公表した国民生活基礎調査の結果、2013年の1世帯当たりの平均所得が前年比1.5%、8万3000円減となったことがわかりました。生活が苦しいと感じている世帯の割合は、昨年の2014年7月時点で、前年比2.5ポイント増の62.4%に上り、過去最高となっています。これは、1世帯当たりの所得の落ち込みが続いたことや、14年4月に消費税率を8%に引き上げたことなどが影響していると、厚労省は分析しています。1世帯当たりの平均所得は、ここ10年で最も低く、データが残る1985年以降では4番目の低さです。26年前とほぼ同じ水準となっており、非正規雇用の増加などが背景にあると、時事通信社の「厚生福祉」7月24日号では伝えています。
 社会保障の負担が生活を圧迫している状況の中で、一層社会保障の削減を推し進めれば、国民から、医療や介護、福祉など、ますます遠ざけるものになってしまいます。保険料負担が重くのしかかり、受診抑制につながり、ひいては命にかかわりかねません。
 そこで、今回は4点についてお伺いをしたいと思います。
 1つは、国保制度は、被保険者の高齢化、低所得者層の増加など、制度の抱える構造的な問題により、その財政的基盤は極めて脆弱です。被保険者は低所得や無職の割合が高い中で医療費が年々増加する状況にあって、負担額をふやすことにも限界があるということが市町村国保広域化等支援方針の中でも指摘されています。実際、被保険者のうち、無職者が41.9%、60歳以上が48%を占めています。
 そこで、まず、各自治体の保険料、収納率などの現状はどのようになっていますか。福祉保健部長にお尋ねいたします。御答弁、よろしくお願い申し上げます。
○副議長(藤山将材君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 平成27年度の市町村の保険料は、例えば所得250万円の40歳代夫婦で、未成年の子供が2人などの一定の条件を設定して試算した場合、最高が56万700円、最低が34万9600円で、県平均が44万1540円となります。
 市町村の収納率につきましては、平成25年度の現年分では、最高が99.56%、最低が88.37%、県平均が91.97%となっております。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁をいただきました。
 今、例えばということで、所得250万円の40歳代夫婦で未成年の子供が2人、そういった条件のもとで試算したその額が言われました。最高が56万、そして最低が34万、この保険料の負担が非常に重い、そういうふうに思いました。
 そういった中で、次に質問をさせていただきます。
 このように、さきに述べたように、県民の暮らしは大変厳しい状況です。この保険料が高過ぎるのではないでしょうか。県としてどのようにお考えでしょうか。福祉保健部長に質問させていただきます。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 国民健康保険の被保険者には、退職された方など無職の方が多く、また年齢構成が高いため医療費も高くなり、被用者保険と比べて保険料負担が大きくなるという構造的な問題を抱えております。
 そのため、国民健康保険の保険料につきましては、所得に応じて応益割の7割、5割、2割を軽減する制度があり、平成26年度からは5割軽減、2割軽減の対象者が大幅に拡大され、平成27年度も対象者の拡大が図られるなど、所得の低い方への保険料負担の軽減が図られております。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 重ねて再度申し上げますが、所得250万円、4人世帯で最高が56万700円ということです。同じ所得での昨年度と比較しますと、最高は、別の町ですが、53万5900円です。
 ことし、10町村で値上げされ、最高額も上がったわけです。所得250万円の22%にも上る保険税です。所得250万円ということは、サラリーマンなら収入では年およそ383万円です。2カ月近くの収入が保険税として徴収される、これは負担能力を超える保険税ではありませんか。
 例えば、協会けんぽでは、およその計算ですが、この年収ですと約22万円くらいの保険料になります。国保は極めて高くなっているわけです。
 ここまで高騰した保険税が払えないために保険証を取り上げられ、資格証が発行されている世帯が、県内で平成26年6月1日現在では3488世帯あります。全日本民主医療機関連合会の調査では、保険証の取り上げなど経済的な理由で病院にかかれず死亡した人が、わかっているだけでも昨年56人に上っています。
 和歌山市の資格証発行世帯は、ことし3月末で1528世帯ありますが、そのうち15%は所得ゼロ、22%は所得200万円以下です。低所得で保険料が払えない、その状況が浮き彫りになっていると考えます。国保料・税が余りに高過ぎるため払えないことで保険証を取り上げるというのは、国民皆保険制度を空洞化させるものではないでしょうか。この点でのお考えをお聞きいたします。福祉保健部長、お答えください。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 保険料を納付できない特別の事情がないにもかかわらず、1年以上滞納している方については、国民健康保険法第9条に基づき、被保険者証にかえて被保険者資格証を交付するものと定められております。
 この制度は、納付意識が低い滞納者との面会機会を確保して保険料納付を促し、きちんと納付されてる方との負担の公平を図り、医療保険制度の維持を図るために必要な制度であると考えております。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 以前にも、資格証の発行のことで議会で質問させていただいたことがございますが、先ほど申し上げたように、和歌山市の例を挙げましても、所得がゼロという方も資格証が発行されているということで、この資格証が発行されている場合は窓口で全額支払わなければいけない、そういったことになっています。
 そういうことでは、なかなか資格証を持って医療機関に行くということさえ大変な思いをされて行くことになります。また、我慢をしてしまう、そういったことになりかねません。そういう意味では、一人一人の状況をぜひつかんでいただいて、しっかりと対応していただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたが、国保の問題は、無職や年齢構成が高いため医療費が高くなるが被保険者の収入は低いという、先ほども言いましたように構造的な問題がある、これについては県もそのように同じ認識だと思います。この国民皆保険を支える国保制度が重大な危機にあるのではないでしょうか。
 根本的な原因は、私は、1984年に国保財政の50%だった国庫負担を23%にまで抑制したことにあるのではないでしょうか。しかし、この構造的な問題を解決することなく、この国会で成立した国保法改定は、2018年度から国保の都道府県化を決めました。今年度は、その第一歩として、既に財政運営広域化、つまり、1円以上の全てのレセプトを共同安定化事業として市町村から拠出金を出すやり方が導入されました。これは、国保料・税の平準化を進めるものであって、実際に、これまで医療費支出が低く、保険税が低かった町村などで値上げが起こっています。
 このことから、都道府県化で、分賦金を決め、標準保険料率と収納率目標を示すといったやり方になれば、一層高い保険料になるおそれがあるのではないでしょうか。こうしたことにならないよう、県の姿勢が一層問われてくると思います。その点を指摘させていただき、次の質問に移らせていただきます。
 次は、後期高齢者医療制度の問題についてお聞きします。
 後期高齢者医療制度は、2008年の制度開始以来、高齢者への差別医療だと廃止を求める声が上がり続けています。民主党政権のもとで一旦廃止が約束されていましたが、それもほごにされ、制度が継続されています。しかも、保険料は、改定のたびに値上げされています。
 そこで、後期高齢者医療広域連合の会計状況の現状を福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 和歌山県後期高齢者医療広域連合の平成26年度の決算状況については、保険給付などを行う特別会計では、歳入が約1354億円、歳出が約1313億円で、差し引き約41億円の赤字となっており、ここから翌年度に返還する国庫負担金等の予定額を除いた剰余金は約5億6000万円となっております。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁いただきましたが、ちょっと私、聞き違えたのかもわからないんですが、広域連合の歳入歳出で、差し引き約41億円の黒字……(「赤字って答えた」と呼ぶ者あり)赤字って聞こえたんですが、赤字じゃなくて黒字……。
 今、福祉保健部長のほうから御答弁いただいたんですが、再度御確認をさせていただきたいんですが。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 先ほど答弁を間違えました。
 広域連合の歳入は1354億円、歳出が1313億円で、差し引き約41億円の黒字となっております。ここから翌年度に返還する国庫負担金等の予定額を引いた剰余金は、約5億6000万円となっております。
 失礼いたしました。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、保険料改定時には、県が管理する財政安定化基金を取り崩して保険料の低減に充てることができると思いますが、2012年改定、2014年改定では全く取り崩さず、連続値上げとなりました。保険料が払えず、短期保険証が交付されたり、差し押さえが行われる高齢者も出ています。保険料の引き下げと、広域連合に対して県としてどうお考えでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 後期高齢者医療の保険料は、和歌山県後期高齢者医療広域連合が2カ年の財政運営期間ごとに改定を行っており、次期改定は平成28年4月となっております。
 和歌山県後期高齢者医療財政安定化基金は、原則として、医療費の急増による財源不足など短期的な変動に対応するためのものであり、保険料の増加抑制に活用することは特例であるため、まずは和歌山県後期高齢者医療広域連合が剰余金を活用することになります。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再度質問させていただきます。
 平成26年度に保険料値上げが行われましたが、決算では約41億円の黒字、剰余金約5億6000万円ということです。この剰余金というのは、保険料を集め過ぎた分に当たることになります。昨年度の保険料値上げがどうだったのかが問われる状況です。剰余金を後期高齢者に返さなければならないと思います。県は、次期改定に当たり、剰余金の活用は、当然、財政安定化基金取り崩しを含め、保険料を引き上げないよう、後期高齢者医療広域連合との協議にぜひ臨んでいただきたいと思います。
 また、保険料特例軽減の廃止が打ち出されています。特例軽減は、後期医療反対の世論に押されてつくられたものです。年金収入の低い方やこれまで被扶養者だった方に、9割、8.5割など、保険料を軽減するものです。これが廃止されますと、9割軽減の人は3倍、8.5割軽減の人は2倍に、扶養家族だった方は5から10倍もの負担増が強いられます。
 この継続を求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。福祉保健部長、再度お答えください。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 国において予算措置として実施されております後期高齢者の保険料軽減特例については、平成29年度から原則的に本則に戻すこととされており、その実施に当たっては、所得の低い方に配慮しつつ、急激な負担増となる方については、きめ細かな激変緩和措置を講ずるとしています。その具体的内容については、国において検討されているところです。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 御答弁いただいて、この財政安定化基金は、激変緩和とか、そういったことで使うことができるという点で答弁もいただいたので、こういったこと、これから後期高齢者の方たちは介護保険料の負担やさまざまな負担がある中で、保険料の引き下げ、また上昇の緩和など、ぜひ県としてもしっかりと国に意見を上げていただきたいと思いますので、これは要望をさせていただきます。
 次は、子供の医療費助成にかかわる問題で、子供の医療費助成に係る国保の減額調整措置についてお尋ねいたします。
 現在、県では、保護者負担を軽減するため、市町村と連携しながら就学前の乳幼児の医療費補助がされています。さらに、各自治体の中に対象を広げてほしいという声が強く、県制度以上に小学校、中学校、高校卒業まで医療費の補助が実現しています。ある市では、新日本婦人の会の皆さんが14回もの請願を出すなど、今も運動が広がっています。
 現行では、市区町村が独自助成すると国からの負担金が減額されるペナルティーの仕組みがあります。厚生労働省は、国保の減額調整措置を見直す動きがあると聞きますが、進捗状況をお聞かせください。福祉保健部長、御答弁、よろしくお願いします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 地方単独事業として子供の医療費に係る一部負担金の減免を行った場合、国は、受診回数が増加することにより医療費が増加するという観点から、増加したとみなされる医療費について、国民健康保険の国庫負担の対象とせず、減額措置がとられております。
 この減額措置につきましては、従来から、全国知事会などを通じ、国に対して廃止するよう強く求めておりましたところ、少子社会における子供の医療のあり方に関する検討会が設けられることとなり、今後、この検討会の場で、子供の医療費助成に係る国庫負担金の減額措置も含め、議論が行われるものと思われます。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 要望させていただきます。
 子供の医療費の助成対象を広げる市区町村が、今、ふえています。厚生労働省の調査では、通院で中学卒業またはそれ以上まで助成する自治体は、全国で1134市区町村、65%に上っています。2004年は11自治体しかなく、10年で103倍にふえています。
 ぜひ、和歌山県としても、来年の予算で県として対象年齢の拡充を考えていただきたいと思います。子育てしている保護者の皆さんの切実な願いが届けられていると思います。歯がぼろぼろになっても歯科の通院ができない、そういった方がたくさんいらっしゃいます。そのようなことも含めて、未来の子供たちの健康にかかわる問題ですので、ぜひよろしくお願い申し上げます。
 次、医療費の軽減についての項目で、最後4番目に、医療費が非常に負担がある中でも少しでも軽減につながるという点から質問させていただきます。
 差額ベッド料の免除や高額療養費制度の活用の周知徹底について、お尋ねいたします。
 入院治療の際、保険適用でない差額ベッド料の負担や高額の治療費の負担を考えると、必要な治療ができないという場合があります。入院すると差額ベッド料が請求されます。差額ベッド料とは、保険のきかない部屋代のことです。
 厚労省は、個室から4人部屋で徴収を認めています。全国で約26万床、全病床の19%を占めています。患者負担額は、個室で、平均1日7563円、最高は36万7500円というところもあります。差額ベッド料は、高額療養費の対象にはなりません。
 2014年3月26日から厚労省が通知をされ、差額ベッド料を請求できない場合、患者さんに特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合としては、具体的には以下の例を挙げています。
 同意書による同意の確認を行っていない場合──同意書に室料の記載がない、患者側の署名がないなど、内容が不十分である場合も含みます──また2つ目には、患者本人の治療上の必要により特別療養環境室へ入院させる場合、また3番目に、病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者さんの選択によらない場合には請求をしてはいけないというようなことになっているかと思います。
 そういった問題や、また高額療養費制度について──高額療養費というのは、1月間に保険診療を受けて支払った一部負担額が自己負担限度額を超えた場合、申請すれば、その超えた分が支給されるという制度です──こういった軽減措置の一部ですが、このようなことがどのように周知されているのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 差額ベッド料の取り扱いにつきましては、厚生労働省から留意事項が示されており、直近では、平成26年3月26日付厚医発0326第1号の通知の中で、特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合の具体例が記載されております。当該通知につきましては、近畿厚生局を通じ、保険医療機関に周知されているところです。
 高額療養費制度につきましては、保険者である市町村において、加入者にリーフレットを送付するなど、周知を図っております。
 なお、限度額適用認定証の交付を受ければ、当該認定証を医療機関の窓口に提示することによって、同じ医療機関での支払いは限度額までとなります。また、後から高額療養費を申請することもでき、高額療養費の支給対象となる方につきましては、市町村からその旨の通知が届くこととなっております。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 差額ベッド料については、保険医療機関に周知されているというようなことでおっしゃっていただいたんですが、医療機関だけでなくって、こういった免除というのか、そういう制度があるということを県民自身がやはり知っていただけるように、さらにそういった点でも周知をしていただきたいなと思います。
 また、高額療養費制度についても、国民保険のしおりというようなところで、各市町村が皆さんにお渡ししてると思うんですけども、和歌山市の場合でも、非常に字が小さかったり、また、せんだって県政報告会というのを私もさせていただいたんですけど、その中で、こういった制度をなかなか知らないとか、そういったこともあります。申請してこその制度であるかと思うので、そういった点で、ぜひ県民の皆さんにもしっかりと周知するようなことを取り組んでいただきたいなと、これは要望して、次のところに行かせていただきます。
 次、2項目めに移らせていただきます。
 地域医療構想の策定についてお聞きいたします。
 強行された医療保険法改定では、都道府県が策定する医療費適正化計画の強化も盛り込まれました。昨年成立した医療介護総合法では地域医療構想による病床削減が導入され、それとリンクさせて、医療給付費の伸びを県の責任で抑制していく仕組みづくりが押しつけられようとしています。
 政府は、「入院から在宅へ」のかけ声で、病床数の削減、特に急性期病床を大幅に削減し、患者を在宅へ押し出し、医療費を抑制する方針ではないかと思います。そのために、医療機関からの病床機能報告制度をつくり、都道府県は、2015年度中に地域医療構想を策定することになりました。
 2025年の人口推計をもとに、いかに病床削減、再編を進めるかの枠組みを示す地域医療構想策定ガイドラインが出されています。そして、6月15日には政府の推計を発表し、2025年には、全国で入院ベッド数を今の1割ほどに当たる16万から20万床削減し、各都道府県ごとに望ましいベッド数を上げました。それによれば、和歌山県では、2013年の1万3100床を2025年に9500床に、削減率27.5%、3600床もの削減という数字が上げられたわけです。
 こうしたやり方で、必要な医療体制が守られるのでしょうか。県として、政府の病床削減をどのように受けとめ、今後、どうしていくのかお聞きをいたします。知事、答弁、よろしくお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 地域医療構想は、2次保健医療圏ごとに、急性期、回復期、慢性期から在宅に至るまで、将来の医療需要を推計し、病床機能別の必要病床数等を県が定めるものでございます。また、在宅医療に誘導するわけでございますんで、その前提として、在宅医療をちゃんと行えることを含む地域包括ケアシステムをつくり上げていかなきゃいかんということで、これは結構大変でございます。
 この地域医療構想に関し、今回、政府が示した病床削減の推計値がございます。これは、国の地域医療構想ガイドラインで示した計算方法により、全国の人口推計等を用い計算した、あくまでも最高値であります。
 そうはいっても、和歌山県の場合、今後、人口減少もあり、将来の医療需要にふさわしい一定の病床削減は必要となってくると思われます。病床再編の作業は、県がやらないといけない。地域医療構想を策定し、進めることとなっておりますけれども、一方で、医療制度の根幹をなす診療報酬、これはいわば量を考えるときの価格みたいなもんなんですが、これは国が決めておるために大変難しい、そういう価格で誘導することができない、まあこういうことでございます。
 ただ、医療費の高騰を国民が全体として負担できるかという問題を背景に、法律でも決まったことでございますんで、今後、地域の実情を踏まえ、市町村や医療関係者等の意見を十分聞きながら、地域医療構想を策定し、その実現に取り組んでいくしかないというふうに思っております。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ベッド削減がありきということではなくて、やはり地域の医療需要、地域の医療要求に基づいて、今でも和歌山県は医師の偏在とか、いろいろ医療についても医療要望が強いところもあったり、地域によってさまざまだと思うんですが、そういったところをしっかりと県民の皆さんの命やそういったことを守るという立場から、地方自治の本旨に基づいて、この医療のあり方をぜひ考えていただきたいなというふうに思います。
 それで、次にお尋ねいたします。
 保健医療計画との関係で、どのように位置づけられるのか、お聞きをします。
 平成25年の3月、第6次保健医療計画に、「保健医療計画は、良質かつ適切な医療を効果的に提供する体制を構築し、県民の皆さんの医療に対する安心・信頼の確保を図るために、医療法に基づき策定するものです」と述べられています。
 保健医療計画には、各保健医療圏ごとに、現状と課題、圏域での取り組み方向が書かれています。今後、地域医療構想が策定されますが、保健医療計画との関係はどのようになりますか。これは、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 地域医療構想は、2次保健医療圏ごとに将来の医療需要に見合った地域の医療提供体制の目指すべき姿を示すものであり、医療法に基づき、保健医療計画の一部として新たに策定するものです。
 次期保健医療計画においては、今回策定する地域医療構想の内容を組み込む形で改定を行ってまいります。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 先ほども申し上げましたが、地域医療では、医師や看護師の不足が進んで、医療崩壊と言われるほど深刻な状況になっている地域もございます。今でも病院から早期退院を迫られてリハビリもないまま在宅に帰らなければいけない、戻される、介護に移行させるといっても、特別養護老人ホームの待機者が県内で約2600人もいる中、ショートステイの長期利用など、高齢者が漂流しているといった状況もあるのではないでしょうか。
 国の病床削減政策を県内に当てはめるのではなく、本当に地域の実情に見合って、医療関係者、住民の意見を反映させていくことが必要です。
 また、保健医療計画では、5疾病、5事業ごと、また、圏域ごとに課題が出されています。例えば、産科・小児科医師の地域偏在や分娩を取り扱う医療機関の減少への対策、2次救急医療体制の充実などが上げられています。こうした医療供給体制の充実の課題を反映した地域医療構想を策定していくのかどうか、県の姿勢をもう一度お尋ねしたいと思います。福祉保健部長、よろしくお願いします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 保健医療計画では、がんなどの疾病、または救急医療というような事業ごとの医療提供体制について、現状と課題、そして施策の方針を示しています。これに対して地域医療構想というのは、総体としての医療需要を圏域ごとに推計して、必要な医療提供体制の構築を目指すものでございます。
 先ほども申し上げたとおり、次期保健医療計画策定に当たっては、地域医療構想で定めた事項を盛り込んで、安心で信頼できる医療提供体制を目指していきたいと考えています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今の医療の現状を見て、住民がやはり安心できる、その地域で住み続けられる、そういった状況にしていくために積極的な住民からの意見も聞いていただいて、地域医療構想を、地域の医療が前に向いていく、充実させていくという立場で、ぜひ策定を考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 3項目め、最後です。
 雇用問題についてお尋ねをいたします。
 病気や障害などあっても安心して働ける環境づくりが必要です。ここで問題にしたいのは、障害者認定に至らない場合や、軽度の脳卒中、心疾患、糖尿病、精神疾患などの治療をしながら安心して働くことができることは、大変生きがいにつながることです。憲法第27条では、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」とうたわれています。
 最近、40代前半の男性の方から相談を受ける機会がありました。彼は、てんかんで3級の障害者手帳を持っていましたが、2年間、薬物治療にて発作の発生が見られず、障害手帳を受給することができませんでした。年金生活の両親と同居しているため、何とか日々を送れていますが、御本人は「年齢的にも親孝行しなければならないのに。働きたい」と言われています。ハローワークにも通っています。しかし、主治医から、運転や不規則な仕事は禁止されています。
 このように、療養しながら働くということは、大変困難な状況があります。企業にとっても受け入れが難しい問題ですが、県としての対策はどうなっていますか。また、企業への働きかけはいかがでしょうか。商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 長期にわたり病気治療をされている方や、障害があるものの手帳を交付されていない方の就労につきましては、症状や治療の状況などにより仕事に制約がある場合が多いことから、働く意欲のある方に対しては、きめ細やかな就労支援が必要であると認識しています。
 県では、就職の総合相談窓口であるジョブカフェわかやまにおいて、症状やこれまでの就労経験等を詳しくお聞きしながら、治療と就労を両立するためのアドバイスを行ったり、新規就労を希望される方には、ハローワークにつないで、就労が可能な職場を紹介しているところです。
 また、長期治療中の方などの就労には、事業者の理解が不可欠なことから、企業への働きかけが重要であると考えています。国においては、障害者手帳の有無にかかわらず、てんかんや精神疾患のある方などの雇用を促進するために、職場定着や職場復帰などに取り組む事業者を支援する助成制度が設けられております。
 また、障害により長期間仕事をするに当たって配慮が必要な方などに対して、障害を理由とする差別的取り扱いの禁止や、就労に支障となる事項の改善を事業者に義務づけた改正障害者雇用促進法も、平成28年4月から施行されます。県といたしましては、事業者に対して、企業研修会などの場を利用して、このような助成制度や法改正の趣旨を周知徹底するとともに、治療と就労の両立について理解を求めてまいります。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁いただいて、障害者手帳の有無にかかわらず、いろんな、てんかんとか精神疾患のある方など、雇用を促進するためにということでそういったことが進められていくと思います。
 そういう答弁だったと思うんですけど、その点で、ぜひとも県としても積極的に──やはり病気というのは、多種多様の、いろんな制約とか抱えながら治療していかなければいけないという方が結構いらっしゃると思うんです。そういった人たちも含めて、やっぱり働ける環境をぜひよくしていくという点で、これについては、もう何といっても企業の方の協力とか理解とか、そういったことがないといけないと思いますので、その点で、ぜひとも県としても、啓発や、事業者の皆さんと一緒になって具体的な受け入れを考えていくとか、そういったことを進めていただきたいと思うんです。
 ここで紹介したいのが、内閣府が昨年実施した──これはがんの関係ですが──がん対策に関する世論調査では、がん治療で2週間に1回程度、通院が必要な場合、働き続けることができる環境にはないと思っている方が、「どちらかといえばそう思う」という方も含めると3分の2に上っているというような調査の結果が出ています。また、5割以上の方が、その理由として、かわりに仕事をする人がいないし、いても頼みにくい、職場が休むことを許してくれるかどうかわからない、休むと職場での評価が下がると、事業者の理解に係るものも上げています。
 治療と就労の両立は非常に難しいものがありますが、働く意欲のある方が働くことのできる社会づくりは、生きがいを持って自立した生活を送るためにも大変重要なことだと思うんです。そのためには、がんに限ったものではありませんが、先ほどのアンケート結果にもあるとおり、行政はもちろん、社会全体、とりわけ事業者の理解が重要です。
 部長は、事業者の理解が不可欠であり、理解を求めていくと答弁していただきました。県は、障害者雇用率が2.44%と、法定の2.3%を上回って障害者の雇用を進めているということです。また、病気で長期治療が必要な職員には、病気休暇の制度を使って、仕事をしながら治療ができる環境が整えられていますし、病気等により、例えば自動車運転に支障がある職員の方には、運転の業務をさせないなど、治療と仕事が両立できるよう細かい配慮がなされていると聞いています。
 中小企業では、体制的にはなかなか難しい問題もあると思いますが、県の取り組みなんかも紹介しながら、ぜひ障害のある方や病気で長期に治療が必要な方が意欲と希望に応じて働くことができるよう、ぜひ事業者への啓発を、また協力を得られるように、これからもしっかりと施策を進めていっていただくことを要望して、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時56分散会

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